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土曜日(スボタ)
「スボタ」の小晩課
「主よ、爾に籲ぶ」に四句を立てて本調の主日の讚頌三章を歌ふ、其第一は二次。第六調。
句 我が靈主を待つこと、番人の旦を待ち、番人の旦を待つより甚し。
地獄に勝つハリストスよ、爾は十字架に上れり、死者の中に自由なる者、己の光より生命を流す者として、死の幽暗に坐する者を己と偕に復活せしめん爲なり。全能の救世主よ、我等を憐み給へ。
今ハリストスは死を滅して、嘗て言ひし如く復活し、世界に歡喜を賜へり、我等皆籲びて斯く歌はん爲なり、生命の泉、近づき難き光、全能の救世主よ、我等を憐み給へ。
主よ、我等罪人何處に爾悉くの造物に居る者を避けん、天には爾親ら住む、地獄には爾死を滅せり、海の深處に入らんか、主宰よ、彼處には爾の手あり。我等爾に趨り附き、爾に伏拜して禱る、死より復活せし主よ、我等を憐み給へ。
光榮、今も、生神女讚詞、定理歌。
爾生神女を讚美するは實に宜しきに合へり、蓋萬衆の造成主は爾の至淨なる腹に入り、本性を易へずして肉體と成れり。此の定制は想像なるにあらずして、實在の神性が爾より受けたる靈ある肉體に合せられしなり。此に因りて我等は敬虔にして二の現れたる性を區別す。至尊至聖なる童貞女よ、我等に平安と大なる憐とを降さんことを彼に祈り給へ。
次ぎて「穩なる光」。其後提綱、「主は王たり」、三次。
句 主は能力を衣、又之を帶にせり。
次に「主よ、我等を守り、罪なくして此の晩」。司祭聯禱を誦せず。我等直に次の讚頌を歌ふ。
挿句に主日の讚頌、第六調。
ハリストス救世主よ、諸天使は天に於て爾の復活を歌ふ。我等にも地に於て潔き心を以て爾を讚榮するに堪へさせ給へ。
又至聖なる生神女の讚頌。
句 我爾の名を萬世に誌さしめん。
至淨なる者よ、永久の神は昔爾の太祖に誓を以て約せし如く末の年に行ひて、爾の神聖なる腹より出でたり、蓋實に手に四極を保つ主は爾より輝き給へり。童貞女マリヤよ、審判の時に於て彼を我の爲にも寬容なる主と爲し、諸德を修め、諸慾を殺すに因りて、我に其國を受けしめ給へ。
句 女よ、之を聽き、之を觀、爾の耳を傾けよ。
至尊至淨なる童貞女よ、イサイヤは淸き智慧を以て遠くより爾が萬物の造成主を生まんとするを預言せり、蓋爾は獨世世の中に至りて無玷なる者と現れたり。故に我爾に祈る、我が汚れたる靈を潔めて、我を神聖なる光照に與る者と爲して、爾の神聖なる子が、錄されし如く、全世界を審判せん爲に坐する時、其右に立つを得しめ給へ。
句 民中の富める者は爾の顏を拜まん。
少女よ、爾の產に因りて死の滅亾は現れたり、爾は不朽なる生命の居處なればなり。故に我爾に祈る、童貞女よ、我諸慾の地獄の墓に臥す者を復活せしめて、生命と福樂の報とに導き、永在なる甘味のある處、暮れざる光の輝く處に於て我に盡きざる神聖なる喜悅を獲しめ給へ。
光榮、今も、生神女讚詞。
萬民來りて、歡の聲を以て至聖なる童貞生神女を崇め讚めん、彼は人の性の坩堝、言ひ難き諸奇跡の行はるる處なり、蓋彼に由りて新なる事は成りて、始なき者は始められ、言は形づくられ、神は人を神と爲さん爲に人と爲れり、是れ性を易ふるを以てするにあらずして、實性を合すを以てなり。蓋二の異なる者より一の者は出でて、二の完全なる性の内に分れざる者として知らる、各の性に其旨及び行動あるなり。是れ實に救を施す定制に因りて現れたるハリストス我等の神、世界に潔淨と平安と大なる憐とを賜ふ主なり。
次ぎて「主宰よ、今爾の言に循ひて」。聖三祝文。「天に在す」の後に主日の讚詞。光榮、今も、其生神女讚詞。幷に發放詞。
「スボタ」の大晩課
「主よ、爾に籲ぶ」に十句を立てて主日の次の讚頌を歌ふ、第六調。
句 我が靈を獄より引き出して、我に爾の名を讚榮せしめ給へ。
地獄に勝つハリストスよ、爾は十字架に上れり、死者の中に自由なる者、己の光より生命を流す者として、死の幽暗に坐する者を己と偕に復活せしめん爲なり。全能の救世主よ、我等を憐み給へ。
句 爾恩を我に賜はん時、義人は我を環らん。
今ハリストスは死を滅して、嘗て言ひし如く復活し、世界に歡喜を賜へり、我等皆籲びて斯く歌はん爲なり、生命の泉、近づき難き光、全能の救世主よ、我等を憐み給へ。
句 主よ、我深き處より爾に呼ぶ。主よ、我が聲を聽き給へ。
主よ、我等罪人何處に爾悉くの造物に居る者を避けん、天には爾親ら住む、地獄には爾死を滅せり、海の深處に入らんか、主宰よ、彼處には爾の手あり。我等爾に趨り附き、爾に伏拜して禱る、死より復活せし主よ、我等を憐み給へ。
又讚頌、アナトリイの作。同調。
句 願はくは爾の耳は我が禱の聲を聽き納れん。
ハリストスよ、我等爾の十字架を以て誇と爲し、爾の復活を歌ひて崇め讚む、爾は我等の神にして、我等爾の外に他の神を識らざればなり。
句 主よ、若し爾不法を糾さば、主よ、孰か能く立たん。然れども爾に赦あり、人の爾の前に敬まん爲なり。
我等常に主を崇め讚めて、彼の復活を歌ふ、其十字架を忍びて死を以て死を滅ししに因る。
句 我主を望み、我が靈主を望み、我彼の言を恃む。
主よ、光榮は爾の力に歸す、蓋爾は死の權を有つ者を空しくし、爾の十字架を以て我等を新にして、我等に生命と不朽とを賜へり。
句 我が靈主を待つこと、番人の旦を待ち、番人の旦を待つより甚し。
主よ、爾の葬は地獄の桎梏を壞り、死よりの復活は世界を照せり。主よ、光榮は爾に歸す。
又生神女の讚頌、アモレイのパワェルの作。第三調。
句 願はくはイズライリは主を恃まん、蓋憐は主にあり、大なる贖も彼にあり、彼はイズライリを其悉くの不法より贖はん。
至りて無玷なる童貞女よ、我が體の劣弱、靈の苦惱、心の憂愁を見て、我に神聖なる眷顧を得しめ給へ。祈る、爾の熱切なる祈禱を以て我を救ひ給へ。
句 萬民よ、主を讚め揚げよ、萬族よ、彼を崇め讚めよ。
女宰よ、我諸罪を以て衆人に超えたり。祈る、潔き童貞女よ、其多きを潔めて、爾の子及び神の將來の審判に於て我に慈憐を蒙むるを得しめ給へ。
句 蓋彼が我等に施す憐は大なり、主の眞實は永く存す。
潔き者よ、我爾を呼ぶ者の諸罪の多きを潔めて、爾の祈禱の劍を以て我が慾の厲しき動搖を斷ち給へ、我が信と愛とを以て爾の種なき產を歌はん爲なり。
光榮、今も、生神女讚詞
至聖なる童貞女よ、誰か爾を讚美せざらん、誰か爾の至りて淨き產を歌はざらん。世の無き先に父より光る獨生の子は爾淨き者より言ひ難く身を取りて出で、本性の神は我等の爲に本性の人と爲れり、其位一にして相分れず、其性二にして相失はず。淨くして至りて福なる者よ、我が靈の憐を蒙らんことを彼に禱り給へ。
次ぎて「穩なる光」。提綱、「主は王たり」。其他常例の如し。
挿句に主日の讚頌、第六調。
ハリストス救世主よ、諸天使は天に於て爾の復活を歌ふ。我等にも地に於て潔き心を以て爾を讚榮するに堪へさせ給へ。
他の讚頌
句 主は王たり、彼は威嚴を衣たり。
爾は全能の神たるに因りて、銅の門を破り、地獄の柱を折きて、陷りたる人の族を復活せしめ給へり。故に我等も同心に呼ぶ、死より復活せし主よ、光榮は爾に歸す。
句 故に世界は堅固にして動かざらん。
ハリストスは我等の古の朽壞を改めんと欲して、十字架に釘せられ、墓に置かれたり。攜香女は淚と共に彼を尋ねて、泣きて曰へり、哀しい哉衆人の救世主よ、如何に爾は墓に居るを甘じたる、居るを甘じて如何に盜まれたる、如何に移されたる、何の處か爾の生命を施す肉體を匿したる、然れども主宰よ、爾が約せし如く、我等に現れて、我等の涕泣を慰め給へ。斯く泣ける時天使彼等に呼べり、淚を止めて使徒に告げよ、主は復活して、世界に潔淨と大なる憐とを賜へり。
句 主よ、聖德は爾の家に屬して永遠に至らん。
ハリストスよ、爾は欲せし如く十字架に釘せられ、爾の葬にて死を虜にし、神として三日目に光榮を以て復活して、世界に終なき生命と大なる憐とを賜へり。
光榮、今も、生神女讚詞
至淨なる者よ、我の造成者及び贖罪者ハリストス主は、我を衣て、爾の胎より出でて、アダムを初の詛より解き給へり。故に無玷の者よ、我等爾、實に神の母及び童貞女たる者に默さずして天使の如くに呼ぶ、慶べ、女宰、我等の靈の轉達、帲幪、及び拯救よ、慶べ。
次ぎて「主宰よ、今爾の言に循ひて」。聖三祝文。「天に在す」の後に、
主日の讚詞、第六調。
天使の軍爾の墓に現れしに、番兵死せし者の如し、マリヤ墓に立ちて、爾の潔き體を尋ねたり。爾は地獄に誘はれずして、地獄を虜にし、生命を賜ふ者として、處女に逢ひ給へり。死より復活せし主よ、光榮は爾に歸す。
光榮、今も、生神女讚詞
爾は恩寵を蒙れる者を己の母と名づけて、自由の望を以て苦の爲に來り、アダムを尋ねんと欲して、十字架の上に輝きて、天使等に謂へり、我と共に喜べ、蓋失はれし金錢は獲られたりと。智慧を以て萬事を治めし我等の神よ、光榮は爾に歸す。
次に發放詞。
「スボタ」の晩堂課
至聖なる生神女の規程、第六調。
第一歌頌
イルモス イズライリは陸の如く淵を蹈み渡り、追ひ詰めしファラオンの溺るるを見て呼べり、凱歌を神に奉らん。
附唱 至聖なる生神女よ、我等を救ひ給へ。
神の盡されぬ恩寵を有ち給ふ母、聘女ならぬ聘女よ、爾に趨り附く者を棄てずして、常に災禍及び憂患より救ひ給へ。
視よ、憂悶は我に及べり、至淨なる女宰よ、起ちて、我に援助の手を授け給へ、爾は世界を神聖なる樂に滿てたればなり。
光榮 神の母よ、保護者として、爾の權能の帲幪を我艱難に圍まるる者に亟に予へて、我を其害より護り給へ。
今も 我が靈は死に瀕せり、我を憎む者は蝮の如く我を繞りて、誘惑を以て滅さんと欲す。生神女よ、親ら我を救ひ給へ。
第三歌頌
イルモス 我が口は我が敵に向ひて開けたり、我が心主に緣りて固められたればなり。
生神女よ、生命を生みし者として、諸罪に殺されし我が靈を活かし給へ。
生神女、我等の恃賴よ、爾に趨り附く者を諸の誘惑より護り給へ。
光榮 我が主の至りて無玷なる母よ、我に及ぶ種種の患難より我を救ひ給へ。
今も 爾の神聖なる產を以て世界に救を賜ふ者よ、我を苦難より脫れしめ給へ。
第四歌頌
イルモス 主よ、預言者は爾が降臨の事を聞き、爾が童貞女より生れ、人人に顯れんと欲するを懼れて曰へり、我爾の風聲を聞きて懼れたり、主よ、光榮は爾の力に歸す。
吾が靈の力は大く弱り、我が諸罪に因りて甚しき暗昧は我に及べり。神の母よ、祈る、光を施す神聖なる雲として、顧みて我を照し給へ。
純潔なる者よ、港として、我が惡の暴風と諸罪の擾亂とを救の穩靜に變じ給へ。諸敵は吼ゆる獅の如く我を囓まんと欲す、祈る、其滅亾より我を救ひ給へ。
光榮 晝に夜に、陸に海に、何の處に於ても確なる救及び勝たれぬ帲幪たる生神女よ、我を救ひ給へ、我等ハリスティアニンは實に爾を神に亞ぎて恃賴とすればなり。
今も 爾は常に我を大なる諸罪及び禍より救ふ者なり。故に我爾主を生みし者に祈りて、爾憂ふる者の確なる援助に趨り附く、爾の祈禱を以て我を苦難より脫れしめ給へ。
第五歌頌
イルモス 光を世界に輝かししハリストスよ、我夜中より爾に呼ぶ者の心を照して、我を救ひ給へ。
言の純潔なる母よ、我等爾を救の帲幪として讚榮して、人の惡謀を懼れず。
至淨なる者よ、我等爾を壞られぬ垣墻として有ちて、諸の誘惑及び憂愁より救はる。
光榮 潔き者よ、我を惡しき人の舌より救ひ給へ、剃刀の如く磨がれて、我が靈を滅さんと謀ればなり。
今も 我熱切に爾の前に俯伏して祈る、我が造成主の母として、我を圍める患難より釋き給へ。
第六歌頌
イルモス ハリストスよ、我罪の鯨に呑まれて、爾に呼ぶ、預言者の如く我を淪滅より脫れしめ給へ。
至淨なる者よ、我苦の味を得て、神聖なる甘を厭へり。故に爾に呼ぶ、我に援助を與へ給へ。
諸慾の昏昧は我を朽壞の奴隷と爲せり。祈る、光を生みし女宰よ、我を釋き給へ。
光榮 至淨なる者よ、我爾に依りて憂を免れて、信と愛とを以て爾を讚榮して、爾に祭を捧げん。
今も 不義なる口は我に向ひて開きたり。女宰よ、保護者として我を亟に之より釋き給へ。
次ぎて主憐めよ、三次。光榮、今も、
坐誦讚詞、第六調。
ハリスティアニン等の辱を得ざる轉達、造物主の前に變らざる中保よ、罪なる者の禱の聲を退くる勿れ、仁慈なるに因りて速に我等を助け給へ。蓋我等切に爾に呼ぶ、生神女よ、爾を尊む者に常に代りて急ぎて禱り、切に求め給へ。
第七歌頌
イルモス 天使は敬虔なる少者の爲に爐に露を出さしめ、ハルデヤ人を燒く神の命は苦しむる者に呼ばしめたり、吾が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
至聖なる童貞女よ、吾が靈を誘ふ者は肥えたる牡牛の如く我を圍めり、親ら我を此等より脫れしめ給へ。
生神女よ、爾は禍及び憂愁に居る者を熱心に助けて、常に喜悅を與へ給ふ。
光榮 童貞女よ、衆人の壞られぬ帲幪として、我惡事に因りて失望と悲哀とに勝たるる者を護り給へ。
今も 生神女よ、我等は爾の轉達を以て患難憂愁より救はれて、大なる盡されぬ富を獲るなり。
第八歌頌
イルモス ハリストスよ、爾は敬虔なる者の爲に焰より露を注ぎ、義人の祭の爲に水より火を出せり、爾は一の望にて萬事を行ひ給へばなり、我等爾を萬世に讚め揚ぐ。
生神女よ、我人人の侵害に惱まされて祈る、我を彼等の空しき謀より脫れしめ給へ。
女宰よ、我悲哀と誘惑とに勝たれて祈る、此等の害より我を救ひ給へ。
光榮 潔き者よ、我を詭譎なる人、其舌其口、及び暴虐幷に凡の危難より救ひ給へ。
今も 我惡しき風習に誘はれて、答ふべき所なくして生神女に呼ぶ、凡の惡より我を脫れしめ給へ。
第九歌頌
イルモス 天使より慶べよを受けて、己の造成主を生みし童貞女よ、爾を讚め揚ぐる者を救ひ給へ。
生神女よ、度生の憂愁の中に我に慈憐を垂れて、爾に趨り附く者を諸難より救ひ給へ。
潔き者よ、疑はざる靈を以て爾に趨り附く者の爲に、爾は獨陸に海に實に破られざる帲幪と現れたり。
光榮 讚美たる者よ、我無知に甚しき墮落を以て己を罪の奴隷と爲しし者に、爾の祈禱に由りて自由を得しめ給へ。
今も 潔き者よ、我爾を堅固なる恃賴及び轉達として獲て、熱信に爾を生神女と崇め讚めて、歌頌を終ふ。
次ぎて「常に福にして」。聖三祝文。「天に在す」の後に本調の小讚詞。其他常例の如し、幷に發放詞。
日曜日(主日)
主日の朝、夜半課
生命を施す至聖なる三者の規程、其冠詞は、神よ、第六の歌頌を爾に捧ぐ。ミトロファンの作。第六調。
第一歌頌
イルモス イズライリは陸の如く淵を蹈み渡り、追い詰めしファラオンの溺るるを見て呼べり、凱歌を神に奉らん。
附唱 至聖なる三者我等の神よ、光榮は爾に歸す。
惟一なる性の變易せざる神體、仁慈にして人を愛する神の三位、我等に諸罪の潔淨を賜ふ主を我等歌ふ。
實在なる惟一者、位に於て三光なる主、獨一性の神よ、我等を悟らせて、爾の神聖なる光照を獲しめ給へ。
光榮 パワェルは異邦民より生みたる敎會を新婦の如く飾りて、爾惟一にして三位なる神に伏拜するを敎へたり、萬物は爾に造られ、爾に依りて爾の中に存在すればなり。
今も、生神女讚詞 生神女よ、靈智なる日は爾の腹より出でて、我等を三光の神性の光線にて照せり、我等彼を歌ひて、敬虔に爾を崇め讚む。
第三歌頌
イルモス 爾が信者の角を高うし、我等を爾が承認の石に堅めし仁慈の主、吾が神よ、爾と均しく聖なるはなし。
三光の神よ、爾は天の品位を飾りて、聖三の聲を以て爾を歌ふを致せり。彼等と偕に我等爾の仁慈を歌頌する者をも受け給へ。
我等は惟一の變易せざる同性三位の神元を歌ひて、熱切に爾に多くの罪の赦を我等に降さんことを祈る。
光榮 無原の智慧たる父、同性の神の言、及び仁善にして義なる聖神よ、熱切に爾の權柄を歌頌する者を護り給へ、爾は慈憐なればなり。
今も、生神女讚詞 潔き者よ、我が神は爾の腹の内に實性の人と爲りて、朽壞の草場を空しくし、獨原祖を先の定罪より釋き給へり。
次ぎて主憐めよ、三次。
坐誦讚詞、第六調。
主宰神、至仁にして人を愛する主よ、天より臨み、我等の卑微なるを視て、宏恩なるに因りて慈憐を垂れ給へ、蓋我等が犯しし罪惡の赦を受けん爲に他に賴む所なし。祈る、我等と偕に居り給へ、然らば孰も我等に敵せざらん。
光榮、今も、生神女讚詞 潔き女宰、至淨なる生神女よ、臨みて我等の傷創の痛を視て、我等を憐み、爾の慈憐を注ぎて、我が良心の苦熱を醫して、爾の諸僕に呼び給へ、我爾等と偕にす、然らば孰も爾等に敵せざらん。
第四歌頌
イルモス 尊き敎會は淨き心より主の爲に祝ひ、神に適ひて呼び歌ふ、ハリストスは吾が力と神と主なり。
三光の惟一者よ、爾を歌ふ者の思念を高くし、靈と心とを上せて、爾の光照と光輝とを獲しめ給へ。
惟一の形られぬ變易せざる三者よ、我を化して、凡の惡より德に轉ぜしめて、爾の光線にて照し給へ。
光榮 三位なる惟一者よ、爾は先に意旨を以て睿智にして天使の品位、爾の仁慈に奉事する者を造り給へり。彼等と偕に我の讚美を受け給へ。
今も、生神女讚詞 生神女永貞童女よ、性の造られざる永在なる神は爾の聖なる腹の内に造られたる人の性を受けて、之を新にし給へり。
第五歌頌
イルモス 至仁なる神の言よ、切に祈る、爾に朝の祈禱を奉る者の靈を爾が神の光にて照して、爾罪の暗より呼び出す眞の神を知らしめ給へ。
主宰よ、我等は神元の性、衆人の爲に慮りて救を施す、三光にして惟一なる者を思ひて、爾に朝の祈禱を奉りて、罪過の赦を求む。
無原なる神父、同永在なる子、及び聖神、一元の三者よ、爾を歌ふ者を堅めて、凡の災難及び憂患より脫れしめ給へ。
光榮 光榮の日よ、常に我を照して、爾の三位なる神性の悅を爲す行に導きて、天の國に與る者と爲し給へ。
今も、生神女讚詞 爾の全能の手にて萬物を保ちて之を護る變易せざる神の言よ、爾を生みし生神女の祈禱に由りて、爾を讚榮する者を保ちて護り給へ。
第六歌頌
イルモス 誘惑の猛風にて浪の立ち揚がる世の海を觀て、爾の穩なる港に著きて呼ぶ、憐深き主よ、我が生命を淪滅より救ひ給へ。
三光の神元よ、爾を歌ふ者に智慧と知識とを賜ひて、仁慈を以て衆に爾の光を施す華麗の光線にて輝かさるるを得しめ給へ。二次。
光榮 本性に於て分れざる光、三光、全能にして、近づかれぬ者よ、忠信に爾の權柄を讚め揚ぐる者の心を照して、其内に神を愛する愛を燃し給へ。
今も、生神女讚詞 永貞童女よ、全能者及び萬有の主は爾の内に入りて、人人に三光なる神性の一體に叩拜するを敎へ給へり。
主憐めよ、三次。
坐誦讚詞、第六調。
仁慈なる父、子、及び聖神よ、我等を眷み給へ。我等塵の者は火焰の者と偕に信を以て爾に伏拜して、爾の權柄を讚榮す、爾の外に他の神を知らざればなり。求む、爾を歌ふ者に呼び給へ、我爾等と偕にす、然らば孰も爾等に敵せざらん。
光榮、今も、生神女讚詞 讚美たる生神女よ、我等眷みて、昏みたる心に光照を輝かし給へ。至淨なる者よ、爾の牧群を照し給へ、爾は造成主の母として、欲する所能せざるなければなり。求む、爾に祈る者に呼び給へ、我爾等と偕にす、然らば孰も爾等に敵せざらん。
第七歌頌
イルモス 天使は敬虔なる少者の爲に爐に露を出さしめ、ハルデヤ人を燒く神の命は苦しむる者に呼ばしめたり、吾が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
位に於て三光なる惟一者よ、爾の神聖なる誡を守りて行はん爲に我に堅き志を與へて、常に熱信に爾に歌はしめ給へ、吾が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
本性の同一なる者として歌はるる、言ひ難く惟一なる神、位に於て三數を有つ主よ、我等衆を諸の誘惑及び災禍より護り給へ。
光榮 我等は同永在にして性に於て同一なる神、各位に於て混淆せずして其本質を有つ三者の單一なる變易なき體を讚榮す。
今も、生神女讚詞 至淨なる者よ、永在の神は人を愛するに因りて爾の潔き腹より我等人類の合成を受けて、衆に呼ばしめ給ふ、吾が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
第八歌頌
イルモス ハリストスよ、爾は敬虔なる者の爲に焰より露を注ぎ、義人の祭の爲に水より火を出せり、爾は一の望にて萬事を行ひ給へばなり、我等爾を萬世に讚め揚ぐ。
同一性の三者、三位の惟一者よ、我に速に諸罪の潔淨と多種の慾の消滅とを與へ給へ、我が萬世に爾を讚榮せん爲なり。
三光の惟一者、至仁なる三者よ、慈憐仁慈なる神として、凡そ爾の至大なるを讚榮する者を憐み給へ。
光榮 我等は永在の光たる父より生れし永在の光たる言を出づる光たる聖神と偕に熱信に讚榮して、萬世に讚め揚ぐ。
今も、生神女讚詞 至淨なる者よ、爾は人人の爲に全能の醫師たる言ハリストス、世世に彼を讚め揚ぐる衆人を原祖の傷創より醫し給ふ主を生み給へり。
第九歌頌
イルモス 天使の品位すら見るを得ざる神は、人見る能はず、唯爾至淨の者に藉りて人體を取りし言は人人に現れ給へり。我等彼を崇めて、天軍と偕に爾を讚め揚ぐ。
主宰よ、ヘルワィムの品位は爾の華美の光榮を見る能はずして、翼に蔽はれて、絕えず聖三の歌を奉りて、爾の惟一なる神元の三位の權柄を讚榮す。
暮れざる日、大仁慈にして三位なる惟一者よ、我等爾の諸僕の心に光照を賜ひて、靈を照し、多くの罪より脫れしめて、爾の不朽なる生命に與らしめ給へ。
光榮 同一尊なる三日の光、光明を施す實在の神性よ、信を以て爾を歌ふ者を照して、暗き惡事より脫れしめ、至仁の主として、爾の至りて光明なる居處を獲しめ給へ。
今も、生神女讚詞 讚美たる童貞女よ、爾の子は先に睿智を以て人を造り、後に朽ちたる者を爾に因りて新にして、凡そ信を以て爾を眞の生神女と讚榮する者を神聖なる光の滅えざる煇煌に滿て給へり。
次にグリゴリイ シナイトの聖三讚歌、「爾神言を讚榮するは」、及び其他夜半課の式。本書の末に載す。
主日の早課
六段の聖詠畢りて「主は神なり」、第六調に依りて歌ひ、後主日の讚詞、「天使の軍爾の墓に現れしに」、二次。光榮、今も、生神女讚詞、「爾は恩寵を蒙れる者を」。次に聖詠經の常例の誦讀。
第一の誦文の後に主日の坐誦讚詞、第六調。
墓は啓かれ、地獄は哭くに、マリヤは隱れたる使徒等に呼べり、葡萄園の工作者よ、出でて、復活の詞を傳へよ、世界に大なる憐を賜ふ主は復活し給へり。
句 主我が神よ、起きて、爾の手を擧げよ、苦しめらるる者を永く忘るる毋れ。
主よ、マリヤ「マグダリナ」は爾が墓の前に立ちて哭き、爾を園丁なりと意ひて、呼びて曰へり、何處に永遠の生命を置きたる、何處にヘルワィムの寶座に坐する者を隱したる、蓋彼を守る者は恐懼に由りて死せし如くなれり。或は我が主を我に予へよ、或は我と偕に呼べ、死者の中に在りて死者を復活せしめし主よ、光榮は爾に歸す。
光榮、今も、生神女讚詞 生神女よ、ゲデオンは爾の胎孕を預象し、ダワィドは爾の產を述ぶ。蓋雨が羊の毛に於ける如く、言は爾の腹に降りしに、爾は、恩寵を蒙れる聖なる地よ、種なくして世界の爲に拯救なるハリストス、我等の神を生じ給へり。
第二の誦文の後に主日の坐誦讚詞、第六調。
生命は墓の内に臥し、印は石の上に貼けられ、兵卒は寢ぬる王の如くハリストスを守れり。主は見えずして己の敵を敗りて、復活し給へり。
句 主よ、我心を盡して爾を讚め揚げ、爾が悉くの奇跡を傳へん。
不死の主よ、イオナは爾の墓を預象し、シメオンは神聖なる復活を述ぶ。蓋爾は、ハリストス我等の神よ、死者として墓に降りて、地獄の門を破り、暗昧に居る者を照し、朽壞に與からざる主宰として復活して、世界に救を賜へり。
光榮、今も、生神女讚詞 生神童貞女よ、爾の子、甘じて十字架に釘せられ、死より復活せしハリストス我等の神に、我等の靈の救はれんことを祈り給へ。
ネポロチニの後に應答歌、第六調。
ハリストスよ、爾は神なるにより、生命を施す自由の死にて地獄の門を破りて、我等の爲に古の樂園を開き、死より復活して、我等の生命を朽壞より救ひ給へり。
品第詞、第六調。第一倡和詞。每句復唱す。
言よ、我目を天に爾に擧ぐ、我を惠みて、爾の爲に生くるを賜へ。
言よ、我等賤しき者を憐みて、爾の用に適する器と爲し給へ。
光榮 聖神には救の基備れり、彼堪ふる者に噓けば、速に之を地より擧げ、之を飛ばしめ、之を長ぜしめて、上に升らせ給ふ。
今も、同上。
第二倡和詞
若し主我等の中にあらずば、我等誰も敵の攻擊に勝つこと能はざらん、蓋勝つ者は此處より擧げらる。
言よ、願はくは我の靈は小禽の如く彼等の齒にて捕はれざらん、嗚呼哀しい哉、我罪を嗜む者は如何にして敵より脫るるを得ん。
光榮 聖神より衆人に成聖、慈惠、知識、平安、幷に降福は賜はる、蓋彼は父及び言と等しく行動する者なり。
今も、同上。
第三倡和詞
主を賴む者は敵彼等を懼れ、衆人は奇とす、蓋彼等は上を仰ぎ見る。
救世主よ、義なる嗣業は爾を扶助者と有ちて、己の手を不法に伸べず。
光榮 聖神の權柄は萬有にあり、上なる軍は下なる凡の呼吸ある者と偕に彼に伏拜す。
今も、同上。
提綱、第六調。
主よ、爾の力を興し、來りて我等を救ひ給へ。
句 イズライリの牧者よ、耳を傾けよ、イオシフを羊の如く導く者よ、己を顯せ。
「凡そ呼吸ある者」。句、「神を其聖所に讚め揚げよ」。
主日の福音經。「ハリストスの復活を見て」。第五十聖詠。及び其他次第に循ふ。
主日の規程、第六調。
第一歌頌
イルモス イズライリは陸の如く淵を蹈み渡り、追ひ詰めしファラオンの溺るるを見て呼べり、凱歌を神に奉らん。
附唱 主よ、光榮は爾の聖なる復活に歸す。
仁慈なるイイススよ、爾は十字架に伸べたる手を以て、父の惠を萬有に滿たし給へり。故に我等皆凱歌を爾に奉る。
死は命を受けし婢の如く恐れて、爾生命の主宰に就きたり、爾は是を以て我等に死せざる生命と復活とを與へ給ふ。
生神女讚詞 潔き者よ、爾は己の造物主を受けて、彼が其自ら欲せし如く、爾の種なき腹より量り難く人性を取り給ふによりて、實に造物の女宰と顯れたり。
又 十字架復活の規程
第一歌頌
イルモス 「昔逐ひつめし窘迫者を」。
審判者は審判せらるる者として、甘じてピラトの不法なる審判座の前に立ち、地と天の者との戰く神は不義なる手にて面を批たる。
主宰救世主よ、爾は己の神聖なる手を爾の生を施す至淨なる十字架に伸べて、異邦民を集めて爾を知らしめ、爾の光榮なる釘刑に伏拜せしむ。
十字架生神女讚詞 ハリストス救世主よ、至りて無玷なる者は淚を流して、爾の十字架の側に立ち、爾の脅より滴る血を見て、爾の無量なる慈憐を讚榮せり。
又 至聖なる生神女の規程、其冠詞は、神の母よ、我に豐なる恩寵を賜へ。
第一歌頌
イルモス 「イズライリは陸の如く淵を蹈み渡り」。
