- 土曜日(スボタ)
- 「スボタ」の小晩課
- 「スボタ」の大晩課
- 「スボタ」の晩堂課
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- 「アリルイヤ」を歌う時
- 死者祈祷礼儀
- 多燭詞ある聖人に遇う時
- 金曜日(続き)
- 金曜日の晩課
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- 土曜日(スボタ)
- 「スボタ」の早課
- 「スボタ」の聖体礼儀に
土曜日(スボタ)
「スボタ」の小晩課
「主よ、爾に籲ぶ」に四句を立てて八調經の主日の讚頌三章を歌ふ、其第一は二次、第五調。
句 我が靈主を待つこと、番人の旦を待ち、番人の旦を待つより甚し。
ハリストスよ、爾は尊き十字架にて惡魔を辱しめ、復活にて罪の螫刺を鈍くし、我等を死の門より救ひ給へり。獨生子よ、我等爾を讚榮す。
人類に復活を賜ふ主は羊の如く屠宰の爲に牽かれたり。地獄の君は之を畏れ、悲の門は擧げられたり、蓋光榮の王ハリストスは入りて、縛に在る者に出でよ、幽暗に在る者に顯れよと言へり。
大なる奇迹や、見えざる者の造成主は、人を愛するに因りて、身にて苦を受け、不死の者は復活せり。諸民諸族來りて、之に伏拜せん、蓋其惠に因りて、我等は迷より脫れて、三位にして惟一なる神を歌ふを習へり。
光榮、今も、生神女讚詞。定理歌。第五調。
我等は神に妝はれたる尊貴なる少女、ヘルワィムより至りて尊貴なる者を尊まん、蓋萬有の造成主は人と爲らんと欲して、言ひ難く其内に入り給へり。嗚呼奇異なる事、至榮なる奧密や、孰か之を聞きて驚かざらん、神は人と爲りて變易せず、童貞の門を過りて、門は元のまま閉さる、預言者の言へるが如し、人永く之を過らず、唯主イズライリの神、大なる憐を有つ者は過らん。
次ぎて「穩なる光」。其後提綱、「主は王たり」。三次。
句 主は能力を衣、又之を帶にせり。
次に「主よ、我等を守り、罪なくして此の晩」。司祭聯禱を誦せず。我等直に次の讚頌を歌ふ。
挿句に主日の讚頌、第五調。
爾身を取りたれども、天を離れざりし救世主ハリストスを歌の聲を以て讚め揚ぐ。蓋爾は人を愛する主なるによりて、我が族の爲に十字架と死とを受けて、地獄の門を破り、三日目に復活して、我等の靈を救ひ給へり。
又生神女の讚頌、第五調。
句 我爾の名を萬世に誌さしめん。
潔き少女よ、我今手を伸べて爾に向ひ、汚れたる口を祈禱の爲に啓き、心の膝を屈め、靈の中に爾の至淨なる足に觸れて、爾の前に俯伏す。爾の慈憐を以て我が諸病を醫し、我が多年の多くの治し難き傷創を醫し、我を見ゆると見えざる敵より救ひ、我が怠惰の重きを輕くし給へ、我が爾世界が大なる憐を得たる所以の者を歌ひて讚榮せん爲なり。
句 女よ、之を聽き、之を觀、爾の耳を傾けよ。
言ひ難く神の子を孕みて、之を生みし純潔なる者よ、慶べ、彼は我等の爲に實に爾の血より身を受け、智慧及び自主ある靈を有てり、蓋言ひ難き慈憐と仁慈とに因りて全くアダムを衣給へり。之に因りてハリストスは我等の爲に二性の者として現れ、己の内に兩性の行動を示し給へり。我等の靈に大なる憐を賜はんことを彼に祈り給へ。
句 民中の富める者は爾の顏を拜まん。
慶べよ、至りて讚美たる童貞女、神の選びて愛する所のイアコフの榮、救はるる者の門、火焰を執る鉗、詛の解釋、陷りし者の再興、神を宿しし腹、ヘルワィムより至聖なる者、造物に超ゆる者、仰ぎ難き顯現、新なる風聞、言ひ難き宣傳、言の車、光れる雲、之より日は輝きて、我を照し、黑暗に在る者に大なる憐を賜ふ。
光榮、今も、生神女讚詞
潔き童貞女よ、爾に於ける預言は應へり。預言者の中或者は爾を東に向ふエデムの門、爾と全世界との造成主の外に孰も過らざりし者と名づけたり。或者は火に焚かるる棘と爲せり、蓋神性の火は爾の内に在りて、爾は焚かれぬ者として止まれり。或者は聖なる山と爲せり、之より人の手に因らずして隅石は截り分けられて、無形のナウホドノソルの像を碎けり。神の母よ、爾に於ける祕密は實に大にして至榮なり。故に我等爾を讚榮す。爾に依りて我が靈の救成りたればなり。
次ぎて「主宰よ、今爾の言に循ひて」。聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞、「信者よ、父と聖神と偕に」。生神女讚詞、「通られぬ主の門よ、慶べ」。聯禱及び發放詞。

「スボタ」の大晩課
「主よ、爾に籲ぶ」に十句を立てて主日の讚頌を歌ふ、第五調。
句 我が靈を獄より引き出して、我に爾の名を讚榮せしめ給へ。
ハリストスよ、爾は尊き十字架にて惡魔を辱しめ、復活にて罪の螫刺を鈍くし、我等を死の門より救ひ給へり。獨生子よ、我等爾を讚榮す。
句 爾恩を我に賜はん時、義人は我を環らん。
人類に復活を賜ふ主は羊の如く屠宰の爲に牽かれたり。地獄の君は之を畏れ、悲の門は擧げられたり、蓋光榮の王ハリストスは入りて、縛に在る者に出でよ、幽暗に在る者に顯れよと言へり。
句 主よ、我深き處より爾に呼ぶ。主よ、我が聲を聞き給へ。
大なる奇迹や、見えざる者の造成主は、人を愛するに因りて、身にて苦を受け、不死の者は復活せり。諸民諸族來りて、之に伏拜せん、蓋其惠に因りて、我等は迷より脫れて、三位にして惟一なる神を歌ふを習へり。
又讚頌、アナトリイの作。同調。
句 願はくは爾の耳は我が禱の聲を聽き納れん。
我等暮の伏拜を爾暮れざる光に奉る、爾は世の季に、鏡に於けるが如く、身に藉りて世界に耀き、地獄にまで降り、彼處にある幽暗を破り、復活の光を諸民に顯し給へり。光を施す主よ、光榮は爾に歸す。
句 主よ、若し爾不法を糾さば、主よ、孰か能く立たん。然れども爾に赦あり、人の爾の前に敬まん爲なり。
我等はハリストス我が救の首を讚頌す、蓋彼死より復活せしに、世界は迷より救はれたり、天使の軍は歡び、惡魔の誘は去り、墜ちたるアダムは起き、ディアワォルは空しくせられたり。
句 我主を望み、我が靈主を望み、我彼の言を恃む。
番兵は不法の者より敎へられたり、ハリストスの復活を匿せ、銀を受けて云へ、我等が寢ねたる時、死者は墓より竊まれたりと。誰か之を見たる、誰か何時か死者の竊まれしを聞きたる、況や其香料を傅られ、裸體になり、歛葬の衣を墓に遺したるをや。イウデヤ人よ、惑ふ毋れ、諸預言者の言を學びて、彼が實に世界の贖罪者及び全能者なるを悟れ。
句 我が靈主を待つこと、番人の旦を待ち、番人の旦を待つより甚し。
地獄を虜にし、死を滅しし主、尊き十字架にて世界を照しし我が救世主よ、我等を憐み給へ。
又生神女の讚頌、アモレイのパワェルの作。第五調。
句 願はくはイズライリは主を恃まん、蓋憐は主にあり、大なる贖も彼にあり、彼はイズライリを其悉くの不法より贖はん。
至淨なる者よ、爾は諸造物より最高き者にして、實にヘルワィムの如き寶座と爲れり、蓋神の言は我等の像を興さんと欲して爾の内に入り、身を以て爾より出でて、我等の爲に十字架の苦を受けて、神として、我等の變ぜられたる性、曾て定罪せられし者に復活を賜へり。故に神の母よ、我等は爾の子を造成主として、彼に審判の時に我等に赦免と矜憐とを賜はんことを祈る。
句 萬民よ、主を讚め揚げよ、萬族よ、彼を崇め讚めよ。
潔き神の母よ、我何を以て爾の至榮なる敎會を稱せんか、エデムの園とせん、ノイの舟、卽神の爲に王たる司祭班、聖なる人民、ハリストス我が神の會を救ひし者とせん。爾をモイセイの約櫃に譬へん、其内に贖罪所及び華を生ぜし杖あり、燈臺、マンナの壺、及び金の香爐あり、凡の信者は之に趨り附きて、大なる憐を求め得るなり。
句 蓋彼が我等に施す憐は大なり、主の眞實は永く存す。
獨冀望を失ひし者の冀望、佑助なき者の爲に備はりたる佑助、仁慈を施す主イイススを生みし潔き者よ、今我が劣弱を憐み、我が思情に傷感を與へ、我が淚の流を以て我が罪の淵を涸らし、我が無量の慾の暴風を鎭め、我が亂れたる心を神聖なる平穩に充てて、ハリストスに我が諸罪の全き赦を賜はんことを祈り給へ。
光榮、今も、生神女讚詞
昔紅の海にて婚姻を知らざる聘女の象記されたり。彼處にはモイセイ、水を分つ者、此處にはガウリイル、奇迹に務むる者なり。彼の時イズライリは足を濡らさずして深處を步み、今童貞女は種なくしてハリストスを生めり。海はイズライリの涉りし後元のまま過られず、玷なき者はエムマヌイルを生みし後元のまま玷なし。永遠にして最永遠なる者、人となりて現れし神よ、我等を憐み給へ。
次ぎて 「穩なる光」。提綱、「主は王たり」。其他常例の如し。
挿句に主日の讚頌、第五調。
爾身を取りたれども、天を離れざりし救世主ハリストスを歌の聲を以て讚め揚ぐ。蓋爾は人を愛する主なるによりて、我が族の爲に十字架と死とを受けて、地獄の門を破り、三日目に復活して、我等の靈を救ひ給へり。
又讚頌
句 主は王たり、彼は威嚴を衣たり。
生命を施す主よ、爾は脅を刺されて、衆人の爲に赦免と、生命と、拯救とを流し、身を以て死を受けて、我等に不死を賜ひ、墓に入りて我等を釋き、神として己と偕に至榮に復活せしめ給へり。故に我等呼ぶ、人を愛する主よ、光榮は爾に歸す。
句 故に世界は堅固にして動かざらん。
人を愛する主よ、爾が十字架に釘せらるると地獄に降ることとは奇妙なり、蓋爾は地獄を虜にして、古世よりの俘囚を神として己と偕に至榮に復活せしめ、樂園を啓きて、彼等を其中に入れ給へり。故に爾の三日目の復活を讚榮する我等にも罪の洗淨を與へて、樂園に居る者と爲らしめ給へ、爾は獨仁慈なる主なればなり。
句 主よ、聖德は爾の家に屬して永遠に至らん。
我等の爲に身にて苦を受け、三日目に死より復活せし仁愛の主よ、我が肉慾を醫し、我等を甚しき諸罪より起して救ひ給へ。
光榮、今も、生神女讚詞
最尊き童貞女よ、爾は殿及び門なり、宮及び王の寶座なり。我が贖罪主ハリストス、義の日たる王は其手を以て己の像に從ひて造りし者を照さんと欲して、爾に依りて闇冥に眠る者に現れ給へり。故に讚め歌はるる者よ、彼の前に母の勇敢を獲たる者として、我等の靈の救はれんことを恒に祈り給へ。
次ぎて「主宰よ、今爾の言に循ひて」。聖三祝文。「天に在す」の後に、
讚詞、第五調。
信者よ、父と聖神と偕に始なき言、吾が救の爲に童貞女より生れし者を讚め歌ひて拜むべし、彼甘じて其身にて十字架に上り、死を忍び、其光榮の復活にて死せし者を復活せしめ給ひしに因る。
生神女讚詞 通られぬ主の門よ、慶べ、爾に趨り附く者の垣墻と帲幪よ、慶べ、穩なる湊よ、婚姻を識らずして、身にて爾の造成主及び神を生みし者よ、慶べ。爾の產を讚め歌ひて拜む者の爲に息めずして禱り給へ。
「スボタ」の晩堂課
司祭誦す、「我等の神は恒に崇め讚めらる」。我等、我等の神よ、光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。「天の王」。聖三祝文。「天に在す」の後に、主憐めよ、十二次。光榮、今も、「來れ我らの王」、三次。第五十聖詠。其他常例の如し。
其後至聖なる生神女の規程を歌ふ。第五調。
第一歌頌
イルモス 强き手にて戰を滅すハリストスは馬と騎者とを紅の海に落し、凱歌を歌ふイズライリを救ひ給へり。
附唱 至聖なる生神女よ、我等を救ひ給へ。
女宰よ、爾に宜しきに合ひて歌を捧ぐるは我等皆惑ふ、爾の光榮萬衆に超ゆればなり。然れども神の聘女よ、畏と愛とを以て爾に奉る禱を忌む勿れ。
生神童貞女よ、我等皆爾の盡きざる泉の水に趨り附きて呼ぶ、我が族の惟一の歡喜なる至りて潔き者よ、爾の諸敎會の爲に平安を求め得給へ。
光榮 潔き者よ、爾より甘じて身を取りし神は爾を患難に在る者の爲に港と定め給へり。故に我等爾に趨り附きて呼ぶ、爾の諸僕に爾の佑助を與へ給へ。
今も 至淨なる神の母、童貞女よ、願はくは爾の祈禱は爾の諸僕の爲に諸難の緩和、諸慾の洗淨、諸罪の赦免、種種の病の醫治と爲らん。
第三歌頌
イルモス 己の命にて虛しき處に地を固め、保ち難く重き者を懸けしハリストス、獨仁慈にして人を愛する主よ、爾が誡の動かざる石に爾の敎會を堅く立て給へ。
女宰・生命の母よ、爾は地に生るる者の倚賴と佑助、歡喜と帲幪、及び避所なり。故に我等爾に祈る、至淨なる者よ、凡そ爾を歌ふ者に爾の佑助を降し給へ。
仁慈なる全能の主、萬有の神、救世主よ、我等病める者及び厲しき危難に圍まるる者は轉達者として我等の爲に祈る爾の至淨なる母を進む。我等の諸罪の縲絏を解き給へ。
光榮 獨萬有を造りて之を掌る主を生みて、童貞に止まりし神の聘女よ、實に爾を神の母として讚榮する爾の諸僕に上より救を與へ給へ。
今も 世界の爲に神聖なる水を流しし女宰よ、我を活ける水に滿てて、爾の神聖なる平穩を以て我が不法の激しき流と吾が心の暴浪とを鎭め給へ。
第四歌頌
イルモス ハリストスよ、アウワクムは先知の目にて爾が神妙の謙遜を悟り、戰きて爾に呼べり、爾の民を救ひ、爾の膏つけられし者を救はん爲に來り給へり。
讚美たる生神女よ、神は爾悉くの造物より上なる者を地に在る者の爲に彼の前の轉達者として賜へり。
童貞女母よ、我等爾を神の殿と知りて、爾を尊みて熱切に祈る、生神女よ、爾の諸僕の爲に爾の慈憐の門を閉ざす勿れ。
光榮 婚姻に與らざる母よ、我等皆爾を實に裝飾したる神の衣と知りて、爾を尊みて求む、赦罪の衣を我等に衣せ給へ。
今も 至淨なる童貞女母マリヤよ、大なるガウリイルが上より爾に慶べよと呼びし時より、全世界は爾の產を以て歡喜に滿ちたり。
第五歌頌
イルモス 光を衣の如く衣る者よ、我爾に朝の禱を奉りて爾に呼ぶ、ハリストスよ、我が昧まされし靈を照し給へ、爾は獨仁慈の主なればなり。
我等は實に我が諸罪の債に應ひて罰を蒙る。鳴呼至淨なる童貞女母よ、爾の子の怒を我等より轉ぜしめ給へ。
獨光を暗より出しし神を婚姻に與らずして生みし潔き者よ、彼に爾の諸僕に神聖なる光を降さんことを熱切に祈り給へ。
光榮 ソロモンの預言せし神聖なる潔き聘女、造成主の母よ、爾の祈禱の芳しき香を以て爾の諸僕を薰らせ給へ。
今も 生神女よ、爾は我等の爲に稱義及び贖罪たるハリストスを種なく生みて、原祖の性を詛より釋き給へり。
第六歌頌
イルモス 主宰ハリストスよ、靈を壞る颶風に荒らさるる慾の海を鎭めて、我を淪滅より援け給へ、爾は仁慈の主なればなり。
造成主を生みし生神女・女宰よ、爾の諸僕の爲に赦罪を求め得て、我等に能力を與へ給へ、我が爾を歌はん爲なり。
潔き女宰よ、慈憐なる者として、我等忠信に爾に祈る爾の諸僕の爲に佑助と爲りて、我等に能力を與へ給へ、我が爾を歌はん爲なり。
光榮 宜しきに合ひて能せざるなき潔き女宰よ、爾の慈憐なる目を以て顧みて、我等爾の諸僕を朽壞より擧げ給へ。
今も 求むる者の爲に絕えず宏恩の流を注ぐ仁慈にして無玷なる童貞女よ、我にも爾の子の戒の光を注ぎ給へ。
次ぎて主憐れめよ。三次。光榮、今も、
坐誦讚詞、第五調。
至聖なる童貞女よ、我等信を以て爾慈憐の者に趨り附きて、爾の熱切なる保護を求むる者を憐み給へ。蓋爾は、神の恩寵を蒙れる童貞女よ、至上の神の仁慈なる母として、常に衆人を爾の母たる祈禱の中に抱きて、衆を救ふを能す。
第七歌頌
イルモス 尊まるる先祖の主は焰を滅し、少者を凉しくせり、彼等心を合せて、神よ、爾は崇め讚めらると歌へばなり。
測られぬ神の智慧たるハリストスよ、爾を生みし者に因りて、爾の諸僕常に、神よ、爾は崇め讚めらると歌ふ者を宥め給へ。
主よ、我等爾の仁慈に祈る、爾を生みし者に因りて、我等畏を以て、神よ、爾は崇め讚めらると歌ふ者の痛傷を醫し給へ。
光榮 神の母よ、爾の慈憐なる目を以て顧みて、爾の諸僕、信を以て、神よ、爾は崇め讚めらると歌ふ者を凡の患難より脫れしめ給へ。
今も 至淨なる女宰よ、我等は惡を行ひて爾より離れたれども、神よ、爾は崇め讚めらると呼ぶ時直に爾の佑助を獲たり。
第八歌頌
イルモス 世世の前に父より生れし子及び神、末の時に童貞女より身を取りし者を、司祭等は歌へ、人人は萬世に崇め讚めよ。
我等の女宰童貞女、善福の賦予者よ、爾の諸僕に諸慾の醫治を與へ給へ、我が常に爾を歌ひて、世世に崇め讚めん爲なり。
潔き者よ、爾は測り難く贖罪主を生み、言ひ難く乳にて之を養ひて、童貞女に止まれり。爾を歌ひて、萬世に讚榮する者の爲に彼に祈り給へ。
光榮 我等は調和したる詠會を爲して、爾贖罪主の光明なる燈に歌はん、主の悉くの造物は常に童貞女マリヤを歌ひて、世世に彼を崇め讚めよ。
今も 潔き牝羊、神の恩寵を蒙れる童貞女母よ、我を肉體の諸慾より潔め給へ、我が誘惑の網を免れて、爾を歌頌せん爲なり。
第九歌頌
イルモス イサイヤ祝へよ、童貞女は孕みて、子エムマヌイル神、及び人なる者を生めり、其名は東。我等彼を崇めて、童貞女を讚め揚ぐ。
讚め歌はるる主宰ハリストスよ、爾造成主に於ける我等の倚賴は過ぎず、爾の恩寵も變らず。求む、此の兩者に依りて爾の諸僕に堅固なる力を與へ給へ、爾を生みし者の祈禱に由りてなり。
潔き女宰よ、爾は生命の眞の母として、不能なる者の力、病む者の醫治なり。故に我等爾に趨り附きて、凡の憂愁の喜悅に變ずるを得、爾の帲幪にて救はる。
光榮 女宰よ、我等は爾の神聖なる像を見て、其中に爾を實體の如く仰ぎ、之に俯伏して醫治を受く、故に地上の異端者の凡の無知を惡む。
今も 潔き者よ、我等罪なる者は爾を醫治の淵、恩惠の海と知れり。故に爾に祈る、獨至淨なる童貞女よ、爾の帲幪の下に趨り附く者を凡の患難より救ひ給へ。
次ぎて「常に福にして」。聖三祝文。「天に在す」の後に小讚詞。其他常例の如し、幷に發放詞。
日曜日(主日)
主日の夜半課
生命を施す聖三者の規程、其冠詞は、三日の光に第五の規程。ミトロファンの作。第五調。
第一歌頌
イルモス 强き手にて戰を滅すハリストスは馬と騎者とを紅の海に落し、凱歌を歌ふイズライリを救ひ給へり。
附唱 至聖なる三者我等の神よ、光榮は爾に歸す。
我等惟一なる三日の體の權柄を歌ひて呼ぶ、全能の神主宰よ、我等の智慧を照して、爾の言ひ難き光榮に升せ給へ。
天使の靈智なる品位は天上に三聖の歌を以て爾三數の惟一者、合一の三者、實在にして全能なる神を默さずして歌ふ。
光榮 光の原因たる三位の惟一者、萬物の大仁慈なる主宰よ、吾が靈に爾の愛の光明にして神聖なる最甘き飮料、及び洗淨を爲す傷感を與へ給へ。
今も、生神女讚詞 至淨なる童貞女よ、羊の毛に於けるが如く、神聖なる雨は音なくして天より爾の胎に降りて、全く枯れたる人の性を救へり。
第三歌頌
イルモス 己の命にて虛しき處に地を固め、保ち難く重き者を懸けしハリストス、獨仁慈にして人を愛する主よ、爾が誡の動かざる石に爾の敎會を堅く立て給へ。
三光の神造物主よ、爾は靈智なる者を創意して、爾の神性を絕えず歌ふ者を造り給へり。祈る、塵に屬する地上の者の祈禱冀願をも納れ給へ、爾は仁慈なる主なればなり。
性に於て聊も變易せざる主よ、變易する我等爾を歌ふ者に爾の仁慈の窮め難き泉を流して、諸罪の赦と救とを與へ給へ。爾は仁慈なる主なればなり。
光榮 我等は爾惟一なる三光の主、萬有の主宰の神性の變易せざる體に於て父と子と聖神とを讚榮す、諸預言者及び使徒が爾より明に敎へられしが如し。
生神女讚詞 神の言よ、爾はモイセイに棘の中に全能者の大なる議事の使者と現れて、爾が童貞女より身を取ることを示し給へり。爾は此を以て我等を變化して、天に升せ給へり。
主憐めよ、三次。
坐誦讚詞、第五調。
別れざる聖三者よ、爾は仁慈なり、蓋衆を憐み給ふ、全能にして宏恩、寬容にして矜憐なればなり。故に我等多くの罪に壓せらるる者は爾に趨り附きて呼ぶ、爾の諸僕を潔めて、衆を凡の苦より脫れしめ給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 至聖なる童貞女よ、我等信を以て爾慈憐の者に趨り附きて、爾の熱切なる保護を求むる者を憐み給へ。蓋爾は、神の恩寵を蒙れる童貞女よ、至上の神の仁慈なる母として、常に衆人を爾の母たる祈禱の中に抱きて、衆を救ふを能す。
第四歌頌
イルモス ハリストスよ、アウワクムは先知の目にて爾が神妙の謙遜を悟り、戰きて爾に呼べり、爾の民を救ひ、爾の膏つけられし者を救はん爲に來り給へり。
ダニイルはハリストス審判者が父に到り、神゜が異象を顯すを見て、奧密に惟一の主の三光なるを敎へらる。
塵の口を以て爾實在の神、位にて三者、性にて惟一者なる主を歌ふ者に諸天使の光榮を得しめ給へ。
光榮 我等は三位に於て惟一の權柄、惟一の主制を分離なく讚榮す。父と、子と、聖神よ、我等爾の諸僕を照し給へ。
生神女讚詞 童貞女よ、アウワクムが嘗て見たる聖なる者の出でし樹蔭繁き山は爾の降孕の奧密に見らるる產を顯せり。
第五歌頌
イルモス 光を衣の如く衣る者よ、我爾に朝の禱を奉りて爾に呼ぶ、ハリストスよ、我が昧まされし靈を照し給へ、爾は獨仁慈の主なればなり。
仁慈に因りて人を造り、爾の像に循ひて之を飾りし三光なる吾が神よ、我の中に居り給へ、爾は善にして慈憐なればなり。
三日の惟一者よ、爾我を救の神聖なる途に向はしめて、爾の煇煌に滿て給へ、爾は性に於て能力の無量なる神なればなり。
光榮 惟一の性の分れざる光、位にて分れたる、三光なる、暮れざる者よ、爾の光線を以て我が心を照し給へ。
生神女讚詞 純潔無玷なる者よ、昔預言者は爾を暮れざる光に向ふ門と見て、直に爾が神の居處なるを知れり。
第六歌頌
イルモス 主宰ハリストスよ、靈を壞る颶風に荒らさるる慾の海を鎭めて、我を淪滅より援け給へ、爾は仁慈の主なればなり。
神元は位に於て三光なり、性と旨とに於て惟一にして合同なり、均しく行爲する者なり。
預言者は光なる爾の父に向ひて、我等神゜に由りて子の光を觀んと歌ひて、明に惟一の神の三日なるを示せり。
光榮 單一なる神性は三位に於て惟一の權柄と能力とを有ち給ふ、彼に由りて萬物は護られて改めらる。
生神女讚詞 惟一にして三光なる主宰神よ、神の母の祈禱に由りて、爾を歌ふ者に諸罪と患難との解脫を與へ給へ。
主憐めよ、三次。
坐誦讚詞、第五調。
我等今三日の光を讚榮し、單一の三者に伏拜す、蓋我等を照して憐み、全人類を朽壞より救ひ、全世界を偶像の迷より脫れしめて、我等に國を與へ給へり。
光榮、今も、生神女讚詞 我凡の事に惑ひて、衆人の恃賴、罪人及び卑微の者の避所たる爾に趨り附きて呼ぶ、我不當の者は罪を犯し、之を感ぜずして惡に止まる。我を憐め、終の前に我を反正せしめて、當らざる者を凡の苦より脫れしめ給へ。
第七歌頌
イルモス 尊まるる先祖の主は焰を滅し、少者を凉しくせり、彼等心を合せて、神よ、爾は崇め讚めらると歌へばなり。
慈憐の淵、宏恩の測られぬ海を有つ主よ、爾惟一にして三光なる萬有の神を歌ふ者を憐み給へ。
我等爾惟一にして三光なる測られぬ主神を歌ひて、爾に呼ぶ、爾の諸僕に諸罪の洗淨を與へ給へ。
光榮 我等は惟一の權柄の中に三位を均しく尊みて、父と子と至聖神の分たれざる性を分つ。
生神女讚詞 童貞女よ、爾は父と同無原の芽、神性の花、衆人に生命を與ふる同實在の芽を生じ給へり。
第八歌頌
イルモス 少者は爐に在りて爾萬物を造りし主の前に全世界の詠隊と爲りて歌へり、悉くの造物は主を歌ひて、萬世に崇め讚めよ。
我が神よ、爾は昔惟一の主制の三位なるを顯はさん爲に、人の像に於て爾の惟一の權柄を歌ふアウラアムに現れ給へり。
仁慈なる父、子、及び聖神、近づき難き光、萬有の主よ、爾我に宏恩を施す爾の光線を仰ぐを得しめ給へ、我が常に爾の悅を爲さん爲なり。
光榮 永久なる神父は聖なり、父より生れし子は聖なり、生を施す神゜、父より出でて、子に由りて現るる主は聖なり。
生神女讚詞 讚美たる童貞女よ、爾は我等の爲に三日の光榮の中より一のハリストス主を輝かし給へり、彼は衆人に三位に於て惟一なる神元を世世に歌はんことを奧密に敎へ給ふ。
第九歌頌
イルモス イサイヤ祝へよ、童貞女は孕みて、子エムマヌイル、神及び人なる者を生めり、其名は東。我等彼を崇めて、童貞女を讚め揚ぐ。
無原なる惟一者よ、人の言を以て宜しきに合ひて爾を歌ふ能はず。然れども神元なる同寶座の三者よ、我等信を以て勇みて能する所に循ひて爾の權柄に光榮と讚美とを奉る。
ヘルワィム及びセラフィムは至淨なる口を以て爾惟一なる三光の神に同一の讚榮を奉る。主よ、彼等と偕に爾の權柄を讚め揚ぐる罪なる我等をも納れ給へ。
光榮 イサイヤは爾がヘルワィムの寶座に坐するを見たり、セラフィムは爾の周圍に立ち、翼にて面を蔽ひて呼べり、聖、聖、聖なる哉三聖の神、三位に於て讚榮せらるる主や。
生神女讚詞 爾は純潔無玷なる童貞女にして、子として我等を誘惑より救ふ變易なき神を生み給へり。今も我等に諸罪の赦を賜はんことを彼に祈り給へ。
次にグリゴリイ シナイトの聖三讚歌、「爾神言を讚榮するは」、及び其他夜半課の式、本書の末に載す。
主日の早課
六段の聖詠終りて「主は神なり」、第五調に依りて歌ひ、後主日の讚詞、「信者よ、父と聖神と偕に」、二次。光榮、今も、生神女讚詞、「通られぬ主の門よ、慶べ」。次に聖詠經の常例の誦讀。
第一の誦文の後に主日の坐誦讚詞、第五調。
我等は主の十字架を讚め揚げ、聖なる葬を尊み歌ひ、其復活を崇め讚めん、彼は神として、死の權と惡魔の力とを奪ひて、死せし者を己と偕に墓より起し、地獄に在る者に光を輝かしたればなり。
句 主我が神よ、起きて、爾の手を擧げよ、苦しめらるる者を永く忘るる毋れ。
主よ、爾は死者と稱へられて死を滅し、墓に藏められて墓を空しくせり。上には兵卒柩を守り、下には爾古世より死せし者を復活せしめ給へり。全能にして悟り難き主よ、光榮は爾に歸す。
光榮、今も、生神女讚詞 神の通り給ふ聖山よ、慶べ、燒かれざる生ける棘よ、慶べ、獨世界の爲には神に往く橋、死者を永遠の生命に渡す者よ、慶べ、潔き童貞女、夫を識らずして我等の靈の救を生みし者よ、慶べ。
第二の誦文の後に主日の坐誦讚詞、第五調。
主よ、爾が三日目の復活及び使徒の伏拜の後に、ペトル爾に呼べり、女等は勇敢を現ししに、我は畏れたり、盜賊は爾を承け認めしに、我は諱みたり。是より爾我を招きて門徒と爲すか、抑我を復海上の漁者と爲すか。求む、神よ、痛悔する我を納れて、我を救ひ給へ。
句 主よ、我心を盡して爾を讚め揚げ、爾が悉くの奇迹を傳へん。
主よ、不法者は爾を定罪せられし者の中に十字架に釘して、戈を以て爾の脅を刺せり。嗚呼慈憐の者よ、爾は葬を受けて、地獄の門を破り、三日目に復活し給へり。女等爾を見ん爲に趨り附きて、使徒等に復活を知らせたり。尊み崇めらるる救世主、天使等の歌ふ者、崇め讚めらるる主よ、光榮は爾に歸す。
光榮、今も、生神女讚詞 婚姻に與らざる聘女、神の母、エワの悲を喜に變ぜし者よ、我等信者は歌ひて、爾に伏拜す、蓋爾は我等を古の詛より脫れしめたり。至聖にして讚美たる者よ、今も我等の救はれんことを息めずして祈り給へ。
應答歌、第五調。
天使の顯見にて心驚かされ、神妙の復活にて靈照さるる攜香女は使徒に福音せり、異邦の中に復活を傳へよ、主は奇跡を以て佑けん、我等に大なる憐を賜ふ主なればなり。
品第詞、第五調。第一倡和詞。每句復唱す。
我が救世主よ、我憂の中にダワィドの如く爾に歌ふ、我が靈を欺騙の舌より免れしめ給へ。
野に居る者の生命は福なり、彼等は神聖なる愛に勵まさる。
光榮 聖神にて見ゆると見えざる者は悉く保たる、彼は實に聖三者の一にして、全能の主なればなり。
今も、同上。
第二倡和詞
靈よ、山に上らん、彼處に往け、蓋助は彼處より來る。
ハリストスよ、願はくは爾の右の手は我にも觸れて、凡の邪曲より我を護らん。
光榮 聖神に向ひて讚美して曰はん、爾は神なり、生命なり、愛なり、光なり、睿智なり、爾は仁慈なり、爾は世世に王たり。
今も、同上。
第三倡和詞
人我に向ひて、主の家に往かんと云ふ時、我多くの歡喜に盈てられて、禱を獻ぐ。
ダワィドの家に畏るべき事は行はる、蓋火は彼處に凡の耻づべき心を焚く。
光榮 聖神には生命を施す權位あり、凡ての生物は彼を以て活かさる、父及び言を以てするが如し。
今も、同上。
提綱、第五調。
主我が神よ、起きて爾の手を擧げよ、爾世世の王なればなり。
句 主よ、我心を盡して爾を讚め揚げ、爾が悉くの奇迹を傳へん。
「凡そ呼吸ある者」。句、「神を其聖所に讚め揚げよ」。順序の早課福音經
ハリストスの復活を見て、聖なる主イイスス、獨罪なき者を拜むべし。ハリストスよ、我等爾の十字架を拜み、爾の聖なる復活を歌ひ讚む、爾は我等の神なればなり、爾の外他の神を知らず、唯爾の名を稱ふ。信者よ、皆來りて、ハリストスの聖なる復活を拜むべし、十字架にて歡喜は全世界に臨みたればなり。我等恒に主を讚め揚げて、其復活を崇め歌はん、主は十字架に釘うたるるを忍びて、死を以て死を滅ししに因る。
第五十聖詠、「神よ、爾の大なる憐に因りて」。
光榮 使徒の祈禱に依りて、憐深き主よ、我等の多くの罪を淨め給へ。
今も 生神女の祈禱に依りて、憐深き主よ、我等の多くの罪を淨め給へ。
次ぎて、第六調。
神よ、爾の大なる憐に因りて我を憐み、爾が惠の多きに因りて我の不法を抹し給へ。
讚頌
預め言ひし如く、イイスス墓より復活して、我等に永遠の生命と大なる憐とを賜へり。
「神よ、爾の民を救ひ」。高聲、「爾が獨生子の仁慈と慈憐と」。
規程四篇、主日の、讚詞四章、十字架復活の、三章、生神女の、三章、月課經の、四章。若し聖人の祭ならば、聖人の、六章、十字架復活の、二章、生神女の、二章。
主日の規程、第五調。
第一歌頌
イルモス 强き手にて戰を滅すハリストスは馬と騎者とを紅の海に落し、凱歌を歌ふイズライリを救ひ給へり。
附唱 主よ、光榮は爾の聖なる復活に歸す。
ハリストスよ、棘を生ずるエウレイの會は爾恩主に母たる愛を守らずして、棘を爾原祖の棘の禁戒を釋く者に冠らせたり。
生命を賜ふハリストス、罪なき主よ、爾は傾きて我穽に陷りし者を起し、朽壞に與らざる者にして我が惡臭の朽壞を忍びて、我を神の性の香料にて薰らせ給へり。
生神女讚詞 詛は釋かれ、悲は息みたり、蓋祝福せられし童貞女、恩寵を蒙れる者は四極の爲に祝福たるハリストスを花の如く生じて、信者の爲に喜を耀かし給へり。
又十字架復活の規程
第一歌頌 同調
イルモス 「我等は民に足を濡らさずして」。
甘じて身にて十字架に釘せられ、木に緣りて陷りし者を古の定罪より釋きたる主、獨彼に歌はん、彼光榮を顯したればなり。
死して墓より復活せしハリストス、陷りし者を己と偕に起して、父と同座するを以て之を榮せし主、獨彼に歌はん、彼光榮を顯したればなり。
