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土曜日(スボタ)
「スボタ」の小晩課
「主よ、爾に籲ぶ」に八調經の主日の讚頌三章を歌ふ、其第一は二次。第二調。
句 我が靈主を待つこと、番人の旦を待ち、番人の旦を待つより甚し。
來りて、世の無き先に父より生れし神の言、童貞女マリヤより身を取りし者に伏拜せん。蓋彼は親ら望みし如く、十字架を忍びて、葬に付されたり、死より復活して、我迷へる人を救ひ給へり。
ハリストス吾が救世主は我等を罪する書券を十字架に釘うちて之を抹し、死の權を空しくし給へり。我等其三日目の復活に伏拜す。
我等は天使首と共にハリストスの復活を讚め歌はん。蓋彼は我等の靈の贖罪主及び救世主なり、且畏るべき光榮と勁き能力とを以て還來りて、其造りし世界を審判せん。
光榮、今も、生神女讚詞、定理歌。第二調。
嗚呼至大なる奧密や、我奇蹟を見て、神性を傳ふ。蓋エムマヌイルは人を愛する主として天性の門を啓き、神として童貞の鑰を壞らざりき。乃聞くに因りて入りし如く、斯く胎内より出でたり、孕まれし如く、斯く人體を取れり、無欲にして入りて、言ひ難く出でたり。預言者の言へる如く、此の門は閉されて、何人も此より入るを得ず、唯獨大仁慈なる主イズライリの神は入らん。
次ぎて「穩なる光」。提綱、主は王たり、彼は威嚴を衣たり。三次。句、主は能力を衣、又之を帶にせり。次に「主よ、我等を守り、罪なくして此の晩」。司祭聯禱を誦せず、我等直に次の讚頌を歌ふ。
挿句に主日の讚頌、第二調。
ハリストス救世主よ、爾の復活は全世界を照せり、爾は己の造物を召し給へり。全能の主よ、光榮は爾に歸す。
又、至聖なる生神女の讚頌、同調。
句 我爾の名を萬世に誌さしめん。
凡ての悲しむ者の喜、侵害せらるる者の轉達、貧しき者の養育者、遠人の慰藉、瞽者の杖、弱き者の眷顧、勞苦する者の庇蔭及び保護、孤獨の者の扶助たる至りて潔き者、至上の神の母よ、祈る、務めて爾の諸僕に救はるるを得しめ給へ。
句 女よ、之を聽き、之を觀、爾の耳を傾けよ。
我不當なる者は凡の不法を行ひ、凡の罪を犯して、凡の定罪に當れり。童貞女よ、我に痛悔の心を與へて、我を彼處に定罪せられざる者と爲し給へ。蓋我爾を祈禱者として捧げ、爾を轉達者として呼ぶ、神の聘女よ、我に辱を得しむる毋れ。
句 民中の富める者は爾の顏を拜まん。
潔き神の聘女よ、我等には造物主及び主宰の前に於て爾の外に他の避所なし。我が神の母よ、愛を以て爾の帲幪の下に趨り附く我等を爾の熱切なる轉達より遠ざくる勿れ、我等を辱しむる勿れ。務めて爾の祐助を與へて、我等に臨む怒より救ひ給へ。
光榮、今も、生神女讚詞、第二調。
少女・神の聘女よ、爾に因りて成りたる世界の贖罪の爲に誰か宜しきにて爾を讚揚し爾を讚美するを得ん。故に我等感謝して爾に呼びて云ふ、アダムを神成し、離れたるを合せし者よ、慶べ、爾の子我が神の輝ける復活にて我が族を照しし者よ、慶べ。蓋我等ハリスティアニンの族は斷えず爾を讚美す。
次ぎて「主宰よ、今爾の言に循ひて」。聖三祝文。「天に在す」の後に主日の讚詞。小聯禱。發放詞。
「スボタ」の大晩課
「主よ、爾に籲ぶ」に十句を立てて、八調經の主日の讚頌三章、アナトリイの四章、月課經の三、或は四、或は六章を歌ふ。若し聖人の祭日ならば、光榮、月課經の、今も、調の第一の生神女讚詞。
主日の讚頌、第二調。
句 我が靈を獄より引き出して、我に爾の名を讚榮せしめ給へ。
來りて、世の無き先に父より生れし神の言、童貞女マリヤより身を取りし者に伏拜せん。蓋彼は親ら望みし如く、十字架を忍びて、葬に付されたり、死より復活して、我迷へる人を救ひ給へり。
句 爾恩を我に賜はん時、義人は我を環らん。
ハリストス吾が救世主は我等を罪する書券を十字架に釘うちて之を抹し、死の權を空しくし給へり。我等其三日目の復活に伏拜す。
句 主よ、我深き處より爾に呼ぶ。主よ、我が聲を聽き給へ。
我等は天使首と共にハリストスの復活を讚め歌はん。蓋彼は我等の靈の贖罪主及び救世主なり、且畏るべき光榮と勁き能力とを以て還來りて、其造りし世界を審判せん。
又讚頌、アナトリイの作。同調。
句 願はくは爾の耳は我が禱の聲を聽き納れん。
天使は爾十字架に釘せられて葬られたる主宰を傳へて、女等に言へり、來りて、主の臥したる處を觀よ、蓋彼は言ひし如く復活せり、全能者なればなり。故に我等爾惟一不死の者に伏拜す。生命を賜ふハリストスよ、我等を憐み給へ。
句 主よ、若し爾不法を糾さば、主よ、孰か能く立たん。然れども爾に赦あり、人の爾の前に敬まん爲なり。
爾の十字架にて木に緣る詛を空しくし、爾の葬にて死の權を滅し、爾の復活にて人類を照し給へり。故に我等爾に籲ぶ、恩主ハリストス吾が神よ、光榮は爾に歸す。
句 我主を望み、我が靈主を望み、我彼の言を恃む。
主よ、死の門は畏懼に因りて爾の爲に啓け、地獄の門衞は爾を見て懼れたり、蓋爾は銅の門を破り、鐵の柱を折き、我等を幽闇と死の蔭より引き出し、我等の縛を截ち給へり。
句 我が靈主を待つこと、番人の旦を待ち、番人の旦を待つより甚し。
救の歌を歌ひて、口を齋しくして籲ばん、皆來りて、主の家に伏拜して曰はん、木の上に釘せられて、死より復活し、父の懷に在す主よ、我等の罪を淨め給へ。
他の讚頌、至聖生神女に捧ぐ、月課經の讚頌の無き所に之を歌ふ。アモレイのパワェルの作。第六調。
句 願はくはイズライリは主を恃まん、蓋憐は主にあり、大なる贖も彼にあり、彼はイズライリを其悉くの不法より贖はん。
倚賴なき者の堅固なる憑恃、罪に陷る者の拯救たる讚め歌はるるマリヤ、潔き生神女よ、我が此の禱を受けて、爾の母たる祈禱を以て我に生涯犯しし諸罪の赦を獲しめ給へ。女宰よ、爾の大なる憐に由りて、我を危難及び將來の定罪より救ひ給へ。
句 萬民よ、主を讚め揚げよ、萬族よ、彼を崇め讚めよ。
我が在世の日は惡し、惡しくして罪惡に充つ、凶惡なるサタナ甚しく我を擾すに因る。神の母よ、爾我を其害より免れしめ、至聖なる者よ、爾我を其口より脫し給へ、我悉くの憑恃を爾に負はせたればなり。爾の熱切なる祈禱を以て我を救ひ給へ。
句 蓋彼が我等に施す憐は大なり、主の眞實は永く存す。
耻を得ざる轉達者よ、慶べ、至善なる生神女よ、慶べ、世界の蠲潔よ、慶べ、悲しむ者の喜、颶風に遭ふ者の停泊よ、慶べ、凡そ危難に在る者の扶助者よ、慶べ。童貞女・純潔なる女宰よ、我をも悉くの苦難より護り給へ。
光榮、今も、生神女讚詞。
恩寵來りて、法律の影は去れり。蓋燃ゆる棘の焚けざりし如く、童貞女は生みし後も永く童貞女なり。燄の柱の代に義の日は出でて光る、モイセイの代に我が靈の救者ハリストスは現れたり。
次ぎて香爐捧持の聖入。「穩なる光」。提綱及び聯禱。
挿句に主日の讚頌、第二調。
ハリストス救世主よ、爾の復活は全世界を照せり、爾は己の造物を召し給へり。全能の主よ、光榮は爾に歸す。
又讚頌
句 主は王たり、彼は威嚴を衣たり。
救世主よ、爾は木にて木に緣る詛を空しくし、爾の葬にて死の權を滅し、爾の復活にて吾が族を照し給へり。故に我等爾に呼ぶ、生命を施すハリストス我が神よ、光榮は爾に歸す。
句 故に世界は堅固にして動かざらん。
ハリストスよ、爾は十字架に釘せらるる者と顯れて、造物の美しきを變易せり。惟兵卒は殘忍にして戈を以て爾の脅を刺し、エウレイ人は爾の權を知らずして墓を封印せんことを求めたり。慈憐に由りて葬を受け、三日目に復活せし主よ、光榮は爾に歸す。
句 主よ、聖德は爾の家に屬して永遠に至らん。
生命を施すハリストスよ、爾は死に屬する者の爲に甘じて苦を受けて、有能者として地獄に降り、彼處に爾の降臨を待つ者を强き者の手より奪ひて、地獄に易へて樂園に住むを賜へり。故に爾の三日目の復活を讚揚する我等にも諸罪の潔淨と大なる憐とを與へ給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 嗚呼新なる奇跡、古の悉くの奇跡に勝る者や、誰か夫なき母が萬物を有つ主を生みて、其手に抱くを知りたる、此の產は神の旨なり。至りて潔き者よ、爾が嬰兒として己の手に抱きし主の前に母の勇を以て、我等爾を尊む者の靈を憐みて救はんことを常に祈り給へ。
次ぎて「主宰よ、今爾の言に循ひて」。聖三祝文。「天に在す」の後に、主日の讚詞、第二調。
死せざる生命よ、爾死に降りし時、神の性の光にて地獄を殺せり。死せし者を地下より復活せしめし時、天軍皆呼びて曰へり、生命を賜ふ主ハリストス吾が神よ、光榮は爾に歸す。
生神女讚詞 生神女よ、爾の奧義は皆智慧に超ゆ、皆至榮なり。貞潔の封ぜられ、童貞の守らるるに、爾は實の母と知られて、眞の神を生み給へり。彼に我等の靈の救はれんことを祈り給へ。
「スボタ」の晩堂課
至聖なる生神女の規程。讒誣憂愁患難に遇ふ者も之を歌ふべし。第二調。
第一歌頌
イルモス 全く備はれる力は昔ファラオンの全軍を深水に敷き、人體を取りし言、讚榮せらるる主は萬の惡を致す罪を滅し給へり、彼嚴に光榮を顯したればなり。
凡そ憂に在る者に速に聆き、悲に在る者を助くる至善なる生神女、憂ふる者の歡喜たる女宰よ、畏れずして爾を歌ふ者に恩寵を與へ給へ。
至りて豐なる恩寵を獲たる女宰、憂ふる者の歡喜よ、爾の毅然たる祈禱を以て、我卑微なる爾の僕を諸難より援け給へ。
光榮 生神女よ、祈る、爾に趨り附く我等を見ゆると見えざる諸敵より援けて、我等に仇する者の凡の謀を破り給へ。
今も 生神女よ、爾に祈る、我より人の辱と惡謀者の讒言とを除きて、我に爾が養育せし主を熱切に讚榮せしめ給へ。
第三歌頌
イルモス 木を以て罪を殺しし主よ、我等を爾の中に堅めて、爾を畏るる畏を我等、爾を歌ふ者の心に植ゑ給へ。
讚美たる生神女よ、諸敵の空しき惡謀を破りて、爾の盡きざる祈禱を以て、爾を讚め歌ふ我等を救ひ給へ。
潔き者よ、爾の慈憐なる眼を以て我を顧みて、見ゆると見えざる諸敵の凡の惡謀より援けて、彼等の眼の眸子を昧まし給へ。
光榮 童貞女よ、常に我等を滅さんと謀る諸敵の惡しき攻擊、火の如く焚く者を、爾の祈禱の露にて消し給へ。
今も 滅えざる燈、常に輝く曉、光榮の日ハリストスを生みし者よ、憂愁の夜に圍まるる我を爾の祈禱にて照し給へ。
第四歌頌
イルモス 主よ、我爾の聲、爾が野に呼ぶ聲と名づけし者を聞けり、爾が多水の上に轟きて、爾の子の事を證せし時、彼は現れし聖神に滿てられて籲べり、爾はハリストス、神の智慧と能力なり。
神の母よ、我等爾を救の橋、眠らざる祈禱、堅固なる保護として祈る、慈憐を以て我等の勝へ難き悲哀、諸病、諸難、諸慾を見て、之を善に變じて、速に喜悅を與へ給へ。
潔き女宰よ、我等は患難に在りて爾の保護に與らざるなし。故に今も手を舒べて、甚しく荒らさるる我等を速に援け給へ。神の母よ、我等の悲哀に慈憐を垂れて、速に喜悅を與へ給へ。
光榮 女宰よ、不法の者は爾を賴とせずして、傲慢の舌、人の舌、常に嫉妬を流し、不義に隣の血を灑がんと吼ゆる者を賴と爲す。潔き者よ、爾彼等の頷を壞り給へ。
今も 女宰よ、高ぶる仇敵の昂げたる首、其謀、其惡しき風習、其每日我に向ひて惡を謀る心を低くし給へ。神の母よ、爾を呼ぶ者に能力と勝利とを與へて、速に彼等を喜ばしめ給へ。
第五歌頌
イルモス イサイヤに爇炭として現れし日は童貞女の腹より黑暗に迷ひし者に輝きて、神を知る知識の光照を賜ふ。
眞なる祈禱者、ハリスティアニン等の倚賴、恩寵を蒙れる者よ、我等熱心に爾を呼びて爾に祈る者の祈禱を納れ給へ。
潔き者よ、我等地に生るる者は爾を生命の泉、不死の水を流す者と知りて、爾を讚美す。
光榮 凶惡なる敵は我等を攻めて、舌を以て劍の如くに我等を滅さんと欲す。神の母よ、爾の能力にて我等を護り給へ。
今も 潔き者よ、孰か爾の有力なる保護の多きを數へん、故に我等患難に在る者を速に援け給へ。
第六歌頌
イルモス 我罪の淵に溺れて、爾が憐の量り難き淵に呼ぶ、神よ、我を淪滅より引き上げ給へ。
貞潔の者の守護者たる神の聘女よ、今爾を呼ぶ者に現れて、之を凡の患難危害より脫れしめ給へ。
祝福せられたる至淨の者よ、敵の惡事を毁ち、不義なる讒言を禁めて、罪なき者を憂より救ひ給へ。
光榮 ハリストス神の母よ、我等は甚しき罪惡に圍まれ、侵擊する諸難に溺らされて、爾の神聖なる帲幪の下に趨り附く。
今も 神の聘女よ、爾は夫に與らずして主を生みて、產の後にも亦童貞女と顯れたり。嗚呼爾の中に行はれたる至榮なる奇跡や。
次に主憐めよ。三次。光榮、今も、
坐誦讚詞、第二調。
熱心なる祈禱者、破られざる城、慈憐の泉、世界の避所よ、我等熱切に爾に呼ぶ、女宰生神女、獨速に轉達する者よ、急ぎて我等を患難より脫れしめ給へ。
第七歌頌
イルモス ハリストスよ、爾は至榮にして童貞女より生るるを明に預象せんと欲して、少者を爐の中に焚かるるなく護り給へり。彼等は爾を歌頌して歌へり、先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
潔き童貞女よ、嗚呼爾の慈憐や、蓋爾は危難攻擊の中に爾を呼ぶ者の無量なる憂愁及び葘害を解き給ふ。祝福せられたる者よ、故に今も爾を讚め揚ぐる者を援け給へ。
爾の速なる保護を顯し、爾が神の母として能するを顯し給へ、我等淚を流し、俯伏して、心より爾に呼ぶ、速に爾の諸僕の憂愁を慰め、疾病を醫し給へ。
光榮 人人の口は猛き獅の如く啓かれて、墓の如く我を呑まんと欲す。祝福せられたる生神女、恃賴なき者の恃賴よ、爾現れて彼等の力を破り給へ。
今も 諸敵は見て耻づべし、我等を防ぎ護る爾の力を知るべし、祝福せられたる生神女、恃賴なき者の恃賴よ、彼等を地獄の淵に墜し給へ。
第八歌頌
イルモス 昔ワワィロンの火の爐は神の命によりて其勢を分ち、ハルデイを焦して、信者を凉しくせり、主の悉くの造物は主を崇め讚めよと歌へばなり。
我等の避所、世界の歡喜なる神の母よ、急ぎて慈憐を垂れ、速に爾の恩寵を我等侵害せらるる者に與へ、至善の者よ、爾の諸僕を護り給へ。
不虔者の會は我等に向ひて惡しき謀を設けたり、昔のアヒトフェルの如し。唯我等呼ぶ、生神女よ、爾の祈禱を以て之を破りて、彼等の力を仆し給へ。
光榮 女宰生神女よ、凡の憂、種種の病、甚しき禍の中に在りて、心より僞なく爾を呼ぶ者に速に聽きて、恒に爾の祈禱を以て彼等を助け給へ。
今も 生神女よ、爾の名の地上に讚榮せられん爲に、爾より輝きし主は爾を以て有能なる恃賴及び守護として罪人等に賜へり、蓋爾に因りて凡そ呼吸ある者は神に趨り附く。
第九歌頌
イルモス 生神女よ、爾の位に合ひて能く爾を讚美する舌なし、天上の智慧も如何に爾を歌頌するを知らず。唯爾、仁慈の者として、我等の信を納れ給へ、我等の熱切なる愛を知ればなり、蓋爾はハリスティアニン等の轉達なり、我等爾を崇め讚む。
凶惡の事を謀る凡の舌は閉さるべし、虛僞の口、驕誇と仇する媢嫉とを以て不義にして義者に不法を歸する口は默すべし、生神女とハリストスの諸聖人との祈禱に因りてなり。
我等病を負ひ憂を懷く者は皆祈禱に勇ある潔き生神女を賴みて呼ぶ、潔き女宰よ、恒に速に爾の諸僕を其負ふ所の諸病より援け給へ、我等には神に亞ぎて爾の外に他の保護者なければなり。
光榮 生神女よ、爾は失望せし者の大なる避所、颶風に遭ふ者の穩なる停泊なり。故に我等も爾に趨り附きて呼ぶ、眞の生命の母よ、願はくは我等耻を得ざらん、願はくは感謝して熱心に爾を崇め讚めん。
今も 至淨なる少女よ、神聖なる歌を納れて、爾を賴む者に恩寵を報い、常に諸敎會に平安、我が皇帝に勝利を降さんことを求め給へ、凡のハリスティアニンの舌が爾を崇め讚めん爲なり。
次ぎて「常に福にして」。其他常例の如し、幷に發放詞。
日曜日(主日)
主日の朝、夜半課
聖三者の規程。ミトロファンの作、其冠詞は、神元の三位の光を歌ふ。第二調。
第一歌頌
イルモス 全く備はれる力は昔ファラオンの全軍を深水に敷き、人體を取りし言、讚榮せらるる主は萬の惡を致す罪を滅し給へり、彼嚴に光榮を顯したればなり。
我等歌を以て三位にして一元なる神性を歌頌して言はん、慈憐の汲み盡されぬ實在の淵を有つ神よ、爾に伏拜する者を護りて救ひ給へ、人を慈む主なればなり。
泉及び根たる父、緣由の者として、爾の子と聖神との中に居る神よ、一體の神性の三日の光を我が心に注ぎて、神爲の光照に與るを以て我を照し給へ。
光榮 三光なる神元の惟一者よ、爾の輝ける光線を注ぐを以て、我が諸罪と諸慾との黑暗を散じて、我を爾の近づき難き光榮の宮及び潔き幕と爲し給へ。
生神女讚詞 至淨なる者よ、爾の胎の内に人性を取りし神言は、其仁愛を以て、我が性の古の流、甚しく濁りて穢れたる者を潔めて之を照し、我等に三光なる神元の奧義を敎へ給へり。
第三歌頌
イルモス 爾我を信の石に堅く立て、我が口を啓きて我が敵に對はしめ給へり、蓋我が神゜は樂しみて歌へり、吾が神と侔しく聖なるはなく、主よ、爾の外に義なるはなし。
我同尊なる神元、一性なる三位を讚榮す、蓋生命より生命は生じたれども、爾我等の神は惟一なり。主よ、爾の外に聖なるはなし。
聖三者、分れざる一元よ、爾は天の無形なる品位を爾の美善の鏡として造りて、斷えず爾を歌はしむ。求む、今塵に屬する我が口の讚美をも納れ給へ。
光榮 三日の惟一者よ、爾の諸僕の心と意とを信の石に堅く立てて、爾の愛の淵を以て之を弘め給へ、蓋爾は我等の神なり、願はくは我等爾を賴みて耻を受けざらん。
生神女讚詞 生神女よ、先に凡の造物に存在を賜ひし主は無量の仁慈に因りて爾の胎内に存在を受け、且惟一の神性と權能との三日の光を衆に輝かし給へり。
坐誦讚詞、第二調。
慈憐なる主よ、爾は始にアダムを造りし時、爾の實性の言に呼べり、我等の肖に循ひて造らんと、造成者聖神も偕に在せり。故に我等爾に呼ぶ、造物主我が神よ、光榮は爾に歸す。
光榮、今も、生神女讚詞 至淨なる者よ、神は我等に臨まんと定めし時、爾の至りて潔き胎内に入り、爾に依りて人の合成を救ひ、衆に天國を賜へり。故に我等爾に呼ぶ、女宰・潔き生神女よ、慶べ。
第四歌頌
イルモス 主よ、我爾を歌ふ、蓋風聲を聞きて懼れたり、爾は我迷へる者を尋ねて、我にまで至ればなり。故に慈憐深き主よ、我に於ける爾の大なる寬容を讚榮す。
惟一者、無原なる三者よ、無形なる天使の品位も爾を悟る能はず、然れども我等塵に屬する舌を以て爾の實在の仁慈を歌頌し、信を以て之を讚榮す。
人の性を造りし全能者よ、爾は見ざる所なき主として今我の一切の不能を見る、故に爾の僕を憐みて、復善良なる生命に上せ給へ。
光榮 我等は本原なる惟一者の混ぜざる三位を讚め歌ひて、位を分ち、其意旨、其光榮、其神性に於て之を合一にして、別れざる者と爲す。
生神女讚詞 生神女永貞童女よ、造成主は古世より獨爾を明に無玷純潔なる宮と認めて、之に入り、人を愛する主として人性の形を受け給へり。
第五歌頌
イルモス 幽闇に居る者の光照、失望する者の救贖たるハリストス我が救主よ、我爾平安の王に朝の祈禱を奉る、爾の光を以て我を照し給へ、我爾の外に他の神を識らざればなり。
平安と生活とを與ふる爾の攝理の光線を一切の造物に注ぐ平安の王よ、我を爾の平安に護り給へ、爾は萬有の生命及び平安なればなり。
父の言よ、爾は棘の中に火の形を以てモイセイに現れて、天使と名づけられし時、豫爾が我等に降臨せんことを示せり。此の降臨に由りて爾は衆に明に惟一の神元の三位なる權柄を顯し給へり。
光榮 神性に屬する同永在の光榮を有つ一元なる聖三者よ、信を以て正しく爾を讚め歌ふ者に爾の無原にして惟一なる三日の光の光榮を見るを得しめ給へ。
生神女讚詞 童貞女母よ、實性の神言、萬世を保つ主は言ひ難く爾の胎内に保たれたり、人人を惟一の權能に召して合一ならしめん爲なり。
第六歌頌
イルモス 我罪の淵に溺れて、爾が憐の量り難き淵に呼ぶ、神よ、我を淪滅より引き上げ給へ。
慈憐を旨とする三日の神よ、爾を信ずる者を憐みて、爾の諸僕を諸罪、諸慾、諸難より脫れしめ給へ。二次。
光榮 仁慈の言ひ難き淵に因りて、爾が三光の神性の量り難き光照を以て我を照し給へ。
生神女讚詞 童貞女よ、至上者は言ひ難く爾に藉りて全き人を衣て人と爲りて、三日の光を以て我を輝かし給へり。
坐誦讚詞、第二調。
憐の淵を有つ慈憐の主、無原なる三位の惟一者よ、我等を納れて、爾を讚榮する人人を顧み、爾に祈る者の歌を受け給へ、蓋我等爾萬有の神を賴みて、罪過の赦を賜はんことを求む。
光榮、今も、生神女讚詞 慈憐の泉を生みし生神女よ、爾は仁愛仁慈なる者なり、蓋爾は獨信者の保護、爾は憂ふる者の慰藉なり。故に今我等皆爾の助を恃みて、信を以て俯伏して、罪過の釋かれんことを求む。
第七歌頌
イルモス 黃金の偶像がデイルの野に奉事せられし時、爾の三人の少者は神に逆ふ命を顧みずして、火の中に投げられ、凉しくせられて歌へり、我が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
獨變易なき三位の主よ、爾は天使の軍を立てて、斷えず爾を讚榮せしむ。求む、我が心をも常に熱愛を以て爾を讚榮し、敬みて歌頌する者と爲し給へ。二次。
光榮 一元なる三日の神よ、無形の者の品位は爾の光線に照されて、第二の光と爲る。求む、光を施す三光者よ、我をも照して、爾の光に與る者と爲し給へ。
生神女讚詞 言ひ難く人を愛するに因りて童貞女の胎内に人と爲り、人を神成して、父と偕に光榮の寶座に坐する主よ、我等爾を愛する者を擧げて、天に向はしむることを遺るる勿れ。
第八歌頌
イルモス 三重に福たる少者は金の像を顧みずして、變易なき活ける神の像を見て、焰の中に歌へり、造を受けし萬物は主を歌ひて、萬世に讚め揚ぐべし。
近づき難き三者、同永在同無原なる神元、萬事に於て變易なき神、萬有の主よ、諸敵の凡の惡謀とデモンの攻擊とを空しくして、常に我を害なく守り給へ。二次。
光榮 睿智と全能とを以て世界を合成して、之を整齋全備なる秩序に守る形り難き三日の一元よ、我が心に入りて、我に天使の品位と偕に萬世默さずして爾を歌頌讚榮せしめ給へ。
今も 父の睿智、測り難く言ひ難き神の言よ、爾は變易なき爾の性を易へずして、慈憐に因りて人の性を受けて、衆に萬世の宰たる惟一の三者を尊まんことを敎へ給へり。
第九歌頌
イルモス 日より前に光り輝きし神、肉體にて我等に臨みし者を、貞潔の腹より言ひ難く生みし讚美たる至淨き生神女よ、我等爾を崇め讚む。
無原の光より同無原の光なる子は輝き、又同性の光なる聖神は出で給へり、我等は神に合ふ言ひ難き不朽の產、又言ひ難き出を信ず。
三日の神性よ、爾の三光の光明を爾に歌頌する者の心に輝かして、彼等に一切を悟る智慧を啓き、彼等に爾の善にして純全なる旨を行ひて、爾を讚美讚榮するを賜へ。
光榮 神として性に限なき聖三者よ、爾は慈憐の量り難き淵を有ちて、嘗て我等に慈憐を施し給へり。祈る、今も爾の諸僕に慈憐を垂れて、之を罪過と患難と危害より脫れしめ給へ。
生神女讚詞 三位に於て歌頌せらるる我が神、惟一の神、惟一の全能者よ、我を凡の誘惑及び迫害より救ひ、生神女の祈禱に由りて爾の牧群を守り給へ。
次にグリゴリイ・シナイトの聖三讚歌、「爾神言を讚榮するは」、及び其他夜半課の式。本書の末に載す。
主日の早課
「主は神なり」に讚詞、「死せざる生命よ」。光榮、今も、「生神女よ、爾の奧義は」。
第一の誦文の後に主日の坐誦讚詞、第二調。
尊きイオシフは爾の潔き身を木より下し、淨き布に裹み、香料にて覆ひ、新なる墓に藏めたり。然れども主よ、爾は三日目に復活して、世界に大なる憐を賜へり。
句 主我が神よ、起きて、爾の手を擧げよ、苦しめらるる者を永く忘るる毋れ。
天使は香料を攜ふる女に墓の側に現れて呼べり、香料は死者に適ふ、ハリストスは朽壞に與らざる者なり、乃籲べ、主は復活して、世界に大なる憐を賜へり。
光榮、今も、生神女讚詞 生神童貞女よ、爾は至りて讚美たる者なり、我等爾を歌ふ、蓋爾の子の十字架にて地獄は滅され、死は殺され、我等殺されし者は興きて生命を得、復古の樂なる樂園を受けたり。故に我等ハリストス吾が神に感謝して、其權能ありて獨大仁慈なるを讚榮す。
第二の誦文の後に坐誦讚詞、第二調。
墓の石に封印するを禁ぜずして、爾は復活して、信の石を衆に賜へり。主よ、光榮は爾に歸す。
句 主よ、我心を盡して爾を讚め揚げ、爾が悉くの奇跡を傳へん。
爾の門徒の會は攜香女と偕に同心に喜ぶ。我等も彼等と偕に共與の祭を祝ひ、爾の復活を讚榮尊敬して爾に呼ぶ、人を愛する主よ、爾の民に大なる憐を垂れ給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 生神童貞女よ、爾は至りて讚美たる者なり、蓋爾より身を取りし主は地獄を虜にし、アダムを喚び起し、詛を破り、エワを赦し、死を滅し、我等を生かせり。故に我等歌ひて呼ぶ、斯く行ひ給ひしハリストス神は崇め讚めらる、光榮は爾に歸す。
「ネポロチニ」の後に應答歌、第二調。
ハリストス神よ、苦難の後、女等墓に往きて、爾の身に香料を傅らんとせしに、天使等を墓の中に見て驚けり、蓋彼等の言ふを聽けり、主は復活して、世界に大なる憐を賜へり。
品第詞、第二調。第一倡和詞。每句復唱す。
救世主よ、我が心の目を天に爾に擧ぐ、爾の光照にて我を救ひ給へ。
嗚呼吾がハリストスよ、時每に多く爾に罪を犯せる我等を憐みて、終の前に爾に痛悔する法を與へ給へ。
光榮 聖神には宰制し、聖を施し、造物を活動せしむること適ふ、父及び子と一性の神なればなり。
今も、同上。
第二倡和詞
若し主我等の中にあらずば、誰か敵又殺人者より全うし護らるるに堪へん。
救世主よ、爾の僕を彼等の齒に付す勿れ、蓋我が敵は獅の如く我に向ひ進む。
光榮 聖神には生命の泉及び尊榮は屬す、蓋神として、其力を以て、一切の造物を父の中に、子に因りて守る。
今も、同上。
第三倡和詞
主を賴む者は聖山に似たり、敢て敵の攻擊に因りて動かざらん。
敬虔に生を送る者は己の手を不法に伸ぶべからず、蓋ハリストスは其嗣業の爲に杖を放たず。
光榮 聖神にて一切の智慧は涌き出さる、是より使徒は恩寵を斟み、致命者は苦に因りて榮冠を冠り、預言者は見る。
今も、同上。
提綱、第二調。
主我が神よ、起きて、爾が定めし審判を行ひ給へ、萬民爾を環らん。
句 主我が神よ、我爾を賴む、我を救ひ給へ。
「凡そ呼吸ある者は」。主日の早課福音經。
「ハリストスの復活を見て」。第五十聖詠。其他常例の如し。
主日の規程、第二調
第一歌頌
イルモス 全く備はれる力は昔ファラオンの全軍を深水に敷き、人體を取りし言、讚榮せらるる主は萬の惡を致す罪を滅し給へり、彼嚴に光榮を顯したればなり。
附唱 主よ、光榮は爾の聖なる復活に歸す。
至善なる主よ、世の君、我等が爾の誡に背きて服從せし者は爾の十字架にて定罪せられたり、蓋死に屬する者と爲して爾に觸れて、爾の權能に由りて權を失ひ、弱き者と顯れたり。
爾は人類の贖罪主及び不朽の生命の首として世に來れり、蓋爾の復活を以て死の縲絏を斷ち給へり。我等皆之を讚榮す、爾嚴に光榮を顯したればなり。
生神女讚詞 潔き永貞童女よ、爾は見ゆると見えざる一切の造物より至りて上なる者と顯れたり、造成主を生みたればなり、其爾の胎内に身を取らんと欲せしが如し。彼に勇敢を以て我が靈を救はんことを祈り給へ。
又十字架復活の規程、其冠詞は、生命を施す言に讚美を歌ふ。
第一歌頌 同調
