- 土曜日(スボタ)
- 「スボタ」の小晩課
- 「スボタ」の大晩課
- 「スボタ」の晩堂課
- 日曜日(主日)
- 主日の夜半課
- 主日の早課
- 主日の聖体礼儀に
- 主日の晩課
- 主日の晩堂課
- 月曜日
- 月曜日の早課
- 月曜日の聖体礼儀に
- 月曜日の晩課
- 月曜日の晩堂課
- 火曜日
- 火曜日の早課
- 火曜日の聖体礼儀に
- 火曜日の晩課
- 火曜日の晩堂課
- 水曜日
- 水曜日の早課
- 水曜日の聖体礼儀に
- 水曜日の晩課
- 水曜日の晩堂課
- 木曜日
- 木曜日の早課
- 木曜日の聖体礼儀に
- 木曜日の晩課
- 木曜日の晩堂課
- 金曜日
- 金曜日の早課
- 金曜日の聖体礼儀に
- 金曜日の晩課
- 金曜日の晩堂課
- 土曜日(スボタ)
- 「スボタ」の早課
- 「スボタ」の聖体礼儀に
土曜日(スボタ)
「スボタ」の小晩課
「主よ、爾に籲ぶ」に主日の讚頌三章。其第一は二次。第四調。
句 我が靈主を待つこと、番人の旦を待ち、番人の旦を待つより甚し。
ハリストス神よ、我等絕えず爾が生命を施す十字架に伏拜して、爾が三日目の復活を讚榮す。蓋全能の主よ、爾は此を以て人の朽ちたる性を新にして、我等に復天に升るを賜へり、獨仁慈にして人を愛する主なればなり。二次。
救世主よ、爾は甘じて十字架の木に釘せられて、木の誡を犯しし罰を解けり、有能者よ、地獄に降りて、神として死の縛を斷ち給へり。故に我等爾が死よりの復活に伏拜して、歡びて呼ぶ、全能の主よ、光榮は爾に歸す。
主よ、爾は地獄の門を破り、爾の死を以て死の國を滅し、人類を朽壞より釋きて、世界に生命と不朽と大なる憐とを賜へり。
光榮、今も、生神女讚詞、定理歌。第四調。
生神女よ、爾は、權ある者を位より黜け、卑しき者を擧げ、ハリストスの十字架と葬と光榮なる復活とを讚榮する己の信者の角を高くする主を種なく孕みて、言ひ難く生み給へり。故に我等は爾、此くの如き諸恩の中保者にして、常に吾が靈の救はれんことを祈る者を默さざる歌を以て讚揚す。
次ぎて「穩なる光」。提綱、「主は王たり」、三次。句、主は能力を衣、又之を帶にせり。次に「主よ、我等を守り、罪なくして此の晩」。
司祭聯禱を誦せず。我等直に左の讚頌を歌ふ。
挿句に主日の讚頌、第四調。
主よ、爾は十字架に上りて、我が原祖よりの詛を滅し、地獄に下りて、世世の俘囚を釋き、人類に不朽を賜へり。故に我等歌ひて、生命と救とを施す爾の復活を崇め讚む。
次に生神女の讚頌。
句 我爾の名を萬世に誌さしめん。
無原の父より永遠に生るる子なる神は慈憐に因りて人人の救の爲に人と爲り給へり。彼は寬容の主として、初めて造られし者に復樂園を與へ、人の性を蛇の誘惑より脫れしめ、陷りし神の像を救はん爲に純潔無玷なる童貞女母より生れ給へり。我等皆彼の母を避所及び港として讚揚す。
句 女よ、之を聽き、之を觀、爾の耳を傾けよ。
神福なる童貞女よ、爾は胎内に身を取りし萬有の造成主、曩に蛇の誘惑に由りて陷りし初の人を造りたる主を有ち、言ひ難く身にて我等の爲に神を生みて、爾の產を以て古びたる人の性を朽壞より釋き給へり。故に我等爾の恩寵を歌ひて崇め讚む。聘女ならぬ聘女よ、我等の靈の救はれんことを絕えず祈り給へ。
句 民中の富める者は爾の顏を拜まん。
純潔にして至福なる童貞女よ、爾の慈憐と仁慈との測り難き淵を我等衆に顯さん爲に、爾の諸僕の罪を悉く滅し給へ、爾は神の母として、造物の上に權を有ちて、爾の力を以て凡そ欲する所を行ふを能すればなり、蓋爾の内に入りたる聖神の恩寵は常に萬事に於て爾を助く。
光榮、今も、
至りて讚美たる生神女よ、天上にセラフィムより父及び聖神と偕に讚榮せらるる子は、初めて造られし人を新にせんと欲して、言ひ難く爾の胎内に入り、人體を有つ者として爾より輝き出でて、神性を以て全世界を照して、拜偶像より脫れしめ、己を以て人類を神成して、天に升せ給へり、是れハリストス神我等の靈の救者なり。
次ぎて「主宰よ、今爾の言に循ひて」。聖三祝文。讚詞、「主の女弟子は」。生神女讚詞、「是れ古世より隱されて」。聯禱及び發放詞。

「スボタ」の大晩課
「主よ爾に籲ぶ」に主日の讚頌、第四調。
句 我が靈を獄より引き出して、我に爾の名を讚榮せしめ給へ。
ハリストス神よ、我等絕えず爾が生命を施す十字架に伏拜して、爾が三日目の復活を讚榮す。蓋全能の主よ、爾は此を以て人の朽ちたる性を新にして、我等に復天に升るを賜へり、獨仁慈にして人を愛する主なればなり。
句 爾恩を我に賜はん時、義人は我を環らん。
救世主よ、爾は甘じて十字架の木に釘せられて、木の誡を犯しし罰を解けり、有能者よ、地獄に降りて、神として死の縛を斷ち給へり。故に我等爾が死よりの復活に伏拜して、歡びて呼ぶ、全能の主よ、光榮は爾に歸す。
句 主よ、我深き處より爾に呼ぶ。主よ、我が聲を聽き給へ。
主よ、爾は地獄の門を破り、爾の死を以て死の國を滅し、人類を朽壞より釋きて、世界に生命と不朽と大なる憐とを賜へり。
又 讚頌、アナトリイの作。
句 願はくは爾の耳は我が禱の聲を聽き納れん。
人人よ、來りて、救世主の三日目の復活を歌はん。我等此に因りて地獄の釋き難き縛より脫れ、皆不朽と生命とを受けて呼ぶ、十字架に釘せられ、瘞られて、復活せし獨人を愛する主よ、爾の復活を以て我等を救ひ給へ。
句 主よ、若し爾不法を糾さば、主よ、孰か能く立たん。然れども爾に赦あり、人の爾の前に敬まん爲なり。
救世主よ、諸天使及び人人は爾の三日目の復活を歌ふ。此に因りて地の極は照され、我等皆敵の奴隷より脫れて呼ぶ、生を施す全能の救世主、獨人を愛する主よ、爾の復活を以て我等を救ひ給へ。
句 我主を望み、我が靈主を望み、我彼の言を恃む。
ハリストス神よ、爾は銅の門を破り、柱を折きて、罪に陷りし人類を復活せしめ給へり。故に我等聲を合せて歌ふ、死より復活せし主よ、光榮は爾に歸す。
句 我が靈主を待つこと、番人の旦を待ち、番人の旦を待つより甚し。
主よ、爾が父より生るることは年歲なくして永久なり、童貞女より身を取ることは人人の爲に測り難く言ひ難し、地獄に降ることは惡魔及び其使等の爲に懼るべし。蓋爾は死を踐みて、三日目に復活して、人人に不朽と大なる憐とを賜へり。
又生神女の讚頌、アモレイのパワェルの作、第八調。
句 願はくはイズライリは主を恃まん、蓋憐は主にあり、大なる贖も彼にあり、彼はイズライリを其悉くの不法より贖はん。
純潔なる生神女よ、爾の血より身を取りし萬有の神は爾を信者の爲には帲幪、患難急迫に在る者の爲には轉達及び扶助者、颶風に遇ふ者の爲には穩なる港と顯し給へり。故に爾凡そ爾の神聖なる帲幪の下に趨り附く者を諸の憂愁及び煩悶より救ひ給へ。
句 萬民よ、主を讚め揚げよ、萬族よ、彼を崇め讚めよ。
至福なる女宰よ、我爾の神聖なる名を常に尊みて崇め、敬み讚めて歌はん。祈る、爾の帲幪の下に趨り附く我を諸敵の悅と爲さずして、爾の尊き祈禱の翼を以て常に我を悉くの誘惑より損はれざる者として護り給へ。
句 蓋彼が我等に施す憐は大なり、主の眞實は永く存す。
至淨なる神の母よ、慶べ、信者の倚賴よ、慶べ、世界の潔淨よ、慶べ、爾の諸僕を諸の憂愁より脫れしむる者よ、慶べ、死を滅して生活を與ふる者よ、慶べ、慰むる者よ、慶べ、轉達者よ、慶べ、避所よ、慶べ。
光榮、今も、生神女讚詞
生神女よ、爾に因りて神の先祖と爲りし預言者ダワィドは、爾に大なる事を爲しし者に、爾の事を歌ひ呼べり、女王は爾の右に立てりと。蓋父なく爾より甘じて人の性を取りし神ハリストス、大にして裕なる憐を有つ主は、爾母を生命の中保者と現せり、是れ慾に朽ちたる己の像を改め、山の中に迷ひし羊を獲て、肩に置き、父の前に攜へ、己の旨に協はせ、之を天軍に合せて、世界を救はん爲なり。
次ぎて「穩なる光」。提綱、「主は王たり」。其他常例の如し。
挿句に主日の讚頌、第四調。
主よ、爾は十字架に上りて、我が原祖よりの詛を滅し、地獄に下りて、世世の俘囚を釋き、人類に不朽を賜へり。故に我等歌ひて、生命と救とを施す爾の復活を崇め讚む。
又 讚頌
句 主は王たり、彼は威嚴を衣たり。
獨有能なる主よ、爾は木に懸けられて、悉くの造物を震はせ、墓に入れられて、墓に居る者を復活せしめて、人類に不朽と生命とを賜へり。故に我等歌ひて爾の三日目の復活を崇め讚む。
句 故に世界は堅固にして動かざらん。
ハリストスよ、不法の民は恩主に對して恩を知らざる者と顯れて、爾をピラトに解して、十字架に釘せん爲に定めたり。惟爾は甘じて葬を忍び、神として己の權を以て三日目に復活して、我等に終なき生命と大なる憐とを賜へり。
句 主よ、聖德は爾の家に屬して永遠に至らん。
女等は淚を流し墓に至りて、爾を尋ねしに、得ずして、歎き泣きて呼びて曰へり、哀しい哉我が救世主、萬有の王よ、爾如何ぞ竊まれたる、何の處か爾の生を施す身を隱す。天使は彼等に對へて曰へり、泣く勿れ、往きて傳へよ、主は復活して我等に喜を賜へり、獨仁慈の主なればなり。
光榮、今も、生神女讚詞
至りて玷なき者よ、爾の諸僕の祈禱を顧みて、堪へ難き攻擊を我等より退け、諸の憂苦を我等より遠ざけ給へ、我等は爾を一の堅固なる恃むべき錨として有ち、爾の轉達を得たればなり。女宰よ、願はくは我等爾を呼ぶ者は耻を蒙らざらん、遄に我が切なる祈を應へ給へ、蓋我等中心より爾に籲ぶ、女宰、衆人の佑助と、歡喜と、庇護と、我等の靈の拯救なる者よ、慶べ。
次ぎて「主宰よ、今爾の言に循ひて」。聖三祝文。「天に在す」の後に、
主日の讚詞、第四調
主の女弟子は復活の光る音を天使より聞き受けて、原祖よりの定罪を振ひ棄て、使徒に誇りて曰へり、死は滅され、ハリストス神は復活して、世界に大なる憐を賜へり。
光榮、今も、生神女讚詞
是れ古世より隱されて、天使等にも知られざる祕密なり、生神女よ、爾に藉りて神は混ぜざる合一を以て身を取りて、地に在る者に現れ、甘じて我等の爲に十字架を受け、此を以て始に造られし者を復活せしめて、我等の靈を死より救ひ給へり。

「スボタ」の晩堂課
至聖なる生神女の規程、第四調。
第一歌頌
イルモス 古のイズライリは足を濡らさずして海の紅の淵を渡り、野に於てモイセイの十字形の手にてアマリクの力に勝てり。
附唱 至聖なる生神女よ、我等を救ひ給へ。
獨爾の帲幪の下に熱心に趨り附く者を患難憂愁より保護する至淨なる童貞女よ、至仁なる者として、中心より捧ぐる我等の禱を納れ給へ。
神人の母よ、我不當の者は爾を穩なる港として獲て、危難葘害の暴浪を脫れて、感謝の歌を爾に奉る。
光榮 神の母よ、慈憐にして溫柔なる爾の目を以て我が災禍及び憂患に圍まるるを見て、速に我を解き給へ、我爾を援助として呼べばなり。
今も 女宰よ、獨爾の諸僕の慈憐仁慈なる轉達者として、我烈しき憂患に苦しめらるる者に祈禱の手を伸べて、我を甚しき禍より脫れしめ給へ。
第三歌頌
イルモス 强き者の弓は弱み、弱れる者は力を帶びたり、故に我が心は主の中に堅められたり。
婚姻に與らざる生神女よ、我爾を堅固なる武器及び垣墻として獲て、敵の軍に勝ちて、爾の偉大なるを歌ふ。
生神童貞女、我等の倚賴よ、爾は悲哀の爐を毁ち、失望の熱を滅し給ふ、孰か爾の如く斯く之を能する。
光榮 神の母よ、爾の佑助を乞ふ爾の僕の聲を納れ給へ。我が倚賴よ、我に聆きて、諸難より脫れしめ給へ。
今も 多くの罪より我等に苦は至り、死の害は及べり。生神女よ、爾の諸僕を救ひ給へ、爾之を能すればなり。
第四歌頌
イルモス 敎會は爾義の日が十字架に擧げられしを見て、竝び立ちて正しく呼べり、主よ、光榮は爾の力に歸す。
女宰よ、徒に我の敵と爲りて、我が靈を滅さんと謀る者に勝ちて、我を護り、憐みて救ひ給へ、我爾の僕は爾に趨り附けばなり。
我が仁慈なる保護者よ、我を欺騙の舌より脫れしめて、度生の行の汚されぬ者と顯し給へ、爾は造物主の母として能する所多ければなり。
光榮 我病める者は爾を善く醫す醫師と知りて、心と口とを以て呼ぶ、女宰よ、我を醫し、憐みて救ひ給へ、我爾の僕は爾に趨り附けばなり。
今も 我等の神の母よ、我が苦難に付さるるを容す勿れ、我を凡の憂及び人の惡に惱まされざる者として護り給へ、爾は我等衆の爲に扶助者なればなり。
第五歌頌
イルモス 我が主よ、爾は光、信じて爾を崇め歌ふ者を闇き無智より引き出す聖なる光にして、世界に來り給へり。
潔き者よ、爾の僕の祈禱を主爾の子に向はしめ給へ、我吾が多くの罪過の赦を得ん爲なり。
神の聘女よ、我を諸慾及び諸難より救ひ給へ、神は實に爾を卑微なる我の爲に潔淨として備へたればなり。
光榮 嗚呼女宰生神女よ、爾は我の帲幪、常に我の美譽なり、爾に趨り附く者を必棄てざればなり。
今も 潔き者よ、爾の產を尊む者を憐みて、苦 及び憂より脫れしめ給へ、爾能せざる所なければなり。
第六歌頌
イルモス 憐に由りて爾の脅より流れし血にて惡魔の祭の血より淨められし敎會は爾に呼ぶ、主よ、讚揚の聲を以て爾を祭らん。
至淨なる女宰よ、我に及びたる待たざる憂の中に於て爾親ら我の保固なり。我爾に呼ぶ、爾は己の僕の大なる保護者なればなり。
至淨なる者よ、我が靈の創傷を醫し給へ。童貞女よ、我を護りて、爾の僕を讒言、惡謀、及び諸の誘惑より脫れしめ給へ。
光榮 潔き者よ、常に爾に趨り附く我を攻むる不義なる惡謀者を破りて、我を棄てて滅ぶるを容す勿れ、爾神の母に能せざる所なければなり。
今も 女宰よ、我が靈の荒れたる浪を鎭め給へ、多くの罪、菑害、及び憂患は起ちて我を攻むればなり、親ら我を救ひ給へ。
主憐めよ、三次、光榮、今も、
坐誦讚詞、第四調。
生神女よ、我放蕩にして多くの罪を以て智慧を昧ましし者は爾の堅固なる保護に呼ぶ、潔き神の母よ、我が靈の眸子を照し、我に痛悔の曙光を輝し、我に光明の甲を衣せ給へ。
第七歌頌
イルモス 火の中に爾がアウラアムの少者を救ひ、義の審判を被れるハルデヤ人を滅しし讚美たる主、我が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
マリヤよ、爾の祈禱の劍を以てアガリ人の虐待を速に滅して、民及び爾の群、爾の子に、我が先祖の神よ、爾は崇め讚めらると呼ぶ者を護り給へ。
神聖なる幕よ、爾に趨り附く我を入れ給へ、我を滅さんと欲する敵が我を執へざらん爲なり。蓋我呼ぶ、讚美たる我が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
光榮 神の母マリヤよ、我誘惑の暴浪の中に溺らされて、扶助を有たざる爾の僕を速に救ひ給へ。我爾に呼ぶ、地極の倚賴よ、我を憐み給へ。
今も 仁慈なる生神女よ、諸罪の緣由なる人の謀を今爾の神聖なる祈禱を以て破りて、爾の諸僕を疾しき誘惑及び諸の害より脫れしめ給へ。
第八歌頌
イルモス 衆人の贖罪主全能者よ、爾は降りて、焰の中に敬虔を守りし者に露を注ぎて、歌はしめ給へり、悉くの造物は主を歌ひて崇め讚めよ。
不法の民は我等を攻めて、爾に事ふる者を滅さんと誇る。至淨なる者よ、彼を破りて、主の悉くの造物は主を崇め讚めよと呼ぶ者を覆ひ給へ。
獨神の母よ、爾の多くの仁慈慈憐は我等を罪の擬定及び種種の患難より救ふ、爾神を生みて、彼の世界を憐み給へばなり。
光榮 女宰よ、爾は我が保固及び援助なるに因りて、我諸敵の怒を懼れずして、爾を歌ひて、爾の子に呼ぶ、主の悉くの造物は主を崇め讚めよ。
今も 女宰よ、今我が禱に慈憐を垂れて、我に悲に代へて喜を賜へ、我が爾を歌ひて、爾の子に呼ばん爲なり、主の悉くの造物は主を崇め讚めよ。
第九歌頌
イルモス エワは不順を病みて、詛を入れたり、爾は、童貞生神女よ、己の產にて世界の爲に祝福の華を發けり。故に我等皆爾を崇め讚む。
詭譎不法なるアラワィヤ人は我等に向ひて武器を磨ぎて、謀を設く、生神童貞女よ、爾は十字架及び爾の祈禱の力を以て彼に向ひて爾の諸僕を堅め給ふ。故に我等爾の光榮を傳ふ。
女宰よ、爾に敵に對して力の授けられしに因りて、爾我を患難より脫れしめ給ふ。我爾に何を捧げんを知らず、唯我が有てる感謝を爾に捧ぐ、今之を納れて、我を救ひ給へ。
光榮 嗚呼萬有の造成主の至りて光明なる母、哀しむ者の慰藉、溺らさるる者の援助、弱る者の守護よ、爾我を生涯護り給へ。
今も 至りて讚美たる者よ、今多くの罪と災禍とに攻めらるる我を棄つる勿れ。我爾に讚美の祭を奉りて、熱切に爾に呼ぶ、聖なる生神女よ、我を助け給へ、蓋我爾を讚榮して歌頌を終ふ。
次ぎて「常に福にして」。聖三祝文。其他常例の如し、幷に發放詞。
日曜日(主日)
主日の夜半課
聖三者の規程。其冠詞は、神に第四の歌を奉る。ミトロファンの作。第四調。
第一歌頌
イルモス 古のイズライリは足を濡らさずして海の紅の淵を渡り、野に於てモイセイの十字形の手にてアマリクの力に勝てり。
我等は神元の三者、三位に於て惟一なる性、同永在、同寶座なる者を讚榮して、祈りて言はん、信を以て爾を讚榮する者を救ひ給へ。
子は父より神爲の膏たる歡喜の神゜に傅膏せられ、人と成りて、惟一の神性の三位なるを敎へ給へり。
光榮 三日の惟一者よ、セラフィム等は爾の近づき難き光榮の華美を觀るに勝へずして、翼にて己を覆ひ、常に聖三の歌を以て爾を讚榮す。
生神女讚詞 至淨なる者よ、爾は言ひ難く萬有の造成主、人人を古の詛及び死の朽壞より救ふ者を生み給ひしに、我等爾に因りて惟一の三位なる神を知れり。
第三歌頌
イルモス ハリストスよ、我等は智慧と能力と富有とを以て誇るにあらず、乃爾父と一性なる智慧を以て誇る、人を愛する主よ、爾の外に聖なる者なければなり。
ハリストスよ、爾は嘗て爾の聖なる使徒等に上よりの能力たる撫恤者を父より遣して、惟一の神性の三日なるを顯し給へり。
三位なる惟一者よ、爾は人の像を以て太祖アウラアムに現れし時、爾の仁慈と權能との變易なきを示し給へり。
光榮 三位に於て信ぜらるる惟一の神、明に形られず衆に料られざる主よ、我等の靈を凡の憂より救ひ給へ。
生神女讚詞 我等は爾の子の睿智なる敎に導かれて、惟一にして三光なる神元を讚榮し、爾永貞童女をも讚美す。
次ぎて坐誦讚詞、第四調。
三日にして造られざる一性の惟一者、三位にして曉られぬ者よ、爾の諸僕を宥め、慈憐なる神として諸難より救ひ給へ。蓋主よ、我等は獨爾を救者及び主宰として有ちて呼ぶ、我等に慈憐を垂れ給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 生神童貞女よ、我等多くの禍及び敵の攻擊に圍まれて、恒に失望に陷る者は獨爾を拯救と倚賴と守護として有ちて今も信を以て熱切に爾に祈る、爾の諸僕を救ひ給へ。
第四歌頌
イルモス 光榮の中に神性の寶座に坐するイイスス神は、輕き雲に乘るが如く、朽ちざる手に抱かれ來りて、ハリストスよ、光榮は爾の力に歸すと呼ぶ者を救ひ給へり。
曉られぬ神よ、我等はセラフィム等と偕に爾神性の惟一なる永在の三者を、分れざる性、近づき難き者、光榮の同一なる主として讚榮す。
我等は爾神性の位に於て言ひ難く分れ、惟一の權柄と能力とに於て合せられたる獨一の限なき形られぬ三者、萬物の造成主を歌ひ讚む。
光榮 無原なる智慧は言ひ難く言を生み、神聖なる同能の神゜を發し給へり、之に由りて我等は一體なる三者、萬物の主宰神を傳ふ。
生神女讚詞 童貞女よ、言は古の者に異象の中に見られて、爾より人體を取ることを預言し、後には人人に現れて、實に三位なる一元を顯し給へり。
第五歌頌
イルモス 萬物は爾が神妙の光榮に驚かざるなし、爾婚配を識らざる童貞女は至上の神を孕み、永遠の子を生みて、凡そ爾を歌ふ者に平安を賜へばなり。
我等は信を以て全功の神の惟一なる近づき難き性の中に生命の泉なる合一せられたる三位を識りて、同永在なる父、子、及び聖神を尊む。
三日の光よ、我に惟一なる造られざる神性、凡の光の泉たる者の光線を輝かし給へ、我が爾の言ひ難き華美を仰ぎ瞻ん爲なり。
光榮 爾惟一にして三位なる神は萬物を造り、之を保ち、睿智を以て之を司り、萬衆に生を賜ふ主なり。故に我等忠信に爾に呼ぶ、三光の主宰よ、爾を歌ふ者を護り給へ。
生神女讚詞 童貞女よ、己の神聖なる像に形りて人を造りし主は昔朽ちたる人を仁慈を以て神成せんと欲して、爾に藉りて人と爲り、惟一なる三數の神元を傳へ給へり。
第六歌頌
イルモス 三日の葬を預象する預言者イオナは鯨の中に在りて祈りて籲べり、イイスス萬軍の王よ、我を淪滅より救ひ給へ。
父は其聲を以て子を顯し、神゜はハリストスの洗を受くる時に見られたり、故に我等は惟一にして三位なる神元を讚榮す。
イサイヤは爾が三聖の聲に歌はれて、高き寶座に坐するを見し時、惟一なる神元の三位を識れり。
光榮 最高き三位なる王よ、我等爾の諸僕の心を高まりたる者と爲し給へ、我等が明に爾の光榮の輝煌を見ん爲なり。
生神女讚詞 神の子は人を愛する主として童貞女より甘じて我等の像を受けて、人人を神聖なる光榮に與る者と爲し給へり。
坐誦讚詞、第四調。
我等は生れざる父、父より生れし子、及び出づる聖神を識りて、無原なる國及び惟一の神性を傳へ、之を讚榮して、心を一にして呼ぶ、一體なる三位の神よ、我等を救ひ給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 至淨なる者よ、爾は年に因らざる、世より先なる神を年に及びて性に超えて身を以て神人として生み給へり。故に我等皆敬みて爾を眞の生神女と承け認めて、熱切に爾に呼ぶ、衆人に永遠の光榮を得しめ給へ。
第七歌頌
イルモス アウラアムの少者はペルシヤの爐に在りて、焰よりも强く敬虔の愛に爇かれて呼べり、主よ、爾が光榮の殿に於て爾は崇め讚めらる。
我等凡そ地に生るる者は天上の靈智なる品位に正しく效ひて、同功なる三位に於て惟一の神性を讚榮す。二次。
光榮 昔聖なる預言者の宣言は異象を以て爾萬世を造りし言ひ難き惟一なる神及び主の神元なる三位を顯せり。
生神女讚詞 爾性に於て見えざる全功の言は潔き生神女より人として人人に現れて、人を爾の神性に與ることに召し給へり。
第八歌頌
イルモス ダニイルは獅子穴に手を伸べて、獅子の口を閉し、敬虔の篤き少者は德を帶び、火の力を滅して呼べり、主の悉くの造物は主を崇め讚めよ。
一元なる三日の光、無原の性、悟られぬ華美よ、我が心に入りて、我を爾の神性の光明潔淨なる殿と爲して、呼ばしめ給へ、主の悉くの造物は主を崇め、歌ひて世世に彼を讚め揚げよ。二次。
光榮 分れざる三者、混淆せざる惟一者よ、我を諸の慾及び罪過の幽闇より脫れしめて、爾の神聖なる光線を以て照し給へ、我が爾の光榮を想像して、爾光榮の主を歌はん爲なり。
生神女讚詞 生れざる智慧たる父、彼と一性なる言、及び同寶座なる神゜、神性、能力、實在、永遠にして言ひ難き全功なる三者、惟一者よ、生神女の祈禱に因りて爾の群を護り給へ、爾は性に於て人を愛する主なればなり。
第九歌頌
イルモス 凡そ地に生るる者は聖神に照されて樂しみ、形なき智慧の性も祝ひ、神の母の聖なる祭を尊みて呼ぶべし、至りて福なる潔き生神女、永貞童女よ、慶べよ。
一元なる三光よ、我今吾が心と思及び我が靈體の悉くの望を爾我が造成主及び救世主に進めて、爾に呼ぶ、我爾の僕を諸の誘惑及び憂患より救ひ給へ。二次。
光榮 近づく可からざる光に居る父、言、撫恤者、光榮の日、光を持つ主よ、我等の智慧及び心を爾至上の者に擧げて、爾の潔淨なる光線を以て照して、常に爾一元三位なる神を讚榮せしめ給へ。
生神女讚詞 主よ、爾を信じて、無原にして永在なる惟一の性、神元なる一體の三位を傳ふる者を、潔き神の母の祈禱に由りて救ひて、彼等に爾の神聖なる光榮を得しめ給へ。
次にグリゴリイ シナイトの聖三讚歌、「爾神言を讚榮するは」、及び其他夜半課の式。本書の末に載す。
主日の早課
「主は神なり、我等に臨めり」、第四調。次に讚詞、「主の女弟子は」、二次。光榮、今も、生神女讚詞、「是れ古世より隱されて」。次に聖詠經の常例の誦讀。
第一の誦文の後に主日の坐誦讚詞、第四調。
攜香女は墓の門を見て、天使の光に堪えず、戰き驚きて云へり、豈盜賊の爲に樂園を開きし者は盜まれしか、或は苦の前に興くることを傳へし者は興きしか。實にハリストスは復活し、地獄に在る者に生命と復活とを賜へり。
句 主我が神よ、起きて、爾の手を擧げよ、苦しめらるる者を永く忘るる毋れ。
救世主よ、爾は自由の旨に因りて十字架を忍び、死すべき人人は爾言にて四極を合成せし者を新なる墓に藏めたり。故に敵は縛られ、死は虜へられ、地獄にある者は皆爾が生命を施す復活に籲べり、生命を賜ふハリストス、世世に存する者は復活せり。
光榮、今も、生神女讚詞 生神女よ、爾の聘定者及び守護者なるイオシフは天然に逾ゆる事を見て、驚き、爾の種なき懷孕に於て、毛に降りし雨、火に燒かれざりし棘、華を生ぜしアアロンの杖を思ひて、司祭等に證して呼べり、童貞女は生み、生みし後も恒に童貞女なり。
第二の誦文の後に主日の坐誦讚詞、第四調。
救世主よ、爾は不死の者として墓より復活し、爾の力を以て爾の世界を共に興せり、ハリストス我が神よ、爾は能力を以て死の權を滅せり、慈憐の主よ、爾は衆に復活を示し給へり。故に獨人を愛する主よ、我等爾を讚榮す。
句 主よ、我心を盡して爾を讚め揚げ、爾が悉くの奇迹を傳へん。
ガウリイルは上天の高きより降り、白衣にして、生命の石の在りし處の石に就きて、哭く者に呼べり、愛憐の情を抱く者よ、涕泣を止めて、勇めよ、蓋爾等が泣きて尋ぬる者は實に復活せり。故に使徒等に呼べ、主は復活せり、喜の音を受けて興きし者に伏拜せよ、勇めよ、エワも勇むべし。
光榮、今も、生神女讚詞 潔き者よ、天使の品位は皆爾の產の畏るべき奧密に驚きたり、如何ぞ萬物を其手に保つ者は人の如く爾の手に保たれ、永久の者は始を受け、凡そ呼吸ある者を言ひ難き仁慈を以て養ふ者は乳にて養はるる。故に彼等は爾を眞の神の母として讚頌讚榮す。
「ネポロチニ」の後に應答歌、第四調。
ハリストスよ、爾の至榮なる復活に魁せし攜香女は、使徒等に爾が神として復活し、世界に大なる憐を賜ひしを傳へたり。
品第詞、第四調。第一倡和詞、每句復唱す。
我が幼き時より多くの慾は我を攻む、吾が救世主よ、爾親ら我を守りて救ひ給へ。
シオンを惡む者は主より辱を受けよ、爾等草の火に於けるが如く枯らされんとすればなり。
光榮 聖神にて凡の靈は活かされ、淸淨を以て愈上り、三位の一體にて奧密にて照さる。
今も、同上。
第二倡和詞
主よ、我靈の深處より熱切に爾に籲べり、願はくは爾の神聖なる耳は我にも聽かん。
凡そ主に於ける望を得たる者は悉くの憂ふる者の上に在り。
光榮 聖神にて恩寵の流は注がれ、凡の造物に飮ませて、之を活かす。
今も、同上。
第三倡和詞
言よ、願はくは我が心は爾に擧げられ、世俗の華美は一も其樂を以て我を弱めざらん。
人其母に愛を保つが如く、主に對して更に篤き情を保つべし。
光榮 聖神には神を識る知識と、明悟と、睿智との富は由るなり、蓋言は彼に因りて父の悉くの命を露す。
今も、同上。
提綱、第四調。
主よ、起きて我等を佑けよ、爾の憐に因りて我等を救ひ給へ。
句 「神よ、我等は己の耳にて聞けり」。「凡そ呼吸ある者」。主日の早課の福音經。「ハリストスの復活を見て」。第五十聖詠。其他常例の如し。
主日の規程。ダマスクの聖イオアンの作。
第一歌頌
イルモス 古のイズライリは足を濡らさずして海の紅の淵を渡り、野に於てモイセイの十字形の手にてアマリクの力に勝てり。
附唱 主よ、光榮は爾の聖なる復活に歸す。
主宰よ、爾は至淨なる十字架の木に上げられて、我等の墮落を改め、木に緣る殘害の傷を醫し給へり、爾は仁慈全能の主なればなり。
像り難きハリストスよ、爾は體にて墓に在り、靈にて神として地獄に在り、盜賊と偕に樂園に在り、父及び聖神と偕に寶座に在りて、一切を滿て給へり。
生神女讚詞 爾は種なく父の旨を以て神聖なる神゜に由りて子を孕み、身にて生み給へり、是れ父より母なくして、我等の爲に爾より父なくして生れ給ひし主なり。
又十字架復活の規程、第四調。
第一歌頌
イルモス 我が口を開きて、聖神に滿てられ、言を女王母に奉り、樂しみ祝ひ、喜びて其奇迹を歌はん。
主よ、爾は人類の壞を醫して、爾の神聖なる血を以て之を新にし、昔爾の造物を壞りし力の强き者を壞り給へり。
爾の殺さるるは死者の復活と爲れり、蓋死は永遠の生命と鬪ひて、殺す力を失へり、萬有を司る神が人體を取りたればなり。
生神女讚詞 爾の神聖なる活ける宮、爾を腹に宿しし童貞女、爾我が神の聖なる山は天軍に超えて美しき者なり。