生神女讚詞 至淨なる神の母よ、爾より身を取りて、父の懷を離れざりし神に、其造りし者を凡の患難より救はんことを絕えず祈り給へ。
又至聖なる生神女の規程、其冠詞は、光を生みし童貞女よ、我を照し給へ。
第一歌頌 同調
イルモス 「强き手にて戰を滅す」。
至淨なる母童貞女よ、爾に入りて神性の光線を以て世界を照しし光たるハリストスに、凡そ爾を歌ふ者を照さんことを祈り給へ。
諸德の華美に飾られたる者として、爾恩寵を蒙れる至淨なる童貞女は聖神の光照に藉りて、靈妙の華美たる萬有を飾りし主を受け給へり。
童貞女よ、昔シナイに於て棘は爾を預象して、火に合せられて焚けざりき、蓋爾童貞女は生みて童貞女に止まり、母にして智慧に超えて童貞女なり。
共頌、「我が口を開きて」。
第三歌頌
イルモス 己の命にて虛しき處に地を固め、保ち難く重き者を懸けしハリストス、獨仁慈にして人を愛する主よ、爾が誡の動かざる石に爾の敎會を堅く立て給へ。
ハリストスよ、恩を知らざるイズライリの諸子、磐より蜜を吮ひし者は爾野にて奇跡を行ひし主に膽を捧げ、マンナの恩に代へて醯を酬いたり。
昔光れる雲に覆はれたる者は生命たるハリストスを墓に置きたり、然れども彼は己の權を以て復活して、上より衆信者に奧密に蔭へる聖神の光照を賜へり。
生神女讚詞 神の母よ、爾は婚姻に與らず、母の產苦を知らずして、永在の父より輝きし者を生み給へり。故に我等は正しく爾を生神女と傳ふ、身を取りし言を生みたればなり。
又 イルモス 「ハリストスよ、爾の十字架の力にて」。
生命を賜ふハリストスよ、爾は墓より復活して、甘じて受けし爾の十字架の死を歌ふ者を死の朽壞より救ひ給へり。
ハリストスよ、攜香女は香料を爾の身に傅らん爲に急ぎしに、爾に遇はずして還りて、爾の復活を歌頌せり。
生神女讚詞 潔き者よ、爾の胎より身を取りし主に、爾潔き童貞女を歌ふ者を惡魔の誘惑より脫れしめんことを絕えず祈り給へ。
又 イルモス 「己の命にて虛しき處に」。
潔き者よ、爾は今明に衆に、至上者が朽ちたる性を新にせん爲に我等に降りし梯と見られたり、蓋爾に藉りて至仁の主は甘じて世界に共與し給へり。
純潔なる童貞女よ、昔預定せられ、世世の先に知らざる所なき神に預見せられたる奧密は、今末の時に於て爾の胎内に成就せられたり。
至淨なる童貞女、獨人人の裝飾たる者よ、爾の中保に依りて古の詛の定罪は釋かれたり、蓋爾より主は現れて、至仁の者として衆に祝福を流し給へり。
第四歌頌
イルモス ハリストスよ、アウワクムは先知の目にて爾が神妙の謙遜を悟り、戰きて爾に呼べり、爾の民を救ひ、爾の膏つけられし者を救はん爲に來り給へり。
仁慈なる主よ、爾は木を以てメㇽラの最苦き水を甘くして、罪の味を滅す爾の至淨なる十字架を形を以て預象し給へり。
我が救世主よ、爾は智識の木に代へて十字架、甘き食に代へて膽を受け、死の朽壞に代へて爾の神聖なる血を流し給へり。
生神女讚詞 爾は婚姻に與らずして潔く胎内に孕み、產苦なく身にて神を生み、生みて後童貞女として護られたり。
又 イルモス 「我十字架の力の風聲」。
十字架が地上に髑髏の處に樹てられしに、地獄の門は壞られ、世世の門衞は呼べり、主よ、光榮は爾の力に歸す。
救世主が死者の如く縛られし者に降りしに、古世よりの死者は彼と偕に復活して呼べり、主よ、光榮は爾の力に歸す。
生神女讚詞 童貞女は生みて、母の產苦を知らざれども、母と爲りて童貞女に止まれり。我等彼を歌ひて呼ぶ、生神女よ、慶べ。
又 イルモス 「ハリストスよ、アウワクムは先知の目にて」。
潔き童貞女よ、我敬虔を抱きて、心と智慧、靈と口を以て爾を眞の生神女と承け認め、救の果を獲て、爾の祈禱に由りて救はる。
純潔なる者よ、無より萬物を造りし者は、恩主として爾潔き者より造らるるを嘉し給へり、信と愛とを以て爾を歌ふ者の救の爲なり。
純潔無玷なる童貞女よ、天上の品位は爾の產を歌ひて、爾を眞の生神女と承け認むる者の救の爲に悅ぶ。
イサイヤは爾を杖と名づけたり、是より我等の爲に美しき花たるハリストス神は生ぜり、信と愛とを以て爾の帲幪の下に趨り附く者の救の爲なり。
第五歌頌
イルモス 光を衣の如く衣る者よ、我爾に朝の禱を奉りて爾に呼ぶ、ハリストスよ、我が昧まされし靈を照し給へ、爾は獨仁慈の主なればなり。
光榮の主は謙卑の形に於て甘じて辱かしめられて木に懸る、我等の爲に神聖なる光榮の事を言ひ難く慮るに因りてなり。
ハリストスよ、爾は朽つるなく身にて死の朽壞を嘗め、三日目に墓より輝き出でて、我に不朽を衣せ給へり。
生神女讚詞 生神女よ、爾は我等の爲に稱義及び贖罪たるハリストスを種なく生みて、原祖の性を詛より釋き給へり。
又 イルモス 「主よ、我等夙に興きて」。
我等の救世主よ、爾は木に手を伸べて、衆を己に召し給へり、人を愛する主なればなり。
我が救世主よ、爾は己の葬にて地獄を虜にし、己の復活にて衆を歡喜に滿て給へり。
生命を賜ふ主よ、爾は三日目に墓より復活して、衆に滅びざる不死を流し給へり。
生神女讚詞 生神女よ、我等爾を產の後に童貞女たる者として歌ふ、爾は身にて世界の爲に神言を生みたればなり。
又 イルモス 「光を衣の如く衣る者よ」。
潔き生神女よ、衆預言者は明に爾を神の母たらん者として預言せり、蓋爾は獨全く純潔無玷の者として獲られたり。
潔き者よ、我等爾を活ける水を含む光明なる雲、我等望を失ひし者の爲に不朽の雨たるハリストスを降しし者と知れり。
爾全く純善無玷にして潔く童貞に封印せられし者を神は愛して、爾の内に入り給へり、獨仁慈なる主なればなり。
第六歌頌
イルモス 主宰ハリストスよ、靈を壞る颶風に荒らさるる慾の海を鎭めて、我を淪滅より援け給へ、爾は仁慈の主なればなり。
主宰ハリストスよ、禁ぜられたる糧を食して、朽壞に陷りし原祖は爾の苦に因りて生命に升せられたり。
主宰ハリストスよ、爾は生命にして地獄に降り、朽壞せしめし者の爲に朽壞と爲りて、朽壞に由りて復活を流し給へり。
生神女讚詞 童貞女は生めり、生みて後實に潔き者として止まれり、己の手に萬物を持つ主を抱きし童貞女母なればなり。
又 イルモス 「主よ、淵は我を圍み」。
ハリストス我等の神よ、爾は己の手を伸べて、遠く散じたる爾の諸民の會を爾の生を施す十字架を以て集め給へり、人を愛する主なればなり。
爾は死を虜にし、地獄の門を壞れり、縛られたるアダムは釋かれて爾に呼べり、主よ、爾の右の手は我を拯ひ給へり。
生神女讚詞 光榮なるマリヤ、正敎者の美譽よ、我等宜しきに合ひて爾を焚かれぬ棘及び山、活ける梯及び天の門として讚榮す。
又 イルモス 「主宰ハリストスよ、靈を壞る颶風」。
純潔なる神の母よ、萬有の緣由にして、萬有に存在を賜ひし主は我等に似たる身を取らんと欲して、爾を其緣由として有ち給へり。
純潔なる女宰よ、我等爾を、信を以て爾の至榮なる帲幪の下に趨り附く者の爲に醫治の泉、靈を養ふ者なりと知る。
爾は我等、爾を眞の生神女として傳ふる者の爲に、贖罪の緣由たる生を施す主、永遠の救を賜ふ者を生み給へり。
小讚詞、第五調。
我が救世主、人を愛する主よ、爾は地獄に降り、全能者として其門を壞り、造成主として死者を己と偕に復活せしめ、死の刺を折き、アダムを詛より釋き給へり。故に我等皆呼ぶ、主よ、我等を救ひ給へ。
同讚詞 女等は天使の聲を聞きて涕泣を止め、喜び且戰けり、驚くべき事を見たればなり。視よ、ハリストスは彼等に近づきて曰へり、喜べ、勇めよ、我は世に勝てり、俘囚を釋きたり。急ぎて門徒に往きて彼等に報ぜよ、我爾等に先だちてガリレヤに往かん、敎を授けん爲なりと。故に我等皆爾に呼ぶ、主よ、我等を救ひ給へ。
第七歌頌
イルモス 尊まるる先祖の主は焰を滅し、少者を凉しくせり、彼等心を合せて、神よ、爾は崇め讚めらると歌へばなり。
爾は身に蔽はれて、之を釣の餌として、爾の神たる力を以て蛇を釣り、神よ、爾は崇め讚めらると歌ふ者を升せ給へり。
大地の通り難き固體を造りし容れられぬ主は地中に穿ちたる墓に身にて藏めらる。我等皆彼に歌ふ、神よ、爾は崇め讚めらる。
生神女讚詞 純潔なる者よ、爾は二性に於て一位たる身を取りし神を生み給へり。我等皆彼に歌ふ、神よ、爾は崇め讚めらる。
又 イルモス 「火の爐の中に歌へる少者を」。
十字架の木を以て偶像の迷を解きたる我が先祖の神は崇め讚めらる。
死より復活して、地獄に在る者を己と偕に起しし我が先祖の神は崇め讚めらる。
己の死を以て死の權を滅ししハリストスよ、爾我が先祖の神は崇め讚めらる。
生神女讚詞 童貞女より生れて、之を生神女と爲しし我が先祖の神は崇め讚めらる。
又 イルモス 「尊まるる先祖の主は」。
限なき者は變易せずして、仁慈の主なるに因りて、爾至聖なる者の内に其位を以て身に合せられたり。彼惟一の我が先祖の神は崇め讚めらる。
女宰生神女よ、我等同心に爾を純潔なる聘女及び爾の造成主の寶座として讚榮す。我等皆彼に歌ふ、神よ、爾は崇め讚めらる。
童貞女よ、爾は神゜に潔められて、萬有の王、爾を造りし者の母と爲り給へり。我等皆彼に歌ふ、神よ、爾は崇め讚めらる。
至淨なる神の母よ、主は爾より取りし身の衣を衣て、我を救ひ給へり。我等皆彼に歌ふ、神よ、爾は崇め讚めらる。
第八歌頌
イルモス 少者は爐に在りて爾萬物を造りし主の前に全世界の詠隊と爲りて歌へり、悉くの造物は主を歌ひて、萬世に崇め讚めよ。
ハリストスよ、爾は自由なる救の苦の爵の爲に、之を不自由なる者の如くにして祈れり、各二の性に屬する二の望を世世に有てばなり。
ハリストスよ、爾の全功なる降臨に因りて辱かしめられたる地獄は古世より誘惑を以て殺しし者を悉く吐き出せり。彼等爾を萬世に崇め讚む。
生神女讚詞 童貞女よ、爾智慧に超えて神の言に因りて主を生みて童貞女に止まりし者を我等造物皆讚頌して、萬世に崇め讚む。
又 イルモス 「世世の前に父より生れし子」。
甘じて十字架に手を伸べて、死の縲絏を斷ちしハリストス神を司祭等は歌へ、人人は萬世に崇め讚めよ。
新娶者の如く墓より輝き出で、攜香女に現れて、之に喜を報ぜしハリストス神を司祭等は歌へ、人人は萬世に崇め讚めよ。
生神女讚詞 潔き生神女よ、爾はヘルワィムより上なる者と現れて、彼等が舁ふ主を爾の腹に宿し給へり。我等人人は無形の者と偕に彼を萬世に崇め讚む。
又 イルモス 「少者は爐に在りて」。
爾神の母が喜を受けしに、今原祖の悲は息みたり。故に童貞女よ、我等絕えず爾を歌ひて、萬世に崇め讚む。
童貞女よ、無形の會は我等と偕に愛を以て一の詠會を爲して、爾の悟り難き產を歌ひて、之を世世に崇め讚む。
少女よ、爾より不死の透明の泉たる萬有の主は出でて、信を以て爾を歌ひて、萬世に崇め讚むる者の汚を滌ふ。
童貞女よ、我等爾を實に神聖なる光れる寶座、及び恩寵の石板と認む、爾は父の言を受けたればなり。我等彼を萬世に崇め讚む。
次ぎて生神女の歌を歌ふ、「我が靈は主を崇め」、附唱と共に、「ヘルワィムより尊く」。
第九歌頌
イルモス イサイヤ祝へよ、童貞女は孕みて、子エムマヌイル、神及び人なる者を生めり、其名は東。我等彼を崇めて、童貞女を讚め揚ぐ。
主宰ハリストスよ、爾は陷りし人を童貞女の胎内より受けて、全く之に合せられたり、惟一の罪にも與らざりき。爾は己の至淨なる苦を以て全き人を朽壞より釋き給へり。
主宰ハリストスよ、爾の至淨にして生を施す脅より流れし神聖なる血に由りて、偶像の祭は息み、全地は爾に讚美の祭を獻ず。
生神女讚詞 純潔無玷なる少女よ、爾の生みし者は無形の神に非ず、亦常の人に非ず、卽完全なる人にして、實に完全なる神なり。我等彼を父及び聖神と偕に崇め讚む。
又 イルモス 「爾悟り難く解き難く」。
爾十字架に苦を受けて、死を以て地獄の力を壞りし主を我等信者は忠信に崇め讚む。
爾三日目に墓より復活し、地獄を虜にして、世界を照しし主を我等信者は心を一にして崇め讚む。
生神女讚詞 生神女、ハリストス神の母よ、慶べ、爾が生みし主に祈りて、信を以て爾を歌ふ者に諸罪の赦を賜はんことを求め給へ。
又 イルモス 「イサイヤ祝へよ」。
生神女永貞童女よ、爾の潔き血より、夫なく種なく性に超えて、萬物の造成主、父の獨生の子の爲に智慧あり靈ある身は結成せられたり。
至聖なる母童貞女よ、爾は死の止め難き奮進を止めたり、智慧に超えて身にて實に永久の生命を生みたればなり、地獄は之を呑まんと欲したれども空しくせられたり。
純潔無玷なる者よ、爾の子は主宰の寶座に坐して、爾神聖なる諸德の金繍の衣にて輝ける者を己の右に立てて、爾に母たる尊貴を賜へり。
神の母よ、爾の產は智慧に超ゆ、蓋爾は夫なくして孕み、童貞女にして生み給へり、生れし者は神なればなり。我等彼を讚め揚げて、童貞女よ、爾を崇め讚む。
共頌の後に小聯禱。次ぎて主我等の神は聖なり、三次。早課の差遣詞。
「凡そ呼吸ある者」に主日の讚頌、第五調。
句 彼等の爲に記されし審判を行はん爲なり、斯の榮は其悉くの聖人に在り。
主よ、不法の者墓を封じたれども、爾は生神女より生れし如く、墓より出でたり。如何にして爾身を取りしか、爾の無形の天使等は悟らざりき、何時爾復活せしか、爾を守る兵卒は覺えざりき。蓋二ながら硏究する者の爲に封ぜられ、信を以て奧密を拜む者の爲に奇迹と顯れたり。此の奧密を讚頌する我等に歡喜と大なる憐とを與へ給へ。
句 神を其聖所に讚め揚げよ、彼を其有力の穹蒼に讚め揚げよ。
世世の閉鎭を壞り、桎梏を截ちし主よ、爾は墓より復活し、裹布を遺して、爾が實の三日の葬の證と爲し、洞の内に守らるる者にして、先だちてガリレヤに往けり。大なる哉爾の憐、悟り難き救世主よ、我等を憐みて救ひ給へ。
句 其權能に依りて彼を讚め揚げよ、其至嚴なるに依りて彼を讚め揚げよ。
主よ、女等は墓に趨りて、爾我等の爲に苦を受けしハリストスを見んとせしに、來りて、天使を見たり。彼は震ひ移りたる石に坐し、彼等に呼びて曰へり、主は復活せり、門徒に告げよ、我等の靈を救ふ者は死より復活せりと。
句 角の聲を以て彼を讚め揚げよ、琴と瑟とを以て彼を讚め揚げよ。
主よ、爾は封ぜられたる墓より出でし如く、閉されたる門より爾の門徒に入りて、之に爾寬忍なる救世主が身に受けし苦を示せり。爾はダワィドの裔として傷を忍び、神の子として世界を自由にし給へり。大なる哉爾の憐、悟り難き救世主よ、我等を憐みて救ひ給へ。
又讚頌、アナトリイの作。
句 鼓と舞とを以て彼を讚め揚げよ、絃と簫とを以て彼を讚め揚げよ。
主、世世の王、萬物の造成主、我等衆を地獄より釋かんと欲して、我等の爲に身にて十字架に釘せらるることと葬とを受けし者よ、爾は我等の神なり、爾の外我等他の神を識らず。
句 和聲の鈸を以て彼を讚め揚げよ、大聲の鈸を以て彼を讚め揚げよ。凡そ呼吸ある者は主を讚め揚げよ。
主よ、孰か爾の至りて光明なる奇蹟を測らん、或は孰か爾の畏るべき祕密を傳へん、爾親ら欲せし如く、我等の爲に人と爲りて、爾の權の力を顯したればなり。蓋爾の十字架にて盜賊の爲に樂園を啓き、爾の葬にて地獄の門を破り、爾の復活にて衆を富ませり。慈憐の主よ、光榮は爾に歸す。
句 主我が神よ、起きて、爾の手を擧げよ、苦しめらるる者を永く忘るる毋れ。
香料を攜ふる婦等最早く爾の墓に至りて、爾不死の言及び神に香料を釁らんと望みしに、天使の言に諭されて、喜びて歸り、使徒等に、爾が、萬有の生命よ、復活して世界に潔淨と大なる憐とを賜ひしを明に傳へたり。
句 主よ、我心を盡して爾を讚め揚げ、爾が悉くの奇跡を傳へん。
神を受けし墓の番兵はイウデヤ人に謂へり、噫爾等の空想なる議定や、限られぬ者を護らんと試みて徒に勞せり、釘せられし者の復活を隱さんと欲して明に之を顯せり。噫爾等の空想なる議會や、何ぞ隱されぬことを復隱さんと謀る、寧我等より聞きて、成りたる事の實なるを信ぜよ。電の如き天使は天より降りて石を移せり、彼を懼るるに因りて我等は死せし者の如くなれり。
彼は智なる攜香女に呼びて云へり、番兵の死せる如くなり、封印の啓け、地獄の罄されたるを見ざるか、何ぞ地獄の勝利を空しくし、死の刺を折きし者を死者の如く尋ぬる。疾く往きて使徒等に復活を福音して、懼なく呼べ、大なる慈憐を有つ主は實に復活し給へり。
光榮、早課の福音の讚頌。今も、「生神童貞女よ、爾は至りて讚美たる者なり」。大詠頌。
次ぎて復活の讚詞。
今救は世界に及べり。我等墓より復活せし吾が生命の首なる主に歌ふ、其死にて死を滅し、我等に勝利と大なる慈憐とを賜へり。
主日の聖体礼儀に
聖體禮儀には眞福詞、第五調。
ハリストスよ、盜賊は十字架に在りて爾を神なりと信じ、誠の心より爾を承け認めて呼べり、主よ、爾の國に於て我を憶ひ給へ。
句 心の淸き者は福なり、彼等神を見んとすればなり。
我が族の爲に十字架の木に於て生命の花を開き、木に緣る詛を枯らしし者を、救世主及び造物主として同心に讚め歌はん。
句 和平を行ふ者は福なり、彼等神の子と名づけられんとすればなり。
ハリストスよ、爾は己の死を以て死の力を壞り、古世よりの死者、爾眞の神及び我等の救世主を歌ふ者を己と偕に起し給へり。
句 義の爲に窘逐せらるる者は福なり、天國は彼等の有なればなり。
ハリストス、生を施す主よ、尊き女等は爾の墓に來りて、爾に香料を傅らんと欲せしに、天使は彼等に現れて呼べり、主は復活し給へり。
句 人我の爲に爾等を詬り、窘逐し、爾等の事を僞りて諸の惡しき言を言はん時は、爾等福なり。
ハリストスよ、爾は定罪せられたる二人の盜賊の間に十字架に釘せられしに、一人は爾を誹りて、義に稱ひて罪せられ、一人は爾を承け認めて、樂園に入れられたり。
句 喜び樂しめよ、天には爾等の賞多ければなり。
尊き女等は使徒の會に來りて呼べり、ハリストスは復活し給へり、彼を主宰及び造物主として伏し拜まん。
光榮、聖三者讚詞 分れざる聖三者、全功全能なる惟一者、父、子、及び聖神よ、我等爾眞の神及び我等の救世主を歌ふ。
今も、生神女讚詞 活ける神の宮及び過られぬ門よ、慶べ、焚かれざる火の狀の寶座よ、慶べ、エムマヌイル、ハリストス我等の神の母よ、慶べ。
提綱、第五調。
主よ、爾は我等を保ち、我等を護りて、斯の世より永遠に至らん。
句 主よ、我を救ひ給へ、蓋義人は絕えたり。
「アリルイヤ」、主よ、我永く爾の慈憐を歌ひ、我が口を以て世世に爾の眞實を傳へん。
句 蓋我言ふ、慈憐は永く建てられたり、爾は爾の眞實を天に固めたり。
主日の晩課
「主よ、爾に籲ぶ」に痛悔の讚頌、第五調。
句 主よ、若し爾不法を糾さば、主よ、孰か能く立たん。然れども爾に赦あり、人の爾の前に敬まん爲なり。
我不當にして、聊も吾が罪を蔽ふ行の無き者は、爾が言ふ所の畏るべき報を見て、泣きて痛く歎き、且祈る、我が終の至らざる先、死の收穫の先、懼るべき審判の先、我が定罪せられて、罪人等を囓まんとする滅えざる火、外の暗、死せざる蟲と切齒との我に及ばざる先に、我がハリストスよ、我に諸罪の赦と大なる憐とを與へ給へ。
句 我主を望み、我が靈主を望み、我彼の言を恃む。
我が神、我が造成主よ、我不當の者は爾の律法及び聖書を顧みず、爾の誡を棄てて、如何ぞ彼處の苦を逃れん。故に救世主よ、我が終の先に我に淚の雨、眞の傷感、及び赦免を與へ給へ、仁慈なる神として、地獄の淵に我を墜さんと謀る惡鬼の隊を我より遠く逐ひ給へ。救世主よ、爾に祈る、爾の全能の手を我より離す毋れ。
句 我が靈主を待つこと、番人の旦を待ち、番人の旦を待つより甚し。
鳴呼哀しい哉、我不當の者は如何ぞ智慧の昧まされたる、如何ぞ爾より離れて、罪に役事し、我が内に居る肉慾の逸樂に全く己を委ねたる。今我が生命の終及び將來の苦を待つ。至仁なる主よ、我に淚の痛悔と我が無數の諸罪の釋とを與へ給へ。我熱信に爾世界に大なる慈憐を賜ふ主に祈る。
又無形軍の讚頌
句 願はくはイズライリは主を恃まん、蓋憐は主にあり、大なる贖も彼にあり、彼はイズライリを其悉くの不法より贖はん。
神元の尊き奧密者、三光一體なる神に無形の聲と火焰の舌とを以て絕えず歌を奉る者よ、汚れたる口より捧ぐる我等の祈禱冀願を彼の前に攜へて、我等の爲に諸罪の赦を求め給へ。蓋我等の柔弱を衣たる主は我等の弱きを知り、且性の仁慈なるに因りて、罪を犯しし諸僕の爲に爾等の禱を納れ給はん、世界に大なる慈憐を賜ふ主なればなり。
句 萬民よ、主を讚め揚げよ、萬族よ、彼を崇め讚めよ。
我が主宰に近づきて、畏を以て其神聖なる寶座の前に立ちて、言ひ難き光に盈てらるる衆天使よ、罪の暗に迷へる我を仁慈なる神の命に由りて救の光に導き、爾等の守護と恩寵とを以て詭譎なる惡鬼の昏暗を逐ひ給へ、蓋光の至るに耐へずして疾く退く。
句 蓋彼が我等に施す憐は大なり、主の眞實は永く存す。
神聖なる恩寵の寶座の前に立ちて、神聖なる光より眞の光照を受くる神の光明なる諸天使、人人を愛する者よ、我等罪惡の暴風の中に在りて難を受くる者、及び昏昧に寢ぬる者を天より眷み給へ。鳴呼天使首よ、來りて我等を助け、我等を諸惡の原たる敵の網より脫れしめ給へ、崇め讚めらるる者よ、我等皆爾の帲幪の下に趨り附けばなり。
光榮、今も、生神女讚詞 潔き者よ、爾は實にヘルワィムの寶座にして、諸天使に超ゆる者なり、蓋神の言は我等の形を新にせんと欲して、爾の内に入りたり、身を取りて爾より出でて、仁慈なるに由りて我等の爲に十字架及び苦を受け、神なるに由りて復活を賜へり。故に我等爾が我等の定罪せられし性を造物主と和睦せしめしを感謝して、爾に呼ぶ、爾の祈禱に由りて我等に諸罪の赦と憐とを與へ給へ。
次ぎて「穩なる光」本日の提綱。「主よ、我等を守り」。
挿句に痛悔の讚頌、第五調。
主よ、我罪を犯して息めず、仁愛を蒙りて覺らず、獨仁慈なる主よ、我が心の頑陋なるに勝ちて、我を憐み給へ。
句 天に居る者よ、我目を擧げて爾を望む。視よ、僕の目主人の手を望み、婢の目主婦の手を望むが如く、我等の目は主我が神を望みて、其我等を憐むを俟つ。
主よ、我爾の威嚴を畏るれども、惡を行ふを息めず、誰か審判に遇ひて審判者を畏れざる、或は誰か醫されんと欲して醫師を怒らすること我の如くなる。恒忍の主よ、我が劣弱に慈憐を垂れて、我を憐み給へ。
句 主よ、我等を憐み、我等を憐み給へ、蓋我等は侮に饜き足れり。我等の靈は驕る者の辱と誇る者の侮とに饜き足れり。
讚美たる致命者よ、爾等は地上の諸事を顧みずして、勇ましく己を苦に付し、福樂の望を誤らずして、天の國を嗣ぐ者と爲れり。人を愛する神の前に勇敢を有ちて、世界に平安、我等の靈に大なる慈憐を求め給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 至榮至大にして畏るべき祕密なる哉、容れられぬ者は腹に入り、母は產の後にも猶童貞女なり、蓋彼より身を取りし神を生み給へり。我等之を歌頌し、之に歌を奉りて、諸天使と偕に呼ばん、聖なる哉ハリストス神、我等の爲に人と爲りし主や、光榮は爾に歸す。
次ぎて「主宰よ、今爾の言に循ひて」。聖三祝文。「天に在す」の後に聖人の讚詞。光榮、今も、生神女讚詞、讚詞の調に循ふ。其後聯禱、及び發放詞。
主日の晩堂課
至聖なる生神女に奉る祈禱の規程、第五調。
第一歌頌
イルモス 强き手にて戰を滅すハリストスは馬と騎者とを紅の海に落し、凱歌を歌ふイズライリを救ひ給へり。
童貞女よ、實に驚くべき奇跡は爾の内に行はる、蓋爾は己の腹に容れられぬ者を宿し、言ひ難く生みて、永貞童女に止まり給へり。
爾に來りし天の雨を言ひ難く容れて、不可思議なる產の後に童貞女に止まりし女宰よ、我に諸罪の赦を降し給へ。
光榮 獨祝讚せられて神の恩寵を蒙れる童貞女、人人の爲に言ひ難き歡喜を生みし者よ、祈る、我が靈の憂を去りて、我が心を樂しましめ給へ。
今も 至りて無玷なる童貞女よ、至大なる仁慈に因りて爾より輝きし者は全く冀望及び生命の甘味なり。我今絕えず爾を讚榮する者を救はんことを彼に祈り給へ。
第三歌頌
イルモス 己の命にて虛しき處に地を固め、保ち難く重き者を懸けしハリストス、獨仁慈にして人を愛する主よ、爾が誡の動かざる石に爾の敎會を堅く立て給へ。
純潔なる童貞女よ、影なる律法の行は過ぎ去れり。蓋爾は、至淨なる者よ、我等の爲に立法者ハリストス、潔淨と光照との恩寵の法を立てて、詛より脫れしむる主を生み給へり。
潔き者よ、爾より身を取りし神は生れて、先の見えざる者は身にて見ゆる者と爲れり。少女よ、熱心に彼に祈りて、我欣ばしく爾を讚榮する者を見ゆると見えざる敵より脫れしめんことを求め給へ。
光榮 諸慾の激しき浪は我を溺らし、惡鬼の淵は我を圍み、罪の暴風は我が心を擾す。神の母よ、爾は欣ばしく爾を歌ふ者を堅め給へ。
今も 我等は神聖なるガウリイルに從ひて、敬虔と熱信とを抱きて、心を同じくして婚姻に與らざる母生神女に慶べよを奉らん、彼に因りて患難、憂愁、諸病より救はるればなり。
第四歌頌
イルモス ハリストスよ、アウワクムは先知の目にて爾が神妙の謙遜を悟り、戰きて爾に呼べり、爾の民を救ひ、爾の膏つれられし者を救はん爲に來り給へり。
雲を以て天に衣する主の爲に爾の童貞の血より爾の内に衣を織りし童貞女よ、曩に誘惑を以て裸體にせられし我に不朽の衣を衣せ給へ。
童貞女よ、爾の腹は聖なる王及び神の言ひ難き宮と爲れり、此に入りて、彼は我等を屬神゜の堂と爲し給へり。
光榮 純潔なる神の母よ、爾は慈憐なるに因りて、我が至りて不當なる靈、諸慾諸罪に因りて甚しく昧まされて無感覺と爲りし者に慈憐を垂れ給へ。
今も 潔き者よ、爾はイエッセイの根より不朽の國の女王と輝きて、アダムとダワィドとの神又造成者及び主たる子を夫なく生み給へり。
第五歌頌
イルモス 光を衣の如く衣る者よ、我爾に朝の禱を奉りて爾に呼ぶ、ハリストスよ、我が昧まされし靈を照し給へ、爾は獨仁慈の主なればなり。
無玷なる者よ、爾は產の後に不朽なる童貞女に止まり、朽壞せし衆人を生命に導き、不朽を以て彼等を輝かし給ふ。
至淨なる神の聘女よ、爾は世世の先に父より輝きし永久の者を新なる嬰兒として生み給へり。彼に世界の爲に祈り給へ。
光榮 童貞女よ、我が爾より生れし者の審判座の前に立たん時、願はくは我を審判の詰問より脫れしむる保護者として爾を獲ん。
今も リワンより來りし神の聘女・童貞女、全く美しくして無玷なる者よ、聖神に藉りて爾の内に神の子が人體を取ることは預言せられたり。
第六歌頌
イルモス 主宰ハリストスよ、靈を壞る颶風に荒らさるる慾の海を鎭めて、我を淪滅より援け給へ、爾は仁慈の主なればなり。
生神女よ、爾は夫を識らずして、我等の卑微に慈憐を垂れ給ふエムマヌイルを生み給へり。故に我等は宜しきに合ひて爾を讚榮す。
至聖なる者よ、爾は智慧に超えて永久の者を、言に超えて造成主を生み給へり。彼は爾を生神女と歌ふ者を凡の朽壞より救ひ給ふ。
光榮 至善なる造成主及び恩主を生みし至聖なる女宰、善を愛する者よ、惡に耽る我が靈を善なる者と爲し給へ。
今も 純潔なる者よ、我等は爾に新しき又舊き讚美を奉る、蓋我等には爾を讚美する爲にガウリイルと偕に爾に慶べよと歌ふより更に善きはなし。
次ぎて主憐めよ、三次。光榮、今も、
坐誦讚詞、第五調。
我は己の惡しき行と、少き時より我を圍みて靈を壓する諸罪の深處とを思ひて、今審判に先だちて己の爲に泣く。潔き者よ、爾の轉達を以て我に赦を與へて、救を得しめ給へ。
第七歌頌
イルモス 尊まるる先祖の主は焰を滅し、少者を凉しくせり、彼等心を合せて、神よ、爾は崇め讚めらると歌へばなり。
至淨なる者よ、我を惡しき煩悶と諸慾の昏昧と永遠の定罪より脫れしめ給へ、我が信を以て爾を讚榮せん爲なり。
生命を生みし者よ、我が諸慾を殺し給へ。神の聘女よ、我臥す者を無感覺の墓より起し給へ、我が愛を以て爾を讚榮せん爲なり。
光榮 至りて無玷なる者よ、爾は無形の神を身を衣たる者として生み給へり。彼は我等畏を以て、神よ、爾は崇め讚めらると歌ふ者を救ひ給ふ。
今も 童貞女よ、我等は功なくして爾の淨き祈禱を醫治として得て、歌ひて靈の全愈、體の强健を求む。
第八歌頌
イルモス 少者は爐に在りて爾萬物を造りし主の前に全世界の詠隊と爲りて歌へり、悉くの造物は主を歌ひて、萬世に崇め讚めよ。
光の門よ、我が爲に痛悔の光明なる門を啓き、凡の義の途を示して、神の旨を行はしめ給へ。
童貞女母よ、爾は父と同無原なる子を新なる嬰兒として地上に生み給へり、其言ひ難き慈憐を以て、我等罪に由りて朽壞せし者の形を受けんと欲したればなり。
光榮 常に榮せらるる童貞女よ、爾は全く美しく、全く妝はれ、神が愛して選びたる者と現れたり。故に潔き者よ、我等世世に爾を歌ふ。
今も 至淨なる者よ、神の神゜は爾を預言して言へり、我の親しき者よ、爾は全く潔くして神聖なる光榮に滿てられたりと。故に我等爾を歌頌して歌ふ、爾神人を生みし者には喜ぶこと適へり。
第九歌頌
イルモス イサイヤ祝へよ、童貞女は孕みて、子エムマヌイル、神及び人なる者を生めり、其名は東。我等彼を崇めて、童貞女を讚め揚ぐ。
純潔なる者よ、爾に趨り附く者の歎息を今退くる勿くして、我等憂の中に在りて歌を以て爾を歌頌する者の涕泣を喜に、傷感を樂に變じ給へ。
神聖なる命を以て地を水の上に基けし救世主を生みし潔き者よ、爾は動かざる基なり、此の上に我等欣ばしく爾を讚美する者を堅く立てんことを祈り給へ。
光榮 生神女よ、爾の產は智慧に超ゆ、蓋爾は夫なく孕みて、童貞女にして生み給へり、生れし者は神なればなり。我等彼を崇めて、爾生みし者を讚め揚ぐ。
今も 主よ、爾は畏るべし、ハリストス惟一の王よ、爾審判を行はんに、其時誰か爾の恐嚇に堪へん。故に祈る、救世主よ、爾を生みし者の嘉せらるる祈禱に由りて、我を宥めて救ひ給へ。
次ぎて「常に福にして」。其他常例の如し、及び發放詞。
月曜日
月曜日の早課
第一の誦文の後に痛悔の坐誦讚詞、第五調。
審判者が坐し、諸天使が前に立ち、角の鳴り、焰の燃ゆる時、吾が靈よ、審判に曳かれて何をか爲さん。其時犯しし罪は爾の前に立ち、爾の隱なる諸罪は顯れん。故に終の至らざる先に審判者に呼べ、神よ、我を潔め、我を救ひ給へ。
句 主よ、爾の憤を以て我を責むる毋れ、爾の怒を以て我を罰する毋れ。
我等皆警醒して、多くの油と光明なる燈とを以てハリストスを迎へん、婚筵の宮の内に入らん爲なり。蓋門の外に在る者は徒に神に呼ばん、我を憐み給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 ヘルワィムより聖にして、セラフィムより上なる至りて潔き者よ、我等罪なる者は爾を實に生神女と承け認め、保護者と有ちて、患難の時に救を得。故に我が靈の權力及び避所よ、我等の爲に息めずして祈り給へ。