エワは禁ぜられたる樹の食を食ひて、咒詛を入れたり、潔き者よ、爾は祝福の原因たるハリストスを生みて、之を釋き給へり。
神聖なる電に因りて珍珠としてハリストスを生みし潔き者よ、我が諸慾の昏昧と諸罪の紛擾とを爾の光の煇煌を以て散じ給へ。
イアコフは靈智なる目を以て異邦民の恃賴なる神、爾より身を取りて、爾の轉達を以て我等を救ふ者を奧密に預見せり。
至淨なる者よ、イウダの族よりする率ゐる者盡きたるに、爾の子及び神は率ゐる者として出でて、今實に地の四極に王と爲り給へり。
共頌「我が口を開きて」。
第三歌頌
イルモス 爾が信者の角を高うし、我等を爾が承認の石に堅めし仁慈の主、吾が神よ、爾と均しく聖なるはなし。
造物は神が身にて釘せらるるを見、畏れて崩れんとせり、然れども我等の爲に釘せられし者の全能の手にて堅く保たれたり。
詛はれたる死は死を以て壞られ、息なくして偃す、蓋神聖なる生命の之に著くに堪へずして、强き者は殺され、復活は衆人に賜はる。
生神女讚詞 潔き者よ、爾が神妙なる產の奇跡は悉くの天然の法に超ゆ、蓋爾は性に超えて神を胎内に孕み、生みて後恒に童貞女に止まり給ふ。
又 イルモス 「造物は爾、全地を寄する所なくして」。
三日墓の中に在りし主よ、爾は生を施す爾の復活を以て先に殺されし者を復活せしめ給へり。彼等は定罪を釋かれて、喜び樂しみて呼ぶ、主よ、爾は拯救として來り給へり。
我が救世主よ、光榮は爾の復活に歸す、蓋爾は全能者として我等を地獄の朽壞及び死より救ひ給へり。故に我等歌ひて云ふ、人を愛する主よ、爾の外に聖なるはなし。
生神女讚詞 至聖至潔なる者よ、爾は爾より生れし者が戈を以て傷つけられしを見て、心に傷つけられて、驚きて云へり、子よ、至りて不法なる民は何をか爾に報いたる。
又 イルモス 「爾が信者の角を高うし」。
至りて潔き神の母よ、仁慈なる主は朽壞と死とに屬する我が身を言ひ難く爾の腹より取りて、之を不朽の者と爲して、永遠に己に合せ給へり。
童貞女よ、天使の品位は神が爾より身を取り給ふを見て、驚き懼れて、爾を神の母として默さざる歌を以て尊む。
神の母よ、預言者ダニイルは爾を靈智なる山と見て驚きたり、蓋此より石は手に由らずして斫られて、其力を以て惡鬼の宮を碎きたり。
至淨なる童貞女よ、人の言及び舌は宜しきに合ひて爾を讚美する能はず、蓋生を施すハリストスは種なくして爾より身を取るを喜び給へり。
第四歌頌
イルモス 尊き敎會は淨き心より主の爲に祝ひ、神に適ひて呼び歌ふ、ハリストスは吾が力と神と主なり。
ハリストスよ、眞の生命の木は華さけり、蓋十字架は樹てられて、爾の朽ちざる脅腹より流るる血と水とに潤されて、我等の爲に生命を生じたり。
旣に蛇は僞りて我に神と爲らんことを勸めず、人の性を神の性に合せしハリストスは今我が爲に障礙なき生命の道を開きたればなり。
生神女讚詞 生神女・永貞童女よ、爾が神妙なる產の奧義は地に在る者にも天に在る者にも實に言ひ難く悟り難し。
又 イルモス 「アウワクムは爾が十字架に於ける」。
ハリストスよ、我等は爾の尊き十字架及び釘と聖なる戈、葦と棘の冠を尊む、此等に由りて地獄の朽壞より脫るるを得たればなり。
救世主言よ、墓は爾甘じて我等の爲に死者と爲りし者を受けたれども、敢て爾を留むること能はざりき、蓋爾は神として復活して、我等人類を救ひ給へり。
十字架生神女讚詞 神の母、救世主ハリストスを人人の爲に生みし永貞童女よ、我等信を以て爾の神聖なる帲幪に趨り附く者を災禍及び苦より脫れしめ給へ。
又 イルモス 「尊き敎會は淨き心より」。
至淨なる者よ、我等爾に因りて救はれし者は爾至りて無玷なる童貞女を歌ひて、敬虔に呼ぶ、祝讚せらるる哉神を生みし永貞童女や。
至福なる童貞女よ、爾は生命の暗昧に居る者の爲に暮れざる光、身にて輝く者を生みて、爾永貞童女を歌ふ者の爲に歡喜を流し給へり。
至聖なる永貞童女よ、爾に依りて恩寵は華さき、律法は絕えたり、爾潔き者が我等に赦罪を賜ふ主を生みたればなり。
至りて潔き者よ、木の果を味ふことは我を死者と爲し、爾より現れし生命の木は我を復活せしめて、樂園の福の嗣業者と爲せり。
第五歌頌
イルモス 至仁なる神の言よ、切に祈る、爾に朝の祈禱を奉る者の靈を爾が神の光にて照して、爾罪の暗より呼び出す眞の神を知らしめ給へ。
主宰神の言よ、ヘルワィムは今我に道を許し、焰の劍は我が前より退く、爾眞の神が盜賊の爲に樂園の道を開き給ひしを見たればなり。
主宰ハリストスよ、我は旣に地に歸るを畏れず、蓋爾は大仁慈に因りて、爾の復活を以て、我忘れられし者を地より不朽の高處に升せ給へり。
生神女讚詞 仁慈なる世界の女宰よ、中心より爾を生神女と承け認むる者を救ひ給へ、我等爾神の眞の母を勝たれぬ轉達として有てばなり。
又 イルモス 「ハリストスよ、イサイヤは我等の爲に」。
至仁なる主よ、原祖はエデムの中に木の食に誘はれ、爾の戒に背きて、朽壞に陷りたり。然れども爾は、救世主よ、父に順ふ者として、十字架を以て復彼を始の華美に升せ給へり。
仁慈なる主よ、爾の死に由りて死の權は滅され、我等に生命の泉は注がれ、不死は賜はりたり。故に我等熱信に爾の葬及び復活に伏拜す、是を以て爾は神として全世界を照し給へり。
十字架生神女讚詞 純潔なる者よ、天に居る主、萬有の造成者は言ひ難く爾の腹に入りて、爾を天より最高く、無形の品位より最聖なる者として榮し給へり。故に我等地に在る者は今爾を讚揚す。
又 イルモス 「至仁なる神の言よ、切に祈る」。
讚美たる者よ、爾は潔淨を以て明に輝きて、主宰の神聖なる居處と爲れり、蓋爾は獨神の母と現れて、彼を嬰兒として抱き給へり。
貞潔に封印せられたる潔き者よ、爾は至りて美しき爾の靈の靈智なる華美を有ち、神の聘女と爲りて、潔淨の光を以て世界を照し給へり。
爾潔き神の母を承け認めざる不虔者の群は泣くべし、蓋爾は我等の爲に神の光の門と現れて、諸罪の暗を散じ給へり。
第六歌頌
イルモス 誘惑の猛風にて浪の立ち揚がる世の海を觀て、爾の穩なる港に着きて呼ぶ、憐深き主よ、我が生命を淪滅より救ひ給へ。
主宰よ、爾釘うたるる時、釘にて我等が蒙れる詛を滅し、戈にて脅を刺さるる時、アダムの書券を破りて、世界を釋き給へり。
アダムは欺き倒されて、地獄の淵に落されしに、爾本性の神は、憐に因りて、之を尋ねんが爲に降り、肩に荷ひて、共に復活せしめ給へり。
生神女讚詞 人人の爲に舵師及び主を生みし至淨なる女宰よ、我が慾の波たつ烈しき煩亂を鎭めて、我が心に穩なるを得しめ給へ。
又 イルモス 「イオナは鯨の腹に包まれたれども」。
エウレイの民はハリストスを殺し及び預言者を殺す者と爲れり。蓋昔眞實の奧密なる光線たる預言者を殺すを懼れざりし如く、斯く今も彼等が其時に傳へし主を妬に因りて殺せり。然れども彼の殺さるるは我等の爲に生命と爲れり。
救世主よ、爾は執はれたれども、墓の中に留められざりき。蓋爾は、言よ、甘じて死を嘗めたれども、不死なる神として復活して、地獄にある俘囚を己と共に起し、女等に先の哀に易へて喜を賜へり。
生神女讚詞 潔き者は言へり、鳴呼吾が子よ、爾は神性を以てダワィドに人の子より美しき者と現れたれども、苦の時に爾の身の狀は人人より卑しくして貧しき者と爲れり。嗚呼吾が神よ、爾の國の權柄を以て諸敵の力を破りて、墓より起き給へ。
又 イルモス 「誘惑の猛風にて」。
母童貞女よ、預言者の中に大なるモイセイは爾を匱と案、燈臺及び「マンナ」の壺と預象して、形を以て至上者が爾より身を取ることを徵せり。
嗚呼女宰よ、爾の果に觸れて死は死され、アダムの定罪の朽壞は空しくなれり、蓋爾は朽壞より爾を歌ふ者を救ふ生命を生み給へり。
讚美たる童貞女よ、智慧と明悟とに超えて爾より生れし神及び救世主の恩寵の我に現れしに、律法は弱り、影は過ぎ去れり。
小讚詞、第六調。
生命の原因たるハリストス神は生命を施す手を以て死せし者を暗き谷より出して、復活を人類に賜へり、衆人の救世主、復活と生命、及び衆人の神なればなり。
同讚詞 生命を賜ふ主よ、我等信者は爾の十字架と葬とを歌ひて伏拜す。蓋爾は、不死なる者よ、全能の神として、地獄を縛り、死者を己と偕に復活せしめ、死の門を破り、地獄の權を滅し給へり。故に我等地に生るる者は愛を以て爾復活して、滅亾を爲す敵の權を空しくし、爾を信ずる衆を復活せしめ、世界を蛇の毒及び敵の誘惑より救ひ給ひし主を讚榮す、爾は衆人の神なればなり。
第七歌頌
イルモス 天使は敬虔なる少者の爲に爐に露を出さしめ、ハルデヤ人を燒く神の命は苦しむる者に呼ばしめたり、吾が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
主宰よ、日は爾の苦を嘆きて晦冥を衣、全地は晝に光を失ひて呼べり、吾が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
ハリストスよ、地獄は爾の降臨に因りて光を衣、原祖は樂に滿たされて祝ひ、喜びて呼べり、吾が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
生神女讚詞 母童貞女よ、爾に依りて明なる光は全世界に輝けり、蓋爾は萬有の造成主神を生み給へり。純潔なる者よ、彼に大なる憐を我等信者に降さんことを求め給へ。
又 イルモス 「言ひ盡されぬ哉奇蹟や」。
鳴呼驚くべき現象や、イズライリをファラオンの奴隷より救ひし主は彼より甘じて十字架に釘せられて、諸罪の桎梏を解き給ふ。我等信を以て彼に歌ふ、贖罪主神よ、爾は崇め讚めらる。
至りて不法なる者の不虔の諸子が爾救世主を髑髏の處に十字架に釘せしに、爾は銅の門と柱とを壞り給へり、我等、贖罪主神よ、爾は崇め讚めらると歌ふ者の救の爲なり。
生神女讚詞 潔き童貞女よ、爾の產はエワを古の詛より自由にし、アダムを釋き給へり。故に我等は諸天使と偕に爾を尊み、爾の子に歌ひて呼ぶ、贖罪主神よ、爾は崇め讚めらる。
又 イルモス 「天使は敬虔なる少者の爲に」。
爾の產を前兆する三人の少者を爐は焚かざりき。蓋神聖なる火は爾を焚かずして、爾の内に入りて、衆に呼ばんことを敎へたり、吾が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
純潔なる母よ、爾が預言せし如く、四極は爾を讚頌し、且爾の光の光線に照されて、恩寵に依りて歌ひて呼ぶ、吾が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
神の母よ、至りて凶惡なる蛇は滅を致す齒を我の内に刺せり。然れども爾の子は之を折きて、我に力を與へて呼ばしむ、吾が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
神福なる者よ、爾は獨人性の潔淨なり、蓋ヘルワィムの肩に坐する神を爾の手に抱きて呼ぶ、吾が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
第八歌頌
イルモス ハリストスよ、爾は敬虔なる者の爲に焰より露を注ぎ、義人の祭の爲に水より火を出せり、爾は一の望にて萬事を行ひ給へばなり、我等爾を萬世に讚め揚ぐ。
神の言よ、昔諸預言者を殺ししイウデヤ民は、今猜によりて、爾を十字架に擧げて、神を殺す者となれり。我等爾を萬世に讚め揚ぐ。
ハリストスよ、爾は天を遺てずして地獄に降りて、膿汁に溺れ臥す人を己と偕に興し給へり。故に我等爾を萬世に讚め揚ぐ。
生神女讚詞 童女よ、爾は光に因りて光を施す言を孕み、量り難く之を生みて、讚榮を得たり、聖神爾の内に入りたればなり。故に我等爾を萬世に讚め歌ふ。
又 イルモス 「天よ、畏れて戰け」。
聽く者は驚かざるなし、如何ぞ至上者は甘じて地に降り、十字架と葬とを以て地獄の力を破りて、衆を起して呼ばしむる、童子よ、崇め讚めよ、司祭よ、讚め歌へ、民よ、萬世に尊み崇めよ。
地獄の苛虐は熄み、其國は亾びたり、蓋萬有の神は地に十字架の上に擧げられて、其權力を空しくし給へり。童子よ、彼を崇め讚めよ、司祭よ、讚め歌へ、民よ、萬世に尊み崇めよ。
嗚呼ハリストスよ、爾の仁愛は言ひ難く、恩惠は悟り難し、蓋爾は我が地獄の囹圄に滅ぶるを見て、苦を受けて我を救ひ給へり。故に我等爾萬有の主宰を讚め揚げて、萬世に尊み崇む。
又 イルモス 「ハリストスよ、爾は敬虔なる者の爲に」。
至淨なる者よ、爾の子は爾を金繍の衣を以て妝はれたる女王として、聖神の光に輝かして、己の右に立て給へり。我等彼を萬世に讚め揚ぐ。
一の望にて世界を造りし主は上より人性を改め造らんと望みて、之を爾の至淨なる胎より取り給へり。我等彼を萬世に讚め揚ぐ。
童貞の光にて輝ける至淨なる者よ、爾は言の我人に結合するに因りて神の居處と爲り給へり。故に我等爾を萬世に讚め歌ふ。
潔き者よ、金の燈臺は爾を前兆せり、蓋爾は己の睿智にて萬有を照す近かれぬ光を言ひ難く受け給へり。故に我等爾を世世に讚め歌ふ。
次ぎて生神女の歌を歌ふ、「我が靈は主を崇め」、附唱と共に、「ヘルワィムより尊く」。
第九歌頌
イルモス 天使の品位すら見るを得ざる神は、人見る能はず、唯爾至淨の者に藉りて人體を取りし言は人人に現れ給へり。我等彼を崇めて、天軍と偕に爾を讚め揚ぐ。
神の言、吾が救世主よ、爾は苦に與らざる者にして、身にて苦に與りて、人を苦より釋き給へり、爾は獨無慾にして全能なればなり。
主宰よ、爾は死の傷を受けて、爾の體を朽壞に與らざる者として護れり、爾が生命を施す神聖なる靈は地獄に遺されずして、爾は寢より興くるが如く復活し、我等を共に興し給へり。
聖三者讚詞 我等衆人淨き口を以て神父、同無原の子を讚め揚げ、至聖神の言ひ難き至榮なる能力を尊み崇む、爾全能の三者は惟一にして分れざる者なればなり。
又 イルモス 「母よ、我爾が種なくして孕みし子」。
生命を賜ふハリストスよ、爾は死者として墓に下りたれども、地獄の力を破り、其呑みたる死者を己と偕に起して、神として凡そ信と愛とを以て爾を讚揚する者に復活を賜へり。
造物は歡ぶべし、百合の花の如く榮ゆべし、蓋ハリストスは神として死より起き給へり。我等今呼ばん、死よ、爾の刺は安にか在る、地獄よ、爾の勝は安にか在る、我等の角を高くせし主は爾を地に倒せり、慈憐の主なればなり。
十字架生神女讚詞 至淨なる女宰よ、爾は萬有を保つ主を保ち、我等を戰ふ敵の手より救ふ主を嬰兒として手に抱き、我等を惡の阱より引き上げし主を十字架の木に擧げらるる者として見る。
又 イルモス 「天使の品位すら」。
イアコフより出でたる星は神性の光線を輝かして、幽暗の中に居る者を照せり。純潔なる者よ、此れ爾より人體を取りしハリストス神言なり。我等は彼に照されて、天軍と偕に爾を讚め揚ぐ。
潔き童貞女よ、我爾の能力と恩寵とに堅められて、中心より熱切に爾に歌を捧げたり。神福なる者よ、之を納れて、不朽の寶藏より爾の光明なる恩寵を報い給へ。
童貞女よ、爾は神聖なる機と現れ、言は此を以て肉體の衣を織り、我が像を造りて、之を衣て、凡そ淸き心を以て爾を讚め揚げる者を救ひ給へり。
純潔なる生神女よ、爾の言ひ難く悟り難き產に由りて今死者に復活は賜はりたり、蓋生命は爾に藉りて身を衣て、衆に輝きて、顯に死を滅せり。
共頌の後に小聯禱。次ぎて主我等の神は聖なり、三次。早課の差遣詞。
「凡そ呼吸ある者」に主日の讚頌、第六調。
句 彼等の爲に記されし審判を行はん爲なり、斯の榮は其悉くの聖人に在り。
主よ、爾の十字架は爾の人人の爲に生命と復活なり、我等之を賴みて、爾復活せし吾が神を歌ふ。我等を憐み給へ。
句 神を其聖所に讚め揚げよ、彼を其有力の穹蒼に讚め揚げよ。
主宰よ、爾の葬は人類の爲に樂園を開けり、我等朽壞より逃れて、爾復活せし吾が神を歌ふ。我等を憐み給へ。
句 其權能に依りて彼を讚め揚げよ、其至嚴なるに依りて彼を讚め揚げよ。
死より復活せしハリストスを父及び聖神と偕に歌ひて、彼に呼ばん、爾は我等の生命と復活なり。我等を憐み給へ。
句 角の聲を以て彼を讚め揚げよ、琴と瑟とを以て彼を讚め揚げよ。
ハリストスよ、爾は錄されし如く、三日目に墓より復活して、我等の原祖を己と偕に興し給へり。故に人類は爾を讚榮して、爾の復活を崇め歌ふ。
又讚頌、アナトリイの作。
句 鼓と舞とを以て彼を讚め揚げよ、絃と簫とを以て彼を讚め揚げよ。
主よ、爾の復活の祕密は大にして畏るべし、蓋新郞が宮より出づる如く、爾は墓より出でて、死を以て死を滅し給へり、アダムを釋かん爲なり。故に人を愛する主よ、我等に施す爾の慈憐を、天に於て諸天使は慶賀し、地に於て人人は讚榮す。
句 和聲の鈸を以て彼を讚め揚げよ、大聲の鈸を以て彼を讚め揚げよ。凡そ呼吸ある者は主を讚め揚げよ。
鳴呼至りて不法なるイウデヤ人よ、封印と兵卒に給へし銀とは安にか在る。寶は竊まれしにあらず、彼は權能者として復活せり。爾等はハリストス、苦を受け、葬られて、死より復活せし光榮の主を諱みて、自ら耻を得たり。我等は彼に伏拜す。
句 主我が神よ、起きて、爾の手を擧げよ、苦しめらるる者を永く忘るる毋れ。
イウデヤ人よ、墓は閉され、爾等は番兵を置き、封印を貼けしに、如何ぞ竊まれたる。戸の閉されたるに、王は出でたり。爾等は彼を或は死者として出せ、或は神として伏拜して、我等と偕に歌へ、主よ、光榮は爾の十字架及び爾の復活に歸す。
句 主よ、我心を盡して爾を讚め揚げ、爾が悉くの奇跡を傳へん。
主よ、攜香女は泣きて、爾の生命を藴むる墓に至り、香料を攜へて、爾の至淨なる體に釁らんと欲せしに、光る天使、石の上に坐する者に遇へり。彼は之に述べて曰ふ、何ぞ脅より世界に生命を流しし者の爲に泣ける、何ぞ不死の者を死者の如く墓に尋ぬる。速に往きて其門徒に彼の光榮なる復活の全世界の歡喜を告げよ。救世主よ、此を以て我等をも照して、潔淨と大なる憐とを與へ給へ。
光榮、早課の福音の讚頌。今も、「生神童貞女よ、爾は至りて讚美たる者なり」。大詠頌。
次ぎて復活の讚詞。
主よ、爾は墓より復活して、地獄の鎻を壞り、死の定罪を滅し、衆人を敵の網より救へり。獨大慈憐なる者よ、爾は使徒に現れて、彼等を傳敎に遣し、彼等に因りて爾の平安を世界に賜へり。
次ぎて聯禱、及び發放詞。
主日の聖体礼儀に
聖體禮儀の眞福詞、第六調。
神我が救世主よ、爾の國に來らん時我を憶ひて、我を救ひ給へ、爾獨人を愛する主なればなり。
句 心の淸き者は福なり、彼等神を見んとすればなり。
木に緣りて誘はれしアダムを爾は亦十字架の木に緣りて救ひ、主よ、爾の國に於て我を憶ひ給へと呼ぶ盜賊をも救ひ給へり。
句 和平を行ふ者は福なり、彼等神の子と名づけられんとすればなり。
地獄の門と柱とを壞ちし生命を賜ふ救世主よ、爾は凡そ光榮は爾の復活に歸すと呼ぶ者を復活せしめ給へり。
句 義の爲に窘逐せらるる者は福なり、天國は彼等の有なればなり。
己の葬にて死を虜にし、己の復活にて萬有を喜に滿たしし主よ、我を憶ひ給へ、爾は仁慈の主なればなり。
句 人我の爲に爾等を詬り、窘逐し、爾等の事を僞りて諸の惡しき言を言はん時は、爾等福なり。
攜香女は墓に來りて、天使の呼ぶを聽けり、ハリストスは復活して、萬有を照し給へり。
句 喜び樂しめよ、天には爾等の賞多ければなり。
我等衆同心にハリストス、十字架の木に釘せられて、世界を迷より救ひし主を歌はん。
光榮、聖三者讚詞 我等父と子と聖神を讚揚して曰ふ、聖三者よ、我等の靈を救ひ給へ。
今も、生神女讚詞 末の日に言ひ難く孕みて己の造成主を生みし童貞女よ、爾を讚め揚ぐる者を救ひ給へ。
提綱、第六調。
主よ、爾の民を救ひ、爾の業に福を降し給へ。
句 主よ、我爾に呼ぶ、我の防固よ、我が爲に默す毋れ。
「アリルイヤ」、至上者の覆の下に居る者は、全能者の蔭の下に安ず。
句 主に謂ふ、爾は我の避所、我の防禦、我が賴む所の我の神なりと。
主日の晩課
「主よ、爾に籲ぶ」に痛悔の讚頌。イオシフの作。第六調。
句 主よ、若し爾不法を糾さば、主よ、孰か能く立たん。然れども爾に赦あり、人の爾の前に敬まん爲なり。
救世主よ、爾を生みし者及び天使の品位の祈禱に因りて、爾の仁愛を以て、我に痛悔の淚と傷感の思とを與へ給へ、我が時每に不義の行を以て甚しく汚したる吾が靈の不潔を滌はん爲なり。
句 我主を望み、我が靈主を望み、我彼の言を恃む。
嗚呼靈よ、來りて、度生の時に行ひし多くの罪を痛悔し、嘆息と淚とを以て天上の軍に祈れ、爾慾に耽る者に痛悔の時は與へられて、爾が果を結ばざる無花果樹の如く「ゲエンナ」の火に投ぜられざらん爲なり。
句 我が靈主を待つこと、番人の旦を待ち、番人の旦を待つより甚し。
我がハリストスよ、我地に在りて爾の戒の一をも行はざりき、如何ぞ爾寶座に坐する者の前に現れて、凡そ我が知ると知らずして行ひし事の爲に對を爲して、審判を受けん。故に爾に呼ぶ、爾の奉事者の祈禱に因りて、我放蕩の者を救ひ給へ。
次に月課經の聖人の讚頌。若し月課經なくば、又聖なる無形天軍の讚頌。第六調。
句 願はくはイズライリは主を恃まん、蓋憐は主にあり、大なる贖も彼にあり、彼はイズライリを其悉くの不法より贖はん。
ハリストスよ、天使の軍は爾の寶座の前に立ちて、人類の爲に祈る。彼等の祈禱に藉りて衆に平安を與へ、異邦民の强暴を制し給へ。
句 萬民よ、主を讚め揚げよ、萬族よ、彼を崇め讚めよ。
萬有の王の寶座を環りて恒に歡ぶ衆天使の品位よ、我等信を以て爾等を呼ぶ者を護りて、諸の苦より脫れしめ給へ。
句 蓋彼が我等に施す憐は大なり、主の眞實は永く存す。
萬有の神父、惟一の言、及び聖神は己の三日光の榮を歌ふ者として無形なる靈智の天軍を造り給へり。
光榮、今も、生神女讚詞 生神女よ、爾は天使首の聲に因りて父及び聖神と同無原なる言を胎内に孕みて、ヘルワィム セラフィム及び寶座より上なる者と現れたり。
次ぎて「穩なる光」。本日の提綱。「主よ、我等を守り」。
挿句に痛悔の讚頌、第六調。
ハリストスよ、願はくは我等は爾の畏るべき降臨の時に、我爾等を識らずと言ふを聞かざらん。救世主よ、我等は怠惰に因りて爾の命を守らざりきと雖、恃賴を爾に負はせたり。祈る、我等の靈を宥め給へ。
句 天に居る者よ、我目を擧げて爾を望む。視よ、僕の目主人の手を望み、婢の目主婦の手を望むが如く、我等の目は主我が神を望みて、其我等を憐むを俟つ。
ハリストス神よ、我痛悔をも淚をも得ざりき、故に爾に祈る、終の至らざる先に我を轉ぜしめて、我に傷感を與へ給へ、我が苦より脫れん爲なり。
句 主よ、我等を憐み、我等を憐み給へ、蓋我等は侮に饜き足れり。我等の靈は驕る者の辱と誇る者の侮とに饜き足れり。
主よ、爾の致命者は爾を諱まざりき、爾の戒より離れざりき。彼等の祈禱に因りて我等を憐み給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 信者よ、我等は天使首の如く天の宮と實に封印せられたる門とを歌頌せん。我等の爲に衆人の救主ハリストス、生命を賜ふ主及び神を生みし者よ、慶べ。至淨なる女宰、ハリスティアニン等の慿恃よ、爾の手を以て神に逆ふ暴虐者なる我が諸敵を斃し給へ。
次ぎて「主宰よ、今爾の言に循ひて」。聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞、聯禱、及び發放詞。
主日の晩堂課
至聖なる生神女の規程、第六調。
第一歌頌
イルモス イズライリは陸の如く淵を蹈み渡り、追ひ詰めしファラオンの溺るるを見て呼べり、凱歌を神に奉らん。
父の煇煌なる子を生みし至淨なる者よ、我が心の諸慾の雲を拂ひて、我に光を輝かし給へ、我が爾を歌はん爲なり。
信者よ、來りて、我等もガウリイルの如く、靈の敬虔を以て童貞女に呼ばん、歡喜を生みし潔き者よ、爾は實に祝福せられたり、至淨なる者よ、慶べ。
光榮 至淨なる者よ、世世の先に無形に父より生れたる子を爾は末の日に於て胎内に孕みて、二性の者として神及び人を生み給へり。
今も 至淨なる者よ、爾は潔く獨一の神を生みて、產の前の如く、生みし後にも童貞女に止まれり。故に我等信者は爾に呼ぶ、慶べ。
第三歌頌
イルモス 爾が信者の角を高うし、我等を爾が承認の石に堅めし仁慈の主、吾が神よ、爾と均しく聖なるはなし。
萬有の造成者及び主宰を生みし至淨なる生神女よ、爾の如く無玷なる者なし。故に我等衆信者は感謝の心を抱きて爾に呼ぶ、慶べ。
潔き者よ、諸慾の甚しき激浪は我を擾し、我が多くの墮落の憂は我を失望の深處に引く。至淨なる者よ、我に手を授けて、我を救ひ給へ。
光榮 言に超えて觸れ難き日を生みし潔き童貞女よ、我が諸罪の暗昧を拂ひて、無慾の光を以て我が生命を照し給へ。
今も 少女よ、我に神を畏るる畏の火を起して、我が諸罪と汚穢とを潔め、我に諸德の光る衣を衣せて、我を聖人の會に合せ給へ。
第四歌頌
イルモス 尊き敎會は淨き心より主の爲に祝ひ、神に適ひて呼び歌ふ、ハリストスは吾が力と神と主なり。
光を生みし至りて無玷なる女宰よ、我が多くの罪の暗昧を爾の光線を以て散じ給へ、爾は信者の爲に義の日を輝かしたればなり。
至淨なる者よ、我が柔弱に於て我今爾を恃賴と爲す、願はくは爾の佑助に因りて救を獲て、喜を以て爾を歌はん。
光榮 至淨なる者よ、我等信と愛とを以て爾の殿に趨り附く者に爾の饒なる慈憐を賜ひて、我等を諸の誘惑及び憂愁より脫れしめ給へ。
今も 至淨なる女宰よ、言は爾の内に入りて、世界を無知の諸慾より援けて、爾を歌ふ者に天の國を得しめ給ふ。
第五歌頌
イルモス 至仁なる神の言よ、切に祈る、爾に朝の祈禱を奉る者の靈を爾が神の光にて照して、爾罪の暗より呼び出す眞の神を知らしめ給へ。
童貞女よ、爾の胎内より輝き出でし者の神聖なる光線にて暗昧に寢ぬる我が靈を輝かし、罪の暗を退けて、爾の光を以て我を照し給へ。
仁慈なる者よ、盜賊に遇ひし吾が靈に爾の慈憐の油と愛憐の酒とを沃ぎて、之を醫し、豐に我に智慧を與へ給へ。
光榮 讚美たる神の母よ、我等爾に趨り附く者の靈體の諸病を醫し給へ、爾の祈禱の帲幪の下に趨り附く者の爲に爾は能力なればなり。
今も 至聖至潔なる者よ、神聖なる神゜は爾の腹に入り、爾を蔭ひて、聖三者の居所と爲せり、蓋爾は父の善旨に由りて、言を孕みて、之を生み給へり。
第六歌頌
イルモス 誘惑の猛風にて浪の立ち揚がる世の海を觀て、爾の穩なる港に著きて呼ぶ、憐深き主よ、我が生命を淪滅より救ひ給へ。
至淨なる者よ、我が不當なる靈の暗昧を散じて、爾の胎内より輝き出でて、悉くの人性を輝かしし光を以て我を照し給へ。
潔き童貞女よ、我を見ゆると見えざるとの敵の惡謀より救ひて、我に爾の保護の有能なる帲幪を與へ給へ、我今爾に趨り附きたればなり。