又至聖なる生神女の規程、其冠詞は、至榮なる少女に第四の歌。第四調。
第一歌頌
イルモス 童貞女より生れし主よ、祈る、强き軍たる我が靈の諸慾を無慾の深處に沈め給へ、我が鼓を以てするが如く、肉情を殺すに由りて凱歌を爾に歌はん爲なり。
潔き者よ、爾の產を畏るるに因りて、人人は戰き、諸民は震ひ、諸國は動けり、蓋我が王は來りて、暴虐者を斃し、世界を朽壞より救ひ給へり。
最高きに居るハリストスは人人に降りて、己の居處を聖にして、動なき者と顯せり、蓋爾は獨造成主を生みて、生みし後にも童貞の寶を守り給へり。
第三歌頌
イルモス ハリストスよ、爾の敎會は爾の爲に樂しみて呼ぶ、主よ、爾は我が能力と避所と堡障なり。
生命の樹、神゜靈の眞の葡萄は十字架に懸りて、衆人に不朽を流し給ふ。
至大至嚴にして地獄の傲慢を倒しし主は不朽の神として今肉體を以て復活し給へり。
生神女讚詞 神の母よ、爾は獨地に居る者の爲に性に超ゆる諸福の中保者と爲れり、故に我等爾に慶べよを捧ぐ。
又
イルモス 生神女、生活にして盡きざる泉よ、祝ひて爾を讚め歌ふ者の靈を固め、彼等に爾が神妙なる光榮の中に榮冠を冠らしめ給へ。
救世主よ、蛇は毒に充ちたる齒を以て我を囓みたり、爾は、全能の主宰よ、爾の手の釘を以て之を折き給へり、人を愛する主よ、聖者の中に爾に超ゆる聖なる者なければなり。
生を賜ふ仁愛の主よ、爾は甘じて死し、墓に置かれて、地獄の門を啓きて、古世よりの靈を釋き給へり、人を愛する主よ、聖者の中に爾に超ゆる聖なる者なければなり。
生神女讚詞 爾は耕されぬ畝と顯れて、生命の穗を生じ給へり、是れ凡そ不死に與る者の中保者にして、聖者の中に息ひ給ふ聖なる者なり。
又
イルモス 爾は凡の首領より上なる者にして、甘じて高きより地に降りて、謙卑なる人の性を最下なる地獄より升せ給へり、人を愛する主よ、爾の外に聖なる者なければなり。
至淨なる童貞女よ、爾に由りて勝へ難き神性の火に著きたる人の性は潔められて活かさる、蓋爾の内に奧密に燒かれたる餅は之を永生の爲に養ふ。
此の眞に神に近き者は誰ぞ、是れ天使の品位に超え、童貞の華美を以て輝き、全能者の母として光る者なり。
第四歌頌
イルモス 敎會は爾義の日が十字架に擧げられしを見て、竝び立ちて正しく呼べり、主よ、光榮は爾の力に歸す。
爾は十字架に升りて、甘じて衣たる爾の至淨なる肉體の苦を以て我が苦を醫し給ふ。故に我等爾に呼ぶ、主よ、光榮は爾の力に歸す。
主宰よ、死は爾の罪なくして生を施す身を呑みて、宜しきに合ひて殺されたり。故に我等爾に呼ぶ、主よ、光榮は爾の力に歸す。
生神女讚詞 童貞女よ、爾は婚姻に與らずして生めり、生みし後にも亦童貞女と現れ給へり。故に我等疑なき信を以て默さざる聲にて爾に呼ぶ、女宰よ、慶べ。
又
イルモス 預言者アウワクムは爾至上者が童貞女より身を取り給ふ神の測り難き定制を洞察して籲べり、主よ、光榮は爾の力に歸す。
ハリストスよ、律法に服したるイズライリは爾服せしめし神を識らざりき、乃律法に對して不當なる者にして、律法に背きて、爾を罪犯者の如く十字架に釘せり。
救世主よ、爾の神成せられし靈は地獄の寶を掠めて、古世よりの靈を共に復活せしめ、生を施す體は衆に不朽を流せり。
生神女讚詞 我等皆爾永貞童女、眞の生神女、見神者モイセイの爲に火の中に在りて焚かれざりし至淨なる棘の預象せし者を讚榮す。
又
イルモス 光榮の中に神性の寶座に坐するイイスス神は、輕き雲に乘るが如く、朽ちざる手に抱かれ來りて、ハリストスよ、光榮は爾の力に歸すと呼ぶ者を救ひ給へり。
見えざる者は見ゆる形に於て人と偕に在し、神性の悟られぬ者は爾少女より人體を受けて、爾潔き神の母を承け認むる者を救ひ給ふ。
童貞女は形體の中に無形體の者、物體に與るを以て彼に由りて赤子と爲りし者を受けたり。故に二性に於て一位にして、肉體ある神及び性に超ゆる人は識認せらる。
爾童貞女の内に入りて、種なく生れ給ひし神言は、萬物の造成主及び主宰たるに因りて、爾を產の時及び產の後に童貞女として護り給へり。
第五歌頌
イルモス 我が主よ、爾は光、信じて爾を崇め歌ふ者を闇き無智より引き出す聖なる光にして、世界に來り給へり。
主よ、爾は慈憐に由りて地に降り、爾は木に擧げられて陷りし人の性を擧げ給へり。
ハリストスよ、爾は我が罪に因る罰を負ひ給へり、宏恩の主よ、爾は神聖なる爾の復活を以て死の疾を除き給へり。
生神女讚詞 神の聘女よ、我等爾を敵に對して勝たれぬ武器として有つ、我等爾を堅固及び我が救の冀望として得たり。
又
イルモス 萬物は爾が神妙の光榮に驚かざるなし、爾婚配を識らざる童貞女は至上の神を孕み、永遠の子を生みて、凡そ爾を歌ふ者に平安を賜へばなり。
無知なる地獄は口を啓きて全く爾を受けたり、蓋爾が十字架に釘せられ、戈にて刺され、氣息なきを見て、活ける神を常人と思へり、惟爾の神性の能力を試みて悟れり。
不死にして人を愛する主よ、爾の身の毁たれたる殿を分ちし墓及び地獄は兩ながら强ひられて、一は爾の諸聖人の靈を放ち、一は其體を還せり。
生神女讚詞 視よ、今預言者の預言は應へり、蓋爾婚配を識らざる童貞女は至上の神を孕み、永遠の子、凡そ爾を歌ふ者に平安を賜ふ主を生み給へり。
又
イルモス 神は預言して云へり、我今起き、今光榮を獲、今高く擧がりて、童貞女より受けたる陷りし者を我が神性の靈智なる光に擧げん。
潔き者よ、神の子は爾の内に入りて、爾を光榮の堂、神の聖山、聘女、宮、聖にせられし殿と爲し、我等の爲に永在の樂園と爲し給へり。
ハリストスよ、爾は童貞女の血より種なくして人體を受け給へり、是れ至淨にして實在なる、明覺にして靈ある、自行、自願、自宰、自主の人體なり。
童貞女の腹は暴虐者の智慧を辱しめたり、蓋哺乳兒は手を靈を害する蝮の穴に入れ、傲慢なる反離者を倒して、信者の足下に服せしめたり。
第六歌頌
イルモス 憐に由りて爾の脅より流れし血にて惡魔の祭の血より淨められし敎會は爾に呼ぶ、主よ、讚揚の聲を以て爾を祭らん。
爾は十字架に上り、力を帶びて、暴虐者と戰ひ、神として之を高きより墜し、勝たれぬ力を以てアダムを復活せしめ給へり。
ハリストスよ、爾は美しく輝きて墓より復活して、爾の神聖なる力を以て諸敵を散らし、神として衆を樂に充て給へり。
生神女讚詞 嗚呼諸奇跡に超ゆる新なる奇跡や、童貞女は夫を識らずして胎内に萬有を保つ主を孕みて、狹からざりき。
又
イルモス 我海の深處に至り、多くの罪の暴風は我を沈めたり、慈憐の主よ、神なるに由りて、我が生命を深處より引き上げ給へ。
地獄は其口を啓きて我を呑み、無智にして高ぶれり、然れどもハリストスは降りて我が生命を擧げたり、人を愛する主なればなり。
死に因りて死は滅びたり、蓋死せし者は復活して、我に不朽を賜へり。不死の主は女等に現れて、祝慶を宣べたり。
生神女讚詞 嗚呼生神女よ、爾の腹は勝へ難き神性の潔き宿處と顯れたり、天の品位は畏なくして之を見るを得ざりき。
又 イルモス 同上。
昔蛇は我が原母エワに依りて我を誘ひて殺せり、今は、潔き者よ、我を造りし主は爾に依りて我を朽壞より喚び起せり。
少女よ、仁慈の淵は爾選びたる者を言ひ難く奇跡の淵と顯せり、蓋珍珠たるハリストスは爾より神性の電にて輝けり。
小讚詞、第四調。
我が救世主及び贖罪主は神として地に生れし者を桎梏より釋きて、墓より復活せしめ、地獄の門を破りて、主宰として三日目に復活し給へり。
同讚詞 我等地に生るる者は皆生命を賜ふハリストス、死より復活して三日目に墓より出で、己の力を以て死の門を破り、地獄を殺し、死の刺を折き、アダムをエワと偕に釋きたる主を歌ひて、熱心に讚美を奉らん。蓋彼は獨一有能なる神及び主宰として三日目に復活し給へり。
第七歌頌
イルモス アウラアムの少者はペルシヤの爐に在りて、焰よりも强く敬虔の愛に爇かれて呼べり、主よ、爾が光榮の殿に於て爾は崇め讚めらる。
ハリストスの神聖なる血を以て洗はれて不朽に召されたる人類は感謝して歌ふ、主よ、爾が光榮の殿に於て爾は崇め讚めらる。
ハリストスよ、我等の復活の源たる爾の墓は、生命を施す者、地堂より美しき者、實に凡の王の宮よりも光れる者として現れたり。
生神女讚詞 至上者の聖にせられたる神妙の居處よ、慶べ、蓋生神女よ、爾に緣りて欣喜は斯く呼ぶ者に賜はりたり、至りて無玷なる女宰よ、爾は女の中に祝福せられたり。
又
イルモス 敬虔の者は造物主に易へて造物に事ふることをせざりき、火の嚇を勇ましく踐みて、喜び歌へり、讚美たる主、先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
人を救ふ主よ、爾は木に擧げられて驕れる目を低くし、高ぶれる眉を地に下せり。讚美たる主、先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
死より復活して、地獄に囚はれたる無數の人人を出しし主宰よ、我等爾に事ふる者の角を爾の力を以て高くし給へ。讚美たる主、先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
聖三者讚詞 我等は神聖なる宣言に遵ひて、惟一の神、三光に於て混淆なく分離なくして輝く主、萬物を照す永久の光焰を讚榮して呼ぶ、神よ、爾は崇め讚めらる。
又
イルモス 三人の少者はワワィロンに於て窘迫者の命令を空言と爲して、焰の中に呼べり、主我が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
我が心に燃ゆる愛の火は我を生神女を歌ふ爲に進めて、母及び童貞女に呼ばしむ、恩寵を蒙れる者よ、萬軍の主は爾と偕にす。
生神女よ、爾は造成主及び主宰を生みて、造物より最高き者と現れたり。故に我等爾に呼ぶ、恩寵を蒙れる者よ、萬軍の主は爾と偕にす。
聖三者讚詞 我は爾獨一の主を三の分れざる聖なる位に於て尊み、三位の神性を歌ひて呼ぶ、萬有を宰る三者よ、爾は崇め讚めらる。
第八歌頌
イルモス ダニイルは獅子穴に在りて手を伸べて、獅子の口を閉し、敬虔の篤き少者は德を帶び、火の力を滅して呼べり、主の悉くの造物は主を崇め讚めよ。
主宰よ、爾は十字架に手を伸べて萬民を集め、爾を讚頌する惟一の敎會を顯して、在地在天に同心に歌はしむ、主の悉くの造物は主を崇め、彼を歌ひて世世に讚め揚げよ。
白衣にして復活の近づき難き光に輝ける天使は女等に現れて呼べり、何ぞ生ける者を死者の如く墓に尋ぬる、ハリストスは實に興きたり、我等彼に呼ばん、悉くの造物は主を歌ひて萬世に讚め揚げよ。
生神女讚詞 至淨なる童貞女よ、爾は獨萬族の中に神の母と現れたり、純潔なる者よ、爾は神性の居處と爲りて、近づき難き光の火に焚かれざりき。故に神の聘女マリヤよ、我等皆爾を崇め讚む。
又
イルモス 生神女の產は敬虔の少者を爐の中に守れり。其時に預め徵され、今已に應ひし此の產は全世界に勸めて爾に歌はしむ、造物は主を歌ひて、萬世に彼を讚め揚げよ。
ハリストスよ、造物は爾が非義に屠らるるを見て、哀しみて哭けり、地は悶え、日は黑衣の如く晦冥を衣たり、我等は絕えず爾を歌ひて世世に崇め讚む。
我に降りて地獄にまで至り、衆の爲に復活の途を闢きし主よ、爾は復升り、我を肩に任ひて父に攜へ給へり。故に我爾に呼ぶ、造物は主を歌ひて萬世に讚め揚げよ。
聖三者讚詞 我等は原始の智慧及び萬有の原因たる惟一自在なる父、無原の言、及び撫恤者たる神゜、萬有の獨一の神を讚榮し、合一なる三者に伏拜して、萬世に之を崇め讚む。
又
イルモス 衆人の贖罪主全能者よ、爾は降りて、焰の中に敬虔を守りし者に露を注ぎて、歌はしめ給へり、悉くの造物は主を歌ひて崇め讚めよ。
爾をアダムの肋骨より造りし萬有の主は爾の童貞より身を取り給へり。我等彼を歌ひて呼ぶ、悉くの造物は主を崇め、歌ひて、世世に彼を讚め揚げよ。
生神女よ、アウラアムは幕に在りて爾に於ける奧密を見たり、蓋彼は爾の無形の子を接けて歌へり、悉くの造物は主を崇め、歌ひて、世世に彼を讚め揚げよ。
少女よ、爾の童貞の預象は聖三者と同數なる少者を救へり、蓋彼等は童貞の身を以て焰を踐みて呼べり、主を崇め、歌ひて、世世に彼を讚め揚げよ。
第九歌頌
イルモス 童貞女よ、手にて斫られざる隅石ハリストスは、爾斫られざる山より斫り分けられて、離れたる性を合せ給へり。故に我等樂しみて、爾生神女を崇め歌ふ。
我が神よ、爾は全き神性を以て混淆せざる合一に於て全き我を受けて、多くの慈憐に由りて身にて十字架に忍びたる爾の苦を以て全き我に救を賜へり。
爾の門徒は爾の墓の啓かれ、爾の復活に由りて神の身を裹みし布の空しくなりたるを見て、天使と偕に呼べり、主は實に興き給へり。
聖三者讚詞 我等衆信者は神性の惟一にして三位なる神に伏拜して、混淆せざる位に於て同能同尊なる父、子、聖神を尊みて崇め讚む。
又
イルモス 凡そ地に生るる者は聖神に照されて樂しみ、形なき智慧の性も祝ひ、神の母の聖なる祭を尊みて呼ぶべし、至りて福なる潔き生神女、永貞童女よ、慶べよ。
蛇は匍ひ近づき、欺を以て我を擄へて、エデムより出せり、全能の主は髑髏の處の堅き石に彼を嬰兒の如く擊ち殺し、十字架の木を以て我の爲に復樂園の門を啓き給へり。
ハリストスよ、爾は敵の固を破り、全能の手を以て其富を掠め、我を地獄より引き出し、昔の甚しく誇る者を辱め給へり。
仁慈なるハリストスよ、爾の卑微なる民を顧みて諸難より救ひ、爾の權能の手を以て我が皇帝を堅め、爾の選びたる嗣業を諸敵より護り給へ、爾は仁愛の主なればなり。
又
イルモス 至淨なる童貞女よ、神の言ひ難き祕密は明に爾に於て行はる、蓋神は慈憐に由りて爾より身を取りて生れ給へり。故に我等爾を生神女として崇め讚む。
聖神の裝飾せし紫袞衣を衣たる至淨なる童貞女よ、我等爾を棘の中に耀く百合花、忠信に爾を讚め揚ぐる衆人を芳しき香に滿つる者として觀る。
純潔なる者よ、不朽なる主は爾の腹より朽壞すべき人の性を取りて、仁慈に由りて之を己の内に不朽なる者と爲し給へり。故に我等爾を生神女として崇め讚む。
萬物の女宰たる者よ、爾の民に勝利を與へて、敵を敎會と和せしめ給へ、我等が爾を生神女として崇め讚めん爲なり。
共頌の後に小聯禱、及び主我等の神は聖なり、次に光耀歌。光榮、今も、生神女讚詞。
「凡そ呼吸ある者」に主日の讚頌、第四調。
句 彼等の爲に記されし審判を行はん爲なり。斯の榮は其悉くの聖人に在り。
十字架と死とを忍び、死より復活せし全能の主よ、我等爾の復活を讚榮す。
句 神を其聖所に讚め揚げよ、彼を其有力の穹蒼に讚め揚げよ。
ハリストスよ、爾は十字架にて我等を古の詛より解き、爾の死にて我等の性を苦しむる惡魔を空しくし、爾の復活にて萬有を歡喜に滿て給へり。故に我等爾に呼ぶ、死より復活せし主よ、光榮は爾に歸す。
句 其權能に依りて彼を讚め揚げよ、其至嚴なるに依りて彼を讚め揚げよ。
ハリストス救世主よ、爾の十字架にて我等を爾の眞理に導きて、敵の網より脫れしめ給へ。死より復活せし仁愛の主よ、爾の聖人の祈禱に因りて爾の手を伸べて、罪に陷りし我等を起し給へ。
句 角の聲を以て彼を讚め揚げよ、琴と瑟とを以て彼を讚め揚げよ。
神の獨生の言よ、爾は父の懷を離れずして、人を愛するに因りて地に來り、變易せずして人と爲れり。神の性には苦に與らざる者にして、身にて十字架と死とを忍び、死より復活して、人類に不死を賜へり、獨全能の主なればなり。
又讚頌、アナトリイの作、同調。
句 鼓と舞とを以て彼を讚め揚げよ、絃と簫とを以て彼を讚め揚げよ。
救世主よ、爾は身にて死を受けたり、我等に不死を得しめん爲なり、墓に入りたり、我等を地獄より脫れしめて、己と偕に復活せしめん爲なり、爾は人として苦を受け、神として復活し給へり。故に我等呼ぶ、生命を賜ふ主、獨人を愛する者よ、光榮は爾に歸す。
句 和聲の鈸を以て彼を讚め揚げよ、大聲の鈸を以て彼を讚め揚げよ。凡そ呼吸ある者は主を讚め揚げよ。
救世主よ、爾の十字架が髑髏の處に樹てられし時、磐は裂けたり、爾が死者として墓に藏められし時、地獄の門衞は懼れたり、蓋爾救世主よ、死の權を空しくして、爾の復活にて悉くの死者に不朽を賜へり。生命を賜ふ主よ、光榮は爾に歸す。
句 主我が神よ、起きて、爾の手を擧げよ、苦しめらるる者を永く忘るる毋れ。
ハリストス神よ、女等は爾の復活を觀んと欲せしに、先づマリヤ マグダリナ來りて、石の墓より移され、天使の坐せるに遇へり、彼女に謂ふ、爾等何ぞ生ける者を死者の中に尋ぬる、彼は神として復活し給へり、萬民を救はん爲なり。
句 主よ、我心を盡して爾を讚め揚げ、爾が悉くの奇跡を傳へん。
イウデヤ人よ、言ふべし、爾等が守らんと定めしイイススは安にか在る、爾等が墓に置きて、石に封印せし者は安にか在る、生命の主を諱みし者よ、死者を與へ、葬られし者を與へよ、或は復活せし者を信ぜよ。若し爾等主の復活に於て默さば、石は呼ばん、殊に墓より移されし者は然せん。我が救世主よ、爾の仁慈は大なる哉、爾の定制の奧義は大なる哉、光榮は爾に歸す。
光榮、早課の福音の讚頌。今も、生神女讚詞、「生神童貞女よ、爾は至りて讚美たる者なり」。大詠頌。
詠頌の後に復活の讚詞
主よ、爾は墓より復活して、地獄の鎖を壞り、死の定罪を滅し、衆人を敵の網より救へり。獨大慈憐なる者よ、爾は使徒に顯れて、彼等を傳敎に遣し、彼等に依りて爾の平安を世界に賜へり。
次ぎて聯禱及び發放詞。其後第一時課、其他常例の如し、幷に最後の發放詞。
主日の聖体礼儀に
聖體禮儀には眞福詞、第四調。
アダムは木に緣りて樂園より出され、盜賊は十字架の木に緣りて樂園に入りたり。彼は食して造物主の誡に背き、此は共に十字架に釘せられて、隱れたる神を認めて籲べり、爾の國に於て我を憶ひ給へ。
句 心の淸き者は福なり、彼等神を見んとすればなり。
十字架に擧げられて死の力を滅し、神として我等の罪の書券を抹しし獨一仁愛の主よ、我等信を以て爾に事ふる者にも盜賊の痛悔を與へ給へ、蓋我等爾に呼ぶ、ハリストス我が神よ、我等をも爾の國に於て憶ひ給へ。
句 和平を行ふ者は福なり、彼等神の子と名づけられんとすればなり。
人を愛する主よ、爾は十字架に於て戈を以て我等の罪の書券を破り、死者の中に入りて彼處の暴虐者を縛り、爾の復活を以て衆人を地獄の械繫より釋き給へり。我等是に照されて爾に呼ぶ、我等をも爾の國に於て憶ひ給へ。
句 義の爲に窘逐せらるる者は福なり、天國は彼等の者なればなり。
十字架に釘せられ、全能なるに因りて、三日目に墓より復活し、始めて造られしアダムを復活せしめし獨一不死の主よ、我をも痛悔に向はせ、心を全うして、熱き信を以て、常に爾に籲ばしめ給へ、救世主よ、爾の國に於て我を憶ひ給へ。
句 人我の爲に爾等を詬り、窘逐し、爾等の事を譌りて諸の惡しき言を言はん時は、爾等福なり。
苦に與らざる主は我等の爲に苦に與る人と爲り、甘じて十字架に釘せられて、我等を己と偕に復活せしめ給へり。故に我等は十字架と共に苦及び復活を讚榮す、此等に由りて我等は新に造られ、此等に由りて救はれて呼ぶ、我等をも爾の國に於て憶ひ給へ。
句 喜び樂しめよ、天には爾等の賞多ければなり。
我等信者は、死より復活して、地獄の權を虜にし、攜香女に現れて、慶べよと云ひし主に、我が靈を滅亡より救はんことを祈りて、善智なる盜賊の聲を以て恒に彼に籲ばん、我等をも爾の國に於て憶ひ給へ。
光榮、聖三者讚詞 我等衆信者は宜しきに合ひて同意に父、子、聖神を讚榮するを得ん爲に祈らん。惟一の神性は三位に於て混淆なく、分離なく、單一にして近づき難し、我等は彼に由りて火の苦より救はる。
今も、生神女讚詞 ハリストスよ、我等は身にて種なく爾を生みし爾の母、產の後にも實に不朽なる童貞女に止まりし者を轉達者として爾に進む。慈憐多き主宰よ、我等をも爾の國に於て憶ひ給へと常に呼ぶ者に諸罪の赦を與へ給へ。
提綱、第四調。
主よ、爾の工業は何ぞ多き、皆智慧を以て作れり。
句 我が靈よ、主を讚め揚げよ、主我が神よ、爾は至りて大なり。
「アリルイヤ」、神よ、爾の寶座は世世に在り、爾の國の權柄は正直の權柄なり。句、爾は義を愛し、不法を惡めり。
主日の晩課
「主よ、爾に籲ぶ」に痛悔の讚頌、第四調。
句 主よ、若し爾不法を糾さば、主よ、孰か能く立たん。然れども爾に赦あり、人の爾の前に敬まん爲なり。
人を愛する主よ、我が爾の前に犯しし罪は人の性に順ひて行ひし事、卽赦さるべき者には非ず、是れ人の性に違ひて行ひし事にして、赦を得べからざる者なり。然れども爾、性の則に超えて不可思議に人と爲りし我が救世主よ、智慧に超ゆる爾の仁愛に因りて、爾に趨り附く我を憐み給へ。
句 我主を望み、我が靈主を望み、我彼の言を恃む。
ハリストスよ、爾は義人の爲にあらずして罪人の爲に痛悔を定め給り。故に我は盜賊と蕩子、マナッシヤと淫婦、窘逐者、稅吏、及び爾を諱みし者の例を有ちて、望を失はず。蓋我が救世主よ、我爾の仁慈愛憐を知りて、淚を流して、爾に趨り附きて、爾が我を受けんことを確信す。
句 我が靈主を待つこと、番人の旦を待ち、番人の旦を待つより甚し。
神萬有の王よ、我今肉慾に沈みて、爾より遠ざかりたる者に傷感の心、惡に離るること、及び眞の更新を與へ給へ。全能なるイイスス、我等の靈の救主よ、爾の多くの仁慈に由りて、我望を有たざる放蕩の者を救ひ給へ。
次に、之あらば、月課經の聖人の讚頌。若し月課經なくば、聖なる無形軍の讚頌、第四調。
句 願はくはイズライリは主を恃まん、蓋憐は主にあり、大なる贖も彼にあり、彼はイズライリを其悉くの不法より贖はん。
不死なる主よ、爾は天軍を以て爾の神聖なる光の最尊き器と爲し、天使の品位を定めて、爾の寶座の前に奉事し、爾の光榮を仰ぎ、爾の言に遵ひ、爾の至聖なる旨を行ふ者と爲し給へり。
句 萬民よ、主を讚め揚げよ、萬族よ、彼を崇め讚めよ。
仁慈にして無原なる主宰よ、爾は仁慈の淵を顯さんと欲して、先づ爾の全能の指麾及び神聖なる命を以て天軍の品位を造り給へり。蓋仁慈の限なき主には其仁慈を溢れしめて、無數の者の恩賜と爲さんことは誠に宜しきに合へり。
句 蓋彼が我等に施す憐は大なり、主の眞實は永く存す。
全能者よ、六翼のセラフィム、多目のヘルワィムは最高き寶座と偕に爾を繞りて立ち、直に爾の全功の光に與り、主制、首領、權柄、差役首、差役、及び神聖なる能力は爾の光榮を崇め讚めて、我等の爲に爾に祈る。
光榮、今も、生神女讚詞 天使の品位に超ゆる純潔なる者よ、天使と偕に常に天使及び萬物を宰る主に祈りて、我等に諸罪の赦を賜ひ、我等を諸慾より脫れしめ、我等を其時に彼の光榮を歌ひ及び永福を嗣ぐに勝ふる者と爲さんことを求め給へ。
次ぎて「穩なる光」。本日の提綱。「主よ、我等を守り」。
挿句に痛悔の讚頌、第四調。
主よ、我淚を以て吾が罪の書券を滌ひ、吾が生命の餘日を痛悔を以て爾を悅ばしめんと欲したれども、敵は我を誘ひて、吾が靈を攻む、主よ、我が未だ全く亡びざる先に我を救ひ給へ。
句 天に居る者よ、我目を擧げて爾を望む。視よ、僕の目主人の手を望み、婢の目主婦の手を望むが如く、我等の目は主我が神を望みて、其我等を憐むを俟つ。
主よ、誰か颶風に遭ひて、爾の停泊に著きて救を獲ざらん、或は誰か病に遇ひて、爾萬有の造成主及び病む者の醫師の治療を求めて愈ゆるを得ざらん、主よ、我が未だ全く亡びざる先に我を救ひ給へ。
句 主よ、我等を憐み、我等を憐み給へ、蓋我等は侮に饜き足れり。我等の靈は驕る者の辱と誇る者の侮とに饜き足れり。
爾の諸聖人の記憶に於て榮せらるるハリストス神よ、彼等の祈禱を納れて、我等に大なる憐を垂れ給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 光の雲よ、慶べ、光明なる燈よ、慶べ、「マンナ」を納るる壺よ、慶べ、アアロンの杖よ、慶べ、焚かれぬ棘よ、慶べ、宮殿よ、慶べ、寶座よ、慶べ、聖なる山よ、慶べ、避所よ、慶ぺ、神聖なる筵よ、慶べ、奧密の門よ、慶べ、衆の歡喜よ、慶べ。
次ぎて「主宰よ、今爾の言に循ひて」。聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞、聯禱、及び發放詞。
主日の晩堂課
至聖なる生神女の規程、第四調。
第一歌頌
イルモス 古のイズライリは足を濡らさずして海の紅の淵を渡り、野に於てモイセイの十字形の手にてアマリクの力に勝てり。
神を身にて生みし至淨なる女宰よ、我が靈より奉る禱を納れ給へ、我爾の有能なる援助に趨り附きたればなり、願はくは我が冀望は空しくならざらん。
至淨なる神の母よ、我忠信に爾に俯伏す、多くの勇敢を有つに因りて、爾の子の前に轉達して、爾の祈禱を以て我を諸の憂より脫れしめ給へ。
光榮 我生命の海の浪に溺らされ、烈しき危難に圍まれて、穩なる停泊たる爾の帲幪に趨り附きたり、故に生神女よ、我を諸難より救ひ給へ。
今も 仁慈純潔なる童貞女よ、愛憐にして溫柔なる目を以て爾の僕を見、速に爾の僕の禱を聆き、之を應へて、仇敵の惡謀を破り給へ。
第三歌頌
イルモス ハリストスよ、爾の敎會は爾の爲に樂しみて呼ぶ、主よ、爾は我が能力と避所と堡障なり。
女宰よ、爾は信者の爲に敵に對しては扶助者、戰に於ては保護者、悲哀に在る者には避所なり。
爾が身にて生みし萬有の神に、其爾の子なるに因りて、度生の誘惑に因る吾が惡事より我を釋かんことを祈り給へ。
光榮 女宰よ、慈憐を以て我等の卑微なるを顧みて、爾の諸僕に迫る怒より脫れしめ給へ。
今も 仁慈なる女宰よ、我等常に爾の帲幪の下に諸の憂より救はれて、爾の子に讚美を奉る。
第四歌頌
イルモス 主よ、我爾の風聲を聞きて懼れたり、爾の作爲を悟りて驚けり。
潔き神の母よ、爾の子の前に勇敢を有つに因りて、我を現在の誘惑より護りて、常に我と戰ふ諸敵の謀を破り給へ。
天上の品位、諸致命者、及び諸義人は使徒等と偕に、神聖なる預言者、及び克肖者の會は生神女母と偕に我等の爲にハリストスに祈り給へ。
光榮 ハリストスよ、世界の爲に祈る爾の至榮なる母を納れ給へ、彼は慈憐を抱きて爾に呼ぶ、吾が子よ、我の祈禱を納れて、地に迫る怒を鎭め給へ。
今も 生神女よ、我爾の前に俯伏して、吾が心の深處より祈る、我を現在の誘惑より護り給へ、我が罪惡より救はれて、歌を爾の光明に奉らん爲なり。
第五歌頌
イルモス ハリストスよ、不虔の者は爾の光榮を見ざらん、惟我等は夜より寤めて、爾神の獨生子、父の光榮の輝煌、人を愛する主を崇め歌ふ。
地上の者の倚賴及び守護なる潔き童貞女よ、祈る、我等卑微なる者を憐みて、現在の怒より脫れしめ給へ。
潔き者よ、我等は爾の祈禱を壞られぬ墻として有ちて爾に呼ぶ、鳴呼女宰よ、我等に慈憐を垂れて、諸敵を逐ひ給へ。
光榮 至淨なる者よ、我等は淚と共に祈りて、爾の仁慈に伏拜す、願はくは我等常に爾を賴むを以て誇る者は耻を得ざらん。
今も 至りて讚美たる者よ、爾の至淨なる手を以て我等を攻むる敵を逐ひ給へ、不當なる彼等が我等の倚賴を爾に負はせしを知らん爲なり。
第六歌頌
イルモス 三日の葬を預象する預言者イオナは鯨の中に在りて祈りて籲べり、イイスス萬軍の王よ、我を淪滅より救ひ給へ。
人を愛する主よ、祈る、種なく爾を生みし者の祈禱に由りて我等の罪を潔め給へ、言よ、爾は我等の爲に爾の尊き血を流したればなり。
凶惡なる敵は集まりて、非義に我等を攻む。神の聘女よ、昔魔術者シモンを斃しし如く、彼等を斃し給へ。
光榮 女宰よ、祈る、我等の祈禱を聆きて、諸敵が集まりて我等に及ぼす諸の苦難の暴浪を鎭め給へ。
今も ガリレヤのカナに於て水を酒に變ぜしハリストスよ、宏恩なる主として、生神女に因りて我に慈憐を垂れて、我が悲を喜に易へ、歎を樂に變じ給へ。
次ぎて主憐めよ、三次。光榮、今も、
坐誦讚詞、第四調。
生神女よ、我放蕩にして多くの罪を以て智慧を昧ましし者は爾の堅固なる保護に呼ぶ、潔き神の母よ、我が靈の眸子を照し、我に痛悔の曙光を輝し、我に光明の甲を衣せ給へ。
第七歌頌
イルモス 主我が先祖の神、世世に崇め歌はるる者よ、爾の名に緣りて、終に至るまで我等を棄つる毋れ、爾の約を破る毋れ、爾の慈憐を我等より離す毋れ。
潔き者よ、我今種種の災禍及び憂患の中に在りて、爾我が救なる者に趨り附きて呼ぶ、願はくは我が倚賴に於て我辱しめられて還らざらん、爾我に聆きて、執ふる者の網より我を脫れしめ給へ。
我不當の者は膝を屈め、手を伸べ、謙りて首を垂れて、吾が心より呼びて、爾至淨なる童貞女に祈る、敵の惡謀に因りて常に我に逼る憂患より我を脫れしめ給へ。