第二の誦文の後に坐誦讚詞、第五調。
靈よ、今世の事は暫時にして、來世の事は永遠なり、我審判所を見、寶座に坐し給ふ審判者を見て、應答に慄く。是より急ぎて反正せよ、審判には赦なし。
句 主よ、爾の憤を以て我を責むる毋れ、爾の怒を以て我を罰する毋れ。
我多くの罪の牀に臥し、我が救の望は奪はれたり、蓋我が怠惰の眠は吾が靈に苦を招く。童貞女より生れし神よ、我を興し給へ、我が爾を歌ひて讚榮せん爲なり。
句 神よ、爾は爾の聖所に於て嚴なり。
致命者讚詞 今日受難者の記憶は地に輝き、天にも光る、天使の會は祝ひ、人の族は共に歡ぶ。故に彼等は主に我等の靈の憐を蒙らんことを祈り給ふ。
光榮、今も、生神女讚詞 生神女よ、我等は歡喜の聲を以て諸天使と偕に天の讚美、人人と偕に地の讚頌を奉りて、爾に呼ぶ、最濶き天の門よ、慶べ、獨地に生るる者の救よ、慶べ、恩寵を蒙りて、身を取りし神を生みし潔き者よ、慶べ。
第三の誦文の後に坐誦讚詞、第五調。
救世主よ、我無智の慾に由りて傴みて、放蕩に我が生命を費しし者を召して、蕩子の如く受け、大なる慈憐を以て我が爲に父の懷を啓きて、無形の者の祈禱に因りて我に古の尊貴を得しめ給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 爾に趨り附く者の爲に熱心にして勝たれぬ轉達者、堅固にして耻を得ざる恃賴、垣墻、帲幪及び港なる潔き永貞童女よ、爾の子及び神に諸天使と偕に祈りて、世界に平安と拯救と大なる憐とを賜はんことを求め給へ。
規程、其冠詞は、言よ、多く爾に罪を犯しし我を宥め給へ。イオシフ師の作。第五調。
第一歌頌
イルモス 我等驚くべき奇蹟を紅の海に行ひし主に凱歌を謳はん、彼光榮を顯したればなり。
ハリストスよ、我仇敵の多くの誘惑に餌せられて迷へる者を轉ぜしめて、宥め給へ、爾は全能の主なればなり。
聾者の耳を啓きしハリストスよ、祈る、我が聾と爲りたる靈の耳を啓き給へ、我が爾の言を聽かん爲なり。
致命者讚詞 義の日たるハリストスの新に現れし星たる致命者よ、我等の心より昏昧を逐ひ給へ。
致命者讚詞 受難者は聖神の神聖なる熾炭に燃されたる箭と現れて、蛇の悉くの矢を折く。
生神女讚詞 神の光榮の門よ、祈る、我が爲に痛悔の門を啓きて、我が卑微なる靈を地獄の門より脫れしめ給へ。
又無形天軍の規程、其冠詞は、諸天使に第五の歌。フェオファンの作。第五調。
第一歌頌
イルモス 强き手にて戰を滅すハリストスは馬と騎者とを紅の海に落し、凱歌を歌ふイズライリを救ひ給へり。
光を施す神元の奧密者たる諸天使、直に受けたる其光線にて輝く者よ、主宰に光を以て吾が靈を照さんことを祈り給へ。二次。
鳴呼天軍首、天の品位の先立者よ、高き寶座の前に立つ者として、勇敢を有ちて、敬虔の心を以て爾等を歌ふ者を諸難より脫れしめ給へ。
生神女讚詞 詛は釋かれ、悲は息みたり、蓋祝福せられて恩寵を蒙れる者は四極の爲に祝福たるハリストスを生みて、信者に喜を耀かし給へり。
第三歌頌
イルモス 神は諸民の上に王と爲り、神は其聖なる寶座に坐し給ふ。我等は心智を以て彼を王及び神として歌ふ。
一人の亡びんことをも欲せざる仁慈宏恩の主よ、我亾ぶる者を宥めて、爾の慈憐の指麾を以て我を救ひ給へ。
知ると知らずして爾の前に罪を犯す者の一切を知るハリストス主よ、我來りて爾に俯伏する者を蕩子の如く納れ給へ。
致命者讚詞 福たる致命者よ、爾等は活ける罪を殺して、敵の死せしを顯さん爲に肉體の死を顧みざりき。
致命者讚詞 致命者よ、爾等は苦にて飾られ、血に染みたる衣にて妝はれ、榮冠を冠る者として萬有の王の前に立ち給ふ。
生神女讚詞 肉體を取りし神を生みたる童貞女母よ、常に爾に呼ぶ者の聲を受けて、我等を諸の患難より脫れしめ給へ。
又
イルモス 己の命にて虛しき處に地を堅め、保ち難く重き者を懸けしハリストス、獨仁慈にして人を愛する主よ、爾が誡の動かざる石に爾の敎會を堅く立て給へ。
爾の全能なる仁慈を顯して、言を以て天上の軍の品位を睿智に造りたる獨仁慈にして人を愛する主よ、彼等の轉達を以て爾の敎會を堅め給へ。二次。
言ひ難き光照を以て諸天使を飾り、彼等に因りて爾の敎會を堅むる仁慈なるハリストス主宰よ、祈る、彼等を以て我が不當なる靈を照して、我が數へ難き罪を憶ふ勿れ。
生神女讚詞 至淨にして讚美たる童貞女よ、爾は、無形の品位を照す主、常に惟一の神元を三位に歌はしむる神の母と爲り給へり。
第四歌頌
イルモス 主よ、爾が攝理の作爲は預言者アウワクムを驚かせり、蓋爾は爾の民の救の爲に出で、爾の膏つけられし者を救はん爲に臨めり。
我が生涯行ひし作爲は惡なり、不當なり、ハリストス我が神よ、我に正直なる痛悔を與へて、我を是等より救ひ給へ。
ハリストスよ、我凡の尊き誡を犯し、爾を畏るる心を喪ひし者は爾の逭れ難き審判を畏る。慈憐の主よ、其時我を定罪する勿れ。
致命者讚詞 言よ、爾の受難者は革帶を以て繫がれ、傷創にて甚しく蔽はれ、鐵搭にて爬かれて、信を以て喜べり。
致命者讚詞 勇敢なる受難者よ、凶惡者は爾等の堅く立てるを聊も動かすこと能はざりき、故に爾等は多くの動かさるる者の爲に神聖なる堅固と爲り給へり。
生神女讚詞 讚美たる者よ、主は爾の潔き血より身を取りて、爾を尊む者に爾の慈憐なる轉達に因りて、痛悔を賜ふ、仁慈にして獨人を愛しむ主なればなり。
又
イルモス ハリストスよ、アウワクムは先知の目にて爾が神妙の謙遜を悟り、戰きて爾に呼べり、爾の民を救ひ、爾の膏つけられし者を救はん爲に來り給へり。
大仁慈なる主よ、爾は天使の品位を造りて、爾の神たる光を以て之を光照して、至りて輝く者と爲し、爾の權力を以て之を堅めて、大なる能力を具ふる者と爲し給へり。二次。
信者よ、我等は肉體の地上の念を去り、無形の品位の度生に效ひて、智慧を屬神の事に傾けん。
生神女讚詞 華美を以て竝なく天使の品位に超ゆる至りて無玷なる者よ、我が爲に轉達者と避所及び港と爲りて、我が諸慾の暴風を斥け給へ。
第五歌頌
イルモス 眞の光なるハリストス神よ、我が神゜は夜中より爾を慕ふ、爾の顏を我に顯し給へ。
嗚呼靈よ、重き眠たる我が甚しき罪より覺め興きて、痛悔の光に照されよ。
我等勤勉を以て靈を新にし、傷感の淚を以て飮料とせん、痛悔の穗を生ぜん爲なり。
致命者讚詞 受難者よ、爾等は愛の熾炭を以て天の鍛へたる最銳き劍と顯れて、敵の軍を剿ち給へり。
致命者讚詞 受難者よ、爾等は敵に服從せずして、之を服從せしめて、ハリストスの親しき友と爲り給へり。
生神女讚詞 女の中に祝福せられたる童貞女よ、爾の慈憐を爾の民に垂れ給へ、爾は仁慈なる主の母と爲りたればなり。
又
イルモス 光を衣の如く衣る者よ、我爾に朝の禱を奉りて爾に呼ぶ、ハリストスよ、我が昧まされし靈を照し給へ、爾は獨仁慈の主なればなり。
至りて光榮なる天使首よ、爾等は全地の極を巡りて、主宰の恩惠を信者に攜へ、且彼等を護り給ふ。二次。
神父の言よ、光榮にして飾られたる天の品位は爾の言に循ひて、爾の光照の光に照さる。
生神女讚詞 悉くの聖なる望の滿足なる主を生みし潔き者よ、我爾を生神女と承け認むる者に善行の望を起さしめ給へ。
第六歌頌
イルモス 主よ、爾は預言者を鯨より脫せり、我を諸罪の深處より引き上げて、拯ひ給へ。
斯の生に於て我不當の者は獨行はざる罪なし、獨罪なき主よ、我を憐み給へ。
我等皆熱心の帆を擧げて、痛悔を以て救の港に急がん、救はるるを得ん爲なり。
致命者讚詞 宣傳者、使徒、致命者の苦にて造物は輝かさる、人を愛する主よ、彼等に由りて我等をも照し給へ。
致命者讚詞 我等皆、神の光線を容れし器、尊き光體なる致命者を崇め讚めん。
生神女讚詞 信者の轉達者たる童貞女よ、爾の諸僕が凡の罪より救はれんことを主に祈り給へ。
又
イルモス 主宰ハリストスよ、靈を壞る颶風に荒らさるる慾の海を鎭めて、我を淪滅より援け給へ、爾は仁慈の主なればなり。
裝飾せられたる天使の品位よ、爾等は直に神の光照に照されて、光より光に進む。二次。
三光の光線に優に裝飾せらるる天使及び天使首よ、爾等の祈禱を以て我が不當なる靈を照し給へ。
生神女讚詞 至淨なる者よ、爾は諸天使の敬みて前に立ち、喜び且戰きて見る所の神、萬有の造成主を孕み給へり。
第七歌頌
イルモス 光榮の寶座に坐して淵を臨む、讚美たる至榮なる神よ、爾は崇め讚めらる。
慈憐に因りて悉くの痛悔する者を受け給ふ讚美たる至榮なる神よ、爾は崇め讚めらる。
吾が柔弱を知る慈憐なるハリストス、讚美たる至榮なる主よ、我が多くの慾を醫し給へ。
致命者讚詞 受難者の會は神の力に堅められて、諸敵に勝ちて呼べり、讚美たる至榮なる神よ、爾は世世に崇め讚めらる。
致命者讚詞 睿智なる受難者を多種の苦を忍ばん爲に堅めし言よ、彼等の祈禱に由りて衆を宥め給へ。
生神女讚詞 童貞女の腹に入りて、人を救ひ給ひし讚美たる至榮なる神よ、爾は世世に崇め讚めらる。
又
イルモス 尊まるる先祖の主は焰を滅し、少者を凉しくせり、彼等心を合せて、神よ、爾は崇め讚めらると歌へばなり。
天使首よ、ハリストスは測り難き力を顯して、爾等を立てて、歌はんことを敎へたり、神よ、爾は崇め讚めらる。二次。
仁慈を以て無形の品位の無量なる數を飾り給ふ主よ、信者の會をして爾を歌ふを得しめ給へ、神よ、爾は崇め讚めらる。
生神女讚詞 信を以て、神よ、爾は崇め讚めらると歌ふ衆信者に無慾を流しし童貞女よ、諸慾に動かさるる我を今堅め給へ。
第八歌頌
イルモス 萬物の造成主、諸天使の畏るる者を、人人よ、歌ひて、萬世に讚め揚げよ。
主よ、罪惡に因りて死者と爲りし我を活かし給へ、我が萬世に爾を讚榮せん爲なり。
主よ、痛悔を以て我を照して、諸罪の暗昧より脫れしめ給へ、我が萬世に爾を讚榮せん爲なり。
致命者讚詞 受難者致命者は至榮に天より露を承けて、迷の焰を踐み給へり。
致命者讚詞 聖なる者よ、爾等は肥えたる地の如く、實に百倍の穗を主ハリストスに獻じたり。
生神女讚詞 讚美たる童貞女よ、神は爾より輝き出でて、神を知る智識を以て昧まされし者を照し給へり。
又
イルモス 少者は爐に在りて爾萬物を造りし主の前に全世界の詠隊と爲りて歌へり、悉くの造物は主を歌ひて、萬世に崇め讚めよ。
天使の會は今我を招きて歌を獻ぜしむ、我熱心なる望を以て彼等と共に歌ふ、悉くの造物は主を歌ひて、世世に彼を崇め讚めよ。二次。
至聖なる三日の光の役者よ、信を以て、造物は主を歌頌して、世世に彼を崇め讚めよと歌ふ者の救はれんことを祈り給へ。
生神女讚詞 光の門たる童貞女母よ、信を以て、造物は主を歌頌して、世世に彼を崇め讚めよと歌ふ者を爾の光にて照し給へ。
第九歌頌
イルモス 我等人類は爾女の中に福なる者、神に祝福せられたる童貞女を歌を以て崇め讚む。
主よ、我無知にして無數に罪を犯しし者に慈憐を垂れ給へ、言よ、我に爾の國を獲しめ給へ。
獨一の救世主よ、昔痛悔せしニネワィヤ人を救ひし如く、爾を歌ふ我等をも爾の慈憐を以て救ひ給へ。
致命者讚詞 主の受難者、神の光榮に與る者よ、爾等は體を種種の瘡痍に付して、靈を瘡痍なくして救へり。
致命者讚詞 萬有の主の瘡痍を己の身に負ひし者よ、爾等は晝に輝く星、地上に衆人の靈を照す者と現れたり。
生神女讚詞 童貞女よ、爾は火の寶座の如く、萬物を己の手に載する主を載せ、萬有を養ふ主を乳にて養へり。
又
イルモス イサイヤ祝へよ、童貞女は孕みて、子エムマヌイル、神及び人なる者を生めり、其名は東。我等彼を崇めて、童貞女を讚め揚ぐ。
天使の品位の光榮なる首、至りて光明なるミハイル、及び爾神が人體を取ることの眞の宣傳者と爲りしガウリイルよ、爾等を歌ふ衆人を護り給へ。二次。
富める恩賜を以て己の寶を豐に流し、天使の品位を造りし主宰よ、彼等と偕に審判者及び萬有の王として來る時、我爾の仁慈に趨り附く者を救ひ給へ。
生神女讚詞
純潔無玷にして至福なる生神女よ、無形なる寶座、ヘルワィムとセラフィム、權柄と能力、首領と主制、光明なる天使及び天使首は爾の子に奉事す。
挿句に痛悔の讚頌、第五調。
童貞女より生れし主よ、祈る、我が多くの罪過を顧みずして、我に痛悔の心を與へて、我が悉くの罪を潔めて我を憐み給へ、爾獨人を愛する主なればなり。
句 主よ、夙に爾の憐を以て我等に飽かしめよ、然せば我等生涯歡び樂しまん。爾我等を撲ちし日、我等が禍に遭ひし年に代へて、我等を樂しましめ給へ。願はくは爾の工作は爾の諸僕に著れ、爾の光榮は其諸子に著れん。
禍なる哉、我孰にか似たる者と爲りし、果なき無花果樹の如くなりて、詛と斫らるることとを畏る。祈る、天の耕作者ハリストス神よ、我が荒れたる靈を果を結ぶ者と爲し、我を蕩子の如く受けて、我を憐み給へ。
句 願はくは主吾が神の惠は我等に在らん、願はくは我が手の工作を我等に助け給へ、我が手の工作を助け給へ。
天の王の軍は祝讚せらるる哉、受難者は地に生れし者なれども、天使の位に至らんことを勉め、肉體を顧みずして、苦に因りて無形の者の尊貴を獲たり。主よ、彼等の祈禱に由りて我等に大なる憐を垂れ給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 恩寵を蒙れる者よ、祈る、爾の祈禱を以て轉達して、我等の靈の爲に多くの慈憐と多くの罪の潔淨とを求め給へ。
次ぎて「至上者よ、主を讚榮し」。聖三祝文。「天に在す」の後に、若し之あらば、聖人の讚詞、若しなくば、本日の讚詞。次に聯禱、第一時課、及び其他常例の如し、幷に發放詞。
月曜日の聖体礼儀に
月曜日の眞福詞、第六調。
ハリストスよ、盜賊は十字架に在りて爾を神なりと信じ、誠の心より爾を承け認めて呼べり、主よ、爾の國に於て我を憶ひ給へ。
句 義の爲に窘逐せらるる者は福なり、天國は彼等の有なればなり。
靈を滅す盜賊は生命の道に遇ひて我に傷つけたり。ハリストスよ、我今爾の慈憐に趨り附きて祈る、我を醫して救ひ給へ。
句 人我の爲に爾等を詬り、窘逐し、爾等の事を僞りて諸の惡しき言を言はん時は、爾等福なり。
天の品位は爾萬有の神を歌頌す。主宰よ、祈る、彼等の聖なる轉達に因りて我が多くの惡を顧みずして、我を救ひ給へ。
句 喜び樂しめよ、天には爾等の賞多ければなり。
天使の會に合せられて、暮れざる光に滿てらるるハリストスの受難者よ、我が心の惡臭の慾を滅し給へ。
光榮 我等地に生るる者は天上に歌はるる神に天使の如く三聖の歌を歌はん、聖なる哉無原の父、子、及び聖神や。
今も 天使の言に因りて爾の腹に歡喜を受けし潔き者よ、惡事に因りて悲しめる我が靈を歡喜に滿てて、我を光に導き給へ。
月曜日の晩課
「主よ、爾に籲ぶ」に痛悔の讚頌、第五調。
句 主よ、若し爾不法を糾さば、主よ、孰か能く立たん。然れども爾に赦あり、人の爾の前に敬まん爲なり。
禍なる哉、我、仁慈なる我が神及び主を怒らしし者や。ハリストスよ、幾次か我信を守り善を行ふことを約したれども、常に謊る者と見れたり。先づ洗禮の衣を汚して、我が爾に於ける約を守らざりき、後屢痛悔を爲し、奧密に慈憐を蒙りて、諸罪の赦を得たれども、復肉慾に從ひ、惡鬼に誘はれて、諸の罪を犯すを止めざりき。仁慈の深き救世主よ、終に至るまで我を滅亾に委ぬる毋れ。
句 我主を望み、我が靈主を望み、我彼の言を恃む。
不當なる靈よ、爾審判の日に何の報を得んか、抑孰か爾を永遠の火、其他の苦の擬定より脫れしめんか。若し爾自ら惡事を棄てず、善事に生を送りて主の憐を得ずば、孰も有るなし。故に日日に淚を流して、ハリストスに祈りて、爾の無量の罪、時每に行と言と思とを以て犯す者の全き赦免を賜はんことを求めよ。
句 我が靈主を待つこと、番人の旦を待ち、番人の旦を待つより甚し。
救世主よ、願はくは罪の習慣は我を縛らず、又惡鬼、常に戰ひて己の旨に從はしめんと欲する者は我を制せざらん。全能の主よ、爾の强き手を以て我を其管下より出して、親ら我の内に王と爲り給へ。仁愛なる言よ、我を全く爾に屬せしめ、爾の旨に適ひて生を度らしめ、爾の内に我を息はしめ、我に潔淨と拯救と大なる憐とを得しめ給へ。
又 前驅の讚頌、同調。
句 願はくはイズライリは主を恃まん、蓋憐は主にあり、大なる贖も彼にあり、彼はイズライリを其悉くの不法より贖はん。
ハリストスの前驅、福たる致命者よ、我信を以て爾の神聖なる帲幪の下に趨り附く、全く地に傾きて、甚しく戕はれし我を醫し給へ。祈る、畏るべき審判の日に我が審判座の前に立たん時、我を定罪と永遠の苦より脫れしめ給へ、睿智者よ、爾は世界に大なる憐を賜ふ主の前に耻を得ざる勇敢を有てばなり。
句 萬民よ、主を讚め揚げよ、萬族よ、彼を崇め讚めよ。
ハリストスの睿智なる前驅、日よりも明なる燈よ、祈る、無量の惡の暗昧に陷りし我に光の光線を輝かし、我を罪の穽より起して、爾の尊き聲を以て導き給へ。昔爾の產を以て父の聲を解きたる者よ、祈る、今我が聲を直くし給へ、我が信と愛とを以て仁愛なる救世主、世界に大なる憐を賜ふ神を讚榮せん爲なり。
句 蓋彼が我等に施す憐は大なり、主の眞實は永く存す。
福たる預言者、前驅、及び宣傳者イオアン、救世主に悉くの人より大なりと稱せられし者よ、爾は實に神の神聖なる殿たりき、萬衆に生を施す主を己の心に有ちたればなり。祈る、奇異なる者よ、我等爾の聖なる殿に趨り附きて、爾を尊む者が神に近づきて、聖神の殿と爲らんことを求め給へ、我が歌を以て爾の轉達と熱切なる祈禱とを崇め讚めん爲なり。
光榮、今も、生神女讚詞 我幼き時より罪を犯して息めず、我が智慧を昧まし、心を惡に習はしたり。今我歎きて、我が甚しき迷と我が無智と惡しき習及び靈の滅亾の爲に泣く。女宰よ、我亾ぶる者を棄てずして、我を憐みて、爾の轉達を以て我を諸の誘惑及び慾より援け給へ、我が老ゆるに及びても神の前に痛悔せん爲なり。
次ぎて「穩なる光」。本日の提綱、及び聯禱。「主よ、我等を守り」。
挿句に痛悔の讚頌、第五調。
主よ、我罪を犯して息めず、仁愛を蒙りて覺らず、獨仁慈なる主よ、我が心の頑陋なるに勝ちて、我を憐み給へ。
句 天に居る者よ、我目を擧げて爾を望む。視よ、僕の目主人の手を望み、婢の目主婦の手を望むが如く、我等の目は主我が神を望みて、其我等を憐むを俟つ。
主よ、我爾の威嚴を畏るれども、惡を行ふを息めず、誰か審判に遇ひて審判者を畏れざる、或は誰か醫されんと欲して醫師を怒らすること我の如くなる。恒忍の主よ、我が劣弱に慈憐を垂れて、我を憐み給へ。
句 主よ、我等を憐み我等を憐み給へ、蓋我等は侮に饜き足れり。我等の靈は驕る者の辱と誇る者の侮とに饜き足れり。
致命者讚詞 主よ、爾の諸聖人は信の盾を具足し、十字架の記號にて己を堅め、勇ましく己を苦に付して、惡魔の驕慢と誘惑とを空しくせり。彼等の祈禱に由りて、全能の神として、世界に平安、我等の靈に大なる憐を降し給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 至聖なる母童貞女、地の面より凡の淚を拭ひし者よ、我が深く歎息する靈の痛を鎭め給へ。蓋爾は人人の病を退け、罪を犯しし者の憂を解き給ふ、我等皆爾を倚賴及び堅固として獲たればなり。
次ぎて「主宰よ、今爾の言に循ひて」。聖三祝文。「天に在す」の後に聖人の讚詞、光榮、今も、生神女讚詞、讚詞の調に循ふ。次に聯禱及び發放詞。

月曜日の晩堂課
至聖なる生神女の規程、第五調。
第一歌頌
イルモス 强き手にて戰を滅すハリストスは馬と騎者とを紅の海に落し、凱歌を歌ふイズライリを救ひ給へり。
附唱 至聖なる生神女よ、我等を救ひ給へ。
仁慈にして無玷なる童貞女よ、我に痛悔の靈、心に謙遜、智慧に潔淨、生命に更新、及び諸罪の赦免と淚の泉とを與へ給へ。
我が苦難と傷感とを見、舊き罪過の傷を醫し、我に痛悔の時及び諸罪の告解を與へ給へ。
光榮 純潔なる者よ、我我が惡の淵を思ひて、逝世の先に己の爲に泣く。故に爾に祈る、我を苦より脫れしめんことを爾の子に祈り給へ。
今も 吾が靈よ、痛悔の時を有ちて、凡の惡より離れて、淚と共に爾の造成主に呼べ、我が神よ、爾を生みし者の祈禱に由りて我を救ひ給へ。
第三歌頌
イルモス 己の命にて虛しき處に地を固め、保ち難く重き者を懸けしハリストス、獨仁慈にして人を愛する主よ、爾が誡の動かざる石に爾の敎會を堅く立て給へ。
至淨なる者よ、我が諸慾の魁は我を圍みて、神の像と肖とに從ひて造られし我を耻に滿てたり。祈る、我傷感の情を抱きて爾を歌ふ者を其害より脫れしめ給へ。
至淨なる者よ、仇敵は誘惑を以て我を捕へんと謀りて、永遠の焰の燃料と爲さんと欲す。祈る、其惡謀と惡計とを破り給へ、我が喜びて爾を讚榮せん爲なり。
光榮 義者の敵は誘惑を以て我を多くの罪の深き坎に置けり。至りて無玷なる女宰よ、我今全身に傷つけられ、援助なき者として、爾の祈禱を求む、我を救ひ給へ。
今も 我不當の者は怠惰の中に生を費し、今死の門に近づきて、敵の惡謀を懼れて爾に呼ぶ、我を其誘惑より脫れしめ給へ、我が救はれて爾を讚榮せん爲なり。
第四歌頌
イルモス ハリストスよ、アウワクムは先知の目にて爾が神妙の謙遜を悟り、戰きて爾に呼べり、爾の民を救ひ、爾の膏つけられし者を救はん爲に來り給へり。
至淨なる者よ、我罪の矢に傷つけられて、今全體に病を獲たり。故に爾に呼ぶ、爾の祈禱の良藥を以て我が靈の傷を醫し給へ。
潔き者よ、爾の諸僕を憐み給へ、蓋我等は爾を神の前に轉達者として獲て、我等を凡の危難及び永遠の苦より脫れしめんことを祈る。
光榮 仁慈なる童貞女よ、爾は我の爲に恃賴と盾、保固と垣墻、諸罪の赦と吾が靈の光照、美譽と能力なり。
今も 我は放蕩にして、慈憐なるハリストスの我に賜ひし善事の富を費せり。至淨なる少女よ、我饑饉に因りて亾ぶる者を棄つる勿れ。
第五歌頌
イルモス 光を衣の如く衣る者よ、我爾に朝の禱を奉りて爾に呼ぶ、ハリストスよ、我が昧まされし靈を照し給へ、爾は獨仁慈の主なればなり。
女宰よ、我が卑微なる靈の不能、我が肉體の柔弱、我が智慧の俘囚と爲りしを見て、望を失ひし我を救ひ給へ。
至淨なる者よ、爾の生みし神に常に祈りて、我等衆爾を生神女と承け認めて、爾の產を讚榮する者を救はんことを求め給へ。
光榮 孰か爾純潔なる者を讚美せざらん、蓋爾は全世界の救主ハリストス、惟一の主宰を言ひ難く生み給へり。
今も 至淨なる者よ、我に淚の流を降し給へ、我此を以て我が諸罪の不潔不淨を滌ひて、爾の大なる仁慈を歌はん。
第六歌頌
イルモス 主宰ハリストスよ、靈を壞る颶風に荒らさるる慾の海を鎭めて、我を淪滅より援け給へ、爾は仁慈の主なればなり。
我諸罪と不法との深處に陷りたり。祈る、純潔なる者よ、爾の手を伸べて、我を失望の地獄より引き上げ給へ。
至淨なる者よ、爾は我を擾す多くの罪過と思念とを知る、求む、急ぎて、我を此等より脫れしめ給へ。
光榮 主宰ハリストスよ、爾が造りし世界を審判せんとする時、潔く爾を生みし者の祈禱に由りて、我爾の僕を宥め給へ。
今も 潔き女宰よ、我が靈は諸罪の深處に引かれて、惡鬼の獲と爲れり。祈る、望を失ひし我を救ひ給へ。
主憐めよ、三次。光榮、今も、
坐誦讚詞、第五調。
至りて無玷なる生神女よ、我が靈の甚しき諸慾、我が肉體の諸病を亟に醫し、我が智慧の迷を止め給へ。我に思の靜なる中に萬有の王に潔き祈禱を捧げて、諸罪の赦を求めんことを得しめ給へ。
第七歌頌
イルモス 尊まるる先祖の主は焰を滅し、少者を凉しくせり、彼等心を合せて、神よ、爾は崇め讚めらると歌へばなり。
我は我が不當の行と諸罪との多きを思の中に入るる時、恐れて慄く。童貞女よ、爾の祈禱を以て我を此等より釋き給へ。
死せざる蟲と滅えざる火とは常に我を嚇して、吾が靈を囓む。至聖なる生神女よ、願はくは我は此等を試みざらん。
光榮 純潔なる童貞女よ、外の暗と畏るべき苦より我爾の僕を脫れしめ給へ。我爾の子に呼ぶ、神よ、爾は崇め讚めらる。
今も 我耻づべき慾を以て肉體を汚し、不潔なる思を以て智慧を昧ませり。求む、潔き者よ、我爾の不當の僕を宥めて救ひ給へ。
第八歌頌
イルモス 少者は爐に在りて爾萬物を造りし主の前に全世界の詠隊と爲りて歌へり、悉くの造物は主を歌ひて、萬世に崇め讚めよ。
生神童貞女よ、我爾に我が卑微なる靈の不能と吾が心の柔弱とを訴へ、我が智慧の迷を告げて、爾の佑助を求む。
言よ、爾を生みし者の祈禱に由りて、爾の諸僕に憐を垂れて、主の悉くの造物は主を歌ひて、世世に彼を崇め讚めよと歌ふ者を救ひ給へ。
光榮 慈憐の主を生みし者よ、信を以て、主の悉くの造物は主を歌ひて、世世に彼を崇め讚めよと歌ふ衆人を憐み給へ。
今も 仁慈なる童貞女よ、我を外の暗と死せざる蟲より救ひ給へ、爾は世界の造成主を生みたればなり。彼は凡そ欲する所を爾の祈禱に由りて行ひ給ふ。
第九歌頌
イルモス イサイヤ祝へよ、童貞女は孕みて、子エムマヌイル、神及び人なる者を生めり、其名は東。我等彼を崇めて、童貞女を讚め揚ぐ。
潔き女宰よ、爾が言ひ難く生みし神に熱切に祈りて、我等を患難憂愁及び將來の畏るべき審判より脫れしめて、其聖者の光照を獲しめんことを求め給へ。
ハリストスよ、我は衆に超えて罪を犯し、爾の生を施す誡に背きて、無智なる禽獸に似たる者と爲れり。言よ、求む、爾の母の祈禱に由りて、我を痛悔せざりし者として此の生より取り上ぐる毋れ。
光榮 仁慈なる者よ、慈憐の淵たる神の言を生みし者として、爾の帲幪の下に趨り附く衆人の靈を憐み給へ、我等皆爾を神の前に耻を受けざる轉達者として獲たればなり。
今も 神の母よ、我等の爲に諸罪の洗淨と赦免、凡の危難の排除、生命の潔淨、光明なる更新を求め給へ、我等が爾の大なる仁慈を讚榮せん爲なり。
次ぎて「常に福にして」、及び叩拜。聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞。其他常例の如し、及び發放詞。
火曜日
火曜日の早課
第一の誦文の後に痛悔の坐誦讚詞、第五調。
審判者が坐し、諸天使が前に立ち、角の鳴り、焰の燃ゆる時、吾が靈よ、審判に曳かれて何をか爲さん。其時犯しし罪は爾の前に立ち、爾の隱なる諸罪は顯れん。故に終の至らざる先に審判者に呼べ、神よ、我を潔め、我を救ひ給へ。
句 主よ、爾の憤を以て我を責むる毋れ、爾の怒を以て我を罰する毋れ。
我等皆警醒して、多くの油と光明なる燈とを以てハリストスを迎へん、婚筵の宮の内に入らん爲なり。蓋門の外に在る者は徒に神に呼ばん、我を憐み給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 童貞女の驚くべき奧密は世界の爲に救と爲れり、蓋衆人の歡喜なる主は彼より種なく生れ、朽壞なくして身にて現れたり。主よ、光榮は爾に歸す。
第二の誦文の後に坐誦讚詞、第五調。
嗚呼吾が靈よ、萬萬の天使が審判者の前に立ちて、爾の行の顯れん時、爾は耻辱の爲に何の答をか爲さん。故に終の至らざる先に淚を流して呼べ、仁慈なる主よ、我罪を犯せり、我を憐み給へ。
句 主よ、爾の憤を以て我を責むる毋れ、爾の怒を以て我を罰する毋れ。
我多くの罪の牀に臥し、我が救の望は奪はれたり、蓋我が怠惰の眠は吾が靈に苦を招く。童貞女より生れし神よ、我を興し給へ、我が爾を歌ひて讚榮せん爲なり。
句 神よ、爾は爾の聖所に於て嚴なり。
致命者讚詞 ハリストス神よ、爾は聖致命者の奇跡を壞られぬ垣墻として我等に賜へり。彼等の祈禱に由りて諸敵の謀を破り、國の權柄を堅め給へ、爾獨仁慈にして人を愛する主なればなり。
光榮、今も、生神女讚詞 潔き生神女よ、我爾の僕の上に爾の速なる覆庇と佑助と慈憐とを現して、我が空しき想の激浪を鎭め、我が陷りたる靈を起し給へ。蓋我知る、童貞女よ、我は爾が欲する所能せざるなきを知る。
第三の誦文の後に坐誦讚詞、第五調。
失望の激浪は我罪の深處に陷りし者を溺らす。祈る、ハリストス救世主よ、萬有の全能なる司として、爾の前驅の祈禱に因りて、慈憐を以て亟に我を無慾の穩なる港に導きて、我を救ひ給へ。
ガウリイルの聲に因りて孕みし時、エリサワェタは無結果を解かれ、童貞女は猶童貞女に止まれり。前驅イオアンは童貞女の腹の中に神主宰が我等の救の爲に身を取りしを預見して、腹に在りて喜び躍れり。
光榮、今も、生神女讚詞 根より生ぜし神聖なる花、約匱及び燈臺、金の壺、生命の餅を載する聖案たる者よ、爾の子及び神に聖なる前驅と偕に祈りて、爾を生神女と承け認むる者を宥めて救はんことを求め給へ。
規程、其冠詞は、ハリストスよ、我等に諸罪の潔淨を與へ給へ。イオシフの作。第五調。
第一歌頌
イルモス 主よ、日が未だ嘗て照さず、又鑒みざる地、天の面が未だ嘗て露に見ざる淵を、イズライリは足を濡らさずして濟り、爾は彼を讚美凱旋の歌を奉る者として、爾の聖なる山に入れ給へり。
救世主よ、我が行ひし事の潔淨を我に賜ひ、我が此の世を離れざる先に我を赦し給へ。癩者を潔めし主よ、我が多くの膿汁を潔めて、爾が生死者を審判せん爲に來る時、我に傷なくして爾の前に立つを得しめ給へ。
暮れざる日よ、吾が靈の目を蔽ふ膿汁は爾が現れて地上に發せし光線を見るを許さず。慈憐の主救世主よ、之を潔めて、我に爾の恩寵の光を仰ぐを得しめ給へ。
致命者讚詞 福たる受難者よ、爾等は警醒を以てハリストスの誡を守りて、敵の惡を悉く眠らせたり。故に祈る、罪の眠に壓せらるる我をも痛悔の神聖なる警醒の爲に興し給へ。
致命者讚詞 致命者よ、爾等は戰ふ敵と肉體を交へ、十字架の武器を以て之に勝ち、血の流に之を溺らし、神よりの勝利の榮冠を受けて、凱旋の歌を唱へて歌ふ。
生神女讚詞 潔き女宰童貞女よ、我を惡しき風習より解き、古の誘惑者の惡謀に動かさるる我を誡の石に堅め、ハリストスの悅を獲しめて、能く凱旋の歌を唱へて歌はしめ給へ。
又前驅イオアンの規程、其冠詞は、授洗者よ、斯の禱を受け給へ。イオシフの作。第五調。
第一歌頌
イルモス 强き手にて戰を滅すハリストスは馬と騎者とを紅の海に落し、凱歌を歌ふイズライリを救ひ給へり。
前驅よ、爾は物質の形體に在りて、淨き生命、無形者の如き生命を度れり。故に我等爾に祈る、信を以て爾を讚美する者を己に效ふ者と爲し給へ。
慈憐の淵たるハリストスを河の流に沈めし前驅よ、彼に我が惡の淵を涸らして、我が思念を照さんことを祈り給へ。
救世主の前驅よ、我爾に祈る、人を愛する主の前に轉達して、我に諸罪の痛悔と罪の惡臭の泥を滌ふ傷感とを賜はんことを求め給へ。
生神女讚詞 讚美たる女宰よ、爾は世世の先に父より生れし者を產苦に與らずして言ひ難く生み給へり。爾に趨り附く者を凡の害より救はんことを彼に祈り給へ。