光榮 萬有を造りし主は末の日に於て爾の聖なる腹より身を取りて、アダムに因りて甚しく墮落せし人の性を建てて、世界を改め給へり。
今も 至りて無玷なる者よ、聖なる天使の美しき會は爾を歌ふ。我も祈る、我より惡鬼の醜き想像を退けて、我が心を安靜に護り給へ。
次ぎて主憐めよ、三次。光榮、今も、
坐誦讚詞、第六調。
女宰よ、諸敵は攻擊して爾の嗣業と戰ふ。潔き者よ、其謀を破り、其驕を斃し給へ、爾は忠信に爾に祈る者の守護者なればなり。
第七歌頌
イルモス 天使は敬虔なる少者の爲に爐に露を出さしめ、ハルデヤ人を燒く神の命は苦しむる者に呼ばしめたり、吾が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
至淨なる者よ、無智の暗昧に在る我を近づき難き光を以て照して、我に光の中に敬虔の心を抱きて忠信に爾の子に呼ばしめ給へ、吾が先祖の神は崇め讚めらる。
神の母よ、暗き雲を我が靈より散じて、萬有の造成主の光を以て照し給へ、爾は父より無形に輝き出でたる永遠の光の器なればなり。
光榮 純潔にして慈愛なる神の母よ、我等の祈禱に耳を傾けて、慈憐を以て神に祈りて、彼を我等常に爾を恃む者の爲に寬容なる者と爲し給へ。
今も 潔き者よ、我罪惡に汚されたる者に潔淨の淚を與へて、其流を以て汚の泉なる耻づべき諸慾を滌ひ給へ。
第八歌頌
イルモス ハリストスよ、爾は敬虔なる者の爲に焰より露を注ぎ、義人の祭の爲に水より火を出せり、爾は一の望にて萬事を行ひ給へばなり、我等爾を萬世に讚め揚ぐ。
萬有の主宰を身にて生みし少女よ、我を諸慾の强迫より脫れしめ、愛を以て萬衆の造成主に屬せしめて、萬世に彼を歌はしめ給へ。
少女よ、我病の牀に臥す者を爾の降臨を以て起して、靈と體との壯健を我に與へて、ハリストスを世世に歌はしめ給へ。
光榮 女宰よ、爾の祈禱の露を以て我が諸慾の燄を滅して、嘗て爾の子が世世に彼を讚め揚ぐる少者を救ひし如く、我を救ひ給へ。
今も 仁慈なる者よ、我恃賴を爾に負はしめて、敵の强暴を懼れず、爾は常に爾を讚め揚ぐる者を護りて、諸難より救ひ給へばなり。
第九歌頌
イルモス 天使の品位すら見るを得ざる神は、人見る能はず、唯爾至淨の者に藉りて人體を取りし言は人人に現れ給へり。我等彼を崇めて、天軍と偕に爾を讚め揚ぐ。
至淨なる童貞女よ、信を以て爾に趨り附く者を諸の惡より脫れしめ給へ。少女よ、爾の帲幪の下に趨り附きたる我に壯健と赦罪とを與へ給へ、我が感謝の心を抱きて聲を揚げて常に爾を讚榮せん爲なり。
祝福の泉を生みし潔き者よ、爾は悲哀の詛を破りて、爾の產を以て世界に歡喜を流し給へり。故に我等衆信者は爾讚美たる者を歌ひて、感謝の心を抱きて常に讚め揚ぐ。
光榮 讚美たる神の母よ、爾の腹は萬世の先に父より輝き出でたる光の器と爲れり。故に我等皆爾生神女を讚榮して、此の光を爾の子及び神として崇め讚む。
今も 至淨なる者よ、父より輝きし年に由らざる子を爾獨潔き者は年の内に聖神の庇蔭に由りて生み給へり。故に我等衆信者は爾婚姻に與らざる者を舌と心とを以て生神女として崇め讚む。
次ぎて「常に福にして」、及び叩拜。聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞。其他常例の如し、幷に發放詞。
月曜日
月曜日の早課
第一の誦文の後に痛悔の坐誦讚詞、第六調。
我畏るべき日を思ひて、我が惡しき行の爲に泣く。如何ぞ我不死なる王に對を爲さん、如何ぞ我放蕩なる者は敢て審判者に目を注ぐを得ん。慈憐なる父、獨生の子、及び聖神よ、我を憐み給へ。
句 主よ、爾の憤を以て我を責むる毋れ、爾の怒を以て我を罰する毋れ。
仁慈なる主よ、悲哀の谷に、爾が定めんとする處に、爾が義なる審判を行はん爲に坐する時、我が隱なる事を責むる毋れ、我を天使等の前に辱かしむる毋れ。求む、神よ、我を宥め、我を憐み給へ。
光榮、今も、生神女讚詞
我等默さず、心と口にて聖なる天使よりも聖にして、至りて光榮なる神の母を歌ひ、之を承け認めて生神女と爲す、其實に人體を取りし神を生みて、恒に我等の靈の爲に禱り給へばなり。
第二の誦文の後に坐誦讚詞、第六調。
主よ、我等を憐め、我等を憐めよ、我等罪人何を言ふべきを知らず、唯此の祈禱を爾主宰に獻げて曰ふ、我等を憐み給へ。
句 主よ、爾の憤を以て我を責むる毋れ、爾の怒を以て我を罰する毋れ。
主よ、我等を憐めよ、我等爾を恃めばなり。我等を痛く怒る勿れ、我等の不法を憶ふ勿れ、今も仁慈なるに因りて憐を垂れ、我等を諸の敵より救ひ給へ。爾は我等の神にして、我等は爾の民なり、皆爾の手の作れる者にて、爾の名を籲ぶに因る。
句 神よ、爾は爾の聖所に於て嚴なり。
主よ、爾は常に諸義人の爲に光なり、蓋聖なる者は爾に照され、絕えず光體の如く輝きて、不虔者の燈を滅す。我が救世主よ、彼等の祈禱に因りて我が燈を輝かして、我を救ひ給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 生神女、天の門よ、我等爾が光榮の堂に立つに、意は天に立つが如し。祈る、我等の爲に爾が憐の門を開き給へ。
第三の誦文の後に坐誦讚詞、第六調。
ハリストスよ、我爾の降臨の畏るべき日に畏れて、威嚴なる審判に戰ひ慄く、我に多くの罪あればなり。慈憐なる救世主、獨人を愛する主よ、祈る、終に至らざる先に、仁慈なる神として、爾の諸天使の祈禱に因りて、我を轉ぜしめて救ひ給へ。
靈よ、一生を怠惰の中に送りて、爾は審判の畏るべき日を思念の中に置かず。是より起きて痛悔を爲し、轉じてハリストスに呼べ、洪恩なる主よ、審判の時に我等の多くの罪を憶ふ毋れ。
光榮、今も、生神女讚詞 仁慈なる神の母、世界の轉達者、爾を賴む者の援助と、帲幪と、避所、獨祝讚せらるる者よ、爾が生みし仁愛なる神に無形軍と偕に熱切に祈りて、我等の靈の凡の怒より救はれんことを求め給へ。
我が主イイススハリストス及び彼の聖致命者に奉る痛悔の規程、其冠詞は、ハリストスよ、我が目の淚を受け給へ。イオシフの作。第六調。
第一歌頌
イルモス 見るべきファラオンは全軍と共に溺らされ、イズライリは海の中を過りて呼べり、主吾が神に謳はん、彼光榮を顯したればなり。
ハリストスよ、我凶惡なる盜賊の手に陷りて、靈を害する傷に由りて半死と爲りし者を慈憐の油を以て醫して宥め給へ、我が爾を讚榮せん爲なり。
我多く罪を行ひしに由りて盜賊の巢窟と爲れり。洞窟に生れしハリストスよ、我に淚の雨を與へて潔め給へ、我が爾の聖神の殿と爲らん爲なり。
致命者讚詞 勇敢にして敵に勝ちたる受難者よ、爾等は實に神の編みたる榮冠に飾られ、光榮に滿てられて、至高きに諸天使と偕に神の前に立ち給ふ。
致命者讚詞 尊き大致命者よ、爾等は昔無形なるファラオンを血の深處に溺らして、天の約地に移りて、ハリストスを讚榮す。
生神女讚詞 潔き者よ、聖致命者、神聖なる預言者、及び衆天使と偕に、萬有の造成主に、信を以て爾を讚榮して讚め揚ぐる者を救はんことを祈り給へ。
又無形なる聖天軍の規程、其冠詞は、靈智者に第六の歌。フェオファンの作。第六調。
第一歌頌
イルモス イズライリは陸の如く淵を蹈み渡り、追い詰めしファラオンの溺るるを見て呼べり、凱歌を神に奉らん。
我天軍の品位の奇妙なる華美を讚頌して、其輝ける光線に照されんことを願ふ。ハリストスよ、我爾獨慈憐なる主に之を祈る。二次。
全能の神よ、爾は言を以て萬物を飾り、爾より出づる至聖神を以て天使の品位に爾萬有の原因たる主を歌はんことを敎へ給へり。
生神女讚詞 爾の造成主を受けて、彼が親ら欲せし如く、爾の種なき胎より智慧に超えて身を備へし所の潔き者よ、爾は實に諸造物の女宰と現れたり。
第三歌頌
イルモス 主よ、爾を信ずる信の堅き石に我が意思を堅め給へ、我爾仁慈の主を避所及び防固として有てばなり。
我ハリストスに痛悔せんことを約したれども、聊も惡より離れず、甚しく昧まされたる我は何をか爲さん。神の子よ、爾我を宥め給へ。
我不當の者は神の恒忍を思ひて、怠惰の中に生を費せり。我懼る、死の斷絕は遽に我に及ばん。
致命者讚詞 致命者は窘逐と苦痛と艱難とを糧の如くに望みて喜べり、靈智の目を以て永遠の樂を見たればなり。
致命者讚詞 聖なる致命者よ、爾等は睿智にして思を敬虔の堅固なる石の上に堅く建てて、多種の苦を畏れざりき。
生神女讚詞 潔き者よ、爾は我等の爲に新なる樂園と現れて、中に生命の樹を有てり、凶惡者に殺されたるアダムは其果を食ひて復生く。
又
イルモス 爾が信者の角を高うし、我等を爾が承認の石に堅めし仁慈の主、我が神よ、爾と均しく聖なるはなし。
凡の靈智なる性を望を以て無より造りし神は三位に於て三聖の聲を以て歌はれて、忠信に讚榮せらる。二次。
仁愛なる萬有の主宰よ、爾は福を流し、饒に之を漲らせて、無形なる天使の品位を福樂に與る者と爲し給へり。
生神女讚詞 生神女よ、爾に因りて我等に赦罪は賜はりたり、蓋律法の主宰は爾より身を取り、我等の爲に苦を受けて、衆を贖ひ給へり。
第四歌頌
イルモス ハリストスよ、爾の光榮は天を蔽ひ、主よ、萬有は爾の讚美に盈てられたり。
主宰よ、多く爾の前に罪を犯しし我等を定罪する毋れ、求む、爾の常の慈憐を以て我等を宥め給へ。
生命の途なる救世主よ、我に死に至らしむる罪の道を常に避くるを得しめ給へ。
致命者讚詞 苦を受けし致命者よ、爾等は神聖なる神゜の露を以て燬ける傷の火を滅して、燬かれずして止まりたり。
致命者讚詞 致命者よ、爾等は天上に神聖なる歡喜の流を樂しみて、血の流を以て饒に之を嗣ぎ給へり。
生神女讚詞 至淨なる者よ、我生命を怠惰の中に費して、爾の轉達に趨り附く、我を憐みて救ひ給へ。
又
イルモス 尊き敎會は淨き心より主の爲に祝ひ、神に適ひて呼び歌ふ、ハリストスは吾が力と神と主なり。
仁愛の主よ、不朽なる性を有つ爾の神聖尊貴なる靈智者、爾の寶座を環る者は爾を不死の泉として嗣ぎたり。二次。
聖神より聖にせらるる天使の會は善の本原と極めて親しくなりて、惡に動かされぬ者として止まる。
生神女讚詞 至りて無玷なる生神女よ、爾に依りて原母の詛は解かれたり、蓋爾至淨なる者は我等の爲に祝福の絕えず流るる泉を生み給へり。
第五歌頌
イルモス 光を世界に輝かししハリストスよ、我夜中より爾に呼ぶ者の心を照して、我を救ひ給へ。
イエッセイの根より生じたるハリストスよ、我が諸慾の芽を枯らして、爾を畏るる畏を我の内に植ゑ給へ。
我等は稅吏の如く歎息を爲して、惡を離るべし、永遠の歎息を免れん爲なり。
致命者讚詞 主よ、爾の致命者は爾を慕ふ神聖なる愛に傷つけられて、苦の傷を悅べり。
致命者讚詞 致命者よ、爾等は身を以て苦しみて四極より呼びしに、ハリストスは爾等の聲を聽き給へり。
生神女讚詞 我等は天の門たる生神女を歌はん、之に因りて凡そ罪ある者は赦罪の門に入る。
又
イルモス 至仁なる神の言よ、切に祈る、爾に朝の祈禱を奉る者の靈を爾が神の光にて照して、爾罪の暗より呼び出す眞の神を知らしめ給へ。
見ざる所なき主よ、預言者は爾造物主及び神がヘルワィムの寶座に坐するを見て、形象を以て爾が主宰たることを敎へらる。二次。
主宰よ、ダニイルは爾人の形に合せられし者が天使の萬萬千千に繞らるるを見て、奧密に爾の權柄の光榮を敎へらる。
生神女讚詞 至りて無玷なる女宰よ、爾の子は地に生るる諸子より美しき者と顯れたり、爾より人の性を受けたれども、萬有の上なる神言なればなり。
第六歌頌
イルモス ハリストスよ、我罪の鯨に呑まれて、爾に呼ぶ、預言者の如く我を淪滅より脫れしめ給へ。
瞽者の目を啓きたるハリストスよ、我が靈の目を啓き給へ、我が爾の光を見て、諸慾の暗を逃れん爲なり。
洪恩なる主よ、痛悔の生活せしむる水を我が靈に滿たして、淚の川を我に與へ給へ。
致命者讚詞 致命者の谷は醫治の花を生じて、凡の敬虔なる者の心を薰らす。
致命者讚詞 聖なる者よ、爾等は苦を以て朽つる體より解かれて、愛の心を以て主宰に繫がれたり。
生神女讚詞 聖なる神の母よ、不潔の行にて汚れたる我が心を爾の祈禱を以て潔め給へ。
又
イルモス 誘惑の猛風にて浪の立ち揚がる世の海を觀て、爾の穩なる港に著きて呼ぶ、憐深き主よ、我が生命を淪滅より救ひ給へ。
主宰よ、イアコフは淸き智慧にて諸天使が梯に由りて降るを見て、遠くより最明に爾が人體を以て來ることを敎へられたり。二次。
主宰よ、爾の悅を爲ししイズライリは天使の神聖なる軍の愼み祝ひて、爾の言ひ難き光榮を繞れるを曉りて喜べり。
生神女讚詞 少女・女宰は實に天の山たる天使の軍より上なる山と顯れたり、爾の神性の光を容れたればなり。
第七歌頌
イルモス 爾の敬虔なる少者の歌を聞きて、燃ゆる爐に露を灑ぎし主、我が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
我甚しき惡に因りて智慧は昧まされて、痛悔の光を見ざりき。ハリストス我が救世主よ、我を救ひ給へ。
洪恩なる主よ、我爾の慈憐を賴み、爾に俯伏して、我が諸惡の解かれんことを求む。我を退くる勿れ。
致命者讚詞 世の中に苦を受けし爾の聖者に世より上なる光榮を衣せたる吾がハリストスよ、彼等の祈禱に因りて我を救ひ給へ。
致命者讚詞 致命者よ、爾等は義なる法を守る者として、不義なる法を忌みて、熱信に法に遵ひて苦を受け給へり。
生神女讚詞 少女よ、爾は僕の形を受けし主宰を生み給へり。潔き者よ、彼に我を諸慾の奴隷より釋かんことを祈り給へ。
又
イルモス 天使は敬虔なる少者の爲に爐に露を出さしめ、ハルデヤ人を燒く神の命は苦しむる者に呼ばしめたり、吾が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
全能者の聖なる衆天使よ、爾等は華麗に輝き、ハリストスの言ひ難き光榮に近づきて、愛を以て常に彼に歌ふ、神よ、爾は世世に崇め讚めらる。二次。
主宰よ、諸天使は無形に爾を繞り、測り難く爾の永在なる光を受けて、常に歌ひて言ふ、神よ、爾は世世に崇め讚めらる。
生神女讚詞 身にて神を生みし祝讚せらるる童貞女よ、無形なる天使首は言へり、恩寵を蒙れる者よ、主は爾と偕にす、蓋彼は朽壞したる性を新にせんと欲して、爾の潔き腹に入り給へり。
第八歌頌
イルモス 爾の敬虔なる少者は爐の中にヘルワィムに效ひて、三聖の歌を歌へり、崇めよ、歌へよ、萬世に讚め揚げよ。
我は習慣を以て富める者の無慈悲に效ひて、我が貧しくなりたる智慧を輕じたり。ハリストスよ、痛悔の門の前に臥して、惡の腫物を病める者を憐みて、滅えざる火に遣す毋れ。
罪の冬を解きたる洪恩の主よ、善事を行はざる安息日、備を爲さざる冬に我を斯の生より取る勿れ。求む、神聖なる痛悔を我に與へ給へ。
致命者讚詞 致命者は僞なき信を以て僞を踐み、凡の苦の暴風を忍びて、ハリストスを崇め、歌ひ、世世に讚め揚ぐ。
致命者讚詞 勝利を獲たる聖致命者よ、爾等は忍耐の露を以て苦の燒く火焰を滅し、神聖なる愛に燃えて、無神の邪敎を燒きたり。
生神女讚詞 諸天使よりも尊き生神童貞女よ、爾は至聖なる神を生みて、更に聖にせられたり。求む、吾が靈を聖にし給へ。
又
イルモス ハリストスよ、爾は敬虔なる者の爲に焰より露を注ぎ、義人の祭の爲に水より火を出せり、爾は一の望にて萬事を行ひ給へばなり、我等爾を萬世に讚め揚ぐ。
ハリストスよ、昔爾の悅を獲たるエリセイを無形の軍を以て環りて衞りし如く、斯く今も世世に爾を讚め揚ぐる爾の敎會を環りて衞り給へ。二次。
威嚴なる寶座の前に立てる神聖なる天軍首よ、愛を以てハリストスを歌ひて萬世に讚め揚ぐる者の諸罪より救はれんことを祈り給へ。
生神女讚詞 神の恩寵を蒙れる者よ、我等は神聖なるガウリイルと偕に爾母及び童貞女に慶べよと呼ぶ、爾は我等の爲に我が萬世に讚め揚ぐる神の言を身にて生みたればなり。
次ぎて生神女の歌を歌ふ、「我が靈は主を崇め」及び其他の句。
第九歌頌
イルモス 天使より慶べよを受けて、己の造成主を生みし童貞女よ、爾を讚め揚ぐる者を救ひ給へ。
イオシフは貞潔を守りしに因りて、麥を與ふる者と知られたり、我は放蕩なるに因りて、德行の饑饉に困しむ。
ハリストスよ、我はペトルの如く痛悔して淚を捧げ、稅吏の如く歎息し、蕩子の如く心の底より呼ぶ、我罪を犯せり、我を赦し給へ。
致命者讚詞 睿智者よ、爾等はハリストスの助に因りて敵の强暴を倒して、上より勝利の榮冠を受けたり。
致命者讚詞 致命者の聖なる記憶は凡そ正敎の心を以て之を聖にする者を聖神を以て聖にす。
生神女讚詞 無慾の光を生みし潔き永貞童女よ、我罪に昧まされたる者を照し給へ、我が爾を歌はん爲なり。
又
イルモス 天使の品位すら見るを得ざる神は、人見る能はず、唯爾至淨の者に藉りて人體を取りし言は人人に現れ給へり。我等彼を崇めて、天軍と偕に爾を讚め揚ぐ。
ハリストスよ、爾は劍を以て爾の民を殺す天使を爾の預言者ダワィドの爲に止めし如く、斯く洪恩多憐の主なるに因りて、凡の敎會に平安を與へて、今此等に及ぶ誘惑を制し給へ。二次。
主宰ハリストスよ、爾の人人の痛苦を見て、靈體の醫師として之を醫し給へ、爾の奉事者、今爾萬有の王の周圍に立ちて、斷えざる聲を以て爾を神として讚榮する者の祈禱に因りてなり。
生神女讚詞 母童貞女よ、首領と天使首、主制とセラフィム、能力と權柄と差役、寶座とヘルワィム等は今爾の至榮なる產を尊みて、敬虔にして常に爾を讚榮す。
次に「常に福にして」、及び叩拜。聯禱、光耀歌、及び常例の聖詠。
挿句に痛悔の讚頌、第六調。
敵は我を德行に裸體なる者と見て、罪の矢にて傷つけたり。神よ、靈體の醫師として、吾が靈の傷を醫して、我を憐み給へ。
句 主よ、夙に爾の憐を以て我等に飽かしめよ、然せば我等生涯歡び樂しまん。爾我等を撲ちし日、我等が禍に遭ひし年に代へて、我等を樂しましめ給へ。願はくは爾の工作は爾の諸僕に著れ、爾の光榮は其諸子に著れん。
多くの罪に由りて吾が心の傷は益加はる、救世主よ、靈體の醫師として之を醫し給へ。求むる者に諸罪の赦を與ふる主よ、常に我に痛悔の淚と罪債の赦とを與へて、我を憐み給へ。
句 願はくは主吾が神の惠は我等に在らん、願はくは我が手の工作を我等に助け給へ、我が手の工作を助け給へ。
致命者讚詞 主よ、爾の聖者の記憶に於て悉くの造物は祭る、天は天使等と偕に喜び、地は人人と偕に樂しむ。彼等の祈禱に由りて我等を憐み給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 生神女よ、爾は天使首の言を受けて、ヘルワィムの寶座と現れ、爾の手に我が靈の倚賴を抱き給へり。
次ぎて「至上者よ、主を讚榮し」。聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞、聯禱。次に第一時課、常例の聖詠、及び其他、幷に發放詞。
月曜日の聖体礼儀に
月曜日の眞福詞、第六調。
神我が救世主よ、爾の國に來らん時我を憶ひて、我を救ひ給へ、爾獨人を愛する主なればなり。
句 義の爲に窘逐せらるる者は福なり、天國は彼等の有なればなり。
人を愛する主イイススよ、我が知ると知らずして行ひし事を顧みずして、我に救はるる者の分を獲しめ給へ。
句 人我の爲に爾等を詬り、窘逐し、爾等の事を僞りて諸の惡しき言を言はん時は、爾等福なり。
天使の品位を照ししハリストスよ、彼等の祈禱に由りて吾が心の暗を照し給へ。
句 喜び樂しめよ、天には爾等の賞多ければなり。
受難者よ、爾等は苦の凡の試誘を受けて、信ずる人人の苦と傷とを常に醫し給ふ。
光榮 我等は天使の軍に歌はるる聖三者に伏拜して、之に呼ばん、我等の靈を救ひ給へ。
今も 神の母よ、我の前にある永遠の火と苦より我を脫れしめ給へ、我が爾を讚美せん爲なり。
月曜日の晩課
「主よ、爾に籲ぶ」に痛悔の讚頌、第六調。
句 主よ、若し爾不法を糾さば、主よ、孰か能く立たん。然れども爾に赦あり、人の爾の前に敬まん爲なり。
誰か我不節制に因りて至上者の戒に背きし者の爲に泣かざらん。我は目に美しき食の爲に樂園に易へて地獄に入りたり、此の食は我を死に服せしめたり、此に緣りて我は神の光榮と生命とに遠ざかれり。祈る、主よ、爾が仁慈にして人を愛するに因りて、爾の大なる慈憐を以て我痛悔する者を容れ給へ。
句 我主を望み、我が靈主を望み、我彼の言を恃む。
主よ、我が憂愁と疾痛と諸罪の無量の數、我が靈の苦惱と智慧の迷惑とを視、失望して定罪せられし者の聲を聽き、我に痛悔の神゜と謙卑の心と淚の泉とを與へて、爾の大なる慈憐に由りて、我に多くの罪の赦を賜へ。
句 我が靈主を待つこと、番人の旦を待ち、番人の旦を待つより甚し。
衆人に救を得しめんと欲する神よ、我を眷み、我が禱を聞きて、我が淚を空しき者として斥くる毋れ。蓋誰か泣きて爾に來りて、直に救はれざらん、誰か熱切に爾に呼びて、直に聽かれざらん。嗚呼主宰よ、爾は凡そ爾に祈る者に速に救を以て應ふ、爾は慈憐に於て勝たれぬ主なればなり。
次に月課經の聖人の讚頌。若し月課經なくば、又聖大前驅イオアンの讚頌。同調。
句 願はくはイズライリは主を恃まん、蓋憐は主にあり、大なる贖も彼にあり、彼はイズライリを其悉くの不法より贖はん。
救世主の前驅よ、我生命の道に迷ひし者を棄つる毋れ。我心の目を爾に注ぐ、吾が靈の足を痛悔の石の上に立て、我に救の門に入らしむる直き路を行くを敎へ給へ。凡そ婦の生みし者の中に至大なる者よ、我が哀しめる心の歎息を退くる勿れ。
句 萬民よ、主を讚め揚げよ、萬族よ、彼を崇め讚めよ。
救世主の福たる授洗及び前驅よ、我に助くる者と爲りて、不潔なる思の泥に溺れたる我に不朽の頂に觸れたる手を授け、爾が傳へし悔改の業を勇ましく行はん爲に我を堅め、爾が始めて示しし國の中に我爾の僕に入るを得しめ給へ。
句 蓋彼が我等に施す憐は大なり、主の眞實は永く存す。
爾の生るるを以て母の無結果と父の無言とを解きたるハリストスの授洗者よ、我が荒れたる心の無結果を解き、靈の種種の無知を速に除き給へ。悔改を唱ふる言の聲として、我怠惰に由りて神に離れたる者に常に悔改を爲すを得しめ給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 至淨なる童貞女よ、爾の仁愛の淵、爾の慈憐の深處、仁慈の數へ難き恩を我不當なる者の上に顯し給へ。救世主を生みし者よ、我が罪の叢を枯らして、我に貞潔を與へ、吾が靈と體とを汚なき者として護り給へ。
次ぎて「穩なる光」。本日の提綱。「主よ、我等を守り、罪なくして此の晩」。
挿句に痛悔の讚頌、第六調。
ハリストスよ、願はくは我等は爾の畏るべき降臨の時に、我爾等を識らずと言ふを聞かざらん。救世主よ、我等は怠惰に因りて爾の命を守らざりきと雖、恃賴を爾に負はせたり。祈る、我等の靈を宥め給へ。
句 天に居る者よ、我目を擧げて爾を望む。視よ、僕の目主人の手を望み、婢の目主婦の手を望むが如く、我等の目は主我が神を望みて、其我等を憐むを俟つ。
ハリストス神よ、我痛悔をも淚をも得ざりき、故に爾に祈る、終の至らざる先に我を轉ぜしめて、我に傷感を與へ給へ、我が苦より脫れん爲なり。
句 主よ、我等を憐み、我等を憐み給へ、蓋我等は侮に饜き足れり。我等の靈は驕る者の辱と誇る者の侮とに饜き足れり。
致命者讚詞 受難者致命者、天の住民たる者は地上に苦しみて、多くの苦難を忍びたり。主よ、彼等の祈禱冀願に因りて我等衆を護り給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 至淨なる生神童貞女よ、爾に趨り附く者は一も耻を得て爾より出づるなし、卽恩寵を求めて、益ある求に適ふ賜を受く。
次ぎて「主宰よ、今爾の言に循ひて」。聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞、聯禱、及び發放詞。
月曜日の晩堂課
至聖なる生神女の規程、第六調。
第一歌頌
イルモス イズライリは陸の如く淵を蹈み渡り、追い詰めしファラオンの溺るるを見て呼べり、凱歌を神に奉らん。
潔き者よ、我多くの誘惑と惡しき行とに傴められて、靈と體との首を爾の前に傴めて、熱切に爾に呼ぶ、爾我を直くし給へ。
嗚呼純潔なる少女、信者の堅固なる援助、ハリスティアニン等の恃賴よ、我と戰ふ肉體の逸樂及び諸慾より我を救ひ給へ。
光榮 神靈の光を生みし至淨なる童貞女、幽暗にある人人を光に導く者よ、吾が靈を照し、智慧を聖にし、諸慾諸罪の暗を散じ給へ。
今も 女宰生神女よ、不當なる思念の來襲に昧まされたる吾が靈の暗を爾より身を取りし主の聖なる戒の光にて散じ給へ。
第三歌頌
イルモス 爾が信者の角を高うし、我等を爾が承認の石に堅めし仁慈の主、吾が神よ、爾と均しく聖なるはなし。
純潔至淨なる者よ、我恃賴を爾に負はしめて、願はくは望を失はざらん、人を愛する仁慈なる神の母として、我を敵の網より脫れしめ給へ。
至淨なるマリヤ、神の母、救の門、獨萬有の造成主の過りし者よ、我が爲に神聖なる痛悔の門を啓き給へ。
光榮 獨潔き永貞童女よ、我生命の海に於て常に諸慾の烈しき激浪に打たるる者の爲に港及び守護と爲り給へ。
今も マリヤ神の母よ、多くの罪にて甚しく昧まされたる吾が靈を照し、凶惡者の矢に傷つけられて弱りたる者を醫し給へ。
第四歌頌
イルモス 尊き敎會は淨き心より主の爲に祝ひ、神に適ひて呼び歌ふ、ハリストスは吾が力と神と主なり。
至淨なる童貞女、我が保固と、避所と、壞られぬ垣墻、及び神の前に祈禱者なる者よ、我を永遠の焰及び「ゲエンナ」より救ひ給へ。
純潔なるマリヤ、無慾の泉を生みし母、永貞童女よ、我が心の諸慾の紛擾と誘惑の暴風とを鎭め給へ。
光榮 純潔無玷なる童貞女、神の至りて潔き居所と爲りし者よ、我が靈の不潔不淨を潔め給へ。
今も 少女よ、我爾獨至淨、獨無玷なる者に祈る、我逸樂の諸慾に昧まされて靈を汚しし者を爾の祈禱を以て潔め給へ。
第五歌頌
イルモス 至仁なる神の言よ、切に祈る、爾に朝の祈禱を奉る者の靈を爾が神の光にて照して、爾罪の暗より呼び出す眞の神を知らしめ給へ。
神の母よ、我意念にて汚され、多くの墮落にて昧まされたる者は爾獨無玷なる童貞女に祈る、爾の轉達を以て我を宥めて救ひ給へ。
獨救世主ハリストスを生みし仁慈なる童貞女よ、爾の神聖なる光を以て我が逸樂に昧まされたる靈を照して、救の道に向はしめ給へ。
光榮 童貞女よ、爾の轉達と保護とを以て我が罪の桎梏を壞りて、我が不當なる靈を神聖なる安靜の喜悅に滿てて、幽昧より脫れしめ給へ。
今も 仁慈なる童貞女よ、我獨爾を神聖なる避所として獲て、今忠信に俯伏して爾に呼ぶ、世界の女宰よ、爾我が爲に轉達及び救の帲幪と爲りて、我を救ひ給へ。
第六歌頌
イルモス 誘惑の猛風にて浪の立ち揚がる世の海を觀て、爾の穩なる港に著きて呼ぶ、憐深き主よ、我が生命を淪滅より救ひ給へ。
