総月課経

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全文ルビ付き『總月課經』オンライン版 本邦初公開

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以下、簡易目次(正式な目次は最上部「目次」をクリック)

  1. 主宰ハリストスの祭日
  2. 生神女の祭日
  3. 十字架の総奉事
  4. 天軍の総奉事
  5. 前駆イオアンの総奉事
  6. 諸聖神父の総奉事
  7. 預言者の総奉事
  8. 使徒の総奉事
  9. 使徒(2人以上)の総奉事
  10. 成聖者の総奉事
  11. 成聖者(2人以上)の総奉事
  12. 克肖者の総奉事
  13. 克肖者(2人以上)の総奉事
  14. 致命者の総奉事
  15. 致命者(2人以上)の総奉事
  16. 神品致命者の総奉事
  17. 神品致命者(2人以上)の総奉事
  18. 克肖致命者の総奉事
  19. 克肖致命者(2人以上)の総奉事
  20. 致命女の総奉事
  21. 致命女(2人以上)の総奉事
  22. 克肖女の総奉事
  23. 克肖女(2人以上)の総奉事
  24. 克肖致命女の総奉事
  25. 神品表信者及び克肖表信者の総奉事
  26. 廉施者奇蹟者の総奉事
  27. 佯狂者の総奉事
  28. 諸聖人共用の喩言パリミヤ

 

第一編 我が主イイスス ハリストスの祭日、其前期及び後期の總奉事

 晩課

「主よ爾に籲ぶ」に讚頌スティヒラ、第六調。

神性しんせいを以もつて滿みたざる所ところなく、仁じん慈じに由よりて人ひと人びとに合あはせられたる一いち位ゐ二に性せいの主しゆよ、爾なんぢは見みえざる者ものにして、潔いさぎよき童貞女どうていぢよより出いでて見みゆる者ものと爲なり、爾なんぢの肉にく體たいの像すがたを爾なんぢの(祭名を擧ぐ)を以もつて示しめし給たまふ、我われ等らは此この祭日さいじつに來きたりて、爾なんぢ主しゆ宰さいに伏拜ふくはいし、爾なんぢを造成ざうせい主しゆと知しりて禱いのる、崇あがめ讚ほめらるる救世きうせい主しゆよ、我われ等らを憐あはれみ給たまへ。二次

主しゆよ、爾なんぢは來きたりて、古こ世せいより預よ言げんせられたる爾なんぢの定制ていせいの悟さとり難がたき奧あう義ぎを顯あらはし、之これを信しんぜしめて、世せ界かいに爾なんぢの神しん聖せいなる(祭名)を示しめし、此これを以もつて萬ばん衆しゆうを喜よろこびに滿みたし、人ひとの性せいを救すくはんと欲ほつして、之これを新あらたにし給たまへり、崇あがめ讚ほめらるる神かみよ、我われ等らを憐あはれみ給たまへ。二次

主しゆよ、爾なんぢの慈じ憐れんの寬くわん容ようは至し榮えいなる哉かな、爾なんぢは至いと髙たかきに形かたどり難がたく悟さとり難がたく父ちゝの懷ふところに居をる主しゆにして、地ち上じやうの者ものに降くだり、見みらるる者ものと爲なりて、我われ等ら罪つみに由よりて死しせし者ものを活いかし給たまへり、我われ等ら爾なんぢの(祭名)の祭日さいじつを尊たふとむ、願ねがはくは主しゆ宰さいよ、爾なんぢは此これに緣よりて我われ等らを諸慾しよよくより脫のがれしめん、崇あがめ讚ほめらるる救世きうせい主しゆよ、我われ等らを憐あはれみ給たまへ。二次

主しゆよ、爾なんぢは望のぞみし如ごとく身みを取とり、我わが貧まづしきを受うけて、爾なんぢが慈じ憐れんの富とみを顯あらはして、我われ塵ちりなる者ものを神成しんせいし給たまへり。人ひとを愛あいする主しゆよ、我われ等らは爾なんぢの(祭名)を瞻みて、爾なんぢの定制ていせいの狀さまを讚榮さんえいす、救世きうせい主しゆよ、此これに緣よりて爾なんぢの諸しよ僕ぼくの罪過ざいくわを顧かへりみずして、彼かれ等らに礙さまたげなくエデムに入いるを得えしめ給たまへ。二次

 光榮、今も、第八調。

主しゆ宰さい人ひとを愛あいする主しゆよ、爾なんぢの定制ていせいの深處ふかみは大おほいなり、爾なんぢは父ちゝの懷ふところを離はなれずして、世よ世よに爾なんぢの造物ざうぶつに恩おんを施ほどこし、身みを取とりて地ち上じやうに人ひとと現あらはれて、衆しゆう人じんを痛つう悔くわいに呼よび給たまふ。我われ等らは爾なんぢ王わう及および神かみに伏拜ふくはいす、蓋けだし爾なんぢは我われ等らの諸しよ敵てきを滅ほろぼし、爾なんぢの選えらばれたる民たみ、爾なんぢの尊たふとき(祭名)を祭まつる者ものを救すくひ給たまふ。

 本日の提綱ポロキメン。

 エギペトを出づるの記の讀(二十四章)

主しゆはモイセイに謂いへり、爾なんぢ山やまに我われの許もとに登のぼりて、彼處かしこに立たて、我われ爾なんぢに石せき版ばん、律りつ法ぱふ及および誡かい命めい、我われの彼かれ等らを敎をしへん爲ために書しるしし者ものを與あたへん。モイセイ及および其その從じゆう者しやイイススは起たちて神かみの山やまに登のぼれり。モイセイ長ちやう老らう等らに謂いへり、此こ處ゝに止とゞまりて、我われ等らが爾なんぢ等らに返かへるを待まて、視みよ、アアロン及およびオル爾なんぢ等らと偕ともに在あり、若もし人ひとに訟事うつたへごとあらば、彼かれ等らに至いたるべし。モイセイ山やまに登のぼりたれば、雲くも山やまを蔽おほへり。神かみの光くわう榮えいシナイ山ざんに降くだり、雲くも之これを蔽おほへること六日むゆかなり、七日なぬかに至いたりて、主しゆは雲くもの中うちよりモイセイを呼よべり。主しゆの光くわう榮えいの狀かたちはイズライリの諸しよ子しの目もく前ぜんに在ありて、山やまの巓いたゞきに焚もゆる火ひの如ごとくなりき。モイセイ雲くもの中うちに入いり、山やまに登のぼりて、四し十じふ日にち四し十じふ夜や彼處かしこに山やまに居ゐたり。

 申命記の讀(四章)

モイセイ民たみに謂いへり、イズライリよ、今いま我わが爾なんぢ等らに敎をしふる法はふ度と ―(第三巻百二十四頁二百二十五喩言をうつす)

 申命記の讀(五章)

モイセイ イズライリの衆しゆう民みんを集あつめて、彼かれ等らに謂いへり、イズライリよ、今日こんにち ―(第三巻百二十五頁二百二十六喩言をうつす)

 挿句くづけに讚頌スティヒラ、第二調。

光くわう照せうは來きたり、恩おん寵ちようは現あらはれ、贖しよく罪ざいは成なり、世せ界かいは照てらされたり、人ひと人びとよ、歡喜よろこびに滿みたされよ。

句 神かみは南みなみより來きたり、聖せいなる者ものは樹こ蔭かげ繁しげき山やまより來きたらん。

諸民しよみんの諸しよ族ぞくよ、歌うたへ、讚さん美びと光くわう榮えいとをハリストス神かみに歸きして、熱ねつ切せつに彼かれの(祭名)を讚榮さんえいせよ。

句 主しゆよ、我われ爾なんぢの風聲おとづれを聞ききて懼おそれたり。

父ちゝの言ことば、萬物ばんぶつの造成者ざうせいしや、一いち位ゐにして二に性せいなる主しゆは人類じんるゐを救すくはん爲ために來きたり給たまへり。

 光榮、今も、第八調。

主しゆよ、爾なんぢは永遠えいゑんより定さだめしことを成じやう就じゆせんと欲ほつして、凡およその造物ざうぶつより爾なんぢの奧あう密みつの役者えきしやを受うけ給たまへり、諸しよ天てん使しよりガウリイルを、人ひと人びとより童貞女どうていぢよを、天てんより星ほしを、地ちより山やまを、野のより芻槽かひばぶねを、水みづよりイオルダンを、此この中うちに爾なんぢは衆しゆう人じんの不ふ法はふを滅ほろぼし給たまへり。我わが救世きうせい主しゆよ、光くわう榮えいは爾なんぢに歸きす。

 本祭日の讚詞トロパリ。若し此なくば、讚詞トロパリ第二調、「仁慈なるハリストス神よ、我等爾の至淨なる聖像に伏拜して」を誦す。

 早課

「主は神なり」に同上の讚詞トロパリ、三次。

 第一の「カフィズマ」の後に坐誦讚詞セダレン、第一調。

悟さとり難がたき救世きうせい主しゆよ、爾なんぢ見みるべき者ものと爲なりたるに、爾なんぢの恩おん寵ちようは我われ等らの上うへに注そゝがれて、迷まよひの暗やみは滅きえたり、故ゆゑに我われ等らの足あしを爾なんぢの顏かんばせの光ひかりの中うちに固かため給たまへ、我われ等らが爾なんぢの誡いましめを行おこなひて、爾なんぢ近ちかづき難がたき光ひかりを觀みるを得えん爲ためなり。

 光榮、今も、同上。

 第二の「カフィズマ」の後に坐誦讚詞セダレン、第五調。

主しゆ宰さいよ、爾なんぢは父ちゝと同どう無む原げんなる永遠えいゑんの子こ、本ほん性せいの見みるべからず觸ふるべからざる者ものにして、言いひ難がたき慈じ憐れんに由よりて、年としに順したがふ者ものと爲なりて、爾なんぢの限かぎりある身みの至し愛あいなる像すがたを(祭名)の祭まつりを以もつて遺のこし給たまへり、我われ等らの靈たましひの救すくひの爲ためなり。

 光榮、今も、同上。

 本祭日の讚揚詞。

 多油詞ポリエレイの後に坐誦讚詞セダレン、第四調。

アダムの面おもてには已すでに憂うれふる色いろなし、蓋けだしアダムを造つくりし者ものは彼かれを衣きて、面おもてを以もつて己おのれを衆しゆうに肖にたる者ものと顯あらはし、敬虔けいけん者しやの會くわいの愛あいを起おこして、同心どうしんに歌うたはしむ、人ひとを愛あいする主しゆ宰さいよ、光くわう榮えいは爾なんぢの至し大だいなる寬くわん容ように歸きす。

 光榮、今も、同上。

 品第詞ステペンナ、第四調の第一倡和詞アンティフォン。

 提綱ポロキメン。

主しゆよ、我われ等らは爾なんぢが顏かんばせの光ひかりの中うちに行ゆき、世よ世よ爾なんぢの名なに因よりて歡よろこばん。

句 凡およそ地ちの極はては我わが神かみの救すくひを見みたり。

 本祭日の福音経。

 第五十聖詠の後に讚頌スティヒラ、第八調。

主しゆよ、爾なんぢは永遠えいゑんより定さだめしことを成じやう就じゆせんと欲ほつして、凡およその造物ざうぶつより爾なんぢの奧あう密みつの役者えきしやを受うけ給たまへり、諸しよ天てん使しよりガウリイルを、人ひと人びとより童貞女どうていぢよを、天てんより星ほしを、地ちより山やまを、野のより芻槽かひばぶねを、水みづよりイオルダンを、此この中うちに爾なんぢは衆しゆう人じんの不ふ法はふを滅ほろぼし給たまへり。我わが救世きうせい主しゆよ、光くわう榮えいは爾なんぢに歸きす。

 規程カノン、第四調。イルモス二次、讚詞トロパリ十二句に。

第一歌頌

イルモス 昔むかしファラオンの奴ど隷れいより逃のがるるイズライリを導みちびきて、野のに養やしなひし我われ等らの救きう主しゆ神かみに歌うたはん、彼かれ光くわう榮えいを顯あらはしたればなり。

人ひと人びとよ、我われ等らの祭まつりの特とく殊しゆなる日ひに於おいて口くちを開ひらき、舌したを爽さはやかにして、ハリストス我わが神かみの(祭名)の神しん聖せいなる顯見あらはれを欣よろこばしく歌うたはん、彼かれ光くわう榮えいを顯あらはしたればなり。

永遠えいゑんの光ひかりなる子こは父ちゝの旨むねを行おこなひ、己おのれの恩おん寵ちようを示しめさんと欲ほつして、我われ等らの爲ために僕ぼくの形かたちを受うけ、其その神しん聖せいなる(祭名)の狀さまに於おいて現あらはれて、光ひかりを以もつて我われ等らを照てらし給たまへり。

皆みな來きたりて、信しんを以もつてハリストスの(祭名)を祭まつり、熱ねつ切せつに屬ぞく神しん゜の歌か頌しようを捧さゝげて、讚榮さんえいして同心どうしんに呼よばん、ハリストスは幽暗くらやみに在ある者ものを照てらさん爲ために來きたり給たまへり、彼かれに歌うたはん、其その光くわう榮えいを顯あらはしたればなり。

 生神女讚詞トロパリ

至し淨じやうなる者ものよ、我われ等らは爾なんぢに由よりて實じつに神かみ人びとの產さんの顯見あらはれを知しることを得え、爾なんぢを尊たふとむ者ものは今日こんにち爾なんぢの子この(祭名)の祭まつりを見みるに任たふる者ものと爲なれり。我われ等らを凡およその患くわん難なんより救すくはんことを彼かれに祈いのり給たまへ。

共頌カタワシヤは、本祭日の「イルモス」、或は下の「イルモス」。

神しん妙めうの黒闇くらやみに蔽おほはれたる口くち鈍にぶき者ものは神かみの錄しるしし律りつ法ぱふを述のべたり、蓋けだし彼かれは智慧ちゑの目めより不ふ淨じやうを掃はらひて、永在えいざい者しやを見み、聖神せいしん゜を知しる智ち識しきを蒙かうむりて、神しん聖せいの歌うたを以もつて之これを崇あがめ讚ほむ。

第三歌頌

イルモス ハリストスよ、我われ等らは智慧ちゑと能力ちからと富裕とみとを以もつて誇ほこるにあらず、乃すなはち爾なんぢ、父ちゝと一性いつせいなる智慧ちゑを以もつて誇ほこる、人ひとを愛あいする主しゆよ、爾なんぢの外ほかに聖せいなる者ものなければなり。

神性しんせいに由よりて永在えいざいなる主しゆ宰さいハリストスよ、爾なんぢは身みを以もつて諸しよ僕ぼくに合あはせられて、見みらるる者ものと爲なり、多た種しゆの行かう爲ゐを以もつて我われ等らに救すくひを得えしめ給たまふ、我われ等ら今いま爾なんぢの(祭名)を讚榮さんえいす、人ひとを愛あいする主しゆよ、爾なんぢの外ほかに聖せいなる者ものなければなり。

ハリストスよ、爾なんぢを信しんずる信しんに照てらされたる爾なんぢの人ひと人びとは欣よろこばしく爾なんぢの神しん聖せいなる(祭名)を祭まつる、我われ等ら之これを尊たふとみて、諸しよ難なんより救すくはる、救世きうせい主しゆよ、我われ等らを天てんの國くににも與あづかる者ものと爲なし給たまへ。

實じつ在ざいの生命いのちたるハリストスよ、爾なんぢは身みにて死しを嘗なめて、爾なんぢの復ふく活くわつを以もつて死し者しやに生命いのちを流ながし給たまへり、今いま爾なんぢの(祭名)の祭まつりを以もつて我われ等らの爲ために之これを確かく證しようし給たまふ。

 生神女讚詞トロパリ

神かみの母ははよ、先さきに爾なんぢに由よりて救すくひは身みを以もつて世せ界かいの中うちに輝かゞやき、今いまは爾なんぢに由よりて信者しんじやの爲ために生いのちを施ほどこす光くわう明めいなるハリストスの(祭名)の祭まつりは現あらはれたり、生しやう神女しんぢよよ、此これに緣よりて爾なんぢの子こに我われ等らを諸もろもろの禍わざはひ及および永遠えいゑんの苦くるしみより救すくはんことを祈いのり給たまへ。

共頌カタワシヤ 昔むかし碎くだきたる心こゝろを懷いだける預よ言げん女ぢよアンナが、主しゆ宰さい睿えい智ちの神かみに奉たてまつりし一ひとつの祈いのりは、果みを結むすばざる腹はらの縛なはめを釋とき、子こ多おほき者ものより受うくる勝たへ難がたき辱はづかしめを除のぞきたり。

 坐誦讚詞セダレン、第四調。

仁じん慈じなる主しゆ宰さい救世きうせい主しゆよ、爾なんぢに祈いのる、我われ等ら信しんと愛あいとを以もつて神しん聖せいなる(祭名)を祭まつる者ものを悉ことごとくの見みゆると見みえざる敵てき、及および諸もろもろの災禍わざはひと誘惑いざなひより脫のがれしめて、我われ等らを永遠えいゑんの福ふくの樂たのしみを享うくるに堪たふる者ものと爲なし給たまへ。

 光榮、今も、同上。

第四歌頌

イルモス 預よ言げん者しやアウワクムは爾なんぢ至し上じやう者しやが童貞女どうていぢよより身みを取とり給たまふ神かみの測はかり難がたき定制ていせいを洞察みとほして籲よべり、主しゆよ、光くわう榮えいは爾なんぢの力ちからに歸きす。

肉にく體たいを以もつて人ひと人びとに近ちかづきし主しゆの耀かゞやける神しん聖せいなる(祭名)の祭まつりは新あらたに選えらばれたるイズライリに至いたりて、今日こんにち世せ界かいの四し極きよくを照てらす、主しゆよ、光くわう榮えいは爾なんぢの力ちからに歸きす。

昔むかしモイセイは神かみの顯見あらはれの光くわう榮えいの徵しるしを見みるを得えて、其その面おもて輝かゞやけり、新あらたなるイズライリは今いま面おもてを合あはせて明あきらかに爾なんぢ贖しよく罪ざい主しゆを覿みる、主しゆよ、光くわう榮えいは爾なんぢの力ちからに歸きす。

衆しゆう人じんよ、奇き異いなる事ことを仰あふぎて、今いま靈たましひに樂たのしみて、地ち上じやうに人ひと人びとの救すくひの爲ために現あらはれしハリストスの(祭名)の祭まつりを歌うたへ、主しゆよ、光くわう榮えいは爾なんぢの力ちからに歸きす。

 生神女讚詞トロパリ

至し淨じやうなる生しやう神女しんぢよよ、我われ等ら爾なんぢに趨はしり附つきて、爾なんぢの子この神しん聖せいなる(祭名)を祭まつる者ものを救すくひ給たまへ、常つねに彼かれに諸罪しよざいの赦ゆるしを我われ等らに賜たまはんことを祈いのり給たまへ。

共頌カタワシヤ 諸しよ王わうの王わう、斯かく大おほいなる者ものよりする惟ゆゐ一いちの斯かく大おほいなる者もの、無む原げんの父ちゝより生うまれし言ことばよ、爾なんぢは恩おん主しゆとして、實じつに爾なんぢが同どう能のうの聖神せいしん゜を以もつて、主しゆよ、光くわう榮えいは爾なんぢの權柄けんぺいに歸きすと歌うたふ使徒しと等らに遣つかはし給たまへり。

第五歌頌

イルモス 原始はじめの光ひかりの輝かゞやきを發ひらきて、造物ざうぶつをして光ひかりの中うちに爾なんぢ造物主ざうぶつしゆを歌うたはしむるハリストスよ、爾なんぢの光ひかりの中うちに我われ等らの途みちを向むかはしめ給たまへ。

我われ等ら今日こんにち手てを拍うち、聲こゑを擧あげて讚さん美びを主しゆに呼よばん、蓋けだし視みよ、彼かれは實じつに其その至し淨じやうなる肉にく體たいを以もつて來きたり現あらはれて、神しん聖せいなる(祭名)を以もつて衆しゆう信者しんじやを照てらし給たまふ。

今日こんにち正せい敎けう者しやの會くわいは照てらされ、異い端たん者しやの群むれは辱はづかしめられたり、贖しよく罪ざい主しゆハリストスが肉にく體たいに現あらはれしを證しようする其その(祭名)の伏拜ふくはいせらるるを見みればなり。

奧あう密みつの慶けい賀がは至いたり、神しん聖せいなる主しゆの(祭名)の嚴おごそかなる祭まつりは主しゆの顏かんばせより發はつする光ひかりとして世せ界かいに輝かゞやきて、嘗かつて俘囚とりこと爲なりし衆しゆうに和わ平へいと歡くわん樂らくとを與あたふ。

 生神女讚詞トロパリ

至し聖せいなる童貞女どうていぢよよ、爾なんぢの轉てん達たつに由よりて雲くもは上うへより地ち上じやうの者ものに甘かん味みを注そゝぐべし。爾なんぢの子こ我われ等らの神かみは世せ界かいを憐あはれみ、「ハリスティアニン」等らの角つのを髙たかくして、今日こんにち其その神しん聖せいなる(祭名)を以もつて信者しんじやに救すくひを賜たまへり。

共頌カタワシヤ 敎けう會くわいの光ひかりを負おふ諸しよ子しよ、諸罪しよざいを除のぞく潔淨きよめ、火ひの噴ふき出いだしたる聖神せいしん゜の露つゆを受うけよ、今いまシオンより律りつ法ぱふたる聖神せいしん゜の恩おん寵ちようは、火ひの舌したの形かたちを以もつて出いでたればなり。

第六歌頌

イルモス 神かみの信者しんじやよ、來きたりて、神かみの母はゝの此この神しん妙めうなる至いたりて尊たふとき祭まつりを祝いはひ、手てを拍うちて、彼かれより生うまれし神かみを讚榮さんえいせん。

ハリストスの光くわう明めいなる(祭名)に由よりて死し者しやに生命いのちは輝かゞやき、瞽者めしひに光ひかりは來きたり、痛いたく病やめる者ものに醫治いやしは啓ひらかれ、衆しゆう人じんに救すくひは近ちかづきたり。

凡およその靈たましひは今いま迎むかへたる神しん聖せいなる(祭名)の祭まつりを祝いはふべし、之これに伏拜ふくはいする者ものに光くわう照せうを流ながせばなり。

主しゆイイスス ハリストスよ、天てんは爾なんぢを見みて、爾なんぢの光くわう榮えいを傳つたへ、眞しんの痛つう悔くわいを知しる衆しゆう信者しんじやを集あつめて、爾なんぢの神しん聖せいなる(祭名)を歌か頌しようせしむ。

 生神女讚詞

神かみの母はゝよ、爾なんぢの子この尊たふとき(祭名)の光ひかりに由よりて地ちの四し極きよくに救すくひは輝かゞやけり、潔いさぎよき童貞女どうていぢよよ、彼かれに祈いのりて、爾なんぢを尊たふとむ我われ等らを凡およその患くわん難なん及および誘いう感かんより救すくはんことを求もとめ給たまへ。

共頌カタワシヤ 主しゆ宰さいハリストスよ、爾なんぢは我われ等らの爲ために淨きよめと救すくひにして、童貞女どうていぢよより耀かゞやき給たまへり、預よ言げん者しやイオナを海かい獸じうの腹はらより救すくひし如ごとく、アダムを其その悉ことごとくの陷おちいりし族やからと偕ともに腐ふ敗はいより救すくはん爲ためなり。

 祭日さいじつの小讚詞コンダク
若し此なくば、下の小讚詞コンダクを誦すべし、第二調。

像かたどられぬ父ちゝの言ことばよ、我われ等ら人ひと人びとに於おける爾なんぢが言いひ難がたき神しん聖せいなる攝せつ理りを熱信ねつしんに承うけ認とめ、爾なんぢが實じつに人じん體たいを取とりしことを像かたどれる神印しんいんの聖せい像ざうを勝しよう利りを與あたふる者ものと知しりて、之これを尊たふとみて接せつ吻ぷんす。

 同讚詞イコス

主しゆは其その人じん體たいを取とりしことの奧あう密みつを人ひと人びとに信しんぜしめん爲ために、己おのれの神かみ人びとの像すがたを自みづから印しるし、其その原像げんざうを父ちゝと偕ともに寶はう座ざに坐ざせしめて、無む形けいなる天てん使し等らに伏拜ふくはいせしめ、原像げんざうの形象かたどりを我われ等らに賜たまひて、伏拜ふくはいせしむ、我われ等らは靈たましひと心こゝろとを以もつて之これを抱いだきて、尊たふとみて接せつ吻ぷんす。

第七歌頌

イルモス 昔むかしアウラアムの少せう者しやはワワィロンに於おいて爐ゐろりの焔ほのほを踏ふみて、歌うたを以もつて呼よべり、我わが先せん祖ぞの神かみよ、爾なんぢは崇あがめ讚ほめらる。

凡およその城邑まちと地ち方はうとは新あらたなるシオンと偕ともに喜よろこびて、熱ねつ切せつに祝いはふ、蓋けだし光くわう榮えいの王わうハリストスは己おのれの尊たふとき(祭名)の祭まつりの狀さまを以もつて來きたりて、彼かれに伏拜ふくはいして、我わが先せん祖ぞの神かみよ、爾なんぢは崇あがめ讚ほめらると呼よぶ者ものを救すくひ給たまふ。

神かみの言ことばを宣のべし諸しよ預よ言げん者しやの神しん聖せいなる書しよは成じやう就じゆせられたり、今いま我われ等らは其その應かなふを見みる、蓋けだしハリストスは其その(祭名)にて世せ界かいを照てらし、耀かゞやける光ひかりを以もつて、我わが先せん祖ぞの神かみよ、爾なんぢは崇あがめ讚ほめらると歌うたふ者ものを救すくひ給たまふ。

 生神女讚詞

天てん上じやうの者ものは地ち上じやうの者ものと偕ともに樂たのしみ、衆しゆう聖せい人じんの大數たいすうは共ともに喜よろこび、諸しよ王わうと諸矦しよこう、富とめる者ものと貧まづしき者ものは皆みな祝いはふ、蓋けだし視みよ、ハリストスは我われ等らの爲ために光くわう照せうとして、童貞女どうていぢよより受うけ給たまひし人じん性せいを像かたどる祭まつりを備そなへ給たまへり。

共頌カタワシヤ 樂がく器きの調てう和わしたる聲こゑは、金こがねにて鑄いたる靈たましひなき偶ぐう像ざうを敬うやまふ爲ために響ひゞけり、撫ぶ恤じゆつ者しやの光ひかりを施ほどこす恩おん寵ちようは、慶けい賀がを設まうけて斯かく籲よばしむ、惟ゆゐ一いちにして同どう能のうなる無む原げんの三者さんしやよ、爾なんぢは崇あがめ讚ほめらる。

第八歌頌

イルモス 少せう者しやはワワィロンに於おいて神しん聖せいなる熱心ねつしんに灼やかれて、苛虐者くるしめびとと燄
ほのほ
との嚇おどしを勇いさましく踐ふみ、火ひの中うちに擲なげうたれて、露つゆに濕うるほされて歌うたへり、主しゆの悉ことごとくの造物ざうぶつは主しゆを崇あがめ讚ほめよ。

本ほん性せいの完くわん全ぜんなる神かみは亦また完くわん全ぜんの人ひとと爲なりて、二に性せいの本ほん質しつを以もつて人ひと人びとを救すくひ、神かみとして神しん聖せいなる(祭名)を以もつて人じん體たいを取とりしことを信しんぜしめ給たまふ、我われ等ら彼かれに伏拜ふくはいして歌うたふ、主しゆの悉ことごとくの造物ざうぶつは主しゆを崇あがめ讚ほめよ。

神かみの言ことばよ、爾なんぢを神かみ及および人ひとと承うけ認とめて、爾なんぢの(祭名)を讚榮さんえいする者ものの角つのを髙たかくせよ、爾なんぢは此これを以もつて衆しゆう信者しんじやに永遠えいゑんの生命いのちを賜たまひ、爾なんぢの神しん聖せいなる能力ちからを惡にくむ諸しよ敵てきの驕慢おごりを滅ほろぼし給たまへり。

新あらたなる法はふは光ひかり、敎けう會くわいは飾かざらる、蓋けだしハリストス神かみよ、爾なんぢは己おのれの神しん聖せいなる光くわう榮えいの光ひかりを耀かゞやかして、爾なんぢの光くわう明めいなる顏かんばせを爾なんぢの(祭名)を以もつて顯あらはし給たまへり、爾なんぢに主しゆの悉ことごとくの造物ざうぶつは主しゆを崇あがめ讚ほめよと呼よぶ人ひと人びとの救すくひの爲ためなり。

 生神女讚詞

陷おちいる者ものの再さい興こう、憂うれふる者ものの喜悅よろこび、迷まよふ者ものの嚮きやう導だう者しや、病やむ者ものの醫治いやし、衆しゆう「ハリスティアニン」の救すくひなる女ぢよ君くん生しやう神女しんぢよよ、我われ等ら爾なんぢの子この(祭名)を尊たふとむ者ものを護まもりて、彼かれに我われ等らを見みゆると見みえざる諸しよ敵てきより救すくはんことを祈いのり給たまへ。

共頌カタワシヤ 至し上じやう神しんの三さん光くわうの像すがたは縲絏なはめを釋とき、燄ほのほに露つゆを注そゝぐ、少せう者しやは歌うたひ、凡およそ造つくられし者ものは惟ゆゐ一いちの救世きうせい主しゆ及および造成ざうせい主しゆを恩おん者しやとして崇あがめ讚ほむ。

第九歌頌

イルモス 生しやう神女しんぢよよ、爾なんぢの產さんは不ふ朽きうなり、神かみは爾なんぢの腹はらより出いで、地ち上じやうに肉にく體たいある者ものと現あらはれて、人ひとと偕ともに在いませり、故ゆゑに我われ等ら皆みな爾なんぢを崇あがめ讚ほむ。

我われ等ら感謝かんしやの歌うたを神かみに歌うたふ、蓋けだし彼かれは我われ等らに至し大だいなる寶たからとして、我われ等らを大おほいに戰たゝかひの爲ために固かたむる其その神しん聖せいなる肉にく體たいの(祭名)を賜たまへり、我われ等ら信者しんじやは之これを祝いはひて、神かみを崇あがめ讚ほむ。

嗚呼あゝ主しゆよ、我われ等ら爾なんぢを恃たのむ者ものの爲ために爾なんぢが行おこなひし奇き跡せきは智慧ちゑに超こゆ、蓋けだし爾なんぢが言いひ難がたく有たもち給たまへる人じん性せいを(祭名)の祭まつりを以もつて嚴おごそかに像かたどりて、衆しゆう人じんに現あらはし給たまふ、之これを尊たふとむ者ものを凡およその苦く難なんと誘いう感かんより救すくひ給たまへ。

嗚呼あゝ神かみの言ことばと、智慧ちゑと、能力ちから、及および父ちゝの像すがたや、爾なんぢの(祭名)の祭まつりの欣よろこばしき慶けい賀がを我われ等らに善行ぜんかうの光ひかりの中うちに中ちゆう心しんより爾なんぢを讚榮さんえいして行おこなはしめ給たまへ。

 生神女讚詞

至し淨じやうなる童貞女どうていぢよよ、爾なんぢに於おける神かみの奧あう義ぎは實じつに髙たかし、神かみの睿えい知ちの深ふかきは實じつに測はかり難がたし、蓋けだし至し上じやう者しやは言いひ難がたく爾なんぢより生うまれ、見みるべからざる者ものは其その肉にく體たいの(祭名)を以もつて見みるべき者ものと爲なり給たまへり、我われ等ら信者しんじやは彼かれに伏拜ふくはいして、爾なんぢを崇あがめ讚ほむ。

共頌カタワシヤ 女によ王わう、至し榮えいの母はゝたる童貞女どうていぢよよ、慶よろこべ、如何いかに滑なめらかなる能のう辯べんの口くちも、辯べんを盡つくし、宜よろしきに合かなひて爾なんぢを歌うたふ能あたはず、如何いかなる智慧ちゑも爾なんぢの產さんを悟さとるを得えず、故ゆゑに我われ等ら心こゝろを一いつにして爾なんぢを讚榮さんえいす。

 光耀歌

父ちゝの善ぜん旨しと聖神せいしん゜の行かう動どうとに因よりて至し大だいなる奧あう密みつ、天てん使し等らにも悟さとられぬ者ものは諸しよ預よ言げんに應かなひて行おこなはれ、始はじめなき言ことばは始はじめを受うけて、人ひととして童貞女どうていぢよより生うまれ給たまへり、世せ界かいの救すくひ及および人ひと人びとの贖しよく罪ざいの爲ためなり。三次

 「凡そ呼吸ある者」に讚頌スティヒラ、第一調。

皆みな來きたりて、ハリストスの(祭名)を熱ねつ切せつに祝いはひ、歌か頌しようを捧さゝげ、讚さん美びを奉たてまつりて、同心どうしんに呼よばん、地ち上じやうの者ものの拯救すくひ及および更新あらためなるハリストスは來きたり給たまへり。二次

來きたりて、祝いはひの歌うたと靈たましひの直なほきとを以もつてハリストスの(祭名)を讚榮さんえいせん、蓋けだし彼かれ、父ちゝ及および聖神せいしん゜と同尊どうそんなる主しゆは、己おのれの慈じ憐れんに由よりて、言いひ難がたく我われ等らの合がふ成せいを衣き給たまへり、我われ等ら諸しよ天てん使しと偕ともに彼かれを崇あがめ讚ほめん。

我われ等らは和くわ聲せいの鈸ばつを以もつて大聲たいせいの歌か頌しようを以もつてハリストスの(祭名)を讚ほめ揚あげん。諸しよ預よ言げん者しやの傳でんは終をはりを成なせり、蓋けだし彼かれ等らが預あらかじめ示しめしし者ものは肉にく體たいを以もつて人ひと人びとに現あらはれ給たまへり、我われ等らの救すくひ及および更新あらための爲ためなり。

 光榮、今も、第一調。

人ひと人びとよ、來きたりて、ハリストスの(祭名)を祭まつり、智慧ちゑと心こゝろとを擧あげて、潔いさぎよき童貞女どうていぢよより身みを取とりし、神性しんせいに於おいても人じん性せいに於おいても完くわん全ぜんなる子こを仰あふがん。又また歌か頌しようして呼よばん、聖せいなる神かみ、無む原げんの父ちゝ、聖せいなる勇ゆう毅き、身みを取とりし子こ、聖せいなる常じやう生せいの者もの、撫ぶ恤じゆつ者しや聖神せいしん゜、聖せいなる三者さんしやよ、光くわう榮えいは爾なんぢに歸きす。

 大詠頌。及び發放詞。

 聖體禮儀リトゥルギヤに眞福詞、規程カノンの第三及び第六歌頌。

 

第二編 生神女の祭日の總奉事

 晩課

「主よ爾に籲ぶ」に讚頌スティヒラ、第四調。

至し淨じやうなる生しやう神女しんぢよよ、愛あいを以もつて爾なんぢの至し榮えいなる(祭名)を祭まつる我われ等らを神しん聖せいなる行かう爲ゐにて諸しよ敵てきの攻擊こうげきより護まもりて覆おほひ給たまへ、蓋けだし我われ等ら爾なんぢに呼よぶ、爾なんぢは我われ等らの能力ちからと、堅固かためと、聖せいなる歡喜よろこびなり。爾なんぢの子こ及および我われ等らの神かみは惟ゆゐ一いちなり、我われ等ら彼かれに伏拜ふくはいして云いふ、イイスス全ぜん能のう者しやよ、慈じ憐れんなる主しゆとして、我われ等らの靈たましひを救すくひ給たまへ。

我われ等ら今日こんにち敬虔けいけんの心こゝろを抱いだきて集あつまりて生しやう神女しんぢよを崇あがめ讚ほめん、至し聖せいなる童貞女どうていぢよよ、爾なんぢの大だい事じは夥おびたゞしく、奇き跡せきは數かぞへ難がたし、蓋けだし爾なんぢは我われ等らの爲ために聖せいなる保護ほごと、美譽ほまれと、光くわう榮えいと、醫治いやしの泉いづみなり。我われ等ら爾なんぢの聖せいなる(祭名)を祭まつりて、禱いのりて云いふ、イイスス全ぜん能のう者しやよ、慈じ憐れんなる主しゆとして、我われ等らの靈たましひを救すくひ給たまへ。

至し淨じやうなる童貞女どうていぢよよ、我われ等ら敬虔けいけんに爾なんぢの(祭名)の祭まつりを行おこなふ者ものを爾なんぢの尊たふとき祈き禱たうを以もつて扞ふせぎ衛まもりて、諸しよ敵てきの爲ために畏おそるべき者もの、之これに服役ふくえきせざる者ものと爲なし給たまへ、我われ等らが爾なんぢの子こに呼よばん爲ためなり、イイスス全ぜん能のう者しやよ、慈じ憐れんなる主しゆとして、我われ等らの靈たましひを救すくひ給たまへ。

 光榮、今も、第六調。

至し淨じやうなる生しやう神女しんぢよよ、今日こんにち神かみの敎けう會くわいは最いと華くわ麗れいなる冠かんむりの如ごとく爾なんぢの(祭名)を以もつて飾かざられ、麗うるはしく喜よろこび、奧あう密みつに祝いはひて、爾なんぢ女宰ぢよさいに呼よぶ、尊たふとき王冕わうべん、神しん聖せいなる寶はう冠くわんよ、慶よろこべ、光くわう榮えいの充じゆう滿まん、永遠えいゑんの福ふく樂らくよ、慶よろこべ、爾なんぢに趨はしり附つく者ものの投泊みなと、轉達てんたつ、及および我われ等らの靈たましひの救すくひよ、慶よろこべ。

 聖入、及び本日の提綱ポロキメン。

 創世記の讀 二十八章

イアコフはワィルサワィヤより出いでて、ハッランに往ゆけり。一ある處ところに至いたりて、日ひ旣すでに入いりたれば、彼處かしこに宿やどれり。彼かの地ちの石いしを取とり、枕まくらと爲なして、其その處ところに寢いねたるに、彼かれ夢ゆめを見みたり。視みよ、梯かけはし地ちに樹たちて、其その上うへ天てんに至いたり、神かみの使つかひ等ら此これに由よりて陟のぼり降くだりせり。主しゆは其その上うへに立たちて曰いへり、我われは爾なんぢの祖父ちちアウラアムの神かみ、及およびイサアクの神かみなり、畏おそるる勿なかれ、爾なんぢが臥ふす所ところの地ちは、我われ之これを爾なんぢと爾なんぢの子し孫そんとに與あたへん、爾なんぢの子し孫そんは地ちの砂すなの如ごとくなりて、海うみ東ひがし北きた南みなみに廣ひろまり、地ち上じやうの萬ばん族ぞくは爾なんぢと爾なんぢの子し孫そんとに因よりて祝しゆく福ふくせられん。視みよ、我われ爾なんぢと偕ともにし、爾なんぢ何處いづこに往ゆくとも、其その途みちに爾なんぢを守まもり、又また爾なんぢを此この地ちに返かへさん、蓋けだし我われは凡およそ爾なんぢに語かたりし事ことを行おこなふに至いたるまで爾なんぢを離はなれざらん。イアコフ夢ゆめ覺さめて曰いへり、誠まことに主しゆは此この處ところに在いますに、我われ知しらざりき。乃すなはち懼おそれて曰いへり、畏おそるべき哉かな此この處ところ、是これ他たに非あらず、乃すなはち神かみの家いへなり、此これ天てんの門もんなり。

 イエゼキイリの預言書の讀 四十三及四十四章

主しゆ是かくの如ごとく言いふ、八はち日ひに至いたりて後のち、司し祭さい等らは爾なんぢ等らの燔祭まつりと ―(第三巻百三十四頁二百三十二喩言をうつす)

 箴言の讀 九章

智慧ちゑは其その家いへを建たて、其その七なゝつの柱はしらを堅かため、其その畜けものを宰ほふり、其その酒さけを調てう和わし、其その席せきを設まうけ、其その諸しよ僕ぼくを遣つかはして邑まちの髙たかき處ところより呼よばしめて云いへり、無む知ちなる者ものよ、此こゝに來きたれ。智慧ちゑの乏とぼしき者ものに謂いへり、來きたりて、我わが餅へいを食くらひ、我わが調てう和わせし酒さけを飮のめ、無む知ちを棄すてて生命いのちを得え、聰明さとりの途みちを行ゆけ。侮慢あなどる者ものを戒いましむる人ひとは己おのれに羞はぢを得え、惡者あくしやを責せむる者ものは己おのれに疵きずを得えん。侮慢あなどる者ものを責せむる毋なかれ、恐おそらくは彼かれ爾なんぢを惡にくまん、智ち者しやを責せめよ、彼かれ爾なんぢを愛あいせん、智ち者しやに傳授でんじゆせよ、彼かれ益ますます智慧ちゑを獲えん、義ぎ者しやを敎をしへよ、彼かれ知ち識しきに進すゝまん。主しゆを畏おそるる寅畏おそれは智慧ちゑの始はじめなり、聖せい者しやを知しるは聰明さとりなり。我われに由よりて爾なんぢの日ひは多おほくせられ、爾なんぢの生命いのちの年としは增まさん。

 挿句くづけに讚頌スティヒラ、第三調。

地ちの四し極きよくよ、來きたりて、神かみの母はゝの尊たふとき(祭名)を讚さん美びせん、蓋けだし彼かれは手てを擧あげて子こに禱いのる、故ゆゑに其その聖せいなる(祭名)に因よりて世せ界かいは活いかされたり、我われ等らは聖詠せいえいと歌か頌しようと屬ぞく神しん゜の詩賦しふとを奉たてまつりて、衆しゆう聖せい者しやと偕ともに欣よろこばしく祝いははん。

句 彼かれは彩あや服にしきを衣きて王わうの前まへに進すゝめられ、彼かれの伴ともたる童どう女ぢよは彼かれに從したがひて爾なんぢの前まへに進すゝめらる。

神かみは光くわう榮えいを以もつて大おほいに爾なんぢを妝よそほひたり、蓋けだし爾なんぢは人ひと人びとの光ひかりを手てに抱いだき給たまへり、獨ひとり其その光ひかりの中うちにある「ハリスティアニン」等らの恃賴たのみ、患くわん難なん憂愁いうしうに遇あふ者ものの扶ふ助じよ者しや、激浪あらなみに打うたるる者ものの投泊みなとなる者ものよ、愛あいを以もつて爾なんぢの最いと尊たふとき(祭名)を歌うたふ者ものの諸しよ難なんより救すくはれんことを禱いのり給たまへ。

句 女ぢよよ、之これを聽きき、之これを觀み、爾なんぢの耳みゝを傾かたぶけよ。

至し聖せい至し潔けつなる童貞女どうていぢよよ、天てんに於おいて天てん使しの大數たいすう、地ちに於おいて人ひとの族やからは爾なんぢの最いと尊たふとき(祭名)を讚さん揚やうす、爾なんぢに禱いのる、讚さん美びたる生しやう神女しんぢよ、婚姻こんいんに與あづからざる者ものよ、萬有ばんいうの造成ざうせい主しゆハリストス神かみの母はゝとして、我われ等ら爾なんぢ及および神かみに恃賴たのみを負おはせたる者ものの爲ために絕たえず彼かれに禱いのり給たまへ。

 光榮、今も、第二調。

我われ等らは思おもひと心こゝろとを潔きよめて、諸しよ天てん使しと偕ともに欣よろこばしく祝いはひ、萬有ばんいうの王わうの聘女よめたる童貞女どうていぢよにダワィドの歌うたを捧さゝげて云いはん、主しゆよ、爾なんぢ及および爾なんぢが能のう力りよくの匱ひつは爾なんぢが安息あんそくの所ところに立たてよと、主しゆ宰さいよ、爾なんぢは彼かれを美うるはしき宮みやとして飾かざりて、爾なんぢの城邑まちに立たて給たまへり、爾なんぢの權けん力りよくを以もつて彼かれの祈き禱たうに由よりて之これを治をさめて、諸しよ敵てきより扞ふせぎ衛まもらん爲ためなり。

讚詞トロパリは本祭日の、奉事例に据る。若し奉事例になくば、下の讚詞トロパリを誦すべし。第四調。

我われ等ら罪つみなる賤いやしき者ものは今いま熱心ねつしんにして生しやう神女しんぢよに趨はしり附つき、伏ふし拜をがみ、痛つう悔くわいして心こゝろの底そこより籲よばん、女宰ぢよさいよ、我われ等らを憐あはれみて助たすけよ、我われ等ら多おほくの罪つみの爲ために亾ほろぶるに因よりて速すみやかに至いたり給たまへ、爾なんぢの諸しよ僕ぼくを空むなしく返かへす勿なかれ、我われ等ら獨ひとり爾なんぢを賴たのみとすればなり。

 光榮、今も、

生しやう神女しんぢよよ、我われ等ら不ふ當たうの者ものは常つねに默もださずして爾なんぢの權能けんのうを宣のべん、蓋けだし爾なんぢ主しゆの前まへに立たちて禱いのらずば、孰たれか能よく我われ等らを諸もろもろの禍わざはひより助たすけん、孰たれか能よく我われ等らを自じ由いうの者ものとして今いまに至いたるまで・・・(欠落)

生しやう神しん童貞女どうていぢよマリヤは實じつに光ひかれる雲くもの如ごとく我われ等らの爲ために輝かゞやけり、已すでにアダムは定罪ていざいせられず、エワは縲絏なはめより解とかれたり、故ゆゑに我われ等らも毅き然ぜんとして惟ゆゐ一いちの潔いさぎよき者ものに呼よぶ、至し聖せいなる童貞女どうていぢよよ、我われ等らに諸罪しよざいの赦ゆるしを賜たまはんことを爾なんぢの子こに祈いのり給たまへ。

 光榮、今も、同上。

「主の名を讚め揚げよ」の後に附唱、「我等凡の屬神゜の歌頌を生神女に捧げん。」或は「爾を讚め揚ぐるは誠に當れり。」

 拔萃聖詠

主よ、ダワィド及び其全き温柔を記憶せよ。

 多油詞ポリエレイの後に坐誦讚詞セダレン、第一調。

至し淨じやうなる生しやう神女しんぢよよ、爾なんぢの童貞どうていの腹はらの果みは美うるはしく現あらはれたり、蓋けだし爾なんぢは世せ界かいの爲ために生命いのちを生しやうじ給たまへり、故ゆゑに天軍てんぐんは爾なんぢの尊たふとき祭まつりを讚榮さんえいして、爾なんぢに呼よぶ、光くわう榮えいは爾なんぢの(祭名)に歸きす、聘女よめならぬ母はゝよ、光くわう榮えいは爾なんぢの童貞どうていに歸きす。

 光榮、今も、同上。

 品第詞ステペンナ、第四調の第一倡和詞アンティフォン。

 提綱ポロキメン、第四調。

我われ爾なんぢの名なを萬世ばんせいに誌しるさしめん。

句 我わが心こゝろ善ぜん言げんを涌わき出いだせり、我われ曰いふ、我わが歌うたは王わうの事ことなり。

「凡そ呼吸ある者。」 福音経は巻末に載す。

 第五十聖詠の後に讚頌スティヒラ、第六調。

今日こんにち天てんの門もんは啓ひらかれて、神しん聖せいなる戸とは現あらはる、今日こんにち喜よろこびの恩おん寵ちようは神かみの母はゝの(祭名)に由よりて世せ界かいに賜たまはる、彼かれに由よりて地ちの者ものは天てんの者ものと合あはせられて我われ等らの靈たましひの救すくひを得うるを致いたす。

 至聖なる生神女の規程カノン、第八調。イルモス二次、讚詞トロパリ十二句に。

第一歌頌

イルモス イズライリは乾かわける地ちの如ごとく水みづを過とほり、エギペトの禍わざはひを免まぬかれて籲よべり、我わが救きう主しゆ及および神かみに歌うたはん。

至し淨じやう至し聖せいなる童貞女どうていぢよよ、神しん聖せいなる力ちからを以もつて我われを堅かためて、敬虔けいけんを抱いだきて欣よろこばしく爾なんぢの(祭名)を歌うたはしめ給たまへ、此これ爾なんぢの城邑まちの爲ために保護ほご、爾なんぢの衆しゆう人じんの爲ために壞やぶられぬ力ちから、爾なんぢの牧群ぼくぐんの爲ために堅固かためなり。

無む玷てんなる女宰ぢよさいよ、我われ等らは爾なんぢの祈き禱たうに由よりて慈じ憐れんと仁じん慈じとを蒙かうむる、蓋けだし爾なんぢは有いう能のうの神かみ、爾なんぢの禱いのりに由よりて敬虔けいけんなる衆しゆう人じんを救すくふ主しゆを生うみ給たまへり、故ゆゑに我われ等ら皆みな爾なんぢを讚さん揚やうす。

至し淨じやうなる生しやう神女しんぢよよ、我われ等ら爾なんぢの神しん聖せいなる(祭名)を祭まつる、爾なんぢに由よりて我われ等らに永遠えいゑんの救すくひ及および奪うばはれざる樂たのしみは賜たまはりたり、爾なんぢは我われ等らの恃賴たのみと、帲幪おほひと、能力ちから、及および我わが靈たましひの避所かくれがなればなり。

無む玷てんなる女宰ぢよさいよ、我われ等ら爾なんぢの民たみは爾なんぢの帲幪おほひの下したに趨はしり附つく、爾なんぢの諸しよ僕ぼくの爲ために佑助たすけと爲なりて、愛あいを以もつて爾なんぢを歌うたふ者ものの救すくひに務つとむる求もとめを應かなはせ給たまへ。

共頌カタワシヤ「我が口を開きて。」

第三歌頌

イルモス 主しゆ、天てんの穹蒼おほぞらの至し上じやうなる造成者ざうせいしや、敎けう會くわいの建立者こんりふしや、冀望きばうの極かぎり、信者しんじやの固かため、獨ひとり人ひとを愛あいする者ものよ、我われを爾なんぢの愛あいに堅かため給たまへ。

我われ等ら信しんを以もつて聖せいなる生しやう神女しんぢよの(祭名)に由よりて心こゝろを新あらたにせん、凡およそ信しんを以もつて求もとむる者ものに救すくひを賜たまふ至し淨じやうなる者ものよ、我われ等らを見みゆると見みえざる敵てきより護まもり給たまへ。

生しやう神女しんぢよよ、敬虔けいけんを抱いだきて熱心ねつしんに爾なんぢの堂だうに趨はしり附つき、愛あいを以もつて爾なんぢの(祭名)に俯ふ伏ふくする者ものを爾なんぢは聖せいにし給たまふ。求もとむ、我われ等らを凡およその患くわん難なんより救すくひ、我われ等らの皇くわう帝ていに敵てきに對たいして勝しよう利りを賜たまひ、爾なんぢの子こ我われ等らの神かみを我われ等らの爲ために寬くわん容ようの者ものと爲なし給たまへ。

生しやう神女しんぢよよ、神かみの言ことばは親みづから望のぞみし如ごとく、己おのれの爲ために爾なんぢの聖せいなる腹はらの内うちに居住すまひを爲なし、爾なんぢより身みを取とりて生うまれ、我われ等らに爾なんぢの(祭名)の日ひを見みるを賜たまへり、我われ等ら愛あいを以もつて之これを祭まつりて、爾なんぢに禱いのる。

至し聖せいなる生しやう神女しんぢよ、己おのれの慈じ憐れんにて我われ等らを養やしなふ爾なんぢの至し淨じやうなる子こを乳ちにて養やしなひし者ものよ、我われ等ら衆しゆう信者しんじやは欣よろこばしき靈たましひ、樂たのしき心こゝろを以もつて智慧ちゑを爾なんぢの尊たふとき神しん聖せいなる(祭名)に擧あげて爾なんぢに祈いのる。

 坐誦讚詞セダレン、第四調。

爾なんぢの敎けう會くわいは欣よろこばしく爾なんぢの光くわう榮えいなる(祭名)を祭まつり、我われ等ら衆しゆう信者しんじやは歌うたひて熱ねつ切せつに爾なんぢに呼よぶ、潔いさぎよき童貞女どうていぢよよ、諸しよ敵てきに對たいして我われ等らを堅かため、不ふ法はふの者ものの謀はかりごとを破やぶり、我われ等らの生命いのちを爾なんぢの子この神しん聖せいなる旨むねを行おこなふに向むかはしめ給たまへ。

 光榮、今も、同上。

第四歌頌

イルモス 主しゆよ、我われ爾なんぢが攝せつ理りの祕ひ密みつを聆きき、爾なんぢの作爲しわざを悟さとり、爾なんぢの神性しんせいを讚榮さんえいせり。

潔いさぎよき童貞女どうていぢよよ、暮くれざる光ひかりの前まへに立たちて我われ等らを記き憶おくし、爾なんぢの子こ我われ等らの神かみに祈いのりて、爾なんぢの尊たふとき(祭名)を祭まつる者ものに諸罪しよざいの赦ゆるしを賜たまはんことを求もとめ給たまへ。

光くわう明めいなる日ひの天てんを周めぐりて耀かゞやくが如ごとく、爾なんぢの神しん聖せいなる祭まつりは光くわう線せんを放はなちて、我われ等らより諸慾しよよくの暗やみを拂はらひ、我われ等らの靈たましひに潔淨きよめを與あたへ、我われ等らの諸しよ難なんを解とく。

今いま惡あくの暗やみは拂はらはれ、日ひの光ひかりは靈たましひの爲ために耀かゞやけり、此これ純じゆん潔けつなる神かみの母はゝの尊たふとき(祭名)の祭まつりなり、我われ等ら敬虔けいけんに之これを祭まつる。

至し淨じやう無む玷てんなる讚さん美びたる母はゝよ、爾なんぢは神靈しんれいの聖せい物ぶつの匱ひつなり、爾なんぢは我われ等らの大おほいなる避所かくれが及および美譽ほまれなり、爾なんぢは尊そん貴きなる爾なんぢの(祭名)を尊たふとむ者ものの爲ために醫治いやしの盡つきざる泉いづみなり。

第五歌頌

イルモス 隱かくれざる光ひかりよ、何なんぞ我われを爾なんぢの顏かんばせより退しりぞけし、外ほかの闇やみは憐あはれなる我われを掩おほへり、祈いのる、我われを返かへして、我わが途みちを爾なんぢの誡いましめの光ひかりに向むかはしめ給たまへ。

凡およそ爾なんぢに趨はしり附つく者ものは聖せいにせられ、爾なんぢの尊たふとき(祭名)を祭まつる信者しんじやは此これに由よりて赦免しやめんを受うく、祈いのる、此これに由よりて我われ等らに審判しんぱんの日ひに於おいて仁じん慈じと慈じ憐れんとを與あたへ給たまへ。

童貞どうていの潔けつ淨じやうに飾かざられて爾なんぢの美うるはしき子こ我われ等らの神かみを生うみし者ものよ、爾なんぢの尊たふとき(祭名)の祭まつりを飾かざり、司し祭さい神品しんぴんを樂たのしませ、我わが皇くわう帝ていに敵てきに勝かたしめ、爾なんぢの民たみを凡およその患くわん難なんより解とき給たまへ。

無む玷てんなる女宰ぢよさいよ、樂園らくゑんの中うちの芳かうばしき花はなの如ごとく、爾なんぢの尊たふとき祭まつりは愛あいを以もつて爾なんぢを尊たふとむ信者しんじやの心こゝろに神しん聖せいなる芳かうばしき香かを滿みたしむ。