イルモス 選ばれたるイズライリは曾て履まれぬ、常ならぬ、海の路を足を濡らさずして過りて呼べり、主に謳はん、彼光榮を顯したればなり。
ハリストスよ、爾は肉體の苦に由りて弱き者の能力、陷りし者の提起、死せし者の不朽と爲れり、光榮を顯したればなり。
神造成主及び更新者は殺されて、陷りし像に慈憐を施し、壞られし者を興し、衆を生かし給へり、彼光榮を顯したればなり。
又至聖なる生神女の規程、其冠詞は、生命を施す少女に讚美を歌ふ。
第一歌頌 同調、同イルモス
潔き者よ、昔靈現の梯及び奇妙に啓けたる海の路は爾の產を顯せり。我等皆之を歌ふ、其光榮顯れたればなり。
純潔なる者よ、至上者の力、三者の一位、神の智慧は爾より身を取りて、人人に近づき給へり、其光榮顯れたればなり。
潔き者よ、義の日は爾の閉されたる胎の過られぬ門を過りて、世界に輝けり、其光榮顯れたればなり。
共頌、「我が口を開きて」。
第三歌頌
イルモス 主よ、荒地の如く實を結ばざる異邦の敎會は、爾の來るに因りて、百合の如く華さけり、我が心は此に緣りて固められたり。
造物は爾の苦に因りて變じたり、爾神聖なる指麾を以て一切を基づけたる主が卑しき形に於て不法者より辱しめらるるを見たればなり。
ハリストスよ、爾は己の像に形りて、爾の手を以て我を塵より造り、復罪の爲に地の塵に還されし者を地獄に下りて、己と偕に復活せしめ給へり。
生神女讚詞 至淨なる者よ、爾の產に因りて天使の品位は驚き、人人の心は懼れたり、故に我等信を以て爾を生神女と尊む。
又
イルモス ハリストスよ、爾の權能に因りて强き者の弓は折られ、弱き者は力を帶びたり。
萬有より上なるハリストスは肉體の苦を以て天使等の性より少しく遜りたり。
ハリストスよ、爾は死して罪犯者と偕に算へられ、復活して女等に光榮の榮冠を以て輝ける者と顯れたり。
又 同イルモス
童貞女よ、時の造成者にして凡の時に超ゆる者は甘じて爾に藉りて嬰兒と爲りたり。
我等は天より宏き腹、アダムに喜びて天に居らしむる者を歌頌せん。
第四歌頌
イルモス 童貞女に藉りて來りし者は使者に非ず、天使に非ず、主親ら人體を取りて、我全き人を救ひ給へり。故に我爾に呼ぶ、主よ、光榮は爾の力に歸す。
我が神、審判を諸民に行ふ主宰よ、爾は聲を出さずして、審判せらるる者として審判座の前に立つ。ハリストスよ、爾は此の苦にて世界の爲に救を立て給へり。
ハリストスよ、爾の苦に因りて敵には武器悉く盡き、爾が地獄に下るに因りて仇の城邑は毁たれ、苦しむる者の狂暴は壞られたり。
生神女讚詞 女宰生神女よ、我等衆信者は爾を救の湊及び堅固なる城として知る、爾の祈禱に因りて我等の靈を危難より脫れしめ給へばなり。
又
イルモス 人を愛する主よ、我爾の光榮なる攝理を聞きて、爾の悟り難き能力を讚榮せり。
ハリストスよ、病なく爾を生みし童貞女は爾が木に釘せられたるを見て、母として病を忍びたり。
死は勝たれ、死者は地獄の門を壞ちたり、蓋衆を呑む者は破られて、天性に超ゆる諸恩は我に賜はりたり。
又 同イルモス
視よ、主の家の神聖なる山は最高く擧りたり、是れ神の母、天軍に超ゆる者なり。
童貞女よ、爾は獨神聖なる召に勝ふる者と爲りて、天性に超えて造物を掌る主を生み給へり。
第五歌頌
イルモス ハリストス神よ、爾は神と人との中保者と爲れり、主宰よ、我等は爾に依りて、無智の闇より光の原なる爾の父に就くを得たればなり。
主宰ハリストスよ、爾は身にて甘じて松と黄楊樹と柏香木とに擧げられしに因りて、リワンの柏香木を摧く如く、諸民の驕を壞り給へり。
ハリストスよ、彼等爾を氣息なき死者として最深き坎に置きたれども、爾は傷つけられて、爾の傷に因りて墓に寢ぬる遺れられたる死者を爾と偕に復活せしめ給へり。
生神女讚詞 潔き童貞女よ、爾を賴む者を諸敵の攻擊より護りて、之に平安を賜はんことを爾の子及び主に祈り給へ。
又
イルモス イサイヤに爇炭として現れし日は童貞女の腹より黑暗に迷ひし者に輝きて、神を知る知識の光照を賜ふ。
第一のアダムは齋を辭みて、死を致す木の果を食ふ、第二のアダムは木に釘せられて、其罪を滅す。
無形の神性にて苦に與らざるハリストスよ、爾は人の性にて苦及び死に與りて、殺されし者を不朽の者と爲して、地獄の深處より復活せしめ給へり。
又 同イルモス
雲よ、樂の甘味を地に居る者に注げ、蓋世の先より在す神は童貞女より身を取りて、嬰兒として我等に賜はりたり。
末の時に童貞女より種なく身を取りし至上者は我が生命我が肉體に光を輝かして、罪に由る衰弱を除き給へり。
第六歌頌
イルモス 我罪の淵に溺れて、爾が憐の量り難き淵に呼ぶ、神よ、我を淪滅より引き上げ給へ。
義者は犯罪者の如く定罪せられ、犯罪者と偕に木に釘せられて、己の血に由りて罪過ある者に赦を賜ふ。
昔一人第一のアダムに由りて死は世に入り、又一人神の子に由りて復活は顯れたり。
生神女讚詞 童貞女よ、爾は夫を識らずして生み、又永遠に童貞女に止まりて、爾の子及び神の眞の神性の印象を顯す。
又
イルモス 主宰よ、傷める靈より祈禱の言の聲を聞きて、我を諸難より脫れしめ給へ、爾は獨我等の救の緣由なればなり。
爾は生命の樹を罪に陷りし者より護らん爲にヘルワィムを立てたり、然れども爾を見て門は啓かれたり、爾盜賊を樂園に導きて現れたればなり。
一人の死に藉りて地獄は破られて空しくなれり、其聚めたる多くの富は獨ハリストス我等衆の爲に之を盡し給へり。
又 同イルモス
潔き女宰よ、罪に服役する人の性は爾に緣りて自由を獲たり、蓋爾の子は羔の如く衆の爲に屠られたり。
我等皆爾眞の神の母に呼ぶ、怒に觸れたる諸僕を援け給へ、爾獨子の前に勇敢を有てばなり。
小讚詞、第二調。
全能の救世主よ、爾墓より復活せしに、地獄は奇蹟を見て慄き、死者は起き、造物は見て爾と偕に喜び、アダムは共に樂しみ、我が救世主よ、世界は常に爾を讚め歌ふ。
同讚詞 救世主よ、爾は昧まされし者の光、爾は衆の復活、人人の生命なり。言よ、爾は死の權を滅し、地獄の門を破りて、衆を己と偕に復活せしめたり。人を愛する主よ、死者は奇跡を見て驚き、萬物は爾の復活の爲に喜ぶ。故に我等衆も爾の寬容を讚榮歌頌し、我が救世主よ、世界は常に爾を讚め歌ふ。
第七歌頌
イルモス 不法なる虐者の神に戾る命令は高き焰を起したれども、讚め歌はるるハリストスは敬虔の少者に屬神の露を降し給へり。
主宰よ、爾は慈憐に由りて人の死に苦しめらるるを見るに忍びずして、人と爲り、來りて、爾の血を以て之を救ひ給へり、爾は我が先祖の讚美讚榮せらるる神なればなり。
ハリストスよ、地獄の門衞は爾が復讐の衣を衣たるを見て懼れたり、蓋爾主宰は狂暴の殘虐者たる奴隷を殺さん爲に來り給へり、爾は我が先祖の讚美讚榮せらるる神なればなり。
生神女讚詞 無玷なる童貞女、聘女ならぬ母よ、我等爾を獨變易なき神を生みし者として、聖者の中に至りて聖なる者なりと識る、蓋爾は神聖なる爾の產にて衆信者に不朽を流し給へり。
又
イルモス 昔少者は智慧深き辯舌者と現れて、至りて敬虔なる靈より口を以て祝讚して歌へり、先祖及び我等の至聖なる神よ、爾は崇め讚めらる。
昔不順はエデムに於て原祖を定罪せり、然れども至聖にして讚美たる先祖の神は甘じて定罪せらるるを以て誡を犯しし者の罪を釋き給へり。
至聖にして讚美たる先祖の神よ、爾は殺人者の猜忌に因りてエデムに於て其舌にて傷つけられし者を救へり、甘じて得たる傷を爾は甘じて受けたる苦にて醫し給へり。
生神女讚詞 至聖にして讚美たる先祖の神よ、爾は神性の光明にて暗き地獄を照して、我死の蔭を行く者を光に召し給へり。
又 同イルモス
イアコフは人體を取り給ふ神を夜間朦朧の中に見たり、爾に由りて至聖にして讚美たる先祖の神は明に彼を歌ふ者に現れ給へり。
潔き者よ、至聖にして讚美たる先祖の神、爾に由りて甘じて人人に合せられし主は、言ひ難く彼等の罪を卸さんとする前兆として、イアコフと角力を爲し給ふ。
爾童貞女の子、至聖なる三者の一位を疑なき信を以て傳へず、舌を以て至聖にして讚美たる先祖の神よと呼ばざる人は厭はるべし。
第八歌頌
イルモス 昔ワワィロンの火の爐は神の命によりて其勢を分ち、ハルデイを焦して、信者を凉しくせり、主の悉くの造物は主を崇め讚めよと歌へばなり。
ハリストスよ、天使の品位は爾の肉體の衣が爾の血にて赤みたるを見て慄き、爾の大なる寬忍に驚きて呼べり、主の悉くの造物は主を崇め讚めよ。
慈憐なるハリストスよ、爾は己の復活を以て我の死に屬する性に不死を衣給へり。故に選を蒙りたる民は感謝して爾を讚め歌ひ、樂しみて爾に呼ぶ、實に死は勝に呑まれたり。
生神女讚詞 至淨なる神の母よ、爾は父に別れざる者を種なく胎内に孕みて、言ひ難く生み給へり。故に我等は爾を我衆の救と認む。
又
イルモス 三重に福たる少者は金の像を顧みずして、變易なき活ける神の像を見て、焰の中に歌へり、造を受けし萬物は主を歌ひて、萬世に讚め揚ぐべし。
慈憐豐なる仁愛の主よ、爾は十字架に釘せらるる者と見られ、甘じて葬られ、三日目に復活し、衆人を救ひて、信を以て歌はしむ、萬物は主を歌ひて、萬世に讚め揚ぐべし。
神の言ハリストスよ、爾は造りし者を朽壞より救はん爲に地獄に降り、爾の神聖なる力にて之を不朽の者と爲し、爾の永在なる光榮に與る者と爲して呼ばしむ、萬物はハリストスを歌ひて、世世に讚め揚ぐべし。
又 同イルモス
仁慈能力の比ぶべきなき主は爾に由りて地上に見られ、人人と偕に在せり。我等信者皆彼を歌ひて呼ぶ、造を受けし萬物は主を歌ひて、萬世に讚め揚ぐべし。
我等は爾潔き者を實に生神女と傳へて讚榮す、蓋爾は三者の一位、身を取りし者を生み給へり。我等皆彼に父及び聖神と偕に歌ふ、萬物は主を歌ひて、萬世に讚め揚ぐべし。
次ぎて生神女の歌を歌ふ、「我が靈は主を崇め」、附唱と共に、「ヘルワィムより尊く」。
第九歌頌
イルモス 無原の父の子、神と主は、童貞女より人體を取り、我等に現れて、昧まされし者を明かし、散らされし者を集め給へり。故に我等讚美たる生神女を崇め歌ふ。
ハリストス救世主よ、爾の至淨なる十字架の三重に尊貴なる木は地堂に於けるが如く髑髏の處に植ゑられ、神聖なる泉よりするが如く爾の脅の神聖なる血と水とに濕されて、我等の爲に生命を生じたり。
全能者よ、爾は十字架に上げられて、有權者を墜し、下に堅固なる地獄に伏したる人の性を擧げて、父の寶座に坐せしめたり。我等父と偕に爾還來らんとする主に伏拜して崇め歌ふ。
聖三者讚詞 我等信者は三位なる惟一者、一性の三者を眞正に歌ひて、分れざる至聖なる性體、三妙の暮れざる日、獨一永在にして、光を我等に輝かしし神を讚榮す。
又 イルモス 「食に緣りて甚しく朽壞に陷りし」。
ハリストスよ、爾は髑髏の處に、定罪せられし者の間に、羔の如く十字架に上げられ、戈にて脅を刺されて、仁慈なる主として、塵に屬する我等、信を以て爾の神聖なる復活を尊む者に生命を賜へり。
我等衆信者は己の死を以て死の權を空しくせし神に伏拜せん、古世よりの死者を己と偕に復活せしめて、衆に生命と復活とを與へ給へばなり。
又
イルモス 神の言、童貞女の子、諸神の神、諸聖の至聖者たる主よ、爾は全く冀望、全く甘味なり。故に我等皆爾及び爾を生みし者を崇め讚む。
潔き者よ、爾の胎内に於て能力の杖たる神の言は朽壞の性に與へられて、此の躓きて地獄に陷りし者を復活せしめたり。故に我等爾純潔なる者を生神女として崇め讚む。
主宰よ、慈憐を以て我等の爲に祈る爾の母を納れて、衆を爾の仁慈に充たしめ給へ、我等皆爾を恩主として崇め讚めん爲なり。
共頌の後に小聯禱。次ぎて主我等の神は聖なり、三次。早課の差遣詞。
「凡そ呼吸ある者」に主日の讚頌、第二調。
句 彼等の爲に記されし審判を行はん爲なり、斯の榮は其悉くの聖人に在り。
主よ、凡そ呼吸ある者及び悉くの造物は爾を讚榮す、蓋爾は十字架にて死を空しくせり、人人に爾の死よりの復活を顯さん爲なり、獨人を慈む主なればなり。
句 神を其聖所に讚め揚げよ、彼を其有力の穹蒼に讚め揚げよ。
イウデヤの人言ふべし、如何ぞ王を守る兵卒は之を失ひたる、何ぞ石は生命の石を守らざりし。或は葬られし者を與ふべし、或は復活せし者に伏拜して、我等と偕に云ふべし、吾が救世主よ、光榮は爾の大なる惠に歸す、光榮は爾に歸す。
句 其權能に依りて彼を讚め揚げよ、其至嚴なるに依りて彼を讚め揚げよ。
人人よ、喜び樂しめよ、墓の石に坐する天使は我等に福音して云へり、ハリストス・世界の救主は死より復活して、萬有に馨しき香氣を滿て給へり。人人よ、喜び樂しめよ。
句 角の聲を以て彼を讚め揚げよ、琴と瑟とを以て彼を讚め揚げよ。
主よ、天使は爾が未だ孕まれざる先に、恩寵を蒙れる者に慶べよと報じ、天使は又爾の復活の時に、爾が光榮なる墓の石を移せり。彼は悲に代へて樂の徵を示し、此は死に代へて我等に生を施す主宰を傳へたり。故に我等爾に呼ぶ、萬有の恩者なる主よ、光榮は爾に歸す。
又讚頌、アナトリイの作、第二調。
句 皷と舞とを以て彼を讚め揚げよ、絃と簫とを以て彼を讚め揚げよ。
女等は淚と共に香料を爾の墓に注ぎしに、彼等の口は、ハリストス復活せりと言ふ時、歡喜に滿てられたり。
句 和聲の鈸を以て彼を讚め揚げよ、大聲の鈸を以て彼を讚め揚げよ。凡そ呼吸ある者は主を讚め揚げよ。
諸族諸民はハリストス我等の神、甘じて我等の爲に十字架を忍びて、地獄に三日在りし主を讚め揚げて、其死よりの復活、世界の四極を照しし者に伏拜すべし。
句 主我が神よ、起きて、爾の手を擧げよ、苦しめらるる者を永く忘るる毋れ。
ハリストスよ、爾は望みし如く、十字架に釘せられ、葬られたり、神及び主宰として、死を滅し、光榮の中に復活して、世界に永遠の生命と大なる憐とを賜へり。
句 主よ、我心を盡して爾を讚め揚ぐ、爾が悉くの奇跡を傳へん。
嗚呼石に封印せし不法者は實に我等に更に多くの奇跡を見るを得しめたり。番兵は今彼が墓より出でたるを知れるに、之に謂ふ、告ぐべし、我等が寢ねたる時、其門徒來りて、彼を竊めりと。誰か死者、殊に裸體なる者を竊まん、彼親ら神として、己の權を以て復活して、墓の中に其斂葬の衣を遺せり。イウデヤ人よ、來りて、觀よ、死を滅し、人類に永遠の生命と大なる憐とを賜ひし者は如何にして封印を破らざりし。
光榮、早課の福音の讚頌、今も、生神女讚詞、「生神童貞女よ、爾は至りて讚美たる者なり」。
大詠頌。次ぎて復活の讚詞。
主よ、爾は墓より復活して、地獄の鎖を壞り、死の定罪を滅し、衆人を敵の網より救へり。獨大慈憐なる者よ、爾は使徒に顯れて、彼等を傳敎に遣し、彼等に依りて爾の平安を世界に賜へり。
主日の聖体礼儀に
聖體禮儀には、眞福詞、第二調。
我等盜賊の聲を爾に奉りて祈る、救世主よ、爾の國に於て我等を憶ひ給へ。
句 心の淸き者は福なり、彼等神を見んとすればなり。
人を愛する主よ、爾が我等の爲に受け給ひし十字架を爾に奉りて、我が罪過の赦を求む。
句 和平を行ふ者は福なり、彼等神の子と名づれられんとすればなり。
人を愛する主宰よ、我等爾の葬と復活とに伏拜す、爾は此等を以て世界を朽壞より脫れしめ給へり。
句 義の爲に窘逐せらるる者は福なり、天國は彼等の有なればなり。
主よ、爾の死にて死は呑まれたり、救世主よ、爾は復活を以て世界を救ひ給へり。
句 人我の爲に爾等を詬り、窘逐し、爾等の事を僞りて諸の惡しき言を言はん時は、爾等福なり。
爾は墓より復活して、攜香女に遇ひ、彼等に爾の復活を使徒に傳へんことを命じ給へり。
句 喜び樂しめよ、天には爾等の賞多ければなり。
ハリストスよ、黑暗に眠る者は爾地獄の深處に輝きし光を見て復活せり。
光榮 我等皆信を以て父を讚榮し、子に伏拜し、聖神を歌頌せん。
今も、生神女讚詞 火の狀の寶座よ、慶べ、聘女ならぬ聘女よ、慶べ、神を人人の爲に生みし童貞女、慶べ。
提綱、第二調。
主は我が力、我が歌なり、彼は我が救となれり。
句 主は嚴しく我を罰したれども、我を死に付さざりき。
「アリルイヤ」、願はくは主は憂の日に於て爾に聽き、イアコフの神の名は爾を扞ぎ衞らん。
句 主よ、王を救へ、又我等が爾に呼ばん時、我等に聽き給へ。
主日の晩課
「主よ、爾に籲ぶ」に主宰の傷感の讚頌、第二調。
句 主よ、若し爾不法を糾さば、主よ、孰か能く立たん。然れども爾に赦あり、人の爾の前に敬まん爲なり。
憐の淵、恩の河を流す所の慈憐の泉を有つ至善なる父、父の言たる子、及び聖神、造られざる神性よ、我等の祈禱祈願を納れて、罪過の中に居る衆人に赦を與へ給へ、爾は宏恩にして人を愛する神なればなり。
句 我主を望み、我が靈主を望み、我彼の言を恃む。
ハリストス我が救世主よ、爾は神として性に依りて慈憐仁愛宏恩の心を有ち給ふ。故に我等爾に祈り、俯伏して呼び、常に爾に求む、爾の諸僕の多くの罪過を解き、我等衆の犯しし諸罪を赦し給へ、爾は宏恩にして人を愛する神なればなり。
句 我が靈主を待つこと、番人の旦を待ち、番人の旦を待つより甚し。
救世主よ、爾は神として衆人を救はんと欲して、彼等の爲に人體を取り、人と現れ給へり。人を愛する主よ、我等爾の誡を尊む者を救ひ給へ。蓋爾が來りしは義人を救ふ爲に非ず、乃我等罪過の中に在りて多くの罪に縛られし者を神聖なる洗禮の恩寵を以て解かん爲なり、爾は宏恩にして人を愛する神なればなり。
次に月課經の讚頌。若し月課經なくば、聖なる無形天軍の讚頌、同調。
句 願はくはイズライリは主を恃まん、蓋憐は主にあり、大なる贖も彼にあり、彼はイズライリを其悉くの不法より贖はん。
寶座、ヘルワィム及びセラフィム、主制、能力及び尊き權柄、差役、差役首、之と偕に首領は、彼等の不朽の性を造りし主に同心にして絕えざる歌を歌ひ、三位に於て一性一體、同尊同寶座の神を尊まんことを衆に敎ふ。
句 萬民よ、主を讚め揚げよ、萬族よ、彼を崇め讚めよ。
無形の者の首たる品位は直に神元の光明の照を受けて、神聖なる光を他の品位に其等級に適ひて傳へ、又愛の法に循ひて、熱切に之を我等に送り、各人の量に稱ひて、心の潔淨を爲す。
句 蓋彼が我等に施す憐は大なり、主の眞實は永く存す。
我等神を愛する愛に感ぜられて、常に我が心の眼、靈の思を上に天に向はしめん、彼處より出づる光線に照されて、諸慾の黑暗を脫れん爲なり。願はくは諸天使と偕に造成主の威嚴なる寶座の前に立ちて、光より光に進まん。
光榮、今も、生神女讚詞 至淨なる者よ、爾の子の無數の天使は、三聖の聲を以て、爾を彼の火の狀の寶座、活ける宮、常に地より彼に渡す神聖なる橋と歌ひて、天使首ガウリイルと同心に、爾歡喜の泉を生みし者に呼ぶ、恩寵を蒙れる者、慶べよ。
次ぎて「穩なる光」。提綱、主の諸僕、夜中主の家に立つ者よ、今主を崇め讚めよ。其後「主よ、我等を守り」。
挿句に傷感の讚頌、第二調。
ハリストス救世主よ、我放蕩の子の如く爾の前に罪を獲たり、父よ、我痛悔する者を納れよ、神よ、我を憐み給へ。
句 天に居る者よ、我目を擧げて爾を望む。視よ、僕の目主人の手を望み、婢の目主婦の手を望むが如く、我等の目は主我が神を望みて、其我等を憐むを俟つ。
ハリストス救世主よ、我稅吏の聲を以て爾に呼ぶ、神よ、我を彼の如く潔めて、我を憐み給へ。
句 主よ、我等を憐み、我等を憐み給へ、蓋我等は侮に饜き足れり。我等の靈は驕る者の辱と誇る者の侮とに饜き足れり。
致命者は地上の甘樂を嗜まずして、天上の福樂を獲、諸天使と同住する者と爲れり。主よ、彼等の祈禱に因りて、我等を憐みて救ひ給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 慶べよ、生神女マリヤ、毁たれぬ殿、更に言へば聖なる殿や、預言者の呼ぶが如し、爾の聖なる殿は義に於て奇異なり。
次ぎて「主宰よ、今爾の言に循ひて」。聖三祝文。「天に在す」の後に聖人の讚詞。光榮、今も、生神女讚詞、讚詞の調に循ふ。聯禱及び發放詞。
主日の晩堂課
至聖なる生神女を讚頌する規程、第二調。
第一歌頌
イルモス 全く備はれる力は昔ファラオンの全軍を深水に敷き、人體を取りし言、讚榮せらるる主は萬の惡を致す罪を滅し給へり、彼嚴に光榮を顯したればなり。
爾より我等の爲に輝きし暮れざる日は、嚴に爾を靈智にして至りて明なる天と顯したり。故に爾に祈る、我を慾の臭氣より脫れしめ給へ、我が愛を以て爾獨一の母童貞女を歌頌せん爲なり。
女宰よ、我爾、靈智の熾炭を取りて人の性を潔めん鉗なる者に祈る、我が多くの罪過の穢を滌ひ、爾の祈禱を以て我を汚す諸慾より脫れしめ給へ。
光榮 仁慈の泉なるハリストスを生みて、人人の爲にエデムを啓きし至淨なる生神女、世界の女宰よ、我が爲に爾の慈憐の門を啓きて、我に諸罪の赦を與へ給へ。
今も 女宰・永貞童女よ、爾の子及び神に祈りて、我が罪過の縛を斷ち、我を攻むる罪を除き給へ、我が救はれて、常に爾純潔なる者を歌頌せん爲なり。
第三歌頌
イルモス 爾我を信の石に堅く立て、我が口を啓きて我が敵に對はしめ給へり。蓋我が神゜は樂しみて歌へり、吾が神と侔しく聖なるはなく、主よ、爾の外に義なるはなし。
晨の星より先に輝きしハリストス、日よりする入らざる日たる者を生みし至淨なる女宰よ、爾の祈禱の光線にて我が諸慾の霧と幽闇とを拂ひて、我を照し給へ。
至淨なる者よ、爾の產を以て爾は先祖ダワィドの陷りて壞られたる幕を興せり。祈る、生神女よ、諸慾諸罪に因りて壞られたる我爾の僕をも興し給へ。
光榮 童貞女よ、我が靈の諸罪諸慾を退くる劍と爲りて、我を爾に護られて侵されぬこと彼の樂園の如く爲して、靈神゜の花を開く者と顯し給へ。
今も 神の母よ、慈憐の手を舒べて、我を接け、爾に趨り附きて、爾に俯伏し、爾の援を求むる者を凡の定罪より脫れしめ給へ。
第四歌頌
イルモス 主よ、我爾を歌ふ、蓋風聲を聞きて懼れたり、爾は我迷へる者を尋ねて、我にまで至ればなり。故に慈憐深き主よ、我に於ける爾の大なる寬容を讚榮す。
人の性の穢なき聖なる酵、造成主が之を取りて人性を改め造りし者よ、我が諸慾の穢を消し、我が諸罪の不潔を潔め給へ。
潔き女宰よ、爾の祈禱の醫藥と傅油とを以て、今我が靈の疵、諸罪の傷を瘳し給へ、爾は人性の神妙なる醫療を生みたればなり。
光榮 地獄に縛られたる者に救を賜ひしハリストスを生みたる女宰よ、我が諸慾の縛を解き、爾の祈禱の劍にて我が諸罪の桎梏を截ち給へ。
今も 潔き者よ、甚しく我を昧ましし我が靈の諸慾を醫して、思念を照し給へ。我を攻めて、每日我が爲に網を張る衆くの惡鬼を遠く我より逐ひ給へ。
第五歌頌
イルモス 幽闇に居る者の光照、失望する者の救贖たるハリストス我が救主よ、我爾平安の王に朝の祈禱を奉る、爾の光を以て我を照し給へ、我爾の外に他の神を識らざればなり。
世界の祝福たるハリストスを生みて、世界を古の詛より救ひし女宰よ、我を不當なる思念及び凡の憂愁より救ひ給へ、爾は獨信者の歡喜なればなり。
惡鬼の隊は我が靈の城邑を圍みて、甚しく之を虜にせんことを務む、萬有の王の城邑たる至榮なる女宰よ、破られぬ墉垣たる爾の祈禱を以て我を環りて救ひ給へ。
光榮 惡鬼の誘惑の烈しき颶風は我が思念を亂す、凡の造物の惟一なる全能の舵師ハリストスを生みし者よ、速に來りて、之を鎭め給へ。
今も 潔き神の母よ、滅亾の黑暗に閉されたる我に痛悔の光を輝かし、仆れたる我に援助の手を與へて、爾の祈禱を以て我を興して、神の誡を行はしめ給へ。
第六歌頌
イルモス 我罪の淵に溺れて、爾が憐の量り難き淵に呼ぶ、神よ、我を淪滅より引き上げ給へ。
永遠の生命を生みし至淨なる者よ、我が靈が肉體より出づる時、爾の祈禱を以て死を殺し給へ。
人を惡む蛇は我を誘ひて執へんと欲す、蛇の首を碎きたる者を生みし女宰よ、之を空しくなし給へ。
光榮 生命の途たるハリストス我が神を生みし者よ、曲れる途を行きし我を直き途に向はしめ給へ。
今も 人人の救の爲に神を生みし至淨なる者よ、我が靈の諸慾を醫して、憂愁の惑に勝ち給へ。
次ぎて主憐めよ、三次。光榮、今も、
坐誦讚詞、第二調。
慈憐の泉なる生神女よ、我等に憐を垂れ、罪なる人人を顧みて、恒の如く爾の力を顯し給へ、蓋我等は爾を恃みて、天軍首ガウリイルに傚ひて爾に呼ぶ、慶べよ。
第七歌頌
イルモス 睿智なる少者は金の像に事へずして、自ら焰に趣き、彼等の諸神を辱しめ、焰の中に在りて呼びしに、天使彼等に露を注げり、爾等の口の祈禱は已に納れられたり。
諸慾の浪は我が思念を擾し、靈を蕩かす。求む、神妙なる命にて濤たつ海を鎭めたる主を生みし童貞女よ、之を無慾の平穩に變じて、肉體の紛擾を治め給へ。
童貞女よ、我爾の僕は爾を天より現れたる靈智なる東の門と知りて、爾に依りて天に入らんことを祈る、女宰よ、我を接けて、光を以て導き給へ。
光榮 ハリストス爾の子は甘じて十字架に釘せられて、黑暗の首領を辱かしめ、死の廢壞の力を滅せり。至淨なる女宰よ、此の十字架にて我が肉慾の想を殺し給へ。
今も 潔き者よ、信を以て爾に趨り附きて、救を求むる者の爲に爾より生れし神に絕えず祈り給へ。爾は獨世界の保護者、望を失ひし者の冀望及び守護、艱難に惱まさるる者の援助なり。
第八歌頌
イルモス 三重に福たる少者は金の像を顧みずして、變易なき活ける神の像を見て、焰の中に歌へり、造を受けし萬物は主を歌ひて、萬世に讚め揚ぐべし。
聖者の至聖なる者、古の幕の模式を示しし大なる司祭長を己の中に宿しし神造の幕たる童貞女よ、我が心を萬有の王、至上者ハリストスの聖なる幕と爲し給へ。
神聖なる匱及び約の石板を賜ひし爾の像られぬ子ハリストス、神の至淨なる言を抱きし童貞女よ、爾の祈禱に依りて、此の言が神の指を以て板に於けるが如く、我が靈に錄さるるを致し給へ。
光榮 純潔なる女宰よ、爾の胎より、尊き石は山よりするが如く截り分けられて、獨一全能の有權者として、悉くの迷の柱を摧けり。求む、彼を以て今我が靈の諸慾の像を滅して、無形の敵の頷を壞り給へ。
今も 生神童貞女よ、諸罪の焰に由りて涸れたる我が心に生命の水を飮ませて、常に我に傷感を與へ給へ。蓋我畏を以て歌ふ、萬物は主を歌ひて、世世に彼を讚め揚ぐべし。
第九歌頌
イルモス 日より前に光り輝きし神、肉體にて我等に臨みし者を、貞潔の腹より言ひ難く生みし讚美たる至淨き生神女よ、我等爾を崇め讚む。
潔き者よ、爾は義の日たるハリストスを輝かして、至りて光明なる天と顯れたり。求む、彼に由りて爾の祈禱を以て我が諸慾の夜を散じて、我が靈を照し、我が心を輝かして、明なる者と爲し給へ。
生神女よ、我が烈しき敵を審き、之に勝ちて、我を其侵害より援け給へ。蓋爾は善にして義なる審判者、神性の議定の中に死を定罪せし者を生み給へり。
光榮 童貞女よ、神として肉體なき者を造りし主は爾より肉體を取り給へり。求む、爾の祈禱を以て我爾の僕を肉慾の攻擊及び肉體の思念より脫れしめ給へ。
今も 爾は先にアダムの性を造りし新なるアダムを生みて、エワの哀を釋き給へり。求む、我が諸罪の書券をも裂きて、我を葘害と憂愁と諸慾より脫れしめ給へ。
次ぎて「常に福にして」、聖三祝文。「天に在す」の後に諸讚詞。其他常例の如し、幷に發放詞。
月曜日
月曜日の早課
第一の誦文の後に傷感の坐誦讚詞、第二調。
我が不法は海の浪の如く我を打つ、我多くの罪に緣りて舟の如く淵に沈む。主よ、我を痛悔の穩なる湊に向はしめて、我を救ひ給へ。
句 主よ、爾の憤を以て我を責むる毋れ、爾の怒を以て我を罰する毋れ。