第三歌頌
イルモス 主よ、度生の浪に動かさるる吾が心を堅めて、神として之を穩なる湊に向はしめ給へ。
我爾神に痛悔することを約して後、復罪を犯すを如何にせん、爾が地を審判せん時、我如何に現れん。
我等主に禱を奉り、歎息して、汚を淨むる淚を注がん、彼處に救はれん爲なり。
致命者讚詞 生命を愛する不法者は死したる思を以て、ハリストスを承け認むる勝利者たる致命者に傷つけたり。
致命者讚詞 致命者の會は無形なる天使の會に加はりて、聖神の恩寵に因りて天使と侔しき者と爲れり。
生神女讚詞 光の門たる童貞女よ、今我が爲に痛悔の門を啓きて、我が卑微なる靈の諸慾の入る戸を閉ぢ給へ。
又
イルモス 己の命にて虛しき處に地を堅め、保ち難く重き者を懸けしハリストス、獨仁慈にして人を愛する主よ、爾が誡の動かざる石に爾の敎會を堅く立て給へ。
信を以て爾の殿に來り就く者の爲に常に醫治を流す奇異なる前驅よ、爾に祈る、吾が心の諸慾、不注意に因りて我と共に不當に生長せし者を醫し給へ。
獨至りて義なる審判者よ、我爾の偏頗なき審判を思ひて、常に歎息して淚を流す。主我が神よ、爾の授洗者の祈禱に因りて、其時我を定罪せられざる者として護り給へ。
新と舊との轉達者と爲りし光榮なる前驅よ、爾に呼ぶ、爾の神聖なる轉達を以て、我多くの罪の爲に古びたる者を痛悔に因りて新にし給へ、我が讚歌を捧げて爾を尊まん爲なり。
生神女讚詞 聖なる童貞女母、獨純潔なる者よ、祈る、我等の諸罪の傷を醫し、我等の思を照し、心を聖にし、我等衆を永遠の定罪より脫れしめ給へ。
第四歌頌
イルモス 主よ、我爾の風聲を聞きて懼れたり、獨人を愛する者よ、我爾の攝理を悟りて爾を讚榮せり。
主よ、我爾の光を施す言を輕じて、昧き行爲を行へり、故に彼處の畏るべき爾の審判に戰く。
我等神聖なる畏懼の帆を靈の舟に揚げて、痛悔の港に到りて、諸惡の暴風を逃れん。
致命者讚詞 致命者よ、爾等は甘味を滴らす神聖なる山、及び神の樹ゑたる樂園、生命の樹として主を有つ者と現れたり。
致命者讚詞 聖なる者は勇敢と忍耐との射擊を以て戰ふ惡鬼を射殪して、光榮の冠を受けたり。
生神女讚詞 罪を犯す者の轉達者、陷る者の神聖なる更新たる至りて潔き女宰は、神を生みし者として讚榮せらる。
又
イルモス ハリストスよ、アウワクムは先知の目にて爾が神妙の謙遜を悟り、戰きて爾に呼べり、爾の民を救ひ、爾の膏つけられし者を救はん爲に來り給へり。
授洗者よ、爾はハリストス王の眞の軍士として天上の國に入りたり。絕えず彼に爾を尊む人人を宥めんことを祈り給へ。
福たる者よ、主は爾の心の諸德を預見して、爾を母の胎内より聖にせり。求む、彼に我等衆を聖にせんことを祈り給へ。
前驅よ、爾は死者に我等の爲に殺されし者の來るを福音せり。彼に罪に由りて殺されたる我をも活かして救はんことを祈り給へ。
生神女讚詞 仁慈なる神を言ひ難く生みし獨至りて無玷なる者よ、至大なる慈憐を以て我を憐みて、永遠の苦より脫れしめ給へ。
第五歌頌
イルモス 無形の日たる主よ、夜中に諸慾の黑暗と戰ふ我が堪へざる靈に慈憐を垂れて、我の衷に白日の光線を耀かし給へ、光の中に夜の明けん爲なり。
行に由りては我に救なし。蓋我不當の者は地上に多く罪を行へり。神よ、爾の誡に背く者を爾が審判せんとする時、我爾の畏るべき審判に戰く。
我如何ぞ無智と爲りたる、如何ぞ惡しき行爲を爲して昧まされたる。ハリストスよ、我如何ぞ爾を畏れざりし、我地にまで傴まりて、無智なる禽獸と均しき者と爲れり。祈る、萬有の神よ、我を轉ぜしめ給へ。
致命者讚詞 致命者の雲は劇しき苦の雲を拂ひ、眞の智識の日を輝かし、多神の暗昧を散じ、暮れざる光に至れり。
致命者讚詞 ハリストス救世主よ、祈る、爾の聖なる致命者の祈禱に因りて我が智慧を聖にし、我を光照に滿てて、永遠の光榮に與る者と爲し給へ、我が爾を讚榮して歌はん爲なり。
生神女讚詞 童貞女母、信者の避所及び港よ、爾は言に因りて我等の爲に言ひ難く神を生みしに、彼は爾の仁慈なる轉達に因りて、我等衆多く罪を犯しし者に痛悔を賜ふ。
又
イルモス 光を衣の如く衣る者よ、我爾に朝の禱を奉りて爾に呼ぶ、ハリストスよ、我が昧まされし靈を照し給へ、爾は獨仁慈の主なればなり。
前驅よ、無結果の腹は爾を生みしに、爾は善果を結ぶ爾の言を以て善き行の結果なき心を善果を結ぶ者と爲せり。故に我等爾を讚頌す。
永福なる前驅よ、爾は野に於て芳しき百合の花の如く發きたり。故に我爾に呼ぶ、我が靈の惡の臭氣を悉く拂ひ給へ。
睿智なる前驅よ、爾は律法と恩寵との間に立てり。故に爾に呼ぶ、罪の法に勝たれて、患難の中にある我不當の者を憐み給へ。
生神女讚詞 通られぬ光榮の門たる至りて潔き者よ、我が爲に痛悔の門、我を神聖なる處及び彼處の安息に入らしむる者を啓き給へ。
第六歌頌
イルモス 主よ、預言者を猛獸より脫しし如く、祈る、我をも制し難き諸慾の深處より升せ給へ、我が復爾の聖なる殿を觀ん爲なり。
視よ、反正の時なり、然るに我倒れて臥し、常に感覺なき者の如し。言よ、我が心の昏昧を解きて、我を宥め給へ。
仁慈なるハリストスよ、我歎息する者を昔の稅吏の如く宥め、罪女の如く熱心に淚を流すを得しめ給へ、我も我が多くの罪過の泥を洗はん爲なり。
致命者讚詞 ハリストスの大致命者よ、我多く罪を犯しし者を彼處に待つ所の「ゲエンナ」の大なる焰より脫れしめ給へ、我も常に大に爾等の記憶を讚榮せん爲なり。
致命者讚詞 神及び主よ、爾の受難者は善き戰を戰ひて後、生命を施す爾の右の手より欣ばしく榮冠を冠らせられたり。彼等の尊き祈禱に因りて爾の衆民を救ひ給へ。
生神女讚詞 恩寵を蒙れる者、成聖の幕、尊き匱、神の光の燈臺、生命の餅の案、言の活ける宮よ、我を聖神の殿と爲し給へ。
又
イルモス 主宰ハリストスよ、靈を壞る颶風に荒らさるる慾の海を鎭めて、我を淪滅より援け給へ、爾は仁慈の主なればなり。
言ひ難き光線にて輝くハリストスの前驅よ、爾の有能なる祈禱を以て敬虔に爾を讚美する者の心を照し給へ。
ハリストスの前驅よ、我怠惰の眠に陷りたる者を恩寵を以て照して、熱心に神の旨を行はん爲に起し給へ。
福たる者よ、我等爾を主宰の前に神聖なる轉達者及び祈禱者として獲たる者を凡の憂愁と災禍より脫れしめ給へ。
生神女讚詞 純潔無玷なる生神女よ、罪の暴風は我を擾す、亟に我を之より脫れしめて、痛悔の港に入れ給へ。
第七歌頌
イルモス 少者の禱は火を滅す者なり、露を出す爐は奇跡を傳ふる者なり、我が先祖の神を讚め歌ふ者を焦さず焚かず。
ハリストス神よ、爾の大なる仁慈に因りて、我が不法、我が不義、無數の罪過を赦して、我を將來の苦より脫れしめ給へ。
我蕩子の如く受けたる富を費して、今神聖なる糧なきに因りて飢ゑて死す。救世主よ、我痛悔する者を納れて救ひ給へ。
致命者讚詞 奇異なる主の致命者よ、爾等は多くの苦に因りて百體殺されて、戰ふ敵を死者と爲せり。故に我等信者は敬虔の心を抱きて爾等を歌頌す。
致命者讚詞 致命者よ、爾等は忍耐と勇毅とを以て惡鬼の軍、苦しむる者の大數を射擊して、之に傷つけて、今眞の生命に移り給へり。
生神女讚詞 潔き神の母よ、爾は衆人の爲に救の港と爲りて、諸慾の暴風を鎭め、凡そ地上に在る卑微の者を穩靜に至らしむ。
又
イルモス 尊まるる先祖の主は焰を滅し、少者を凉しくせり、彼等心を合せて、神よ、爾は崇め讚めらると歌へばなり。
我等言を以て爾言の前驅に祈る、生るる時父の聲を解きたる如く、我等の罪過の網を解き給へ。
光明なる日よ、我に痛悔の救の光を耀かして、我が昧みたる心を擾す諸慾の暗昧より我を脫れしめ給へ。
我は結果なき靈、子なき心を獲たり。無結果の者の神聖なる產たるハリストスの授洗者よ、我が痛悔の果を生ぜんことを常に祈り給へ。
我等は父と侔しき子及び聖神、分れざる三者を讚榮して、敬みて歌ふ、神よ、爾は崇め讚めらる。
生神女讚詞 純潔なる者よ、爾は幼兒たるハリストス、古の罪に因りて古びたる我等を改め給ふ主を生み給へり。
第八歌頌
イルモス 萬有の王、造成主を、天使の軍、人類の會及び司祭等は歌ひ、「レワィト」等は尊み、人人は萬世に崇め讚めよ。
ハリストスよ、視よ、我が靈の傷は腐れて且臭し、我力衰へて痛く憊れたり。救世主よ、痛悔の良藥を以て我を醫し給へ。
至りて凶惡なる蛇は誘惑を以て我を奪ひて、惡に滿てたり。我歎息して呼ぶ、言よ、定罪せられたる卑微なる我を棄つる毋れ。
致命者讚詞 讚美たる睿智者よ、爾等は堅く立ちて動かざりき、十字架の敵、爾等を躓かしめんと謀りし者を爾等は倒して、全く之に勝てり。
致命者讚詞 讚美たる主の致命者よ、火も、劍も、猛獸も、飢も、刃輪も、其他の苦も爾等を仁愛なるハリストスより離すこと能はざりき。
生神女讚詞 諸天使の令譽、人人の拯救たる神の母よ、我が爲に保證者と爲り給へ、我が轉じて、先に知ると知らずして犯しし罪の赦を受けん爲なり。
又
イルモス 少者は爐に在りて爾萬有を造りし主の前に全世界の詠隊と爲りて歌へり、悉くの造物は主を歌ひて、萬世に崇め讚めよ。
大なる前驅よ、爾は悔改を傳へて、集まりし人人をイオルダンの流に洗へり。故に我爾に呼ぶ、我に淚の泉を遣して、我が諸慾の流を涸らし給へ。
靈よ、全能者の審判を思ひて、戰きて呼べ、慈憐なる主よ、爾の授洗者に因りて、我を宥め救ひて、苦を免れしめ給へ。
聖なる前驅よ、我不潔なる口、汚れたる舌を搖かして爾に祈る、誘惑者の種種の攻擊に因りて絕えず動かさるる我を速に助け給へ。
聖三者讚詞 父と子と聖神、一體なる三者よ、我等に諸罪の赦を降し給へ、我等が全き救を獲て、爾を萬世に崇め讚めん爲なり。
生神女讚詞 神の恩寵を蒙れる少女よ、爾は高き產を以て我等を墮落の穴より上げたり。故に我等は感謝の聲を以て熱信に爾を萬世に讚め歌ふ。
次に生神女の歌を歌ふ、「我が靈は主を崇め」、及び躬拜。
第九歌頌
イルモス 蓋權能者は爾に大なる事を成して、爾が種なく己の造物主を生みしに因りて、產の後にも爾を潔き童貞女と顯せり、故に生神女よ、我等爾を崇め讚む。
イイススよ、爾に呼ぶ、我が爾の恒忍を崇め讚めん爲に、復我を忍びて、果を結ばざる無花果樹の如く我を斫る毋れ、我が爾に痛悔の果を獻ぜん爲なり。
獨權柄能力なる主よ、爾は如何に畏るべき、爾が審判座に坐せん時、孰か爾の畏るべき威嚴に敵せん、其時我を定罪せられざる者として護り給へ。
致命者讚詞 主の致命者よ、爾等は己の神聖なる苦を以て人人の肉體の苦を除く。祈る、吾が靈の甚しき苦惱を醫し給へ、爾等は靈妙なる醫師なればなり。
致命者讚詞 受難者よ、爾等の不朽體の柩は日の光線よりも明に神聖なる恩寵の光を放ちて、信を以て爾等を讚め揚ぐる者の心を照し、靈を耀かす。
生神女讚詞 神の恩寵を蒙れる者よ、爾は實に光を出す雲、新なる民を約地に導く者、又生命に入るる門と現れたり。故に我等は爾生神女を崇め讚む。
又
イルモス イサイヤ祝へよ、童貞女は孕みて、子エムマヌイル、神及び人なる者を生めり、其名は東。我等彼を崇めて、童貞女を讚め揚ぐ。
ハリストスの前驅よ、視よ、爾の殿の美しきは地上の天の如く知らる。我等今其内に來り、神聖なる光に照されて、日日に爾を讚頌す。
至福なる授洗者よ、爾は主宰の忠信なる友として、我を篤き心を以て絕えず彼を愛する愛に堅め、且我を滅亾に進むる諸慾を惡ましめ給へ。
睿智者よ、爾は諸方の風に動かさるる葦に非ざりき、卽我等の神聖なる保固及び敎會の堅立なり。爾の祈禱を以て敎會を動かざる者と護りて、凡の誘惑を退け給へ。
造成主の降臨は門の側にあり、怠惰の中に生を度れる不當なる靈よ、何ぞ己の爲に泣かざる。起きて主に呼べ、救世主よ、前驅の祈禱に因りて我を憐み給へ、爾は人を愛する主なればなり。
生神女讚詞 純潔無玷なる者よ、爾は實に爾より輝き出でて、迷の甚しき暗昧を散じたる日の光れる車と現れたり。故に我等信を以て職として爾を讚頌す。
次ぎて「常に福にして」、及び叩拜。小聯禱。光耀歌、及び常例の聖詠。
挿句に痛悔の讚頌、第五調。
童貞女より生れし主よ、祈る、我が多くの罪過を顧みずして、我に痛悔の心を與へて、我が悉くの罪を潔めて我を憐み給へ、爾獨人を愛する主なればなり。
句 主よ、夙に爾の憐を以て我等に飽かしめよ、然せば我等生涯歡び樂しまん。爾我等を撲ちし日、我等が禍に遭ひし年に代へて、我等を樂しましめ給へ。願はくは爾の工作は爾の諸僕に著れ、爾の光榮は其諸子に著れん。
禍なる哉、我孰にか似たる者と爲りし、果なき無花果樹の如くなりて、詛と斫らるることとを畏る。祈る、天の耕作者ハリストス神よ、我が荒れたる靈を果を結ぶ者と爲し、我を蕩子の如く受けて、我を憐み給へ。
句 願はくは主吾が神の惠は我等に在らん、願はくは我が手の工作を我等に助け給へ、我が手の工作を助け給へ。
致命者讚詞 主よ、爾の受難者、天使の品位に效ふ者は、肉體無き者の如く苦を忍びて、一心に約せられし福の樂を恃賴として有てり。ハリストス神よ、彼等の祈禱に由りて爾の世界に平安、我等の靈に大なる憐を與へ給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 恩寵を蒙れる者よ、祈る、爾の祈禱を以て轉達して、我等の靈の爲に多くの慈憐と多くの罪の潔淨とを求め給へ。
次ぎて「至上者よ、主を讚榮し」。聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞及び聯禱。次に第一時課、常例の聖詠、其他、幷びに發放詞。
火曜日の聖体礼儀に
火曜日の眞福詞、第五調。
ハリストスよ、盜賊は十字架に在りて爾を神なりと信じ、誠の心より爾を承け認めて呼べり、主よ、爾の國に於て我を憶ひ給へ。
句。義の爲に窘逐せらるる者は福なり、天國は彼等の有なればなり。
仁慈なる主宰ハリストスよ、爾は靈を盡して泣きたる淫婦を義と爲しし如く、祈る、我望を失ひし者をも凡の苦より脫れしめ給へ。
句 人我の爲に爾等を詬り、窘逐し、爾等の事を僞りて諸の惡しき言を言はん時は、爾等福なり。
我等はハリストスに先驅して善き途を備へしイオアンを同心に讚美すべし、彼の神聖なる祈禱に因りて諸罪より救はれん爲なり。
句 喜び樂しめよ、天には爾等の賞多ければなり。
熱心なる靈を以てハリストスの爵を飮みたる聖なる致命者よ、爾等の神聖なる祈禱の雨を以て我等を濁れる諸罪及び諸病より潔め給へ。
光榮、聖三者讚詞 悟られぬ神、全能なる三者、及び惟一者よ、前驅の祈禱に因りて我を救ひて、我が前に在る黑暗及び火焰より脫れしめ給へ。
今も、生神女讚詞 童貞女よ、我常に惡しき行に汚さるる者は爾主宰の汚なき母に祈る、女宰よ、我を凡の汚より潔め給へ。
火曜日の晩課
「主よ、爾に籲ぶ」に十字架の讚頌、第五調。
句 主よ、若し爾不法を糾さば、主よ、孰か能く立たん。然れども爾に赦あり、人の爾の前に敬まん爲なり。
ハリストスよ、爾は羔の如く十字架に擧げられて、誘惑者の驕を倒し、己を屠殺に付して、爾の血にて全地を聖にし、戈を以て刺されて、焰の劍に我が前より退かんことを命じ、我に樂園に入りて、畏なく生命の樹を以て樂しまんことを許し給へり。故に我爾の苦に因りて救はれて、喜びて呼ぶ、光榮は爾の神聖なる十字架に歸す、我等此を以て古の詛より釋かれて、祝福と大なる憐とを得たり。
句 我主を望み、我が靈主を望み、我彼の言を恃む。
至仁なる主、我が救世主よ、爾は人人の諸病と詬辱とを止めんと欲して、耻づべき釘刑を忍び給ふ。惡に與らざる言よ、爾は膽を嘗めて、我等の惡の苦味を除き、脅を刺さるる傷を受けて、主宰として我等の傷を醫し給ふ。故に我等は爾の光榮なる定制を歌頌し、伏拜して戈と海絨と葦とを尊む、爾此等を以て爾の世界に平安と大なる憐とを賜ひしに因る。
句 我が靈、主を待つこと、番人の旦を待ち、番人の旦を待つより甚し。
イイススよ、如何ぞエウレイの不法なる民は爾憐深き者を憐まずして、十字架に釘せんと定めたると、童貞女は產苦なく生みし者の十字架に擧げられしを覩たる時、曾て哭きて云へり。吾が甘愛の子、吾が至りて慈む子よ、不法なる會は何をか爾に爲したる。獨至仁なる主よ、信を以て爾の十字架を讚榮し、又爾が約せし如く我を崇むる者を速に救ひ給へ。
又生神女の讚頌、同調。
句 願はくはイズライリは主を恃まん、蓋憐は主にあり、大なる贖も彼にあり、彼はイズライリを其悉くの不法より贖はん。
仁愛なるハリストスよ、爾は初に造られしアダムの諸病の書券をアダムの造成主として全く破らんと欲して、十字架に釘せられたり。罪なき言よ、爾は我等の爲に爾の神聖なる脅を戈にて傷つけんことを許して、焰の劍に我等が樂園に入る門を遮るを禁じ給へり。故に人を愛する主よ、我等爾を讚榮して、爾の權柄を歌ひ、爾の十字架を尊みて歌頌す、是に由りて凡の性が病なき生命と大なる憐とを獲たればなり。
句 萬民よ、主を讚め揚げよ、萬族よ、彼を崇め讚めよ。
昔牝羊は己の羔が屠殺の爲に行くを見て、哭きて從ひて、斯く彼に呼べり、吾が甘愛なる子ハリストスよ、安にか赴く、恒忍なる主、至りて愛すべきイイススよ、何ぞ止まらずして斯の途を行く。罪なき慈憐なる主、吾が至愛の子よ、爾の婢に言を出せ、宏恩なる者よ、不可思議に爾を生みし者を默して遺つる毋れ。生命を賜ふ神よ、世界に大なる憐を與へ給へ。
句 蓋、彼が我等に施す憐は大なり、主の眞實は永く存す。
潔き者よ、爾は實にヘルワィムの寶座にして、衆造物に超ゆる者なり、蓋神の言は我等の形を新にせんと欲して、爾の内に入りたり、身を取りて爾より出でて、仁慈なるに由りて我等の爲に十字架及び苦を受け、神なるに由りて復活を賜へり。故に我等爾が我等の定罪せられし性を造物主と和睦せしめしを感謝して、爾に呼ぶ、爾の祈禱に由りて我等に諸罪の赦と憐とを與へ給へ。
光榮、今も、十字架生神女讚詞 罪なき吾がハリストスよ、爾は衆人に救を得しめんと欲して、我等の爲に贖罪として、價の大なる爾の至りて潔き血を甘じて與へ給へり。故に爾の母は爾が釘せられしを見て淚を流し、痛く歎きて言へり、吾が子、至りて無玷なる羔、暮れざる光よ、爾の尊き血にて世界を贖はんと欲して、如何ぞ我が目より隱れたる。救世主よ、衆人に光照と、平安と、大なる憐とを與へ給へ。
次ぎて「穩なる光」。本日の提綱。「主よ、我等を守り」。
挿句に十字架の讚頌、第五調。
主よ、昔預言者モイセイの時に爾の十字架の形のみ現れて、爾の敵に勝てり。今我等は實體の爾の十字架を執りて、佑助を求む、人を愛する主よ、大なる慈憐に由りて爾の敎會を堅め、吾が皇帝にコンスタンティンに於けるが如く勝利を與へ給へ。
句 天に居る者よ、我目を擧げて爾を望む。視よ、僕の目主人の手を望み、婢の目主婦の手を望むが如く、我等の目は主我が神を望みて、其我等を憐むを俟つ。
ハリストスよ、爾の十字架は實質に於ては見ゆる木なれども、神聖なる力を衣せられ、有形に世界に現れて、無形に我が救を靈妙に行ふ。救世主よ、我等之に伏拜して爾を讚榮す、我等を憐み給へ。
句 主よ、我等を憐み、我等を憐み給へ、蓋我等は侮に饜き足れり、我等の靈は驕る者の辱と誇る者の侮とに饜き足れり。
致命者讚詞 聖なる致命者よ、我等の爲に祈り給へ、我等が不法より救はれん爲なり、蓋爾等には我が爲に祈る恩寵は賜はりたり。
光榮、今も、十字架生神女讚詞 造物主及び神は嘗て陷りしアダムの形を新にせんと欲して、我が全き形を受けて、之を衣て、甘じて罪ある者の如く十字架に上り、手を伸べて、昔木の果に伸ぶるに由りて弱りたる手を醫し給へり。純潔なる者は彼を見て呼べり、吾が子よ、此の言ひ難き恒忍は何ぞや、我は爾己の手に地の四極を保つ者が十字架に上げられしを見るに忍びず。
次ぎて「主宰よ、今爾の言に循ひ」。聖三祝文。「天に在す」の後に聖人の讚詞。光榮、今も、生神女讚詞、讚詞の調に循ふ。次ぎに聯禱及び發放詞。

火曜日の晩堂課
至聖なる生神女の規程、第五調。
第一歌頌
イルモス 强き手にて戰を滅すハリストスは馬と騎者とを紅の海に落し、凱歌を歌ふイズライリを救ひ給へり。
生神女よ、爾の諸僕が心の深處より熱信に爾に奉る祈禱を納れて、之を爾の子に捧げて、諸罪の赦を與へ給へ。
童貞女よ、爾は實に地に生るる者の恩者にして、豐に彼等に恩寵を垂れ、救の門を過らしめて、生命に導き給ふ。神の母よ、爾に祈る者の爲に常に絕えず轉達し給へ。
光榮 女宰よ、爾を歌ふ者の禱に耳を傾けて、救の爲に有能なる佑助を與へ給へ、爾を尊む者を爾の祈禱を以て諸難より脫れしめて、害なく護り給へ。
今も 至聖なる童貞女よ、我等甚しき誘惑に圍まるる者を亟に助け、熱切に轉達して、諸の災禍より脫れしめ、憂愁より解き給へ。
第三歌頌
イルモス 己の命にて虛しき處に地を固め、保ち難く重き者を懸けしハリストス、獨仁慈にして人を愛する主よ、爾が誡の動かざる石に爾の敎會を堅く立て給へ。
神の母、我等の靈を光に導く者よ、爾の光明なる祈禱を以て吾が心の暗き雲を散じ、我を照して、晝の子、諸德に輝く者し爲し給へ。
我等常に宜しきに合ひて爾を歌はんと欲すれども能はずして、卑しき口より讚美を奉る、寬容に之を納れて、熱信に爾に祈る者の祈禱を應はせ給へ。
光榮 結果なき靈を善き果を結ぶ者と爲し、荒れたる心を爾の祈禱にて潔むる神の母よ、我が靈をも信と汚なき生命との果を出す者と爲し給へ。
今も 己の手に全地の極を持つ者にして奈何ぞ母の懷に抱かるる、惠を以て悉くの生ける者に飽かしむる主にして奈何ぞ乳房より乳にて養はるる、豐に諸恩を流す者は奈何ぞ身を取りて貧しくなりたる。
第四歌頌
イルモス ハリストスよ、アウワクムは先知の目にて爾が神妙の謙遜を悟り、戰きて爾に呼べり、爾の民を救ひ、爾の膏つけられし者を救はん爲に來り給へり。
至淨なる者よ、我等爾を獨神の前に轉達して、罪ある者の諸罪の債を解く者なりと知りて、讚美と歌頌とを以て爾を尊む。
至りて無玷なる童貞女よ、神は爾の内に入りて、爾を聖にせられし殿と爲し給へり。彼に常に爾の諸僕を葘害より護らんことを祈り給へ。
光榮 生神女よ、我等爾を恃む卑微なる諸僕の祈禱を聽きて、爾の母たる勇敢を以て亟に我等を諸難より救ひ給へ。
今も 神の母よ、我等爾を憂愁の中に慰藉、誘惑の中に援助、災禍の中に轉達者として獲て、種種の苦難より救はる。
第五歌頌
イルモス 光を衣の如く衣る者よ、我爾に朝の禱を奉りて爾に呼ぶ、ハリストスよ、我が昧まされし靈を照し給へ、爾は獨仁慈の主なればなり。
爾は無原の者を定期に生み、性の實に形られぬ者を身の形に生み給へり。彼に絕えず爾の諸僕の爲に祈り給へ。
至淨なる者よ、爾は患難の中に在る者に亟に近づきて、常に彼等を助け、誘惑の中に爾を呼ぶ者を救に導き給ふ。
光榮 至りて無玷なる者よ、爾の祈禱を以て仁慈なる神の慈憐を我等爾の諸僕に垂れて、我等に平安なる生命と諸罪の赦とを與へ給へ。
今も イサイヤの見たる熾炭を生みし純潔なる者よ、祈る、我が諸罪の本質を燒きて、我を照し給へ。
第六歌頌
イルモス 主宰ハリストスよ、靈を壞る颶風に荒らさるる慾の海を鎭めて、我を淪滅より援け給へ、爾は仁慈の主なればなり。
女宰よ、爾は朽壞を滅しし主を生みたる者として、我等罪の諸慾に因りて殺されし者を、爾の祈禱を以て、活かして起し給へ。
我等爾を堅固なる恃賴、敵に破られぬ垣墻、有能なる佑助と有ちて、我等に對する惡謀を恐れざらん。
光榮 潔き童貞女よ、地上の者に病の中に臨みて、常に之を醫し、爾の役者に患難の時に現れて、之を害なき者として護り給へ。
今も 神の聘女よ、殺人者なる惡鬼の詭計より來る思念の雲に昧まされたる吾が靈を照し給へ。
次ぎて主憐めよ、三次。光榮、今も、
坐誦讚詞、第五調。
神の恩寵を蒙れる者よ、爾の子の十字架にて偶像の迷は悉く虛しくなり、惡魔の力は破られたり。故に我等信者は職として常に爾を歌ひて讚め揚げ、實に生神女と承け認めて爾を崇め讚む。
第七歌頌
イルモス 尊まるる先祖の主は焰を滅し、少者を凉しくせり、彼等心を合せて、神よ、爾は崇め讚めらると歌へばなり。
女宰よ、爾の忠信なる諸僕の祈願を納れて、信を以て、神よ、爾は崇め讚めらると歌ふ者を誘惑より脫れしめ、憂患より救ひ給へ。
萬善の原因なる神を我等の爲に生みし潔き者よ、母たる禱を以て彼に爾を讚め揚ぐる我等を宥めんことを祈り給へ。
光榮 女宰よ、我等は爾を勝たれぬ轉達者及び動かされぬ基址として獲て、爾の保護に覆はれて、我等を射る敵の惡謀に勝つ。
今も 女宰よ、我爾の僕の卑微なるを見て、常に、神よ、爾は崇め讚めらると歌ふ者を永遠の火より脫れしめ給へ。
第八歌頌
イルモス 少者は爐に在りて爾萬物を造りし主の前に全世界の詠隊と爲りて歌へり、悉くの造物は主を歌ひて、萬世に崇め讚めよ。
童貞女よ、我等信者は言語と思念とを以て爾に讚美を奉りて呼ぶ、主を歌ひて、世世に彼を崇め讚めよ。
童貞女よ、ソロモンは爾を全く美しく神と親しき者なりと預め錄せり。神と至りて親しき者として、母たる勇敢を以て世に在る者を救ひ給へ。
光榮 我等信者は爾を神に亞ぎて患難の中に拯救の恃賴と有ちて呼ぶ、主の悉くの造物は主を歌ひて、世世に彼を崇め讚めよ。
今も 讚美たる童貞女よ、卑しき口より爾に呼ぶ者の歌を納れ給へ、病む者の爲に肉體の良醫、失望する者の爲に靈の救なる者よ、慶べ。
第九歌頌
イルモス イサイヤ祝へよ、童貞女は孕みて、子エムマヌイル、神及び人なる者を生めり、其名は東。我等彼を崇めて、童貞女を讚め揚ぐ。
我等傷感の心より爾に禱を奉る、罪なる我等を憐み給へ、我等爾至りて慈憐なる生神女を呼ぶ者が試の日に於て耻を得ざらん爲なり。
潔き女宰よ、塵に屬する爾の親族を遺てずして、我等衆を覆ふ佑助者と爲り、憂愁の中に我等を堅め、疾病の中に醫し給へ、我等は救ふことを能する爾を恃めばなり。
光榮 神よ、今爾の民の祈禱を聽きて、我等を敵の害より脫れしめ給へ。視よ、我等は爾を生みし童貞女、我等が愛を以て讚美する者を眞の潔淨として爾に進む。
今も 女宰よ、我等衆地に生るる者は熱心に爾の權能の帲幪の下に趨り附きて、爾の慈憐と宏恩とを求む、此等を注ぎて我等衆を聖にし給へ。
次ぎて「常に福にして」、及び叩拜、聖三祝文、「天に在す」の後に讚詞。其他常例の如し、及び發放詞。

水曜日
水曜日の早課
第一の誦文の後に十字架の坐誦讚詞、第五調。
救世主よ、髑髏の處は樂園と爲れり、蓋十字架の木は樹てられしのみにして、直に生命の葡萄の房たる爾を我等の樂の爲に生じたり。光榮は爾に歸す。
句 主我が神を崇め讚め、其足凳に伏し拜めよ、是れ聖なり。
我等信者は救世主及び贖罪主が、親ら知るが如く欲するが如く、甘じて十字架に釘せられしを歌頌して讚榮せん。蓋彼は十字架に人人の罪を釘して、人類を迷より脫れしめて、國を獲しめ給へり。
光榮、今も、十字架生神女讚詞 產苦なく爾を生みし者は、爾が木に擧げられしを見て、淚を流して呼べり、嗚呼甘愛なる子よ、我爾が罪犯者の如く二の罪犯者の間に十字架に釘せられしを見て、靈裂かる。
第二の誦文の後に坐誦讚詞、第五調。
己の旨に由りて十字架に釘せらるるを忍びて、人人を朽壞より解きたる救世主よ、我等信者は爾を歌頌して伏拜す、爾は十字架の力を以て我等を照したればなり。宏恩にして仁愛なる主よ、我等畏懼を以て爾を生命を施す者及び主として讚榮す。
句 神我が古世よりの王は救を地の中に作せり。
我が救世主よ、爾の十字架の木は世界の爲に救と現れたり、蓋爾は甘じて其上に釘せられて、地に生るる者を詛より釋き給へり。衆人の歡喜たる主よ、光榮は爾に歸す。
句 神よ、爾は爾の聖所に於て嚴なり。
致命者讚詞 主よ、爾の受難者は爾の苦の杯を慕ひて、人生の榮華を遺てて、諸天使の侶と爲れり。ハリストスよ、彼等の祈禱に由りて我等の靈に平安と大なる憐とを與へ給へ。
光榮、今も、十字架生神女讚詞 神の恩寵を蒙れる者よ、爾の子の十字架にて偶像の迷は悉く虛しくなり、惡魔の力は破られたり。故に我等信者は職として常に爾を歌ひて讚め揚げ、實に生神女と承け認めて爾を崇め讚む。
第三の誦文の後に坐誦讚詞、第五調。
諸預言者の預言は已に應ひ、爾の古の議定は終を成せり、蓋爾は、萬有の王ハリストスよ、甘じて身を取りて貧しき者と爲り、我等の爲に十字架に上りて、死を忍び給へり。故に言よ、我等は智慧に超ゆる爾の寬容を讚榮す。
イイスス萬有の王よ、天使の品位は爾が十字架に釘せられて眠りしを見て畏れ、惡鬼の軍は直に走り、地獄の柱は折かれ、死の殘虐は息み、墓の中の死者は復活せり。
光榮、今も、十字架生神女讚詞 ハリストスよ、爾の母は爾が甘じて十字架に盜賊の間に懸れるを見て、母として心裂かれて言へり、罪なき子、仁慈に由りて人類を活かさんと欲する者よ、如何ぞ罪犯者の如く、非義に十字架に釘せられたる。
十字架の規程、其冠詞は、世界を擧ぐるハリストスよ、爾は木の上に擧げられたり。イオシフの作。第五調。
第一歌頌
イルモス 强き手にて戰を滅すハリストスは馬と騎者とを紅の海に落し、凱歌を歌ふイズライリを救ひ給へり。
悟り難く人體を取りて、身にて世界に現れし主を法に戾るエウレイの會は木の上に擧げたり、其親ら甘ぜしが如し。
ハリストスよ、狂へるエウレイ人が爾熟したる葡萄を十字架の木に擧げし時、爾は、言よ、樂の酒、惡者の凡の醉を醒ます者を滴らせ給へり。
致命者讚詞 致命者よ、爾等の忍耐は讚美の法に超ゆ、蓋爾等は凡の人の性に超ゆる苦を忍びて、苦なき安息に入りて樂しみ給ふ。
致命者讚詞 ハリストスの讚美たる受難者よ、爾等は言の操舵に因りて、苦の浪を濟り、天の港に到りて、今神聖なる平穩を樂しむ。
生神女讚詞 童貞女よ、爾の胎より生れし主の非義に木の上に擧げられしを見て、爾は淚を流して、其實に言ひ難き寬容を歌頌し給へり。
又生神女の規程、其冠詞は、今童貞女に第五の歌頌を奉る。第五調。
第一歌頌
イルモス同上
神聖なる光榮の門たる神の恩寵を蒙れる童貞女、樂園の門を啓きたる者よ、祈る、我にも痛悔の門を啓きて、我が智慧を爾を歌頌せん爲に照し給へ。
純潔なる者よ、爾は生と死とを主る主を生みて、死の進行を止めたり。彼に吾が靈を殺す諸罪を止めて、我を救はんことを祈り給へ。
父と同無原なる言は萬族の中より獨爾イアコフの榮を選びて、爾の血より身を取り給へり。女宰よ、爾の轉達を以て我を救ひ給へ。
純潔なる者よ、爾は羊の毛に於けるが如く爾に降りし天の雨を受けたり。故に母童貞女よ、爾に祈る、我が諸慾の雨を涸らし給へ。
第三歌頌
イルモス 己の命にて虛しき處に地を固め、保ち難く重き者を懸けしハリストス、獨仁慈にして人を愛する主よ、爾が誡の動かざる石に爾の敎會を堅く立て給へ。