我不當なる者は諸罪に陷り、甚しく傷つけられて、爾慈憐なる神の母に趨り附きて祈る、我が諸罪より我を解き給へ。
恩寵の門たる女宰、信者の爲に天の門を啓きし者よ、我が爲に痛悔の光明なる門を啓きて、死の門より救ひ給へ。
光榮 神の母、無慾の泉を生みし者よ、我諸慾と敵の攻擊とに由りて傴みたる者を堅め給へ、我は爾我が不當なる靈の慰藉なる者に趨り附きたればなり。
今も 女宰生神女よ、我卑微なる者を顧み、望なき者を救ひ給へ、爾は我が恃賴と帲幪、我が心の生命と光及び保固なればなり。
次ぎて主憐めよ、三次。光榮、今も、
坐誦讚詞、第六調。
至聖なる童貞女母よ、爾は實に助なき者の保固なり、故に我等卑微なる者は爾を以て擧り、爾に依りて高く立つ。爾は衆人の爲に帲幪、及び神の前に轉達者なり。
第七歌頌
イルモス 天使は敬虔なる少者の爲に爐に露を出さしめ、ハルデヤ人を燒く神の命は苦しむる者に呼ばしめたり、吾が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
至りて無玷なる童貞女よ、我等常に爾を神の前に潔淨として有つ。故に祈る、至淨なる者よ、凡そ爾を誠に生神女と承け認むる者を彼處に於て畏るべき苦より脫れしめんことを求め給へ。
至淨なる童貞女よ、我怠惰に耽る者を起して、神聖なる業を行はしめ、常に甚しく我を攻めて惡しき念にて誘ふ諸敵に對して我を堅め給へ。
光榮 童貞女よ、我を滅亾に委ぬる毋れ、我を遺てて殘忍なる蛇、恒に我を殺さんと欲する者の糧と爲るを許す毋れ。求む、我に爾の豐なる慈憐を垂れ給へ。
今も 純潔なる童貞女よ、我等の仁愛なる神に絕えず祈りて、我等が全き赦罪を受けて、天に備へられたる福と奪はれざる喜とを得んことを求め給へ。
第八歌頌
イルモス ハリストスよ、爾は敬虔なる者の爲に焰より露を注ぎ、義人の祭の爲に水より火を出せり、爾は一の望にて萬事を行ひ給へばなり、我等爾を萬世に讚め揚ぐ。
純潔なる者よ、神に祈りて、爾の產に由りて、我が無結果の心を豐に善行の果を結ぶ者と爲し給へ。
神の恩寵を蒙れる童貞女よ、神に禱を奉りて、我等を諸慾と惡鬼の誘惑より脫れしめて、我等の靈を救はんことを求め給へ。
光榮 至りて無玷なる者よ、我今爾の帲幪の下に趨り附きて、爾が吾が生命の轉達者と爲らんことを求む。少女よ、我を畏るべき審判と詰問と永遠の火より脫れしめ給へ。
今も 潔き童貞女よ、惡敵の攻擊に因りて動ける吾が靈を堅めて、我を山羊の疾しき分と火の苦より援け給へ。
第九歌頌
イルモス 天使の品位すら見るを得ざる神は、人見る能はず、唯爾至淨の者に藉りて人體を取りし言は人人に現れ給へり。我等彼を崇めて、天軍と偕に爾を讚め揚ぐ。
諸慾の激浪は我を擾して、我を逸樂に沈む。舵師なるハリストスを生みし至りて無玷なる童貞女、獨信を以て爾を讚美する者の救拯なる者よ、我に援助の手を伸べて、我を救ひ給へ。
神の恩寵を蒙れる童貞女、萬有の王の宮及び寶座、神の山、選ばれたる城邑、輝ける天堂、至りて光明なる雲よ、吾が靈を照して、我が多くの罪の雲を斥け給へ。
光榮 神の恩寵を蒙れる潔き童貞女、光の門よ、我が靈の門を善行の爲に啓きて、罪の之に入るを禁じ給へ、凶惡者の手が我を執りて、滅亾と畏るべき苦とに引かざらん爲なり。
今も 靈よ、起きて、祈禱と善行とに警醒し、憂悶の眠を遠ざけよ、至りて慈憐なる潔き神の母を恒に警醒する轉達者として有てばなり。
次ぎて「常に福にして」。聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞。其他常例の如し、及び發放詞。
火曜日
火曜日の早課
第一の誦文の後に痛悔の坐誦讚詞、第六調。
我畏るべき日を思ひて、我が惡しき行の爲に泣く。如何ぞ我不死なる王に對を爲さん、如何ぞ我放蕩なる者は敢て審判者に目を注ぐを得ん、慈憐なる父、獨生の子、及び聖神よ、我を憐み給へ。
句 主よ、爾の憤を以て我を責むる毋れ、爾の怒を以て我を罰する毋れ。
仁慈なる主よ、悲哀の谷に、爾が定めんとする處に、爾が義なる審判を行はん爲に坐する時、我が隱なる事を責むる毋れ、我を天使等の前に辱かしむる毋れ。求む、神よ、我を宥め、我を憐み給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 讚美たる生神女よ、我等の爲に憐の門を開け、爾を恃む者に亾ぶることなく、爾に依りて禍を逭るるを得しめ給へ、爾はハリストスの民の救なればなり。
第二の誦文の後に坐誦讚詞、第六調。
吾が靈よ、何ぞ憂悶の中に罪に役する、何ぞ病みて醫師に至らざる。今より行ひし諸惡より起きて、救世主に呼びて言へ、冀望なき者の冀望、失望せし者の生命たる救世主よ、我を起して救ひ給へ。
句 主よ、爾の憤を以て、我を責むる毋れ、爾の怒を以て我を罰する毋れ。
主よ、我に智き處女の警醒を賜ひて、吾が靈の燈を爾の洪恩の油にて燃し給へ、我が天使の歌「アリルイヤ」を爾に歌はん爲なり。
句 神よ、爾は爾の聖所に於て嚴なり。
神よ、聖なる者は受難の勤勞を終へて、爾より勝利の尊貴を受け、不法者の謀を空しくして、不朽の榮冠を獲たり。彼等の祈禱に因りて我等に大なる憐を賜へ。
光榮、今も、生神女讚詞 世界の恃賴、慈憐なる生神童貞女、獨祝讚せらるる者よ、我等は獨爾の威嚴なる轉達を求む。助なき人人を憐みて、仁慈なる神に我等の靈を凡の苦難より脫れしめんことを祈り給へ。
第三の誦文の後に坐誦讚詞、第六調。
救世主の前驅イオアンよ、爾は人人に生命の道を示して呼べり、爾等の心を主の前に直くせよと。求む、我が多罪なる靈を助け、頑なる心を傷感に導きて、爾の祈禱を以て我を將來の苦より救ひ給へ。
言よ、諸慾の颶風、諸罪の甚しき激浪は我を失望の深處に溺らせり。祈る、爾の權能の手を伸べて、ペトルを救ひし如く、爾の前驅の聖なる祈禱に因りて、我を甚しき不法の深處より救ひ給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 世世の先より母なく父より生れし子、神の言を末の時に於て夫なく爾の淨き血より身を取りし者として生みたる神の母よ、彼に祈りて、我等に終の至らざる先に諸罪の赦を賜はんことを求め給へ。
我が主イイススハリストス及び聖致命者に奉る痛悔の規程。イオシフの作。第六調。
第一歌頌
イルモス 佑け護る者顯れて、我が救と爲れり、彼は吾が神なり、我彼を讚め揚げん、彼は我が父の神なり、我彼を尊み歌はん、彼嚴に光榮を顯したればなり。
吾が救世主イイススよ、爾に祈る、昔善く痛悔せし罪女を多くの罪より救ひし如く、斯く仁慈なる主として、我をも我が無數の惡より救ひ給へ。
イイススよ、我此の生命の激しき海を渡りて、空しき想に由りて多くの罪に沈みたり、此等より我を援けて救ひ給へ。
致命者讚詞 勇敢なる受難者、苦を忍びて敵を滅し、神より勝利の榮冠を受けたる者を我等喜を以て尊むべし。
致命者讚詞 睿智なる者よ、爾等は神言に因りて勇ましく辯論して、惡なる雄辯家に勝ち、多種の苦を受けて、大に光榮を獲たり。
生神女讚詞 潔き者よ、爾の產に因りて爾は生命の門と現れて、死の門を閉し、選ばれたる地と現れて、人の合成を地より天に升せ給へり。
又聖大前驅イオアンの規程。イオシフの作。第六調。
第一歌頌
イルモス 見るべきファラオンは全軍と共に溺らされ、イズライリは海の中を過りて呼べり、主吾が神に謳はん、彼光榮を顯したればなり。
神の使たる聖なる前驅よ、神聖なる使は爾の產を豫め父に告ぐ。彼と偕に我等を記憶して、審判の日に於て我等が憐を蒙らんことを祈り給へ。
野の美しき出生たるハリストスの前驅よ、我の中に絕えず出生する怠惰を根より絕ちて、我に痛悔の果を結ぶを得しめ給へ。
子なき腹は爾至榮なる果、先の無結果の心をして豐に結果せしむる者を生む。我信を以て爾に呼ぶ、授洗者よ、我が無結果の念を絕ち給へ。
生神女讚詞 凶惡なる敵は常に誘惑を以て我を執ふ。至りて無玷なる生神女よ、我を其網より出して、主宰の神聖なる旨を行ふを習はしめ給へ。
第三歌頌
イルモス 主よ、爾の誡の石に我が動ける心を固め給へ、爾獨聖にして主なればなり。
獨寬容なる主よ、我が爾の前に立ちて審判せられん時、爾の慈憐なる目を以て我を眷み給へ。
救世主よ、我靈の深處より歎息する者を稅吏の如く受けて、我に痛悔を賜ひて、凡の罪より救ひ給へ。
致命者讚詞 聖なる者よ、爾等は己の至聖なる血の流を以て昔偶像の前に惡鬼に捧ぐる汚はしき血の流を止め給へり。
致命者讚詞 聖なる者よ、爾等は至聖神に堅められて、滅を爲す偶像の宮を毁ちて、衆人を信に堅め給へり。
生神女讚詞 至聖なる生神女よ、爾は全世界を持つ者を生み給へり。故に我爾に祈る、凡そ我を持つ罪過より我を脫れしめ給へ。
又
イルモス 主よ、爾を信ずる信の堅き石に我が意思を堅め給へ、我爾仁慈の主を避所及び防固として有てばなり。
福たる前驅よ、我途に迷ひし者を今正しきに轉ぜしめ、我常に罪の淵に漾ふ者に手を伸べ給へ。
我怠惰の中に生を度れるに、斫らるる時邇づく。常に尊榮なる前驅よ、爾の祈禱を以て我に興くるを與へ給へ、我が無結果の者として滅えざる火に投げられざらん爲なり。
畏るべき日は門の側にあるに、我は罪の重任を負ふ。主の授洗者よ、爾の淸き祈禱を以て之を我より卸し給へ。
生神女讚詞 生神女よ、爾は神の寶座と現れたり、ハリストスは身にて此の上に坐し、人人を初の墮落より起して、歡の聲を以て爾を歌はしむ。
第四歌頌
イルモス 主よ、預言者は爾の降臨の事を聞き、爾が童貞女より生れ、人人に顯れんと欲するを懼れて曰へり、我爾の風聲を聞きて懼れたり、主よ、光榮は爾の力に歸す。
大仁慈にして洪恩なる主よ、我に淚の流を與へて、我に此を以て慾の流を涸らし、凡の罪の汚を洗ひ、「ゲエンナ」の永遠の滅えざる焰を滅すを得しめ給へ。
我常に逸樂を以て我が靈の傷を搔き、醫されぬ者と止まりて、自ら如何にならん、何を爲さんと感覺するを欲せず。洪恩なるハリストスよ、我を醫して救ひ給へ。
致命者讚詞 常に福なる致命者よ、爾等は神聖なる操舵に由りて、信を以て、此の生の激浪と惡の颶風とを度りて、天の國の無難にして穩靜なる港に到り給へり。
致命者讚詞 敬虔の燈、眞實の光體なる致命者よ、爾等は功勞の光を以て無神の疾しき暗昧を拂へり、奇跡の光線を以て諸慾の暗を散じ給ふ。
生神女讚詞 至りて無玷なる少女よ、預言者は昔爾を七光の燈臺、神智の火を載せて、無知の暗に苦しむ人人を照す者と預見せり。故に我爾に祈りて呼ぶ、我を照し給へ。
又
イルモス 我爾の風聲を聞きて懼れたり、爾の作爲を悟りて驚けり、主よ、光榮は爾の力に歸す。
前驅よ、爾に祈る、生命の途に於て盜賊に傷つけられたる吾が心を爾の神聖なる祈禱の效力ある治療を以て醫し給へ。
前驅よ、我が靈の中に棲む罪を滅して、我逸樂に躓く者に今興くるを得しめ給へ。
恩寵に至りて富める者よ、我等生命の海に於て颶風に荒らさるる者の爲に港と爲りて、衆に穩靜を與へ給へ。
生神女讚詞 至りて洪恩なる主よ、我が行に循ひて我を定罪せずして、慈憐を我に垂れ給へ、爾を生みし者は授洗者と偕に爾に祈る。
第五歌頌
イルモス 人を愛いる主よ、祈る、夜より寤むる者を照し、我をも爾の誡に導き、救世主よ、我に爾の旨を行ふを訓へ給へ。
ハリストスよ、視よ、爾の銀を藏しし惰れる爾の僕、諸慾の惡しき行に由りて空しくなりたる者は我なり。祈る、我を火に遣す勿れ。
慈憐なるハリストスよ、我恩寵に因りて爾の子と爲りて、敵に服役し、放蕩に生活して爾より離れたり。祈る、我を反して救ひ給へ。
致命者讚詞 致命者は信の盾を執りて審判座の前に立てり。故に殘酷なる暴虐者は誘惑の矢を以て彼等に傷つくること能はざりき。
致命者讚詞 致命者は肉體殺されて、敵の悉くの惡謀を斃し、歡喜を以て老いざる生命に移りて、勝利の榮冠を受け給へり。
生神女讚詞 通られぬ門たる潔き童貞女、衆人の嚮導者よ、祈る、我が爲に眞の痛悔の門を啓きて、我に痛悔の途を示し給へ。
又
イルモス 神の言よ、我爾に朝の禱を奉る、蓋爾は仁慈に因りて、變らざる者にして己を罄し、苦しまざる者にして苦を受くるに至れり。人を愛する主よ、我陷りし者に平安を與へ給へ。
聖なる三者の殿と爲りし讚美たる前驅よ、我等此の爾の聖殿に集まりし者は篤き信を以て爾に祈る、諸の誘惑及び憂患より我等を救ひ給へ。
度生の時に異常なる途を步みし福たる者よ、今祈る、我凡の德に遠ざかりし者を萬有の神に屬せしめて、其聖なる旨を行ふを敎へ給へ。
イオルダンの流水に慈憐の淵を沈めし預言者よ、爾の祈禱を以て今我が諸慾の流を涸らして、淚の泉を我に與へ給へ。
生神女讚詞 神聖なる光線にて美しく飾られたる童貞女よ、爾は人の子より美しき者を生み給へり。常に彼に祈りて、我等信と愛とを以て爾を讚榮する者を朽壞より救はんことを求め給へ。
第六歌頌
イルモス 我心を盡して仁慈なる神に籲べり、彼は我が最深き地獄より呼ぶを聆き、我が生命を淪滅より援け給へり。
ハリストス イイススよ、畏るべき日に於て我を惡鬼の悅と爲す勿れ、願はくは其時我は「ゲエンナ」の火に遣す爾の聲を聞かざらん。
義者の敵は我を諸罪の深處に沈めたり。イイススよ、我爾の洪恩の海に趨り附く、今我を生命の港に向はしめ給へ。
致命者讚詞 睿智なる者よ、爾等は多くの苦難の耡を以て靈の隴を新にし、信の神聖なる種を播きて、苦の繁く實りたる穗を生長せしめたり。
致命者讚詞 敬虔なる軍士よ、爾等は己の傷を以て爾等に傷つけし者に傷つけられたり。故に生命に移りて、今人人の苦を醫し給ふ。
生神女讚詞 純潔なる者よ、爾は神の爲に殿と現れたり。彼は奧密に此に入りて、人の性を神成して、信者を己の殿と爲し給へり。
又
イルモス 今を限の罪の淵は我を圍めり、我復暴浪に耐へずして、イオナの如く爾主宰に籲ぶ、淪滅より我を引き上げ給へ。
預言者よ、爾は曾て芽を出さざりし根より生じて、凡の善智の果なき人人の心を善き果を結び、神の光榮を顯す者と爲し給へり。
前驅よ、爾の轉達を以て速に凶惡者を我が足下に斃して、我等の靈智の步を平安の途に向はしめ給へ。
預言者よ、義を以て爾の牧群を防ぎ護りて、我等を凡の惡鬼の謀及び永遠の苦より脫れしめ給へ。
生神女讚詞 童貞女よ、我等今感謝の歌を爾に奉る。潔き者よ、我等は爾に由りて古の詛より救はれて、凡の祝福の果を結ぶ。
第七歌頌
イルモス 列祖の神よ、我等罪を犯し、不法を行ひ、不義を爾の前に爲し、爾が我等に誡めしことを守らざりき、行はざりき、然れども終に至るまで我等を棄つる毋れ。
洪恩なるハリストスよ、我無量に罪を犯しし者は爾の無量なる仁慈を仰ぐ。我爾の慈憐を知り、爾の恒忍と寬容とを知る、我に痛悔の果を賜ひて、我を救ひ給へ。
洪恩なる主よ、吾が心の醫し難き慾を醫し、我に罪債の赦を賜へ、重き任を輕くし給へ、我が傷感を以て常に爾列祖の神を讚榮せん爲なり。
致命者讚詞 神聖なる受難者は縛られ、斬られ、物質の火に囓まれ、獅子に食として畀へられ、刃輪に舒べられて、爾吾が活ける神を諱まざりき。
致命者讚詞 致命者よ、爾等は體より離さるれども、神聖なる合成を以て己を我等に合せし神より離されざる者と現れたり。常に彼に我等が凡の危難より脫れんことを祈り給へ。
生神女讚詞 至淨なる者よ、父が永遠に生みし子を爾は種なく生みて、產の前の如く、產の後にも童貞女に止まり給へり。故に爾は讚美せられて、常に神の眞の母として讚榮せらる。
又
イルモス 少者はワワィロンに於て爐の焰を懼れざりき、乃火の中に投げられて、霑されて歌へり、主吾が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
言の聲たる授洗者よ、今我等の聲を納れて、爾の民を諸慾諸難、多くの誘惑及び永遠の苦より脫れしめ給へ。
預言者よ、爾は世の罪を任ふ神の羔を手を以て指し示す。彼に常に祈りて、我が甚しき多年の諸罪を除きて、我に生命を獲しめんことを求め給へ。
吾が靈よ、急ぎて無知なる行の暗を棄てて呼べ、イイススよ、授洗者の祈禱に由りて我を憐みて、我が行の泥より我を引き出し給へ。
生神女讚詞 潔き者よ、爾は天の品位の戰きて前に立つ主、仁慈に因りて人人に合せられし者を生み給へり。彼に熱切に爾の諸僕を宥めんことを祈り給へ。
第八歌頌
イルモス 凡そ呼吸ある者と造物は、天軍の讚榮し、ヘルワィムとセラフィムの戰く者を歌ひ、崇め讚めて、萬世に讚め揚げよ。
ハリストスよ、我ダワィドの如く爾の大仁慈の惠を仰ぎて、彼より多く罪を行ひし者として、彼と偕に呼ぶ、獨慈憐なる主よ、速に我を憐み給へ。
我は善き終の我に賜はらんことを祈れども、頑なる心を有ちて、惡しき行に終を置かんことを勉めず。神の言よ、我を宥め給へ。
致命者讚詞 受難者よ、爾等は選ばれたる無玷の祭として、我等の爲に祭と爲りし獨生の言に甘じて捧げられて、惡魔の悉くの祭を空しくし給へり。
致命者讚詞 致命者よ、爾等は筋を切られ、齒を折かれ、手を斷たれ、百體を寸斷せられ、及び其他の悉くの苦を勇ましく忍びて、ハリストス獨受難の首なる主を歌へり。
生神女讚詞 聘女ならぬ聘女、祝讚せらるる童貞女よ、爾は我等の爲に日の老いたる者を新なる嬰兒として生み給へり。彼は老いたる人の性を新にして、地上に新なる道を示し給へり。
又
イルモス 福たる少者はワワィロンに於て先祖の律の爲に危を顧みずして、君の無知なる命を輕じ、火に擲たれて其中に焚かれずして、全能者に適ふ歌を歌へり、造物は主を歌ひて、萬世に崇め讚めよ。
福たる者よ、爾は洗を受くる言の上に鴿の形を以て聖神の降るを見、父の聲の、此は我の同座の子なりと云ふを聞くを得たり。我等は彼を歌頌して呼ぶ、造物は主を歌ひて、萬世に崇め讚めよ。
預言者よ、爾の祈禱の火を以て我が思の枯草の如き慾を焚き、我が心の滅えたる燈を復燃し給へ、我が明に見て、誡の光を造りし者を歌頌せん爲なり、造物は主を歌ひて、萬世に崇め讚めよ。
爾より用ゐん爲に受けし銀を藏したる僕は我不當の者なり。爾が審判の爲に來りて、各人の行爲を糺さん時、我何をか爲さん。然れども爾の前驅の祈禱に因りて我を憐みて、火に遣す勿れ、蓋我呼ぶ、造物は主を歌ひて、世世に彼を崇め讚めよ。
生神女讚詞 神の恩寵を蒙れる少女、爾の產を以て惡魔の驕を仆しし者よ、我が思を謙遜に護り、我を諸慾の泥より起し、我飢うる者を爾の恩寵に飽かしめ給へ、蓋我歌ふ、造物は主を歌ひて、萬世に崇め讚めよ。
次に生神女の歌を歌ふ、「我が靈は主を崇め」。及び躬拜。
第九歌頌
イルモス 種なき胎の產は言ひ難し、夫を知らざる母の果は朽ちず、神を生む產は天性を改むればなり。故に我等萬族爾を神の聘女なる母として、正しく崇め讚む。
人を愛するイイススよ、爾獨我等の劣弱を知りて、慈憐に因りて之を潔めんと欲して、之を衣給へり。故に祈る、我が汚、我が惡の膿汁を潔めて、我を救ひ給へ。
人を愛する主よ、我罪女の如く爾に淚を捧ぐ、稅吏の如く歎息して爾に呼ぶ、我を潔めて救ひ給へ、ハナアンの婦の如く呼ぶ、我を憐み給へ、痛悔せしペトルの如く我に赦を得しめ給へ。
致命者讚詞 聖なる者よ、爾等は形體を以て無形なる世の君と鬪ひて、苦の功勞を以て之を斃し、宜しきに合ひて勝利の榮冠を受けたり。故に信を以て爾を讚め揚ぐる衆人の爲に熱切に祈り給へ。
致命者讚詞 至聖なる主よ、爾は己の聖者の聖なる血を以て地を聖にし、彼等の神゜を以て聖なる天軍の神゜に合せ給へり、且常に彼等に由りて眞の信を以て爾に奉事する者を聖にし給ふ。
生神女讚詞 純潔にして祝福せられし者よ、我等は天使首の聲を以て爾に捧ぐ、容れられぬ神を容れし者よ、慶べ、詛を釋きて祝福を降しし者よ、慶べ、獨樂園の門を啓きし者よ、慶べ。
又
イルモス 信者よ、來りて、高きを仰ぐ智慧を以て、高き處に設けられたる主宰の優款と不死の宴とを樂しみ、我が讚め揚ぐる言に敎へられて、來りし言を悟らん。
主の前驅よ、度生の逸樂に甚しく傷つけられたる我が心を醫し、劇しく我を擾す暴風を鎭め、我に痛悔の直き途を示し給へ。
預言者よ、爾は舊と新との間に立てる者と見られて、彼の息むを致し、此の光を現せり。我等に此の光の中に淸き良心を以て行くを敎へ給へ、我が永遠の幽暗を免れん爲なり。
神智なる授洗者イオアン、主の前驅よ、爾は天の軍に合せられたり。彼等と偕にハリストスに祈りて、我等地に在りて此の爾の尊き殿に於て爾を尊む者を救はんことを求め給へ。
畏るべき審判は幽暗の業を有つ者の爲に怒に充ちたる日、幽暗の日なり。ハリストスの授洗者及び前驅よ、爾の祈禱を以て其時我等爾を尊む者を凡の定罪より脫れしめ給へ。
生神女讚詞 童貞女よ、爾は至聖なる神を生みし者として、ヘルワィムよりも聖なる者と現れたり。祈る、我等衆聖なる聲を以て夜に晝に熱信に爾を讚美する者を聖にし給へ。
次ぎて「常に福にして」、及び叩拜。小聯禱。光耀歌、及び常例の聖詠。其他。
挿句に痛悔の讚頌、第六調。
敵は我を德行に裸體なる者と見て、罪の矢にて傷つけたり。神よ、靈體の醫師として、吾が靈の傷を醫して、我を憐み給へ。
句 主よ、夙に爾の憐を以て我等に飽かしめよ、然せば我等生涯歡び樂しまん。爾我等を撲ちし日、我等が禍に遭ひし年に代へて、我等を樂しましめ給へ。願はくは爾の工作は爾の諸僕に著れ、爾の光榮は其諸子に著れん。
多くの罪に由りて吾が心の傷は益加はる、救世主よ、靈體の醫師として之を醫し給へ。求むる者に諸罪の赦を與ふる主よ、常に我に痛悔の淚と罪債の赦とを與へて、我を憐み給へ。
句 願はくは主吾が神の惠は我等に在らん、願はくは我が手の工作を我等に助け給へ、我が手の工作を助け給へ。
致命者讚詞 主よ、若し我等の爲に祈る爾の聖者と、我等を憐む爾の慈憐あらずば、我等如何で爾諸天使より恒に讚榮せらるる主を讚め歌ふを得ん。心を知る者よ、我等の靈を宥め給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 潔き童貞女、神の母よ、爾は大なる恩賜を蒙れり、蓋身にて聖三者の一なる者、ハリストス、生命を賜ふ主を我が靈の救の爲に生み給へり。
次ぎて「至上者よ、主を讚榮し」。聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞及び聯禱。次に第一時課、常例の聖詠、其他、幷びに發放詞。
火曜日の聖体礼儀に
火曜日の眞福詞、第六調。
神我が救世主よ、爾の國に來らん時我を憶ひて、我を救ひ給へ、爾獨人を愛する主なればなり。
句 義の爲に窘逐せらるる者は福なり、天國は彼等の有なればなり。
ペトルの涕泣を受けしハリストスよ、我が痛悔をも受けて、我に諸罪の赦を賜へ。
句 人我の爲に爾等を詬り、窘逐し、爾等の事を僞りて諸の惡しき言を言はん時は、爾等福なり。
人人に悔改を傳へし主の授洗者及び前驅よ、我が靈を全くして痛悔せん爲に祈り給へ。
句 喜び樂しめよ、天には爾等の賞多ければなり。
苦の激浪を忍びし受難者よ、爾等は今人人の諸病を醫し給ふ。故に讚美せらる。
光榮 諸預言者を以て單一にして混淆せざる三位に於て讚榮せらるる神よ、前驅の祈禱に由りて我を救ひ給へ。
今も 憂に在る者の堅固なる轉達者よ、祈る、我度生の慾に與る者の爲に轉達して、我を救ひ給へ。
火曜日の晩課
「主よ、爾に籲ぶ」に十字架の讚頌、第六調。
句 主よ、若し爾不法を糾さば、主よ、孰か能く立たん。然れども爾に赦あり、人の爾の前に敬まん爲なり。
恒忍なる主よ、爾は釘せられて、全地を動かし、信者の心を堅め給へり。故に我等爾を歌頌して、愛を以て爾の悟り難き力に伏拜す。
句 我主を望み、我が靈主を望み、我彼の言を恃む。
救世主よ、爾は頰を批たれ、唾せられて、毒害の敵の凶惡を制し、目の誘惑に由りて墮落せしアダムを起し給へり。
句 我が靈主を待つこと、番人の旦を待ち、番人の旦を待つより甚し。
救世主よ、爾が非義に木に懸けられて、人人の罪過を釋き給ふを見る時、日し晦み、地皆震ひ、磐は裂けたり。
次ぎて若し之あらば、月課經の聖人の讚頌。若し之なくば、又次の讚頌、同調。
句 願はくはイズライリは主を恃まん、蓋憐は主にあり、大なる贖も彼にあり、彼はイズライリを其悉くの不法より贖はん。
童貞女は童貞の門徒と偕に曾て主の釘せらるる時十字架の側に立ちて、泣きて呼べり、鳴呼衆人を苦より釋き給ふハリストスよ、如何ぞ爾苦を受くる。
句 萬民よ、主を讚め揚げよ、萬族よ、彼を崇め讚めよ。
至りて潔き者は呼べり、我爾の種なき懷孕と至淨なる產とを思ひて大に訝る、救世主よ、如何ぞ爾斯く罪犯者の如く死するを甘じたる。
句 蓋彼が我等に施す憐は大なり、主の眞實は永く存す。
潔き母童貞女よ、我人として木に擧げられて釘せらる、死者として墓に置かるれども、神として光榮を以て三日目に復活せん。
光榮、今も、生神女讚詞 救世主よ、爾の潔き母童貞女は至りて不法なる人人が非義に爾を木に釘するを見る時、シメオンの預言せし如く、其心傷つけられたり。
次ぎて「穩なる光」。本日の提綱。「主よ、我等を守り」。
挿句に十字架の讚頌、第六調。
主よ、爾の十字架は爾の人人の爲に生命及び保護なり。我等之を恃みて、爾身にて釘せられし我が神を歌ふ、我等を憐み給へ。
句 天に居る者よ、我目を擧げて爾を望む、視よ、僕の目主人の手を望み、婢の目主婦の手を望むが如く、我等の目は主我が神を望みて、其我等を憐むを俟つ。
主よ、爾の十字架は人類の爲に樂園を啓けり。我等朽壞より救はれて、爾身にて釘せられし我が神を歌ふ、我等を憐み給へ。
句 主よ、我等を憐み、我等を憐み給へ、蓋我等は侮に饜き足れり、我等の靈は驕る者の辱と誇る者の侮とに饜き足れり。
致命者讚詞 ハリストスよ、受難者は爾の爲に多くの苦を忍びしに因りて、天に於て完美なる榮冠を受けたり、我等の靈の爲に祈らん爲なり。
光榮、今も、十字架生神女讚詞 至りて無玷なる生神女は我等の生命が木に懸れるを見て、母として泣きて呼べり、吾が子、吾が神よ、愛を以て爾を歌ふ者を救ひ給へ。
次ぎて「主宰よ、今爾の言に循ひ」。聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞、聯禱及び發放詞。
火曜日の晩堂課
至聖なる生神女の規程、第六調。
第一歌頌
イルモス イズライリは陸の如く淵を蹈み渡り、追ひ詰めしファラオンの溺るるを見て呼べり、凱歌を神に奉らん。
附唱 至聖なる生神女よ、我等を救ひ給へ。
我大く我が汚れたる生命と無量の惡との爲に泣く、潔き者よ、何をか爾に痛告せん、我惑ひて畏る。女宰よ、我を援け給へ。
我慾に耽る者は我が惡しくして甚しき墮落を何れより言ひ起さん、嗚呼是より如何にか爲らん。女宰よ、終の至らざる先に我を憐み給へ。