光榮 至榮なる潔きマリヤ、地上の者の譽よ、求む、我等敬虔の心を抱きて爾の產に祈りて伏拜する者に爾の助を與へ給へ、我等は爾の外に他の冀望及び保護者を獲ざればなり。
今も 智慧に超え、凡の性に超えて神を生みし夫を識らざるマリヤ、信者の轉達者よ、爾を尊む者を諸の誘惑より潔淨に守りて、見ゆると見えざる諸敵の害より脫れしめ給へ。
第八歌頌
イルモス ダニイルは獅子穴に在りて手を伸べて、獅子の口を閉し、敬虔の篤き少者は德を帶び、火の力を滅して呼べり、主の悉くの造物は主を崇め讚めよ。
潔き者よ、我は手を擧げて爾の子に向ふを得ず、全く汚されたればなり、故に女宰よ、熱心に爾に趨り附く、仁慈寬容なる神に轉達して、我等を侵す諸敵より脫れしめんことを祈り給へ。
至淨なる者よ、我目と心と靈とを爾に向はしめたり、潔き女宰よ、慈憐を以て我不當なる者の爲に宏恩の主に轉達して、我を凡の危難、患難、憂愁より救はんことを祈り給へ。
光榮 主宰よ、爾の武器を以て有能の主として我等と戰ふ者を斃して、信を以て爾を賴む者に勝利を與へ給へ、生神女は授洗イオアンと偕に、及び爾の使徒と致命者との會は爾に祈る。
今も 潔き童貞女よ、ガウリイルは嘗て福音の欣慶を爾に攜へしに、原母の歎は爾の產に因りて滅されたり。祈る、爾親ら吾が靈の憂悶をも解きて、爾の祈禱を以て我を耻を得ざる者と爲し給へ。
第九歌頌
イルモス 童貞女よ、手にて斫られざる隅石ハリストスは、爾斫られざる山より斫り分けられて、離れたる性を合せ給へり。故に我等樂しみて、爾生神女を崇め歌ふ。
生神童貞女よ、速に爾の助を顯し給へ。慈憐を以て爾の耳を傾けて、熱心に呼ぶ者に聆きて、爾の祈禱を以て我等を諸の苦難より脫れしめ給へ。
我全く怠惰に耽りたる者は我が罪の深處に在りて望を失ふ。故に童貞女母よ、ハリストスのペトルに於けるが如く、手を我に伸べて、我を罪の深處より引き出し給へ。
光榮 童貞女よ、檢束なき驕れる舌、矢の如く磨がれて我を害して殺さんと欲する者を制して、敵の惡謀を空しくなし給へ。
今も 至上の神の母よ、我等を攻むる諸敵の謀を悉く破りて、爾を賴む者を喜に充て給へ、我等皆熱心に爾の守護を傳へん爲なり。
次ぎて「常に福にして」、及び叩拜。聖三祝文。「天に在す」の後に諸讚詞。其他常例の如し、幷に發放詞。
月曜日
月曜日の早課
第一の誦文の後に痛悔の坐誦讚詞、第四調。
主よ、我が卑微なる靈、罪中に一生を費しし者を顧みて、我を罪女の如く納れて、救ひ給へ。
句 主よ、爾の憤を以て我を責むる毋れ、爾の怒を以て我を罰する毋れ。
我現在の生命の海を渡りて、我が多くの惡の淵を思ひ、靈の嚮導師を有たずして、ペトルの聲を以て爾に呼ぶ、ハリストスよ、我を救へ、神よ、我を救ひ給へ、爾は人を愛する主なればなり。
光榮、今も、生神女讚詞 生神童貞女よ、爾は我等ハリスティアニンの爲に破られぬ墻なり、蓋我等は爾に趨り附きて害なくして止まり、復罪を犯せば爾を祈禱者として有つ。故に感謝の心を抱きて爾に呼ぶ、恩寵を蒙れる者よ、慶べ、主は爾と偕にす。
第二の誦文の後に坐誦讚詞、第四調。
願はくは我等皆速にハリストスと偕に其婚筵の宮に入りて、ハリストス我が神の神聖なる聲を聞かん、天の光榮を愛する者は來りて、信を以て己の燈を燃して、智なる處女と偕に之を受けよ。
句 主よ、爾の憤を以て我を責むる毋れ、爾の怒を以て我を罰する毋れ。
ハリストス我が神よ、我は多くの吾が罪に擬定せられ、苦の恐懼に擾されて、中心より爾生と死との權を有つ主に痛悔の淚を奉り、傷感の心を抱きて爾に呼ぶ、主よ、我罪を犯せり、我を救ひ給へ。
句 神よ、爾は爾の聖所に於て嚴なり。
今日天使の軍は受難者の記憶に於て來りて、信者の意念を照し、恩寵を以て世界を輝す。神よ、彼等の祈禱に由りて我等に大なる憐を賜へ。
光榮、今も、生神女讚詞 天使より言を爾の胎内に受けし童貞女、身を取りたるハリストス神エムマヌイルを生みし生神女よ、我等の靈の爲に祈り給へ。
第三の誦文の後に坐誦讚詞、第四調。
至りて神聖なる三者よ、無形體の者の品位は無形の口を以て絕えず爾を歌ひ、畏を以て爾の前に立ちて呼ぶ、聖なる哉三位の神性よと。獨人を愛する主よ、彼等の祈禱に由りて爾の手の造物を憐み給へ。
主宰よ、天使の品位は畏を以て爾の寶座の前に立ちて、彼處より出づる光に常に照されて、默さずして爾に凱旋の歌を奉る。主よ、彼等の聖なる祈禱に因りて、世界に平安、我等に諸罪の赦を與へ給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 永在の神を生みし純潔なる童貞女、獨至りて讚美たる者よ、無形の者と偕に常に彼に祈りて、信と愛とを以て宜しきに合ひて爾を歌ふ我等に終に至らざる先に罪の赦及び生命の更新を賜はんことを求め給へ。
痛悔の規程、我が主イイススハリストス及び其聖なる致命者に奉る。其冠詞は、救世主よ、昔の蕩子の如く我を救ひ給へ。第四調。
第一歌頌
イルモス 童貞女より生れし主よ、祈る、强き軍たる我が靈の諸慾を無慾の深處に沈め給へ、我が鼓を以てするが如く、肉情を殺すに由りて凱歌を爾に歌はん爲なり。
我が救世主イイスス、蕩子を救ひ、罪女の淚を受け、歎息せし稅吏を直に義と爲しし主よ、我無量の罪を犯して爾に轉ずる者をも受けて、救ひ給へ。
惡の火は我が靈を焚くべき物の如く囓みて、將來の焰の備と爲す、仁愛にして恒忍なる主よ、爾の慈憐を灌ぐを以て之を滅して、我に痛悔の淚を與へ給へ。
致命者讚詞 多くの智慧に滿たされたる聖なる受難者の會は凡の不法者の無智なる慫慂と理に戾る命とを斥けて、神聖なる尊敬を獲たり。
致命者讚詞 信に依りて世上の榮華を輕じて、天上の生命を嗣ぎたる睿智にして讚美たる受難者よ、忠信に爾等を讚頌する我を世俗の諸の誘惑より脫れしめ給へ。
生神女讚詞 至淨なる童貞女、光榮の日の至りて明なる燈よ、憂悶に因りて滅されたる吾が靈の火を燃して、常に神聖なる行の油を以て之を養ひ給へ、我が信と愛とを以て爾を讚榮せん爲なり。
又聖なる無形天軍の規程、第四調。
第一歌頌
イルモス同上
潔き智慧として、大なる元始の智慧の前に立ち、神聖なる光に饜かせられ、萬有の原因たる言を歌ふ至榮なる諸天使よ、爾等の光線を以て我を照し給へ。二次。
愛を以て專ら神に屬し、神聖なる華美に飾られたる光榮なる天使首よ、爾等は常に造成主の寶座の周邉に立ちて、凱旋の歌を奉る。
生神女讚詞 天軍の常に讚榮する言を腹に受けし獨純潔なる者よ、吾が靈を輝し、罪惡の暗き思を散じて、爾の產を悟る智識を以て照し給へ。
第三歌頌
イルモス 爾は凡の首領より上なる者にして、甘じて高きより地に降りて、謙卑なる人の性を最下なる地獄より升せ給へり、人を愛する主よ、爾の外に聖なる者なければなり。
諸慾の暗は我が生を夜の如く圍めり、暮れざる光たるハリストス神よ、人を愛する主なるに因りて、痛悔の光線を以て我を照して救ひ給へ、我が爾を讚榮せん爲なり。
ハリストス救世主よ、淚と惠施とを以て我を潔めて、選ばれたる者の分の嗣業と爲し、之に反する者の分を免れしめ給へ、我が常に爾を讚美讚榮せん爲なり。
致命者讚詞 神聖なる軍の對話者たる致命者よ、爾等の足は血に染められて、地を其罪と共に遺して、最速に天に走れり。
致命者讚詞 ハリストスの受難者よ、苦に由りて弱りたる爾等の體は解かれたり、靈は益力を獲て、愛を以て解かるるなくして、己の旨を以て萬有を造りし主に繫がれたり。
生神女讚詞 主を生みて萬有の女宰と爲りしマリヤよ、慾に縛られ、惡に昧まされたる我が智慧を釋きて照し給へ。
又 イルモス同上
天上の品位に讚頌せらるるハリストス言よ、信者の會に彼等の美しきに效ひて、正しき心を以て爾を讚頌せしめ給へ、人を愛する主よ、爾の外に聖なる者なければなり。二次。
神聖なる天使首よ、爾等は熱切なる愛を以て愛の原因に親しく與り、役者として其前に立ちて、默さずして無原なる神の惟一の性を歌ふ。
生神女讚詞 萬有に祝福を被らするハリストスを生みし潔き母よ、爾は古のエワの詛を解き給へり、至淨なる者よ、爾と侔しき扶助者なければなり。
第四歌頌
イルモス 光榮の中に神性の寶座に坐するイイスス神は、輕き雲に乘るが如く、朽ちざる手に抱かれ來りて、ハリストスよ、光榮は爾の力に歸すと呼ぶ者を救ひ給へり。
主よ、我今爾至りて義なる審判者の前に俯伏す、定罪せられて望を失ひし我を憐み、爾の義なる審定より脫れしめて、選ばれたる者と偕に立つを得しめ給へ。
人を愛する主ハリストスよ、殘忍なる盜賊に遇ひて傷つけられし我に痛悔の酒と油とを沃ぎ、我を醫して、救の衣を衣せ給へ。
致命者讚詞 至りて讚美たる致命者よ、爾等は肉體の衣を褫がれて、上より救の衣裳を衣せられ、先に原祖を裸體にせし者を裸體にして、氣息なき死者と爲せり。
致命者讚詞 神の言の虔誠なる智識に飾られたる致命者は不法者の前に辯を奮ひて、不虔なる智者及び辯者を悉く辱しめて、惡敵を殺せり。
生神女讚詞 神の母童貞女よ、睿智の淵たるイイススは獨爾を至淨なる者と見て、雨の如く爾に降りて、神聖なる恩寵を以て不虔の激しき流を塞ぎ給へり。
又 イルモス同上
永在なる神の言よ、爾は曉り難き力を以て天の靈智者を無より有と爲し、言ひ難き爾の光榮を以て彼等を飾りて呼ばしむ、ハリストスよ、光榮は爾の力に歸す。
聖神の權能に掌られ、其神聖なる光に輝かさるる天上の軍は奪はれざる尊位を嗣ぎて、萬有の惟一なる原因及び神を讚榮す。
爾の光の役者は爾の顏の言ひ難き華美を見るを得、是より明覺を受けて、爾に呼ぶ、ハリストスよ、光榮は爾の力に歸す。
生神女讚詞 女王・童貞女は金繍の衣に飾られて、諸天使に竝なく上なる者として、今子たる王の前に立ちて呼ぶ、ハリストスよ、光榮は爾の力に歸す。
第五歌頌
イルモス 神は預言して云へり、我今起き、今光榮を獲、今高く擧がりて、童貞女より受けたる陷りし者を我が神性の靈智なる光に擧げん。
嗚呼如何に我定罪せらるべき者は爾審判者、萬有の神の前に立たん、如何に我全く己を不當に爲しし者は無智にして自由に犯しし悉くの惡事の爲に責められん。
主よ、我を救ひ給へ、我多くの惡に滿ちたればなり。祈る、我が罪及び甚しき創傷を醫し給へ、我がイイススよ、我多く爾の前に罪を犯しし者を獨遺して滅亾に委ぬる毋れ。
致命者讚詞 受難者よ、爾等は福たる終に遇ひて、光榮を獲たり。蓋勇ましく創傷と諸の苦とに與らんことを決心して、己の百體を以て受難者の首たるハリストスを榮せり。
致命者讚詞 福たるハリストスの受難者よ、爾等は神聖なる美しき度生を以て天の富、凋まざる榮冠、暮れざる光、及び手にて造られぬ永遠に古びざる居處を嗣ぎたり。
生神女讚詞 至淨なる者よ、預言者の聲は爾の奇跡を預言して、爾を山と門、及び光明なる燈と名づけたり、是より實に奇異なる光は出でて、全世界を照す。
又 イルモス同上
ヘルワィムとセラフィムは寶座と偕に、神聖なる差役首と主制、能力と首領と權柄は差役と偕に、戰きて最尊き惟一なる三位の神性を讚榮す。二次。
ハリストスよ、輝ける天使等は現れて、爾の復活を世界に克肖なる女等に傳へ、爾の神性の光を以て爾の諸敵を戰かす。
生神女讚詞 童貞女より言ひ難く生れて、人人を朽壞より救ふ主よ、今眞正なる聲を以て爾を讚榮する爾の敎會を天使首の軍を以て護り給へ。
第六歌頌
イルモス 我海の深處に至り、多くの罪の暴風は我を沈めたり、慈憐の主よ、神なるに因りて、我が生命を深處より引き上げ給へ。
我不當の者は死者の如く悟らず、感覺せず、常に汚れたる心を有つ、神我が造成主よ、終に至るまで我を滅兦に委ぬる毋れ。
慈憐なる主よ、我が行は敵の如く爾の審判に於て我を訟へんと欲す、ハリストスよ、速に我を之より脫れしめて、痛悔に導き給へ。
致命者讚詞 不法者の會は受難者の骨を折きたれども、彼等の信を折かざりき、彼等は此に因りて神吾が靈の救主の嗣と現れたり。
致命者讚詞 受難者は尊き石として神智を以て冀望の動かざる石に立てられ、聖神の殿として神の殿に入れられたり。
生神女讚詞 日たるハリストスを生みし神の聘女よ、罪の暗き感觸に由りて昧みたる我が心を爾の内に在る光を以て照し給へ。
又 イルモス同上
主宰の周圍に立ちて、潔淨に原始の光の輝煌を樂しめる天使の軍よ、信を以て爾等を歌ふ者を照し給へ。二次。
爾の睿智を以て諸天使を造りし主よ、爾は主宰として彼等の品位を定めて、讚頌を以て爾を讚榮する主制、能力、セラフィム等を現し給へり。
生神女讚詞 神聖なる慮を以て萬物を護り給ふ主宰ハリストスよ、爾は最高き寶座に息ふが如く、童貞女の手に息ひ給へり。
第七歌頌
イルモス 三人の少者はワワィロンに於て窘逐者の命令を空言と爲して、焰の中に呼べり、主我が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
哀しい哉吾が不當なる靈よ、爾不當なる事を愛し、善なる事を求めざる者を我誰にか譬へん、故に終に至らざる先に務めて善良なる行を示せ。
ハリストスよ、我に淚の雨を與へて、我を甚しき罪惡より滌ひ給へ。救世主よ、我人に超えて多く爾の前に罪を犯しし者を今滅亡の爲に遺す毋れ。
致命者讚詞 光榮なる受難者よ、爾等は己の身に殺されし言の死の狀を佩びて、迷を殺せり。爾等は死して後生き、慾に由りて殺されたる者を活かし給ふ。
致命者讚詞 光榮なる致命者よ、何の處か今爾等を光照者として有たざる、何の地か爾等の苦難及び醫治の流にて聖にせられざる。
生神女讚詞 女宰よ、爾は獨產の後に童貞の德にて耀く者と止まり、獨母の產苦を免れたり、爾は獨神我が靈の贖罪主を生みたればなり。
又 イルモス同上
吾が靈よ、行ひし事の證者として無形なる天使等を有ちて、淨き度生を選びて呼ばん、主我が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。二次。
熾炭にて潔められし神聖なるイサイヤは爾の寶座の前に立てるセラフィム等を見て呼ぶ、主我が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
生神女讚詞 童貞女よ、爾は明に悉くの無形の品位に超ゆ、造成者及び主を生みたればなり、至淨なる者よ、爾の腹の果は祝福せられたり。
第八歌頌
イルモス 衆人の贖罪主全能者よ、爾は降りて、焰の中に敬虔を守りし者に露を注ぎて、歌はしめ給へり、悉くの造物は主を歌ひて崇め讚めよ。
我諸慾に服して無知なる禽獸に似たる者と爲れり。無原なる神の言よ、我を還して救ひ給へ、蓋我呼ぶ、主の悉くの造物は主を崇め讚めよ。
救世主よ、我神゜にて造られし葡萄なる者を林の豕は掘り、野の獸は食みたり。言よ、我を此等より脫れしめて、德の實を爾に捧ぐる者と爲し給へ。
致命者讚詞 致命者よ、血の綾羅は神の織りたる爾等の紫袞衣を蔽へり、爾等は之に妝はれ、勝利の榮冠を冠りて、最高きに永遠の王の前に立ち給ふ。
致命者讚詞 致命者の聖せられし會は法に違ふを命ずる聖にせられざる會を破り、法に遵ひて苦を受けて、法に合ひて萬有の主宰より榮冠を獲たり。
生神女讚詞 獨恩寵を滿被する者よ、萬物は爾の產を祝讚す、此に緣りて我等は祝福を蒙り、詛より脫れたればなり。至りて讚美たる者よ、爾は我が族に宏恩を施しし者なり。
又 イルモス同上
不死の生命たる主よ、爾は諸天使を造りて、彼等を不死の生命に與る者と爲して、歌はしめ給ふ、造物は主を歌ひて崇め讚めよ。二次。
天使首は無形に爾を繞りて立ち、絕えざる聲を以て爾を歌頌し、神に合ふが如く爾を萬有の主宰として讚榮して呼ぶ、造物は主を歌ひて崇め讚めよ
生神女讚詞 至福なる者よ、律法の預象は爾神聖なる性の無形にして形體に合せられし神を生みたる者を形れり。童貞女よ、我等は爾の產を祝讚す。
次ぎて生神女の歌詠を歌ふ、「我が靈は主を崇め」。
第九歌頌
イルモス エワは不順を病みて、詛を入れたり、爾は、童貞生神女よ、己の產にて世界の爲に祝福の華を發けり。故に我等皆爾を崇め讚む。
視よ、痛悔の時なり、我等何ぞ怠れる、何ぞ眠に沈める、煩悶は退くべし、錄せる如く、我等慈惠の油を以て燈を妝ふべし、泣きて門の外に留まらざらん爲なり。
吾が靈よ、痛悔する時のある間に、爾が知ると知らずして行ひし諸惡より轉じて、知らざる所なき主に呼べ、我爾の前に罪を獲たり、主宰よ、赦し給へ、我不當の者を諱む勿れ。
致命者讚詞 ハリストスは聖なる受難者を諸の地及び城邑より光榮なる處、尊き安息處に集め給へり、彼等は今冢子の敎會の中に輝きて樂しむ。
致命者讚詞 獨慈憐多き主よ、爾の尊貴なる致命者の尊き柩は聖神の光線に照され、至榮に醫治の光を放ちて、諸病を退く。
生神女讚詞 神の聘女よ、爾の内に在る光の光線を以て吾が靈を照し、滅亾の穽に伏す者を起して、常に我が心を攻めて、諸慾に誘ふ惡敵を破り給へ。
又
イルモス 至淨なる童貞女よ、神の言ひ難き祕密は明に爾に於て行はる、蓋神は慈憐に由りて爾より身を取りて生れ給へり。故に我等爾を生神女として崇め讚む。
智慧たる父、言たる子、及び聖神を歌ふ諸天使よ、今熱切に我等の爲に神聖なる恩寵の賜を求めて、務めて之を我等に施し給へ。二次。
ハリストスよ、不朽の賜と恩寵とに美しく飾られたる神聖なる天使首は爾不朽の永在なる泉を歌ひて、恩主として崇め讚む。
生神女讚詞 神の母よ、我等信者は爾を言ひ難き產の殿、活ける宮、恩寵の法の匱として知る、故に絕えず爾を崇め讚む。
次ぎて「常に福にして」。躬拜。聯禱、光耀歌、及び常例の聖詠。
挿句に痛悔の讚頌、第四調。
救世主よ、我が淚にて我を滌ひ給へ、我多くの罪に由りて汚されたればなり。故に爾の前に俯伏す、神よ、我罪を犯せり、我を憐み給へ。
句 主よ、夙に爾の憐を以て我等に飽かしめよ、然せば我等生涯歡び樂しまん。爾我等を撲ちし日、我等が禍に遭ひし年に代へて、我等を樂しましめ給へ。願はくは爾の工作は爾の諸僕に著れ、爾の光榮は其諸子に著れん。
我は爾の靈智なる群の羊にして、爾善き牧者に趨り附く。神よ、我迷ひし者を尋ね獲て、我を憐み給へ。
句 願はくは主吾が神の惠は我等に在らん、願はくは我が手の工作を我等に助け給へ、我が手の工作を助け給へ。
致命者讚詞 聖なる致命者よ、誰か爾等が戰ひし善き戰を見て驚かざらん、如何ぞ肉體に在りて、ハリストスを承認し、十字架を武器として、肉體なき敵に勝ちたる。故に爾等は宜しきに合ひて惡鬼を逐ふ者、諸敵を退くる者と顯れて、常に我等の靈の救はれんことを祈り給ふ。
光榮、今も、生神女讚詞 生神女、萬有の女王、正敎の者の譽よ、異端者の驕を破り、其面を辱しめ給へ、彼等は爾至淨なる者を拜まず、爾の尊き聖像を敬はざればなり。
次ぎて「至上者よ、主を讚榮し」。聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞。及び聯禱。次に第一時課、常例の聖詠、其他、幷に發放詞。
月曜日の聖体礼儀に
月曜日の眞福詞、第四調。
アダムは木に緣りて樂園より出され、盜賊は十字架の木に緣りて樂園に入りたり。彼は食して造物主の誡に背き、此は共に十字架に釘せられて、隱れたる神を認めて籲べり、爾の國に於て我を憶ひ給へ。
句 義の爲に窘逐せらるる者は福なり、天國は彼等の有なればなり。
我衆人に超えて地上に罪を犯して、彼處の偏頗なき審判を畏る。至仁なる主よ、我に凡の汚を滌ふ痛悔を與へて、彼の時に定罪なき者と爲して、苦を免れしめ給へ、爾は人を愛する主なればなり。
句 人我の爲に爾等を詬り、窘逐し、爾等の事を譌りて諸の惡しき言を言はん時は、爾等福なり。
ヘルワィムとセラフィム、權柄と寶座、差役首と主制、能力と聖なる差役、及び最高き首領よ、今萬有の主宰の前に立ちて、凡そ信を以て我等を爾の國に於て憶ひ給へと呼ぶ者の爲に諸罪の赦と生命の更新とを求め給へ。
句 喜び樂しめよ、天には爾等の賞多ければなり。
至りて讚美たるハリストスの受難者よ、爾等は火に投ぜられて、迷の枯草を焚き、爾等の血の多きを以て深處の蛇を溺らし、勝利を得て、天軍と偕に喜びて、熱切に我等の救はれんことを祈り給ふ。
光榮 三日の光、世界の完備の中に輝く者よ、吾が靈の甚しき諸慾を拂ひて、我に光照と諸罪の潔淨とを降し給へ。蓋我今信を以て爾無原なる父、同寶座の子、及び聖神に呼ぶ、聖三者、全功の能力よ、我等を救ひ給へ。
今も 潔き者よ、我常に罪を犯し、甚しく怠れる者を憐みて、我に痛悔の範を示し、我が悶ゆる靈に傷感を與へ給へ。蓋爾は、至淨なる者よ、愛を以て爾を歌ひ、信を以て爾に、讚美たる童貞女よ、我等をも憶ひ給へと呼ぶ者の耻を得ざる倚賴なり。
月曜日の晩課
「主よ、爾に籲ぶ」に痛悔の讚頌、第四調。
句 主よ、若し爾不法を糾さば、主よ、孰か能く立たん。然れども爾に赦あり、人の爾の前に敬まん爲なり。
靈よ、ハナアンの婦に效ひて、後よりハリストスに捫りて、屢呼べ、嗚呼主宰ハリストス、慈憐の多き恩主よ、我を憐み給へ、我は子として、魔鬼に慿らるる放恣なる肉體を有つ、祈る、是より熱情を拂ひ、放恣なる遊佚を止めて、爾に於ける畏を以て之を死者と爲し給へ、至りて潔く孕みて爾を生みし者及び諸聖人の祈禱に由りてなり。
句 我主を望み、我が靈主を望み、我彼の言を恃む。
ハリストスよ、爾は昔罪を犯ししニネワィヤ人にイオナを遣して宣敎せしめしに、彼等は痛悔して、忿恚を寬容に變じ、滅を致す怒を免れたり。人を愛する主よ、我不當なる者にも爾の有能なる援助を遣し給へ、我が無數の罪過より轉じて、痛悔の途に向はしめられ、痛く歎き泣きて、爾の慈憐に因りて我が多くの罪より救はれん爲なり。
句 我が靈主を待つこと、番人の旦を待ち、番人の旦を待つより甚し。
罪を犯す人人を痛悔に召して、彼等を救はん爲に世界に來りし宏恩なる我が救主よ、我衆人に超えて爾を怒らしし者を爾の慈憐を以て憐みて救ひ給へ。仁慈なる主として我を痛悔の途に向はしめ、我に傷感の念を與へ、我が心を謙遜と、溫柔と、正直と、順良とに堅め給へ、爾は至りて人を愛する主なればなり。
又聖大前驅イオアンの讚頌、第四調。
句 願はくはイズライリは主を恃まん、蓋憐は主にあり、大なる贖も彼にあり、彼はイズライリを其悉くの不法より贖はん。
婦の生みし者の中衆に超ゆる前驅よ、主の前に勇敢を有ちて、彼に信を以て爾に祈る者の爲に絕えず轉達して、我等に反正と痛悔とを賜はんことを求め給へ、我等が救はれて、常に爾を歌頌せん爲なり。
句 萬民よ、主を讚め揚げよ、萬族よ、彼を崇め讚めよ。
母の胎内より預言者と名づけられ、其腹より主の降臨の傳道師、前驅、及び使徒と名づけられし者よ、有力なる軍士として、我惡鬼に服し、罪の奴隷と爲りし者を此等より脫れしめ給へ、我が爾の速なる保護を傳へん爲なり。
句 蓋彼が我等に施す憐は大なり、主の眞實は永く存す。
福たるハリストスの授洗者、聖神の箕たる者よ、糠の如き風習を我が心より拂ひ、神聖なる行爲を我より聚めて、麥の如く神の倉に斂め給へ、我が爾の轉達に緣りて主宰を悅ばしむる備と爲らん爲なり。
光榮、今も、生神女讚詞 純潔なる少女よ、我に中心よりの淚、内情よりの歎息、靈の傷感、度生の中に行ひし諸罪の痛告を予へ給へ、我が爾の助に因りて痛悔の中に生を送りて、赦を得ん爲なり。
次ぎて「穩なる光」。本日の提綱。「主よ、我等を守り」。
挿句に痛悔の讚頌、第四調。
主よ、我淚を以て吾が罪の書券を滌ひ、吾が生命の餘日の痛悔を以て爾を悅ばしめんと欲したれども、敵は我を誘ひて、吾が靈を攻む、主よ、我が未だ全く亡びざる先に我を救ひ給へ。
句 天に居る者よ、我目を擧げて爾を望む。視よ、僕の目主人の手を望み、婢の目主婦の手を望むが如く、我等の目は主我が神を望みて、其我等を憐むを俟つ。
主よ、誰か颶風に遭ひて、爾の停泊に著きて救を獲ざらん、或は誰か病に遇ひて、爾萬有の造成主及び病む者の醫師の治療を求めて愈ゆるを得ざらん、主よ、我が未だ全く亡びざる先に我を救ひ給へ。
句 主よ、我等を憐み、我等を憐み給へ、蓋我等は侮に饜き足れり。我等の靈は驕る者の辱と誇る者の侮とに饜き足れり。
聖なる致命者の忍耐を受けし仁愛の主よ、我等よりも歌詠を受けて、彼等の祈禱に因りて我等に大なる憐を與へ給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 ハリストス神の母、萬有の造成主を生みし者よ、我が危難より我等を救ひ給へ、我等皆爾に呼ばん爲なり、吾が靈の惟一の轉達よ、慶べ。
次ぎて「主宰よ、今爾の言に循ひて」。聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞、聯禱、及び發放詞。
月曜日の晩堂課
至聖なる生神女の規程、第四調。
第一歌頌
イルモス 古のイズライリは足を濡らさずして海の紅の淵を渡り、野に於てモイセイの十字形の手にてアマリクの力に勝てり。
獨爾の帲幪の下に熱心に趨り附く者を患難憂愁より保護する至淨なる童貞女よ、至仁なる者として、中心より捧ぐる我等の禱を納れ給へ。
神人の母よ、我不當の者は爾を穩なる港として獲て、危難葘害の暴浪を脫れて、感謝の歌を爾に奉る。
光榮 神の母よ、慈憐にして溫柔なる爾の目を以て我が災禍及び憂患に圍まるるを見て、速に我を解き給へ、我爾を援助として呼べばなり。
今も 潔き者よ、エワ及びアダムは爾に由りて定罪を免れたり、彼等と偕に我も爾の前に俯伏す、我が悲の淚を今喜に易へて、我を患難より釋き給へ。
第三歌頌
イルモス 强き者の弓は弱み、弱れる者は力を帶びたり、故に我が心は主の中に堅められたり。
婚姻に與らざる生神女よ、我爾を堅固なる武器及び垣墻として獲て、敵の軍に勝ちて、爾の偉大なるを歌ふ。
生神童貞女、我等の倚賴よ、爾は悲哀の爐を毁ち、失望の熱を滅し給ふ、孰か爾の如く斯く之を能する。
光榮 神の母よ、爾の佑助を乞ふ爾の僕の聲を納れ給へ。我が倚賴よ、我に聆きて、速に我を救ひ給へ。
今も 潔き者よ、我を顧みて救ひ給へ、蓋爾は神聖なる指麾を以て萬有を司る神の言を、言及び智慧に超えて、肉體を取りし者として生み給へり。
第四歌頌
イルモス 敎會は爾義の日が十字架に擧げられしを見て、竝び立ちて正しく呼べり、主よ、光榮は爾の力に歸す。
女宰よ、徒に我の敵と爲りて、我が靈を滅さんと謀る者に勝ちて、我を惡謀に惱まされぬ者として護り給へ、我が喜びて爾を讚榮せん爲なり。
我が仁慈なる保護者よ、我を欺騙の舌より脫れしめて、度生の行の汚されぬ者と顯し給へ、爾は造物主の母として能する所多ければなり。
光榮 我病める者は爾を善く醫す醫師と知りて、心と口とを以て呼ぶ、女宰よ、我を醫し、憐みて救ひ給へ、我爾の僕は爾に趨り附けばなり。
今も 童貞女マリヤよ、我等皆爾を諸天使及び人人の譽として讚め歌ひて、信を以て祈る、女宰よ、我等が凡の憂患より脫るるを得んことを祈り給へ。
第五歌頌
イルモス 我が主よ、爾は光、信じて爾を崇め歌ふ者を闇き無智より引き出す聖なる光にして、世界に來り給へり。
潔き者よ、爾の僕の祈禱を主爾の子に向はしめ給へ、我が多くの罪過の赦を得ん爲なり。
神の聘女よ、我を諸慾及び諸難より救ひ給へ、神は爾を彼の前に卑微なる我の爲に轉達者として備へたればなり。
光榮 鳴呼女宰生神女よ、爾は我の帲幪、常に我の美譽なり、悲哀に遭ふ者を必棄てざればなり。
今も 讚美たる者よ、爾の祈禱を以て今我等の爲に罪の赦を求めて、我等を諸の誘惑及び不潔なる諸慾より脫れしめ給へ。
第六歌頌
イルモス 憐に由りて爾の脅より流れし血にて惡魔の祭の血より淨められし敎會は爾に呼ぶ、主よ、讚揚の聲を以て爾を祭らん。
至淨なる女宰よ、我に及びたる待たざる憂の中に於て爾親ら我の保固なり、我爾に呼ぶ、爾は己の僕の大なる保護者なればなり。
女宰よ、我が靈の創傷を醫し給へ。童貞女よ、我を護りて、爾の僕を讒言、惡謀、及び諸の誘惑より脫れしめ給へ。
光榮 潔き者よ、常に爾に趨り附く我を攻むる不義なる惡謀者を破りて、我を棄てて滅ぶるを容す勿れ、爾神の母に能せざる所なければなり。
今も 女宰よ、我が靈の荒れたる浪を鎭め給へ、多くの罪、誘惑、及び憂患は起ちて我を攻むればなり、親ら我を救ひ給へ。
次ぎて主憐めよ、三次。光榮、今も、
坐誦讚詞、第四調。
童貞女よ、我等皆爾の帲幪の下に趨り附きて爾に呼ぶ、我等より祈禱を受けて、人を愛する主に絕えず爾の諸僕の救はれんことを祈り給へ。
第七歌頌