我がイイススよ、爾十字架に釘せらるるに、樂園は復啓かれ、盜賊は衆に先だちて喜びて入る、爾死せるに、誘惑者敵は殺され、殺されたるアダムは生かさる。光榮は爾の大なる慈憐に歸す。
イイススよ、爾は仁慈に因りて木の上に釘せられて、罪の焰を滅し給ふ、爾は縛られて迷を解き、裸體にせられて人に光榮の衣を衣せ給ふ。光榮は爾の大なる仁慈に歸す。
致命者讚詞 常に輝きて不虔の暗を遠くる星たる致命者を現ししハリストスよ、彼等の祈禱に因りて我が惡の夜を拂ひて、我が昧みたる心を照し給へ。
致命者讚詞 光榮なる致命者よ、爾等は睿智にして不法者の勸を避け、法に遵ひて苦を受けて、法に合ふ信の爲に榮冠を冠らせられ、神聖なる糧及び樂園の樂を獲たり。
生神女讚詞 讚美たる者よ、天使の品位は竝なく彼等に超ゆる爾を歌ふ、蓋爾は神、木に緣る詛を木を以て滅して、祝福を流しし主を身にて生み給へり。
又 イルモス同上
潔き者よ、罪の矢に傷つけられし我を爾の治療にて醫し給へ。爾の產を以て人類を諸病より救ひし者よ、我を圍める諸病より助け給へ。
女宰よ、常に我が卑微なる心を徒に侵して、我を殺さんと謀る見えざる敵を爾の守護を以て斃し給へ、彼等が得る所なくして、耻に滿てらるる者と爲らん爲なり。
神聖なる水を世界の爲に流しし女宰よ、我に活ける水を滿てて、我が不法の甚しき流を涸らし、我が心の浪を爾の神聖なる平穩にて鎭め給へ。
律法終りて影は去れり。蓋爾は、純潔至淨なる童貞女よ、立法者ハリストス、我等の爲に潔淨と光照との恩寵の法を立てて詛を除く者を生み給へり。
第四歌頌
イルモス ハリストスよ、アウワクムは先知の目にて爾が神妙の謙遜を悟り、戰きて爾に呼べり、爾の民を救ひ、爾の膏つけられし者を救はん爲に來り給へり。
ハリストスよ、爾は甘じて木に懸けられ、爾の至聖なる靈を父の手に付して、人人の靈に完全なる救を成し給へり。
イイススよ、不義なる審判者は爾義なる審判者を木に懸けられて死するに定めたり、爾が我等不義にして敵に服せし者を義と爲さん爲なり。
致命者讚詞 致命者よ、爾等は地上に於て多くの災禍と、憂愁と、無數の苦とに與りて、古世より備へられたる福樂を見るを得たり。
致命者讚詞 尊き致命者よ、爾等は試誘の冬を過ぎ、天の應報の春に到りて、天使の品位に加へられたり。
生神女讚詞 祝福せられし者よ、爾が己の子の釘せられて父の手に靈を付すを見し時、神聖なる苦の劍は爾の靈を貫けり。
又 イルモス同上
純潔なる童貞女よ、行に由りては我に救なし。故に我恃賴を以て爾の帲幪の下に趨り附く、失望せし我を爾の祈禱に由りて救ひ給へ。
光の潔き器、日の尊き輅たる女宰よ、祈る、罪惡の暗に昧まされたる我が心を照して、我を救ひ給へ。
雲を以て天に衣する主の爲に爾の童貞の血より衣を織りし少女よ、誘惑に由りて裸體と爲りたる我に不朽の衣を衣せ給へ。
至聖なる童貞女、神の聘女よ、造成主は爾を人生の谷より百合花の如く採りて、爾に依りて世界に屬神の芳しき香を吹き給へり。
第五歌頌
イルモス 光を衣の如く衣る者よ、我爾に朝の禱を奉りて爾に呼ぶ、ハリストスよ、我が昧まされし靈を照し給へ、爾は獨仁慈の主なればなり。
義なる審判者ハリストスよ、爾は立ちて審判せられて、身を以て仇を定罪し、葦にて擊たれて、我が爲に全き自由を書し給へり。
ハリストスよ、爾が身にて木の上に懸れるを見て、日は其光を晦冥に變じ、地は震ひ、磐は裂けたり。
致命者讚詞 讚美たる致命者よ、爾等は神の法を守る者として、苦を以て地の四極を聖にして、聖所を嗣ぎ給へり。
致命者讚詞 至りて善にして至りて光明なる致命者、神聖なる光榮を衣て、敵の惡を裸體にせし者は尊まるべし。
生神女讚詞 我等爾純潔なる神の母を讚頌す、爾に依りて詛は空しくなり、救贖と祝福とは賜はりたり。
又 イルモス同上
童貞女よ、我が爾より生れし主の審判座の前に立たん時、祈る、其時我が爲に佑助と爲りて、我を定罪より脫れしめ給へ。
潔き者よ、我罪の法に勝たれ、屢敵の誘惑に迷はされて、諸罪の淵に墜さるる者を援け給へ。
イサイヤの見たる熾炭を生みし純潔なる者よ、祈る、我が諸罪の本質を燒きて、我を照し給へ。
ハリストスに爾の血より肉體を借しし童貞女よ、我が肉體の慾を全く潔めて、我に無慾の途を示し給へ。
第六歌頌
イルモス 主宰ハリストスよ、靈を壞る颶風に荒らさるる慾の海を鎭めて、我を淪滅より援け給へ、爾は仁慈の主なればなり。
恒忍なる主よ、爾は木に擧げられて、敵の悉くの驕を墜し、陷りし者を救ひ給へり、爾の大なる仁慈に因りてなり。
主宰言よ、義人等の靈は昔爾が靈を付すを感覺せし時、古世よりの桎梏を釋かれたり。
致命者讚詞 致命者よ、爾等は堅き金剛石の如く、恒忍なる靈を以て悉くの烈しき苦を忍び、自ら謙りて敵を倒し給へり。
致命者讚詞 主の受難者よ、爾等はハリストスの苦難に效ふ者と爲りて、凡の苦を忍び給へり、故に天上の華麗を獲たり。
生神女讚詞 生神女、獨至りて奇異なる女宰よ、爾の產は奇妙にして、大なる奇跡を行ひて、聖者の中に讚榮せらる。
又 イルモス同上
獨潔き女宰よ、願はくは失望の深處は我を囓まず、罪の淚は我を掩はずして、我爾の祈禱に因りて救はれん。
至淨なる者よ、律法の燈臺は爾萬有を照しし光を生みたる者を預象せり。故に爾に呼ぶ、昧まされし我を照し給へ。
至善なる恩主及び造成主を生みし至淨にして善を愛する女宰よ、我が惡に耽りたる靈を善ならしめ給へ。
爾は救の緣由たる生命を施す主、實に永遠の救贖を爾を生神女と傳ふる我等に賜ふ者を生み給へり。
第七歌頌
イルモス 尊まるる先祖の主は焰を滅し、少者を凉しくせり、彼等心を合せて、神よ、爾は崇め讚めらると歌へばなり。
不死の王よ、不法なる會は棘の冠を以て爾、迷の棘を根より斷ち給ふ主に冠らせたり。神よ、爾は崇め讚めらる。
言よ、爾は性に於て苦に與からざる者にして、我に不朽の衣を衣せん爲に、甘じて裸體と爲り、唾せらるることと、十字架と、苦とを忍び給へり。
致命者讚詞 聖なる者よ、爾等は萬有を司る主の苦に效ふ者と爲りて、實に動なき國の子及び嗣と爲り給へり。
致命者讚詞 爾等は木の上に手を伸べし者を萬有の王及び主宰と尊みて、生命なき木像を尊敬せざりき。
生神女讚詞 純潔なる者よ、爾の產は奇妙なり、蓋爾は神、木に緣りて迷の焰を滅して、世界を照しし主を生み給へり。
又 イルモス同上
讚美たる至聖なる童貞女よ、我爾を歌ふ、蓋爾は至りて讚美たる神を種なく生み給へり。彼は、神よ、爾は崇め讚めらると歌ふ者を神成し給ふ。
生命を生みし神の聘女よ、我が諸慾を殺して、我臥す者を無感覺の柩より起し給へ、我が愛を以て爾を讚榮せん爲なり。
女宰よ、爾の諸僕の禱を眷みて、信を以て、神よ、爾は崇め讚めらると歌ふ者を禍より脫れしめ、憂より救ひ給へ。
潔き者よ、爾は無量の能力ある主、我等の不能を任ひし者を生み給へり。彼に痛く弱りたる吾が靈を醫さんことを祈り給へ。
第八歌頌
イルモス 少者は爐に在りて爾萬物を造りし主の前に全世界の詠隊と爲りて歌へり、悉くの造物は主を歌ひて、萬世に崇め讚めよ。
至上の神よ、爾は十字架に擧げられたり、生命の甘味よ、爾は膽を飮ませられたり、爾は戈にて刺されて、樂園に於てアダムを斃しし蛇を刺し殺し給へり。
救世主言よ、爾は甘じて縛られて、我を罪の縲絏より解き、反離者敵を永遠の縲絏にて縛り給へり。故に我爾の苦を世世に讚榮す。
致命者讚詞 聖なる致命者よ、爾等は無形の光に與る者と現れ、第二の光と爲りて、暗昧の迷を拂ひ、衆信者の心を神聖に照し給ふ。
致命者讚詞 致命者よ、爾等は自主なる上のイエルサリムの子と爲り、冢子の敎會の中に輝きて、世世にハリストスを崇め讚む。
生神女讚詞 女宰少女よ、爾は十字架の側に立ち、爾が生みたるハリストスの釘せられしを見て呼べり、無原なる父の子及び言、無原の主よ、我を子なき者と爲す毋れ。
又 イルモス同上
至善にして神を見る童貞女よ、我に善を行ひて神を仰ぎ見るを得しめ給へ、我が呼ばん爲なり、主を歌ひて、世世に彼を崇め讚めよ。
光の門たる童貞女よ、我が爲に痛悔の光明なる門を啓き、凡の義の直き途を示して、神の旨を行ふに導き給へ。
潔き者よ、爾は聖なる言、信者を聖にする者を言ひ難く生み給へり。至聖なる者よ、彼に今我が卑微なる靈、惡に汚されたる者を聖にせんことを祈り給へ。
聖なる女宰よ、光の源及び不死の泉たる萬有の主は爾より出でたり。故に我爾に呼ぶ、潔き者よ、我が惡の流を爾の祈禱の雨にて涸らし給へ。
次に生神女の歌を歌ふ、「我が靈は主を崇め」、及び躬拜。
第九歌頌
イルモス イサイヤ祝へよ、童貞女は孕みて、子エムマヌイル、神及び人なる者を生めり、其名は東。我等彼を崇めて、童貞女を讚め揚ぐ。
主宰ハリストスよ、爾は羔として木に擧げられて、無形の狼の顋を壞り、其口より爾の靈智なる羊を奪ひて、父に攜へ給へり。
仁慈なるハリストスよ、爾は諸王の王として、棘の冠を冠らせられて、凶惡者の國を滅し、迷の棘を根より絕ち給へり。故に我等信を以て爾を讚榮す。
致命者讚詞 勝たれぬ致命者、衆信者を照す者、敬虔の動なき柱、讚榮せらるべき者よ、爾等の敵に對して堅固に立つ所の德は日の如く輝きて、敵の悉くの暗昧を散じたり。
致命者讚詞 救世主の至りて讚美たる致命者よ、爾等は神の集めし隊、天の軍、選ばれたる會にして、神聖なる恩寵を以て凶惡者の城を悉く破り給へり。
生神女讚詞 童貞女よ、爾は地上に敬虔と眞の智識とを植ゑて、園に生じたる詛を絕やす園丁を生み給へり。我等彼を崇めて、爾童貞女を讚め揚ぐ。
又 イルモス同上
潔き者よ、爾は動なき基たる救世主、神聖なる命を以て地を水の上に基づけし者を生み給へり。彼に敬虔にして爾を讚美する我等を堅めんことを祈り給へ。
潔き者よ、我に謙遜を以て神の戒の途を迷なく行かしめ、我より惡鬼の誘惑と諸慾の攻擊とを遠ざけて、我に平穩を與へ給へ。
敵は我が怠惰の坐睡に己を委ぬるを見て、攻め來りて、逸樂の眠を以て我を奪はんと謀る。潔き母童貞女よ、爾の眠らざる祈禱を以て親ら我を護り給へ。
我は自ら定罪せし者の如く、我が罪の多きと審判せられんとする畏るべき審判とを思ふ。祈る、審判者神を生みし生神女よ、其時我を定罪せられざる者として護り給へ。
次ぎて「常に福にして」、及び叩拜。小聯禱、光耀歌、及び常例の聖詠。
挿句に十字架の讚頌、第五調。
ハリストスよ、爾の十字架の木の樹てられしのみにして、偶像の迷は遠ざかり、恩寵は華さけり。已に定罪の苦は息みて、救の勝利は我等に顯れたり。蓋十字架は我等の爲に美譽なり、十字架は我等の爲に堅固なり、十字架は我等の爲に歡喜なり。
句 主よ、夙に爾の憐を以て我等に飽かしめよ、然せば我等生涯歡び樂しまん。爾我等を撲ちし日、我等が禍に遭ひし年に代へて、我等を樂しましめ給へ。願はくは爾の工作は爾の諸僕に著れ、爾の光榮は其諸子に著れん。
ハリストスよ、爾は我等の爲に羊の如く祭に牽かれ、エムマヌイルよ、爾は無垢なる羔の如く自由の屠殺に牽かれて、罪犯者と偕に算へられたり。異邦の諸族よ、來りて歌頌して、十字架に懸けられし終なき生命に伏拜せん。
句 願はくは主吾が神の惠は我等に在らん、願はくは我が手の工作を我等に助け給へ、我が手の工作を助け給へ。
聖なる致命者は地上に戰ひて、嚴寒を忍び、火に付され、水に投ぜられたり。是れ彼等の聲なり、我等は火と水との中に入り、而して爾我等を引き出して自由を賜へりと。ハリストス神よ、彼等の祈禱に由りて我等を憐み給へ。
光榮、今も、十字架生神女讚詞 童貞女母、至福なる少女は昔羔たる其子が十字架に擧げられしを見て、泣きて呼べり、鳴呼吾が子よ、爾は性の不死なる神にして如何ぞ死する。
次ぎて「至上者よ、主を讚榮し」。聖三祝文。「天に在す」の後に聖人の讚詞。聯禱。次に第一時課、常例の聖詠、其他、幷に發放詞。
水曜日の聖体礼儀に
水曜日の眞福詞、第五調。
ハリストスよ、盜賊は十字架に在りて爾を神なりと信じ、誠の心より爾を承け認めて呼べり、主よ、爾の國に於て我を憶ひ給へ。
句 義の爲に窘逐せらるる者は福なり、天國は彼等の有なればなり。
ハリストスよ、爾は脅を刺されて赦罪の流を注ぎ、十字架に己の手を釘せられて人人の慾の思を悉く除き給へり。
句 人我の爲に爾等を詬り、窘逐し、爾等の事を僞りて諸の惡しき言を言はん時は、爾等福なり。
主宰ハリストスよ、爾は十字架に上りて、惡鬼の大數を悉く慄かせ、殘虐者の滅亾を爲す權威を倒して、人類を救ひ給へり。
句 喜び樂しめよ、天には爾等の賞多ければなり。
主の福たる受難者よ、爾等はハリストスの苦難に效ふ者と爲りて、凡の苦を忍び給へり、故に天上の華麗を獲たり。
光榮 父と聖神とに離れざるハリストスよ、爾は十字架に自由なる苦を忍びて、我等の朽壞を爲す諸慾を悉く除き給へり。
今も 神の恩寵を蒙れる者よ、爾は十字架の側に立ち、爾の子の傷つけられしを見て、靈に傷つけられて、彼の實に大なる定制を歌頌し給へり。
水曜日の晩課
「主よ、爾に籲ぶ」に聖使徒の讚頌、第五調。
句 主よ、若し爾不法を糾さば、主よ、孰か能く立たん。然れども爾に赦あり、人の爾の前に敬まん爲なり。
主の門徒等よ、爾等は全地を經て、神の敎を植ゑ給へり。爾等は燈及び富として、唯言のみを有ち、之を用て諸王と殘虐者とを辱かしめ、哲學者と辯論者との智識を蜘蛛の網の如く裂き、衆を造物主を知る知識に召して、惡鬼の空しき奉事を斷ち給へり。故に祈る、爾等の祈禱を以て我を無知なる諸慾より脫れしめ給へ。
句 我主を望み、我が靈主を望み、我彼の言を恃む。
至福なる使徒等よ、神に奉る爾等の祈禱を以て我等衆を誘惑の紛擾、諸異端の僞敎、惡鬼の謀、人人の惡しき會合と不和、滅えざる火、死せざる蟲、切齒、其他の種種の苦より脫れしめ、節制と勤勞と德行とを修むるを助けて、主の大なる憐と天國の嗣業とを得しめ給へ。
句 我が靈主を待つこと、番人の旦を待ち、番人の旦を待つより甚し。
至りて讚美たる十二使徒、及び彼等と同じく熱心なる七十二の會は、人の性の能する所に循ひて、一體にして三位なる神の光に照され、其煇煌を受けて、第二の光と爲りて、ハリストスの福音を以て世界の四極を照し、諸異端の暗昧を斥け、常に世界に平安及び大なる憐を賜はんことをハリストスに祈り給ふ。
又聖大奇跡者ニコライの讚頌、第五調。
句 願はくはイズライリは主を恃まん、蓋憐は主にあり、大なる贖も彼にあり、彼はイズライリを其悉くの不法より贖はん。
慶べよ、聖にせられし首長、諸德の淸き居處、神品職の神聖なる規範、祈る者の慈憐なる扶助者、劣弱の者の祈禱に耳を傾くる者、備へられたる保護者、衆人の救を爲す避所、大なる牧師、勝利の名を有てる者や。我等信を以て常に爾の光榮なる記憶を尊む者に大なる憐を降さんことをハリストスに祈り給へ。
句 萬民よ、主を讚め揚げよ、萬族よ、彼を崇め讚めよ。
慶べよ、聖にせられし睿智者、聖三者の淸き居處、敎會の柱、信者の固、患難に遇ふ者の扶助者、光れる星、其神に悅ばるる祈禱の煇煌にて常に災禍と憂愁との暗昧を散ずる者、穩なる港、度生の激浪に打たるる人人の到りて救を得る者、成聖者ニコライや。我等の靈に大なる憐を降さんことをハリストスに祈り給へ。
句 蓋彼が我等に施す憐は大なり、主の眞實は永く存す。
慶べよ、成聖者の美譽、神聖なる奇跡の盡きざる淵、敎會の華美、光れる星、其煇煌にて我等各人を照す者、動かされぬ柱、信の範たる成聖者ニコライや。愛を以て爾の尊き記憶を行ふ我等の靈に大なる憐を賜はんことをハリストスに祈り給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 慶べよ、諸預言者の封印、及び神の聲なる使徒等の宣傳たる潔き者や。爾は眞に實在なる神、身を取りし者を智慧と言とに超えて生み給へり。我等彼に由りて當初の良產を受け、樂園の糧を樂しみて、爾是くの如き喜悅の所以と爲りし者、及び我等の祈禱者を歌を以て崇め讚む。至淨なる者よ、我等は爾の恩惠に富まされて、爾の子より永遠の生命を得て、豐に其大なる憐を蒙る。
次ぎて「穩なる光」。本日の提綱。「主よ、我等を守り、罪なくして此の晩」。其他。
挿句に使徒の讚頌、第五調。
救世主の門徒よ、爾等は奧密の實見者と爲りて、見えざる始なき者を傳へて云へり、太初に言有りと。爾等は諸天使より先に造られしに非ず、人人より學びしに非ず、乃上なる睿智より之を學べり。故に勇敢を有ちて、我等の靈の爲に祈り給へ。
句 天に居る者よ、我目を擧げて爾を望む。視よ、僕の目主人の手を望み、婢の目主婦の手を望むが如く、我等の目は主我が神を望みて、其我等を憐むを俟つ。
我等同心に歌を以て主の諸使徒を讚め揚げん、蓋彼等は十字架の武器を佩びて、偶像の迷を空しくし、榮冠を冠れる勝利者と現れたり。彼等及び衆聖人の祈禱に因りて、神よ、我等を憐み給へ。
句 主よ、我等を憐み、我等を憐み給へ、蓋我等は侮に饜き足れり、我等の靈は驕る者の辱と誇る者の侮とに饜き足れり。
致命者讚詞 聖なる致命者よ、爾等は靈の愛を傾けてハリストスを愛し、彼を諱まずして、種種の苦を忍び、殘虐者の强暴を倒し、屈せず撓まざる信を守りて、天に移り給へり。故に主の前に勇敢を有ちて、我等に大なる憐を賜はんことを祈り給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 生神童貞女よ、我等信者は職として爾を讚美し、爾を動かされぬ城、壞られぬ墻、堅固なる轉達者、及び我が靈の避所として讚榮す。
次ぎて「主宰よ、今爾の言に循ひ」。聖三祝文。「天に在す」の後に司祭、「蓋國と權能と」。次に讚詞、聯禱、及び發放詞。
水曜日の晩堂課
至聖なる生神女の規程、第五調。
第一歌頌
イルモス 我等は、民に足を濡らさずして海を渡らしめ、ファラオンを其全軍と偕に溺れしめし救世主神、獨彼に歌はん、彼光榮を顯したればなり。
附唱 至聖なる生神女よ、我等を救ひ給へ。
ハリストス王の光れる幕よ、敵の誘惑に因りて昧まされ、諸罪の暗に由りて瞽と爲りし我が思念を照し給へ。
神の母よ、我が卑微なる靈を惡しき思念より解きて、之を神の居處と爲し給へ、我が職として常に爾を讚榮せん爲なり。
光榮 至淨なる者よ、我が神の命に由りて暫時の生命より離れん時、我を惡鬼の手の達せざる者と爲して、我に嚮導者として天使を與へ給へ。
今も 鳴呼靈よ、何ぞ甚しき煩悶の中に生を費したる、此より勵みて主の母に呼べ、神の母よ、我を潔めて救ひ給へ。
第三歌頌
イルモス ハリストスよ、爾の十字架の力にて我が思慮を堅め給へ、我が爾の救を施す升天を歌ひ讚めん爲なり。
至福なる生神女よ、熱切に爾を歌ふ我を諸慾と苦難との穽より引き上げ給へ。
神の恩寵を蒙れる者よ、我が無量の罪惡の哀の衣を解きて、諸德の樂を佩ばしめ給へ。
光榮 潔き者よ、我に淚の滴を與へ給へ、我が心より憂悶を遠ざけて、熱心に爾を歌はん爲なり。
今も 無玷なる者よ、無形の敵の驕を倒して、速に我を彼等の苛虐より解き給へ。
第四歌頌
イルモス 我十字架の力の風聲、樂園が是にて啓かれしを聞きて籲べり、主よ、光榮は爾の力に歸す。
靈よ、何ぞ結果なき無花果に似たる者と爲りて、聊も斫ることと永遠の焰とを畏れざる、急ぎて終の至らざる前に起きよ。
何れの舌か能く我が行ひし惡の無量の海と諸罪の深處とを述べん。至りて無玷なる童貞女よ、我望を失ひし者を救ひ給へ。
光榮 我は吾が多くの罪と滅えざる火とを思ふ時、己の爲に哭く。潔き者よ、爾に祈る、我に痛悔の時を與へ給へ。
今も 願はくは吼ゆる獅子の如き敵は我が不當の靈を奪はざらん、慈憐なる者よ、爾の力を以て靈を害する其齒を折き給へ。
第五歌頌
イルモス 主よ、我等夙に興きて爾に籲ぶ、我等を救ひ給へ、爾は我等の神なればなり、爾の外他の神を知らず。
女宰よ、祈る、顧みて我が聲を聞きて、我を永遠の定罪より脫れしめ給へ。
我罪の矢に傷つけられて爾に呼ぶ、至淨なる者よ、我が心の傷を醫し給へ。
光榮 獨人を愛する宏恩なる主よ、爾を生みし者の祈禱に由りて我を憐み給へ、爾は我の神及び主なればなり。
今も 獨讚美たる者よ、爾の仁慈に祈る、我を憐みて、慈憐を得しめ給へ。
第六歌頌
イルモス 主よ、淵は我を圍み、鯨は我の爲に柩となれり、惟我爾人を愛する者に籲びしに、爾の右の手は我を拯ひ給へり。
詭譎の者は吼ゆる獅の如く我を裂きて、其凶惡の糧と爲さんと欲す。潔き者よ、彼の害より我を脫れしめ給へ。
人を愛する主よ、潔く爾を生みし者の祈禱に因りて、爾の世界を潔め、凡の憂患より脫れしめて、永遠の光榮を獲しめ給へ。
光榮 諸罪の淵は我を圍みて、失望の深處に下せり。潔き者よ、祈る、爾を讚榮する我を最下なる地獄より引き上げ給へ。
今も 我が生は怠惰と諸罪とに滿ちたり、故に讚美たる潔き者よ、我が終の至らざる前に我を痛悔に轉ぜしめて救ひ給へ。
次ぎて主憐めよ、三次。光榮、今も、
坐誦讚詞、第五調。
堅固にして壞られぬ垣墻よ、慶べ、諸敵を仆す者よ、慶べ、正敎の信者を興す者よ、慶べ。生神女よ、爾は實に爾を恃む我等を爾の祈禱を以て凡の患難と神に戾る諸敵より救ひ給ふ。
第七歌頌
イルモス 火の爐の中に歌へる少者を救ひ給ひし我が先祖の神は崇め讚めらる。
女宰よ、爾の慈憐を以て我に自由と不自由との惡の赦を與へ給へ。
我が心は不虔なる惡念の攻擊に由りて弱る。仁慈なる者よ、我を援け給へ。
光榮 生神女よ、我が靈の諸慾の傷を今爾の祈禱の良藥を以て醫し給へ。
今も 仁慈なる者よ、我に痛悔の靈と謙遜の思念とを與へ給へ、我が爾を讚榮せん爲なり。
第八歌頌
イルモス 世世の前に父より生れし子及び神、末の時に童貞女より身を取りし者を、司祭等は歌へ、人人は萬世に崇め讚めよ。
生神女よ、我不當の者は怠惰の中に生命を費し、我が度生の終に近づきて爾に呼ぶ、諸敵の網より我が卑微なる靈を救ひ給へ。
肉體の諸病と、靈の甚しき傷と、諸慾の攻擊とに苦しめらるる我に爾の權柄の力を與へ給へ、爾獨慈憐なればなり。
光榮 潔き少女よ、我生命の海に荒らされ、惡鬼の浪に打たるる者を救ひて、神に向はしめて、彼の悅を爲す度生に入れ給へ。
今も 童貞女よ、遣されたるガウリイルは婚筵の宮に於けるが如く入りて呼べり、慶べよ、萬有の王ハリストスは爾を至榮なる宮として、爾の爲に入りて、地の者を神成し給へり。
第九歌頌
イルモス 爾悟り難く解き難く神の母と爲り、時の中に於て時に緣らざる主を言ひ難く生みし者を、我等信者は心を一にして崇め讚む。
我等は爾言ひ難く神を生みし者を、轉達者と動かされぬ垣墻、靈の救及び奇跡の泉として獲たり。
眞の神の言よ、爾を生みし者の祈禱に由りて、審判の日に於て我に慈憐を垂れて、爾の右に立つ者に加へ給へ。
光榮 潔き者よ、我倚賴を爾に負はせし者を永遠の火、眠らざる蟲、及び凡の苦より救ひ給へ。
今も 神の聘女よ、我が靈が我が不當なる體より離れん時、我を見えざる敵の苛虐より脫れしめ給へ。
次ぎて「常に福にして」、及び叩拜。聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞。其他常例の如し、幷に發放詞。
木曜日
木曜日の早課
第一の誦文の後に使徒の坐誦讚詞、第五調。
我等衆地上の者は睿智なる諸使徒を、言の實見者及び役者として、屬神の詩賦と歌頌とを以て讚め揚げん。蓋彼等は熱切に、我等其聖にせられし記憶を歌ひて、其不朽體に伏拜する者の爲にハリストスに祈る。
句 其聲は全地に傳はり、其言は地の極に至る。
我等は同心に諸使徒を、言の實見者、神聖なる傳道師、異邦民を獲たる屬神の漁者として讚め揚げん。蓋彼等は我等をハリストスを知る知識に導きて、人類を迷より脫れしめて、天國を獲しめたり。
光榮、今も、生神女讚詞 我不當の者は良心の議判に定罪せられて、審判の先に我が多くの惡を思ひて、審判に戰く。故に傷感の情を抱きて、爾勝たれぬ轉達者及び帲幪に呼ぶ、彼の辱より我を脫れしめて、爾の祈禱を以て救ひ給へ。
第二の誦文の後に坐誦讚詞、第五調。
我等同心に諸使徒を崇め讚めん。蓋彼等は衆人に主の醇正の敎を傳へて、僞敎の暗昧を拂ひ、恩寵の敎を以て屬神の文明を世界に輝かせり、且我等の救はれんことを祈り給ふ。
句 諸天は神の光榮を傳へ、穹蒼は其手の作爲を誥ぐ。
復上の坐誦讚詞を誦す。
句 神よ、爾は爾の聖所に於て嚴なり。
致命者讚詞 聖致命者の行を見て天軍は大に驚けり、如何にして死に屬する肉體に在りて、善く戰ひて、十字架の力を以て見えずして無形の敵に勝ちたる。今彼等は我等の靈の憐を蒙らんことを主に祈り給ふ。
光榮、今も、生神女讚詞 我等信者は爾を港と垣墻、避所と倚賴、帲幪と熱切なる保護として獲て、爾に趨り附きて、信を以て熱心に呼ぶ、生神女よ、爾を恃む者を憐みて、諸罪より脫れしめ給へり。
第三の誦文の後に坐誦讚詞、第五調。
救世主の門徒、神聖なる使徒、救の言を地の四極に播きて、幽暗と蔭とに坐する人人を照しし讚美たる者よ、爾等の祈禱を以て諸慾の暗に昧まされし吾が靈を照し給へ。
主よ、不智なる漁者は爾が身を取りし言ひ難き奧密を傳へて、哲學者を辱かしめ、辯論者の口を塞ぎ、諸民の睿智なる敎師と爲りて、地の四極を神聖なる智識の光にて照せり。彼等に由りて我等に大なる憐を與へ給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 至淨なる童貞女、堅き恃賴を爾に負はしむる人人を種種の災禍及び誘惑より庇ふ者よ、使徒等と偕に爾の子に祈りて、我等衆爾を歌頌する者を劇しき苦難より脫れしめて、救ひ給へ。
聖使徒の規程。ニキヤの「エピスコプ」フェオファンの作。第五調。
第一歌頌
イルモス 强き手にて戰を滅すハリストスは馬と騎者とを紅の海に落し、凱歌を歌ふイズライリを救ひ給へり。
神聖なる諸使徒、身に在りて人人と對話せし光の原因なる主の煇煌に富まされたる光榮なる者よ、吾が靈の悉くの暗昧を散じ給へ。二次。
使徒等よ、神聖なる弓は爾等を矢として射て、全世界に遣して、惡謀者の矢を折り、信者の傷を醫せり。
使徒等よ、爾等は實在の睿智を敎師と有ちて、睿智を以て地の四極を照せり。祈る、我に敵の凡の惡謀を防がん爲に智慧を與へ給へ。
生神女讚詞 獨祝福らせれて神の恩寵を蒙れる童貞女、祝福を以て人類を悅ばしし至淨なる者よ、神聖なる使徒等と偕に我等が憐を蒙らんことをハリストスに祈り給へ。
又我等の聖神父奇跡者ニコライの規程、其冠詞は、ニコライよ、第五の歌頌を爾に捧ぐ。イオシフの作。第五調。
第一歌頌
イルモス同上
成聖者ニコライ、睿智なる神父よ、爾は信と愛とを以て神に屬する者と爲りて、其至聖なる望を行ひて、萬事に於て聖なる者と爲れり。
我等誘惑と憂患とに圍まるる者は爾を宏恩なる主の前に轉達者と有ちて、爾に趨り附く、凡の苦難より我等を救ふ手を授け給へ。
聖ニコライよ、ハリストスは爾をミラ城の信者の爲に成聖者と立てしに、爾は奇跡の香氣を以て人人を薰らせたり。故に我等爾に祈る、罪の惡臭より我等を脫れしめ給へ。
生神女讚詞 童貞女よ、昔預言者の會は爾を神聖なる山及び通られぬ門と稱へたり。故に我等爾に祈る、少女よ、痛悔の神聖なる門を我等の爲に啓き給へ。
第三歌頌
イルモス 己の命にて虛しき處に地を固め、保ち難く重き者を懸けしハリストス、獨仁慈にして人を愛する主よ、爾が誡の動かざる石に爾の敎會を堅く立て給へ。
光榮なる使徒等よ、仁慈至大にして、身にて貧しくなりし主は、彼の爲に貧しくなりたる爾等を種種の恩賜に富まして、爾等を以て地の四極を神聖尊貴なる智識に富まし給へり。二次。
ハリストスよ、我毒惡なる蛇に囓まれて、傷つきたる心を獲たり。故に爾我が爲に傷つけられし主に呼びて祈る、爾の使徒の祈禱に因りて我を醫して救ひ給へ。
至福なる者よ、爾等の祈禱の網を以て我を惡の深處、思念の激浪、及び死を致す諸慾より引き出して、救はるる者として萬有の神に攜へ給へ。
生神女讚詞 天の雨を受けし童貞女よ、諸使徒と偕に彼に祈りて、我が慾の流を遏め、我が罪の淵を涸らして、熱切に爾を讚榮する我を救はんことを求め給へ。
又 イルモス同上
克肖にして大なるニコライよ、爾は凶惡者に敵して、神聖なる勤勞を以て其矢を鈍くせり。睿智者よ、爾の祈禱を以て爾を歌頌する者を其惡謀と攻擊とに惱まされぬ者として護り給へ。
司祭首長ニコライ、聖にせられし神父よ、爾は地上に天使の度生を爲して、今諸天使と偕に常に聖三者の寶座の前に立ちて、我等の諸罪と諸難との釋かるるを求め給ふ。
神父ニコライよ、祈る、爾の光明なる祈禱を以て我が智慧の昏昧を斥け、諸慾の暴風を鎭めて、我を無慾の港に向はしめ給へ、我が讚歌を以て爾を讚榮せん爲なり。
生神女讚詞 神の恩寵を蒙れる純潔なる少女よ、實に女王の如く金繍の衣に妝はれ、ハリストスの右に立ちて、爾の祈禱を以て我等の爲に天國を求め得給へ。
第四歌頌
イルモス ハリストスよ、アウワクムは先知の目にて爾が神妙の謙遜を悟り、戰きて爾に呼べり、爾の民を救ひ、爾の膏つけられし者を救はん爲に來り給へり。
門たるイイスス、我等の神及び主は諸使徒に其智識を啓きて、彼等の敎を以て衆異邦民の爲に門を啓き給へり。二次。
神の子よ、爾は使徒等を爾の天の父の義子と爲せり、彼等の祈禱に因りて我等衆を光の子と爲し給へ。
至榮にして審判者及び王と偕に十二の寶座に坐せんとする使徒等よ、我に畏るべく慄くべき審判を免れしめ給へ。
生神女讚詞 神の成聖の匱よ、我が靈を聖にし、思を照して、常に諸使徒と偕にハリストスに我を救はんことを祈り給へ。
又 イルモス同上
聖ニコライよ、爾は今世の暫時の事を以て來世の福樂を得たり。爾の聖なる祈禱を以て我等をも之に與る者と爲して、今世の諸の誘惑より脫れしめ給へ。
ミラ城の民の首座と爲りし聖ニコライよ、香料を以て我が心の感覺を薰らせて、爾の祈禱を以て之より惡臭の諸慾を退け給へ。
ニコライよ、見ゆると見えざるとの敵の惡謀を破りて、常に我等と戰ふ惡敵を終なき滅兦に遣し給へ。
生神女讚詞 聖なる生神女よ、我常に肉體の逸樂に溺らされ、失望の牀に臥して歎く者を援け給へ。
第五歌頌
イルモス 光を衣の如く衣る者よ、我爾に朝の禱を奉りて爾に呼ぶ、ハリストスよ、我が昧まされし靈を照し給へ、爾は獨仁慈の主なればなり。
屬神の辯論者たる尊き使徒等は、樓に在りて、火の狀を以て彼等に臨みし聖神を敬みて受けたり。二次。
不敬虔を破りし使徒等よ、諸罪に由りて壞れたる我が心を恩寵の露を以て醫し給へ。
使徒等よ、ハリストスは爾等を磨がれたる箭として遣して、凶惡の箭を折り給へり、祈る、敵の箭に傷つけられし我を醫し給へ。