光榮 至淨なる者よ、我常に死の時及び畏るべき審判を思へども、至りて惡しき習慣に因りて誘惑に陷る。祈る、我を援け給へ。
今も 誘惑者は我が今神聖なる德行に裸體にして、神より遠く離れて踈ぜらるるを見て、我を呑まんと欲す。女宰よ、之を許す勿れ。
第三歌頌
イルモス 爾が信者の角を高うし、我等を爾が承認の石に堅めし仁慈の主、吾が神よ、爾と均しく聖なるはなし。
女宰生神女よ、我慾に耽る者は我が無量の惡を以て甚しく靈を汚せり、是より安にか往かん、我全く失望せり。
潔き者よ、哀しい哉、我放蕩の者は驕れる心と、不當なる行と、言と、思とを以て我が衷に神の像と肖とに循ひて造られし者を汚せり。
光榮 仁慈なる者よ、智慧の昧まされたる我の如く不當なることを行ひし者は人人の中にあらず、世に生れざりき、蓋我は神聖なる洗禮を汚せり。
今も 至聖なる童貞女よ、我は惡の極に至れり、亟に我を援け給へ。天地は我が不當なる行に勝へずして呼ぶ。
第四歌頌
イルモス 尊き敎會は淨き心より主の爲に祝ひ、神に適ひて呼び歌ふ、ハリストスは吾が力と神と主なり。
潔き者よ、天使の品位及び天軍は爾の子の權能に畏る、惟我は失望して、畏懼を感ぜず。
全地は我が甚しき惡を行ふを見て驚き怪みて、爾の子の多くの慈憐を奇とす。
光榮 我甚しく肉體の殿及び主の殿を汚せり。人人は戰きて主の殿に入るに、我放蕩の者は耻なくして入る、嗚呼哀しい哉。
今も 女宰よ、我至りて當らずと雖、我を爾の子の帲幪より遠ざくる毋れ、踈き者と爲す毋れ。祈る、我を我が諸罪の汚より洗ひ給へ。
第五歌頌
イルモス 至仁なる神の言よ、切に祈る、爾に朝の祈禱を奉る者の靈を爾が神の光にて照して、爾罪の暗より呼び出す眞の神を知らしめ給へ。
仁慈なる者よ、爾の神聖なる煇煌を以て吾が靈の慾、誘惑者が我が内に播きたる者を醫して、我を其疾しき捕執より脫れしめ給へ、蓋彼は我を援助なき者と見て哂ふ。
童貞女よ、アダムは爾の子の一の誡に背きて遠ざけられたり。我犯罪者及び反離者は我が無量の罪の爲に如何にか泣かん。
光榮 昔カインは殺人者及び殺弟者と爲りて、神より詛はれたり。我暴虐者今靈を殺して耻ぢざる者は何をか爲さん。
今も 我饕餮と飽食とを以て粗暴なるイサフに效ひ、沈湎を以て靈を汚し、詭譎を以て我が生命を穢せり。誰か我慾に耽る者の爲に哭かざらん、嗚呼哀しい哉。
第六歌頌
イルモス 誘惑の猛風にて浪の立ち揚がる世の海を觀て、爾の穩なる港に著きて呼ぶ、憐深き主よ、我が生命を淪滅より救ひ給へ。
我が度生は淫慾に染み、我が靈は汚はし、生命は全く不當なり、我が肉體は甚しく惡に汚れたり。祈る、童貞女よ、速に我を援け給へ。
仁慈なる者よ、終は近づけるに、我之に勝へず、良心は我を攻め、惡しき行と度生の放蕩とは我が前に在り。潔き者よ、我爾の子の審判を畏る。
光榮 我が肉慾の燃ゆるに因りて、畏るべき熄えざる火の河と眠らざる蟲とは我を待つ。至淨なる者よ、爾の祈禱を以て是等を滅し給へ。
今も 仁慈なる者よ、我今戰きて、凶惡なる捕執を苦しむ。蓋誘惑者は終の先に我を殺さんと欲して、我を俘囚と爲して、諸德を褫ぎたり。
次ぎて主憐めよ、三次。光榮、今も、
坐誦讚詞、第六調。
童貞女よ、爾は爾の人人の恃賴と轉達と避所なり、蓋世界の救主は潔く爾より生れて爾を賴む者を救ひ給ふ。爾曾て爾の子の十字架の側に哭きて立ちし如く、今も彼の前に轉達して、凡そ爾を歌ふ者を滅亾より救はんことを祈り給へ。
第七歌頌
イルモス 天使は敬虔なる少者の爲に爐に露を出さしめ、ハルデヤ人を燒く神の命は苦しむる者に呼ばしめたり、吾が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
凶惡者は七に七倍して我が諸慾の焰を燃し、淫慾を以て常に我が心を殺す。神の母よ、我が淚の流を以て之を滅して、我を救ひ給へ。
仁慈なる女宰よ、諸罪の泥に汚さるる我を棄つる毋れ、蓋至りて凶惡なる敵は我を失望の中に見て哂ふ。祈る、親ら爾の權能の手を以て我を起し給へ。
光榮 我が慾に耽りたる感覺なき靈よ、審判は畏るべく、苦は劇しくして終なし。然れども今爾の審判者及び神の母の前に俯伏して、自ら望を失ふ勿れ。
今も 我慾に耽りたる者は無量の惡に昧まされて、心と智慧と體とを汚せり。至淨なる者よ、爾の光の煇煌を以て我を導きて、速に無慾の甘樂に入れ給へ。
第八歌頌
イルモス ハリストスよ、爾は敬虔なる者の爲に焰より露を注ぎ、義人の祭の爲に水より火を出せり、爾は一の望にて萬事を行ひ給へばなり、我等爾を萬世に讚め揚ぐ。
聖三者の一位なる神を生みて手に抱きし童貞女母よ、我が慾の燃ゆる爐を滅して、淚の流を以て我が靈を洗ひ給へ。
至淨なる者よ、我死の來ることと彼の審判とを今畏るれども、惡しきことを行ふを聊も耻ぢず。童貞女よ、爾の祈禱を以て終の先に我を援け給へ。
光榮 女宰よ、我に絕えざる歎息を賜ひ、淚の雨を與へよ、我が多くの罪過と醫し難き傷とを洗ひて、永遠の生命を得ん爲なり。
今も 女宰よ、我が惡の多きを爾の前に痛告せり、世には我の如く神爾の子及び主を怒らせし者一人もなし。童貞女よ、速に彼を我が爲に慈憐に轉ぜしめ給へ。
第九歌頌
イルモス 天使の品位すら見るを得ざる神は、人見る能はず、唯爾至淨の者に藉りて人體を取りし言は人人に現れ給へり。我等彼を崇めて、天軍と偕に爾を讚め揚ぐ。
至淨なる女宰よ、視よ、我多くの畏と愛とを以て爾に來る、我爾の僕は爾の祈禱の力を知ればなり。蓋實に母の祈禱は輙く子を慈憐に傾く。
潔き者よ、天使首の品位と我が造成主の衆くの天軍と、使徒及び預言者の會、致命者、克肖者及び神品致命者と偕に我等の爲に神に祈禱を捧げ給へ。
光榮 潔淨にして仁慈なる者よ、願はくは我今も、我が靈の世を出づる時も爾の援助を得ん。至りて無玷なる者よ、速に我を惡鬼の苛虐より脫れしめて、我が彼等に付されんことを許す毋れ。
今も 潔き童貞女よ、我は洪恩なる審判者にして仁愛なる爾の子を待つ、我を棄つる勿れ。至りて無玷なる者よ、彼を我が爲に寬容なる者と爲して、審判の時に我を其至淨なる寶座の右に立てんことを祈り給へ、我爾を恃めばなり。
次ぎて「常に福にして」、及び叩拜。聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞。其他常例の如し、及び發放詞。
水曜日
水曜日の早課
第一の誦文の後に十字架の坐誦讚詞、第六調。
主よ、爾の十字架は聖にせられたり、蓋此に緣りて諸罪を病む者に醫治は行はる。故に我等爾の前に俯伏す、我等を憐み給へ。
句 主我が神を崇め讚め、其足凳に伏し拜めよ、是れ聖なり。
ハリストス主よ、爾の十字架の木の樹てられしのみにして、死の基は動けり、蓋地獄は貪りて呑みし者を戰きて放てり。聖なる者よ、爾は其爲しし救を我等に顯し給へり、故に我等爾を讚揚す。神の子よ、我等を憐み給へ。
光榮、今も、十字架生神女讚詞 童貞女よ、爾は爾の人人の恃賴と轉達と避所なり、蓋實に世界の救主は爾より生れて、爾を賴む者を救ひ給ふ。爾曾て爾の子及び神の十字架の側に哭きて立ちし如く、今も彼の前に轉達して、凡そ爾を歌ふ者を滅亾より救はんことを祈り給へ。
第二の誦文の後に十字架の坐誦讚詞、第六調。
獨人を愛する主よ、今日預言者の言は應へり。蓋視よ、我等は爾の足の立ちし處に伏拜し、木に緣る救を嘗めて、生神女の祈禱を以て罪に緣る苦を釋かるるを得たり。
句 神我が古世よりの王は救を地の中に作せり。
主よ、イウデヤ人は爾萬衆の生命を死に定めたり、杖に由りて紅海を濟りし者は爾を十字架に釘せり、磐より蜜を吸ひし者は爾に膽を進めたり。然れども爾は甘じて忍び給へり、我等を敵の奴隷より釋かん爲なり。ハリストス我が神よ、光榮は爾に歸す。
句 神よ、爾は爾の聖所に於て嚴なり。
致命者が審判座の前に顯しし勇敢と其多種の劇しき苦難の忍耐とは苛虐者及び諸王を驚かせり。其時無形の品位は立ちて、彼等の爲に備へられたる勝利の榮冠を執れり。睿智者はハリストスを承け認むるを以て敵を斃せり。彼等を堅めし主よ、光榮は爾に歸す。
光榮、今も、十字架生神女讚詞 婚姻に與らざる母は十字架の側に立ちて、彼より種なく生れし者に呼べり、嗚呼子よ、劍は我が心を貫けり。萬衆は爾造成主及び神の前に戰けるに、我如何ぞ爾が木に懸けらるるを見るに忍びん。恒忍なる主よ、光榮は爾に歸す。
第三の誦文の後に十字架の坐誦讚詞、第六調。
ハリストスよ、爾が甘じて我等の爲に十字架に釘せられしを見て、造物は畏に因りて戰き、日は其光を晦まし、磐は崩れ、殿の神聖なる幕は裂けたり、無慙にして不法なるエウレイ人を罪せん爲なり。
木はエデムに於て原祖に滅亾を致し、十字架の木は髑髏の處に於て生命を生ぜり。蓋ハリストスの釘せられしに由りて、惡敵の讎怨は滅され、アダムは憐を蒙り、樂園を獲て呼ぶ、嗚呼祝福せられし木や。
光榮、今も、十字架生神女讚詞 ハリストスよ、爾を生みし永貞童女は爾が我等の爲に十字架に擧げられしを見る時、哀の劍を以て己の心と靈とを刺して、母として痛く哭けり。彼の祈禱に由りて我等を憐み給へ。
尊貴にして生命を施す十字架の規程、其冠詞は、救世主よ、爾は木に釘せられて我を救ふ。イオシフの作。第六調。
第一歌頌
イルモス イズライリは陸の如く淵を蹈み渡り、追ひ詰めしファラオンの溺るるを見て呼べり、凱歌を神に奉らん。
主宰よ、爾は十字架に手を舒べ、退けられたる人人を抱きて、爾の父に攜へ給へり、其至愛なる一性の子なればなり。
言よ、爾は羔の如く十字架に擧げられて、爾の迷ひし羊を尋ね、之を獲て、迷はざる者に加へ給へり。イイススよ、光榮は爾の權能に歸す。
致命者讚詞 尊榮なる受難者、永福なる致命者は上なる生命を慕ひて、多くの苦と諸の禍とを忍びて、地上に殺されたり。
致命者讚詞 受難者よ、爾等は義なるハリストスの爲に不義なる審判所に於て凡の不義なる審判、爾等を義とする者を神の助に因りて忍び給へり。
生神女讚詞 主宰よ、爾はアダムより出でたる衆人に苦なきを得しめん爲に十字架に苦を忍び給ふ、地は之を見て震ひ、女宰は母として哭きて呼べり。
又至聖なる生神女の規程、第六調。
第一歌頌
イルモス同上
至聖なる童貞女よ、天を張り地を基づけたる主は爾より身と偕に出でて、爾を我等の爲に地上の天と現し給へり。
我等の爲に人と爲りし神を生みたる潔き者よ、彼に祈りて、多く彼の前に罪を犯しし我等を審判の日に於て憐まんことを求め給へ。
女宰よ、爾の聖なる腹より輝き出でたる日は至りて光明なる光線にて全地を輝かす、故に我等照されて、爾神の母を尊む。
女宰生神女よ、我が靈を昧ます不當なる念の暗を、爾より身を取りし主の聖なる誡の光にて散じ給へ。
第三歌頌
イルモス 爾が信者の角を高うし、我等を爾が承認の石に堅めし仁慈の主、吾が神よ、爾と均しく聖なるはなし。
十字架が地上に樹てられしに、迷は墜ち、造物は動き、敵の攻擊に動かさるる心は信を以て堅めらる。
狂ひたる不義の人人は爾獨義なる主、地上の者を義と爲して、詭譎者の不義なる手より引き出す者を死に定めたり。
致命者讚詞 詭譎者は其凶惡を盡して、聖なる者と戰ひたれども、勝たれて、彼等が服從せずして、神の光明に與る者と爲りしを見たり。
致命者讚詞 ハリストスの受難者の肉體の華美は甚しき傷創に由りて變じたれども、靈の光明は聖神の行動に由りて更に輝けり。
生神女讚詞 子よ、我爾を生みし時、悉くの人の子より美しき者なりと知れり、ハリストスよ、如何ぞ今十字架に釘せられて美しきを失ひたると、童貞女は哭きて言へり。
又 イルモス同上
萬物を保つハリストスを手に保てる潔き神の母よ、我等爾を歌ふ者を凶惡なる惡魔の手、及び凡の苦惱より脫れしめ給へ。
至りて無玷なる女宰童貞女よ、爾の祈禱を以て我等を惡鬼の攻擊、不義なる人人、凡の誘惑及び有害なる諸病より脫れしめ給へ。
時に由らざる言を時の中に性に超えて身にて生みし後童貞女に止まりし少女よ、視よ、萬世爾を讚美す。
人を愛する神を生みし童貞女よ、我不當なる爾の僕を彼の畏るべき降臨の時に凡の定罪より救ひ給へ。
第四歌頌
イルモス 尊き敎會は淨き心より主の爲に祝ひ、神に適ひて呼び歌ふ、ハリストスは吾が力と神と主なり。
暮れざる日たるハリストスよ、日は爾が木に釘せられしを見て、畏に由りて晦みたるに、萬物は暗昧の迷より解かれて、爾を讚め歌ふ。
救世主よ、法に戾る人人は爾の手を縛りしに、凡の解き難き縲絏に縛られたる者は皆解かれ、敵は縛られ、迷は除かれたり。
致命者讚詞 致命者よ、爾等は血の流を以て無知にして甚しく誇る迫害者ファラオンを溺らし、樂しみて福の地に移り給へり。
致命者讚詞 受難者よ、爾等は神゜の翼を以て敵の網を飛び踰え、喜びて本原の善と、生命と、暮れざる光とのある處に升り給へり。
生神女讚詞 女宰よ、爾より身を取りし者の釘せられ、我等の爲に其至淨なる脅を戈にて刺さるるを見る時、爾は苦の劍を以て傷つけられたり。
又 イルモス同上
我等皆神の殿たる聖なる童貞女を歌ひて、欣ばしく讚美せん、彼に由りて我等罪過より解かれて、神成せられたればなり。
我等は童貞女を神に入る門、神聖なる樂園、成聖の靈妙なる處、イアコフの榮として讚美す。
純潔なる女宰よ、ハリストスは、信と愛とを以て淨き心より爾眞の生神女を呼ぶ者の爲に、爾を穩靜なる港と爲し給へり。
神の至りて淨くして廣き居所と爲りし至淨なるマリヤよ、我が靈の不潔不淨を潔め給へ。
第五歌頌
イルモス 至仁なる神の言よ、切に祈る、爾に朝の祈禱を奉る者の靈を爾が神の光にて照して、爾罪の暗より呼び出す眞の神を知らしめ給へ。
雲を以て天に衣する主宰ハリストスよ、爾は裸體にして甘じて十字架に釘せられて、我が惡の裸體を覆ひ、我を照して、不朽の衣服を衣せ給へり。
眞の葡萄たるハリストスは十字架に釘せられて、我が靈の爲に實に甘味なる者として、酒を滴らせて、敵の誘惑の凡の醉を醒まし給へり。
致命者讚詞 聖にせられし傷にて妝はれ、榮冠にて飾られたるハリストスの受難者は身を以て苦を受けたる神の前に立ちて、我等の諸罪の赦を求め給ふ。
致命者讚詞 受難者は彼處の光榮と、生命と、眞の樂とを仰ぎ、主宰の苦に堅められて、諸の苦難の颶風を忍び給へり。
生神女讚詞 ハリストスよ、我は爾獨萬有に容れられざる主を腹に容れて、產苦なく生みたり、今は爾の釘せらるるを見て苦しむと、至淨なる童貞女は哭きて言へり。
又 イルモス同上
至淨なる者よ、言を以て萬物を造り、睿智なる攝理を以て之を宰る獨一の主は、親ら欲する如く、慈憐に因りて爾より造られて、言ひ難く肉體と爲り給へり。
視よ、潔き童貞女は、預言者の陳ぶる如く、萬有の神主宰及び主を其胎内に孕みて、言ひ難く生み、生みて後不朽なる童貞女に止まり給へり。
マリヤ、萬衆の女宰よ、祈る、慈憐の者として、我を畏るべき捕執より脫れしめ、爾より身を取りし主の戈を以て我が罪の書券を裂き給へ。
童貞女よ、爾の轉達と祈禱とを以て我が罪の桎梏を壞り給へ、爾は信を以て爾の神聖なる帲幪に趨り附く失望の者の爲に恃賴なればなり。
第六歌頌
イルモス 誘惑の猛風にて浪の立ち揚がる世の海を觀て、爾の穩なる港に著きて呼ぶ、憐深き主よ、我が生命を淪滅より救ひ給へ。
恒忍なる主よ、爾は棘を冠りて、諸慾の棘を斷ち、戈にて脅を刺されて、我等を死者と爲しし至りて惡謀なる蛇を殺し給へり。
主宰よ、爾は十字架に擧げられて、敵の力を斃し、頰を批たれて、我を苦しき奴隷より解き給へり。洪恩なる主よ、我爾の恒忍に伏拜す。
致命者讚詞 十字架に護らるる受難者は凶惡なる誘惑の墻を壞り、天上の城邑に移りて、勝利の榮冠にて飾られたり、故に讚美せらる。
致命者讚詞 聖なる者よ、爾等は至榮にして自ら苦の高きに登り、惡敵の驕を地に倒して、上より榮冠を受けたり。
生神女讚詞 父の煇煌たる主よ、萬有を照して暗昧の魁を斃したるに、如何ぞ十字架に擧げられたると、至淨なる女宰は母として哭きて言へり。
又 イルモス同上
火たるイイススは爾の腹を焚かずして、身にて爾より出で給へり、潔き者よ、信を以て爾を歌頌する者を火及び凡の苦より救はんことを彼に祈り給へ。
至りて無玷なる者よ、我爾聖天使等の飾なる者を歌ひて祈る、我より惡鬼の勸むる忌はしき想像を斥けて、吾が心を安靜に護り給へ。
至りて無玷なる者よ、父の獨生子は爾の胎内に於て種なく形體に合せられて、二性一位にして、爾の尊き童貞を害なく護りて、爾より出で給へり。
仁慈なる者よ、我が罪の多きを爾の慈憐の多きを以て潔めて、爾に趨り附きて、忠信に爾の慈憐を求むる爾の僕を救ひ給へ。
第七歌頌
イルモス 天使は敬虔なる少者の爲に爐に露を出さしめ、ハルデヤ人を燒く神の命は苦しむる者に呼ばしめたり、吾が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
獨全能なる主よ、爾は頰を批たれて、毒蛇の惡計を制し、木に懸けられて、衆を照して呼ばしむ、吾が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
第一の人アダムは木の果を食ひて死を獲たり、第二の人ハリストスは木の上に殺されて、惡謀の逞しき敵を殺して、不死の生命を賜ふ。
致命者讚詞 苦に遇はせられたる致命者は苦に由りて主に升せられ、信の堅き石の上に立ち、神の指麾を以て敵の凡の惡計を空しくし給へり。
致命者讚詞 苦に照されたる受難者よ、爾等は日よりも明に輝き、幽暗の凡の權柄を破りて、ハリストスに歌ふ、吾が先祖の神は崇め讚めらる。
生神女讚詞 神性の變易なき主よ、爾は十字架に懸けられて萬物を變じ給へりと、童貞女は其子に言ひ、且此等を見て泣きて、主の多くの恒忍を奇とせり。
又 イルモス同上
至淨なる者よ、限られぬ者として父の懷に坐する主は今爾より形を衣、限られて爾の懷に坐し給ふ、蓋アダムを救はん爲に新なるアダムと爲り給へり。
純潔なる者よ、我が仁愛なる神に絕えず祈りて、我等が諸罪の全き赦を受けて、天上に彼を愛する者の爲に備へられたる福を獲んことを求め給へ。
至りて無玷なる者よ、我等は爾祝讚せらるる主を生みし者を祝讚す。彼は神聖なる祝福を人の性に冠らせて、其先に古びたるを新なる者と爲し給ふ。
潔き者よ、我等爾を救の港として獲て、暴風より救はれ、爾に於ける恃賴を靈の固と爲して呼ぶ、身にて神を生みし者は崇め讚めらる。
第八歌頌
イルモス ハリストスよ、爾は敬虔なる者の爲に焰より露を注ぎ、義人の祭の爲に水より火を出せり、爾は一の望にて萬事を行ひ給へばなり、我等爾を萬世に讚め揚ぐ。
至上なる洪恩の神よ、爾は心の謙卑を以て木に擧げられて、至りて傲慢なる蛇を卑くし、苦を以て卑くせられたるアダムを升せ給へり。
昔苦味を變ぜし主、萬衆の甘味と生命、光と救なる二性一位の主宰よ、爾は木に擧げられて、膽を嘗め給へり。
致命者讚詞 讚美たる者よ、爾等は膝を偶像の前に屈めずして、無玷なる羔の如く屠られ、凶惡者の力を滅して、ハリストスを世世に讚頌す。
致命者讚詞 致命者よ、爾等は生活の神゜の殿と現れて、偶像の殿を毁ち、天上の殿に擧げられて、ハリストスを世世に讚頌す。
生神女讚詞 童貞女よ、イアコフは爾を、惡の深處に躓きし我等を天の高きに登す梯と預見せり。故に我等爾潔き者を世世に崇め讚む。
又 イルモス同上
神の恩寵を蒙れる祝福せられたる潔き者よ、我等爾を實に生神女と承け認めて、天使と偕に忠信に爾に呼ぶ、慶べ、蓋爾は獨地に在る者の爲に歡喜を生み給へり。
純潔なる者よ、爾の先祖の神に感ぜられし簫は爾を預象して、至聖なる匱、身を取りし神、我等が世世に讚め揚ぐる主を容るる者と爲せり。
婚姻に與らざる少女、神の恩寵を蒙れる者、颶風に遇ふハリスティアニン等の港及び恃賴よ、爾の諸僕を患難、諸慾、誘惑、及び永遠の火より脫れしめ給へ。
主宰よ、爾が光榮を以て萬衆を審判する爲に來らん時、我罪なる者を右の羊に加へ給へ、爾の母の祈禱に依りてなり、我が爾を萬世に讚榮せん爲なり。
次に生神女の歌を歌ふ、「我が靈は主を崇め」。
第九歌頌
イルモス 天使の品位すら見るを得ざる神は、人見る能はず、唯至淨の者に藉りて人體を取りし言は人人に現れ給へり。我等彼を崇めて、天軍と偕に爾を讚め揚ぐ。
時と年との主宰、獨恒忍なる主よ、爾は地の中に正午に木に擧げられ釘せられて、樂園の中に木の果に緣りて躓きたる原祖を起し給へり。
十字架が樹てられしに、苦しむる者は心に死の傷を受け、縛られし者は朽壞より釋かれ、神を知る知識は衆人の中に植ゑられ、敵は空しくせられ、萬衆は歡喜に滿てられたり。
致命者讚詞 主の致命者よ、ハリストスが釘せられて祭に獻ぜられし時より、地は天と合せられて、爾等の大數を攜へたり。爾等は無數の劇しき苦を忍びて、今神の奉事者の大數と偕に耀き給ふ。
致命者讚詞 主の致命者よ、爾等は無形の光に照されて、位置に於て諸神と爲り、冢子の居處の中に入れられて永遠の光榮に滿てらる。故に我等信者は職として爾等を尊む。
生神女讚詞 恒忍なる主宰よ、我が靈妙に爾を生みし時、爾の產は畏るべかりき、今は造物爾が甘じて木に釘せらるるを見て畏れたりと、無玷なる者は母として哭きて呼べり。我等彼を崇め讚む。
又 イルモス同上
神の子、無原なる言は身を取りて、童貞女の子と爲り、父の善旨と聖神の行動とに因りて、我が朽ちたる形を全く新にし給へり、全能者なればなり。
靈よ、起きて、祈禱と凡の善との爲に警醒し、勉勵を以て睡眠の怠惰を退けよ、恒に潔き神の母を警醒する守護者として有てばなり。我等彼を崇め讚む。
純潔なる生神女よ、爾は信者の爲に恃賴と、帲幪と、歡喜なり。故に我爾の慈憐に祈る、多くの罪と惡しき思との暗に昧まされたる吾が靈を照し給へ。
神の恩寵を蒙れる聖なる童貞女よ、我が爲に光の門を啓き給へ、罪の夜が我を蔽はざらん爲なり。我が生命を爾より人體を取りし主の聖なる誡の穩靜なる港に向はしめ給へ。
次ぎて「常に福にして」。小聯禱、光耀歌、及び常例の聖詠。
挿句に十字架の讚頌、第六調。
ハリストスよ、我十字架に由りて恃賴を有ち、此に由りて誇りて呼ぶ、人を愛する主よ、爾を神及び人と承け認めざる者の驕を倒し給へ。
句 主よ、夙に爾の憐を以て我等に飽かしめよ、然せば我等生涯歡び樂しまん。爾我等を撲ちし日、我等が禍に遭ひし年に代へて、我等を樂しましめ給へ。願はくは爾の工作は爾の諸僕に著れ、爾の光榮は其諸子に著れん。
我等は十字架に防ぎ護られて、敵と戰ひて、其惡謀と攻擊とを畏れず。蓋彼は傲慢の者にして、木に釘せられしハリストスの力を以て空しくせられて蹂まれたり。
句 願はくは主吾が神の惠は我等に在らん、願はくは我が手の工作を我等に助け給へ、我が手の工作を助け給へ。
致命者の記憶は主を畏るる者の爲に喜悅なり、蓋彼等はハリストスの爲に苦を忍びて、彼より榮冠を受けたり。今は勇敢を以て我等の靈の爲に祈り給ふ。
光榮、今も、十字架生神女讚詞 無玷なる牝羊、純潔なる女宰は己の羔を十字架の木の上に覩て、母として哭き、奇として呼べり、甘愛なる子よ、此の新にして至榮なる顯見は何ぞや、如何ぞ恩を知らざる會は爾をピラトの裁判に付して、萬有の生命を死に定むる。言よ、我爾の言ひ難き寬容を歌頌す。
次ぎて「至上者よ、主を讚榮し」。聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞、聯禱、及び第一時課、常例の聖詠、其他、幷びに發放詞。
水曜日の聖体礼儀に
水曜日の眞福詞、第六調。
神我が救世主よ、爾の國に來らん時我を憶ひて、我を救ひ給へ、爾獨人を愛する主なればなり。
句 義の爲に窘逐せらるる者は福なり、天國は彼等の有なればなり。
獨仁慈なる主よ、爾は甘じて木に擧げられて、惡の深處に陷りし者を起し給へり。
句 人我の爲に爾等を詬り、窘逐し、爾等の事を僞りて諸の惡しき言を言はん時は、爾等福なり。
爾義の日が木の上に甘じて苦を受くるを見て、地は震ひ、日は晦みたり。
句 喜び樂しめよ、天には爾等の賞多ければなり。
致命者讚詞 救世主の苦に與りたる受難者よ、爾等は彼と偕に神聖なる光照に與りて、共與に因りて神成せられたり。
光榮 聖三者の一なる主、甘じて十字架に釘せらるるを忍びし我がハリストスよ、我を罪の深處より上げ給へ。
今も 童貞女母は十字架の側に立ち、己の子が甘じて苦を受くるを見て、彼を讚頌せり。
水曜日の晩課
「主よ、爾に籲ぶ」に聖使徒の讚頌、第六調。
句 主よ、若し爾不法を糾さば、主よ、孰か能く立たん。然れども爾に赦あり、人の爾の前に敬まん爲なり。
神學師及び見神者たる門徒よ、爾等は神の大なる祕密の役者と爲れり、醫治の恩賜を受けて、衆人の諸病を醫し給ふ。
句 我主を望み、我が靈主を望み、我彼の言を恃む。
見神者、主の使徒よ、爾等は我が靈の爲に大なる避所と帲幪なり、惡鬼を遠ざくる者なり。故に我等は常に爾等を尊む。
句 我が靈主を待つこと、番人の旦を待ち、番人の旦を待つより甚し。
福たる聖使徒よ、熱信に爾等を讚め揚ぐる者を凡の災禍と惡鬼の苦惱、諸罪と諸慾より脫れしめ給へ。
次に月課經の聖人の讚頌。若し月課經なくば、又聖大奇跡者ニコライの讚頌、第六調。
句 願はくはイズライリは主を恃まん、蓋憐は主にあり、大なる贖も彼にあり、彼はイズライリを其悉くの不法より贖はん。
福たる睿智者ニコライよ、祈る、俯伏する我を憐みて、我が靈の目を照し給へ、我が光を賜ふ慈憐なる主を明に見ん爲なり。
句 萬民よ、主を讚め揚げよ、萬族よ、彼を崇め讚めよ。
聖ニコライ、福たる成聖者よ、我を惱まさんと謀る諸敵及び其害より我を脫れしめて、血を流す者より我を救ひ給へ。
句 蓋彼が我等に施す憐は大なり、主の眞實は永く存す。
成聖者よ、我等信者は今爾を穩なる港と壞られぬ墻、堅固なる柱と痛悔の門、吾が靈の嚮導師及び守護者として獲たり。
光榮、今も、生神女讚詞 至淨なる者よ、凶惡なる敵は爾の牧群を妬みて、常に之と鬪ひて、己の食と爲さんと欲す。求む、生神女よ、爾我等を其害より救ひ給へ。
次ぎて「穩なる光」。提綱、「神よ、爾の名を以て我を救ひ」。句、「神よ、我が禱を聽き」。及び「主よ、我等を守り、罪なくして此の晩」。
挿句に聖使徒の讚頌、第六調。
主よ、使徒等は或時は網を以て海の深を試み、或時は敎を聽きて天國の高を度れり、彼の時は機巧を以て測り難き深を究め、此の時は信を以て形り難き爾の懷に至りて、年に限られざる爾の子を世界に傳へたり。彼等及び衆聖人の祈禱に因りて我等を憐み給へ。
句 天に居る者よ、我目を擧げて爾を望む。視よ、僕の目主人の手を望み、婢の目主婦の手を望むが如く、我等の目は主我が神を望みて、其我等を憐むを俟つ。
ハリストスよ、昔爾の門徒は舟に颶風に遇ひて呼べり、夫子よ、我等を救ひ給へ、殆ど亾ぶ。今も我等祈りて呼ぶ、仁愛なる我が救世主よ、我等を我が患難より脫れしめ給へ。