主よ、我は果なき樹なり、聊も痛悔の果を結ばずして、斫らるるを畏れ、彼の滅えざる火に慄く。故に爾に祈る、此の禍に先だちて我を反正せしめて救ひ給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 慈憐の泉なる生神女よ、我等に憐を垂れ、罪なる人人を顧みて、恒の如く爾の力を顯し給へ、蓋我等は爾を恃みて、天軍首ガウリイルに傚ひて爾に呼ぶ、慶べよ。
第二の誦文の後に坐誦讚詞、第二調。
我を憐み給へとダワィドは言へり。我も爾に呼ぶ、救世主よ、我罪を犯せり、痛悔を以て我が諸罪を潔めて、我を憐み給へ。
句 主よ、爾の憤を以て我を責むる毋れ、爾の怒を以て我を罰する毋れ。
神よ、我を憐み、我を憐み給へと、ダワィドは二の罪の爲に泣けり、我は無數の罪過の爲に爾に呼ぶ。彼は淚にて其褥を濡せり、我は一滴だに注がざりき。望を失ひて祈る、神よ、爾の大なる憐に因りて我を憐み給へ。
句 神よ、爾は爾の聖所に於て嚴なり。
諸聖人は爾雲を以て天を覆ふ者を己の衣と爲して、世に在りて不法者より苦を忍びて、偶像の迷を空しくせり。救世主よ、彼等の祈禱に因りて我等をも見えざる敵より脫れしめて救ひ給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 生神女よ、我等爾を崇め讚めて呼ぶ、入らざる光の雲よ、慶べ、爾は此の光なる光榮の主を爾の懷に抱き給へり。
第三の誦文の後に坐誦讚詞、第二調。
ハリストスよ、我は知ると知らずして、晝と夜に罪を犯して、獨地上に於て我が不法を以て爾の怒を招く。獨仁慈にして不死なる主、慈憐に因りて罪人を召して悔改せしめん爲に來りし者よ、爾の諸天使の祈禱に因りて、我を反正せしめて救ひ給へ。
無形の者の至聖なる品位は爾仁慈の神主宰に祈りて、我等愛を以て彼等の帲幪に趨り附く者を定罪の時に宥め、烈しき苦と、魔鬼の姦惡と、諸慾の昏昧と、凡の危難より脫れしめんことを求む。
光榮、今も、生神女讚詞 潔き生神女、聘女ならぬ聘女、種なく萬有の主宰を生みし者よ、彼に諸天使と偕に祈りて、我等を凡の迷惑より脫れしめ、我が靈に傷感と、光照と、諸罪の潔淨とを賜はんことを求め給へ、爾獨速なる保護者なればなり。
傷感の規程、我が主イイススハリストス及び其聖なる致命者に奉る。其冠詞は、神の言よ、我に淚の雨を賜へ。イオシフの作。第二調。
第一歌頌
イルモス 人人よ、來りて、海を分ちて、エギペトの奴隷より引き出しし民を過らせしハリストス神に歌を歌はん、彼光榮を顯したればなり。
人體を取りて、宣給ひし如く、義人を召す爲に非ず、乃罪人を召して悔改せしめん爲に來りし言よ、多く罪を犯しし我を納れて救ひ給へ。
獨我は諸罪に服從し、獨我は諸慾の爲に門を啓けり。獨能く變易せしむる主よ、我を反正せしめて、爾の慈憐に由りて救ひ給へ。
致命者讚詞 主よ、凶惡者の狂暴に勝ちて、不死の富を得たる受難者は榮冠を冠りて、爾の審判座の前に立つ。
致命者讚詞 受難者は聖神の力を以て、我等に治醫の流を注ぎて、常に我が肉慾の流動を涸らす。
生神女讚詞 無慾の泉を生みし少女、獨神の恩寵を蒙れる者よ、諸慾に傷つけられし我を醫して、永遠の火を免れしめ給へ。
又聖なる無形天軍の規程。其冠詞は、天使の會に讚美を歌ふ。フェオファンの作。第二調。
第一歌頌
イルモス 選ばれたるイズライリは曾て履まれぬ、常ならぬ、海の路を足を濡らさずして過りて呼べり、主に謳はん、彼光榮を顯したればなり。
ハリストスよ、爾は無形なる品位、爾を全能者として讚榮する者を、爾の神性の光線にて燃やされたる神妙なる熾炭と著し給へり。
ハリストスよ、天使等は爾に近づくに因りて賜はりたる不朽の力と不死の光榮とを獲て光り輝く。
ハリストスよ、光れる天使等は其性に屬する無形の潔淨を顯し、又形狀を以て有形にも之を示す。
生神女讚詞 潔き童貞女よ、天使の品位は喜びて性に超ゆる爾の產に奉事す、爾は彼等の神及び主を生みたればなり。
第三歌頌
イルモス 木を以て罪を殺しし主よ、我等を爾の中に堅めて、爾を畏るる畏を我等、爾を歌ふ者の心に植ゑ給へ。
朽ちざる腹に入りたるハリストスよ、慾にて朽ちたる我が靈を痛悔に由りて新にして、永在の光に滿てらるる者と顯し給へ。
人を愛する主よ、我爾の怒を干す敵に從ひ、凡の罪を行ひて、無智に爾獨一恒忍の主を怒らせたり。
致命者讚詞 十字架に護らるる勝たれぬ救世主の軍士たる致命者は、神に由りて、垣を毁つが如く、勇ましく迷の堅堡を毁てり。
致命者讚詞 勇敢なる受難者よ、爾等は神の力を以て己の弱きを堅めて、敵の堅堡を全く滅せり。
生神女讚詞 マリヤ、黃金の香爐なる者よ、我が諸慾の臭氣を拂ひて、敵の詭譎なる攻擊に搖かさるる我を固め給へ。
又
イルモス ハリストスよ、爾の權能に因りて强き者の弓は折られ、弱き者は力を帶びたり。
性に依りて不死なる神は睿智を以て天軍を造り、恩寵を以て之を不死の者と爲し給へり。二次。
熱切なる愛を以て今ハリストスの前に立てる諸天使よ、我等衆の救はれんことを祈り給へ。
生神女讚詞 母永貞童女よ、時を造りし主は定まりたる時に於て爾より始を受け給へり。
第四歌頌
イルモス 主よ、我爾を歌ふ、蓋風聲を聞きて懼れたり、爾は我迷へる者を尋ねて、我にまで至ればなり。故に慈憐深き主よ、我に於ける爾の大なる寬容を讚榮す。
主よ、我罪の不潔に陷り、上よりの華美を失ひて、苦を懼る。故に痛悔の美しきを以て我が卑微なる靈を照し給へ。
詭譎の者は詭譎なる言を以て我を爾より奪ひて、己の食と爲せり。萬有の神よ、我を其姦惡より脫れしめて、痛悔に召し給へ。
致命者讚詞 致命者よ、爾等は猛獸の食に畀へられ、火に燒かれ、皮を剥がれ、百體を寸斷せられて、ハリストスを援くる者と爲して背かざりき。彼に我不當の者の爲に熱切に祈り給へ。
致命者讚詞 ハリストスの致命者よ、爾等は性に於て惟一者、位に於て三者として、造られざる神性を尊みて、敢て造られたる物を尊まざりき、故に諸の苦を受けたり。
生神女讚詞 至淨なる者よ、主は爾の潔き血より身を取り、甘じて人人に合せられ、常に爾の祈禱に因りて傾けられて、嘗て罪に沈みたる痛悔者を受け給ふ。
又
イルモス 人を愛する主よ、我爾の光榮なる攝理を聞きて、爾の悟り難き能力を讚榮せり。
宏恩の主よ、我無形の者を祈禱者として爾に進む、慈憐なるに因りて彼等を受けて、我を諸罪より救ひ給へ。
神聖なる靈智者は萬有の原因なる睿智に近づきて、至りて上なる智識に光照せらる。
天上の品位の神聖なる裝飾は聖神に護られて變易せず。
生神女讚詞 童貞女よ、イサイヤは遙に爾が人體を取りし神を手に抱けるを見て、預言せり。
第五歌頌
イルモス 光を賜ひ、世世を造りし主よ、爾の誡の光の中に我等を導き給へ、我等爾の外に他の神を識らざればなり。
瞽者の目を啓きし主よ、我が昧みたる靈を照し、之を善行の爲に警醒せしめて、怠惰の眠を終まで厭はん爲に堅め給へ。
昔盜賊に遇ひし者の傷を醫しし獨一の救世主よ、我が實に罪の甚しき傷を患ふる靈を醫し給へ。
致命者讚詞 尊き受難者の會は不法なる窘逐者の會を辱かしめて、多樣の苦を忍びたり。今は絕えず天使の聖にせられし會と偕に悅ぶ。
致命者讚詞 光明なる致命者は忍耐の光線を放ちて、神聖なる神゜に藉りて信者の靈を照す至りて明なる星と現れたり。
生神女讚詞 讚美たる者よ、爾は我等の爲に新なる嬰兒として永遠の子、二性にして二の旨二の行を有つ人及び神なる主を生み給へり。
又
イルモス イサイヤに爇炭として現れし日は童貞女の腹より黑暗に迷ひし者に輝きて、神を知る知識の光照を賜ふ。
至聖なる神元に近く立ちて光り輝けるヘルワィム、セラフィム、及び至高なる寶座は神に傚ひて、他の者を光照す。二次。
悉くの光の原因なる神の言よ、爾は光明なる天軍、樂と正直なる智慧とを以て爾の光照を受くる者を造り給へり。
生神女讚詞 潔き神の聘女よ、聖にせられし天使首ガウリイルは天より飛び下りて、爾に原祖の憂を解く歡喜を福音せり。
第六歌頌
イルモス 我罪の淵に溺れて、爾が憐の量り難き淵に呼ぶ、神よ、我を淪滅より引き上げ給へ。
我蛇の惡毒に倒されて、失望の牀に臥す。言を以て癱瘋の者を起ししハリストスよ、我をも起し給へ。
人を愛する主よ、蛇の暴風に荒され、常に罪の浪に溺らさるる我をペトルの如く救ひ給へ。
致命者讚詞 致命者よ、爾等は性の界に限られずして、性に超えて苦を忍べり、故に智慧に超ゆる福樂を獲たり。
致命者讚詞 至榮なる致命者よ、爾等は善なる者、美なる者、尊貴なる者として、至善、至美、至尊の主に體合せられて、常に我等の爲に祈り給ふ。
生神女讚詞 純潔なる者よ、造物主は萬族の中より爾、其愛する所のイアコフの榮を選びて、爾より輝きて現れ給へり。
又
イルモス 主宰よ、傷める靈より祈禱の言の聲を聞きて、我を諸難より脫れしめ給へ、爾は獨我等の救の緣由なればなり。
主宰ハリストスよ、爾の光榮の神聖なる處に光明の天軍は神元の光に輝かされて、常に爾を讚榮して樂しむ。二次。
神の力に堅めらるるセラフィム等は、默さぬ聲を以て三聖の歌を奉りて、我等に三位の神性を尊まんことを敎ふ。
生神女讚詞 少女よ、主は其言ひし如く、昔眞實を以てダワィドに誓ひし事を爾の腹より出づるを以て行へり、爾は天地を宰る者を生みたればなり。
第七歌頌
イルモス 黃金の偶像がデイルの野に奉事せられし時、爾の三人の少者は神に逆ふ命を顧みずして、火の中に投げられ、凉しくせられて歌へり、我が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
我心の放蕩と惡鬼の攻擊とに由りて凡の耻づべきことに充てられて、蕩子の如く爾の誡に遠ざかれり。今は歸りて呼ぶ、我彼の如く罪を獲たり、我が爲に身を取りしイイススよ、我を厭ふ勿れ。
萬有の神よ、爾は昔痛悔せしニネワィヤ人を死を生む恐嚇より救へり。獨人を慈む主よ、此くの如く多くの放蕩に汚されたる我が心、今爾に歸る者を烈しき苦より脫れしめ給へ。
致命者讚詞 神福なる聖致命者よ、爾等に傷つけんと欲せし凶惡者は甚しく傷つけられて、痊されぬ者と爲れり。然るに爾等の傷は古の誘惑者の攻擊にて傷つけられし衆信者の爲に醫治と爲れり。
致命者讚詞 大致命者よ、爾等は猛き獸をも、窘逐者の恐嚇をも、火をも、傷をも、斬る劍をも、燒く器をも畏れずして、他人の身に於けるが如く一切を忍べり、故に榮冠を獲たり。
生神女讚詞 至淨なる神の聘女少女よ、爾の腹は神聖なる智識の輝煌にて無神を退けし無形の光の居處と爲れり。我等彼を歌ひて呼ぶ、我が先祖の神は崇め讚めらる。
又
イルモス 昔少者は智慧深き辯舌者と現れて、至りて敬虔なる靈より口を以て祝讚して歌へり、先祖及び我等の至聖なる神よ、爾は崇め讚めらる。
天の靈智者は爾の言ひ難き光榮の寶座を環りて、常に樂しみて、默さざる口を以て歌ふ、先祖及び我等の至聖なる神よ、爾は崇め讚めらる。
天使の品位は爾が肉體と共に天に擧げらるるを見る時、爾の爲に天の門を啓きて歌へり、先祖及び我等の至聖なる神よ、爾は崇め讚めらる。二次。
生神女讚詞 少女よ、ガウリイルは爾が律法及び諸預言者の首先なるを示して呼べり、獨讚美たる者よ、視よ、爾は先祖及び我等の爲に至聖にして崇め讚めらるる神を生み給ふ。
第八歌頌
イルモス 昔ワワィロンの火の爐は神の命によりて其勢を分ち、ハルデイを焦して、信者を凉しくせり、主の悉くの造物は主を崇め讚めよと歌へばなり。
我凶惡者に從ひて、其惡謀に由りて奴隸とせられたり、誘惑者は我が大く弱りたるを見て誇る。迷へる者を喚び歸す慈憐なる主よ、我を彼より脫れしめ給へ。
解かれぬ者の永遠の鐵索を解きたるハリストス救世主よ、肉慾の解き難き鐵索に縛られたる我を解きて、救の道を行くに向はしめ給へ。
致命者讚詞 種種の苦の原因なる者は實に我卑微なる者の上に其悉くの姦惡を顯せり。福たる致命者、實にハリストスの苦に傚ひし者よ、我を其毒害より脫れしめ給へ。
致命者讚詞 讚美たる致命者よ、爾等は偶像の前に膝を屈めざりしに因りて、古の少者の如く苦の爐に投げられ、神聖なる露に由りて焚かれぬ者と顯れて、ハリストスを世世に歌ふ。
生神女讚詞 神の母童貞女よ、凶惡者の多くの攻擊に由りて弱りたる我が不當の靈を、醫治を施す爾の祈禱を以て健康の者と爲し給へ、我が萬世爾を讚榮せん爲なり。
又
イルモス 三重に福たる少者は金の像を顧みずして、變易なき活ける神の像を見て、焰の中に歌へり、造を受けし萬物は主を歌ひて、萬世に讚め揚ぐべし。
言よ、爾は諸天使を爾の仁慈の肖として造り給へり。彼等は熱切に爾の誡を行ひ、且衆信者を助けて歌はしむ、造を受けし萬物は主を歌ひて、萬世に讚め揚ぐべし。
ハリストスよ、爾は聖天使等の神聖なる華美を以て天の居處を飾り、彼等を光照して爾に歌はしむ、造を受けし萬物は主を歌ひて、萬世に讚め揚ぐべし。
我等喜びて、默すなく無形の者の神聖なる歌を歌ひ、主宰を祝讚して彼等と偕に呼ばん、造を受けし萬物は主を歌ひて、萬世に讚め揚ぐべし。
生神女讚詞 至聖なる生神女よ、智慧を以て一切を宰る正直の主は、宜しきに合ひて爾無玷至淨なる童貞女を愛して、言ひ難く爾の内に入り給へり。我等を讚榮して呼ぶ、萬物は主を歌ひて、萬世に讚め揚ぐべし。
次ぎて生神女の歌詠を歌ふ、「我が靈は主を崇め」。
第九歌頌
イルモス 食に緣りて甚しく朽壞に陷りしアダムを、言ひ難き智慧を以て改めん爲に神より來りし神言、我等の爲に測り難く聖なる童貞女より身を取りし主を、我等信者は同心に歌を以て崇め讚む。
視よ、工作の時なり、靈よ、何ぞ大く悶えて無智に眠れる。起きて、淚を以て爾の燈を整へよ。急げ、靈の新娶者は近づく、遲はる勿れ、恐らくは神聖なる門の外に遺されん。
嗚呼凡の行爲を諸天使及び人人の前に裸體にして顯す爾の審判は何ぞ懼るべき、嗚呼爾が罪を犯しし者に發せんとする言は何ぞ烈しき。ハリストスよ、終の前に我を之より脫れしめて、我に反正の淚を與へ給へ。
致命者讚詞 光榮なる聖受難者は羔及び牧者の神聖なる血を以て印されて、無玷なる羔の如く屠られて悅べり。今は實に在天の冢子の聖なる全敎會を裝飾す。
致命者讚詞 勇敢なる受難者よ、爾等は日の如く輝ける燈と顯れて、爾等の苦の光線にて凡の靈を照し、凡の迷の幽闇を斥く。故に我等信を以て宜しきに合ひて爾等を讚頌す。
生神女讚詞 主よ、我を宥め、審判せん時我を宥めて、火に定罪する毋れ、爾の憤を以て我を責むる毋れ。ハリストスよ、爾を生みし童貞女と、衆くの天使と、致命者の會とは我が爲に爾に祈る。
又
イルモス 神の言、童貞女の子、諸神の神、諸聖の至聖者たる主よ、爾は全く冀望、全く甘味なり、故に我等皆爾及び爾を生みし者を崇め讚む。
ハリストスよ、白衣にして現れたる天使等は爾の神聖なる門徒に爾の再度の降臨を傳へたり。彼等と偕に我等皆爾を祝讚して崇め讚む。二次。
爾は凡の靈智なる性の恩主として、至大なる仁慈に由りて、爾の元始の光を像る第二の光明を造り給へり。故に我等皆感謝して爾を崇め讚む。
生神女讚詞 至りて潔き者よ、神聖なる天軍首は爾の光潔なる童貞を悟り、之を奇として、喜を爾に報ぜり。故に我等皆爾を生神女として崇め讚む。
次ぎて「常に福にして」、及び叩拜。小聯禱及び光耀歌。其他常例の如し。
挿句に傷感の讚頌、第二調。
仁慈の主よ、我は行ひし不當なる我が行爲を思ひて、稅吏と、泣きたる淫婦と、放蕩の子に效ひて、爾の慈憐に趨り附き、爾に俯伏して祈る、神よ、我を定罪せざる先に我を宥めて、憐み給へ。
句 主よ、夙に爾の憐を以て我等に飽かしめよ、然せば我等生涯歡び樂しまん。爾我等を撲ちし日、我等が禍に遭ひし年に代へて、我等を樂しましめ給へ。願はくは爾の工作は爾の諸僕に著れ、爾の光榮は其諸子に著れん。
童貞女より生れし主よ、我が不法を顧みずして、我が心を潔めて、之を爾の聖神の殿と爲し給へ。無量なる大仁慈を有つ主よ、我を爾の顏より退くる勿れ。
句 願はくは主吾が神の惠は我等に在らん、願はくは我が手の工作を我等に助け給へ、我が手の工作を助け給へ。
致命者讚詞 嗚呼受難者致命者よ、爾等はハリストスの爲に死に至るまで苦を忍びて、爾等の靈を天上に神の手に託し、爾等の不朽體は全世界に尊まる。諸司祭諸王は爾に伏拜し、我等衆民は喜びて常に呼ぶ、聖人の死は主の目の前に貴き寢なり。
光榮、今も、生神女讚詞 生神女よ、我等憑恃を以て爾に負はせたり、願はくは望を失はざらん。惑はさるる者の扶助者よ、我等を患難より救ひて、諸敵の惡謀を破り給へ、讚美たる者よ、爾は我等の救なればなり。
次ぎて「至上者よ、主を讚榮し」。聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞及び聯禱、次に第一時課、常例の聖詠、及び發放詞。
月曜日の聖体礼儀に
月曜日の眞福詞、第二調。
我等盜賊の聲を爾に奉りて祈る、救世主よ、爾の國に於て我等を憶ひ給へ。
句 義の爲に窘逐せらるる者は福なり、天國は彼等の有なればなり。
主神よ、我を救ひて、靈を全くして爾を愛する者の分に與る者と爲し給へ。
句 人我の爲に爾等を詬り、窘逐し、爾等の事を譌りて諸の惡しき言を言はん時は、爾等福なり。
衆天軍は畏を以て爾神に奉事す。彼等の祈禱に因りて我等を救ひ給へ。
句 喜び樂しめよ、天にし爾等の賞多ければなり。
受難者よ、爾等は信の武器を以て敵の軍隊に勝ちて、神に攜へられたり。
光榮 靈智なる品位は人類と共に三位にして一性なる神を尊む。
今も 神を種なく生みし至淨なる女宰よ、彼に我等の救はれんことを祈り給へ。
月曜日の晩課
「主よ、爾に籲ぶ」に讚頌、第二調。
句 主よ、若し爾不法を糾さば、主よ、孰か能く立たん。然れども爾に赦あり、人の爾の前に敬まん爲なり。
獨罪なきハリストス、獨惡に與らざる者、獨仁慈の泉なる主よ、我が困苦を見よ、我が患難を見よ。我が傷を悉く痊し、爾の慈憐を以て爾の僕を救ひ給へ、我が怠惰の雲を遠く拂ひて、爾至仁なる我が救主を讚榮せん爲なり。
句 我主を望み、我が靈主を望み、我彼の言を恃む。
嗚呼我が卑微なる靈よ、目を注ぎて爾の行爲を見よ、何ぞ穢らはしき、嗚呼爾の裸體、又爾の孤獨なるを見よ、蓋神及び諸天使より離れて、終なき苦に投ぜられん。醒めて興きよ、急ぎて呼べ、救世主よ、我罪を犯せり、我に赦を予へて、我を救ひ給へ。
句 我が靈主を待つこと、番人の旦を待ち、番人の旦を待つより甚し。
我肉體を甚しく汚し、靈と心とを穢らはしき思念にて亂し、我が感覺を悉く殘ひ、目を汚し、耳を穢し、舌を言にて汚して悉く耻づべき者の爲せり。故に爾に俯伏して呼ぶ、主宰ハリストスよ、我罪を獲、爾の前に罪を獲たり、我を赦して救ひ給へ。
又前驅の讚頌、第二調。
句 願はくはイズライリは主を恃まん、蓋憐は主にあり、大なる贖も彼にあり、彼はイズライリを其悉くの不法より贖はん。
主の光榮なる前驅よ、爾に祈る、急ぎて我を誘惑より脫れしめ給へ、蓋我と戰ふ殘酷なる惡鬼は大く我を攻めて、爾の僕の靈を弱き禽の如く捕へんと欲す。至りて福たる者よ、終に至るまで我を遺つる毋れ、彼等が爾の我が避所たるを知らん爲なり。
句 萬民よ、主を讚め揚げよ、萬族よ、彼を崇め讚めよ。
荒れたる胎の至聖なる果、野の榮ゆる花、美しき燕、聲の淸き鶯、黃金の鳩なる福たる前驅よ、常に果を結ばざる我が不當の靈を善行の果を繁く結ぶ者と爲し給へ、其百倍の穗を生じて、爾に神聖なる讚美を捧げん爲なり。
句 蓋彼が我等に施す憐は大なり、主の眞實は永く存す。
福たる前驅よ、爾に祈る、我自ら罪過にて定罪せられし者を永遠の火、地獄の黑暗、凡の憂愁、凡の困苦、凡の葘害より脫れしめて、爾の祈禱を以て、我を救はるる者の分、諸聖人の言ひ難き樂と喜との處に與る者と爲し給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 種種の憂、甚しき誘惑、諸の慾は我が卑微なる靈を荒す。婚姻に與らざる少女、ハリストス神の母よ、爾の神聖なる帲幪の下に趨り附く我の爲に生命の海に於て導く者と爲りて、我を擾す颶風を鎭め、痛悔と安息との穩なる湊に向はしめ給へ。
本日の提綱。「主よ、我等を守り、罪なくして此の晩」。
挿句に傷感の讚頌、第二調。
ハリストス救世主よ、我放蕩の子の如く爾の前に罪を獲たり。父よ、我痛悔する者を受けよ、神よ、我を憐み給へ。
句 天に居る者よ、我目を擧げて爾を望む。視よ、僕の目主人の手を望み、婢の目主婦の手を望むが如く、我等の目は主我が神を望みて、其我等を憐むを俟つ。
ハリストス救世主よ、我稅吏の聲を以て爾に呼ぶ、神よ、我を彼の如く潔めて、我を憐み給へ。
句 主よ、我等を憐み、我等を憐み給へ、蓋我等は侮に饜き足れり、我等の靈は驕る者の辱と誇る者の侮とに饜き足れり。
致命者讚詞 聖なる諸致命者が我等の爲に祈り、ハリストスを歌ふに因りて、凡の迷は熄み、人類は信を以て救はる。
光榮、今も、生神女讚詞 神の母よ、我が盡くの恃を爾に負はしむ、我を爾の覆の下に守り給へ。
次ぎて「主宰よ、今爾の言に循ひて」。聖三祝文。「天に在す」の後に聖人の讚詞。光榮、今も、生神女讚詞、讚詞の調に依る。聯禱。發放詞。
月曜日の晩堂課
至聖なる生神女の規程、第二調。
第一歌頌
イルモス 全く備はれる力は昔ファラオンの全軍を深水に敷き、人體を取りし言、讚榮せらるる主は萬の惡を致す罪を滅し給へり、彼光榮を顯したればなり。
潔き者よ、敎會は神゜に依りて華さきたる常に榮ゆる頌美の榮冠を、天使首ガウリイルと偕に、爾神の聘女に奉り、慶べよと歌ひて、敬みし爾に冠らす。
神の恩寵を蒙れる潔き者、ハリストス神の讚美たる母よ、爾は智慧に超えて、父の聖なる地と現れ、生命を施す葡萄を耕作して、生活せしむる飮料を全世界に飮ませ給へり。
光榮 至淨なる者よ、甚しく罪惡に打たれて溺らさるる全世界の神及び主、正しく我等を救の湊に向はしむる舵師なるハリストスを爾生み給へり。
今も 避所及び救の城邑なるマリヤ、神の母よ、我等皆信を以て爾に祈りて、熱切に求む、爾の忠信なる諸僕の祈禱を納れて、我等衆を罪過の擬定より釋き給へ。
第三歌頌
イルモス 木を以て罪を殺しし主よ、我等を爾の中に堅めて、爾を畏るる畏を我等、爾を歌ふ者の心に植ゑ給へ。
エワの誘はるるは神が人人より離るる始と爲れり、聖なる生神女は復神を我等に攜へ給へり。
讚美たる者よ、光榮なるイオアキムは爾を生命の寶藏として世界の爲に生みて、至福なる產を喜ぶ、希望が胎の荒れたる親に由りて至りたればなり。
光榮 アンナより喜悅は人類に輝けり、彼の子は童貞女にして王を生み給へり。女等は彼と偕に其產を喜ぶ、此を以て詛より解かれたればなり。
今も 潔き童貞女よ、棘はシナイに於て爾の至榮なる產を前兆せり、爾神性の火を胎内に受けて、之に焚かれざりしに因る。
第四歌頌
イルモス 人を愛する主よ、我爾の光榮なる攝理を聞きて、爾の悟り難き能力を讚榮せり。
童貞女よ、イアコフは神妙に爾を神が其上に立ちたる梯として預見せり。
至淨なる者よ、天使等の梯を降ることは爾に藉りて言の我等に來るを示せり。
光榮 讚美たる童貞女よ、爾の胎、爾の乳房は福なり、此等に因りて我等皆生命を得たればなり。
今も 神の母よ、我等正信なる聲を以て爾に於ける奧義を歌頌す。此の奧義に因りて爾の祈禱を以て敎會は護らる。
第五歌頌
イルモス 幽闇に居る者の光照、失望する者の救贖たるハリストス我が救主よ、我爾平安の王に朝の祈禱を奉る。爾の光を以て我を照し給へ、我爾の外に他の神を識らざればなり。
讚美たる生神女マリヤよ、我等爾を律法及び約匱より最尊き者として崇め歌ふ、爾は石板として萬有の造成主及び神を有ちたればなり。
生神女よ、我等爾を神の言の寶座として讚榮す、神は人として其上に坐して、ヘルワィムより最高き者と現れたり。
光榮 童貞女よ、爾は神聖なる爾の產に因りて全人類を苦しき奴隷より釋き、ハリストスに於ける自由を以て女の性を尊くし給へり。
今も 童貞女よ、爾が子を生みしに因りて、女等は勇ましく敵に勝ち、處女は爾に趨り附きて童貞を守る。
第六歌頌
イルモス 我罪の淵に溺れて、爾が憐の量り難き淵に呼ぶ、神よ、我を淪滅より引き上げ給へ。
世界の歡喜なる潔き生神女よ、我等正信を以て天使と偕に爾に呼ぶ、童貞女よ、慶べ、我等を爾の歡喜に與らしめて、我が憂を消し給へ。
母永貞童女よ、我等正信を以て爾を奪はれざる歡喜の居處として崇め讚む、我等を爾の歡喜に與らしめて、我が憂を消し給へ。
光榮 神の聘女よ、爾は神聖なる爾の光榮を以て諸天より最高き天と現れたり、我等の神が爾の内に入りて、我に現れたればなり。
今も 今女の性は喜び、今憂は熄みて、喜悅は輝けり、マリヤが喜悅なる救世主ハリストス神を生みたればなり。
次ぎて主憐めよ、三次。光榮、今も、
坐誦讚詞、第二調。
神の母よ、我が靈の甚しき怠惰、我が心の柔弱を見て、爾の祈禱を以て之を醫し、我を幽闇及び困苦より脫れしめて、救はれし者の分に與らしめ給へ、爾獨我の恃賴、我の慰藉なればなり。
第七歌頌
イルモス 黃金の偶像がデイルの野に奉事せられし時、爾の三人の少者は神に逆ふ命を顧みずして、火の中に投げられ、凉しくせられて歌へり、我が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
潔き者よ、昔ゲデオンの羊の毛は神の言の爾に降るを預象せり、爾不朽なる童貞女が露の如く之を受けて孕みたればなり。故に我等皆爾に呼ぶ、潔き者よ、爾の腹の果は祝福せられたり。
マリヤ、ハリストス我が神の母よ、爾に於ける奧義は新にして畏るべく、正しくして驚くべし。蓋我等皆爾に依りて神及び主宰と和睦して、今諸天使と偕に歌ふ、潔き者よ、爾の腹の果は祝福せられたり。
光榮 潔き者よ、昔ゲデオンは明に爾の神聖なる產を預兆して、羊の毛を搾るに由りて水の滿ちたる鉢を攜ふ、蓋主は全性を以て神妙に爾至淨の者の内に入り給へり。潔き者よ、爾の腹の果は祝福せられたり。
今も マリヤよ、爾は萬有の神及び救主を生みて、道に迷へる者の嚮導、罪を犯しし者の更新、望を失ひし者の冀望、歌ふ者の援助と爲り給へり、潔き者よ、爾の腹の果は祝福せられたり。
第八歌頌
イルモス 火の爐の中にエウレイの少者に降りて、焰を露に變ぜし神を、造物は主として歌ひて、萬世に崇め讚めよ。
至聖なる生神女よ、爾は我等の爲に新なる樂園と顯れて、死を致す樹に非ず、乃生命の樹、種なく栽ゑたる者として主を生じたり。我等皆彼に養はれて、不死の生命を得るなり。
生神女よ、ハリストスの全敎會は爾の產を崇め歌ふ、蓋愛を以て爾に趨り附く罪人及び卑微なる者は皆救はる、ハリストスが人人を救はん爲に地に來りたればなり。
光榮 生神童貞女よ、原母は爾に依りて定罪を釋かれたり。視よ、今女等はハリストスの爲に苦を忍び、女の性は喜ぶ、初致命女フェクラの呼ぶが如し。
今も 潔き童貞女、神の母よ、信を以て望を爾に負はしむる者は一人も亡びざりき、唯媢嫉を以て爾の印されたる像に伏拜するを拒む者は亾ぶ。
第九歌頌
イルモス 日より前に光り輝きし神、肉體にて我等に臨みし者を、貞潔の腹より言ひ難く生みし讚美たる至淨き生神女よ、我等爾を崇め讚む。
至聖なる童貞女よ、讚美の詞を以て熱切に爾の產を歌頌する我に爾の耳を傾け、嫠婦の禮物の如く我が口の歌を受けて、我が諸罪の赦を求め給へ。
潔き者よ、爾の華美は光り、爾の無玷なる潔淨は輝き、是より更に盛に爾の產は光り輝く、日及び萬物の神造成主が爾より生れたればなり。故に我等皆爾を崇め讚む。