生神女讚詞 至大なる仁慈の主よ、我を定罪する毋れ、我を爾の顏より退くる毋れ、潔く爾を生みし者及び使徒の會は爾に祈る。
又 イルモス同上
聖ニコライよ、爾は異邦の偶像を壞り、異端者の謀を無效と爲し、死に曳かるる者を救ひ給へり。
克肖者よ、爾は少き時より主に役事し、今は彼處に在る光に遍く照されて盛に耀く。故に爾に祈る、吾が靈の雲を散じ給へ。
神父ニコライよ、爾に祈る、此の時我等衆爾を呼ぶ者の中に臨みて、我が救の爲にする求を應へ給へ。
生神女讚詞 神の恩寵を蒙れる者よ、智慧にて悟られぬ主は爾に受けられて、身を有つ者と爲り、人人を受けて、彼等を圍める災禍及び憂愁より脫れしめ給ふ。
第六歌頌
イルモス 主宰ハリストスよ、靈を壞る颶風に荒らさるる慾の海を鎭めて、我を淪滅より援け給へ、爾は仁慈の主なればなり。
人を愛する主よ、爾は聖にせられし爾の門徒の敎の鹽を以て、人類の中に廣まりたる惡の敗壞を止め給へり。二次。
主宰ハリストスよ、爾は我が惡の深處を知る、人を愛する主よ、我に手を授けて、爾の聖にせられし使徒の祈禱に由りて我を救ひ給へ。
至りて義なる審判者よ、畏るべき審判の日に於て、爾の光榮なる使徒の祈禱に由りて、戰く我を定罪より救ひ給へ。
生神女讚詞 主よ、不法の多きに因りて失望せし我に爾の母及び門徒の祈禱に因りて救を得しめ給へ。
又 イルモス同上
聖ニコラィよ、主宰に祈りて、我等爾を尊む衆に慈憐を垂れて、我が諸罪の赦を賜はんことを求め給へ。
ニコライよ、我等爾を主の前に祈禱者として得たる者を諸病と世俗の誘惑と、災禍及び憂愁より脫れしめ給へ。
ニコライよ、主宰ハリストスは爾を有能なる醫師と顯せり。故に敬虔を以て爾に趨り附く者の諸病を醫し給へ。
生神女讚詞 潔き者よ、爾は夫を識らずして生みて、神の母と爲れり。故に我信を以て爾に祈る、吾が靈の煩悶を散じ給へ。
第七歌頌
イルモス 尊まるる先祖の主は焰を滅し、少者を凉しくせり、彼等心を合せて、神よ、爾は崇め讚めらると歌へばなり。
ハリストスの門徒・見神者よ、尊まるる先祖の主は爾等を高くして、敵の悉くの力を墜し給へり。
諸使徒よ、爾等の祈禱を以て傷感の流にて我が心の汚を滌ひて、呼ばしめ給へ、神よ、爾は崇め讚めらる。
神言の門徒等よ、爾等は聖神の火を以て凡の虛誕の質を燒けり。祈る、燒く所の「ゲエンナ」より我を脫れしめ給へ。
生神女讚詞 陷りしアダムの改新なる童貞女よ、爾及び神聖なる使徒等の祈禱を以て我惡の淵に陷りし者を起し給へ。
又 イルモス同上
全く己を神に託せし神智なるニコライよ、常に不當にして世俗の慾に陷る我を全くして救ひ給へ。
至りて光明なる燈よ、常に諸慾の闇に昧まさるる我が智慧を照して、我に端正にして生を度るを得しめ給へ。
ニコライよ、凡そ我に對ひて開かるる凶惡なる口を爾の祈禱を以て塞ぎて、我を見ゆると見えざるとの敵より脫れしめ給へ。
生神女讚詞 生神女、至りて光れる雲よ、爾より我等の爲に暮れざる日ハリストス我が神は輝き出でて、無智の暗昧に在る者を照し給へり。
第八歌頌
イルモス 少者は爐に在りて爾萬物を造りし主の前に全世界の詠隊と爲りて歌へり、悉くの造物は主を歌ひて、萬世に崇め讚めよ。
言よ、爾は使徒等を靈智なる雲として披きて、我等に睿智にして神聖なる敎の雨を注ぎて、萬世に我等に飮ましむ。
敎會の至りて堅固なる柱、敎の定理を以て敎會を動かざる者と爲す見神者よ、我が靈の朽ちたる家を神聖なる工を以て固め給へ。
靈よ、歎息して、心を傾けて淚の流を主に捧げて呼べ、獨宏恩なる主よ、至榮なる使徒の嘉く納れらるる祈禱に由りて、我を潔めて救ひ給へ。
生神女讚詞 擇ばれたるシオン、王の城邑たる至淨なる童貞女よ、神聖なる門徒と偕に爾の無原なる子に祈りて、我を上なる城邑の住者と爲し給へ。
又 イルモス同上
ミラ城の首成聖者たりし大なるニコライよ、香料を以て我が靈の感覺を薰らせ給へ、我が諸慾の惡臭を脫れて、撫恤者の恩寵を受けん爲なり。
睿智者よ、爾は聖なる爾の言の流にてアリイの褻瀆の流を遏めたり。故に我爾に呼ぶ、至福なるニコライよ、爾の祈禱を以て我が諸慾の流を涸らし給へ。
爾の祈禱を以て我等を罪過と、惡魔の攻擊と、惡しき人人の害より脫れしめ給へ、我等が爾を吾が救護者として崇め讚めん爲なり。
聖三者讚詞 我等信を以て絕えず三者の一體を讚榮して呼ばん、父と言と至聖神よ、我等爾を萬世に崇め歌ふ。
生神女讚詞 童貞女よ、神は我等の爲に爾より身を衣て、爾純潔なる者を全人類の爲に神聖なる轉達者と爲せり。故に我等信者は大なる聲を以て爾を讚め歌ふ。
次ぎて生神女の歌を歌ふ、「我が靈は主を崇め」、及び叩拜。
第九歌頌
イルモス イサイヤ祝へよ、童貞女は孕みて、子エムマヌイル、神及び人なる者を生めり、其名は東。我等彼を崇めて、童貞女を讚め揚ぐ。
睿智者よ、爾等は神聖の諸德にて輝く靈智なる星の列れる天と現れ、ハリストスを日の如く其中に有ちて、地の四極を新にし給へり、故に爾等讚美せらる。
ハリストスの瘡痍を以て己の神聖なる身の最美しき飾と爲したる睿智者よ、惡魔の矢に傷つけられたる我が靈を主に於ける轉達を以て醫し給へ。
主ハリストスよ、罪の最深き穴に臥して、甚しき怠惰の眠にて靈の壓せらるる我を、爾の門徒に由りて、ラザリを起しし如く起して救ひ給へ。
生神女讚詞 大仁慈なる神の言よ、吾が靈に爾の誡の直き途を行かしめ給へ、爾を生みし至淨なる童貞女及び爾の睿智なる諸使徒は之を爾に祈る。
又 イルモス同上
爾は神聖なる成聖者にして、ハリストスの悉くの誡を守り給へり、故に信者の爲に神聖なる保護者と爲れり。神父ニコライよ、彼等を諸の誘惑及び葘害より護り給へ。
克肖なる神父ニコライよ、爾は善き牧者として、昔饑饉に由りて憊れたる爾の都邑を養ひし如く、斯く今も、慈憐なる保護者として、靈智なる糧を以て我が靈を養ひ給へ。
克肖なる牧者よ、我等信を以て爾常にハリストスの敎會の穹蒼に懸れる大なる日に祈る、光の至りて光明なる煇煌を以て我等の靈の罪の深き闇を拂ひ給へ。
書せるが如く、ハリストスの降臨の畏るべき日は邇づけり。靈よ、醒めて、怠惰を退けて、熱切にハリストスに呼べ、主よ、爾のニコライの祈禱に由りて我を救ひ給へ。
生神女讚詞 至淨なる永貞童女よ、預言者は爾を光明なる燈臺として預見せり、其上に靈智なる燈ハリストスは載せらる。彼に由りて我等幽暗及び慾の中に臥す者は照されて、爾生神女を讚頌す。
次ぎて「常に福にして」、及び叩拜。小聯禱、光耀歌、及び常例の聖詠。
挿句に使徒の讚頌、第五調。
救世主の門徒よ、爾等は奧密の實見者と爲りて、見えざる・始なき者を傳へて云へり、太初に言有りと。爾等は諸天使より先に造られしに非ず、人人より學びしに非ず、乃上なる睿智より之を學べり。故に勇敢を有ちて、我等の靈の爲に祈り給へ。
句 主よ、夙に爾の憐を以て我等に飽かしめよ、然せば我等生涯歡び樂しまん。
爾我等を撲ちし日、我等が禍に遭ひし年に代へて、我等を樂しましめ給へ。願はくは爾の工作は爾の諸僕に著れ、爾の光榮は其諸子に著れん。
我等同心に歌を以て主の諸使徒を讚め揚げん、蓋彼等は十字架の武器を佩びて、偶像の迷を空しくし、榮冠を冠れる勝利者と現れたり。彼等及び衆聖人の祈禱に因りて、神よ、我等を憐み給へ。
句 願はくは主吾が神の惠は我等に在らん、願はくは我が手の工作を我等に助け給へ、我が手の工作を助け給へ。
致命者讚詞 聖なる者は苦の中に在りて歡びて呼べり、是れ我等の爲に主宰に於ける貿易なり、蓋我等は肉體に受くる傷に易へては復活の時に光潔なる衣を受け、耻辱に易へては榮冠、獄の桎梏に易へては樂園、罪犯者と偕にする定罪に易へては天使等と偕に居ることを受けん。主よ、彼等の祈禱に因りて我等の靈を救ひ給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 生神童貞女よ、我等爾を讚美す、爾より義の日たるハリストス、大なる憐を有つ主は輝き出でたればなり。
次ぎて「至上者よ、主を讚榮し」。聖三祝文。「天に在す」の後に、若し之あらば、聖人の讚詞。次に聯禱、及び第一時課、常例の聖詠、其他次第に循ふ、幷に發放詞。
木曜日の聖体礼儀に
木曜日の眞福詞、第五調。
ハリストスよ、盜賊は十字架に在りて爾を神なりと信じ、誠の心より爾を承け認めて呼べり、主よ、爾の國に於て我を憶ひ給へ。
句 和平を行ふ者は福なり、彼等神の子と名づけられんとすればなり。
神聖なる門徒よ、爾等は光れる雲の如く大地を歷て、活ける水を注ぎ、罪過に因りて涸れたる心に饒に飮ませ給へり。
句 義の爲に窘逐せらるる者は福なり、天國は彼等の有なればなり。
ハリストス我が神の神聖なる門徒よ、爾等は潔き童貞女より輝き出でし日の奧密なる光線として、無知の暗昧に坐する者を照し給へり。
句 人我の爲に爾等を詬り、窘逐し、爾等の事を僞りて諸の惡しき言を言はん時は、爾等福なり。
致命者讚詞 聖なる睿智者よ、爾等は熱心なる靈を以て劇しき苦の焚く火を忍び、偶像の迷を焚きて、神聖なる樂に移り給へり。
句 喜び樂しめよ、天には爾等の賞多ければなり。
ハリストスよ、爾は罪過の深處に埋みたる金錢を取りて父に攜へん爲に、聖神を以て使徒傳道師等を造り給へり。
光榮、聖三者讚詞 至りて神聖なる三者、無原なる父、同無原の子、及び聖神、惟一の神よ、悉くの傳道師の祈禱に依りて爾の敎會を護り給へ。
今も、生神女讚詞 諸使徒の飾なる神の恩寵を蒙れる者よ、我度生の逸樂に昧まされし者を痛悔の光を以て照し給へ、我が爾を崇め讚めん爲なり。
木曜日の晩課
「主よ、爾に籲ぶ」に十字架の讚頌、第五調。
句 主よ、若し爾不法を糾さば、主よ、孰か能く立たん、然れども爾に赦あり、人の爾の前に敬しまん爲なり。
林の悉くの木は、主宰の苦難に由りて歡ばれたる最尊き木を見て歡ぶべし。此の木は恩寵を火焰の如く耀かし、衆の爲に恩賜を水の如く流し、靈と心とを照し、諸病を醫し、諸慾を退け、見えざる惡鬼を遠く逐ひ、異邦民に勝ち、諸王に敵に對する勝利を與へ、恒に信者に祝福と大なる憐とを與ふ。
句 我主を望み、我が靈主を望み、我彼の言を恃む。
預言者の言ひし如く、主の足の立ちし處に我等信を以て伏拜し、十字架に釘せられて共に我等の罪過を釘せしハリストスを讚榮せん。彼は木に緣る詛を破り、遠く父に離れたる者を之と和睦せしめ給へり。我等は其手と足との釘、戈と葦、海絨と冠に接吻し、嘲罵と陵辱と其他の忍びたる事を尊まん、此等に因りて救はれたればなり。
句 我が靈主を待つこと、番人の旦を待ち、番人の且を待つより甚し。
我等は百體をハリストスと偕に十字架に釘して、世の爲に死し、世を持つハリストスの蹤に行くを慕ひて、其神聖なる十字架を肩に任ひ、肉體の逸樂と靈を罪に引く惡慾とを退け、心の中に十字架の前に立ちて、其上に釘せられて、歎息して己の靈を父の手に付しし者を仰がん、常に彼と偕に別れずして居らん爲なり。
又至聖なる生神女の讚頌、同調。
句 願はくはイズライリは主を恃まん、蓋憐は主にあり、大なる贖も彼にあり、彼はイズライリを其悉くの不法より贖はん。
至淨なる者は葡萄の樹として栽培せられずして生ぜし實が木に懸けられて、戈を以て神聖なる脅を刺されしを見て、呼びて云へり、吾が子及び神よ、是れ何ぞや、凡の病と苦とを醫す者、神の性にて苦に與らざる主にして、奈何ぞ苦を忍ぶ、如何にして恩を知らざる民は爾恩主に諸恩に易へて斯く酬いたると。生神女よ、彼の苦に因りて我を苦より釋かんことを常に祈り給へ、我が爾を讚榮せん爲なり。
句 萬民よ、主を讚め揚げよ、萬族よ、彼を崇め讚めよ。
我等衆不當の行と誡に背くこととを以て神を怒らせし者は、熱き淚を流し、手を伸べ、胷を拊ち、膝を屈め、面を地に伏せ、歎息を天に發して、將來の審判に苦を免るることを求めん。主よ、爾を悲しませし者は爾に轉じて祈る、爾が身を取り、十字架を忍びて救はんと欲せし者を、爾の母の祈禱に因りて、爾の國に與る者と爲し給へ。
句 蓋彼が我等に施す憐は大なり、主の眞實は永く存す。
靈よ、爾誰に似て益惡に進み、無知にして傷に更に多くの傷を加へ、全身傷を被るに至りたる。何ぞ思はざる、審判者は近づく、爾彼の前に立ちて、行に由りて罰を受けん。疾く轉じて童貞女に俯伏して呼べ、女宰よ、女宰よ、爾より人人の救の爲に生れ、身にて釘せられし大仁慈なる神を怒らせし我を棄つる毋れ。
光榮、今も、十字架生神女讚詞 罪なき吾がハリストスよ、爾は衆人に救を得しめんと欲して、我等の爲に贖罪として、價の大なる爾の至りて潔き血を甘じて與へ給へり。故に爾の母は爾が釘せられしを見て淚を流し、痛く歎きて言へり、吾が子、至りて無玷なる羔、暮れざる光よ、爾の尊き血にて世界を贖はんと欲して、如何ぞ我が目より隱れたる。救世主よ、衆人に光照と、平安と、大なる憐とを與へ給へ。
次ぎて「穩なる光」。本日の提綱。「主よ、我等を守り」。
挿句に十字架の讚頌、第五調。
主よ、昔預言者モイセイの時に爾の十字架の形のみ現れて、爾の敵に勝てり。今我等は實體の爾の十字架を執りて、佑助を求む、人を愛する主よ、大なる慈憐に由りて爾の敎會を堅め、吾が皇帝にコンスタンティン王に於けるが如く勝利を與へ給へ。
句 天に居る者よ、我目を擧げて爾を望む。視よ、僕の目主人の手を望み、婢の目主婦の手を望むが如く、我等の目は主我が神を望みて、其我等を憐むを俟つ。
ハリストスよ、爾の十字架は實質に於ては見ゆる木なれども、神聖なる力を衣せられ、有形に世界に現れて、無形に我が救を靈妙に行ふ。救世主よ、我等之に伏拜して爾を讚榮す、我等を憐み給へ。
句 主よ、我等を憐み、我等を憐み給へ、蓋我等は侮に饜き足れり、我等の靈は驕る者の辱と誇る者の侮とに饜き足れり。
致命者讚詞 至りて讚美たる致命者よ、爾等は凡そ地上の事を意とせずして、勇ましく己を苦に付し、望みし福を得て、天の國を嗣ぐ者と爲れり。仁愛なる神の前に勇敢を有ちて、世界の爲に平安、我等の靈の爲に大なる憐を求め給へ。
光榮、今も、十字架生神女讚詞 童貞女母、至福なる少女は昔羔たる其子が十字架に擧げられしを見て、泣きて呼べり、嗚呼吾が子よ、爾は性の不死なる神にして如何ぞ死する。
次ぎて「主宰よ、今爾の言に循ひ」。聖三祝文。「天に在す」の後に聖人の讚詞。聯禱及び發放詞。
木曜日の晩堂課
至聖なる生神女の規程、第五調。
第一歌頌
イルモス 强き手にて戰を滅すハリストスは馬と騎者とを紅の海に落し、凱歌を歌ふイズライリを救ひ給へり。
童貞女神の聘女よ、我等は爾を他の樂園、靈智にして、竝なくエデムの樂園に超ゆる者として知る、蓋爾は、神の母よ、人人の爲に不朽を生じ給へり。
アダムは樂園に智識の樹の果を食ひて、生命の樹に與るを禁ぜられたり。童貞女よ、爾より身を取りし者は不死を與へ給へり。
光榮 初のアダムは地より全能者の至淨なる手にて造られたり。生神童貞女よ、爾より種なくして新なるアダム、人類の造成主は生れ給へり。
今も 無量の罪過の今を限の淵は我を圍みて、我を甚しき失望の深處に降す。慈憐の淵を生みし者よ、急ぎて我を救ひ給へ。
第三歌頌
イルモス 己の命にて虛しき處に地を固め、保ち難く重き者を懸けしハリストス、獨仁慈にして人を愛する主よ、爾が誡の動かざる石に爾の敎會を堅く立て給へ。
初に地に生ける物を生ずるを命ぜし神の言は、今地上に夫を識らざる童貞女より神の性を易へずして身を取りて生れ給へり。
女宰生命の母よ、爾は地に生るる者の恃賴と扶助、喜悅と帲幪、及び避所なり。故に我等祈る、凡そ爾を歌ふ者に爾の扶助を降し給へ。
光榮 宏恩なる造成主、萬有の神よ、我等甚しき誘惑に圍まれて弱る者は爾の至聖なる幕を祈禱の爲に進めて爾に呼ぶ、爾の諸僕を苦難の圍より釋き給へ。
今も 罪の浪は甚しく我を擾して、惡の深處に引き、善に逆ふ思の颶風は我が靈を荒らす。嚮導師を生みし至淨なる者よ、急ぎて爾の僕を救ひ給へ。
第四歌頌
イルモス ハリストスよ、アウワクムは先知の目にて爾が神妙の謙遜を悟り、戰きて爾に呼べり、爾の民を救ひ、爾の膏つけられし者を救はん爲に來り給へり。
エワは蛇に順ひて、女の爲に悲を生めり。童貞女よ、爾は神の言を信じて、全世界の爲に歡喜の華を發けり。
初にアダムの肋骨よりエワは出でたり。今は神の聘女たる母より神は生れ給へり、童貞女は彼を身を取りし者として父なく生み給へり。
光榮 エワは喜ぶ、蓋、潔く審判者を孕みて、仁慈なる主を生みし少女は原母を古の定罪より釋き給へり。
今も 我が生命は諸罪に滿ち、思念は慾に耽り、我が靈は定罪せられたり。祈る、女宰よ、爾の仁慈に由りて我を憐みて救ひ給へ。
第五歌頌
イルモス 光を衣の如く衣る者よ、我爾に朝の禱を奉りて爾に呼ぶ、ハリストスよ、我が昧まされし靈を照し給へ、爾は獨仁慈の主なればなり。
童貞女、光を施す主の母よ、我等は爾を光の柱及び雲として獲て、誘惑の野を行きて災禍を免る。
神を身にて生みし者よ、慶べ、彼は世の先より無形に父より生れて、今は有形に我等に現るることを甘じ給へり。
光榮 マリヤよ、日は爾の光に勝たれたり、蓋爾は光體を以て天を飾りし主を手に抱きて、爾の乳房にて養ひ給へり。
今も ハリストス我が救世主よ、爾を生みし潔き母の祈禱に由りて、我を不滅の火に定罪する毋れ。
第六歌頌
イルモス 主宰ハリストスよ、靈を壞る颶風に荒らさるる慾の海を鎭めて、我を淪滅より援け給へ、爾は仁慈の主なればなり。
潔き永貞童女よ、爾は昔預言者イオナを鯨の内に救ひし奇異なる神を爾の腹の内に忮なく宿し給へり。
海を保つ主神を生みし至淨なる童貞女よ、我等を荒らす誘惑の海を鎭め給へ。
光榮 萬衆の平穩たるハリストスを生みし至淨なる者よ、彼に捧ぐる爾の祈禱を以て我が諸慾の烈しき颶風を穩に爲し給へ。
今も 憂の日に於て我が肉體の縛を釋かれんとする時、我に臨みて、惡鬼の圍より脫れしめ給へ。
次ぎて主憐めよ、三次。光榮、今も、
坐誦讚詞、第五調。
ハリストスよ、爾の母は爾が甘じて十字架に盜賊の間に懸れるを見て、母として心裂かれて言へり、罪なき子、仁慈に由りて人類を活かさんと欲する者よ、如何ぞ罪犯者の如く、非義に十字架に釘せられたる。
第七歌頌
イルモス 尊まるる先祖の主は焰を滅し、少者を凉しくせり、彼等心を合せて、神よ、爾は崇め讚めらると歌へばなり。
祝福せられし者よ、太祖アウラアムに臨みし神は爾の子と爲りて、彼の子孫及び異邦民に祝福し給へり。
爾はイアコフの見たる光潔なる梯なり、蓋神は獨爾を母と預象して、爾に因りて彼の諸子を己に合せ給へり。
光榮 潔き者よ、父及び聖神と偕に尊まるる子は爾を選び、己の至愛なる居處と爲して、爾に藉りて身を取り給へり。
今も 爾が生みし神に常に祈りて、我失望せし者を救ひて、信を以て、神よ、爾は崇め讚めらると呼ぶ者に憐を賜はんことを求め給へ。
第八歌頌
イルモス 少者は爐に在りて爾萬物を造りし主の前に全世界の詠隊と爲りて歌へり、悉くの造物は主を歌ひて、萬世に崇め讚めよ。
童貞女よ、爾の產は窮むれども悟られず、唯信を以て、主の悉くの造物は主を歌ひて、世世に彼を崇め讚めよと呼ぶ者に拯救として現る。
聘女ならぬ聘女よ、爾は童貞女の光榮を失はずして、母の尊貴に富まされたり、如何に斯くなりしか、奇跡を行ひし主は之を知る、我等彼を世世に崇め讚む。
光榮 仁慈潔淨なる童貞女よ、我が卑微なる靈の痛傷を見て、速に病を醫し給へ、我が世世に爾を讚榮せん爲なり。
今も 至善なる言よ、仁慈を以て爾の母、爾の尊き血にて獲たる民を救はんことを祈る者を受け給へ、我等が萬世に爾を崇め讚めん爲なり。
第九歌頌
イルモス イサイヤ祝へよ、童貞女は孕みて、子エムマヌイル、神及び人なる者を生めり、其名は東。我等彼を崇めて、童貞女を讚め揚ぐ。
拜まるる聖三者の一位を身にて潔く我等の爲に生みし生神女・女宰よ、聖三者に祈りて、地に在る者に平安を與へ、爾を歌ふ我等に諸罪の赦を賜はんことを求め給へ。
エムマヌイルは一位なれども二性あり、視よ、彼の内にある二の旨及び二の行動は之を顯す。我等は彼を生みし者を生神女と承け認む。
光榮 我は吾が罪の多き、慾の興起、我が靈の煩悶、我が智慧の迷惑を思ひて、己の爲に淚を流す。主よ、我失望せし者に救を得しめ給へ。
今も 主よ、我が敵は盜賊の如く來り攻めて、上なる美しき光る衣を剥ぎて、多くの傷を我に負はせたり、爾我死するばかりなる者に臨みて、我を起し給へ。
次ぎて「常に福にして」、及び叩拜。聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞。其他常例の如し、及び發放詞。
金曜日
金曜日の早課
第一の誦文の後に十字架の坐誦讚詞。第五調。
救世主よ、髑髏の處は樂園と爲れり、蓋十字架の木は建てられしのみにして、直に生命の葡萄の房たる爾を我等の樂の爲に生じたり。光榮は爾に歸す。
句 主我が神を崇め讚め、其足凳に伏し拜めよ、是れ聖なり。
我等信者は救世主及び贖罪主が、親ら知るが如く欲するが如く、甘じて十字架に釘せられしを歌頌して讚榮せん。蓋彼は十字架に人人の罪を釘して、人類を迷より脫れしめて、國を獲しめ給へり。
光榮、今も、十字架生神女讚詞 ハリストスよ、爾の母は爾が甘じて十字架に盜賊の間に懸れるを見て、母として心裂かれて言へり、罪なき子、仁慈に由りて人類を活かさんと欲する者よ、如何ぞ罪犯者の如く、非義に十字架に釘せられたる。
第二の誦文の後に十字架の坐誦讚詞、第五調。
己の旨に由りて十字架に釘せらるるを忍びて、人人を朽壞より解きたる救世主よ、我等信者は爾を歌頌して伏拜す、爾は十字架の力を以て我等を照したればなり。宏恩にして仁愛なる王よ、我等皆爾を生命を施す者及び主として讚榮す。
句 神我が古世よりの王は救を地の中に作せり。
宏恩なる主宰ハリストスよ、爾は甘じて十字架を忍びて、食に緣る古の詛を、全能なる神として滅し給へり。故に我等は爾の神聖尊貴なる苦を歌ひ、之に伏拜して、絕えず言に超ゆる爾の定制を讚榮す。
句 神よ、爾は爾の聖所に於て嚴なり。
致命者讚詞 今日受難者の記憶は地に輝き、天にも光る、天使の會は祝ひ、人の族は共に歡ぶ。故に彼等は主に我等の靈の憐を蒙らんことを祈り給ふ。
光榮、今も、十字架生神女讚詞 神の恩寵を蒙れる者よ、爾の子の十字架にて偶像の迷は悉く虛しくなり、惡魔の力は破られたり。故に我等信者は職として常に爾を歌ひて讚め揚げ、實に生神女と承け認めて爾を崇め讚む。
第三の誦文の後に坐誦讚詞、第五調。
イイスス萬有の王よ、天使の品位は爾が十字架に釘せられて眠りしを見て驚き、惡鬼の軍は直に勝たれ、地獄の柱は折かれ、死の殘虐は息み、墓の中の死者は復活せり。
イイススよ、アダムは蛇の嫉妬に因りて木より悲を獲て、朽壞に陷りたり。爾釘せられしに、彼は復生命を樂しみ、十字架の木に緣りて天に住む者と爲り、蛇は虛しくせられ、朽壞は呑まれたり。我等皆爾に光榮を獻ず。
光榮、今も、十字架生神女讚詞 救世主よ、產苦なく爾を生みし者は爾が木に擧げられしを見て、淚を流して呼べり、嗚呼甘愛なる子よ、我爾が罪犯者の審判に因りて二の罪犯者の間に十字架に釘せられしを見て、靈裂かる。
尊貴にして生命を施す十字架の規程、其冠詞は、我がハリストスよ、爾は苦に因りて我を苦より救ひ給ふ。イオシフ師の作。第五調。
第一歌頌
イルモス 我等は、民に足を濡らさずして海を渡らしめ、ファラオンを其全軍と偕に溺れしめし救世主神、獨彼に歌はん、彼光榮を顯したればなり。
ハリストスよ、爾は甘じて苦を殺す苦を忍びて、昔樂園に於て我等を殺しし者を殺し給へり。故に我等爾の仁慈を讚榮す。
ハリストスよ、爾十字架に擧げられしに、敵は墜され、我等陷りし者は擧げられ樂園の住者と爲りて、爾の國の權柄を讚榮す。
致命者讚詞 睿智なる大致命者よ、爾等は十字架の盾を武器と爲して、凡の惡鬼の軍と戰ひ、之に勝ちて光榮を獲たり。
致命者讚詞 讚美たる受難者よ、爾等は尊き羔として、我等の爲に屠られし羔に獻ぜられて、不淨の祭を止めたり。故に我等爾等を讚頌す。
生神女讚詞 純潔無玷なる童貞女よ、爾は我等の爲に日の老いたる者を新なる嬰兒として生み給へり、是れ其神聖なる苦を以て老いたる人の性を新にせし者なり。
又至聖なる生神女の規程。
第一歌頌
イルモス同上
純潔なる童貞女母マリヤよ、我爾を慈憐の泉及び熱切なる轉達者と知りて、爾に呼ぶ、我が卑微なる靈を憐みて宥め給へ。
潔き者よ、神の子は爾の胎内に入り、人の性を取りて、至仁なる主として、衆人を蛇の朽壞より救ひ給へり。
純潔なる神の母よ、我の爲に光照及び救の恃賴と爲りて、諸罪の縛を解き、我を將來の定罪及び苦より脫れしめ給へ。
神の母よ、我が卑微なる靈を惡しき思より解きて、之を神の居處と爲し給へ、我が職として常に爾を讚榮せん爲なり。
第三歌頌
イルモス ハリストスよ、爾の十字架の力にて我が思慮を堅め給へ、我が爾の救を施す升天を歌ひ讚めん爲なり。
主宰救世主よ、爾は木に擧げられて、果の朽壞を枯らし、爾の脅より我等の爲に不朽の泉を流し給ふ。
主宰よ、爾は羔の如く十字架に屠られて、爾の神聖なる血を以て我が靈の門の楣に記し給へり。故に我等は畏を以て爾を讚榮す。
致命者讚詞 ハリストスの受難者よ、爾等は縛られ、多くの苦に付され、猛獸に投げられて、動なく止まり給へり。
致命者讚詞 我が神の致命者よ、爾等は生命の葡萄の房として、信者の心を樂しましむる苦の酒を流し給へり。
生神女讚詞 潔き者よ、爾の子及び主は木の上に死して、我等の爲に生命の中保者と顯れて、爾を歌ふ者を榮し給ふ。
又 イルモス同上
神の母よ、我無量の罪過の滅亾の穽に陷りし者を、爾の慈憐の多きを以て引き出し給へ。
讚美たる者よ、我生命の晩に至り、煩悶に圍まれて、爾に呼ぶ、爾我の爲に扶助者と爲り給へ。
至聖至潔なる生神女よ、我に諸罪の赦を與へて、我が爲に救と永遠の喜とを求め給へ。
潔き者よ、我に淚の滴を與へ給へ、我が心より煩悶を退けて、熱切に爾を歌はん爲なり。
第四歌頌
イルモス 我十字架の力の風聲、樂園が是にて啓かれしを聞きて籲べり、主よ、光榮は爾の力に歸す。
義の日ハリストス言よ、爾は十字架に在りて入りし時、我等爾の畏るべき定制を歌ふ者の爲に暮れざる光を輝かし給へり。
ハリストス審判者よ、爾曾て審判座の前に立ちて、非義なる敵を定罪せり、不義なる者の間に釘せられて、我等を義と爲し給へり。
致命者讚詞 主の受難者よ、爾等は見えざる敵を辱かしめ、勝利者として榮冠を冠りて呼べり、主よ、光榮は爾の力に歸す。
致命者讚詞 我等集まりて信を以て、靈智なる樂園の凋まざる花、價の最貴き器たるハリストスの受難者を尊まん。
生神女讚詞 潔き者よ、爾は生みしハリストスの十字架にあるを見たる時、彼の言ひ難き恒忍を奇とせり。故に我等は彼と偕に爾を讚榮す。
又 イルモス同上
誰か能く我が惡しき行及び多くの罪過の爲に審判者に祈りて其赦を獲ん、唯爾潔き童貞女のみ、獨罪を行ひし者の轉達者なればなり。
至淨なる者よ、爾の力を以て、我多くの罪過に陷りて、吾が靈を罪の奴隷と爲しし者を起し、爾の祈禱を以て我を奴隷より釋き給へ。
純潔無玷なる生神女よ、萬有の造成主及び王を生みし者として、我を凡の不潔の罪過より脫れしめ給へ。
我が多くの罪と滅えざる火とを思念に起す時、我己の爲に泣く。祈る、至淨なる者よ、我に痛悔の時を與へ給へ。
第五歌頌
イルモス 主よ、我等夙に興きて爾に籲ぶ、我等を救ひ給へ、爾は我等の神なればなり、爾の外他の神を知らず。
ハリストスよ、磐は爾が木に擧げられしを感じて裂かれ、地の基は震へり。
義の日、恒忍なる主よ、爾木に擧げられて、日は光を隱せり。
致命者讚詞 聖なる者よ、爾等は奇跡の光に輝きて、神゜を以て諸病の暗昧を遠ざけ給ふ。
致命者讚詞 致命者よ、爾等の體は劍にて斷たれて、靈は神を愛する愛より斷たれざりき。
生神女讚詞 純潔なる童貞女母よ、爾は救世主の十字架に擧げられしを見て、哭きて呼べり。
又 イルモス同上
女宰よ、我全體に罪の傷を被りし者を爾の慈憐の良藥を以て醫し給へ。
至りて無玷なる者よ、爾は昔神聖なる產を以て朽壞の流を止めたり、今も我が罪過の流を止め給へ。
女宰よ、吾が靈を憐み宥めて、定罪及び永遠の苦より脫れしめ給へ。
女宰よ、祈る、顧みて我が聲を聞きて、我を永遠の苦より脫れしめ給へ。
第六歌頌
イルモス 主よ、淵は我を圍み、鯨は我の爲に柩となれり、惟我爾人を愛する者に籲びしに、爾の右の手は我を拯ひ給へり。
十字架が地に樹てられしに、惡鬼は斃れ、信は堅められ、天と地との間の不和は息みたり。
主よ、爾己の身を木の上に燈の如く點ししに、日の光は滅え、暗き慾の中に埋められたる「ドラフマ」は獲られたり。
致命者讚詞 人を愛する主よ、爾木の上に擧げられしに、致命者の會は爾の後に從ひて、爾の苦に效へり。
致命者讚詞 榮冠を冠れる致命者よ、爾等は血の流を以て迷の川を涸らし、神聖なる露を以て惡鬼の燃しし火を滅し給へり。
生神女讚詞 純潔なる童貞女よ、爾が造成主の釘せられて、其神聖なる脅の戈を以て刺さるるを見し時、劍は爾の心を貫けり。
又 イルモス同上
罪過の淵は我を環り、罪の深處は我を圍みて、滅亾の失望に墜す。聖なる女宰よ、爾今我を救ひ給へ。
至聖なる女宰よ、我諸罪の牀に臥す者を起して、痛悔の救の光にて輝かし給へ。
人を愛する主よ、潔く爾を生みし者の祈禱に由りて、爾の世界を潔め、諸の憂より脫れしめて、永遠の光榮を獲しめ給へ。
我常に惡しき行を離れんことを約すれども、恒に僞りて、我が主宰を悲しましむ。至淨なる女宰よ、爾我に更新を與へ給へ。
第七歌頌
イルモス 火の爐の中に歌へる少者を救ひ給ひし我が先祖の神は崇め讚めらる。
我等が逸樂の罪より救はれん爲に、爾は、生命の甘味たるハリストスよ、膽を嘗め給へり。
ハリストスよ、爾木の上に傷つけられしに、アダムの多年の傷は醫されたり。
致命者讚詞 受難者よ、爾等は甘じて己を苦に付して、勝利者と現れたり。
致命者讚詞 受難者よ、爾等は痛ましき辱を受くるを以て神を尊敬して、上なる尊敬を得たり。
生神女讚詞 潔き者よ、爾は產の前の如く、產の後にも童貞女に止まれり、蓋神は生れたり、人人を神成せん爲なり。
又 イルモス同上
潔き神の母よ、我信を以て常に爾の帲幪の下に趨り附く者を棄つる毋れ。
神の母よ、我に淚の流を與へて、我が諸慾の叢を枯らし給へ。
讚美たる神を生みし至りて無玷なる者よ、爾の祈禱を以て我罪の鐵索にて縛られたる者を釋き給へ。
潔き者よ、我熱心に爾に趨り附きて、爾に呼ぶ、童貞女よ、我を永遠の火より救ひ給へ。
第八歌頌