句 主よ、我等を憐み、我等を憐み給へ、蓋我等は侮に饜き足れり、我等の靈は驕る者の辱と誇る者の侮とに饜き足れり。
致命者讚詞 主よ、爾の十字架は致命者の爲に勝たれぬ武器と爲れり、蓋彼等は己の前に死を見、來世の生命を先見して、爾に於ける恃賴を以て堅めたれたり。彼等の禱に由りて我等を憐み給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 女宰よ、我が心の目を爾に擧ぐ、我が微なる歎息を顧みざる勿れ。爾の子が世界を審判せん時に、我が爲に庇蔭及び扶助者と爲り給へ。
次ぎて「主宰よ、今爾の言に循ひ」。及び發放詞。
水曜日の晩堂課
至聖なる生神女の規程、其冠詞は、至聖なる者よ、イオアンの涕泣を受け給へ。修道士イオアンの作。第六調。
第一歌頌
イルモス 佑け護る者顯れて、我が救と爲れり、彼は吾が神なり、我彼を讚め揚げん、彼は我が父の神なり、我彼を尊み頌はん、彼嚴に光榮を顯したればなり。
附唱 至聖なる生神女よ、我等を救ひ給へ。
潔き者よ、我全く諸慾に汚されて望を失ひたる不當なる者は如何ぞ爾に就かん。唯祈る、至淨なる神の母よ、我を憐みて、我が不當なる靈を救ひ給へ。
卑微なる靈よ、耻辱の深處より起きて、熱切に獨潔き者に呼べ、純潔無玷なる少女よ、我を憐みて、諸慾より救ひ給へ。
光榮 我諸慾の暴風に由りて罪の中に溺れたり。潔き者よ、今我に援助の手を伸べて、諸慾の耻辱より脫れしめ給へ、我が常に爾を讚榮せん爲なり。
今も 神の母よ、全く我を汚しし罪の烈しき暴風より我を救ひ給へ。我爾に趨り附く、今我が諸罪の重きを輕くし給へ。
第三歌頌
イルモス 主よ、爾の誡の石に我が動ける心を固め給へ、爾獨聖にして主なればなり。
至りて無玷なる者よ、我耻づべき惡慾に由りて老いたる者を少く爲して、諸罪の縲絏を釋き給へ。
生神女よ、我熱心に爾に趨り附く者を罪の塵及び泥より潔めて、神の殿と爲し給へ。
光榮 不當なる靈よ、煩悶の眠より起きて、獨爾を救ふ少女、神の聘女に目を注げ。
今も 女宰よ、我望を失ひ、悲しみて爾に來り、爾の熱切なる祈禱に趨り附く、潔き者よ、我爾の僕を救ひ給へ。
第四歌頌
イルモス 主よ、預言者は爾の降臨の事を聞き、爾が童貞女より生れ、人人に顯れんと欲するを懼れて曰へり、我爾の風聲を聞きて懼れたり、主よ、光榮は爾の力に歸す。
至りて無玷なる神の母よ、我が言と行とは爾の子の義なる審判を受けん、願はくは其時我爾を凡の苦より我を脫れしむる避所及び權能なる保護として獲ん。
我が生は汚らはし、我罪に褻れ、慾に耽りたり。潔き者よ、我を諸罪の汚より潔めて、爾の轉達を以て仁慈なる神の前に我を雪の如く白く爲し給へ。
光榮 我諸罪の縲絏に全く縛られて、痛悔の途に向ふ能はず。純潔なる者よ、我に手を伸べて、我が足を救の途に向はしめ給へ。
今も 童貞女よ、爾の祈禱を以て我を劇しき苦、外の暗、及び「ゲエンナ」より脫れしめ給へ、爾は獨一至仁なる主を生みし者として、勇敢と能力とを有ち給へばなり。
第五歌頌
イルモス 人を愛する主よ、祈る、夜より寤むる者を照し、我をも爾の誡に導き、救世主よ、我に爾の旨を行ふを訓へ給へ。
女宰よ、審判の日に現れて、我を護りて、苦及び火より脫れしめ給へ、我が救はれて、爾の勝たれぬ恩寵を歌はん爲なり。
女宰よ、敵は我が爾の帲幪より離れたるを窺ひ、吾が靈を諸罪の深處に墜して、我を見て哂ふ。祈る、我を援け給へ。
光榮 純潔無玷なる者よ、爾に祈る、我が不當にして多慾なる靈の起くるを致して、多くの罪の重任を是より卸し給へ。
今も 至りて無玷なる者よ、我不當の者は不潔不淨なる口より爾に禱を奉りて、爾に求む、爾の祈禱を以て我を宥め給へ。
第六歌頌
イルモス 我心を盡して仁慈なる神に籲べり、彼は我が最深き地獄より呼ぶを聆き、我が生命を淪滅より援け給へり。
主宰ハリストスよ、我放蕩にして至りて不當なる者を容れて、爾を生みし童貞女の祈禱に由りて、苦より救ひ、左の者の分より脫れしめ給へ。
潔き者よ、暗き地獄を畏るる畏は我を圍み、山羊の分は我が心を擾す。至淨なる生神女よ、爾に祈る、我を是より脫れしめ給へ。
光榮 潔き女宰生神女よ、我が肉慾を殺し、我が至りて不當なる靈を活かして、我を直き途に向はしめ給へ。
今も 我無知なる者は僕たる禱を爾に奉りて、爾の至りて深き慈憐に趨り附く。潔き者よ、耻を蒙りし者として我を還す勿れ。
次ぎて主憐めよ、三次。光榮、今も、
坐誦讚詞、第六調。
至りて無玷なる者よ、我心の底より爾に歎息を奉りて、爾の慈憐なる轉達を求む、獨祝讚せらるる者よ、我が多慾の靈を憐みて、大仁慈なる神に我を定罪及び燃ゆる火の池より救はんことを祈り給へ。
第七歌頌
イルモス 列祖の神よ、我等罪を犯し、不法を行ひ、不義を爾の前に爲し、爾が我等に誡めしことを守らざりき、行はざりき、然れども終に至るまで我等を棄つる毋れ。
我は爾童貞女母を慈憐の者、善を愛する者、純潔なる者と知りて、不當にして爾に趨り附く。祈る、至りて無玷なる者よ、耻を蒙りし者として我を爾より退くる勿れ。
鳴呼多慾にして不當なる靈よ、目を覺まして起きて、感傷して膺を拊ち、淚の流を注げ、ハリストス神の慈憐なる母が爾不當の者を憐まん爲なり。
光榮 我曩に神聖なる洗禮に由りて神の殿と爲りしに、不當にして全く己を汚し、甚しき墮落に陷りて伏す。至りて無玷なる童貞女、失望せし者の恃賴よ、祈る、爾我を起し給へ。
今も 深き雲は我が至りて不當なる心を圍み、暗昧は我が慾の靈を蔽へり。神の聘女よ、痛悔の光線を以て我を照し給へ。我が爾を讚榮せん爲なり。
第八歌頌
イルモス 凡そ呼吸ある者と造物は、天軍の讚榮し、ヘルワィムとセラフィムの戰く者を歌ひ、崇め讚めて、萬世に讚め揚げよ。
燃ゆる火の河は我を嚇し、甚しき暗は我を震はせ、蟲と切齒とは我を驚かす。童貞女よ、願はくは其時我爾を權力ある保護者として獲ん。
主よ、願はくは我火の燃料と爲らざらん、願はくは爾の恐喝の聲を聞かざらん、爾の潔き母が爾に祈ればなり。彼の祈禱に因りて我を憐み給へ、我爾に呼ぶ。
光榮 ハリストスよ、我に爾の慈憐なる聲を聞くを得しめ、選ばれたる者と偕に立つを賜へ。願はくは悲の處は我を受けざらん、生神女が之を爾に祈ればなり。
今も 潔き者よ、我に今淚の流を遣し、我の衷に靈の底よりする歎息を起して、常に爾の帲幪に俯伏せしめ給へ、我が爾の祈禱に因りて罪の釋かるるを得ん爲なり。
第九歌頌
イルモス 種なき胎の產は言ひ難し、夫を知らざる母の果は朽ちず、神を生む產は天性を改むればなり。故に我等萬族爾を神の聘女なる母として、正しく崇め讚む。
童貞女よ、審判の畏るべき日は我を嚇し、切齒は我が心を擾し、山羊と偕に立つことは我を驚かす。願はくは我が審判せられん時、爾生神女を我が援助として獲ん。
我今戰き、「ゲエンナ」を畏るる畏は我を擾す、我不當にして定罪せられし者は何を爲すべきを知らず。故に爾に趨り附きて、熱切なる傷感を以て爾に呼ぶ、至淨なる者よ、我を棄つる勿れ。
光榮 我がハリストスよ、我審判座を見、爾の審判を思ひて、我が行に應ふ義なる審判を受けば定罪せらるべきを知る。惟求む、其時我が爲に爾の多くの慈憐に祈る爾の純潔なる母を容れ給へ。
今も 純潔なる童貞女よ、我思念の中に爾の足に觸れて、爾に祈りて呼ぶ、我が涕泣を容れ、歌を聞きて、爾の祈禱を以て我に諸罪の釋かるるを賜へ、我が愛を以て爾を崇め讚めん爲なり。
次ぎて「常に福にして」。聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞。其他常例の如し、幷に發放詞。
木曜日
木曜日の早課
第一の誦文の後に使徒の坐誦讚詞、第六調。
救世主よ、爾の門徒の中に來りて、彼等に爾の平安を賜ひし如く、我等にも來りて、我等を救ひ給へ。
句 其聲は全地に傳はり、其言は地の極に至る。
爾の門徒の會は全地を照せり、蓋先に魚の漁者たりし者は今人を漁する者と爲れり。神よ、彼等に因りて我等を憐み給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 生神女よ、我が罪は甚多し、淨き者よ、爾に趨り附きて救を求む。獨讚美せらるる者よ、我が病める靈を顧みて、爾の子吾が神に我が行ひし罪惡の赦を賜はんことを祈り給へ。
第二の誦文の後に坐誦讚詞、第六調。
救世主よ、爾の門徒は地の諸極に遣されて、敬みて魚の如く異邦民を漁して、爾の仁慈に攜へ來れり。ハリストスよ、彼等に因りて我等爾に呼ぶ、爾の民に大なる憐を與へ給へ。
句 主よ、諸天は爾の奇異なる事を讚榮せん。
主よ、十二の使徒は十二の光線として日の如く地を輝かせり。蓋爾は彼等に因りて迷を生ずる者を滅し、彼等に因りて爾の諸僕の靈を照し給ふ。彼等に因りて慈憐なる主として我等をも救ひ給へ。
句 神よ、爾は爾の聖所に於て嚴なり
致命者讚詞 主よ、爾の聖者の記憶は今日エデムの樂園の如く現れたり。蓋此の裏に萬物は喜ぶ、爾は彼等の祈禱に因りて我等に平安と大なる憐とを與へ給ふ。
光榮、今も、生神女讚詞 至聖なる生神女よ、我が生ける中我を棄つる勿れ。我を人の轉達に委ぬる勿れ、乃自ら我を護りて救ひ給へ。
第三の誦文の後に坐誦讚詞、第六調。
主宰ハリストスよ、爾の睿智なる門徒の救の聲は電の如く全地に傳はり、暗昧と罪惡との中に在る者を照して、我等を晝及び光の子と爲せり。故に萬物は敬みて爾を讚榮す。
漁者は舟を遺てて、神聖なる敎の網を以て衆を虛誕の深處より引き出し、之を神に付して、常に敬虔の心を以て彼を讚榮せしむ。
光榮、今も、生神女讚詞 聖なる女宰、ハリストス我が神の母よ、言ひ難く萬衆の造成主を生みし者として、聖使徒等と偕に常に彼の仁慈に我等を諸慾より救ひて、罪の赦を賜はんことを祈り給へ。
光榮にして讚美たる聖使徒の規程。フェオファンの作。第六調。
第一歌頌
イルモス イズライリは陸の如く淵を蹈み渡り、追い詰めしファラオンの溺るるを見て呼べり、凱歌を神に奉らん。
世界の爲に光と爲りし神福なる神言者よ、輝ける光線にて我等を照して、諸慾の夜と諸の誘惑の暗より脫れしめ給へ。二次。
主の門徒よ、聖神は嚴に爾等を全地に尊き君として立てたり、故に爾等は空氣中の君に勝ちて、信者を彼より救ひ給ふ。
無形の火に燃されて輝ける炭の如き睿智者よ、我が形體の慾を燬きて、我を無慾と生命との光に導き給へ。
生神女讚詞 主イイスス、萬有の王よ、諸使徒、預言者、致命者、及び爾を生みし潔き者の祈禱に由りて、爾の前に罪を獲たる人人を宥め給へ。
又聖奇跡者ニコライの規程、其冠詞は、ニコライよ、第六の歌頌を受け給へ。イオンフの作。第六調。
第一歌頌
イルモス 見るべきファラオンは全軍と共に溺らされ、イズライリは海の中を過りて呼べり、主吾が神に謳はん、彼光榮を顯したればなり。
喜を以て天に居る睿智なる神父よ、地上に信を以て聲を合せて爾を歌ふ者の心を惱ます凡の憂を爾の轉達を以て散じ給へ。
神父ニコライよ、信を以て今爾の聖なる帲幪に趨り附く者を害を爲す諸慾、滅亾を爲す諸敵、詭譎の者の凡の誘惑に對して堅め給へ。
聖ニコライよ、見えざる敵の矢に傷つけられし我等を爾の祈禱の良藥を以て醫し給へ、我等が壯健にして主の道を行かん爲なり。
生神女讚詞 生神女よ、父と同永在なる子は末の時に於て、我等信者の再生の爲に、甘じて爾の胎内に入り給へり。故に我等爾を歌頌す。
第三歌頌
イルモス 爾が信者の角を高うし、我等を爾が承認の石に堅めし仁慈の主、吾が神よ、爾と均しく聖なるはなし。
光榮なる使徒よ、聖神は威嚴なる降臨を以て爾等の舌を鍊りて、爾等を以て殘はれし人人を改めて、生命を獲しめ給ふ。二次。
言よ、我知りて罪を犯す者は審判の日に於て如何ぞ憐を得ん。故に爾に呼ぶ、爾の門徒に因りて我自ら定罪する者を宥め給へ。
ハリストスの救を施す苦に效ひし光榮なる使徒よ、醫師として吾が靈の多年の甚しき慾を醫し給へ。
生神女讚詞 ハリストス救世主よ、罪を犯しし我を生神女及び爾の使徒に由りて轉ぜしめて、神として憐みて、永遠の火より救ひ給へ。
又
イルモス 主よ、爾を信ずる信の堅き石に我が意思を堅め給へ、我爾仁慈の主を避所及び防固として有てばなり。
至福なるニコライよ、爾は靈を害する慾に對して勝利を獲たり、常に我が諸慾に甚しく勝たるる我等を爾の祈禱を以て此等より脫れしめ給へ。
睿智者よ、爾は節制を以て肉慾の肢體を殺して、老いざる生命に移れり、欣ばしく爾を讚め揚ぐる我等にも之を獲しめんことを祈り給へ。
成聖者よ、天の高きより絕えず我等に臨みて、神に奉る爾の祈禱を以て我等より凡の度生の苦難を退け給へ。
生神女讚詞 潔き者よ、我等に罪の赦を賜はんことを救世主に祈りて、爾の祈禱を以て常に吾が靈より凡の暗昧を散じ給へ。
第四歌頌
イルモス 尊き敎會は淨き心より主の爲に祝ひ、神に適ひて呼び歌ふ、ハリストスは吾が力と神と主なり。
穩靜なる港、颶風なき港たる使徒等よ、甚しき諸罪の激浪に打たるる我を穩なる港に到らしめ給へ。二次。
吾が靈よ、歎息せよ、吾が靈よ、淚を流せ、吾が卑微なる心よ、全く善に着けよ、神が爾を將來の焰及び苦より脫れしめん爲なり。
人人を救ふ者たる至福なる使徒等よ、主宰救世主に、人を愛する主として、我等を惡者の誘惑より救はんことを祈り給へ。
生神女讚詞 至淨なる童貞女、無玷なる童貞女よ、使徒等と偕に我等の爲に禱を捧げ給へ、我等が凶惡者の誘惑及び諸の災禍より救はれん爲なり。
又
イルモス 我爾の風聲を聞きて懼れたり、爾の作爲を悟りて驚けり、主よ、光榮は爾の力に歸す。
聖ニコライよ、恩寵を賜ふ我が神に禱を奉りて、詭譎の者に傷つれられたる我が不當なる心を醫し給へ。
ハリストスの役者ニコライよ、爾は滅亾を爲す宮を毁てり。故に我信を以て爾に祈る、吾が靈の惡の偶像を滅し給へ。
神智なる成聖者神父ニコライよ、爾は義なる行實を以て薰りて、ミラ城の主敎座を飾り給へり。
生神女讚詞 聘女ならぬ女宰、祝讚せらるる神の母、獨人人の扶助なる者よ、爾を歌ふ者を凡の害より救ひ給へ。
第五歌頌
イルモス 至仁なる神の言よ、切に祈る、爾に朝の祈禱を奉る者の靈を爾が神の光にて照して、爾罪の暗より呼び出す眞の神を知らしめ給へ。
誘惑と憂愁との至りて狹き路を行きて、生命の門に入りし言の門徒等よ、我が靈の路を平に爲し給へ。二次。
ハリストスの使徒等、神聖なる東の光體たる者よ、我を諸慾の暗昧と逸樂の暗、誘惑と憂愁、暴風と災禍より脫れしめ給へ。
神の言に書されし卷軸たる使徒等よ、爾等の祈禱を以て我が罪の惡しき書券を裂きて、我を生命の書に錄さんことを祈り給へ。
生神女讚詞 我の拯救及び恃賴、衆人の耻を得ざる恃賴なる獨讚美たる少女よ、爾の子に奉る爾及び神聖なる門徒の祈禱を以て我恃賴を爾に負はしむる者を救ひ給へ。
又
イルモス 光を世界に輝かししハリストスよ、我夜中より爾に呼ぶ者の心を照して、我を救ひ給へ。
聖ニコライよ、怠惰の眠に耽りたる我を爾の熱切にして聖なる轉達を以て起し給へ。
成聖者ニコライよ、イイスス救世主に我を永遠の苦より救はんことを祈り給へ。
成聖者ニコライよ、爾の祈禱を以て我を世俗の誘惑及び惡鬼の害より護り給へ。
生神女讚詞 生神女よ、我等に存在を賜ふ主は爾の胎内に入り給へり。彼に我等を救はんことを祈り給へ。
第六歌頌
イルモス 誘惑の猛風にて浪の立ち揚がる世の海を觀て、爾の穩なる港に著きて呼ぶ、憐深き主よ、我が生命を淪滅より救ひ給へ。
光榮なる者よ、爾等は聖神の書されたる碑として、實に尊き法を靈の中に有てり、此を以て文の律法を廢して、世界を救ひ給へり。二次。
罪を行ひ、無智にして惡しき風習に循ふ靈よ、亟に轉じて、慈憐なる主に呼べ、言よ、使徒等に由りて我を救ひ給へ。
衆人の爲に屠られし無玷なる羔よ、驚くべく畏るべき爾の降臨の時に、爾の神聖なる傳道師の祈禱に由りて、我を爾の選ばれたる右の羊に合せ給へ。
生神女讚詞 無原なる神の子よ、無形なる役者の會は爾に祈り、門徒の會は爾を生みし者と偕に爾に祈る、爾の民に慈憐を垂れ給へ。
又
イルモス ハリストスよ、我罪の鯨に呑まれて、爾に呼ぶ、預言者の如く我を淪滅より脫れしめ給へ。
ニコライよ、造物は爾を靈智なる燈と有ちて、爾の數へ難き奇跡の光線にて照さる。
爾に趨り附く者の爲に眠らざる祈禱者たるニコライよ、我を怠惰の惡しき眠より脫れしめ給へ。
睿智なるニコライよ、爾は昔非義に死に定められし者を救へり、斯く我をも諸難及び諸罪より救ひ給へ。
生神女讚詞 獨神の恩寵を蒙れる潔き童貞女よ、我常に度生の患難に荒らさるる者を援け給へ。
第七歌頌
イルモス 天使は敬虔なる少者の爲に爐に露を出さしめ、ハルデヤ人を燒く神の命は苦しむる者に呼ばしめたり、吾が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
使徒よ、爾等は言の釣を以て衆を迷の深處より引き出して、我等の爲に屠られし言に攜へ來りて、彼に歌へり、吾が先祖の神は崇め讚めらる。二次。
使徒よ、爾等は形體に現れし神と面を合せて語りて、其光を施す光線にて照されたり。祈る、我を照し給へ、蓋我呼ぶ、吾が先祖の神は崇め讚めらる。
神聖なる門徒等よ、善き牧者に祈りて、我罪惡の山に迷ひし者を尋ねて救はんことを求め給へ。蓋我熱切に呼ぶ、吾が先祖の神は崇め讚めらる。
生神女讚詞 女宰童貞女よ、諸預言者、使徒、及び致命者と偕に爾が生みし者に祈りて、我に地上の惡を免れしめて、天上の福に與るを得しめんことを求め給へ。
又
イルモス 爾の敬虔なる少者の禱を聞きて、燃ゆる爐に露を灑ぎし主、我が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
至福なるニコライよ、爾は神の力を以て異端者の軍を破りて、其誘惑より爾の牧群を救ひ給へり。
航海する者に現れ、苦しめる爾の城邑を養ひし神父ニコライよ、爾の祈禱を以て靈を滅す饑饉より我を援け給へ。
神父ニコライよ、援の爲に爾を呼ぶ者を爾の祈禱を以て堅めて、惡鬼の凶惡なる暴風を鎭め給へ。
生神女讚詞 衆人の女宰、聖なる生神女よ、爾の祈禱を以て我を慾の奴隷より釋き給へ。
第八歌頌
イルモス ハリストスよ、爾は敬虔なる者の爲に焰より露を注ぎ、義人の祭の爲に水より火を出せり、爾は一の望にて萬事を行ひ給へばなり、我等爾を萬世に讚め揚ぐ。
救世主の耕作者たる神聖なる使徒等よ、祈禱の鐮を以て吾が靈の悉くの稗を除き給へ、我が救の實りたる穗を生ぜん爲なり。二次。
見神者よ、爾等は言の耜を以て荒れたる心を新にして、尊き敎を播きて、救はれし者を百倍の穗として穫り給へり。
言の門徒等よ、爾等は敵の凶惡を眠らせて、義者に適ふ眠を以て眠りて、我等の爲に世世に眠らざる祈禱者と爲り給へり。
生神女讚詞 慈憐なる主よ、我を滅えざる火より脫れしめ給へ、諸預言者、致命者、爾の使徒、及び言ひ難く爾を胎内に容れし夫を識らざる童貞女の祈禱に因りてなり。
又
イルモス 爾の敬虔なる少者は爐の中にヘルワィムに效ひて、三聖の歌を歌へり、崇めよ、歌へよ、萬世に讚め揚げよ。
抱神者ニコライよ、爾は至りて光明なる生命の高きに登りし者と現れ、全地に知られて、諸の奇跡を以て暗昧に居る者を照し給ふ。
福たるニコライよ、敬虔に警醒して、爾を尊む者に恩寵を降し、我等に對して仇を構へ、我等を害せんと謀る者の怨を眠らせ給へ。
屬神の力を以て敵の網を悉く破りし神智なる成聖者ニコライよ、爾の祈禱を以て我を此の網より脫れしめて、我が生命を導き給へ。
生神女讚詞 神を生みし童貞女よ、我等爾を歌ふ、蓋爾に因りて詛は空しくなり、凡そ爾獨夫を識らざる神の母を讚美する者に祝福は賜はりたり。
次ぎて生神女の歌を歌ふ、「我が靈は主を崇め」、附唱と共に、及び叩拜。
第九歌頌
イルモス 天使の品位すら見るを得ざる神は、人見る能はず、唯爾至淨の者に藉りて人體を取りし言は人人に現れ給へり。我等彼を崇めて、天軍と偕に爾を讚め揚ぐ。
神聖なる使徒よ、變易せずして人に合せられ、體合を以て死に屬する性を神成せし神を爾等は全世界に傳へて、衆人を無神の迷より解き給へり。故に爾等常に讚美せらる。二次。
肉體の種種の苦を以てハリストスの苦を形りし使徒等よ、吾が肉體の慾を殺して、弱りて苦しみ、且殺されたる吾が靈を活かし給へ。
我迷ひて惡の途を踐み、罪の淵に陷りて苦しむ。人を愛する主よ、我が爲に途と爲りて、我を爾の誡の迷はざる途に向はしめ給へ。
生神女讚詞 ハリストスよ、天使と天使首の品位、權柄と能力、首領と主制、ヘルワィムとセラフィム、寶座及び使徒の會は爾を生みし者と偕に爾に祈る、獨一なる王よ、爾の諸僕を救ひ給へ。
又
イルモス 天使より慶べよを受けて、己の造成主を生みし童貞女よ、爾を讚め揚ぐる者を救ひ給へ。
成聖者の飾、奇跡の泉たるニコライよ、人を愛する主神に祈りて、我等に諸罪の赦を得しめ給へ。
ニコライよ、昔俘囚を死より救ひし如く、斯く我等をも度生の誘惑より救ひ給へ。
ニコライよ、爾はリキヤのミラに葬られ、常に香料を流して、諸慾の惡臭を拂ひ給ふ。
造成主の降臨は門の側に在り、吾が靈よ、怠る勿れ、乃呼べ、ハリストスよ、ニコライの祈禱に由りて我を救ひ給へ。
生神女讚詞 光を生みし讚美たる者よ、吾が心の昧みたる眸子を照し給へ、我が爾に依りて救はれて、爾を歌はん爲なり。
次ぎて「常に福にして」、及び叩拜。小聯禱、光耀歌、及び常例の聖詠。
挿句に使徒の讚頌、第六調。
ハリストスの使徒よ、爾等は睿智にして惡鬼の迷の暴風を鎭めて穩靜と爲し、全世界に醇正の敎を授けたり。今は我等の靈の爲に祈り給へ。
句 主よ、夙に爾の憐を以て我等に飽かしめよ、然せば我等生涯歡び樂しまん。爾我等を撲ちし日、我等が禍に遭ひし年に代へて、我等を樂しましめ給へ。願はくは爾の工作は爾の諸僕に著れ、爾の光榮は其諸子に著れん。
我等信者はハリストス我が王の睿智なる門徒の記憶を宜しきに合ひて歌を以て尊まん、彼等は聖三者を信ずる信を世界に傳へたればなり。
句 願はくは主吾が神の惠は我等に在らん、願はくは我が手の工作を我等に助け給へ、我が手の工作を助け給へ。
致命者讚詞 我が神は其選びたる聖者を奇異なる者と爲し給へり。彼の諸僕よ、喜びて樂しめ、彼は爾等の爲に榮冠と己の國とを備へたればなり。惟爾等に祈る、我等をも忘るる勿れ。
光榮、今も、生神女讚詞 悲しむ者の慰藉、病む者の醫治、戰ふ者の和睦、暴風に遇ふ者の安靜たる衆に歌はるる生神女、獨信者の轉達なる者よ、都邑と民とを救ひ給へ。
次ぎて「至上者よ、主を讚榮し」。聖三祝文。「天に在す」の後に諸讚詞、及び聯禱。次に第一時課、常例の聖詠、其他、及び發放詞。
木曜日の聖体礼儀に
木曜日の眞福詞、第六調。
神我が救世主よ、爾の國に來らん時我を憶ひて、我を救ひ給へ、爾獨人を愛する主なればなり。
句 義の爲に窘逐せらるる者は福なり、天國は彼等の有なればなり。
光榮なる使徒よ、爾等は奧妙なる光線の如く世界を過りて、敎を以て人類を照し給へり。
句 人我の爲に爾等を詬り、窘逐し、爾等の事を僞りて諸の惡しき言を言はん時は、爾等福なり。
光照せられし主の使徒よ、爾等は雲の如く神聖なる智識の水を世界に注ぎ給へり。
句 喜び樂しめよ、天には爾等の賞多ければなり。
致命者よ、爾等は苦の火に近づきて、爾等を凉しくする神聖なる露を神より受け給へり。
光榮 我等信者は尊榮なる聖三者に伏拜して、同心に呼ばん、使徒等の祈禱に由りて我等衆を救ひ給へ。
今も 言に超えて父と同無原なる言を生みし生神女よ、我等の靈の救はれんことを彼に祈り給へ。
木曜日の晩課
「主よ、爾に籲ぶ」に十字架の讚頌、第六調。
句 主よ、若し爾不法を糾さば、主よ、孰か能く立たん。然れども爾に赦あり、人の爾の前に敬まん爲なり。
恒忍にして仁愛なる我が神、大仁慈にして洪恩なる主よ、如何ぞ爾は人類の爲に木の上に屠られて殺さるることを忍びたる。我等は爾の慈憐を讚榮す。
句 我主を望み、我が靈主を望み、我彼の言を恃む。
恒忍にして至仁なる主、獨生命を賜ふ者よ、爾は衆人を詭譎の者より救はんと欲して、頰を批たれ、十字架に釘せられ、辱を受けて、一切を忍び給へり。
句 我が靈主を待つこと、番人の旦を待ち、番人の旦を待つより甚し。
牧者よ、爾は十字架に上り、手を伸べて呼べり、迷に由りて昧まされし人人よ、我に來りて照されよ、我は光なればなり。獨光を賜ふ主よ、光榮は爾に歸す。
又生神女の讚頌、同調。
句 願はくはイズライリは主を恃まん、蓋憐は主にあり、大なる贖も彼にあり、彼はイズライリを其悉くの不法より贖はん。
童貞女よ、諸罪の大なる重任に因りて傴みたる吾が靈を起し給へ、爾は倒されし者を起し給ふ救世主、輙く母の勇敢を容るる者を有てばなり。祈る、爾の轉達を以て我が罪の書券を破り給へ、爾の大なる慈憐に因りてなり。
句 萬民よ、主を讚め揚げよ、萬族よ、彼を崇め讚めよ。
生神女よ、我罪に緣りて失望し、不法にて汚され、神の命を輕ぜし者を顧みて、爾の顏より退くる勿れ、爾は我の恃賴及び轉達なればなり。求む、我が禱を聽きて、我を凡の汚より潔め給へ、爾の大なる慈憐に因りてなり。
句 蓋彼が我等に施す憐は大なり、主の眞實は永く存す。
至聖なる者よ、我が爲に痛悔の門を啓き、我に淚の泉を與へ、傷感と貞潔の心とを賜へ、我獨爾を堅固なる轉達と有ちて、我が悉くの恃賴を爾に負はすればなり。女宰よ、我を耻を蒙れる者として退くる勿れ、我を容れて救ひ給へ、爾の大なる慈憐に因りてなり。
光榮、今も、十字架生神女讚詞 至淨なる者は爾が木に釘せらるるを見て呼べり、鳴呼吾が子及び神よ、爾が大仁慈に由りて忍び給ふ此の至榮にして奇妙なる顯現は何ぞや。
次ぎて「穩なる光」。本日の提綱、我が助は天地を造りし主より來る。
句 我目を擧げて山を望む、我が援助は彼處より來らん。
次に「主よ、我等を守り、罪なくして此の晩」。
挿句に十字架の讚頌、第六調。
主よ、爾の十字架は爾の人人の爲に生命及び保護なり。我等之を恃みて、爾身にて釘せられし我が神を歌ふ、我等を憐み給へ。
句 天に居る者よ、我目を擧げて爾を望む。視よ、僕の目主人の手を望み、婢の目主婦の手を望むが如く、我等の目は主我が神を望みて、其我等を憐むを俟つ。
主よ、爾の十字架は人類の爲に樂園を啓けり。我等朽壞より救はれて、爾身にて釘せられし我が神を歌ふ、我等を憐み給へ。
句 主よ、我等を憐み、我等を憐み給へ、蓋我等は侮に饜き足れり、我等の靈は驕る者の辱と誇る者の侮とに饜き足れり。
致命者讚詞 主よ、爾の致命者は爾を諱まざりき、爾の誡より離れざりき。彼等の祈禱に因りて我等を憐み給へ。
光榮、今も、十字架生神女讚詞 童貞女は童貞の門徒と偕に曾て主の釘せらるる時十字架の側に立ちて、泣きて呼べり、鳴呼衆人を苦より釋き給ふハリストスよ、如何ぞ爾苦を受くる。