光榮 生神女よ、我等爾潔淨の光、童貞の光明、及び神の母を宜しきに合ひて歌を以て歌頌し、讚美の聲と共に爾に祈る、我等を童貞に堅め、潔淨に護り給へ。
今も 至潔至榮なるマリヤよ、爾は體と靈とを汚なく神の爲に守りしに因りて、ハリストス王は爾の美しきを慕ひ、爾を己の人性の母と爲して、我の救を成し給へり。
次ぎて「常に福にして」、及び躬拜。聖三祝文。「天に在す」の後に諸讚詞。其他常例の如し、及び發放詞。
火曜日
火曜日の早課
第一の誦文の後に傷感の坐誦讚詞。第二調。
我が靈よ、審問の畏るべきを思ひて、永遠の苦の報に慄き、淚を流して、痛悔を以て呼べ、神よ、我罪を犯せり、我を憐み給へ。
句 主よ、爾の憤を以て我を責むる毋れ、爾の怒を以て我を罰する毋れ。
主よ、我定罪せられし我が良心を試みて、爾の懼るべき審判に慄く、我の爲には行に由る救なければなり。慈憐の富を有つ主として、ハリストス神よ、我を憐みて救ひ給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 生神女よ、我等爾を崇め讚めて呼ぶ、杖よ、慶べ、是より種なく生ぜし神は木の上に死を滅し給へり。
第二の誦文の後に傷感の坐誦讚詞、第二調。
我を憐み給へとダワィドは言へり。我も爾に呼ぶ、救世主よ、我罪を犯せり、痛悔を以て我が諸罪を潔めて、我を憐み給へ。
句 主よ、爾の憤を以て我を責むる毋れ、爾の怒を以て我を罰する毋れ。
神よ、我を憐み、我を憐み給へとダワィドは二の罪の爲に泣けり、我は無數の罪過の爲に爾に呼ぶ。彼は淚にて其褥を濡せり、我は一滴だに注がざりき。望を失ひて祈る、神よ、爾の大なる憐に因りて我を憐み給へ。
句 神よ、爾は爾の聖所に於て嚴なり。
致命者讚詞 ハリストス神よ、爾は至善なる主として、爾の聖者を黃金よりも耀く者と爲し、爾の克肖者の榮を顯せり。仁慈なる主として、彼等の祈禱を納れて、我等の生命を平安ならしめ給へ。獨聖者の中に休ふ主よ、我等の禱を香爐の香の如く升らしめ給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 生神女よ、我保護を爾に求むる者を棄つる勿れ、我が靈爾を賴めばなり、我を憐み給へ。
第三の誦文の後に坐誦讚詞、第二調。
イオアンよ、爾は慈憐の盡きざる泉をイオルダンの流に沈めたり。故に我熱切に爾に祈る、多くの慾に溺らされ、日日に甚しく世俗の淵に沈めらるる我を、爾の嘉して納れらるる祈禱を以て、生命の湊に導き給へ。
至善なるハリストスよ、爾は大なる慈憐に因りて、天を傾けて降りて、爾の造物を救はん爲に來れり。故に我等爾の畏るべき定制を歌ひて、爾に呼ぶ、爾の前驅の祈禱に由りて我等に諸罪の潔淨を與へ給へ、爾獨慈憐の主なればなり。
光榮、今も、生神女讚詞 夫を識らずして己の造成主を生みて、凡の肉體に糧を賜ふ者に乳を哺まする母を孰か見、誰か聞きたる、嗚呼奇跡や。恩寵を蒙れる生神女よ、爾の腹はヘルワィムの寶座と顯れたり、我等の靈の爲に祈り給へ。
傷感の規程、我が主イイススハリストス及び聖なる致命者に奉る。其冠詞は、嗚呼救世主よ、爾我が涕泣を納れ給ふ。イオシフの作。第二調。
第一歌頌
イルモス 靈よ、モイセイの歌を採りて籲べ、佑け護る者顯れて、我が救と爲れり、彼は吾が神なり、我彼を讚め揚げん。
兄弟よ、逝世の先に痛く己の爲に哭かん、善き淚に由りて、其時聊も益を爲さざる苦の淚を逃れん爲なり。
ハリストスよ、我千萬度痛悔せんことを約したれども、感動なき靈を有ちて、罪過に陷る。救世主よ、我が弱きを憐み給へ。
致命者讚詞 神性の恩寵に濕されて、苦の火を忍びしハリストスの受難者よ、甚しき慾の中に沈みたる我を地獄の火より脫れしめ給へ。
致命者讚詞 讚美たるハリストスの致命者よ、爾等は神の力に由りて敵に對して堅固なる者と顯れて、彼等の堅固ならざる力を破れり。
生神女讚詞 イサイヤが昔熾炭を執れる鉗として見たる神の母よ、我が心の肉慾を燒きて、全く滅し給へ。
又至尊なる預言者前驅イオアンの規程。其冠詞は、授洗者よ、禱を受け給へ。イオシフの作、第二調。
第一歌頌
イルモス 全く備はれる力は昔ファラオンの全軍を深水に敷き、人體を取りし言、讚榮せらるる主は萬の惡を致す罪を滅し給へり、彼嚴に光榮を顯したればなり。
ハリストスの授洗者及び前驅よ、常に肉體の逸樂に沈める吾が心を治めて、諸慾の浪を止め給へ、我が神聖なる平穩に在りて爾を歌頌せん爲なり。
授洗者よ、爾は測り難き光照に照されて、光明なる星として靈智の東に先だてり。惡鬼の諸の攻擊に昧まされたる吾が心が是の東に輝かされんことを祈り給へ。
睿智なる者よ、爾は昔凡の罪惡を恩寵の洪水にて溺らす淵を河に沈めたり。福たる者よ、祈る、爾の神聖なる轉達を以て我が罪過の流を涸らし給へ。
生神女讚詞 福たる前驅よ、爾は肉體を取りし神を生みたる潔き童貞女の親族たりき。我等彼と偕に爾を尊みて、今爾の神聖なる殿に居る者は祈る、我等をも聖神の殿と爲し給へ。
第三歌頌
イルモス 諸善を耕作し、諸德を培養する神よ、爾の慈憐に因りて、實を結ばざる我が智慧を實を結ぶ者と顯し給へ。
我怠惰の眠にて靈を重くせり、ハリストスよ、之を興して、痛悔の爲に警醒せしめて、爾の戒を行はしめ給へ。
イイススよ、畏るべき日に於て我を望を失ひし者と顯す勿れ。終に至らざる先に我を反正せしめて、烈しき苦より脫れしめ給へ。
致命者讚詞 熱愛に由りて善くハリストスの苦に效ひしハリストスの受難者よ、我が靈の甚しき慾を醫し給へ。
致命者讚詞 受難者よ、爾等は天に在る永久の福を獲ん爲に、地に在りて凡の苦難の誘を堅固に忍び給へり。
生神女讚詞 潔き者よ、爾は母に宜しきが如く萬衆を養ふ者に乳を哺ませ、常に己の手に萬有を持つ主を手に抱き給へり。
又
イルモス 爾我を信の石に堅く立て、我が口を啓きて我が敵に對はしめ給へり。蓋我が神゜は樂しみて歌へり、吾が神と侔しく聖なるはなく、主よ、爾の外に義なるはなし。
主の前驅よ、祈る、我が靈の傷を醫し、怠惰に由りて昧まされたる我が智慧を爾の神聖なる轉達を以て照して、我を敵の諸の攻擊より脫れしめ給へ。
睿智なる前驅よ、爾は神の攝理に由りて生れて、生みし者の無結果を釋きたり。主の前驅よ、吾が心の無結果を釋きて、爾の轉達を以て今之を諸德の果を繁く結ぶ者と爲し給へ。
授洗者及び前驅よ、爾の轉達に由りて、愛を以て神聖なる堂を造る者に天上の居處を獲しめんことを祈れ、信を以て爾の殿に奉事する者を聖神の殿と爲し給へ。
生神女讚詞 前驅は母の胎内に在りて樂しみ、恩寵を蒙れる者の胎内に在る主を拜せり、彼に我を凡の憂より救はんことを祈り給へ。
第四歌頌
イルモス 預言者は爾が童貞女より生るるを預見して、傳へて呼べり、ハリストスよ、我爾の風聲を聞きて懼れたり。蓋爾は南より、樹蔭繁き聖山より來給へり。
言よ、詭譎の智者たる敵は我の一切を盜まれて貧しくなりたるを見て、我が滅亾を喜ぶ。光榮の主、貧者を富ます者よ、我を其姦惡より救ひ給へ。
主よ、我爲すべからざる事を行ひて、手と目とを汚し、爾の慈憐と寬忍とを盡して、爾の怒を干せり。至善なる者よ、我を眷みて憐み給へ。
致命者讚詞 神は其聖者、彼に聽きて、偶像の迷を破り、アダムが昔遠ざかりし樂園を嗣ぎたる者の中に何ぞ其れ嚴なる。
致命者讚詞 福たる者よ、爾等は己の血の流を以て、昔惡鬼に獻げらるる血、之を獻ぐる衆人の滅亾を致す者を止めたり。故に常に讚美せらる。
生神女讚詞 生神女よ、預言者の至榮なる會は聖神に因りて智慧に超ゆる爾の奧義を學びて、種種に聖なる現象を以て之を前兆せり、我等は明に其成就せしを見る。
又
イルモス 童貞女に藉りて來りし者は使者に非ず、天使に非ず、主親ら人體を取りて、我全き人を救ひ給へり。故に我爾に呼ぶ、主よ、光榮は爾の力に歸す。
恩寵に富める者よ、爾は天を傾けて、人人と對話せし者の首を爾の手にて傾けたり。此の手を以て我を助けて、吾が心を謙遜に護り給へ。
福たる前驅よ、荒れたる野は爾を其住居者と爲せり。故に我爾に呼ぶ、我が荒れたる靈、凡の聖なる行なき者に之を具へしめ給へ。
爾は神の法を守らしめて、不法に屠られたり。故に我爾に祈る、惡鬼の誘惑に誘はれて、常に不法を行ふ我を正しくなし給へ。
前驅よ、爾は己を以て主宰・王の爲に殿と爲して、今神聖なる居處に遷れり。爾の爲に至聖なる堂を造りし者に此の居處を獲しめんことを祈り給へ。
生神女讚詞 純潔なる者よ、我病める者を眷みて、我が治し難き甚しき諸慾を醫し給へ、我が爾全人類を尊くせし者を尊まん爲なり。
第五歌頌
イルモス 我が救世主よ、我の靈の黑暗を掃ひて、爾の誡の光にて我を照し給へ、爾獨平安の王なればなり。
我無智にして罪に罪を加へ、我が死する時に賴る所なし、嗚呼我は如何にしてハリストスの前に立たん。
慈憐なる主よ、我破船の如く難に遇ひ、爾が我に賜ひし載を失ひて、今貧しくなりて呼ぶ、ハリストスよ、我を遺つる毋れ。
致命者讚詞 受難者よ、爾等は下の光榮を輕じて、之を踐みしに由りて、天の光榮を獲て、ハリストスと共に居るなり。
致命者讚詞 受難者よ、爾等は思念を肉體の愛より離し、信を以て喜びてハリストスの受けし如き苦を受けたり。
生神女讚詞 生神女よ、ダニイルは聖神に由りて爾を大なる山として見たり、石は是より斫られて、惡鬼の偶像を碎く。
又
イルモス 幽闇に居る者の光照、失望する者の救贖たるハリストス我が救主よ、我爾平安の王に朝の祈禱を奉る。爾の光を以て我を照し給へ、我爾の外に他の神を識らざればなり。
イオルダンの流の中に不朽の泉たるハリストスに洗を授けし前驅よ、我が慾の流を涸らして、我に義人等の麗しき歡喜の甘き流を繼がしめんことを祈り給へ。
我行ひし事と未來の畏るべき審判とを思ひて、悲しみ泣き、恐れ慄き、常に惑ふ。慈憐なる主よ、爾の授洗者の祈禱に因りて我を宥め給へ。
前驅よ、爾は人人の救は罪過の痛悔に在りとの法を立てて、律法と恩寵との間に立ちたり。故に我等爾に祈る、痛悔の式にて我等を照し給へ。
恩主・言よ、爾の諸恩を一切浪費せし我に痛悔の時を與へ給へ、痛悔の全世界の宣傳者、大なる前驅イオアンの此が爲に爾に祈るに因りてなり。
生神女讚詞 我詭譎の敵の惡謀と誘惑とに因りて殺されたり。萬有の實在の生命を生みし純潔なる女宰生神女よ、我を生かし給へ、我が敬虔にして爾純潔なる者を歌はん爲なり。
第六歌頌
イルモス 救世主よ、我罪の深處に圍まれ、世俗の淵に沈めらる。求む、イオナを猛獸より救ひし如く、我をも諸慾より引き上げて救ひ給へ。
救世主よ、我昔のハナアンの婦の如く爾に呼ぶ、神の子よ、我を憐みて助け給へ、我甚しく病みて、自ら感覺を囘復する能はざる靈を有てばなり。
烈しき諸慾の暴風は我を擾す。イイススハリストスよ、昔海を禁めて、爾の聖なる門徒を救ひし如く、我をも宥めて救ひ給へ。
致命者讚詞 尊き受難者よ、無形の天軍は爾等が肉體に在りて顯しし忍耐を奇として、爾等に能力と苦勞の報とを賜ふ主を讚美せり。
致命者讚詞 致命者よ、爾等は己の血の流に染められ、目を抉られ、甚しき沍寒に凍えさせられて後、溫き生命に移りて、ハリストスを讚め歌ふ。
生神女讚詞 讚美たる者よ、我等爾萬有の神及び養育者たるハリストスを生みし者を、我等が食ひて復飢ゑざる奧密の餅を載する案として知る。
又
イルモス 我罪の淵に溺れて、爾が憐の量り難き淵に呼ぶ、神よ、我を淪滅より引き上げ給へ。
言を傳へし聲よ、衆の聲を受けて、信を以て爾を歌ふ者に諸罪の赦を賜はんことを求め給へ。
福たる前驅よ、爾の祈禱を以て我が靈の痛傷を痊し、諸罪の重負を釋き、失望する我を救ひ給へ。
至榮なる前驅よ、爾の手を以て洗を授けしイイススに、我常に手を擧げて彼に向ふ者を罪の手より脫れしめんことを祈り給へ。
生神女讚詞 我怠惰の坐睡に侵さる、罪の寢は我が心を重くす。至淨なる者よ、爾の常に警醒する轉達にて我を起して救ひ給へ。
第七歌頌
イルモス 少者は爐の中にヘルワィムに效ひて、祝ひて呼べり、神よ、爾は崇め讚めらる、蓋眞實と義判とに緣りて、悉く之を我等の諸罪の爲に降せり。爾は萬世に歌はれ、讚め揚げらる。
ハリストスよ、我爾の法に背きて、無智なる諸慾に服し、不當の事を行ひて、我が無智に於て地上の衆人より虛しき者と爲れり。救世主よ、仁愛に由りて、我が亾ぶるを容す毋れ。
主よ、我ダワィドの如く呼ぶ、視よ、我は不法に於て妊まれ、淫婦の如く淚を流す、我悲しまする僕の如く、爾獨一仁慈なる神を悲しませたり。救世主よ、仁愛に由りて、我が亾ぶるを容す毋れ。
致命者讚詞 受難者の會は言を以て萬物を造りし神を切に愛するに由りて、諸難を受けて、功勞を顯せり。故に生命を施す手より致命者に適ふ榮冠を冠らせられ、今天上に悅びて、神聖なる嗣業を樂しむ。
致命者讚詞 至榮なる者は目を抉られ、手と足とを斷たれ、天に登る途に遣されて、恒に此の途を遮る敵を斃せり。言よ、彼等の祈禱に因りて、爾を讚頌する衆を救ひ給へ。
生神女讚詞 讚美たるマリヤよ、爾が智慧に超ゆる產をヘルワィムは讚榮し、セラフィムは歌頌し、寶座、權柄、主制は常に讚美す、爾獨身にて神を生みたればなり。潔き者よ、彼に我等衆愛を以て爾を尊む者の救はれんことを祈り給へ。
又
イルモス 不法なる虐者の神に戾る命令は高き焰を起したれども、讚め歌はるるハリストスは敬虔の少者に屬神の露を降し給へり。
前驅よ、爾の傳へし悔改の斧を以て我が心の諸慾の棘を根より絕ちて、之を拔き、神聖なる無慾と凡の惡より我を遠ざくる神を畏るる畏とを其内に植ゑ給へ。
光榮なる前驅よ、爾は水の上に己の宮を建つる主にイオルダンの流の中に洗を授けたり。彼に常に吾が眼に神聖なる傷感の水を賜はんことを祈り給へ。
罪を任ふ神の羔を世に傳へし光榮なる前驅よ、彼に祈りて、我を山羊の分に與らざる者と爲して、右なる綿羊に合せんことを求め給へ。
生神女讚詞 童貞女よ、荒れたる胎は果を結びて、爾己の胎内に身を取りし言を宿せる者に逢ひたるに、其胎に在りし大なる前驅は爾の至聖なる果を識りて、歡び躍りて之を拜せり。
第八歌頌
イルモス 昔シナイ山に於て棘の中にモイセイに童貞女の奇跡を預め示しし者を尊み歌ひ、崇め讚めて、萬世に讚め揚げよ。
爾は慈憐に由りて我等を神成せん爲に人體を取り給へり、唯我逸樂に耽りて、聊も之に感動せざりき。衆人の救なるハリストスよ、爾の仁慈を以て我を反正せしめ給へ。
善き牧者たる言よ、罪惡の山の中に迷ひし我が不當の靈を返して救ひ給へ、詭譎なる敵が終に至るまで我を囓まざらん爲なり。
致命者讚詞 美善なる受難者は甚しく傷つけられて、互に呼べり、勇みて偕に立たん、視よ、ハリストスは萬世に凋まざる勝利の榮冠を與へ給ふ。
致命者讚詞 爾等は堅固なる忍耐を以て、强き索を以てするが如く、惡謀を抱きて爾等を誘はんと欲する蛇を絞め殺して、樂園の糧を嗣ぐ者と顯れたり。
生神女讚詞 生神童貞女よ、神は我等を神成せん爲に、爾の潔き血より身を取りて、人と爲り給へり。彼に爾を尊む者の爲に常に祈り給へ。
又
イルモス 昔ワワィロンの火の爐は神の命によりて其勢を分ち、ハルデイを焦して、信者を凉しくせり、主の悉くの造物は主を崇め讚めよと歌へばなり。
手を伸べて、水を以て穢なき者を洗ひし前驅よ、地に仆れたる我に手を授けて、我を肉慾の穢より出し、痛悔を以て我が全身を潔めて、我を救ひ給へ。
靈よ、痛悔の爲に時を有ちて、怠惰の最深き眠を拂ひ、速に醒めて、爾の主宰に呼べ、慈憐なる主よ、爾の授洗者の祈禱に由りて我を宥め給へ。
福たる前驅よ、慾の流、惡の水は我が靈にまで至れり。河の流を以て至りて安靜なる無慾の淵を洗ひし者よ、速に我を援け給へ。
禍なる哉、多くの惡を行ひし我や、禍なる哉、至仁なる神を怒らしし我や。ハリストスの授洗者よ、我を助けて、爾の轉達を以て我が罪過を釋き、我が債の赦を與へ給へ。
生神女讚詞 至上の神を身にて生みし純潔なる者よ、我を侵害する諸慾の汚穢より出し、至りて貧しくなりし我を神聖なる德に富まし給へ、我が救はれて爾を歌頌せん爲なり。
第九歌頌
イルモス 童貞女が孕める者と現れて、產苦なく子を生みし事、地上の者の中誰か是くの如きを聞き、或は誰か何の時にか見たる。潔き童貞女よ、爾の奇跡は斯くの如し、我等爾を崇め讚む。
嗚呼爾の審判座は何ぞ畏るべき、ハリストスよ、我其前に審判せらるべきに、聊も畏を感ぜずして、怠惰を以て吾が年を送る。獨一の造成主、罪を犯ししマナッシヤを反正せしめし者よ、我を反正せしめ給へ。
ハリストスよ、爾に呼ぶ、我が無量の惡の流を止めて、我が無知に因りて陷りし汚穢を洗はん爲に我に淚の流を與へ給へ。中心より痛悔せし淫婦を爾の慈憐を以て救ひし主よ、我を救ひ給へ。
致命者讚詞 聖受難者の光明なる記憶は日の如く我等に輝きて、地の四極を照し、神聖なる神゜を以て拜偶像の闇と靈を害する諸慾の昧とを拂ふ。
致命者讚詞 尊貴なる隊、凱旋する軍、選拔の兵、聖致命者の會、福たる品位は無形軍の品位に合せられたり。ハリストスよ、彼等の祈禱に由りて、我等衆を爾の國に與る者と爲し給へ。
生神女讚詞 童貞女母マリヤよ、爾の腹より我等に輝きて、無神の夜を拂ひし主の光れる光線にて、信を以て爾を尊む衆を照して、審判の時に永遠の幽闇より脫れしめ給へ。
又
イルモス 無原の父の子、神と主は、童貞女より人體を取り、我等に顯れて、昧まされし者を明かし、散らされし者を集め給へり。故に我等讚美たる生神女を崇め歌ふ。
獨罪なくして慈憐多き主よ、爾を人人の罪を任ふ神の羔として全世界に傳へし授洗者の祈禱に因りて、我を罪惡の汚穢より出し給へ。
主の前驅よ、我は爾を芳しき花、薰る松、凋まざる百合、尊き香料として有ち、爾の帲幪の下に趨り附きて、爾の祈禱に因りて我が行爲の臭氣より脫さる。
至りて福たる者よ、我を惡しき行の果を結ばずして、常に諸德の善き果を結ぶ者、主の子、神の國に與る者、聖人の會の同住者と爲し給へ。
主の前驅よ、我等爾を愛し、愛を以て爾を尊み、爾の神聖なる殿に集まりて祝讚する者に、天より諸難の解放、度生の悔改、諸罪の赦免を與へ給へ。
生神女讚詞 預言者よ、爾は萬物を其手に持ちて、神母の胎内に懷かるる主を拜せり。彼に我が卑微なる靈、每日多くの罪に陷る者の救はれんことを神母と偕に祈り給へ。
次ぎて「常に福にして」、及び躬拜。小聯禱、光耀歌、及び常例の聖詠。
挿句に傷感の讚頌、第二調。
我衆人に超えて罪を犯せり、誰にか效ひて痛悔せん、若し稅吏の如く歎息せば、恐らくは天を侵さん、若し淫婦の如く泣かば、淚にて地を汚さん。然れども神よ、我に諸罪の赦を與へて、我を憐み給へ。
句 主よ、夙に爾の憐を以て我等に飽かしめよ、然せば我等生涯歡び樂しまん。爾我等を撲ちし日、我等が禍に遭ひし年に代へて、我等を樂しましめ給へ。願はくは爾の工作は爾の諸僕に著れ、爾の光榮は其諸子に著れん。
童貞女より生れし主よ、我が不法を顧みずして、我が心を潔めて、之を爾の聖神の殿と爲し給へ。無量なる大仁慈を有つ主よ、我を爾の顏より退くる勿れ。
句 願はくは主吾が神の惠は我等に在らん、願はくは我が手の工作を我等に助け給へ、我が手の工作を助け給へ。
聖なる致命者はハリストスの十字架を勝たれぬ武器として執りて、惡魔の悉くの力を空しくし、天の榮冠を受けて、我等の垣墻と爲りて、我等の爲に祈り給ふ。
光榮、今も、生神女讚詞 慶べよ、生神女マリヤ、毁たれぬ殿、更に言へば聖なる殿や、預言者の呼ぶが如し、爾の聖なる殿は義に於て奇異なり。
次ぎて「至上者よ、主を讚榮し」。聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞及び聯禱。次に第一時課、常例の聖詠、及び其他常例の如し、幷に發放詞。
火曜日の聖体礼儀に
火曜日の眞福詞、第二調。
我等盜賊の聲を爾に奉りて呼ぶ、主よ、爾の國に於て我等を憶ひ給へ。
句 義の爲に窘逐せらるる者は福なり、天國は彼等の有なればなり。
我慾を以て盜賊及び淫婦に超えたり。救世主よ、我自ら定罪せられし者を宥め給へ。
句 人我の爲に爾等を詬り、窘逐し、爾等の事を譌りて諸の惡しき言を言はん時は、爾等福なり。
慈憐の淵を水に沈めし前驅よ、爾の祈禱を以て我が諸慾を滅し給へ。
句 喜び樂しめよ、天には爾等の賞多ければなり。
ハリストスの受難者よ、爾等は己の血の流にて迷の流を涸らして、宜しきに合ひて讚榮せらる。
光榮 錄されし如く、人の智慧は辯才を盡して、宜しきに合ひて神性の三位なる一元を歌ふ能はず。
今も 無原なる神を焚かれずして生みし者を我等皆讚歌を以て絕えず歌頌せん。
火曜日の晩課
「主よ、爾に籲ぶ」に十字架の讚頌、第二調。
句 主よ、若し爾不法を糾さば、主よ、孰か能く立たん、然れども爾に赦あり、人の爾の前に敬まん爲なり。
言よ、爾十字架に在りて暮れしに、光體は光るに忍ばずして晦み、地は震ひ、磐は崩れ、殿の飾は中より裂け、墓は啓け、死者は興き、地獄は下に在る衆を出し、惡魔は勝たれ、死は衆人の爲に寢と爲れり。
句 我主を望み、我が靈主を望み、我彼の言を恃む。
ハリストスよ、睿智なる盜賊は爾が實繁き葡萄たるを見て、最巧なる盜賊と爲りて、甚少き言を以て先に行ひし諸罪の赦を盜む。我等皆務めて彼に效ひて呼ばん、人を愛する主よ、我等をも憶ひ給へ。
句 我が靈主を待つこと、番人の旦を待ち、番人の旦を待つより甚し。
ハリストスよ、爾の十字架は、星の天に於けるが如く、實に神聖なる敎會の中に光りて、惡鬼を燒き、信者を照し、爾を釘せし者の面を辱かしむ。昔爾は十字架を前兆する木を以て先祖を奴隷 より引き出し、野に於て石より蜜を吸ふを致せり。
次ぎて月課經の讚頌。若し月課經なくば、至聖生神女の讚頌。同調。
句 願はくはイズライリは主を恃まん、蓋憐は主にあり、大なる贖も彼にあり、彼はイズライリを其悉くの不法より贖はん。
女宰よ、慈憐によりて爾の内に我が合成を衣て、我等の爲に十字架と死とを受けたる主は爾を衆人の轉達者、衆信者の大なる避所、衆の保護者と顯し給へり。故に神の聘女よ、常に彼に祈りて、我等衆に諸罪の潔を降さんことを求め給へ。
句 萬民よ、主を崇め揚げよ、萬族よ、彼を崇め讚めよ。
昔童貞女及び牝羊は其胎より生れし羔が定罪せられて、二の犯罪者と共に木に懸れるを見て、呼びて曰へり、我が子及び神よ、見る所の畏るべき奧密は奇異なり、然れども爾の智慧の淵は誰も測る能はず、我爾の恒忍を歌ふ。
句 蓋彼が我等に施す憐は大なり、主の眞實は永く存す。
爾の姿容の美しきは何處にかある、子よ、爾の華美の榮は何處にか隱れたる、言ひ難き華美を造りし神、人の子より美しき吾が子よ、如何ぞ卑しめられ、辱かしめられて、善き姿容もなく、華榮もなく、衆人の爲に木の上に懸りたると、至善なる童貞女は歎息涕泣して呼べり。
光榮、今も、十字架生神女讚詞 光體の光は十字架に露れたる靈智の光に勝たれて隱れたり、常に小き者は大なる者に勝たれ、善き者は更に善き者に位を讓る、ハリストスの光るに、如何ぞ物質の光は隱るるに宜しからざらんと、至淨なる者は爾光の光を觀て、聞くに勝ふる者に謂へり。
次ぎて「穩なる光」。提綱、主よ、願はくは爾の仁慈と慈憐とは、我が生命ある日我に伴はん。及び「主よ、我等を守り、罪なくして此の晩」。其他。
挿句に十字架の讚頌、第二調。
ぺトルを海に救ひしハリストス救世主よ、十字架の力を以て我を救へ、神よ、我を憐み給へ。
句 天に居る者よ、我目を擧げて爾を望む。視よ、僕の目主人の手を望み、婢の目主婦の手を望むが如く、我等の目は主我が神を望みて、其我等を憐むを俟つ。
常に爾の諸恩を樂しむ者は十字架に釘せらるべしと呼べり、義人等を殺す者は恩主に代へて犯罪者を赦さんことを乞へり。爾は、ハリストスよ、苦を受けて我等を救はんと欲して、默して彼等の殘忍を忍び給へり、人を愛する主なればなり。
句 主よ、我等を憐み、我等を憐み給へ、蓋我等は侮に饜き足れり、我等の靈は驕る者の辱と誇る者の侮とに饜き足れり。
致命者讚詞 致命者の會は窘逐者に敵して曰へり、我等は萬軍の王の兵士なり、爾等火及び種種の苦に我等を付すとも、聖三者の力を諱まざらん。
光榮、今も、十字架生神女讚詞
至淨なる者よ、爾の子及び神が釘せられし時、爾は多くの苦痛を忍び、歎息涕泣して呼べり、嗚呼甘愛なる子よ、如何ぞアダム以來の地上の者を救はんと欲して、非義に苦を受くると。至淨なる童貞女よ、我等信を以て爾に祈る、彼を我等の爲に慈憐なる者と爲し給へ。
次ぎて「主宰よ、今爾の言に循ひて」。聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞。聯禱、及び發放詞。
火曜日の晩堂課
至聖なる生神女の規程、第二調。
第一歌頌
イルモス 人人よ來りて、海を分ちて、エギペトの奴隷より引き出しし民を過らせしハリストス神に歌を歌はん、彼光榮を顯したればなり。
純潔なる者よ、我には爾を讚頌する爲に一も言なし、我が罪の幽闇が我を蔭へばなり。唯祈る、嗚呼神の母よ、悶ゆる我を納れ給へ。
至淨なる者よ、我無量の罪より爾の庇覆の下に趨り附く。潔き者よ、神及び主宰を寬容の者と爲して、我を救ひ給へ。
光榮 女宰よ、爾は我の爲に熱切なる潔淨なり。爾に趨り附きて、我助けられて靈の救を得ん、爾は萬有の神の母として、能はざることなければなり。
今も 靈の誘惑者は我を滅兦の坎に誘へり。生神童貞女よ、爾の權能の手を我に伸べて、速に光に上せ給へ。
第三歌頌
イルモス 木を以て罪を殺しし主よ、我等を爾の中に堅めて、爾を畏るる畏を我等、爾を歌ふ者の心に植ゑ給へ。
我不當の者は多くの盜賊に遇ひ、衣を剥がれ、傷つけられて遺されたり。潔き生神女よ、爾我を遺つる勿れ。
蛇は嘗て木に緣りてアダムを誘ひて裸體にせり、今は彼輙く我が靈を虜にせり。女宰よ、爾に祈る、我を宥め給へ。
光榮 我今爾我が眞の轉達者及び庇覆たる者に我が密事を告ぐ、爾の子が其義なる審判の時我に之を責めざらん爲なり。
今も 潔き者よ、我等を憐み、我等を憐み給へ、蓋行に由りては敢て我等に救なし。故に熱切なる信を以て爾に呼ぶ、爾の諸僕を憐み給へ。
第四歌頌
イルモス 主よ、我爾を歌ふ、蓋風聲を聞きて懼れたり、爾は我迷へる者を尋ねて、我にまで至ればなり。故に慈憐深き主よ、我に於ける爾の大なる寬容を讚榮す。
女宰よ、我醫されずして病める者、我貧しくなりたる者を遺つる毋れ。童貞女よ、爾の慈憐の油を我に注げ、爾の慮を以て神よりする不朽の黃金にて我を富まし給へ。
我凡の善を剥がれて諸惡の中に臥す、我之を昔陷りし者より多く衣たり。神の聘女よ、今彼の者を以て我を飾り、此の者より脫れしめ給へ。
光榮 我言に於て旨に於て常に淫を以て淫婦に超え、貪を以て稅吏に超えたり。女宰よ、我に終の至らざる先に痛悔を以て二の者を潔むるを得しめ給へ。
今も 神の母よ、我爾より遠ざかりて、哀しき野に居るなり、誰か我に翼を予へん、我飛びて、爾我が恃賴、不當なる我を煩悶より救ふ者に至らん。
第五歌頌
イルモス 光を賜ひ、世世を造りし主よ、爾の誡の光の中に我等を導き給へ、我等爾の外に他の神を識らざればなり。
潔き女宰よ、爾の腹より地に居る者に輝きし暮れざる光を以て、我が晦みたる靈を照して、我が心より凡の暗を拂ひ給へ。
女宰よ、我が不當なる惡しき行の甚しき夜は我を蔽ふ。讚美たる者よ、我爾に呼ぶ、爾の子及び主宰の神聖なる光に我を導き給へ。