イルモス 火の中に爾がアウラアムの少者を救ひ、義の審判を被れるハルデヤ人を滅しし讚美たる主、我が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
マリヤよ、爾の祈禱の劍を以てアガリ人の虐待を速に滅して、民及び爾の群、爾の子に、我が先祖の神よ、爾は崇め讚めらると呼ぶ者を護り給へ。
神聖なる幕よ、爾に趨り附く我を入れ給へ、我を滅さんと欲する敵が我を執へざらん爲なり。神の母よ、我爾の子に歌ふ、我が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
光榮 神の母マリヤよ、我誘惑の暴浪の中に溺らされて、扶助を有たざる爾の僕を速に救ひ給へ、蓋我爾に呼ぶ、我が倚賴なる生神女よ、我を憐み給へ。
今も 仁慈なる生神女よ、諸罪の緣由なる人の誘惑を今爾の神聖なる祈禱を以て禦ぎて、爾の諸僕を疾しき罪過及び諸の誘惑より脫れしめ給へ。
第八歌頌
イルモス 衆人の贖罪主全能者よ、爾は降りて、焰の中に敬虔を守りし者に露を注ぎて、歌はしめ給へり、悉くの造物は主を歌ひて崇め讚めよ。
不法の民は我等を攻めて、爾に事ふる者を滅さんと誇る。至淨なる者よ、彼を破りて、主の悉くの造物は主を崇め讚めよと呼ぶ者を覆ひ給へ。
獨神の母よ、爾の多くの仁慈慈憐は我等を罪の擬定及び種種の患難より救ふ、爾神を生みて、彼の世界を憐み給へばなり。
光榮 女宰よ、今我が禱に慈憐を垂れて、我に悲に代へて喜を賜へ、我が爾を歌ひて、爾の子に呼ばん爲なり、主の悉くの造物は主を崇め讚めよ。
今も 女宰よ、爾は我が保固及び援助なるに因りて、我諸敵の怒を懼れずして、爾を歌ひて、爾の子に呼ぶ、主の悉くの造物は主を崇め讚めよ。
第九歌頌
イルモス エワは不順を病みて、詛を入れたり、爾は、童貞生神女よ、己の產にて世界の爲に祝福の華を發けり。故に我等皆爾を崇め讚む。
詭譎不法なるアラワィヤ人は我等に向ひて武器を磨ぎて、謀を設く、生神童貞女よ、爾は爾の子の十字架及び爾の祈禱の力を以て彼に向ひて爾の諸僕を堅め給ふ。故に我等爾の光榮を傳ふ。
女宰よ、爾は我に敵に對する保固として授けられたり、爾我を患難より脫れしめ給ふ。潔き者よ、我爾に何を捧げんか、我知らず、唯我が有てる感謝を爾に捧ぐ、爾の僕より之を納れて、我を救ひ給へ。
光榮 嗚呼萬有の造成主の母、嗚呼純潔なる童貞女、哀しむ者の慰藉、溺らさるる者の援助、弱る者の守護よ、爾我を生涯護り給へ。
今も 至りて讚美たる者よ、我多くの罪と甚しき災禍とに攻めらるる者は今爾に讚美の祭を奉りて、熱切に爾に呼ぶ、聖なる生神女よ、我を助け給へ、蓋我爾を讚榮して歌頌を終ふ。
次ぎて「常に福にして」。聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞。其他常例の如し、及び發放詞。
火曜日
火曜日の早課
第一の誦文の後に痛悔の坐誦讚詞、第四調。
主よ、我が卑微なる靈、罪中に一生を費しし者を顧みて、我を罪女の如く納れて、救ひ給へ。
句 主よ、爾の憤を以て我を責むる毋れ、爾の怒を以て我を罰する毋れ。
我現在の生命の海を渡りて、我が多くの惡の淵を思ひ、靈の嚮導師を有たずして、ペトルの聲を以て爾に呼ぶ、ハリストスよ、我を救へ、神よ、我を救ひ給へ、爾は人を愛する主なればなり。
光榮、今も、生神女讚詞 爾は實に生神女なるに因りて、母として勇敢を以て爾の子我等の神に祈りて、爾の帲幪を求むる城市を護り、爾停泊及び垣墻たる者、獨人類の轉達なる者に趨り附く民を救ひ給へ。
第二の誦文の後に坐誦讚詞、第四調。
我が不當なる靈の諸慾の暗と度生の逸樂とに昧まされたる心に傷感の情は起らず。救世主よ、我不當の者を憐みて、我に傷感の情を與へ給へ、我が終に至らざる先に爾の仁慈に呼ばん爲なり、ハリストス我が救主よ、我望を失ひし當らざる僕を救ひ給へ。
句 主よ、爾の憤を以て我を責むる毋れ、爾の怒を以て我を罰する毋れ。
願はくは我等皆速にハリストスと偕に其婚筵の宮に入りて、ハリストス我が神の神聖なる聲を聞かん、天の光榮を愛する者は來りて、信を以て己の燈を燃して、智なる處女と偕に之を受けよ。
句 神よ、爾は爾の聖所に於て嚴なり。
ハリストス我が神よ、爾の受難者は十字架を武器として、惡の魁たる敵の惡謀に勝ち、光體の如く輝きて、地上の者を導き、信を以て求むる者に醫治を與ふ。彼等の祈禱に由りて我等の靈を救ひ給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 生神童貞女、獨淨く、獨讚美たる者よ、我等は爾より身を取りし者は父の言ハリストス我が神なりと知れり、故に絕えず爾を歌ひて崇め讚む。
第三の誦文の後に坐誦讚詞、第四調。
靈よ、爾の逝世の先に痛悔せよ、罪を行ふ者の爲に避くべからざる偏頗なき審判あり。心の傷感を以て主に呼べ、慈憐なる主よ、我は知ると知らずして罪を犯せり、爾の授洗者の祈禱に由りて、我を憐みて救ひ給へ。
野を愛する斑鳩、聖にせられし授洗者、悔改の宣傳者、人と爲りしハリストスを示しし者は凡そ罪を行ふ者の爲に轉達者と爲り、凡そ颶風に遭ふ者の爲に息めざる扶助者と爲れり。ハリストスよ、其祈禱に因りて爾の世界を救ひ給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 潔き者よ、爾は神聖なる產を以て慾の中に朽ちたる地上の者の死に屬する性を新にして、衆を死より不朽の生命に起し給へり。故に我等皆宜しきに合ひて爾至榮なる童貞女を讚美す、爾の預言せしが如し。
痛悔の規程、我が主イイススハリストス及び聖なる致命者に奉る。其冠詞は、言よ、潔を爲す淚にて我を洗ひ給へ。イオンフの作。第四調。
第一歌頌
イルモス エギペトを擊ち、苛虐者ファラオンを海に沈めし主は、民を奴隸より拯ひ給へり。故に彼等はモイセイに隨ひて主に凱歌を奉る、彼光榮を顯したればなり。
主よ、隱に幽暗の業を行ふ者を顯に責むる毋れ、衆の前に辱しむる毋れ。救世主よ、誠實なる痛悔の光を以て我を照して救ひ給へ。
主宰よ、我放蕩の者は常に罪に罪を加へて、聊も爾を畏るる畏を感ぜず。主よ、終に至らざる先に我を憐みて救ひ給へ。
致命者讚詞 光榮なる聖者は敬虔の盾に掩はれ、十字架の武器を劍の如く執りて、敵と戰はん爲に出でて之を斃せり。
致命者讚詞 猛き獅子、斬る劍、沸る鑊、搔く鐵搭、身を裂く甚しき苦を神聖なる致命者は懼れざりき。
生神女讚詞 至淨なる者よ、爾は聖神に由りて金裝せられたる約匱と顯れて、律法の石板にあらずして、昔律法と諸預言者との預言せし主ハリストスを内に有てる者なり。
又尊貴なる聖前驅イオアンの規程。其冠詞は、福たる者よ、我愛を以て爾に禱の歌を綴る。イオシフの作。第四調。
第一歌頌
イルモス 童貞女より生れし主よ、祈る、强き軍たる我が靈の諸慾を無慾の深處に沈め給へ、我が鼓を以てするが如く、肉情を殺すに由りて凱歌を爾に歌はん爲なり。
授洗者よ、爾は大なる星の如く日に先だちて、爾の光を以て地を照せり。故に我爾に呼ぶ、無數の罪惡に由りて甚しく昧まされて矇と爲りたる我が心を照し給へ。
福たる者よ、昔爾の生るるを以て胎の無結果の縛は解かれたり。故に我爾に祈る、慾の爲に荒れて無結果の者と爲りたる我が靈を爾の祈禱に由りて諸德の善き果を結ぶ者と爲し給へ。
至榮なる授洗者よ、爾はイリヤの力を以て前驅して、贖罪主の爲に途を備へたり。彼に我が靈の途を向はしめて、爾の祈禱を以て諸の誘惑を斥け、諸慾の焰を滅し給へ。
生神女讚詞 光れる雲よ、爾の光明なる轉達を以て我が靈の暗き雲を散じ給へ、我が爾より輝きし光を仰ぎ、之に照せれて暮れざる光に至らん爲なり。
第三歌頌
イルモス 雷を强め、風を作る主よ、我を固め給へ、我が忠信に爾を歌ひて、爾の旨を行はん爲なり、我等の神よ、爾と均しく聖なる者なければなり。
瞽者の目を啓きしハリストスよ、逸樂と度生の憂とに昧まされて、聊も爾の定を仰ぎ視ざる我が目を啓き給へ。
視よ、時なり、吾が靈よ、爾の行ひし諸惡より起きて、畏を以て主宰贖罪主に呼べ、ハリストスよ、我が爲に痛悔の門を開き給へ。
致命者讚詞 受難者の神聖なる戰に由りてワェリアルは逐はれたり、昔誇りし者は彼等に踐まれて、行動なき死者と見らる。
致命者讚詞 聖致命者の會は馳すべき程を盡し、神聖なる力を以て無形なる黑鬼の萬萬を實に敗りて、光榮を獲たり。
生神女讚詞 至聖なる生神女よ、爾は列祖の哀を解きて、我等の歡喜なる生を施す主及び贖罪主を生み給へり。彼に我等の靈を救はんことを熱切に祈り給へ。
又
イルモス 强き者の弓は弱み、弱れる者は力を帶びたり、故に我が心は主の中に堅められたり。
福たる者よ、爾は凡の德を行ひ、凡の惡を中心より惡みて、人人に悔改の途を示し給へり。
爾は身を取りし言の大なる前驅と爲れり。故に我爾に祈る、無知なる諸慾より我を脫れしめて、無慾に導き給へ。
前驅よ、爾は猶肉體に居りて、肉體なき者の度生を爲せり。捧神者よ、祈る、爾の祈禱を以て我等をも之に效はん爲に堅め給へ。
生神女讚詞 母童貞女よ、罪惡に由りて不當の者と爲りし世界は爾に由りて憐を蒙れり。故に我等宜しきに合ひて讚歌を以て爾を讚美す。
第四歌頌
イルモス 神よ、我爾の風聲を聞きて懼れたり、主よ、我爾の作爲を悟りて驚けり、蓋全地は爾の讚美に盈ちたり。
我は諸德を褫がれて惡を衣たるに、視よ、耻に充ちたり、仁愛なるイイススよ、神聖なる衣にて我を飾り給へ。
我世の海の水を渡りて、怠惰に由りて肉體の逸樂に溺るる難に遭へり、言よ、我を痛悔の港に向はしめ給へ。
致命者讚詞 勇敢なる致命者よ、爾等は忍耐の神聖なる力を以て實に罪の悉くの汚を潔めて、衆に救を與へたり。
致命者讚詞 受難者は石の如く地に投げられ、頑なる迷を全く倒して、上なる都城に至れり。主よ、彼等の祈禱に由りて我等を救ひ給へ。
生神女讚詞 我何の時何の處に於ても爾を救として呼ぶ、我が贖罪主及び救世主たる神を生みし純潔なる者よ、我を棄つる毋れ。
又
イルモス 洪恩なる主よ、爾は己の像を愛するに因りて、爾の十字架に上りしに、異邦民は融けたり、人を愛する主よ、爾は我の堅固と美譽なればなり。
光榮なる前驅よ、我等は爾を眞實の言を以て眞の春を前兆する鳩と知りて、常に崇め讚む。
舊と新との轉達者たる前驅よ、誘惑者の誘に由りて壞られし我を爾の祈禱を以て全く新になし給へ。
無玷なる度生の爲に荒野に住ひし前驅よ、諸の罪惡に由りて荒れたる我が心を爾の神聖なる祈禱を以て新になし給へ。
生神女讚詞 童貞女よ、爾の子は我等の爲に潔淨及び拯救と知られたり。彼に祈りて、傷感の情を以て爾を讚美する者の靈を救はんことを求め給へ。
第五歌頌
イルモス 主よ、爾の誡の光を我に耀かし給へ、我が神゜は朝早く爾に向ひて、爾を歌ふ、蓋爾は我等の神なり、我爾平安の王に趨り附く。
イイススよ、憂悶の中に朽壞の生を度りて、日日に誘惑者の誘に昧まさるる我を憐みて、痛悔の光及び生命に向はしめ給へ。
蛇の欺騙に由りて高く擧りたる吾が心は大なる墮落を以て落ちたり。倒されし者の更新なるイイススよ、爾の多くの慈憐に由りて我を起して救ひ給へ。
致命者讚詞 神福なる受難者よ、爾等は血の滴るを以て多神の迷の爐を滅し、醫治の注ぐを以て常に苦の焰を鎭め給ふ。
致命者讚詞 致命者は審判座の前に立ち、鐵搭にて搔かれ、首を斬られ、多くの烈しき苦に遇はせられて、神の指麾に由りて動なく止まりたり。
生神女讚詞 至淨なる生神女・女宰よ、我罪惡の黑暗に居る者に爾の慈憐の光線を輝かして、我を痛悔の光に向はしめ給へ、我が信を以て爾を歌はん爲なり。
又
イルモス 仁慈なる主よ、爾の光を我等に遣し、罪過の闇より我等を解きて、爾の平安を賜へ。
野に養はれし者よ、野の熾炭の如く諸慾の熱に焚かるる我を爾の祈禱の露を以て之に惱まされぬ者と爲し給へ。
至りて福たる者よ、爾の聖なる右の手より父の神聖なる右の手、爾の聖なる轉達に因りて我等を誘惑者の手より救ふ者は洗を受く。
前驅よ、全世界は爾を避所と有力なる覆庇及び大なる墻として有つ。爾の祈禱を以て我等を凡の艱難より救ひ給へ。
生神女讚詞 童貞少女よ、神は爾、イアコフの榮たる者を愛して、爾を以て凡そ先に罪惡に昧まされし者を飾り給ふ。
第六歌頌
イルモス 我行を以て世俗の淵に沈み、地獄に降りて、イオナが鯨よりせし如く、斯く呼ぶ、神の子及び言よ、祈る、我を諸惡の深處より引き上げ給へ。
我不當の者は怠惰の坐睡にて靈を弱らせ、罪の寢にて仆れたり。主よ、我を起して痛悔の光に向はしめて、爾の慈憐を以て我を救ひ給へ。
我不當の者は如何ぞ墮落したる、如何ぞ至仁なる神に離れたる、如何ぞ彼の恐るべき審判、我が審判せられんとする者を思に入れざる。我が造成主よ、我を宥め給へ。
致命者讚詞 至りて光明なる受難者よ、爾等は實に救の歌を絕えず唱へ、信者の心を樂しませ、迷の醉を全く醒ます簫と顯れたり。
致命者讚詞 ハリストスの致命者よ、爾等は造成主を愛する熱愛に由りて、人の度に超ゆる甚しき苦を、他人の身に於けるが如く、喜びて忍び給へり。
生神女讚詞 衆信者の轉達者及び帲幪たる至聖なる童貞女よ、我が爲に轉達して、我を將來の怒及び審判の時に畏るべき定罪より脫れしめ給へ、我が信を以て常に爾を歌はん爲なり。
又
イルモス 我海の深處に至り、多くの罪の暴風は我を沈めたり。慈憐の主よ、神なるに因りて、我が生命を深處より引き上げ給へ。
前驅よ、爾は流の中に立ちて、衆人の罪を任ふ主宰に洗を授けたり。絕えず彼に我等の靈を宥めんことを祈り給へ。
前驅よ、爾は悔改の傳道師と顯れたり、亡を爲す罪に汚されて、起くる能はざる我が心を起して、痛悔に向はしめ給へ。
福たる者よ、爾は野に在りて人人の靈に言の將に來らんとするを傳へたり。故に凡の敎會は默さざる聲を以て爾を讚揚す。
生神女讚詞 神の聘女よ、爾の畏るべき產に由りて律法の預象は明になりたり、女宰よ、我等今其應へるを見て、宜しきに合ひて爾を尊む。
第七歌頌
イルモス 黃金の偶像に伏拜せざりしアウラアムの少者は、黃金が坩堝に於ける如く、火の爐に鍊られ、光れる宮に在るが如く、樂しみて歌へり、我が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
ハリストスよ、爾は仁慈なるに由りて、世界を古の定罪より救はんと欲して、嬰兒と現れたり。故に我爾に呼ぶ、宏恩なる主よ、多くの罪に由りて古びたる我を今新にして救ひ給へ、蓋我歌ふ、我が先祖の神は崇め讚めらる。
昔痛悔せしマナッシヤを救ひ、淚を流しし罪女を宥め、言を以て盜賊を義と爲しし救世主よ、多くの甚しき罪を爾の前に犯しし我をも納れ給へ、蓋我呼ぶ、我が先祖の神は崇め讚めらる。
致命者讚詞 受難者よ、多神の烈しき暴風が世界を圍めるに、爾等は敬虔の舟を造り、ハリストスの操舵にて生命の港に漕ぎ到りて呼ぶ、我が先祖の神は崇め讚めらる。
致命者讚詞 受難者は黃金が坩堝に於けるが如く、苦に鍊られて輝く者と爲り、ハリストスの苦難の尊き印に證せられたる者として、今天の寶藏に納められて堅く護らる。
生神女讚詞 救世主及び神、贖罪主及び主宰を身にて生みし至淨なる女宰よ、常に彼に我等の爲に祈り給へ、我等が多くの甚しき罪の赦を受けて、智慧に超ゆる彼の慈憐を讚榮せん爲なり。
又
イルモス 昔アウラアムの少者はワワィロンに於て爐の焰を蹈みて、歌を以て呼べり、我が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
凡そ生れし者の中に最大なる者と現れたる預言者よ、爾の至大なる祈禱を以て神の前に大罪を犯しし我を大なる焰及び永遠の幽暗より脫れしめ給へ、我が爾を讚美せん爲なり。
我は果を結ばざる無花果樹と顯れて、斫らるるを恐る。救世主の前驅よ、爾の轉達を以て我を堅めて、果を結ぶ者と爲し給へ、我が爾を讚美せん爲なり。
前驅イオアンよ、衆人の贖罪主に奉る爾の勇ましき祈禱を以て、我信に由りて爾に趨り附く者に對して起る所の凡の敵の暴風を鎭め給へ。
生神女讚詞 童貞女よ、靈と舌とを以て常に爾を讚榮する爾の諸僕を凶惡者の攻擊及び惡鬼の奴役より護り給へ。
第八歌頌
イルモス 主よ、ヘルワィムセラフィム等は火焰の中に爾の前に立ち、造物は皆爾に美しき歌を歌ふ、人人よ、惟一の造成主ハリストスを歌ひ、崇め、萬世に讚め揚げよ。
救世主よ、我は爾を畏るる畏に止まらず、爾の誡に遵はず、聊も爾の旨を行はざりき、我不當の者は如何にか爲らん、人を愛する主よ、功なき我を宥めて、我を退くる毋れ。
諸善の耕作者よ、爾に呼ぶ、爾を畏るる畏の鐮を以て我が不當なる靈の棘の思を悉く根より刈り給へ、ハリストスよ、我に痛悔の種より救の穗を生ずるを得しめ給へ。
致命者讚詞 受難者よ、爾等は多くの苦の中に狹められて、恩寵を以て廣まり、陷阱の充滿せる敵の途を狹めて、今我等に信と愛とを以て神の途を行くを敎へ給ふ。
致命者讚詞 致命者よ、誘惑者は爾等の苦難と忍耐との深處に陷りて難に遭ひ、無知の者にして衆に晒はれて臥す、爾等は勝利の榮冠にて飾らる。
生神女讚詞 純潔なる者よ、爾の腹は世界の爲に衆を養ふ生命の麥を載する禾塲と顯れたり、故に我等信者は爾を凡の善の原因として宜しきに合ひて讚美す。
又
イルモス 衆人の贖罪主全能者よ、爾は降りて、焰の中に敬虔を守りし者に露を注ぎて、歌はしめ給へり、悉くの造物は主を歌ひて崇め讚めよ。
前驅よ、煩悶の眠に陷り、惡の暗に昏まされたる我を爾の明なる祈禱を以て改めて、晝に在るが如く諸德を以て美しく行かしめ給へ。
誘惑の暴風は我を圍み、諸慾の浪は我を擾す、前驅よ、我に手を授けて、爾の祈禱を以て我が靈の舟を痛悔の港に到らしめ給へ。
河の水の中に於て世界の罪を任ふ主に洗を授けし福たる前驅イオアンよ、爾の祈禱の流を以て我が惡の淵を涸らし給へ。
前驅よ、爾は言ひ難く爾より洗を受けしイイススの上に聖神を見、父の聲の彼を證するを聞けり、彼に我等を救はんことを祈り給へ。
生神女讚詞 純潔なる生神童貞女よ、我等の更新の泉として、蛇の毒に惱まされたる我を全く改め給へ、我が信と愛とを以て爾を讚美せん爲なり。
次に生神女の歌詠を歌ふ、「我が靈は主を崇め」。
第九歌頌
イルモス イズライリの神は其臂の力を顯せり、蓋權ある者を位より黜け、卑しき者を擧げたり、東旭は上より我等に臨み、我等を平安の道に向はしめたり。
視よ、奧密の宮は啓かれ、智者は諸德の油にて其燈を飾りて、光明なる者として入る。嗚呼靈よ、煩悶の眠を退けよ、燈を執りてハリストスと偕に入らん爲なり。
言よ、我思念の中に罪女の如く爾の足を執りて、淚を以て之を滌ふ。救世主よ、我を諸慾の泥より滌ひて、今我にも言ひ給へ、爾の信は爾を救へりと、我が爾の無量の慈憐を歌はん爲なり。
致命者讚詞 致命者は常にハリストスの瘡痍を光明なる美飾として有ちて、樂しき心と喜ばしき靈とを以て天上に居りて、我等の爲に平安と、諸難より脫るることと、諸罪より解かるることとを求め給ふ。
致命者讚詞 神聖なる受難者よ、イズライリの中に有たれて之を諸難より救ひし約匱の如く、爾等の不朽體を有つ凡の處は聖にせられ、天上の者は爾等の福たる靈を獲て、尊き天使等と偕に喜ぶ。
生神女讚詞 善を愛する神を生みし善を愛する少女よ、我爾に呼ぶ、諸慾と惡鬼の誘惑とに因りて惡に滿ちたる吾が不當の靈を善なる者と爲し給へ、我が信を以て爾衆人の恃賴を歌はん爲なり。
又
イルモス エワは不順を病みて、詛を入れたり、爾は、童貞生神女よ、己の產にて世界の爲に祝福の華を發けり、故に我等皆爾を崇め讚む。
主ハリストスは我が力我が歌なり。福たる前驅よ、彼に我を諸慾と惡鬼の諸の誘惑とに對して堅めんことを祈りて、我に神聖なる旨を行はしめ給へ、我が愛を以て常に爾を讚美せん爲なり。
神聖なる前驅よ、爾は美しき班鳩及びハリストスの神聖なる春を報ずる好き音の燕と現れたり。爾に祈る、我を靈を害する冬及び罪の暴風より脫れしめんことを彼に祈り給へ。
神聖なる前驅よ、爾は母の胎内に躍りて、童貞女より輝きし者を知らせたり。彼に祈りて、我を殺す吾が肉慾の動搖を殺して、我が心を喜悅に滿たしめんことを求め給へ、我が爾を歌はん爲なり。
靈よ、憐なき審判は憐を行はざる者を待つ、視よ、愼め、油を取りて爾の燈を燃し、滅されぬ者として之を守れ、新娶者は近づく、警醒せよ、滅されぬ望を有たん爲なり。
生神女讚詞 善を愛する神を生みし善を愛する生神女よ、彼に祈りて、我を凡の惡より脫れしめ、肉體の逸樂を惡ましめて、我に善を愛する熱心を與へんことを求め給へ、我が歌を以て爾を崇め讚めん爲なり。
次ぎて「常に福にして」。聯禱、光耀歌、及び常例の聖詠。
挿句に痛悔の讚頌、第四調。
救世主よ、我が淚にて我を滌ひ給へ、我多くの罪に由りて汚されたればなり。故に爾の前に俯伏す、神よ、我罪を犯せり、我を憐み給へ。
句 主よ、夙に爾の憐を以て我等に飽かしめよ、然せば我等生涯歡び樂しまん。爾我等を撲ちし日、我等が禍に遭ひし年に代へて、我等を樂しましめ給へ。願はくは爾の工作は爾の諸僕に著れ、爾の光榮は其諸子に著れん。
我は爾の靈智なる群の羊にして、爾善き牧者に趨り附く。神よ、我迷ひし者を尋ね獲て、我を憐み給へ。
句 願はくは主吾が神の惠は我等に在らん、願はくは我が手の工作を我等に助け給へ、我が手の工作を助け給へ。
致命者讚詞 聖なる致命者よ、爾等は裁判所に勇ましくハリストスを傳へて、天使等の侶と爲れり、蓋凡そ世に在る美しき者を無きが如く棄てて、堅き恃賴として信を保てり。故に迷を逐ひ、信者に醫治の恩賜を流して、絕えず我等の靈の救はれんことを祈り給ふ。
光榮、今も、生神女讚詞 讚美たる生神女よ、爾の諸僕を悉くの禍より護り給へ、我等が爾我が靈の倚賴を讚榮せん爲なり。
次ぎて「至上者よ、主を讚榮し」。聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞。及び聯禱。次に第一時課、常例の聖詠、其他、幷に發放詞。
火曜日の聖体礼儀に
火曜日の眞福詞、第四調。
アダムは木に緣りて樂園より出され、盜賊は十字架の木に緣りて樂園に入りたり。彼は食して造物主の誡に背き、此は共に十字架に釘せられて、隱れたる神を認めて籲べり、爾の國に於て我を憶ひ給へ。
句 義の爲に窘逐せらるる者は福なり、天國は彼等の有なればなり。
慈憐なるに由りてペトルの痛哭及び罪女の涕泣を受け、稅吏の唯歎息せしを宥めしハリストス言、至仁なる主よ、我俯伏して諸罪の赦を求むる者をも憐みて、永遠の苦より脫れしめ給へ。
句 人我の爲に爾等を詬り、窘逐し、爾等の事を譌りて諸の惡しき言を言はん時は、爾等福なり。
荒れたる胎の縛を解きたる大なる前驅よ、我が卑微なる心の無結果を解きて、爾の轉達を以て諸德の果を捧げしめ給へ。我は此に因りて盡されぬ糧を獲て、ハリストスに呼ばん、救世主よ、爾の國に來らん時我を憶ひ給へ。
句 喜び樂しめよ、天には爾等の賞多ければなり。
睿智にして至榮なる致命者よ、爾等は傷創にて苦しめられ、猛獸に食として畀へられ、劍にて斬られ、海の深處に投げられ、火に燬かれ、銳き刃にて割かれて、神を棄てざりき。聖なる者よ、彼に我等の爲に平安と、光照と、大なる憐とを求め給へ。
光榮 我等衆信者は同意にして父と子と聖神とに祈りて、宜しきに合ひて神性の惟一なるを、三位に於て混淆なく、分離なく、變易なく、近づき難き者として讚榮す。彼に由りて我等火の苦より救はる。
今も 神の聘女マリヤ、我が神の廣き入處なる者よ、爾は父と同無原、聖神と同寶座なる主を胎内に入れて、人類に恩を施さん爲に人と爲りし者を智慧及び言に超えて生み給へり。熱心に彼に爾の諸僕の救はれんことを祈り給へ。
火曜日の晩課
「主よ、爾に籲ぶ」に十字架の讚頌、第四調。
句 主よ、若し爾不法を糾さば、主よ、孰か能く立たん。然れども爾に赦あり、人の爾の前に敬まん爲なり。
至仁なる主宰よ、爾は十字架に擧げられ、戈にて刺され、指は血に染められて、我等の爲に赦免を書し、原祖アダムの書券を裂きて、人の性を自由にし給へり。故に宏恩なる主よ、我等は智慧に超ゆる爾の仁慈を歌頌す。
句 我主を望み、我が靈主を望み、我彼の言を恃む。
主宰イイススよ、我等は爾の苦、十字架、戈及び葦、海絨と釘、絳き袍と棘の冠、批たるることと唾せらるることと辱、爾の甘じて忍びし者を歌頌す。獨生を施す寬容の主よ、我爾の恒忍を讚美す、人を愛する主よ、我信を以て爾を讚榮す。
句 我が靈主を待つこと、番人の旦を待ち、番人の旦を待つより甚し。
至仁なる主よ、我爾の尊き十字架に伏拜して、愛を以て接吻し、爾が智慧に超ゆる降臨、無量なる仁慈、言ひ難き宏恩、豐なる慈憐を讚榮す、此に因りて爾は罪惡の幽暗の中に圍まれたる人の性を救ひ給へり。ハリストスよ、光榮は爾の釘刑に歸す。
次に、之あらば、月課經の聖人の讚頌。若し月課經なくば、又至聖なる生神女の讚頌、同調。
句 願はくはイズライリは主を恃まん、蓋憐は主にあり、大なる贖も彼にあり、彼はイズライリを其悉くの不法より贖はん。
主よ、爾の潔き母は爾が十字架に釘せらるるを見て、驚きて呼べり、至愛の子よ、此の觀る所は何ぞや、爾の多くの奇跡を樂しみし不順不法の會は斯く爾に報ゆるか。主宰よ、光榮は爾の言ひ難き寬容に歸す。
句 萬民よ、主を讚め揚げよ、萬族よ、彼を崇め讚めよ。
羔及び牧者たる爾が木の上に在るを見て、生みし牝羊は哭き、母として爾に言へり、至愛の子、恒忍なる主宰よ、如何ぞ十字架の木に擧げられたる、言よ、如何ぞ爾の手足は不法者より釘せられて、爾血を流したる。
句 蓋彼が我等に施す憐は大なり、主の眞實は永く存す。
主よ、童貞女爾の母は爾が十字架に懸けられしを見て訝り、目を注ぎて云へり、主宰よ、爾の多くの恩賜を樂しみし者は何をか爾に報いたる。惟祈る、我を獨世に遺す毋れ、速に復活して、己と偕に原祖を起し給へ。
光榮、今も、十字架生神女讚詞 母よ、我爾の子及び神、地を寄する所なくして水の上に懸け、萬物を造りし者が木の上に懸けられしを見て哭く毋れ、蓋我復活して光榮を獲、異能を以て地獄の國を滅し、其力を破りて、慈憐なるに由りて縛られし者を苦より釋き、人を愛するに由りて我が父に攜へん。
次ぎて「穩なる光」。本日の提綱。「主よ、我等を守り」。
挿句に十字架の讚頌、第四調。
ハリストスよ、爾は勝たれぬ武器として爾の十字架を我等に賜へり、我等此を以て仇敵の惡謀に勝つ。
句 天に居る者よ、我目を擧げて爾を望む。視よ、僕の目主人の手を望み、婢の目主婦の手を望むが如く、我等の目は主我が神を望みて、其我等を憐むを俟つ。
ハリストスよ、我等は常に爾の十字架を佑助として有ちて、輙く敵の網を踐む。
句 主よ、我等を憐み、我等を憐み給へ、蓋我等は侮に饜き足れり、我等の靈は驕る者の辱と誇る者の侮とに饜き足れり。
諸聖人よ、救世主の前に勇敢を有つに因りて、絕えず我等罪なる者の爲に祈りて、我等の靈に罪過の赦と大なる憐とを賜はんことを求め給へ。
光榮、今も、十字架生神女讚詞 至淨なる者はハリストス仁愛の主が十字架に釘せられ、戈にて脅を刺さるるを見て、哭きて呼べり、吾が子よ、是れ何ぞや、恩を知らざる民は爾が彼等に爲しし善に易へて何をか爾に報いたる、爾至愛の者は我を子なき者として遺すか。慈憐の主よ、我爾が甘じて十字架に釘せらるるを奇とす。
次ぎて「主宰よ、今爾の言に循ひ」。聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞。聯禱及び發放詞。
火曜日の晩堂課
至聖なる生神女の規程、第四調。
第一歌頌
イルモス 我が口を開きて、聖神に滿てられ、言を女王母に奉り、樂しみ祝ひ、喜びて其奇跡を歌はん。
至りて無玷なる神の母よ、爾は神の無量の智慧及び力なるハリストスを身にて種なく生みて、爾の產に由りて能力の權と神聖なる尊貴とを得たり。
嗚呼智慧に超ゆる爾の產や、至淨なる者よ、此に因りて地上の者の大數は不朽を獲て、今宜しきに合ひて爾を更新の中保者として讚揚す。
光榮 童貞女よ、我靈體の病める爾の僕を爾の覆庇にて醫し給へ、蓋我爾を凡そ憂に遭ふ者の轉達者と知れり、爾は我等の救を生みたればなり。
今も 女宰よ、我無量の誘惑の暴風に因りて憂の淵に甚しく沈めらるる者に救の手を伸べて、我を惡の深處より引き出し給へ。
第三歌頌
イルモス 生神女、生活にして盡きざる泉よ、祝ひて爾を讚め歌ふ者の靈を固め、彼等に爾が神妙なる光榮の中に榮冠を冠らしめ給へ。