無む玷てんなる女宰ぢよさい童貞女どうていぢよよ、爾なんぢは雨あま雲ぐもと爲なりて、神しん聖せいなる救すくひの水みづを流ながし、罪つみに由よりて枯かれたる地ちを濕うるほして、諸德しよとくの果みを結むすばしむ、故ゆゑに我われ等ら爾なんぢを讚さん揚やうす。

第六歌頌

イルモス 救世きうせい主しゆよ、我われを淨きよめ給たまへ、我わが不ふ法はふ多おほければなり、祈いのる、我われを惡あくの淵ふちより引ひき上あげ給たまへ、我われ爾なんぢに呼よびたればなり、吾わが救すくひの神かみよ、我われに聽きき給たまへ。

生しやう神女しんぢよ永えい貞てい童どう女ぢよよ、爾なんぢは世よ世よの先さきより在います者ものを嬰児をさなごとして生うみて、多おほくの罪つみに由よりて古ふるびたる我われ等らの心こゝろを新あらたにし給たまへり、求もとむ、我われ等らの新あらたなる歌うた、爾なんぢの祭まつりに捧さゝげらるる者ものを受うけ給たまへ。

至し淨じやうなる者ものよ、爾なんぢの聖せいなる敎けう會くわい、奇き妙めうに義ぎとせられし者ものは敬虔けいけんに爾なんぢの神しん聖せいなる(祭名)を祭まつる、求もとむ、此これに緣よりて我われ等ら衆しゆう爾なんぢを讚さん美びする諸しよ僕ぼくに心こゝろの醫治いやしを與あたへて、我われ等らを諸もろもろの禍わざはひより護まもり給たまへ。

生しやう神しん童貞女どうていぢよよ、凡およその信者しんじやは樂たのしき靈たましひを以もつて爾なんぢの堂だうに集あつまりて、爾なんぢの祭まつりを祝いはひ、日ひの如ごとく耀かゞやき、神かみの恩おん寵ちようにて信者しんじやを照てらす尊たふとき(祭名)を歌うたふ、童貞女どうていぢよ母はゝ女宰ぢよさいよ、此これを以もつて我われ等らをも輝かゞやかして、我われ等らの心こゝろを照てらし給たまへ。

神かみの聘女よめ少女せうぢよよ、我われ等ら爾なんぢの至し淨じやうなる(祭名)を歌うたひて、爾なんぢの無む玷てんなる孕はらみと爾なんぢの產さんとを尊たふとむ、我われ等らと偕ともに天てん使しの品ひん位ゐ及および衆しゆう聖せい人じんの會くわいは爾なんぢを讚榮さんえいす。

次に本祭日の小讚詞コンダク。若し之なくば下の小讚詞コンダクを誦すべし。第一調。

言ことばと智慧ちゑとに超こえて言いひ難がたき神かみの性せいの尊たふとき居處すまひと爲なりし童貞女どうていぢよよ、爾なんぢは萬有ばんいうの王わうたる主しゆの母はゝとして、罪つみなる者ものの爲ために轉達てんたつし、恩おん寵ちようと醫治いやしとを賜たまふ。求もとむ、爾なんぢの子こに我われ等らが審判しんぱんの日ひに於おいて慈じ憐れんを蒙かうむらんことを祈いのり給たまへ。

 又小讚詞コンダク、第六調。

女宰ぢよさいよ、我われ等らには爾なんぢの外ほかに他たの助たすけなく、他たの恃たのみなし、爾なんぢ我われ等らを助たすけ給たまへ、我われ等ら爾なんぢを以もつて恃たのみと爲なし、爾なんぢを以もつて誇ほこる、我われ等らは爾なんぢの諸しよ僕ぼくなればなり、願ねがはくは我われ等ら恥はぢを蒙かうむらざらん。

 同讚詞イコス

我われ等ら愛あいを以もつて生しやう神女しんぢよに呼よぶ、主しゆの城邑まちよ、慶よろこべ、ダワィドの帝てい笏しやくよ、慶よろこべ、活いける宮みやよ、慶よろこべ、神しん聖せいなる「マンナ」の壺つぼよ、慶よろこべ、焚やかれぬ棘いばらよ、慶よろこべ、黃金こがねの燈臺とうだいよ、慶よろこべ、滅けされぬ燈ともしびよ、慶よろこべ、樹こ蔭かげ繁しげき神かみの山やまよ、慶よろこべ、日ひの狀さまの寶はう座ざよ、慶よろこべ、天てんの梯かけはし及および門もんよ、慶よろこべ、濕うるほされずして花はなを發ひらきたるアアロンの杖つゑよ、慶よろこべ、衆しゆう人じんを凡およその患くわん難なん憂愁いうしうより救すくふ者ものよ、慶よろこべ。至し淨じやうなる者ものよ、求もとむ、爾なんぢの子こに我われ等らが審判しんぱんの日ひに於おいて慈じ憐れんを蒙かうむらんことを祈いのり給たまへ。

第七歌頌

イルモス 昔むかしワワィロンに於おいて火ひは神かみの降臨かうりんに慙はぢたり、故ゆゑに少せう者しやは爐ゐろりに在ありて、花園はなぞのに步あゆむが如ごとく祝いはひて歌うたへり、吾わが先せん祖ぞの神かみよ、爾なんぢは崇あがめ讚ほめらる。

萬ばん衆しゆうの女によ王わうよ、爾なんぢは來きたりて、我われ等らの光くわう榮えいの爲ために己おのれの神しん聖せいなる(祭名)の祭まつりの天てんの帲幪おほひを開ひらき給たまへり、我われ等ら此これに緣よりて見みえざる敵てきの攻擊こうげきより救すくはれて、爾なんぢの子こに呼よぶ、我わが先せん祖ぞの神かみは崇あがめ讚ほめらる。

女ぢよ君くん生しやう神しん童貞女どうていぢよよ、爾なんぢの誕たん生じやう及および凡およその爾なんぢの祭まつりを以もつて周年しうねんは装さう飾しよくせらる、今いまも爾なんぢの尊たふとき(祭名)の日ひは敎けう會くわいを飾かざりて、恩おん寵ちようを流ながす、故ゆゑに我われ等ら衆しゆう信者しんじやは爾なんぢの堂だうに趨はしり附つきて、爾なんぢを讚さん揚やうす。

天てんの衆しゆう軍ぐんは主しゆを生うみし者ものを讚榮さんえいし、人ひと人びとの諸しよ族ぞくは彼かれ我われ等らに己おのれの尊たふとき(祭名)の日ひを賜たまひし者ものを讚さん揚やうす、彼かれは我われ等らの恃賴たのみなり、我われ等らの避所かくれがと、帲幪おほひと諸しよ敵てきの攻擊こうげきに對たいする防衛ふせぎまもりなり。

恩おん寵ちようの雲くもよ、我われ等ら爾なんぢの光くわう榮えいなる(祭名)の祭まつりの日ひを尊たふとむ者ものに上うへより恩おん寵ちようと慈じ憐れんとの露つゆを注そゝぎ給たまへ、凡およその靈たましひは爾なんぢを讚榮さんえいして、喜よろこびて歌うたふ、爾なんぢは女をんなの中うちに祝しゆく福ふくせられたり、爾なんぢの腹はらの果みも祝しゆく福ふくせられたり。

第八歌頌

イルモス 無む原げんなる光くわう榮えいの王わう、天軍てんぐんの戰をのゝく主しゆを、司し祭さいよ、歌うたへ、人ひと人びとよ、萬世ばんせいに讚ほめ揚あげよ。

潔いさぎよき生しやう神女しんぢよ、ハリストス神かみの聖せいなる寶はう座ざ及および宮みやよ、爾なんぢは獨ひとり萬ばん衆しゆうの女によ王わうなり、求もとむ、爾なんぢの尊そん貴きなる(祭名)を尊たふとむ者ものに諸罪しよざいの赦ゆるしを賜たまはんことを神かみに禱いのり給たまへ。

地ち上じやうに於おいて眞まことに至し榮えいなる者ものよ、爾なんぢは身みを爾なんぢより取とりし主しゆを己おのれの聖せいなる手てに抱いだき給たまへり、今いまは爾なんぢ上じやう天てんに登のぼりて、人ひと人びとに爾なんぢの尊たふとき(祭名)の輝かゞやける日ひを遺のこし給たまへり、我われ等ら此この日ひに於おいて讚榮さんえいして歌うたふ、主しゆを歌うたひて、世よ世よに彼かれを讚ほめ揚あげよ。

神しん聖せいなる預よ言げん者しやよ、祝いはひて生しやう神しん童貞女どうていぢよの尊そん貴きなる(祭名)を尊たふとめ、蓋けだし彼かれは爾なんぢ等ら衆しゆうの言ことばを應かなへて、爾なんぢ等らの預よ言げんせしハリストス萬有ばんいうの王わう、我われ等らが世よ世よに讚ほめ揚あぐる者ものを生うみ給たまへり。

陷おちいる者ものの再さい興こう、憂うれふる者ものの喜悅よろこび、迷まよふ者ものの嚮きやう導だう者しや、病やむ者ものの醫治いやし、衆しゆう「ハリスティアニン」の救すくひなる女ぢよ君くんよ、我われ等ら爾なんぢを呼よびて、爾なんぢの(祭名)を尊たふとむ者ものを護まもりて、我われ等らを見みゆると見みえざる諸しよ敵てきより救すくひ給たまへ。

第九歌頌

イルモス 凡およその者ものは神かみの言いひ難がたき寬くわん容ようの事こと、如何いかに至し上じやう者しやが甘あまんじて肉にく體たいを取とるまでに降くだりて、童貞女どうていぢよの腹はらより人ひとと爲なりしかを聞ききて、恐おそれざるなし、故ゆゑに我われ等ら信者しんじやは至し淨じやうなる生しやう神女しんぢよを崇あがめ讚ほむ。

神かみの城邑まちよ、光くわう榮えいの事ことは爾なんぢに於おいて傳つたへらる、爾なんぢは天てんの者もの及および地ちの者ものに王わうたる主しゆの城邑まちなり、彼かれは爾なんぢより生うまれて、爾なんぢを地ちより天てんに登のぼせ給たまへり、爾なんぢの尊そん貴きなる(祭名)を尊たふとむ者ものの爲ために絕たえず彼かれに祈いのり給たまへ、我われ等ら彼かれと偕ともに爾なんぢを崇あがめ讚ほむ。

無む形けいの者ものの品ひん位ゐ、太たい祖その會くわい、神しん聖せいなる使徒しと及および諸しよ預よ言げん者しやの隊たい、致ち命めい者しやの軍ぐん、成聖せいせい者しやと克肖こくせうなる諸しよ神しん父ぷとの會くわい、及および衆しゆう聖せい人じんよ、我われ等らと偕ともに樂たのしみて、神かみの母はゝの(祭名)を祭まつりて崇あがめ讚ほめよ。

至し淨じやうなる童貞女どうていぢよよ、爾なんぢは己おのれの產さんを以もつて萬ばん衆しゆうを聖せいにし、更さらに爾なんぢの(祭名)の最いと尊たふとき日ひを以もつて衆しゆうを光くわう照せうし給たまへり、我われ等ら之これを祭まつりて、爾なんぢを崇あがめ讚ほむ。

至し淨じやうなる神かみの母はゝよ、吾わが皇くわう帝ていの角つのを髙たかくし、諸しよ敵てきの驕おごりを仆たふし、我われ等らの城邑まちを外ぐわい攻こうに侵おかされぬ者ものと爲なし、亦また爾なんぢの大おほいなる名なの崇あがめられて、衆しゆうに熱ねつ切せつに讚榮さんえいせらるる凡およその地ち方はうを護まもり給たまへ。

 光耀歌

アダムよ、新あらたになれ、エワよ、樂たのしめ、預よ言げん者しやは使徒しと及および致ち命めい者しやと偕ともに祝いはへ、克肖者こくせうしやは成聖せいせい者しやと偕ともに喜よろこべ、蓋けだし至し淨じやうなる生しやう神女しんぢよマリヤの(祭名)は諸しよ天てん使し及および人ひと人びとの爲ために喜よろこびと樂たのしみなり。三次

 「凡そ呼吸ある者」に讚頌スティヒラ、第一調。

生しやう神女しんぢよよ、爾なんぢの(祭名)の祭まつりは光ひかりの泉いづみ、光くわう照せうの流ながれなり、祈いのる、此これに緣よりて我われ等らを無知むちの暗やみと靈體れいたいの慾よくより脫のがれしめて、來世らいせいに於おいて終をはりなき苦くるしみより救すくひ給たまへ。二次

生しやう神女しんぢよよ、爾なんぢより身みにて生うまれし神かみの實じつ在ざいの睿えい知ちなる主しゆは爾なんぢを善ぜん智ちの泉いづみ及および恩おん寵ちようの淵ふちと顯あらはし給たまへり、故ゆゑに祈いのる、我われに爾なんぢの善ぜん智ちの淯滴したゝりを注そゝぎて、我われを永遠えいゑんの生命いのちに導みちびき給たまへ。

ハリストスの奧あう密みつなる奇き跡せきの始はじめたる女宰ぢよさいよ、我われ等らは爾なんぢの神しん聖せいなる(祭名)の祭まつりを奇き跡せきの泉いづみと尊たふとみて、之これに伏拜ふくはいして爾なんぢに祈いのる、生しやう神女しんぢよよ、我われ等らを今世こんせいに於おいて諸しよ病びやう諸難しよなんより、來世らいせいに於おいて終をはりなき苦くるしみより救すくひ給たまへ。

 光榮、今も、第八調。

我われ等ら皆みな生しやう神女しんぢよマリヤを歌うたはん、神かみの母はゝよ、慶よろこべ、智ちなる活いける梯かけはしよ、慶よろこべ、焚やかれざる棘いばらよ、慶よろこべ、至し聖せいなる壺つぼよ、慶よろこべ、信しん德とくの華はなよ、慶よろこべ、芽めを生しやうじたる杖つゑよ、慶よろこべ、黃金こがねの香かう爐ろよ、慶よろこべ、樹こ蔭かげ繁しげき神かみの山やまたる童貞女どうていぢよよ、慶よろこべ、始はじめのエワの解げ脫だつよ、慶よろこべ、神かみの寶はう座ざよ、慶よろこべ、多た憐れんなる華くわ美びよ、慶よろこべ、女宰ぢよさいよ、慶よろこべ。

 大詠頌、幷に發放詞。

 

第三編 尊貴にして生命を施す十字架の總奉事

 晩課

「主よ爾に籲ぶ」に讚頌スティヒラ、第四調。

今日こんにち信者しんじやの大數たいすうは喜よろこぶ、蓋けだし救世きうせい主しゆの十じふ字架じかは四し極きよくに現あらはれて、近ちかづき難がたき光ひかりを以もつて穹蒼おほぞらを照てらし、空くう中ちゆうを聖せいにし、地ちの面おもてを飾かざる、ハリストスの敎けう會くわいは上うへより之これに賜たまはりて、之これを護まもる神しん聖せいにして奇き妙めうなる十じふ字架じかを尊たふとみて、屬ぞく神しん゜の歌うたを以もつて之これを崇あがめ讚ほむ。我われ等らは其その力ちからに堅かためられて、主しゆ宰さいに就つきて呼よぶ、世せ界かいを平へい安あんにして、我われ等らの靈たましひを照てらし給たまへ。

造物ざうぶつは喜よろこびて祝いはふべし、今日こんにち十じふ字架じかは天てんより四し極きよくに輝かゞやき、地ち上じやうの者ものを照てらして、散ちらされたる者ものを合あはす。今日こんにち天てん使しの品ひん位ゐは人ひと人びとと偕ともに祝いはふ、蓋けだし十じふ字架じかを以もつて隔へだての籬かきは壞こぼたれ、衆しゆうは一いつに合あはせられたり。十じふ字架じかは日ひよりも耀かゞやきて、恩おん寵ちようにて萬物ばんぶつを照てらし、信しんを以もつて之これを尊たふとむ者ものを救すくふ。

世せ界かいの終をはりに日ひよりも盛さかんに輝かゞやきて現あらはれんとするハリストス王わうの帝てい笏しやくたる尊たふとき十じふ字架じかは今いま明あきらかに四し極きよくに光ひかる。此これは人類じんるゐを死しより出いだし、地ぢ獄ごくを破やぶりて之これを擄とりこにし、惡あく鬼きの傲がう慢まんを全まつたく亾ほろぼし、救世きうせい主しゆの復ふく活くわつを傳つたへて、主しゆ宰さいに呼よびて、世せ界かいを平へい安あんにして、我われ等らの靈たましひを照てらし給たまへと言いふ者ものを救すくふ。

 光榮、今も、第八調。

ハリストス神かみよ、我われ等ら罪つみなる者ものは今日こんにち爾なんぢの尊たふとき十じふ字架じかに伏拜ふくはいす。昔むかしモイセイは己おのれを以もつて之これを預よ象しやうして、アマリクを斃たふして勝かち、聖詠せいえい者しやダワィドも爾なんぢの足あし凳だいに伏ふし拜をがむを命めいじて、之これを示しめせり。我われ等らは不ふ當たうの口くちを以もつて、爾なんぢ其その上うへに甘あまんじて釘ていせられし者ものを歌か頌しようして祈いのる、主しゆよ、盜賊たうぞくと偕ともに我われ等らを爾なんぢの國くにに入いるに勝たへさせ給たまへ。

 聖入。本日の提綱ポロキメン。喩言パリミヤ三篇。

 エギペトを出づる記の讀 十五章及十六章

モイセイはイズライリの諸しよ子しを紅こう海かいより導みちびきて、スルの野のに入いりしに、彼かれ等ら野のを行ゆくこと三みつ日かにして、飮のまん爲ために水みづを得えざりき。メッラに至いたりしが、メッラの水みづを飮のむこと能あたはざりき、其その苦にがきを以もつてなり、故ゆゑに此この處ところはメッラ(苦にがみ)と名なづけられたり。民たみはモイセイに怨うらみ言ごとして曰いへり、我われ等ら何なにを飮のまんか。モイセイ主しゆに籲よべり、主しゆは彼かれに一ひとつの木きを示しめしたれば、之これを水みづに投とうぜしに、水みづ甘あまくなれり。彼處かしこに神かみは民たみの爲ために律例りつれいと規き定ていとを立たて、彼處かしこに彼かれを試こゝろみ、且かつ曰いへり、爾なんぢ若もし愼つゝしみて主しゆ爾なんぢの神かみの聲こゑを聽きき、其その悅よろこぶ所ところを行おこなひ、其その誡いましめに耳みゝを傾かたぶけ、其その悉ことごとくの律例りつれいを守まもらば、我われは我わがエギペト人じんに加くはへし病やまひを一いつも爾なんぢに加くはへざらん、蓋けだし我われは主しゆ爾なんぢを醫いやす者ものなり。彼かれ等らエリムに至いたれり、其その處ところに水みづの井ゐ十じふ二に、椶しゆ櫚ろ七しち十じふ株しゆあり、彼かれ等ら彼處かしこに水みづの旁かたはらに幕まくを張はれり。エリムより出いでて、イズライリの諸しよ子しの會くわい衆しゆうはシオンの野の、卽すなはちエリムとシナイ山ざんとの間あひだに在ある處ところに來きたれり。

 箴言の讀 三章

我わが子こよ、主しゆの懲治こらしを輕かろんずる勿なかれ、彼かれより責せめられて弱よわる勿なかれ、蓋けだし主しゆは愛あいする者ものを責せめ、凡およそ納いるる所ところの子こを鞭むちうつ。智慧ちゑを求もとめたる人ひと、聰明さとりを得えたる人ひとは福さいはひなり、蓋けだし智慧ちゑを市かふは金きん銀ぎんの寶たからを市かふに愈まさる、此これ寶はう石せきよりも貴たふとし、何なんの惡あくも之これに敵てきする能あたはず、此これ凡およそ之これに近ちかづく者ものに著明あらはなり、都すべての貴たふとき物ものは之これに比たくらぶるに足たらず、其その右みぎの手てには長壽ながきいのちあり、其その左ひだりの手てには富とみと榮さかえとあり、義ぎは其その口くちより出いで、律法りつぱふと慈じ憐れんとは其その舌したに在あり、其その途みちは樂たのしき途みちなり、其その諸途みちすぢは皆みな和わ平へいなり。此これ凡およそ之これを執とる者ものには生命いのちの樹きなり、之これに倚よる者ものは福さいはひなり。

 イサイヤの預言書の讀 六十章

主しゆ是かくの如ごとく言いふ、イエルサリムよ、爾なんぢの門もんは常つねに啓ひらかれ、晝ひるも夜よるも閉とざされず、諸民しよみんの貨財たからの爾なんぢの中うちに攜たづさへられ、其その諸しよ王わうの導みちびかれて來きたらん爲ためなり。蓋けだし爾なんぢに事つかふるを欲ほつせざらん諸民しよみんと諸しよ王わうとは亡ほろび、此かくの若ごとき諸しよ國こくは全まつたく荒あらされん。リワンの光くわう榮えいは爾なんぢに來きたり、松まつと杉すぎと黃楊樹つげとは共ともに來きたりて、我わが聖所せいしよの處ところを飾かざり、我われは我わが足あしを置おく所ところを榮えいせん。爾なんぢを苦くるしめし者ものの諸しよ子しは服ふくして爾なんぢに來きたり、爾なんぢを藐あなどりし者ものは皆みな爾なんぢの足あし下もとに拜はいし、爾なんぢを主しゆの城まち、イズライリの聖せい者しやのシオンと稱となへん。爾なんぢ曾かつて棄すてられ、憎にくまれて、爾なんぢを過すぐる者ものなきに至いたりしが、之これに代かへて我われ爾なんぢを永遠えいゑんの華くわ美び、世世よよの歡くわん樂らくと爲なさん。爾なんぢは諸民しよみんの乳ちを哺すひ、諸しよ王わうの富とみを食くらひ、而しかうして我わが主しゆ爾なんぢの救者きうしや、爾なんぢの贖しよく罪ざい者しや、イアコフの全ぜん能のう者しやたるを知しらん。

 挿句くづけに讚頌スティヒラ、第二調。

言ことばよ、敎けう會くわいは爾なんぢの神しん聖せいにする水みづ及および血ちを以もつて新婦はなよめの如ごとく美うるはしく飾かざられて、十じふ字架じかの光くわう榮えいを歌うたふ。

句 主しゆ我わが神かみを崇あがめ讚ほめ、其その足あし凳だいに伏ふし拜をがめよ、是これ聖せいなり。

十じふ字架じかと偕ともに戈ほこ、釘くぎ、及および其その他たハリストスの生命いのちを施ほどこす身みを釘ていするに供きようせし者ものを擧あげて伏拜ふくはいせん。

句 神かみ我わが古こ世せいよりの王わうは救すくひを地ちの中なかに作なせり。

モイセイは十じふ字じ形かたに手てを擧あげて、アマリクに勝かちし時とき、ハリストスの至し淨じやうなる苦くるしみを形かたどれり。

 光榮、今も、第一調。

ハリストスよ、太たい祖そイアコフは爾なんぢの十じふ字架じかを預よ象しやうして、孫まごに福ふくを降くだす時とき、己おのれの手てを其その首かうべに易かへたり。救世きうせい主しゆよ、我われ等ら今日こんにち此これを擧あげて籲よぶ、コンスタンティンに敵てきに勝かつを賜たまひし如ごとく、我わが皇くわう帝ていに勝しよう利りを與あたへ給たまへ。

「主宰よ、今爾の言に循ひて。」聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞トロパリ。「主よ、爾の民を救ひ。」幷に發放詞。

 早課

「主は神なり」に同上の讚詞トロパリ、三次。

 第一の「カフィズマ」の後に坐誦讚詞セダレン、第六調。

主しゆハリストスよ、爾なんぢの十じふ字架じかの木きの樹たてらるるばかりにして、死しの基もとゐは震ふるへり、蓋けだし地ぢ獄ごくが貪むさぼりて呑のみたる者ものを慄をのゝきて出いだせり。聖せいなる者ものよ、爾なんぢは我われ等らに爾なんぢの救すくひを顯あらはせり、我われ等ら爾なんぢを讚さん頌しようす、神かみの子こよ、我われ等らを憐あはれみ給たまへ。

 光榮、今も、同上。

 第二の「カフィズマ」の後に坐誦讚詞セダレン、第六調。

今日こんにち預よ言げん者しやの言ことばは應かなへり、蓋けだし視みよ、我われ等らは爾なんぢ主しゆの足あしの立たちし處ところに伏拜ふくはいす、獨ひとり人ひとを愛あいする主しゆよ、我われ等らは救すくひの木きを獲えて、罪惡ざいあくの諸慾しよよくより釋とかれたり、生しやう神女しんぢよの祈き禱たうに因よりてなり。

 光榮、今も、同上。

「主の名を讚め揚げよ」の後に附唱、

生命いのちを賜たまふハリストスよ、我われ等ら爾なんぢを讚さん揚やうして、爾なんぢが我われ等らを敵てきの奴ど隷れいより救すくひし聖せいなる十じふ字架じかを尊たふとむ。

 拔萃聖詠

主しゆよ、我われと争あらそふ者ものと争あらそひ、我われと戰たゝかふ者ものと戰たゝかひ給たまへ。

 多燭詞ポリエレイの後に坐誦讚詞セダレン、第八調。

木きは曩さきに地ち堂だうに於おいて我われを裸ら體たいにし、敵てきは食しよくに因よりて死しを入いれたり、十じふ字架じかの木きは地ちに樹たてられて、生命せいめいの衣ころもを人ひと人びとに贈おくれり、全ぜん世せ界かいは凡およその喜よろこびに滿みてられたり。其その擧あげらるるを見みて、我われ等ら人ひと人びとは、信しんを以もつて聲こゑを合あはせて神かみに籲よばん、爾なんぢの家いへは光くわう榮えいに滿みちたり。

 光榮、今も、同上。

 品第詞ステペンナ、第四調の第一倡和詞アンティフォン。

 提綱ポロキメン、第四調。

凡およそ地ちの極はては我わが神かみの救すくひを見みたり。

句 新あらたなる歌うたを主しゆに歌うたへ、蓋けだし彼かれは奇き跡せきを行おこなへり。

「凡そ呼吸ある者。」 福音経は巻末に載す。

 第五十聖詠の後に讚頌スティヒラ、第六調。

ハリストスの十じふ字架じか、「ハリスティアニン」等らの倚望たのみ、迷まよふ者ものの導引みちびき、颶ぐ風ふうに遭あふ者ものの投泊みなと、戰たゝかひに於おける勝しよう利り、世せ界かいの堅固かため、病びやう者しやの醫師いし、死し者しやの復ふく活くわつよ、我われ等らを憐あはれめ。

 尊貴にして生命を施す十字架の規程カノン。グリゴリイ「シナイト」の作。イルモス二次、讚詞トロパリ十二段。第四調。

第一歌頌

イルモス 「我が口を開きて。」

有いう能のうなる十じふ字架じかよ、爾なんぢは使徒しとの譽ほまれ、克肖者こくせうしやの力ちから、信者しんじやの記號しるし、成聖せいせい者しや及および致ち命めい者しやの光くわう榮えい、凡およそ爾なんぢを讚ほめ揚あぐる者ものの勝しよう利りと保固かためなり。

至し尊そんなる十じふ字架じかよ、爾なんぢは四し極きよくの力ちから、使徒しとの飾かざり、致ち命めい者しやの固かため、病やむ者ものの健康けんかう、死し者しやの復ふく活くわつ、陷おちいる者ものの興起おこしなり。

十じふ字架じかよ、我われの爲ために能力ちから及および保固かためと爲なり、我われと戰たゝかふ者ものに對たいして及および防衛ふせぎと爲なり、我われの盾たて及および守しゆ護ご、保はう障しやう及および勝しよう利りと爲なりて、常つねに我われを護まもりて覆おほへよ。

 生神女讚詞

純じゆん潔けつなる者ものよ、爾なんぢが己おのれの子この十じふ字架じかに在あるを見みる時とき、哀かなしみの劍つるぎは爾なんぢの心こゝろを貫つらぬけり、爾なんぢは傷いたましく哭なきて呼よべり、然しかれども亦また十じふ字架じかの力ちからを讚榮さんえいし給たまへり。

共頌カタワシヤ「モイセイは杖を以て十字架の縱を象りて。」

第三歌頌

イルモス 「生神女、生活にして盡きざる泉よ。」

至し尊そんなる十じふ字架じかよ、爾なんぢは克肖者こくせうしやの武器ぶき、ハリストスの兩刃もろはの劍つるぎ、信者しんじやの飾かざり、病びやう者しやの醫治いやし及および扶助たすけ、死しせし者ものの興起おこしなり。

十じふ字架じかよ、爾なんぢは敬虔けいけんの基もとゐ、敎けう會くわいの飾かざり、惡あく鬼きの滅亾ほろび、不ふ虔者けんしやの敗壞やぶれ、審判しんぱんの日ひに於おいて敵てきの辱はづかしめなり。

生命いのちを施ほどこす十じふ字架じかよ、爾なんぢは我われの爲ために保固かためと勝しよう利り、盾たてと壞やぶられぬ墻かき、惡あく鬼きを遠とほざくる者ものと惡念あくねんを銷けす者もの、及および我わが智慧ちゑの守護まもりと爲なれ。

 生神女讚詞

女宰ぢよさい童貞女どうていぢよよ、爾なんぢの子こは十じふ字架じかに釘ていせらるる辱はづかしめと非義ひぎの死しとを忍しのびたれども、不ふ死しの主しゆとして、擧あげられて、惡あく敵てきの力ちからを仆たふし給たまへり。

共頌カタワシヤ「杖は祕密の預象として受けらる。」

 坐誦讚詞セダレン、第八調。

我わが救世きうせい主しゆよ、昔むかしイイスス ナワィンは奧あう密みつに十じふ字架じかの形かたちを預よ像しやうせり、彼かれが手てを十じふ字じ形かたに舒のべし時とき、爾なんぢ神かみに逆さかふ敵てきを斃たふすに至いたるまで日ひは停とゞまれり、今いまは日ひ爾なんぢが十じふ字架じかに在あるを見みて晦くらみたり、爾なんぢは死しの權けんを敗やぶりて、全ぜん世せ界かいを己おのれと偕ともに起おこし給たまへり。

 光榮、今も、同上。

第四歌頌

イルモス 「光榮の中に神性の寶座に坐するイイスス神は。」

ハリストスの十じふ字架じか、大おほいなる武器ぶき、勝かたれぬ勝かちちよ、爾なんぢは我われ等らに畫しるされて、三みつ刃ばの劍つるぎとして、幽暗くらやみの首しゆ領りやうを斬きる。

生命いのちを施ほどこす十じふ字架じかよ、爾なんぢの髙たかさは空くう氣き中ちゆうの君きみを擊うち、深ふかさは淵ふちの蛇へびを刺さし殺ころし、廣ひろさは畫しるされて、爾なんぢの力ちからにて世よの君きみを斃たふす。

主しゆよ、爾なんぢは十じふ字架じかに擧あげられて陷おちいりし者ものを起おこし、地ち上じやうの性せいを升のぼせて、神かみの寶はう座ざに坐ざせしめ給たまへり、十じふ字架じか、大おほいなる髙たかさ、天てんの梯かけはしよ、我わが靈たましひを諸慾しよよくの深處ふかみより速すみやかに升のぼせ給たまへ。

 生神女讚詞

至し淨じやうなる生しやう神しん童貞女どうていぢよよ、爾なんぢの手てを十じふ字じ形かたに十じふ字架じかに擧あげられし者ものに舒のべて、凡およそ熱心ねつしんに爾なんぢに禱いのる者ものの爲ために今いま彼かれに祈き禱たうを捧さゝげ給たまへ。

共頌カタワシヤ「主よ、我爾が攝理の祕密を聆き。」

第五歌頌

イルモス 「萬物は爾が神妙の光榮に驚かざるなし。」

十じふ字架じか、諸德しよとくに登のぼす天てんの梯かけはしよ、爾なんぢはハリストスの髙度たかさ及および光くわう榮えいなり、神かみの記號しるし、見みゆると見みえざる世せ界かいの爲ために同おなじく尊たふとき者ものなり。

十じふ字架じか、無む量りやうなる力ちからの記號しるしよ、爾なんぢは水みづを聖せいにし、空くう氣きを潔きよめ、凡およその人ひとを光くわう照せうす、爾なんぢはハリストスの記き號がう及および帝てい笏しやくにして、諸しよ敵てきを地ちに倒たふす者ものなり。

全ぜん能のうの十じふ字架じかよ、無知むちに爾なんぢを憎にくみて誹そしる惡あく敵てきを斃たふせ、異い邦はう民みんの驕おごりを滅ほろぼせ。嗚呼あゝハリストスを載のする至し聖せいなる十じふ字架じかよ、爾なんぢの權能けんのうを以もつて我われ等らを護まもれ。

 生神女讚詞

萬ばん衆しゆうの女によ王わう女宰ぢよさいよ、爾なんぢの產さんの權能けんのうにて十じふ字架じかの力ちからを謗そしる者ものの激げき昂かうを止とゞめ、我われ等ら衆しゆうに堅固かためと潔けつ淨じやうとを予あたへ、我わが皇くわう帝ていに佑助たすけと勝しよう利りとを賜たまへ。

共頌カタワシヤ「嗚呼ハリストス王及び主が懸りたる木。」

第六歌頌

イルモス 「神の信者よ、來りて、神の母の。」

十じふ字架じかは衆しゆう人じんの復ふく活くわつ、十じふ字架じかは陷おちいりし者ものの再さい興こう、諸慾しよよくの撲滅ぼくめつ、肉にく體たいの禁制きんせい、十じふ字架じかは靈たましひの光くわう榮えい及および永遠えいゑんの光ひかりなり。

十じふ字架じかは諸しよ敵てきを滅ほろぼし、不ふ虔者けんしやに傷きずをつけて之これを擄とりこにし、惡あく鬼きを遠とほざくる者もの、十じふ字架じかは信者しんじやの權けん力りよく、敬虔けいけんの者ものの守しゆ護ごなり。

十じふ字架じかは諸慾しよよくを殺ころし、惡念あくねんを退しりぞくる者もの、十じふ字架じかは異い邦はう人じんの迷まよひを解とき、惡あく神しん゜を防ふせぐ者ものなり。

十じふ字架じかは上あげられて、空くう中ちゆうの惡あく鬼きの群むれは墜おち、十じふ字架じかは下さげられて、不ふ虔者けんしや皆みな戰をのゝく、十じふ字架じかの力ちからの電光いなづまの如ごときを見みればなり。

共頌カタワシヤ「イオナは海の猛獸の腹の中に。」

 小讚詞コンダク、第四調。

甘あまんじて十じふ字架じかに擧あげられしハリストス神かみよ、爾なんぢが同どう名めいの新あらたなる住處すまひに爾なんぢの慈じ憐れんを賜たまへ、爾なんぢの力ちからを以もつて我わが皇くわう帝ていを樂たのしましめて、彼かれに敵てきに勝かたしめ給たまへ、彼かれは爾なんぢの援助たすけとして平安へいあんの武器ぶき、勝かたれぬ旗はたを有たもてばなり。

 同讚詞イコス

第三だいさん重ぢゆうの天てんに樂園らくゑんに擧あげられて、道いひ難がたき神しん聖せいなる言ことば、人ひとの舌したを以もつて語かたる能あたはざる所ところを聞ききし者ものは、何なにをかガラティヤ人じんに達たつして書しよする、書しよを愛あいする者ものの讀よみて知しれるが如ごとし、曰いはく、我われに在ありては唯たゞ主しゆの十じふ字架じか、主しゆが其その上うへに苦くるしみを受うけて諸慾しよよくを殺ころしし者ものの外ほかに誇ほこる所ところなしと。我われ等ら衆しゆうも此この主しゆの十じふ字架じかを堅かたく有たもちて誇ほこりと爲なす、蓋けだし此この木きは我われ等らの爲ために救すくひなり、平安へいあんの武器ぶき、勝かたれぬ旗はたなり。

第七歌頌

イルモス 「敬虔の者は造物主に易へて。」

我われ等らは分ぶん離りせず混淆こんかうせざる三者さんしや、惟ゆゐ一いちの神性しんせいたる、生うまれざる父ちゝ、生うまれたる子こ、及および出いづる聖神せいしん゜を祝しゆく讚さんして、歌うたを以もつて歌か頌しようせん、我わが先せん祖ぞの神かみは崇あがめ讚ほめらる。

三さん位ゐなる神かみよ、爾なんぢの暮くれざる光ひかりを以もつて我われ等らの神靈しんれいの目めを照てらして、人ひと人びとに悟さとられぬ、諸しよ天てん使しに近ちかづかれぬ爾なんぢの永在えいざいなる三さん光くわうの華くわ美びを仰あふがしめ給たまへ。

讚さん美びたる仁じん慈じ全ぜん能のうの神かみよ、爾なんぢの光ひかりの光くわう線せんを以もつて吾わが靈たましひ、跌つまづきて恩おん寵ちようの光ひかりより最いと深ふかき暗やみに陷おちいりたる者ものを照てらして、滅亾ほろびより引ひき上あげ給たまへ。

 生神女讚詞

潔いさぎよき童貞女どうていぢよよ、己おのれの手てを十じふ字架じかの木きに舒のべ、我われ等らの性せいを擧あげて、敵てきの隊たいを殺ころしし主しゆに向むかひて、爾なんぢの手てを十じふ字じ形かたに舒のべて、絕たえず我われ等らの爲ために禱いのり給たまへ。

共頌カタワシヤ「不虔なる苛虐者の威嚇。」

第八歌頌

イルモス 「生神女の產は敬虔の少者を。」

勝しよう利り者しやたる十じふ字架じかよ、爾なんぢは敵てきに對たいして弓ゆみ及および劍つるぎなり、恥はぢを得えざる武器ぶき及および勝かたれぬ力ちからなり、爾なんぢはハリストスの苦くるしみの髙度たかさなり、爾なんぢは其その足あし凳だいなり、其その國くにの記號しるし、信者しんじやの權けん力りよくなり。

生命いのちを施ほどこす十じふ字架じかよ、ハリストスが爾なんぢの上うへに釘ていせられしに因よりて、爾なんぢは我われ等らの陷おちいりし性せいを起おこす者ものと爲なれり、爾なんぢは神しん聖せいなる髙度たかさ、言いひ難がたき深度ふかさ、無む量りやうの廣度ひろさにして、悟さとり難がたき三者さんしやの記號しるしなり。

來きたりて、皆みな今いま口くちと靈たましひと心こゝろとを以もつて主しゆの十じふ字架じかに接せつ吻ぷんし、之これに伏拜ふくはいし、之これを讚ほめ揚あげて、共ともに歌うたひて呼よばん、十じふ字架じか、大おほいなる富とみ、敎けう會くわいの飾かざりよ、慶よろこべ。

三さん合がふ格かくの十じふ字架じかよ、爾なんぢは生命いのち及および救すくひの木き、不ふ死しの木き、智ち識しきの木き、三重みへに愛あいすべき不ふ朽きうの木き、三者さんしやの記號しるしなる尊たふとき木きなり。

共頌カタワシヤ「聖三者と同數なる少者よ。」

第九歌頌

イルモス 「凡そ地に生るる者は聖神゜に照されて樂しみ。」

至いたりて愛あいすべき十じふ字架じかよ、錄しるされし如ごとく、誰たれか能よく爾なんぢの行かう動どうと、異い能のうと、奇き跡せきとを述のべん、爾なんぢは地ちの中なかに立たてられて、死し者しやを復ふく活くわつせしめ、世せ界かいを興おして、神かみに升のぼらしむ。

三重みへに福ふくたる十じふ字架じか、全ぜん能のうの木きよ、爾なんぢは信者しんじやの記き號がうと能のう力りよくなり、ハリストスの大おほいにして完くわん全ぜんなる十じふ字架じかよ、爾なんぢは使徒しとの譽ほまれ、克肖者こくせうしやの固かため、致ち命めい者しやの力ちから、諸しよ王わうの勝しよう利り及および榮さかえなり。

大名たいめいにして至し福ふくなる十じふ字架じかよ、慶よろこべ、至し聖せいにして全ぜん能のうなる十じふ字架じかよ、慶よろこべ、我われ等らの生命せいめいの守しゆ護ご者しや、主しゆの讚さん美びたる十じふ字架じかよ、慶よろこべ。

尊そん貴きなる十じふ字架じかよ、我わが爲ために靈體れいたいの保護ほご者しやと爲なれ、爾なんぢの記き號がうを以もつて惡あく鬼きを斃たふし、諸しよ敵てきを退しりぞけ、諸慾しよよくを制せいし、我われに祝しゆく福ふくと、生命せいめいと、能のう力りよくとを與あたへよ、聖神せいしん゜の行かう動どうと至し淨じやうなる童貞女どうていぢよの尊たふとき祈き禱たうとに因よりてなり。

共頌カタワシヤ「生神女よ、爾は祕密なる樂園。」

 光耀歌

十じふ字架じかは全ぜん世せ界かいの守しゆ護ご、十じふ字架じかは敎けう會くわいの装さう飾しよく、十じふ字架じかは諸しよ王わうの權柄けんぺい、十じふ字架じかは信者しんじやの堅固かため、十じふ字架じかは天てん使しの光くわう榮えい、及および惡あく魔まの苦悩なやみなり。三次

 「凡そ呼吸ある者」に讚頌スティヒラ、第一調。

尊たふとき十じふ字架じかは凡およそ疑うたがはざる信しんを以もつて之これに伏拜ふくはいする者ものの爲ために天てんを開ひらき、之これに釘ていせられし主しゆは愛あいを以もつて之これを歌うたふ者ものを無む形けい軍ぐんの品ひん位ゐに合あはせ給たまふ。

我われ等ら信しんを以もつて尊たふとき十じふ字架じかに伏拜ふくはいして、其その上うへに釘ていせられし主しゆ宰さいを歌うたひ、彼かれの恩おん寵ちように由よりて口くちと靈たましひとを潔きよめられ、其その無む形けいの光ひかりに照てらされて、彼かれを讚ほめ揚あげん。

昔むかしモイセイは十じふ字架じかの形かたちを畫しるして、苦にがき水みづを甘あまくして、イズライリを救すくひたり、我われ等ら衆しゆう信者しんじやは敬虔けいけんにして奧あう密みつに之これを吾わが心こゝろに畫くわくして、常つねに其その力ちからにて救すくひはる。

 光榮、今も、第四調。

温柔をんじうなるダワィドに異い邦はう人じんを服ふくせしめん爲ために助たすけ給たまひし主しゆよ、吾わが皇くわう帝ていを援たすけて、十じふ字架じかの武器ぶきを以もつて我わが諸しよ敵てきを斃たふし給たまへ。慈じ憐れんなる主しゆよ、我われ等らの上うへに爾なんぢの古いにしへの仁じん慈じを現あらはし給たまへ、衆しゆうが爾なんぢは實じつに神かみなり、又また我われ等ら爾なんぢを恃たのみて、常つねに爾なんぢの至し淨じやうなる母はゝに我われ等らに大おほいなる憐あはれみの賜たまはらんことを祈いのる者ものが勝しよう利りを得うるを知しらん爲ためなり。

 大詠頌、幷に發放詞。

 聖體禮儀リトゥルギヤに眞福詞、規程カノンの第三及び第六歌頌。

 

第四編 天軍首及び其他の無形軍の總奉事

 晩課

「主よ爾に籲ぶ」に讚頌スティヒラ、第四調。

天軍首てんぐんしゆよ、爾なんぢ等らは三さん日にち光くわうの神性しんせいの至いたりて光くわう明めいなる前立者ぜんりつしやと現あらはれて、上うへなる軍ぐんと偕ともに歡よろこびて呼よぶ、聖せいなる哉かな爾なんぢ父ちゝ、聖せいなる哉かな同どう無む原げんの言ことば、聖せいなる哉かな聖神せいしん゜、惟ゆゐ一いちの光くわう榮えい、惟ゆゐ一いちの國くに、惟ゆゐ一いちの神性しんせい及および能のう力りよくや。

天てん使し長ちやうミハイル及およびガウリイルよ、爾なんぢ等らの容貌ようばうは火ひの如ごとく、美び麗れいは神しん妙めうなり、爾なんぢ等らは萬有ばんいうの造成ざうせい主しゆの命めいを行おこなひて、無む形けいの性せいを以もつて極きよくを騖はす、能のう力りよくに於おいて爾なんぢ等らは强つよき者ものと知しられ、爾なんぢ等らの聖せいなる名なに緣よりて尊たふとまるる聖せい堂だうを爾なんぢ等ら醫治いやしの泉いづみと爲なし給たまふ。

錄しるされし如ごとく、爾なんぢの使し者しやを以もつて風かぜと爲なし、爾なんぢに役えきする者ものを以もつて火燄くわえんと爲なす、主しゆ言ことばよ、爾なんぢは天軍首てんぐんしゆミハイル及および天てん使し長ちやうガウリイル、爾なんぢの命めいに從したがふ者もの、敬畏おそれを以もつて爾なんぢの光くわう榮えいに三さん聖せいの歌うたを奉たてまつる者ものを爾なんぢの天軍てんぐんの中うちに第一だいいちの者ものと顯あらはし給たまへり。

 光栄、第六調。

天軍てんぐんの首しゆ長ちやう等ら皆みな我われ等らと偕ともに喜よろこべ、蓋けだし爾なんぢ等らの前立者ぜんりつしやにして我われ等らの轉達てんたつ者しやたる大おほいなる天軍首てんぐんしゆは、今日こんにち其その尊そん貴きなる聖せい堂だうに至し榮えいに現あらはれて、成聖せいせいを施ほどこす。故ゆゑに我われ等ら職しよくとして彼かれ等らを歌か頌しようして呼よばん、至し大だいなる天てん使し首しゆよ、爾なんぢ等らの翼つばさの庇廕おほひにて我われ等らを覆おほひ給たまへ。

 今も、生神女讚詞。

童どう貞てい女ぢよの會くわいは皆みな我われ等らと偕ともに喜よろこべ、蓋けだし我われ等らの轉達者てんたつしやと代求だいきう者しや、庇護おほひと大おほいなる避所かくれがは今日こんにち其その尊そん貴き神しん聖せいなる聖せい堂だうに於おいて憂うれふる者ものを慰なぐさめ給たまふ。故ゆゑに我われ等ら職しよくとして彼かれを歌か頌しようして呼よばん、至し淨じやうなる女宰ぢよさい生しやう神女しんぢよよ、爾なんぢの神しん聖せいなる轉達てんたつにて我われ等らを覆おほひ給たまへ。

 聖入。本日の提綱ポロキメン。喩言パリミヤ三篇。

 イイスス ナワィンの記の讀 五章

イイスス イエリホンの邊ほとりに在ありし時とき、其その目めを擧あげて觀みしに、人ひと彼かれの前まへに立たち、其その手てに拔ぬきたる劍つるぎを持もてり。イイスス就つきて彼かれに謂いへり、爾なんぢは我われ等らの一人ひとりか、抑そもそも我われ等らの敵てきの一人ひとりか。彼かれ曰いへり、我われは主しゆの軍ぐんの將しやうにして、今いま此こゝに來きたれり。イイスス面おもて地ちに伏ふして、彼かれを拜はいして曰いへり、君きみよ、爾なんぢの僕ぼくに何なにを命めいずるか。主しゆの軍ぐん將しやうイイススに謂いへり、爾なんぢの屨くつを爾なんぢの足あしより脫ぬげ、蓋けだし爾なんぢの立たてる處ところは聖せいなり。イイスス是かくの如ごとく行おこなへり。

 士師記の讀 六章

彼かの日ひマディアム民みんイズライリの諸しよ子しを壓あつしたれば、彼かれ等ら主しゆ神かみに呼よべり。視みよ、主しゆの使つかひ來きたりて、エズリの子し孫そんなるイオアスに屬ぞくするエフラファの橡かしの木きの下したに坐ざせり。時ときにイオアスの子こゲデオンはマディアム人じんより遁のがれん爲ために、酒さか醡ぶねの中なかにて麥むぎを打うてり。主しゆの使つかひ彼かれに現あらはれて曰いへり、剛がう勇ゆうの者ものよ、主しゆは爾なんぢと偕ともにす。ゲデオン彼かれに謂いへり、吾わが主しゆよ、若もし主しゆ我われ等らと偕ともにせば、胡爲なんすれぞ斯この諸しよ難なんは我われ等らに及およびたる、我われ等らの先せん祖ぞが主しゆは我われ等らをエギペトより引ひき出いだししに非あらずやと云いひて、我われ等らに吿つげたりし其その諸しよ奇き蹟せきは安いづくに在あるか、今いま主しゆは我われ等らを棄すてて、マディアム人じんの手てに付わたせり。主しゆの使つかひ彼かれに目めを注そゝぎて曰いへり、此この爾なんぢの力ちからを以もつて往ゆけ、爾なんぢイズライリをマディアム人じんの手てより拯すくはん、視みよ、我われ爾なんぢを遣つかはせり。ゲデオン彼かれに謂いへり、主しゆよ、我われ何なにを以もつてかイズライリを拯すくはん、視みよ、我わが族ぞくはマナッシヤの中うちに最もつとも卑ひくき者もの、我われは吾わが父ちゝの家いへの中うちに最もつとも小ちひさき者ものなり。主しゆは彼かれに謂いへり、我われ爾なんぢと偕ともに在あらん、故ゆゑに爾なんぢマディアム人じんを擊うつこと、一いち人にんを擊うつが如ごとくならん。ゲデオン彼かれに謂いへり、若もし我われ爾なんぢの目めの前まへに恩めぐみを獲えたらば、請こふ、徵しるしを以もつて我われと語かたる者ものの爾なんぢなるを知しらしめよ、願ねがはくは斯こゝを離はなれずして、我わが爾なんぢに返かへり、禮れい物もつを攜たづさへて爾なんぢの前まへに供そなふるに迨およべ。主しゆの使つかひ彼かれに謂いへり、我われ止とゞまりて爾なんぢの返かへるを待またん。ゲデオン往ゆきて山羊やぎの羔こを調とゝのへ、麵こな一いち「エファ」を以もつて酵たねなき餅ぱんを製つくり、肉にくを筐かごに入いれ、羮しるを壺つぼに盛もり、橡かしの木きの下したに攜たづさへ出いでて、之これを進すゝめたり。主しゆの使つかひ彼かれに謂いへり、肉にくと酵たねなき餅ぱんとを取とりて、此この石いしの上うへに置おき、之これに羮しるを斟そゝげ。乃すなはち是かくの如ごとく爲なせり。主しゆの使つかひ其その手てに在ある杖つゑの末さきを伸のべて、肉にくと酵たねなき餅ぱんとに觸ふれたれば、火ひは石いしより出いでて、肉にくと酵たねなき餅ぱんとを燬やき盡つくせり、而しかうして主しゆの使つかひは彼かれの目めより離はなれたり。ゲデオンは此これ主しゆの使つかひなりと知しりて曰いへり、嗚呼あゝ主しゆよ、主しゆよ、我われ面おもてを面おもてに合あはせて主しゆの使つかひを見みたり。主しゆ彼かれに謂いへり、平安へいあんなれ、懼おそるる毋なかれ、爾なんぢ死しなざらん。ゲデオン彼處かしこに主しゆの爲ために祭さい壇だんを築きづきて、之これを主しゆの平安へいあんと名なづけたり。

 イサイヤの預言書の讀 十四章

主しゆ是かくの如ごとく言いふ、全ぜん地ちは歡よろこびて呼よぶ、―(第三巻百六十四頁二百五十四喩言をうつす)

 挿句くづけに讚頌スティヒラ、第一調。

神しん゜靈れいの軍ぐんの首しゆ長ちやう等ら、常つねに主しゆ宰さいの寶はう座ざの前まへに立たてる者ものよ、世せ界かいに平安へいあん、我われ等らの靈たましひに大おほいなる憐あはれみを賜たまはんことを主しゆに祈いのり給たまへ。

句 爾なんぢは其その使し者しやを以もつて風かぜと爲なし、其その役者えきしやを以もつて火燄くわえんと爲なす。

上うへなる軍ぐんの首しゆ長ちやう、神しん聖せいなる會くわいの前立者ぜんりつしやミハイル、常つねに我われ等らと偕ともに行ゆきて、衆しゆうを惡あく魔まの諸もろもろの危き難なんより護まもる者ものは、今日こんにち我われ等らを慶けい賀がに聚あつめ給たまへり。祭祀まつりを愛あいする者もの及およびハリストスを愛あいする者ものよ、來きたりて、諸德しよとくの花はなを採とり、淨きよき思おもひと平安へいあんなる良りやう心しんとを以もつて天てん使し首しゆの會くわいを尊たふとまん、蓋けだし彼かれは常つねに神かみの前まへに立たち、三さん聖せいの歌うたを詠うたひて、我われ等らの靈たましひの救すくはれんことを祈いのる。

句 主しゆの悉ことごとくの天てん使しよ、彼かれを讚ほめ揚あげよ、其その悉ことごとくの軍ぐんよ、彼かれを讚ほめ揚あげよ。

無む形けいなる神しん靈れいの軍ぐんを司つかさどりて、三さん日にち光くわうの光くわう榮えいの煇煌かゞやきを以もつて世せ界かいを照てらす天軍首てんぐんしゆよ、爾なんぢ等らは絕たえざる聲こゑを以もつて三さん聖せいの歌うたを詠うたふ、故ゆゑに我われ等らの靈たましひの救すくはれんことを祈いのり給たまへ。

 光榮、今も、第八調。

軍ぐん長ちやう及および保護ほご者しやにして、諸しよ天てん使しの元帥げんすゐたる光くわう榮えいなる天軍首てんぐんしゆよ、我われ等ら忠ちゆう信しんに爾なんぢを歌か頌しようして、爾なんぢに祈いのる者ものを凡およその患くわん難なんと憂愁いうしう、諸しよ病びやうと諸罪しよざいより免まぬかれしめ給たまへ、無む形けいの者ものにして明あきらかに無む形けいの事ことを見み、主しゆ宰さいの光くわう榮えいの近ちかづき難がたき光ひかりを以もつて照てらされて、我われ等らの爲ために主しゆに祈いのり給たまへ、蓋けだし彼かれは仁じん愛あいに由よりて人ひと間を救すくはんと欲ほつして、我われ等らの爲ために童貞女どうていぢよより身みを取とり給たまへり。

 讚詞トロパリ、第四調。

天軍てんぐんの首しゆ長ちやうよ、我われ等ら不ふ當たうの者ものは常つねに爾なんぢ等らに祈いのる、爾なんぢ等らの祈き禱たうを以もつて、其その無む形けいの光くわう榮えいの翼つばさの庇廕おほひにて我われ等らを防ふせぎて、護まもり給たまへ、蓋けだし我われ等ら熱ねつ切せつに俯ふ伏ふくして呼よぶ、上うへなる軍ぐんの首しゆ長ちやうとして、我われ等らを危き難なんより救すくひ給たまへ。

 光榮、今も、生神女讚詞、或は十字架生神女讚詞。

 早課

「主は神なり」に同上の讚詞トロパリ、二次。

 光榮、今も、生神女讚詞。

 第一の「カフィズマ」の後に坐誦讚詞セダレン、第六調。

ハリストスよ、天てん使しの軍ぐんは爾なんぢの寶はう座ざの前まへに立たちて、人類じんるゐの爲ために祈いのる、彼かれ等らの祈き禱たうに由よりて衆しゆう人じんに平安へいあんを與あたへて、異い邦はう民みんの强きやう暴ばうを制せいし給たまへ。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

生しやう神女しんぢよよ、爾なんぢは天てん使し首しゆの言ことばに因よりて父ちゝ及および聖神せいしん゜と同どう無む原げんなる言ことばを胎内たいないに孕はらみて、ヘルワィム、セラフィム、及および寶はう座ざより更さらに上うへなる者ものと現あらはれ給たまへり。