光榮 潔き者よ、爾の子萬有の造成主が放蕩の子を受けし如く、我をも受け給へ。我蕩子と偕に呼ぶ、我實に罪を犯せり、女宰よ、我を救ひ給へ。
今も 十字架に於て身に傷つけられし主を言ひ難く生みし至淨の者よ、爾慈憐なるに因りて、凶惡者の攻擊にて傷つけられたる我が心を痊し給へ。
第六歌頌
イルモス 我罪の淵に溺れて、爾が憐の量り難き淵に呼ぶ、神よ、我を淪滅より引き上げ給へ。
我罪の坎に陷りて、目を擧げて義なる神に向ふを畏る。神の聘女よ、我爾を吾が恃賴と爲す。
吾が心は甚しく無量の罪過の浪に打たる。生神童貞女よ、爾の有能の祈禱を以て之を穩靜なる港に導き給へ。
光榮 女宰我が恃賴なる者よ、我が身より離れん時我に爾の光榮の華美を覩るを得しめ給へ、我が之に因りて罪過の赦さるるを知らん爲なり。
今も 聖なる女宰よ、爾の諸僕、信を以て爾に趨り附く者を、神に奉る爾の祈禱を以て、諸の誘惑と菑害と憂患より脫れしめ給へ。
次ぎて主憐めよ、三次。光榮、今も
坐誦讚詞、第二調。
生神女よ、我等爾を崇め讚めて呼ぶ、杖よ、慶べ、是より種なく生ぜし神は木の上に死を滅し給へり。
第七歌頌
イルモス 黃金の偶像がデイルの野に奉事せられし時、爾の三人の少者は神に逆ふ命を顧みずして、火の中に投げられ、凉しくせられて歌へり、我が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
敵は今口を開きて我を其腹に受けんと欲す、蓋諸方より誘を進め、網を張りて、悉く吾が途を遮る。童貞女母よ、急ぎて我を其惡謀より援け給へ。
敵は我が感覺を汚し、智慧を擾して、我を失望の坎に落さんと務む。故に我獨爾に呼ぶ、我が避所なる神の聘女よ、我を此の凶惡者の手より脫れしめ給へ。
光榮 昔三人の少者を燃ゆる爐より救ひし我がハリストスよ、爾親ら言よ、婚姻に與からざる爾の母の祈禱に因りて、我をも吾が無量の惡を以て盛に燃しし焰より救ひて凉しくし給へ。
今も 敗壞者は吾が心の肉慾に傾くを見て之を殺せり。婚姻に與からざる母よ、爾の神聖なる力を以て之を生かして、我に敵に勝つを得しめ給へ、我が信を以て爾に、身にて神を生みし童貞女よ、爾は崇め讚めらると、呼ばん爲なり。
第八歌頌
イルモス 火の爐の中にエウレイの少者に降りて、焰を露に變ぜし神を、造物は主として歌ひて、萬世に崇め讚めよ。
我多くの惡の勝へ難き重負に因りて屈められて、敢て吾が目を天に擧ぐるを得ず、唯爾に呼ぶ、惟一の生神女よ、我陷りし者を憐み給へ。
潔き者よ、我爾の子及び神の怒を干せり、我を救ひ給へ。至淨なる者よ、彼が審問せん時、我が援助と爲りて、我を左の山羊の分より脫れしめ給へ。
光榮 神の聘女・少女よ、我無量の惡に因りて靈の殺されし者を起し給へ。爾の祈禱を以て我を靈を害する敵及び殺害者の凡の誘惑より援け給へ。
今も 惡の改められぬ靈よ、何ぞ始の美しきを全く失ひたる、何ぞ爾の造成主に於ける契約を悉く棄てて、彼の敵と爲りたる。疾く來りて、敬虔にして生神女に趨り附け。
第九歌頌
イルモス 食に緣りて甚しく朽壞に陷りしアダムを、言ひ難き智慧を以て改めん爲に神より來りし神言、我等の爲に測り難く聖なる童貞女より身を取りし主を、我等信者は同心に歌を以て崇め讚む。
我不當の行を以て感覺を汚して、耻づべき事に滿てられたり。至淨なる者よ、我に傷感を起さしめて、我を潔め給へ、我が常に爾を崇め讚めん爲なり。
生神女よ、各人の密事の明に顯れん時、爾我を義と爲し給へ、爾誠に力を有てばなり。爾の祈禱を以て我を黑暗より脫れしめて、言ひ難き喜悅のある光の處に容れ給へ。
光榮 言よ、爾に祈る、終の至らざる先に我に熱切なる痛悔と感動と涕泣と、又潔淨と謙遜と神聖なる愛とを賜ひて、爾の牧群に合せ給へ、爾を生みし者の祈禱に由りたなり。
今も 光榮と尊敬とを以て神の外に有形無形の者に超ゆる童貞女よ、我罪過を以て地上に罪を犯しし舊新の人人に超ゆる者を厭はずして、爾の祈禱を以て我を救ひ給へ。
次ぎて「常に福にして」、及び躬拜。聖三祝文、「天に在す」の後に讚詞。其他常例の如し、及び發放詞。
水曜日
水曜日の早課
第一の誦文の後に十字架の坐誦讚詞、第二調。
ハリストス神よ、爾は救を地の中に作し、十字架に爾の至淨なる手を伸べて、萬民を集めて呼ばしむ、主よ、光榮は爾に歸す。
句 主我が神を崇め讚め、其足凳に伏し拜めよ、是れ聖なり。
主よ、敵が木の生ずる食を以てアダムを虜にせし如く、斯く爾は親ら十字架の木と爾の苦とを以て敵を虜にせり、第二のアダムとして爾は殊に迷ひし者を尋ね、死せし者を生かさん爲に來りたればなり。神よ、光榮は爾に歸す。
光榮、今も、生神女讚詞 生神女よ、我等爾を崇め讚めて呼ぶ、杖よ、慶べ、是より種なく生ぜし神は木の上に死を滅し給へり。
第二の誦文の後に坐誦讚詞、第二調。
主よ、爾が我等不當の者に爾の仁慈に因りて賜ひし生命を施す十字架を我等祈禱の中に爾に捧ぐ。獨人を愛する主よ、生神女に因りて、皇帝と爾の城邑とを救ひて、平安を與へ給へ。
句 神我が古世よりの王は救を地の中に作せり。
十字架を以て地上の者を照し、罪ある者を痛悔に召し給ひし善き牧者よ、我を爾の群より遠ざくる勿れ。獨仁慈にして人を愛する主宰よ、我迷ひし者を尋ねて、爾の聖なる群に合せ給へ。
句 神よ、爾は爾の聖所に於て嚴なり。
致命者讚詞 ハリストス神よ、爾は至善なる主として、爾の聖者を黃金よりも耀く者と爲し、爾の克肖者の榮を顯せり。仁慈なる主として、彼等の祈禱を納れて、我等の生命を平安ならしめ給へ。獨聖者の中に休ふ主よ、我等の禱を香爐の香の如く升らしめ給へ。
光榮、今も、十字架生神女讚詞 ハリストスよ、童貞女爾の母は爾十字架に懸けられて死せし者を覩て、痛く泣きて曰へり、吾が子よ、此の恐るべき祕密は何ぞや、衆に永遠の生命を賜ふ者は如何ぞ甘じて十字架に耻づべき死を以て死する。
第三の誦文の後に坐誦讚詞、第二調。
生命を賜ふイイスス、獨罪なき者よ、爾は多くの慈憐に因りて、我等の爲に十字架に釘せられて、死者と爲ることを忍び給へり、爾の手の造物を死の定罪より救はん爲なり、爾は仁慈なる神にして人を愛する主なればなり。
甘じて我等の爲に苦を受けし主よ、我盜賊の如く承け認めて、爾至善の者に呼ぶ、主よ、爾の國に於て我を憶ひて、彼と偕に我を算へ給へ。
光榮、今も、十字架生神女讚詞 潔き女宰生神女よ、我等皆爾の子の尊き十字架に護られて、輙く敵の凡の攻擊に勝つ。故に爾を神の母、獨我が靈の恃賴なる者として宜しきに合ひて崇め讚む。
尊貴にして生命を施す十字架の規程、其冠詞は、十字架の樹つは惡鬼の倒なり。イオシフの作。第二調。
第一歌頌
イルモス 全く備はれる力は昔ファラオンの全軍を深水に敷き、人體を取りし言、讚榮せらるる主は萬の惡を致す罪を滅し給へり、彼嚴に光榮を顯したればなり。
昔初めて造られし人は始の誡に背きて、木に緣りて死を受けたり。木に上げられし不死の主は死を嘗めて衆人に不死を賜へり。
十字架が地に立てられしに、敵に因る迷は解けて、全く空しくせられたり、前に退けられし人は復樂園に入る。光榮は爾斯く爲すことを嘉せし我等の惟一の神に歸す。
致命者讚詞 讚美たる致命者よ、爾等皆牡羊の如く、有智なる羔の如く屠られ、無慙に寸斷せられて、屠られし主に祭祀として獻ぜられたり。故に今は聖なる冢子の敎會の中に輝く。
致命者讚詞 睿智なる受難者よ、爾等は劍にて斬られ、火と水とに投げられしに、常に堅く信に立ちて、詭譎なる敵を斃せり。故に福たる終を獲たり。
生神女讚詞 至淨なる女宰よ、預言者の聖にせられし會は爾を過られぬ門、選ばれたる地、斫られぬ山と名づけたり。蓋爾は萬有の主宰、甘じて十字架の死を受けし者を生み給へり。
又至聖なる生神女の規程、第二調。
第一歌頌
イルモス 人人よ、來りて、海を分ちて、エギペトの奴隷より引き出しし民を過らせらしハリストス神に歌を歌はん、彼光榮を顯したればなり。
信者皆來りて、同心に生神女を歌はん。蓋彼は人の智慧に超えてハリストスを生みて、絕えず我等衆の救はれんことを祈る。
神の母よ、父の實在の像は爾より我が合成を受けて、朽ちたる像を新にして、之を榮せり。
爾はヘルワィムより最尊く、諸天より最高くなれり、蓋無慾にして智慧に超えて神を爾の胎内に宿し給へり。
爾は我が諸罪の贖たる恩主を生みて、死せし原祖アダムを生かし、人性を天に升せ給へり。
第三歌頌
イルモス 主よ、荒地の如く實を結ばざる異邦の敎會は、爾の來るに因りて、百合の如く華さけり、我が心は此に緣りて固められたり。
主よ、爾は十字架に釘せられて萬物を震はせ、信者を堅めて、彼等に爾の力と、爾の言ひ難き寬容とを歌はしめ給ふ。
主宰よ、爾は十字架を以て樂園を開きて、其内に爾の國と爾の神聖なる慈憐の富とを悟りし盜賊を入れ給へり。
致命者讚詞 致命者は芳しき花の如く、靈智なる谷の中に發きて、惡臭の迷を拂ひ、信者の心を薰らせたり。
致命者讚詞 世界の燈、信者の聖なる扶助者よ、聖神の輝ける光線を以て宜しきに合ひて爾等を讚美する衆を照し給へ。
生神女讚詞 純潔なる者は萬有の主宰が木に上げられ、萬衆に生命を賜ふ者の甘じて死するを見て、心痛く苦しめり。
又
イルモス 木を以て罪を殺しし主よ、我等を爾の中に堅めて、爾を畏るる畏を我等、爾を歌ふ者の心に植ゑ給へ。
童貞女よ、我等爾を實に黃金の香爐、「マンナ」の壺、神の山、神聖なる美しき宮と稱ふ。
言の殿及び聖にせられし居處たる至淨なる生神女・永貞童女よ、我が爲に諸罪の潔淨と爲り給へ。
生神女よ、地に生るる者の舌も、無形の者の智慧も爾の產を述ぶる能はず、爾は天性及び智慧に超えて造成主を生みたればなり。
生神童貞女よ、信を以て爾に趨り附きて、爾を神の母と傳ふる者の爲に保固と避所及び庇覆と爲り給へ。
第四歌頌
イルモス 童貞女に藉りて來りし者は使者に非ず、天使に非ず、主親ら人體を取りて、我全き人を救ひ給へり。故に我爾に呼ぶ、主よ、光榮は爾の力に歸す。
惟一の主よ、爾は木に上げられて、殘忍なる世君の權を空しくし、詛を滅せり。故に我等爾に救はれたる者は爾を讚榮す。
全能の主よ、日は爾が木に懸けられしを見て光を隱し、山と磐とは崩れ、殿の幔は裂けたり。
致命者讚詞 主の致命者よ、爾等は殺されて敵を殺し、鐵にて爬かれ、死に屬する麤き皮を剥がれて、光榮を衣せられたり。
致命者讚詞 致命者よ、爾等は首を斬られ、凶惡なる能力の首を斬りて、永在の光榮を繼ぎて喜ぶ。
生神女讚詞 婚姻に與らざる少女よ、父の光なるハリストスは爾の胎より輝き出でて、十字架に釘せられて世界を照し、惡鬼の黑暗を散じ給へり。
又 イルモス同上
女宰よ、傷感の一滴を我に滴らせて、吾が心の熱を去らしめ、我が思の濁れる流を止め給へ。
至淨なる者よ、我逸樂の武器に傷つけられ、病みて臥す者を棄つる毋れ。十字架に釘せられし爾の子我が神の戈と血とを以て我を痊し給へ。
女宰たるを以て萬物を富ましし純潔なる者よ、我甚貧しくなりたる者に神聖なる恩寵を豐に垂れ給へ、我が爾至善なる轉達者を崇め讚めん爲なり。
童貞女よ、痛悔を以て我を凉しくし、諸慾の熱に因りて涸れたる吾が心を濕し、爾の慈憐の油と醫治とを我に灌ぎ給へ。
第五歌頌
イルモス ハリストス神よ、爾は神と人との中保者と爲れり、主宰よ、我等は爾に依りて、無智の闇より光の原なる爾の父に就くを得たればなり。
ハリストスよ、爾は十字架に釘せられて、地の基を動かし、戈にて刺されて、惡の魁たる蛇を殺し、救の流を衆に注ぎ給へり。
言よ、爾の手に造られし者の迷へるを見るに勝へずして、爾は手を木の上に伸べて殺されて、昔木に緣りて死せし者を生かし給へり。
致命者讚詞 ハリストスの友、人人の熱心なる保護者、美しき花、聖神の最尊き器たる睿智なる受難者は宜しきに合ひて讚美せらる。
致命者讚詞 惟一なる立法者よ、爾の聖なる受難者の會は法の爲に苦を受けて、不法の者を辱しめ、爾の力に因りて馳すべき程を盡して、致命者に宜しきが如く榮冠を冠りたり。
生神女讚詞 潔き者よ、爾は產の後に不朽の者と顯れたり、神が爾より身を取りて生れたればなり。爾は其十字架に釘せらるるを見て、忍びずして、痛く苦しみて呼べり。
又
イルモス 光を賜ひ、世世を造りし主よ、爾の誡の光の中に我等を導き給へ、我等爾の外に他の神を識らざればなり。
神の母よ、我等信者は爾より種なく身を取りて生れし子の眞の神及び實性の人なるを知れり。故に爾を讚榮す。
至淨なる童貞女よ、我等信者は信を以て常に爾の庇覆及び保護の下に趨り附きて、爾に依りて凡の敵の侵害より救はる。
至淨なる童貞女よ、我等を誘惑と擾れたる意思、凡の怒と凡の罪、饑饉と疫病及び永遠の苦より脫れしめ給へ。
我等の轉達者と拯救と恃賴なるハリスティアニン等の女宰、讚美たる童貞女よ、愛を以て常に忠信に爾を歌頒する者を救ひ給へ。
第六歌頌
イルモス イオナは鯨の中より主に籲べり、祈る、我を地獄の深處より引き上げ給へ、我が讚美の聲と眞實の神゜とを以て爾救主に祭を獻げん爲なり。
言よ、昔イアコフは手を少者の首に按せて、十字架を預徵せり。ハリストスよ、爾は其上に手を伸べて、人類を詭譎なる敵の手より救ひ給へり。
萬有の王ハリストスよ、爾甘じて釘せられしに、王たる罪は滅され、昔樂園より逐ひ出されしアダムは復其中に入れられて、爾を讚め歌ふ。
致命者讚詞 創痍にて飾られ、天の華美に妝はれたる實に主の至愛にして神聖なる致命者を、我等中心より讚め歌はん。
致命者讚詞 神聖なる致命者は其燈を滅されずして守り、己の血を以て盛に之を燃して、神聖なる殿に入るを得て喜ぶ。
生神女讚詞 讚美たる童貞女よ、我等爾讚め歌はるる神を生みし者を歌ふ。彼は木に緣りて仇敵を滅し、彼の苦を歌頌する者を朽壞より救ひ給へり。
又
イルモス 我罪の淵に溺れて、爾が憐の量り難き淵に呼ぶ、神よ、我を淪滅より引き上げ給へ。
己の旨を以て萬物を造りし主は其旨を以て婚姻に與らざる者の胎内に入りて、朽壞を以て病める者を、慈憐なるに因りて、不朽にて富まし給へり。
純潔なる者よ、爾は天上の軍より上にして聖なり、容れられぬ言を性に超えて爾の胎内に容れたればなり。
女宰よ、我生命の道に迷ひて、屢罪の無道に入る者を、痛悔の道に向はしめ給へ。
潔き女宰よ、我等爾に恃賴を負はせし爾の諸僕の祈禱を棄つる勿れ、爾は靈の爲に避所及び潔淨なればなり。
第七歌頌
イルモス 不法なる虐者の神に戾る命令は高き焰を起したれども、讚め歌はるるハリストスは敬虔の少者に屬神の露を降し給へり。
慈憐なる主よ、爾十字架に上げられて、戈を以て刺されしに、昔の自ら旋る劍は我の前より退く。故に我爾の尊き苦に由りて苦なきを得て、爾を崇め讚む。
モイセイに因りて木に上げらるる蛇は、詭譎なる蛇を殺して、犯罪に因りて殺されたる我等衆を生かししハリストスの上げらるるを預象せり。
致命者讚詞 聖なる者よ、爾等は無原の父の同無原の子の至淨なる苦に效ひて、彼と最親しくなるを以て神の子と爲れり。故に彼は爾等を兄弟及び其國の嗣と稱ふ。
致命者讚詞 捧神なる致命者よ、爾等は主宰の如く十字架に上げられ、戈にて刺され、劍にて斬られ、火と水とに投げられ、刃輪にて寸斷せられて喜べり。
生神女讚詞 潔き者よ、爾は耕作せずして生育せし實りたる葡萄が木に懸けられしを見て呼べり、吾が甘愛なる子よ、諸慾の醉を醒ますべき美酒を滴らし給へ。
又 イルモス同上
我が力と歌と救、堅固なる保護と破られぬ墻たる女宰よ、我と戰ふ惡鬼、常に我を殺さんと謀る者を破り給へ。二次。
童貞女よ、爾は童貞の血より身を取りて人類を神成せし神を生み給へり。故に爾の祈禱を以て我諸慾に汚され、敵の惡謀に因りて朽壞せし者を救ひ給へ。
純潔なる者よ、爐は爾の產を預象せり、蓋少者を焚かざりき、止められぬ火の爾の胎に於けるが如し。故に我等爾に祈る、爾の諸僕を永遠の火より脫れしめ給へ。
第八歌頌
イルモス 昔ワワィロンの火の爐は神の命によりて其勢を分ち、ハルデイを焦して、信者を凉しくせり、主の悉くの造物は主を崇め讚めよと歌へばなり。
恒忍なる主よ、爾の不朽の脅より滴りし血に因りて造物は聖にせられ、多神の川は涸らされ、迷の旱を退くる敬信の雨雲は現れたり。
言よ、日は爾が十字架に釘せらるるに耻ぢて、其光線を隱し、磐は裂け、地獄は下に畏れ、義者の靈は樂しみて全き救を待てり。
致命者讚詞 受難者の不朽體の遺片は信者に醫療を流し、常に醫し難き病の苦惱を醫す。故に我等感謝して呼ぶ、主よ、爾は爾の聖なる致命者の中に嚴なり。
致命者讚詞 受難者よ、爾等は猛獸の口と鼎鑊の熱湯、烈しき沍寒と甚しき暑熱、身の裂かるることと牢獄に閉さるること、及び苦惱の死を堅固に忍びたり、故にハリストスと偕に榮せらる。
生神女讚詞 神の恩寵を蒙れる女宰よ、爾の子は甘じて爾の腹より身を取り、見られぬ者にして見ゆる者と爲りて、釘殺を受け、詛と名づけられて、衆人を詛より脫れしめ給ふ。
又
イルモス 昔火燄の中にエウレイの少者に露を注ぎ、奇異にしてハルデヤ人を其中に爇きし主を歌ひて云はん、彼を崇め讚めて、世世に讚め揚げよ。
我等地に生るる者の生命及び救贖たる神の羔を生みし無玷なる牝羊よ、我を棄つる勿れ。蓋我呼ぶ、主の悉くの造物は主を崇め讚めよ。
至淨なる者よ、爾の神聖なる產は我等を新にして、衆を光の子晝の子と爲せり。故に我等救はれて呼ぶ、主の悉くの造物は主を崇め讚めよ。
潔き者よ、爾は童貞の胎より活ける水を生みて、醫治の泉より信者に赦罪を流し給へり。故に我等皆呼ぶ、主の悉くの造物は主を崇め讚めよ。
潔き者よ、爾は生命の實りたる葡萄を生育せり、蓋爾は諸福を以て地を樂しましむる葡萄の樹なり。我等之を歌ひて呼ぶ、主の悉くの造物は主を崇め讚めよ。
第九歌頌
イルモス 無原の父の子、神と主は、童貞女より人體を取り、我等に現れて、昧まされし者を明かし、散らされし者を集め給へり。故に我等讚美たる生神女を崇め歌ふ。
量り難き言よ、爾の傷に因りて我が朽壞と困苦とを痊し給へ。主我が救の神よ、爾の苦に因りて、惡慾の中に埋れたる爾の像を潔め給へ。
主宰よ、爾聖三者の一、二性にして一位なる者は、仁慈に因りて人類を救はん爲に松・杉・黃楊に上げらるる者と見れたり。
致命者讚詞 致命者よ、爾等は十字架に盾の如く掩はれて、惡の魁の悉くの箭に惱まされぬ者と顯れたり。故に今彼を踐みて、恒に憎むべき鳥となして哂ふ。
致命者讚詞 受難者致命者敎會の動かされぬ柱よ、地は口を開きて爾等の血を受け、天は爾等の神聖なる神゜を受けたり。今爾等は火の如き品位と偕に神の寶座の前に立ち給ふ。
生神女讚詞 童貞女よ、爾は性に超えて生み、童貞女に止まりて、原祖の朽壞したる性を新にせり、萬有の性を造りし主を生みたればなり。至淨なる母よ、爾昔彼が十字架に懸けられしを見て籲べり。
又
イルモス 食に緣りて甚しく朽壞に陷りしアダムを、言ひ難き智慧を以て改めん爲に神より來りし神言、我等の爲に測り難く聖なる童貞女より身を取りし主を、我等信者は同心に歌を以て崇め讚む。
爾より身を取りし仁慈なる神を言ひ難く生みたる惟一の少女よ、我を神聖なる仁慈を蒙るに勝ふる者と爲して、愛を以て爾を讚榮する者を將來の焰及び凡の苦より脫れしめ給へ。
讚美たる者よ、我等皆獨爾を堅固なる轉達者と恃賴、保護と希望、確なる庇覆と破られぬ城、穩なる港と堅き避所として得て救はる。
神聖なる光を生みし少女よ、諸慾の多くの侵害と惡敵の謀とに昧まされたる吾が心を照し給へ。童貞女よ、我を罪の汚より潔むる淚の點滴を常に我に與へ給へ。
次ぎて「常に福にして」、及び躬拜。小聯禱、光耀歌、及び常例の聖詠。
挿句に十字架の讚頌、第二調。
ハリストス神よ、爾は十字架の木を我等爾を信ずる者の爲に生命の樹と爲し、此を以て死の權を秉る者を虛しくして、罪に因りて殺されし者を生かし給へり。故に我等爾に呼ぶ、衆人の恩者主よ、光榮は爾に歸す。
句 主よ、夙に爾の憐を以て我等に飽かしめよ、然せば我等生涯歡び樂しまん。爾我等を撲ちし日、我等が禍に遭ひし年に代へて、我等を樂しましめ給へ。願はくは爾の工作は爾の諸僕に著れ、爾の光榮は其諸子に著れん。
ハリストス神よ、アダムの貧しくなりしに因りて爾は甘じて貧しくなり、童貞女より身を取りて地に來り、我等を敵の奴隸より救はん爲に釘殺を受け給へり。主よ、光榮は爾に歸す。
句 願はくは主吾が神の惠は我等に在らん、願はくは我が手の工作を我等に助け給へ、我が手の工作を助け給へ。
致命者讚詞 嗚呼受難者致命者よ、凡の城邑と地方とは爾等の不朽の體を尊む。蓋爾等は法に遵ひて苦を忍びて、天より榮冠を受けたり。故に爾等は成聖者の譽、諸王の勝利、諸敎會の裝飾なり。
光榮、今も、十字架生神女讚詞、第二調 潔き者よ、爾は耕作せずして胎内に宿せし全く實りたる葡萄が木に懸けられしを覩て、泣き號びて呼べり、子及び恩主よ、爾を生みし我の爲に己の愛憐に促されて、諸慾の醉を醒ますべき甘味を滴らせ給へ。
次ぎて「至上者よ、主を讚榮し」、聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞、聯禱、第一時課、其他、及び發放詞。
水曜日の聖体礼儀に
水曜日の眞福詞、第二調。
我等爾に盜賊の聲を奉りて祈る、救世主よ、爾の國に於て我等を憶ひ給へ。
句 義の爲に窘逐せらるる者は福なり、天國は彼等の有なればなり。
救世主よ、爾十字架に上りしに、悉くの人の性、絕えず爾を歌ふ者を共に上せ給へり。
句 人我の爲に爾等を詬り、窘逐し、爾等の事を僞りて諸の惡しき言を言はん時は、爾等福なり。
人を愛する主よ、爾は戈を以てアダムの書券を裂きて、彼を生者の書に錄し給へり。
句 喜び樂しめよ、天には爾等の賞多ければなり。
致命者よ、爾等は十字架に釘せらるるを忍びし主に效ふ者と爲りて、其光榮にも與る者と顯れたり。
光榮 無原なる父、同無原の子は、聖神と共に同一の尊貴及び光榮に於て歌はるべし。
今も 少女よ、爾は種なく生みし者の十字架に在るを見て、涕泣して、彼の恒忍を歌頌せり。
水曜日の晩課
「主よ、爾に籲ぶ」に聖使徒の讚頌、第二調。
句 主よ、若し爾不法を糾さば、主よ、孰か能く立たん、然れども爾に赦あり。人の爾の前に敬まん爲なり。
睿智なる主の門徒よ、爾等は神゜靈の川の如く、エデムより分れて、全地を潤し、之を耕作して救の傳道を播き、繁く實りたる穗なる救はれし者の靈を穫りて、之を最尊き寶として無形の寶藏に納めたり。
句 我主を望み、我が靈主を望み、我彼の言を恃む。
無形の東の光體なる者よ、多慾なる吾が心を諸慾及び逸樂の黑暗より出し給へ。邪敎の夜の迷を拂ひし日を衆人に傳ふる其至りて輝ける光線よ、其實見者として彼に我等の思念をも照さんことを祈り給へ。
句 我が靈主を待つこと、番人の旦を待ち、番人の旦を待つより甚し。
爾等は實に神の刻みたる新なる恩寵の石板と現れ、救の言を載する、父の指にて聖神を以て錄されたる活ける書卷と現れたり。故に四極を周りて、衆人に眞實の敎と天に行かしむる道とを明に示せり。
次ぎて若し之あらば、月課經の聖人の讚頌。若しなくば聖大奇跡者ニコライの讚頌。同調。
句 願はくはイズライリは主を恃まん、蓋憐は主にあり、大なる贖も彼にあり、彼はイズライリを其悉くの不法より贖はん。
聖神父ニコライ、ハリストスの成聖者よ、爾は有形にしてミラ城に生を度り、無形の香膏を抹られて、實に香料と現れ、信を以て爾の庇覆の下に趨り附く者に不死の芳香を薰らせて、主に獻る爾の祈禱を以て彼等を菑害危難憂愁より解き給ふ。
句 萬民よ、主を讚め揚げよ、萬族よ、彼を崇め讚めよ。
神父ニコライよ、我多くの誘惑に圍まれ、世俗の累に纒はれ、危難の浪に溺らされ、憂に攻めらるる者は我が一切の望を爾に負はしむ。福たる者よ、爾が主宰、我等の神に奉る祈禱を以て我が悉くの患難を解き給へ。
句 蓋彼が我等に施す憐は大なり、主の眞實は永く存す。
至福なるニコライよ、我思念の黑暗と惡鬼の誘惑とに圍まれ、肉體の慾に荒らされ、罪の法に勝たるる者に至りて、恩寵の光を以て照し給へ、爾は世界の中に神の光線にて輝く光なればなり。
光榮、今も、生神女讚詞 父及び聖神と同尊なる言、末の時に童貞女・神の少女より地に輝きし大なる日たる者は爾等を、光榮なる使徒等よ、其光線として遣して、正敎の光を以て迷の黑暗にある衆人を照し、神聖なる敎訓を以て彼等を之に導き給ふ。
次ぎて「穩なる光」。本日の提綱、神よ、爾の名を以て我を救ひ、爾の力を以て我を判き給へ。句、神よ、我が禱を聽き、我が口の言を聆き納れ給へ。
挿句に使徒の讚頌、第二調。
救世主よ、爾は首たる使徒等の名を世界に大なる者と爲せり。蓋彼等は天の事を習ひて、地上の者に言ひ難き醫治を與へたり、彼等の影すらも諸病を痊せり。漁者より出でし者は奇跡を行ひ、イウデヤ人より出でし者は恩寵の敎を宣傳せり。慈憐なる主よ、彼等に由りて我等に大なる憐を與へ給へ。
句 天に居る者よ、我目を擧げて爾を望む。視よ、僕の目主人の手を望み、婢の目主婦の手を望むが如く、我等の目は主我が神を望みて、其我等を憐むを俟つ。
我等常に不義なる行に攻められて、爾眞の神に趨り附き、爾の門徒の聲を爾に奉りて云ふ、夫子よ、我等を救へ、殆ど亾ぶ。祈る、今も爾が使徒の祈禱に因りて、多くの慈憐を以て、人人の罪を顧みずして、彼等を覆ひて、患難より救ふことを我等の諸敵に示し給へ。主よ、光榮は爾に歸す。
句 主よ、我等を憐み、我等を憐み給へ、蓋我等は侮に饜き足れり、我等の靈は驕る者の辱と誇る者の侮とに饜き足れり。
聖なる者よ、爾等が信を以て得たる光榮は大なり、蓋唯苦の中に敵に勝ちしのみならず、死せし後にも惡鬼を逐ひ、病者を醫す。靈體の醫師よ、主に我等の靈を憐まんことを祈り給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 靑き橄欖樹たる童貞女は爾生命の果を結べり、世界の爲に大にして豐なる憐を繁殖せしめん爲なり。
次ぎて「主宰よ、今爾の言に循ひて」。聖三祝文。讚詞及び發放詞。
水曜日の晩堂課
至聖なる生神女に奉る祈禱の規程、第二調。
第一歌頌
イルモス 人人よ、來りて、海を分ちて、エギペトの奴隷より引き出しし民を過らせしハリストス神に歌を歌はん、彼光榮を顯したればなり。
至淨なる者よ、我靈と口とを以て敬虔にして爾を眞の生神女と承け認むる者を、今諸難、諸病、諸罪より救ひ給へ。
生神女よ、我等爾の中に恩寵の淵あるを知れり。故に熱心に爾の神聖なる庇覆の下に趨り附きて救はる。
光榮 至淨なる者よ、我等爾を歌ふ者の爲に爾の純潔尊貴なる血より身を取りし主に祈りて、我等を罪過及び苦しき病より脫れしめんことを求め給へ。
今も 神の恩寵を蒙れる者よ、我等衆信者は爾を美譽と喜悅、避所と保固、恃賴と保護、及び靈の救として獲たり。
第三歌頌
イルモス 木を以て罪を殺しし主よ、我等を爾の中に堅めて、爾を畏るる畏を我等、爾を歌ふ者の心に植ゑ給へ。
潔き者よ、爾が生みし神を、爾の祈禱を以て、爾の帲幪の下に趨り附きて、熱心に爾の產を拜する爾の諸僕の爲に慈憐なる主と爲し給へ。
讚美たる童貞女よ、我が心の深處より爾に奉る我が祈禱の詞を聽きて、我を諸慾及び諸難より救ひ給へ。
光榮 童貞女・神の聘女、我が憑恃及び轉達者よ、我が生涯を治めて、我を誘惑、侵害、及び患難より脫れしめ給へ。
今も 神の實在の睿智を手に抱きし神の母よ、我等が無智及び迷惑より救はれんことを祈り給へ。
第四歌頌
イルモス 人を愛する主よ、我爾の光榮なる攝理を聞きて、爾の悟り難き能力を讚榮せり。