女宰童貞女よ、爾は徧く病者に醫治の流を灌ぎ給ふ、智慧に超えて爾より生れし仁慈の主が爾を慈憐の泉と爲したればなり。
童貞女母よ、爾は性に超えて仁慈なる神言の爲に美しき宮と爲れり、故に我が爲に爾の豐なる慈憐を啓きて、我を救に上せ給へ。
光榮 多くの甚しき惡に由りて我が力は殺され、多くの憂に因りて我望を失へり。生命を生みし童貞女、泣く者の慰藉たる女君よ、我を助け給へ。
今も 獨神の母たる者よ、我を憐み、惡鬼と諸慾とに由りて溺らさるる我が不當なる靈を憐みて之を宥め、我が死する先に慈憐を以て之を潔め給へ。
第四歌頌
イルモス 預言者アウワクムは爾至上者が童貞女より身を取り給ふ神の測り難き定制を洞察して籲べり、主よ、光榮は爾の力に歸す。
生神女よ、萬有の王は爾王の根及び裔より出でし者を愛して、爾の内に入りて、爾をヘルワィム及びセラフィムより上なる者と爲し給へり。
潔き者よ、造成主は人類の爲に爾より身を取りて生れて、爾をハリスティアニン等の爲に眞實の轉達者と爲し給へり、故に我爾の帲幪の下に趨り附く。
光榮 至淨なる童貞女よ、我爾の僕の爲に帲幪と、守護及び避所と爲り、我を無量の惡より醫して、爾に歌はしめ給へ、光榮は爾の言ひ難き產に歸す。
今も 我慾に染みたる吾が思に因りて悶え、泣き、歎きて、爾に祈る、慈憐の泉として吾が諸病より我を脫れしめて、我に神聖なる傷感を與へ給へ。
第五歌頌
イルモス 萬物は爾が神妙の光榮に驚かざるなし、爾婚配を識らざる童貞女は至上の神を孕み、永遠の子を生みて、凡そ爾を歌ふ者に平安を賜へばなり。
童貞女よ、爾はハリストス王の活ける雲として、常に凡の病者に醫治の水を灌ぎ給ふ。故に我熱切に爾に祈る、我病む者に醫治の露を降し給へ。
神の聘女童貞女よ、爾が生みし者に、其救世主及び主宰たるに因りて、絕えず祈りて、我を憂及び病より釋き、我が諸罪を赦して、我を不朽なる喜悅に升せ給へ。
光榮 至淨なる者よ、爾は我の倚賴と、拯救及び美譽なり。故に我爾の帲幪の下に趨り附く、我今多くの罪及び苦しき病を負へる者を忌まずして、速に我を救ひ給へ。
今も 熟したる果よ、如何ぞ木に懸れる、爾の苦を以て日の光を晦ましし光榮の日よ、如何ぞ上りたると、救世主よ、爾を生みし潔き者は昔母として哭きて爾に呼べり。
第六歌頌
イルモス 我海の深處に至り、多くの罪の暴風は我を沈めたり、慈憐の主よ、神なるに因りて、我が生命を深處より引き上げ給へ。
童貞女よ、萬有の王及び我が神は爾より僕の形を受けて、爾を生神女としてヘルワィム及び畏るべきセラフィムより上なる者と爲し給へり。
獨衆人に神聖なる生命及び救を賜ふ主を生みし童貞女よ、我望を失ひし者の諸慾の起るを鎭めて、我に救を得しめ給へ。
光榮 衆人の贖罪主を生みし童貞女よ、爾の佑助を我に與へて、我を災禍及び憂患より脫れしめ、我を誘惑及び諸罪より救ひ給へ。
今も 童貞女よ、我等は爾を以て誇り、爾に依りて諸難より救はる、我等爾を恃みて爾を歌ふ者は惡敵の攻擊を畏れず。
次ぎて主憐めよ、三次。光榮、今も、
坐誦讚詞、第四調。
純潔なる童貞女、ハリストス神の母よ、爾が己の子及び神の甘じて十字架に釘せらるるを見し時、劍は爾の至聖なる靈を貫けり。至りて讚美たる者よ、我等に諸罪の赦を賜はんことを絕えず彼に祈り給へ。
第七歌頌
イルモス 敬虔の者は造物主に易へて造物に事ふることをせざりき、火の嚇を勇ましく踐みて、喜び歌へり、讚美たる主、先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
慾に因りて我が悉くの力は瓦の片の如く枯れたり、視よ、我地獄に近づけり。神の母よ、爾の慈憐の手を以て我を滅亾を致す縛より救ひ、我を圍める憂患より引き出し給へ。
多種の惡に因りて我が心は裂かれ、多くの罪及び病に因りて我が生命は苦しくなれり、我等の爲に生命を生みし至淨なる者よ、我を此等より救ひ給へ。
光榮 祝讚せらるる至淨なる童貞女よ、爾が慈憐なるに因りて我に至仁なるハリストスの國に入るを得しめ、爾の祈禱を以て我を靈を滅す諸の誘惑及び病より脫れしめ給へ。
今も 我が無量の罪に由りて劇しくなりたる吾が諸病は我を靈と體との死に引く。女宰よ、爾有能なるに因りて我を諸の憂及び病より脫れしめ給へ。
第八歌頌
イルモス 生神女の產は敬虔の少者を爐の中に守れり。其時に預め徵され、今已に應ひし此の產は全世界に勸めて爾に歌はしむ、造物は主を歌ひて、萬世に彼を讚め揚げよ。
我は多くの棘の如き諸慾を得て、其刺に刺され、劇しく苦しみて望を失へり。ハリストス神の至淨なる母よ、此等より我を脫れしめて、爾の祈禱を以て我に諸罪の赦を與へ給へ。
義の日の光の燈たる神の母よ、爾の慈憐の光線を以て我が諸罪の幽闇を散じ、信を以て爾の至淨なる產を歌ひて讚め揚ぐる者に重き諸病より救はるるを得しめ給へ。
光榮 永貞童女よ、爾の腹に入りて言ひ難く身を取りし永在なる神は爾を世界の轉達者及び衆人の佑助と爲し給へり。故に我爾に祈る、我を甚しき諸慾及び諸罪の縲絏より釋き給へ。
今も 童貞女、神の母よ、我が終の時我を惡鬼の手、畏るべき詰問と定罪、苦しき魔關と空氣中の君、及び永遠の火より脫れしめ給へ。
第九歌頌
イルモス 凡そ地に生るる者は聖神に照されて樂しみ、形なき智慧の性も祝ひ、神の母の聖なる祭を尊みて呼ぶべし、至りて福なる潔き生神女、永貞童女よ、慶べよ。
潔き者よ、地上の族は爾の產に因りて神性に合せらるるを以て子たる神゜を獲て高く擧れり。故に天上の大數は地上の者と偕に喜びて、宜しきに合ひて爾を我が神の眞の母及び全世界の避所として歌ふ。
我は無量の罪を以て獲たる傷創と疾病とに因りて全く弱りたり。女宰よ、爾の援助と守護とを求む、我を悉くの甚しき災禍及び憂患より脫れしめ給へ。
光榮 爾身にてハリストス神を生みし者に我今傷感の靈より愛を以て歌頌と讚榮とを奉る。生神女よ、慈憐に由りて之を納れて、我が悉くの求を成就せしめ、爾の祈禱を以て我を守り給へ。
今も 潔き神の母よ、我が靈の目を照し給へ、罪の幽闇が我を蔽はず、失望の深處が我を溺らさざらん爲なり。衆信者の耻を得ざる轉達者よ、親ら我を導きて救ひ給へ。
次ぎて「常に福にして」、及び叩拜。聖三祝文、「天に在す」の後に讚詞。其他常例の如し、及び發放詞。
水曜日
水曜日の早課
第一の誦文の後に十字架の坐誦讚詞、第四調。
爾は己の尊き血を以て我等を律法の詛より贖へり、十字架に釘せられ、戈にて刺されて、人人に不死を流し給へり。我等の救世主よ、光榮は爾に歸す。
句 主我が神を崇め讚め、其足凳に伏し拜めよ、是れ聖なり。
救世主よ、イウデヤ人爾を十字架に釘せしに、爾は、ハリストス我が神よ、此を以て我等を異邦の中より召し給へり。獨人を慈む主よ、爾は甘じて手を其上に伸べ、戈にて爾の脅の刺さるるを受け給へり、爾の多くの慈憐に由りてなり。
光榮、今も、十字架生神女讚詞 ハリストスよ、聘女ならぬ爾の母は爾が十字架に擧げらるるを見し時、母として哭きて斯く言へり、吾が子よ、此の新にして驚くべき奇跡は何ぞや、我が甘愛なる光よ、如何ぞ不法なる會は爾衆に生命を賜ふ者を十字架に釘する。
第二の誦文の後に坐誦讚詞、第四調。
ハリストス我が神よ、爾を謗り、我等を嚇す諸敵が我等を服せしめざる先に速に我等を助け給へ。獨人を慈む主よ、爾の十字架を以て我等と戰ふ者を滅し給へ、我が諸敵が正敎者の信は生神女の祈禱に因りて如何なる力を有つかを悟らん爲なり。
句 神我が古世よりの王は救を地の中に作せり。
主宰よ、爾は甘じて髑髏の處に十字架に釘せられて、爾の多くの慈憐に因りて我が古の罪の傷を醫し給へり。蓋爾は、仁愛なる吾が救世主よ、人類の爲に死を受け、信を以て爾を歌ふ者の爲に爾の脅より血と水とを流さんことを望み給へり。
句 神よ、爾は爾の聖所に於て嚴なり。
聖なる受難者よ、爾等は十字架の力に由りて善き戰を戰ひて、爾等の忍耐を以て敵を全く滅し給へり。故に我等は忠信に爾等の尊き記憶を行ひて、至聖なる神゜の恩寵を以て爾等の祈禱に由りて聖にせらる。ハリストスの聖なる軍士等よ、世界の爲に救世主に祈り給へ。
光榮、今も、十字架生神女讚詞 童貞女・牝羊は種なくして彼より生れし羔の十字架に在りて戈を以て刺されしを見て、哀の矢に刺され、苦しみて呼べり、此の新なる奧密は何ぞや、獨生命の主たる者は如何ぞ死する。故に復活して、陷りし原祖を己と偕に起し給へ。
第三の誦文の後に坐誦讚詞、第四調。
ハリストスよ、兇殺者の惡謀に因りて樂園に於て甚しく陷りし我を爾は髑髏の處に於て起し、木を以て木に緣る詛を除き、誘惑にて我を殺しし蛇を殺して、我に神聖なる生命を賜へり。主よ、光榮は爾の神聖なる釘刑に歸す。
ハリストス言よ、爾義の日が木の上に懸けられしを見て、日は光を晦まし、造物は震ひ、死者は寢より覺むるが如く疾く墓より起きて、爾の神聖なる權能の光榮を歌頌せり。
光榮、今も、十字架生神女讚詞 純潔なる童貞女、ハリストス神の母よ、爾が己の子及び神の甘じて十字架に釘せらるるを見し時、劍は爾の至聖なる靈を貫けり。至りて讚美たる者よ、我等に諸罪の赦を賜はんことを絕えず彼に祈り給へ。
尊貴にして生命を施す十字架及び聖致命者の規程。イオシフの作。其冠詞は次の如し、十字架は救の武器なり。第四調。
第一歌頌
イルモス 古のイズライリは足を濡らさずして海の紅の淵を渡り、野に於てモイセイの十字形の手にてアマリクの力に勝てり。
天を張りたるイイススよ、爾は己の手を伸べて、爾より遠きにある異邦民を、仁慈慈憐なる主として、明に己に召し給へり。
我がハリストス言よ、爾の十字架を以て我を扞ぎ衞り給へ、我が日日に我の前に網を張りて我を執へて滅さんと謀る狼に捕はれざらん爲なり。
致命者讚詞 福たる致命者よ、爾等は己の苦にて悉くの苦の緣由なる者を滅し、今苦なき生命を繼ぎて、常に我が靈と體との凡の苦を輕くし給ふ。
致命者讚詞 聖なる睿智者よ、甘じて縛られて凡の迷を破りしハリストスの爲に爾等は縛られて、解かれぬ縲絏を以て惡謀者を縛れり。故に宜しきに合ひて讚美せらる。
生神女讚詞 至淨なる者よ、爾は產の後に童貞女に止まれり、蓋十字架に擧げられて、地上の者を己と偕に擧げたる神を生み給へり。故に我等衆信者は大なる聲を以て爾を讚頌す。
又至聖なる生神女の規程、其冠詞は、生神童貞女に禱を奉る。第四調。
第一歌頌
イルモス同上
凡の造物より最淨き純潔なる神の母よ、不潔なる慾にて甚しく汚されたる我が心を爾の淨き祈禱を以て潔め給へ。二次。
至淨なる童貞女母よ、我が造成主及び神に奉る爾の神に悅ばるる祈禱を以て、將來の恐るべき審判の時に、我を淚及び歎息より脫れしめ給へ。
獨智慧に超えて爾の產を以て人類を詛より釋きたる至淨なる者よ、爾の祈禱を以て肉體の慾の奴隷と爲りし我を釋き給へ。
第三歌頌
イルモス ハリストスよ、爾の敎會は爾の爲に樂しみて呼ぶ、主よ、爾は我が能力と避所と堡障なり。
主宰ハリストス我が神よ、爾は十字架に擧げられて、朽壞の中に落されし者を擧げ、敵を落し給へり。
父の實在の言よ、爾脅を刺されしに、敵の劍は鈍り、エデムは啓かれたり。
致命者讚詞 致命者は火の河にて迷の河を涸らし、多神の焰を滅し給へり。
致命者讚詞 十字架に釘せられ、鐵搭にて搔かるるハリストスの致命者は忍耐の劍を以て諸敵及び蛇を殺せり。
生神女讚詞 主宰よ、無玷なる牝羊は爾が十字架に擧げられしを見て、泣き苦しみて、爾の權能を歌頌せり。
又
イルモス ハリストスよ、我等は智慧と能力と富有とを以て誇るにあらず、乃爾、父と一性なる智慧を以て誇る、人を愛する主よ、爾の外に聖なる者なければなり。
女宰よ、我爾ヘルワィムより最上なる者に祈る、蛇の誘に由りて陷りたる我が心を肉體の慾より上なる者と爲し給へ。二次。
畏るべき詰問に於て主が我多く罪を犯しし者を定罪せんとする時、願はくは我爾を、純潔なる者よ、定罪より我を脫れしむる者として獲ん。
ハリストスよ、爾の仁慈に由りて我が無慈悲の風習を改めて、爾を生みし者の祈禱に因りて我無慈悲なる者を救ひ給へ。
第四歌頌
イルモス 敎會は爾義の日が十字架に擧げられしを見て、竝び立ちて正しく呼べり、主よ、光榮は爾の力に歸す。
爾光榮の日の甘じて木の上に擧げられしを見て、日は晦冥を衣、磐は崩れ、殿の幔は裂けたり。
救世主よ、爾十字架に釘せられ、戈にて刺さるるに、自ら旋る劍は爾の權能を歌頌する善智なる盜賊の前より爾の命に由りて退きたり。
致命者讚詞 主よ、爾の受難者は爾の十字架の武器に護られて、惡の矢に傷つけられぬ者と顯れ、拜偶像の堅固ならざる墻を毁てり。
致命者讚詞 致命者は無玷なる祭及び全燔の獻物として慈憐に由りて貧しくなりし主の前に攜へられて、苦の爲に報を受けたり。
生神女讚詞 獨時に由らざる者を時に及びて生みて、無玷なる童貞を守りし少女が主の木の上に擧げらるるを見し時、苦は其靈を裂きたり。
又 イルモス同上
己の造物に諸恩を賜はん爲に己を竭しし至聖者の神聖なる家と爲りし至りて潔き者よ、我が靈を聖にし、思を照し給へ。二次。
女宰よ、惡の風に吹かれて怠惰に沈めらるる我が思を爾の祈禱を以て堅固にして、誘惑より出し給へ。
童貞女よ、我今爾天の王の活ける宮たる者に祈る、爾の祈禱を以て我盜賊の巢窟なる者を聖三者の家と爲し給へ。
第五歌頌
イルモス 我が主よ、爾は光、信じて爾を崇め歌ふ者を闇き無智より引き出す聖なる光にして、世界に來り給へり。
鳴呼主宰よ、爾の脅腹の刺されしに、爾は我肋骨の罪に因りて朽壞に陷りし者の爲に不朽の神聖なる流を注ぎ給ふ。
爾の尊き十字架は敵に對して勝利なり。言よ、爾は之を我等信を以て爾を歌ふ者に靈の救の爲に賜へり。
致命者讚詞 死せし者は大なる苦の物質の火を過りて後、至りて光明なる致命者として今火焰の役者に合せられたり。
致命者讚詞 致命者の肉體は多くの苦に由りて壞らるるに、彼等の靈の造物主に於ける愛は壞られずして、更に堅められたり。
生神女讚詞 至淨なる者よ、獨一至仁の主は爾の不朽なる胎に入りて、身を取りし者と顯れて、十字架に釘せられたり、我等を朽壞より救はん爲なり。
又
イルモス ハリストスよ、不虔の者は爾の光榮を見ざらん、惟我等は夜より寤めて、爾神の獨生子、父の光榮の輝煌、人を愛する主を崇め歌ふ。
神の羔を生みし牝羊なる女宰よ、蛇の惡謀に誘はれたる吾が靈、罪に因りて山の中に迷へる者を尋ね給へ。
生神女・永貞童女よ、爾の熱き祈禱を以て甚しき寒に凍ゆる吾が靈の内に造物主に於ける神聖なる愛の熱を起し給へ。
女の中に善にして無玷なる潔き者よ、我が不當なる靈を今慾の汚より潔めて、爾の祈禱を以て我に潔く生を度るを得しめ給へ。
仁慈潔淨なる童貞女よ、爾の翼の庇蔭の下に吾が靈を眸子の如く守りて、我を惡鬼の誘惑、煩悶、及び苦より脫れしめ給へ。
第六歌頌
イルモス 憐に由りて爾の脅より流れし血にて惡魔の祭の血より淨められし敎會は爾に呼ぶ、主よ、讚揚の聲を以て爾を祭らん。
凡の尊貴より至りて尊貴なる仁愛の主よ、爾は辱しめらるるを忍びたり、甚しく辱しめられし我を尊き者と爲して、十字架を以て救はん爲なり。
主よ、爾は木に擧げられ、死者と爲りて、吾が靈を殺しし者を凡の耻に充てて、死者と爲し給へり。故に我が造成主よ、我今爾の力を歌ふ。
致命者讚詞 致命者よ、爾等に傷つけし凶惡者は自ら愈されぬ傷を受け、爾等の足に踐まれて、衆に嘲られて觀らる。
致命者讚詞 墓に臥す致命者の聖驅の塵は惡鬼を塵の如く散らし、醫療を流して、人人の種種の病を醫す。
生神女讚詞 嗚呼吾が子よ、法に戾る會は釘を以て爾を十字架に釘して、哀の劍にて吾が心を貫けりと、童貞女は淚を流して呼べり。
又 イルモス同上
童貞女よ、爾の產は死を滅す者、死者に生命と拯救とを賜ふ者と爲れり。故に我爾に祈る、殺されし吾が靈を復活せしめ給へ。
人を愛する主よ、世の海に荒らさるる我に援助の手を伸べ給へ、爾の母及び無數の天軍の祈禱に因りてなり。
神聖なる穗を生ぜし田なる者よ、弱りて神聖なる行の饑饉に疲れたる吾が靈を棄てずして、爾の子の神聖なる恩寵にて食ひ給へ。
潔き者よ、我が肉慾の發動を鎭めて、穉き馬の如く躍る我が肉體の動搖を爾の祈禱の力を以て制して、智慧に服せしめ給へ。
第七歌頌
イルモス アウラアムの少者はペルシヤの爐に在りて、焰よりも强く敬虔の愛に爇かれて呼べり、主よ、爾が光榮の殿に於て爾は崇め讚めらる。
雲を以て天に衣する獨一不死の主よ、爾は甘じて裸體にして木に釘せられて、昔原祖を裸體にせし者に永遠の耻を衣せ給へり。
主宰よ、爾十字架に擧げられしに、陷りしアダムは起きたり、戈にて脅を刺されしに、惡謀者は死の傷を受けたり。主よ、爾の權能は崇め讚めらる。
致命者讚詞 讚美たる受難者よ、爾等は最美しき言に最美しく合せられて、全く世を離れ、縛られ害はれて、全く敵を倒したり。
致命者讚詞 實に光榮なる受難者よ、爾等は神聖なる苦にて迷の籬を毁ち、敬虔に爾等を讚美する信者の爲な墻垣及び守護と現れたり。
生神女讚詞 少女よ、爾は爐の中に露を現ししハリストス神、聊も爾の胎を焚かざりし主の木に懸けられしを見て、其智慧に超ゆる寬容を讚榮せり。
又 イルモス同上
少女、神聖なる山、偶像の柱を壞りし石の斫られたる者よ、吾が靈の偶像を壞り、吾が心の頑なる迷を拂ひ給へ。
少女よ、爾は、瞬を以て欲する時に地及び其上に在る者を動かす主を爾の胎に容れて動かざりき。祈る、敵の攻擊に由りて動かさるる我を堅め給へ。
凶惡者は逸樂の醜きを以て我を昧ましたり。生神女よ、我が肉慾の思を斥けて、吾が靈を諸德に飾られたる者と爲し給へ。
慈憐仁慈の神聖なる器よ、我に豐に爾の宏恩の富を流して、我が諸罪の汚を滌ひ、肉慾の熱を滅し給へ。
第八歌頌
イルモス ダニイルは獅子穴に在りて手を伸べて、獅子の口を閉し、敬虔の篤き少者は德を帶び、火の力を滅して呼べり、主の悉くの造物は主を崇め讚めよ。
主宰よ、爾は甘じて十字架の上に手を伸べて、不節制の手の罪を滅し給へり。主よ、爾は釘にて釘せられて、始に造られし者の慾に染みたる智慧を新にして呼ばしむ、主の悉くの造物は主を崇め讚めよ。
主宰よ、爾の神聖なる脅の刺さるるを以て始に造られしアダムの書券は裂かれ、爾の血の滴るを以て全地は聖にせられて、感謝の聲を以て常に呼ぶ、主の悉くの造物は主を崇め讚めよ。
致命者讚詞 至榮なる致命者は火の中に立ち、露にて霑さるる如く焚かれずして、奧密なる同心を以て少者の實に神聖なる歌を歌へり、主の悉くの造物は主を崇め讚めよ。
致命者讚詞 致命者は甘じて烈しき火を忍び、千萬の苦に付され、虛しきに服せずして、神に堅められ、暮れざる光に趨り附きて呼べり、主の悉くの造物は主を崇め讚めよ。
生神女讚詞 讚美たる女宰よ、爾は人人を殺す敵を殺ししハリストスの殺さるるを見て、彼を主宰として歌頌して哭き、其恒忍を奇として呼べり、主の悉くの造物は主を崇め讚めよ。
又 イルモス同上
女宰よ、爾は熟したる果を生み給へり、死は之を嘗めて亾びたり。故に我爾に呼ぶ、誘惑に由りて罪の果にて殺されし我を生かし給へ、蓋我歌ふ、主の悉くの造物は主を崇め讚めよ。
至淨なる女宰よ、爾の寐らざる祈禱を以て我が念の慾の動搖を寐らせ、我を怠慢の寐より起して、醒めたる靈を以て歌はしめ給へ、主の悉くの造物は主を崇め讚めよ。
生神女よ、我が諸罪の械を壞り、肉慾の起るを鎭め給へ。衆信者の轉達者及び拯救よ、爾の僕の惡しき謀を速に斷ち、隱なる意念を潔め給へ。
不當なる靈よ、爾は彼處に爾の無數の惡事を訟へんとする證者を畏れざるか、然らば至仁なる主の前に痛悔して、獨至淨なる童貞女を保護者として受けよ、彼は人人の避所なればなり。
第九歌頌
イルモス 童貞女よ、手にて斫られざる隅石ハリストスは、爾斫られざる山より斫り分けられて、離れたる性を合せ給へり。故に我等樂しみて、爾生神女を崇め歌ふ。
視よ、生命は十字架に懸けられし者と衆の前に現れたり、日は之に勝へずして光線を隱し、地は震ひ、人人の思は敬虔と潔淨とに堅めらる。
嗚呼我がイイススよ、如何ぞ不法なる會は爾立法者を定罪して、萬衆の生命及び主、苦を以て衆人に不死を流す者を木の上に死するに定めたる。
致命者讚詞 讚美たる者よ、爾等は虔誠なる口を以て智慧を盡して、神の言が人體を取ることを不法なる諸敵の中に傳へ、潔く苦を受けて、勝利の榮冠を獲たり。
致命者讚詞 神聖なる致命者よ、爾等は光れる星の如く、聖にせられし苦の輝煌と神聖なる醫療の光線とを以て悉くの造物を照し、諸慾の深き黑闇を散ず。
生神女讚詞 光の雲たる潔き童貞女、昔不死なる主の釘せられし時晦みたる日を見し者よ、我が罪に由りて晦みたる靈を照し、我が諸惡の雲を拂ひ給へ。
又 イルモス同上
童貞女、我が神の母よ、爾の子の神聖なる戈を以て我が惡の繫を壞り、縛られて禍の中に在る我が不當の靈を釋きて、神を愛する愛に繫ぎ給へ。
天より最宏き童貞女よ、敵の多くの攻擊に狹められたる我が心を無慾の廣きに升せて、我を常に狹き路を行かん爲に堅め給へ。
童貞女よ、我が爾實に至りて讚美たる者を讚榮せん爲に、我を凡の罪の無智より解きて、爾の慈憐に趨り附く者を天の光榮に與らしめ給へ。
至上の神の母よ、我等に對して武器を執る者の凡の謀を止めて、爾を賴む者を喜に盈て給へ、我等が皆熱心に爾の保護を傳へん爲なり。
次ぎて「常に福にして」、及び叩拜。聯禱、光耀歌、及び常例の聖詠。
挿句に十字架の讚頌、第四調。
イイスス我が救世主よ、願はくは爾の十字架は我等の爲に墻と爲らん、蓋我等信者は爾身にて其上に釘せられて、我等に大なる憐を賜ふ主の外に他の倚賴を有たず。
句 主よ、夙に爾の憐を以て我等に飽かしめよ、然せば我等生涯歡び樂しまん。爾我等を撲ちし日、我等が禍に遭ひし年に代へて、我等を樂しましめ給へ。願はくは爾の工作は爾の諸僕に著れ、爾の光榮は其諸子に著れん。
主よ、爾は凡そ爾を畏るる者に記號として爾の尊き十字架を賜へり、爾は此を以て幽暗の首領及び權柄を辱しめ、我等を初の福樂に升せ給へり。故に全能のイイスス、我が靈の救主よ、我等は爾の仁愛なる定制を讚榮す。
句 願はくは主吾が神の惠は我等に在らん、願はくは我が手の工作を我等に助け給へ、我が手の工作を助け給へ。
致命者讚詞 聖なる致命者よ、我等如何ぞ爾等の勳功に驚かざらん、蓋爾等は死すべき肉體ありて、形體なき敵に勝てり、暴虐者の嚇は爾等を畏れしめざりき、苦に付す事は爾等を驚かさざりき、爾等は實に宜しきに合ひてハリストスより榮せられたり。我等の靈の爲に大なる憐を求め給へ。
光榮、今も、十字架生神女讚詞 至淨なる女宰は誘惑者を殺すハリストスの殺さるるを見て、其胎より出でし者に向ひて、哀しみて哭き、彼の恒忍を奇として呼べり、我が至愛なる子よ、爾の婢を忘るる毋れ、仁愛なる主よ、我を慰むるに遲はる勿れ。
次ぎて「至上者よ、主を讚榮し」。聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞及び聯禱。次に第一時課、常例の聖詠、幷に發放詞。
水曜日の聖体礼儀に
水曜日の眞福詞、第四調。
アダムは木に緣りて樂園より出され、盜賊は十字架の木に緣りて樂園に入りたり。彼は食して造物主の誡に背き、此は共に十字架に釘せられて、隱れたる神を認めて籲べり、爾の國に於て我を憶ひ給へ。
句 義の爲に窘逐せらるる者は福なり、天國は彼等の有なればなり。
ハリストスよ、爾は多くの仁慈に由りて十字架に釘せられ、脅を刺されて、赦免の二の泉を流し給へり。地は暴虐を見るに勝へずして震ひ、磐は裂け、日は光を隱し、山と岡とは動けり、爾の權柄を畏るるに因りてなり。
句 人我の爲に爾等を詬り、窘逐し、爾等の事を譌りて諸の惡しき言を言はん時は、爾等福なり。
手を以て人を造りしハリストス、恒忍なる主よ、昔不節制にして知識の樹に伸べたる原祖の手の罪を贖はん爲に、爾は甘じて十字架の上に伸べられて、己の手を釘するを許せり、無量の慈憐に由りてなり。言よ、光榮は智慧に超ゆる爾の仁慈に歸す。
句 喜び樂しめよ、天には爾等の賞多ければなり。
聖なる者よ、爾等は尊き勳功の最光明なる輝煌にて地を天と爲し、其空虛の黑暗を悉く散じ、暮れざる光に入りて、之に與るを以て神成せられて、凡そ職として爾等を讚美する者に智慧の光を輝かす。
光榮 我等は萬有の原因たる聖三者に讚美と、光榮と、尊貴とを奉り、三聖の聲を以て天使の歌を無原なる父と子と聖神とに捧げ、善智なる盜賊の聲を以て歌ひて呼ぶ、爾の國に於て我等を憶ひ給へ。
今も 至淨なる者は己の子及び神が甘じて十字架に擧げられしを見て、奇として哭き、萬有を美しく飾りし者に謂へり、主よ、爾の美しきは何にか隱れたる、恩を知らざる會は諸善に易へて何ぞ斯く爾に報いたる。我智慧に超ゆる爾の仁慈を歌ふ。
水曜日の晩課
「主よ爾に籲ぶ」に聖使徒の讚頌、第四調。
句 主よ、若し爾不法を糾さば、主よ、孰か能く立たん。然れども爾に赦あり、人の爾の前に敬まん爲なり。
光榮なる使徒等よ、爾等は確實なる智慧を以て戰ひ、屬神゜の全備の武具を佩びて、勇ましく凶惡なる敵に向ひ、惡鬼の悉くの力を滅して、人人の靈を贜物として奪へり。故に我等は世世に爾等を尊む。
句 我主を望み、我が靈主を望み、我彼の言を恃む。
ハリストスよ、爾の神聖なる十二の使徒は敎の網を十字形に張りて、萬民を爾を知る智識に捕へ、諸慾の鹵海を涸せり。故に我爾に祈る、爾を悅ばしむる彼等の祈禱に因りて、我を諸罪の深處より喚び起し給へ。
句 我が靈主を待つこと、番人の旦を待ち、番人の旦を待つより甚し。
神に選ばれたる最尊き十二の使徒は今神聖なる歌を以て讚美せらるべし、ペトルとパワェル、イアコフ、ルカ及びイオアン、マトフェイとフォマ、マルコ、シモン及びフィリップ、至榮なるアンドレイ、マトフィイと偕に、及び睿智なるワルフォロメイ、竝に他の七十なり。
又聖大奇跡者ニコライの讚頌。
句 願はくはイズライリは主を恃まん、蓋憐は主にあり、大なる贖も彼にあり、彼はイズライリを其悉くの不法より贖はん。
聖ニコライよ、聖神の恩寵は神聖なる香膏を爾に抹りて、爾をミラ城の首座と爲ししに、爾は成聖せられし諸德の香膏を以て世界の四極を薰らせ、爾の芳しき祈禱を以て恒に臭氣の諸慾を拂ふ。故に我等信を以て爾を崇め讚めて、爾の至聖なる記憶を行ふ。
句 萬民よ、主を讚め揚げよ、萬族よ、彼を崇め讚めよ。
聖ニコライよ、爾は滅えざる燈、全世界の光體として敎會の穹蒼に輝き出でて、世界を照し、烈しき葘害の黑闇を逐ひ、憂患の猛風を斥けて、深き平穩を施す。故に我等宜しきに合ひて爾を讚美す。
句 蓋彼が我等に施す憐は大なり、主の眞實は永く存す。
至聖なる神父ニコライ、諸天使の同住者、使徒及び預言者と儔しき者よ、爾は正しく在りても、夢に現れても、非義に由りて死に定められし者を救ひ給へり。蓋爾は慈憐なり、善を愛する者なり、爾の保護を求むる信者の熱切なる救者なり、眞の轉達者なり。
光榮、今も、生神女讚詞 容れられざる神、仁愛に由りて人と爲り、爾より我等の合成を受けて之を神成せし主を爾の腹に容れし純潔なる童貞女よ、我今憂ふる者を棄てずして、速に宥めて、凶惡者の抗敵及び侵害より脫れしめ給へ。
次ぎて「穩なる光」。本日の提綱、及び其他。
挿句に讚頌、第四調。
ハリストス神よ、爾は聖神を以て使徒の會を照し給へり。求む、彼等に因りて我等の罪の汚を滌ひて、我等を憐み給へ。
句 天に居る者よ、我目を擧げて爾を望む。視よ、僕の目主人の手を望み、婢の目主婦の手を望むが如く、我等の目は主我が神を望みて、其我等を憐むを俟つ。
ハリストス神よ、爾の聖神は無學なる門徒を敎導師と爲し、多種の方言の調和を以て迷を空しくし給へり、全能の主なればなり。
句 主よ、我等を憐み、我等を憐み給へ、蓋我等は侮に饜き足れり、我等の靈は驕る者の辱と誇る者の侮とに饜き足れり。
活ける祭、靈智なる全燔、主の致命者、全備なる屠殺、神を知り又神に知らるる羔、其牢に狼の入る能はざる者よ、我等も爾等と偕に靜なる水の畔に牧せられて休はんことを祈り給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 ハリストス神の母、萬有の造成主を生みし者よ、我が危難より我等を救ひ給へ、我等皆爾に呼ばん爲なり、吾が靈の惟一の轉達よ、慶べ。
次ぎて「主宰よ、今爾の言に循ひ」。聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞。聯禱及び發放詞。
水曜日の晩堂課
至聖なる生神女の規程、第四調。
第一歌頌