 第二の「カフィズマ」の後に坐誦讚詞セダレン、第六調。

天てん使しの衆しゆう軍ぐんよ、萬有ばんいうの王わうの寶はう座ざの四周まはりに在ありて常つねに樂たのしみて、我われ等ら信しんを以もつて爾なんぢ等らを呼よぶ者ものを護まもりて、苦く難なんより脫のがれしめ給たまへ。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

永えい貞てい童どう女ぢよ、言いひ難がたく爾なんぢの内うちに入いりて、爾なんぢより出いで給たまひし神かみの爲ために啓ひらかれたる門もんよ、慶よろこべ。

「主の名を讚め揚げよ」の後に附唱。

天てん使し首しゆと差さ役えきと諸しよ天軍てんぐん、ヘルワィムとセラフィム、主しゆを讚榮さんえいする者ものよ、我われ等ら爾なんぢを讚さん揚やうす。

又は

天てん使し首しゆ、差さ役えき、首しゆ領りやう、權柄けんぺい、寶はう座ざ、主しゆ制せい、能のう力りよく及およびヘルワィム、畏おそるべきセラフィム、主しゆを讚榮さんえいする者ものよ、我われ等ら爾なんぢを讚さん揚やうす。

 拔萃聖詠

「我心を盡して爾を讚榮し、」

 多燭詞ポリエレイの後に坐誦讚詞セダレン、第六調。

神かみの光くわう明めいなる天てん使し及および天てん使し首しゆ、恩おん寵ちようの神しん聖せいなる寶はう座ざの前まへに立たちて、神かみの光ひかりより眞實しんじつの謙遜けんそんと誠まことの光くわう照せうとを受うくる者ものよ、在天ざいてんの仁愛者じんあいしやと偕ともに我われ等らを眷かへりみて、世せ君くんの起おこす劇はげしき暴風あらしの中うちに難なんを受うけ、幽暗くらやみの中うちに寢いぬる我われ等らを援たすけん爲ために來きたりて、我われ等らを惡あくの魁かしらたる敵てきの網あみより脫のがれしめ給たまへ、讚さん美びたる者ものよ、我われ等ら皆みな爾なんぢの帲幪おほひに趨はしり附つけばなり。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

至し善ぜんなる生しやう神女しんぢよ、世せ界かいの轉達者てんたつしや、爾なんぢに趨はしり附つく者ものの恃賴たのみと、帲幪おほひと、避所かくれが、獨ひとり祝しゆく福ふくせられし者ものよ、爾なんぢが生うみし仁じん愛あいなる神かみに無む形けい軍ぐんと偕ともに我われ等らの靈たましひの凡およその患くわん難なんより救すくはれんことを熱ねつ切せつに祈いのり給たまへ。

 品第詞ステペンナ、第四調の第一倡和詞アンティフォン。

 提綱ポロキメン、第四調。

爾なんぢは其その使し者しやを以もつて風かぜと爲なし、其その役者えきしやを以もつて火燄くわえんと爲なす。

句 我わが靈たましひよ、主しゆを讚ほめ揚あげよ、主しゆ我わが神かみよ、爾なんぢは至いたりて大おほいなり。

「凡そ呼吸ある者。」 福音経は巻末に載す。

 光榮 「憐深き主よ、天使首の祈禱に依りて。」

 今も 「憐深き主よ、生神女の祈禱に依りて。」

 第五十聖詠の後に讚頌スティヒラ、第六調。

ハリストスよ、爾なんぢの天てん使し等ら、寅畏おそれを以もつて爾なんぢの嚴おごそかなる寶はう座ざの前まへに立たち、常つねに爾なんぢの光ひかりに照てらさるる天てん上じやうの爾なんぢの歌か頌しよう者しや、及および爾なんぢの旨むねの役者えきしやは、爾なんぢより下しもに遣つかはされて、我われ等らの靈たましひに光くわう照せうを施ほどこす。

 規程カノン、第六調。

第一歌頌

イルモス 人人ひとびとよ、イズライリを奴ど隷れいより釋ときたる我わが奇き異いなる神かみに讚さん詠えいを獻たてまつりて、凱かち歌うたを歌うたひて呼よばん、我われ等ら爾なんぢ惟一ゆゐいちの主宰しゆさいを歌か頌しようせん。

我われ等ら衆しゆう信者しんじやは上うへなる會くわいの悉ことごとくの無む形けいの首しゆ長ちやう等らを司つかさどる造つくられざる三者さんしやを歌うたひて呼よばん、聖せい、聖せい、聖せいなる哉かな神かみ全能者ぜんのうしやや。

諸しよ天てん使しの造成ざうせい主しゆよ、爾なんぢは造成ざうせいの始はじめたる無む形けいの者もの、爾なんぢの至し淨じやうなる寶はう座ざを繞めぐれる會くわいをして爾なんぢに呼よばしむ、聖せい、聖せい、聖せいなる哉かな神かみ全能者ぜんのうしやや。

神かみが人じん體たいを取とる祕ひ密みつの實見者じつけんしやたるガウリイル、及および無む形けい軍ぐんの前立者ぜんりつしやたるミハイルは、常つねに喜よろこびて呼よぶ、聖せい、聖せい、聖せいなる哉かな神かみ全能者ぜんのうしやや。

 生神女讚詞

ハリストスよ、我われ爾なんぢの寬くわん容ようの祕ひ密みつに戰をのゝく、蓋けだし爾なんぢは性せいに於おいて神かみにして、人ひとの如ごとく童貞女どうていぢよより生うまれんことを甘あまんじ給たまへり、世せ界かいを敵てきの奴ど隷れいより救すくはん爲ためなり。

第三歌頌

イルモス 主しゆよ、爾なんぢを畏おそるる畏おそれを爾なんぢの諸しよ僕ぼくの心こゝろに入いれて、我われ等ら實じつに爾なんぢを籲よぶ者ものの爲ために堅固かためと爲なり給たまへ。

不ふ死しの主しゆよ、爾なんぢは至いと髙たかき處ところに常つねに爾なんぢの前まへに立たてる、能力ちからの强つよき者ものを爾なんぢの至し聖せいなる旨むねを行おこなふ者ものと爲なし給たまへり。

ハリストスよ、爾なんぢが人體じんたいを取とること、及および尊たふとき復ふく活くわつの祕ひ密みつの實見者じつけんしやたる天てん使しの首しゆ長ちやう等ら、我われ等らの爲ために祈いのる者ものを納いれ給たまへ。

ハリストスよ、爾なんぢは慈じ憐れんなるに因よりて、天てん使し等らを人ひと人びとに守しゆ護ご者しやとして添そはしめて、爾なんぢの悅よろこびを爲なす者ものの救すくひに役えきする者ものと現あらはし給たまへり。

 生神女讚詞

神かみの聘女よめよ、爾なんぢは言いひ難がたく主しゆ及および救きう者しやを孕はらみ給たまへり、彼かれは我われ等ら實じつに爾なんぢを籲よぶ者ものを諸難しよなんより救すくひ給たまふ。

 坐誦讚詞セダレン、第八調。

天軍てんぐんの宰つかさ、神かみの光くわう榮えいの畏おそるべき髙かう座ざの前立者ぜんりつしやたる天軍首てんぐんしゆミハイル及およびガウリイル、主宰しゆさいの役者えきしやよ、悉ことごとくの無む形けいの者ものと偕ともに常つねに世せ界かいの爲ために祈いのりて、我われ等らが審判しんぱんの日ひに於おいて罪つみの赦ゆるし、及および慈じ憐れんと恩おん寵ちようとを獲えんことを求もとめ給たまへ。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

我われは惡あしくして不ふ法はふなる行おこなひの多おほきに因よりて憂悶もだえの淵ふちに陷おちいり、倦うみて今いま望のぞみを失うしなへり、女宰ぢよさい生しやう神女しんぢよよ、爾なんぢ我われを援たすけ、爾なんぢ我われを救すくひ給たまへ、蓋けだし爾なんぢは罪つみなる者ものの潔けつ淨じやうと拯救すくひなり。

 十字架生神女讚詞

至し淨じやうなる童貞女どうていぢよよ、爾なんぢは潔いさぎよき爾なんぢの血ちより身みを取とりて、悟さとり難がたく爾なんぢより生うまれし者ものが木きの上うへに罪犯者ざいはんしやの間あひだに懸かゝれるを見みて、心こゝろ傷いたみ、母はゝとして哭なきて呼よべり、嗚呼あゝ、我わが子こよ、爾なんぢが己おのれの造物ざうぶつを活いかし給たまふ爾なんぢの神聖しんせいなる定制ていせいは何なんぞ言いひ難がたき、我われ爾なんぢの慈じ憐れんを歌うたふ。

第四歌頌

イルモス 主しゆよ、爾なんぢは爾なんぢの馬うまたる使徒しとに乘のりて、爾なんぢの手てに其その轡たづなを執とれり、爾なんぢの乘のるは、信しんを以もつて、主しゆよ、光くわう榮えいは爾なんぢの力ちからに歸きすと歌うたふ者ものの爲ために救すくひと爲なれり。

人ひとを愛あいする主しゆよ、爾なんぢは天てん使し等らに馬うまの如ごとく乘のりて、爾なんぢの手てに其その轡たづなを執とれり、爾なんぢの乘のるは、常つねに主しゆよ、光くわう榮えいは爾なんぢの力ちからに歸きすと呼よぶ者ものの爲ために救すくひと爲なれり。

人ひとを愛あいする無む原げんの主しゆよ、爾なんぢの德とくは天てん使し等らを蔽おほひ、地ちの極はてを爾なんぢの神聖しんせいなる讚さん美びにて盈みつ、故ゆゑに地ちは彼かれ等らと偕ともに爾なんぢに呼よぶ、主しゆよ、光くわう榮えいは爾なんぢの力ちからに歸きす。

慈じ憐れんの深ふかきハリストスよ、爾なんぢは人ひと人びとの救すくひの爲ために出いでて、爾なんぢの友ともたる天軍てんぐんを呼よび集あつむ、爾なんぢの降臨かうりんは信しんを以もつて、主しゆよ、光くわう榮えいは爾なんぢの力ちからに歸きすと呼よぶ者ものの爲ために樂たのしみと爲なれり。

 生神女讚詞

至いたりて潔いさぎよき者ものよ、爾なんぢは性せいに超こえて童貞女どうていぢよ及および母はゝと現あらはれたり、蓋けだし神かみ亦また人ひとたるハリストスを生うみ給たまへり、彼かれに天てん使しの軍ぐんは寅畏おそれを以もつて呼よぶ、主しゆよ、光くわう榮えいは爾なんぢの力ちからに歸きす。

第五歌頌

イルモス 無知むちの夜よより神かみを知しる知ち識しきにて四し極きよくを照てらしし主しゆよ、爾なんぢの仁愛じんあいの朝あさにて我われを照てらし給たまへ。

ハリストスよ、天てん使しの軍ぐんは變かはらざる望のぞみを以もつて常つねに髙たかきに、悉ことごとくの望のぞみの極かぎりなる爾なんぢに擧あげられて、絕たえず爾なんぢを讚榮さんえいす。

測はかり難がたきハリストスよ、爾なんぢは己おのれの像ざうに循したがひて諸しよ天てん使しを造つくりて、性せいに藉よりて靈れい智ちにして、爾なんぢの恩おん寵ちように藉よりて不ふ朽きうなる爾なんぢの威ゐ嚴げんの歌か頌しよう者しやと爲なし給たまへり。

ハリストスよ、爾なんぢは己おのれの役者えきしやを爾なんぢに近ちかづくを以もつて惡あくに傾かたぶけ難がたき者ものとして護まもれり、蓋けだし爾なんぢは仁じん慈じの泉いづみにして、宜よろしきに合かなひて爾なんぢに務つとむる者ものに恩惠おんけいを賜たまふ。

 生神女讚詞

生命いのちの守しゆ護ご者しやを生うみし至いたりて無む玷てんなる者ものよ、汚けがらはしき慾よくに殺ころされたる我わが靈たましひを活いかして、永久えいきうの途みち及および福ふくたる生命いのちに向むかはしめ給たまへ。

第六歌頌

イルモス 主しゆよ、爾なんぢは獨ひとりイオナを捕とらくじらの中うちに入いれたり、我われ敵てきの網あみに捕はれたる者ものを、彼かれを淪亾ほろびより救すくひし如ごとく救すくひ給たまへ。

主しゆよ、爾なんぢは神かみに適かなふが如ごとく、爾なんぢの言ことばを以もつて天てんの不ふ死しの軍ぐんを無むより有いうと現あらはして、光ひかれる者ものと爲なし給たまへり。

無む形けいの者もの、眞まことに神聖しんせいなる天てんの幕まくの住ぢゆう者しやは、宜よろしきに合かなひて造物主ざうぶつしゆに務つとめて、神かみの至し榮えいなる祕ひ密みつの尊たふとき實見者じつけんしやと爲なれり。

無む原げんなる神かみの子こよ、無む形けいの者ものの靈れい智ちなる軍ぐんは爾なんぢを萬有ばんいうの造物主ざうぶつしゆ及および造成ざうせい主しゆとして常つねに讚さん美び讚榮さんえいす。

 生神女讚詞

至し淨じやうなる者ものよ、爾なんぢは永遠えいゑんに父ちゝと偕ともに至いと髙たかきに坐ざする主しゆを己おのれの手てに抱いだくに勝たふる者ものと爲なり給たまへり、潔いさぎよき者ものよ、彼かれを我われ等ら爾なんぢの諸しよ僕ぼくに慈じ憐れんなる者ものと現あらはし給たまへ。

 小讚詞コンダク、第二調。

神聖しんせいなる光くわう榮えいの役者えきしや、諸しよ天てん使しの宰つかさ、人ひと人びとの敎導者けうだうしやたる神かみの天軍首てんぐんしゆ等らよ、我われ等らに益えきある事ことと大おほいなる憐あはれみとを求もとめ給たまへ、爾なんぢ等らは無む形けいの軍ぐんの首しゆ長ちやうなればなり。

 同讚詞イコス

慈じ愛あいなる不ふ死しの主しゆよ、爾なんぢは其その書しよに、天てんには一ひとりの悔くい改あらたむる人ひとの爲ために衆おほくの天てん使しは喜よろこぶと云いへり、故ゆゑに獨ひとり罪つみなくして人ひとの心こゝろを識しる主宰しゆさいよ、我われ等ら不ふ法はふの中うちに在ある者ものは常つねに毅き然ぜんとして爾なんぢ慈じ憐れんなる主しゆに祈き禱たうして、我われ等ら不ふ當たうの者ものを憐あはれみて、傷しやう感かんの情じやうと赦免しやめんとを賜たまはんことを求もとむ、無む形けいの軍ぐんの首しゆ長ちやうは我われ等ら衆しゆうの爲ために爾なんぢに祈いのればなり。

第七歌頌

イルモス エウレイの少せう者しやは爐ゐろりに在ありて勇いさましく燄ほのほを踐ふみ、火ひを露つゆに變へんじて籲よべり、主しゆ神かみよ、爾なんぢは世よ世よに崇あがめ讚ほめらる。

仁じん慈じなる主しゆよ、爾なんぢは天てん使し等らの物ぶつ質しつならざる性せいを光ひかりと顯あらはせり、彼かれ等らは常つねに言いひ難がたき光ひかりに滿みてられて呼よぶ、主しゆ神かみよ、爾なんぢは世よ世よに崇あがめ讚ほめらる。

天てん使しの萬まん萬まんは常つねに神かみの前まへに立たちて奉ほう事じし、其その顏かんばせを見みるに勝たへずして呼よぶ、主しゆ神かみよ、爾なんぢは世よ世よに崇あがめ讚ほめらる。

神かみよ、爾なんぢは己おのれの實じつ在ざいの言ことばを以もつて天てん使しの性せいを造つくり、聖せいなる神しん゜を以もつて之これを聖せいにして、三者さんしやを世よ世よに崇あがめ讚ほめんことを敎をしへ給たまへり。

 聖三者讚詞トロパリ

我われ等ら三さん位ゐを思おもひて、像かたどり難がたき性せい、父ちゝ、言ことば、及および神しん゜を讚榮さんえいして呼よぶ、主しゆ神かみよ、爾なんぢは世よ世よに崇あがめ讚ほめらる。

第八歌頌

イルモス 聖せいなる山やまに光くわう榮えいを顯あらはし、棘いばらの中うちに火ひを以もつてモイセイに永えい貞てい童どう女ぢよの奧あう密みつを示しめしし主しゆを歌うたひて、萬世ばんせいに崇あがめ讚ほめよ。

我われ等らは天てん使しの度ど生せいに效ならひ、思おもひを髙たかきに騁はせて、彼かれ等らと偕ともに神しん゜を以もつて歌か頌しようして、主しゆを歌うたひて、萬世ばんせいに崇あがめ讚ほめん。

天てん上じやうに慶けい賀がする天てん使し等らは光くわう榮えいの寶はう座ざを繞めぐり、常つねに神かみの側かたはらに在ありて、彼かれを歌うたひて、萬世ばんせいに崇あがめ讚ほむ。

常つねに髙たかきに役えきする者ものを以もつて無む形けいの火燄くわえんと爲なし、天てん使しを以もつて風かぜと現あらはす聖三者せいさんしやに我われ等ら伏拜ふくはいして、萬世ばんせいに讚榮さんえいす。

 生神女讚詞

生しやう神女しんぢよよ、天てん使し及および天てん使し首しゆの萬まん萬まんが天てん上じやうに戰をのゝきて前まへに立たつ所ところの主しゆを、爾なんぢは手てに抱いだくに勝たふる者ものと爲なれり、彼かれを萬世ばんせいに讚榮さんえいする者ものの救すくはれんことを祈いのり給たまへ。

第九歌頌

イルモス 生しやう神女しんぢよよ、爾なんぢは性せいの法則はふそくに超こえて、造成者ざうせいしや及および主しゆを孕はらみて、世せ界かいの爲ために救すくひの門もんと爲なり給たまへり、故ゆゑに我われ等ら常つねに爾なんぢを崇あがめ讚ほむ。

ハリストスよ、我われ等ら爾なんぢ言いひ難がたく天てんの者ものに地ちの者ものを合あはせ、天てん使し等ら及および人ひと人びとを一ひとつの敎けう會くわいと爲なしし主しゆを常つねに崇あがめ讚ほむ。

諸しよ天てん使しと天てん使し首しゆ、寶はう座ざ、權柄けんぺいと主しゆ制せい、首しゆ領りやうと能のう力りよく、ヘルワィムとセラフィムよ、生しやう神女しんぢよと偕ともに世せ界かいの爲ために祈いのり給たまへ。

衆しゆうの轉達者てんたつしやと現あらはるるミハイル及およびガウリイルよ、愛あいを以もつて爾なんぢ等らの至いたりて悅よろこぶべき記き憶おくを尊たふとみて、熱信ねつしんに歌か頌しようする者ものを眷かへりみて、諸もろもろの危き難なんより救すくひ給たまへ。

 生神女讚詞

聖せいなる神かみの聘女よめよ、慶よろこべ、信者しんじやの爲ために世せ界かいの光ひかりを生うみし者ものよ、慶よろこべ、我われ等ら衆しゆうの城恒かき及および帲幪おほひよ、慶よろこべ、恩おん主しゆたる神かみに我われ等らの爲ために常つねに祈いのり給たまへ。

 光耀歌

火ひの狀さまなる役者えきしやの軍ぐん首しゆミハイルよ、爾なんぢは光ひかりの父ちゝより前立者ぜんりつしやの位ゐを受うけたり、故ゆゑに無む形けいの品ひん位ゐの中うちに第一だいいちの者ものとして、至し淨じやうなる寶はう座ざの側かたはらに立たちて、其その光くわう榮えいの光ひかりを以もつて耀かゞやき給たまふ。

 生神女讚詞

無む形けい者しやの品ひん位ゐは爾なんぢの產さんを尊たふとむ、蓋けだし爾なんぢは獨ひとり地ち上じやうの者ものを喜よろこびに盈みて給たまへり。故ゆゑに我われ等ら信者しんじやは爾なんぢ純じゆん潔けつなる者ものを讚榮さんえいして、歌うたを以もつて崇あがめ讚ほむ、爾なんぢは幽闇くらやみに在ある者ものに旭日あさひの如ごとく光ひかりを耀かゞやかしたればなり。

 「凡そ呼吸ある者」に讚頌スティヒラ、第二調。

形けい而じ上じやうの寶はう座ざを環めぐれる神聖しんせいなる無む形けいの軍ぐん、靈れい智ちなる者ものよ、爾なんぢ等らは火燄くわえんの口くちを以もつて宰つかさたる神かみに三さん聖せいの歌うたを詠うたふ、聖せいなる哉かな神かみ、無む原げんの父ちゝ、聖せいなる哉かな勇ゆう毅き、同どう無む原げんの子こ、聖せいなる哉かな常じやう生せいの者もの、同どう一性いつせいなる神しん゜、父ちゝ及および子こと共ともに讚榮さんえいせらるる主しゆや。二次

主しゆよ、天てん使しの軍ぐんは無む形けいの唇くちびると神しん゜靈れいの口くちとを以もつて息やめざる歌うたを爾なんぢの近ちかづき難がたき神性しんせいに獻たてまつる、主宰しゆさいよ、爾なんぢの光くわう榮えいの役者えきしやたる潔いさぎよき靈れい智ち者しやは爾なんぢを讚ほめ揚あぐ、彼かれ等らと偕ともに無む形けいなるミハイル、至いたりて美うるはしきガウリイル、及および上うへなる軍ぐんの前立者ぜんりつしやたる天軍てんぐんの諸しよ長ちやうは今日こんにち我われ等らの饗きやう應おう者しやと爲なれり。人ひとを愛あいする主しゆよ、彼かれ等らは我われ等らに爾なんぢの近ちかづき難がたき光くわう榮えいに歌うたを詠うたはんことを命めいじ、且かつ我わが靈たましひの爲ために息やめずして爾なんぢに祈いのる。

 第四調

ハリストス神かみよ、ヘルワィム等らは火燄くわえんの唇くちびるを以もつて爾なんぢを歌うたひ、天てん使し首しゆの會くわいは無む形けいの口くちを以もつて默もださずして爾なんぢを讚榮さんえいし、上うへなる軍ぐんの首しゆ長ちやうミハイルは息やめずして凱かち歌うたを爾なんぢの光くわう榮えいに奉たてまつる、彼かれは今日こんにち我われ等らを光くわう明めいなる慶けい賀がに聚あつめて、塵ちりの唇くちびるを以もつて宜よろしきに合かなひて讚さん美びの歌うたを爾なんぢに捧さゝげんことを勸すゝむ、蓋けだし萬有ばんいうは爾なんぢの讚榮さんえいに盈みてられたり、爾なんぢは之これに由よりて世せ界かいに大おほいなる憐あはれみを賜たまふ。

 光榮、第五調。

天てん使し首しゆよ、爾なんぢの恩おん寵ちようの蔭おほふ處ところには彼處かしこより惡あく魔まの力ちからは逐おはる、蓋けだし墜おちたる晨あさの星ほしは爾なんぢの光ひかりを見みるに忍しのびず、故ゆゑに我われ等ら爾なんぢに祈いのる、讚さん美びすべき天軍首てんぐんしゆ(某)よ、彼かれが我われ等らに射いる所ところの火箭ひやを爾なんぢの轉達てんたつを以もつて滅けして、我われ等らを其その諸もろもろの誘惑いざなひより免まぬかれしめ給たまへ。

 今も、生神女讚詞。

生しやう神しん童貞女どうていぢよよ、我われ等ら信者しんじやは職しよくとして爾なんぢ動うごきなき城しろ、壞やぶれざる垣かき、堅けん固ごなる轉達てんたつ、及および我われ等らの靈たましひの避所かくれがを讚さん美びして、爾なんぢを讚榮さんえいす。

 十字架生神女讚詞

昔むかし牝め羊ひつじは己おのれの羔こひつじが宰ほふりの爲ために往ゆくを見みて、熱ねつ切せつに從したがひて、斯かく彼かれに呼よべり、吾わが甘愛かんあいなる子こハリストスよ、何處いづこにか往ゆく、恒忍ごうにんなる者ものよ、何なんぞ斯かく急いそぐ、至し愛あいなるイイスス、無む罪ざいの者もの、大仁だいじん慈じなる主しゆよ、我われ爾なんぢの婢しもめに言ことばを語つげよ、吾わが最いと愛あいすべき子こよ、我われ奇き異いに爾なんぢを生うみし者ものを默もだして遺のこす勿なかれ、爾なんぢは世せ界かいに大おほいなる憐あはれみを賜たまふ至いたりて仁じん慈じなる神かみなり。

 挿句くづけに、光榮、第四調。

神かみの光ひかりの至いたりて明あきらかなる光くわう線せんに輝かゞやかさるる天軍首てんぐんしゆよ、爾なんぢ等らは至いと髙たかきに純じゆん白ぱくなる光ひかりと現あらはれて、無む形けいの軍ぐんを照てらし、且かつ世せ界かいに近ちかづき難がたき神性しんせいの火ひを輝かゞやかす。故ゆゑに又また火燄くわえんの口くちを以もつて絕たえず三さん聖せいの歌うたを詠うたふ、聖せい、聖せい、聖せいなる哉かな我わが神かみや、光くわう榮えいは爾なんぢに歸きす。

 今も、生神女讚詞。

至し淨じやうなる生しやう神女しんぢよ、萬ばん衆しゆうの女によ王わう、正せい敎けう者しやの譽ほまれよ、異い端たん者しやの驕おごりを破やぶりて、彼かれ等ら爾なんぢの尊たふとき聖せい像ざうに伏拜ふくはいせず、之これを尊たふとまざる者ものの面おもてを辱はづかしめ給たまへ。

 十字架生神女讚詞。

至し淨じやうなる者ものは人ひとを愛あいする主しゆハリストスの十じふ字架じかに釘ていせられ、戈ほこにて脋わきの刺ささるるを見みて、哭なきて呼よべり、吾わが子こよ、此これ何なにぞ、恩おんを知しらざる民たみは爾なんぢが彼かれ等らに爲なしし善ぜんに易かへて何なにをか爾なんぢに報むくいたる、至し愛あいなる者ものよ、胡爲なんすれぞ我われを子こなき者ものとして遺のこす、慈じ憐れんなる主しゆよ、我われ爾なんぢが甘あまんじて受うくる釘殺ていさつを奇きとす。

 

第五編 主の前驅預言者授洗イオアンの總奉事

 晩課

「主よ爾に籲ぶ」に讚頌スティヒラ、第八調。

福ふくたる前ぜん驅くイオアン、主宰しゆさいの親したしき友とも、イオルダンの水みづの中うちに手てを以もつて彼かれの至し淨じやうなる頂上ちやうじやうに觸ふれし者ものよ、爾なんぢの聖せいなる轉達てんたつを以もつて我わが卑微ひびなる靈たましひに主しゆを愛あいする愛あいを生せい長ちやうせしめ、我わが諸慾しよよくの火ひを滅けして、我われを神かみの命めいを行おこなふに導みちびき、我わが心しん情じやうを潔きよめて、爾なんぢを讚榮さんえいせしめ給たまへ。

妊はらまざる者ものの生せい產さん、潔けつ淨じやうなる母はゝの出生しゆつしやう、人ひと人びとの装さう飾しよくたる主しゆの授洗者じゆせんしや、讚さん美びたる前ぜん驅くイオアン、我わが卑微ひびなる靈たましひの神聖しんせいなる守しゆ護ご者しやよ、爾なんぢの祈き禱たうを以もつて我われに慈じ憐れんを垂たれしめて、我われを蛇へびの惡謀あくぼう及および攻擊こうげきより救すくひ給たまへ。

至し榮えいなる預よ言者げんしやよ、爾なんぢは神聖しんせいなる甘かん味みに滿みてられて、凡およそ信しんを以もつて爾なんぢに來きたる者ものを喜よろこばしめて、彼かれ等らの靈體れいたいの感覺かんかくを樂たのしませ、彼かれ等らの諸しよ病びやうと諸憂しよいうとを解とき、誘いう感かんと患くわん難なんとを免まぬかれしむ。

 光榮、第四調。

今日こんにち大おほいなる前ぜん驅くはエリサワェタの無む結果けつくわの胎たいより出いでて現あらはれたり、此これ衆しゆう預よ言者げんしやより大おほいなる預よ言者げんしやにして、他たに斯かくの如ごときはあらず、又また起おこらざりき、蓋けだし前ぜん驅くたる燈凳とうだいには至いたりて光くわう明めいなる光ひかりは隨したがひ、聲こゑには言ことば、新婦はなよめを導みちびく者ものには新娶者はなむこは隨したがへり。此これ選えらばれたる民たみを主しゆに備そなへ、水みづを以もつて潔きよめて聖神せいしん゜の潔きよめに備そなふる者もの、ザハリヤの萠芽めばえ、野のの美うるはしき養成やしなひ、悔くわい改かいの傳道でんだう師し、諸罪しよざいの潔淨きよめ、地ぢ獄ごくに在ある者ものに死しよりの復ふく活くわつを福音ふくいんし、我われ等らの靈たましひの爲ために祈いのる者ものなり。

 今も、復活の生神女讚詞。

生しやう神女しんぢよよ、爾なんぢに因よりて神かみの先せん祖ぞと爲なりし預よ言者げんしやダワィドは、爾なんぢに大おほいなる事ことを爲なしし者ものに、爾なんぢの事ことを歌うたひて呼よべり、女によ王わうは爾なんぢの右みぎに立たてりと、蓋けだし父ちゝなく爾なんぢより甘あまんじて人ひとの性せいを取とりし神かみハリストス、大おほいにして裕ゆたかなる憐あはれみを有たもつ主しゆは、爾なんぢ母はゝを生命いのちの中ちゆう保はう者しやと現あらはせり、是これ慾よくに朽くちたる己おのれの像かたちを改あらため、山やまの中うちに迷まよひし羊ひつじを獲えて、肩かたに置おき、父ちゝの前まへに攜たづさへ、己おのれの旨むねに協かなはせ、之これを天軍てんぐんに合あはせて、世せ界かいを救すくはん爲ためなり。

 聖入。本日の提綱ポロキメン。

 イサイヤの預言書の讀 四十、四十一、四十五、四十八、五十四章

慰なぐさめよ、我われの民たみを慰なぐさめよ、神かみ之これを言いふ、司し祭さい等らよ、イエルサリムの心こゝろに語かたり、呼よびて彼かれに吿つげよ、其その服ふく役えきの期き已すでに終をはり、其その罪つみ已すでに釋とかれたり、其その諸もろもろの咎とがに因よりて彼かれは主しゆの手てより倍ばいして受うけたりと。野のに呼よぶ者ものの聲こゑありて云いふ、主しゆの道みちを備そなえ、其その徑こみちを直なほくせよ。シオンに福音ふくいんする者ものよ、髙たかき山やまに登のぼれ、イエルサリムに福音ふくいんする者ものよ、爾なんぢの聲こゑを强つよくせよ、聲こゑを揚あげて懼おそるる毋なかれ。我われ主しゆ神かみ、我われはイズライリの貧まづしき者ものに聽ききて、彼かれ等らを棄すてざらん、我われ山やまに川かはを開ひらき、谷たにの中なかに泉いづみを出いだし、荒あれ野のを池いけと爲なし、乾かわける地ちを水みづの源みなもとと爲なさん。天てんは上うへに歡よろこぶべし、雲くもは義ぎを滴したゝらすべし、地ちは啓ひらけて慈じ憐れんを生しやうじ、義ぎも共ともに產さんすべし。ワワィロンより出いで、ハルデヤ人じんより逃のがれよ、歡よろこびの聲こゑを以もつて之これを宣のべ、之これを傳つたへよ、地ちの極はてに至いたるまで此この報信おとづれを弘ひろめよ、主しゆは其その僕ぼくイアコフを贖あがなへりと云いへ。其その彼かれ等らに曠くわう野やを行ゆかしむる時とき、彼かれ等ら渴かわかず、彼かれは石いしより彼かれ等らの爲ために水みづを流ながし、磐いはを裂さけば、水みづ涌わき出いでたり。妊はらまず、生うまざる者もの、樂たのしめ、產さんに苦くるしまざる者もの、聲こゑを揚あげて呼よべ、蓋けだし棄すてられたる婦をんなは、夫をつとある者ものに較くらぶれば、更さらに多おほくの子こあり。

 マラヒヤの預言書の讀 三、四章

主しゆ全ぜん能のう者しや是かくの如ごとく言いふ、視みよ、我われ我わが使つかひを爾なんぢの面前めんぜんに遣つかはし、爾なんぢに先さきだちて爾なんぢの道みちを備そなへしめん。爾なんぢ等らが尋たづぬる所ところの主しゆは其その殿でんに來きたらん。其その來きたる日ひには誰たれか堪たへん、蓋けだし彼かれは罏ろに在ある火ひの若ごとく、濯工あらふものの灰羮あくの若ごとく來きたりて、金きん銀ぎんを鍊ねり且かつ潔きよむるが若ごとくに潔きよめん。彼かれは審判しんぱんの爲ために爾なんぢ等らに來きたりて、惡あく者しや及および姦かん淫いん者しやに對むかひ、彼かれの名なを以もつて僞いつはりの誓ちかひを爲なす者ものに對むかひ、傭僱やとひびとの値あたひを掠かすむる者もの、寡婦やもめと孤子みなしごとを虐しへたぐる者もの、外ぐわい人じんの訟うつたへを枉まぐる者ものに對むかひ、彼かれを畏おそれざる者ものに對むかひて、速すみやかに彼かれ等らを罪つみする者ものと爲ならん、主しゆ全ぜん能のう者しや之これを言いふ。蓋けだし我われ主しゆ爾なんぢ等らの神かみは易かはらざるなり、爾なんぢ等らイアコフの諸しよ子しは法はふを離はなれて、之これを守まもらざりき。故ゆゑに我われに歸かへれ、我われも爾なんぢ等らに歸かへらん、主しゆ全ぜん能のう者しや之これを言いふ。然しからば萬民ばんみん爾なんぢ等らを福さいはひなる者ものと稱となへん、爾なんぢ等ら我われ主しゆが義ぎ者しやと不ふ法はふ者しやとの別わかちを見みるを知しらん。(以下、未邦訳)。

 ソロモンの智慧書の讀 四、五章

義ぎ人じんは早はやく死しすとも安息あんそくに居をらん、(以下、未邦訳)、―(第三巻百三十一頁百三十喩言をうつす)

 挿句くづけに讚頌スティヒラ、第二調。

ハリストスの傳道でんだう師し及および授洗者じゆせんしや、神かみの使つかひ、使徒しと、致ち命者めいしや、預よ言者げんしや、前ぜん驅く、燈ともしび、親したしき友とも、諸しよ預よ言者げんしやの封印ふういん、婦をんなの生うみし者ものの中うちに最いと尊たふとき者もの、舊新きうしんの恩おん寵ちようの中ちゆう保はう者しや、言ことばの明あきらかなる聲こゑよ、爾なんぢの聖せいなる轉達てんたつを以もつて我われ等らの祈き禱たうを慈じ憐れんなる神かみに向むかはしめ給たまへ。

句 祝しゆく讚さんせらるる哉かな主しゆ、イズライリの神かみ、蓋けだし其その民たみを眷かへりみて、之これに贖あがなひを爲なせり。

福ふくたる前ぜん驅くよ、爾なんぢはハリストスの地ちを行ゆくを見みる時とき呼よべり、見みよ、神かみの羔こひつじ、世よの罪つみを任になふ者ものなり。授洗者じゆせんしやよ、爾なんぢを尊たふとむ者ものに諸罪しよざいの赦ゆるしを賜たまはんことを彼かれに禱いのり給たまへ、爾なんぢは律りつ法ぱふと恩おん寵ちようとの中ちゆう保はう者しやとして、實じつに彼かれの前まへに大おほいなる勇敢いさみを有たもてばなり。

句 子こよ、爾なんぢも至し上じやう者しやの預よ言者げんしやと稱となへられん。

主しゆの光くわう榮えいなる預よ言者げんしやよ、爾なんぢに禱いのる、急いそぎて我われを諸もろもろの誘惑いざなひより脫のがれしめ給たまへ、蓋けだし殘酷ざんこくなる惡あく鬼きは我われを攻せめて戰たゝかひ、爾なんぢの僕ぼくの靈たましひを小ちひさき鳥とりの如ごとく捕とらへんと欲ほつす、至し福ふくなる者ものよ、終をはりに至いたるまで我われを遺のこす勿なかれ、彼かれ等らが爾なんぢは我われの避所かくれがなりと知しらん爲ためなり。

 光榮、第一調。

神かみを示しめす聲こゑ、光ひかりの燈凳とうだい、主しゆの前ぜん驅く、ハリストスを以もつて證しようせられし諸しよ預よ言者げんしやの中うちに第一だいいちの者もの、世せ界かいの爲ために祈き禱たうを爲なす者ものよ、特ことに爾なんぢの牧群ぼくぐんを記き憶おくして、其その害がいなく救すくはれんことを求もとめ給たまへ。

 今も、復活の生神女讚詞。

視みよ、イサイヤの預よ言げん應かなひて、童貞女どうていぢよは子こを生うめり、生うみし後のちも生うむ前まへの如ごとく童貞女どうていぢよなり、生うまれし者ものは神かみなるに因よる、故ゆゑに天てん性せいは改あらため易かへられたり。嗚呼あゝ神かみの母はゝよ、爾なんぢの諸しよ僕ぼくが爾なんぢの堂だうに獻たてまつぐる祈き禱たうを棄すつる勿なかれ、惠めぐみ深ふかき主しゆを爾なんぢの手てに抱いだきし者ものとして、爾なんぢの諸しよ僕ぼくを憐あはれみて、我われ等らの靈たましひの救すくはれんことを祈いのり給たまへ。

 讚詞トロパリ、第二調。

義ぎ人じんの記き憶おくは讚さん美びするに在あり、爾なんぢには、前ぜん驅くよ、主しゆの證しようは足たれり、爾なんぢは實じつに諸しよ預よ言者げんしやよりも尊たふとき者ものと現あらはれたり、蓋けだし傳つたへられし者ものを流水りうすゐに洗せんするにも勝たふる者ものと爲なれり。故ゆゑに喜よろこびて眞實しんじつの爲ために苦くるしみを受うけて、地ぢ獄ごくに在ある者ものにも、肉體にくたいに現あらはれて世よの罪つみを任になひ、我われ等らに大おほいなる憐あはれみを賜たまふ神かみを福音ふくいんせり。

 光榮、今も、生神女讚詞。

 早課

「主は神なり」に讚詞トロパリ、同上。

 第一の「カフィズマ」の後に坐誦讚詞セダレン、第四調。

今いま我われ等らの爲ためにザハリヤの芽めは生しやうじ、野のの飾かざり、及および諸しよ預よ言者げんしやの畛域さかひは信者しんじやの念おもひと意こゝろとを樂たのしましむ、蓋けだしハリストスの前ぜん驅く、其その降臨かうりんの僞いつはりなき證しよう者しやは現あらはれたり。故ゆゑに我われ等らは心こゝろを一いつにして屬ぞく神しん゜の歌うたを以もつて授洗者じゆせんしやに呼よばん、眞實しんじつの預よ言者げんしや及および傳道でんだう師しよ、我われ等らの救すくはれんことを祈いのり給たまへ。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

神かみの聘女よめ、ハリストス神かみの母はゝよ、我われ等らは爾なんぢの悟さとり難がたき產さんを讚榮さんえいして歌うたふ、女宰ぢよさい生しやう神女しんぢよよ、我われ等らは此これを以もつて惡あく魔まの誘惑いざなひと凡およその危き難なんより救すくはれて、熱心ねつしんに爾なんぢに呼よぶ、獨ひとり讚さん美びたる者ものよ、爾なんぢの牧群ぼくぐんを憐あはれみ給たまへ。

 第二の「カフィズマ」の後に坐誦讚詞セダレン、第二調。

至し善ぜんなる主しゆよ、爾なんぢは大おほいなる仁じん慈じに因よりて爾なんぢの造物ざうぶつを救すくはん爲ために、爾なんぢの降くだるを以もつて天てんを傾かたぶけて來きたり給たまへり、故ゆゑに我われ等ら爾なんぢの畏おそるべき定制ていせいを歌うたひて、爾なんぢに呼よぶ、ハリストスよ、獨ひとり慈じ憐れんなる主しゆとして、爾なんぢの前ぜん驅くの祈き禱たうに由よりて、我われ等らに諸罪しよざいの潔淨きよめを與あたへ給たまへ。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

「ハリスティアニン」等らの熱ねつ切せつなる轉達者てんたつしや生しやう神女しんぢよよ、常つねに爾なんぢの子こに祈いのりて、其その大おほいなる仁じん慈じを以もつて爾なんぢ母はゝ童貞女どうていぢよの祈き禱たうに因よりて、我われ等らを戰たゝかふ敵てきの凡およその惡あく事じ及および殘ざん害がいより救すくひて、我われ等らに諸罪しよざいの赦ゆるしを賜たまはんことを求もとめ給たまへ。

「主の名を讚め揚げよ」の後に附唱、前驅の誕生に、

救世主きうせいしゆの前ぜん驅くイオアンよ、我われ等ら爾なんぢを讚さん揚やうして、爾なんぢが胎たいの荒あれたる者ものよりする至し榮えいなる誕たん生じやうを尊たふとむ。

 拔萃聖詠

祝讚せらるる哉主、イズライリの神 云々

 前驅の降孕に、同上。

 前驅の斬首及び聖首の發見に、拔萃聖詠、

神かみを畏おそれ、其その誡いましめを極きはめて愛あいする人ひとは福さいはひなり、云々

 讚揚詞の末辞は 皆みな爾なんぢの尊そん貴きなる斬首ざんしゆを尊たふとむ。

 聖首の發見に 皆みな爾なんぢの尊そん貴きなる聖首せいしゆの發見はつけんを尊たふとむ。

 前驅の會聚に 皆みな爾なんぢの至し尊そんなる會くわい聚しうを尊たふとむ。

 多燭詞ポリエレイの後に坐誦讚詞セダレン、第五調。

胎内たいないより神かみの預よ言者げんしやと顯あらはれ、素もと妊はらまざる者ものより出いでたる世せ界かいの光くわう明めいなる燈ともしび、ハリストスの授洗者じゆせんしや、及および勝しよう利りを得えたる苦く難なん者しや、前ぜん驅くイオアンを歌うたを以もつて讚ほめ揚あげん、蓋けだし彼かれは主しゆに我われ等らの靈たましひを憐あはれまんことを祈いのり給たまふ。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

婚姻こんいんに與あづからざる聘女よめ、至し淨じやうなる神かみの母はゝ、エワの悲かなしみを喜よろこびに轉てんぜし者ものよ、我われ等ら常つねに爾なんぢを歌か頌しようして讚榮さんえいす、爾なんぢ我われ等らを始はじめの詛のろひより解ときたればなり、讚さん美びたる生しやう神女しんぢよよ、今いまも絕たえず爾なんぢの子こ及および神かみに我われ等らを救すくはんことを祈いのり給たまへ。

 品第詞ステペンナ、第四調の第一倡和詞アンティフォン。

 提綱ポロキメン。

子こよ、爾なんぢも至し上じやう者しやの預よ言者げんしやと稱となへられん。

句 「祝讚せらるる哉主、イズライリの神。」

「凡そ呼吸ある者。」 福音経は巻末に載す。

 第五十聖詠の後に讚頌スティヒラ、第一調。

預よ言者げんしや及および前ぜん驅くイオアンよ、爾なんぢは神かみの羔こひつじ及および言ことばの傳道でんだう師しと爲なりて、未み來らいの事ことを預よ言げんし、四し極きよくに宣のべ傳つたふ、視みよ、神かみの羔こひつじ、世よの罪つみを任になひて、衆しゆうに大おほいなる憐あはれみを賜たまふ者ものなり。

 規程カノンは生神女の六段、幷に前驅の八段。第四調。

第一歌頌

イルモス 童貞女どうていぢよより生うまれし主しゆよ、祈いのる、强つよき軍ぐんたる我わが靈たましひの諸慾しよよくを無む慾よくの深處ふかみに沈しづめ給たまへ、我わが皷つゞみを以もつてするが如ごとく、肉にく情じやうを殺ころすに由よりて凱歌かちうたを爾なんぢに歌うたはん爲ためなり。

前ぜん驅く授洗者じゆせんしやよ、爾なんぢは大おほいなる日ひに先さきだつ星ほしの如ごとく、爾なんぢの光ひかりにて地ちを照てらし給たまへり、故ゆゑに爾なんぢに呼よぶ、無む數すうの罪つみに由よりて甚はなはだしく昧くらまされて瞽めしひと爲なりたる我わが心こゝろをも照てらし給たまへ。

福ふくたる者ものよ、昔むかし爾なんぢは誕たん生じやうを以もつて妊はらまざる胎たいを解ときたり、故ゆゑに爾なんぢに祈いのる、慾よくの爲ために荒あれて結果けつくわせざる吾わが靈たましひを爾なんぢの祈き禱たうを以もつて諸德しよとくの果みを結むすぶ者ものと爲なし給たまへ。

至し榮えいなる授洗者じゆせんしやよ、爾なんぢはイリヤの能のう力りよくを以もつて贖しよく罪主ざいしゆに先さきだちて、彼かれの爲ために途みちを備そなへたり、祈いのる、吾わが靈たましひの途みちを彼かれに向むかはしめて、爾なんぢの祈き禱たうを以もつて之これに凡およその誘惑いざなひと諸慾しよよくの焔ほのほとを免まぬかれしめ給たまへ。

 生神女讚詞

光ひかれる雲くもよ、吾わが靈たましひの多おほくの暗くらき雲くもを爾なんぢの光くわう明めいなる轉達てんたつを以もつて散さんじ給たまへ、我わが爾なんぢより輝かゞやき出いでたる日ひを見みて、此この光ひかりに由よりて暮くれざる光ひかりに至いたらん爲ためなり。

第三歌頌

イルモス 强つよき者ものの弓ゆみは弱よわみ、弱よわれる者ものは力ちからを帶おびたり、故ゆゑに我わが心こゝろは主しゆの中うちに堅かためられたり。

福ふくたる者ものよ、爾なんぢは凡およその德とくを行おこなひ、凡およその惡あくを心こゝろより憎にくみ、人ひと人びとに悔くわい改かいの途みちを示しめし給たまへり。

爾なんぢは身みを取とりし言ことばの大おほいなる前ぜん驅くと現あらはれたり、故ゆゑに爾なんぢに祈いのる、我われに無知むちなる慾よくを免まぬかれしめて、我われを無む慾よくに導みちびき給たまへ。

前ぜん驅くよ、爾なんぢは尙なほ身みに居をる時ときに無む形けいの者ものの度ど生せいを爲なし給たまへり、捧神者ほうしんしやよ、之これに效ならはん爲ために、爾なんぢの祈き禱たうを以もつて我われ等らを堅かため給たまへ。

 生神女讚詞

母はゝ童貞女どうていぢよよ、犯罪はんざいに由よりて不ふ當たうの者ものとなりたる世せ界かいは爾なんぢに由よりて憐あはれみを蒙かうむりたり、故ゆゑに我われ等ら職しよくとして歌うたを以もつて歌か頌しようして、爾なんぢを讚揚さんやうす。

 坐誦讚詞セダレン、第一調。

ハリストスの前ぜん驅くよ、爾なんぢはイリヤの如ごとく野のに居をりたり、至し福ふくなる者ものよ、吾わが心こゝろを堅かため給たまへ。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

至し淨じやうなる者ものよ、ダワィドは爾なんぢ潔いさぎよき童貞女どうていぢよを女王によわうとして傳つたふ、故ゆゑに我われ爾なんぢに祈いのる、我われを天てんの國くにの嗣業よつぎと爲なし給たまへ、我わが爾なんぢを讚揚さんやうせん爲ためなり。

第四歌頌

イルモス 洪こう恩おんなる主しゆよ、爾なんぢは己おのれの像ざうを愛あいするに因よりて、爾なんぢの十じふ字架じかに上のぼりしに、異い邦はう民みんは融とけたり、人ひとを愛あいする主しゆよ、爾なんぢは我われの堅固かためと美譽ほまれなればなり。

至し榮えいなる前ぜん驅くよ、我われ等らは爾なんぢを至いたりて眞實しんじつなる言ことばを以もつて世せ界かいに眞まことの春はるを預よ象しやうする班鳩やまばとと知しりて、爾なんぢを讚揚さんやうす。

前ぜん驅くよ、我われ詭き譎けつなる者ものの誘惑いざなひに害そこなはれたる者ものを、舊新きうしんの中ちゆう保はう者しやとして全まつたく改あらため給たまへ、我われ爾なんぢを歌うたふ。

荒あれ野のに居をりて無む玷てんなる生命いのちを送おくりし前ぜん驅くよ、凡およその罪過ざいくわに由よりて荒あれたる吾わが智慧ちゑを爾なんぢの神聖しんせいなる祈き禱たうを以もつて淨きよめ給たまへ。

 生神女讚詞

童貞女どうていぢよよ、爾なんぢの子こは我われ等らの爲ために潔淨きよめ及および贖しよく罪ざいとして知しられたり、傷しやう感かんの情じやうを以もつて爾なんぢを讚揚さんやうする我われ等らの靈たましひを救すくはんことを彼かれに祈いのり給たまへ。

第五歌頌

イルモス 仁じん慈じなる主しゆよ、爾なんぢの光ひかりを我われ等らに遣つかはし、罪過ざいくわの闇やみより我われ等らを解ときて、爾なんぢの平安へいあんを賜たまへ。

ハリストスの授洗者じゆせんしやよ、我われ諸慾しよよくの焔ほのほに焚やかるる者ものを爾なんぢの祈き禱たうを以もつて濕うるほして、之これに害がいせらるるなく護まもり給たまへ。

至し福ふくなる者ものよ、爾なんぢの聖せいなる右みぎの手ての下したに父ちゝの神聖しんせいなる右みぎの手て、爾なんぢの聖せいにせられし轉達てんたつに由よりて我われ等らを詭き譎けつ者しやの手てより救すくふ者ものは洗せんを受うけたり。

前ぜん驅くよ、全ぜん世せ界かいは爾なんぢを避所かくれがと堅けん固ごなる帲幪おほひ、及および大おほいなる城垣かきとして有たもつ、爾なんぢの祈き禱たうを以もつて我われ等らを凡およその患くわん難なんより救すくひ給たまへ。

 生神女讚詞

潔いさぎよき童貞女どうていぢよよ、神かみは爾なんぢをイアコフの榮さかえとして愛あいして、爾なんぢを以もつて凡およそ先さきに罪過ざいくわに昧くらまされし者ものを飾かざり給たまふ。

第六歌頌

イルモス 我われ海うみの深處ふかみに至いたり、多おほくの罪つみの暴風あらしは我われを沈しづめたり、慈じ憐れんの主しゆよ、神かみなるに因よりて、我わが生命いのちを深處ふかみより引ひき上あげ給たまへ。

前ぜん驅くよ、爾なんぢは流水りうすゐの中うちに立たちて、衆しゆう人じんの罪つみを任になふ主宰しゆさいに洗せんを授さづけたり、彼かれに我われ等らの靈たましひを憐あはれまんことを絕たえず祈いのり給たまへ。

前ぜん驅くよ、爾なんぢは悔くわい改かいの傳道でんだう師しと現あらはれたり、求もとむ、有いう害がいなる罪つみに汚けがされて弱よわりたる吾わが心こゝろに之これを起おこさしめ給たまへ。

福ふくたる者ものよ、爾なんぢは荒あれ野のに聲こゑを揚あげて、人ひと人びとの靈たましひに來きたり給たまふ言ことばを傳つたへたり、故ゆゑに凡およその敎けう會くわいは默もださざる聲こゑを以もつて爾なんぢを讚揚さんやうす。

 生神女讚詞

神かみの聘女よめよ、爾なんぢの畏おそるべき產さんに由よりて律りつ法ぱふの預よ象しやうは明あきらかになれり、女宰ぢよさいよ、我われ等ら今いま其その成じやう就じゆしたるを見みて、宜よろしきに合かなひて爾なんぢを尊たふとむ。

小讚詞コンダクは奉事例に据る。若し奉事例になくば下の小讚詞コンダクを誦すべし。第八調。

前ぜん驅くイオアンよ、我われ不ふ當たうの者ものは爾なんぢ眞まことに凡およその聖せい人じんより大おほいなる者ものの前まへに、凡およその不ふ法はふ者しやより多おほく罪つみを犯おかす、然しかれども我われ爾なんぢに歌うたを捧さゝげて求もとむ、主しゆの前まへに勇敢いさみを有たもつ者ものとして、我われを諸もろもろの災禍わざはひより救すくひて、爾なんぢに呼よばしめ給たまへ、恩おん寵ちようの傳道でんだう師しよ、慶よろこべ。

 同讚詞イコス

神かみに賞しやうせられし福ふくたるイオアンよ、我われ喜よろこびを抱いだきて歌うたを爾なんぢに捧さゝぐるを始はじむ、然しかれども爾なんぢを記き憶おくして訝いぶかり、畏おそれて何なんの言ことばを言いふを知しらず。前ぜん驅くよ、爾なんぢ自みづから我われを堅かためて、宜よろしきに合かなふ言ことばを與あたへ給たまへ、歡喜よろこびの現あらはれし所以ゆゑんの者ものよ、慶よろこべ、詛のろひの亾ほろびたる所以ゆゑんの者ものよ、慶よろこべ、地ちの四し極きよくの敎けう師しよ、慶よろこべ、ハリストスの奇き跡せきの傳道でんだう師しよ、慶よろこべ、天てんにまで至いたる髙たかき良りやう心しんよ、慶よろこべ、全ぜん地ちを潔きよむる廣ひろき潔けつ淨じやうよ、慶よろこべ、聖せいなる三者さんしやを見みしに因よりて慶よろこべ、物ぶつ質しつを輕かろんぜしに因よりて慶よろこべ、日ひを示しめす星ほしよ、慶よろこべ、天てん下かを照てらす光くわう體たいよ、慶よろこべ、ハリストスを知しらしし者ものよ、慶よろこべ、サタナを惡にくみし者ものよ、慶よろこべ、恩おん寵ちようの傳道でんだう師しよ、慶よろこべ。

第七歌頌

イルモス 昔むかしアウラアムの少せう者しやはワワィロンに於おいて爐ゐろりの焔ほのほを踏ふみて、歌うたを以もつて呼よべり、我わが先せん祖ぞの神かみよ、爾なんぢは崇あがめ讚ほめらる。

凡およそ婦をんなの生うみし者ものの中うちに大おほいなる者ものと現あらはれし預よ言者げんしやよ、爾なんぢの大おほいなる祈き禱たうを以もつて、我われ多おほく神かみの前まへに罪つみを犯おかしし者ものを大おほいなる焔ほのほと永遠えいゑんの幽暗くらやみより脫のがれしめ給たまへ。

我われは果みを結むすばざる無花果いちじくと現あらはれて、斫きらるるを恐おそる、救世主きうせいしゆの前ぜん驅くよ、爾なんぢの轉達てんたつを以もつて我われを固かためて、果みを結むすぶ者ものと爲なし給たまへ、我わが爾なんぢを讚揚さんやうせん爲ためなり。

前ぜん驅くイオアンよ、衆しゆう人じんの贖しよく罪主ざいしゆに奉たてまつる爾なんぢの勇いさましき祈き禱たうを以もつて、熱心ねつしんに爾なんぢに趨はしり附つく者ものに向むかひて起おこす所ところの凡およその敵てきの暴風あらしを鎮しづめ給たまへ。