神を生みし女宰よ、我が靈の傷を醫し、肉慾の穢を潔め給へ。
童貞女よ、我諸慾と、思念と、世俗の累にて汚されし者を希望及び信仰にて堅め給へ。
光榮 神の母、惟一讚美たる者よ、爾の祈禱を以て我を侵害と、颶風と、患難より脫れしめ給へ。
今も 童貞女よ、我生命の浪に荒さるる者を助けて、爾の港に導き給へ。
第五歌頌
イルモス 光を賜ひ、世世を造りし主よ、爾の誡の光の中に我等を導き給へ、我等爾の外に他の神を識らざればなり。
我等爾潔き生神女を識る者は敵の諸の誘惑に對して勝たれぬ武器を有ちて、凡の侵害より救はる。
ヘルワィムより上なる者よ、爾は律法の成滿たる、身を取りし神の言、獨生の子を生み給へり。彼に爾の諸僕の爲に祈り給へ。
光榮 萬有の造成主を爾の手に抱きし潔き者よ、彼を、爾の祈禱を以て、今心を全くして爾に趨り附く我等の爲に慈憐なる者と爲し給へ。
今も 我不當の者は苦しみて病める靈より爾に祈禱を奉る。獨憐の原因たる言を生みし者よ、我を憐みて救ひ給へ。
第六歌頌
イルモス 我罪の淵に溺れて、爾が憐の量り難き淵に呼ぶ、神よ、我を淪滅より引き上げ給へ。
我爾を救の港と識る者は、憂多き生命の海を濟りて呼ぶ、我が靈を導く者となり給へ。
我災難に遇ひて、我が潔淨の衣を剥がれたり。永貞童女、神を生みし母よ、我に歡喜の衣を與へ給へ。
光榮 我慾ある者は潔き生命に離れて、怠惰の中に度生せり。祝福せられたる女宰よ、我を興して、爾の子の誡に從はしめ給へ。
今も 至りて慈憐なる言、己の血を以て人人を朽壞より救ひし主を生みし生神女よ、我を爾の慈憐を被るに堪へさせ給へ。
次ぎて主憐めよ、三次。光榮、今も、
坐誦讚詞、第二調。
潔き永貞童女よ、爾の祈禱を以て我を天國に入るに勝ふる者と爲し、惡慾の械を壞りて、我を將來の焰より脫れしめ給へ。
第七歌頌
イルモス 黃金の偶像がデイルの野に奉事せられし時、爾の三人の少者は神に逆ふ命を顧みずして、火の中に投げられ、凉しくせられて歌へり、我が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
神の母よ、爾より身を取りし者は十字架に釘せられて、アダムの書券を裂きたり。童貞女よ、今彼に祈りて、信を以て爾に、身にて神を生みし者は崇め讚めらると、呼ぶ者を凡の惡より脫れしめんことを求め給へ。
女宰よ、爾は信者の善なる恃賴及び保護者なり。我等今爾に祈る、凡そ爾を賴む者に豐なる慈憐を垂れ給へ、蓋彼等爾に呼ぶ、身にて神を生みし者は崇め讚めらる。
光榮 我生命の甚しき黑暗に圍まれて、憂を共にして我を憐む者を得ざりき。童貞女よ、爾の光を以て罪惡の黑暗を解き、我を照して爾に歌はしめ給へ、身にて神を生みし者は崇め讚めらる。
今も 我不當の者は洗禮に由りて衣たる救の戒の美しき衣を怠惰を以て汚せり。童貞女よ、今爾に趨り附きて、爾に依りて復救の衣を衣んことを求む。
第八歌頌
イルモス 火の爐の中にエウレイの少者に降りて、焰を露に變ぜし神を、造物は主として歌ひて、萬世に崇め讚めよ。
我耻辱の深處に陷りて、今我が思念は弱る、諸方より種種の惡に圍まるればなり。童貞女よ、爾我を醫して、無慾の光を衣せ給へ。
至淨なる者よ、我等信を以て爾を堅固なる柱及び基、保護者及び轉達者として獲て、今救はれ、爾の產を歌ひて、之を萬世に崇め讚む。
光榮 生神女よ、我等爾を不死の光及び泉として知る。蓋爾は不死なる父の言、彼を萬世に崇め讚むる衆人を死より救ふ者を生み給へり。
今も 潔き者よ、爾は常に我等信者に醫治の流を注ぎ給ふ、我等斯の豐なる恩寵を汲みて、爾の潔き產を歌ひて、萬世に崇め讚む。
第九歌頌
イルモス 食に緣りて甚しく朽壞に陷りしアダムを、言ひ難き智慧を以て改めん爲に神より來りし神言、我等の爲に測り難く聖なる童貞女より身を取りし主を、我等信者は同心に歌を以て崇め讚む。
神福なる少女よ、我熱心にして我が一切の望を爾に負はせたり。眞の生命の潔き母よ、我を救ひ、信と愛とを抱きて、歌を以て爾を崇め讚むる者を永遠の糧に飽かしめんことを祈り給へ。
神聖なる光の門と顯れたる潔き童貞女よ、爾の無形の光を以て我が靈の黑暗を照し、爾の轉達に由りて我に永遠の火を遁れんことを得しめ給へ、我が絕えず爾を崇め讚めん爲なり。
光榮 女宰よ、惡慾に陷りて、靈と體とを病み、今甚しく憂ふる者を見て、爾の慈憐を以て之を醫して解き給へ、彼等が信と愛とを抱きて、歌を以て爾を崇め讚めん爲なり。
今も 神の母よ、永遠の父が腹より生みし子は爾の腹に入り、全き人と爲りて、信を以て爾の言ひ難き產を拜する我等の爲に爾を恩寵の泉と現し給へり。
次ぎて「常に福にして」、及び躬拜。其他常例の如し、幷に發放詞。
木曜日
木曜日の早課
第一の誦文の後に使徒の坐誦讚詞、第二調。
爾の言ひ難き仁愛に因りて漁者を辯論者に超ゆる智者と爲し、之を傳道師として全地に遣ししハリストス神、獨聖者の中に息ふ主よ、彼等に因りて爾の敎會を堅め、信者に爾の祝福を降し給へ。
句 其聲は全地に傳はり、其言は地の極に至る。
神聖なる使徒等よ、爾等は神の睿智の門徒及び實見者として、智者及び辯論者の智慧を無智と爲し、傳道の愚を以て諸民に惟一の造物者及び主を醇正に歌頌する智慧を授けたり。
光榮、今も、生神女讚詞 生神女よ、我等爾を讚め揚げて呼ぶ、入らざる光の雲よ、慶べ、蓋爾は彼、光榮の主たる者を爾の手に抱き給へり。
第二の誦文の後に坐誦讚詞、第二調。
ハリストス神、獨仁慈にして人を愛する主よ、漁者は聖神の網を以て諸民を漁して、地の四極に爾に父及び聖神と共に伏拜せんことを敎へたり。彼等に因りて爾の敎會を堅め、信者に爾の祝福を降し給へ。
句 主よ、諸天は爾の奇異なる事を讚榮せん。
再上の坐誦讚詞を誦すべし。次に、
句 神よ、爾は爾の聖所に於て嚴なり。
致命者讚詞 主の受難者よ、爾等の血を呑みし地は福なり、爾等の體を受けし殿は聖なり、蓋爾等は審判に於て敵を辱め、ハリストスを勇ましく傳へたり。祈る、其至善の主なるに因りて彼に我等の靈の救はれんことを求め給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 生神女・永貞童女よ、我等爾に依りて神の性に與る者と爲れり、爾我等の爲に身を取りし神を生みたればなり。故に我等皆宜しきに合ひて敬虔に爾を崇め讚む。
第三の誦文の後に坐誦讚詞、第二調。
言よ、爾は聖なる爾の門徒を輝ける光體として世界に遣して、天下を照し、衆人を無智の黑暗より脫れしめ給へり。人を愛する主よ、常に彼等の祈禱を納れて、黑暗に在る我が靈を照して、我を救ひ給へ。
至りて熱切なる轉達者ニコライよ、爾は奇跡の光線にて普天下を照し、憂の暗を解き、葘害の至るを防ぐ。
光榮、今も、生神女讚詞 婚姻に與らざる至淨にして聖なる生神女、聘女ならぬ聘女よ、爾が性に超えて身にて生みし爾の子に、常に諸使徒と偕に、凡そ爾を歌ふ者に諸罪の赦免、生命の更新、諸慾の絕滅を賜はんことを祈り給へ。
聖使徒の規程、フェオファンの作、第二調。
第一歌頌
イルモス 全く備はれる力は昔ファラオンの全軍を深水に敷き、人體を取りし言、讚榮せらるる主は萬の惡を致す罪を滅し給へり、彼嚴に光榮を顯したればなり。
信に因りて神聖なる光の閃電となりし光明なる救世主の使徒よ、我逸樂の穢に昧まされ、怠惰の中に我が生涯を送りし者を照し給へ。二次。
ハリストスの門徒及び友よ、我惡業に由りて敵の友と爲りし者を此より脫れしめて、吾が靈に、慈憐に由りて人類を愛せし主を愛する情を起し給へ。
卑微なる吾が靈よ、死に先だちて務めて痛悔し、己の殺されしを哭け。願はくは慈憐に因りて四日目のラザリを復活せしめし主は使徒の祈禱に因りて爾をも復活せしめん。
生神女讚詞 仁慈なる神、凡そ朽壞に陷りし者に恩を施す主を生みし純潔無玷なる者よ、彼に諸預言者、致命者、使徒と共に衆を患難より救はんことを祈り給へ。
又聖大奇蹟者潤膏者ニコライの規程。其冠詞は、ニコライよ、愛の禱を納れ給へ。イオシフの作。第二調。
第一歌頌
イルモス 人人よ、來りて、海を分ちて、エギペトの奴隷より引き出しし民を過らせしハリストス神に歌を歌はん、彼光榮を顯したればなり。
常に恩寵の神聖なる寶座の前に立つニコライよ、信を以て爾を呼ぶ爾の諸僕に恩寵と慈憐とを賜はんことを祈り給へ。
地上に葘害に遭ふ者の爲に神は爾を大なる轉達者と爲せり。故に祈る、晝に夜に我の爲に轉達して、我を敵の誘惑より護り給へ。
神父ニコライよ、我爾を光れる星として覩る。願はくは爾の輝ける光線に由りて我誘惑、患難、諸罪の黑暗より脫れん。
生神女讚詞 獨神の恩寵を蒙れる者よ、我を肉體の病より護り、吾が靈の隱れたる傷を醫し、我を永遠の火より脫れしめ給へ。
第三歌頌
イルモス 主よ、荒地の如く實を結ばざる異邦の敎會は、爾の來るに因りて、百合の如く華さけり、我が心は此に緣りて固められたり。
聖にして奇異なる見神者よ、爾等は父の睿智を敎師として得て、聖神に因りてエㇽリンの智慧を愚と爲せり。二次。
讚美たる使徒、至福なる言の實見者よ、我が靈の無結果を解きて、我に行に於て諸德の美果を結ばしめ給へ。
萬衆の恩者、慈憐多き主よ、我今敵の毒の齒に甚しく囓まれたる者を爾の使徒の祈禱に因りて醫し給へ。
生神女讚詞 至淨なる者よ、至仁の神に衆使徒と偕に祈りて、爾を尊む者が凡の懊惱と誘惑及び災難より救はれんことを求め給へ。
又
イルモス 木を以て罪を殺しし主よ、我等を爾の中に堅めて、爾を畏るる畏を我等、爾を歌ふ者の心に植ゑ給へ。
醫治の泉なる聖なる者よ、吾が靈の慾を痊し、我が生命を護り、我爾の僕をして葘害に遭ふことなからしめ給へ。
大なるニコライよ、我が轉達者として我が心の迷を正し、我と戰ふ見ゆると見えざる敵の害より我を救ひ給へ。
福たる者よ、惟一至善なる主は爾を善なる保護者として人人に與へたり。故に爾に祈る、諸の惡より我を脫れしめ給へ。
生神女讚詞 純潔なる者よ、爾は我の力と喜と樂、堅固なる墻と轉達者なり、爾は我を諸の誘惑及び葘害より脫れしめ給ふ。
第四歌頌
イルモス 童貞女に藉りて來りし者は使者に非ず、天使に非ず、主親ら人體を取りて、我全き人を救ひ給へり。故に我爾に呼ぶ、主よ、光榮は爾の力に歸す。
惟一人を愛する主よ、爾を全世界に傳へし使徒等の神聖なる祈禱に由りて、我常に餒ゑて飢餓に苦しめらるる者を救の糧に飽かしめ給へ。二次。
人を愛する主よ、爾は世俗の海に爾の光榮なる使徒等を馬の如く放ちて、其不信の鹹く苦き水を亂せり。
日たるハリストスを幽暗に居る者に報ぜし至りて讚美たる使徒等よ、罪の幽闇に臥す我を照して、我が心の邪なる念を退け給へ。
生神女讚詞 萬物に歌はるる神を生みし常に歌はるる者よ、爾を歌ふ者の爲に使徒等と共に我等が諸罪と諸難と侵害より救はれんことを祈り給へ。
又
イルモス 主よ、我爾を歌ふ、蓋風聲を聞きて懼れたり、爾は我迷へる者を尋ねて、我にまで至ればなり。故に慈憐深き主よ、我に於ける爾の大なる寬容を讚榮す。
諸德を以て主敎座を飾りしニコライよ、爾は成聖者の尊き飾と顯れたり。故に爾に祈る、我が醜き靈を飾りて、我を世俗の誘惑より救ひ給へ。
至福なるニコライよ、彼の世に往く途を我が爲に平にせよ、世俗の浪の中に我を護りて、爾大なる轉達者より富を獲たる者として、生命の港に著くを得しめ給へ。
神の言に順ひし大なるニコライよ、我が言を聞きて、我を惡鬼の誘惑、不法の人人、及び諸の葘害より脫れしめ給へ。
生神女讚詞 聖なる女宰生神女よ、我惡鬼の攻擊に仆されて、多くの罪に陷る者を晝に夜に潔め、護りて、拯救に導き給へ。
第五歌頌
イルモス ハリストス神よ、爾は神と人との中保者と爲れり、主宰よ、我等は爾に依りて、無智の闇より光の原なる爾の父に就くを得たればなり。
大なる牧者は其神聖なる門徒を羊の如く狼の中に遣して、洗禮の恩寵の力と善なる言とを以て之を變易せり。二次。
神福たる使徒等よ、爾等は神聖なる光を以て迷の黑暗にある人人の心を照せり。故に爾等に祈る、慾の逸樂に昧まされたる我を照し給へ。
不當なる靈よ、終の前に務めて痛悔して、主に呼べ、主宰よ、我罪を犯せり、使徒等に因りて慈憐なるを以て我を赦して救ひ給へ。
生神女讚詞 光の居處たる至りて潔き者よ、爾の光を以て黑暗に臥す我を照して、使徒等と偕に祈りて、爾の祈禱に因りて我を凡の危難より救はんことを求め給へ。
又
イルモス 光を賜ひ、世世を造りし主よ、爾の誡の光の中に我等を導き給へ、我等爾の外に他の神を識らざればなり。
神の法を行ひし至福なるニコライよ、至善なる神に祈りて、我をして神聖なる法を守らしめ、且不法なる敵及び惡鬼の害より我を脫れしめ給へ。
神智なる聖ニコライよ、昔轉達して三人の少者を救ひし如く、斯く我をも神に奉る爾の祈禱を以て凡の罪より救ひ給へ。
ハリストスの聖務者、罪人等の轉達者、大なる奇跡者よ、仁慈なる神に審判の時に於て我を辱かしめざらんことを祈り給へ。
生神女讚詞 潔き主の母よ、慈憐なるに因りて轉達して、多くの慾に耽りたる我を之より脫れしめ給へ、我が救はれて、靈と心と舌とを以て爾を讚め歌はん爲なり。
第六歌頌
イルモス 我罪の淵に溺れて、爾が憐の量り難き淵に呼ぶ、神よ、我を淪滅より引き上げ給へ。
活ける水を有つ救世主の門徒よ、祈る、罪の熱に焚かるる吾が靈に之を飮ませ給へ。二次。
神靈の天と爲りし光明なる使徒等よ、爾等は言ひ難き神の光榮を傳へたり、我等衆が此を獲んことを祈り給へ。
ハリストスよ、我世の海に烈しく荒らさるる者は爾衆の舵師なる者に呼ぶ、爾の使徒等に因りて我を救の港に向はしめ給へ。
生神女讚詞 神の聘女よ、衆天軍と、諸預言者と、使徒及び致命者と偕に我等の爲に爾の子に祈り給へ。
又 イルモス同上
ミラ城に首座と爲りて、爾の善業を以て信者の會を薰らせしニコライよ、諸罪の惡臭より我を脫れしめ給へ。
日よりも明なる心を獲たる神父ニコライよ、我全身を照して、誘惑と憂愁との黑暗を拂ひ給へ。
宏き恩を有つニコライよ、我を狹むる惡敵より援けて、我が窄き路に由りて主に往くを堅め給へ。
生神女讚詞 至淨なる者よ、我何の時にも爾に呼ぶ、願はくは爾を凡の禍及び畏るべき苦より我を援くる扶助者として得ん。
第七歌頌
イルモス 不法なる虐者の神に戾る命令は高き焰を起したれども、讚め歌はるるハリストスは敬虔の少者に屬神の露を降し給へり。
聖神の火に燃されし使徒等よ、爾等は迷の熾炭を滅して、衆信者の心に神聖なる熱信を燃し給へり。故に我等聲を揚げて爾等を崇め讚む。二次。
神聖なる使徒等よ、爾等は世と凡そ世にある事とを惡みて、世に於て人人に體合せしハリストスを愛せり。彼に生涯我を凡の惡より救はんことを祈り給へ。
義なる審判者、心を洞徹する主、獨我が隱れたる罪過を知る者よ、爾の使徒の祈禱に因りて、審判の時に我を定罪する勿れ、我を火に遣す勿れ。
生神女讚詞 婚姻に與らざる童貞女よ、爾は言ひ難く生みて、神性の火に焚かれざりき。潔き者よ、爾を讚榮する我を永遠の焰より救はんことを使徒等と偕に祈り給へ、
又
イルモス 黃金の偶像がデイルの野に奉事せられし時、爾の三人の少者は神に逆ふ命を顧みずして、火の中に投げられ、凉しくせられて歌へり、我が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
神父ニコライよ、我每日誘惑の火に觸れ、禽の如く羅の中を行きて、爾の宏恩なる帲幪の下に趨り附く。仁慈なる主神に祈りて、我を害なく護り給へ。
神父ニコライよ、我が言を遄に聽きて、急ぎ來りて、我諸の憂、生命の累、及び惡鬼の攻擊に荒らさるる者を助け給へ、我が救はれて爾の轉達を歌はん爲なり。
昔夢に王に見れて、死に定められたる無罪の者を救ひし神父ニコライよ、常に我に逼る誘惑、身の病及び靈の憂より我を救ひ給へ。
生神女讚詞 至淨なる者よ、我獨爾を扶助者と有ち、爾を衆人の生命の守護者と信ず、我爾の僕を遺つる勿れ。惟一の世界の轉達者よ、我が先祖の神は崇め讚めらると歌ふ我を救ひ給へ。
第八歌頌
イルモス 昔ワワィロンの火の爐は神の命によりて其勢を分ち、ハルデイを焦して、信者を凉しくせり、主の悉くの造物は主を崇め讚めよと歌へばなり。
言の神聖なる使徒等よ、至聖神は火の舌の形を以て現に爾等に降りて、爾等を無神を焚き、衆敬虔者を照す光體と爲せり。二次。
慈憐なる主よ、祈る、爾の門徒の祈禱に因りて、烈しく慾に荒らさるる我が治し難き心を醫し、我が靈を照し、惡に傾きたる我が智慧を直くし給へ。
我が靈よ、歎息し、中心より淚を流し、終の前に己の爲に泣きて、慰められぬ憂の未爾に及ばざる先に主に呼べ、慈憐なる主よ、爾の使徒の祈禱に因りて我を救ひ給へ。
生神女讚詞 純潔なる童貞女よ、昔少者を焚かざりし爐は爾の產を預象せり。故に爾に祈る、使徒等及び衆預言者と偕に「ゲエンナ」の火より我を救はんことを祈り給へ。
又
イルモス 火の爐の中にエウレイの少者に降りて焰を露に變ぜし神を、造物は主として歌ひて、萬世に崇め讚めよ。
神より縛り及び釋く權を受けし神智なる神父ニコライよ、爾の祈禱を以て我が惡の縲絏を釋き、甘じて人と爲りし主宰の神聖なる愛に我を繫ぎ給へ。
聖なるニコライよ、爾の神聖なる眷顧にて晝に夜に我を眷みて、我が卑微なる靈の爲に途を平にし、我を凶惡者の逼る誘惑に惱まされぬ者として護り給へ。
昔少者を苦しき死より救ひしニコライよ、我に神聖なる援助の手を授けて、惡敵の侵害より護り給へ、我が爾を慈憐なる轉達者として尊まん爲なり。
神よ、爾が世界を審判せん爲に畏るべき寶座に坐する時、爾の僕と訟を爲す毋れ。ニコライの祈禱に由りて、我を救はるる者の分に與る者と爲し給へ。
生神女讚詞 神の母よ、爾は性に超ゆる爾の產を以て我等大にして數へ難き惡に因りて小くなりし者を大なる者と爲せり。故に我等爾に祈る、至淨なる者よ、爾の豐なる憐を我等の中に大なる者と顯し給へ。
第九歌頌
イルモス 無原の父の子、神と主は、童貞女より人體を取り、我等に現れて、昧まされし者を明かし、散らされし者を集め給へり。故に我等讚美たる生神女を崇め歌ふ。
光榮なる使徒、福たる使徒、救世主の門徒、睿智なる傳道師よ、我を凡の惱、凡の怒、凡の罪、凡の誘、及び諸の菑害より脫れしめ給へ。二次。
我定罪せられし者、我迷ひし者、爾の誡を輕じて、惡鬼の誘惑に從ひし者を、主よ、爾の使徒の祈禱に因りて還し給へ。
人を愛する主よ、我治し難き靈、罪過の中に葬られし良心、汚れたる心、昧みたる思念を齎して、爾に呼ぶ、使徒等に因りて爾の慈憐を以て我を宥め給へ。
生神女讚詞 至淨なる者よ、使徒等は爾の子を全世界に神及び人として傳へたり。故に彼等と偕に祈りて、信を以て爾を讚め揚ぐる者が審判の畏るべき日に苦より脫れんことを求め給へ。
又
イルモス 食に緣りて甚しく朽壞に陷りしアダムを、言ひ難き智慧を以て改めん爲に神より來りし神言、我等の爲に測り難く聖なる童貞女より身を取りし主を、我等信者は同心に歌を以て崇め讚む。
睿智なるニコライよ、我爾を成聖者の則、溫柔の模として知る。聖にせられし父よ、日日に我を擾す諸慾諸難の暴風を鎭め、爾の祈禱を以て我を惱まされぬ者として護り給へ。
ミラ城の睿智なる首成聖者よ、爾は慈憐に因りて地に注がれし神聖なる香料を盈つる聖にせられし器として、我等衆の心を薰らせ、爾の祈禱を以て誘惑の惡臭を拂ひ給へ。
神父ニコライょ、我が善なる轉達者として、爾は多くの見えざる敵に苦しめらるる我が靈を慰め、爾は詭譎の者の晝に夜に我に勸むる無量の誘惑を止め給へ。
畏るべき主宰の日は近づきて門の側にあり、嗚呼靈よ、多くの罪を抱きて何をか爲さん。終の前に痛悔して、熱切に主に呼べ、爾の成聖者ニコライの祈禱に由りて我を救ひ給へ。
生神女讚詞 主よ、審判せんとする時我を宥め、我を宥めて、火に我を定罪する毋れ、爾の憤を以て我を責むる毋れ。ハリストスよ、爾を生みし童貞女と、衆くの使徒、及び光榮なるニコライは之を爾に祈る。
次ぎて「常に福にして」及び躬拜。小聯禱、光耀歌、常例の聖詠。
挿句に使徒の讚頌、第二調。
救世主よ、爾は首たる使徒等の名を世界に大なる者と爲せり。蓋彼等は天の事を習ひて、地上の者に言ひ難き醫治を與へたり、彼等の影すらも諸病を痊せり。漁者より出でし者は奇跡を行ひ、イウデヤ人より出でし者は恩寵の敎を宣傳せり。慈憐なる主よ、彼等に由りて我等に大なる憐を與へ給へ。
句 主よ、夙に爾の憐を以て我等に飽かしめよ、然せば我等生涯歡び樂しまん。爾我等を撲ちし日、我等が禍に遭ひし年に代へて、我等を樂しましめ給へ。願はくは爾の工作は爾の諸撲に著れ、爾の光榮は其諸子に著れん。
我等常に不義なる行に攻められて、爾眞の神に趨り附き、爾の門徒の聲を爾に奉りて云ふ、夫子よ、我等を救へ、殆ど亾ぶ。祈る、今も爾が使徒の祈禱に因りて、多くの慈憐を以て、人人の罪を顧みずして、彼等を覆ひて、患難より救ふことを我等の諸敵に示し給へ。主よ、光榮は爾に歸す。
句 願はくは主吾が神の惠は我等に在らん、願はくは我が手の工作を我等に助け給へ、我が手の工作を助け給へ。
ハリストスよ、爾の聖人の大數は爾に祈る、人を愛する主として我等を憐みて救ひ給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 神の母よ、我が盡くの恃を爾に負はしむ、我を爾の覆の下に守り給へ。
次ぎて「至上者よ、主を讚榮し」、聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞、及び聯禱。次に第一時課、常例の聖詠、及び發放詞。
木曜日の聖体礼儀に
木曜日の眞福詞、第二調。
我等爾に盜賊の聲を奉りて祈る、救世主よ、爾の國に於て我等を憶ひ給へ。
句 義の爲に窘逐せらるる者は福なり、天國は彼等の有なればなり。
睿智なる使徒等よ、爾等は地の極を巡りて、人人を誘惑と邪敎との黑暗より救ひ給へり。
句 人我の爲に爾等を詬り、窘逐し、爾等の事を譌りて諸の惡しき言を言はん時は、爾等福なり。
救世主の門徒よ、爾等は恩寵の網を以て巧に衆人を虛誕の深處より擧げ給へり。
句 喜び樂しめよ、天には爾等の賞多ければなり。
馳すべき程を盡して、信を守りし主の受難者を、我等信者は心を合せて歌はん。
光榮 我等は父と均しく行爲する子を聖神と偕に傳へて、造られざる三者を歌はん。
今も 至淨なる童貞女よ、爾は使徒の美譽、受難者の裝飾、世界の拯救なり。
木曜日の晩課
「主よ、爾に籲ぶ」に十字架の讚頌、第二調。
句 主よ、若し爾不法を糾さば、主よ、孰か能く立たん、然れども爾に赦あり、人の爾の前に敬まん爲なり。
救世主よ、爾十字架に釘せられしに、日は覩て畏に因りて昧み、殿の幔は裂け、地は震ひ、磐は慄きて崩れたり、己の造成主及び神が甘じて木の上に非義に苦を受け、不法者より辱しめらるるを見るに勝へざればなり。
句 我主を望み、我が靈主を望み、我彼の言を恃む。
人を愛する主よ、爾木に擧げられしに、至りて凶惡なる蛇は全く地に仆され、遍く傷つけられて臥し、先に定罪せられしアダムは詛より釋かれて救はる。故に我等も祈る、慈憐なる主よ、我等衆を救ひて、爾の國に入るを得しめ給へ。
句 我が靈主を待つこと、番人の旦を待ち、番人の旦を待つより甚し。
罪なき者よ、爾十字架に上げられ、戈にて脅を刺されて辱しめられしに、日は之を觀るに勝へずして隱れ、地は震ひ、磐は畏に由りて裂け、衆造物は呼べり、救世主人を愛する言よ、光榮は衆人の救と爲りし爾の十字架に歸す。
次ぎて月課經の聖人の讚頌。若し月課經なくば、次の十字架生神女の讚頌を歌ふ。第二調。
句 願はくはイズライリは主を恃まん、蓋憐は主にあり、大なる贖も彼にあり、彼はイズライリを其悉くの不法より贖はん。
イイススよ、婚姻に與らざる者は爾が十字架の木に擧げられしを見て、哭きて云へり、甘愛なる子よ、何ぞ我爾を生みし者を獨遺したる。無原なる父の近づき難き光よ、速に光榮を獲よ、爾の神聖なる苦を讚榮する者も神聖なる光榮を受けん爲なり。
句 萬民よ、主を讚め揚げよ、萬族よ、彼を崇め讚めよ。
童貞女は生命の主が木の上に死して、戈にて其脇の痛く刺さるるを見て、哭きて呼べり、吾が子及び神よ、恩寵に悖る會は何ぞ是くの如く爾に報いたる、嗚呼主宰よ、爾が此の苦を受くるを見て、我悲に勝へずして心裂かる。
句 蓋彼が我等に施す憐は大なり、主の眞實は永く存す。
夫を識らざる童貞女は其子の木より下されて、氣息なき人の如く地に置かるるを見て、懷に抱きて、其口と目とに接吻して、彼に呼べり、萬衆を生かす主なるに、我今如何ぞ其聲なくして動かざるを見る、誠に大なる奇跡なる哉。
光榮、今も、十字架生神女讚詞 無玷なる牝羊は其羔の甘じて人の如く屠の爲に牽かるるを見て、哭きて云へり、ハリストスよ、爾を生みし我を爾は今子なき者と爲す、衆人の救主よ、何ぞ斯く爲したる。然れども人を愛する主よ、我は智慧及び言に超ゆる爾の至大なる仁慈を歌頌讚榮す。
次ぎて「穩なる光」。本日の提綱、我が助は天地を造りし主より來る。
句 我目を擧げて山を望む、我が助は彼處より來らん。
次に「主よ、我等を守り、罪なくして此の晩」。
挿句に十字架の讚頌、第二調。
ペトルを海に救ひしハリストス救世主よ、十字架の力を以て我を救へ、神よ、我を憐み給へ。
句 天に居る者よ、我目を擧げて爾を望む。視よ、僕の目主人の手を望み、婢の目主婦の手を望むが如く、我等の目は主我が神を望みて、其我等を憐むを俟つ。
常に爾の諸恩を樂しむ者は十字架に釘せらるべしと呼べり、義人等を殺す者は恩主に代へて犯罪者を赦さんことを乞へり。爾は、ハリストスよ、苦を受けて我等を救はんと欲して、默して彼等の殘忍を忍び給へり、人を愛する主なればなり。
句 主よ、我等を憐み、我等を憐み給へ、蓋我等は侮に饜き足れり、我等の靈は驕る者の辱と誇る者の侮とに饜き足れり。
致命者讚詞 受難者よ、爾等は地上の樂を愛せずして、天上の福樂を獲、諸天使の同住者と爲れり。主よ、彼等の祈禱に由りて我等を憐みて救ひ給へ。
光榮、今も、十字架生神女讚詞 救世主よ、不法の人人が爾萬衆の生命たる者を木に擧げし時、潔くして至りて無玷なる爾の母は前に立ちて、哭きて呼べり、吾が甘愛なる子、吾が目の光よ、嗚呼如何ぞ爾は地を水の上に懸けし主なるに、犯罪者の間に十字架に定罪せらるるを忍びたる。
次ぎて「主宰よ、今爾の言に循ひて」。聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞、及び發放詞。
木曜日の晩堂課
至聖なる生神女に奉る祈禱の規程、第二調。
第一歌頌
イルモス 全く備はれる力は昔ファラオンの全軍を深水に敷き、人體を取りし言、讚榮せらるる主は萬の惡を致す罪を滅し給へり、彼嚴に光榮を顯したればなり。
神は爾を女の中に美しき者、全く善なる者、無玷なる者と選びて、爾の無玷なる腹に入り給へり。至りて無玷なる者よ、彼に爾を歌ふ衆人を諸罪の玷より救はんことを祈り給へ。
潔き者よ、爾は、聖詠に言へる如く、皇后として爾の腹より輝きし王の右に立てり。至りて無玷なる者よ、彼に應報の日に於て我を右に立つ者と爲さんことを祈り給へ。
光榮 天の雨を生みし者は不當なる行に由りて枯れたる人の性を全く新にせり。故に祈る、神の聘女よ、吾が靈の枯れたる畝を繁く實らしむる者と爲し給へ。