次ぎて「主宰よ、今爾の言に循ひ」。聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞。聯禱及び發放詞。
木曜日の晩堂課
至聖なる生神女の規程、其冠詞は、童貞女よ、我に痛悔の淚を與へ給へ。第六調。
第一歌頌
イルモス イズライリは陸の如く淵を蹈み渡り、追ひ詰めしファラオンの溺るるを見て呼べり、凱歌を神に奉らん。
潔き童貞女よ、不當なる口、不潔なる唇より畏なく奉る吾が祈禱を納れて、傷感の光を爾の僕に輝かし給へ。
潔き童貞女母よ、爾の祈禱を以て我に淚の雨を與へ給へ、我が地上に行ひし諸罪の爲に熱切に泣きて、爾に依りて凡の苦より逃れん爲なり。
光榮 仁慈の泉を生みし者よ、我が涕泣を退くる勿れ。至仁なる生神女よ、爾の慈ある眼を以て慈憐にして我が靈の諸慾を醫し給へ。
今も 吾が靈よ、歎息し、流涕し、己の爲に痛く泣きて、神の母に伏拜して言へ、我罪なる者を畏るべき苦より救ひ給へ。
第三歌頌
イルモス 爾が信者の角を高うし、我等を爾が承認の石に堅めし仁慈の主、吾が神よ、爾と均しく聖なるはなし。
至聖至潔なる童貞女よ、罪を行ひしこと我の如きはなし、我無量なる惡しき念の奴隷と爲れり。惟爾を恃みて祈る、此等より我を釋き給へ。
視よ、惡敵は我を攻めて、多くの傷を負はせ、我を俘囚にして、我が靈を滅亾に引く。
光榮 至聖なる童貞女よ、我が罪は甚多し。故に我卑微なる者は熱信に俯伏して爾に呼ぶ、爾が身にて生みし主に畏るべき時に於て我に憐を垂れんことを祈り給へ。
今も 聖なる生神女よ、我凡の定罪に當る者を援けて、神の前に母の勇敢を有つ者として、我を彼の宮に入れ給へ。
第四歌頌
イルモス 尊き敎會は淨き心より主の爲に祝ひ、神に適ひて呼び歌ふ、ハリストスは吾が力と神と主なり。
女宰よ、我に淚の泉を賜へ、我が卑微なる我の靈の汚を滌ひて、曾て蛇の勸に由りて失ひし華美を獲ん爲なり。
我が仁慈なる神、仁愛なる神、慈憐の泉よ、今爾の慈憐を我に注ぎ給へ。我が恃賴及び轉達者なる爾の母は爾に祈る。
光榮 至りて無玷なる童貞女よ、我放蕩の者、我至りて不當なる者、智慧なく耻なくして多く爾の前に罪を犯しし者を憐みて救ひ、「ゲエンナ」より脫れしめ給へ。
今も 潔き者よ、爾は萬衆の生命を生みて、死の草場を空しくせり。故に我も爾に呼ぶ、我罪を犯せり、爾の母たる祈禱を以て我を救ひ給へ。
第五歌頌
イルモス 至仁なる神の言よ、切に祈る、爾に朝の祈禱を奉る者の靈を爾が神の光にて照して、爾罪の暗より呼び出す眞の神を知らしめ給へ。
潔き者よ、我悉くの我が望を爾に負はせし者を憐み給へ。熱信に爾に呼ぶ、吾が靈の惡慾を一切顧みずして、我を宥め給へ。
童貞女よ、我を諸慾、憂愁と災禍、及び凶惡なる諸敵より救ひ、我が卑微なる靈を其攻擊より脫れしめ給へ、我が敵が我は彼に勝てりと曰はざらん爲なり。
光榮 體と靈との至潔至淨なる者よ、現れて我が靈を汚より淨め、我に潔く生を度るを賜ひて、我を主の神聖なる旨を行ふに導き給へ。
今も 生神女よ、我多くの罪の中に生を費しし者は獨爾を避所及び神の前の轉達と有てり。故に祈る、爾我を宥め給へ。
第六歌頌
イルモス 誘惑の猛風にて浪の立ち揚がる世の海を觀て、爾の穩なる港に著きて呼ぶ、憐深き主よ、我が生命を淪滅より救ひ給へ。
女宰よ、我が僅なる歎息と手を擧ぐることとを芳しき祭の如く納れて、我に潔き良心を以て爾の顏を見るを得しめ給へ。
慈憐なる女宰、爾の胎内より輝き出でたる仁慈なる神の母よ、我が禱を退くる勿れ、我に終の至らざる先に神聖なる赦罪を與へ給へ。
光榮 我至りて不當なる者は諸慾に誘はれて、神より遠かりたり。仁慈なる童貞女よ、我を救はんことを彼に祈り給へ、我爾に趨り附きたればなり、慈憐の衣にて我を飾り給へ。
今も 火なるイイススは爾の胎を焚かずして、身を以て爾より出で給へり。潔き童貞女よ、信を以て爾を歌頌する者を火及び凡の苦より脫れしめんことを彼に祈り給へ。
次ぎて主憐めよ、三次。光榮、今も、
坐誦讚詞、第六調。
潔淨尊榮なる童貞女、諸天使の光榮、獨祝讚せらるる者よ、爾は己の子及び神の十字架の側に立てる時、敵の殘害に忍びずして、涕泣し歎息して呼べり、如何ぞ仁愛なる主は彼に行ふ此等の事を忍ぶ。
第七歌頌
イルモス 少者はワワィロンに於て爐の焰を懼れざりき、乃火の中に投げられて、霑されて歌へり、主吾が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
嗚呼吾が靈よ、行ひし諸惡より起きよ、何ぞ寢ぬる、何ぞ煩悶の眠の中に臥す。生神女に呼べ、至聖なる者よ、我を助け給へ。
至聖なる者よ、我爾の像の形を尊べども敢て爾に目を擧ぐるを得ず。祈る、我に罪債の赦を與へて、淸き心を以て爾の至淨なる聖像を見るを得しめ給へ。
光榮 神の母よ、我爾の轉達に趨り附き、俯伏して罪の赦を乞ふ。女宰よ、我を退くる勿れ、憐みて我を救ひ給へ。
今も 我靈を害する敵の多種の惡に由りて心と智慧とを汚せり。至淨なる者よ、爾に祈る、我を棄てずして、其誘惑より爾の僕を脫れしめ給へ。
第八歌頌
イルモス 福たる少者はワワィロンに於て先祖の律の爲に危を顧みずして、君の無知なる命を輕じ、火に擲たれて其中に焚かれずして、全能者に適ふ歌を歌へり、造物は主を歌ひて萬世に崇め讚めよ。
我無量に罪を行ひて、諸罪の中に吾が肉體を汚しし無知なる者は、義なる審判の日を思ふ時、悶えて懼れ、驚き戰きて爾の慈憐に俯伏す。女宰よ、我を退くる毋れ、我が憂を見て、凡の定罪及び多種の苦より脫れしめ給へ。
我不當の者は神の法を輕じて、怠惰の中に臥す。至淨なる者よ、我を顧み、亟に起して、救はれし者の分に與らしめ給へ、我が歡びて爾に呼ばん爲なり、世界の歡喜、信を以て爾の堅固なる帲幪を呼ぶ者の爲の獨の轉達者よ、慶べ。
光榮 嗚呼吾が靈よ、畏るべき審判に天使等が畏れ戰きて立たん時、我等其時如何なる畏懼と戰慄とを以て立たんか。生神女を仁慈なる轉達者と有ちて、膝を屈め、手を上に擧げて呼べ、童貞女よ、其時爾の慈憐なる眼を以て我を顧みて宥め給へ。
今も 讚美たる生神女よ、今爾の轉達に耻を得ざる力あることを示し給へ、蓋爾の子は宜しきに合ひて母の禱に傾かん。潔き童貞女よ、今急迫の時に亟に援け給へ、我が備を爲さざる者として世を去らずして、復生きん爲なり。
第九歌頌
イルモス 母よ、我爾が種なくして孕みし子の柩に在るを見て泣く毋れ、蓋我起きて光榮を獲、神なるに因りて、常に信と愛とを以て爾を讚揚する者を光榮の中に高くせん。
童貞女よ、爾に祈る、願はくは我天上の光榮に與る者と爲らん。至淨なる者よ、我を宥めて、無量の罪債を赦し、知ると知らずして、晝に夜に行ひしことを一切顧みる勿れ、我が喜びて感謝の歌を爾に奉らん爲なり。
少女よ、我を諸の憂より出して、我が足を神聖なる救の石に立て給へ。蓋我今爾を勝たれぬ轉達者として獲て、木に於ける誡に背くに由りて造りし墻及び隔を踰えんことを信ず。
光榮 我爾慈憐なる審判者及び主宰を生みし者に祈る。我が汚れたる口の卑微なる歌を納れて、我衆人に超えて罪を犯しし者を忌む毋れ、我爾の僕は神の前に爾を轉達者として有てばなり。
今も 生神女よ、爾は悉くの造物より上なる者として、爾の腹に身を取りし神を宿し給へり。潔き者よ、彼に熱切に爾の僕を凡の縲絏より釋かんことを禱り給へ、我も自由なる聲を以て爾を讚榮せん爲なり。
次ぎて「常に福にして」、及び叩拜。聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞。其他常例の如し、及び發放詞。
金曜日
金曜日の早課
第一の誦文の後に十字架の坐誦讚詞、第六調。
獨人を愛する主よ、今日預言者の言は應へり。蓋視よ、我等は爾の足の立ちし處に伏拜し、木に緣る救を嘗めて、生神女の祈禱を以て罪に緣る苦を釋かるるを得たり。
句 主我が神を崇め讚め、其足凳に伏し拜めよ、是れ聖なり。
ハリストス主よ、爾の十字架の木の樹てられしのみにして、死の基は動けり、蓋地獄は貪りて呑みし者を戰きて放てり。聖なる者よ、爾は其爲しし救を我等に顯し給へり、故に我等爾を讚揚す。神の子よ、我等を憐み給へ。
光榮、今も、十字架生神女讚詞 生神童貞女、獨無玷なる牝羊よ、爾は潔き爾の血より身を取りし羔の甘じて十字架に懸れるを見て、苦しき淚を流して呼べり、吾が無垢なる子よ、我爾の畏るべき定制を歌ふ。
第二の誦文の後に十字架の坐誦讚詞、第六調。
主よ、爾の十字架は聖にせられたり、蓋此に緣りて諸罪を病む者に醫治は行はる。故に我等爾の前に俯伏す、我等を憐み給へ。
句 神我が古世よりの王は救を地の中に作せり。
主よ、イウデヤ人は爾萬衆の生命を死に定めたり、杖に由りて紅海を濟りし者は爾を十字架に釘せり、磐より蜜を吸ひし者は爾に膽を進めたり。然れども爾は甘じて忍び給へり、我等を敵の奴隷より釋かん爲なり。ハリストス我が神よ、光榮は爾に歸す。
光榮、今も、十字架生神女讚詞 童貞女母は無欲にして智慧に超えて彼より身を取りし者の十字架の側に立ち、母として淚を流して呼べり、鳴呼吾が子及び神よ、我は爾地上に在る者に呼吸を與ふる主の死者として懸れるを見るに忍びず。
第三の誦文の後に坐誦讚詞、第六調。
十字架、惡魔を逐ふ者、病者を醫す者、信者の能力及び保護、諸王の勝利、正敎者の眞の譽、ハリストスの敎會の固なる祝福せられたる木よ、我等の爲に盾と墻及び守護者と爲れ。
言よ、爾は慈憐と仁慈とに因りて十字架の木に升り、戈を以て脅を刺されて、全能の神として、我等の罪の書券を破り給へり。故に我等敬虔に爾の言ひ難き定制を歌ふ。
致命者讚詞 主よ、爾は常に諸義人の爲に光なり、蓋聖なる者は爾に照され、絕えず光體の如く輝きて、不虔者の燈を滅す。我が救世主よ、彼等の祈禱に因りて我が燈を輝かして、我を救ひ給へ。
光榮、今も、十字架生神女讚詞 至聖なる生神女よ、我が生ける中我を棄つる勿れ、我を人の轉達に委ぬる勿れ、乃親ら我を護りて救ひ給へ。
尊貴にして生命を施す十字架の規程、第六調。
第一歌頌
イルモス 昔逐ひつめし窘迫者を海の浪にて匿しし主を、救はれし者の子は土の下に匿せり。然れども我等は童女の如く主に歌はん、彼嚴に光榮を顯したればなり。
爾は己の尊き苦を以て耻を蒙りたる人の性を尊くし給へり。故に我等畏を以て爾を尊み、爾の權柄を崇めて、忠信に讚榮す、爾嚴に光榮を顯したればなり。
全能の言よ、爾は己の血を以て血の不義なる流を止め、人の性を惡の汚より淨め給へり。故に我等救はるる者は爾の權柄を讚榮す。
致命者讚詞 致命者は譽めらるべき抗敵を以て實に殘忍なる猛獸に勝ち、神聖なる恩寵の露を以て火の性を服せしめ、多神の烈しき暴風を鎭めたり。
致命者讚詞 致命者よ、爾等は血の雨を以て無神の迷の河を涸らして、世界の爲に醫治の雨を注ぎ、諸慾の焰を滅し給ふ。故に爾等讚美せらる。
生神女讚詞 婚姻に與らざる少女は爾人の子より美しき者、信者の飾たる者が苦を受くる時に華榮も姿容もなきを見て、母として哭き、愛を以て爾を讚榮せり。
又至聖なる生神女の規程。
第一歌頌
調及びイルモス同上
至淨なる童貞女、恩寵を蒙れる光榮なるマリヤ、歡喜の中保者よ、爾を歌ふ者に神聖なる恩惠を蒙らしめ給へ、我等が感謝の歌を爾に奉らん爲なり。
神の母よ、爾の奧密は至大なる哉、蓋爾は造物の女宰と現れて、天使の軍の敢て見るを得ざる主を爾の手に抱き給へり。故に我等爾を讚頌す。
原母が木の果を食ふに因りて全人類は死の朽壞に定められたり。潔き者よ、爾に由りて彼は喚び起されたり、爾不朽の生命を生みたればなり。
第三歌頌
イルモス 造物は爾、全地を寄する所なくして水の上に懸けし者が、髑髏の處に懸かれるを覩て、大く懼れ、戰きて籲べり、主よ、爾の外に聖なるはなし。
主よ、日は爾、全地を寄する所なくして水の上に懸けし者が木の上に擧げられて、脅を刺さるるを見て、爾が萬有の光照なるを知りて、晦みたり。
恒忍なる主よ、昔樂園に於てアダムに傷つけし凶惡者は爾の釘を以て傷つけらる。彼は傷つけられて、醫されぬ者として世世に止まり、衆信者は凡の傷の醫治を得たり。
致命者讚詞 天使の會は致命者の群が屠られし羔の爲に寸斷せらるるを見る時驚けり、如何ぞ形體の者は無形の敵に勝ちて、勝利の榮冠を受くる。
致命者讚詞 聖なる者は獨能はざる所なく强き主の力を衣せられて、敵と格鬪し、其强からざる力を踐みて、神より榮冠を受けたり。
生神女讚詞 純潔無玷なる童貞女よ、爾より生れし主が戈を以て傷つけられしを見し時、爾は心に傷つけられて、奇として言へり、子よ、至りて不法なる會は何をか爾に報いたる。
又 イルモス同上
神の母よ、昔敵は詭譎を以て我の内に神と爲らんとする望を起して、我をエデムより出し、地に斃して壞れり。今はハリストス我を憐み、爾の胎内より身を取りて、我を改め造り給へり。
潔き少女よ、昔爾は預言者イエゼキイリに生命の門と現れたり、獨身を取りし主は此を過り、至上者なるに因りて、之を閉ぢたる者として護り給へり。
至淨なる神の母よ、爾の中保を以て古の詛の定罪は釋かれたり。蓋主は爾に由りて現れて、至仁なる者として、衆人に豐に祝福を流し給へり。
第四歌頌
イルモス アウワクムは爾が十字架に於ける神聖なる謙虛を先見して、驚きて籲べり、至善の主よ、爾は地獄に居る者と偕に在りて、全能者として强き者の權柄を斷ち給へり。
主よ、爾は不節制に因りて禁ぜられし樹に伸べたる手を除かん爲に木の上に屠られて死せり、定罪せられし者を救はん爲に脅より赦罪を滴らせ給へり。
至仁なる主宰よ、爾は苦を忍びて、我を無智の諸慾より釋き、膽を嘗めて、我に恩寵の甘味を流し、殺されて、我に生命を與へ給へり。
致命者讚詞 ハリストスの受難者は神を愛する愛の火を靈の内に有ちて、至りて不法なる者の焰を滅し、人人を照す燈と現れたり。
致命者讚詞 萬有の王の神聖なる親しき友は肉體に於ける親に離れて、勇ましく種種の苦に進み、勝利を獲て、光榮を被りたり。
生神女讚詞 童貞女は呼べり、我苦に與らずして爾を生みしに、如何ぞ今爾が苦に與るを見る、如何ぞ爾之を忍ぶ。無原なる子よ、我爾の恒忍を讚榮す。
又 イルモス同上
獨萬族の中より選ばれたる至淨なる童貞女、諸德に輝ける尊榮純潔なる者よ、爾の光照を以て爾を歌ふ者を照し給へ。
至淨なる童貞女母、神の恩寵を蒙れる少女よ、爾は潔き爾の血より身を取りし神救世主、凡そ爾を歌ふ者を諸罪より救ふ主を生み給へり。
潔き生神女よ、無形の性は爾の神聖なる產に奉事し、人人の會は愛を以て爾を歌ふ。爾の光を以て我等を照し給へ。
第五歌頌
イルモス 神の言よ、我爾に朝の禱を奉る、蓋爾は仁慈に因りて、變らざる者にして己を罄し、苦しまざる者にして苦を受くるに至れり。人を愛する主よ、我陷りし者に平安を與へ給へ。
仁愛なるハリストスよ、爾は髑髏の處に死者と見られて、爾の身の苦を以て地獄を殺し、姿容も華榮もなく懸けられて、華美を以て人人を飾り給へり。
ハリストスよ、爾は木に釘せられて、初のアダムの慾に緣る詛を破り、戈を以て刺されて、焰の劍に爾の諸僕の爲に入門を禁ぜざるを命じ給へり。
致命者讚詞 致命者の會は主宰の苦に效ひ、己を種種の苦に付して、木に釘せられ、肢體を寸斷せられ、火に水に投げられ、悉く忍びて、其身に於て主の光榮を顯し給へり。
致命者讚詞 ハリストスの致命者は心の貧しき者を高くする主より賜はりたる全備なる智慧を以て智慧の驕れる强暴者に勝ちて、惟一の神の光榮を輝かし給へり。
生神女讚詞 童貞女よ、爾はイエッセイの根より出でて、世界の爲に十字架の木を植ゑたる者を生ぜり。彼は身を以て之に升り、血を流して無神の河を涸し給へり。
又 イルモス同上
神の聘女よ、天に至る梯はイアコフに現れて、明に爾の實に奇妙なる產を像れり。蓋爾に依りて實に神は天より降りて我等と偕に在し、人人に生命を賜へり。
神の母、衆人の爲に樂及び全世界の喜を生みし者よ、爾に依りて我等は原母の悲より救はれて、慰藉に滿てられたり。故に祈る、讚美たる者よ、爾の祈禱を以て爾を歌ふ者を患難より護り給へ。
純潔なる童貞女、神の聘女よ、見神者モイセイは火に焚かれざる棘を見て、爾の奇妙なる產の奧密を敎へられたり。蓋造成主は爾の内に入りて、爾萬物より上なる者を焚かざりき。
第六歌頌
イルモス イオナは鯨の腹に包まれたれども、長く留められざりき。蓋爾苦を受け、葬に付されし者を像りて、猛獸より出でしこと宮より出づる如く、爾の墓を守る者に呼べり、徒に虛しく守る者よ、爾等己の矜恤者を棄てたり。
獨祝讚せらるる主、至仁なる造成主よ、昔イアコフは少者に祝福する時、手を交へて預め十字架を徵せり。至上者よ、爾は之に升りて、人類を古の詛より釋き、今爾を祝讚する者に祝福を流し給ふ。
言よ、昔大なるモイセイは爾の苦を預象し、銅の蛇を木に擧げて、蛇に囓まれて之に目を注ぐ者を毒より援けたり。蓋主宰よ、爾十字架に釘せられしに、我等衆信者は惡むべき蛇の毒害より救はれたり。
致命者讚詞 昔神聖なる尊き受難者は永遠の報及び歡喜に目を注ぎて、他人の身に於けるが如く苦を受けたり。洪恩なるハリストスよ、彼等の祈禱に因りて、爾を歌ふ者を誘惑、諸罪、及び患難より救ひ給へ。
致命者讚詞 尊貴神聖なる受難者よ、爾等は血の流を以て迷の河を止めて、信者の爲に實に神智の水を流す泉と現れ給へり。世界の救主よ、彼等の祈禱に因りて、衆人に赦免、生命、諸罪の潔淨、及び大なる憐を注ぎ給へ。
生神女讚詞 童貞女よ、爾は牧師長及び主宰が木の上に擧げられしを見て、母として哭きて呼べり、子よ、此の新なる奧密は何ぞや、如何ぞ爾性の不死なる者は人人を朽壞より救はんと欲して死を受けたる。
又 イルモス同上
生神女よ、律法の預象と諸預言者の預言とは爾世界の爲に救主を生まんとする者を現したり。彼は萬物の恩主にして、信と愛とを以て爾潔き女宰を讚揚する者に多方を以て諸恩を降し給ふ。
昔神に初めて造られし者は殺人者なる敵の誘惑に因りて樂園の食より遠かれり。獨神の母よ、爾救世主を生みて、復彼等を樂園に升せたり、蓋主は此が爲に甘じて十字架と葬とを忍び給へり。
潔き女宰よ、神聖なる旨と全能の力とを以て萬物を無より造りし主は爾の潔き胎内より神人として出でて、先に無智の闇に在りし者を神妙なる光を以て明に照し給へり。
第七歌頌
イルモス 言ひ盡されぬ哉奇蹟や、爐に於て敬虔の少者を焰より救ひし者は、氣絕えし死者として柩に置かる、我等、贖罪主神よ、爾は崇め讚めらると歌ふ者の救の爲なり。
エウレイの會が爾を十字架に擧げし時、地は見て畏れ、日は其光を匿し、暗昧に居る者は光を見て歌へり、贖罪主神よ、爾は崇め讚めらる。
ハリストス神救世主よ、爾は甘じて辱を忍び、葦にて擊たれ、王として棘の冠を冠り給へり、我等、贖罪主神よ、爾は崇め讚めらると歌ふ者の救の爲なり。
致命者讚詞 讚美たる致命者よ、爾等は縛られて、惡魔の悉くの迷を解き、苦及び非義なる死を忍びて、上なる生命を受けて呼ぶ、贖罪主神よ、爾は崇め讚めらる。
致命者讚詞 讚美たる致命者よ、爾等は焰の中に立ちて、明に迷を焚き、神聖なる恩寵の注ぐに因りて焚かれずして歌ひて呼べり、贖罪主神よ、爾は崇め讚めらる。
生神女讚詞 生神女は呼べり、無原なる子よ、爾甘じて十字架に釘せらるるに、我今之を見て、吾が靈悲に沈む。爾は死して、贖罪主神よ、爾は崇め讚めらると歌ふ者に生命を賜ふ。
又 イルモス同上
神の母よ、主は爾諸德の華美に極めて妝はれたる者を愛し、爾より身を取りて、我等を救ひて呼ばしむ、潔き者よ、爾の腹の果は祝福せられたり。
至淨なる者よ、主宰は爾を荊棘の中の百合花として獲て、爾の屬神の美なる香氣を我等に滿たし、傷感を以て彼に呼ばしむ、贖罪主神よ、爾は崇め讚めらる。
潔き者よ、聖なる諸預言者は爾の神聖なる產の預象を見て、爾を讚榮して呼べり、神は童貞女より來らん、贖罪主神よ、爾は崇め讚めらると呼ぶ者を救はん爲なり。
第八歌頌
イルモス 天よ、畏れて戰け、地の基は動くべし、蓋視よ、至高きに居る者は死者に加へられ、小き柩に置かる。少者よ、彼を崇め讚めよ、司祭よ、讚め歌へ、民よ、萬世に尊み崇めよ。
ハリストスよ、爾は望みし十字架の苦の杯を飮みて、生命を施す脅より我肋骨に由りて死せし者の爲に赦免の泉を流し給へり。我爾を歌ひて唱ふ、司祭よ、讚め歌へ、民よ、萬世に尊み崇めよ。
生命を施す主イイススよ、不法なる民が爾を不法者の間に十字架に釘せし時、地は震ひ、衆は畏を以て歌へり、童子よ、崇め讚めよ、司祭よ、讚め歌へ、民よ、萬世に尊み崇めよ。
致命者讚詞 受難者よ、爾等の死は神の目の前に貴くなれり。蓋爾等は多くの苦を受けて、ハリストスの尊き苦に與る者と爲りて、同心に呼ぶ、童子よ、崇め讚めよ、司祭よ、讚め歌へ、民よ、萬世に尊み崇めよ。
致命者讚詞 致命者よ、爾等が諸敵と戰ひし武器は實に肉に屬するにあらずして、望と信と眞實なり。此を以て爾等は神の惠を得て、天使の會に合せられて、主宰に呼ぶ、司祭よ、讚め歌へ、民よ、萬世に尊み崇めよ。
生神女讚詞 生神女は呼べり、至上にして無原なる子よ、爾は辱しめらるること、唾せらるること、葦にて擊たるること、及び十字架を忍び給ふ、我爾の恒忍を讚榮す。童子は之を崇め讚め、司祭は讚め歌ひ、民は萬世に尊み崇む。
又 イルモス同上
潔き童貞女よ、爾は神聖なるダニイルに截られざる山と預見せられたり、蓋石たるハリストスは爾より獨、人の手に由らずして截られたり。童子よ、彼を崇め讚めよ、司祭よ、讚め歌へ、民よ、萬世に尊み崇めよ。
潔き少女、永貞童女よ、天上の軍は常に歌を以て爾の產を讚榮し、爾をも我等と偕に神の母として欣ばしく歌ふ。童子は爾を崇め讚め、司祭は讚め歌ひ、民は萬世に尊み崇む。
潔きマリヤ、神の母よ、爾の光の光線を以て今爾を眞の生神女と承け認むる者を照し給へ、蓋爾は光の居所と現れたり。我等信を以て爾に呼ぶ、讚美讚榮せらるる童貞女よ、萬世に慶べ。
次に生神女の歌を歌ふ、「我が靈は主を崇め」、及び躬拜。
第九歌頌
イルモス 母よ、我爾が種なくして孕みし子の柩に在るを見て泣く毋れ、蓋我起きて光榮を獲、神なるに因りて、常に信と愛とを以て爾を讚揚する者を光榮の中に高くせん。
獨一の救世主よ、木の果の甘き食の爲に朽ちたる者を朽壞より救はん爲に、爾は仁慈なる主として、身を以て釘せられ、殺さるるを甘じ給へり。イイススよ、我等絕えず爾の大なる仁慈と能力とを歌ふ。
嗚呼救世主よ、如何にして爾十字架に釘せらるる苦を忍びて、我等を甚しき苦より出したる、如何にして棘を冠りて、諸慾の棘を悉く焚きたる、如何にして膽を飮ませられて、我等の爲に樂の杯を調和したる。
致命者讚詞 受難者よ、爾等は責められ、獄に投ぜられ、寸斷せられ、無慙に刃輪に舒べられ、猛獸の食に畀へられて、ハリストス萬有の主宰を諱まざりき。
致命者讚詞 受難者の至りて光明なる記憶は日の光線よりも明に輝きて、常に敬虔者の靈を照し、諸慾と誘惑との闇を退け、惡鬼の最深き暗昧を散ず。
生神女讚詞 至淨なる女宰よ、爾は萬物を持つ主、我等を戰ふ敵の手より脫れしめし者を持ちて、嬰兒として手に抱けり。爾は又我等を惡の陷穽より救ひし主が十字架の木に擧げられしを見給へり。
又 イルモス同上
潔き神の母よ、爾は性に超えて我等の爲に永遠の喜悅と生命との中保者と現れたり、蓋萬衆の救主、地の面より凡の淚を拭ひて、衆人に喜悅を賜ひし者を生み賜へり。
生神女よ、爾の先祖ダワィドは歌ひて爾を預象して匱と名づけ、モイセイは爾生神女を神聖なる「マンナ」の金の壺と名づけたり、蓋獨爾は永久に父の懷に在す主を己の内に容れ給へり。故に我等歌を以て爾を讚榮す。
女宰よ、爾は實に萬物より上なる者なり、蓋身を以て萬有の神を生み給へり。故に我等爾を轉達者と確なる倚賴、及び堅固なる垣墻として有ちて、爾に依りて救を獲んことを信ず。
次ぎて「常に福にして」。小聯禱、光耀歌、及び其他。
挿句に十字架の讚頌、第六調。
我十字架に由りて恃賴を有ち、此に由りて誇りて呼ぶ、人を愛する主よ、爾を神及び人と承け認めざる者の驕を倒し給へ。
句 主よ、夙に爾の憐を以て我等に飽かしめよ、然せば我等生涯歡び樂しまん。爾我等を撲ちし日、我等が禍に遭ひし年に代へて、我等を樂しましめ給へ。願はくは爾の工作は爾の諸僕に著れ、爾の光榮は其諸子に著れん。
我等は十字架に防ぎ護られて、敵と戰ひて、其惡謀と攻擊とを畏れず。蓋彼は傲慢の者にして、木に釘せられしハリストスの力を以て空しくせられて蹂まれたり。
句 願はくは主吾が神の惠は我等に在らん、願はくは我が手の工作を我等に助け給へ、我が手の工作を助け給へ。
致命者讚詞 主よ、爾の聖者の記憶に於て悉くの造物は祭る、天は天使等と偕に喜び、地は人人と偕に樂しむ。彼等の祈禱に由りて我等を憐み給へ。
光榮、今も、十字架生神女讚詞 潔き母童貞女よ、我人として木に釘せられて殺され、死者として墓に置かれたれども、神として光榮を以て三日目に復活せん。
次ぎて「至上者よ、主を讚榮し」。聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞。聯禱。次に第一時課、常例の聖詠、其他、幷びに發放詞。
金曜日の聖体礼儀に
金曜日の眞福詞、第六調。
神我が救世主よ、爾の國に來らん時我を憶ひて、我を救ひ給へ、爾獨人を愛する主なればなり。
句 義の爲に窘逐せらるる者は福なり、天國は彼等の有なればなり。
ハリストス我が神よ、爾は木の上に手を伸べ、異邦民を抱きて、爾の慈憐を歌はしめ給へり。
句 人我の爲に爾等を詬り、窘逐し、爾等の事を僞りて諸の惡しき言を言はん時は、爾等福なり。
ハリストスよ、爾は甘じて木に釘せられて、爾の力を以て傲慢の者の螫刺を全く折り給へり。
句 喜び樂しめよ、天には爾等の賞多ければなり。
苦を樂しみし受難者よ、爾等は樂園の樂を獲て、恒に世界の爲に祈り給ふ。
光榮 父、子、及び同寶座の聖神、主よ、我等爾の諸僕を凡の苦より脫れしめ給へ。
今も 主よ、童貞女は爾が十字架に釘せられしを見て、歎息して泣けり。彼の祈禱に由りて我等を救ひ給へ。
金曜日の晩課
「主よ、爾に籲ぶ」に聖致命者と成聖者と克肖者との讚頌。第六調。
句 主よ、若し爾不法を糾さば、主よ、孰か能く立たん。然れども爾に赦あり、人の爾の前に敬まん爲なり。
衆致命者の會はハリストスの苦の蹤に隨ひ、勇ましく多くの功勞を顯して、彼を不虔なる苛虐者及び不法なる諸王の前に神として傳へ、多くの苦を忍びて、天の尊榮を獲んことを望めり。今之を獲て喜びて、無形なる軍の衆品と偕に主の前に立ち給ふ。
句 我主を望み、我が靈主を望み、我彼の言を恃む。