イルモス 世世の前に父より生れし子及び神、末の時に童貞女母より身を取りし者を、司祭等は歌へ、人人は萬世に崇め讚めよ。
木に緣る詛を木を以て除きて、祝福を人人に流しし至仁なる救世主よ、我等爾を歌ひて、爾を世世に崇め讚む。
爾の十字架を以て驕れる蛇を卑くし、深く陷りし人を升せし救世主よ、我等爾を歌ひて、萬世に崇め讚む。
致命者讚詞 迷を滅しし者、神の敎の爲に戰ひし者、敎會の柱、實に堅牢なる金剛石、ハリストスの軍士たる受難者を我等熱信に歌を以て尊まん。
致命者讚詞 光榮なる受難者よ、爾等は日の如く輝きて、恩寵を以て諸病の雲を散じ、聖三者を信ずる信を以て不虔の暗昧を拂へり。
生神女讚詞 童貞女よ、新婦の友ガウリイルは爾に遣されて、呼びて云へり、慶べよ、萬有の王ハリストスの最美しき宮よ、ハリストスは此に入りて、衆人を神成し給ふ。
又 イルモス同上
我は「ゲエンナ」の罰を畏るれども、常に罪を行ひて、心と思とは煩悶の中にあり。祈る、童貞女よ、吾が煩悶を解きて、我を火より脫れしめ給へ。
我は屢肉體の逸樂に引かれ、捕はれて賣らるる者の如くにして、常に神を怒らす。生神女、獨恃賴なき者の恃賴よ、親ら我を憐み給へ。
純潔なる者よ、爾の祈禱は耻を得ず、蓋爾の子及び神に祈りて、欲する所與へざるなし。故に我爾に祈る、我が卑微なる靈を憐みて救ひ給へ。
我は體の疾病、慾の勃起、靈の傷創に甚しく苦しめらる。惟一の恩主を生みし者よ、爾の祈禱を以て我を健康に爲し給へ。
次に生神女の歌を歌ふ、「我が靈は主を崇め」、及び躬拜。
第九歌頌
イルモス 爾悟り難く解き難く神の母と爲り、時の中に於て時に緣らざる主を言ひ難く生みし者を、我等信者は心を一にして崇め讚む。
獨權柄を有つ主よ、爾十字架に擧げられて、其上に於て指を血に染めしに、敵の力及び權は奪はれたり。
ハリストスよ、爾を十字架に釘せし不法者は爾の手と足とを刺し穿き、爾の骨を數へ、膽と醋とを爾に飮ませたり。
致命者讚詞 受難者よ、爾等は欣ばしき口を以て殘虐者の前に人と爲りし神を傳へて、光榮を嗣ぎたり。
致命者讚詞 最尊き諸病の醫師、神聖なる致命者よ、敵は爾等に傷を負はせ、種種の苦を加へて、自ら病を得たり。
生神女讚詞 潔き者よ、爾より我等の爲に光なるイイススは輝きて、十字架に釘せらるるを以て衆造物を照して、惡鬼の暗昧を拂ひ給へり。
又 イルモス同上
至淨なる者よ、我に痛悔の淚を與へ給へ、我が生命の終の至らざる先に、我が惡しき所爲、不義なる行に因りて泣かん爲なり。
靈よ、何ぞ不義なる行を以て爾の主宰を悲しませて起きざる、終の至らざる先に急ぎて痛悔せよ。
純潔なる童貞女よ、我を諸の罪及び憂患より救ひて、我に慈憐を垂れ、不朽なる生命に與るを得しめ給へ。
我等は爾言ひ難く神を生みし者を轉達者と壞られぬ垣墻、靈の救及び奇跡の泉として得たり。
次ぎて「常に福にして」、及び叩拜。小聯禱、光耀歌、及び常例の聖詠。
挿句に十字架の讚頌、第五調。
ハリストスよ、爾の十字架の木の樹てられしのみにして、迷は遠ざかり、恩寵は華さけり。已に定罪の苦は息みて、救の勝利は我等に顯れたり。蓋十字架は我等の爲に美譽なり、十字架は我等の爲に堅固なり、十字架は我等の爲に歡喜なり。
句 主よ、夙に爾の憐を以て我等に飽かしめよ、然せば我等生涯歡び樂しまん。爾我等を撲ちし日、我等が禍に遭ひし年に代へて、我等を樂しましめ給へ。願はくは爾の工作は爾の諸僕に著れ、爾の光榮は其諸子に著れん。
ハリストスよ、爾は我等の爲に羊の如く祭に牽かれ、エムマヌイルよ、爾は無垢なる羔の如く自由の屠殺に牽かれて、罪犯者と偕に算へられたり。異邦の諸族よ、來りて歌頌して、十字架に懸けられし終なき生命に伏拜せん。
句 願はくは主吾が神の惠は我等に在らん、願はくは我が手の工作を我等に助け給へ、我が手の工作を助け給へ。
致命者讚詞 天の王の軍は祝讚せらるる哉、受難者は地に生れし者なれども、天使の位に至らんことを勉め、肉體を顧みずして、苦に因りて無形の者の尊貴を獲たり。主よ、彼等の祈禱に因りて我等の靈を救ひ給へ。
光榮、今も、十字架生神女讚詞 イイススよ、爾を生みし者は十字架の側に立ちて、歔欷して呼べり、我斯く爾が木に釘せられしを見るに忍びず。我夫を識らざる者にして、爾を生みし時、產苦に與らざりしに、如何ぞ今苦難に苦しめられ、心を刺さるる、蓋今はシメオンの言ひし言應ひたり、無玷の者よ、劍は爾の心を貫かんと。鳴呼吾が子よ、今復活して、爾を歌ふ者を救ひ給へ。
次ぎて「至上者よ、主を讚榮し」。聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞。聯禱。次に第一時課、常例の聖詠、其他、幷に發放詞。
金曜日の聖体礼儀に
金曜日の眞福詞、第五調。
ハリストスよ、盜賊は十字架に在りて爾を神なりと信じ、誠の心より爾を承け認めて呼べり、主よ、爾の國に於て我を憶ひ給へ。
句 義の爲に窘逐せらるる者は福なり、天國は彼等の有なればなり。
生命を施す宏恩仁慈なる主よ、爾は十字架に殺されて、食に因りて死せしアダムを活かして、復彼を樂園の住者と爲し給へり。
句 人我の爲に爾等を詬り、窘逐し、爾等の事を僞りて諸の惡しき言を言はん時は、爾等福なり。
眞の葡萄の樹たるハリストスよ、爾は十字架に釘せられて、救の飮料を流し、恩寵を以て衆信者の心に飮ませ給へり。
句 喜び樂しめよ、天には爾等の賞多ければなり。
致命者讚詞 ハリストスの睿智なる致命者よ、爾等は擊たれ、百體斷たれて、主宰の屠殺を形れり、故に常に讚美せらる。
光榮、聖三者讚詞 我等忠信に爾三位に於て惟一なる神、分れざる神性に伏拜して呼ぶ、聖三者、惟一者、我等の神よ、光榮は爾に歸す。
今も、生神女讚詞 女宰よ、爾は我等の生命が甘じて十字架の木に死せしを見て、泣きて痛く苦しめり。故に我等衆屬神の歌頌を以て常に爾を崇め讚む。
「スボタ」の奉神礼の規程
「主は神なり」を歌う時
「主は神なり」を歌ふ時のスボタの晩課早課、及び聖體禮儀の奉事の事。
金曜日には、晩課の常例の誦文の後に、「主よ、爾に籲ぶ」に月課經の聖人の讚頌六章を歌ふ。光榮、若し之あらば、聖人の自調。若しなくば、光榮、今も、本調の第一の生神女讚詞。挿句に八調經の本調の致命者讚詞三章。光榮、若し之あらば、聖人の。若しなくば、光榮、今も、生神女讚詞。次に「主宰よ、今爾の言に循ひて云云」、及び聖三祝文。「天に在す」の後に聖人の讚詞。光榮、今も、本調の生神女讚詞。聯禱及び發放詞。
知るべし。若し使徒の一、或は大聖人の一、或は讚詞のあらざる聖人に遇はずば、「主は神なり」を歌はずして、「アリルイヤ」を第二調に据りて歌ふ。早課に六聖詠の後に「主は神なり」を歌ふ、聖人の讚詞の調に据る、及び其讚詞二次。光榮、今も、第一の生神女讚詞、聖人の讚詞の調に据る。次に第十六「カフィズマ」、「主我が主に謂へり云云」を誦文す、常例の如し。誦文の後に聯禱。八調經の致命者の二坐誦讚詞、第一及び第二。光榮、今も、本調の第一の生神女讚詞。幷に誦讀。其後「ネポロチニ」「道に玷なくして云云」を歌ふ。此の時司祭爐儀を行ふ。「ネポロチニ」の後に致命者の二坐誦讚詞、第三及び第四、幷に死者讚詞。光榮、今も、生神女讚詞。又誦讀。及び第五十聖詠、「神よ、爾の大なる憐に因りて云云」。次に規程三篇を歌ふ、卽月課經の聖人の、「イルモス」と共に六章、「イルモス」二次、讚詞四章(蓋「スボタ」に於ては常に此の規程を先にす)、其後聖人の堂の四章、終に八調經の致命者の四章。蓋死者の規程は金曜日の晩堂課に歌ふ。規程には歌頌、「主に歌はん」を附唱す。第三歌頌の後に月課經の聖人の坐誦讚詞。光榮、今も、生神女讚詞。第六歌頌の後に、若し之あらば、聖人の小讚詞及び同讚詞。幷に祭日略解を讀む。第九歌頌の後に光耀歌、先に若し之あらば、聖人の。次に光榮、八調經の。今も、生神女讚詞。若しなくば、八調經の光耀歌、卽「神として死者と生者とを司り云云」。光榮、今も、「生神女よ、我等は爾を以て誇り云云」。「凡そ呼吸ある者」に八調經の讚頌を歌はずして挿句に之を歌ふ。若し「凡そ呼吸ある者」に聖人の讚頌なくば、其時誦す、「主我等の神よ、光榮は爾に歸す云云」。若し「凡そ呼吸ある者」に聖人の讚頌あらば、其時「主我等の神よ、光榮は爾に歸す云云」を誦せずして、讚頌の後直に誦す、「光榮は爾我等に光を顯しし主に歸す」。「至高には光榮神に歸し云云」。其後聯禱、「我等の朝の禱を增して主に獻らん云云」。次に挿句の讚頌を歌ふ、卽八調經の「凡そ呼吸ある者」の三の致命者讚詞、第一、第二、第三を常例の附唱と共に歌ふ、其一「主よ、夙に爾の憐を以て我等に饜かしめよ云云」、其二「願はくは主吾が神の惠は我等に在らん云云」。一を措く。第四の死者讚詞はダマスキンの作。光榮、若之あらば、聖人の自調。若しなくば、光榮、今も、其生神女讚詞。「スボタ」の挿句の讚頌は之を用ゐず、此れ唯大齋の下記の「スボタ」の早課に歌ふ、卽第二第三第四の「スボタ」に、或は「アリルイヤ」を歌ふに遇ふ時なり。其時挿句の讚頌を其死者の附唱と共に歌ふ。次に「至上者よ、主を讚榮し云云」、及び聖三祝文。「天に在す」の後に聖人の讚詞。光榮、今も、早課の生神女讚詞、聖人の讚詞の調に据る。聯禱、第一時課、發放詞、萬壽詞。之を終へて後前院に於て熱衷公禱を歌ふ、常例の如し。
聖體禮儀に眞福詞は八調經の六章。若し聖體禮儀に聖人の歌頌あらば、其時聖人の第三歌頌四章、及び八調經の本調の四章。聖入の後に諸讚詞を誦すること次の如し、ハリストス或は生神女の堂ならば、先に堂の讚詞。次に本日の讚詞、「使徒、致命者、及び預言者云云」。其後順序の聖人の讚詞、及び其小讚詞。若し讚詞及び小讚詞を有つ他の聖人あらば、之を誦せよ。若し「スボタ」に一の聖人にも讚詞或は小讚詞なくば、其時本日の讚詞の後に死者の爲の讚詞を誦す、「主よ、仁慈なるに因りて爾の諸僕の靈を記憶し云云」。若し聖人或いは聖女の堂ならば、「スボタ」に此の堂の讚詞を誦せず、蓋衆聖人は本日の讚詞の中に唱へられたり。光榮、小讚詞、「ハリストスよ、爾が諸僕の靈を諸聖人と偕に云云」。今も、「主よ、全世界は捧神なる致命者を云云」。
若し聖人或は聖女の堂ならば、其時聖入の後に諸讚詞を誦すること次の如し、先に本日の、「使徒、致命者、及び預言者云云」、次に順序の聖人の讚詞及び小讚詞。若し之なくば、「主よ、仁慈なるに因りて爾の諸僕の靈を記憶し云云」。光榮、「ハリストスよ、爾の諸僕の靈を諸聖人と偕に云云」。今も、「主よ、全世界は捧神なる致命者を云云」。ハリストス或は生神女の堂ならば、祭前期及び祭後期の外、同じく終に堂の小讚詞にあらずして、此の本日の小讚詞、今も、「主よ、全世界云云」を誦す。蓋「スボタ」に於てはハリストス及び生神女の堂の小讚詞を用ゐず、唯若し大聖人に遇はば、其時、今も、生神女の堂の小讚詞。生神女の堂の小讚詞あらずば、「ハリスティアニン等の辱を得ざる轉達云云」を誦す。提綱、使徒、アリルイヤ、福音經、及び領聖詞は先に聖人の、次に本日の、蓋使徒及び福音經は主の祭日の外、常に聖人のを先にす。「スボタ」に「主は神なり」の歌はるる時、常に斯の奉事を行ふ。若し「スボタ」に主宰の祭日に遇はば、其時必祭日の全奉事を歌ふ。
「アリルイヤ」を歌う時
「スボタ」に「アリルイヤ」を歌ふ時の奉事
金曜日の晩課に第十八「カフィズマ」を誦文す。次に「主よ、爾に籲ぶ」に月課經の聖人の讚頌三章、八調經の致命者讚詞三、卽第二第三第四なり、第一を措く。光榮、今も、本調の主日の生神女讚詞。「穩なる光」。其後提綱。次に「主よ、我等を守り、罪なくして此の晩云云」。挿句に第一の致命者讚詞、及び死者讚詞に、ダマスクのイオアン師の作。光榮、今も、生神女讚詞。次に「主宰よ、今爾の言に循ひて云云」、及び聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞、第二調、「使徒、致命者、及び預言者云云」。光榮、「主よ、仁慈なるに因りて爾の諸僕の靈を記憶し云云」。今も、生神女讚詞、「言い難き光の聖なる母よ云云」。聯禱及び發放詞。幷に常例の如く前院に出づ。
早課には、常例の始及び六聖詠の後に、「主は神なり」に代へて、第二調に据りて「アリルイヤ」を歌ふこと三次。次に第一句、「主よ、爾が選び近づけし者は福なり」。第二句、「彼等の記憶は世世に在らん」。第三句、「彼等の靈は福に居らん」。讚詞、第二調、「使徒、致命者、及び預言者云云」、二次。光榮、「主よ、仁慈なるに因りて爾の諸僕の靈を記憶し云云」。今も、生神女讚詞、「言い難き光の聖なる母よ云云」。次に第十六「カフィズマ」。常例の聯禱、其後八調經の致命者の三坐誦讚詞の中第二及び第三を誦す、第一を措く。次に句、「神よ、爾は爾の聖所に於て嚴なり」。幷に第四の致命者の坐誦讚詞を誦す。第一の生神女讚詞を措く。次に句、「主よ、爾が選び近づけし者は福なり」、幷に本調の死者の坐誦讚詞を誦す。光榮、今も、第二の生神女讚詞、幷に誦讀。其後直に「道に玷なくして云云」、附唱 「主よ、爾は崇め讚めらる云云」。と共に第二調に据りて歌ふ。「カフィズマ」を二段に分つ。第一段の後には光榮、今も、を誦せずして、次の句を歌ふ、「若し爾の律法我の慰とならざりしならば云云」、三次。幷に司祭(輔祭あらば輔祭)寢りし者の爲に聯禱を誦す、「我等復又云云」。詠隊、主憐めよ、一次。「又寢りし神の諸僕(某)の靈の安息の爲云云」。詠隊、主憐めよ、一次「主神が彼等の靈を云云」。詠隊、主憐めよ、一次。「彼等に神の憐と天國と云云」。詠隊、主賜へよ。輔祭、主に禱らん。司祭、「諸の靈神゜と諸の肉體との神云云」。詠隊、主憐めよ、四十次。高聲、「蓋爾は、ハリストス我等の神よ云云」。詠隊、「アミン」。次に第二段を歌ふ、「我爾に屬す、我を救ひ給へ云云」。附唱、「救世主よ、我を救ひ給へ」。終は、「願はくは我が靈生きて爾を讚榮せん云云」、三次。次に「主よ、爾は崇め讚めらる云云」。竝に安息の爲の讚詞を歌ふ、「聖人の群は生命の泉と云云」、其他。畢りて後に司祭或は輔祭上に記しし安息の爲の聯禱を誦して、寢りし者を記憶す。詠隊、主憐めよ、四十次を歌ひて、司祭が祝文、「諸の靈神゜と諸の肉體との神云云」を誦し畢るに至る。高聲の後に坐誦讚詞、第五調、「我が救世主よ、爾の諸僕を義人等と偕に云云」。光榮、今も、生神女讚詞、「童貞女より世界に輝き云云」。幷に誦讀。第五十聖詠、「神よ、爾の大なる憐に因りて云云」。次に規程、先に月課經の、「イルモス」と共に六章、次に本堂の四章、及び八調經の第一の規程四章。第三歌頌の後に常例の聯禱。小讚詞及び坐誦讚詞は月課經の。幷に誦讀。第六歌頌の後に小讚詞、第八調、「ハリストスよ、爾の諸僕の靈を諸聖人と偕に云云」、及び同讚詞、幷に祭日略解。第九歌頌の後に八調經の光耀歌。「凡そ呼吸ある者」に致命者讚詞四章。光榮、死者讚詞。今も、生神女讚詞。挿句に死者の讚頌、フェオファン師の作。光榮、今も、生神女讚詞。次に「至上者よ、主を讚榮し云云」、及び聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞、第二調、「使徒、致命者、及び預言者云云」。光榮、「主よ、仁慈なるに因りて爾の諸僕の靈を記憶し云云」。今も、生神女讚詞、「言い難き光の聖なる母よ云云」。幷に聯禱。次に司祭、「永在の主ハリストス我等の神は云云」。詠隊、「神よ、我が今上皇帝云云」。第一時課、發放詞。時課には讚詞、「使徒、致命者、及び預言者云云」。光榮、「主よ、仁慈なるに因りて爾の諸僕の靈を記憶し云云」。今も、時課の生神女讚詞。「天に在す」の後に小讚詞、「ハリストスよ、爾が諸僕の靈を諸聖人と偕に云云」。幷に發放詞。
聖體禮儀に、眞福詞は八調經の六章。聖入の後に讚詞、「使徒、致命者、及び預言者云云」。幷に「主よ、仁慈なるに因りて爾の諸僕の靈を記憶し云云」。光榮、小讚詞、「ハリストスよ、爾が諸僕の靈を諸聖人と偕に云云」。今も、生神女讚詞、「生神女、聘女ならぬ聘女、信者の救よ云云」。提綱、第六調、「義人よ、主の爲に喜び樂しめ」。句、「不法を赦され、罪を蔽はれたる人は福なり」。安息の爲に提綱、「彼等の靈は福に居らん。使徒は「スボタ」の順序の誦讀、又安息の爲の。「アリルイヤ」、第八調、「義人は呼ぶに云云」。句、「主よ、爾が選び近づけし者は福なり云云」。福音經は「スボタ」の順序の誦讀、又安息の爲の。領聖詞は「義人よ、主の爲に喜べ云云」、又、安息の爲の、「主よ、爾が選び近づけし者は福なり云云」。
死者祈祷礼儀
金曜日晩課の發放詞の後、司祭は祭袍を、輔祭は祭衣を衣、香爐及び乳香を執りて、前院に出づ、幇堂者燭臺を持して前行す、衆彼等に隨ふ。前院には檯上に糖飯の置けるあり、司祭、我等の神は祝讚せらる云云と誦して、糖飯の四周に爐儀を行ふ。誦經第九十聖詠至上者の覆の下に居る者は云云を誦す。(若し晩課或は早課の後にあらずして、他の時に行はば、始は常例の如し、卽聖三祝文、「天に在す」の後に司祭高聲、「蓋國及び權能」、次に主憐めよ、十二次、光榮、今も、來れ、我等の王神に叩拜せん、三次、後第九十聖詠。)畢りて後光榮、今も、「アリルイヤ」三次、幷に死者の聯禱。
我等安和にして主に祈らん。
詠隊、主憐めよ。
上より降る安和と我等が靈の救の爲に主に祈らん。
福たる記憶に於て移りし者の諸罪の赦の爲に主に祈らん。
常に記憶せらるる神の諸僕(某)の安息と、平穩と、福たる記憶の爲に主に祈らん。
彼等に凡そ自由と不自由との罪の赦さるるが爲に主に祈らん。
彼等が定罪せられずして光榮の主の畏るべき寶座の前に立つが爲に主に祈らん。
哭き哀しみてハリストスより慰藉を受くるを望む者の爲に主に祈らん。
彼等が凡の病と、悲と、歎息より釋かれて、神の顏の光の輝く處に入れらるるが爲に主に禱らん。
主我が神が彼等の靈を光る處、茂き草場、安息の處、衆義人の居る處に入るるが爲に主に禱らん。
彼等がアウラアムと、イサアクと、イアコフとの懷に算へ置かるるが爲に主に禱らん。
我等諸の憂愁と、忿怒と、危難とを免るるが爲に主に禱らん。
神よ、爾の恩寵を以て我等を佑け救ひ憐み護れよ。
彼等及び我等衆人の爲に神の憐と、天國と諸罪の赦とを求めて、悉くの我等の生命を以てハリストス神に委託せん。
詠隊、主爾に。
司祭高聲、蓋爾は、ハリストス我等の神よ、寢りし爾の諸僕、常に記憶せらるる斯の聖堂の建立者、我等の諸父及び兄弟、此の處と諸方とに葬られたる正敎のハリスティアニン等の復活と、生命と、安息なり。我等光榮を爾と、爾の無原の父と、至聖至善にして生を施す爾の神゜とに獻ず、今も何時も世世に、「アミン」。
次ぎて「アリルイヤ」三次、第八調。句を誦すること次の如し。
第一句 主よ、爾が選び近づけし者は福なり。
第二句 彼等の記憶は世世に在らん。
第三句 彼等の靈は福に居らん。
次に讚詞、第八調。
惟一の造成主、深き智慧と仁慈とを以て萬事を治め、衆人に益ある事を賜ふ主よ、爾の諸僕の靈を安ぜしめ給へ、蓋彼等は爾造物主と造成主と我が神に恃賴を負はせたればなり。二次。
光榮、今も、生神女讚詞 生神女、聘女ならぬ聘女、信者の救よ、我等は爾を垣墻と港、及び爾が生みし神の前に嘉く納れらるる祈禱者として有つ。
其後第十七「カフィズマ」、「道に玷なくして」、附唱、主よ、爾の諸僕の靈を憶ひ給へ、第二調に依りて歌ふ。左列詠隊第二句を歌ふ。斯く兩詠隊更相續きて以下の句を歌ふ。「カフィズマ」を二段に分つ、第一段の後には光榮今もを誦せずして、直に次の句を誦す。
若し爾の律法我の慰とならざりしならば、我は我が禍の中に亡びしならん。我永く爾の命を忘れざらん、爾此を以て我を生かせばなり。三次。
次に司祭(輔祭あらば輔祭)先に寢りし者の爲に聯禱を誦す。
我等復又安和にして主に禱らん。
詠隊、主憐めよ。
又寢りし神の諸僕(某)の靈の安息の爲、及び彼等に凡そ自由と不自由との罪の赦されんが爲に禱る。
詠隊、主憐めよ。
主神が彼等の靈を諸義人の安息する所に入れ給はんことを禱る。
詠隊、主憐めよ。
彼等に神の憐と天國と諸罪の赦とを賜はんことをハリストス我が死せざる王及び神に求む。
詠隊、主賜へよ。
輔祭、主に禱らん。 詠隊、主憐めよ。四十次
司祭祝文默誦す。
諸の靈神゜と諸の肉體との神、死を滅し、惡魔を虛しくし、爾の世界に生命を賜ひし主よ、爾親ら寢りし爾の諸僕(某)の靈を光る處、茂き草場、平安の處、病と悲と歎息との遠ざかりし處に安息せしめ、善にして人を愛する神なるに因りて、彼等が或は言、或は行、或は思にて犯しし悉くの罪を赦し給へ。蓋人一も生きて罪を行はざる者なし、唯爾は罪なし、爾の義は永遠の義、爾の言は眞實なり。
高聲、蓋爾は、ハリストス我等の神よ、寢りし爾の諸僕云云
兩詠隊第二段の諸句を更歌ふ、
附唱 主よ、爾の諸僕の靈を安ぜしめ給へ。終りて後に句、願はくは我が靈生きて云云、終に至るまで歌ふこと三次。
次に安息の爲の諸讚詞、第五調に依りて歌ふ。
附唱 主よ、爾は崇め讚めらる、爾の誡を我に訓へ給へ。
聖人の群は生命の泉と天堂の門とを得たり、願はくは我も痛悔を以て道を得んことを。我は亾びし羊なり、救世主よ、我を呼び返して救ひ給へ。
主よ、爾は崇め讚めらる、爾の誡を我に訓へ給へ。
神の羔を傳へ、己も羔の如く屠られて、老いざる永久の生命に移りし聖なる致命者よ、我等に罪債の赦を賜はんことを切に祈り給へ。
主よ、爾は崇め讚めらる、爾の誡を我に訓へ給へ。
狹く苦しき路を過りて、生ける中十字架を衡の如く負ひ、信じて我に從ひし衆人よ、來りて、爾等の爲に備へたる褒賞と天の榮冠とを樂しめよ。
主よ、爾は崇め讚めらる、爾の誡を我に訓へ給へ。
我は罪惡の創を負へども、爾が言ひ難き光榮の像なり。主宰よ、爾の造りし者に憐を垂れ、爾の惠にて淨め、切に望める生國を我に與へて、我を復樂園に住む者と爲し給へ。
主よ、爾は崇め讚めらる、爾の誡を我に訓へ給へ。
昔我を無より造りて、爾が神たる像にて飾り、戒を犯すに因りて復我を我が出でし地に歸しし主よ、我を神の肖に適ふ位に升せ、古の華麗を以て我を改め給へ。
主よ、爾は崇め讚めらる、爾の誡を我に訓へ給へ。
神よ、爾の諸僕を安ぜしめて、聖人の群と義人が日の如く光れる樂園に入れ給へ。爾の眠りし諸僕を安ぜしめて、其悉くの過を思ふ勿れ。
光榮、聖三者讚詞 一の神性の三の光を敬み歌ひて呼ぶ、無原の父と、同無原の子と、聖神よ、爾は聖なり。我等信を以て爾に勤むる者を照して、永遠の火を免れしめ給へ。
今も、生神女讚詞 衆人の救の爲に身にて神を生みし潔き者よ、慶べ、人の族は爾に因りて救を得たり。潔くして讚美たる生神女よ、願はくは我等爾に因りて樂園を得んことを。
次ぎて「アリルイヤ」三次。其後聯禱、司祭寢りし者を記憶す、上に「ネポロチニ」の中間に記ししが如し。若し「ネポロチニ」を歌はずば、其時「アリルイヤ」の後に讚詞「惟一の造成主」、及び其生神女讚詞を歌ひて、直に「主よ、爾は崇め讚めらる」、幷に讚詞「聖人の群は」、其他。後に司祭寢りし者を記憶す、上に示ししが如し。
高聲の後に死者の坐誦讚詞、第五調。
我が救世主よ、爾の諸僕を義人等と偕に安ぜしめて、錄しし如く、之を爾の庭に居らしめ給へ。爾の仁慈なるに因りて、其自由と自由ならざる、其凡そ知ると知らざる罪を恕し給へ、爾は人を愛する主なればなり。
光榮、今も、生神女讚詞 童貞女より世界に輝き、彼を以て光の諸子を顯ししハリストス神よ、我等を憐み給へ。
次ぎて第五十聖詠、「神よ、爾の大なる憐に因りて」。
其後八調經の中にある本調の死者の規程、四句を立つ。第三歌頌の後にイルモス及び聯禱、司祭は寢りし者を記憶す、上にネポロチニの中間に記ししが如し。高聲、「蓋爾は、ハリストス我等の神よ」。
次ぎて坐誦讚詞、第六調。
誠に物皆虛し、生命は影なり、夢なり、凡そ地に生れし者は徒に忙し、聖書に云ひしが如く、我等全地を獲るも遂に墓に入らん、彼處には諸王と貧しき者と共に在り、故にハリストス神よ、世を逝りし爾の諸僕を安ぜしめ給へ、爾は人を愛する主なればなり。
光榮、今も、生神女讚詞
至聖なる生神女よ、我が生ける中我を棄つる勿れ、我を人の轉達に委ぬる勿れ、親ら我を護りて救ひ給へ。
第六歌頌の後にイルモス及び聯禱、司祭寢りし者を記憶す、前に示ししが如し。高聲、「蓋爾は、ハリストス我等の神よ」。
次ぎて小讚詞、第八調。
ハリストスよ、爾が諸僕の靈を諸聖人と偕に、疾も悲も歎もなくして、終なき生命のある處に安ぜしめ給へ。
同讚詞 人を造りし主よ、爾は獨死せざる者なり、我等地の者は、土より造られて、復土に逝かん、爾我を造りし主の命じて我に言ひしが如し、爾土にして土に歸らんと。我等人人皆彼處に往き、墓の上に哭きて歌ひて云はん、アリルイヤ、アリルイヤ、アリルイヤ。
第九歌頌の後に司祭誦す、生神女及び光の母を歌を以て讚め揚げん。
詠隊、主よ、諸神゜と義人等の靈とは爾を崇め讚めん。幷に第九歌頌のイルモスを歌ふ。
次に聖三祝文、「天に在す」の後に次の讚詞を歌ふ、第四調。
人を愛する救世主よ、死せし義人等の靈と偕に爾の諸僕の靈を安ぜしめて、彼等を爾に在る福樂の生命に護り給へ。
讚詞、同調。
主よ、爾の諸聖人の安息する處に爾の諸僕の靈を安ぜしめ給へ、爾獨人を愛する主なればなり。
光榮 爾は地獄に降りて繫がれし者の鎖を釋きたる神なり、親ら爾の諸僕の靈をも安ぜしめ給へ。
今も、生神女讚詞 獨潔く玷なき童貞女、種なくして神を生みし者よ、彼等の靈の救はれんことを祈り給へ。
次に司祭(輔祭あらば輔祭)聯禱を誦す。
神よ、爾の大なる憐に因りて我等を憐めよ、爾に禱る、聆き納れて憐めよ。
詠隊、主憐めよ。三次。
又寢りし神の諸僕(某)の靈の安息の爲、及び彼等に凡そ自由と不自由との罪の赦されんが爲に禱る。
詠隊、主憐めよ。三次。
主神が彼等の靈を諸義人の安息する處に入れ給はんことを禱る。
詠隊、主憐めよ。三次。
彼等に神の憐と天國と諸罪の赦とを賜はんことをハリストス我が死せざる王及び神に求む。
詠隊、主賜へよ。
輔祭、主に禱らん。
司祭祝文、「諸の靈神゜と諸の肉體との神」。斯の中に古世より死せし吾が諸父兄弟、此所と諸方とに葬られたる正敎のハリスティアニン等を記憶す。高聲、「蓋爾は、ハリストス我等の神よ」。
次ぎて司祭或は輔祭誦す、睿智。詠隊、「ヘルワィムより尊く」。
司祭、ハリストス神我等の恃よ、光榮は爾に歸す、光榮は爾に歸す。詠隊、光榮、今も、主憐めよ、三次、福を降せ。
司祭發放詞を誦す。
死より復活せしハリストス我等の眞の神は、其至淨なる母、光榮にして讚美たる聖使徒、克肖捧神なる吾が諸神父及び諸聖人の祈禱に因りて、我等に別れし其諸僕の靈を諸義人の住所に入れ、アウラアムの懷に安ぜしめ、諸義人の列に加へ、及び我等を憐み給はん、善にして人を愛する主なればなり。
發放詞の後に輔祭高聲にして誦す。
主よ、寢りし爾の諸僕(某)に其福たる寢に永遠の安息を與へて、彼等に永遠の記憶を爲し給へ。
詠隊歌ふ、永遠の記憶。三次。
輔祭のなき處には詠隊歌ふ、寢りし神の諸僕(某)に永遠の記憶。
斯の祈禱禮儀は每金曜日に行ふべし、其時寢りし我が諸父兄弟の記憶の爲に糖飯を備ふ。
多燭詞ある聖人に遇う時
スボタに多燭詞ある聖人に遇ふ時の奉事の事
金曜日の晩課に、第一カフィズマ「惡人の謀に行かず云云」の第一倡和詞を歌ふ。「主よ、爾に籲ぶ」に聖人の讚頌六章。光榮、聖人の自調。今も、本調の第一の生神女讚詞。
若し徹夜禱ある大聖人にして聖務長が徹夜禱を行はんと欲せば、次の如し。
小晩課に聖人の讚頌四章を歌ふ。光榮、聖人の自調。今も、常例の生神女讚詞、聖人の調に据る。挿句に聖人の讚頌。光榮、若し之あらば、聖人の。若しなくば、光榮、今も、生神女讚詞。聖三祝文の後に聖人の讚詞。光榮、今も、生神女讚詞、本調に据る。小聯禱、主日の晩課に指定せしが如し、幷に發放詞。
大晩課には、「惡人の謀に行かず」の後に「主よ、爾に籲ぶ」に聖人の讚頌八章。光榮、聖人の。今も、本調の第一の生神女讚詞。若し祭前期或は祭後期ならば、「主よ、爾に籲ぶ」に祭日の讚頌三、及び聖人の五。光榮、聖人の。今も、本調の生神女讚詞。聖入。本日の提綱。聖人の喩言三篇。熱衷公禱に本堂の、及び聖人の讚頌。光榮、聖人の。今も、生神女讚詞、聖人或は祭日の調に据る。挿句には聖人の讚頌。光榮、聖人の。今も、生神女讚詞、聖人或は祭日の調に据る。餅の祝福の時に聖人の讚詞、二次、及び「生神童貞女よ、慶べよ云云」一次。「願はくは主の名は崇め讚められて云云」を歌ふこと三次。第三十三聖詠、「我何の時にも主を讚め揚げん云云」、終は「唯主を尋ぬる者は何の幸福にも缺くるなし」。聖人の傳を讀む。
早課には、「主は神なり」に聖人の讚詞、二次。光榮、今も、本調の第一の生神女讚詞。若し祭前期或は祭後期ならば、祭日の讚詞、二次。光榮、聖人の。今も、祭日の。次に第十六「カフィズマ」。聯禱。聖人の坐誦讚詞、二次。光榮、今も、生神女讚詞。幷に誦讀。其後第十七「カフィズマ」、「道に玷なくして云云」。之を誦する時、司祭爐儀を行はずして、多燭詞の時に行ふ。次に聖人の坐誦讚詞、二次。光榮、今も、生神女讚詞。幷に誦讀。其後聖人の多燭詞、及び坐誦讚詞、二次。光榮、今も、生神女讚詞。幷に誦讀。品第詞、第四調の第一倡和詞。聖人の提綱。「凡そ呼吸ある者」。福音經。第五十聖詠。畢りて後聖人の讚頌。次に「神よ、爾の民を救ひ云云」。司祭高聲、「爾が獨生子の仁慈と慈憐云云」。詠隊、「アミン」。其後生神女の規程、「イルモス」と共に六章を歌ふ、「イルモス」二次、讚詞四章。若しハリストス或は生神女の堂、又若し祭前期或は祭後期ならば、同じく規程「イルモス」と共に六章を歌ひ、幷に聖人の八章を歌ふ。共頌は規定の如し。第三歌頌の後に祭前期或は祭日の小讚詞。次に聖人の坐誦讚詞、二次。光榮、今も、其生神女讚詞、或は祭日の。第六歌頌の後に聖人の小讚詞、及び同讚詞。次に祭日略解を讀む。第九歌頌の後に聖人の光耀歌、二次。光榮、今も、其生神女讚詞、或は祭日の。「凡そ呼吸ある者」に聖人の讚頌四章。若し祭後期ならば、「凡そ呼吸ある者」に六章、卽當日の挿句の祭日の三、及び聖人の三なり。光榮、聖人の自調。今も、生神女讚詞、聖人の、或は祭日の調に据る。大詠頌。次に聖人の讚詞。光榮、今も、本調の主日の生神女讚詞、或は祭日の。聯禱、發放詞、及び第一時課。第一時課に聖人の讚詞。若し祭前期或は祭後期ならば、祭日の讚詞。光榮、聖人の。今も、時課の生神女讚詞。「天に在す」の後に聖人の小讚詞。若し祭前期或は祭後期ならば、祭日の小讚詞を更誦す。最後の發放詞。