 生神女讚詞

童貞女どうていぢよよ、靈たましひと舌したとを以もつて常つねに爾なんぢを讚榮さんえいする爾なんぢの諸僕しよぼくを凶きよう惡者あくしやの攻擊こうげき及および惡あく鬼きの服役ふくえきより脫のがれしめ給たまへ。

第八歌頌

イルモス 衆しゆう人じんの贖しよく罪主ざいしゆ全能者ぜんのうしやよ、爾なんぢは降くだりて、燄ほのほの中うちに敬虔けいけんを守まもりし者ものに露つゆを注そゝぎて、歌うたはしめ給たまへり、悉ことごとくの造物ざうぶつは主しゆを歌うたひて崇あがめ讚ほめよ。

前ぜん驅くよ、我われ怠惰おこたりの眠ねむりに耽ふけりて、惡あくの暗やみに昧くらまされたる者ものを爾なんぢの光くわう明めいなる祈き禱たうを以もつて起おこして、晝ひるに在あるが如ごとく美うるはしく諸德しよとくを行おこなふを得えしめ給たまへ。

誘惑いざなひの暗やみは我われを圍かこみ、諸慾しよよくの暴風あらしは我われを擾みだす、前ぜん驅くよ、我われに手てを授さづけて、爾なんぢの祈き禱たうを以もつて吾わが靈たましひの舟ふねを痛つう悔くわいの港みなとに導みちびき給たまへ。

世せ界かいの罪過ざいくわを任になふ者ものを河水かはみづの中うちに洗せんせし福ふくたるイオアンよ、爾なんぢの祈き禱たうの流ながれを以もつて我わが惡あくの淵ふちを涸からし給たまへ。

前ぜん驅くよ、爾なんぢは言いひ難がたく爾なんぢより洗せんを受うけしイイススの上うへに聖神せいしん゜の臨のぞむを見み、彼かれの爲ために證しようする父ちゝの聲こゑを聞きけり、彼かれに我われ等らを救すくはんことを禱いのり給たまへ。

 生神女讚詞

生しやう神女しんぢよ純じゆん潔けつなる童貞女どうていぢよよ、我われ等らの更新あらための泉いづみとして、我われ蛇へびの攻擊こうげきに由よりて害そこなはれし者ものを全まつたく改あらため給たまへ、我わが信しんと愛あいとを以もつて爾なんぢを讚揚さんやうせん爲ためなり。

第九歌頌

イルモス エワは不ふ順じゆんを病やみて、詛のろひを入いれたり、爾なんぢは、童貞どうてい生しやう神女しんぢよよ、己おのれの產さんにて世せ界かいの爲ために祝しゆく福ふくの華はなを發ひらけり、故ゆゑに我われ等ら皆みな爾なんぢを崇あがめ讚ほむ。

主しゆハリストスは我わが力ちから我わが歌うたなり、福ふくたる前ぜん驅くよ、彼かれに祈いのりて、我われを諸慾しよよくと凡およその惡あく鬼きの攻擊こうげきとに勝かたん爲ために堅かためて、神かみの旨むねを行おこなふを賜たまはんことを求もとめ給たまへ、我わが愛あいを以もつて常つねに爾なんぢを讚揚さんやうせん爲ためなり。

神聖しんせいなる前ぜん驅くよ、爾なんぢはハリストスの神聖しんせいなる春はるを報はうずる美うるはしき班鳩やまばと、嘉よき音ねの燕つばめと現あらはれたり、爾なんぢに祈いのる、我われを靈たましひを害がいする冬ふゆと罪つみの暴風あらしより脫のがれしめんことを彼かれに祈いのり給たまへ。

神聖しんせいなる前ぜん驅くよ、爾なんぢは母はゝの胎内たいないに喜よろこび躍をどりて、童貞女どうていぢよより輝かゞやきし者ものを知しらせたり、彼かれに祈いのりて、我われを殺ころす肉慾にくよくの動うごきを殺ころして、吾わが心こゝろを喜よろこびに滿みてんことを求もとめ給たまへ、我わが爾なんぢを歌うたはん爲ためなり。

 生神女讚詞

善ぜんを愛あいする神かみを生うみし善ぜんを愛あいする生しやう神女しんぢよよ、彼かれに祈いのりて、我われを凡およその惡あくより救すくひ、彼かれを愛あいする心こゝろを燃もやし、我われに肉體にくたいの逸樂いつらくを惡にくましめんことを求もとめ給たまへ、我わが歌うたを以もつて爾なんぢを讚ほめ揚あげん爲ためなり。

 光耀歌

福ふくたる前ぜん驅く授洗者じゆせんしやよ、爾なんぢは年とし老おいたる妊はらまざる者もの及および翁おきな司し祭さいより生うまれて、光くわう榮えいの日ひの現あらはるる前まへに晨あさの星ほしの如ごとく麗うるはしく輝かゞやき出いで、主しゆが童貞女どうていぢよより人類じんるゐの贖しよく罪ざいの爲ために生しやうるるを傳つたへ給たまへり、故ゆゑに我われ等ら愛あいを以もつて歌か頌しようして、爾なんぢの最いと尊たふとき(祭名)に伏拜ふくはいす。

 生神女讚詞

至し淨じやうなる生しやう神女しんぢよよ、爾なんぢの子こ萬有ばんいうの神かみを聖神せいしん゜に感かんぜられて預よ言者げんしやは宣傳せんでんし、使徒しとは傳敎でんけうし、致ち命者めいしやは明あきらかに承うけ認とめたり、彼かれ等らと偕ともに我われ等ら爾なんぢに因よりて古いにしへの定罪ていざいを免まぬかれし者ものは爾なんぢを崇あがめ讚ほむ。

 「凡そ呼吸ある者」に讚頌スティヒラ、第四調。

婦をんなの生うみし者ものの中うちに最もつとも大おほいなる前ぜん驅くよ、神かみの前まへに勇敢いさみを有たもちて、絕たえず彼かれに祈いのりて、熱信ねつしんに爾なんぢを籲よぶ我われ等らを反正はんせいせしめて、痛つう悔くわいの心こゝろを與あたへんことを求もとめ給たまへ、我われ等らが救すくはれて、常つねに爾なんぢを歌か頌しようせん爲ためなり。二次

母はゝの胎内たいないより預よ言者げんしやと名なづけられし傳道でんだう師し、前ぜん驅く及および使徒しとよ、惡あく鬼きに服ふくして罪つみの奴ど隷れいと爲なりし我われを、勇ゆう毅きなる軍ぐん士しとして、二ふたつの者ものより救すくひ給たまへ、我わが爾なんぢの亟すみやかなる佑助たすけを傳つたへん爲ためなり。

ハリストスの福ふくたる授洗者じゆせんしやよ、聖神せいしん゜の箕みとして、吾わが心こゝろより糠からの如ごとき風習ならはしを掃はらひて、我わが善行ぜんかうを麥むぎの如ごとく神かみの倉くらに斂をさめ給たまへ、我わが主宰しゆさいの嘉よく納いれらるる糧かてと爲ならん爲ためなり、爾なんぢの轉達てんたつに由よりてなり。

 光榮、第八調。

イオアンに馨香けいかうは適かなひ、授洗者じゆせんしやに美うるはしき歌うたは適かなふ、蓋けだし彼かれは我われ等らの救すくひの始はじめを傳つたへて、腹はらの内うちに躍をどり、野のの中うちに悔くわい改かいせよと呼よべり、彼かれは王わうの軍ぐん士し、恩おん寵ちようの前ぜん驅くなり、羔こひつじを示しめし、救世主きうせいしゆに我われ等らの靈たましひの爲ために祈いのり給たまふ。

 今も、生神女讚詞。

女宰ぢよさいよ、爾なんぢの諸僕しよぼくの祈禱いのりを納いれて、我われ等らを諸もろもろの災禍わざはひと憂愁うれひより救すくひ給たまへ。

 大詠頌、幷に發放詞。

 聖體禮儀リトゥルギヤに眞福詞、規程カノンの第三及び第六歌頌。

 

第六編 諸聖神父の會聚祭の總奉事

斯の奉事はパスハ後第七主日、又七月二十九日神品致命者聖アフィノゲンの記憶の後、又十月二十四日聖使徒フィリップの記憶の後に之を行ふ。

 スボタの晩課

 「主よ、爾に籲ぶ」に讚頌スティヒラ、第六調。

主しゆよ、爾なんぢは黎明しのゝめの前まへに腹はらより生うまれたり、父ちゝより母はゝなく世よ世よの先さきなり。アリイは爾なんぢを造物ざうぶつと爲なし、神かみとして讚榮さんえいせず、狂きやう暴ばうを以もつて無知むちに爾なんぢ造物主ざうぶつしゆを諸造物しよざうぶつに混こんじて、己おのれの爲ために永遠えいゑんの火ひを蓄たくはふ。然しかれどもニケヤにありし會くわいは爾なんぢを神かみの子こ、父ちゝ及および聖神せいしん°と同どう座ざなる者ものとして傳つたへたり。

救世主きうせいしゆよ、孰たれか爾なんぢの衣ころもを裂さきたる、アリイなりと爾なんぢ言いへり、三者さんしやの同尊どうそんなる本原ほんげんを截きり分わけたる者ものなり、彼かれは爾なんぢを三者さんしやの一いつと承うけ認とめざりき、彼かれはネストリイにも生しやう神女しんぢよと言いはざるを敎をしふ。然しかれどもニケヤにありし會くわいは爾なんぢを神かみの子こ、父ちゝ及および聖神せいしん°と同どう座ざなる者ものとして傳つたへたり。

光ひかりを觀みることを惡にくみたるアリイは罪つみの崖がけより墜おち、靈妙れいめうなる鈎つりばりにて其その中なかは掻かき裂さかれて、强しひて悉ことごとくの臟ざう腑ふと生命いのちとを出いだし、彼かれは其その意旨こゝろと容態さまとを以もつて他たのイウダと爲なりたり。然しかれどもニケヤにありし會くわいは爾なんぢを神かみの子こ、父ちゝ及および聖神せいしん°と同どう座ざなる者ものとして傳つたへたり。

無知むちなるアリイは至し聖三者せいさんしやの惟一ゆゐいちの本原ほんげんを斷たちて、三みつの同おなじからず相あひ合あはざる性せいと爲なせり、故ゆゑに捧神ほうしんなる諸神しよしん父ぷは勇いさみ集つどひて、熱心ねつしんに燬やかれて、フェスワのイリヤの如ごとく、屬ぞく神しん°の劍つるぎを以もつて、聖神せいしん°の彼かれ等らに諭ししに從したがひて、不ふ遜そんを敎をしへたる褻瀆者せつどくしやを斬きる。

 光榮、第六調。

我われ等ら今いま聖神せいしん°の奧あう密みつの角らつぱたる捧神ほうしんなる諸神しよしん父ぷ、敎けう會くわいの中うちに神學しんがくの調てう和わしたる歌うたを歌うたひて、神性しんせいの惟一ゆゐいちなる變易へんえきせざる三者さんしやを讚榮さんえいせし者もの、アリイを斃たふしし者もの、正敎者せいけうしやを防ふせぎ衛まもりし者もの、常つねに主しゆに我われ等らの靈たましひの救すくはれんことを祈いのる者ものを讚ほめ揚あげん。

 今も、生神女讚詞。

至聖なる童貞女よ、誰か爾を讚美せざらん、云云

 聖入。本日の提綱ポロキメン。

 創世記の讀 十四章

アウラムは其その親しん戚せきロトの擄とりこにせられしを聞ききて、其その家か僕ぼく三さん百びやく十じふ八はち人にんを率ひきゐ、敵てきを追おひてダンにまで至いたり、爰こゝに諸僕しよぼくと偕ともに夜よるに乘じやうじて彼かれ等らを攻せめ、彼かれ等らを破やぶりて、ダマスクの左ひだりなるホワルまで彼かれ等らを追おへり。斯かくして凡およそのソドム人じんの馬うまを取とり回かへし、己おのれの親しん戚せきロト、其その悉ことごとくの所有しよいう、及および婦女をんなと人民たみとを取とり回かへせり。アウラムがホドロゴモル及および彼かれと偕ともに在ありし王わう等らを擊うち破やぶりて歸かへれる時とき、ソドムの王わうはサワィンの谷たに、卽すなはち今いまの王わうの野のに出いでて、彼かれを迎むかへたり。時ときにサリムの王わうメルヒセデクは餅ぱんと酒さけとを攜たづさへ出いでたり、彼かれは至し上じやうなる神かみの司し祭さいたりき、彼かれアウラムを祝しゆくして曰いへり、アウラムは天てん地ちを造つくりし至し上じやうなる神かみに祝しゆく福ふくせらるる哉かな、爾なんぢの敵てきを爾なんぢの手てに付わたしし至し上じやうなる神かみは祝しゆく讚さんせらるる哉かな。

 申命記の讀 一章

彼かの日ひモイセイはイズライリの諸しよ子しに謂いへり、視みよ、我われ爾なんぢ等らの前まへに在ある斯かの地ちを爾なんぢ等らに與あたへたり、入いりて之これを嗣つげ、此これ主しゆが爾なんぢ等らの先せん祖ぞアウラアム、イサアク、イアコフに誓ちかひて、之これを彼かれ等らと其その後のちの子し孫そんとに與あたへんと云いひし地ちなり。彼かの時とき我われ爾なんぢ等らに謂いひて曰いへり、我われ一人ひとりにて爾なんぢ等らを任にんずる能あたはず、主しゆ爾なんぢ等らの神かみは爾なんぢ等らを增ぞう加かせり、視みよ、爾なんぢ等ら今日こんにち衆おほきこと天てんの星ほしの如ごとし。願ねがはくは主しゆ爾なんぢ等らの先せん祖ぞの神かみは爾なんぢ等らを增まして、今いまより千倍せんばいならしめ、又また爾なんぢ等らを祝しゆく福ふくせん、其その爾なんぢ等らに言いひしが如ごとし。我われ爾なんぢ等らの中うちより智慧ちゑ及および思し慮りよあり且かつつ練れん達たつなる人人ひとびとを取とりて、爾なんぢ等らを治をさめん爲ために千人せんにんの長をさ、百ひやく人にんの長をさ、五ご十じふ人にんの長をさ、十じふ人にんの長をさと爲なし、又また爾なんぢ等らの士師さばきびとの書しよ記きと爲なせり。彼かの時とき我われ爾なんぢ等らの士師さばきびとに命めいじて云いへり、爾なんぢ等ら其その兄きやう弟だいの中うちの訴うつたへを聽きき、此この人ひとと彼かの人ひととの間あひだを正たゞしく審さばけ、外ぐわい來らいの人ひとに於おいても然しかせよ、人ひとを視みて審判さばきすべからず、少ちひさき者ものにも大おほいなる者ものにも聽きくべし、人ひとの面おもてを懼おそるべからず、審判さばきは神かみの事ことなればなり。

 申命記の讀 十章

彼かの日ひモイセイはイズライリの諸しよ子しに謂いへり、視みよ、天てんと諸しよ天てんの天てん、及および地ちと凡およそ其その中うちに在ある者ものは、皆みな主しゆ爾なんぢの神かみに屬ぞくす、然しかれども主しゆは唯たゞ爾なんぢ等らの先せん祖ぞを納いれて、之これを愛あいし、及および其その後のちの裔すゑたる爾なんぢ等らを萬民ばんみんの中うちより簡えらべり、今日こんにちの如ごとし。故ゆゑに爾なんぢ等ら心こゝろに割禮かつれいを行おこなへ、復また强項かたくななる毋なかれ。蓋けだし主しゆ爾なんぢ等らの神かみは此これ諸神しよしんの神しん、諸主しよしゆの主しゆ、大おほいにして權能ちからある、畏おそるべき神かみにして、人ひとを偏かたより視みず、賄まひなひを受うけず、外ぐわい來らいの者ものと孤みなしごと寡やもめとの爲ために審判さばきを行おこなひ、外ぐわい來らいの者ものを愛あいして、之これに食しよく物もつと衣い服ふくとを與あたふ。爾なんぢ等らも外ぐわい來らいの者ものを愛あいせよ、自みづからもエギペトの地ちに於おいて外ぐわい來らい者しやたりし故ゆゑなり。主しゆ爾なんぢの神かみを畏おそれ、彼かれのみに事つかへ、彼かれに著つき、彼かれの名なを以もつて誓ちかへ、彼かれは爾なんぢの譽ほまれ、彼かれは爾なんぢの神かみ、爾なんぢが目めの覩みし所ところの此この大おほいにして光くわう榮えいなる事ことを爾なんぢの爲ために行おこなひし者ものなり。

リティヤに本堂の讚頌スティヒラ。

 光榮、第三調。

聖せいなる諸神しよしん父ぷよ、爾なんぢ等らは使徒しとの傳でんの確實かくじつなる守しゆ護ご者しやたりき、蓋けだし聖三者せいさんしやの一性いつせいなることを正たゞしく敎をしへて、公こう會くわいを以もつてアリイの褻瀆せつどくを除のぞき、彼かれと共ともに亦また聖神せいしん°に敵てきせしマケドニイを譴責けんせきし、ネストリイ、エウティヒイ及およびディオスコル、サワェリイ及およびセワィルを定罪ていざいせり。祈いのる、我われ等らが彼かれ等らの迷まよひを脫のがれて、信しんに玷きずなくして我わが生命いのちの護まもられんことを求もとめ給たまへ。

 今も、生神女讚詞。

爾は種なく聖神°に由りて、父の旨を以て、云云

 挿句くづけに八調經きやうの讚頌スティヒラ。

 光榮、第四調。

ニケヤの光くわう明めいなる城まちに全ぜん世せ界かいより集あつまりたる捧神ほうしんなる諸神しよしん父ぷの周年しうねんの記き憶おくを、我われ等ら正敎人せいけうじんの會くわいは今いま敬虔けいけんの心こゝろを懷いだきて正たゞしく祝いはふ、蓋けだし彼かれ等らは神聖しんせいの智ち識しきを以もつて狂きやう妄ばうなるアリイの神かみに逆さかふ敎をしへを斃たふし、公こう會くわいを以もつて彼かれを公こう敎けう會くわいより逐おひ、衆しゆう人じんに詳つまびらかに神かみの子こが神父かみちゝと一性いつせい同どう永在えいざいにして、世世よよの先さきより居をる者ものなるを承うけ認とめんことを敎をしへ、信しん經きやうの中うちに慎つゝしみて明あきらかに之これを述のべたり、故ゆゑに我われ等らも彼かれ等らの神聖しんせいなる定てい理りに順したがひて、堅かたく信しんじて、父ちゝと偕ともに子こ及および至し聖神せいしん°、三さん位ゐにして一性いつせいなる惟一ゆゐいちの神かみに役つとむ。

 今も、生神女讚詞。

至りて玷なき者よ、爾が僕婢の祈禱を顧みて、云云

 餅を祝福する時に讚詞トロパリ。

生神童貞女よ、慶べよ、云云 二次

 又諸聖神父の讚詞トロパリ、第八調。

崇あがめ讚ほめらるる哉かなハリストス我われ等らの神かみ、光くわう明めいとして地ち上じやうに我わが諸神しよしん父ぷを立たて、彼かれ等らを以もつて我われ等ら衆しゆうを眞まことの敎をしへに導みちびきし者ものや、至いたりて慈じ憐れんなる主しゆよ、光くわう榮えいは爾なんぢに歸きす。 一次

 早課

「主は神なり」に主日の讚詞トロパリ、二次。

 光榮、諸聖神父の讚詞トロパリ。

 今も、生神女讚詞。

我等の爲に童貞女より生れ、十字架に釘うたるるを忍び、云云

 カフィズマの後に八調經の坐誦讚詞セダレン。

規程カノンは、復活の、イルモスと共に四段、十字架復活の、二段、生神女の、二段、又諸聖神父の、六段。聖にせられし全地の總主敎パトリアルフゲルマン師の作。第六調。

第一歌頌

イルモス イズライリは陸くがの如ごとく淵ふちを踏ふみ渡わたり、追おひ詰つめしファラオンの溺おぼるるを見みて呼よべり、凱歌かちうたを神かみに奉たてまつらん。

天てんよりするが如ごとく、ニケヤより活いける父ちゝの言ことばを普あまねく轟とゞろかして、其その諸敵しよてきを雷いかづちに殺ころされたる者ものと爲なしし聖神せいしん父等ぷらは聖せいにせられし言ことばを以もつて尊たふとまるべし。

ハリストスは聖神せいしん父等ぷらを第だい二にの公こう會くわいに合あはせて、神しん°に逆さかふ者ものの惡あしき神しん°を聖神せいしん°を以もつて己おのれの敎けう會くわいより遠とほく逐おひ給たまへり。

公こう會くわいの長ちやう座ざたるキリル、明あきらかに童貞女どうていぢよマリヤを神かみの潔いさぎよき母はゝと承うけ認とめたる者ものはハリストスに逆さかふネストリイの迷まよひを斥しりぞけたり。

 生神女讚詞

潔いさぎよき者ものよ、爾なんぢは造つくられざる三者さんしやの一いつなるハリストスを二に性せい二旨にしの者ものとして生うめり、彼かれは爾なんぢに由よりて人人ひとびとを諸しよ天てん使しと合あはせ給たまへり。

第三歌頌

イルモス 爾なんぢが信者しんじやの角つのを髙たかうし、我われ等らを爾なんぢが承認うけとめの石いしに堅かためし仁じん慈じの主しゆ、吾わが神かみよ、爾なんぢと均ひとしく聖せいなるはなし。

無智むちなるアリイは造物ざうぶつの役者えきしやと爲なり、マケドニイも亦また憎にくむべき者ものと現あらはれて、二人ふたりながらエㇽリン人じんと同おなじく火ひのゲエンナに苦くるしむ。

ハリストスよ、爾なんぢは聖せいなる諸神しよしん父ぷの聖せいにせられし七なゝつの公こう會くわいを以もつて、七なゝつの燈ともしびの光ひかりを以もつてするが如ごとく、尊たふとき敎けう會くわいを照てらして、迷まよひの幽闇くらやみを遠とほく逐おひ給たまへり。

言ことばよ、諸しよ異い端者たんしやの多た種しゆの瘡かさは爾なんぢの牧群ぼくぐんを悩なやます、然しかれども爾なんぢの靈れい智ちなる羊ひつじの牧者ぼくしやは敎をしへを以もつて之これを醫いやす。

 生神女讚詞

至し淨じやうなる者ものよ、爾なんぢは造つくられざる三者さんしやの一いつを二に性せい二旨にしの者ものとして生うみ給たまへり、我われ等らは彼かれの尊たふとき像すがたに伏拜ふくはいして、恩おん寵ちように滿みてらる。

 復活の小讚詞コンダク及び同讚詞イコス。

 次に諸神父の坐誦讚詞セダレン、第四調。

福ふくたる諸神しよしん父ぷよ、爾なんぢ等らは誠まことに世せ界かいの爲ためにハリストスの眞實しんじつの至いたりて光ひかりたる燈ともしびとして地ち上じやうに現あらはれて、惡言あくげんの異い端たんを涸からし、焦熱せうねつの褻瀆せつどくを滅けせり、故ゆゑにハリストスの成聖者せいせいしやとして、我われ等らの救すくはれんことを祈いのり給たまへ。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。
至いたりて讚さん美びたる潔いさぎよき童貞女どうていぢよよ、爾なんぢは己おのれの神聖しんせいなる產さんを以もつて慾よくの中うちに朽くちて死ししたる地ち上じやうの者ものの性せいを新あらたにして、衆しゆうを死しより不ふ朽きうの生命いのちに起おこし給たまへり。故ゆゑに我われ等ら皆みな職しよくとして爾なんぢを讚揚さんやうす、爾なんぢの預よ言げんせしが如ごとし。

第四歌頌

イルモス 尊たふとき敎けう會くわいは淨きよき心こゝろより主しゆの爲ために祝いはひ、神かみに適かなひて呼よび歌うたふ、ハリストスは吾わが力ちからと神かみと主しゆなり。

救世主きうせいしゆよ、爾なんぢの敵てきは騷さわぎ、爾なんぢを惡にくむ者ものは僅わづかに首かうべを擧あげたれども、屬ぞく神しん°の角らつぱの聲こゑに勝たへずして、遽にはかに墜おちたり。

日ひよりする二ふたつの日ひの如ごとく、父ちゝより造つくられざる同どう無む原げんなる子こ及および聖神せいしん°は輝かゞやきて二に倍ばいに光ひかる、父ちゝは二ふたつの者ものの惟一ゆゐいちなる原因げんいんとして信しんぜらる。

七なゝつの神しん°はハリストスに止とゞまれり、イサイヤ之これを言いへり、七なゝつの公こう會くわいにハリストスは父ちゝ及および聖神せいしん°と偕ともに止とゞまり給たまへり。

 生神女讚詞

潔いさぎよき童貞女どうていぢよよ、爾なんぢは己おのれの淨きよき血ちより身みを取とりし神かみを生うみ給たまへり、諸神しよしん父ぷは彼かれを二に性せい一いち位ゐなる主しゆとして傳つたへたり。

第五歌頌

イルモス 至し仁じんなる神かみの言ことばよ、切せつに祈いのる、爾なんぢに朝あさの祈き禱たうを奉たてまつる者ものの靈たましひを爾なんぢが神かみの光ひかりにて照てらして、爾なんぢ罪つみの暗やみより呼よび出いだす眞まことの神かみを知しらしめ給たまへ。

ハリストスの神聖しんせいなる葡ぶ萄だうの樹き、エギペトより移うつされたる者ものを暗黑あんこくなる殘害者ざんがいしやの野や獸じうは始はじめて食くららへり、然しかれども聖せいなる神しん父等ぷらの投石索いしなげにて遠とほく逐おはれたり。

尊たふとき神しん父等ぷらは神聖しんせいなる三さん光くわうの輝かゞやきにて智慧ちゑを照てらして、至し尊そんなる三者さんしやの一いつなるハリストス主しゆを二に性せい二旨にしの者ものとして傳つたへたり。

 三者讚詞

嗚呼あゝ三者さんしやや、睿えい智ちなる諸神しよしん父ぷに由よりて、敎けう會くわいは有形いうけいの世よに在ありて天てん上じやうのセラフィムの如ごとく常つねに爾なんぢに三聖さんせいの歌うたを奉たてまつりて、三さん位ゐの中うちに爾なんぢの惟一ゆゐいちなる神性しんせいを讚榮さんえいす。

 生神女讚詞

潔いさぎよき者ものよ、爾なんぢは己おのれの子この母はゝ及および婢しもめと爲なれり、蓋けだし爾なんぢより生うまれし者ものは爾なんぢの造成者ざうせいしやとして爾なんぢより先さきに在ありき、我われ等らは彼かれを二に性せいの者ものと知しりて、一いち位ゐなる言ことばとして讚榮さんえいす。

第六歌頌

イルモス 誘惑いざなひの猛風あらしにて浪なみの立たち揚あがる世よの海うみを觀みて、爾なんぢの穩おだやかなる港みなとに著つきて呼よぶ、憐あはれみ深ふかき主しゆよ、我わが生命いのちを淪亾ほろびより救すくひ給たまへ。

諸神しよしんの神かみ主しゆは言ことばを出いだして、全ぜん地ちを東ひがしより西にしに至いたるまで召めし給たまへりと、ダワィドは先さきに歌うたひて、諸神しよしん父ぷの全ぜん地ちの公こう會くわいを示しめせり。

主宰しゆさいよ、神かみの智慧ちゑは七なゝつの柱はしらを建たてたり、是これ爾なんぢの敎けう會くわいを聖せいにせられし諸神しよしん父ぷの七なゝつの公こう會くわいを以もつて諸もろもろの異い端たんに動うごかされぬ者ものとして護まもるなり。

恥はぢはハリストスの二に性せいの混合こんがふを漫みだりに唱となへしエウティフ及およびディオスコルの面おもてを蔽おほふべし、蓋けだしハリストスは幻像まぼろしならずして、實體じつたいに地ち上じやうの者ものの性せいを受うけて、之これを神成しんせいし給たまへり。

 生神女讚詞

ネストリイはエウレイ人じんの暗くらき會くわいの中うちに隱かくれ、其その褻瀆せつどくの舌したは斬きらるべし、蓋けだし童貞女どうていぢよマリヤは我われ等らの爲ために身みを取とりし神かみを生うみ給たまへり。

 小讚詞コンダク、第八調。

諸しよ使徒しとの宣傳せんでんと諸神しよしん父ぷの定てい理りとは敎けう會くわいの爲ために惟一ゆゐいちの敎をしへを固かためたり、斯かく敎けう會くわいは天てん上じやうの神學しんがくが織おりたる眞實しんじつの衣ころもを衣きて、神かみの敎をしへの大おほいなる奧あう義ぎを正たゞしく解とき、且かつ讚榮さんえいす。

 同讚詞イコス

我われ等ら神かみの敎けう會くわいが聲こゑ髙たかく宣傳せんでんして呼よぶを聞きかん、渴かわく者ものは我われに來きたりて、我わが執とる所ところの爵しやくを飮のむべし、此これは智慧ちゑの爵しやく、我われ眞實しんじつの言ことばを以もつて此この飮料のみものを斟くめり、此これ反論はんろんに非あららずして承認うけとめを注そゝぐ水みづなり、之これを飮のむ今いまのイズライリは斯かく宣のぶる神かみを見みる、視みよ、視みよ、此これ我われ自みづからなり、變かはらざる者ものなり、我われは始はじめの神かみなり、我われ其後そののちにもあり、我われの外ほか一いつも他たの神かみなしと、之これを飮のむ者ものは飽あくを得えて、神かみの敎をしへの大おほいなる奧あう義ぎを讚ほめ歌うたはん。

第七歌頌

イルモス 神かみの使つかひは潔いさぎよき少せう者しやの爲ために爐ゐろりに露つゆを出いださしめ、ハルデヤ人じんを焼やく神かみの詔みことのりは苦くるしむる者ものに呼よばしめたり、吾わが先せん祖ぞの神かみよ、爾なんぢは崇あがめ讚ほめらる。

昔むかしダニイルはワワィロンの蛇へびを壞やぶれり、諸神しよしん父ぷの祈き禱たうに因よりてエギペトの殘忍ざんにんの蛇へびたるアリイ、ハリストスの牧群ぼくぐんを食くらふ者ものは裂さかれたり。

赦ゆるすべからざる不ふ敬虔けいけんに燃もゆる狼おほかみたるマケドニイは人人ひとびとを神成しんせいする神しん°、聖洗せいせんの浴盤よくばんを以もつて衆しゆう信者しんじやに原始はじめの美うるはしきを衣きする主しゆに抗敵かうてきせり。

ディオスコルと、エウティフと、鰐わにたるセウィル、ハリストスの二に性せいを混合こんがふし混雜こんざつする三人みたりは强きやう暴ばうを以もつて尊たふとき三者さんしやに抗敵かうてきせり。

 生神女讚詞

主宰しゆさいよ、我われ等らは爾なんぢの肉體にくたいの姿すがたの聖像せいざう、又また爾なんぢの母はゝ及および衆しゆう聖人せいじんの聖像せいざうに慎つゝしみて接吻せつぷんして、尊敬そんけいが原像げんざうに歸きするを正たゞしく識しる。

第八歌頌

イルモス ハリストスよ、爾なんぢは潔いさぎよき者ものの爲ために焔ほのほより露つゆを注そゝぎ、義ぎ人じんの祭まつりの爲ために水みづより火ひを出いだせり、爾なんぢは一ひとつの望のぞみにて萬ばん事じを行おこなひ給たまへばなり、我われ等ら爾なんぢを世世よよに讚ほめ揚あぐ。

一ひとつの根ねよりする二ふたつの芽めの如ごとく、子こ及および聖神せいしん°は輝かゞやけり、蓋けだし父ちゝは惟一ゆゐいちの原因げんいんなり、年としに緣よらざる者ものは年としに緣よらざる二に位ゐと同尊どうそんなる者ものなり。

父ちゝ及および聖神せいしん°と一性いつせいなる言ことばよ、爾なんぢは年としに緣よらずして無む形けいの腹はらより輝かゞやけり、然しかれども我われ等らの爲ために惟一ゆゐいちの生しやう神女しんぢよの年としに緣よる有形いうけいの腹はらに入いり給たまへり。

神聖しんせいなる七數しちすうの公こう會くわいの諸神しよしん父ぷの屬ぞく神しん°の火ひに燃もゆる箭やは敵てきなる異い端者たんしやの冷ひややかなる心こゝろに刺さされて、彼かれ等らを死しに至いたらしめたり。

 生神女讚詞

童貞女どうていぢよよ、我われ等らは惟一ゆゐいちのハリストスに於おいて二ふたつの位ゐを承うけ認とめず、又また其その二ふたつの性せいを混淆こんかうして合あはするなし、蓋けだし爾なんぢの子こ及および造成主ざうせいしゆは一いち位ゐにして二に性せいなる者ものなり。

第九歌頌

イルモス 天てん使しの品ひん位ゐすら見みるを得えざる神かみは、人ひと見みる能あたはず、唯たゞ爾なんぢ至し淨じやうの者ものに依よりて人體じんたいを取とりし言ことばは人人ひとびとに現あらはれ給たまへり、我われ等ら彼かれを崇あがめて、天軍てんぐんと偕ともに爾なんぢを讚ほめ揚あぐ。

我わが醇じゆん正せいなる敎をしへ、我われ等らが信しんを以もつて此これに於おいて洗せんせられし所ところの者ものの聖せいなる傳でんに一いつも加くはへ、或あるひは之これより除のぞくべからず。斯この敎をしへを變へんずる者ものは實じつに詛のろひの罰ばつに服ふくす。

我われ等ら皆みな心こゝろに歡喜よろこびを懷いだきて、聖せいにせられし公こう會くわいの諸神しよしん父ぷを尊たふとまん、蓋けだし彼かれ等らに由よりて醇じゆん正せいなる敎をしへの光ひかりを觀みたり、彼かれ等らは衆しゆうを眞まことの敎をしへに導みちびく燈ともしびと現あらはれたればなり。

我われ等らは靈たましひの爲ために潔淨きよめを求もとめて、敬虔けいけんに生いのちを送おくることを務つとめん、眞まことの敎をしへの富とみを其その諸しよ子したる我われ等らの爲ために蓄たくはへたる聖せいなる諸神しよしん父ぷに與あづかる者ものと爲ならん爲ためなり。

 生神女讚詞

神かみの母はゝよ、神かみは爾なんぢの胎内たいないより輝かゞやき出いでて、人類じんるゐを神成しんせいし、凡およそ爾なんぢを常つねに眞まことの生しやう神女しんぢよと傳つたふる者ものを其その光くわう榮えいを繼つぐに勝たふる者ものと爲なし給たまへり。

 光耀歌

我われ等ら今日こんにち神聖しんせいなる諸神しよしん父ぷの記き憶おくを祝いはひて、爾なんぢに祈いのる、慈じ憐れんの至いたりて深ふかき主しゆよ、彼かれ等らの祈き禱たうに因よりて爾なんぢの民たみを諸もろもろの異い端たんの害がいより脫のがれしめて、衆しゆうに父ちゝと言ことばと至し聖せいなる神しん°とを讚榮さんえいするに勝たへさせ給たまへ。

 生神女讚詞

神かみの宮みやよ、慶よろこべ、樹こ蔭かげ繁しげき山やまよ、慶よろこべ、焚やかれぬ棘いばらよ、慶よろこべ、光くわう榮えいの寶はう座ざよ、慶よろこべ、神聖しんせいなる筵えんよ、慶よろこべ、純じゆん金きんの壺つぼよ、慶よろこべ、至いたりて光くわう明めいなる燈ともしびよ、慶よろこべ、輕かろき雲くもたる童貞女どうていぢよ母はゝマリヤよ、慶よろこべ。

「凡そ呼吸ある者」に復活の讚頌スティヒラ四章、又諸神父の、四章。第六調。

尊そん貴きにして至いたりて福ふくたる諸神しよしん父ぷは悉ことごとくの靈たましひの知ち識しきを聚あつめ、又また神聖しんせいなる神しん°に照てらされて、尊たふとき信しん經きやうを錄しるし、其中そのうちに正たゞしく使徒しとの敎をしへに從したがひて、明あきらかに神かみの言ことばが之これを生うみし者ものと同どう無む原げんにして、一性いつせいなることを敎をしふ。二次

句 主しゆ我わが先せん祖ぞの神かみよ、爾なんぢは讚揚さんやうせられ、爾なんぢの名なは世世よよに讚さん美び讚榮さんえいせらる。

福音ふくいんの敎をしへ及および敬虔けいけんなる傳でんの守しゆ護ご者しや且かつ傳道でんだう師したる至し福ふくなる諸神しよしん父ぷは聖神せいしん°の光くわう照せうに照てらされて、簡短かんたんなる詞ことばと多おほくの智慧ちゑとを以もつて神かみより賜たまはりたる醇じゆん正せいの敎をしへを宣のべ給たまへり。

句 我われの聖者せいしや、祭まつりを以もつて我われと約やくを結むすびし者ものを我わが前まへに集あつめよ。

ハリストスの眞まことの僕ぼくたる諸しよ聖神せいしん父ぷは義ぎなる怒いかりを起おこして、害がいを爲なす狼おほかみを逐おひ、之これを悔くいなき死し罪ざいありて靈たましひの愈いやされぬ者ものとして、敎けう會くわいより斥しりぞけたり。

 光榮、第八調、ニコミディヤのゲオルギイの作。

聖せいなる諸神しよしん父ぷの會くわいは地ちの四し極きよくより集あつまりて、父ちゝと子こと聖神せいしん°が一性いつせいなるを敎をしへ、神學しんがくの奧あう義ぎを明あきらかに敎けう會くわいに傳つたへたり、我われ等ら熱心ねつしんに彼かれ等らを讚ほめ揚あげて云いふ、嗚呼あゝ神聖しんせいなる營えい、主しゆの軍ぐんの武ぶ装さうしたる兵へい士し、無む形けいの空そらの光ひかれる星ほし、奧密あうみつのシオンの堅けん固ごなる柱はしら、天堂てんだうの芳かうばしき花はな、言ことばの黃金こがねの口くち、ニケヤの令譽ほまれ、世せ界かいの装飾かざりなる者ものよ、我われ等らの靈たましひの爲ために切せつに祈いのり給たまへ。

 今も、生神童貞女よ、爾は至りて讚美たる者なり、云云

 大詠頌。

聖三祝文の後に復活の讚詞トロパリのみ。聨禱並びに發放詞。
第一時課並びに最後の發放詞。時課には復活の讚詞トロパリ、光榮、諸聖神父の、今も、時課の生神女讚詞。「天に在す」の後に復活の小讚詞コンダク。

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聖體禮儀に眞福詞は八調經の、六段、又諸聖神父の、第三歌頌四段。聖入の後に讚詞トロパリ、復活の、及び諸神父の。次に小讚詞コンダク、復活の、光榮、諸神父の、今も、生神女の本堂の、或は「ハリスティアニン等の辱を得ざる轉達」。
提綱ポロキメンは本調の、又諸祖の歌、第四調、主我が先祖の神よ、爾は讚揚せられ、爾の名は世世に讚美讚榮せらる。
使徒の誦讀は本日の、又諸神父の、エウレイ書三百三十四端。アリルイヤは本調の、又諸神父の、第一調「諸神の神主は言を出して地を召す」。句「我の聖者、祭を以て」。
福音經の誦讀は本日の、又諸神父の、イオアン五十六端。
領聖詞は「天よりを讚め揚げよ」。又諸神父の、「義人よ、主の爲に喜べ」。

 

第七編 預言者一人の總奉事

 晩課

「主よ爾に籲ぶ」に讚頌スティヒラ、第四調。

潔いさぎよき智慧ちゑを以もつて神元しんげんの光くわう照せうの煇煌かゞやきを受うけし至し尊そんなる(某)よ、爾なんぢは神かみの言ことばの宣傳者せんでんしや、預よ象しやう者しや、及および神聖しんせいなる預よ言者げんしやと爲なり、聖神せいしん゜に動うごかさるる口くちと現あらはれて、彼かれより爾なんぢに示しめさるる事ことを宣のべ、衆しゆう民みんに賜たまはる救すくひとハリストスの國くにとを傳つたへたり、求もとむ、我われ等らの靈たましひを照てらして救すくはんことをハリストスに禱いのり給たまへ。

見神けんしんの恩おん寵ちようと預よ言げんの恩おん賜しとに輝かゞやき、神聖しんせいなる福樂ふくらくを得えたる神かみに感かんぜられし(某)よ、爾なんぢは今いま至し仁じんなる主しゆの前まへに勇敢いさみを得えて、我われ等ら信しんを以もつて爾なんぢを讚ほめ揚あげ、爾なんぢを神かみに愛あいせらるる預よ言者げんしやとして尊たふとむ者ものの爲ために絕たえず祈いのりて、我われ等らを諸難しよなんより脫のがれしめて、吾わが靈たましひを救すくはんことを求もとめ給たまへ。

不死ふしなる神かみよ、爾なんぢは預よ言者げんしや(某)を實じつに生せい活くわつの水みづを流ながす生いける雲くもと爲なし、彼かれを遣つかはして、豐ゆたかに彼かれに爾なんぢ全能者ぜんのうしや父ちゝ及および爾なんぢより輝かゞやきし子こと同どう一性いつせいなる至し聖神せいしん゜を賜たまへり、此これに緣よりて彼かれはハリストス吾わが神かみの救すくひを施ほどこす降臨かうりんを預よ言げんし、衆しゆう民みんに救きう贖しよくを宣傳せんでんせり。

 光榮、今も、生神女讚詞。

我われ不ふ當たうの者ものは我わが怠惰おこたりと、煩悶もだえと、無知むちとに由よりて多おほくの罪つみの深處ふかみに陷おちいりて、今いま失望しつばうに苦くるしめらる、至し淨じやうなる者ものよ、我わが爲ために扶助たすけと潔淨きよめ、及および救すくひと爲なりて、我われを善ぜんに還かへらしむる慰なぐさめを我われに與あたへ給たまへ。我われ爾なんぢに祈いのり、爾なんぢに求もとめ、俯ふ伏ふくして信しんを以もつて爾なんぢに呼よぶ、願ねがはくは我われ終をはりに至いたるまで詭き譎けつの者ものの喜よろこびと爲ならざらん。

 十字架生神女讚詞

母はゝよ、我われ爾なんぢの子こ及および神かみ、地ちを寄よする所ところなくして水みづの上うへに懸かけ、萬物ばんぶつを造つくりし者ものが木きに懸かゝれるを見みて、泣なく毋なかれ、蓋けだし我われ起おきて光くわう榮えいを獲え、異い能のうを以もつて地ぢ獄ごくの國くにを破やぶり、其その力ちからを滅ほろぼし、縛しばられし者ものを、慈じ憐れんなるに因よりて、其その暴ばう虐ぎやくより脫のがれしめ、仁愛じんあいなるに因よりて、吾わが父ちゝの前まへに攜たづさへん。

若し之あらば、自調。光榮、第六調。

ハリストスの傳道でんだう師したる預よ言者げんしやよ、爾なんぢは常つねに威ゐ嚴げんなる寶はう座ざを離はなれざれども、病びやう者しや毎ごとに臨のぞみて其その祈いのりを聆きく、至いと髙たかきに奉ほう事じすれども、世せ界かいに福ふくを降くだす。遍あまねく榮えいせらるる者ものよ、我わが靈たましひの爲ために潔淨きよめを求もとめ給たまへ。

 今も、生神女讚詞

我われ等ら信者しんじやは天てん使し首しゆの如ごとく、天てんの宮みや及および實じつに封ふうじたる門もんを歌うたはん、衆しゆう人じんの救世主きうせいしゆハリストス、生命いのちを賜たまふ主しゆ及および神かみが我われ等らの爲ために現あらはれし緣由ゆゑんの者ものよ、慶よろこべ、至し淨じやうなる女宰ぢよさい、「ハリスティアニン」等らの倚賴たのみよ、爾なんぢの手てを以もつて殘ざん虐ぎやく者しやたる我わが無む神しんの諸敵しよてきを斃たふし給たまへ。

 十字架生神女讚詞

ハリストスよ、爾なんぢを生うみし者ものは爾なんぢの釘ていせらるるを見みて呼よべり、吾わが子こよ、我わが見みる所ところの奧密あうみつは何なんぞ驚おどろくべき、生命いのちを賜たまふ主しゆよ、如何いかんぞ身みにて木きに懸かけられて死しする。

若し多燭詞ポリエレイを以て祭を行はば、復活の生神女讚詞第六調を誦すべし。

至し聖せいなる童貞女どうていぢよよ、誰たれか爾なんぢを讚さん美びせざらん、誰たれか爾なんぢの至いたりて淨きよき產さんを歌うたはざらん、世よの無なき先さきに父ちゝより光ひかる獨生どくせいの子こは爾なんぢ淨きよき者ものより言いひ難がたく身みを取とりて出いで、本性ほんせいの神かみは我われ等らの爲ために本性ほんせいの人ひとと爲なれり、其その位くらゐ一ひとつにして相分あひわかれず、其その性せい二ふたつにして相あひ失うしなはず、淨きよくして至いたりて福さいはひなる者ものよ、我わが靈たましひの憐あはれみを蒙かうむらんことを彼かれに禱いのり給たまへ。

 聖入。本日の提綱ポロキメン、及び喩言パリミヤ。巻末に載す。

 挿句くづけに讚頌スティヒラ、第二調。

至いたりて奇き異いなる預よ言者げんしや(某)よ、聖神せいしん゜の光ひかりは鏡かゞみに於おけるが如ごとく、爾なんぢの潔けつ淨じやうなる智慧ちゑに輝かゞやきて、神かみを識しる智ち識しきにて世せ界かいを照てらし、神聖しんせいなる奧密あうみつを預よ象しやうし、衆しゆう人じんに賜たまふべき恩おん寵ちようを徵しるせり。

句 爾なんぢメルヒセデクの班はんに循したがひて司し祭さいと爲なりて世世よよに迄いたらん。

福ふくたる(某)よ、爾なんぢは神かみの口くちと爲なりて、不ふ法はふを行おこなふ者ものを責せめ、嚴きびしき裁判さいばんを以もつて之これを定罪ていざいし、義ぎなる敎をしへを宣のべ、神かみの定制ていせいを傳つたへたり、故ゆゑに我われ等ら爾なんぢの睿えい智ちなる言ことばの成なりたるを見みて、宜よろしきに合かなひて歌うたを以もつて爾なんぢを讚ほめ揚あぐ。

句 司し祭さいの中うちにモイセイ及およびアアロンあり、彼かれの名なを呼よぶ者ものの中うちにサムイルあり。

主宰しゆさいの寶はう座ざの前まへに立たちて言いひ難がたき神かみの光くわう榮えいを樂たのしみ、無む形けいの世よの華くわ美びを仰あふぎて光ひかりに滿みてらるる預よ言者げんしや(某)、神かみの悅よろこびを獲えたる者ものよ、凡およそ信しんを以もつて爾なんぢを尊たふとむ者ものを記き念ねんして、彼かれ等らの爲ために諸罪しよざいの赦ゆるしと靈たましひの救すくひとを求もとめ給たまへ。

 光榮、第一調。

神かみの寶はう座ざを繞めぐる天軍てんぐんは首しゆとして神かみの言いひ難がたき光くわう榮えいを樂たのしみ、尊そん貴きなる預よ言者げんしやは次つぎて之これに與あづかる恩おん寵ちようを得えたり、主しゆが己おのれの光くわう照せうを以もつて其その役者えきしやを照てらし給たまへばなり。

 今も、復活の生神女讚詞。

視みよ、イサイヤの預よ言げん應かなひて、童貞女どうていぢよは子こを生うめり、生うみし後のちも生うむ前まへの如ごとく童貞女どうていぢよなり、生うまれし者ものは神かみなるに因よる、故ゆゑに天てん性せいは改あらため易かへられたり。嗚呼あゝ神かみの母はゝよ、爾なんぢの諸僕しよぼくが爾なんぢの堂だうに獻さゝぐる祈き禱たうを棄すつる勿なかれ、惠めぐみ深ふかき主しゆを爾なんぢの手てに抱いだきし者ものとして爾なんぢの諸僕しよぼくを憐あはれみて、我われ等らの靈たましひの救すくはれんことを祈いのり給たまへ。

若し多燭詞ポリエレイを以て祭らずば、下の生神女讚詞を誦せよ。

天てん上じやうの品ひん位ゐの歡喜よろこび、地ち上じやうの人人ひとびとの堅けん固ごなる轉達てんたつ、至いたりて潔いさぎよき生しやう神しん童貞女どうていぢよよ、爾なんぢに趨はしり附つく我われ等らを救すくひ給たまへ、我われ等ら神かみに次つぎて爾なんぢに恃賴たのみを負おはせたればなり。

 十字架生神女讚詞

童貞女どうていぢよは爾なんぢが木きに懸かゝれるを見みし時とき云いへり、嗚呼あゝ子こよ、劍つるぎは吾わが心こゝろを貫つらぬけり、前さきにシメオンの預よ言げんせしが如ごとし、然しかれども祈いのる、不死ふしなる主宰しゆさいよ、復ふく活くわつして、爾なんぢの母はゝ及および婢しもめを榮えいせよ。

讚詞トロパリは奉事例に据る。もし奉事例になくば、下の讚詞トロパリを誦せよ。第二調。

主しゆよ、我われ等らは爾なんぢの預よ言者げんしや(某)の記き憶おくを祭まつりて、彼かれに賴よりて爾なんぢに求もとむ、我われ等らの靈たましひを救すくひ給たまへ。

 光榮、今も、生神女讚詞、讚詞トロパリの調に据る。

 早課

「主は神なり」に讚詞トロパリ同上。

 第一の聖詠誦文カフィズマの後に坐誦讚詞セダレン、第三調。

神聖しんせいなる預よ言者げんしやの中うちに大おほいなる(某)、神かみに感かんぜらるる者ものよ、爾なんぢは聖神せいしん゜に照てらされて、言ことばが人體じんたいを取とることを預あらかじめ傳つたへたり。故ゆゑに我われ等らは爾なんぢを預よ言者げんしやとして敬つゝしみて讚揚さんやうし、今日こんにち爾なんぢの記き憶おくを祝いはひて、同心どうしんに爾なんぢに呼よぶ、睿えい智ち者しやよ、我われ等らの靈たましひを救すくはんことをハリストスに祈いのり給たまへ。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

神かみの恩おん寵ちようを蒙かうむれる女宰ぢよさいよ、爾なんぢに於おいて行おこなはれたる畏おそるべき神かみの奧密あうみつは測はかり難がたく悟さとり難がたし、蓋けだし爾なんぢは圍かこまれぬ者ものを孕はらみて、其その爾なんぢの至し淨じやうなる血ちより身みを取とりしを生うみ給たまへり、潔いさぎよき者ものよ、其その爾なんぢの子こたるに因よりて、我われ等らの靈たましひを救すくはんことを常つねに彼かれに祈いのり給たまへ。

 第二の「カフィズマ」の後に坐誦讚詞セダレン、第三調。

福ふくたる(某)よ、爾なんぢは撫ぶ恤じゆつ者しやの神聖しんせいなる樂がく器きとして、其その恩おん寵ちようを以もつて常つねに鳴ならされ、預よ言者げんしやと爲なりて、知しらざることの顯見あらはれを宣のべ、信しんを以もつて趨はしり附つく者ものを照てらす、光くわう榮えいなる者ものよ、ハリストス神かみに我われ等らに大おほいなる憐あはれみを賜たまはんことを祈いのり給たまへ。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

爾なんぢが實じつに生しやう神女しんぢよたることを預よ言者げんしやは傳つたへ、使徒しとは敎をしへ、致ち命者めいしやは承うけ認とめ、我われ等らは信しんじたり、故ゆゑに亦また爾なんぢの言いひ難がたき產さんを讚ほめ揚あぐ。

「主の名を讚め揚げよ」の後に附唱。

神かみの預よ言者げんしや(某)よ、我われ等ら爾なんぢを讚揚さんやうして、爾なんぢの聖せいなる記き憶おくを尊たふとむ、爾なんぢは我われ等らの爲ためにハリストス我わが神かみに祈いのり給たまへばなり。

 拔萃聖詠

「神かみを畏おそれ、其その誡いましめを極きはめて愛あいする人ひとは福さいはひなり。」

 多燭詞ポリエレイの後に坐誦讚詞セダレン、第六調。

至いたりて睿えい智ちなる預よ言者げんしや(某)よ、爾なんぢは智慧ちゑを汚穢けがれより潔きよめて、之これを聖神せいしん゜の光くわう線せんを受うくるに勝たふる神聖しんせいなる鏡かゞみと爲なせり、今いま爾なんぢ喜よろこびて光くわう照せうの泉いづみに至いたり給たまへり。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

神かみの母はゝよ、爾なんぢは世世よよの先さきに父ちゝより母はゝなく生うまれし神かみの子こ及および言ことばを末すゑの時ときに於おいて爾なんぢの潔いさぎよき血ちより身みを取とりし者ものとして夫をつとなく生うみ給たまへり、我われ等らに終をはりの至いたらざる先さきに諸罪しよざいの赦ゆるしの賜たまはらんことを祈いのり給たまへ。

 品第詞ステペンナ、第四調の第一倡和詞アンティフォン。

 提綱ポロキメン

爾なんぢメルヒセデクの班はんに循したがひて司し祭さいと爲なりて世世よよに迄いたらん。

句 主しゆ我わが主しゆに謂いへり、爾なんぢ我わが右みぎに坐ざして、我わが爾なんぢの敵てきを爾なんぢの足あしの凳だいと爲なすに迄いたれ。

「凡そ呼吸ある者」

次に福音經。巻末に載す。

 第五十聖詠の後に光榮、

憐あはれ深ふかき主しゆよ、預よ言者げんしや(某)の祈き禱たうに依よりて、我われ等らの多おほくの罪つみを潔きよめ給たまへ。

 今も、「憐深き主よ、生神女の祈禱に依りて。」

次に「神よ、爾の大なる憐に因りて。」

 讚頌スティヒラ第六調

「ハリストスの傳道師たる預言者よ。」「主よ爾に籲ぶ」の光榮に載す。

 規程カノン、第六調。

第一歌頌

イルモス イズライリは陸くがの如ごとく淵ふちを踏ふみ渡わたり、追おひ詰つめしファラオンの溺おぼるるを見みて呼よべり、凱歌かちうたを神かみに奉たてまつらん。

預よ言者げんしやよ、我われ等らは爾なんぢ神かみの寶はう座ざの前まへに立たつ者ものに祈いのる、信しんを以もつて爾なんぢの尊たふとき記き憶おくを歌うたふ我われ等らに光くわう照せうを賜たまはんことを切せつに祈いのり給たまへ。

至いたりて睿えい智ちなる(某)よ、爾なんぢは聖神せいしん゜の光くわう照せうと恩おん賜しとを容いるる神聖しんせいなる器うつはと現あらはれたり、故ゆゑに我われ等ら信者しんじやは喜よろこびて爾なんぢを讚揚さんやうす。

神かみに感かんぜらるる者ものよ、預よ言者げんしやとして救世主きうせいしゆ神かみの前まへに立たちて、今いま毅き然ぜんとして祈いのりて、我われ等ら信しんを以もつて爾なんぢを讚揚さんやうする者ものを恩おん寵ちようの光くわう線せんにて照てらさんことを求もとめ給たまへ。