今も 潔き生神女よ、我等は知識の樹に殺されて、智慧に超えて爾より生ぜし生命の樹たるハリストス神に由りて永遠の生命に召されたり。勇を以て彼に吾が靈の救はれんことを祈り給へ。
第三歌頌
イルモス 主よ、荒地の如く實を結ばざる異邦の敎會は、爾の來るに因りて、百合の如く華さけり、我が心は此に緣りて固められたり。
至淨なる者よ、造物主は我人を衣て、爾の腹より出でて、多くの惡事に因りて裸體となりたる者に不朽の衣を賜へり。
女宰よ、爾は至りて尊き神言を生み給へり。彼に熱切に祈りて、逸樂の穢を患ふる我が卑微なる靈を宥めんことを求め給へ。
光榮 至淨なる者よ、我が靈の傷を醫し、蛇の毒に惱まされたる吾が卑微なる心を爾の効驗ある治療を以て醫し給へ。
今も 女宰よ、母として爾の子の前に勇を有ちて、迫害せらるる人人の爲に助を求め、不法の者の驕傲を滅し給へ。
第四歌頌
イルモス 童貞女に藉りて來りし者は使者に非ず、天使に非ず、主親ら人體を取りて、我全き人を救ひ給へり。故に我爾に呼ぶ、主よ、光榮は爾の力に歸す。
女宰よ、我に傷感の滴を注ぎて、我が心の熱と我が憂とを悉く退け、有害なる攻擊を防き給へ。
至淨なる者よ、我逸樂の武器に傷つけられ、病みて臥す者を棄つる毋れ。十字架に釘せられし爾の子我が神の戈と血とを以て我を痊し給へ。
光榮 凡の主宰の恩寵に富まされたる純潔なる者よ、痛く貧しくなりたる我に神聖なる恩寵を得しめ給へ、我が爾を善なる我の保護者として崇め讚めん爲なり。
今も 婚姻に與らざる少女よ、父の光なるハリストスは爾の腹より輝き出でて、十字架に釘せられて全地を照し、惡鬼の幽闇を滅し給へり。
第五歌頌
イルモス ハリストス神よ、爾は神と人との中保者と爲れり、主宰よ、我等は爾に依りて、無智の闇より光の原なる爾の父に就くを得たればなり。
生命の途を生みし至淨なる者よ、我無智にして無道及び誘惑の坎に墜されたる者を今直き途に向はしめ給へ。
我無知にして神の睿智より離れ、諸慾の遠き路に迷ひて、放蕩に生活せり。潔き童貞女よ、我を返して、爾の宥を以て救ひ給へ。
光榮 至淨なる童貞女母よ、爾の活ける水を我罪の炎に焚かれ、惡鬼の攻擊に燃さるる爾の僕に飮ませ給へ。
今も 至淨なる生神女よ、イサイヤの預言せし如く、視よ、爾は言に超えて腹の内にハリストス神を宿し、性に超えて神の母として之を生み給へり。
第六歌頌
イルモス 我罪の淵に溺れて、爾が憐の量り難き淵に呼ぶ、神よ、我を淪滅より引き上げ給へ。
女宰よ、將來の審判に於て我を惡鬼の悅と爲す勿れ、審判者爾の子に慈憐を以て我を見んことを祈り給へ。
主よ、我邪なる思と不潔なる行とを以て爾を怒らしし者を我が爲に爾に祈る爾の母の祈禱に由りて憐みて救ひ給へ。
光榮 審判者及び萬有の神を生みし讚美たる女宰よ、我罪に因りて自ら定罪せられし者を定罪より脫れしめ給へ。
今も 至淨なる童貞女母よ、爾が性に超えて身を以て生みしイイスス救世主に爾の諸僕の患難より救はれんことを祈り給へ。
次ぎて主憐めよ、三次。光榮、今も、
坐誦讚詞、第二調。
ハリストスよ、童貞女爾の母は爾十字架に懸けられて死せし者を覩て、痛く泣きて曰へり、吾が子よ、此の奇異なる祕密は何ぞや、衆に永遠の生命を賜ふ者は如何ぞ甘じて十字架に耻づべき死を以て死する。
第七歌頌
イルモス 不法なる虐者の神に戾る命令は高き焰を起したれども、讚め歌はるるハリストスは敬虔の少者に屬神の露を降し給へり。
我が力と歌と救、堅固なる保護と破られぬ墻たる女宰よ、我と戰ふ惡鬼、常に我を殺さんと謀る者に勝ち給へ。
童貞女よ、爾は童貞の血より身を取りし神を生みて、人類を神成し給へり。故に我爾に祈る、爾の祈禱を以て我諸慾に汚され、敵の惡謀に因りて朽壞せし者を救ひ給へ。
光榮 純潔なる者よ、爐は爾の產を預象せり、蓋少者を焚かざりき、止められぬ火の爾の胎に於けるが如し。故に我等爾に祈る、爾の諸僕を永遠の火より脫れしめ給へ。
今も 潔き者よ、爾は獨童貞女に止まりて、至淨なる降孕と不朽なる產とを顯せり、蓋萬有の神にして人と成りしハリストスを信者の救及び贖罪の爲に妊み給へり。
第八歌頌
イルモス 昔ワワィロンの火の爐は神の命によりて其勢を分ち、ハルデイを焦して、信者を凉しくせり、主の悉くの造物は主を崇め讚めよと歌へばなり。
吾が靈よ、惡に遠ざかりて善を慕ひ、神聖なる行を慮れ、蓋仁慈慈憐なる神の母、衆人の耻を得ざる保護者は爾の爲に祈る。
至淨なる神の母よ、爾は人類の古の定罪の縛を解きたり。故に爾に祈る、我が心の凡の惡の縛を解きて、造成主を愛する神聖なる愛を以て我を縛り給へ。
光榮 父の光榮の光を生みし生神女よ、罪惡の耻を患ふる我が心を照して、我を永在の光榮に與る者と爲し給へ、我が信を以て爾を讚榮せん爲なり。
今も 神の母よ、至上者は爾より身を取りて、我等に眞の義の日と顯れて、神性の光線を以て萬有を照し給へり、我等彼を讚め歌ふ。
第九歌頌
イルモス 無原の父の子、神と主は、童貞女より人體を取り、我等に現れて、昧まされし者を明かし、散らされし者を集め給へり。故に我等讚美たる生神女を崇め歌ふ。
至淨なる者よ、アダムは死を交へたる食を嘗めて、木の苦に害せられたり、爾の子は木に釘せられて、不死の甘を流し給へり。故に我等爾を崇め讚む。
少女よ、爾は王たるハリストス、地獄の國を破りし主を言ひ難く生みたる女王なり。彼に爾を尊む衆人が上なる國に入るを得んことを熱切に祈り給へ。
光榮 慈憐なる主の母にして慈憐なる女宰よ、逸樂の慾に迫害せらるる我が卑微なる心に慈憐を垂れて、我を痛悔の善なる門に入れ給へ。
今も 言よ、爾は十字架に擧げられて死者と爲り、此を以て蛇を殺せり。故に我爾に呼ぶ、惡しき行に殺されたる吾が靈を憐みて、爾を生みし者の祈禱に因りて之を生かし給へ。
次ぎて「常に福にして」、及び躬拜。聖三祝文、「天に在す」の後に讚詞。其他常例の如し、及び發放詞。
金曜日
金曜日の早課
第一の誦文の後に十字架の坐誦讚詞、第二調。
ハリストス神よ、爾は救を地の中に作し、十字架に爾の至淨なる手を伸べて、萬民を集めて呼ばしむ、主よ、光榮は爾に歸す。
句 主我が神を崇め讚め、其足凳に伏し拜めよ、是れ聖なり。
主よ、敵が木の生ずる食を以てアダムを虜にせし如く、斯く爾は親ら十字架の木と爾の苦とを以て敵を虜にせり、第二のアダムとして爾は殊に迷ひし者を尋ね、死せし者を生かさん爲に來りたればなり。神よ、光榮は爾に歸す。
光榮、今も、十字架生神女讚詞 ハリストスよ、童貞女爾の母は爾十字架に懸けられて死せし者を覩て、痛く泣きて曰へり、吾が子よ、此の奇異なる祕密は何ぞや、衆に永遠の生命を賜ふ者は如何ぞ甘じて十字架に耻づべき死を以て死する。
第二の誦文の後に坐誦讚詞、第二調。
主よ、爾が我等不當の者に爾の仁慈に因りて賜ひし生命を施す十字架を我等祈禱の中に爾に捧ぐ。獨人を愛する主よ、生神女に因りて、皇帝と爾の城邑とを救ひて、平安を與へ給へ。
句 神我が古世よりの王は救を地の中に作せり。
仁慈なるハリストス神よ、我等爾の至淨なる聖像に伏拜して、我が諸罪の赦を求む。蓋爾は其造りし者を敵の奴隷より救はん爲に、甘じて身にて十字架に升り給へり。故に我等感謝して爾に呼ぶ、世界を救はん爲に來りし我が救世主よ、爾は衆人を欣喜に滿て給へり。
句 神よ、爾は爾の聖所に於て嚴なり。
致命者讚詞 聖人等は世に在りて爾雲を以て天を覆ふ主を己の衣と爲して、不法者より受くる苦を忍び、偶像の迷を空しくせり。救世主よ、彼等の祈禱に因りて、我等をも見えざる敵より脫れしめて救ひ給へ。
光榮、今も、十字架生神女讚詞 ハリストスよ、種なく爾を生みし者は爾の十字架の側に立ち、非義に苦を受くるを見るに忍びずして、欷歔して爾に呼べり、至りて甘愛なる子、性に於て苦に與らざる者よ、如何ぞ苦を受くる。我爾の至大なる仁慈を歌ふ。
第三の誦文の後に坐誦讚詞、第二調。
甘じて我等の爲に苦を受れし主よ、我盜賊の如く承け認めて、爾至善の者に呼ぶ、主よ、爾の國に於て我を憶ひて、彼と偕に我を算へ給へ。
爾の十字架を以て地上の者を照し、罪ある者を痛悔に召し給ひし善き牧者よ、我を爾の群より遠ざくる勿れ。獨仁慈にして人を愛する主宰よ、我迷ひし者を尋ねて、爾の聖なる群に合せ給へ。
光榮、今も、十字架生神女讚詞 潔き女宰生神女よ、我等皆爾の子の尊き十字架に護られて、輙く敵の凡の攻擊に勝つ。故に爾を神の母、獨我が靈の恃賴なる者として宜しきに合ひて崇め讚む。
尊貴にして生命を施す十字架の規程、其冠詞は、十字架は樹てられて惡鬼の誘は墜ちたり。イオシフの作。第二調。
第一歌頌
イルモス 選ばれたるイズライリは曾て履まれぬ、常ならぬ、海の路を足を濡らさずして過りて呼べり、主に謳はん、彼光榮を顯したればなり。
言よ、爾は十字架に釘うたるる辱を受け給へり、爾の自由なる苦を讚榮する衆人を貴くせんと欲したればなり。
天を慢の如く張りたる救世主よ、爾は十字架に手を伸べて、此を以て諸民諸族、爾の自由なる苦を讚榮する者を抱き給へり。
致命者讚詞 受難者よ、爾等は十字架を肩に任ひ、熱心に十字架に釘せられしハリストスに從ひて、其神聖なる苦に效へり。
致命者讚詞 凱旋の致命者、見神者よ、天軍は爾等の苦を見て歌頌し、惡鬼の大數は哭けり。
生神女讚詞 女宰よ、尊き預言者の言は應へり、蓋爾が己の子の十字架に釘せられしを見し時、劍は爾の心を貫けり。
又至聖なる生神女の規程、第二調。
第一歌頌
イルモス 人人よ、來りて、海を分ちて、エギペトの奴隷より引き出しし民を過らせしハリストス神に歌を歌はん、彼光榮を顯したればなり。
無慾の泉を生みし獨神の恩寵を蒙れる少女よ、慾に傷つけられし我を醫して、永遠の火より脫れしめ給へ。
獨神の恩寵を蒙れる者よ、我を肉體の病より護り、吾が靈の不當なる慾を醫し、我を永遠の火より脫れしめ給へ。
至淨なる童貞女母よ、我今爾の仁慈の下に趨り附く、爾の僕を靈の病、心を害する慾、及び永遠の火より救ひ給へ。
女宰よ、爾は我の篤き保護なり、我爾に趨り附きて助を蒙り、靈の救を得、爾は神の母として衆人を救ふを能すればなり。
第三歌頌
イルモス 爾我を信の石に堅く立て、我が口を啓きて我が敵に對はしめ給へり。蓋我が神゜は樂しみて歌へり、吾が神と侔しく聖なるはなく、主よ、爾の外に義なるはなし。
木に懸れる不朽の葡萄たるイイスス、吾が靈の贖罪主は、神聖なる甘味を滴らせて、人人の心を樂しましめ、恩寵にて惡の醉を醒ます。
慈憐多きイイススよ、爾は甘じて木に擧げられて、悉く惡魔の惡業を墜し、迷へる智慧に由りて滅亡に陷りし人人を擧げ給へり。
致命者讚詞 神を愛する愛の火に燃ゆる勇敢なる者は不死の賜、終なき悅、入らざる光を受けんことを望みて、火を畏れず、死を忌まざりき。
致命者讚詞 受難者は己の血を以て美しく朱袞衣を染めて之を衣、右の手に帝笏の如く神聖なる十字架を執りて、主と偕に常に王たるなり。
生神女讚詞 神の聘女少女よ、無形の品位は爾を尊む。蓋爾は身を取りし萬有の主宰、木に緣りて縛られし衆を解き、信者を己の愛に繫ぎし者を生み給へり。
又 イルモス同上
童貞女母よ、爾は無原の王、爾より身を取りし者を生み給へり。其人を愛する主なるに因りて、彼に爾の僕を諸の憂及び將來の定罪より救はんことを祈り給へ。
永生の泉を生みし者よ、爾の神聖なる力を以て我が心の惑を釋き、傷を痊し、痛を去らしめ、傷感の流を我に予へ給へ。
至淨なる神の母よ、惡鬼の攻擊と失望とに因りて傷める吾が靈を醫し、痛悔の淚を我が心に與へ、我が主宰を畏るる畏を其中に入れ給へ。
女宰よ、我怠惰の中に我が生命を費し、慾にて吾が心を汚しし者は靈の傷感を抱き、爾に來りて祈る、痛悔の範を以て我を導き、我を宥めて救ひ給へ。
第四歌頌
イルモス 童貞女に藉りて來りし者は使者に非ず、天使に非ず、主親ら人體を取りて、我全き人を救ひ給へり。故に我爾に呼ぶ、主よ、光榮は爾の力に歸す。
地を水の上に懸けし全能者よ、爾は十字架に懸けられ、戈を以て脅を刺されて、血と水とを滴らせ給へり、衆人の贖罪の爲なり。
ハリストスよ、爾の脅の刺されしに、吾が病は愈され、手を以て頰の批たれしに、我自由を獲、膽を嘗めしに、我逸樂の食の毒より救はれたり。
致命者讚詞 神聖なる致命者よ、爾等は詭譎なる蛇を傷にて掩ひ、常に救世主の泉より恩寵を流して、我が心の傷を醫し給ふ。
致命者讚詞 至りて尊き見神者受難者よ、爾等は血を流す傷を受け、十字架に舒べられ、皮を剥がれたるに、惡敵の全體に傷を被らせたり。
生神女讚詞 純潔なる者よ、至上者は爾の至りて潔き血より身を取り給へり。爾は其非義に木に擧げらるるを見て、歎息して哭き、其仁慈を讚頌せり。
又
イルモス 主よ、我爾を歌ふ、蓋風聲を聞きて懼れたり、爾は我迷へる者を尋ねて、我にまで至ればなり。故に慈憐深き主よ、我に於ける爾の大なる寬容を讚榮す。
誠に讚美たる者よ、我爾至りて讚美たる神言を性に超えて生みし者を歌ひて祈る、我が卑微なる靈の病を醫し、我を畏るべき定罪より脫れしめ給へ。
童貞女よ、常に爾の豐なる慈憐を我等に注ぎて、不能を醫し、靈の諸慾を止め、我が心の諸罪と多病との縛を解き給へ。
我諸慾を以て靈を汚せり。至淨なる者の爲に至りて潔き居處と爲りし神の母よ、我を潔めて、痛悔の光に導き、我を將來の火より脫れしめ給へ。
至淨なる女宰よ、爾に祈る、我が智慧を照し、肉體の望を制し、我が慾の心の浪を鎭めて、神聖なる港に著かしめ給へ。
第五歌頌
イルモス イサイヤに爇炭として現れし日は童貞女の腹より黑暗に迷ひし者に輝きて、神を知る知識の光照を賜ふ。
主宰よ、爾は慈憐に因りて十字架に擧げられて、我を惡の深處より引き出し、甘じて辱を受けて、我を尊くして父と偕に坐せしめ給へり。
花を以て全地に冠らする言よ、爾は棘を冠りて、我が諸慾の棘を根より絕ち、爾の智慧を我の中に栽ゑ給ふ。
致命者讚詞 聖なる致命者よ、爾等の中に神の弱は人の强に過ぐるに由りて、爾等は戰に勇みて、惡鬼の軍を潰し給へり。
致命者讚詞 聖なる者よ、爾等は地上に大に心勞して、天上に大なる光榮を獲、爾等を尊む我等を大なる患難より救ひ給ふ。
生神女讚詞 誠に至淨なる者よ、天に於て神に合ふが如くヘルワィムの肩に荷はるる主、爾の手に坐せし者は十字架に釘せられて、衆人を朽壞より救ひ給へり。
又
イルモス 幽闇に居る者の光照、失望する者の救贖たるハリストス我が救主よ、我爾平安の王に朝の祈禱を奉る。爾の光を以て我を照し給へ、我爾の外に他の神を識らざればなり。
萬有の實在の生命を生みし純潔なる女宰生神女よ、詭譎の者の惡謀と誘惑とに殺されし我を生かし給へ、我が敬虔にして爾讚美たる者を歌はん爲なり。
羔及び牧者の母と現れし童貞女よ、惡風に迷ひし我を牧して、審判の日に於て右なる羊に合せられんことを得しめ給へ、我が爾の救の恩寵を歌はん爲なり。
少女よ、祈る、爾の祈禱を以て我を慾の昏昧、惡敵の攻擊より來る誘惑、罪を犯す者の爲に備へらるる將來の永遠の苦より救ひ給へ。
全世界を照す惟一の神の言の入り給ひし神の聘女よ、祈る、爾の祈禱を以て我に眞の痛悔の光を照し、我が慾の幽暗を拂ふ救の光線を我に輝かし給へ。
第六歌頌
イルモス 主宰よ、傷める靈より祈禱の言の聲を聞きて、我を諸難より脫れしめ給へ、爾は獨我等の救の緣由なればなり。
救世主よ、爾は背を以て撻つに、爾の頰を以て批つに、面を以て唾せらるるに任せて、知ると知らずして爾の前に多く罪を犯しし我を救ひ給へり。
ハリストス我が神よ、爾は羔の如く屠られん爲に牽かれて、無形の狼の毒齒に囓まれて死せし者を復生命に升せ給へり。光榮は爾の釘殺に歸す。
致命者讚詞 主宰の致命者は法を守りて、法に悖る者の不法の命に服せずして、死して將來の生命を受けたり。
致命者讚詞 聖人等は喜びて敵の首領と戰ひ、神聖なる武器を以て之に勝ちて、神より勝利の榮冠を受けたり。
生神女讚詞 童貞女よ、神は人を神成せん爲に爾より生れ、十字架に釘せられて死を嘗め、昔我を殺しし者を十字架にて殺し給へり。
又
イルモス 我罪の淵に溺れて、爾が憐の量り難き淵に呼ぶ、神よ、我を淪滅より引き上げ給へ。
讚美たる者よ、我今爾に趨り附く、爾の祈禱を以て我を守りて救ひ給へ、爾は衆を堅むる者の母として、欲する所能せざるなければなり。
生神童貞女よ、我憂患の暴風に擾され、侵害の浪に溺らさるる爾の僕を救ひ給へ。
我無慈悲及び姦惡なる者に爾の慈憐を蒙らせて、我を將來の苦及び永遠の火より脫れしめ給へ。
純潔なる者よ、爾は世の罪を任ふ至淨なる羔を孕みて生み給へり、我に諸罪の赦を賜はんことを絕えず彼に祈り給へ。
第七歌頌
イルモス 不法なる虐者の神に戾る命令は高き焰を起したれども、讚め歌はるるハリストスは敬虔の少者に屬神の露を降し給へり。
衆人の復活なる言よ、爾は十字架に擧げられて、我罪に因りて陷りし者を興し、我を陷れし敵を倒して、之を殺せり。光榮は爾の權柄に歸す。
ハリストスよ、爾釘せられしに、釘を以て原祖の罪を十字架に打ち付け、葦にて擊たれしに、此を以て衆人の爲に自由を書せり。光榮は我等を諸慾の黑暗より脫れしめし爾の苦に歸す。
致命者讚詞 ハリストスの凱旋の大致命者は殺人者の不潔なる手にて肉體を斬られ、靈を以ては神に離れず、勇敢の劍にて詭譎なる敵を斬り殺せり。
致命者讚詞 十字架に釘せられしハリストスを破られぬ固と有つ勝たれぬ軍は迫害者の軍を滅し、苦を受けて、勝利の榮冠たる永遠の福樂の生命を獲たり。
生神女讚詞 童貞女よ、爾は王の活ける宮、及び火の狀の寶座と現れたり、之に坐して彼は衆人を始の墮落より起して、父と偕に坐する尊貴を賜へり。
又 イルモス同上
實在の生命たる主、死を以て死を滅しし者を我等の爲に生みし潔き童貞女よ、吾が心の諸慾を殺して、我に淚の泉を與へ給へ、我が常に爾を讚榮せん爲なり。
純潔なる者よ、爾を恃む我の爲に耻を得ざる冀望、堅固なる恃賴、壞られぬ墻、帲幪及び扶助と爲りて、我を痛悔と傷感との光に導き給へ。
爾の僕が惡鬼の凡の侵害、憂患、定罪、及び永遠の火より救はれんことを爾の子に祈り給へ、我が信を以て常に爾を讚榮せん爲なり。
潔き者よ、爾は獨童貞女に止まりて、至淨なる降孕と不朽なる產とを顯せり、蓋萬有の神にして人と成りしハリストスを信者の救及び贖罪の爲に妊み給へり。
第八歌頌
イルモス 三重に福たる少者は金の像を顧みずして、變易なき活ける神の像を見て、焰の中に歌へり、造を受けし萬物は主を歌ひて、萬世に讚め揚ぐべし。
慈憐なる主よ、畏なく不法を行ふ頑陋なる人人は、不法者を義と爲す爾を犯罪者の間に木に擧げて釘せり、然れども萬物は爾を神及び主宰と讚榮して、爾の恒忍を讚め歌ふ。
ハリストスよ、爾は木に釘せられて、血に染みたる爾の指を以て、昔惡鬼に獻げられて獻ぐる者を害する血を拭へり。故に萬物は爾萬衆の神を讚榮して、爾の仁愛を讚め歌ふ。
致命者讚詞 活ける水に滿たされたる致命者は其血の神聖なる流にて迷の川を涸らし、撓まざる信を以て呼べり、造を受けし萬物は主を歌ひて、萬世に彼を讚め揚ぐべし。
致命者讚詞 聖なる者よ、爾等の無量の血は邪敎の火を滅し、エㇽリンの多神の迷を亾し、衆信者を照して歌はしむ、萬物は主を歌ひて、萬世に彼を讚め揚ぐべし。
生神女讚詞 諸預言者及び致命者の裝飾なる無玷の牝羊は爾無原なる言が羔の如く木に擧げられしを見て、痛く哭きて曰へり、造を受けし萬物は主を歌ひて、世世に彼を讚め揚ぐべし。
又
イルモス 火の爐の中にエウレイの少者に降りて、焰を露に變ぜし神を、造物は主として歌ひて、萬世に崇め讚めよ。
ハリスティアニン等の避所及び扶助者なる至りて潔き童貞女よ、我常に諸難及び詭譎なる惡鬼の多くの攻擊に圍まるる者を我が憂の中に棄つる勿れ。
威嚴なる轉達者よ、爾に祈る者の聲を忘れずして、爾の祈禱を以て彼等を凡の病凡の危難より脫れしめ給へ、爾の母たる祈禱は神を傾くればなり。
祝福せられし潔き少女よ、今我が諸慾の烈しき暴風を鎭め、卑微なる我を絕えず攻むる無形の諸敵に勝ち給へ、我が信を以て爾を歌はん爲なり。
獨神の母、信者の轉達者よ、終の時に於て我を誘惑の爐、諸罪の焰、諸慾の火、「ゲエンナ」、及び惡鬼の侵害より脫れしめ給へ。
第九歌頌
イルモス 生神女よ、爾の位に合ひて能く爾を讚美する舌なし、天上の智慧も如何に爾を歌頌するを知らず、唯爾、仁慈の者として、我等の信を納れ給へ、我等の熱切なる愛を知ればなり、蓋爾はハリスティアニン等の轉達なり、我等爾を崇め讚む。
言よ、昔イサアクは爾の苦を預象せん爲に縛られ、又預象として牡羊は縛られし者を解きたるに、實に不自由なる祭祀は釋されたり、蓋爾は自由にして祭祀に獻ぜられしに、我等は諸惡より解かれたり。
人の子より至りて美しきハリストスよ、爾は姿容もなく威嚴もなくして、苦しめられ、十字架の木に懸けられて、全人類の醜きを妝ひ給へり。惟一慈憐なる主よ、光榮は爾の仁愛に歸す。
致命者讚詞 聖なる致命者よ、爾等は上なるシオンに住む者と爲りて、天使の同住者として彼等と同尊なる者と顯れ、致命の榮冠を冠りて、冢子の敎會を美しく飾り、神聖なる光を以て輝き給ふ。
致命者讚詞 主の聖なる致命者、大に爾等を愛せし者の至愛なる友よ、我を肉體に於ける有害の愛より脫れしめ、凡そ爾の記憶を行ふ者の爲に成聖、光照、及び諸罪の赦を求め給へ。
生神女讚詞 光體は爾義の日が甘じて十字架に擧げられしを覩て、其常の美しきを變じ、童貞女は童貞の門徒と偕に哭きて呼べり、嗚呼哀しい哉、斯の奇異なる顯現は何ぞや。
又
イルモス 無原の父の子、神と主は、童貞女より人體を取り、我等に現れて、昧まされし者を明かし、散らされし者を集め給へり。故に我等讚美たる生神女を崇め歌ふ。
童貞女よ、爾は智慧及び言に超えて、人を愛する主、獨慈憐多き者を生み給へり。彼に審判の畏るべき時に於て爾の僕を永遠の火より救はんことを祈り給へ。
神の聘女よ、我等爾を歌ひ、信を以て讚榮し、常に爾の神聖なる帲幪の下に趨り附く者に、我等を苦しむる諸罪諸慾の解かるるを天より與へて、我等を定罪及び永苦より脫れしめ給へ。
我を殺しし罪の果は、見れば美しく、味へば最苦し、我飽くまで之を食ひて、畏るべき審判を俟つ。至聖なる童貞女母よ、我を之より脫れしめ給へ。
慈憐なる主の母にして慈憐なる女宰よ、逸樂の慾に迫害せらるる我が卑微なる心に慈憐を垂れて、我を痛悔の善なる門に入れ給へ。
次ぎて「常に福にして」、小聯禱、光耀歌、及び常例の聖詠。
挿句に十字架の讚頌、第二調。
ハリストス神よ、爾は十字架の木を我等爾を信ずる者の爲に生命の樹と爲し、此を以て死の權を秉る者を虛しくして、罪に因りて殺されし者を生かし給へり。故に我等爾に呼ぶ、衆人の恩者主よ、光榮は爾に歸す。
句 主よ、夙に爾の憐を以て我等に飽かしめよ、然せば我等生涯歡び樂しまん。爾我等を撲ちし日、我等が禍に遭ひし年に代へて、我等を樂しましめ給へ。願はくは爾の工作は爾の諸僕に著れ、爾の光榮は其諸子に著れん。
ハリストス神よ、アダムの貧しくなりしに因りて爾は甘じて貧しくなり、童貞女より身を取りて地に來り、我等を敵の奴隷より救はん爲に釘殺を受け給へり。主よ、光榮は爾に歸す。
句 願はくは主吾が神の惠は我等に在らん、願はくは我が手の工作を我等に助け給へ、我が手の工作を助け給へ。
致命者讚詞 嗚呼受難者致命者よ、爾等はハリストスの爲に死に至るまで苦を受けしに因りて、爾等の靈は天に神の手に在り、爾等の不朽の體は全世界に尊まれ、諸司祭諸王は之に伏拜し、我等人人皆悅びて同心に呼ぶ、聖人の寢は主の目の前に貴し。
光榮、今も、十字架生神女讚詞 無玷なる牝羊は其羔の甘じて人の如く屠の爲に牽かるるを見て、哭きて云へり、ハリストスよ、爾を生みし我を爾は今子なき者と爲す、衆人の救主よ、何ぞ斯く爲したる。然れども人を愛する主よ、我は智慧及び言に超ゆる爾の至大なる仁慈を歌頌讚榮す。
次ぎて「至上者よ、主を讚榮し」、聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞、聯禱、第一時課、常例の聖詠、及び發放詞。
金曜日の聖体礼儀に
金曜日の眞福詞、第二調。
我等爾に盜賊の聲を奉りて祈る、主よ、爾の國に於て我等を憶ひ給へ。
句 義の爲に窘逐せらるる者は福なり、天國は彼等の有なればなり。
恒忍なる主宰よ、爾は甘じて棘の冠を冠りて惡の棘を根より絕し給へり。
句 人我の爲に爾等を詬り、窘逐し、爾等の事を僞りて諸の惡しき言を言はん時は、爾等福なり。
罪なき者よ、爾は髑髏の處に釘せられて、凶惡者の首を碎き、衆人を救ひ給へり。
句 喜び樂しめよ、天には爾等の賞多ければなり。
致命者よ、爾等は毁られて、敵の一切の力を毁り、勝利の榮冠を受け給へり。
光榮 我等信者は神聖なる血の濺ぐを以て光照せられて、三位の中に惟一の神性を尊む。
今も 純潔なる者はハリストスが羔の如く木に懸けられしを覩て、泣き號びて彼を讚榮せり。
金曜日の晩課
「スボタ」の奉事の始及び晩課と早課との式。此等に關する規定は皆第一調に載す。
「主よ爾に籲ぶ」に聖致命者と成聖者と克肖者との讚頌。第二調。
句 主よ、若し爾不法を糾さば、主よ、孰か能く立たん、然れども爾に赦あり、人の爾の前に敬まん爲なり。
至りて讚美たる致命者よ、爾等は肉體を傷つくるに任せ、烈しき苦難と苦しき死とを忍びて、窘逐者を辱かしめ、實に偶像の尊きを滅して、ハリストス惟一の神及び主宰を傳へたり。光榮なる榮冠者よ、今爾等は天使の品位と偕に彼の前に立ち給ふ。
句 我主を望み、我が靈主を望み、我彼の言を恃む。
又上の讚頌、「至りて讚たる致命者よ」、を誦す。
句 我が靈主を待つこと、番人の旦を待ち、番人の旦を待つより甚し。
福たる者よ、爾等は地に現れし言の聖なる傳道師と爲りて、衆人に敬虔を敎へ、神聖なる正敎を述べて、異端を遠くハリストスの敎會より逐へり。故に聖三者の聖務者として衆を永遠の生命の居處に入れ給へ。
又致命者の讚頌。同調。
句 願はくはイズライリは主を恃まん、蓋憐は主にあり、大なる贖も彼にあり、彼はイズライリを其悉くの不法より贖はん。
受難者よ、爾等は地上の樂を愛せずして、天上の福樂を獲、諸天使の同住者と爲れり。主よ、彼等の祈禱に由りて我等を憐みて救ひ給へ。
句 萬民よ、主を讚め揚げよ、萬族よ、彼を崇め讚めよ。
聖致命者の我等の爲に祈りてハリストスを歌ふに、凡の迷謬は熄み、人の族は信を以て救はる。
句 蓋彼が我等に施す憐は大なり、主の眞實は永く存す。
致命者の會は窘逐者に敵して曰へり、我等は萬軍の王の兵士なり、爾等火及び種種の苦に我等を付すとも、聖三者の力を諱まざらん。
光榮、今も、生神女讚詞
恩寵來りて、法律の影は去れり。蓋燃ゆる棘の焚けざりし如く、童貞女は生みし後も永く童貞女なり。焰の柱の代に義の日は出でて光る、モイセイの代に我が靈の救者ハリストスは現れたり。
次ぎて「穩なる光」。本日の提綱、我が神我を憐む者は我に先だたん。
句 我が神よ、我を我が敵より援け、我を攻むる者より護り給へ。次に「主よ、我等を守り、罪なくして此の晩」。
挿句に讚頌、第二調。
聖なる者よ、爾等が信を以て得たる光榮は大なり、蓋唯苦の中に敵に勝ちしのみならず、死せし後にも惡鬼を逐ひ、病者を醫す。靈體の醫師よ、主に我等の靈を憐まんことを祈り給へ。
句 主よ、爾が選び近づけし者は福なり。
死者の讚頌
ハリストス神よ、花の凋むが如く、影の過ぎ去るが如く、凡の人は壞らる、然れども箛の鳴らん時、地震ひ、死者皆興きて爾を迎へん。主宰よ、其時我等より遷しし爾の諸僕の靈を爾の聖なる住處に入れ給へ。