聖體禮儀には、眞福詞は聖人の、第三及び第六歌頌。若し祭後期ならば、祭日の順序の歌頌、及び聖人の第六歌頌。聖入の後にハリストスの、或は生神女の堂の讚詞、次に本日の聖人の。光榮、其小讚詞。今も、生神女の堂の。生神女の堂のあらざる所には、今も、「ハリスティアニン等の辱を得ざる轉達云云。」祭前期或は祭後期ならば、今も、祭前期の、或は祭日の小讚詞。若し主の祭の祭前期或は祭後期にして、堂がハリストスのならば、其時堂の讚詞及び小讚詞を誦せずして、祭前期或は祭後期の讚詞及び小讚詞を誦す。生神女の堂のは主の祭の祭前期或は祭後期に誦せず。聖人の提綱、使徒、アリルイヤ、福音經、及び領聖詞は徹夜禱の聖人の。若し多燭詞あらば、本日のをも加ふ。
金曜日(続き)
金曜日の晩課
「主よ、爾に籲ぶ」に聖致命者と成聖者と克肖者との讚頌。第五調。
句 主よ、若し爾不法を糾さば、主よ、孰か能く立たん。然れども爾に赦あり、人の爾の前に敬まん爲なり。
受難者よ、爾等は己の血の流を以て甚しき不虔の焰を滅して、世界に衆の爲に敬虔の光明を照せり。致命者よ、爾等は虛名なる諸神と、其惡臭の祭祀と、宮とを盡く焚きて、地に在る者の爲に最潔き光を輝かせり。我等之に照されて、無神の暗を脫れ、偶像の迷を避けて、世界に大なる憐を賜ふハリストスに伏拜す。
句 我主を望み、我が靈主を望み、我彼の言を恃む。
聖にせられし諸牧師よ、爾等は無原の父、同無原の子、及び聖神の軍士と爲りて、不虔なる異端者の言と網とを輙く破り、信者に敬虔の心を抱きて、三位に於て惟一なる神を尊むを敎へて、聖なる敎會を堅め給へり。故に爾等讚美せらる、蓋ハリストスの群を生命を養ふ草場に牧して、是が爲に種種の憂と多樣の患難とを忍び給へり。
句 我が靈主を待つこと、番人の旦を待ち、番人の旦を待つより甚し。
克肖者の會は戰ひて、肉體の諸慾を全く蹂り、勇ましく惡鬼の悉くの惡謀に勝ち、恩寵を以て智慧を照し、諸德を以て靈を飾り、無形の者の如く度生して、天使等の對話者と爲れり。今は彼等と偕に天上の居處に喜びて樂しみ、ハリストスの前に立ちて、彼に我等の靈に大なる憐を賜はんことを祈る。
又 致命者の讚頌、同調。
句 願はくはイズライリは主を恃まん、蓋憐は主にあり、大なる贖も彼にあり、彼はイズライリを其悉くの不法より贖はん。
主よ、爾の諸聖人は信の盾を具足し、十字架の記號にて己を堅め、勇ましく己を苦に付して、惡魔の驕慢と誘惑とを空しくせり。彼等の祈禱に由りて、全能の神として、世界に平安、我等の靈に大なる憐を降し給へ。
句 萬民よ、主を讚め揚げよ、萬族よ、彼を崇め讚めよ。
復、上の讚頌を誦す。
句 蓋彼が我等に施す憐は大なり、主の眞實は永く存す。
至りて讚美たる致命者よ、爾等は凡の地上の事を意とせずして、勇ましく己を苦に付し、望みし福を得て、天の國を嗣ぐ者と爲れり。仁愛なる神の前に勇を有ちて、世界の爲に平安、我等の靈の爲に大なる憐を求め給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 昔紅の海にて婚姻を知らざる嫁の象記されたり。彼處にはモイセイ、水を分つ者、此處にはガウリイル、奇跡に務むる者なり。彼の時イズライリは足を濡らさずして深處を步み、今童貞女は種なくしてハリストスを生めり。海はイズライリの涉りし後元のまま過られず、玷なき者はエムマヌイルを生みし後元のまま玷なし。永遠にして最永遠なる者、人となりて現れし神よ、我等を憐み給へ。
次ぎて「穩なる光」。本日の提綱。其後「主よ、我等を守り、罪なくして此の晩」。
挿句に讚頌、第五調。
聖なる致命者よ、我等の爲に祈り給へ、我等が不法より救はれん爲なり、爾等には我等の爲に祈る恩寵賜はりたればなり。
聖なる致命者よ、爾等は靈の愛を傾けてハリストスを愛し、彼を諱まずして、種種の苦を忍び、殘虐者の驕傲を仆し、屈せず撓まざる信を守りて、天に移り給へり。故に主の前に勇敢を有ちて、我等に大なる憐を賜はんことを祈り給へ。
死者の讚頌 我預言者の、我は土なり灰なりと呼ぶを憶ひ、又墓の中を窺ひて、惟白骨のあるを見て云へり、然らば孰か王、或は兵卒、或は富める者、或は貧しき者、或は義人、或は罪人たる。祈る、主よ、爾の諸僕を諸義人と偕に安ぜしめ給へ、爾人を愛する主なればなり。
光榮、今も、生神女讚詞 恩寵を蒙れる者よ、祈る、爾の祈禱を以て轉達して、我等の靈の爲に多くの慈憐と多くの罪の潔淨とを求め給へ。
次ぎて「主宰よ、今爾の言に循ひて」。聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞、及び發放詞。
金曜日の晩堂課
至聖なる生神女に祈る規程、第五調。
第一歌頌
イルモス 强き手にて戰を滅すハリストスは馬と騎者とを紅の海に落し、凱歌を歌ふイズライリを救ひ給へり。
童貞女よ、人類の萬族は爾を讚め揚ぐ、昔爾の預言せしが如し。女宰よ、我爾を歌ふ者をも受けて、我を照して悟らせ給へ。
童貞女よ、爾は眞の生命を生みて、死の刺と世の罪とを鈍くせり。女宰よ、之に因りて我が諸慾の銳き矢を速に鈍くし給へ。
光榮 爾は獨世界より童貞の金繍に妝はれたる者と現れて、アダムの無花果樹の葉の衣を裂きたり。祈る、今爾の祈禱を以て我に貞潔の衣を衣せ給へ。
今も 女宰よ、嘗て多くの女子は富と神聖なる光榮とを獲たれども、爾は竝なく衆に超えたり。祈る、今我を天上の神聖なる恩寵に富まし給へ。
第三歌頌
イルモス 己の命にて虛しき處に地を固め、保ち難く重き者を懸けしハリストス、獨仁慈にして人を愛する主よ、爾が誡の動かざる石に爾の敎會を堅く立て給へ。
至淨なる童貞女よ、爾の胎内より生れし悟り難き神の睿智の深及び高は爾の内に知られたり、祈る、是に由りて我が心の深處を蛇の念より脫れしめ給へ。
嘗て言を以て先に有らざりし鳥及び諸動物を水より合成せしハリストスよ、爾は童貞女の潔き血より爾の神聖なる身の奇異なる衣を作り給へり。
光榮 潔き者よ、爾は獨人性の潔淨と現れたり、蓋神聖なる火は爾を焚かずして爾の内に入りて、之を潔めたり。祈る、我が諸罪と諸慾との汚を潔めて、爾の祈禱を以て我を照し給へ。
今も 至淨なる者よ、我爾を新なる葡萄の酒の爵、信者に赦罪の爲に飮ましむる者なりと知る者は祈る、神聖なる水の流を我の心に飮ませ給へ。
第四歌頌
イルモス ハリストスよ、アウワクムは先知の目にて爾が神妙の謙遜を悟り、戰きて爾に呼べり、爾の民を救ひ、爾の膏つけられし者を救はん爲に來り給へり。
爾は耕されぬ畝、播かざる神聖なる穗を生ぜし者と現れたり、此を以て我飢うる者を神聖なる恩賜と恩寵とに饜かしめ給へ。
女宰よ、我病みて死に瀕し、靈の諸慾の熱を苦しめる者に爾の祈禱の水を飮ませて、亟に起し給へ。
光榮 神の活ける邑、神゜靈の河の流にて樂しましむる者よ、爾の祈禱の柱を以て吾が靈の奧を堅め給へ。
今も 至淨なる女宰よ、我爾を眞の義の雨を降らしし雲と知る者は祈る、凡そ我を侵す敵より亟に我爾の僕を覆ひ給へ。
第五歌頌
イルモス 光を衣の如く衣る者よ、我爾に朝の禱を奉りて爾に呼ぶ、ハリストスよ、我が昧まされし靈を照し給へ、爾は獨仁慈の主なればなり。
無慾の原因たる主を生みし女宰童貞女よ、我が罪と諸慾との激浪を全く鎭め給へ。
上より設けられたる機としてハリストスの神聖なる美服を織りし潔き者よ、諸德の衣を以て我が裸體と爲りし靈に衣せ給へ。
光榮 我等の爲に神聖なる潔淨たる主ハリストスを生みし潔き童貞女よ、爾の祈禱を以て我に諸罪の潔淨を與へ給へ。
今も 童貞女よ、爾の祈禱を以て我が罪の痛と傷とを醫し、膿汁を潔めて爾の僕に力を與へ給へ。
第六歌頌
イルモス 主宰ハリストスよ、靈を壞る颶風に荒らさるる慾の海を鎭めて、我を淪滅より援け給へ、爾は仁慈の主なればなり。
光體を造りたる光を生みし至りて光明なる者よ、今我が靈を照して、諸慾の暗より脫れしめ給へ。
生神女よ、嘗てメㇽラの水を甘くせし爾の子に、我を諸慾諸罪の苦味より救はんことを祈り給へ。
光榮 至淨なる者よ、諸慾の流は吾が靈を擾す。祈る、爾の祈禱を以て之を涸らして、我が惡しき念を斷ち給へ。
今も 至りて無玷なる女宰よ、ハリストスは人人を救はん爲にシオンよりするが如く爾の腹より來り給へり、彼に因りて、我をも災禍及び憂愁より救ひ給へ。
次ぎて主憐めよ、三次。光榮、今も、
坐誦讚詞、第五調。
慾に耽る靈よ、何爲れぞ悶えて、爾を憐む爾の神を忘れたる、何ぞ彼の戒を犯し、智慧を昧まして放蕩の中に生を送る。惡より離れて生神女に呼べ、我が失望せし靈を憐み給へ。
第七歌頌
イルモス 尊まるる先祖の主は焰を滅し、少者を凉しくせり、彼等心を合せて、神よ、爾は崇め讚めらると歌へばなり。
至淨なる者よ、惡鬼の群は爾の名を呼ぶことに恐れて慄く。彼等より我を脫れしめて救ひ、凡の害より覆ひて守り給へ。
童貞女よ、爾の光榮は言ひ難し、爾は光榮の主を生みたればなり。祈る、爾の祈禱を以て我を爾の子我が神の光榮に與らしめ給へ。
光榮 女宰よ、我爾の僕の禱に耳を傾けて、亟に我を災禍、憂愁及び諸の見ゆると見えざるとの誘惑より脫れしめ給へ。
今も 至淨なる者よ、我耻づべき諸慾に全く汚されたる者を爾の祈禱の沃を以て滌ひて、淨め給へ。
第八歌頌
イルモス 少者は爐に在りて爾萬物を造りし主の前に全世界の詠隊と爲りて歌へり、悉くの造物は主を歌ひて、萬世に崇め讚めよ。
無結果なる諸慾の水は我が靈の腹を涸らして、果を結ばざる者と爲せり。輕き雲よ、我に神聖なる露を降し給へ、我が痛悔の果を生ぜん爲なり。
至淨なる者よ、爾の祈禱を以て我が諸慾の思の浪と暴風とを鎭めて、我を無慾の流に向はしめ給へ、我が熱切に爾を萬世に讚榮せん爲なり。
光榮 神靈の戸及び閉したる門、獨神のみ過りし者よ、我が諸慾の戸を閉ぢて封印し、我が爲に冀望の門を啓き給へ。
今も 母童貞女、獨全世界の罪を任ひし神の羔及び言を言ひ難く生みし者よ、我より諸罪の任を卸し給へ。
第九歌頌
イルモス イサイヤ祝へよ、童貞女は孕みて、子エムマヌイル、神及び人なる者を生めり、其名は東。我等彼を崇めて、童貞女を讚め揚ぐ。
我人として吾が靈を多くの罪にて汚し、肉體の慾にて穢はしくせし者は、今熱切に爾に祈る、潔き者よ、爾の祈禱を以て我を凡の惡より潔め給へ。
潔き者よ、爾は慈憐の主、人を愛する宏恩なる神、獨仁慈にして恒忍なる者を生み給へり。爾の祈禱を以て彼の慈憐を我に垂れしめて、諸罪の赦を與へ給へ。
光榮 女宰よ、我煩悶の坐睡に圍まれ、逸樂の中に寢ぬる爾の僕を、今爾の母たる眠らざる祈禱を以て起して、諸德を行はしめ給へ。
今も 至淨なる者よ、我祝讚して爾を祝讚し、熱切に爾を崇め讚む。祈る、爾を歌ふ我に祝福し、諸の患難及び苦難より脫れしめて、爾の手を以て惡敵に勝たれぬ者として守り給へ。
次ぎて「常に福にして」。叩拜。聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞、及び其他常例の如し、幷に發放詞。
土曜日(スボタ)
「スボタ」の早課
第一の誦文の後に致命者の坐誦讚詞、第五調。
今日受難者の記憶は地に輝き、天にも光る、天使の會は祝ひ、人の族は共に歡ぶ。故に彼等は主に我等の靈の憐を蒙らんことを祈り給ふ。
句 神よ、爾は爾の聖所に於て嚴なり。
ハリストス神よ、爾は聖致命者の奇跡を壞られぬ垣墻として我等に賜へり。彼等の祈禱に由りて諸敵の謀を破り、國の權柄を堅め給へ、爾獨仁慈にして人を愛する主なればなり。
光榮、今も、生神女讚詞 通られぬ主の門よ、慶べ、爾に趨り附く者の垣墻と帲幪よ、慶べ、穩なる湊よ、婚姻を識らずして、身にて爾の造成主及び神を生みし者よ、慶べ。爾の產を讚め歌ひて拜む者の爲に息めずして禱り給へ。
第二の誦文の後に致命者の坐誦讚詞、第五調。
主よ、爾の受難者は爾の苦の杯を慕ひて、人生の榮華を遺てて、諸天使の侶と爲れり。ハリストス神よ、彼等の祈禱に由りて我等の靈に平安と大なる憐とを與へ給へ。
句 神よ、爾は爾の聖所に於て嚴なり。
聖致命者の行を見て天軍は大に驚けり、如何にして死に屬する肉體に在りて、善く戰ひて、十字架の力を以て見えずして無形の敵に勝ちたる。今彼等は我等の靈の憐を蒙らんことを主に祈り給ふ。
句 主よ、爾が選び近づけし者は福なり、彼等の記憶は世世に在らん。
次に死者の坐誦讚詞。
我が救世主よ、爾の諸僕を諸義人と偕に安ぜしめて、錄しし如く、彼等を爾の庭に居らしめ給へ、爾の仁慈なるに因りて、其凡そ自由と自由ならざる、凡そ知ると知らざる諸罪を恕し給へ、爾は人を愛する主なればなり。
光榮、今も、生神女讚詞 童貞女より世界に輝き、彼を以て光の諸子を顯ししハリストス神よ、我等を憐み給へ。
聖致命者、成聖者、克肖者、及び死者の規程。其冠詞は、ハリストスよ、爾の諸僕に斯の歌頌を捧ぐ。イオシフの作。第五調。
第一歌頌
イルモス 主よ、日が未だ嘗て照さず、又鑒みざる地、天の面が未だ嘗て露に見ざる淵を、イズライリは足を濡らさずして濟り、爾は彼を讚美凱旋の歌を奉る者として、爾の聖なる山に入れ給へり。
致命者讚詞 勇敢なる受難者よ、爾等は體を殘酷なる審判者に付し、堪へ難き苦を忍びて、上より尊貴を獲んことを望めり。ハリストス爾等を永遠の居處に入れしに、爾等は喜びて凱歌を歌ふ。
成聖者讚詞 光榮なる克肖者、義者、及び成聖者は神の命を行ひて、善く人人を牧して、睿智の水に導けり。今は宜しきに合ひて甘樂の流を受けて、恩寵を以て醫治の河を流し給ふ。
主よ、我を生命の港に向はしめ給へ、至榮なる預言者、睿智なる成聖者、及び雄雄しき智慧を抱きて、爾地上に現れたる主の神聖なる恩寵に由りて、苦難と修齋とを以て敵に勝ちたる聖なる女等の祈禱に因りてなり。
光榮、死者讚詞 我等は爾寬容なる神に祈る、ハリストスよ、爾の諸僕、人生の紛擾より爾に移しし者の諸罪を顧みずして、彼等をアウラアムの懷に安ぜしめて、彼等に永遠の光を樂しましめ給へ、爾は仁慈なればなり。
今も 獨讚美たる神の聘女よ、我等は爾歡喜を生みし者に呼ぶ、慶べ。我等衆の智慧と靈とを照し、衆を睿智の途に向はしめて、衆に諸罪の潔淨を賜はんことを爾の子及び神に祈り給へ。
又死者の規程、月課經の規程なき時に序を逐ひて之を歌ふ、其冠詞は、死者の爲にフェオファンの第五の規程。第五調。
第一歌頌
イルモス 我等は、民に足を濡らさずして海を渡らしめ、ファラオンを其全軍と偕に溺れしめし救世主神、獨彼に歌はん、彼光榮を顯したればなり。
附唱 神よ、爾は爾の聖所に於て嚴なり。
ハリストスの受難者は神を愛する愛を以て殘虐者の驕に勝てり。今は信を以て移されし者の爲に慈憐なる赦罪と安息とを求む。
附唱 主よ、寢りし爾の諸僕の靈を安ぜしめ給へ。
ハリストス主宰よ、移されし者を聖者の居處、爾の庭に入れ給へ、爾は彼等を贖はん爲に爾の最尊き血を流したればなり。
光榮 父の全き像なる神の睿智、宏恩の主よ、受けし者を親ら安ぜしめて、彼等に永在の福樂を與へ給へ。
今も 純潔なる者よ、爾は我等の爲に身を取りて、死の力を破りし神の言を容るる至りて光明なる幕、金の匱と顯れたり。
第三歌頌
イルモス 主よ、度生の浪に動かさるる吾が心を堅めて、神として之を穩なる湊に向はしめ給へ。
致命者、至りて讚美たる軍士よ、爾等は惜しまずして體を杖にて擊たれ、劍にて斬らるるに任せたり、永遠の華美を得んとする望に堅められたればなり。
成聖者よ、爾等は職位を輝かし、諸德の規範となりて、ハリストスの群を生命の草場に牧し給へり。
克肖者は節制を以て身を殺して、神聖なる生命に與る者と爲れり。ハリストスよ、彼等の聖なる祈禱に由りて我等を苦難より脫れしめ給へ。
光榮 人を愛する主よ、寢りし者に彼處の安息を與へて、其地上に行ひし罪債を赦し給へ、爾仁慈なればなり。
今も 童貞女母よ、女の會は爾女の中に祝福せられし者を見て、苦を受けて、爾の子に攜へられたり。
又
イルモス 神救世主よ、爾の力を以て我等を堅め、正しく爾を讚め揚ぐる爾の敎會の角を高くし給へ。
受難者は勇ましく戰ひて、殘虐者の强暴に敵して立てり、今は寢りし者の爲にハリストスに祈る。
至仁なる主よ、爾の法に養はれて移りし者を爾の光明なる居處に入れて、安ぜしめ給へ。
光榮 獨仁慈なる神よ、選びし者を聖者の光に與らしめて、其諸罪を恕し給へ。
今も 潔き者よ、我等は爾の產を歌ふ、之に因りて初の定罪及び詛より救はれて、死より釋かれたればなり。
第四歌頌
イルモス 主よ、我爾の風聲を聞きて懼れたり、獨人を愛する者よ、我爾の攝理を悟りて爾を讚榮せり。
主よ、受難者は爾の力を以て敵の力に勝ちて、信者の爲に權力及び大なる保固と爲れり。
克肖者は皆喜びて樂しみ、神聖なる司祭等は衣の如く義を衣る。
我等皆神の言を言ひし神の預言者を歌ひ、善く其行程を終へし女の會を尊まん。
光榮 主宰よ、現在の生命の紛擾及び颶風より移しし者を爾の國の港に導きて、安ぜしめ給へ。
今も 童貞女よ、年に由らざる者は今爾に依りて年に屬する者と爲れり、彼に我が靈の多年の罪過を滅さんことを祈り給へ。
又
イルモス 主よ、我爾が墓より復活するを聞きて、爾の勝たれぬ力を讚榮せり。
ハリストスよ、致命者は敬虔に爾父と同永在なる主を承け認めて殺されたり。今彼等爾に呼ぶ、受けし爾の諸僕を救ひ給へ。
死者の中に獨自由なる死者にして、衆死者に永遠の生命を賜ひしハリストスよ、今移されし爾の諸僕に安息を與へ給へ。
光榮 迷へる者を救はん爲に來りしハリストスよ、信に於て移しし者を恩寵を以て義と爲して、樂園に入るを得しめ給へ。
今も 少女よ、至上者の能は爾を蔭ひて、爾の内に生命の樂園を爲れり、其中に生命の樹として中保者及び主あるなり。
第五歌頌
イルモス 無形の日たる主よ、夜中に諸慾の黑暗と戰ふ我が堪へざる靈に慈憐を垂れて、我の衷に白日の光線を耀かし給へ、光の中に夜の明けん爲なり。
致命者の骨は病む者に醫治を流す、惡に殘はれずして、我等の殘損を新にすればなり。神の敵の骨は皆塵の如く散らされたり。
宏恩なる主よ、成聖者は爾の法を守りて、人人を牧して、將來の生命に導き、克肖者は完全なる智慧を以て諸慾の苦虐を殺せり。
諸預言者、彼等と偕に衆義人は熱信を以て尊まるべし、克肖にして生を度り、地上に苦難を以て輝きし神聖なる女等は、ハリストスの婢として、讚めらるべし。
光榮、死者讚詞 我等地上の者の爲に身を取りしハリストスよ、至大なる仁慈に因りて、地より取りし爾の信なる諸僕の罪過を顧みずして、彼等を天の居處に入れ給へ。
今も、生神女讚詞 童貞女よ、爾に藉りて神は人と爲りて、地に在る者に現れたり。故に我等爾を歌ひて呼ぶ、慶べよ、豐稔の地、凡の生ける者を養ふ奧密の穗を生ぜし者や。
又
イルモス 主よ、我等夙に興きて爾に籲ぶ、我等を救ひ給へ、爾は我等の神なればなり、爾の外他の神を知らず。
主よ、致命者の禱を受けて、爾が移しし靈を爾の選びたる者と偕に納れ給へ。
主宰よ、爾を信ずる者は死を見ざらんと爾は預言せり、故に寢りし者を安ぜしめ給へ。
光榮 主よ、爾の諸僕に爾の家の華美と甘樂とに與るを得しめ給へ。
今も 父と同永在なる言は童貞女より身を取りて、死を以て死を殺し給へり。
第六歌頌
イルモス 主よ、預言者を猛獸より脫しし如く、祈る、我をも制し難き諸慾の深處より升せ給へ、我が復爾の聖なる殿を觀ん爲なり。
神聖なる致命者よ、爾等は體を殘虐者の手に傷の爲に付して、靈にて樂しめり、實に永在の喜と神聖なる報とを見たればなり。
ハリストスよ、爾は睿智なる成聖者及び克肖者の爲に光榮と爲れり。彼等の祈禱に因りて、爾が己の血を以て獲たる爾の人人に慈憐を垂れ給へ、爾人を愛する主なればなり。
主よ、諸預言者は智慧にて爾より照されて、遠きを近きが如く明に顯す、女等は爾の力に由りて、苦難と修齋とを以て敵の權力を破れり。
光榮 仁慈なる主よ、我等より移されし爾の信なる諸僕を選ばれたる者の會に加へて、安ぜしめて、爾の仁慈に因りて其悉くの罪を免し給へ。
生神女讚詞 初にエワを造りし主よ、爾は童貞女の胎内に入り、萬衆の主宰にして、僕の形を衣て、我等の更新を成し給ふ。
又
イルモス 主よ、淵は我を圍み、鯨は我の爲に柩となれり、惟我爾人を愛する者に籲びしに、爾の右の手は我を拯ひ給へり。
ハリストスよ、爾の致命者の軍は天上の軍に效ひて、爾に祈る、人を愛する主よ、爾が移しし者に樂を與へ給へ。
ハリストスよ、受けし所の爾の諸僕を、爾人を愛する主なるに因りて、凉しき處、諸聖者の明るき處、安息の處に入れ給へ。
光榮 人を愛する主よ、爾の諸僕を潔めて、彼等に諸罪の赦を與へて、不朽の生命と福樂の嗣業とを獲しめ給へ。
生神女讚詞 純潔なる者よ、爾の種なき胎孕の奇跡は誰か能く言を以て言ひ出さん、蓋爾は慈憐に因りて我等に來りし神を生み給へり。
第七歌頌
イルモス 少者の禱は火を滅す者なり、露を出す爐は奇蹟を傳ふる者なり、我が先祖の神を讚め歌ふ者を焦さず焚かず。
光榮なる致命者よ、爾等は烈しき苦の火に焚かれて、主に於ける更に熱き愛を顯して、敬虔なる念を以て己を凉しくし給へり。
睿智なる者よ、爾等は聖神の睿智に飾られて、諸德に輝きて生命を度り、聖務を行ひて福音の恩寵を施し給へり。故に我等は爾等を神の奉事者として崇め讚む。
克肖者よ、爾等は多くの疾苦を以て身を殺して、將來の生命を獲たり、今は諸慾の攻擊に殺さるる我等に之を獲しめんことを祈り給ふ。
神の預言者の福たる會、又修齋と苦難とを以て戰ひて敵を斃しし女の大數は熱心を以て讚めらるべし。
光榮 死者の中に入りし萬有の生命たる仁慈なる言よ、今人生の騷擾に離れたる者を爾の神聖なる港に向はしめて、彼等の諸罪を恕し給へ。
今も 女宰よ、我等正しき智識を以て爾を生神女と承け認むる者は、願はくは爾の轉達に因りて、我等と戰ふ見えざる敵及び永遠の火と幽闇より救はれん。
又
イルモス 火の爐の中に歌へる少者を救ひ給ひし我が先祖の神は崇め讚めらる。
救世主よ、爾の受難者の禱に因りて、今移されし者に近づき難き光を樂しむを得しめ給へ。
宏恩なるハリストスよ、信に於て終りし者を冢子の敎會に加へ給へ。
光榮 救世主よ、爾に移されし爾の諸僕を不朽の衣を以て飾りて、安ぜしめ給へ。
今も 純潔無玷なる童貞女よ、爾は種なく生命を孕みて、死の流を斷ち給へり。
第八歌頌
イルモス 萬有の王、造成主を、天使の軍、人類の會及び司祭等は歌ひ、「レワィト」等は尊み、人人は萬世に崇め讚めよ。
言の操舵にて苦の海を濟りし受難者よ、爾等は血の流の中に誘惑者の軍を悉く沈めて、世世に活き給ふ。
睿智なる聖務者よ、爾等は聖職を盡して、爾等に委ねられたる牧群を正敎の水にて養へり、故に實に美しき流の甘味を世世に樂しむ。
克肖者よ、爾等は光の事を行ひて、信者の爲に光體と現れて、神聖なる光明に移りたり。幽闇より我等を脫れしめんことを主宰に祈り給へ。
苦に因りて凡の尊貴の充滿なるを受けし女の會よ、樂しめ、諸預言者及びハリストスの悅を獲たる諸義人の隊も世世に喜べ。
光榮 主宰よ、今生命より移されし爾の諸僕に妨なく自ら旋る劍を過ぐるを許して、彼等を樂園の内に入れ給へ、爾獨慈憐の主なればなり。
生神女讚詞 我等恩寵を蒙れる童貞女マリヤを樂園に入る門、神に升す梯、救を求むる者の迷はざる嚮導師として讚め歌はん。
又
イルモス 世世の前に父より生れし子及び神、末の時に童貞女母より身を取りし者を、司祭等は歌へ、人人は萬世に崇め讚めよ。
聖なる致命者の功勞を受けて、彼等に因りて爾を信ずる信に於て寢りし者を安ぜしむる救世主よ、我等爾を歌ひて、萬世に崇め讚む。
救世主よ、我等より移されし者を、爾が慈憐なるに因りて、爾の天上の光榮の光を以て耀かして、爾を歌ひて、萬世に崇め讚むるを得しめ給へ。
光榮 救世主よ、爾が移しし者を諸聖人の會に加へ、アウラアムの懷にラザリと偕に入れて、爾を歌ひて、萬世に崇め讚むるを得しめ給へ。
生神女讚詞 潔淨の華美にて飾られたる童貞女母よ、爾は萬善の原因たる主の最美しき居處と爲り給へり。故に我等は爾潔き者を歌ひて、萬世に崇め讚む。
次ぎて生神女の歌を歌ふ、「我が靈は主を崇め」。
第九歌頌
イルモス 蓋權能者は爾に大なる事を成して、爾が種なく己の造物主を生みしに因りて、產の後にも爾を潔き童貞女と顯せり、故に生神女よ、我等爾を崇め讚む。
聖務を行ひし諸牧師、聖なる預言者の會、義者の無量なる大數、致命者の隊は屬神の歌頌を以て讚美せらるべし。彼等は我等の靈の救はれんことを祈り給ふ。
睿智に修齋せし克肖者の奇異なる會は多くの奇跡の顯現を以て奇妙なる者と爲れり。奇異なる主よ、彼等の祈禱に由りて、衆人の上に爾の慈憐を奇妙なる者と現し給へ。
善く馳すべき程を盡しし神品致命者と偕に、女の無量の大數、苦を受け齋を爲して、今天使の會と偕に在る者は、信と愛とを以て讚美せらるべし。
光榮 言よ、衆聖者の多きは爾に祈る、信に於て地より移されし多くの者を爾の慈憐の多きに因りて安ぜしめて、其度生の時に行ひし諸罪を赦し給へ。
生神女讚詞 童貞女よ、我無知にして多く罪を行ひて苦を待つ。祈る、是より我を脫れしめ給へ、我熱心を以て爾に來りて、爾の神聖なる帲幪を賴む。
又
イルモス 爾悟り難く解き難く神の母と爲り、時の中に於て時に緣らざる主を言ひ難く生みし者を、我等信者は心を一にして崇め讚む。
救世主よ、聖なる苦難の爲に報を受けし致命者は今信に於て爾に移されし者に赦罪を賜はんことを祈る。
救世主、獨不死なる者よ、爾は殺さるるを忍びて、慈憐の主なるに因りて、死者に復活と不死の光明明とを與へ給へり。
光榮 救世主よ、爾は我等死に陷りし者を直くして、永遠の生命を恃まんことを敎へ給へり、此を爾の諸僕に獲しめ給へ。
生神女讚詞 生神女よ、爾の產に因りて律法の影は去りて、眞實は輝き、恩寵は賜はりたり。故に我等爾を崇め讚む。
次ぎて「常に福にして」、叩拜、聯禱、光耀歌、及び常例の聖詠。
「凡そ呼吸ある者」に致命者の讚頌、第五調。
天の王の軍は祝讚せらるる哉、受難者は地に生れし者なれども、天使の位に至らんことを勉め、肉體を顧みずして、苦に因りて無形の者の尊貴を獲たり。主よ、彼等の祈禱に因りて我等の靈を救ひ給へ。
主よ、爾の受難者は天使の品位に似たる者と爲りて、肉體なき者の如く苦を忍びて、約せられし福の樂を同心の望として有てり。ハリストス神よ、彼等の祈禱に因りて我等を憐み給へ。
聖なる致命者は地上に戰ひて、嚴寒を忍び、火に付され、水に投ぜられたり。是れ彼等の聲なり、我等は火と水との中に入り、而して爾我等を引き出して自由を賜へりと。神よ、彼等の祈禱に由りて我等を憐み給へ。
聖なる者は苦の中に在りて歡びて呼べり、是れ我等の爲に主宰に於ける貿易なり、蓋我等は肉體に受くる傷に易へては復活の時に光潔なる衣を受け、耻辱に易へては榮冠、獄の桎梏に易へては樂園、罪犯者と偕にする定罪に易へては天使等と偕に居ることを受けん。主よ、彼等の祈禱に因りて我等の靈を救ひ給へ。
爾我を造りし主よ、爾の手を我に置き、我に戒めて曰へり、爾復土に歸らんと。祈る、我を直き道に向はしめて、我に諸罪を赦し給へ、我を宥めて、我を救ひ給へ、爾は人を愛する主なればなり。
光榮、今も、生神女讚詞 鳴呼不當なる靈よ、寶座が審判の爲に建てられ、審判者が萬萬の天使等と偕に降りて、天より來らん時、其時爾は何の答をか審判者に爲さん、彼が審判座に坐して、我の如き當らざる諸僕と訟を定めん時に、爾何をか答へん、何をか其時に捧げん、實に一も有る無し、爾の智慧と肉體とを汚したればなり。故に童貞女に俯伏し、絕えず呼びて、爾に豐に諸罪の赦を賜はんことを求めよ。
挿句に死者の讚頌、第五調。
ハリストスよ、爾の顏の光を以て移されし者を照し給へ。爾が宏恩なるに因りて、彼等茂き草場、爾の潔淨安靜なる水の畔に、太祖アウラアムの慕はしき懷、爾の光の淸く輝き、仁慈の流の溢るる處に入れ給へ。衆義人の會が爾の仁慈を樂しみて祝ふ處に、彼等と偕に爾の諸僕を安ぜしめて、之に大なる惠を與へ給へ。
句 主よ、爾が選び近づけし者は福なり。
宏恩なる主よ、暫時の生命より爾萬有の主宰我等の神に移りし者に、歡喜の聲を以て歌ひて、爾の權柄を讚榮するを得しめ、爾の光華を以て彼等を照し、爾に近づくを以て彼等を樂しませ給へ。諸天使が爾の寶座の周圍に祝ひ、諸聖人の品位が欣ばしく之を環る處に、彼等と偕に爾の諸僕に安息と大なる惠とを與へ給へ。
句 彼等の靈は福に居らん。
預言者の會、使徒と致命者との品位、及び凡そ古世より爾が救を施す苦と、俘囚になりし人を贖ひたる爾の血とに因りて義とせられし者の處に、信に於て寢りし者を安ぜしめて、人を愛する主なるに因りて、其諸罪を赦し給へ。蓋爾獨實に聖なる者は地上に罪なくして度生し、獨死者の中に自由なる者なり、故に爾の諸僕に安息と大なる惠とを與へ給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 純潔なる女宰、獨童貞女母たる者よ、爾は立法者及び王たるハリストスを胎内に孕みて、我等罪の法に服役せし者を自由と爲せり、爾の子に由りて我等功なくして、恩寵を以て義とせらるればなり。今彼に祈りて、爾を神の母と知る者の靈を生命の書に錄さんことを求め給へ、我等が爾の轉達に因りて救はれて、世界に大なる惠を賜ふ爾の子に常に伏拜せん爲なり。
「スボタ」の聖体礼儀に
スボタの眞福詞、第五調。
ハリストスよ、盜賊は十字架に在りて爾を神なりと信じ、誠の心より爾を承け認めて呼べり、主よ、爾の國に於て我を憶ひ給へ。
句 義の爲に窘逐せらるる者は福なり、天國は彼等の有なればなり。
致命者よ、爾等は死して、惡の原因たる敵を滅し、上天に登り、勝利の榮冠を冠りて、萬有の王たる神の前に立ち給へり。
句 人我の爲に爾等を詬り、窘逐し、爾等の事を僞りて諸の惡しき言を言はん時は、爾等福なり。
成聖者は聖務の光に照されて光榮を獲、克肖者の大數は永在の生命を受けたり、故に讚美せらる。
句 喜び樂しめよ、天には爾等の賞多ければなり。
主宰ハリストスよ、爾の移しし者を選ばれたる者の會と偕に安息の處に入れて、彼等が地に在りて行ひし諸罪を恕し給へ。
光榮 鳴呼最尊き三者よ、尊き成聖者及び致命者の功勞に由りて、信に於て死せし者の靈に救と大なる惠とを與へ給へ。
今も 恩寵を蒙れる者よ、爾は萬衆に容れられぬ主を容れて、性と言とに超えて生み給へり。女宰よ、彼に我等衆に慈憐を垂れんことを祈り給へ。
第五調 終

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