 生神女讚詞

女宰ぢよさいよ、爾なんぢの聖せいなる腹はらより輝かゞやきし日ひは至いたりて明あきらかなる光ひかりにて全ぜん地ちを照てらす、我われ等らは之これに光くわう照せうせられて、爾なんぢ神かみの母はゝを尊たふとむ。

第三歌頌

イルモス 爾なんぢが信者しんじやの角つのを髙たかうし、我われ等らを爾なんぢが承認うけとめの石いしに堅かためし仁じん慈じの主しゆ、吾わが神かみよ、爾なんぢと均ひとしく聖せいなるはなし。

奇異きいなる者ものよ、神かみとして一切いつさいを見みる主しゆは神かみに合かなふが如ごとく爾なんぢに明あきらかに將しやう來らいの事ことを知しり、成ならんとする事ことを悟さとるを賜たまへり。

福ふくたる者ものよ、爾なんぢは敬虔けいけんなる勇敢いさみを以もつて爾なんぢの智慧ちゑを聖神せいしん゜に從したがはしめたり、故ゆゑに神かみに感かんぜらるるに勝たふる者ものと爲なれり。

神かみの言ことばを宣のぶる者ものよ、爾なんぢは聖神せいしん゜の恩おん賜しの海うみより出いづる奧あう義ぎの水みづの河かはと爲なれり。

 生神女讚詞

視みよ、萬世よろづよは信しんを以もつて、爾なんぢ永遠えいゑんの言ことばを定てい期きに於おいて神しん妙めうに身みにて生うみ、生うみて後のち亦また童貞女どうていぢよに止とゞまりし者ものを讚揚さんやうす。

 坐誦讚詞セダレン、第六調。

至いたりて睿えい智ちなる預よ言者げんしや(某)よ、爾なんぢは智慧ちゑを汚穢けがれより潔きよめて、之これを聖神せいしん゜の光くわう線せんを受うくるに勝たふる神聖しんせいなる鏡かゞみと爲なせり、今いま爾なんぢ喜よろこびて光くわう照せうの泉いづみに至いたり給たまへり。

 光榮、今も、生神女讚詞。

我われ等ら默もださず、心こゝろと口くちにて聖せいなる天てん使しよりも聖せいにして、至いたりて光くわう榮えいなる神かみの母はゝを歌うたひ、之これを承うけ認とめて生しやう神女しんぢよと爲なす、其その實じつに人體じんたいを取とりし神かみを生うみて、恒つねに我われ等らの靈たましひの爲ために禱いのり給たまへばなり。

 十字架生神女讚詞

皆みな來きたりて、我われ等らの爲ために十じふ字架じかに釘ていせられし主しゆを歌うたはん、蓋けだしマリヤは彼かれが木きの上うへに在あるを見みて云いへり、爾なんぢは釘ていせらるるを忍しのべども、吾わの子こ及および神かみなり。

第四歌頌

イルモス 尊たふとき敎けう會くわいは淨きよき心こゝろより主しゆの爲ために祝いはひ、神かみに適かなひて呼よび歌うたふ、ハリストスは吾わが力ちからと神かみと主しゆなり。

福ふくたる者ものよ、爾なんぢの預よ言げんに應かなひて、萬有ばんいうの主しゆは我われ等らに現あらはれ、衆しゆう人じんを彼かれを知しる智ち識しきに召めして、奴ど隷れいより解とき給たまへり。

爾なんぢは恩おん寵ちように照てらされて、唱となへて曰いへり、一ひとつの軛くびきの下したに首かうべを屈かゞめて服ふくすべし、是これ信しんに順したがひて主しゆに役つとむることなり。

預よ言者げんしやとして常つねに光ひかりの泉いづみより發はつする光くわう線せんに照てらさるる福ふくたる者ものよ、愛あいを以もつて爾なんぢを歌うたふ我われ等らを照てらし給たまへ。

 生神女讚詞

純じゆん潔けつなるマリヤ、無む慾よくの泉いづみを生うみし母はゝ童貞女どうていぢよよ、我わが思おもひを擾みだす諸慾しよよくと患くわん難なんの暴風あらしとを我われより退しりぞけ給たまへ。

第五歌頌

イルモス 至し仁じんなる神かみの言ことばよ、切せつに祈いのる、爾なんぢに朝あさの祈き禱たうを奉たてまつる者ものの靈たましひを爾なんぢが神かみの光ひかりにて照てらして、爾なんぢ罪つみの暗やみより呼よび出いだす眞まことの神かみを知しらしめ給たまへ。

福ふくたる光くわう榮えいなる預よ言者げんしやよ、爾なんぢの祈き禱たうを以もつて我われを不義ふぎより德とくに轉てんぜしめ、諸慾しよよくの服役ふくえきより解ときて、敬虔けいけんなる行おこなひの光ひかりに向むかはしめ給たまへ。

爾なんぢは諸德しよとくの華くわ美びを以もつて己おのれの靈たましひを飾かざりて、之これを聖神せいしん゜の光くわう照せうを受うくるに勝たふる者ものと爲なせり、故ゆゑに預よ言げんの恩おん寵ちように富とめる者ものと爲なりたり。

爾なんぢは潔いさぎよき度ど生せいを爲なし、聖神せいしん゜の器うつはと爲なりて、神聖しんせいなる預よ言者げんしやと爲なれり、故ゆゑに見みえずして悟さとらるる者ものを見みるを得えたり。

 生神女讚詞

至し淨じやうなる者ものよ、預よ言者げんしやの言ことばは多おほくの預よ象しやうを以もつて爾なんぢの產さんを傳つたふ、我われ等ら今いま此これ等らの應かなひしを見みて、爾なんぢを眞まことの生しやう神女しんぢよと唱となふ。

第六歌頌

イルモス 誘惑いざなひの猛風あらしにて浪なみの立たち揚あがる世よの海うみを觀みて、爾なんぢの穩おだやかなる港みなとに著つきて呼よぶ、憐あはれみ深ふかき主しゆよ、我わが生命いのちを淪亾ほろびより救すくひ給たまへ。

光くわう榮えいなる者ものよ、爾なんぢは聖神せいしん゜の光くわう線せんを受うけて、神聖しんせいなる預よ言げんの光くわう照せうを鏡かゞみに於おけるが如ごとく世せ界かいの爲ために輝かゞやかし、未み來らいの事ことを現在げんざいの如ごとく宣のべたり。

シオンよ、歡よろこびて祝いはへ、視みよ、爾なんぢの王わうは來きたりて、己おのれの神性しんせいの煇煌かゞやきにて世せ界かいを照てらし、惡あく鬼きの誘惑いざなひを辱はづかしめたり。

預よ言者げんしやよ、爾なんぢは聖神せいしん゜の力ちからにて未み來らいの事ことを見み、爾なんぢの潔けつ淨じやうなる靈たましひに鏡かゞみに於おけるが如ごとく神聖しんせいなる顯見あらはれの形象さまを受うけたり。

 生神女讚詞

讚さん美びたる者ものよ、父ちゝの獨どくいつ子しは爾なんぢの胎内たいないに於おいて塵ちりの身みに合あはせられ、一いち位ゐ二に性せいの者ものとして出いでて、爾なんぢの潔いさぎよき童貞どうていを毀損そこなひなく護まもれり。

小讚詞コンダクは奉事例に据る。若し奉事例になくば、下の小讚詞コンダクを誦せよ。第四調。

福ふくたる預よ言者げんしや、光くわう榮えいなる(某)よ、爾なんぢの潔いさぎよき心こゝろは聖神せいしん゜に照てらされて、至いたりて光くわう明めいなる預よ言げんを受うくる處ところと爲なれり、蓋けだし爾なんぢは遠とほきにある事ことを目前もくぜんに在あるが如ごとく見みる、故ゆゑに我われ等ら爾なんぢを尊たふとむ。

 同讚詞イコス

神かみに感かんぜられたる(某)よ、爾なんぢは預よ言げんの恩おん寵ちように富とめる者ものと爲なり、聖神せいしん゜に藉よりて神かみに適かなふが如ごとく敎をしへられて、將しやう來らいの事ことを知しる智ち識しきを獲え、衆しゆうにハリストスの降臨かうりんと諸民しよみんの救すくひに召めさるることとを預あらかじめ傳つたふ。故ゆゑに我われ等らは爾なんぢの尊たふとき記き憶おくを祭まつり、愛あいを以もつて爾なんぢを歌うたひ、熱心ねつしんに讚揚さんやうして爾なんぢに呼よぶ、光くわう榮えいなる者ものよ、ハリストス神かみに絕たえず我われ等ら衆しゆうの爲ために祈いのり給たまへ。

第七歌頌

イルモス 神かみの使つかひは潔いさぎよき少せう者しやの爲ために爐ゐろりに露つゆを出いださしめ、ハルデヤ人じんを焼やく神かみの詔みことのりは苦くるしむる者ものに呼よばしめたり、吾わが先せん祖ぞの神かみよ、爾なんぢは崇あがめ讚ほめらる。

預よ言者げんしやよ、爾なんぢの記き憶おくは世せ界かいの爲ために日ひの如ごとく耀かゞやき、爾なんぢの預よ言げんの恩おん寵ちようを以もつて我われ等らを照てらして、信しんを以もつて同聲どうせいに歌うたはしむ、吾わが先せん祖ぞの神かみよ、爾なんぢは崇あがめ讚ほめらる。

福ふくたる者ものよ、爾なんぢは我われ等らの爲ために神しん智ちの雨あめを降ふらす光くわう明めいなる雲くもと顯あらはれたり、我われ等らは斯この救すくひを施ほどこす泉いづみより潤うるほされて呼よぶ、吾わが先せん祖ぞの神かみよ、爾なんぢは崇あがめ讚ほめらる。

主しゆより光くわう照せうせられたる諸しよ預よ言者げんしやは未み來らいの事ことを預よ言げんし、神しん智ちを以もつて太初はじめより有ある言ことばを知しらしめて、我われ等らをして此これに歌うたはしむ、吾わが先せん祖ぞの神かみよ、爾なんぢは崇あがめ讚ほめらる。

 生神女讚詞

祝しゆく福ふくせられし潔いさぎよき童貞女どうていぢよ、身みにて神かみを生うみし者ものよ、太初はじめより有ある言ことば、萬ばん衆しゆうに生命いのちを賜たまふ主しゆは神聖しんせいなる旨むねに由よりて人ひとを喚よび起おこさんと欲ほつして、爾なんぢの胎たいに入いり給たまへり。

第八歌頌

イルモス ハリストスよ、爾なんぢは潔いさぎよき者ものの爲ために㷔ほのほより露つゆを注そゝぎ、義ぎ人じんの祭まつりの爲ために水みづより火ひを出いだせり、爾なんぢは一ひとつの望のぞみにて萬ばん事じを行おこなひ給たまへばなり、我われ等ら爾なんぢを世世よよに讚ほめ揚あぐ。

神かみの言ことばを宣のべたる預よ言者げんしやよ、爾なんぢは全まつたく己おのれを全能者ぜんのうしやに委ゆだねて、其その定制ていせいに由よりて奧密あうみつなる眞しん理りを敎をしへられて、諸民しよみんを救すくひに導みちびく者ものと爲なれり、故ゆゑに我われ等ら爾なんぢを歌うたふ。

神福しんぷくなる者ものよ、爾なんぢを歌うたふ者ものの爲ために神かみに禱いのりの歌うたを奉たてまつりて、我われ等らを擾みだす患くわん難なんを退しりぞけ給たまへ、我われ等らが爾なんぢ神かみの言ことばを宣のべたる預よ言者げんしやを歌うたはん爲ためなり。

爾なんぢは凡およそ幽暗くらやみに坐ざする者ものの爲ために火ひの如ごとく現あらはれ、神聖しんせいなる光ひかりを以もつて之これを照てらして、信しんを以もつて主しゆを世世よよに歌うたはしむ。

 生神女讚詞

至し淨じやうなる者ものよ、爾なんぢは生命いのちを賜たまふ神かみ及および主しゆを生うみて、死しの止とゞめ難がたき殘害ざんがいを止とゞめて、之これを空むなしくし給たまへり、故ゆゑに我われ等ら爾なんぢを世世よよに歌うたふ。

第九歌頌

イルモス 天てん使しの品ひん位ゐすら見みるを得えざる神かみは、人ひと見みる能あたはず、唯たゞ爾なんぢ至し淨じやうの者ものに依よりて人體じんたいを取とりし言ことばは人人ひとびとに現あらはれ給たまへり、我われ等ら彼かれを崇あがめて、天軍てんぐんと偕ともに爾なんぢを讚ほめ揚あぐ。

至いたりて睿えい智ちなる(某)、神かみの預よ言者げんしやよ、爾なんぢ温柔をんじうにして恩おん寵ちようを以もつて光ひかりたる者ものは終をはりの後のちに温柔をんじうの者ものの地ちに入いりて、諸しよ天てん使しの光明くわうみやうを觀みる、故ゆゑに我われ等ら信者しんじやは喜よろこびて爾なんぢを讚揚さんやうす。

至し榮えいなる者ものよ、我われ等らは明あきらかに爾なんぢの預よ言げんの應かなひしを見みて、爾なんぢに賜たまはりたる恩おん寵ちようと爾なんぢの智慧ちゑの潔けつ淨じやうとに驚おどろき、爾なんぢの靈たましひの神かみに肖にたるを奇きとす。

預よ言者げんしや(某)よ、爾なんぢは天てん使しの品ひん位ゐ、諸しよ預よ言者げんしやと、太たい祖そと、諸聖人しよせいじんとの光ひかる處ところに入いりたり、今いま彼かれ等らと偕ともに欣よろこばしく祝いはひ、我われ等らの爲ために主しゆに祈いのりて、信しんを以もつて爾なんぢを讚ほめ揚あぐる者ものの救すくはれんことを求もとめ給たまへ。

 生神女讚詞

至いたりて無む玷てんなる神かみの母はゝよ、古こ世せいより一いつも爾なんぢの如ごとき者ものは賜たまはらざりき、蓋けだし爾なんぢは獨ひとり衆しゆう人じんの中うちに竝ならびなき神聖しんせいと潔けつ淨じやうとを有たもてり、故ゆゑに爾なんぢより身みを取とりし神かみを受うけ給たまへり。

 光耀歌

神しん智ち者しやよ、爾なんぢの慶けい賀がの日ひに於おいて衆しゆう預よ言者げんしやは喜よろこび樂たのしみて、爾なんぢの歡喜よろこびと神聖しんせいなる光くわう榮えいとに與あづかる、彼かれ等らと共ともに祈いのりて、爾なんぢを歌うたふ者ものを救すくひ給たまへ。

 生神女讚詞

潔いさぎよき童貞女どうていぢよよ、爾なんぢの洪恩こうおんの注そゝぐを以もつて吾わが靈たましひの汚けがれを洗あらひ、我われに常つねに淚なみだを流ながして、我わが諸慾しよよくの川かはを涸からすを得えしめ給たまへ。

 「凡そ呼吸ある者」に讚頌スティヒラ、第八調。

聖神せいしん゜に動うごかさるる尊たふとき(某)の預よ言げんして云いひし如ごとく、聖神せいしん゜は我われ等ら信者しんじやに注そゝがれて、神聖しんせいなる奧あう義ぎの悟さとりを啓ひらく、彼かれの感かん孚ぷを受うくる者ものは神聖しんせいなる光くわう線せんと神かみの恩おん寵ちようとに照てらされて預よ言げんす。二次

主宰しゆさいよ、奇異きいなる(某)は神かみの言ことばに滿みてられて、爾なんぢの家いへより出いづる泉いづみの如ごとく我われ等らの靈たましひに飮のませ、吾わが心こゝろを樂たのしましむる甘かん味みを滴したゝらす。其その神しん゜は至いたりて髙かう尙しやうにして、彼かれは德とくに由よりて神聖しんせいなる髙處たかきに擧あげらる。

光くわう榮えいなる(某)よ、爾なんぢの預よ言者げんしやたる勇敢いさみと爾なんぢの智慧ちゑの神かみに近ちかづくとに因よりて、我われ等ら信しんを以もつて爾なんぢの記き憶おくを行おこなふ者ものに神かみの慈じ憐れんを垂たれしめて、我われ等らの爲ために諸罪しよざいの赦ゆるしと、大おほいなる憐あはれみと、神聖しんせいなる樂たのしみに與あづかることとを求もとめ給たまへ。

 光榮、第四調。

神かみの言ことばを宣のべたる光くわう榮えいなる(某)よ、爾なんぢは主しゆ爾なんぢの神かみ救世主きうせいしゆに於おいて喜よろこびて、彼處かしこの光くわう照せうを受うけ、直たゞちに神かみの無む形けいなる光ひかりに照てらされて樂たのしむ。我われ等ら信しんを以もつて爾なんぢの至いたりて欣よろこばしき記き憶おくを行おこなふ者ものを爾なんぢの祈き禱たうを以もつて諸もろもろの誘惑いざなひ及および災禍わざはひより脫のがれしめ給たまへ。

 今も、生神女讚詞。

ハリストス神かみの母はゝ、萬有ばんいうの造成主ざうせいしゆを生うみし者ものよ、我われ等ら衆しゆうを諸もろもろの患くわん難なんより救すくひて、爾なんぢに呼よばしめ給たまへ、吾わが靈たましひの獨ひとりの轉達てんたつよ、慶よろこべ。

 十字架生神女讚詞

純じゆん潔けつなる女宰ぢよさいはハリストスの殺ころされて、詭き譎けつの者ものを殺ころすを見みて、彼かれを其その胎内たいないより出いでたる主宰しゆさいとして歌うたひて泣なき、彼かれの恒忍ごうにんを奇きとして呼よべり、至し愛あいなる子こよ、爾なんぢの婢しもめを忘わするる勿なかれ、仁愛じんあいなる主しゆよ、遲おそなはるなく我われを慰なぐさめ給たまへ。

 

第八編 一人の使徒の總奉事

 晩課

「主よ爾に籲ぶ」に讚頌スティヒラ、第八調。

使徒しとよ、我われ等ら何なにを以もつて爾なんぢを稱となへんか、天てんとせんか、爾なんぢ神かみの光くわう榮えいを顯あらはしたればなり、川かはとせんか、奧密あうみつに造物ざうぶつに飮のますればなり、星ほしとせんか、敎けう會くわいを照てらせばなり、爵しやくとせんか、聖せいなる飮料のみものを流ながせばなり。ハリストスの至いたりて親したしき友とも、無む形けいの者ものの同どう住ぢゆう者しやよ、我われ等らの靈たましひの救すくひの爲ために祈いのり給たまへ。

光くわう榮えいなる使徒しと、神かみの實見者じつけんしやよ、爾なんぢの足あし、能よく傳敎でんけうの道みちを履ふみ、神聖しんせいなる睿えい智ちの廣ひろきを以もつて諸敵しよてきの途みちを狭せばむる者ものは美うるはし。福ふくたる者ものよ、肉體にくたいに現あらはれし言ことばは爾なんぢを門もん徒とと選えらびて、至し榮えいの者ものと爲なせり、彼かれに我われ等らの靈たましひの救すくはれんことを祈いのり給たまへ。

實じつに神かみの言ことばを宣のべたる使徒しとよ、爾なんぢは、諸敵しよてきに傷きずをつけて、傷きずつけられし靈たましひに醫治いやしを與あたふる光ひかれる矢やとしてハリストスより遣つかはされたり。故ゆゑに我われ等ら職しよくとして爾なんぢを讚揚さんやうして、今日こんにち爾なんぢの聖せいなる慶けい賀がを行おこなふ、我われ等らの靈たましひの救すくはれんことを祈いのり給たまへ。

 光榮、今も、生神女讚詞。

至し淨じやうなる者ものよ、我われは幾いく千ち度たび我わが諸罪しよざいの爲ために痛つう悔くわいを爲なすを約やくしたれども、我わが耽ふけりたる諸惡しよあくの風習ならはしは我われを離はなれず、故ゆゑに我われは爾なんぢに呼よび、俯ふ伏ふくして祈いのる、女宰ぢよさいよ、爾なんぢ我われを此かくの如ごとき惡あく逆ぎやくより脫のがれしめて、救すくひを得えしむる善ぜん事じに我われを導みちびき給たまへ。

 十字架生神女讚詞

爾なんぢ羔こひつじ及および牧者ぼくしやを生うみし牝め羊ひつじは爾なんぢが木きの上うへに在あるを見みて哭なき母はゝとして爾なんぢに呼よべり、至し愛あいなる子こよ、奈何いかんぞ爾なんぢは十じふ字架じかの木きに懸かけられたる、恒忍ごうにんなる言ことばよ、奈何いかんぞ爾なんぢの手て爾なんぢの足あしは不ふ法はふ者しやより釘ていせられたる、主宰しゆさいよ、奈何いかんぞ爾なんぢの血ちを流ながしたる。

若し之あらば、自調。光榮、第六調。

光くわう榮えいなる使徒しと(某)よ、恩おん寵ちようは爾なんぢの口くちより流ながれて、爾なんぢはハリストスの敎けう會くわいの燈ともしびと爲なりて、靈れい智ちなる羊ひつじに一體いつたいの三者さんしや、惟一ゆゐいちの神性しんせいを信しんずることを敎をしへ給たまへり。

 今も、生神女讚詞

至し淨じやうなる生しやう神しん童貞女どうていぢよよ、爾なんぢに趨はしり附つく者ものは一いつも恥はぢを蒙かうむりて出いづるなし、乃すなはち恩おん寵ちようを求もとめて、有益いうえきなる願ねがひに應かなふ恩おん賜しを受うく。

 十字架生神女讚詞

純じゆん潔けつなる者ものは爾なんぢが十じふ字架じかに懸かけられしを見みて、母はゝとして哭なきて呼よべり、吾わが子こ及および吾わが神かみ、吾わが甘愛かんあいなる產さんよ、如何いかんぞ爾なんぢは恥はづべき苦くるしみを忍しのぶ。

若し多燭詞ポリエレイを以て祭を行はば、復活の生神女讚詞第六調を誦すべし。

至し聖せいなる童貞女どうていぢよよ、誰たれか爾なんぢを讚さん美びせざらん、誰たれか爾なんぢの至いたりて淨きよき產さんを歌うたはざらん、世よの無なき先さきに父ちゝより光ひかる獨生どくせいの子こは爾なんぢ淨きよき者ものより言いひ難がたく身みを取とりて出いで、本性ほんせいの神かみは我われ等らの爲ために本性ほんせいの人ひとと爲なれり、其その位くらゐ一ひとつにして相分あひわかれず、其その性せい二ふたつにして相あひ失うしなはず、淨きよくして至いたりて福さいはひなる者ものよ、我わが靈たましひの憐あはれみを蒙かうむらんことを彼かれに禱いのり給たまへ。

 聖入。本日の提綱ポロキメン。使徒の喩言パリミヤ三篇、巻末に載す。

 挿句くづけに讚頌スティヒラ、第四調。

光くわう榮えいなる使徒しとよ、爾なんぢはハリストスの名なに因よりて惡あく鬼きの上うへに勝かたれぬ權けん及および力ちからを受うけて、其その暗黑あんこくの首しゆ領りやうを逐おひ、地ちを周めぐりて、日ひの如ごとく之これを照てらし、諸方しよはうに敎をしへて、先まづハリストスの救すくひを施ほどこす降臨かうりんを傳つたへ給たまへり。

句 其聲そのこゑは全ぜん地ちに傳つたはり、其その言ことばは地ちの極はてに至いたる。

(某)よ、爾なんぢは度ど生せいを神かみの律法りつぱふに應かなはしめて、善ぜんなる人ひとと爲なり、本性ほんせいと恩おん寵ちようとに因よりて、神かみの子こと稱となへられ、良りやう善ぜんなる風習ならはしと潔けつ淨じやうなる智慧ちゑとに由よりてハリストスの親したしき門もん徒とと爲なりたり。

句 諸天しよてんは神かみの光くわう榮えいを傳つたへ、穹蒼おほぞらは其その手ての作爲しわざを誥つぐ。

使徒しと(某)よ、爾なんぢは神かみの定制ていせいに因よりて恩おん寵ちようの器うつはと爲なり、異い方言はうげんの恩おん賜しを受うけて、言ことばと行おこなひとを以もつて諸民しよみんをハリストスを識しる知ち識しきに導みちびき、衆しゆうを照てらして、イイススの眞まことの神かみにして我われ等らの靈たましひの救きう主しゆなるを讚揚さんやうせしめ給たまへり。

 光榮、第二調。

使徒しと(某)よ、爾なんぢは地ち上じやうの事ことを遺すてて、ハリストスに從したがひ、聖神せいしん゜に印いん證しようせられて、彼かれより亾ほろぶる異い邦はう民みんの中うちに人人ひとびとを神かみを識しる光ひかりに導みちびかん爲ために遣つかはされ、神聖しんせいなる爾なんぢの勤勞きんらうを終をへ、種種しゆじゆの苦く難なんを經へたる後のちに爾なんぢの靈たましひをハリストスに付わたせり。至し福ふくなる者ものよ、我われ等らに大おほいなる憐あはれみを賜たまはんことを彼かれに祈いのり給たまへ。

 今も、復活の生神女讚詞。

嗚呼あゝ新あらたなる奇き跡せき、古いにしへの悉ことごとくの奇き跡せきに勝すぐる者ものや、誰たれか夫をつとなき母はゝが萬物ばんぶつを有たもつ主しゆを生うみて、其その手てに抱いだくを知しりたる、此この產さんは神かみの旨むねなり、至いたりて潔いさぎよき者ものよ、爾なんぢが嬰児をさなごとして己おのれの手てに抱いだきし主しゆの前まへに母はゝの勇いさみを以もつて、我われ等ら爾なんぢを尊たふとむ者ものの靈たましひを憐あはれみて救すくはんことを常つねに祈いのり給たまへ。

若し多燭詞ポリエレイを以て祭らずば、下の生神女讚詞を誦せよ。

童貞女どうていぢよは善よき果みを結むすぶ橄欖かんらんの樹きとして、爾なんぢ生命いのちの果みを生しやうぜり、世せ界かいの爲ために大おほいにして豐ゆたかなる慈じ憐れんの果みを結むすばん爲ためなり。

 十字架生神女讚詞

イイススよ、婚姻こんいんに與あづからざる者ものは爾なんぢが十じふ字架じかの木きに釘ていせられしを見みて、哭なきて云いへり、甘愛かんあいなる子こよ、何なん爲すれぞ我われ爾なんぢを生うみし者ものを獨ひとり遺のこしたる、無む原げんなる父ちゝの近ちかづき難がたき光ひかりなる者ものよ、亟すみやかに光くわう榮えいを獲えよ、爾なんぢの神聖しんせいなる苦くるしみを讚榮さんえいする者ものが神聖しんせいなる光くわう榮えいを獲えん爲ためなり。

讚詞トロパリは奉事例に据る。もし奉事例になくば、下の讚詞トロパリを誦せよ。第三調。

聖せいなる使徒しと(某)よ、仁じん慈じなる神かみに祈いのりて、我われ等らの靈たましひに諸罪しよざいの赦ゆるしを賜たまはんことを求もとめ給たまへ。

 光榮、今も、生神女讚詞、讚詞トロパリの調に据る。

 早課

「主は神なり」に讚詞トロパリ同上。

 第一の「カフィズマ」の後に坐誦讚詞セダレン、第二調。

ハリストス神かみよ、光くわう榮えいなる使徒しとは漁ぎよして、地ちの四し極きよくに爾なんぢと父ちゝと聖神せいしん゜とに伏拜ふくはいするを敎をしへたり、獨ひとり仁じん慈じにして人ひとを愛あいする主しゆよ、彼かれに由よりて爾なんぢの敎けう會くわいを堅かためて、信者しんじやに爾なんぢの祝しゆく福ふくを降くだし給たまへ。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

生しやう神女しんぢよ永貞えいてい童女どうぢよよ、我われ等らは爾なんぢに依よりて神かみの性せいに與あづかる者ものと爲なれり、蓋けだし爾なんぢは我われ等らの爲ために身みを取とりし神かみを生うみ給たまへり、故ゆゑに我われ等ら皆みな職しよくとして敬虔けいけんに爾なんぢを讚ほめ揚あぐ。

 第二の「カフィズマ」の後に坐誦讚詞セダレン、第四調。

光くわう榮えいなる使徒しと(某)よ、義ぎの日ひハリストスは爾なんぢを光くわう線せんとして出いだして、全ぜん地ちを照てらせり、凡およそ信しんを以もつて爾なんぢの聖せいなる記き憶おくを行おこなふ者ものを爾なんぢは己おのれの神聖しんせいなる祈き禱たうにて輝かゞやかし、神聖しんせいなる暮くれざる光ひかりにて照てらし給たまふ。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

爾なんぢを賴たのむ者ものの恥はぢを得えざる倚賴たのみ、獨ひとり性せいに超こえて身みにてハリストス我われ等らの神かみを生うみし者ものよ、聖せい使徒しとと偕ともに彼かれに祈いのりて、世せ界かいに諸罪しよざいの潔淨きよめ、我われ等ら衆しゆうに終をはりの先さきに度ど生せいの更新あらためを賜たまはんことを求もとめ給たまへ。

附唱

聖せいなる使徒しと(某)よ、我われ等ら爾なんぢを讚揚さんやうして、爾なんぢがハリストスの福音ふくいんの爲ために受うけし苦く難なん勤勞きんらうを尊たふとむ。

 拔萃聖詠

「諸天は神の光榮を傳へ。」

 多燭詞ポリエレイの後に坐誦讚詞セダレン、第八調。

光くわう榮えいなる使徒しとよ、爾なんぢは神かみの言ことばの網あみを以もつて靈れい智ちなる魚うをを取とりて、之これを初物はつものとして我われ等らの神かみに獻さゝげ、ハリストスの創きずを衣きんと欲ほつして、彼かれの苦くるしみに效ならふ者ものと爲なれり。故ゆゑに我われ等ら集あつまりて、職しよくとして至いたりて欣よろこばしき爾なんぢの記き憶おくを尊たふとみて、同心どうしんに爾なんぢに呼よぶ、愛あいを以もつて爾なんぢの聖せいなる記き憶おくを尊たふとむ者ものに諸罪しよざいの赦ゆるしを賜たまはんことをハリストス神かみに祈いのり給たまへ。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

我われ等らは天てんの門もんと約匱やくひつ、至し聖せいなる山やま、光ひかれる雲くも、焚やかれぬ棘いばら、靈れい智ちなる樂園らくゑん、エワの赦ゆるしたる者ものを歌うたはん、彼かれは全ぜん世せ界かいの大おほいなる器うつはにして、其中そのうちに世せ界かいの爲ために救すくひと古いにしへの諸罪しよざいの赦ゆるしとは行おこなはれたり。故ゆゑに我われ等ら彼かれに呼よぶ、敬虔けいけんに爾なんぢの至し聖せいなる產さんに伏拜ふくはいする者ものに罪過ざいくわの赦ゆるしを賜たまはんことをハリストス神かみに祈いのり給たまへ。

 品第詞ステペンナ、第四調の第一倡和詞アンティフォン。

 提綱ポロキメン

其聲そのこゑは全ぜん地ちに傳つたはり、其その言ことばは地ちの極はてに至いたる。

句 諸天しよてんは神かみの光くわう榮えいを傳つたへ、穹蒼おほぞらは其その手ての作爲しわざを誥つぐ。

「凡そ呼吸ある者」

次に福音經、巻末に載す。

 第五十聖詠の後に讚頌スティヒラ、第六調。

聖神せいしん゜の恩おん寵ちようを蒙かうむりて聖せいにせられたる使徒しとの會くわいの共きよう與よ者しやと爲なりし(某)よ、爾なんぢは昔むかし天てんより迅はげしき風かぜの中うちに降くだりたる火ひの舌したを受うけて、異い邦はう民みんの棘いばらたる無む神しんを焚やき給たまへり。傳道でんだう師しよ、ハリストス神かみに我われ等らの靈たましひの救すくはれんことを祈いのり給たまへ。

 規程カノン、第八調。

第一歌頌

イルモス 人人ひとびとよ、イズライリを奴ど隷れいより釋ときたる我わが奇異きいなる神かみに讚詠さんえいを獻たてまつりて、凱歌かちうたを歌うたひて呼よばん、我われ等ら爾なんぢ惟一ゆゐいちの主宰しゆさいを歌か頌しようせん。

爾なんぢを榮えいして己おのれの門もん徒とと爲なしし主宰しゆさいの前まへに最いと髙たかきに立たてる(某)、奇異きいなる使徒しとよ、吾わが靈たましひを照てらして、爾なんぢの神聖しんせいなる記き憶おくを歌うたはしめ給たまへ。

使徒しとよ、ハリストス獨ひとり義ぎなる主しゆは、其その義ぎなる定制ていせいを以もつて爾なんぢに豐ゆたかなる恩おん賜しを與あたへて、爾なんぢを己おのれの至いたりて光くわう明めいなる門もん徒とと爲なし給たまへり。

使徒しとよ、爾なんぢは天てんより爾なんぢに降くだりし聖神せいしん゜の光くわう線せんを受うけて、火ひの如ごとき言ことばを有たもつ者ものと爲なりて、凡およその多た神しんの迷まよひを焚やき給たまへり。

 生神女讚詞

救世主きうせいしゆよ、爾なんぢは婚姻こんいんに與あづからざる至し聖せい至し潔けつなる童貞女どうていぢよの腹はらに入いり、人ひとの性せいを衣きて、死しと朽きう壞くわいとに屬ぞくする我われを不死ふし不ふ朽きうの者ものと爲なし給たまへり。

第三歌頌

イルモス 主しゆの如ごとく聖せいなるはなく、神かみの如ごとく義ぎなるはなし、萬物ばんぶつ彼かれを歌うたひて云いふ、主しゆよ、爾なんぢの外ほかに義ぎなる者ものなし。

聖せいなる使徒しと(某)よ、爾なんぢは直たゞちに救世主きうせいしゆより天てん上じやうの光くわう照せうを受うけて、人體じんたいを取とることの神聖しんせいなる奧密あうみつを明あきらかに識しり給たまへり。

奇異きいなる使徒しとよ、無む原げんにして實在じつざいなる言ことばは爾なんぢ己おのれの役者えきしやを豐ゆたかに神性しんせいの恩おん寵ちようの輝かゞやける光ひかりにて照てらし給たまへり。

至し榮えい至し福ふくなる使徒しとよ、爾なんぢは聖神せいしん゜の光くわう照せうと行動かうどうとに燃もやされて、耀かゞやける矢やの射いらるるが如ごとく、ハリストスより遣つかはされて、爾なんぢの敎をしへを以もつて世せ界かいを照てらし給たまへり。

 生神女讚詞

生しやう神女しんぢよよ、預よ言者げんしやは爾なんぢを豫よ象しやうして純じゆん金きんの燈凳とうだいと爲なせり、蓋けだし爾なんぢは暮くれざる光ひかりたるハリストス我われ等らの神かみ、神性しんせいの光くわう線せんにて世せ界かいを照てらす主しゆを己おのれの手てに載のせ給たまへり。

 坐誦讚詞セダレン、第三調。

使徒しと(某)よ、爾なんぢは救すくひを施ほどこす命めいを受うけて、聖神せいしん゜の光くわう照せうを以もつて多た神しんの幽暗くらやみを拂はらひ、信者しんじやの心こゝろを照てらし給たまへり。睿えい智ち者しやよ、ハリストス神かみに我われ等らに大おほいなる憐あはれみを賜たまはんことを祈いのり給たまへ。

 光榮、今も、生神女讚詞。

人ひとは救すくひを得うる處ところに義ぎに合かなひて趨はしり附つく、生しやう神女しんぢよよ、爾なんぢの如ごとき避所かくれが、我われ等らの靈たましひを蔽おほふ者ものは亦また何處いづこにかあらん。

 十字架生神女讚詞

生しやう神女しんぢよよ、我われ等らは爾なんぢの子この十じふ字架じかを能のう力りよくの杖つゑとして得えて、此これを以もつて諸敵しよてきの驕おごりを破やぶり、愛あいを以もつて絕たえず爾なんぢを讚ほめ揚あぐ。

第四歌頌

イルモス 言ことばよ、預よ言者げんしやは樹こ蔭かげ繁しげき山やまたる惟一ゆゐいちの生しやう神女しんぢよより爾なんぢが身みを取とらんと欲ほつするを神妙しんめうに見みて、畏おそれを以もつて爾なんぢの能力ちからを讚榮さんえいせり。

福音ふくいんの恩おん賜しの寶藏はうざうにして、恩おん寵ちように滿みてられたる至し福ふくなる(某)よ、爾なんぢは世せ界かいの光ひかり、全ぜん地ちの鹽しほと爲なり給たまへり。

奇異きいなる者ものよ、爾なんぢは世せ俗ぞくの諸しよ事じを捨すてて、無む形けいの光ひかりを觀みるを得え、其その役者えきしやと爲なりて、之これを人類じんるゐの中うちに耀かゞやかし給たまへり。

生いのちを施ほどこす主しゆの門もん徒とと爲なりし者ものよ、爾なんぢが豐ゆたかに受うけたる永久えいきうの生命いのちの力ちからを以もつて我われ等らの内うちに棲すむ罪つみを殺ころし給たまへ。

 生神女讚詞

至し淨じやうなる童貞女どうていぢよより我われ等らの身みを受うけし主宰しゆさいよ、爾なんぢは本性ほんせいに由よりて父ちゝと均ひとしき者ものにして、人性じんせいに由よりて人人ひとびとと均ひとしき者ものと爲なり給たまへり。

第五歌頌

イルモス 無知むちの夜よより神かみを知しる知ち識しきにて四し極きよくを照てらしし主しゆよ、爾なんぢの仁愛じんあいの朝あさにて我われを照てらし給たまへ。

神かみの實見者じつけんしやよ、爾なんぢの舌したは爾なんぢが樓たかどのに在ありて愛あいを以もつて受うけたる聖神せいしん゜の火ひと合あはせられたり。

(某)よ、爾なんぢは最いと髙たかき居處すまひに居をる髙たかき主しゆに合かなへる髙たかくして大おほいなる敎をしへを我われ等らに傳つたへたり。

爾なんぢは潔いさぎよき智慧ちゑと潔けつ淨じやうなる心こゝろとを神かみの前まへに有たもちて、智ち識しきにて悟さとられぬ神かみを身みを取とりし主しゆとして見みるを得えたり。

 生神女讚詞

童貞女どうていぢよよ、爾なんぢの產さんに由よりて古いにしへの律法りつぱふは熄やみ、恩おん寵ちようは榮さかえ、義ぎは耀かゞやけり。

第六歌頌

イルモス 光ひかりを衣ころもの如ごとく衣きる慈じ憐れんの深ふかきハリストス我わが神かみよ、我われに光くわう明めいの衣ころもを予あたへ給たまへ。

光くわう榮えいなる使徒しとよ、爾なんぢはハリストスの門もん徒と及および友ともとして、熱切ねつせつに主しゆ神かみ全能者ぜんのうしやの爲ために勤勞きんらうし給たまへり。

救世主きうせいしゆは己おのれの仁じん慈じの行動かうどうを以もつて爾なんぢに權けんを與あたへて、爾なんぢを神聖しんせいなる奇き跡せきを行おこなふ者ものと爲なし給たまへり。

ハリストスの讚さん美びたる使徒しと(某)よ、爾なんぢは傳敎でんけうの神聖しんせいなる恩おん寵ちように飾かざられて、萬有ばんいうの上うへにある神かみより賜たまふ一般いつぱんの救すくひを世せ界かいに福音ふくいんし給たまへり。

 生神女讚詞

純じゆん潔けつなる者ものよ、爾なんぢを生しやう神女しんぢよと承うけ認とめざる不ふ虔者けんしやの口くちは塞ふさがり、其その面おもては恥はぢに蔽おほはるべし。

小讚詞コンダクは奉事例に据る。若し奉事例になくば、下の小讚詞コンダクを誦せよ。第四調。

使徒しと(某)よ、敎けう會くわいは爾なんぢを至いたりて光くわう明めいなる星ほしとして得えて、爾なんぢの賜たまふ多おほくの奇き跡せきにて照てらさる。故ゆゑに我われ等らハリストスに呼よぶ、大仁だいじん慈じなる主しゆよ、信しんを以もつて爾なんぢの使徒しとの記き憶おくを尊たふとむ者ものを救すくひ給たまへ。

 同讚詞イコス

水みづの性せいを造つくりし主しゆよ、我われに言ことばの流ながれを與あたへ給たまへ、爾なんぢの言ことばにて地ちを固かためし慈じ憐れんなる主しゆよ、吾わが心こゝろを固かため給たまへ、光ひかりを衣ころもの如ごとく衣きる大仁だいじん慈じなる主しゆよ、吾わが思おもひを照てらし給たまへ、我わが爾なんぢの使徒しとの尊そん貴きに合かなふことを宣のべて歌うたはん爲ためなり。

第七歌頌

イルモス エウレイの少者せうしやは爐ゐろりに在ありて勇いさましく燄ほのほを踐ふみ、火ひを露つゆに變へんじて籲よべり、主しゆ神かみよ、爾なんぢは世世よよに崇あがめ讚ほめらる。

神かみの傳道でんだう師し、大おほいなる熱心ねつしんを有たもちし(某)よ、爾なんぢは今いま主宰しゆさいの寶はう座ざの前まへに立たち、ハリストスの役者えきしやとして榮えい冠くわんを冠かうむりて呼よぶ、主しゆ神かみよ、爾なんぢは世世よよに崇あがめ讚ほめらる。

言ことばの對談者たいだんしやたりし者ものよ、爾なんぢは彼かれと共ともに祝いはひ、至し上じやうの國くにに與あづかる者ものと爲なりて呼よぶ、主しゆ神かみよ、爾なんぢは世世よよに崇あがめ讚ほめらる。

神かみの言ことばを宣のべたる聖せいなる使徒しとよ、爾なんぢは智慧ちゑに滿みてられ、恩おん寵ちように照てらされ、和わ平へいの美うるはしきに飾かざられて呼よぶ、主しゆ神かみよ、爾なんぢは世世よよに崇あがめ讚ほめらる。

 生神女讚詞

昔むかし蛇へびは詐いつはりを以もつて原げん祖そを樂園らくゑんより逐おひ出いだせり、爾なんぢは、神かみの母はゝよ、彼かれ等らを喚よび還かへせり、至し淨じやうなる者ものよ、爾なんぢの腹はらの果みは祝しゆく福ふくせられたり。

第八歌頌

イルモス 樂がく器きは鳴ならされ、無む數すうの人ひとはデイラの像ざうに伏拜ふくはいするに、三人みたりの少者せうしやは順したがはずして、主しゆを歌うたひて、萬世ばんせいに讚榮さんえいせり。

爾なんぢ福音ふくいんする者ものの足あしは美うるはし、爾なんぢハリストスの光くわう榮えいを唱となふる者ものの舌したも美うるはしくして、呼よぶことを敎をしへたり、主しゆを歌うたひて萬世ばんせいに讚ほめ揚あげよ。

爾なんぢは耀かゞやける華くわ美びに飾かざられ、奇き跡せきの光ひかりを放はなちて、人人ひとびとに祝しゆく讚さんせらるる救主きうしゆを知しらしめて、呼よぶことを敎をしへたり、主しゆを歌うたひて萬世ばんせいに讚ほめ揚あげよ。

聖せいなる門もん徒と、實じつに天てんの奧密あうみつに敎をしへられたる使徒しとよ、爾なんぢは世せ界かいを周めぐりて、髙聲かうせいにハリストスの敎をしへの言ことばを唱となへ、言いひ難がたき恩おん寵ちようを傳つたへて呼よべり、主しゆを歌うたひて萬世ばんせいに讚ほめ揚あげよ。

 生神女讚詞

神かみの母はゝ童貞女どうていぢよよ、智慧ちゑは爾なんぢの產さんを悟さとる能あたはず、言ことばは之これを言いひ出いだす力ちからなし、蓋けだし爾なんぢは我われ等らが萬世ばんせいに讚ほめ揚あぐる神かみを孕はらみて生うみ給たまへり。

第九歌頌

イルモス 潔いさぎよき童貞女どうていぢよよ、我われ等ら爾なんぢに依よりて救すくはれし者ものは爾なんぢを實じつに生しやう神女しんぢよと承うけ認とめて、無む形けいの軍ぐんと偕ともに爾なんぢを崇あがめ讚ほむ。

使徒しと(某)よ、爾なんぢは聖神せいしん゜の火ひを受うけ、神聖しんせいなる光ひかりに輝かゞやきて、四し極きよくに現あらはれて、之これを照てらし給たまへり、故ゆゑに我われ等ら爾なんぢを崇あがめ讚ほむ。

神かみの實見者じつけんしやよ、爾なんぢは全まつたく己おのれを神かみに委ゆだねて、彼かれと體合たいがふするを得えたり、今いま信しんと愛あいとを以もつて爾なんぢを讚ほめ揚あぐる我われ等らの爲ために彼かれに祈いのり給たまへ。

至し福ふく至し尊そんなる神かみの實見者じつけんしやよ、我われ等ら爾なんぢの記き憶おくを祭まつりて常つねに祈いのる、ハリストスの使徒しととして有たもつ勇敢いさみを以もつて爾なんぢの轉達てんたつにて我われ等らを諸罪しよざいの暴風あらしより救すくひ給たまへ。

 生神女讚詞

我われ等らは爾なんぢ人人ひとびとに現あらはれたる衆しゆうの救すくひの轉達者てんたつしや、神妙しんめうなる潔けつ淨じやうの煇煌かゞやきにて世せ界かいを照てらしし者ものを歌うたを以もつて崇あがめ讚ほむ。

 光耀歌

使徒しと(某)よ、爾なんぢは己おのれの美うるはしき足あしの途みちを天てんに向むかはしめ、彼處かしこに登のぼりて、喜よろこびて三者さんしやの前まへに立たち、父ちゝの内うちに子こ及および聖神せいしん゜を仰あふぎ見みる、故ゆゑに我われ等ら信しんを以もつて爾なんぢの至いたりて神聖しんせいなる記き憶おくを祭まつる。

 生神女讚詞

我われ畏おそるべき詰問きつもんの時ときを思おもひて、我わが惡あく事じの多おほきに因よりて畏おそれて慄をのゝく、祈いのる、至し淨じやうなる童貞女どうていぢよよ、爾なんぢの熱切ねつせつなる祈き禱たうを以もつて我われを助たすけて、我われに救すくひを與あたへ給たまへ、爾なんぢは欲ほつする所ところ能よくせざるなければなり。

 「凡そ呼吸ある者」に讚頌スティヒラ、第四調。

至し妙めう至し福ふくなる(某)よ、爾なんぢの夫ふう子しは一切いつさいに於おいて爾なんぢの智ち識しきを照てらして、彼かれの悟さとり難がたき神性しんせいを傳つたふる尊たふとき使徒しとと爲なせり、故ゆゑに爾なんぢは彼かれの指麾しきに從したがひて、恩おん寵ちようの網あみを以もつて人人ひとびとを淪亾ほろびの深處ふかみより引ひき出いだし給たまへり。二次

神かみの奧あう義ぎを宣のぶる至し福ふくなる(某)、ハリストスの實見者じつけんしや、使徒しとの飾かざりなる者ものよ、聖神せいしん゜は火ひの狀さまを以もつて爾なんぢに降くだりて、爾なんぢを神聖しんせいなる光ひかりを受うくる者ものと爲なせり、故ゆゑに爾なんぢは無む神しんの幽暗くらやみを拂はらひて、爾なんぢの至いたりて睿えい智ちなる言ことばの光くわう照せうにて世せ界かいを照てらし給たまへり。

實在じつざいの眞實しんじつの光くわう榮えいなる門もん徒と、神かみの言ことばを宣のぶる睿えい智ち者しやよ、爾なんぢは傳道でんだうの光くわう照せうを以もつて無知むちの幽闇くらやみに坐ざする者ものを照てらして、其その信しんに由よりて主宰しゆさい及および神かみの子ことなるを顯あらはし、自みづから夫ふう子しの苦くるしみと死しとに效ならひて、復また其その光くわう榮えいを嗣つぐ者ものと爲なれり。

 光榮、第二調。

使徒しと(某)よ、爾なんぢは地ち上じやうの事ことを遺すてて、ハリストスに從したがひ、聖神せいしん゜に印いん證しようせられて、彼かれより亾ほろぶる異い邦民はうみんの中うちに人人ひとびとを神かみを識しる光ひかりに導みちびかん爲ために遣つかはされ、神聖しんせいなる爾なんぢの勤勞きんらうを終をへ、種種しゆじゆの苦く難なんを經へたる後のちに爾なんぢの靈たましひをハリストスに付わたせり。至し福ふくなる者ものよ、我われ等らに大おほいなる憐あはれみを賜たまはんことを彼かれに祈いのり給たまへ。

 今も、生神女讚詞。

神かみの母はゝよ、我わが盡ことごとくの恃たのみを爾なんぢに負おはしむ、我われを爾なんぢの覆おほひの下したに守まもり給たまへ。

 十字架生神女讚詞。

無む玷てんなる牝め羊ひつじは己おのれの羔こひつじが人ひととして甘あまんじて屠殺ほふりに牽ひかるるを見みし時とき、哭なきて言いへり、仁愛じんあいなるハリストスよ、何なん爲すれぞ爾なんぢを生うみし我われを今いま子こなき者ものと爲なさんと欲ほつする、然しかれども萬ばん衆しゆうの贖しよく罪主ざいしゆよ、我われは智慧ちゑと言ことばとに超こゆる爾なんぢの至し大だいなる仁じん慈じを歌か頌しようして讚榮さんえいす。

 

第九編 二人或は多人の使徒の總奉事

 晩課

「主よ爾に籲ぶ」に讚頌スティヒラ、第四調。

至し福ふくなる門もん徒とよ、爾なんぢ等らは人體じんたいを取とりし言ことばの實見者じつけんしや及および證しよう者しやとして讚揚さんやうせらる、蓋けだし爾なんぢ等らは光ひかる電いなづまの如ごとく世せ界かいに現あらはれ、神靈しんれいの山やまの如ごとく甘かん味みを滴したゝらし、常つねに流ながるる樂園らくゑんの河かはの如ごとく分わかれて、神聖しんせいなる水みづを以もつて異い邦はうの諸しよ敎けう會くわいに飮のます。

至し福ふくなる聖せいにせられし奧密者あうみつしやよ、爾なんぢ等らは屬ぞく神しん゜の光くわう照せうを耀かゞやかす光くわう線せんとして全ぜん世せ界かいに遣つかはされて多おほくの奇き跡せき異い能のうを顯あらはし、ハリストスの機き密みつの役者えきしやと爲なり、神かみの錄しるしたる恩おん寵ちようの石板せきばんにして、神かみより敎をしへられたる法はふを載のする者ものと爲なりたり。

漁者ぎよしやは智ち者しやの驕慢おごりと辯論者べんろんしやの雄辯ゆうべんとを辱はづかしめて、神かみの智慧ちゑの敎をしへ、救すくひの眞しん理り、恩おん寵ちようの機き密みつを宣のぶる福音者ふくいんしやと爲なりて、人人ひとびとを永遠えいゑんの福樂ふくらく、諸天しよてん使しと偕ともにする歡喜よろこび、神かみの光くわう榮えいに與あづかる者ものと爲なせり。

 光榮、今も、生神女讚詞。

暮くれざる日ひを耀かゞやかしし者ものよ、慶よろこべ、神聖しんせいなる悟さとりを啓ひらきし智慧ちゑよ、慶よろこべ、地ちの四し極きよくを照てらしし光くわう線せんよ、慶よろこべ、實じつに諸善しよぜん諸德しよとくに滿みてらるる者ものよ、慶よろこべ、永遠えいゑんの光ひかりの燈凳とうだいよ、慶よろこべ。

 十字架生神女讚詞

至し淨じやうなる者ものは人ひとを愛あいする主しゆハリストスの十じふ字架じかに釘ていせられ、戈ほこにて脅わきの刺ささるるを見みて、哭なきて呼よべり、吾わが子こよ、此これ何なにぞ、恩おんを知しらざる民たみは爾なんぢが彼かれ等らに爲なしし善ぜんに易かへて何なにをか爾なんぢに報むくいたる、至し愛あいなる者ものよ、胡爲なんすれぞ我われを子こなき者ものとして遺のこす、慈じ憐れんなる主しゆよ、我われ爾なんぢが甘あまんじて受うくる釘殺ていさつを奇きとす。

若し之あらば、自調。光榮、第八調。

救世主きうせいしゆの門もん徒とよ、爾なんぢ等らは全ぜん地ちを周めぐりて之これを照てらし、爾なんぢ等らの敎をしへを以もつて偶像ぐうざうの迷まよひを稈わらの如ごとく焚やき、異い邦民はうみんを無智むちの深處ふかみより出いだして、神かみを識しる智ち識しきに攜たづさへて救すくへり。今いまハリストスに祈いのりて、審判しんぱんの日ひに於おいて我われ等らに慈じ憐れんを垂たれんことを求もとめ給たまへ。

 今も、生神女讚詞

至し淨じやうなる生しやう神しん童貞女どうていぢよよ、爾なんぢに祈いのる者ものの聲こゑを容いれて、我われ等らに諸罪しよざいの赦ゆるしを賜たまはんことを絕たえず主しゆに祈いのり給たまへ。

 十字架生神女讚詞

主しゆよ、日ひは爾なんぢ義ぎの日ひが木きの上うへに懸かけられしを見みて光くわう線せんを隱かくし、月つきは光ひかりを暗やみに變へんじ、爾なんぢの至いたりて無む玷てんなる母はゝは心こゝろ刺さされたり。

若し多燭詞ポリエレイを以て祭を行はば、復活の生神女讚詞第八調を誦すべし。

天てんの王わうは人ひとを愛あいするに因よりて地ちに現あらはれ、人ひとと偕ともに在いませり、蓋けだし淨きよき童貞女どうていぢよより身みを取とり、人ひとの性せいを有たもちて生うまれし者ものは、二ふたつの性せいにて一ひとつの位くらゐある獨どくいつ子しなり、故ゆゑに我われ等ら彼かれが實じつに全まつたき神かみ及および全まつたき人ひとなるを傳つたへて、ハリストス吾わが神かみを承うけ認みとむ、夫をつとを識しらざる母はゝよ、我わが靈たましひの憐あはれみを蒙かうむらんことを彼かれに祈いのり給たまへ。

 聖入。本日の提綱ポロキメン。使徒の喩言パリミヤ、巻末に載す。

 挿句くづけに讚頌スティヒラ、第六調。

神學者しんがくしや及および見神者けんしんしやたる門もん徒とよ、爾なんぢ等らは神かみの大おほいなる祕ひ密みつの役者えきしやと爲なり、醫治いやしの恩おん寵ちようを受うけて、衆しゆう人じんの諸しよ病びやうを醫いやし給たまふ。

句 其聲そのこゑは全ぜん地ちに傳つたはり、其その言ことばは地ちの極はてに至いたる。

見神者けんしんしやたる主しゆの使徒しとよ、爾なんぢ等らは我われ等らの靈たましひの爲ために大おほいなる避所かくれがと帲幪おほひなり、惡あく神しん゜を遠とほざくる者ものなり、故ゆゑに我われ等ら常つねに爾なんぢ等らを尊たふとむ。

句 諸天しよてんは神かみの光くわう榮えいを傳つたへ、穹蒼おほぞらは其その手ての作爲しわざを誥つぐ。

至し聖せい至し福ふくなる使徒しとよ、信しんを以もつて爾なんぢ等らを讚ほめ揚あぐる者ものを凡およその禍わざはひと罪つみ、惡あく鬼きの毒害どくがいと服役ふくえきより救すくひ給たまへ。