句 彼等の靈は福に居らん。
死者の讚頌
嗚呼靈が體に別るる時、苦勞如何許ぞ、噫嘻斯の時、涕を流すこと幾何ぞ、唯之を憐む者なし、天使等に目を擧ぐるも祈るに驗なく、人人に手を伸ぶるも扶くる者なし。故に我が愛すべき兄弟よ、我等の生の短きを念ひて、世を逝りし者に安息を、我等の靈に大なる憐を賜はんことをハリストスに求むべし。
光榮、今も、生神女讚詞 生神童貞女よ、爾の諸僕を災禍より救ひ給へ、我等皆爾を破られぬ墻及び轉達として、神の次に爾に趨り附けばなり。
次ぎて「主宰よ、今爾の言に循ひて」。聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞。及び發放詞。
金曜日の晩堂課
至聖なる生神女に奉る祈禱の規程。第二調。
第一歌頌
イルモス 人人よ、來りて海を分ちて、エギペトの奴隷より引き出しし民を過らせしハリストス神に歌を歌はん、彼光榮を顯したればなり。
生命の首及び主を生みし潔き童貞女母よ、爾は生命の泉と爲りて、信を以て爾を讚揚する衆人の生命を潤し給ふ。
無垢無玷なる童貞女よ、我等爾を生神女と承け認むる者は爾を保固及び慈憐なる轉達者として獲て、生命の暴風より救はる。
光榮 不死の生命を生みし獨神の恩寵を蒙れる少女よ、諸慾に傷つけられし我を醫して、永遠の火より脫れしめ給へ。
今も 信者の避所、爾に趨り附く者の有能の扶助たる永貞童女よ、我等を凡の危難及び敵の侵害より救ひ給へ。
第三歌頌
イルモス 木を以て罪を殺しし主よ、我等を爾の中に堅めて、爾を畏るる畏を我等、爾を歌ふ者の心に植ゑ給へ。
童貞女よ、我等爾を實に黃金の香爐、「マンナ」の壺、神聖なる山、神の美しき宮と稱ふ。
言の殿及び聖にせられし居處たる至聖なる生神童貞女よ、常に我が爲に諸罪の潔淨と爲り給へ。
光榮 生神女よ、地上の者の舌も、無形の者の智慧も爾の產を述ぶる能はず、爾は天性及び智慧に超えて造成主を生みたればなり。
今も 生神童貞女よ、信を以て爾に趨り附きて、爾を神の母と承け認むる者の爲に保固と避所及び庇覆と爲り給へ。
第四歌頌
イルモス 人を愛する主よ、我爾の光榮なる攝理を聞きて、爾の悟り難き能力を讚榮せり。
生神女よ、我等ハリスティアニン等は爾を大なる援助として獲たり。我等を甚しき患難より脫れしめ給へ。
婚姻に與らざる女宰、神を胎内に孕みし者よ、我等衆を葘害及び憂患より救ひ給へ。
光榮 潔き生神女よ、我等信者は爾を敵の侵害に於て壞られぬ墻及び有能なる憑恃として獲たり。
今も 女宰よ、我等は爾の祈禱を堅固なる基として獲て、諸の憂患より援けらる。
第五歌頌
イルモス 光を賜ひ、世世を造りし主よ、爾の誡の光の中に我等を導き給へ、我等爾の外に他の神を識らざればなり。
神の母よ、我等信者は爾より種なく身を取りて生れし子の眞の神及び實性の人なるを知れり。故に爾を讚榮す。
至淨なる童貞女よ、我等信者は信を以て常に爾の庇覆及び保護の下に趨り附きて、爾に依りて凡の敵の侵害より救はる。
光榮 至淨なる童貞女よ、我等を誘惑と擾れたる意思、凡の怒と凡の罪、饑饉と疫病、及び永遠の苦より脫れしめ給へ。
今も 我等の轉達者と拯救と恃賴なるハリスティアニン等の女宰、讚美たる童貞女よ、愛を以て常に忠信に爾を歌頌する者を救ひ給へ。
第六歌頌
イルモス 我罪の淵に溺れて、爾が憐の量り難き淵に呼ぶ、神よ、我を淪滅より引き上げ給へ。
己の旨を以て萬物を造りし主は其旨を以て婚姻に與らざる者の胎内に入りて、朽壞を以て病める者を、慈憐なるに因りて、不朽にて富まし給へり。
純潔なる者よ、爾は天上の軍より上にして聖なり、容れられぬ言を性に超えて爾の胎内に容れたればなり。
光榮 女宰よ、我生命の道に迷ひて、屢罪の無道に入る者を、痛悔の道に向はしめ給へ。
今も 潔き女宰よ、我等爾に恃賴を負はせし爾の諸僕の祈禱を棄つる勿れ、爾は靈の爲に避所及び潔淨なればなり。
次ぎて主憐めよ、三次、光榮、今も、
坐誦讚詞、第二調。
生神女よ、爾は種なく言を孕みて、新なる嬰兒、惟一の子ハリストス、爾の造成主を生み給へり。故に我等爾を崇め讚む。
第七歌頌
イルモス 黃金の偶像がデイルの野に奉事せられし時、爾の三人の少者は神に逆ふ命を顧みずして、火の中に投げられ、凉しくせられて歌へり、我が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
神の恩寵を蒙れる女宰よ、爾は至聖神の力に因りて、神父と一性なる子、身を取りし者を生み給へり。彼に絕えず祈りて、身にて神を生みし者は崇め讚めらると歌ふ我等に慈憐を垂れ給はんことを求め給へ。
墮落する者の更新、罪を犯す者の拯救たる婚姻に與らざる至淨至聖なる童貞女よ、我放蕩の者を救へ、爾の子に、身にて神を生みし者は崇め讚めらると呼ぶ者を救ひ給へ。
光榮 禍に遭ひ、憂に苦しむ者の爲に堅固なる避所、威嚴なる轉達者、壞られぬ墻たる生神女よ、爾の子に奉る祈禱を以て爾の諸僕を多種の誘惑より救ひ給へ。
今も 信者の惟一の恃賴及び佑助なる神の母よ、哀に沈められ、諸方より攻められ、諸病を患ふる爾の諸僕、靈の愛を以て爾に趨り附く者を急ぎて助け給へ。
第八歌頌
イルモス 火の爐の中にエウレイの少者に降りて、焰を露に變ぜし神を、造物は主として歌ひて、萬世に崇め讚めよ。
生命の水を生みし者として實の生活の泉たる生神童貞女よ、罪の焰に焚かれたる吾が靈に露を注ぎ給へ、我が爾を萬世に崇め讚めん爲なり。
生命の首ハリストス我が神を生みし惟一の女宰、崇め讚めらるる潔き童貞女よ、殺されて死及び朽壞の塵に下されたる者を爾起し給へり。
光榮 潔き女宰よ、我を永遠の火及び定罪より脫れしめ、我を惡を爲す人人、我を躓かしめんと謀る者より援け給へ、我が常に爾萬物に讚美せらるる者を敬虔に讚美せん爲なり。
今も 潔き童貞女よ、至上の神は爾より身の形を受けたる者として見られたり。彼に我等惡の中に棲みて永遠の苦に慄く者を憐まんことを絕えず祈り給へ。
第九歌頌
イルモス 食に緣りて甚しく朽壞に陷りしアダムを、言ひ難き智慧を以て改めん爲に神より來りし神言、我等の爲に測り難く聖なる童貞女より身を取りし主を、我等信者は同心に歌を以て崇め讚む。
爾より身を取りし仁慈なる神を言ひ難く生みたる惟一の少女よ、我を神聖なる仁慈を蒙るに勝ふる者と爲して、愛を以て爾を讚榮する者を將來の焰及び凡の苦より脫れしめ給へ。
讚美たる者よ、我等皆獨爾を堅固なる轉達者と恃賴、垣墻と基址、確なる庇覆と破られぬ城、穩なる港と堅き避所として得て救はる。
光榮 光を生みし童貞女、讚美たる女宰よ、吾が靈の雲を拂ひて、我に救を爲す仁愛、言ひ難く爾の至聖なる腹より輝き出でて萬民を照しし者を明に見るを得しめ給へ。
今も 神聖なる光を生みし少女よ、諸慾の多くの侵害と惡敵の謀とに昧まされたる吾が心を照し給へ。童貞女よ、我を罪の汚より潔むる淚の點滴を常に我に與へ給へ。
次ぎて「常に福にして」、及び躬拜。聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞、及び其他常例の如し、幷に發放詞。
土曜日(スボタ)
「スボタ」の早課
第一の誦文の後に致命者の坐誦讚詞、第二調。
聖人等は世に在りて爾雲を以て天を覆ふ主を己の衣と爲して、不法者より受くる苦を忍び、偶像の迷を空しくせり。救世主よ、彼等の祈禱に由りて、我等をも見えざる敵より脫れしめて救ひ給へ。
句 神よ、爾は爾の聖所に於て嚴なり。
使徒、致命者及び預言者、成聖者、克肖者及び義人等、善き戰を戰ひ、信を守りし者よ、祈る、爾等は救世主の前に勇を有ちて、其仁慈なるに因りて、彼に我等の靈の救はれんことを祈り給へ。
句 彼等の靈は福に居らん。
神として死せし者及び生ける者を其權内に有ち給ふ生命を施す仁愛の主よ、爾の諸僕の禱を納れ、爾の慈憐を顯して、爾が遷しし靈、爾を賴める者に赦免を與へ給へ、爾は仁慈にして至善なる主なればなり。
光榮、今も、生神女讚詞 生神女よ、爾の奧義は皆智慧に超ゆ、皆至榮なり。貞潔の封ぜられ、童貞の守らるるに、爾は實の母と知られて、眞の神を生み給へり。彼に我等の靈の救はれんことを祈り給へ。
第二の誦文の後に坐誦讚詞、第二調。
ハリストス神よ、爾は至善なる主として、爾の聖者を黃金よりも耀く者と爲し、爾の克肖者の榮を顯せり。仁慈なる主として、彼等の祈禱を納れて、我等の生命を平安ならしめ給へ。獨聖者の中に休ふ主よ、我等の禱を香爐の香の如く升らしめ給へ。
句 神よ、爾は爾の聖所に於て嚴なり。
主の受難者よ、爾等の血を呑みし地は福なり、爾等の體を受けし殿は聖なり、蓋爾等は審判に於て敵を辱め、ハリストスを勇ましく傳へたり。祈る、其至善の主なるに因りて彼に我等の靈の救はれんことを求め給へ。
句 主よ、爾が選び近づけし者は福なり。
主よ、爾至仁なるに因りて爾の諸僕の靈を記念して、其生涯犯しし罪を悉く赦し給へ。蓋罪なき者あらず、唯爾は罪なし、且爾は遷されし者に安息を與ふることを能するなり。
光榮、今も、生神女讚詞 贖罪主及び救世主ハリストスを生みし生神童貞女マリヤよ、彼の仁慈に、諸使徒、致命者、預言者、克肖者、及び神品致命者と偕に祈りて、我等に諸罪の潔淨及び大なる憐を賜はんことを求め給へ。
聖致命者、成聖者、克肖者、及び死者の規程、其冠詞は、神の諸僕近者に讚美を歸す。イオシフ師の作。第二調。
第一歌頌
イルモス 靈よ、モイセイの歌を採りて籲べ、佑け護る者顯れて、我が救と爲れり、彼は吾が神なり、我彼を讚め揚げん。
致命者の
受難者よ、爾等は恒忍を以て甚しき窘逐及び烈しき創痍を受けて、神聖なる力を以て地の四極より凡の迷を逐ひ拂へり。
成聖者の
神の聖務者及び成聖者、神゜靈の光にて明に輝き、敬虔に滿てられたる者は衆人を敬虔の光に導き給ふ。
克肖者の
克肖者は傲慢なる智慧を卑くして、善なる地に至り、神の恩寵に擧げられて、常に悉くの謙卑の者を助け給ふ。
死者の
光榮 至仁なる我が神よ、爾が暫時の生命より遷しし爾の信なる諸僕を、至りて輝ける光及び永遠の樂に與る者と爲し給へ。
生神女讚詞 神の母よ、禁食勤勞して、恒忍を以て惡敵に勝ちし尊貴なる女等は喜びて爾の前に立ち給ふ。
又死者の規程、月課經の規程なき時に序を逐ひて之を歌ふ。其冠詞は、死せし者に第二の歌を綴る。第二調。
第一歌頌
イルモス 己の神聖なる命を以て涉られぬ、濤たつ海を涸らし、イズライリ民を導きて慿せしめし主に歌はん、彼嚴に光榮を顯したればなり。
附唱 神よ、爾は爾の聖所に於て嚴なり。
仁慈なる主よ、爾は己の死を以て死を蹈み破りて、神聖なる生命の常住を流し給へり。之を寢りし者の靈に予へて、爾の致命者の祈禱に由りて彼等の諸罪を赦し給へ。
附唱 主よ、寢りし爾の諸僕の靈を安ぜしめ給へ。
常に敬虔を懷きて爾を承くる者に絕えず豐なる慈憐を流す主宰ハリストスよ、爾の家、爾の奇異なる幕に於て爾の諸僕に安息の處を與へ給へ、爾は慈憐の主なればなり。
光榮 ハリストスよ、爾は有能を以て死に勝ちて、之を縛り、人類を之より救ひ給へり。今も慈憐なるに因りて、寢りし者を其囹圄より脫れしめて、彼等を爾の光に與る者と爲し給へ。
今も 神の母女宰よ、我が動ける靈を堅めて、之に爾の聖にせられし腹より生れて、地獄の昏き國を滅しし主の神聖なる誡を行はしめ給へ。
第三歌頌
イルモス 諸善を耕作し、諸德を培養する神よ、爾の慈憐に因りて、實を結ばざる我が智慧を實を結ぶ者と顯し給へ。
嗚呼受難者よ、爾等はハリストスを愛する愛の火に燃されて、全能なる聖神の灌ぐを以て苦の火燄を滅し給へり。
ハリストスの至聖なる成聖者及び克肖者の尊貴なる會よ、我等衆の爲に人を愛する神に祈り給へ。
神聖なる預言者の聖にせられし會は崇められ、忍耐して苦を受けし女の大數は光榮を獲たり。
光榮 ハリストスよ、爾は十字架に殺されて、死者に不死を賜へり、之を信を以て世を去りて爾に逝きし者に獲しめ給へ。
今も 童貞女よ、爾より生れし神に、諸預言者及び聖なる女等と偕に、今熱切に我等に慈憐を垂れんことを祈り給へ。
又
イルモス 爾我を信の石に堅く立て、我が口を啓きて我が敵に對はしめ給へり。蓋我が神゜は樂しみて歌へり、吾が神と侔しく聖なるはなく、主よ、爾の外に義なるはなし。
慈憐に富める主よ、信に於て寢りし者を爾の致命者と偕に爾の華美の光明にて照さるるを得しめ給へ。蓋主よ、爾は我等の神にして、爾の外に義なるはなし。
慈憐なる主よ、爾の諸僕をして安息の處に、爾の選びたるアウラアムの懷に居るを得しめ給へ。蓋彼等は爾に呼ぶ、主よ、爾は我等の神にして、爾の外に義なるはなし。
光榮 獨一仁愛なる主宰よ、爾の旨を以て暫時の生命より遷しし爾の諸僕、燈を執れる者を天上の宮に、彼處に入りし智き處女と偕に居るを得しめ給へ。
今も 至淨なる者よ、爾は生を施す主を生みて、我殺されて土に歸されたる者を興して、至りて下なる地獄より上せ給へり。故に我信を以て爾生神女を讚榮し、爾讚美たる者を崇め讚む。
第四歌頌
イルモス 預言者は爾が童貞女より生るるを預見して、傳へて呼べり、ハリストスよ、我爾の風聲を聞きて懼れたり、蓋爾は南より、樹蔭繁き聖山より來給へり。
至榮なる受難者よ、爾等は善くハリストスの苦に效ひて多種の苦に身を委ね、喜びて永遠の報に目を注げり、爾等は此を受けて常に讚美せらる。
司祭諸長は神゜の法を守りて、睿智を以て人人を牧し、至りて巧なる舵師として彼等を神聖なる港に導き、自も世俗の累より移りて、平安の生命に至れり。
神父等よ、爾等は地に在りて己を寄寓者と爲し、常に天を望みて生を度り、禁食の勞を以てハリストスの力に依りて肉慾を制し給へり。
主宰言よ、爾が暫時の生命より移しし大數の人人、正敎を守りて爾に奉事せし者を救はるる衆の數に加へて、永遠の生命を獲しめ給へ。
光榮 至淨なる女宰神の母よ、尊き女等は神聖なる死の狀を佩び、實に終なき生命を慕ひて、爾に依りて之を得て、我等の爲に爾の子及び神に祈る。
生神女讚詞 生神女よ、預言者アウワクムは爾諸德にて飾られたる者を樹蔭繁き山として見たり、神は言ひ難く是より現れて、其德を以て天を覆ひ、人の族を朽壞より救ひ給へり。
又
イルモス 主よ、我爾を歌ふ、蓋風聲を聞きて懼れたり、爾は我迷へる者を尋ねて、我にまで至ればなり。故に慈憐深き主よ、我に於ける爾の大なる寬容を讚榮す。
ハリストスよ、信と愛と正敎の智慧とを以て世を度りし爾の諸僕に、爾の深き仁愛と選ばれたる致命者の祈禱とに因りて、智慧に超ゆる爾の光榮を蒙らしめ給へ。
主ハリトスよ、爾は甘味の絕えず流るる泉を有ちて、選ばれたる者に常に之を飮ましむ、彼等と偕に今も爾に移されたる者に爾の言ひ難き慈憐に因りて之を飮むを得しめ給へ。
光榮 主宰よ、爾は生ける者を主る、死せし者も爾の權内に在り、地に還りて塵と爲りし者を爾は己の力を以て復活せしむ。故に救世主よ、爾に遷りし者を爾の庭に居らしめ給へ。
今も 神を生みし者、惟一の母童貞女よ、爾はエワの傷を醫し、古の困苦を除けり、蓋罪過に由りて墮落せし我等を改むることを能する造成主を生み給へり。
第五歌頌
イルモス 我が救世主よ、我が靈の黑暗を掃ひて、爾の誡の光にて我を照し給へ、爾獨平安の王なればなり。
慈憐の主よ、勇敢なる受難者は爾を愛して、一切世俗の事を惡み、己を棄てて、身を苦に委ねたり。
成聖者、預言者、克肖なる捧神者よ、爾等は神゜靈の光線を以て世界を照して、諸慾の暗を除き給ふ。
克肖なる神父、預言者、司祭諸長、及び常に光榮なる女等は爾萬有の主宰に我等の爲に熱切に祈る。
光榮 言よ、爾に祈る、我等より受けし者を爾の選びたる者の會に加へて、天上の生命に與る者と爲し給へ。
今も 致命者と克肖者と義人等との譽なる至りて潔き童貞女母よ、我等を凶惡者の凡の毒害より脫れしめ給へ。
又
イルモス 光を賜ひ、世世を造りし主よ、爾の誡の光の中に我等を導き給へ、我等爾の外に他の神を識らざればなり。
仁慈なる主よ、爾は我等殺されて、朽壞の中に入れられし者を地獄の暗き囹圄より出し、上せて聖なる天使の軍に合せ給へり。
我等を救はん爲に來りしハリストスよ、今敬虔を抱きて爾に遷されし者を受けて、獨仁慈の主なるに因りて、之をアウラアムの懷にラザリと偕に居らしめ給へ。
光榮 主宰よ、爾は曩に和睦の媒及び轉達者と爲りて、我が多年の永き不和を釋き給へり、今も爾の諸僕を宥めて安息せしめ給へ。
今も 神の母よ、爾を賴む者は爾の帲幪の下に救はる、蓋爾は我等の爲に生命を施す主、其旨に由りて萬衆を生かす者を生み給へり。
第六歌頌
イルモス 救世主よ、我罪の深處に圍まれ、世俗の淵に沈めらる。求む、イオナを猛獸より救ひし如く、我をも諸慾より引き上げて救ひ給へ。
受難者は堅固なる心を以て敵と戰ひて、之を殪し、神より勝利の榮冠を受けて、今地に生るる衆人の爲に熱切に祈る。
我等は忠信に神の成聖者を尊み、彼の克肖者を讚美せん、蓋彼等の祈禱に因りて、凡の忿怒、憂愁、及び敵の惡謀より救はる。
女の神聖なる會は苦を受け、禁食を以て神の悅を得て、天國を繼ぎたり。神よ、彼等の祈禱に因りて爾の世界を宥め給へ。
光榮 人を土より造りしハリストス、生命を施す主よ、我等より移しし者を安ぜしめて、彼等に罪惡の赦を與へ給へ、爾は慈憐にして人を愛する主なればなり。
今も 讚美たる聖生神女よ、我等の志念を聖にし、智慧を堅め、爾を讚榮讚頌する我等を凶惡者の矢に傷つけられぬ者として護り給へ。
又
イルモス 我罪の淵に溺れて、爾が憐の量り難き淵に呼ぶ、神よ、我を淪滅より引き上げ給へ。
人を愛する主よ、地より移しし者を爾の全能の旨を以て言ひ難き神聖なる光照、致命者の會の在る處に入らしめ給へ。二次。
光榮 主宰よ、斯の世を離れたる者を爾の言ひ難き光に移りし者と爲し、之を安息せしめて、爾の光榮の華美に照さるるを得しめ給へ。
今も 生と死とを司る神を生みし至淨なる女宰よ、熱心に爾に呼ぶ衆を助くる者と爲り給へ。
第七歌頌
イルモス 少者は爐の中にヘルワィムに效ひて、祝ひて呼べり、神よ、爾は崇め讚めらる、蓋眞實と義判とに緣りて、悉く之を我等の諸罪の爲に降せり、爾は萬世に歌はれ、讚め揚げらる。
聖なる者は我等の罪の爲に苦を受けし神を實に愛するに因りて、凡の烈しき苦の誘惑を忍びて、忍耐を以て敵を斃せり。言よ、彼等の祈禱に由りて、我等衆、爾を讚榮する者を諸の誘惑及び葘害より救ひ給へ。
輝ける成聖者、克肖者、及び預言者、神品致命者の光榮なる大數、苦難と禁食とを以て雄雄しく輝きし聖なる女の聖にせられし會よ、常に我等の爲に神に禱を奉りて、我等を憐まんことを求め給へ。
ハリストス恩主よ、致命者の大數の祈禱に因りて、我滅びし者を諸の憂愁、葘害、烈しき誘惑、悉くの罪、及び苦惱より救ひ給へ。
光榮 人を愛するハリストスよ、疾病と歎息と悲哀との遠ざかれる處、爾の顏の光の輝く處、聖人の會の今樂しむ處に、爾に移りし衆人の靈を入れて、爾獨慈憐なる主として彼等の悉くの罪過を問ふこと勿れ。
今も 至淨なる者よ、致命者と、克肖なる神父と、諸預言者及び聖なる女等と偕に獨聖者の中に息ひ給ふ主に祈りて、我等衆聖なる聲を以て萬世に爾を讚榮する者を聖にせんことを求め給へ。
又
イルモス 不法なる虐者の神に戾る命令は高き焰を起したれども、讚め歌はるるハリストスは敬虔の少者に屬神の露を降し給へり。
在らざる所なき主よ、爾は昔誘はれたる人類を救はん爲に降り給へり。故に致命者は爾に祈る、救世主よ、地より移しし者を溫柔なる者の地に安息せしめ給へ。
獨死者の中に自由たりしハリストスよ、爾は死の權を滅し給へり。主宰よ、今も罪に由る死より爾の諸僕を救ひて、彼等を爾の國を嗣ぐ者と爲し給へ。
光榮 ハリストスよ、爾の多くの言ひ難き慈憐及び爾の仁愛の無量の淵に由りて、移されし者に諸罪の赦を與へて、爾の恩寵にて彼等を潔められし者と顯し給へ。
今も 神の恩寵を蒙れる童貞女よ、爾は神聖なる光榮の燈と爲れり、神゜と肉とを以て我等に現れて、其神性の光にて地獄の暗を除きし主の輝煌を顯したればなり。
第八歌頌
イルモス 昔シナイ山に於て棘の中にモイセイに童貞女の奇跡を預め示しし者を尊み歌ひ、崇め讚めて、萬世に讚め揚げよ。
主の受難者よ、爾等の血の灌注は萬物を聖にし、迷惑の流を涸らし、信者の靈を豐に潤せり。
禁食者の群、成聖者、聖なる女、及び光榮なる預言者の會は、地上に神゜を以て天使の如く生を度りて、諸天使と同尊なる者と現れたり。
主の受難者、司祭諸長、諸預言者、大數の克肖者及び聖なる女よ、我等衆爾等を崇め讚むる者を敵の矢より脫れしめ給へ。
光榮 救世主よ、爾が我等より受けし者をアウラアムの懷に居らしめ、悉くの選びたる者と偕に安息せしめて、彼等衆に諸罪の赦を與へ給へ、爾は至りて慈憐なる主なればなり。
今も 潔き神の母よ、聖なる諸預言者、致命者、克肖者、聖なる女及び神品致命者と偕に救世主に我等を宥めんことを祈り給へ。
又
イルモス 昔ワワィロンの火の爐は神の命によりて其勢を分ち、ハルデイを焦して、信者を凉しくせり、主の悉くの造物は主を崇め讚めよと歌へばなり。
爾は不死の者として、地獄に下るを以て我等に諸敵の死を顯し、神聖なる力を以て、不死の主よ、爾は永生の門を啓き給へり。爾の致命者は宜しきに合ひて今此に入るを得たり。
主宰よ、爾は人を愛する者として移されし者の耻づべき罪惡を潔めて、彼等に爾の神゜靈の華美を樂しむを得しめ給へ、爾獨罪に與からざる者と顯れたればなり。
光榮 ハリストスよ、爾は死の塵に陷りし我等を改めて、爾の死を以て生命と、永生の糧と、永遠の悅とを賜へり。之を今移されし者に得しめ給へ、爾は慈憐なる主なればなり。
今も 神の母よ、爾の產の奧密は大にして畏るべし、蓋爾は神を生み給へり、死は彼に勝へざりき、墓は留めざりき。故に至淨なる者よ、我等萬族は爾を讚榮す。
第九歌頌
イルモス 我等信者は、父より永遠に光れる言を身にて測り難く孕みし者を、息めざる歌を以て崇め讚む。
受難者よ、爾等は苦に對して堅固、敵に對して有能なる者と顯れて、法に遵ひて苦を受け、勝利を獲て、神より榮冠を冠らせられたり。
至榮なる司祭諸長よ、爾等は神の聖務者として、善き牧者に效ひて、克く其羊群を牧し給へり。
我等は克肖者、禁食者、及び聖にせられし預言者、竝に苦を受け、禁食を以て敵を斃しし女の大數を尊まん。
光榮 ハリストスよ、爾の聖者の至榮なる大數は絕えず爾に祈る、主よ、信に於て移しし者を永遠の生命に與る者と爲し給へ。
今も 洪恩なる神を身にて生みし潔き母童貞女よ、衆聖人と偕に彼に我等を諸難より救はんことを常に祈り給へ。
又
イルモス 日より前に光り輝きし神、肉體にて我等に臨みし者を、貞潔の腹より言ひ難く生みし讚美たる至淨き生神女よ、我等爾を崇め讚む。
生死者を己の權内に有ち給ふ生命の首たる主宰よ、地より爾に移りし者に天の嗣業、及び爾の聖者と至榮なる受難者との光照を與へ給へ。
昔我に存在を與へ、後又更に善き存在を賜ひし生命の首たる言よ、慈憐なる主として、移りし爾の諸僕を太祖アウラアムの慕ふべき懷に居らしめ給へ。
光榮 我が救世主よ、爾は全く甘味及び光明、全く飽かされぬ望なり。絕えず爾を讚榮して寢りし者に爾の永生の糧を與へ、赦罪の水を飮ましめ給へ。
今も 生神女よ、我等信者は神より感ぜられたる爾の言に從ひて、今宜しきに合ひて爾を讚美す、蓋童貞女母よ、爾は獨地上の者の爲に死の力を破りし神を生み給へり。
次ぎて「常に福にして」、小聯禱、本日の光耀歌、及び常例の聖詠。
「凡そ呼吸ある者」に致命者の讚頌、第二調。
嗚呼受難者致命者よ、爾等はハリストスの爲に死に至るまで苦を受けしに因りて、爾等の靈は天に神の手に在り、爾等の不朽の體は全世界に尊まれ、諸司祭諸王は之に伏拜し、我等人人皆悅びて同心に呼ぶ、聖人の寢は主の目の前に貴し。
嗚呼受難者致命者よ、凡の城邑と地方とは爾等の不朽の體を尊む、蓋爾等は法に遵ひて苦を忍びて、天の榮冠を受けたり。故に爾等は成聖者の譽、諸王の勝利、諸敎會の裝飾なり。
聖なる致命者はハリストスの十字架を勝たれぬ武器と執りて、惡魔の力を悉く滅し、天の榮冠を承けて、我等の爲に垣墻と爲りて、常に我等の爲に祈り給ふ。
死者の讚頌 嗚呼靈が體に別るる時、苦勞如何許ぞ、噫嘻斯の時、涕を流すこと幾何ぞ、唯之を憐む者なし、天使等に目を擧ぐるも祈るに驗なく、人人に手を伸ぶるも扶くる者なし。故に我が愛すべき兄弟よ、我等の生の短きを念ひて、世を逝りし者に安息を、我等の靈に大なる憐を賜はんことをハリストスに求むべし。
光榮、今も、生神女讚詞 來りて、皆默さざる歌を以て光の母を讚榮せん、彼は我等の救を生みたればなり、彼獨、萬有より上なる主、世の先より在す神を生みし者に慶べよを獻げん。陷りしエワを興しし者よ、慶べ、婚姻に與からざる至淨なる童貞女よ、慶べ。
挿句に死者の讚頌、第二調。
主宰よ、爾は生命を施す爾の死を以て死の力と朽壞とを滅し、衆に永遠の生命を流し、地上の死者に復活を賜へり。故に我等爾に祈る、人を愛する救世主よ、信を以て爾に移りし者を安ぜしめて、之に爾の不朽の光榮を獲しめ給へ。
句 主よ、爾が選び近づけし者は福なり。
ハリストスよ、爾は人人を爾の神聖なる國に與る者と爲さん爲に十字架に釘せらるるを忍び、甘じて死を受け給へり。故に我等爾に祈る、人を愛する主よ、爾の慈憐に由りて、信を以て爾に移りし者を爾の國に與る者と爲して、甘味なる華美を樂しましめ給へ。
句 彼等の靈は福に居らん。
至仁なる主よ、爾は己の造物を救はんと欲して、喜びて爾の定制の實に畏るべき奧密を行ひ、爾の尊貴なる血の價を以て全世界を贖ひ給へり。故に我等祈る、信を以て爾に移りし者に衆聖人と偕に救を得しめ給へ。
句 彼等の記憶は世世に在らん。
ハリストスよ、古世よりの死者は慄きて爾の畏るべき審判座の前に立ち、爾の義なる審判を待ちて、神聖なる擬定を受く。救世主よ、其時信を以て爾に移りし爾の諸僕を聖者の會及び言ひ難き歡喜の在る處に安ぜしめ給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 神の聘女、女宰よ、我が靈が肉體の縛を解きて此の世の生命より離れん時、我の保護と爲りて、無形の敵の謀を破り、其殘酷に我を囓まんと欲する口を摧き給へ、我が留められずして空中に立てる黑暗の君を過ぎん爲なり。
次ぎて「至上者よ、主を讚榮し」、及び其他。第一時課幷に發放詞。
「スボタ」の聖体礼儀に
「スボタ」の眞福詞、第二調。
我等爾に盜賊の聲を奉りて祈る、主よ、爾の國に於て我等を憶ひ給へ。
句 義の爲に窘逐せらるる者は福なり、天國は彼等の有なればなり。
ハリストスの苦に效ひし致命者よ、爾等は常に人人の諸の苦を醫し給ふ。
句 人我の爲に爾等を詬り、窘逐し、爾等の事を僞りて諸の惡しき言を言はん時は、爾等福なり。
預言者と偕に使徒、克肖者と偕に聖敎師等は善く萬有の造成主の悅を得たり。
句 喜び樂しめよ、天には爾等の賞多ければなり。
人を愛する主よ、祈る、信を以て世を逝りし爾の悉くの僕を爾の衆聖人と偕に居らしめ給へ。
光榮 嗚呼永在の聖三者よ、爾を尊む衆人を宥めて、常に之を敵の誘惑及び罟より脫れしめ給へ。
今も 純潔なる者よ、我等の禱を顧みて、爾の諸僕を諸の災禍及び憂愁より救ひ給へ。
第二調 終
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