イルモス 古のイズライリは足を濡らさずして海の紅の淵を渡り、野に於てモイセイの十字形の手にてアマリクの力に勝てり。
潔き者よ、爾は實に神及び主を生みて、實に獨生神女と名づけられたり。故に我等忠信に爾を歌頌して、職として讚榮す。
至淨なる者よ、イアコフよりする星、神として星の多きを數ふる者は爾より輝き出でたり。祈る、彼の光にて我が罪の黑暗を拂ひ給へ。
光榮 潔淨無玷なる者よ、我爾を神が人體を取りし靈智なる婚筵の宮として知る。爾に祈る、我を肉體の慾、憂愁、誘惑及び災禍より脫れしめ給へ。
今も 全能者神が天より地に我等に降りし梯たる童貞女よ、我を地上の肉慾より天に升せて、神の前に至らしめ給へ。
第三歌頌
イルモス ハリストスよ、我等は智慧と能力と富有とを以て誇るにあらず、乃爾父と一性なる智慧を以て誇る、人を愛する主よ、爾の外に聖なる者なければなり。
女宰よ、爾は憂ふる者の慰藉を注ぐ泉なり。祈る、我にも爾の祈禱の水の流を注ぎて、苦の爐を滅し給へ。
造物者及び主を生みて、我等の性の甚しき傷を醫しし潔き者よ、不當なる念に傷つれられし我を醫し給へ。
光榮 純潔なる者よ、我多くの罪、慾及び誘惑の海に荒らさるる者を爾の守護を以て最穩なる港に向はしめ給へ。
今も 羊の毛に於けるが如く、爾の腹に降りし神聖なる雨を以て、爾の祈禱に因りて、慾の火に燃ゆる吾が心を霑し給へ。
第四歌頌
イルモス 敎會は爾義の日が十字架に擧げられしを見て、竝び立ちて正しく呼べり、主よ、光榮は爾の力に歸す。
潔き者よ、流れて衆の生命を薰らする爾の子の香料の中より無慾の香料を我が靈に沃ぎて、其慾の臭氣を悉く散じ給へ。
女宰よ、罪の不潔に汚されたる我に爾の祈禱の「イッソプ」を沃ぎて、我が諸慾の汚を滌ひ、之を潔めて、我をハリストスの居處と爲し給へ。
光榮 至淨なる者よ、我は爾神の指にて書されて封印せられし書たる者に祈る、爾の祈禱の指を以て我に諸罪の赦免を書して、諸難より脫れしめ給へ。
今も 預言者の嘗て言ひし如く、山の巓に建てる神の殿たる女宰よ、爾の轉達を以て我をハリストスの爲に淨き殿と爲し給へ。
第五歌頌
イルモス 我が主よ、爾は光、信じて爾を崇め歌ふ者を闇き無智より引き出す聖なる光にして、世界に來り給へり。
神の母よ、我爾をシオンに降りしアエルモンの露と知りて、我が肉慾の焰を滅さんことを祈る。
生命の樂園たる生神女よ、速に我を罪の死及び種種の慾より救ひ給へ。
光榮 潔き者よ、爾は天より地に沃がれたる香料の靈智なる玉の盒なり、今我を芳香に滿て給へ。
今も 神の聘女よ、爾は朽壞に陷りたる人を新にし給へり、我をも今諸罪諸慾の深處より引き出し給へ。
第六歌頌
イルモス 憐に由りて爾の脅より流れし血にて惡魔の祭の血より淨められし敎會は爾に呼ぶ、主よ、讚揚の聲を以て爾を祭らん。
光榮なる女宰よ、爾は光榮の王の美しき宮と爲りて、人人を榮せり、祈る、我にも不朽の光榮を獲しめ給へ。
至淨なる者よ、爾は潔淨なる不朽を以て人の性の惡なる朽壞を新にし給へり、求む、我が慾の流及び肉體の念の河を涸らし給へ。
光榮 潔き者よ、我が肉慾の發動を鎭めて、穉き馬の如く躍る我が肉體の動搖を爾の祈禱の力を以て制して、智慧に服せしめ給へ。
今も 生神童貞女よ、我爾讚美たる神を生みし者を歌ひて、爾に祈る、我を畏るべき詰問及び永遠の定罪より脫れしめて救ひ給へ。
次ぎて主憐めよ、三次。光榮、今も、
坐誦讚詞、第四調。
勝たれぬ轉達者、神の母、爾に趨り附く者の熱心なる祈禱者よ、我を患難より救ひ給へ。衆人の保護者よ、我を棄つる勿れ。
第七歌頌
イルモス アウラアムの少者はペルシヤの爐に在りて、焰よりも强く敬虔の愛に爇かれて呼べり、主よ、爾が光榮の殿に於て爾は崇め讚めらる。
神を容れて燃ゆれども焚かれぬ棘なる潔き者よ、我が惡しき思の棘を焚き、吾が靈の意念を照して、諸慾の淵を涸らし給へ。
爾は獨第二の天と現れて、地上に世世の尊敬と神聖なる光榮とを獲たり。求む、我が驕慢の敵なる惡鬼を滅し給へ。
光榮 慈憐仁慈の神聖なる器よ、我に豐に爾の宏恩の富を流して、我が諸罪の汚を滌ひ、肉慾の熱を滅し給へ。
今も 我常に放蕩に生活して、神より曾て我に賜はりたる屬神゜の富を肉體の逸樂の爲に費せり。童貞女よ、爾の祈禱を以て蕩子の如く我を義と爲し給へ。
第八歌頌
イルモス ダニイルは獅子穴に在りて手を伸べて、獅子の口を閉し、敬虔の篤き少者は德を帶び、火の力を滅して呼べり、主の悉くの造物は主を崇め讚めよ。
生神女よ、我が諸罪の械を壞り、肉慾の起るを鎭め給へ。衆信者の轉達者及び拯救よ、爾の僕の惡しき謀を速に斷ち、隱なる意念を潔め給へ。
現れたる神の山、斫られざる者、樹蔭繁き者たる至りて潔き童貞女よ、爾の祈禱の蔭にて我を蔽ひ、執ふる者の網より脫れしめ、惡鬼の矢及び汚れたる思より護り給へ。
光榮 至淨なる女宰よ、神を畏るる畏と傷感の神゜とを我が腹に容れて、諸德の生命を生むを得しめ、我を惡鬼の爲に畏るべき者と爲し、神聖なる光榮の諸天使の對談者と爲し給へ。
今も 至淨なる者よ、我の爲に速に生命の戸、我が倚賴の門を啓きて、我を終なき生命に向はしめ、我爾の僕を天國の嗣及び諸聖人と偕に神聖なる光榮に與る者と爲し給へ。
第九歌頌
イルモス エワは不順を病みて、詛を入れたり、爾は、童貞生神女よ、己の產にて世界の爲に祝福の華を發けり。故に我等皆爾を崇め讚む。
潔き者よ、爾の祈禱を以て爾の僕を顧みて、速に我を侵し、我を苦しむる見えざる敵より脫れしめ、我を災禍、憂患、及び多種の誘惑より救ひ給へ。
全能の言、至善にして仁愛なる主を生みし童貞女よ、我全身罪の傷に蔽はれて定罪せられし者を醫して、凶惡なる意念より脫れしめ給へ。
光榮 至仁なる者よ、生死を司る爾の子は先に死に陷りしアダムの爲に死を嘗め給へり。求む、爾の祈禱を以て我を諸慾及び墮落より起し給へ。
今も 生神女よ、爾に趨り附く者を患難と墮落、罪と暴風、肉慾と度生の憂、及び凶惡者の攻擊より救ひ給へ。
次ぎて「常に福にして」、及び叩拜。聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞。其他常例の如し、幷に發放詞。
木曜日
木曜日の早課
第一の誦文の後に使徒の坐誦讚詞、第四調。
使徒の上座にして全世界の敎師なる者よ、世界に平安、我が靈に大なる憐を賜はんことを萬有の主宰に祈り給へ。
句 其聲は全地に傳はり、其言は地の極に至る。
主宰ハリストスよ、爾は己の門徒を地の四極に光體と現して、幽暗に在る靈の爲に爾を知る智識を輝かし、彼等に由りて偶像の迷を昧まして、虔誠の敎を以て世界を照し給へり。其祈禱に由りて我等の靈を救ひ給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 女宰よ、速に我等の祈禱を受けて、之を爾の子及び神に捧げ給へ。純潔なる女君生神女よ、爾に趨り附く者を諸難より解き、爾の諸僕に對して武器を執る者の惡計と强暴とを滅し給へ。
第二の誦文の後に使徒の坐誦讚詞、第四調。
光榮なる使徒よ、爾等の聲は全地を廻りて、迷の智慧を愚と爲らしめ、人人を迷の深處より引き出して、衆に救の途を示せり。故に我等今宜しきに合ひて爾等を讚頌す。
句 諸天は神の光榮を傳へ、穹蒼は其手の作爲を誥ぐ。
救世主よ、爾は己の門徒を敎の宣傳者として世に現し、彼等を以て萬民を爾を知る智識に導き給へり、蓋彼等は言の光にて衆を照し、敎を以て無智の幽暗を散じたり。其祈禱に由りて我等の靈を救ひ給へ。
句 神よ、爾は爾の聖所に於て嚴なり。
致命者讚詞 主よ、爾の致命者は其苦に由りて爾我が神より不朽の榮冠を受けたり、爾の力を有ちて、苛虐者を斃し、惡鬼の不能なる强暴を破りたればなり。彼等の祈禱に由りて我等の靈を救ひ給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 女宰よ、病める靈より呼ぶ爾の僕に聽きて、我が多くの惡の赦を我に與へ給へ、我晝に夜に爾を轉達者として有てばなり。生神女よ、我を「ゲエンナ」の火より脫れしめて、我を爾の子及び神の右に立て給へ。
第三の誦文の後に坐誦讚詞、第四調。
光榮なる使徒よ、義の日たるハリストスは全地を照さん爲に爾等を光線として出し給へり。爾等は神聖なる祈禱に由りて暮れざる神聖なる光を以て衆を輝かし、信を以て爾等の聖なる記憶を行ふ者を照し給ふ。
聖神父ニコライよ、速に至りて、我等爾の諸僕を其遇ふ所の患難憂愁より救ひ給へ、爾は造物主及び神の前に勇敢を有てばなり。信を以て爾を呼ぶ者に疾く來りて、今爾の保護及び帲幪を與へ給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 生神女よ、爾は悉くの造物より上なるに因りて、我等宜しきに合ひて爾を歌頌するを知らず。爾に祈る、我が功なくして我等を憐み給へ。
光榮にして讚美たる聖使徒の規程。フェオファン師の作。第四調。
第一歌頌
イルモス 古のイズライリは足を濡らさずして海の紅の淵を渡り、野に於てモイセイの十字形の手にてアマリクの力に勝てり。
ハリストスの光榮なる諸使徒、撫恤者の神聖なる琴、常に其神聖なる感動に由りて聲を出す者は我等の爲に實に救の歌を歌へり。二次。
ハリストスの光榮なる實見者よ、我怠惰の牀に寢ねて、靈の甚しき病に由りて罪の死に瀕する者に爾等の眷顧を得しめ給へ。
言を以て異邦民の無知を解きたる使徒等よ、無知の行に由りて痛く昧みたる吾が心を撫恤者の恩寵を以て照し給へ。
生神女讚詞 潔き者よ、爾は產の後にも不朽なる童貞女に止まれり、我等の爲に地に現れし神を言に超えて生みたればなり、熱切に彼に我等の靈を照さんことを祈り給へ。
又聖ニコライの規程、其冠詞は、是れニコライに第四の歌詠。イオシフの作。同調。
第一歌頌
イルモス 童貞女より生れし主よ、祈る、强き軍たる我が靈の諸慾を無慾の深處に沈め給へ、我が鼓を以てするが如く、肉情を殺すに由りて凱歌を爾に歌はん爲なり。
哀なき生命を嗣ぎ、常に屬神゜の喜悅に滿ちたる至福至聖なる神父ニコライよ、祈る、吾が靈より凡の哀を斥け給へ、我が喜びて爾を讚榮せん爲なり。
成聖者ニコライよ、爾は高き諸德の燈臺に立てられて、燈の如く信者の心を照す。故に我信を以て爾に祈る、爾の光明なる祈禱に由りて我が靈の黑暗を拂ひ給へ。
睿智なる神父よ、我今朽壞の生命の海を渡り、諸の誘惑に漾はされて、爾に趨り附きて呼ぶ、願はくは爾我の爲に舵師と爲りて、爾の神聖なる祈禱を以て暴風を平穩に變ぜん。
生神女讚詞 潔き者よ、爾の眠らざる禱を以て我が靈の諸慾を眠らせ、爾の聖なる轉達を以て我等に神の旨を行はん爲に神聖にして救を得しむる勇敢を與へ給へ。
第三歌頌
イルモス ハリストスよ、爾の敎會は爾の爲に樂しみて呼ぶ、主よ、爾は我が能力と避所と堡障なり。
主宰神よ、爾の門徒の靈智なる河の流は爾の城邑を神妙に樂しましむ。二次。
天の住者、神゜靈の品位の同役者たる至榮なる使徒等よ、我等を諸の憂より脫れしめ給へ。
爾の靈智なる諸天を堅めしハリストスよ、彼等の祈禱に由りて我を爾の旨の石の上に堅め給へ、爾は仁慈の主なればなり。
生神女讚詞 主よ、潔く爾を生みし者は母として門徒の會と偕に爾に祈る、我等に爾の慈憐を垂れ給へ。
又
イルモス ハリストスよ、我等は智慧と能力と富有とを以て誇るにあらず、乃爾、父と一性なる智慧を以て誇る、人を愛する主よ、爾の外に聖なる者なければなり。
聖ニコライよ、爾は戰ふ敵を滅す武器と顯れたり。祈る、彼等の誘に惱まされざる者として我等を護りて、神の旨を行はしめ給へ。
敵の惡謀及び網を壞りし成聖者よ、吾が靈の壞を醫し給へ、我が信を以て爾を我の轉達者として尊まん爲なり。
アルテミダの偶像の殿を毁ちし神父ニコライよ、爾の神聖なる祈禱を以て我が智慧の慾の想像を消し給へ。
生神女讚詞 至淨なる童貞女よ、我等爾を轉達者として獲たり、我が哀を喜に易へて、我等を死を生ずる憂より脫れしめ給へ。
第四歌頌
イルモス 敎會は爾義の日が十字架に擧げられしを見て、竝び立ちて正しく呼べり、主よ、光榮は爾の力に歸す。
人を愛する主よ、爾は其選びたる者を馬の如く海に放ちて、邪敎の水を亂さしめ、衆に爾の眞の智識を報ぜしめ給へり。二次。
至榮なる使徒、虔誠を以て敎會の靈智の穹蒼を照しし星なる者よ、我を無知の夜及び諸罪より救ひ給へ。
礪がれたる箭と顯れし使徒等よ、今我に惡を射る敵の火箭を滅して、我が思念を堅め給へ。
生神女讚詞 ハリストスよ、敵の囓むに由りて毒害せられたる吾が靈を効驗ある醫療を以て醫し給へ、爾を生みし者及び爾の聖使徒等の祈禱に因りてなり。
又
イルモス 光榮の中に神性の寶座に坐するイイスス神は、輕き雲に乘るが如く、朽ちざる手に抱かれ來りて、ハリストスよ、光榮は爾の力に歸すと呼ぶ者を救ひ給へり。
聖ニコライよ、爾の至榮なる生命及び神聖なる奇蹟は爾を遍き處に至榮なる者と顯して、成聖者の飾と爲し、凡そ歡喜の歌を以て爾を尊む者の譽と爲す。
福たる者よ、爾は高き寶座に在りて謙遜の神聖なる輝煌を以て神を榮せり。睿智なる神父よ、神に悅ばるる爾の祈禱を以て我等を其輝煌に與る者と爲し給へ。
神父よ、爾は神聖なる熱心に燃えて、非義に死に曳かるる者を救ひ給へり。故に我等爾に呼ぶ、斯く誘惑に由りて殺さるる我等の心を之より脫れしめ給へ。
歡喜を以て天に居る神父ニコライよ、凡そ爾を呼ぶ者に見えずして臨みて、吾が靈の諸病を醫し、宜しきに合ひて慰藉を與へ給へ。
生神女讚詞 至淨なる者よ、天軍は爾の神聖なる產の偉大なるを奇として讚頌す。童貞女よ、彼等と偕に凡そ淨き信を以て爾を讚美する者の救はれんことを祈り給へ。
第五歌頌
イルモス 我が主よ、爾は光、信じて爾を崇め歌ふ者を闇き無智より引き出す聖なる光にして、世界に來り給へり。
光榮なる使徒、生命の葡萄の樹より生ぜし房よ、爾等は凡の者に靈智なる樂の酒を飮ませ給へり。二次。
使徒等よ、無智にして靈の煩悶の幽暗に居る者を神の誡の光に導き給へ。
福たる使徒等よ、我等を靈の罪、將來の審判、朽壞及び患難より脫れしめ給へ。
生神女讚詞 神よ、爾は人を愛する主なるに因りて我を救ひ給へ、言ひ難く爾を生みし者及び神聖なる爾の衆使徒の祈禱に因りて我を救ひ給へ。
又
イルモス ハリストスよ、不虔の者は爾の光榮を見ざらん、惟我等は夜より寤めて、爾神の獨生子、父の光榮の輝煌、人を愛する主を崇め歌ふ。
睿智なる神父ニコライよ、爾は死して日の如く入りたれども、ハリストスの下に在りて爾の奇跡の光明なる光線を以て輝きて、普天下を照し給ふ。
成聖者ニコライよ、誘惑及び憂愁の我等に及ぶ日に於て我等に聽きて、爾の中に棲む聖神の恩寵を以て凡の苦難を退け給へ。
成聖者ニコライよ、我度生の慾にて損ひたる靈を有つ者は援助の爲に爾を呼ぶ、急ぎて、至仁なる主に祈りて、我に全き醫治を與へ給へ。
生神女讚詞 童貞女よ、イサイヤは靈智なる目を以て爾を視て呼ぶ、視よ、主イイススは童貞女、神の少女より人人の復生の爲に生れんと欲す。
第六歌頌
イルモス 憐に由りて爾の脅より流れし血にて惡魔の祭の血より淨められし敎會は爾に呼ぶ、主よ、讚揚の聲を以て爾を祭らん。
善き牧者の神に選ばれたる羊の子は世界に散じて、敎を以て凡の狼の猛烈を羊の溫柔に變じたり。二次。
聖使徒等、神聖なる樂園の善果を結びたる樹よ、我が至りて不當なる靈の無結果を諸德の善果を結ぶ風習に變じ給へ。
我逸樂の武器に傷つれられて死せり、ハリストスより死者を復活せしむる恩寵を受けし光榮なる者よ、殺されし我が不當なる靈を活かし給へ。
生神女讚詞 仁慈なる萬有の神よ、爾を生みし生神女、爾の使徒及び致命者の祈禱に由りて、我が靈の烈しき暴風を鎭め給へ。
又
イルモス 我海の深處に至り、多くの罪の暴風は我を沈めたり。慈憐の主よ、神なるに因りて、我が生命を深處より引き上げ給へ。
神智なる神父ニコライよ、爾は救世主の力に堅められて、能く見えざる敵を滅せり、爾の祈禱を以て我等を其甚しき害より脫れしめ給へ。
至榮なるニコライよ、爾の聖なる祈禱を以て我等を惡しき人の强迫及び「ゲエンナ」の苦より脫れしめ給へ。
昔非義に死罪に定められたる軍將は爾の轉達に由りて救はれたり。奇異なる神父よ、彼等の如く我等をも凡の害より脫れしめ給へ。
生神女讚詞 神の母、至聖なる女宰よ、爾の民及び城邑は爾に祈る、我等を凡の患難及び彼處の永遠の定罪より救ひ給へ。
第七歌頌
イルモス アウラアムの少者はペルシヤの爐に在りて、焰よりも强く敬虔の愛に爇かれて呼べり、主よ、爾が光榮の殿に於て爾は崇め讚めらる。
ハリストスの義なる使徒よ、爾等は至聖なる傳道の力を以て迷の幽暗を散じて、信者の靈を神を知る智識にて照し給へり。二次。
常に芳しき香料を流す神聖なる門徒よ、爾等に趨り附く者を神゜靈の香料の薰に滿てて、惡臭の諸慾を拂ひ給へ。
不朽なる言の光榮なる門徒よ、肉慾に由りて朽壞せられし我を救ひて歌はしめ給へ、主よ、爾が光榮の宮に於て爾は崇め讚めらる。
生神女讚詞 仁慈なる言よ、天使の會、爾の致命者及び使徒の會は常に爾の至大なる仁慈に祈る、慈憐なる主として、生神女に由りて衆を憐み給へ。
又
イルモス 三人の少者はワワィロンに於て窘迫者の命令を空言と爲して、焰の中に呼べり、主我が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
聖ニコライよ、諸聖人の中に息ふ萬有の惟一なる造物主に我等を聖にして、其豐なる慈憐を我等に遣さんことを祈り給へ。
光榮なる者よ、爾は克肖にして義、溫順にして柔和謙遜なるに由りて、神品職の至榮なる高きに擧げられて、奇跡休徵を行ひ給ふ。
克肖なる者よ、爾は神聖なる法を守りて、神の至りて淨き殿と顯れたり。故に我等爾に呼ぶ、至福なる者よ、爾の諸僕を凡の不法より脫れしめ給へ。
生神女讚詞 少女よ、爾の勇ましき祈禱を以て我が靈の慾の發動を眠らせ、我に勇敢を與へて、煩悶の眠を遠く退け給へ。
第八歌頌
イルモス ダニイルは獅子穴に在りて手を伸べて、獅子の口を閉し、敬虔の篤き少者は德を帶び、火の力を滅して呼べり、主の悉くの造物は主を崇め讚めよ。
ハリストスの使徒、火を吹く口たる者よ、爾等は閉なき口を閉して、救の敎を遍き處に播き、衆を無形の狼の口より脫れしめて呼ばしむ、悉くの造物は主を歌ひて、萬世に彼を讚め揚げよ。二次。
ハリストスの好き聲の角たる光榮なる使徒よ、我が死したる靈の傍に響きて、之を失望と甚しき憂悶との墓より起して歌はしめ給へ、悉くの造物は主を歌ひて、萬世に彼を讚め揚げよ。
ハリストスよ、我智慧の悖れるに由りて爾の法を蹂躙せし者、主宰よ、我放蕩にして罪の深處に陷りて、常に惡しき風習に順ふ者を爾の門徒の祈禱に由りて棄つる毋れ。
生神女讚詞 マリヤ、萬衆の女君よ、我蛇に制せられて、常に罪を犯す者を爾の祈禱を以て解きて、ハリストスに服せしめて、淨き度生に於て歌はしめ給へ、悉くの造物は主を歌ひて、萬世に讚め揚げよ。
又
イルモス 衆人の贖罪主全能者よ、爾は降りて、焰の中に敬虔を守りし者に露を注ぎて、歌はしめ給へり、悉くの造物は主を歌ひて崇め讚めよ。
ニコライよ、爾は神聖なる事を述べて、不法者の閉なき口を閉し、多くの者をアリイの害より脫れしめて、正敎の心を以て歌はしむ、主を歌ひて、萬世に彼を崇め讚めよ。
勝利と同名なる聖者よ、爾の祈禱を以て、我等常に熱心に爾に祈る者を死を生む諸慾、及び不法なる人人の詐の舌に勝つ者と爲し給へ。
奇跡者ニコライよ、患難の日に於て我等が信を以て爾に祈りて、爾の救を爲す助を降さんことを求むる時に、我等の禱を受け給へ。
聖三者讚詞 我等信者は正敎の心を抱きて聖なる三者に伏拜し、父子及び至聖神を讚榮して呼ばん、主を崇め讚め、歌ひて萬世に彼を讚め揚げよ。
生神女讚詞 至仁なる言を生みし祝讚せらるる至淨なる者よ、爾の慈憐を我に垂れて、審判の時に我を護りて、彼處の定罪より脫れしめ給へ。
第九歌頌
イルモス 童貞女よ、手にて斫られざる隅石ハリストスは、爾斫られざる山より斫り分けられて、離れたる性を合せ給へり。故に我等樂しみて、爾生神女を崇め歌ふ。
屋隅の首石と爲りし者の選びたる石なる使徒よ、爾等は衆信者の心を建てて、信の石にて敵の建造を碎き給へり。二次。
ハリストスより釋き及び縛る權を受けし使徒等よ、我が惡の繫を釋き、我を神を愛する愛に繫ぎて、神の國に與る者と爲し給へ。
主宰の神聖なる雲、神福なる使徒等よ、諸の惡しき行に由りて涸れたる吾が心を今神聖なる雨を以て濕して、果を結ぶ者と爲し給へ。
生神女讚詞 至淨なる神の母よ、聖なる天使、神聖なる使徒、光榮なる致命者と偕に爾の子及び神に我等の靈を諸難より救はんことを祈り給へ。
又
イルモス エワは不順を病みて、詛を入れたり、爾は、童貞生神女よ、己の產にて世界の爲に祝福の華を發けり。故に我等皆爾を崇め讚む。
克肖なるニコライよ、信と愛とを以て爾に趨り附く者の爲に爾の柩は常に醫治を施して、諸病を葬り、香料の薰を流す。故に我等皆爾を讚頌す。
神福なるニコライ、司祭長等の飾よ、爾は神聖なる奇跡の輝煌を以て日の如く普天下を照し、爾の聖なる轉達に由りて甚しき患難の幽暗を遠ざく。
ニコライよ、我等度生の累、惡鬼の攻擊、惡しき人人の誘惑に絕えず烈しく荒らさるる者を常に宥め給へ、我等皆爾を讚頌せん爲なり。
嗚呼我が靈よ、主宰が爾を審判に曳きて、爾の隱れたる行を審判せんとする畏るべき日及び時を思ひて、彼に呼べ、救世主よ、ニコライの祈禱に由りて我を救ひ給へ。
生神女讚詞 純潔なる童貞女よ、我等は喜を以て爾に神聖なるガウリイルの聲を奉りて呼ぶ、常に生命の樹を其中に有つ樂園よ、慶べ、言の至榮なる宮よ、慶べ。
挿句に使徒の讚頌、第四調。
ハリストス神よ、爾は聖神を以て使徒の會を照し給へり。求む、彼等に因りて我等の罪の汚を滌ひて、我等を憐み給へ。
句 主よ、夙に爾の憐を以て我等に飽かしめよ、然せば我等生涯歡び樂しまん。爾我等を撲ちし日、我等が禍に遭ひし年に代へて、我等を樂しましめ給へ。願はくは爾の工作は爾の諸僕に著れ、爾の光榮は其諸子に著れん。
ハリストス神よ、爾の聖神は無學なる門徒を敎導師と爲し、多種の方言の調和を以て迷を空しくし給へり、全能の主なればなり。
句 願はくは主吾が神の惠は我等に在らん、願はくは我が手の工作を我等に助け給へ、我が手の工作を助け給へ。
致命者讚詞 主よ、爾の聖人等の死は貴し、蓋彼等は劍と、火と、嚴寒とに壞られ、己の血を流して、恃賴を爾に負はせたり。故に救世主よ、彼等は忍びたる後に其功勞の報として爾より大なる惠を受けたり。
光榮、今も、生神女讚詞 至淨なる生神女よ、我等爾を墻と穩なる湊及び堅固として獲たり。故に我生命の激浪に遭ふ者は祈る、舵を操りて我を救ひ給へ。
木曜日の聖体礼儀に
木曜日の眞福詞、第四調。
アダムは木に緣りて樂園より出され、盜賊は十字架の木に緣りて樂園に入りたり。彼は食して造物主の誡に背き、此し共に十字架に釘せられて、隱れたる神を認めて籲べり、爾の國に於て我を憶ひ給へ。
句 義の爲に窘逐せらるる者は福なり、天國は彼等の有なればなり。
牧者及び羔の神゜靈の養育たる睿智なる者よ、爾等は彼より羔の如く狼の中に遣されて、神聖なる傳道を以て其猛烈を溫柔に變じ、信と堅固なる念とを以て呼ばしむ、救世主よ、爾の國に於て我等を憶ひ給へ。
句 人我の爲に爾等を詬り、窘逐し、爾等の事を譌りて諸の惡しき言を言はん時は、爾等福なり。
主の使徒よ、爾等は全地を巡りて、光明なる星の如く暗き迷を散じて、救の光を迷はされたる者に照せり。故にハリストスの傳道師よ、我等は爾等を讚美して求む、常に我等の爲に主に祈り給へ。
句 喜び樂しめよ、天には爾等の賞多ければなり。
致命者讚詞 睿智にして福たる者よ、爾等は殺され、物質の火に焚かれて、暗き多神の迷を焚き盡せり。今は信を以て爾等に來る者に醫治の流を注ぎて、熱切にハリストスに呼ばしむ、爾の國に於て我等を憶ひ給へ。
光榮、聖三者讚詞 我等は堅固なる思と警醒の心とを以て最高きに坐する父、其同座たる子、及び聖神に言はん、分れざる聖三者、嘗て言を以て萬物を造り、萬衆を照す神よ、信を以て爾に呼ぶ、爾の國に於て我等を憶ひ給へ。
今も、生神女讚詞 神の母、純潔なる少女よ、爾は使徒の歡喜、受難者の實に凋まざる榮冠なり。女宰よ、彼等と偕に我等爾に祈る者の爲に諸罪の赦と生命の更新とを求め給へ、蓋我等信を以て爾に呼ぶ、實に諸福の寶藏なる者よ、慶べ。
木曜日の晩課
「主よ、爾に籲ぶ」に十字架の讚頌、第四調。
句 主よ、若し爾不法を糾さば、主よ、孰か能く立たん。然れども爾に赦あり、人の爾の前に敬まん爲なり。
恒忍なる言よ、萬物は爾が十字架に釘せらるるを見る時、變ぜられて慄けり、地は震ひ動き、殿の幔は爾が辱しめらるるに因りて畏れて裂かれ、磐は畏懼に因りて碎かれ、日は爾が己の造成主なるを知りて光線を匿せり。
句 我主を望み、我が靈主を望み、我彼の言を恃む。
如何ぞ至りて不法なる會は爾不死の審判者、昔野に於て見神者モイセイに律法を授けし主を畏るるなく定罪したる、如何ぞ爾萬衆の生命が木の上に死したるを見て聊も畏れず、爾が獨造物の主宰たることを心に懷はざりし。
句 我が靈主を待つこと、番人の旦を待ち、番人の旦を待つより甚し。
慈憐多き主よ、原祖アダムが古世よりの罪の書券は爾の脅の刺さるるを以て裂かれ、棄てられたる人の性は爾の血の沃ぐを以て聖にせられて呼ぶ、全能なるイイスス、我等の靈の救主よ、光榮は爾の仁慈に歸し、光榮は爾の神聖なる釘刑に歸す。
次に、之あらば、月課經の聖人の讚頌。若し月課經なくば、又至聖なる生神女の讚頌、第四調。
句 願はくはイズライリは主を恃まん、蓋憐は主にあり、大なる贖も彼にあり、彼はイズライリを其悉くの不法より贖はん。
主よ、爾の潔き母は爾が十字架に釘せらるるを見て、驚きて呼べり、至愛の子よ、此の觀る所は何ぞや、爾の多くの奇跡を樂しみし不順不法の會は斯く爾に報ゆるか。主宰よ、光榮は爾の言ひ難き寬容に歸す。
句 萬民よ、主を讚め揚げよ、萬族よ、彼を崇め讚めよ。
復上の讚頌を誦す。
句 蓋彼が我等に施す憐は大なり、主の眞實は永く存す。
羔及び牧者たる爾が木の上に在るを見て、生みし牝羊は哭き、母として爾に言へり、至愛の子、恒忍なる主宰よ、如何ぞ十字架の木に懸りたる、言よ、如何ぞ爾の手足は不法者より釘せられて、爾血を流したる。
光榮、今も、十字架生神女讚詞 主よ、童貞女爾の母は爾が十字架に懸けられしを見て訝り、目を注ぎて云へり。主宰よ、爾の多くの恩賜を樂しみし者は何をか爾に報いたる。惟祈る、我を獨世に遺す毋れ、速に復活して、己と偕に原祖を起し給へ。
次ぎて「穩なる光」。本日の提綱。「主よ、我等を守り」。
挿句に十字架の讚頌、第四調。
ハリストスよ、爾は勝たれぬ武器として爾の十字架を我等に賜へり、我等此を以て仇敵の惡謀に勝つ。
句 天に居る者よ、我目を擧げて爾を望む。視よ、僕の目主人の手を望み、婢の目主婦の手を望むが如く、我等の目は主我が神を望みて、其我等を憐むを俟つ。
ハリストスよ、我等は常に爾の十字架を佑助として有ちて、輙く敵の網を踐む。
句 主よ、我等を憐み、我等を憐み給へ、蓋我等は侮に饜き足れり、我等の靈は驕る者の辱と誇る者の侮とに饜き足れり。
爾の諸聖人の記憶の中に榮せらるるハリストス神よ、彼等の祈禱を納れて、我等に大なる憐を垂れ給へ。
光榮、今も、十字架生神女讚詞 母よ、我爾の子及び神、地を寄する所なくして水の上に懸け、萬物を造りし者が木の上に懸けられしを見て哭く毋れ、蓋我復活して光榮を獲、異能を以て地獄の國を滅し、其力を破りて、慈憐なるに由りて縛られし者を苦より釋き、人を愛するに由りて我が父に攜へん。
次ぎて「主宰よ、今爾の言に循ひ」。聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞。聯禱及び發放詞。
木曜日の晩堂課
至聖なる生神女の規程、第四調。
第一歌頌
イルモス 我が口を開きて、聖神に滿てられ、言を女王母に奉り、樂しみ祝ひ、喜びて其奇迹を歌はん。
潔き神の母よ、爾は獨爾の諸僕の轉達、避所、及び保護なり、故に我爾に俯伏して呼ぶ、慈憐なるに因りて、我不當の者を救ひ給へ。
汚れたる行は面に之を責むる我が良心を傷ましむ。女宰よ、急ぎて我が爲に援助と爲りて、終の前に我を之より脫れしめて救ひ給へ。
光榮 至聖なる言を生みし女宰、天上の軍よりも聖にして、獨讚美たる者よ、我が汚れたる心を聖にし給へ。