 光榮、第四調。

使徒しとよ、爾なんぢ等らは神かみの定制ていせいに因よりて恩おん寵ちようの器うつはと爲なり、異い方言はうげんの恩おん賜しを受うけて、言ことばと行おこなひとを以もつて諸民しよみんをハリストスを識しる智ち識しきに導みちびき、衆しゆうを照てらして、イイススの眞まことの神かみにして我われ等らの靈たましひの救主きうしゆなるを讚揚さんやうせしめ給たまへり。

 今も、復活の生神女讚詞。

至いたりて玷きずなき者ものよ、爾なんぢの諸僕しよぼくの祈き禱たうを顧かへりみて、堪たへ難がたき攻擊こうげきを我われ等らより退しりぞけ、諸もろもろの愁苦うれひを我われ等らより遠とほざけ給たまへ、我われ等らは爾なんぢを一ひとつの堅けん固ごなる恃たのむべき錨いかりとして有たもち、爾なんぢの轉達てんたつを得えたればなり。女宰ぢよさいよ、願ねがはくは我われ等ら爾なんぢを呼よぶ者ものは恥はぢを蒙かうむらざらん、遄すみやかに我わが切せつなる祈いのりを應かなへ給たまへ。蓋けだし我われ等ら中ちゆう心しんより爾なんぢに籲よぶ、女宰ぢよさい、衆しゆう人じんの佑助たすけと、歡喜よろこびと、庇護おほひと、我われ等らの靈たましひの拯救すくひなる者ものよ、慶よろこべ。

若し多燭詞ポリエレイを以て祭らずば、下の生神女讚詞を誦せよ。

生しやう神女しんぢよよ、我われ等ら爾なんぢを倚賴たのみ及および轉達てんたつと有たもちて、諸敵しよてきの惡謀あくぼうを懼おそれざらん、爾なんぢ我わが靈たましひを救すくひ給たまへばなり。

 十字架生神女讚詞

至し聖せいなる女宰ぢよさいよ、爾なんぢ言いひ難がたく爾なんぢより輝かゞやき出いでし言ことばが不ふ法はふ者しやより定罪ていざいせられし者ものとして十じふ字架じかに擧あげられ、手てと足あしとに釘ていうたれ、酢すと膽いとを飮のませられ、脅わきを刺さされたるを見みし時とき、シメオンの言いひし如ごとく、劍つるぎは爾なんぢの心こゝろを貫つらぬきて、爾なんぢ哭なき號さけびて、母はゝとして呼よべり、甘愛かんあいなる子こよ、此これ何なんの新あらたなる祕ひ密みつぞや。

 讚詞トロパリ、第三調。

聖せいなる使徒しと等らよ、仁じん慈じなる神かみに祈いのりて、我われ等らの靈たましひに諸罪しよざいの赦ゆるしを賜たまはんことを求もとめ給たまへ。

 光榮、今も、生神女讚詞、讚詞トロパリの調に据る。

 早課

「主は神なり」に讚詞トロパリ同上。

 第一の「カフィズマ」の後に坐誦讚詞セダレン、第一調。

聖神せいしん゜を受うけし使徒しとの會くわいは至し上じやうなる神かみより奧密あうみつに世せ界かいに遣つかはされて、罪惡ざいあくの奴ど隷れいに苦くるしむ者ものを解とき、三さん位ゐにして一性いつせいなる神かみを傳つたへ、エムマヌイルが神妙しんめうに人體じんたいを取とりしことを智慧ちゑを以もつて錄しるせり。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

童貞女どうていぢよよ、我われ等ら爾なんぢをモイセイが見みたる焚やかれぬ棘いばら、神かみの山やま、聖せいなる雲くも、潔いさぎよき幕まく、神かみに悅よろこばるる筵えん、髙たかき王わうの宮みや、光くわう明めいなる過とほられぬ門もんとして歌うたふ。

 第二の「カフィズマ」の後に坐誦讚詞セダレン、第四調。

主しゆの使徒しと、天てんの祕ひ密みつ者しやよ、爾なんぢ等らは輝かゞやく光くわう線せんたる神聖しんせいの傳道でんだうの敎をしへを以もつて星ほしの如ごとく地ちの四し極きよくを照てらし給たまふ。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

我われ等ら信者しんじやは爾なんぢ生しやう神女しんぢよを苦く難なんに遭あふ者ものの確たしかなる保護ほご、我われ等らを助たすけて神かみの前まへに轉達てんたつする者もの、我われ等らを朽きう壞くわいより救すくふ者ものとして讚ほめ揚あぐ。

「主の名を讚め揚げよ」の後に附唱。

ハリストスの聖せいなる使徒しと等ら、己おのれの敎をしへを以もつて全ぜん世せ界かいを照てらし、四し極きよくを率ひきゐてハリストスに就つかしめし者ものよ、我われ等ら爾なんぢを讚揚さんやうす。

 拔萃聖詠

「諸天は神の光榮を傳へ、穹蒼は其手の作爲を誥ぐ。」

 多燭詞ポリエレイの後に坐誦讚詞セダレン、第三調。

撫ぶ恤じゆつ者しやの神聖しんせいなる角らつぱよ、救すくひの言ことばの氣いきを噓ふきて、世せ界かいに唱となへ、迷まよひの幽暗くらやみの中うちに眠ねむる者ものを起おこして、神かみを知しる智ち識しきに導みちびき給たまへ、神聖しんせいなる光ひかりの使徒しと等らよ、我われ等らの靈たましひの救すくはれんことをハリストス神かみに祈いのり給たまへ。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

神かみの性せいに離はなれずして、爾なんぢの腹はらの中うちに肉體にくたいと爲なり、神かみたるを變へんぜずして人ひとと爲なりし惟一ゆゐいちの主しゆは、生うまれし後のちにも爾なんぢ母はゝ童貞女どうていぢよを生うまるる前まへの如ごとく純じゆん潔けつなる者ものとして護まもり給たまへり、熱切ねつせつに彼かれに大おほいなる憐あはれみを我われ等らに賜たまはんことを祈いのり給たまへ。

 品第詞ステペンナ、第四調の第一倡和詞アンティフォン。

 提綱ポロキメン

其聲そのこゑは全ぜん地ちに傳つたはり、其その言ことばは地ちの極はてに至いたる。

句 諸天しよてんは神かみの光くわう榮えいを傳つたへ、穹蒼おほぞらは其その手ての作爲しわざを誥つぐ。

「凡そ呼吸ある者」

次に福音經、一人の使徒と同じ、巻末に載す。

 第五十聖詠の後に讚頌スティヒラ、第六調。

ハリストスの敎けう會くわいに使徒しとの最いと尊たふとき祭まつり、我われ等ら衆しゆうの救すくひを助たすくる者ものは至いたれり、故ゆゑに我われ等ら祝いはひて彼かれ等らに呼よぶ、幽暗くらやみに在ある者ものに神靈しんれいの日ひの光くわう線せんを施ほどこしし燈ともしびよ、慶よろこべ、神聖しんせいなる敎をしへの動うごきなき基もとゐたる使徒しと等ら、ハリストスの友とも、貴たふとき器うつはよ、慶よろこべ、見みえずして我われ等らの中うちに來きたりて、歌うたを以もつて爾なんぢ等らの祭まつりを讚ほめ揚あぐる者ものに無む形けいの賜たまものを施ほどこし給たまへ。

 規程カノン、第四調。

第一歌頌

イルモス 古いにしへのイズライリは足あしを濡ぬらさずして海うみの紅くれなゐの淵ふちを渡わたり、野のにてモイセイの十じふ字じ形かたの手てにてアマリクの力ちからに勝かてり。

ハリストスよ、使徒しとの會くわいを歌うたはんことを望のぞむ我われに、彼かれ等らの祈き禱たうに因よりて、神かみとして至し聖神せいしん゜の光くわう線せんと爾なんぢの睿えい智ちの光ひかりとを與あたへ給たまへ。

ハリストスよ、見神者けんしんしやたる爾なんぢの尊たふとき使徒しと等らは爾なんぢの力ちからと恩おん寵ちようとに堅かためられて、諸敵しよてきの力ちからを破やぶれり。

主宰しゆさいよ、光くわう榮えいなる使徒しと等らは爾なんぢの名なに因よりて醫治いやしを施ほどこして、異い邦人はうじんの群むれを爾なんぢの智ち識しきを以もつて執とらへ、爾なんぢの光ひかりを以もつて照てらせり。

至し榮えいなるハリストスの使徒しと等らは天てんの睿えい智ちに敎をしへられて、熱心ねつしんの傳道でんだうを以もつて不ふ虔けんなる智ち者しやの多た辯べんを愚ぐと爲なしたり。

 生神女讚詞

至し淨じやうなる童貞女どうていぢよ母はゝよ、爾なんぢは至し聖せいなる三者さんしやの一いち位ゐを生うめり、彼かれは父ちゝの善ぜん旨しと至し聖神せいしん゜の行動かうどうとに因よりて、爾なんぢより我われ等らに肖にたる身みを取とりて現あらはれ給たまへり。

第三歌頌

イルモス ハリストスよ、爾なんぢの敎けう會くわいは爾なんぢの爲ために樂たのしみて呼よぶ、主しゆよ、爾なんぢは我わが能力ちからと避所かくれがと堡障かためなり。

ハリストスの傳道でんだう師しよ、爾なんぢ等らは地ち上じやうに天てんの尊たふとき敎をしへを福音ふくいんし、火ひの舌したを以もつて之これを證しようして傳つたへ給たまへり。

主宰しゆさいよ、爾なんぢは己おのれの門もん徒とを四し極きよくの爲ために爾なんぢの光くわう榮えいを傳つたふる靈れい智ちなる天てんと爲なし給たまへり。

睿えい智ち者しやよ、爾なんぢ等らは天てんに錄しるされ、ハリストスの同どう住ぢゆう者しやと現あらはれて、今いま愛あいを以もつて爾なんぢ等らを尊たふとむ者ものを護まもり給たまへ。

 生神女讚詞

至し淨じやうなる者ものよ、最髙いとたかきに在います主しゆは我われ等らの中うちに居をりたり、蓋けだし爾なんぢより種たねなく身みを受うけて現あらはれ給たまへり。

 坐誦讚詞セダレン、第八調。

光くわう榮えいなる使徒しとよ、爾なんぢ等らは神かみの言ことばの網あみを以もつて靈れい智ちなる魚うをを取とりて、之これを初物はつものとして我われ等らの神かみに獻さゝげ、ハリストスの創きずを衣きんと欲ほつして、彼かれの苦くるしみに效ならふ者ものと爲なれり。故ゆゑに我われ等ら集あつまりて、職しよくとして至いたりて欣よろこばしき爾なんぢ等らの記き憶おくを尊たふとみて、同心どうしんに爾なんぢ等らに呼よぶ、愛あいを以もつて爾なんぢ等らの聖せいなる記き憶おくを尊たふとむ者ものに諸罪しよざいの赦ゆるしを賜たまはんことをハリストス神かみに祈いのり給たまへ。

 光榮、今も、生神女讚詞。

我われ等ら萬族ばんぞくは爾なんぢ童貞女どうていぢよ、女をんなの中うちに獨ひとり種たねなく身みにて神かみを生うみし者ものを讚揚さんやうす、蓋けだし神性しんせいの火ひは爾なんぢの内うちに入いり、爾なんぢは造成者ざうせいしや及および主しゆを幼児をさなごとして乳ちにて養やしなひ給たまへり、故ゆゑに天軍てんぐん及および我われ等ら人類じんるゐは宜よろしきに合かなひて爾なんぢの至し聖せいなる產さんを讚榮さんえいして、同心どうしんに爾なんぢに呼よぶ、ハリストス神かみに祈いのりて、信しんを以もつて爾なんぢの至し聖せいなる產さんに伏拜ふくはいする者ものに諸罪しよざいの赦ゆるしを賜たまはんことを求もとめ給たまへ。

 十字架生神女讚詞

牝め羊ひつじは羔こひつじ及および牧者ぼくしや幷ならびに贖しよく罪主ざいしゆを十じふ字架じかの上うへに見みて、泣なき號さけびて、悲かなしく呼よびて曰いへり、恒忍ごうにんなる主しゆよ、世せ界かいは爾なんぢに由よりて贖しよく罪ざいを獲えて喜よろこび、我われは爾なんぢが大仁だいじん慈じに由よりて釘ていせらるるを忍しのぶを見みて、心こゝろ燬やくが如ごとし、慈じ憐れんの淵ふち及および盡つききざる泉いづみよ、慈じ憐れんを垂たれて、信しんを以もつて爾なんぢの神聖しんせいなる苦くるしみを歌うたふ者ものに諸罪しよざいの赦ゆるしを與あたへ給たまへ。

第四歌頌

イルモス 敎けう會くわいは爾なんぢ義ぎの日ひが十じふ字架じかに擧あげられしを見みて、竝ならび立たちて正たゞしく呼よべり、主しゆよ、光くわう榮えいは爾なんぢの力ちからに歸きす。

神聖しんせいなる使徒しとの宣傳せんでんの言ことばは火ひの如ごとく全ぜん地ちを過とほりて、多た種しゆの迷まよひを焚やき、恩おん寵ちようを以もつて敬虔者けいけんしやの會くわいを照てらせり。

神かみを顯あらはす光くわう體たいたる主しゆの門もん徒とは恩おん寵ちようの光くわう線せんと傳道でんだうの光くわう照せうとを以もつて昧くらみたる無む神しんの世せ界かいを照てらせり。

至いたりて讚さん美びたる者ものよ、爾なんぢ等らは神靈しんれいの日ひの聖せいなる光くわう線せんに照てらされ、日ひの如ごとく世せ界かいの中うちに輝かゞやきて、神聖しんせいなる光ひかりを以もつて迷まよひの黑暗くらやみを拂はらふ。

言ことばよ、爾なんぢの實見者じつけんしやは爾なんぢの十じふ字架じかを能のう力りよくの杖つゑと有たもちて、生命いのちの鹹海しほうみを切きりて、馬うまの如ごとく多た神しんの水みづを亂みだす。

 生神女讚詞

ハリストスよ、爾なんぢ諸しよ王わうの王わうを載のする活いける天てんたる至し淨じやうなる童貞女どうていぢよ、諸德しよとくにて輝かゞやける者ものは今いま生しやう神女しんぢよとして讚さん美びせらる。

第五歌頌

イルモス 我わが主しゆよ、爾なんぢは光ひかり、信しんじて爾なんぢを崇あがめ歌うたふ者ものを闇くらき無智むちより引ひき出いだす聖せいなる光ひかりにして、世せ界かいに來きたり給たまへり。

主しゆよ、爾なんぢは神聖しんせいにして睿えい智ちなる爾なんぢの役者えきしやを世せ界かいの中うちに光ひかりと爲なして、爾なんぢ暮くれざる光ひかりを衆しゆうに知しらしめ給たまへり。

使徒しとよ、爾なんぢ等らは明あきらかに凡およその德とくを修をさめて、惡あく鬼きの諸もろもろの惡計あくけいの網あみを破やぶり給たまへり。

使徒しとよ、爾なんぢ等らは火ひの舌したを以もつて傳つたへて、神性しんせいの惟一ゆゐいちに於おいて我われ等らの爲ために三さん位ゐの煇煌かゞやきを顯あらはし給たまへり。

 生神女讚詞

神かみの聘女よめよ、我われ等らは爾なんぢを敵てきに對たいして勝かたれぬ武器ぶきと有たもち、爾なんぢを堅固かため及および我われ等らの救すくひの倚賴たのみとして獲えたり。

第六歌頌

イルモス 憐あはれみに由よりて爾なんぢの脅わきより流ながれし血ちにて惡あく魔まの祭まつりの血ちより淨きよめられし敎けう會くわいは爾なんぢに呼よぶ、主しゆよ、讚揚ほめあげの聲こゑを以もつて爾なんぢを祭まつらん。

救世主きうせいしゆよ、爾なんぢは睿えい智ちと異い能のうとを以もつて己おのれの門もん徒とを固かため、彼かれ等らをエㇽリンの空辯くうべんより最强いとつよき者ものと爲なして、其その迷まよひを爲なす敎をしへを破やぶり給たまへり。

救すくひの泉いづみより豐ゆたかに流ながるる睿えい智ちの神聖しんせいなる河かはは敎けう會くわいの悉ことごとくの谷たにを救すくひの水みづにて滿みてたり。

至いたりて讚さん美びたる者ものよ、爾なんぢ等らは活いける星ほしと現あらはれて、光ひかる光くわう線せんを以もつて凡およその昏くらき迷まよひを散さんじて、神かみを知しる智ち識しきの光くわう照せうを輝かゞやかせり。

 生神女讚詞

嗚呼あゝ、神かみの母はゝよ、諸しよ王わうの王わうは爾なんぢが純じゆん善ぜん完くわん美びなる鴿はとの如ごとく、最いと麗うるはしき谷たにの百合花ゆりの如ごときを見みて、爾なんぢの内うちに入いり給たまへり。

小讚詞コンダクは奉事例に据る。若し奉事例になくば、下の小讚詞コンダクを誦せよ。第四調。

主しゆの睿えい智ちなる使徒しとよ、爾なんぢ等らはハリストスの葡ぶ萄だうの枝えだと現あらはれ、諸德しよとくの房ふさを生しやうじて、我われ等らの爲ために救すくひの酒さけを流ながす、我われ等ら之これを飮のみ、樂たのしみに盈みてられて、爾なんぢ等らの尊たふとき記き憶おくを祭まつる、求もとむ、今いま我われ等らの爲ために大おほいなる惠めぐみと諸罪しよざいの赦ゆるしとの賜たまはらんことを祈いのり給たまへ。

 同讚詞イコス

見神者けんしんしやたる主しゆの使徒しとよ、爾なんぢ等らは萬有ばんいうの主宰しゆさいの門もん徒ととして、爾なんぢ等らの祈き禱たうの網あみを以もつて我わが卑微ひびなる靈たましひ、惡あく鬼きの謀はかりごとの網あみに執とらはれたる者ものを諸罪しよざいの深處ふかみより引ひき出いだし給たまへ、我われ吾わが生命いのちの餘よ日じつを潔いさぎよく過すぎて、愛あいを以もつて爾なんぢ等らを歌うたひ、爾なんぢ等らが昧くらまされたる者ものを照てらして、敬虔けいけんに聖三者せいさんしやを尊たふとまんことを敎をしへて、地ち上じやうに送おくりし無む玷てんなる度ど生せいを讚榮さんえいせん爲ためなり。

第七歌頌

イルモス アウラアムの少者せうしやはペルシヤの爐ゐろりに在ありて、㷔ほのほよりも强つよく敬虔けいけんの愛あいに爇やかれて呼よべり、主しゆよ、爾なんぢが光くわう榮えいの宮みやに於おいて爾なんぢは崇あがめ讚ほめらる。

至し仁じんなる主しゆよ、爾なんぢは本性ほんせいの神かみにして、己おのれの門もん徒とを子こと爲なし、愛あいを以もつて父ちゝの嗣し業げふを嗣つぐ者ものと爲なして、爾なんぢ神かみ及および主宰しゆさいと偕ともに常つねに居をるを得えしめ給たまへり。

言ことばよ、爾なんぢは己おのれの神聖しんせいなる門もん徒とに智慧ちゑの富とみ、心こゝろの廣ひろき、舌したの爽さはやかなるを賜たまひて、彼かれ等らを四し極きよくに天國てんこくの福音ふくいんを傳つたへん爲ために遣つかはし給たまへり。

使徒しとよ、爾なんぢ等らは神かみの光ひかりの雲くもと現あらはれて、衆しゆうの爲ために生せい活くわつの水みづを降ふらして呼よぶ、主しゆよ、爾なんぢが光くわう榮えいの宮みやに於おいて爾なんぢは崇あがめ讚ほめらる。

 生神女讚詞

至し淨じやうなる者ものよ、爾なんぢは神かみの光くわう榮えいに飾かざられて、古こ世せいより獨ひとり神かみの言ことばを孕はらみたる母はゝ童貞女どうていぢよと現あらはれ給たまへり、純じゆん潔けつなる女宰ぢよさいよ、爾なんぢは女をんなの中うちに祝しゆく福ふくせられたり。

第八歌頌

イルモス ダニイルは獅子しし穴あなに在ありて手てを伸べて、獅子ししの口くちを閉とざし、敬虔けいけんの篤あつき少者せうしやは德とくを帶おび、火ひの力ちからを消けして呼よべり、主しゆの悉ことごとくの造物ざうぶつは主しゆを崇あがめ讚ほめよ。

ハリストスの神聖しんせいにして睿えい智ちなる使徒しとの會くわいは聖神せいしん゜の火ひを以もつて惡あく鬼きの多た種しゆの拜をがまるる所ところを稗ひえの如ごとくに燬やき、信者しんじやの心こゝろを照てらして呼よべり、主しゆの悉ことごとくの造物ざうぶつは主しゆを崇あがめ讚ほめよ。

我われ等ら同心どうしんにハリストスの神聖しんせいなる門もん徒と、我われ等らの爲ために神かみの命めいを轟とゞろかしし使徒しと、信者しんじやの港みなとなる者もの、人類じんるゐの一般いつぱんの恩者おんしや、救世主きうせいしゆの役者えきしやを尊たふとまん。

我われ等らは最いと尊たふとくして大おほいなる諸德しよとくの器うつは、人類じんるゐの初物はつもの、傳道でんだうの角らつぱ、不ふ朽きうの生命いのちの流ながれ、神かみの發はつせし電いなづま、醫治いやしの泉いづみ、福音者ふくいんしやの美うるはしき足あしを尊たふとまん。

 生神女讚詞

圓滿えんまんなる者ものは我われ等らの爲ために卑微ひびなる者ものと爲なれり、我われ等らが其その圓滿えんまんに與あづからん爲ためなり、蓋けだし神かみの聘女よめマリヤよ、圍かこまれぬ者ものは父ちゝの懷ふところを離はなれずして、爾なんぢの至し淨じやうなる胎たいに入いりて、身みを取とり給たまへり、故ゆゑに我われ等ら皆みな爾なんぢを崇あがめ讚ほむ。

第九歌頌

イルモス 童貞女どうていぢよよ、手てにて斫きられざる隅石すみいしハリストスは、爾なんぢ斫きられざる山やまより斫きり分わけられて、離はなれたる性せいを合あはせ給たまへり、故ゆゑに我われ等ら樂たのしみて、爾なんぢ生しやう神女しんぢよを崇あがめ歌うたふ。

主宰しゆさいより諸罪しよざいの縲絏なはめを解とく權けんを受うけし見神者けんしんしやよ、慈じ憐れんを以もつて爾なんぢ等らを歌うたふ者ものの諸罪しよざいを潔きよめて、之これに救すくひを得えしめ給たまへ。

光くわう榮えいなる使徒しとよ、爾なんぢ等らは樓たかどのに在ありて實體じつたいに爾なんぢ等らに現あらはれし聖神せいしん゜の光くわう照せうを受うけて、髙たかき敎をしへを傳つたふる力ちからに滿みてられたり、故ゆゑに今いま宜よろしき合かなひて讚さん美びせらる。

ハリストスは爾なんぢ等ら逝世せいせいせし己おのれの友ともに凋しぼまざる榮えい冠くわんを與あたへ、神かみの光くわう榮えいを見みるを賜たまふ、彼かれに今いま悉ことごとくの敎けう會くわいを救すくはんことを祈いのり給たまへ。

 生神女讚詞

母はゝ童貞女どうていぢよよ、言ことばにて萬有ばんいうを飾かざりたる主しゆは肉體にくたいを以もつて來きたらんと欲ほつして、獨ひとり爾なんぢを衆しゆう人じんより至し聖せいなる者ものと見みて、爾なんぢの内うちに入いりて、爾なんぢを眞まことの生しやう神女しんぢよと爲なし給たまへり。

 光耀歌

人人ひとびとよ、來きたりて、神聖しんせいなる歌うたを以もつてハリストスの使徒しと、敎をしへの宣傳者せんでんしやを歌うたはん、彼かれ等らはハリストスに我われ等らの靈たましひの爲ために祈いのり給たまへばなり。

 生神女讚詞

至し聖せい至し潔けつなる女宰ぢよさい、獨ひとり婚姻こんいんに與あづからざる童貞女どうていぢよ、我われ等らの恃賴たのみと拯救すくひなる者ものよ、爾なんぢより生うまれし我われ等らの神かみに世せ界かいを誘惑いざなひと、災禍わざはひと、憂愁うれひより救すくはんことを祈いのり給たまへ。

 「凡そ呼吸ある者」に讚頌スティヒラ、第八調。

主しゆよ、爾なんぢは撫ぶ恤じゆつ者しやの光くわう照せうを以もつて爾なんぢの使徒しとを照てらして、之これを燈ともしびと爲なし、爾なんぢの睿えい智ちの無む形けいの光ひかりを以もつて敎をしへを堅かたむる者ものと爲なし給たまへり、故ゆゑに主宰しゆさいよ、我われ等ら爾なんぢの言いひ難がたき仁愛じんあいに伏拜ふくはいす。二次

主しゆよ、使徒しとの祈き禱たうに因よりて、爾なんぢの牧群ぼくぐんを守まもりて、諸敵しよてきの誘惑いざなひに悩なやまされぬ者ものと爲なし給たまへ、蓋けだし爾なんぢは仁じん慈じ仁愛じんあいの主しゆとして、尊たふとき血ちを以もつて之これを惡敵あくてきの奴ど隷れいより救すくひ給たまへり。

神聖しんせいなる使徒しと、聖三者せいさんしやの前まへに立たつ者もの、我われ等らの靈たましひの爲ために祈き禱たうする者ものよ、爾なんぢ等らは尊たふとき石いしとして、敎けう會くわいの基もとゐに置おかれて、神かみを識しる確たしかなる智ち識しきを以もつて全ぜん地ちを照てらし給たまへり。

 光榮、第四調。

至いたりて讚さん美びたる者ものよ、爾なんぢ等らは翼つばさある鷲わしとして全ぜん地ちを巡めぐりて、恩おん寵ちように由よりて尊たふとき敎をしへを播まき、迷まよひの稗ひえを拔ぬきて、豐ゆたかなる實みを生しやうぜり、無む形けいの倉くらは之これを受うけて、世世よよに不死ふしなる耕作者かうさくしやの爲ために護まもる。

 今も、生神女讚詞。

生しやう神女しんぢよよ、我われ等ら爾なんぢを倚賴たのみ及および轉達てんたつと有たもちて、諸敵しよてきの惡謀あくぼうを懼おそれざらん、爾なんぢ我わが靈たましひを救すくひ給たまへばなり。

 十字架生神女讚詞

至し淨じやうなる者ものは人ひとを愛あいする主しゆハリストスの十じふ字架じかに釘ていせられ、戈ほこにて脅わきの刺ささるるを見みて、哭なきて呼よべり、吾わが子こよ、此これ何なにぞ、恩おんを知しらざる民たみは爾なんぢが彼かれ等らに爲なしし善ぜんに易かへて何なにをか爾なんぢに報むくいたる、至し愛あいなる者ものよ、胡爲なんすれぞ我われを子こなき者ものとして遺のこす、慈じ憐れんなる主しゆよ、我われ爾なんぢが甘あまんじて受うくる釘殺ていさつを奇きとす。

 

第十編 一人の成聖者の總奉事

 晩課

「主よ爾に籲ぶ」に讚頌スティヒラ、第六調。

捧神者ほうしんしやよ、爾なんぢは聖神せいしん゜の聖せいなる傅ふ膏かうを受うけて、全まつたく聖せいにせられ、至し榮えいなる眞まことの成聖者せいせいしやとして、常つねに欣よろこばしく至し聖所せいじよに入いり、神元しんげんの光くわう照せうに照てらされて、聖せい機き密みつの恩おん寵ちように與あづかり、毅き然ぜんとして我われ等らの靈たましひの爲ために祈いのり給たまふ。

常つねに記き憶おくせらるる至し福ふくなる成聖者せいせいしや(某)よ、爾なんぢの度ど生せいは諸德しよとくの光ひかりに輝かゞやきて、爾なんぢは信者しんじやを照てらし、迷まよひの闇やみを散さんじたり、眞まことの光くわう明めいなる日ひと現あらはれたればなり、今いま爾なんぢは暮くれざる光ひかりの輝かゞやく處ところに入いり、聖神せいしん゜の恩おん寵ちように因よりて晝ひるの子こと爲なり給たまへり、故ゆゑに我われ等ら爾なんぢの神聖しんせいにして光くわう明めいなる記き憶おくを敬虔けいけんに行おこなひて、愛あいを以もつて尊たふとむ。

至し榮えいにして神しん智ちなる成聖者せいせいしや(某)、愛あいを以もつて爾なんぢの記き憶おくを尊たふとむ者ものの祈き禱たう者しやよ、爾なんぢの靈たましひは常つねに神かみに進すゝみ、信しんに飾かざられて、光くわう明めいなる者ものと現あらはれたり、睿えい智ちなる神しん父ぷ、輝かゞやく燈ともしびよ、爾なんぢは朽きう壞くわいと死しとに屬ぞくする身みに在ありて不ふ朽きうを獲えんことを務つとめて、無む形けい者しやの光くわう照せうを得え、諸慾しよよくに與あづからざる者ものと爲なりて、無む慾よくに飾かざられたり。

 光榮、今も、生神女讚詞。

律法りつぱふの成じやう就じゆよ、慶よろこべ、聖せいなる三者さんしやの宮みや、不ふ朽きうなる聘女よめよ、慶よろこべ、萬有ばんいうの王わうの神聖しんせいなる乘輿のりものよ、慶よろこべ、無む形けいの火ひの熾炭やけずみを鉗はさみの如ごとく爾なんぢの手てにて執とりし者もの、新あらたなる樂園らくゑん、鎖とざしたる園その、神聖しんせいにして至いたりて光くわう明めいなる筵えん、無む垢てんの雌め鴿ばと、至し上じやう者しやの寶はう座ざ、神かみの無む形けいなる榻とこ、聖神せいしん゜の臨のぞみたる少女せうぢよよ、慶よろこべ。

 十字架生神女讚詞

昔むかし無垢むくなる牝め羊ひつじ及および無む玷てんなる女宰ぢよさいは己おのれの羔こひつじが十じふ字架じかに擧あげらるるを見みし時とき、母はゝとして哭なき、驚おどろきて呼よべり、甘愛かんあいなる子こよ、斯この新あらたにして神妙しんめうなる顯見あらはれは何なにぞ、如何いかんぞ恩おんを知しらざる民たみは爾なんぢ萬ばん衆しゆうの生命いのちをピラトの裁判さいばんに付わたして、死しに定さだむる、言ことばよ、我われ爾なんぢの言いひ難がたき寬くわん容ようを歌うたふ。

若し之あらば、自調。光榮、第八調。

克肖こくせうなる神しん父ぷよ、爾なんぢの諸德しよとくの果みは信者しんじやの心こゝろを樂たのしませたり、蓋けだし孰たれか爾なんぢの至し極ごくの謙遜けんそん、爾なんぢの忍耐にんたい、貧者ひんじやに對たいする厚かう情じやう、艱難かんなんに遭あふ者ものに對たいする慈じ憐れんを聞ききて驚おどろかざらん、成聖者せいせいしや(某)よ、爾なんぢは衆しゆう人じんを宜よろしきに合かなひて敎をしへたり。今いま爾なんぢは凋しぼまざる榮えい冠くわんを冠かうむれり、我われ等らの靈たましひの爲ために祈いのり給たまへ。

 今も、 生神女讚詞

生しやう神しん童貞女どうていぢよよ、爾なんぢの庇廕おほひは屬ぞく神しん゜の醫治いやしなり、我われ等ら之これに趨はしり附つきて、靈たましひの諸しよ病びやうより救すくはるればなり。

 十字架生神女讚詞

子こよ、我われは爾なんぢ萬ばん衆しゆうに警醒けいせいを與あたふる者ものが木きの上うへに寢いねたるを見みるに忍しのびず、然しかれども此これ昔むかし犯罪はんざいの果みに因よりて淪亾ほろびの眠ねむりに寢いねたる者ものに神聖しんせいなる救すくひの警醒けいせいを賜たまはん爲ためなりと、童貞女どうていぢよは哭なきて言いへり、我われ等ら彼かれを讚ほめ揚あぐ。

若し多燭詞ポリエレイを以て祭を行はば、復活の生神女讚詞第八調を誦すべし。

天てんの王わうは人ひとを愛あいするに因よりて地ちに現あらはれ、人ひとと偕ともに在いませり、蓋けだし淨きよき童貞女どうていぢよより身みを取とり、人ひとの性せいを有たもちて生うまれし者ものは、二ふたつの性せいにて一ひとつの位くらゐある獨どくいつ子しなり、故ゆゑに我われ等ら彼かれが實じつに全まつたき神かみ及および全まつたき人ひとなるを傳つたへて、ハリストス吾わが神かみを承うけ認みとむ、夫をつとを識しらざる母はゝよ、我わが靈たましひの憐あはれみを蒙かうむらんことを彼かれに祈いのり給たまへ。

 聖入。本日の提綱ポロキメン。成聖者の喩言パリミヤ三篇、巻末に載す。

 挿句くづけに讚頌スティヒラ、第八調。

成聖者せいせいしや(某)よ、爾なんぢは神靈しんれいの光ひかりの光くわう線せん、敎けう會くわいの燈ともしび、成聖者せいせいしやの装さう飾しよく、修道しうだう士しの修齋しゆさいの度ど生せいの眞まことなる模も範はん、我われ等らの保護ほご者しやと現あらはれて、我われ等らの靈たましひを殘害者ざんがいしやなる敵てきより解とき給たまふ。

句 聖人せいじんの死しは主しゆの目めの前まへに貴たつとし。

成聖者せいせいしや(某)よ、爾なんぢは神かみより大おほいなる權けんを受うけて、爾なんぢの祈き禱たうに因よりて、凡およそ信しんを以もつて爾なんぢに趨はしり附つく者ものより惡あく鬼きの大數たいすうを逐おひ、其害そのがいを退しりぞけ給たまふ。

句 我われ何なにを以もつて主しゆの我われに施ほどこしし悉ことごとくの恩おんに報むくいん。

我われ等ら如何いかに宜よろしきに合かなひて大おほいなる成聖者せいせいしや(某)を歌うたはん、彼かれは尊たふとき智慧ちゑ、神かみを顯あらはす光ひかり、我われ等らを照てらす者もの、神聖しんせいなる智ち識しきを與あたふる者もの、深ふかき奧密あうみつを敎をしふる者ものなり、我われ等ら皆みな同心どうしんに言いはん、諸しよ神しん父ぷの神しん父ぷ(某)よ、慶よろこべ。

 光榮、第八調。

成聖者せいせいしや(某)よ、爾なんぢは善よき牧者ぼくしや、熱切ねつせつなる敎けう師しなり、我われ等ら常つねに爾なんぢを讚ほめ揚あげて呼よぶ、神かみは爾なんぢを以もつて己おのれの敎けう會くわいを飾かざり、爾なんぢの肉體にくたい、多た年ねん地ちの中うちに隱かくれたる者ものをも不ふ朽きうの者ものとして己おのれの民たみに顯あらはせり。故ゆゑに爾なんぢを讚ほめ揚あげて、爾なんぢの記き憶おくを尊たふとむ者ものの爲ために絕たえず祈いのりて、我われ等らの靈たましひの爲ために諸罪しよざいの赦ゆるしと救すくひとを求もとめ給たまへ。

 今も、復活の生神女讚詞。

聘女よめならぬ童貞女どうていぢよ、言いひ難がたく身みにて神かみを孕はらみし者もの、至し上じやうなる神かみの母はゝよ、爾なんぢの諸僕しよぼくの祈き禱たうを受うけ給たまへ、衆しゆうに諸罪しよざいの潔淨きよめを予あたふる純じゆん潔けつなる者ものよ、今いま我われ等らの冀き願がんを納いれて、我われ等ら皆みな救すくはれんことを祈いのり給たまへ。

若し多燭詞ポリエレイを以て祭らずば、下の生神女讚詞を誦せよ。

女宰ぢよさいよ、爾なんぢの諸僕しよぼくの祈禱いのりを納いれて、我われ等らを諸もろもろの災さい禍わざはひと憂愁うれひより救すくひ給たまへ。

 十字架生神女讚詞

主宰しゆさいイイススよ、童貞女どうていぢよ爾なんぢの母はゝは爾なんぢが甘あまんじて十じふ字架じかに釘ていせられ、苦くるしみを受うくるを見みて呼よべり、哀かなしい哉かな甘愛かんあいなる子こよ、爾なんぢの慈じ憐れんを以もつて爾なんぢは人類じんるゐの不ふ能のうを醫いやす醫師いし、朽きう壞くわいより救すくふ者ものにして、如何いかんぞ非義ひぎに傷きずつけらるるを忍しのぶ。

讚詞トロパリは奉事例に据る。若し奉事例になくば、下の讚詞トロパリを誦せよ。第四調。

事じ實じつは爾なんぢを牧群ぼくぐんの爲ために信仰しんかうの則のり、温柔をんじうの模かた、節制せつせいの敎けう師しと顯あらはせり、故ゆゑに爾なんぢは卑ひくきを以もつて髙たかきを得え、貧まづしきを以もつて富とみを得えたり、成聖者せいせいしや神しん父ぷ(某)よ、ハリストス神かみに我われ等らの靈たましひの救すくはれんことを祈いのり給たまへ。

 光榮、今も、生神女讚詞。

 早課

「主は神なり」に讚詞トロパリ同上。

 第一の「カフィズマ」の後に坐誦讚詞セダレン、第一調。

成聖者せいせいしやよ、爾なんぢは萬有ばんいうの主宰しゆさいハリストスの役者えきしやと爲なりて、人人ひとびとを敎をしへ、聖洗せいせんを以もつて彼かれ等らを照てらし、神かみの誡いましめを行おこなふに導みちびき給たまへり、我われ等ら皆みな爾なんぢを眞實しんじつの傳道でんだう師し、成聖者せいせいしや、及およびハリストスの役者えきしやと稱となふ。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

聘女よめならぬ潔いさぎよき生しやう神しん童貞女どうていぢよ、信者しんじやの獨ひとりの轉達てんたつ及および帲幪おほひよ、我われ等ら衆しゆう倚賴たのみを爾なんぢに負おはしむる者ものを災害わざはひと憂愁うれひと甚はなはだしき誘惑いざなひより脫のがれしめ、少女せうぢよよ、爾なんぢの神聖しんせいなる祈き禱たうを以もつて我われ等らの靈たましひを救すくひ給たまへ。

 第二の「カフィズマ」の後に坐誦讚詞セダレン、第四調。

成聖者せいせいしや(某)よ、爾なんぢは少わかき時ときより爾なんぢの十じふ字架じかを任になひて、敬虔けいけんにハリストスに從したがひ、節制せつせいを以もつて肉にくの念おもひを枯からせり、此これに因よりて成聖者せいせいしやの座ざに坐ざして、主宰しゆさい及および其その至し淨じやうなる母はゝの光くわう榮えいを顯あらはせり、故ゆゑに神福しんぷくなる者ものよ、主宰しゆさいは種種しゆじゆの恩おん賜しを以もつて爾なんぢの柩ひつぎを飾かざり給たまへり。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

永在えいざいの神かみを生うみし純じゆん潔けつなる童貞女どうていぢよ、獨ひとり衆しゆうに歌うたはるる者ものよ、成聖者せいせいしやと共ともに常つねに神かみに祈いのりて、我われ等ら信しんと愛あいとを以もつて職しよくとして爾なんぢを歌うたふ者ものに未いまだ終をはらざる先さきに諸罪しよざいの赦免ゆるしと生命いのちの改新あらためとを賜たまはんことを求もとめ給たまへ。

「主の名を讚め揚げよ」の後に附唱。

成聖者せいせいしや神しん父ぷ(某)よ、我われ等ら爾なんぢを讚揚さんやうして、爾なんぢの聖せいなる記き憶おくを尊たふとむ、爾なんぢは我われ等らの爲ためにハリストス我わが神かみに祈いのり給たまへばなり。

 拔萃聖詠

「萬民ばんみん之これを聽きけ、全ぜん地ちに居をる者もの皆みな之これに耳みゝを傾かたぶけよ。」

 多燭詞ポリエレイの後に坐誦讚詞セダレン、第八調。

克肖こくせうなる成聖者せいせいしや(某)よ、爾なんぢは肉慾にくよくを制せいして、神かみに肖にたる成聖者せいせいしやと現あらはれ、爾なんぢの牧群ぼくぐんを神妙しんめうに治をさめて、洗禮せんれいを以もつて之これを照てらし、惟一ゆゐいちの神かみを三さん位ゐに讚榮さんえいすることを敎をしへたり、故ゆゑに信しんを以もつて神かみの正敎せいけう會くわい及および爾なんぢの不ふ朽體きうたいの柩ひつぎに來きたる者ものに逝世せいせいの後のちにも醫治いやしを流ながし給たまふ。ハリストス神かみに祈いのりて、愛あいを以もつて爾なんぢの聖せいなる記き憶おくを尊たふとむ者ものに罪過ざいくわの赦ゆるしを賜たまはんことを、求もとめ給たまへ。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

我われ等らは天てんの門もんと約匱やくひつ、至し聖せいなる山やま、光ひかれる雲くも、焚やかれぬ棘いばら、靈れい智ちなる樂園らくゑん、エワの赦ゆるしたる者ものを歌うたはん、彼かれは全ぜん世せ界かいの大おほいなる器うつはにして、其中そのうちに世せ界かいの爲ために救すくひと古いにしへの諸罪しよざいの赦ゆるしとは行おこなはれたり。故ゆゑに我われ等ら彼かれに呼よぶ、敬虔けいけんに爾なんぢの至し聖せいなる產さんに伏拜ふくはいする者ものに罪過ざいくわの赦ゆるしを賜たまはんことをハリストス神かみに祈いのり給たまへ。

 品第詞ステペンナ、第四調の第一倡和詞アンティフォン。

 提綱ポロキメン、第四調。

我わが口くちは睿えい智ちを出いだし、我わが心こゝろの思おもひは智ち識しきを出いださん。

句 義ぎ人じんの口くちは睿えい智ちを言いひ、其その舌したは義ぎを語かたる。

「凡そ呼吸ある者」

成聖者の福音經、巻末に載す。

 第五十聖詠の後に讚頌スティヒラ、第六調。

神かみの嗣よつぎ、ハリストスの友とも、主しゆの役者えきしやたる聖せい(某)よ、爾なんぢの度ど生せいは爾なんぢの名なに適かなへり、蓋けだし白髪はくはつと偕ともに智慧ちゑは光ひかり、爾なんぢが面おもての麗うるはしきは靈たましひの順良じゆんりやうを證しようし、言ことばの慎つゝまやかなるは温柔をんじうを顯あらはせり。爾なんぢの生命いのちは光くわう榮えいなり、寢ねむりも聖者せいしやと偕ともに在あり、我われ等らの靈たましひの爲ために祈いのり給たまへ。

 規程カノン、第六調。

第一歌頌

イルモス イズライリは陸くがの如ごとく淵ふちを蹈ふみ渡わたり、追おひ詰つめしファラオンの溺おぼるるを見みて呼よべり、凱歌かちうたを神かみに奉たてまつらん。

成聖者せいせいしやよ、爾なんぢ神かみの役者えきしやとして、天てん上じやうの品ひん位ゐと偕ともに神かみの前まへに立たちて、熱切ねつせつに我われ等らの爲ために祈いのり給たまへ、我われ等らが爾なんぢの祈き禱たうに因よりて永遠えいゑんの福ふくを受うけん爲ためなり。

福ふくたる神しん父ぷ(某)よ、爾なんぢは主しゆより尊たふとき福音ふくいんに勤つとめん爲ために選えらばれて、心こゝろを盡つくして睿えい智ちなる敎をしへを以もつて人人ひとびとを養やしなひ給たまへり。

神かみの睿えい智ちなる成聖者せいせいしや、神福しんぷくなる(某)よ、爾なんぢは神かみの睿えい智ちに富とまされ、心こゝろより活いける言ことばを流ながして、諸慾しよよくに因よりて荒あれたる人人ひとびとの靈たましひを濕うるほし給たまへり。

 生神女讚詞

潔いさぎよき者ものよ、預よ言者げんしやの聖せいにせられし會くわいは遠とほくより爾なんぢを神かみの眞まことの母はゝとならんとする者ものにして、ヘルワィム及および一切いつさいの造物ざうぶつより髙たかき者ものなりと示しめしたり。

第三歌頌

イルモス 爾なんぢが信者しんじやの角つのを髙たかうし、我われ等らを爾なんぢが承認うけとめの石いしに堅かためし仁じん慈じの主しゆ、吾わが神かみよ、爾なんぢと均ひとしく聖せいなるはなし。

福ふくたる神しん父ぷよ、爾なんぢは神聖しんせいなる甘かん味みを爾なんぢの口くちより滴したゝらし、無む神しんの苦にがき滴したゝりを涸からして、神しん智ちの飮料のみものを以もつて敬虔者けいけんしやに飮のませ給たまへり。

成聖者せいせいしや神しん父ぷ(某)よ、爾なんぢは神かみの定さだめにて預よ定ていせられて、我われ等らの爲ために祭まつりとして己おのれを捧さゝげし神かみに無む血けつの祭まつりを獻けんずる成聖者せいせいしやと爲なり給たまへり。

至し榮えい至し尊そんなる成聖者せいせいしや(某)よ、爾なんぢの尊たふとき體たいの置おかるる柩ひつぎは神かみの樂園らくゑんの如ごとく芳かうばしき香かを放はなちて、信者しんじやを馨かをらす。

 生神女讚詞

至し淨じやうなる者ものよ、爾なんぢの產さんの言いひ難がたき深處ふかみを人ひとの智慧ちゑは測はかる能あたはず、蓋けだし神かみは仁じん慈じに因よりて己おのれを卑ひくくして、爾なんぢの胎内たいないに於おいて全まつたく我われを新あらたにし給たまへり。

 坐誦讚詞セダレン、第四調。

福ふくたる克肖者こくせうしやよ、爾なんぢは醇じゆん正せいにハリストスの敎けう會くわいを牧ぼくし、諸しよ異い端たんの稗ひえを斥しりぞけて、今いま最髙いとたかき處ところに居をり給たまふ。

 光榮、今も、生神女讚詞。

生しやう神しん童貞女どうていぢよ、獨ひとり潔いさぎよく、獨ひとり祝しゆく福ふくせられし者ものよ、我われ等らは爾なんぢより身みを取とりし者ものを父ちゝの言ことば、ハリストス我われ等らの神かみなりと知しれり、故ゆゑに絕たえず爾なんぢを歌うたひて讚ほめ揚あぐ。

 十字架生神女讚詞

至し淨じやうなる者ものよ、爾なんぢは己おのれの子こが木きの上うへに擧あげられしを見みて、母はゝの心こゝろ裂さかれて、泣なきて呼よべり、哀かなしい哉かな吾わが永久えいきうの光ひかりよ、如何いかんぞ隱かくれたる。

第四歌頌

イルモス 尊たふとき敎けう會くわいは淨きよき心こゝろより主しゆの爲ために祝いはひ、神かみに適かなひて呼よび歌うたふ、ハリストスは吾わが力ちからと神かみと主しゆなり。

聖せいにせられし神しん父ぷ(某)よ、爾なんぢは聖神せいしん゜に盈みてられて、人人ひとびとより惡あく神しん゜を遠とほざけ、爾なんぢの屬ぞく神しん゜の敎をしへを以もつて彼かれ等らを篤信とくしんの者ものと爲なし給たまへり。

爾なんぢは造つくられざる惟一者ゆゐいちしやが三さん位ゐに分わかるれども、分ぶん離りなく混淆こんかうなきを敎をしへて、爾なんぢの聖せいにせられし神學しんがくを以もつて敬虔者けいけんしやを照てらし給たまへり。

爾なんぢは先まづ節制せつせいと勤勞きんらうとを以もつて肉にくの念おもひを殺ころして、神聖しんせいなる成聖者せいせいしや及および三者さんしやの前まへに至いたりて聖せいにせられし轉達者てんたつしやと爲なり給たまへり。

 生神女讚詞

至し淨じやうなる神かみの母はゝよ、爾なんぢに因よりて原げん母ぼの詛のろひは解とかれたり、爾なんぢ我われ等らの爲ために成聖せいせいの泉いづみ、永在えいざいの生命いのちを生うみたればなり。

第五歌頌

イルモス 至し仁じんなる神かみの言ことばよ、切せつに祈いのる、爾なんぢに朝あさの祈き禱たうを奉たてまつる者ものの靈たましひを爾なんぢが神かみの光ひかりにて照てらして、爾なんぢ罪つみの暗やみより呼よび出いだす眞まことの神かみを知しらしめ給たまへ。

爾なんぢは神かみの至いたりて聖せいにせられし成聖者せいせいしやとして、慎つゝしみて神かみの事ことを行おこなひ、最いと潔いさぎよき思おもひを以もつて潔いさぎよき事ことに觸ふれて、神かみの無む玷てんなる役者えきしやと現あらはれたり。

偶像ぐうざうの役者えきしやたりし者ものは爾なんぢの尊たふとき敎をしへに由よりて神かみの役者えきしやと爲なれり、爾なんぢ彼かれ等らを不ふ當たうなる事ことより救すくひて、神かみ全能者ぜんのうしやの當然たうぜんなる役者えきしやと現あらはれたり。

克肖者こくせうしやよ、爾なんぢは恩おん寵ちように召めされて、爾なんぢの言ことばの力ちからを以もつて拜偶像はいぐうざうの無む神しんを破やぶり、神かみの恩おん寵ちようを以もつて荒あれたる人人ひとびとの心こゝろを豐ゆたかに實みを結むすぶ者ものと爲なし給たまへり。

 生神女讚詞

夫をつとに與あづからざる神かみの聘女よめマリヤよ、爾なんぢは奇異きいなる爾なんぢの產さんの後のちにも前さきの如ごとく童貞女どうていぢよに止とゞまれり、蓋けだし生うまれし者ものは神かみにして、己おのれの旨むねを以もつて一切いつさいを變化へんくわする主しゆなり。

第六歌頌

イルモス 誘惑いざなひの猛風あらしにて浪なみの立たち揚あがる世よの海うみを觀みて、爾なんぢの穩おだやかなる港みなとに著つきて呼よぶ、憐あはれみ深ふかき主しゆよ、我わが生命いのちを淪亾ほろびより救すくひ給たまへ。

至いたりて聖せいにせられし神しん父ぷよ、爾なんぢの舌したは聖神せいしん゜に銳するどくせられて、神かみの指麾しきに由よりて、迅書者じんしよしやの筆ふでの如ごとく敬虔けいけんの者ものの心こゝろに恩おん寵ちようの言ことばを書しるし給たまへり。

聖せいにせられし神しん父ぷ、至いたりて完くわん全ぜんなる(某)よ、爾なんぢは神靈しんれいの至し聖所せいじよに入いるが如ごとく神聖しんせいなることを學まなびて、聖神せいしん゜に由よりて三者さんしやの光ひかりを以もつて信者しんじやを完くわん全ぜんならしめ給たまふ。

至し尊そんなる成聖者せいせいしやよ、爾なんぢは己おのれの敎をしへの流ながれにて不ふ虔者けんしやの敎をしへの濁にごりたる流ながれを塞ふさぎ、和わ平へいの川かはと爲なりて、信者しんじやの會くわいに敬虔けいけんを飮のましめ給たまへり。

 生神女讚詞

神かみの恩おん寵ちようを蒙かうむれる純じゆん潔けつなる少女せうぢよよ、言ことばは種たねなく爾なんぢの腹はらに入いりて、完くわん全ぜんなる人ひとと爲なり、神かみに適かなひて獨ひとり自みづから知しるが如ごとく、人性じんせいを新あらたにし給たまへり。

小讚詞コンダクは奉事例に据る。若し奉事例になくば、下の小讚詞コンダクを誦せよ。第二調。

神聖しんせいなる雷いかづち、屬ぞく神しんの角らつぱ、信しんの扶ふ植しよく者しや、異い端たんの斷絕者だんぜつしや、三者さんしやの役者えきしや、大おほいなる成聖者せいせいしや(某)よ、常つねに諸天しよてん使しと偕ともに神かみの前まへに立たちて、絕たえず我われ等ら衆しゆうの爲ために祈いのり給たまへ。

 同讚詞イコス

我われ不ふ當たうの者ものは怠惰おこたりに由よりて堕だ落らくし、死しの寢ねむりに寢いねたり、求もとむ、神しん父ぷ(某)よ、善よき牧者ぼくしやとして我われを起おこして、甚はなはだしく我われを苦くるしむる吾わが諸慾しよよくを眠ねむらせ給たまへ、我わが起おきて爾なんぢの光くわう明めいなる慶けい賀がを歌うたはん爲ためなり、蓋けだし全ぜん地ちの主宰しゆさいは宜よろしきに合かなひて爾なんぢを至いたりて忠ちゆう信しんなる僕ぼく及および睿えい智ちなる敎けう師しとし、友とも及および奧密者あうみつしやとし、其その傳でんの家宰つかさ及および傅ふ膏かうを汚けがれなく守まもりし者ものとして榮えいし給たまへり。睿えい智ちなる者ものよ、絕たえず我われ等ら衆しゆうの爲ために祈いのり給たまへ。

第七歌頌

イルモス 神かみの使つかひは潔いさぎよき少者せうしやの爲ために爐ゐろりに露つゆを出いださしめ、ハルデヤ人じんを焼やく神かみの詔みことのりは苦くるしむる者ものに呼よばしめたり、吾わが先せん祖ぞの神かみよ、爾なんぢは崇あがめ讚ほめらる。

睿えい智ち者しやよ、爾なんぢは神かみの指麾しきに由よりて屬ぞく神しん゜の恩おん寵ちように照てらされ、導みちびく星ほしと爲なりて、人人ひとびとを照てらして歌うたはしむ、吾わが先せん祖ぞの神かみは崇あがめ讚ほめらる。

聖せいにせられし者ものよ、爾なんぢは德行とくかうに耀かゞやきて、至し聖せいなる殿でんと爲なり、造つくられざる三者さんしやを爾なんぢの内うちに居をらしめて呼よぶ、吾わが先せん祖ぞの神かみは崇あがめ讚ほめらる。

爾なんぢは神聖しんせいなる警醒けいせいを以もつて目めより眠ねむりを拂はらひて、光くわう明めいなる天てん使しより神かみの光くわう照せうを受うけて、信者しんじやの爲ために柱はしら及および扶助たすけと爲なり、眞まことの成聖者せいせいしやと爲なり給たまへり。

 生神女讚詞

至し淨じやうなる者ものよ、像かたどられぬ者ものとして父ちゝの懷ふところに坐ざする主しゆは、アダムの救すくひの爲ために爾なんぢより身みを取とりて、像かたどらるる者ものとして爾なんぢの懷ふところに坐ざし給たまふ。

第八歌頌

イルモス ハリストスよ、爾なんぢは潔いさぎよき者ものの爲ために㷔ほのほより露つゆを注そゝぎ、義ぎ人じんの祭まつりの爲ために水みづより火ひを出いだせり、爾なんぢは一ひとつの望のぞみにて萬ばん事じを行おこなひ給たまへばなり、我われ等ら爾なんぢを世世よよに讚ほめ揚あぐ。

福ふくたる者ものよ、爾なんぢは己おのれの卑ひくきを以もつて傲慢がうまんなる蛇へびを卑ひくくし、己おのれの潔いさぎよき思おもひを以もつて神かみに上あげられたり、故ゆゑに我われ等ら爾なんぢを尊たふとみて、ハリストスを世世よよに讚ほめ揚あぐ。