第一の牧者たるハリストスに肖たる者と爲りし聖にせられし諸牧師よ、爾等は神の選びたる群を害なく終に至るまで護り、殘忍なる狼を逐ひて、神の寶を全うして天の牢に登せ給へり。故に今彼處に居る者として、愛を以て爾等を讚美する我等を記念して、勇ましく我が靈の爲にハリストスに祈り給へ。
句 我が靈主を待つこと、番人の旦を待ち、番人の旦を待つより甚し。
克肖なる諸神父よ、爾等は敬虔に生を度りて、惡鬼に勝ち、諸慾の炎を滅し、玷なき良心を守りて、今天の軍と共に喜ぶ。蓋形體に在りて彼の無形體の者の生命に肖たる者と爲り給へり。彼等と偕にハリストス至仁なる神に爾等を尊む者を墮落より救はんことを祈り給へ。
又讚頌、同調。
句 願はくはイズライリは主を恃まん、蓋憐は主にあり、大なる贖も彼にあり、彼はイズライリを其悉くの不法より贖はん。
致命者讚詞 主よ、爾の致命者は爾を諱まざりき、爾の誡より離れざりき。彼等の祈禱に因りて我等を憐み給へ。
句 萬民よ、主を讚め揚げよ、萬族よ、彼を崇め讚めよ。
復上の致命者讚詞を誦す。
句 蓋彼が我等に施す憐は大なり、主の眞實は永く存す。
受難者致命者、天の住民たる者は地上に苦しみて、多くの苦難を忍びたり。主よ、彼等の祈禱冀願に因りて我等衆を護り給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 至聖なる童貞女よ、誰か爾を讚美せざらん、誰か爾の至りて淨き產を歌はざらん。世の無き先に父より光る獨生の子は爾淨き者より言ひ難く身を取りて出で、本性の神は我等の爲に本性の人と爲れり、其位一にして相分れず、其性二にして相失はず。淨くして至りて福なる者よ、我が靈の憐を蒙らんことを彼に禱り給へ。
次ぎて「穩なる光」。本日の提綱。
挿句に致命者の讚頌、第六調。
ハリストスよ、受難者は爾の爲に多くの苦を忍びしに因りて、天に於て完美なる榮冠を受けたり、我等の靈の爲に祈らん爲なり。
主よ、爾の十字架は致命者の爲に勝たれぬ武器と爲れり、蓋彼等は己の前に死を見、來世の生命を先見して、爾に於ける恃賴を以て堅められたり。彼等の禱に由りて我等を憐み給へ。
死者の讚頌
爾が造成の命は我が爲に初始及び合成と爲れり、蓋爾は見ゆると見えざる性より我生ける者を合せんと欲して、我の體を土より造り、生命を施す神妙なる爾の噓にて我に靈を與へ給へり。故に救世主よ、爾の諸僕を生ける者の地に、義人等の住所に安ぜしめ給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 ハリストスよ、爾を生みし者と、爾の致命者、使徒、預言者、成聖者、克肖者、義者、及び衆聖人の祈禱に由りて、寢りし爾の諸僕を安息せしめ給へ。
金曜日の晩堂課
至聖なる生神女に祈る規程、第六調。
第一歌頌
イルモス 佑け護る者顯れて、我が救と爲れり、彼は吾が神なり、我彼を讚め揚げん、彼は我が父の神なり、我彼を尊み頌はん、彼巖に光榮を顯したればなり。
附唱 至聖なる生神女よ、我等を救ひ給へ。
仁慈潔淨なる童貞女よ、我を退くる勿れ、忌む勿れ、我熱心に爾の慈憐の下に趨り附く者を棄つる勿れ、乃我を爾にある恩寵に飽かしめ給へ。
仁慈なる生神女、憂ふる者の保護者よ、我が靈よりする歎息を受けて、我が行ひし無量の惡より我を救ひ給へ。
光榮 仁慈なる童貞女、憂ふる者の轉達者よ、我爾の前に俯伏す、生涯を惡の中に送りし我を永遠の火と、幽暗と、淵より脫れしめ給へ。
今も 嗚呼我が救世主イイススよ、我無量に爾の前に罪を犯しし者は如何にして赦を爾に求めん。我唯爾を生みし潔き者を轉達者として爾に進む、我を憐みて救ひ給へ。
第三歌頌
イルモス 主よ、爾の誡の石に我が動ける心を固め給へ、爾獨聖にして主なればなり。
言の母よ、我爾の前に俯伏す、爾の慈憐を以て我を受け給へ。爾の熱切なる祈禱に因りて我求むる者に諸罪の赦を與へ給へ。
女宰よ、我を憐み、我を憐みて、凡の凶惡、諸惡鬼の侵害、及び永遠の苦より脫れしめ給へ。
光榮 女宰よ、我が逸樂の甚しき醉を醒まして、我に痛悔の眞誠なる警醒と救を獲しむる轉正とを與へ給へ。
今も 萬有の主及び宰を言ひ難く生みし生神女よ、彼に爾の牧群を救はんことを祈り給へ。
第四歌頌
イルモス 主よ、預言者は爾の降臨の事を聞き、爾が童貞女より生れ、人人に顯れんと欲するを懼れて曰へり、我爾の風聲を聞きて懼れたり、主よ、光榮は爾の力に歸す。
我逸樂を以て絕えず我が靈の傷を搔くに、我が疾は益加はり、我感覺を失ひて醫されぬ者として止まる。神の母よ、我を憐みて、爾の祈禱を以て我を醫して救ひ給へ。
神の母よ、罪の暗は我が靈を蔽ひ、我ハリストスの誡を知らずして、夜に於けるが如く光の中を行く。神聖なる光を生みし者よ、祈る、我を憐みて照し給へ。
光榮 母童貞女よ、活ける神の言は爾の腹に降り、爾の至淨なる血より我が全き合成を受けて、二性にして一位を以て來り給へり。彼に我等の靈を救はんことを祈り給へ。
今も 我肉慾と一切の逸樂に耽りて、全身朽壞し、汚はしくして忌むべき者と爲れり。至淨なる神の母よ、我を憐みて、爾の慈憐を以て救ひ給へ。
第五歌頌
イルモス 人を愛する主よ、祈る、夜より寤むる者を照し、我をも爾の誡に導き、救世主よ、我に爾の旨を行ふを訓へ給へ。
我不當なる事を行ひて、己の爲に「ゲエンナ」の火を燃し、甚しく神の怒を起せり。潔き者よ、我を援け給へ、我を遺つる勿れ。
至淨なる者よ、我恒に諸罪の赦を求むれども、至りて不法なる事を行ふを止めずして、爾を悲しましむ。信者の潔淨たる者よ、我に慈憐を垂れ給へ。
光榮 潔き者よ、爾の血より生みし完全なる人及び眞の神なるイイススに我等が永遠の火より救はれんことを祈り給へ。
今も 過られぬ門よ、祈る、我が爲に眞の痛悔の門を啓き給へ。衆人の嚮導師なる潔き者よ、我に痛悔の途を示し給へ。
第六歌頌
イルモス 我心を盡して仁慈なる神に籲べり、彼は我が最深き地獄より呼ぶを聆き、我が生命を淪滅より援け給へり。
不當なる思念の浪は今我を沈む。女宰よ、爾の慈憐を以て我を眞の痛悔の穩なる港に導き給へ。
少女よ、我等爾を恃賴と壞られぬ墻、及び堅固なる轉達者として獲て、諸罪と惡慾と凡の害より脫る。
光榮 潔き童貞女よ、我爾の前に俯伏して、泣きて呼ぶ、生神女よ、我が不當なる靈を將來の審判及び永遠の火より脫れしめ給へ。
今も 至淨なる者よ、爾は己の祈禱を以て靈の弱き者を堅むる者なり。故に靈の病める我を棄てずして醫し給へ。
次ぎて主憐めよ、三次。光榮、今も、
坐誦讚詞、第六調。
ハリストスよ、爾は大なる慈憐に因りて地に降り、童貞女より身を取りて、地上の者を悉く聖にし、悉く天に召し給へり。故に我等爾を恃めば罪を行はず、爾に依りて諸惡を免る、造成主我が神よ、爾は我等の救主なればなり。
第七歌頌
イルモス 列祖の神よ、我等罪を犯し、不法を行ひ、不義を爾の前に爲し、爾が我等に誡めしことを守らざりき、行はざりき、然れども終に至るまで我等を棄つる毋れ。
我が不當なる靈が體に別れん時、之を救ひ、或は之を慰むる者の無からんに、女宰よ、其時爾臨みて、我を惡鬼の侵害より救ひ給へ。
潔き者よ、我爾の前に俯伏して、熱き淚の滴を捧ぐ、我爾の仁愛を知り、爾の恒忍と寬容とを知る。爾今我を憐み、我を赦して救ひ給へ。
光榮 童貞女よ、我が慾に耽りたる不當の靈を憐み給へ。我が肉慾の燃ゆるを見、我が弱きを見て、我に救を爲す援助を與へ給へ。
今も 潔き童貞女よ、父と一體にして同無原なる子及び言は變易せずして、親ら知るが如く、爾より靈ある身、我等と同じき者を受けて、此を以て我等の性を新にし給へり。
第八歌頌
イルモス 凡そ呼吸ある者と造物は、天軍の讚榮し、ヘルワィムとセラフィムの戰く者を歌ひ、崇め讚めて、萬世に讚め揚げよ。
我己の行爲を思ひて悶え、審判者の畏るべき審判に戰く、我不當の者は其時何の對をか呈せん。世界の女宰よ、爾我が爲に防ぎ護る者と爲り給へ。
女宰よ、我が爾の像に目を注がん時、我を爾の顏より退くる勿れ、我に慈憐を垂れて、定罪を免れしめ給へ。
光榮 聘女ならぬマリヤ、神の聘女よ、爾に呼ぶ、我爾の僕を凶惡者の凡の害より脫れしめ給へ。ハリスティアニン等の獨の轉達者よ、將來の詰問の時に我を覆ひ給へ。
今も 女宰よ、爾の子は人人を神成せん爲に爾より全き人と現れたり。故に彼に祈りて、我を全く潔めて、其神聖なる國に與る者と爲さんことを求め給へ。
第九歌頌
イルモス 天使より慶べよを受けて、己の造成主を生みし童貞女よ、爾を讚め揚ぐる者を救ひ給へ。
至淨なる者よ、爾は獨人人の轉達者なり、潔き者よ、爾はハリスティアニン等の垣墻なり。我今爾をハリストスの前に卑微なる我の爲に祈禱する者として進む、願はくは彼は爾の祈禱に因りて我不當の者を憐み給はん。
我夜の行爲を行ひしに因りて、今義に合ひて苦の夜は我不當の者を蔽ひ、地獄の凡の苦痛は我に及ばんと欲す。審判者及び神を生みし潔き童貞女よ、求む、我を凡の苦より脫れしめ給へ。
光榮 我生命の時を惡の中に費し、地獄の門に近づきて、聊も善の備なき者として彼處に往く。仁慈なる生神女よ、我を援け給へ、我が恃賴を爾に負はせたればなり。
今も 仁愛なる女宰、諸天使の飾、致命者の光榮よ、彼等と偕に祈りて、我等衆が慈憐と罪債の釋とを蒙り、神聖なる事を行ひて、善く我が生命の行程を終ふるを得んことを求め給へ。
次ぎて「常に福にして」、叩拜。聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞、及び其他常例の如し、幷に發放詞。
土曜日(スボタ)
「スボタ」の早課
第一の誦文の後に致命者の坐誦讚詞、第六調。
主よ、爾は常に諸義人の爲に光なり、蓋聖なる者は爾に照され、絕えず光體の如く輝きて、不虔者の燈を滅す。我が救世主よ、彼等の祈禱に因りて我が燈を輝かして、我を救ひ給へ。
句 神よ、爾は爾の聖所に於て嚴なり。
聖なる者は受難の苦戰を忍びて、爾より勝利の尊榮を受け、不法者の謀を空しくして、不朽の榮冠を獲たり。神よ、彼等の祈禱に因りて我等に大なる憐を賜へ。
光榮、今も、生神女讚詞 祝福せられたる者を爾の母と名づけし主よ、爾は自由なる望を以て苦を受けん爲に來り、アダムを尋ねんと欲して十字架の上に輝きて、諸天使に謂へり、我と共に喜べ、蓋失はれたる金錢は獲られたりと。睿智を以て一切を治めし我が神よ、光榮は爾に歸す。
第二の誦文の後に致命者の坐誦讚詞、第六調。
致命者が審判座の前に顯しし勇敢と其多種の劇しき苦難の忍耐とは苛虐者及び諸王を驚かせり。其時無形の品位は立ちて、彼等の爲に備へられたる勝利の榮冠を執れり。睿智者はハリストスを承け認むるを以て敵を斃せり。彼等を堅めし主よ、光榮は爾に歸す。
句 神よ、爾は爾の聖所に於て嚴なり。
主よ、爾の聖者の記憶は今日エデムの樂園の如く現れたり。蓋此の裏に萬物は喜ぶ、爾は彼等の祈禱に因りて我等に平安と大なる憐とを與へ給ふ。
句 義人には憂多し、然れども主は之を悉く免れしめん。
死者の讚頌
誠に物皆虛し、生命は影なり、夢なり。凡そ地に生れし者は徒に忙し、聖書に云ひしが如く、我等全地を獲るも遂に墓に入らん、彼處には諸王と貧しき者と共に在り。故にハリストス神よ、移されし者を安ぜしめ給へ、爾は人を愛する主なればなり。
光榮、今も、生神女讚詞 純潔なる者よ、我中心中情より歎息を爾に奉りて、爾の寬容なる轉達を求む。獨祝讚せらるる者よ、我が深く慾に耽りたる靈を憐みて、大仁慈なる神に我を定罪及び火の池より脫れしめんことを祈り給へ。
聖致命者、成聖者、克肖者、及び死者の規程。イオシフの作。第六調。
第一歌頌
イルモス 見るべきファラオンは全軍と共に溺らされ、イズライリは海の中を過りて呼べり、主吾が神に謳はん、彼光榮を顯したればなり。
致命者は明なる智慧を以て暗きを照して、不虔なる苛虐者を辱かしめ、勝利者と現れて、暮れざる光に移り給へり。
ハリストスの成聖者、克肖者と預言者との會、及び衆義人の慶賀する隊は諸德の華美に輝きて、天の居所に入り給へり。
ハリストスに從屬せし婦女の大數は甚しき誘惑を以てエワを滅しし者を雄拔しき功勞にて踐み給へり。故に神聖なる歌を以て讚美せらる。
光榮、死者讚詞 始めて土より人を造りしハリストスよ、祈る、爾の諸僕の靈を義人の居所に、安息の處に安ぜしめ給へ、爾は至仁の主なればなり。
今も、生神女讚詞 潔き者よ、爾は萬物を造りし主を生みて、ヘルワィム及びセラフィムより聖なる者と現れたり。絕えず彼に爾を讚榮する爾の諸僕を宥めんことを祈り給へ。
又死者の規程、月課經の規程なき時に序を逐ひて之を歌ふ。フェファンの作。
第一歌頌
イルモス 「イズラィリは陸の如く淵を蹈み渡り」。
附唱 神よ、爾は爾の聖所に於て嚴なり。
ハリストスよ、勇敢なる致命者は常に爾に祈る、爾が地より移しし信者に天の宮に於て永遠の福を受くるを得しめ給へ。
附唱 主よ、寢りし爾の諸僕の靈を安ぜしめ給へ。
萬有を飾りし主よ、爾は卑しき者と高き者とを取りて、我人を合成せられし生物として造り給へり。求む、救世主よ、爾の諸僕の靈を安ぜしめ給へ。
光榮 爾は始に我を樂園に置きて、之に住ひ、之を理むる者と爲し、我が爾の誡に背きしに因りて、之より逐ひ出せり。求む、救世主よ、爾の諸僕の靈を安ぜしめ給へ。
今も、生神女讚詞 潔き者よ、始めて肋骨を以て我が原母エワを造りし主は爾の至淨なる胎より身を衣て、此を以て死の力を滅し給へり。
第三歌頌
イルモス 主よ、爾を信ずる信の堅き石に我が意思を堅め給へ、我爾仁慈の主を避所及び防固として有てばなり。
受難者は肉體の苦に付されて、喜びて苦なき報を仰げり。今彼等は恩寵を以て我等の多くの苦を鎭め給ふ。
神聖なる成聖者は堅固なる智慧を以て凶惡の猛獸を逐ひて、ハリストスの養育せし者を其惡に害はるるなく護り給へり。
克肖者の會は甘じて主の軛を負ひ、肉の念を殺して、永遠の生命を受けたり。
光榮 仁慈なるハリストスよ、敬虔を以て度生より移りし者を永久の火より脫れしめて、彼等に罪債の赦と永遠の樂とを與へ給へ。
今も 至聖なる女宰よ、ハリストスを愛せし女等は言ひ難く彼を生みし爾を欣ばしき心を以て環りて祝ふ。
又 イルモス 「爾が信者の角を高うし」。
生命を賜ふ主よ、法に遵ひて苦を受けて、爾に勝利の榮冠を以て飾られたる致命者は熱心に爾に祈りて、移されし信者に永遠の尊貴を賜はんことを求む。
爾は先に多くの奇跡と奇徵とを以て我迷ひし者を敎へ、遂に慈憐なる主として、己を罄して我を尋ね、我を獲て救ひ給へり。
光榮 仁慈なる主よ、流るる朽壞より爾に移りし者を信と恩寵とを以て義と爲して、永遠の居處に欣ばしく入るを得しめ給へ。
今も 至淨なる神の母よ、爾の如く無玷なる者なし、蓋古世より爾は獨眞の神、死の力を破りし主を胎内に孕み給へり。
第四歌頌
イルモス 我爾の風聲を聞きて懼れたり、爾の作爲を悟りて驚けり、主よ、光榮は爾の力に歸す。
受難者は立ちて、傲慢の者が彼等の足下に倒さるるを見て、感謝して萬有の造成主を讚榮せり。
光明なる言にて備へられたる成聖者は人人を異端の幽暗より救ひて、明悟の光に導き給へり。
克肖者は熾炭の如く現れて、熱切に神を愛し、肉體の諸慾を焚きたり。故に大に讚榮せらる。
光榮 生ける者と死せし者とを司る主宰よ、移しし者を爾の悅を得たる衆と偕に安ぜしめ給へ。
今も 至淨なる者よ、爾より言ひ難く身を衣たる主は雄拔しく勤勞せし婦女の會を受け給へり。
又 イルモス 「尊き敎會は淨き心より」。
主宰よ、爾は量り難き睿智と、完全なる慈憐と、恩惠とを彌著さんと欲して、致命者の會を諸天使に合せ給へり。
ハリストスよ、爾に移されし者に樂しむ者の居所、潔き歡喜の聲のある處に於て爾の至淨なる光榮を受くるを得しめ給へ。
光榮 大仁慈なる主よ、爾の神聖なる權を以て地より移しし爾を歌ふ者を受けて、其罪の暗昧を除きて、彼等を光の子と爲し給へ。
今も 主宰は爾の至淨なる器、美しき宮、至聖なる櫃、童貞の聖所、イアコフの榮として選び給へり。
第五歌頌
イルモス 光を世界に輝かししハリストスよ、我夜中より爾に呼ぶ者の心を照して、我を救ひ給へ。
受難者よ、爾等は上なる恩寵にて織りたる衣を衣て、敵を裸體にし給へり。
我等は聖なる預言者と偕に神智なる司祭首、及び神の悅を獲たる克肖者を尊まん。
我等は聖詠と詩賦とを以て善く神の悅を獲たる婦女の會を讚め揚げん。
光榮 主よ、爾の諸僕を爾の諸義人の居所に入れて、其生涯犯しし諸罪を顧みる勿れ。
今も 女宰よ、爾はハリストス、獨仁慈なる主に祈りて、我等を凡の敵の害より救ふ者と現れたり。
又 イルモス 「至仁なる神の言よ」。
致命者は聖にせられし祭實、人の性の初實として至榮なる神に獻ぜられて、常に我等の爲に救を求む。
主よ、先に寢りし爾の信なる諸僕に諸罪の赦を與へて、天に居ることと恩惠に與ることとを得しめ給へ。
光榮 獨本性にて生命の泉なる者、誠に測り難き仁慈の淵、獨不死なる主よ、終りし者に爾の國を獲しめ給へ。
今も 女宰よ、爾より生れし主は世界の爲に力と歌、亾びし者の爲に救なり、信を以て爾を讚美する者を地獄の門より脫れしめ給ふ。
第六歌頌
イルモス ハリストスよ、我罪の鯨に呑まれて、爾に呼ぶ、預言者の如く我を淪滅より脫れしめ給へ。
受難者よ、爾等は神聖なる血の流を以て無形の諸敵を溺らし、信者の心を潤し給へり。
世及び諸慾の爲に己を釘せし克肖者と、睿智なる成聖者とは神聖なる光榮を得たり。
我等は預言者の品位、及び善く勤勞せし尊貴なる婦女の會を職として讚揚す。
光榮 神よ、先に寢りし者の諸罪を顧みずして、其靈を爾の選びたる者と偕に安ぜしめ給へ。
今も 身にてハリストスを生みし童貞女よ、我が身の慾を殺して、我が靈を爾の轉達を以て活かし給へ。
又 イルモス 「誘惑の猛風にて」。
仁慈なる主よ、爾は十字架に釘せられて、爾の苦に效ふ致命者の會を己の許に集め給へり。故に我等爾に祈る、爾に移されし者を安ぜしめ給へ。
救世主よ、爾が言ひ難き光榮を以て雲に乘りて、嚴に全世界を審判せん爲に來る時、地より受けし爾の信なる諸僕に欣ばしく爾を迎ふるを得しめ給へ。
光榮 生命の泉たる主宰よ、信に於て此の世を逝りて、爾に移りし爾の諸僕に天堂の福樂を獲しめ給へ。
今も 童貞女よ、我等は神の誡に背きて地に歸れり、然れども爾に依りて死の朽壞を振ひ落して、地より天に升りたり。
第七歌頌
イルモス 爾の敬虔なる少者の歌を聞きて、燃ゆる爐に露を灑ぎし主、我が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
我等はハリストスの受難者、血の雨を以て甚しき無神の焰を滅しし者を歌を以て尊まん。
光榮なる司祭諸長は諸異端の冬を融かして、喜びて神聖なる春に移り給へり。
修齋者よ、爾等は忍耐を以て聖神の豐なる恩寵を嗣ぎて、惡鬼の大數を滅せり。
光榮 大仁慈なる主よ、信に於て生命より移されし者に爾の天堂の福樂を嗣がしめ給へ。
今も 潔き者よ、生れし後にも爾を童貞女と顯しし主は爾に從ひし聖なる婦女の會を救ひ給へり。
又 イルモス 「天使は敬虔なる少者の爲に」。
爾の血を以て始の罪より救はれし致命者は、己の血に注がれて、明に爾の屠らるるを示す。吾が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
猛烈なる死を殺しし生命の首たる言ハリストスよ、信を以て寢りて、爾に歌ひて、吾が先祖の神は崇め讚めらると言ふ者を受け給へ。
光榮 神聖なる氣息を以て我人を活かしし無原なる神救世主よ、移されし者に爾の國を獲しめて、爾に歌はしめ給へ、吾が先祖の神は崇め讚めらる。
今も 純潔無玷なる者よ、爾は死の門を破り、柱を折きし神を孕みて、萬物より高き者と爲れり。故に我等信者は歌を以て爾を神の母として讚榮す。
第八歌頌
イルモス 爾の敬虔なる少者は爐の中にヘルワィムに效ひて、三聖の歌を歌へり、崇めよ、歌へよ、萬世に讚め揚げよ。
苦の激浪に漾はさるる神聖なる致命者は、勇敢に由りて恩寵を以て安靜の處に導かれて、上の國に到れり。
克肖にして睿智なる成聖者は日の如く輝きて、敎の光線と醫治の光照とを以て全地を照し給ふ。
光榮なる預言者と、司祭諸長と、克肖者、及び義人等、致命者と聖なる女の大數よ、爾等の全牧群を惡鬼に動かされざる者として護り給へ。
光榮 我等は古世よりの義人等、及び神の言を述べし諸預言者を歌ひて、傷感の情を以て呼ばん、言よ、彼等の祈禱に由りて信を以て寢りし者を安ぜしめ給へ。
今も 至淨なる童貞女よ、婦女の會は爾神に近き完美なる者を愛し、爾の蹤に從ひて萬有の主宰の前に進められて、心を合せて爾を讚揚す。
又 イルモス 「ハリストスよ、爾は敬虔なる者の爲に」。
致命者受難者は勇ましく勤勞を顯し、勝利の榮冠を受けて、ハリストスに呼ぶ、爾主を世世に讚め揚ぐ。
現生を遺し、爾主宰に移りて、爾主を世世に讚め揚ぐる信者を、慈憐なる主として、溫和に受けて、安ぜしめ給へ。
光榮 救世主よ、凡そ先に寢りて、爾主を世世に讚め揚ぐる者を、爾を信ずる信と恩寵とを以て義と爲して、今溫柔なる者の地に居るを得しめ給へ。
今も 至りて福たる者よ、我等皆爾を讚揚す、蓋爾は實に福たる言、我等の爲に肉體と成りし者を生み給へり。我等彼を萬世に讚め揚ぐ。
次ぎて生神女の歌を歌ふ、「我が靈は主を崇め」。及び其他の句、附唱と共に。
第九歌頌
イルモス 天使より慶べよを受けて、己の造成主を生みし童貞女よ、爾を讚め揚ぐる者を救ひ給へ。
受難者致命者よ、爾等は潔き羔として主宰に攜へられたり。彼に我等の靈を救はんことを祈り給へ。
成聖者よ、爾等は牧師として信者を敬虔の草場に牧し給へり。今は天の牢に住ひ給ふ。
我等は聖なる成聖者と、諸預言者、及び勇ましく苦を受けし女等と偕に克肖者の會をも讚美せん。
光榮 大仁慈なる主よ、移されし者を聖人の會の樂しむ所の永久の歡喜に與らしめ給へ。
今も 光を生みし童貞女よ、我が靈を照して、罪と我が怠惰との暗昧を逐ひ給へ。
又 イルモス 「天使の品位すら」。
望德は致命者の會を堅めて、其爾を愛する愛を盛に燃せり、彼等の靈目の前に將來の永久の安息を徵したればなり。仁慈なる主よ、移されし信者に斯の安息を得しめ給へ。
ハリストスよ、信を以て移されし者を爾の神聖なる光にて輝かし、獨仁慈なる主として、彼等をアウラアムの懷に安息せしめて、之に永遠の福樂を與へ給へ。
光榮 本性にて仁慈慈憐なる主、恩惠と仁愛との淵なる救世主よ、此の患難の處及び死の蔭より移しし者を爾の光の輝く處に居らしめ給へ。
今も 純潔無玷なる者よ、我等は爾を聖なる幕と匱、及び律法と恩寵との石板として知る。爾の中保を以て赦罪は獲られたり、蓋人人は爾の腹より身を取りし主の血に緣りて義とせらるるを得。
次ぎて「常に福にして」、聯禱、光耀歌、及び常例の聖詠。
「凡そ呼吸ある者」に致命者の讚頌、第六調。
主よ、爾の聖者の記憶に於て悉くの造物は祭る、天は天使等と偕に喜び、地は人人と偕に樂しむ。彼等の祈禱に由りて我等を憐み給へ。
主よ、若し我等の爲に祈る爾の聖者と、我等を憐む爾の慈憐あらずば、我等如何で爾諸天使より恒に讚榮せらるる主を讚め歌ふを得ん。心を知る者よ、我等の靈を宥め給へ。
致命者の記憶は主を畏るる者の爲に喜悅なり、蓋彼等はハリストスの爲に苦を忍びて、彼より榮冠を受けたり。今は勇敢を以て我等の靈の爲に祈り給ふ。
我が神は其選びたる聖者を奇異なる者と爲し給へり。彼の諸僕よ、喜びて樂しめ、彼は爾等の爲に榮冠と己の國とを備へたればなり。惟爾等に祈る、我等をも忘るる勿れ。
死者讚詞 昔エデムに於て木の果を食ふことはアダムの爲に病と爲れり、蛇が其内に毒を吐きたればなり、故に死は全人類に入りて人を食へり。然れども主宰來りて、蛇を斃して、我等に復活を賜へり。故に我等彼に呼ばん、救世主よ、爾が受けし者を宥めて、諸聖人と偕に安ぜしめ給へ、爾人を愛する主なればなり。
光榮、今も、生神女讚詞 生神童貞女よ、我等は爾より身を取りし者の神なるを悟れり、彼に我等の靈の救の爲に祈り給へ。
挿句に死者の讚頌、第六調。
大仁慈なる主宰、我等の爲に無量の慈憐と神聖なる仁慈の盡されぬ泉とを有つ救世主よ、爾に移りし者を生ける者の地、愛すべく慕ふべき居處に入れて、永久の嗣業を與へ給へ。蓋爾は衆人の爲に爾の血を流して、生命を施す價を以て世界を贖ひ給へり。
句 主よ、爾が選び近づけし者は福なり。
ハリストスよ、爾は甘じて生を施す死を忍び、信者の爲に生命を流して、永久の福樂を賜へり。其中に復活の望を抱きて寢りし者を入れて、爾が獨罪なく、獨仁慈にして人を愛する主なるに因りて、恩寵を以て彼等の諸罪を赦し給へ、我等衆人が爾の名を歌ひ、爾の救を施す仁愛を讚榮せん爲なり。
句 彼等の靈は福に居らん。
ハリストスよ、我等は爾を神たる權を以て生者を司り、死者を治むる主なりと知りて祈る、仁愛なる主よ、爾の信なる諸僕、爾惟一の恩主に移りし者を爾の選びたる者と偕に安樂の處、聖なる光の中に安ぜしめ給へ。獨大仁慈なる主よ、爾は己の像に循ひて造りし者を憐みて、神として彼等を救ひ給へばなり。
光榮、今も、生神女讚詞 至淨なる童貞女、婚姻に與らざる母よ、爾は神に適ふ居處と現れて、神を容れて、二性一位なるハリストスを生み給へり。潔き者よ、彼、產の後にも爾を無玷なる童貞女と護りし獨生の冢子に祈りて、信を以て寢りし者の靈を光の中、不朽なる福樂の中に安息せしめんことを求め給へ。
次ぎて「至上者よ、主を讚榮し」。聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞、聯禱、及び發放詞。第一時課、常例の聖詠、及び最後の發放詞。
「スボタ」の聖体礼儀に
「スボタ」の眞福詞、第六調。
神我が救世主よ、爾の國に來らん時我を憶ひて、我を救ひ給へ、爾獨人を愛する主なればなり。
句 義の爲に窘逐せらるる者は福なり、天國は彼等の有なればなり。
光榮なる受難者よ、爾等は火と劍と猛獸の奮迅とを畏れずして、永久の生命を獲給へり。
句 人我の爲に爾等を詬り、窘逐し、爾等の事を僞りて諸の惡しき言を言はん時は、爾等福なり。
諸預言者と敎師、克肖者と義人等を榮せし仁愛の主よ、彼等の祈禱に因りて我等の靈を救ひ給へ。
句 喜び樂しめよ、天には爾等の賞多ければなり。
言よ、信に於て暫時の生命より移しし者を衆聖人及び義人と偕に容れ給へ、我等が爾を讚榮せん爲なり。
光榮 我等は父と子と聖神とを讚榮して言ふ、聖なる三者よ、我等の靈を救ひ給へ。
今も 至淨なる者よ、爾は萬族の中に讚美たる者と現れたり、實に讚美たる神を言ひ難く生み給ひしに因る。
第六調 終


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