今も 我が救の恃賴を我爾に負はしめて、信を以て爾慈憐なる童貞女に趨り附く。恃賴なき者の恃賴よ、我を棄つる毋れ、我を惡鬼の悅と爲す毋れ。
第三歌頌
イルモス 生神女、生活にして盡きざる泉よ、祝ひて爾を讚め歌ふ者の靈を固め、彼等に爾が神妙なる光榮の中に榮冠を冠らしめ給へ。
無玷純潔なる者よ、我罪の熱に焚かるる者に爾の慈憐の露を注ぎ、自ら我が悲を凉しくして、神聖なる喜を我に與へ給へ。
生神女よ、祈る、爾善なるに因りて爾の中に在る光を以て我が智慧の幽暗を散じ、宏恩慈憐なるに因りて我を痛悔の範に效はしめ給へ、我が救はれて爾を讚美せん爲なり。
光榮 神の恩寵を蒙れる童貞女よ、爾の慈憐の注ぐを以て我が諸慾の熾炭を滅し給へ。金の燈臺たる純潔なる者よ、我が心の滅えたる燈を點じ給へ。
今も 罪の浪と不當なる思念の暴風とは我を溺らす。純潔なる者よ、爾慈憐なるに因りて我を憐みて、我に援助の手を伸べ給へ、我が救はれて爾を讚美せん爲なり。
第四歌頌
イルモス 預言者アウワクムは爾至上者が童貞女より身を取り給ふ神の測り難き定制を洞察して籲べり、主よ、光榮は爾の力に歸す。
至りて奇異なる神の母、童貞女よ、我に痛悔の光を輝して、吾が不當なる靈の幽暗を散じ、我が心の惡しき思を退け給へ。
祝讚せらるる者よ、我信を以て爾衆人の潔淨たる者に祈りて求む、爾の子を我が爲に慈憐なる審判者と爲し給へ、我が讚歌を以て爾を讚榮せん爲なり。
光榮 獨潔き者よ、我が卑微なる心、諸慾の不潔なる行動に因りて癩病と爲りし者を醫師として醫して、惡鬼の手より出し給へ。
今も 女宰よ、福たるアウワクムは嘗て神に感ぜらるる言を以て爾を樹蔭繁き聖山と名づけて、南より來りて爾より人體を取り給ふ主を最明に宣傳せり。
第五歌頌
イルモス 萬物は爾が神妙の光榮に驚かざるなし、爾婚配を識らざる童貞女は至上の神を孕み、永遠の子を生みて、凡そ爾を歌ふ者に平安を賜へばなり。
純潔なる女宰よ、我諸慾と惡念とに殺されたる者は爾の慈憐と爾の熱切なる帲幪と援助とに趨り附く、獨生命を生みし者よ、吾が心を活かし給へ。
我が爲に戈を以て傷つけられて、蛇の心に傷つけし主救世主を生みし至淨なる者よ、罪の武器に傷つれられし我を爾の效驗ある醫療を以て醫し給へ。
光榮 無玷にして讚美たる生神女よ、我が心の痛を醫し、我が靈の諸慾を退け、煩悶の黑暗を散じ給へ、我が讚美の歌を以て爾永福なる者を讚頌せん爲なり。
今も 童貞女は其生長せしめし葡萄の房の木に懸れるを見て呼べり、子よ、爾は液汁を滴らして、爾至りて恒忍なる主を十字架に釘せし敵の醉を醒まし給ふ。
第六歌頌
イルモス 神の信者よ、來りて、神の母の此の神妙なる至りて尊き祭を祝ひ、手を拍ちて、彼より生れし神を讚榮せん。
獨衆人の援助なる者よ、我等を患難の中に援け給へ、獨神の恩寵を蒙れる者よ、我等に手を授けて、救の港に導き給へ。
至淨なる者よ、畏るべき時に於て我を惡鬼の詰問と、定罪と、火と、幽暗と、苦より脫れしめ給へ。
光榮 讚美たる者よ、我爾を讚頌し、爾の尊榮偉大なるを讚榮す。爾我を不潔なる諸慾より解きて、永遠の光榮に與らしめ給へ。
今も 童貞女よ、我等爾を歌頌すべきに、實に宜しきに合ひて之を爲す能はず、故に爾を歌ひて、默して爾に於て行はれし言ひ難き奧密を尊む。
次ぎて主憐めよ、三次。光榮、今も、
坐誦讚詞、第四調。
神の言よ、爾の至淨なる母は爾が十字架に擧げられしを見し時、母として哭きて云へり、吾が子よ、斯の新にして驚くべき奇跡は何ぞや、如何ぞ爾萬衆の生命は慈憐の者として死者を活かさんと欲して死を嘗むる。
第七歌頌
イルモス 敬虔の者は造物主に易へて造物に事ふることをせざりき、火の嚇を勇ましく踐みて、喜び歌へり、讚美たる主、先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
變易せざる主を生みし獨神の恩寵を蒙れる潔き者よ、惡鬼の誘惑に因りて甚しく變じたる吾が心が主の右の手に因りて善に變ぜんことを祈り給へ。
ハリストス王を生みし女王童貞女よ、慾に由りて傴みたる我を憐みて救ひ給へ。信者の救なる者よ、信を以て我を堅めて、救の道に向はしめ給へ。
光榮 無玷なる者よ、爾より生れし主の前に我が爲に祈禱者と爲りて、我に罪債の赦を與へ、神の國に入ること、福樂に分あること、及び光に與ることを得しめ給へ。
今も 純潔なるマリヤ、婚姻に與らざる潔き童貞女、仁慈の無量なる者、身にて神を生みし者よ、我等を凡の憂患及び罪より脫れしめんことを彼に祈り給へ。
第八歌頌
イルモス 生神女の產は敬虔の少者を爐の中に守れり。其時に預め徵され、今已に應ひし此の產は全世界に勸めて爾に歌はしむ、造物は主を歌ひて、萬世に彼を讚め揚げよ。
我放蕩にして生命を費し、凡の汚穢を行ひし者は審判に戰き、詰問に戰き、吾が對と定罪とに戰く。潔き者よ、我が不當なる靈を憐みて、死の前に我に光照を與へ給へ。
婚姻に與らざる神の母よ、我救の恃賴を悉く爾に負はしめて、常に爾を援助の爲に呼ぶ、我を諸の憂患及び敵の攻擊より救ひ、我が惡の縲絏を解きて、我を永遠の幽暗より脫れしめ給へ。
光榮 純潔なる女宰よ、爾は諸天使より上なる者と現れて、言ひ難く身にて神を生み給へり。童貞女よ、彼に祈りて、我を肉體の誘惑より上なる者と爲して、將來の審判及び永遠の苦より脫れしめんことを求め給へ。
今も 神聖なる水の泉を胎内に有ちし潔き童貞女よ、我に之を滿てて、我が罪の汚を滌ひ、我を救の生命に導き、我が不當なる靈の煩悶を斥け、我を惡鬼より救ひ給へ。
第九歌頌
イルモス 凡そ地に生るる者は聖神に照されて樂しみ、形なき智慧の性も祝ひ、神の母の聖なる祭を尊みて呼ぶべし、至りて福なる潔き生神女、永貞童女よ、慶べよ。
神の恩寵を蒙れる至淨なる女宰よ、爾の力ある祈禱を以て我が汚れたる靈と體との罪の基を壞り給へ。嗚呼純潔なる者よ、救の醫治として我に主宰を畏るる畏を與へ給へ。
至りて無玷なる者よ、爾は我の光照、爾は我の贖及び喜悅、爾は我の保護者、爾は我の光榮、美譽、恃賴、及び我が拯救なり。我熱信に爾に伏拜して呼ぶ、我爾の不當なる僕を救ひて、地獄の門より脫れしめ給へ。
光榮 至仁なる救世主を生みし潔淨無玷なる者よ、我爾の僕を宥めて救ひ給へ、我を痛悔の途に向はしめ、凶惡者の誘惑を我より退け、其網より我を出し、永遠の火より我を脫れしめ給へ。
今も 至りて無玷なる者よ、曾て身なき言は爾より身を衣て、人として世に在し、慈憐なる者として、昔衆人を苦しめし者を神の力を以て斃し給へり。
次ぎて「常に福にして」、及び叩拜。聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞。其他常例の如し、及び發放詞。
金曜日
金曜日の早課
第一の誦文の後に十字架の坐誦讚詞、第四調。
爾は己の尊き血を以て我等を律法の詛より贖へり、十字架に釘せられ、戈にて刺されて、人人に不死を流し給へり。我等の救世主よ、光榮は爾に歸す。
句 主我が神を崇め讚め、其足凳に伏し拜めよ、是れ聖なり。
救世主よ、イウデヤ人爾を十字架に釘せしに、爾は、ハリストス我が神よ、此を以て我等を異邦の中より召し給へり。獨人を慈む主よ、爾は甘じて手を其上に伸べ、戈にて爾の脅の刺さるるを受け給へり、爾の多くの慈憐に由りてなり。
光榮、今も、十字架生神女讚詞 純潔なる童貞女、ハリストス神の母よ、爾が己の子及び神の甘じて十字架に釘せらるるを見し時、劍は爾の至聖なる靈を貫けり。至りて讚美たる者よ、我等に諸罪の赦を賜はんことを絕えず彼に祈り給へ。
第二の誦文の後に坐誦讚詞、第四調。
ハリストス我が神よ、爾を謗り、我等を嚇す諸敵が我等を服せしめざる先に速に我等を助け給へ。獨人を慈む主よ、爾の十字架を以て我等と戰ふ者を滅し給へ、我が諸敵が正敎者の信は生神女の祈禱に因りて如何なる力を有つかを悟らん爲なり。
句 神我が古世よりの王は救を地の中に作せり。
主宰よ、爾の神聖なる脅が戈にて傷つけられしに、見えざる敵の武器は悉く盡きて、其惡業の凡の暴虐は息みたり。故に我等爾の救を施す苦に伏拜して、爾の神聖なる定制を讚榮す。
句 神よ、爾は爾の聖所に於て嚴なり。
今日天使の軍は受難者の記憶に於て來りて、信者の意念を照し、恩寵を以て世界を耀す。神よ、彼等の祈禱に由りて我等に大なる憐を賜へ。
光榮、今も、十字架生神女讚詞 神の言よ、爾の至淨なる母は爾が十字架に擧げられしを見し時、母として哭きて云へり、吾が子よ、斯の新にして驚くべき奇跡は何ぞや、如何ぞ爾萬衆の生命は慈憐の者として死者を活かさんと欲して死を嘗むる。
第三の誦文の後に坐誦讚詞、第四調。
至仁なる言よ、爾は無量の慈憐に因りて我等の爲に甘じて非義なる裁判と十字架と死とを忍び給へり、誘惑に由りて朽壞に陷りし衆人を定罪及び古の詛より解かん爲なり。故に我等爾の十字架に伏拜す。
ハリストス言よ、爾義の日が木の上に懸けられしを見て、日は光を晦まし、造物は震ひ、死者は寢より覺むるが如く疾く墓より起きて、爾の神聖なる權能の光榮を歌頌せり。
光榮、今も、十字架生神女讚詞 ハリストスよ、爾の無玷なる母は爾が十字架に擧げらるるを見し時、母として哭きて斯く云へり、吾が子よ、斯の新にして驚くべき奇跡は何ぞや、我が甘愛なる光よ、如何ぞ不法の會は爾萬衆の生命を十字架に釘する。
尊貴にして生命を施す十字架の規程、其冠詞は、十字架に釘せられしハリストスは迷を解き給ふ。イオシフの作。第四調。
第一歌頌
イルモス 我が口を開きて、聖神に滿てられ、言を女王母に奉り、樂しみ祝ひ、喜びて其奇迹を歌はん。
恒忍にして慈憐なる主よ、爾は十字架に神聖なる手を伸べて、亾ぶる世界を爾の權能を知る智識に召し給へり。故に我等爾の仁慈を崇め讚む。
無原なる言よ、モイセイは蛇を擧げて、爾の神聖なる十字架に釘せらるることを預象せり、之に由りてアダムの墮落の緣由と爲りし毒惡の蛇は墮落せり。
致命者讚詞 致命者は今諸聖者の光の中に居るを得て、パワェルの言ひし如く、震ふべからざる國を受けて、ハリストスの光榮に與る者と爲れり。
致命者讚詞 致命者よ、爾等の忍び難き苦の浪に漾はさるる舟は沈まざりき、蓋萬有の王は舵を操りて、之を穩なる港に到らしめ給へり。
生神女讚詞 女宰童貞女よ、爾がハリストスの十字架に釘せられて、戈にて刺さるるを見し時、シメオンの言ひし如く、劍は爾の心を貫けり、故に爾は哭きて痛を忍び給へり。
又至聖なる生神女の規程、第四調。
第一歌頌
イルモス同上
潔き神の母よ、爾は獨爾の諸僕の轉達、避所、及び保護なり、故に我等俯伏して爾に呼ぶ、女宰よ、爾の慈憐を以て我等を救ひ給へ。
至聖なる言を生みし女宰、天上の軍よりも聖なる至りて潔き少女よ、我が汚れたる心を聖にし給へ。
純潔なる者よ、爾は陷りし者の喚起、立てる者の堅固なり。故に我爾に祈る、女宰よ、罪に由りて墮落せし吾が心を直くし給へ、我が爾を讚榮せん爲なり。
神の母よ、我憂に由りて死して、行動なく臥す者に爾の援助の手を伸べて、起して、我を神聖なる樂に滿てらるる者と爲し給へ。
第三歌頌
イルモス 生神女、生活にして盡きざる泉よ、祝ひて爾を讚め歌ふ者の靈を固め、彼等に爾が神妙なる光榮の中に榮冠を冠らしめ給へ。
ハリストスよ、至りて不法なる人人は爾、神の羔たる者、慈憐に由りて愛する羊を殘忍なる狼より救はんと欲する者を羊の如く屠の爲に牽けり。
主よ、爾は義を以て全地を審判する者にして、審判者の前に立ちて非義なる審判を受けたり、詭譎なる世君の奴隷と爲りし我を自由にせんと欲する者にして、頰を批たるるを忍び給へり。
致命者讚詞 聖なる者は法の爲に苦を受けて、不法なる敵を辱かしめ、衆人の復活の爲に甘じて殺されて、死の緣由たる蛇に勝てり。
致命者讚詞 聖なる致命者は苦を歷て地上より擧げられて、榮福に移り、有形の者にして無形の者に合せられて、言ひ難き歡喜に滿てられたり。
生神女讚詞 神の恩寵を蒙れる女宰童貞女よ、爾より實にエワの爲に更新は現れたり、卽神、身にて生れ、十字架に擧げられて、惡鬼を斃す者なり。
又 イルモス同上
至淨なる童貞女よ、我度生の海に烈しく溺らさるる者を憐みて、救の穩なる港に向はしめ給へ、我爾を惟一の恃賴として獲たればなり。
生神女よ、祈る、爾善なるに因りて爾の中に在る光を以て我が智慧の幽暗を散じ、宏恩慈憐なるに因りて我を痛悔の範に效はしめ給へ、我が救はれて爾を讚美せん爲なり。
神の恩寵を蒙れる童貞女よ、爾の慈憐の注ぐを以て我が諸慾の熾炭を滅し給へ。金の燈臺たる純潔なる者よ、我が心の滅えたる燈を點じ給へ。
神の母よ、爾慈憐なる者として慾に由りて甚しく病める我が不當の靈を顧みて、爾の祈禱を以て我を救ひ給へ、我が最善なる生命を獲て爾を崇め讚めん爲なり。
第四歌頌
イルモス 預言者アウワクムは爾至上者が童貞女より身を取り給ふ神の測り難き定制を洞察して籲べり、主よ、光榮は爾の力に歸す。
仁愛なる主よ、爾は我を罪の縛より解かん爲に甘じて縛られ、罪犯者の如く十字架に死し給へり。光榮は爾の大なる慈憐に歸す。
神の言よ、爾は傷創及び耻づべき死を忍びて、慾に由りて殺されたる地上の者の性を不死と爲し給へり、光榮は爾の大なる慈憐に歸す。
致命者讚詞 致命者は至聖神に因りて神の悅を嗣がんと欲して、欣ばしき靈を以て傷創及び苦しき死を忍びて、凶惡者に傷つけたり。
致命者讚詞 聖なる致命者よ、爾等は手及び首を斷たれ、舌を截られ、目には光を奪はれ、百體は寸斷せられたれども、神より斷たれずして止まれり。
生神女讚詞 主宰よ、爾戈にて刺されしに、アダムの罪の書券は破られたりと、生神女は主の十字架の側に立ちて、苦の中に呼べり。
又 イルモス同上
純潔なる神の母、童貞女よ、我に痛悔の光を輝して、吾が不當なる靈の幽暗を散じ、我が心の惡しき思を退け給へ。
仁慈寬容なる主宰を生みし至淨なる童貞女母よ、慈憐なる者として、常に彼に我等を仇敵より救はんことを祈り給へ。
祝讚せらるる者よ、我信を以て爾衆人の潔淨たる者に祈りて求む、爾の子を我が爲に慈憐なる審判者と爲し給へ、我が讚歌を以て爾を讚榮せん爲なり。
至淨なる者よ、我常に爾を扶助者と有ちて、畏るべき者なし、誰か爾の僕を憂へしめんと欲して懼れざらん。
第五歌頌
イルモス 萬物は爾が神妙の光榮に驚かざるなし、爾婚配を識らざる童貞女は至上の神を孕み、永遠の子を生みて、凡そ爾を歌ふ者に平安を賜へばなり。
救世主よ、日は爾日たる者が十字架に擧げられしを見て、光線を匿して輝くを得ざりき。爾は入りて、迷の夜に寢ぬる者を照して、爾の權能に伏拜せしめたり。
主よ、爾は慈憐に由りて十字架に釘せられて我を救ふ、仁慈なる主として、膽と醋とを嘗めて、我等を誘ひて朽壞せしめし逸樂を嘗むる罰より脫れしめ給ふ。
致命者讚詞 神聖なる致命者よ、爾等は聖神の溫煖を以て迷の冬を去らしめ、喜びて安息の春に至りて、凡そ憂患の中に在る者を助け給ふ。
致命者讚詞 聖なる致命者よ、爾等は神聖なる血の雨を以て全地を潤して、無神の流を涸らせり、故に今生命の水の畔に樂しみて、衆人の爲に祈り給ふ。
生神女讚詞 神の恩寵を蒙れる者は身にて生みし子の木に擧げられしを見て、淚を流して、實に彼の恒忍を奇として、其寬容を讚美せり。
又 イルモス同上
純潔なる女宰よ、我諸慾と惡念とに殺されたる者は爾の慈憐と爾の熱切なる帲幪と援助とに趨り附く、獨生命を生みし者よ、吾が心を活かし給へ。
光を賜ふ主、神又人を生みし至淨なる女君よ、我が昧まされたる心を照し給へ、母として彼に畏るべき日の前に我に救を賜はんことを祈り給へ。
純潔にして讚美たる生神女よ、我が心の痛を醫し、我が靈の諸慾を退け、煩悶の黑暗を散じ給へ、我が讚美の歌を以て爾永福なる者を讚頌せん爲なり。
女宰よ、我が諸敵の驕を仆し給へ、我獨爾を轉達者と倚賴、及び堅固なる扶助として有てばなり。潔き者よ、爾我を護りて、諸敵の諸の攻擊より脫れしめ給へ。
第六歌頌
イルモス 神の信者よ、來りて、神の母の此の神妙なる至りて尊き祭を祝ひ、手を拍ちて、彼より生れし神を讚榮せん。
仁慈なる主よ、爾は十字架に釘せられて、忍びたる苦を以て人類の苦を止めて、衆を苦なき生命に至らしめ給ふ。
日は光線を匿し、殿の裝飾は裂かれ、地は震ひ、磐は畏に因りて崩れたり、造物主の十字架に在るを見るに勝へざればなり。
致命者讚詞 蛇は神聖なる致命者が苦にて殺され、神の恩寵に因りて實に永遠の生命を繼ぐを見て死したり。
致命者讚詞 常に生くる致命者の無量の大數よ、爾等は多くの苦を忍びて、亦多くの榮冠を獲たり。祈る、我が惡の多きを退け給へ。
生神女讚詞 純潔なる神の母、爾の產を以て難に遇ひたる衆造物を救ひし者よ、我諸難の海に漾ふ者の爲に港と爲り給へ。
又
イルモス 三日の葬を預象する預言者イオナは鯨の中に在りて祈りて籲べり、イイスス萬軍の王よ、我を淪滅より救ひ給へ。
義の日の雲たる女宰、永貞童女よ、我に痛悔の光を輝かして、我が惡しき思念の雲を散らし給へ。
颶風に遇ふ者の大なる港たる永貞童女よ、我が諸慾の烈しき浪を治め、惡しき思念の暴風を鎭め給へ。
獨讚美たる女宰よ、我に傷感の飮料を飮ませ、淚の川を與へ給へ、我が此を以て永遠の焰を滅さん爲なり。
實に慈憐の海を生ぜし者よ、我が惡の荒れたる海を涸らして、我を神の旨の港に向はしめ給へ。
第七歌頌
イルモス 敬虔の者は造物主に易へて造物に事ふることをせざりき、火の嚇を勇ましく踐みて、喜び歌へり、讚美たる主、先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
ハリストスが木の上に擧げられしに、仇敵は勝たれて、甚しき墮落を以て落ち、曾て定罪せられし者は救はれて呼ぶ、主、先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
ハリストスよ、爾は木の上に死して、木に緣りて殺されたる我を生かし、爾の神聖なる傷にて吾が心の傷を醫し給へり。讚美たる主、先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
致命者讚詞 聖神の力を以て諸病を醫し、惡鬼を人人より逐はんことの恩賜を受けたる勝たれぬ致命者よ、爾等の祈禱を以て吾が心の諸慾を醫し給へ。
致命者讚詞 讚美たる致命者よ、爾等を溺らさんと企てし敵は其役者と偕に爾等の血の中に溺れたり、惟爾等は喜びて歌ふ、主、先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
生神女讚詞 至淨なる者よ、爾は無玷なる聘女、造成主の宮、耕作せられざる地、火の狀の寶座と現れたり。故に我等爾に呼ぶ、爾が神を生みし產を以て人人を神成せし至淨なる女宰よ、慶べ。
又
イルモス 火の中に爾がアウラアムの少者を救ひ、義の審判を被れるハルデヤ人を滅しし讚美たる主、我が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
至淨なる者よ、我厚き愛を以て爾の聖なる帲幪の下に趨り附く、我を空しく還らしむる勿く、我に諸罪の赦を與へて、我を救ひ給へ、我が諸敵の視て恥を得ん爲なり。
神の母・童貞女マリヤよ、我惡を畏れざらん、爾我と偕に在せばなり。我は無慙に我を逐ふ敵を逐ひて、爾の力に堅められて之に勝たん。
萬有の主宰を生みしに由りて常に能せざる所なき祝讚せらるる者よ、我を逸樂及び諸慾の强制より解き給へ、我が喜びて歌はん爲なり、至上者の寶座よ、慶べ。
神に榮せられし至淨なる者よ、我爾の僕は地上に獨爾を保護者、及び實に救を施す堅固なる援助と有ちて、爾に趨り附く、神の母よ、我を執ふる者の罟より救ひ給へ。
第八歌頌
イルモス 生神女の產は敬虔の少者を爐の中に守れり。其時に預め徵され、今已に應ひし此の產は全世界に勸めて爾に歌はしむ、造物は主を歌ひて、萬世に彼を讚め揚げよ。
時に由らざる主宰ハリストスよ、爾は定期に來りて、我を定期の縲絏より釋き、甘じて縛られて、傲慢の者を解かれぬ桎梏に付し、十字架及び苦を以て我を救ひ給ふ。故に我爾を世世に崇め讚む。
ハリストスよ、爾は甘じて木に擧げられて、萬物を己と偕に擧げ給へり。讚美たる言、無原なる主よ、爾は己の苦を以て幽闇の首領及び權柄を不能の者と爲し給へり。故に我等爾を萬世に讚め歌ふ。
致命者讚詞 至りて美しき致命者よ、爾等は車に於けるが如く己の血に乘じて天上の居處に升り、ハリストスより當然の尊貴を受けて呼ぶ、主を歌ひて、世世に彼を讚め揚げよ。
致命者讚詞 受難者致命者は木に擧げられ、穴に棄てられ、猛獸に畀へられ、火及び水に投ぜられて、喜びて歌へり、主を歌ひて、世世に彼を讚め揚げよ。
生神女讚詞 純潔なる母は衆に神聖なる救の勇敢を與ふるハリストスの木の上に眠りしを見て、哭きて呼べり、此の至りて新なる奇跡は何ぞや、衆を活かす者は甘じて死す。
又 イルモス同上
我放蕩にして生命を費し、凡の汚穢を行ひし者は審判に戰き、詰問に戰き、吾が對と定罪とに戰く。審判者を生みし潔き者よ、其時我に臨みて、我を危難より救ひ給へ。
婚姻に與らざる神の母よ、我救の恃賴を悉く爾に負はしめて、常に爾を援助の爲に呼ぶ、我を諸の憂患及び敵の攻擊より救ひ、我が惡の縲絏を解きて、我を永遠の幽暗より脫れしめ給へ。
神の母童貞女よ、我が終の時に我を惡鬼の手、苦しき魔關、畏るべき詰問、殘忍なる世君、及び永遠の定罪より脫れしめ給へ。
女宰童貞女よ、爾の僕を凡の敵の惡謀より護り給へ。我爾を帲幪と保護、避所及び保固として有てばなり。獨人類の轉達者よ、我爾に由りて敵の罟より脫れんことを願ふ。
次に生神女の歌を歌ふ、「我が靈は主を崇め」、躬拜と共に。
第九歌頌
イルモス 凡そ地に生るる者は聖神に照されて樂しみ、形なき智慧の性も祝ひ、神の母の聖なる祭を尊みて呼ぶべし、至りて福なる潔き生神女、永貞童女よ、慶べよ。
仁愛なる主よ、爾は萬衆を審判せんとするものにして、審判せられて立ち給へり。ハリストス救世主よ、爾は甘じて棘の冠を冠りて、不順の棘を根より拔き、衆人の爲に爾の仁慈を知る知識を植ゑ給へり。
嗚呼如何ぞ不法なる人人は媢嫉に昧まされて、爾光を施す主、至義無玷なる者を十字架に付したる。爾の苦を見て日は晦み、殿の裝飾は裂け、地の基は動けり。
致命者讚詞 聖なる致命者よ、爾等はハリストスの苦に效ふ者と爲りて、彼と偕に國及び光照を嗣ぎたり。故に睿智者よ、爾等を歌ふ者を照して、之を罪の暗昧及び諸の誘惑より脫れしめ給へ。
致命者讚詞 已に天の居處に入り、永在の光榮を受け、神に體合するに因りて神成せられし睿智にして永光なる致命者よ、我等衆熱信に爾等の至聖至尊なる記憶を尊む者を憶ひ給へ。
生神女讚詞 潔き少女よ、愛を以て爾を歌頌讚美する者を照して、我が諸慾の暗昧を解き、暴風を鎭め、凶惡者の誘惑を退け、吾が皇帝に諸敵に對する勝利を與へ給へ、爾の祈禱に因りてなり。
又 イルモス同上
地上に在る者の爲に實に歡喜を生みし至淨なる者よ、慶べ、爾に趨り附く者の救の港及び帲幪よ、慶べ、陷りたる者を升せたる潔き梯よ、慶べ、至福なる生神女、吾等の靈の恃賴よ、慶べ。
神の恩寵を蒙れる至淨なる女宰よ、爾の力ある祈禱を以て我が汚れたる靈と體との罪の基を壞り給へ。鳴呼純潔なる者よ、救の醫治として我に主宰を畏るる神聖なる畏を與へ給へ。
至りて無玷なる者よ、爾は我の光照、爾は我の贖及び喜悅、爾は我の保護者、爾は我の光榮、美譽及び我が拯救の恃賴なり。我熱信に爾に伏拜して呼ぶ、我爾の不當なる僕を救ひて、地獄の門より脫れしめ給へ。
至仁なる救世主を生みし潔淨無玷なる者よ、我爾の僕を宥めて救ひ給へ、我を痛悔の途に向はしめ、凶惡者の誘惑を我より退け、其網より我を出し、永遠の火より我を脫れしめ給へ。
次ぎて「常に福にして」、聯禱、光耀歌、及び常例の聖詠。
挿句に讚頌、第四調。
イイスス我が救世主よ、願はくは爾の十字架は我等の爲に墻と爲らん、蓋我等信者は爾身にて其上に釘せられて、我等に大なる憐を賜ふ主の外に他の倚賴を有たず。
句 主よ、夙に爾の憐を以て我等に飽かしめよ、然せば我等生涯歡び樂しまん。爾我等を撲ちし日、我等が禍に遭ひし年に代へて、我等を樂しましめ給へ。願はくは爾の工作は爾の諸僕に著れ、爾の光榮は其諸子に著れん。
主よ、爾は凡そ爾を畏るる者に記號として爾の尊き十字架を賜へり、爾は此を以て幽暗の首領及び權柄を辱しめ、我等を初の福樂に升せ給へり。故に全能のイイスス、我が靈の救主よ、我等は爾の仁愛なる定制を讚榮す。
句 願はくは主吾が神の惠は我等に在らん、願はくは我が手の工作を我等に助け給へ、我が手の工作を助け給へ。
聖なる致命者よ、誰か爾等が戰ひし善き戰を見て驚かざらん、如何ぞ肉體に在りて、ハリストスを承認し、十字架を武器として、肉體なき敵に勝ちたる。故に爾等は宜しきに合ひて惡鬼を逐ふ者、諸敵を退くる者と顯れて、常に我等の靈の救はれんことを祈り給ふ。
光榮、今も、十字架生神女讚詞 主よ、爾の潔き母は爾が十字架に釘せられしを見て、驚きて呼べり、至愛の子よ、此の觀る所は何ぞや、爾の多くの奇跡を樂しみたる不順不法の會は斯く爾に報ゆるか。主宰よ、光榮は爾の言ひ難き寬容に歸す。
次ぎて「至上者よ、主を讚榮し」、聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞、聯禱、第一時課、其他常例の如し、幷に發放詞。
金曜日の聖体礼儀に
金曜日の眞福詞、第四調。
アダムは木に緣りて樂園より出され、盜賊は十字架の木に緣りて樂園に入りたり。彼は食して造物主の誡に背き、此は共に十字架に釘せられて、隱れたる神を認めて籲べり、爾の國に於て我を憶ひ給へ。
句 義の爲に窘逐せらるる者は福なり、天國は彼等の有なればなり。
獨恒忍なる主よ、天軍は爾が十字架に伸べられしを見て、訝りて慄き、地は震ひ、光體の華美は消えたり。人を愛する主よ、爾非義に定罪せられしに、定罪せられしアダムは義とせられたり。我爾の仁慈を讚榮す。
句 人我の爲に爾等を詬り、窘逐し、爾等の事を譌りて諸の惡しき言を言はん時は、爾等福なり。
主宰よ、爾は髑髏の處に擧げられて、敵の首を碎き、木の上に死して、木の果に緣りて死せし者を活かして、樂園に住む者と爲し給へり、蓋彼等は絕えず爾の仁慈を讚榮して呼ぶ、爾の國に於て我等を憶ひ給へ。
句 喜び樂しめよ、天には爾等の賞多ければなり。
福たる聖致命者よ、爾等は武器として十字架を執り、勇敢なる思念を以て出でて敵と戰ひ、彼等を滅して不朽の榮冠を冠り、天上の光榮を獲て喜ぶ。故に我等信を以て爾等を讚頌す。
光榮 父及び聖神と一體なる救世主よ、爾は明に我等に於ける仁慈を顯して、十字架に釘せられ、海絨と葦、詬辱と傷創を忍び給へり、救世主よ、爾の國に於て我等を憶ひ給へと呼ぶ者を永遠の火より救はん爲なり。
今も 神の母至淨なる女宰よ、處所に限られぬ主は處所に狹められずして爾の聖なる胎に入り、木に懸けられて、世に生命を流し給へり。其人を愛する主なるに因りて、彼に我等の肉體の念を殺して、衆を救はんことを祈り給へ。
金曜日の晩課
「スボタ」の奉事の始及び晩課と早課との式。此等に關する規定は皆第一調に載す。
「主よ、爾に籲ぶ」に聖致命者と成聖者と克肖者との讚詞、第四調。
句 主よ、若し爾不法を糾さば、主よ、孰か能く立たん。然れども爾に赦あり、人の爾の前に敬まん爲なり。
受難者よ、爾等は仁愛なる主ハリストスの苦に熱切に效ひて、肉體を傷創と甚しき苦と無數の疾痛とに付せり、常に目の前に樂園の神聖なる樂、永生の糧、永久の光榮を觀たればなり、此を獲て爾等を歌頌する者の爲に祈り給へ。
句 我主を望み、我が靈主を望み、我彼の言を恃む。
復上の讚頌を誦す。
句 我が靈主を待つこと、番人の旦を待ち、番人の旦を待つより甚し。
聖にせられし光榮なる福たる諸牧師よ、爾等は牧師長ハリストス、萬有の王に效ふ者と爲りて、殘忍なる狼と鬪ひて、甚しき患難を忍び、甘じて己の生命を羊の爲に捐てて、神の選びたる群を諸の害より救ひ給ふ。
又致命者の讚頌、同調。
句 願はくはイズライリは主を恃まん、蓋憐は主にあり、大なる贖も彼にあり、彼はイズライリを其悉くの不法より贖はん。
活ける祭、靈智なる全燔、主の致命者、全備なる屠殺、神を知り又神に知らるる羔、其牢に狼の入る能はざる者よ、我等も爾等と偕に靜なる水の畔に牧せられて休はんことを祈り給へ。
句 萬民よ、主を讚め揚げよ、萬族よ、彼を崇め讚めよ。