睿えい智ちなる神しん父ぷ(某)、捧神ほうしんなる成聖者せいせいしやよ、爾なんぢは身みを取とりし言ことばを傳つたへ、拜偶像はいぐうざうの不ふ虔けんを逐おひて、人人ひとびとを奴ど隷れいの迷まよひより救すくひ給たまへり。

神しん父ぷよ、爾なんぢは己おのれの度ど生せいを爾なんぢの主宰しゆさいの度ど生せいに似にたる者ものと爲なし、言ことばを度ど生せいに似にたる者ものと爲なして、屬ぞく神しん゜の日ひに滿みてられて、天てん上じやうの安息あんそくの處ところに移うつり給たまへり。

 生神女讚詞

神かみの恩おん寵ちようを蒙かうむれる讚さん美びたる少女せうぢよよ、我われ等らは爾なんぢの產さんに由よりて始はじめの詛のろひより救すくはれて、ガウリイルに效ならひて爾なんぢに呼よぶ、衆しゆう人じんの救すくひの緣由ゆゑんなる者ものよ、慶よろこべ。

第九歌頌

イルモス 天てん使しの品ひん位ゐすら見みるを得えざる神かみは、人ひと見みる能あたはず、唯たゞ爾なんぢ至し淨じやうの者ものに依よりて人體じんたいを取とりし言ことばは人人ひとびとに現あらはれ給たまへり、我われ等ら彼かれを崇あがめて、天軍てんぐんと偕ともに爾なんぢを讚ほめ揚あぐ。

成聖者せいせいしやよ、爾なんぢは温柔をんじう善ぜん良りやうなる者ものにして、温柔をんじうの者ものの地ちに入いり、諸德しよとくに輝かゞやき、善行ぜんかうに光ひかりて、天てん上じやうの軍ぐんと偕ともに居をり給たまふ。

克肖者こくせうしやよ、爾なんぢは神かみの光くわう榮えいを仰あふぎ、諸天しよてん使しの光くわう照せう、太たい祖そと致ち命者めいしやと使徒しととの華麗くわれいを見みて、彼かれ等らと偕ともに仁愛じんあいなる主しゆに祈いのりて、我われ等ら爾なんぢを讚ほめ揚あぐる者ものに諸罪しよざいの赦ゆるしと生命いのちの更新あらためとを賜たまはんことを求もとむ。

爾なんぢは成聖者せいせいしやの寶はう座ざを飾かざり、諸天しよてん使しに效ならひて生命いのちを送おくり、牧群ぼくぐんに醇じゆん正せいの敎をしへを授さづけて、之これを敬虔けいけんに養やしなひ、完くわん全ぜんなる人人ひとびとを神かみに進すゝめて、今いま天てん上じやうの光くわう榮えいを蒙かうむりて、諸天しよてん使しと偕ともに喜よろこぶ。

 生神女讚詞

童貞女どうていぢよよ、天てんの滴したゝりは雨あめの如ごとく爾なんぢの胎内たいないに降くだりて、迷まよひの流ながれを涸からし、衆しゆう人じんに不ふ朽きうを注そゝげり、神かみの恩おん寵ちようを蒙かうむれる者ものよ、爾なんぢに賴よりて贖しよく罪ざいは賜たまはりたり。

 光耀歌

今日こんにち光くわう明めいなる慶けい賀がは嚴おごそかに行おこなはる、神かみの顏かんばせの前まへに光くわう榮えいの光ひかりの中うちに立たてる成聖者せいせいしや(某)よ、爾なんぢの記き憶おくを讚ほめ揚あぐる我われ等らを憶おもひ給たまへ。

 生神女讚詞

至し淨じやうなる者ものよ、我われ等ら爾なんぢより生うまれしハリストスと偕ともに釘ていせらるる者ものは神かみ及および爾なんぢに恃賴たのみを負おはしむ、彼かれに奉たてまつる爾なんぢの祈き禱たうを以もつて我われ等らを終をはりに至いたるまで害がいせらるるなく護まもり給たまへ。

 「凡そ呼吸ある者」に讚頌スティヒラ、第八調。

克肖こくせうなる神しん父ぷ(某)よ、爾なんぢは神しん智ちの梯かけはしを登のぼりて、神かみに近ちかづき、子こたる恩おん賜しを得えて、醫いやされぬ諸しよ病びやうを醫いやし、惡あく鬼きを遠とほざけ給たまふ。故ゆゑに我われ等ら爾なんぢの記き憶おくを祭まつりて、歡よろこびの心こゝろを以もつて己おのれの役者えきしやを榮えいせしハリストスを讚榮さんえいす。二次

奇異きいなる神しん父ぷ(某)よ、爾なんぢは智慧ちゑの光ひかりに照てらされて、諸慾しよよくの激浪あらなみの海うみを鎮しづめ、無む慾よくの淨きよき翼つばさにて飛とび、言いひ難がたく度はかり難がたき華麗くわれいの處ところに至いたりて、常つねに爾なんぢを讚ほめ揚あぐる我われ等らの爲ために祈いのり給たまふ。

神福しんぷくなる(某)よ、爾なんぢは諸神しよしん父ぷの神しん父ぷ、神品しんぴん職しよくの楷式のり、貞潔ていけつの規き範はん、修道しうだう士等しらの模も範はん、敎けう會くわいの固かため、愛あいの燈ともしび、善德ぜんとくの寶はう座ざ、奇き跡せきの泉いづみ、火ひを噴ふく舌した、甘味あまみを流ながす口くち、聖神せいしん゜の器うつは、靈れい智ちの樂園らくゑんなり。

 光榮、第六調。

三重みへに福ふくたる克肖者こくせうしや、至し聖せいなる神しん父ぷ、善よき牧者ぼくしや、牧ぼく師し長ちやうハリストスの門もん徒と、己おのれの生命いのちを羊ひつじの爲ために捐すてし讚さん美びたる成聖者せいせいしや(某)よ、今いまも爾なんぢの祈き禱たうを以もつて我われ等らに大おほいなる憐あはれみを賜たまはんことを祈いのり給たまへ。

 今も、生神女讚詞。

生しやう神しん童貞女どうていぢよよ、我われ等らは爾なんぢより身みを取とりし者ものの神かみなるを悟さとれり、彼かれに我われ等らの靈たましひの救すくひの爲ために祈いのり給たまへ。

 十字架生神女讚詞

童貞女どうていぢよ母はゝは十じふ字架じかの側かたはらに立たち、己おのれの子こが甘あまんじて苦くるしみを受うくるを見みて、彼かれを讚榮さんえいせり。

 

第十一編 二人或は多人の成聖者の總奉事

 晩課

「主よ爾に籲ぶ」に讚頌スティヒラ、第四調。

至し尊そんにして讚さん美びたる成聖者せいせいしやよ、爾なんぢ等らは光くわう明めいなる星ほしの如ごとく世せ界かいを飾かざり、光くわう線せんを以もつて之これを照てらして、正敎せいけうの定てい理りを固かため、異い端たんの闇やみを拂はらふ。信しんを以もつて爾なんぢ等らの至し尊そんなる記き憶おくを行おこなふ者ものが朽きう壞くわい及および艱難かんなんより救すくはれんことを祈いのり給たまへ。

至し福ふくなる捧神者ほうしんしやよ、爾なんぢ等らは光ひかりを施ほどこす日ひと現あらはれて、屬神ぞくしんの輝かゞやきを以もつて全ぜん地ちを照てらし、神かみの命めいの光くわう線せんを四し極きよくに放はなちて、童貞女どうていぢよより輝かゞやきし者ものの力ちからに由よりて、信者しんじやの心こゝろを照てらして、諸しよ異い端たんの闇やみを拂はらひ給たまふ。

至し福ふくなる者ものよ、爾なんぢ等らは定てい理りの杖つゑを以もつて神靈しんれいの狼おほかみをハリストスの敎けう會くわいより逐おひ、靈れい智ちなる堡嶂かためを以もつて四し方はうより之これを繞めぐらして、之これを全まつたうし動うごきなき者ものとしてハリストスに捧さゝげたり。彼かれに祈いのりて、信しんを以もつて爾なんぢ等らの至し尊そんなる記き憶おくを行おこなふ者ものが朽きう壞くわい及および艱難かんなんより救すくはれんことを求もとめ給たまへ。

 光榮、今も、生神女讚詞。

至し聖せいなる神かみの聘女よめよ、爾なんぢの祈き禱たうを以もつて吾わが卑微ひびなる靈たましひを諸罪しよざいと、定罪ていざいと、死しより脫のがれしめ、終をはりの至いたらざる先さきに痛つう悔くわいと淚なみだの流ながれとを以もつて我われを潔きよめられたる者ものと爲なし、詰問きつもんの日ひに於おいて我われに諸聖人しよせいじんの會くわいの受うけし義ぎとせらるることを得えしめ給たまへ。

 十字架生神女讚詞

至し淨じやうなる者ものは人ひとを愛あいする主しゆハリストスの十じふ字架じかに釘ていせられ、戈ほこにて脅わきの刺ささるるを見みて、哭なきて呼よべり、吾わが子こよ、此これ何なにぞ、恩おんを知しらざる民たみは爾なんぢが彼かれ等らに爲なしし善ぜんに易かへて何なにをか爾なんぢに報むくいたる、至し愛あいなる者ものよ、胡爲なんすれぞ我われを子こなき者ものとして遺のこす、慈じ憐れんなる主しゆよ、我われ爾なんぢが甘あまんじて受うくる釘殺ていさつを奇きとす。

若し之あらば、自調。光榮、第六調。

神かみの人人ひとびと及および忠ちゆうなる僕ぼく、主しゆの役者えきしや、慈じ愛あいを蒙かうむれる者もの、選えらばれたる器うつは、敎けう會くわいの柱はしら及および堅固かため、國くにの嗣よつぎよ、我われ等らの爲ために主しゆに籲よびて默もだす毋なかれ。

 今も、 生神女讚詞

生しやう神しん童貞女どうていぢよよ、我われ等らは爾なんぢより身みを取とりし者ものの神かみなるを悟さとれり、彼かれに我われ等らの靈たましひの救すくひの爲ために祈いのり給たまへ。

 十字架生神女讚詞

ハリストスよ、爾なんぢを生うみし者ものは爾なんぢの釘ていせらるるを見みて呼よべり、吾わが子こよ、我わが見みる所ところの奧密あうみつは何なんぞ驚おどろくべき、生命いのちを賜たまふ主しゆよ、如何いかんぞ身みにて木きに懸かけられて死しする。

若し多燭詞ポリエレイを以て祭を行はば、復活の生神女讚詞第六調を誦すべし。

至し聖せいなる童貞女どうていぢよよ、誰たれか爾なんぢを讚さん美びせざらん、誰たれか爾なんぢの至いたりて淨きよき產さんを歌うたはざらん、世よの無なき先さきに父ちゝより光ひかる獨生どくせいの子こは爾なんぢ淨きよき者ものより言いひ難がたく身みを取とりて出いで、本性ほんせいの神かみは我われ等らの爲ために本性ほんせいの人ひとと爲なれり、其その位くらゐ一ひとつにして相分あひわかれず、其その性せい二ふたつにして相あひ失うしなはず、淨きよくして至いたりて福さいはひなる者ものよ、我わが靈たましひの憐あはれみを蒙かうむらんことを彼かれに禱いのり給たまへ。

 聖入。本日の提綱ポロキメン。成聖者の喩言パリミヤ、巻末に載す。

 挿句くづけの讚頌スティヒラ、第一調。

屬神ぞくしん゜の祕ひ密みつ者しや、靈れい智ちなる神かみの箛らつぱ、神聖しんせいなる鑑かゞみ、聖せいにして火舌くわぜつなる成聖者せいせいしや、金水きんすゐの敎をしへを我われ等らに流ながす者ものを今日こんにち宜よろしきに合かなひて讚ほめ揚あげん、我われ等らの靈たましひに平安へいあんと大おほいなる憐あはれみとを賜たまはんことをハリストスに祈いのり給たまへ。

句 聖人せいじんの死しは主しゆの目めの前まへに貴たつとし。

信仰しんかうの則のり、神聖しんせいにして有能いうのうなる智慧ちゑ、金水きんすゐの川かは、至いたりて光くわう明めいなる尊たふとき燈ともしび、聖三者せいさんしやの軍ぐん士し、聖神せいしん゜の恩おん寵ちようの居處すまひ、動うごかざる柱はしら、敎けう會くわいの堅固かためなる神しん父等ぷらを宜よろしきに合かなひて歌うたを以もつて讚ほめ揚あげん。

句 爾なんぢの司し祭さい等らは義ぎを衣き、爾なんぢの諸聖者しよせいしやは悅よろこばん。

聖神せいしん゜の器うつは、神聖しんせいなる雷いかづちの箛らつぱ、傳道でんだうの電いなづま、大いたく輝かゞやける燈ともしび、神かみに依よりて光ひかりを施ほどこす至し福ふくなる成聖者せいせいしやよ、爾なんぢ等らを尊たふとむ我われ等らの爲ためにハリストスに祈いのりて、我われ等らの靈たましひに平安へいあんと大おほいなる憐あはれみとを賜たまはんことを求もとめ給たまへ。

 光榮、第六調。

我われ等ら今日こんにち聖神せいしん゜の祕ひ密みつの箛らつぱたる捧神ほうしんなる神しん父等ぷらを讚ほめ揚あげん、彼かれ等らは敎けう會くわいの中なかに神學しんがくの諧かい和わの歌うた、惟一ゆゐいちにして變易へんえきせざる三者さんしや、永在えいざいの神性しんせいを歌うたへり、彼かれ等らは諸しよ異い端たんを破は壞くわいする者もの、正敎者せいけうしやの爲ために戰たゝかふ者もの、且かつ恒つねに主しゆに我われ等らの靈たましひに憐あはれみを蒙かうむらしめんことを祈いのる者ものなり。

 今も、生神女讚詞。

生しやう神女しんぢよよ、爾なんぢは實じつの葡ぶ萄だうの枝えだ、我われ等らの爲ために生命いのちの果みを結むすびし者ものなり、女宰ぢよさいよ、爾なんぢに祈いのる、聖せい使徒しとと共ともに我わが靈たましひの憐あはれみを蒙かうむらんことを祈いのり給たまへ。

 十字架生神女讚詞

昔むかし童貞女どうていぢよは童貞者どうていしや門もん徒とと偕ともに主しゆの釘ていせらるる時とき 木きの側かたはらに立たちて、泣なきて呼よべり、嗚呼あゝ哀かなしい哉かな、衆しゆうに苦くるしみなきを賜たまふハリストスよ、如何いかんぞ苦くるしみを受うくる。

讚詞トロパリは奉事例に据る。若し奉事例になくば、下の讚詞トロパリを誦せよ。第四調。

我わが先せん祖ぞの神かみ、常つねに爾なんぢの寬くわん容ように由よりて我われ等らに行おこなふ主しゆよ、爾なんぢの仁じん慈じを我われ等らより離はなさずして、彼かれ等らの祈き禱たうに因よりて我わが生命いのちを平安へいあんに治をさめ給たまへ。

 光榮、今も、生神女讚詞、或は十字架生神女讚詞。

 早課

「主は神なり」に讚詞トロパリ同上。

 第一の「カフィズマ」の後に坐誦讚詞セダレン、第五調。

我われ等ら敎けう會くわいの王わうたる飾かざりとして主しゆの成聖者せいせいしや、定てい理りの盡つきざる寶藏はうざうなる者ものを讚ほめ揚あげん、蓋けだし彼かれ等らは此これを以もつて我われ等らに性せいの合一がふいつにして位ゐの分わかれたる聖三者せいさんしやを尊たふとまんことを敎をしへ給たまへり。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

神かみの恩おん寵ちようを蒙かうむれる至し聖せいなる童貞女どうていぢよよ、我われ等ら信しんを以もつて爾なんぢ慈じ憐れんなる者ものに就つきて、爾なんぢの熱切ねつせつなる保護ほごを求もとむる者ものを憐あはれみ給たまへ、爾なんぢは至し上じやうなる神かみの仁じん慈じの母はゝとして、爾なんぢの母はゝたる祈き禱たうを以もつて常つねに衆しゆうを覆おほひて、救すくはんことを能よくすればなり。

 第二の「カフィズマ」の後に坐誦讚詞セダレン、第三調。

神しん智ちなる成聖者せいせいしやよ、爾なんぢ等らは敎けう會くわいの柱はしらたり、正敎せいけうの奪うばはれぬ富とみと現あらはれ、潔けつ淨じやうを以もつて爾なんぢ等らの生命いのちを輝かゞやかし、聖三者せいさんしやの敎をしへを説とき給たまへり、克肖こくせうなる神しん父等ぷらよ、ハリストス神かみに我われ等らの靈たましひの救すくひの爲ために祈いのり給たまへ。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

神かみの性せいに離はなれずして、爾なんぢの胎内たいないに身みを取とりて、神人かみびとと生うまれし惟一ゆゐいちの主しゆは、爾なんぢ母はゝを產さんの後のちにも產さんの前まへの如ごとき純じゆん潔けつなる童貞女どうていぢよとして護まもり給たまへり、彼かれに熱切ねつせつに大おほいなる憐あはれみを我われ等らに賜たまはんことを祈いのり給たまへ。

「主の名を讚め揚げよ」の後に附唱。

大おほいなる成聖者せいせいしやよ、我われ等ら爾なんぢ等らを讚揚さんやうして、爾なんぢ等らの聖せいなる記き憶おくを尊たふとむ、爾なんぢ等らは我われ等らの爲ためにハリストス我わが神かみに祈いのり給たまへばなり。

 拔萃聖詠

「萬民ばんみん之これを聽きけ、全ぜん地ちに居をる者もの皆みな之これに耳みゝを傾かたぶけよ。」

 多燭詞ポリエレイの後に坐誦讚詞セダレン、第四調。

睿えい智ちなる全ぜん地ちの敎けう師等しら、行おこなひと言ことばとを以もつて地ち上じやうに神かみを榮えいせし者ものは、我われ等らの救すくひの轉達者てんたつしやとして、今日こんにち讚揚さんやうせらるべし。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

患くわん難なんに遇あふ者ものの勝かたれぬ轉達者てんたつしやたる生しやう神女しんぢよ、爾なんぢを賴たのむ者ものの熱切ねつせつなる保護ほご者しやよ、我われを諸難しよなんより救すくひ給たまへ、爾なんぢは衆しゆう人じんの扶ふ助者じよしやなればなり。

 品第詞ステペンナ、第四調の第一倡和詞アンティフォン。

 提綱ポロキメン、第四調。

聖人せいじんの死しは主しゆの目めの前まへに貴たつとし。

句 我われ何なにを以もつて主しゆの我われに施ほどこしし悉ことごとくの恩おんに報むくいん。

「凡そ呼吸ある者」

成聖者の福音經、巻末に載す。

 第五十聖詠の後に讚頌スティヒラ、第六調。

克肖こくせうなる諸神しよしん父ぷよ、爾なんぢ等らの諸德しよとくの風聲きこゑは全ぜん地ちに傳つたはる、爾なんぢ等らは惡あく鬼きの群むれを破やぶり、潔けつ淨じやうを以もつて天てん使しの生命いのちに效ならひて、其その品ひん位ゐに至いたり、天てんに於おいて己おのれの勤勞きんらうの賞むくいを獲えたり。主しゆの前まへに勇敢いさみを有たもちて、我われ等らの靈たましひの爲ために平安へいあんを求もとめ給たまへ。

 規程カノン、第八調。

第一歌頌

イルモス 我われ等ら其民そのたみをして紅くれなゐの海うみを過とほらせし主しゆに歌うたはん、彼かれ獨ひとり嚴おごそかに光くわう榮えいを顯あらはしたればなり。

世せ界かいの中うちに光ひかれる睿えい智ちなる成聖者せいせいしやよ、爾なんぢ等らは萬有ばんいうの王わうの神聖しんせいなる命めいを行おこなひしを以もつて耀かゞやく、故ゆゑに我われ等らハリストスを歌うたはん、彼かれ光くわう榮えいを顯あらはしたればなり。

信者しんじやよ、我われ等ら至し大だい至し尊そんなる成聖者せいせいしやを尊たふとまん、蓋けだし彼かれ等らは世せ界かいの中うちに敬虔けいけんの光ひかりを以もつて耀かゞやき、不ふ虔けんの暗やみを拂はらへり。

捧神ほうしんなる聖せいにせられし傳道でんだう師等しらよ、諸天しよてん使しと偕ともに萬有ばんいうの王わうの前まへに立たちて、爾なんぢ等らの記き憶おくを行おこなふ我われ等らに諸罪しよざいの潔淨きよめを賜たまはんことを祈いのり給たまへ。

 生神女讚詞

永遠えいゑんに父ちゝより生うまるる無む原げんの言ことばを孕はらみて、身みを取とりし者ものとして言ことばに超こえて生うみたる至し淨じやうなる者ものよ、我われ等らが諸難しよなんより救すくはれんことを切せつに祈いのり給たまへ。

第三歌頌

イルモス 始はじめに智慧ちゑにて天てんを堅かため、地ちを水みづの上うへに建たてしハリストスよ、爾なんぢが誡いましめの石いしに我われを堅かため給たまへ、爾なんぢ獨ひとり人ひとを慈いつくしむ主しゆの外ほかに聖せいなる者ものなければなり。

克肖こくせうなる捧神者ほうしんしやよ、爾なんぢ等らは眞まことの節制せつせいと倦うまざる祈き禱たうとを以もつて諸德しよとくの最髙いとたかき城邑まちに登のぼれり、彼處かしこに常つねに主宰しゆさいの光くわう榮えいの中うちに樂たのしむ。

克肖こくせうなる成聖者せいせいしやよ、神かみの前まへに勇敢いさみを有たもつ者ものとして、我われ等ら信しんを以もつて爾なんぢ等らの記き憶おくを歌うたふ者ものの救すくはれんことを祈いのり給たまへ。

克肖者こくせうしやよ、爾なんぢ等らは敬虔けいけんの範のりの敎けう師し、神かみの睿えい智ちなる言ことば及および眞實しんじつの傳道でんだう師しとして、諸しよ異い端たんに對たいして勝しよう利りを獲えたり。

 生神女讚詞

神かみの母はゝ潔いさぎよき童貞女どうていぢよよ、我われ等ら皆みな爾なんぢを神かみの寶はう座ざ及および天てんとして歌うたふ、蓋けだし爾なんぢより眞實しんじつたるイイススハリストスは我われ等らの救すくひの爲ために現あらはれ給たまへり。

 坐誦讚詞セダレン、第二調。

福ふくたる諸神しよしん父ぷよ、爾なんぢ等らは實じつに節制せつせいの尊たふとき器うつは、敬虔けいけんの奪うばはれざる富とみと現あらはれて、度ど生せいを以もつて世せ界かいの中うちに耀かゞやき、爾なんぢ等らの助たすけを求もとむる者ものに豐ゆたかに之これを賜たまふ。克肖者こくせうしやよ、ハリストス神かみに大おほいなる憐あはれみを我われ等らに賜たまはんことを祈いのり給たまへ。

 光榮、今も、生神女讚詞。

人ひとは救すくひを得うる處ところに義ぎに合かなひて趨はしり附つく、生しやう神女しんぢよよ、爾なんぢの如ごとき避所かくれが、我われ等らの靈たましひを蔽おほふ者ものは亦また何處いづこにかあらん。

 十字架生神女讚詞

生しやう神女しんぢよよ、我われ等らは爾なんぢの子この十じふ字架じかを能のう力りよくの杖つゑとして得えて、此これを以もつて諸敵しよてきの驕おごりを破やぶり、愛あいを以もつて絕たえず爾なんぢを讚ほめ揚あぐ。

第四歌頌

イルモス 主しゆよ、我われ爾なんぢが攝せつ理りの祕ひ密みつを聆きき、爾なんぢの作爲しわざを悟さとり、爾なんぢの神性しんせいを讚榮さんえいせり。

我われ等ら皆みな歌うたを以もつて睿えい智ちなる成聖者せいせいしやを讚ほめ揚あげて言いはん、捧神ほうしんなる諸神しよしん父ぷよ、我われ等らの救すくはれんことを熱切ねつせつに祈いのり給たまへ。

神福しんぷくなる者ものよ、我われ等らは爾なんぢ等らを實じつに敬虔けいけんの範のりの傳道でんだう師し及および扶ふ植しよく者しや、醇じゆん正せいの敎をしへの敎けう師し及および成聖者せいせいしやと有たもちて、歌か頌しようと詩賦しふとを以もつて爾なんぢ等らを讚ほめ揚あぐ。

主しゆの克肖こくせうなる成聖者せいせいしや、敎導けうだう師し及および養育者やういくしやよ、我われ等ら信者しんじやは歌か頌しようと詩賦しふとを以もつて爾なんぢ等らの聖せいにせられし記き憶おくを祭まつる。

 生神女讚詞

聘女よめならぬ聘女よめ、婚姻こんいんに與あづからざる潔いさぎよき童貞女どうていぢよ、ハリストス神かみの母はゝよ、爾なんぢを歌うたふ者ものの靈たましひを救すくはんことを絕たえず彼かれに祈いのり給たまへ。

第五歌頌

イルモス 主しゆよ、我われ等ら夙つとに興おきて爾なんぢに籲よぶ、我われ等らを救すくひ給たまへ、爾なんぢは我われ等らの神かみなればなり、爾なんぢの外ほか他たの神かみを知しらず。

神しん智ちなる者ものよ、爾なんぢ等らは敬虔けいけんの香料かうれうを塗ぬられて牧ぼく師しと爲なれり、故ゆゑに我われ等ら皆みな爾なんぢ等らを捧神ほうしんなる成聖者せいせいしやとして尊たふとむ。

光くわう榮えいなる神しん智ち者しやよ、爾なんぢ等らは勤勞きんらうと祈き禱たうとを以もつて使徒しとに效ならふ者ものと爲なりて、敎けう會くわいの人人ひとびとを養やしなひ給たまへり。

見神者けんしんしやたる諸神しよしん父ぷよ、爾なんぢ等らは熱心者ねつしんしやイリヤ及および見神者けんしんしやモイセイに效ならひて、諸しよ異い端たんの首しゆ長ちやう等らを辱はづかしめ給たまへり。

 生神女讚詞

信者しんじや皆みな來きたりて、天てん使しと偕ともに同心どうしんに祝しゆく福ふくせられし者ものを萬有ばんいうの王わうを生うみし女王によわうとして尊たふとまん。

第六歌頌

イルモス 光ひかりを衣ころもの如ごとく衣きる慈じ憐れんの深ふかきハリストス我わが神かみよ、我われに光くわう明めいの衣ころもを予あたへ給たまへ。

福ふくたる諸神しよしん父ぷよ、爾なんぢ等らは己おのれの神聖しんせいなる敎をしへを以もつて敎けう會くわいの光くわう榮えいを盛さかんに顯あらはして、諸しよ異い端たんを根ねより絕たやし給たまへり。

光くわう榮えいなる者ものよ、爾なんぢ等らは敬虔けいけんの光くわう體たいとして、敎をしへの純じゆん美びなるを以もつて全ぜん地ちに輝かゞやきて、神かみの言ことばにて諸しよ異い端たんを昧くらまし給たまへり。

克肖者こくせうしやよ、爾なんぢ等らは舌したと言ことばとを武器ぶきと爲なして、異ことなる敎をしへを悉ことごとく斬きり、衆しゆう人じんの爲ために聖三者せいさんしやの定てい理りを明あきらかに説とき給たまへり。

 生神女讚詞

ハリストス神かみよ、爾なんぢは童貞女どうていぢよより生うまれて、世せ界かいを照てらし給たまへり、爾なんぢに祈いのる、仁愛じんあいなる主しゆとして、我われをも我わが諸罪しよざいより救すくひて、我わが生命いのちを治をさめ給たまへ。

小讚詞コンダクは奉事例に据る。若し奉事例になくば、下の小讚詞コンダクを誦せよ。第八調。

成聖者せいせいしやよ、敎けう會くわいは爾なんぢ等らを歌うたひて、德行とくかうの敎けう師し、神品しんぴん職しよくの飾かざりとして讚榮さんえいす、求もとむ、爾なんぢ等らの祈き禱たうに由よりて、愛あいを以もつて爾なんぢ等らを尊たふとむ者ものに德とくを行おこなふ力ちからを與あたへて、諸もろもろの誘惑いざなひより救すくひ給たまへ、爾なんぢ等らは勝かたれぬ者ものなればなり。

 同讚詞イコス

神聖しんせいなる成聖者せいせいしやよ、爾なんぢ等らは敬虔けいけんの川かはと現あらはれて、爾なんぢ等らの敎をしへの流ながれを以もつて全ぜん地ちに飮のませ、奇き跡せきの雨あめを以もつて其その汚けがれを洗あらひ、宜よろしきに合かなひて永遠えいゑんの福樂ふくらくの嗣よつぎと爲なり給たまへり。故ゆゑに我われ等ら今日こんにち集あつまりて、歌うたを以もつて敬虔けいけんに爾なんぢ等らを尊たふとみ、信しんを以もつて爾なんぢ等らに呼よぶ、ハリストス神かみに絕たえず我われ等ら衆しゆうの爲ために祈いのり給たまへ、爾なんぢ等らは勝かたれぬ者ものなればなり。

第七歌頌

イルモス 太初はじめに地ちを基もとづけ、天てんを言ことばにて固かためし主しゆ、我わが先せん祖ぞの神かみよ、爾なんぢは世世よよに崇あがめ讚ほめらる。

眞まことの神聖しんせいなる成聖者せいせいしやを爾なんぢの群ぐんの牧者ぼくしやと爲なしし我わが先せん祖ぞの神かみは崇あがめ讚ほめらる。

爾なんぢ等らは諸慾しよよくの燄ほのほを滅けして、恩おん寵ちようを以もつて敬虔者けいけんしやの靈たましひを濕うるほして呼よばしめたり、我わが先せん祖ぞの神かみは崇あがめ讚ほめらる。

節制せつせいと、警醒けいせいと、眞まことの信しんとを以もつて勤勞きんらうせし成聖者せいせいしやよ、我われ等ら衆しゆうを憶おもひ給たまへ。

 生神女讚詞

我われ等らの爲ために童貞女どうていぢよより生うまれて、世せ界かいを敵てきより救すくひし我わが先せん祖ぞの神かみは崇あがめ讚ほめらる。

第八歌頌

イルモス 聖せいなる山やまに光くわう榮えいを顯あらはし、棘いばらの中うちに火ひを以もつてモイセイに永貞えいてい童女どうぢよの奧密あうみつを示しめしし主しゆを歌うたひて、萬世ばんせいに讚ほめ揚あげよ。

成聖者せいせいしや神しん父ぷよ、爾なんぢ等らはモイセイに效ならひて無む慾よくの山やまに登のぼり、靈れい智ちなる恩おん寵ちようの黑暗くらやみに入いりて法はふを受うけたり、故ゆゑに我われ等らハリストスを世世よよに讚ほめ歌うたふ。

克肖者こくせうしやよ、爾なんぢ等らはハリストスの民たみを牧ぼくして、エギペトの迷まよひを逃のがれ、慾よくに耽ふけりたるワワィロンを避さけ、上うへなるシオンに入いりて、世世よよの居處すまひを得えたり。

神かみの成聖者せいせいしやよ、爾なんぢ等らは恩おん寵ちようの香料かうれうを塗ぬられて、言ことばと行おこなひとに敬虔けいけんを守まもりて聖せい務むを盡つくせり、故ゆゑに爾なんぢ等らは聖三者せいさんしやを惟一ゆゐいちの性せいに於おいて萬世ばんせいに讚ほめ揚あぐ。

 生神女讚詞

聖せいなる童貞女どうていぢよの腹はらに入いりて、此これを以もつて言いひ難がたく舊ふるきアダムを新あらたにし給たまひし主しゆを歌うたひて、萬世ばんせいに彼かれを讚ほめ揚あげよ。

第九歌頌

イルモス 山やまに於おいて立法者りつぱふしやに火ひ及および棘いばらの中うちに預よ象しやうせられたる、我われ等ら信者しんじやの救すくひを爲なす永貞えいてい童女どうぢよの產さんを、默もださざる歌うたを以もつて崇あがめ讚ほむ。

無む慾よくと信しん、望ばうと愛あいとを以もつて我われ等らに永遠えいゑんの生命いのちの言ことばを傳つたへし睿えい智ちなる成聖者せいせいしやよ、我われ等らの靈たましひの救すくはれんことを祈いのり給たまへ。

至し尊そんなる成聖者せいせいしやよ、爾なんぢ等らは聖神せいしん゜の杖つゑを以もつて人人ひとびとを牧ぼくし、神かみの敎けう會くわいより神かみの敵てきたる諸しよ異い端たんを逐おひ給たまへり、故ゆゑに我われ等ら歌うたを以もつて爾なんぢ等らを讚ほめ揚あぐ。

福ふくたる成聖者せいせいしや諸神しよしん父ぷよ、我われ等ら皆みな歌か頌しようと詩賦しふとを以もつて默もだすなく爾なんぢ等らを敎けう會くわいの光くわう體たいとして讚ほめ揚あげ、宜よろしきに合かなひて爾なんぢ等らの不ふ朽體きうたいの柩ひつぎを尊たふとむ。

 生神女讚詞

不ふ朽きうの常つねに流ながるる泉いづみよ、慶よろこべ、日ひの光くわう明めいなる雲くもよ、慶よろこべ、神性しんせいの輅くるまよ、慶よろこべ、成聖せいせいの匱ひつよ、慶よろこべ。

 光耀歌

日ひの光くわう線せんよりも盛さかんに耀かゞやける燈ともしび、光ひかりの原因げんいんたる三者さんしや及および三日さんじつの惟一者ゆゐいちしやより神妙しんめうに燃もやされたる捧神ほうしんなる神しん父等ぷらを我われ等ら崇あがめ讚ほめん。

 生神女讚詞

生しやう神しん童貞女どうていぢよよ、我われ等らは默もださざる歌うたを以もつて爾なんぢを讚揚さんやうす、蓋けだし爾なんぢは三者さんしやの一いち位ゐを胎内たいないに宿やどして、變易へんえきせざる永在えいざいの言ことばを神聖しんせいなる手てに抱いだき給たまへり。

 「凡そ呼吸ある者」に讚頌スティヒラ、第六調。

諸しよ使徒しと及および敎けう師等しらに由よりて恩おん寵ちようは力ちからを顯あらはし、信しんは堅けん固ごになり、我われ等ら衆しゆうは神かみを識しる智ち識しきに滿みてられて、救すくひに富とまされたり。二次

主しゆよ、爾なんぢは己おのれの成聖者せいせいしやを天てんの奧密あうみつと、人ひとの學問がくもんと、恩おん寵ちようの賜たまものとに滿みたし、彼かれ等らに凡およその異い端たんの言ことばに勝かつ力ちからを與あたへて、彼かれ等らを奇異きいなる者ものと爲なし給たまへり。

睿えい智ちなる全ぜん地ちの敎けう師等しら、行おこなひと言ことばとを以もつて地ち上じやうに神かみを榮えいせし者ものは、我われ等らの救すくひの轉達者てんたつしやとして、今日こんにち讚揚さんやうせらるべし。

 光榮、第六調。

善よい哉かな、善ぜんにして忠ちゆうなる僕ぼく等ら、ハリストスの葡ぶ萄園だうゑんの善よき工人はたらきびとよ、爾なんぢ等らは終しゆう日じつの苦く勞らうをも忍しのび、爾なんぢ等らに託たくせられし「タラント」をも益ませり、又また爾なんぢ等らより後のちに來きたりし者ものを猜そねまざりき、故ゆゑに天てんの門もんは爾なんぢ等らの爲ために啓ひらかれたり。聖せいなる敎けう師等しらよ、主宰しゆさいハリストスの歡樂よろこびに入いりて、我われ等らの爲ために祈いのり給たまへ。

 今も、生神女讚詞。

生しやう神女しんぢよよ、爾なんぢは實じつの葡ぶ萄だうの枝えだ、我われ等らの爲ために生命いのちの果みを結むすびし者ものなり、女宰ぢよさいよ、爾なんぢに祈いのる、聖せい使徒しとと共ともに我わが靈たましひの憐あはれみを蒙かうむらんことを祈いのり給たまへ。

 十字架生神女讚詞

至し淨じやうなる者ものは爾なんぢが十じふ字架じかに懸かけられしを見みし時とき、母はゝとして泣なきて呼よべり、吾わが子こ及および吾わが神かみ、吾わが甘愛かんあいなる產さんよ、如何いかんぞ爾なんぢは恥はづべき苦くるしみを忍しのび給たまふ。

 

第十二編 一人の克肖者の總奉事

 晩課

「主よ爾に籲ぶ」に讚頌スティヒラ、第四調。

克肖こくせうにして尊そん貴きなる者ものは神かみの耀かゞやける燈ともしびとして、度ど生せいの麤そ笨ほんの斗ますの下したに敢あへて隱かくるるなし、乃すなはち仁じん愛あいなる主しゆは彼かれを髙たかき奇き蹟せきの峯みねに置おき給たまふ。ハリストスよ、彼かれの祈き禱たうに由よりて、爾なんぢの民たみに大おほひなる憐あはれみを賜たまへ。

至し尊そんなる者ものよ、爾なんぢは神聖しんせいなる行おこなひの犂すきに手てを著つけて、常つねに之これに勞らうして、後うしろを顧かへりみることをせざりき、乃すなはち身みを取とりし神かみハリストスの國くにに當あたる者ものと爲なれり、我われ等らの靈たましひの救すくひの爲ためなり。

睿えい智ちなる者ものよ、爾なんぢは肉體にくたいの小こ舟ぶねに乘のり、溫柔をんじうなる神しん゜の穩おだやかなる氣いきに由よりて輙たやすく生命いのちの海うみを度わたり、値あたひ貴たふとき眞珠しんじゆを見みて、爾なんぢの所有しよいうを鬻ひさぎて之これを買かひ、之これを己おのれに藏をさめて、其その神聖しんせいなる華くわ美びを以もつて樂たのしめり。

 光榮、今も、生神女讚詞。

吾わが思おもひは不ふ潔けつ、口くちには詐いつはりあり、行おこなひは悉ことごとく汚けがらはし、我われ何なにをか爲なさん、如何いかんぞ審判者しんぱんしやに遇あはん、女宰ぢよさい童貞女どうていぢよよ、爾なんぢの子こ造成者ざうせいしや及および主しゆに祈いのりて、獨ひとり慈じ憐れんなる者ものとして、痛つう悔くわいに於おいて我わが神しん゜を受うけんことを求もとめ給たまへ。

 十字架生神女讚詞

無む玷てんなる牝め牛うしは犢こうしが木きの上うへに甘あまんじて釘ていせらるるを見みて、悲かなしみ泣なきて呼よべり、哀かなしい哉かな、最愛いとあいすべき子こよ、恩おんを知しらざるエウレイの會くわいは何なにをか爾なんぢに報むくいたる、至し愛あいなる者ものよ、何なんぞ我われを子こなき者ものとして遺のこす。

若し之あらば、自調。光榮、第六調。

我われ等らの神しん父ぷ(某)よ、爾なんぢは神かみの像ざうに從したがひて有たもつ所ところを殘そこなひなく守まもり、禁きん食しよくを以もつて智慧ちゑを有害いうがいの諸慾しよよくを制せいする司つかさと立たてて、神かみの肖せうに從したがひて有たもつ所ところの力ちからに應おうじて進しん歩ぽせしめたり、蓋けだし勇いさましく性せいを節せつして、下しもなる者ものを上かみなる者ものに從したがはしめ、肉體にくたいを神しん゜に服ふくせしめたり、故ゆゑに爾なんぢは野のの住ぢゆう者しやにして、修道しうだう士しの敎けう師し、善ぜん途とを行ゆく者ものの嚮きやう導だう師し、德行とくかうの端正たんせいなる軌き範はんと現あらはれたり。今いま天てんに在ありて、鏡かゞみの朦朧おぼろは散さんじたれば、明あきらかに聖三者せいさんしやを仰あふぎ見みて、直たゞちに信しんと愛あいとを以もつて爾なんぢを尊たふとむ者ものの爲ために祈いのり給たまふ。

 今も、生神女讚詞。

「生神女よ、爾は實の葡萄の枝。」

 十字架生神女讚詞

ハリストスよ、爾なんぢを生うみし者ものは爾なんぢが十じふ字架じかに釘ていせらるるを見みて呼よべり、吾わが子こよ、我わが見みる所ところの奧密あうみつは何なんぞ驚おどろくべき、生命いのちを賜たまふ主しゆよ、如何いかんぞ身みにて木きに懸かけられて死しする。

若し多燭詞ポリエレイを以て祭を行はば、復活の生神女讚詞を誦すべし。

「至聖なる童貞女よ、誰か爾を讚美せざらん」。

 聖入。本日の提綱ポロキメン、克肖者の喩言パリミヤ、巻末に載す。

 挿句くづけに讚頌スティヒラ、第一調。

捧神者ほうしんしや克肖こくせうなる(某)、我わが靈たましひの祈き禱者たうしやよ、日ひよりも明あきらかなる爾なんぢの祭まつりは至いたりて、信しんを以もつて爾なんぢに來きたる者ものを照てらして、不死ふしを薫かをらせ、靈たましひに醫治いやしを流ながす。

奇き蹟者せきしや(某)よ、爾なんぢは節制せつせいの轡たづなを以もつて體からだの慾よく情じやうを制せいし、地ちに在ありて天てんの事ことに熱ねつ中ちゆうし、肉體にくたいの一切いつさいの望のぞみを神しん゜に服ふくせしめたり。故ゆゑに今いま天てんの第宅だいたくに住すまひて、我われ等らの靈たましひの爲ために祈いのり給たまへ。

句 神かみを畏おそれ、其その誡いましめを極きはめて愛あいする人ひとは福さいはひなり。

福ふくたる克肖者こくせうしや(某)よ、爾なんぢは諸德しよとくの基もとゐを置おきて、舊ふるき人ひとを其慾そのよくと偕ともに脫ぬぎ、實じつにハリストスを衣きたり、故ゆゑに敵てきの衆しゆう軍ぐんを退しりぞけて、修道しうだう士し等らの敎導けうだう師しと爲なれり。我われ等らの靈たましひの救すくはれんことを祈いのり給たまへ。

 光榮、第八調。

我われ等らの神しん父ぷ(某)よ、修道しうだう士しの大數たいすうは爾なんぢを敎導けうだう師しと尊たふとむ、爾なんぢの途みちに由よりて實まことに直なほく行ゆくことを知しりたればなり。福ふくたる哉かな爾なんぢ、ハリストスに服ふく從じゆうして、敵てきの力ちからに勝かち、天てん使し等らと對たい話わする者もの、克肖者こくせうしや及および義ぎ者しやの友ともと爲なりし者ものや、彼かれ等らと偕ともに主しゆに我われ等らの靈たましひの憐あはれみを蒙かうむらんことを祈いのり給たまへ。

 今も、復活の生神女讚詞。

「聘女ならぬ童貞女、」巻末に載す。

若し多燭詞ポリエレイを以て祭らずば、下の生神女讚詞を誦せよ。

潔いさぎよき童貞女どうていぢよ、言ことばの門もん、我わが神かみの母はゝよ、我われ等らの救すくはれんことを祈いのり給たまへ。

 十字架生神女讚詞

子こよ、我われは爾なんぢ萬ばん衆しゆうに警醒けいせいを與あたふる者ものが木きの上うへに寢いねたるを見みるに忍しのびず、然しかれども此これ昔むかし犯罪はんざいの果みに因よりて淪亾ほろびの眠ねむりに寢いねたる者ものに神聖しんせいなる救すくひの警醒けいせいを賜たまはん爲ためなりと、童貞女どうていぢよは哭なきて言いへり、我われ等ら彼かれを讚ほめ揚あぐ。

讚詞トロパリは奉事例に据る。若し奉事例になくば、下の讚詞トロパリを誦せよ。第八調。

克肖こくせうなる神しん父ぷ(某)よ、神かみの像ざうに由よる者ものは爾なんぢの内うちに確たしかに救すくはれたり、蓋けだし爾なんぢは十じふ字架じかを任になひてハリストスに從したがひ、過すぎ易やすき者ものたる肉體にくたいを輕かろんじ、不死ふしの者ものたる靈たましひのことに熱ねつ中ちゆうするを行おこなひを以もつて敎をしへたり。故ゆゑに爾なんぢの神しん゜は諸天しよてん使しと偕ともに喜よろこぶ。

 光榮、 今も、 生神女讚詞、或は十字架生神女讚詞。

 早課

「主は神なり」に讚詞トロパリ同上。

 第一の「カフィズマ」の後に坐誦讚詞セダレン、第四調。

至し福ふくなる(某)よ、爾なんぢは主しゆの召めしに從したがひて、世よ及および世よの美うるはしきを悉ことごとく棄すて、熱切ねつせつに野のの辛しん苦くを忍しのびて、勇いさましく惡あく鬼きの隊たいを退しりぞけ給たまへり。、故ゆゑに我われ等ら常つねに歌うたを以もつて熱信ねつしんに爾なんぢの記き憶おくを讚ほめ揚あぐ。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

至いたりて讚さん美びたる潔いさぎよき童貞女どうていぢよよ、爾なんぢは己おのれの神聖しんせいなる產さんを以もつて地ち上じやうの者ものの諸慾しよよくに由よりて朽くちたる死しすべき性せいを新あらたにして、衆しゆうを死しより不ふ朽きうの生命いのちに起おこし給たまへり。故ゆゑに我われ等ら皆みな職しよくとして爾なんぢを讚揚さんやうす、爾なんぢの預よ言げんせしが如ごとし。

 第二の「カフィズマ」の後に坐誦讚詞セダレン、第五調。

我われ等ら歌うたを以もつて主しゆの修齋者しゆさいしやを尊たふとまん、蓋けだし彼かれは節制せつせいと眞まことに堅けん固ごなる忍耐にんたいとを以もつて諸慾しよよくの悉ことごとくの攻擊こうげきに勝かち、戰たゝかふ敵てき及および其その凡およその傲慢がうまんを大いたく辱はづかしめ、今いまは主しゆに我われ等らの靈たましひを憐あはれまんことを祈いのり給たまふ。

 光榮、今も、生神女讚詞。

潔いさぎよき永貞えいてい童女どうぢよよ、爾なんぢの胎孕はらみの奇き跡せきは悟さとり難がたく、產さんの狀さまは言いひ難がたしと知しられて、我わが智慧ちゑを驚おどろかし、思おもひを訝いぶからしむ。生しやう神女しんぢよよ、爾なんぢの光くわう榮えいは衆しゆうに顯あらはれたり、我われ等らの靈たましひの救すくひの爲ためなり。

「主の名を讚め揚げよ」の後に附唱。

克肖こくせうなる神しん父ぷ(某)、修道しうだう士しの敎けう師し、天てん使等しらの對たい話わ者しやよ、我われ等ら爾なんぢを讚さん美びして、爾なんぢの聖せいなる記き憶おくを尊たふとむ。

 拔萃聖詠

「我切に主を恃みしに、彼我に傾きて」。

 多燭詞ポリエレイの後に坐誦讚詞セダレン、第一調。

聖せいにせられし神しん父ぷ、克肖者こくせうしやの飾かざりよ、爾なんぢは肉體にくたいを殺ころすを以もつて諸慾しよよくの發生おこりを悉ことごとく葬はうむりて、死しの後のちに終をはりなき生命いのちを得えたり。故ゆゑに今日こんにちハリストスの敎けう會くわいは爾なんぢの尊たふとき記き憶おくを祭まつる。

 光榮、今も、生神女讚詞。

婚姻こんいんに與あづからざる祝しゆく福ふくせられしマリヤ、失望しつばうせし人人ひとびとの避所かくれが、神かみの居處すまひたる童貞女どうていぢよよ、我われ等ら常つねに無ぶ道だうに傾かたぶきて、至し仁じんなる主しゆを怒いからす者ものを痛つう悔くわいの道みちに向むかはしめ給たまへ。

 品第詞ステペンナ、第四調の第一倡和詞アンティフォン。

提綱ポロキメン

聖人せいじんの死しは主しゆの目めの前まへに貴たつとし。

句 我われ何なにを以もつて主しゆの我われに施ほどこしし悉ことごとくの恩おんに報むくいん。

「凡そ呼吸ある者」

成聖者の福音經、巻末に載す。

 第五十聖詠の後に讚頌スティヒラ、第六調。

第一歌頌

イルモス イズライリは乾かわける地ちの如ごとく水みづを過とほり、エギペトの禍わざはひを免まぬかれて籲よべり、我わが救きう主しゆ及および神かみに歌うたはん。

克肖者こくせうしやよ、爾なんぢは善よき風習ならはしに飾かざられて、少わかき時ときよりハリストスに就つき、節制せつせいを以もつて肉體にくたいの慾よくを殺ころして、生命いのちに移うつり給たまへり。

睿えい智ちなる神しん父ぷよ、爾なんぢは神かみの言ことばと法はふとを行おこなふ者ものと爲なりて、神聖しんせいなる恩おん賜しと奇き跡せきとに滿みてられ、衆しゆうに豐ゆたかに其その光くわう線せんを放はなち給たまへり。

克肖者こくせうしやよ、爾なんぢはハリストスの異い能のうに堅かためられて、敵てきの權けんと力ちからとを斃たふし、勝しよう利りの報はう賞しやうとして尊敬そんけいを受うけて、奇き跡せきを輝かゞやかし給たまふ。

睿えい智ち者しやよ、爾なんぢは無垢むくなる良りやう心しんを有たもち、心こゝろの目めを以もつて神かみを仰あふぎたり、故ゆゑに彼かれは爾なんぢの祈き禱たうを聞ききて、爾なんぢを克肖者こくせうしやと偕ともに算かぞへ給たまへり。

 生神女讚詞

至し淨じやうなる童貞女どうていぢよよ、爾なんぢに祈いのる、我わが肉體にくたいの慾よくと我わが智慧ちゑの不ふ當たうなる思おもひとを制せいして、我われ智慧ちゑにて迷まよひし者ものを直なほき途みちに向むかはしめ給たまへ。

第三歌頌

イルモス 主しゆよ、爾なんぢは爾なんぢに趨はしり附つく者ものの固かため、爾なんぢの昧くらまされし者ものの光ひかりなり、我わが神しん゜は爾なんぢを歌うたふ。

克肖こくせうなる睿えい智ち者しや神しん父ぷよ、爾なんぢは全まつたく全能者ぜんのうしやに屬ぞくして、惡あく鬼きの悉ことごとくの害毒がいどくを免まぬかれ給たまへり。

爾なんぢは謙遜けんそんの髙たかきに飾かざられて、爾なんぢの勝すぐれたる行おこなひを以もつて至いたりて傲慢がうまんなる者ものを地ちに倒たふし給たまへり。

睿えい智ちなる神しん父ぷよ、爾なんぢは肉體にくたいに在ありて、爾なんぢの言ことばの謙遜けんそんを以もつて不ふ虔者けんしやの髙たかぶれる首かうべを低ひくくし給たまへり。

睿えい智ちなる者ものよ、爾なんぢは神かみの力ちからを爾なんぢを助たすくる者ものと有たもちて、奇異きいなる者ものとして奇き跡せきを流ながし、諸しよ病びやうを逐おひ給たまふ。

 生神女讚詞

純じゆん潔けつなる者ものよ、造物主ざうぶつしゆは爾なんぢの胎内たいないに入いりて肉體にくたいを取とり給たまへり、信しんを以もつて爾なんぢを歌うたふ者ものに恩おんを施ほどこさん爲ためなり。

 坐誦讚詞セダレン、第四調。

至し榮えいなる神しん父ぷ(某)よ、爾なんぢは肉慾にくよくの思おもひを制せいし、卑ひくきことを髙たかきに服ふくせしめ、齋ものいみを以もつて惡あく鬼きの姦計かんけいを破やぶりて、爾なんぢの諸德しよとくの光ひかりを以もつて世せ界かいの中うちに日ひの光くわう線せんの如ごとく輝かゞやけり、故ゆゑに我われ等ら爾なんぢを讚ほめ歌うたふ。

 光榮、今も、生神女讚詞。

生しやう神しん童貞女どうていぢよよ、爾なんぢは我われ等ら「ハリスティアニン」の爲ために破やぶられす牆かきなり、蓋けだし我われ等らは爾なんぢに趨はしり附つきて害がいなくして止とゞまり、復また罪つみを犯おかせば、爾なんぢを祈き禱者たうしやとして有たもつ。故ゆゑに感謝かんしやして爾なんぢに呼よぶ、恩おん寵ちようを蒙かうむれる者ものよ、慶よろこべ、主しゆは爾なんぢと共ともにす。

 十字架生神女讚詞

無む玷てんなる童貞女どうていぢよ、ハリストス神かみの母はゝよ、爾なんぢが己おのれの子こ及および神かみの甘あまんじて釘ていせらるるを見みし時とき、劍つるぎは爾なんぢの至し聖せいなる靈たましひを貫つらぬけり。至いたりて讚さん美びたる者ものよ、我われ等らに諸罪しよざいの赦ゆるしを賜たまはらんことを絕たえず彼かれに祈いのり給たまへ。

第四歌頌

イルモス 主しゆよ、我われ爾なんぢが攝せつ理りの祕ひ密みつを聆きき、爾なんぢの作爲しわざを悟さとり、爾なんぢの神性しんせいを讚榮さんえいせり。

至し榮えいなる者ものよ、爾なんぢは己おのれの靈たましひを聖神せいしん゜の殿でんと爲なして、天てん上じやうの軍ぐんと偕ともに上うへなる國くにの嗣よつぎと爲なり給たまへり。

克肖者こくせうしやよ、爾なんぢは爾なんぢに就つく者ものの多た病びやうの苦くるしみを常つねに醫いやす、蓋けだし主しゆより奇き跡せき異い能のうを行おこなはん爲ために恩おん寵ちようを受うけ給たまへり。

神しん父ぷよ、爾なんぢは神かみの家いへに最いと美うるはしき植しよく物ぶつとして生せい長ちやうし、諸德しよとくに飾かざられ、奇き跡せきの果みにて馨かをる。

 生神女讚詞

屬ぞく神しん゜の田たなる永貞えいてい童女どうぢよよ、爾なんぢは畝うねよりするが如ごとく一切いつさいの造物ざうぶつを養やしなふ穗ほとして萬物ばんぶつの神かみを生しやうじ給たまへり。

第五歌頌

イルモス 主しゆよ、我われ等ら夙つとに興おきて爾なんぢに籲よぶ、我われ等らを救すくひ給たまへ、爾なんぢは我われ等らの神かみなればなり、爾なんぢの外ほか他たの神かみを知しらず。

至し榮えいなる者ものよ、爾なんぢは潔きよめられたる智慧ちゑを以もつてハリストス萬物ばんぶつの神かみの言いひ難がたき華麗くわれいを仰あふぎ見みる。

神しん父ぷよ、イリヤが車くるまに於おける如ごとく、爾なんぢは諸德しよとくに由よりて聖神せいしん゜に扶たすけられて天てんに登のぼり給たまへり。

神しん父ぷよ、爾なんぢは節制せつせいと潔けつ淨じやうとを以もつて爾なんぢの體からだを狭せばめて、天てん上じやうの廣ひろき居處すまひに至いたり給たまへり。

 生神女讚詞

醫師いしたるハリストスを生うみし純じゆん潔けつなる女宰ぢよさいよ、我わが病やめる智慧ちゑの昏昧くらみを醫いやし給たまへ。

第六歌頌

我われ禱いのりを主しゆの前まへに灌そゝぎ、我わが憂うれひを彼かれに吿つげん、我わが靈たましひは惡あくに滿みち、我わが生命いのちは地ぢ獄ごくに近ちかづきたればなり、我われイオナの如ごとく祈いのる、神かみよ、我われを淪亾ほろびより救すくひ給たまへ。