主よ、爾の聖人等の死は貴し、蓋彼等は劍と、火と、嚴寒とに壞られ、己の血を流して、恃賴を爾に負はせたり。故に救世主よ、彼等は忍びたる後に其功勞の報として爾より大なる惠を受けたり。
句 蓋彼が我等に施す憐は大なり、主の眞實は永く存す。
聖なる者よ、爾等は救世主の前に勇敢を有ちて、絕えず我等罪人の爲に祈りて、諸罪の赦及び我等の靈の爲に大なる憐を求め給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 生神女よ、爾に因りて神の先祖と爲りし預言者ダワィドは爾に大なる事を爲しし者に、爾の事を歌ひて呼べり、女王は爾の右に立てりと。蓋父なく爾より甘じて人の性を取りし神ハリストス、大にして裕なる憐を有つ主は、爾母を生命の中保者と現せり、是れ慾に朽ちたる己の像を改め、山の中に迷ひし羊を獲て、肩に置き、父の前に攜へ、己の旨に協はせ、之を天軍に合せて、世界を救はん爲なり。
次ぎて「穩なる光」。本日の提綱。
挿句に致命者の讚頌、第四調。
爾の諸聖人の記憶の中に榮せらるるハリストス神よ、彼等の祈禱を納れて、我等に大なる憐を垂れ給へ。
聖なる致命者の忍耐を受けし仁愛の主よ、我等よりも歌を受けて、彼等の祈禱に由りて我等に大なる憐を與へ給へ。
死者の讚頌
人を愛する救世主よ、死せし義人の靈と偕に爾が諸僕の靈を安ぜしめて、彼等を爾に在る福樂の生命に護り給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 滅えざる燈、義の寶座たる至りて潔き女宰よ、我等の靈の救はれんことを祈り給へ。
次ぎて「主宰よ、今爾の言に循ひて」。聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞、及び發放詞。
金曜日の晩堂課
至聖なる生神女の規程、第四調。
第一歌頌
イルモス 童貞女より生れし主よ、祈る、强き軍たる我が靈の諸慾を無慾の深處に沈め給へ、我が鼓を以てするが如く、肉情を殺すに由りて凱歌を爾に歌はん爲なり。
至淨なる神の母よ、我が不當なる靈を諸慾の汚、思念の暴浪、凶惡者の矢、及び敵の諸の攻擊より救ひて、我を永遠の火より脫れしめ給へ。
潔き者よ、我を諸罪の深處より引き上げて、救世主ハリストス神の神聖なる誡の光に向はしめ、痛悔の救の光線を我に輝かして、永遠の生命を與へ給へ。
光榮 我諸慾の泥に陷り、凶惡者の攻擊に痛く壓せられて、起つ能はず。女宰童貞女・母よ、爾の力を以て我を引き上げて、火及び苦より我を救ひ給へ。
今も 純潔にして讚美たる生神女よ、爾は不朽の泉たるハリストス、不死と恩寵とを以て人の性を飾りたる主を生みて、死と朽壞とを滅し給へり。
第三歌頌
イルモス ハリストスよ、我等は智慧と能力と富有とを以て誇るにあらず、乃爾、父と一性なる智慧を以て誇る、人を愛する主よ、爾の外に聖なる者なければなり。
潔き童貞女よ、祈る、現れて爾の轉達を以て吾が靈の暗昧を拂ひ、諸罪の縲絏を截ちて、我を救ひ給へ。
至りて無玷なる童貞女よ、諸慾の攻擊に由りて動ける吾が心を爾の仁慈に由りて神を畏るる最淨き畏を以て堅め給へ。
光榮 至りて無玷なる者よ、我凡の援助を得ざるに由りて失望して、爾權能なる守護者及び帲幪に趨り附きたり。求む、我を爾の神聖なる帲幪より退くる毋れ。
今も 女宰よ、爾は女王として金繍の衣に妝はれ、今王及び神の右に立ちて、爾の諸僕の爲に祈り給ふ。
第四歌頌
イルモス 光榮の中に神性の寶座に坐するイイスス神は、輕き雲に乘るが如く、朽ちざる手に抱かれ來りて、ハリストスよ、光榮は爾の力に歸すと呼ぶ者を救ひ給へり。
神福なる少女よ、我煩悶に纒はれ、諸慾に全く昧まされ、諸罪に服役せし者を解きて、爾の子我等の神に屬せしめ給へ。
無玷なる童貞女よ、生命を生みし者として、我詭譎者の惡に殺されし者を活かし給へ、我爾に趨り附きたればなり。純潔なる童貞女よ、慈憐の者として、我墮落の深處に沈みたる者を引き上げ給へ。
光榮 我無量の逸樂の墓に臥して、煩悶と怠惰とに纒はる。衆人の再興を生みし慈憐なる童貞女よ、我を活かして救ひ給へ。
今も 潔き童貞女よ、昔預言者は爾を神聖なる山、諸德の蔭に蔽はるる者と名づけたり、是より救を施す言は現れて、我等の靈を改め造りて照し給ふ。
第五歌頌
イルモス ハリストスよ、不虔の者は爾の光榮を見ざらん、惟我等は夜より寤めて、爾神の獨生子、父の光榮の輝煌、人を愛する主を崇め歌ふ。
純潔なる童貞女よ、願はくは我が卑微なる靈は爾の子を畏れて、中心より彼の誡を行ふを樂と爲さん。至淨なる女宰よ、爾の祈禱を以て之に導き給へ。
慈憐にして純潔なる女宰よ、吾が心の無智を退けて、我が慾の靈に全心を以て贖罪主を讚め揚ぐるを得しめ給へ。
光榮 慈憐にして至淨なる童貞女よ、我が靈を眸子の如く爾の翼の庇蔭の下に護りて、惡鬼の誘惑及び苦より脫れしめ給へ。
今も 至淨なる童貞女よ、現れて我爾の僕を諸慾の攻擊及び惡鬼より脫れしめ給へ、我爾を有能なる守護者、及び耻を得ざる轉達者として得たればなり。
第六歌頌
イルモス 三日の葬を預象する預言者イオナは鯨の中に在りて祈りて籲べり、イイスス萬軍の王よ、我を淪滅より救ひ給へ。
女宰よ、常に我と戰ふ者を斃し給へ。義の日の門たる神の母よ、我が凶惡なる思の雲を拂ひ給へ。
女宰よ、我に痛悔の光を輝かして、甚しき誘惑に引かれて惱まさるる爾の僕の惡しき思の雲を散じ給へ。
光榮 至りて無玷なる童貞女、衆人の堅固なる轉達者、及び帲幪よ、我が諸慾の激しき浪を鎭めて、惡しき思の暴風を治め給へ。
今も 吾が靈の諸罪は海の砂よりも多くなりて、重任の如く我を壓す。爾童貞女よ、終の前に我を宥めて救ひ給へ。
次ぎて主憐めよ、三次。光榮、今も、
坐誦讚詞、第四調。
我等信者は生神女を我が患難の中に熱切なる守護及び扶助者、神の前の轉達者として讚頌す、我等彼に由りて朽壞より救はれたり。
第七歌頌
イルモス 昔アウラアムの少者はワワィロンに於て爐の焰を蹈みて、歌を以て呼べり、我が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
潔き生神女よ、我熱心に爾を籲ぶ、我が卑微なる心を護りて、我を火の苦及び永遠の黑暗より脫れしめ給へ。
潔き童貞女よ、祈る、爾の子の戈を以て我が諸罪の書券を破りて、我が終の時に我を凡の敵の圍より救ひ給へ。
光榮 潔き童貞女よ、我が淚の流及び爾の慈憐の雨を以て、我が多くの罪が惡鬼の行動に由りて我が爲に備へたる爐を滅し給へ。
今も 言の母、獨一の永貞童女よ、實に心を盡して世世に爾を讚め歌ふ者を之に及ぶ誘惑と凡の苦より脫れしめ給へ。
第八歌頌
イルモス 衆人の贖罪主全能者よ、爾は降りて、焰の中に敬虔を守りし者に露を注ぎて、歌はしめ給へり、悉くの造物は主を歌ひて崇め讚めよ。
生神童貞女、神の聘女よ、我が病める靈を醫し、昧まされたる智慧を照し、我を火及び言ひ難き永遠の苦より脫れしめ給へ。
我無知の慾に傴められ、滅亾の深處に陷りて、自ら己を焰の燃料と爲せり、生神童貞女よ、我爾の僕を之より脫れしめ給へ。
光榮 慈憐の海たる贖罪者及び主を生みし童貞女よ、我が惡の海を涸らし、衆人の救世主を生みし者として、終の前に我が惡の縲絏を解き給へ。
今も 童貞女よ、爾の胎内より身を取りし主、萬物の宰は爾を無玷なる母として榮して、爾をも見ゆると見えざる悉くの者の女君と爲し給へり。
第九歌頌
イルモス エワは不順を病みて、詛を入れたり、爾は、童貞生神女よ、己の產にて世界の爲に祝福の華を發けり。故に我等皆爾を崇め讚む。
胎の荒れたる者より生れし至淨なる生神童貞女よ、神聖なる德の果を結ばざる我が心を、望を以て萬有を變易する主の指麾に由りて果の繁き者と爲し給へ、我が爾讚美たる者を歌はん爲なり。
近づき難き光を生みし至りて無玷なる童貞女よ、爾の光にて我を照し、我が諸慾の雲を散じ、我を無明の闇より出して、神聖なる光を獲しめ給へ、我が爾母童貞女を歌はん爲なり。
光榮 潔き者よ、爾の慈憐の注ぐを以て吾が心の汚を滌ひ、我に常に淚の流、諸慾の河を停めて、苦より脫れしむる者を流すを得しめ給へ。
今も 善を愛する神を生みし善を愛する生神女、女宰よ、今速に我を肉體の惡しき愛より釋きて、怠惰に由りて亾ぶる者を神の旨に服役せしめ給へ。
次ぎて「常に福にして」。叩拜。聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞、及び其他常例の如し、幷に發放詞。
土曜日(スボタ)
「スボタ」の早課
第一の誦文の後に致命者の坐誦讚詞、第四調。
今日天使の軍は受難者の記憶に於て來りて、信者の意念を照し、恩寵を以て世界を輝す。神よ、彼等の祈禱に由りて我等に大なる憐を賜へ。
句 神よ、爾は爾の聖所に於て嚴なり。
ハリストス我が神よ、爾の受難者は十字架を武器として、惡の魁たる敵の惡謀に勝ち、光體の如く輝きて、人人を導き、信を以て求むる者に醫治を與ふ。彼等の祈禱に由りて我等の靈を救ひ給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 是れ古世より隱されて、天使等にも知られざる祕密なり、生神女よ、爾に因りて神は混ぜざる合一を以て身を取りて、地に在る者に現れ、甘じて、我等の爲に十字架を受け、此を以て始に造られし者を復活せしめて、我等の靈を死より救ひ給へり。
第二の誦文の後に坐誦讚詞、第四調。
主よ、爾の致命者は其苦に由りて爾我が神より不朽の榮冠を受けたり、爾の力を有ちて、苛虐者を斃し、惡鬼の不能なる强暴を破りたればなり。彼等の祈禱に因りて我等の靈を救ひ給へ。
句 義人には憂多し、然れども主は之を悉く免れしめん。
ハリストスの敎會は全世界に在る爾の致命者の血を以て緋袞衣の如く妝はれて、彼等を以て爾に呼ぶ、爾の民に爾の慈憐を降し、爾の居處に平安、我等の靈に大なる憐を賜へ。
句 主よ、爾が選び近づけし者は福なり、彼等の記憶は世世に在らん。
救世主よ、暫時の生より移しし者を、爾は仁慈・全能・獨一・仁愛の主として、安ぜしめて、宏恩なるを以て彼等の行ひしことを赦し給へ。慈憐にして人を愛する主よ、生神女の祈禱に由りて爾の手の造りし者を憐み給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 純潔無玷にして婚姻に與らざる童貞女、獨歲月以外の子及び神の言を歲月以内に生みし者よ、彼に尊き聖列祖、致命者、預言者、及び克肖者と偕に我等に潔淨と大なる憐とを賜はんことを祈り給へ。
聖致命者、成聖者、預言者、及び克肖者の規程、其冠詞は、欣ばしくハリストスの神聖なる友を崇め讚む。イオシフの作。第四調。
第一歌頌
イルモス 童貞女より生れし主よ、祈る、强き軍たる我が靈の諸慾を無慾の深處に沈め給へ、我が鼓を以てするが如く、肉情を殺すに由りて凱歌を爾に歌はん爲なり。
尊き敎會は常に主の受難者の光明なる勳功に妝はれて、童貞女より輝きし日なるハリストス、迷の幽暗を散じたる主を尊みて讚榮す。
我等熱心にハリストスの成聖者、善く人人を牧せし者を崇め讚め、又克肖にして生を度り、神゜を以て肉體の逸樂を殺しし者の全會を欣ばしく讚め揚げん。
女等は神より力を賜はり、恩寵に由りて修齋と苦の忍耐とを以て敵を踐みたり。主よ、彼等及び爾の聖預言者の祈禱に因りて、爾の慈憐を衆に垂れ給へ。
光榮 ハリストスよ、爾の義なる慮を以て朽壞の生命より不朽の生命に移しし爾の諸僕を義と爲らしめ、其諸罪を顧みずして、彼等に爾の衆義人と偕に喜ぶを獲しめ給へ。
生神女讚詞 潔き者よ、神の子は我等を初の定罪より贖はんと欲して、甘じて亦爾の子と爲れり。故に我等爾に由りて義子と爲りて、天の父を祝讚して爾を歌ふ。
又死者の規程、月課經の規程なき時に序を逐ひて之を歌ふ、其冠詞は、終を記念して第四の規程。第四調。
第一歌頌
イルモス 古のイズライリは足を濡らさずして海の紅の淵を渡り、野に於てモイセイの十字形の手にてアマリクの力に勝てり。
附唱 神よ、爾は爾の聖所に於て嚴なり。
救世主よ、爾の諸僕の右の手を執りて、彼等を不死の草場に導きて、彼等に爾の華美を觀るを得しめ給へ、受難者致命者の祈禱に由りてなり。
附唱 主よ、寢りし爾の諸僕の靈を安ぜしめ給へ。
ハリストスよ、信を以て移りし者に爾の言ひ難き福たる光榮を嗣ぐを得しめ、其諸罪を顧みずして、爾の血の灌がるるに由りて、恩寵を以て彼等を義と爲らしめ給へ。
光榮 生を施す爾の死を以て殺す者を殺ししハリストス神よ、受けし所の爾の信なる僕に今爾に在る生命を與へて、親ら彼等を安ぜしめ給へ。
今も 童貞女よ、ハリストスは神の子として至高なる華美を以て美し、爾より身を取りて木の上に懸けられし者として、華美なくして衆人の爲に死を受け給へり。
第三歌頌
イルモス 强き者の弓は弱み、弱れる者は力を帶びたり、故に我が心は主の中に堅められたり。
勝利を獲たる致命者よ、爾等は羔の如く屠られて、衆人の贖の爲に屠られし羔及び神の言ハリストスに獻ぜられたり。
聖にせられし機密者よ、爾等は神の口と爲りて、聖なる敎を以て人人を照して、不當なる者の中より正當の者を引き出せり。
克肖者の會は節制に因りて竭きざる糧を獲、天に升りて、神の光榮を見るを樂しむ。
光榮 ハリストスよ、信に於て移しし衆人を爾の諸聖人の祈禱に因りて安ぜしめて、其生涯行ひし諸罪を顧みる毋れ。
生神女讚詞 身にて童貞女より生れて、女の會を天使の會に合せし神に我等讚美を奉らん。
又
イルモス ハリストスよ、我等は智慧と能力と富有とを以て誇るにあらず、乃爾父と一性なる智慧を以て誇る、人を愛する主よ、爾の外に聖なる者なければなり。
偶像の迷に勝ちし致命者は今主宰神に先に終りし者に神聖なる安息を賜はんことを祈る。
主宰よ、移しし爾の諸僕に自ら旋る劍を過ぎて、生命の樹に與るを得しめ給へ。
光榮 ハリストスよ、爾の諸僕に諸罪の赦を賜ひて、祝ふ者の淸き聲のある樂園に彼等を住はせ給へ。
今も 至淨なる者よ、爾は神聖なる產に童貞を合せ給へり、萬物の造成主、其旨に萬衆の服する所の者を言ひ難く生みたればなり。
第四歌頌
イルモス 光榮の中に神性の寶座に坐するイイスス神は、輕き雲に乘るが如く、朽ちざる手に抱かれ來りて、ハリストスよ、光榮は爾の力に歸すと呼ぶ者を救ひ給へり。
致命者の至りて聖にせられし會は光榮を獲、己の百體を以て嚴に主、天軍に讚榮せらるる者を榮して、我等が凡の憂患より救はれんことを祈り給ふ。
神聖なる成聖者よ、爾等は無形の光にて輝く智慧を有ちて、凡の迷の夜を散じ、眞實の敎を以て神の選びたる群をハリストスを知る智識に導き給へり。
克肖者の大數は妝はれ、神聖なる女の會は榮せられ、聖なる諸預言者は尊貴を得て、天使の品位に合せられて喜ぶ。
光榮 天使の同住者と爲りし聖なる致命者よ、寢りし衆人の爲に寬宥と、諸罪の全き赦免と、神聖なる樂園に入ることとを求め給へ。
生神女讚詞 產の後に爾を不朽なる童貞女と護りし主は爾を環りて立てる悉くの童女を榮せり。彼等と偕に我等の靈が凡の憂患及び災禍より救はれんことを絕えず祈り給へ。
又
イルモス 敎會は爾義の日が十字架に擧げられしを見て、竝び立ちて正しく呼べり、主よ、光榮は爾の力に歸す。
致命者は光體の如く現れて、敎會の天を照し、救世主ハリストスに寢りし者に寬宥を賜はんことを求む。
爾の諸僕は爾の十字架を能力の杖と有ちて、世の海を渡れり。主よ、彼等を爾の山、爾の聖所と爲しし所に住はせ給へ。
光榮 主宰よ、爾が選びて受けし所の爾の諸僕を、慈憐なる主として義人の靈の在る處の實に愛すべき住所に入るるを喜び給へ。
今も 神の母よ、死せし者及び生ける者を司る主は爾より身を取りて人と爲り、不死にして、身にて死を忍びて、死の力を壞り給へり。
第五歌頌
イルモス 我が主よ、爾は光、信じて爾を崇め歌ふ者を闇き無智より引き出す聖なる光にして、世界に來り給へり。
十字架に擧げられ、刃輪に壞られ、百體を寸斷せられし堅固なる致命者は神より斷たれざる者と現れたり。
成聖者よ、爾等は愼みて爾等に委ねられたる群を牧し、信者の救者と爲りて、之を羔及び主宰の前に攜へたり。
克肖者よ、爾等は世の紛擾に離れ、心を諸慾より平安に護りて、萬衆の神の子と爲れり。
光榮 神聖なる預言者及び神の悅を獲たる女の會よ、先に寢りし者の爲に平安を求め給へ。
生神女讚詞 至淨なる童貞女よ、神は爾の内に入りて、人人を己の神聖なる光榮の住所と爲し給へり。
又 イルモス同上
主よ、爾は異能を以て致命者を榮し給へり、仁慈なる主として、彼等に由りて先に寢りし者を安ぜしめ給へ。
慈憐多き主よ、先に死せし者に不朽の生命、美しき喜悅、絕えざる歡樂を與へ給へ。
光榮 獨仁慈にして仁慈の泉なる主よ、信ありて爾を識りて生を終へし者を安ぜしめ給へ。
今も 神の母よ、我等爾を歌ひて、愛を以て爾を讚揚す、爾に緣りて幽闇に在る者に言ひ難く近づく難き光は輝けり。
第六歌頌
イルモス 我海の深處に至り、多くの罪の暴風は我を沈めたり。慈憐の主よ、神なるに因りて、我が生命を深處より引き上げ給へ。
致命者よ、爾等は最尊き石として地に投げられ、邪敎の造構を悉く倒して、自ら神の殿と爲りたり。
成聖者、諸義人、及び克肖者、ハリストスの群を護る者よ、爾等は凡そ爾等に趨り附く者を諸敵の苛虐より救ひ給ふ、故に讚美せらる。
女の大數は諸預言者の言に遵ひて、苦と齋とを以て、童貞女より輝きし神言の悅を得たり。
光榮 衆死者の生命たる慈憐多き主よ、信を以て我等より爾造物主に移りし者を爾の諸聖人と偕に光の中に入れ給へ。
生神女讚詞 少女よ、我口と舌と心とを以て爾我が神の尊き母を讚揚す。爾の轉達を以て我を永遠の定罪より脫れしめ給へ。
又
イルモス 憐に由りて爾の脅より流れし血にて惡魔の祭の血より淨められし敎會は爾に呼ぶ、主よ、讚揚の聲を以て爾を祭らん。
救世主よ、願はくは自ら旋る劍は爾の神聖なる脅を刺しし戈を見て、爾の受難者の祈禱に由りて、爾の諸僕より退かん。
我が救世主よ、爾は木に懸けられて樂園を啓き給へり、信に於て移されし者を其中に入れて、爾の生命に與る者と爲し給へ、爾は慈憐の主なればなり。
光榮 主宰よ、敬虔にして死を以て爾に移る者に生命の草場に樂しむを得しめて、彼等を古世よりの諸義人の數に加へ給へ。
今も 言は神として見えざる者なり、童貞女、婚姻に與らざる少女より身を取りて見ゆる者と爲り、己の死を以て死を滅し給へり。
第七歌頌
イルモス 昔アウラアムの少者はワワィロンに於て爐の焰を蹈みて、歌を以て呼べり、我が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
我等は靈の樂に於て同心に主宰ハリストスの聖にせられし器、敎會の墻及び柱たる主の致命者を歌頌せん。
ハリストスの成聖者及び衆克肖者の神聖なる會は天上の軍と偕に喜ぶ。ハリストスよ、彼等の祈禱に因りて爾を歌ふ者を救ひ給へ。
苦を以て耀き、信を以て齋せし女等の善なる忍耐は不順を以てエワに傷つけし者を斃せり。
光榮 爾の死にて地獄を破り、死を滅しし主よ、信に於て移しし者を安ぜしめて、樂園の住者と爲し給へ。
生神女讚詞 神の母、常に祝讚せらるる童貞女よ、昔立法者は棘を焚かざる焰を見て、爾の產の狀を曉れり。
又
イルモス アウラアムの少者はペルシヤの爐に在りて、焰よりも强く敬虔の愛に爇かれて呼べり、主よ、爾が光榮の殿に於て爾は崇め讚めらる。
主よ、悉くの致命者の忍耐、恒忍、及び血を贖として受けて、敬虔に寢りし者を爾の處に安ぜしめ給へ、爾は仁慈寬容なる主なればなり。
救世主よ、爾に移されし爾の諸僕の靈を爾の冢子及び義人等の數に加へて、絕えず爾萬有の主宰を以て樂しむを得しめ給へ。
光榮 神の言贖罪主よ、爾が今受けし者に悅樂と勇敢と歡喜とを以て爾を雲に迎ふるを得しめ給へ、爾は仁慈なる神なればなり。
今も 祝讚せらるる神の母童貞女よ、慶べ、蓋爾に依りて實に死は滅され、不朽の生命は死者に賜はりたり。
第八歌頌
イルモス 衆人の贖罪主全能者よ、爾は降りて、焰の中に敬虔を守りし者に露を注ぎて、歌はしめ給へり、悉くの造物は主を歌ひて崇め讚めよ。
成聖者、預言者、及び致命者は聖なる功勞を終へて、諸天使と偕に聖なる居處を得たり、今彼等と偕に我等衆の爲に洗淨と大なる憐とを求め給ふ。
克肖者は神゜に照されて、惡鬼の暗昧を散じたり、彼等と偕に神品致命者、成聖者、預言者、及び諸義人は讚歌を以て神を讚榮す。
嘗て狂妄にして地と海とを滅さんと誇りし者は熱切に苦と齋とを以て神に事へし女に常に踐まる。
光榮 ハリストスよ、我等は信を以て寢りし衆人の爲に爾に祈る、慈憐の主として、彼等を救はるる者の會に加へて、常に呼ばしめ給へ、主の悉くの造物は主を崇め讚めよ。
生神女讚詞 仁慈慈憐なる言を生みし神の母女宰よ、我に爾の慈憐を垂れて、我を救ひ給へ、蓋我呼ぶ、主の悉くの造物は主を崇め讚めよ。
又
イルモス ダニイルは獅子穴に在りて手を伸べて、獅子の口を閉し、敬虔の篤き少者は德を帶び、火の力を滅して呼べり、主の悉くの造物は主を崇め讚めよ。
主宰よ、致命者の禱を納れて、爾に於ける信を以て寢りし者の靈を安ぜしめて、其罪を顧みる毋れ、蓋彼等爾に呼ぶ、主の悉くの造物は主を崇め讚めよ。
死して罪犯者と偕に算へられたれども、死者に不死の生命を流しし救世主よ、復活の望を以て移されし爾の諸僕に爾の國を獲しめ給へ、蓋彼等爾に呼ぶ、主の悉くの造物は主を崇め讚めよ。
光榮 實に常に流るる仁慈の泉たる救世主よ、終りて朽壞の生命を遺てし爾の諸僕を溫柔にして天の居處に入れ給へ、蓋彼等爾に呼ぶ、主の悉くの造物は主を崇め讚めよ。
今も 神の聘女マリヤよ、爾は獨地上に最潔き童貞女及び夫を識らざる母と現れたり、蓋女宰よ、爾は言及び智慧に超えて神を生みて、死者の爲に永遠の生命を流し給へり。故に我等皆爾を崇め讚む。
第九歌頌
イルモス エワは不順を病みて、詛を入れたり、爾は、童貞生神女よ、己の產にて世界の爲に祝福の華を發けり。故に我等皆爾を崇め讚む。
致命者は神聖なる賜を見、己の大なる苦の爲に尊貴を受けて、喜びて、實に彼等を偉大なる勝利者と爲ししハリストスを崇め讚む。
成聖者、神の宣傳者よ、爾等は立てられて人人を聖にせり。齋に照されたる克肖者よ、爾等は日よりも明に光りて、大なる功業の顯現を以て信者を輝かせり。
我等は神品致命者、彼等と偕に衆預言者、克肖者、義者、及び神の悅を得たる女等を讚美して呼ばん、ハリストスよ、彼等の祈禱に因りて我等の靈を「ゲエンナ」より脫れしめ給へ。
光榮 ハリストス、獨大仁慈なる主よ、信に於て爾に移されし者の諸罪を顧みずして、彼等に善く爾に役事せし諸聖人の受けたる喜を獲しめ給へ。
生神女讚詞 萬物を持つ主を生みて、天上のヘルワィムより上なる者と顯れし純潔なる生神女よ、吾が智慧を上なる者と爲して、我を肉慾に勝ちて、主宰の旨を行はん爲に堅め給へ。
又 イルモス同上
主よ、爾は眞の受難者及び致命者に爾に祈る勇敢を賜へり、彼等の祈禱に由りて信に於て移されし者に神聖なる救を與へて、之を聖なる居處に入れ給へ。
全功の指麾を以て萬事を益し、生死者を司る主よ、爾全能なるに因りて、移しし爾の諸僕を靜なる水の畔に休はしめ給へ。
光榮 性の至善にして慈憐仁慈に富める主よ、爾の名を呼ぶ者を外の暗より脫れしめ、信と恩寵とを以て彼等を義と爲して照し給へ、爾は人を愛する主なればなり。
生神女讚詞 純潔なる者よ、諸預言者は爾の產の狀を傳へ、又至榮なる名を以て爾に名づけたり、蓋爾は地獄に在る者の爲に死の權を滅す生命を生み給へり。
次ぎて「常に福にして」、叩拜、聯禱、光耀歌、及び常例の聖詠。
「凡そ呼吸ある者」に致命者の讚頌、第四調。
聖なる致命者よ、誰か爾等が戰ひし善き戰を見て驚かざらん、如何ぞ肉體に在りて、ハリストスを承認し、十字架を武器として、肉體なき敵に勝ちたる。故に爾等は宜しきに合ひて惡鬼を逐ふ者、諸敵に勝つ者と顯れて、常に我等の靈の救はれんことを祈り給ふ。
聖なる致命者よ、爾等は裁判所に勇ましくハリストスを傳へて、天使等の侶と爲れり、蓋凡そ世に在る美しき者を無きが如く棄てて、堅き恃賴として信を保てり。故に迷を逐ひ、信者に醫治の恩賜を流して、絕えず我等の靈の救はれんことを祈り給ふ。
聖なる致命者よ、我等如何ぞ爾等の勳功に驚かざらん、蓋爾等は死すべき肉體ありて、形體なき敵に勝てり、暴虐者の嚇は爾等を畏れしめざりき、苦に付す事は爾等を驚かさざりき、爾等は實に宜しきに合ひてハリストスより榮せられたり。
主よ、爾の聖人等の死は貴し、蓋彼等は劍と、火と、嚴寒とに壞られ、己の血を流して、恃賴を爾に負はせたり。故に救世主よ、彼等は忍びたる後に其功勞の報として爾より大なる惠を受けたり。
死者の讚頌
主よ、爾が衆聖人の安息する處に爾の寢りし諸僕を安ぜしめ給へ、爾獨人を愛する主なればなり。
光榮 世に溺るる愛何にか在る、過ぎ易き物の望何にか在る、金銀何にか在る、諸僕の衆きと忙しきと何にか在る、皆塵、皆灰、皆影なり。來りて、死せざる王に籲ばん、主よ、我等より移りし者に爾が永遠の福を受けしめて、彼等を爾の老いざる福樂に安ぜしめ給へ。
今も、生神女讚詞 獨淨く至りて潔き生神女、種なく神を生みし者よ、我等の靈の救はれんことを祈り給へ。
挿句の死者の讚頌、第四調。
死の奧密は實に畏るべし、如何ぞ靈は强て體より離れ、神の旨に由りて天然の連屬の結合より別るる。故に我等爾に祈る、生を賜ふ仁愛の主よ、移されし者を爾の諸義人の居處に安ぜしめ給へ。
句 主よ、爾が選び近づけし者は福なり。
爾萬物を宰る主が墓に置かれ、死の權を滅して、其古來の苛虐を空しくせしに、爾を信ずる者の爲に死は寢と現る。故に我等爾に祈る、移されし者を爾の諸聖人の歡喜に、諸義人の明るき處に入れ給へ。
句 彼等の靈は福に居らん。
爾は我等の爲に稱義と成聖と靈の救と爲れり、蓋我が罪債を己に負ひて、我等を義とせられ救はれたる者として父に攜へ至れり。今我等爾に祈る、恩者にして人を愛する主よ、移されし者を爾の諸聖人の歡喜と光明との中に安ぜしめ給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 純潔なる者よ、我等は神に感ぜらるる諸預言者の言に循ひて、爾を生神女と承け認む、蓋爾は測り難く身を取りて罪に縛られし我等を釋きたる神を生み給へり。至淨なる者よ、今彼に移されし爾の諸僕を己の光照にて照さんことを祈り給へ。
次ぎて「至上者よ、主を讚榮し」、聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞、聯禱、及び第一時課、常例の聖詠、幷に發放詞。
「スボタ」の聖体礼儀に
「スボタ」の眞福詞、第四調。
アダムは木に緣りて樂園より出され、盜賊は十字架の木に緣りて樂園に入りたり。彼は食して造物主の誡に背き、此は共に十字架に釘せられて、隱れたる神を認めて籲べり、爾の國に於て我を憶ひ給へ。
句 義の爲に窘逐せらるる者は福なり、天國は彼等の有なればなり。
聖なる致命者よ、爾等はハリストスを愛する愛に燃えて、功勞の潤澤を以て邪敎の火を滅し、敎會の光明なる燈と現れて、慈憐を以て我等の靈より不能と憂愁との黑暗を散ず。故に我等宜しきに合ひて爾等を崇め讚む。
句 人我の爲に爾等を詬り、窘逐し、爾等の事を譌りて諸の惡しき言を言はん時は、爾等福なり。
聖にせられし成聖者、神聖なる諸預言者、克肖者の會、及び聖なる女の大數は德行を以て神の悅を獲て、榮せられたり。我等は彼等を讚美して、彼等の祈禱に因りて永生と光照とを得んことを求む。
句 喜び樂しめよ、天には爾等の賞多ければなり。
ハリストスよ、爾の光の輝く處、諸聖人の會の喜ぶ處、歎息と疾病との遠かりし處に、先に寢りて多病の生命に離れたる爾の諸僕を納れ、其地上に行ひし諸罪を顧みずして、彼等に爾の言ひ難き仁慈を歌はしめ給へ。
光榮 父と子と聖神とに於て全く合一にして分れざる三者、己の位を混淆せざる三位の惟一者よ、爾の聖なる致命者、諸聖神父、及び尊貴なる預言者の祈禱に因りて、信を以て死せし者を爾の處に安ぜしめて、我等の靈に洗淨を與へ給へ。
今も 至淨なる者よ、爾は父が黎明の前に生みし言を孕み、全き人と爲りて、二の行動二の旨を有つと知らるる者を身にて生み給へり。神の聘女・少女よ、彼を造成者及び主として爾を歌ふ我等を宥めんことを祈り給へ。
第四調 終

コメントする