神福しんぷくなる者ものよ、爾なんぢの聖せいにせられし祈き禱たうに由よりて詭き譎けつなる蛇へびは殺ころされて、休きう徵ちやうを爾なんぢに求もとむる者ものは其その凶きよう惡あくより解とかる、蓋けだし爾なんぢは神かみの至いたりて光くわう明めいなる忠ちゆう信しんの役者えきしやと知しられたり。

聖せいにせられし神しん父ぷよ、爾なんぢは勤勉きんべんの犂すきを以もつて爾なんぢの靈たましひを耕たがへして、睿えい智ちにして其内そのうちに諸德しよとくの繁しげき實みを生しやうずる種子たねを播まきて、多た種しゆの醫治いやしの善よく實みのりたる穗ほを刈かり給たまへり。

克肖こくせうなる神しん父ぷよ、爾なんぢは聖神せいしん゜の異い能のうに扶たすけられて、敵てきの權けんと力ちからとを斃たふし、勝しよう利りの報はう賞しやうとして尊敬そんけいを受うけて、奇き跡せきを輝かゞやかし給たまふ。

 生神女讚詞

至し淨じやうなる少女せうぢよよ、主しゆは、其その欲ほつせし如ごとく、爾なんぢと共ともに在ありて、爾なんぢの轉達てんたつに因よりて我われ等ら衆しゆうを詭き譎けつなる者ものの權けんより救すくひ給たまへり、故ゆゑに今いま我われ等ら萬族ばんぞくは職しよくとして爾なんぢを讚揚さんやうす。

小讚詞コンダクは奉事例に据る。若し奉事例になくば、下の小讚詞コンダクを誦せよ。第二調。

我われ等らの神しん父ぷ(某)よ、爾なんぢは靈たましひの潔けつ淨じやうを以もつて神妙しんめうなる武具ぶぐと爲なし、絕たえざる祈き禱たうを戈ほことして固かたく執とりて、惡あく鬼きの軍ぐんを刺さし給たまへり、求もとむ、我われ等ら衆しゆうの爲ために絕たえず祈いのり給たまへ。

 同讚詞イコス

克肖者こくせうしやよ、爾なんぢはハリストスの神聖しんせいなる誡いましめを愛あいして、此この世よの樂たのしみを惡にくみ、熱切ねつせつにハリストスに就つきて、屬ぞく神しん゜の煇煌 かゞやきを以もつて四し極きよくを照てらす燈ともしびと爲なれり。故ゆゑに我われ俯ふ伏ふくして爾なんぢに祈いのる、我わが靈たましひの目めを照てらして、爾なんぢの勤勞きんらうと修齋しゆさいと警醒けいせい、涕淚ているゐと辛しん苦くと肉體にくたいの疲ひ勞らう、爾なんぢが今いま樂たのしむ所ところの福ふくたる來世らいせいの生命いのちの爲ために忍耐にんたいせし者ものを歌うたはしめ給たまへ、求もとむ、我われ等ら衆しゆうの爲ために絕たえず祈いのり給たまへ。

第七歌頌

イルモス 昔むかしワワィロンに於おいてイウデヤより來きたりし少せう者しやは、聖三せいさんの信しんを以もつて、爐ゐろりの㷔ほのほを蹈ふみて歌うたへり、先せん祖ぞの神かみよ、爾なんぢは崇あがめ讚ほめらる。

神しん父ぷよ、爾なんぢは堅けん固ごなる智慧ちゑを以もつて修齋しゆさいの勤勞きんらうを經へ、神聖しんせいなる謙遜けんそんを以もつて髙たかぶれる智慧ちゑを卑ひくくして歌うたへり、我わが先せん祖ぞの神かみは崇あがめ讚ほめらる。

神しん父ぷよ、爾なんぢは神かみの家いへに最いと美うるはしき植しよく物ぶつとして生せい長ちやうし、諸德しよとくに飾かざられ、奇き跡せきの果みにて馨かをる。

爾なんぢは己おのれの心こゝろを照てらして、聖せいにせられし神しん父ぷ等らの會くわいの首しゆ長ちやうと爲なり、衆しゆうを敎をしへ、導みちびき、神かみの旨むねを行おこなはしめて歌うたへり、我わが先せん祖ぞの神かみよ、爾なんぢは崇あがめ讚ほめらる。

 生神女讚詞

童貞女どうていぢよよ、爾なんぢは新あらたなる嬰児をさなごたる無む原げんの言ことばを生うみて、罪つみに由よりて古ふるびたる我われ等らを新あらたにして、歌うたふを敎をしへたり、我わが先せん祖ぞの神かみよ、爾なんぢは崇あがめ讚ほめらる。

第八歌頌

イルモス 神かみを傳つたふる少者せうしやは爐ゐろりの中うちに㷔ほのほを蹈ふみて歌うたへり、主しゆの造物ざうぶつは主しゆを崇あがめ讚ほめよ。

神聖しんせいなる居處すまひの嗣よつぎたる神しん父ぷよ、爾なんぢは天てん使しの如ごとく生いのちを送おくれり、故ゆゑに爾なんぢの神しん゜は諸天しよてん使しと偕ともに喜よろこぶ。

睿えい智ちにして奇異きいなる神しん父ぷよ、爾なんぢは立たち返かへるなくして天てんに導みちびく神聖しんせいなる途みちを行ゆきて、終をはりに至いたるまで惡あくに引ひく途みちを避さけ給たまへり。

神しん父ぷよ、爾なんぢの靈たましひの内うちに入いりたる恩おん寵ちように因よりて人ひとの内うちに棲すむ不ふ潔けつなる惡あく鬼きは逐おはる。

 生神女讚詞

童貞女どうていぢよよ、爾なんぢは汲くみ盡つくされぬ水みづなり、我われ等ら衆しゆうは之これより飮のみ、恩おん寵ちように滿みたされて、靈たましひと體からだとを聖せいにせらる。

第九歌頌

イルモス 凡およその者ものは神かみの言いひ難がたき寬くわん容ようの事こと、如何いかに至し上じやう者しやが甘あまんじて肉體にくたいを取とるまでに降くだりて、童貞女どうていぢよの腹はらより人ひとと爲なりしかを聞ききて、恐おそれざるなし、故ゆゑに我われ等ら信者しんじやは至し淨じやうなる生しやう神女しんぢよを崇あがめ讚ほむ。

神しん父ぷよ、爾なんぢの尊たふとき柩ひつぎは神かみの神しん゜に由よりて饒ゆたかに醫治いやしを流ながし、爾なんぢに來きたる者ものの永ながき苦くるしみを瘳いやし、殘忍ざんにんなる惡あく鬼きを逐おひ、信者しんじやを起おこして爾なんぢの光くわう明めいなる功勞こうらうを讚揚さんやうせしむ。

克肖こくせうなる(某)よ、爾なんぢは己おのれの功勞こうらうの大おほいなるを以もつて我われ等らの爲ために大おほいなる日ひの如ごとく輝かゞやきて、地ちの四し極きよくを照てらし、死しして光ひかりより限かぎりなき光ひかりに移うつり給たまへり。故ゆゑに我われ等ら爾なんぢに呼よぶ、神しん智ちなる神しん父ぷよ、我われ等らの思おもひを照てらし給たまへ。

睿えい智ちにして福ふくたる神しん父ぷ(某)よ、神かみ救世きうせい主しゆが大おほいに爾なんぢを榮えいせしに由よりて、鐵械てつがせを負おひし爾なんぢの忍耐にんたいの體からだは之これに觸ふるるを以もつて醫いやし難がたき苦く悩のうを醫いやす、爾なんぢは、奇異きいなる克肖者こくせうしやよ、己おのれの善行ぜんかうに因よりて榮えいせられたればなり。

讚さん美びたる我われ等らの神しん父ぷよ、爾なんぢは修齋者しゆさいしやの谷たにの中うちに芳かうばしき花はなとして咲さき、諸德しよとくと奇き跡せきとに因よりて百合花ゆりの如ごとく信者しんじやの靈たましひを薫かをらせたり、故ゆゑに克肖者こくせうしやよ、我われ等らより惡臭あくしうの諸慾しよよくを逐おひ給たまへ。

 生神女讚詞

讚さん美びたる潔いさぎよき童貞女どうていぢよよ、常つねに諸罪しよざいと多おほくの世せ俗ぞくの累わづらひとに昧くらまされたる吾わが心こゝろを照てらして、我われを諸敵しよてきの悅よろこびと爲なるに任まかす勿なかれ、我わが爾なんぢを讚榮さんえいして、愛あいを以もつて爾なんぢを歌うたはん爲ためなり。

 光耀歌

神しん父ぷよ、爾なんぢはダワィドの言いふ所ところの椶しゆ櫚ろの如ごとく繁しげりて、至し聖神せいしん゜の居處すまひに現あらはれたり、彼かれは爾なんぢを全ぜん地ちに光くわう榮えいなる者ものと爲なし給たまへり。克肖こくせうなる(某)よ、我われ等ら{r信しんを以もつて爾なんぢの至し尊そんなる記き憶おくを貴たふとむ者ものの爲ために常つねにハリストスに祈いのり給たまへ。

 生神女讚詞

生しやう神しん童貞女どうていぢよよ、我われ等ら默もださざる歌うたを以もつて爾なんぢを讚さん美びす、蓋けだし爾なんぢは聖三者せいさんしやの一いちを生うみて、變易へんえきなき永在えいざいの言ことばを爾なんぢの神聖しんせいなる手てに抱いだき給たまへり。

 「凡そ呼吸ある者」に讚頌スティヒラ、第六調。

至し福ふくなる捧神者ほうしんしや(某)よ、爾なんぢは一切いつさいの肉體にくたいの念おもひを神しん゜に從したがはせ、嚴正げんせいなる齋ものいみに固かためられて、爐ゐろりに試こゝろみられたる黃金こがねの如ごとく光ひかれる者ものと現あらはれ、至し聖神せいしん゜の居處すまひと爲なりて、修道しうだう士しの大數たいすうを集あつめて、爾なんぢの敎訓けうくんを以もつて、天てんに登のぼらしむる梯はしごに於おいてするが如ごとく、彼かれ等らを諸德しよとくの髙たかきに登のぼせ給たまへり。求もとむ、我われ等ら常つねに爾なんぢの聖せいにせられし記き憶おくを尊たふとむ者ものを記き念ねんして、我われ等らの靈たましひの救すくはれんことを祈いのり給たまへ。二次

至し榮えいなる(某)よ、今日こんにち爾なんぢの光くわう明めいなる大おほいに祝いはふべき記き憶おくは輝かゞやき、修齋者しゆさいしやの大數たいすう、克肖者こくせうしやの會くわいを呼よび集あつめて、天てん使し等らが人人ひとびとと偕ともに三さん位ゐに伏拜ふくはいせらるる我わが神かみを讚ほめ揚あぐるを致いたす。故ゆゑに我われ等らは爾なんぢの聖せい軀くの聖せいにせられし柩ひつぎに趨はしり附つき、豐ゆたかに醫治いやしの恩おん賜しを受うけて、爾なんぢに榮えい冠くわんを冠かうむらせしハリストス、我わが靈たましひの救主きうしゆを讚榮さんえいす。

至し福ふくなる捧神者ほうしんしや神しん父ぷ(某)よ、爾なんぢは預よ言者げんしやの言いへる如ごとく、淚なみだを以もつて褥しとねを滌あらひ、爾なんぢの目めに寐いね、瞼まぶたに眠ねむるを容ゆるさずして、爾なんぢが愛あいせしハリストスに中ちゆう心しんに熱望ねつばうを顯あらはし、修道しうだう士等しらの模も範はんと爲なりて、凡およその德とくを修をさめ給たまへり。故ゆゑに我われ等ら爾なんぢを榮えいせしハリストスを崇あがめ讚ほめて、爾なんぢを讚揚さんやうす。

 光榮、第二調。

克肖こくせうなる神しん父ぷ(某)よ、爾なんぢは幼少えうせうより務つとめて諸德しよとくを習ならひ、聖神せいしん゜の器うつはと爲なりて、彼かれより奇き跡せきを行おこなふ力ちからを受うけ、人人ひとびとに斯この世よの逸樂いつらくを輕かろんぜんことを敎をしへ給たまへり。我われ等らの神しん父ぷよ、今いま爾なんぢ最いと麗うるはしく神性しんせいなる光ひかりに輝かゞやかされて、我われ等らの意念おもひをも照てらし給たまへ。

 今も、生神女讚詞。

神かみの母はゝよ、我わが盡ことごとくの恃たのみを爾なんぢに負おはしむ、我われを爾なんぢの覆おほひの下したに守まもり給たまへ。

 十字架生神女讚詞

至し淨じやうなる者ものよ、爾なんぢは萬有ばんいうの造成主ざうせいしゆが十じふ字架じかに擧あげらるるを見みて、多おほくの辱はづかしめを忍しのびて、泣なきて言いへり、至し聖せいなる主しゆ、吾わが子こ及および吾わが神かみよ、如何いかんぞ爾なんぢは己おのれの造物ざうぶつを尊たふとくせんと欲ほつして、身みにて辱はづかしめを忍しのぶ、仁愛じんあいなる主宰しゆさいよ、光くわう榮えいは爾なんぢの大おほいなる慈じ憐れん及および謙遜へりくだりに歸きす。

若し挿句くづけに光榮あらば、之を誦せよ。今も、晩課の生神女讃詞、或は十字架生神女讃詞。

 

第十三編 二人或は多人の克肖者の總奉事

 晩課

「主よ爾に籲ぶ」に讚頌スティヒラ、第八調。

克肖こくせうにして神しん智ちなる諸神しよしん父ぷよ、爾なんぢ等らは信しんを以もつて爾なんぢ等らの殿でんに來きたりて、助たすけを求もとむる者ものに慈じ憐れんを以もつて傾かたぶきて、瞽者めしひに光ひかりを、病やむ者ものに醫治いやしを、跛者あしなへに健康けんかうを賜たまふ、蓋けだし我われ等ら衆しゆう信者しんじやは爾なんぢ等らを扶ふ助者じよしや及および轉達者てんたつしやとして得えたり、故ゆゑに爾なんぢ等らを崇あがめ讚ほむ。

克肖こくせうにして尊そん貴きなる諸神しよしん父ぷよ、爾なんぢ等らは諸德しよとくの車くるまに乘のりて、神かみの前まへに升のぼりて、勝しよう利りの尊敬そんけいを受うけ、我われ等らに於おける慈じ憐れんとして柩ひつぎに藏をさめたる爾なんぢ等らの體たいを遺のこして、醫治いやしを流ながし、惡あく鬼きを逐おひ給たまふ、故ゆゑに我われ等らは讚さん美びたる諸神しよしん父ぷを崇あがめ讚ほむ。

福ふくたる者ものよ、爾なんぢ等らは修齋者しゆさいしやの會くわいに加くははりて、修齋しゆさいの度ど生せいに飾かざられたり、故ゆゑに今いま天てん上じやうの居處すまひに諸天しよてん使しの歡よろこぶ處ところに在あり勇敢いさみを有たもちて、我われ等らの靈たましひの爲ために平安へいあんを求もとめ給たまへ。

 今も、生神女讚詞。

潔いさぎよき生しやう神しん童貞女どうていぢよよ、主しゆに祈いのりて、爾なんぢの祈き禱たうに由よりて我われ等らの靈たましひに諸罪しよざいの赦ゆるしと、平安へいあんと、大おほいなる憐あはれみとを賜たまはんことを求もとめ給たまへ。

 十字架生神女讚詞

純じゆん潔けつなる生しやう神女しんぢよよ、爾なんぢは我われ等らの生命いのちが木きに懸かゝれるを見みて、母はゝとして泣なきて呼よべり、吾わが子こ、吾わが神かみよ、愛あいを以もつて爾なんぢを歌うたふ者ものを救すくひ給たまへ。

若し之あらば、自調。光榮、第六調。

克肖こくせうなる諸神しよしん父ぷよ、爾なんぢ等らの諸德しよとくの風聲きこゑは全ぜん地ちに傳つたはる、爾なんぢ等らは惡あく鬼きの群むれを破やぶり、潔けつ淨じやうを以もつて天てん使しの生命いのちに效ならひて、其その品ひん位ゐに至いたり、故ゆゑに天てんに於おいて己おのれの勤勞きんらうの賞むくいを獲えたり。主しゆの前まへにて、神かみの光ひかりに耀かゞやかされて樂たのしみ給たまふ。地ち上じやうに愛あいを以もつて爾なんぢ等らを讚揚さんやうして、爾なんぢ等らの聖せいなる祭まつりを行おこなふ者ものを記き念ねんし給たまへ。

 光榮、 今も、 生神女讚詞

吾わが思おもひは不ふ潔けつ、口くちには詐いつはりあり、行おこなひは悉ことごとく汚けがらはし、我われ何なにをか爲なさん、如何いかんぞ審判者しんぱんしやに遇あはん、女宰ぢよさい童貞女どうていぢよよ、爾なんぢの子こ造成者ざうせいしや及および主しゆに祈いのりて、獨ひとり 慈じ憐れんなる者ものとして、痛つう悔くわいに於おいて我わが神しん゜を受うけんことを求もとめ給たまへ。

 十字架生神女讚詞

無む玷てんなる牝め牛うしは犢こうしが木きの上うへに甘あまんじて釘ていせらるるを見みて、悲かなしみ泣なきて呼よべり、哀かなしい哉かな最愛いとあいすべき子こよ、恩おんを知しらざるエウレイの會くわいは何なにをか爾なんぢに報むくいたる、至し愛あいなる者ものよ、何なんぞ我われを子こなき者ものとして遺のこす。

若し多燭詞ポリエレイを以て祭を行はば、復活の生神女讚詞を誦すべし。

至し聖せいなる童貞女どうていぢよよ、誰たれか爾なんぢを讚さん美びせざらん、誰たれか爾なんぢの至いたりて淨きよき產さんを歌うたはざらん、世よの無なき先さきに父ちゝより光ひかる獨生どくせいの子こは爾なんぢ淨きよき者ものより言いひ難がたく身みを取とりて出いで、本性ほんせいの神かみは我われ等らの爲ために本性ほんせいの人ひとと爲なれり、其その位くらゐ一ひとつにして相分あひわかれず、其その性せい二ふたつにして相あひ失うしなはず、淨きよくして至いたりて福さいはひなる者ものよ、我わが靈たましひの憐あはれみを蒙かうむらんことを彼かれに禱いのり給たまへ。

 聖入。本日の提綱ポロキメン。克肖者こくせうしやの喩言パリミヤ、巻末に載す。

 挿句くづけの讚頌スティヒラ、第四調。

神しん智ち者しやよ、爾なんぢ等らは朽くつる人ひとを脫ぬぎて、ハリストスを衣きたり、故ゆゑに常つねに聖神せいしん゜の恩おん寵ちように照てらされて、光ひかれる星ほしの如ごとく世せ界かいの爲ために輝かゞやき給たまふ。常つねに信しんを以もつて爾なんぢ等らの尊たふとき記き憶おくを行おこなふ者ものが朽きう壞くわいと患くわん難なんより救すくはれんことを祈いのり給たまへ。

句 聖人せいじんの死しは主しゆの目めの前まへに貴たつとし。

今いま福樂ふくらくを受うけ、神かみの光ひかりに照てらされて、永遠えいゑんの生命いのちを嗣つぎたる神しん智ち者しやよ、爾なんぢ等らに趨はしり附つく者ものを災禍わざはひと、諸もろもろの誘惑いざなひと、凡およその苦悩なやみより救すくひ給たまへ、爾なんぢ等らは神かみの前まへに勇敢いさみを得え、且かつ眞まことにハリストスに似にたる愛あいを有たもてばなり。

句 神かみを畏おそれ、其その誡いましめを極きはめて愛あいする人ひとは福さいはひなり。

至いたりて奇異きいなる捧神者ほうしんしや、三者さんしやの軍ぐん士しよ、爾なんぢ等らは勇敢ゆうかんなる智慧ちゑを以もつて斯この世よの君きみと戰たゝかはん爲ために己おのれを備そなへ、堅けん固ごなる力ちからを以もつて之これを斃たふして、勝しよう利りの榮えい冠くわんを獲えたり、故ゆゑに我われ等ら恩おん寵ちように照てらされて、爾なんぢ等らの神聖しんせいにして光くわう明めいなる記き憶おくを行おこなふ。

 光榮、第八調。

克肖こくせうなる諸神しよしん父ぷよ、爾なんぢ等らは世せ上じやうの華くわ美びと暫ざん時じの逸樂いつらくとを深ふかく惡にくみ、修道しうだう士しの度ど生せいを愛あいして、天てん使等しらの對たい話わ者しやと爲なり、全ぜん地ちの最いと光くわう明めいなる燈ともしびとして、奇き跡せきを以もつて日ひの如ごとく輝かゞやき給たまふ。祈いのる、我われ等ら衆しゆう爾なんぢ等らの聖せいなる記き憶おくを行おこなふ者ものを記き念ねんせよ、蓋けだし我われ等らは爾なんぢ等らの諸しよ子し、爾なんぢ等らの敎をしへに養やしなはるる羊群やうぐんなり、爾なんぢ等らを扶助たすけの爲ために呼よびて、爾なんぢ等らに由よりて平安へいあんと大おほいなる憐あはれみとを得えんことを求もとむ。

 今も、復活の生神女讚詞。

聘女よめならぬ童貞女どうていぢよ、言いひ難がたく身みにて神かみを孕はらみし者もの、至し上じやうなる神かみの母はゝよ、爾なんぢの諸僕しよぼくの祈き禱たうを受うけ給たまへ、衆しゆうに諸罪しよざいの潔淨きよめを予あたふる純じゆん潔けつなる者ものよ、今いま我われ等らの冀き願がんを納いれて、我われ等ら皆みな救すくはれんことを祈いのり給たまへ。

若し多燭詞ポリエレイを以て祭らずば、下の生神女讚詞を誦せよ。

聖せいなる童貞どうてい生しやう神女しんぢよよ、我われ爾なんぢの庇廕おほひに趨はしり附つく、我われ爾なんぢに倚よりて救すくひを得えんことを知しる、爾なんぢは、潔いさぎよき者ものよ、我われを援たすくるを能よくすればなり。

 十字架生神女讚詞

主宰しゆさいイイススよ、童貞女どうていぢよ爾なんぢの母はゝは爾なんぢが甘あまんじて十じふ字架じかに釘ていせられ、苦くるしみを受うくるを見みて呼よべり、哀かなしい哉かな甘愛かんあいなる子こよ、爾なんぢは人類じんるゐの不ふ能のうを醫いやす醫師いし、爾なんぢの慈じ憐れんを以もつて衆しゆうを朽きう壞くわいより救すくふ者ものにして、如何いかんぞ非義ひぎに傷きずつけらるるを忍しのぶ。

讚詞トロパリは奉事例に据る。若し奉事例になくば、下の讚詞トロパリを誦せよ。第四調。

我わが先せん祖ぞの神かみ、常つねに爾なんぢの寬くわん容ように由よりて我われ等らに行おこなふ主しゆよ、爾なんぢの仁じん慈じを我われ等らより離はなさずして、彼かれ等らの祈き禱たうに因よりて我わが生命いのちを平安へいあんに治をさめ給たまへ。

 光榮、 今も、生神女讚詞、或は十字架生神女讚詞。

 早課

「主は神なり」に讚詞トロパリ同上。

 第一の聖詠誦文カフィズマの後に坐誦讚詞セダレン、第四調。

ハリストスの眞實しんじつの至いたりて光くわう明めいなる燈ともしびよ、爾なんぢ等らは己おのれの敎をしへを以もつて世せ界かいを輝かゞやかせり、神かみの言ことばを宣のべたる諸神しよしん父ぷよ、爾なんぢ等らは不ふ虔けんなる誹ひ謗者ばうしやの諸しよ異い端たんを亾ほろぼし、褻瀆者せつどくしやの炎ほのほの如ごとき强きやう暴ばうを滅けしたり、故ゆゑにハリストスの役者えきしやとして衆しゆうを照てらし給たまふ。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

純じゆん潔けつなる童貞女どうていぢよ、永在えいざいの神かみを生うみし獨ひとり讚さん美びたる者ものよ、克肖者こくせうしやと偕ともに絕たえず彼かれに祈いのりて、我われ等ら信しんと愛あいとを以もつて職しよくとして爾なんぢを歌うたふ者ものに終をはりの至いたらざる先さきに諸罪しよざいの赦ゆるしと生命いのちの更新あらためとを賜たまはんことを求もとめ給たまへ。

第二の聖詠誦文カフィズマの後に坐誦讚詞セダレン、第八調。

捧神ほうしんなる諸神しよしん父ぷよ、爾なんぢ等らはハリストスの爲ために肉體にくたいを忌いみて、人人ひとびとの屬神ぞくしん゜の敎導けうだう師しと爲なり、奧密あうみつの敎をしへの言ことばを聽ききて、修道しうだう士等しらの模も範はんと現あらはれ、勇いさましく諸慾しよよくを踏ふみて、惡あく鬼きの姦計かんけいを盡ことごとく滅ほろぼせり。愛あいを以もつて爾なんぢ等らの聖せいなる記き憶おくを尊たふとむ者ものに諸罪しよざいの赦ゆるしを賜たまはんことを常つねに祈いのり給たまへ。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

少女せうぢよよ、視みよ、爾なんぢが預よ言げんせし如ごとく、萬族ばんぞくは爾なんぢを讚榮さんえいす、蓋けだし爾なんぢは萬有ばんいうの造成主ざうせいしゆの宮みや及および神聖しんせいなる殿でんと爲なれり、至し上じやう者しやは其その内うちに入いりて、肉體にくたいを衣き給たまへり、我われ等らを救すくはん爲ためなり。

「主の名を讚め揚げよ」の後に附唱。

克肖こくせうなる諸神しよしん父ぷ、修道しうだう士しの敎けう師し、天てん使等しらの對たい話わ者しやよ、我われ等ら爾なんぢ等らを讚さん美びして、爾なんぢ等らの聖せいなる記き憶おくを尊たふとむ。

 拔萃聖詠

「我切に主を恃みしに、彼我に傾きて。」

 多燭詞ポリエレイの後に坐誦讚詞セダレン、第八調。

福ふくたる者ものよ、爾なんぢ等らは己おのれの智慧ちゑを神聖しんせいなる望のぞみに馳はせし時とき、下しもに引ひく一切いつさいの思念おもひを棄すて、野のに居をりて、諸德しよとくの美うるはしき花はなを發ひらき、諸慾しよよくの荊棘いばらを絕たやし、爾なんぢ等らの勤勞きんらうの果みを生せい長ちやうせしめたり、故ゆゑに天てんに在ありて奪うばはれざる富とみの禾束たばを刈かり給たまへり。克肖こくせうなる諸神しよしん父ぷよ、信しんを以もつて爾なんぢ等らの聖せいなる記き憶おくを尊たふとむ者ものに諸罪しよざいの赦ゆるしを賜たまはんことをハリストス神かみに祈いのり給たまへ。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

恩おん寵ちようを滿みち被かうむる者ものよ、凡およその造物ざうぶつ、天てん使しの會くわい、及および人ひとの族やからは爾なんぢに因よりて喜よろこぶ、爾なんぢは聖せいにせられし宮みや、靈れい智ちなる地ち堂だう、童貞女どうていぢよの譽ほまれなり、神かみは爾なんぢより身みを取とり、世世よよの先さきより在います我われ等らの神かみは嬰児をさなごと爲なり給たまへり、蓋けだし爾なんぢの胎たいを寶はう座ざと爲なし、爾なんぢの腹はらを天てんより廣ひろき者ものと爲なせり。恩おん寵ちようを滿みち被かうむる者ものよ、凡およその造物ざうぶつは爾なんぢに因よりて喜よろこぶ、光くわう榮えいは爾なんぢに歸きす。

 品第詞ステペンナ、第四調の第一倡和詞アンティフォン。

 提綱ポロキメン

聖人せいじんの死しは主しゆの目めの前まへに貴たつとし。

句 我われ何なにを以もつて主しゆの我われに施ほどこしし悉ことごとくの恩おんに報むくいん。

「凡そ呼吸ある者」

句 「神を其聖所に讚め揚げよ。」

克肖者の福音經、巻末に載す。

 第五十聖詠の後に讚頌スティヒラ、第六調。

地ちに於おいては天てん使し、天てんに於おいては神かみの人ひと、世よの美うるはしき飾かざり、德とくを望のぞむ者ものの敎導けうだう師し、修齋者しゆさいしやの譽ほまれたる大おほいなる諸神しよしん父ぷを尊たふとまん、蓋けだし彼かれ等らは主しゆの宮みやに植うえられ、柏香木はくかうぼくの如ごとく野のに榮さかえて、聖せいを以もつて義ぎを以もつて靈れい智ちなるハリストスの羊群やうぐんを繁はん殖しよくせしめたり。

 規程カノン、第二調。

第一歌頌

イルモス 人人ひとびとよ、來きたたりて、海うみを分わかちて、エギペトの奴ど隷れいより引ひき出いだしし民たみを過とほらせしハリストス神かみに歌うたを歌うたはん、彼かれ光くわう榮えいを顯あらはしたればなり。

睿えい智ちなる者ものよ、爾なんぢ等らは神性しんせいの三日さんにち光くわうの光くわう照せうに耀かゞやかされ、光くわう體たいと現あらはれて、信しんを以もつて爾なんぢ等らの光くわう明めいなる記き憶おくを尊たふとむ者ものを照てらし給たまふ。

爾なんぢ等らは全まつたく己おのれを造成主ざうせいしゆに委ゆだね、屬神ぞくしん゜の望のぞみを傾かたぶけて彼かれの前まへに注そゝげり、故ゆゑに屬神ぞくしん゜の恩おん寵ちようを受うけ給たまへり。

恩おん寵ちようの光ひかりに輝かゞやかさるる克肖者こくせうしやよ、信しんを以もつて爾なんぢ等らの記き憶おくを祭まつる者ものを照てらして、爾なんぢ等らの祈き禱たうを以もつて罪つみの闇やみより逃のがれしめ給たまへ。

 生神女讚詞

身みにて身みなき者ものを生うみし至し淨じやうなる神かみの母はゝよ、爾なんぢの神聖しんせいなる祈き禱たうの注そゝぐを以もつて我われ等らの體からだと靈たましひとの汚けがれを洗あらひ給たまへ。

第三歌頌

イルモス 木きを以もつて罪つみを殺ころしし主しゆよ、我われ等らを爾なんぢの中うちに堅かためて、爾なんぢを畏おそるる畏おそれを我われ等ら、爾なんぢを歌うたふ者ものの心こゝろに植うゑ給たまへ。

克肖者こくせうしやよ、爾なんぢ等らは淚なみだの流ながれを靈たましひに飮のませて、之これを善よく果みを結むすぶ者ものと爲なし、諸もろもろの德とくを生しやうじて、奇き跡せきを顯あらはし給たまへり。

至し尊そんなる者ものよ、爾なんぢ等らの神聖しんせいなる殿でんは醫治いやしを爲なして、人人ひとびとの諸しよ病びやうを逐おひ、彼かれ等らの思おもひを堅かためて、爾なんぢ等らの功勞こうらうを讚揚さんやうせしむ。

克肖者こくせうしやよ、爾なんぢ等らは節制せつせいを武器ぶきと爲なして、勇いさましく敵てきと戰たゝかひ、之これに勝かちて、惡あく鬼きの驕おごりを仆たふし給たまへり。

 生神女讚詞

童貞女どうていぢよよ、爾なんぢの胎内たいないより至し榮えいにして大おほいなる日ひは輝かゞやき出いでて地ち上じやうを照てらせり、克肖者こくせうしやの會くわいは其その光ひかりと温あたゝかさとにて育そだてられたり。

 坐誦讚詞セダレン、第四調。

克肖こくせうにして神しん智ちなる諸神しよしん父ぷよ、爾なんぢ等らは節制せつせいに由よりて無ぶ難なんに生命いのちの海うみを渡わたりて、無む慾よくの神靈しんれいの港みなとに着つき給たまへり。

 光榮、今も、生神女讚詞。

生しやう神女しんぢよよ、童貞どうていと產さんとは性せいと言ことばとに超こえて爾なんぢの内うちに合あはせられたり、蓋けだし爾なんぢは身みを取とりし神かみ、我われ等らの靈たましひの救主きうしゆを生うみ給たまへり。

 十字架生神女讚詞

至し淨じやうなる者ものよ、爾なんぢは木きの上うへに爾なんぢの子この擧あげられしを見みて、母はゝとして心こゝろ裂さけて呼よべり、哀かなしい哉かな吾わが永久えいきうの光ひかりよ、何處いづこにか隱かくれたる。

第四歌頌

イルモス 人ひとを愛あいする主しゆよ、我われ爾なんぢの光くわう榮えいなる攝せつ理りを聞ききて、爾なんぢの悟さとり難がたき能力ちからを讚榮さんえいせり。

爾なんぢ等らはハリストスの謙遜けんそんを愛あいする者ものとして、無む慾よくを以もつて擧あげられて、惡あく鬼きの盡ことごとくの驕おごりを卑ひくくし給たまへり。

克肖者こくせうしやよ、爾なんぢ等らは東ひがしより出いづる日ひの如ごとく輝かゞやきて、奇き跡せきの光くわう線せんを以もつて普ふ天てん下かを照てらし給たまふ。

克肖者こくせうしやよ、爾なんぢ等らは己おのれの祈き禱たうを香かう爐ろの香氣かをりとして見みざる所ところなき主しゆに捧さゝげたり、主しゆは之これを嘉よく納いれらるる者ものとして受うけて、爾なんぢ等らを榮えいするを喜よろこび給たまへり。

 生神女讚詞

至し淨じやうなる者ものよ、克肖者こくせうしやの會くわいと凡およその信者しんじやの靈たましひとは爾なんぢを讚揚さんやうす、蓋けだし爾なんぢは智慧ちゑと言ことばとに超こえて神かみの言ことばを生うみ給たまへり。

第五歌頌

イルモス 光ひかりを賜たまひ、世世よよを造つくりし主しゆよ、爾なんぢの誡いましめの光ひかりの中うちに我われ等らを導みちびき給たまへ、我われ等ら爾なんぢの外ほかに他たの神かみを識しらざればなり。

至し榮えいなる者ものよ、爾なんぢ等らは獨ひとりハリストスを愛あいする愛あいに靈たましひを委ゆだね、務つとめて神かみの誡いましめを行おこなふ者ものと爲なりて、多おほくの奇き跡せきの恩おん寵ちようを受うけ給たまへり。

爾なんぢ等らは良りやう善ぜん温柔をんじうにして、敵てきの惡計あくけいを盡ことごとく滅ほろぼし、常つねに慈じ憐れんなる者ものと現あらはれて、獨ひとり大だい慈じ憐れんなる主しゆより眞まことの救すくひの恩おん寵ちようを受うけ給たまへり。

爾なんぢ等らは常つねに善行ぜんかうと、祈き禱たうと、齋ものいみとを勤つとめて、聖神せいしん゜の能のう力りよくに由よりて無む慾よくを衣き、肉體にくたいの念おもひを制せいし給たまへり。

 生神女讚詞

新あらたなる歌うたを主しゆに歌うたへ、婚姻こんいんに與あづからざる童貞女どうていぢよの腹はらより神かみに合かなう如ごとく輝かゞやき出いでたる者ものの名なを歌うたへよ、彼かれは己おのれの母はゝを信者しんじやの爲ために堅けん固ごなる倚賴たのみ及および轉達てんたつと爲なし給たまへり。

第六歌頌

イルモス 我われ罪つみの淵ふちに溺おぼれて、爾なんぢが憐あはれみの量はかり難がたき淵ふちに呼よぶ、神かみよ、我われを淪喪ほろびより引ひき上あげ給たまへ。

克肖こくせうなる諸神しよしん父ぷよ、爾なんぢ等らは我われ等らの爲ために十じふ字架じかに釘ていせられし主しゆに役えきして、爾なんぢ等らの大おほいなる功勞こうらうを以もつて惡あく鬼きの面おもてを辱はづかしめて、之これに勝かち給たまへり。

克肖こくせうなる諸神しよしん父ぷよ、爾なんぢ等らは良りやう善ぜんなる風習ならはしを得えて、恩おん主しゆたる神かみより豐ゆたかに賜たまものを受うけて、之これを求もとむる者ものに與あたへ給たまふ。

諸神しよしん父ぷよ、爾なんぢ等らは屬神ぞくしん゜の恩おん賜しに滿みてられて、惡あく神しん゜に勝かち、睿えい智ちなる者ものとして己おのれを全まつたく神かみに委ゆだね給たまへり。

 生神女讚詞

己おのれの產さんを以もつて克肖こくせうなる神しん父ぷの會くわいを照てらしし童貞女どうていぢよ、無む慾よくの泉いづみなる者ものよ、吾わが靈たましひの諸慾しよよくを醫いやし給たまへ。

小讚詞コンダクは奉事例に据る。若し奉事例になくば、下の小讚詞コンダクを誦せよ。第二調。

神しん智ちなる克肖者こくせうしやよ、爾なんぢ等らは足あしを濡ぬらさずして多おほくの激浪あらなみを濟わたり、爾なんぢ等らの淚なみだの流ながれの中うちに無む形けいの敵てきを沈しづめ給たまへり。奇き跡せきの恩おん賜しを受うけて、絕たえず我われ等ら衆しゆうの爲ために祈いのり給たまへ。

 同讚詞イコス

克肖者こくせうしやよ、爾なんぢ等らの諸德しよとくの最多いとおほきは美うるはしき園そのに滿みつる花はなの如ごとし、爾なんぢ等らは齋ものいみと祈き禱たうとに由よりて樂園らくゑんに於おけるが如ごとく榮さかえて、己おのれの許多あまたの苦く勞らうと聖せいなる汗あせとの芳かうばしきを以もつて衆しゆうを薫かをらせ給たまふ。勤勞きんらうを以もつて奇き妙めうに憂うれひなき生命いのちに移うつり、勝しよう利りの榮えい冠くわんを冠かうむりて、絕たえず我われ等ら衆しゆうの爲ために祈いのり給たまへ。

第七歌頌

イルモス 黃金こがねの偶像ぐうざうがデイラの野のに奉ほう事じせられし時とき、爾なんぢの三人みたりの少者せうしやは神かみに逆さかふ命めいを顧かへりみずして、火ひの中なかに投なげられ、涼すゞしくせられて歌うたへり、我わが先せん祖ぞの神かみよ、爾なんぢは崇あがめ讚ほめらる。

克肖者こくせうしやよ、爾なんぢ等らは己おのれの祈き禱たうの武器ぶきを以もつて惡あく鬼きに勝かち、天てんより恩おん寵ちようを受うけて、諸しよ病びやうを醫いやし、惡あく神しん゜を逐おひて、醫いやされし者ものに呼よばしむ、我わが先せん祖ぞの神かみは崇あがめ讚ほめらる。

讚さん美びたる睿えい智ちなる諸神しよしん父ぷよ、爾なんぢ等らは己おのれの肉體にくたいを神しん゜に服ふくせしめて、凡およその節制せつせいを守まもり、善行ぜんかうを行おこなひ、天てんに於おけるが如ごとく度ど生せいし、潔いさぎよき良りやう心しんを有たもちて歌うたへり、我わが先せん祖ぞの神かみは崇あがめ讚ほめらる。

福ふくたる者ものよ、爾なんぢ等らは眞實しんじつの道みちを履ふみて、神聖しんせいなる安息あんそくに進すゝみ、神かみの恩おん寵ちように蔭おほはれて、惡あく鬼きの誘惑いざなひを避さけて呼よべり、我わが先せん祖ぞの神かみは崇あがめ讚ほめらる。

 生神女讚詞

潔いさぎよき童貞女どうていぢよよ、曩さきにエデムの門もんを守まもりし劍つるぎは齋ものいみを以もつて戰たゝかふ敵てきを斃たふしし衆しゆうの前まへより退しりぞきたり、故ゆゑに彼かれ等ら常つねに呼よぶ、我わが先せん祖ぞの神かみは崇あがめ讚ほめらる。

第八歌頌

イルモス 昔むかしシナイ山ざんに於おいて棘いばらの中うちにモイセイに童貞女どうていぢよの奇き跡せきを預あらかじめ示しめしし者ものを尊たふとみ歌うたひ、崇あがめ讚ほめて、萬世ばんせいに讚ほめ揚あげよ。

至し榮えいなる諸神しよしん父ぷよ、爾なんぢ等らの淚なみだの滴したゝりは罪つみの火ひを滅けして、我われ等ら衆しゆう爾なんぢ等らに趨はしり附つく者ものの凡およその慾よくを溺おぼらす奇き跡せきの川かはを成なせり。

諸神しよしん父ぷよ、爾なんぢ等らは堅かたき信しんと望のぞみ、眞まことの愛あいと心こゝろの慈じ憐れん、善よき忍耐にんたいと謙遜けんそんと全まつたき善ぜん良りやう、及および屬神ぞくしん゜の敎訓けうくんの言ことばを有たもてり。

睿えい智ちなる者ものよ、爾なんぢ等らは善よき戰たゝかひを戰たゝかひて、凡およその敵てきの惡謀あくぼうに勝かち、生命いのちの終をはりに榮えい冠くわんを獲えて、悉ことごとくの克肖者こくせうしやに加くははりたり、我われ等らは彼かれ等らと偕ともに爾なんぢ等らを尊たふとみて、ハリストスを世世よよに讚ほめ揚あぐ。

 生神女讚詞

世せ界かいに救すくひの原因げんいんを現あらはしし神かみの母はゝよ、我われを救すくへ、我われを不ふ潔けつなる諸慾しよよくの惶擾みだれ及および凡およその敵てきの攻擊こうげきより脫のがれしめ給たまへ、我わが萬世ばんせいに爾なんぢを讚榮さんえいせん爲ためなり。

第九歌頌

イルモス 食しよくに緣よりて甚はなはだしく朽きう壞くわいに陷おちいりしアダムを、言いひ難がたき智慧ちゑを以もつて改あらためん爲ために神かみより來きたりし神かみ言ことば、我われ等らの爲ために測はかり難がたく聖せいなる童貞女どうていぢよより身みを取とりし主しゆを、我われ等ら信者しんじやは同心どうしんに歌うたを以もつて崇あがめ讚ほむ。

諸神しよしん父ぷよ、視みよ、爾なんぢ等ら善よく馳はすべき程みちを盡つくしし者ものの爲ために天國てんこくは啓ひらかれたり、爾なんぢ等らは諸天しよてん使しの見みる所ところを見みる、爾なんぢ等らを尊たふとくせし神かみは爾なんぢ等らに勤勞きんらうの賞むくいとして尊敬そんけいを與あたへ給たまへり、故ゆゑに聖せいなる諸神しよしん父ぷよ、我われ等らは爾なんぢ等らを讚揚さんやうす。

神福しんぷくなる捧神者ほうしんしやよ、爾なんぢ等らは傷しやう感かんの情じやうを以もつて神かみに奉ほう事じして、惡あく鬼きの姦計かんけいを滅ほろぼし、彼かれ等らに傷そこなはれし者ものを改あらため給たまへり、故ゆゑに我われ等ら熱信ねつしんに爾なんぢ等らを讚揚さんやうして、爾なんぢ等らの不ふ朽體きうたいの柩ひつぎに伏拜ふくはいす。

克肖こくせうなる捧神者ほうしんしや諸神しよしん父ぷよ、爾なんぢ等らは思おもひを上うへに神かみに馳はせて、地ちの事ことを棄すて、爾なんぢ等らの勤勞きんらうと撓たわまざる節制せつせいとの爲ために天てんの事ことを受うけ給たまへり、故ゆゑに我われ等ら爾なんぢ等らを尊たふとむ。

 生神女讚詞

主しゆよ、我われを憐あはれみ、爾なんぢが審判しんぱんする時ときに我われを憐あはれみて、火ひに定さだむる毋なかれ、爾なんぢの憤いきどほりを以もつて我われを責せむる毋なかれ、ハリストスよ、爾なんぢを生うみし童貞女どうていぢよと、天てん使しの軍ぐんと、克肖者こくせうしやの會くわいとは之これを爾なんぢに祈いのる。

 光耀歌

諸神しよしん父ぷよ、爾なんぢ等らはダウィドの言いふ所ところの椶しゆ櫚ろの如ごとく繁しげりて、至し聖神せいしんの居處すまひと現あらはれ、全ぜん地ちに光くわう榮えいなる者ものと爲なり給たまへり。克肖者こくせうしやよ、我われ等ら信しんを以もつて爾なんぢ等らの至し尊そんなる記き憶おくを貴たふとむ者ものの爲ために常つねにハリストスに祈いのり給たまへ。

 生神女讚詞

生しやう神しん童貞女どうていぢよよ、我われ等ら默もださざる歌うたを以もつて爾なんぢを讚さん美びす、蓋けだし爾なんぢは聖三者せいさんしやの一いつを生うみて、變易へんえきなき永在えいざいなる言ことばを爾なんぢの神聖しんせいなる手てに抱いだき給たまへり。

 「凡そ呼吸ある者」に讚頌スティヒラ、第四調。

福ふくたる克肖者こくせうしやよ、爾なんぢ等らの至いたりて嚴おごそかなる記き憶おくは日ひの如ごとく最いと明あきらかに光ひかりて、爾なんぢ等らの德行とくかうの光くわう線せんを耀かゞやかし、爾なんぢ等らの奇き跡せきの光ひかりにて信者しんじやの感覺かんかくを照てらす。我われ等らは欣よろこばしく祝いはひて、爾なんぢ等らを讚ほめ揚あげて、熱心ねつしんに爾なんぢ等らの至いたりて嚴おごそかなる記き憶おくを讚揚さんやうす。二次

至し榮えいなる聖神せいしん父等ぷらよ、爾なんぢ等らは地ち上じやうに天てん使しの如ごとく度ど生せいして、節制せつせいと、警醒けいせいと、死しの念おもひとを以もつて己おのれの肉體にくたいを抑制よくせいし、常つねに髙かう尙しやうなる望のぞみを以もつて天てん上じやうに升のぼりて、實じつに隅石すみいしたるハリストスに邇ちかづきたり。

奇異きいなる克肖こくせうの諸神しよしん父ぷよ、爾なんぢ等らは節制せつせいと熱切ねつせつなる祈き禱たうとを以もつて肉慾にくよくを制せいし、淚なみだの流ながれを以もつて詭き譎けつなる蛇へびを溺おぼらし、他た人にんより多おほく神かみの悅よろこびを獲えたり。故ゆゑに仁愛じんあいなるイイスス、我われ等らの靈たましひの救主きうしゆは天てんの恩おん賜しを以もつて爾なんぢ等らを飾かざり給たまへり。

 光榮、第八調。

克肖こくせうなる諸神しよしん父ぷよ、爾なんぢ等らは晝ちゆう夜や主しゆの法はふを思し念ねんして、活いける樹きの如ごとく植うゑらるるを得え、爾なんぢ等らの苦く勞らうの果みとして榮えい冠くわんを受うけたり。勤勞者きんらうしやを賞しやうする神かみの前まへに勇いさみを有たもちて、我われ等らの爲ためにも赦罪しやざいと大おほいなる憐あはれみとを求もとめ給たまへ。

 今も、生神女讚詞。

女宰ぢよさいよ、爾なんぢの諸僕しよぼくの祈禱いのりを納いれて、我われ等らを諸もろもろの災禍わざはひと憂愁うれひより救すくひ給たまへ。

 十字架生神女讚詞

言ことばよ、至し淨じやうなる者ものは爾なんぢが身みにて十じふ字架じかに懸かゝれるを見みて、心こゝろ裂さかれて泣なきて呼よべり、至し愛あいなる主しゆイイスス吾わが子こよ、何處いづこにか隱かくるる、ハリストスよ、我われ爾なんぢを生うみし者ものを獨ひとりとして遺のこす毋なかれ。

若し挿句くづけに光榮あらば、之を誦せよ。今も、晩課の生神女讚詞、或は十字架生神女讚詞。

 

第十四編 一人の致命者の總奉事

 晩課

「主よ爾に籲ぶ」に讚頌スティヒラ、第一調

至し尊そん至し福ふくなる睿えい智ち者しやよ、爾なんぢは直なほき心こゝろを以もつて圍かこまれぬ神かみを悟さとり、疑うたがひなく之これを信しんじ、其その救すくひの誡いましめを守まもり、忍耐にんたいを以もつて勇いさましく苦くるしみを受うけて、動うごきなき國くにを得えたり。

至し尊そんなる者ものよ、爾なんぢは己おのれの尊たふとき血ちにて地ちを聖せいにし、不ふ法はふにして惡あく鬼きに捧さゝげらるる汚けがらはしき血ちを廢はいして、爾なんぢの首かうべに不ふ朽きうの榮えい冠くわんを受うけ給たまへり。故ゆゑに我われ等らの靈たましひに平安へいあんと大おほいなる憐あはれみとを賜たまはんことを祈いのり給たまへ。

至し尊そんなる致ち命者めいしや(某)よ、我われ等ら慎つゝしみて爾なんぢの聖せいにせられし戰鬪せんとうと功勞こうらうとを讚榮さんえいす、爾なんぢは此これを以もつて諸天しよてん使しの同どう住ぢゆう者しや、悉ことごとくの受難者じゆなんしやの共きよう與よ者しやと爲なり給たまへり。彼かれ等らと偕ともに祈いのりて、我われ等らの靈たましひに平安へいあんと大おほいなる憐あはれみとを賜たまはんことを求もとめ給たまへ。

 光榮、今も、生神女讚詞。

哀かなしい哉かな我われは諸罪しよざいを以もつて智慧ちゑと靈たましひと體からだとを汚けがして、如何いかにか爲ならん、何なにをか爲なさん、如何いかんぞ勝たへ難がたき焔ほのほと永遠えいゑんに解とかれぬ縲絏なはめとを脫のがれん。嗚呼あゝ純じゆん潔けつなる者ものよ、爾なんぢの子こに祈いのりて、我われに終をはりの前さきに赦免しやめんを賜たまはんことを求もとめ給たまへ。

 十字架生神女讚詞

牝め羊ひつじたる無む玷てんの女宰ぢよさいは己おのれの羔こひつじが十じふ字架じかに在ありて姿容すがたもなく威ゐ嚴げんもなきを見みて、哭なきて言いへり、嗚呼あゝ甘愛かんあいなる者ものよ、爾なんぢの威ゐ嚴げんは何處いづこにか隱かくれたる、美うるはしき貌かたちは何處いづこにかある、吾わが至し愛あいなる子こよ、爾なんぢの姿容すがたの輝かゞやける恩おん寵ちようは何處いづこにかある。

若し之あらば、自調。光榮、第六調。

今日こんにち全ぜん地ちは受難者じゆなんしやの光明くわうみやうに照てらされ、神かみの敎けう會くわいは花はなに飾かざられて、爾なんぢに、致ち命者めいしや(某)よ、呼よぶ、ハリストスの役者えきしや及および熱切ねつせつなる轉達者てんたつしやよ、爾なんぢの諸僕しよぼくの爲ために息やめずして祈いのり給たまへ。

 今も、生神女讚詞。

生しやう神しん童貞女どうていぢよよ、我われ等らは爾なんぢより身みを取とりし者ものの神かみなるを悟さとれり、彼かれに我われ等らの靈たましひの救すくひの爲ために祈いのり給たまへ。

 十字架生神女讚詞。

昔むかし無垢むくなる牝め羊ひつじ及および無む玷てんなる女宰ぢよさいは己おのれの羔こひつじが十じふ字架じかに擧あげらるるを見みし時とき、母はゝとして哭なき、驚おどろきて呼よべり、甘愛かんあいなる子こよ、斯この新あらたにして神妙しんめうなる顯現あらはれは何なにぞ、如何いかんぞ恩おんを知しらざる民たみは爾なんぢ萬ばん衆しゆうの生命いのちをピラトの裁判さいばんに付わたして、死しに定さだむる、言ことばよ、我われ爾なんぢの言いひ難がたき寬くわん容ようを歌うたふ。

若し多燭詞ポリエレイを以て祭を行はば、復活の生神女讚詞を誦すべし。

至し聖せいなる童貞女どうていぢよよ、誰たれか爾なんぢを讚さん美びせざらん、誰たれか爾なんぢの至いたりて淨きよき產さんを歌うたはざらん、世よの無なき先さきに父ちゝより光ひかる獨生どくせいの子こは爾なんぢ淨きよき者ものより言いひ難がたく身みを取とりて出いで、本性ほんせいの神かみは我われ等らの爲ために本性ほんせいの人ひとと爲なれり、其その位くらゐ一ひとつにして相分あひわかれず、其その性せい二ふたつにして相あひ失うしなはず、淨きよくして至いたりて福さいはひなる者ものよ、我わが靈たましひの憐あはれみを蒙かうむらんことを彼かれに禱いのり給たまへ。

 聖入。本日の提綱ポロキメン。致命者の喩言パリミヤ、巻末に載す。

 挿句くづけの讚頌スティヒラ、第四調。

神しん智ちなる(某)よ、殘酷ざんこくなる苛虐者くるしめびとが爾なんぢの善よく忍しのぶ身みを多た種しゆの甚はなはだしき苦くるしみに付わたししに、爾なんぢは將しやう來らいの賞むくいと不死ふしの榮さかえとを望のぞみて、ハリストスを諱いまず、偶像ぐうざうを祭まつらずして、他た人にんの身みに於おける如ごとく苦くるしみを忍しのび給たまへり。

句 義ぎ人じんは繁しげること椶しゆ櫚ろの如ごとく、髙たかくなることリワンの柏香木はくかうぼくの如ごとし。

爾なんぢは鐵搭くまでにて裂さかれ、石いしにて擊うたれ、鐵てつにて傷きずつけられ、劍つるぎにて斬きらるるに、爾なんぢの靈たましひを靈れい智ちの石いしの上うへに堅かたく立たてしに由よりて、動うごきなく止とゞまれり、故ゆゑに天てん使しの會くわいに合あはせられて、暮くれざる光ひかりに輝かゞやかさるるを得えたり。

句 彼かれ等らは主しゆの宮みやに植うゑられて、我わが神かみの庭にはに榮さかゆ。

光くわう榮えいなる(某)よ、爾なんぢの不ふ朽體きうたいは望のぞむ者ものの爲ために醫治いやしの恩おん賜しを流ながし、苦く痛つうと諸しよ病びやうとを溺おぼらし、惡あく鬼きの群むれを逐おひ、信者しんじやの心こゝろを濕うるほして、諸德しよとくの神聖しんせいなる果みと敬虔けいけんの明悟さとりとを生しやうず。

 光榮、第六調。

致ち命者めいしやを愛あいする者もの皆みな來きたりて、敬虔けいけんの心こゝろを抱いだきてハリストスの受難者じゆなんしや、馳はすべき程みちを盡つくしし光くわう榮えいなる(某)を讚榮さんえいせん、蓋けだし彼かれは蛇へびの首かしらを碎くだき、己おのれの血ちにて地ちを聖せいにし、地ち上じやうより永遠えいゑんの居處すまひに移うつり、全能者ぜんのうしやの手てより功勞こうらうの尊そん貴きを受うけて、我われ等らの靈たましひの爲ために潔淨きよめと大おほいなる憐あはれみとを求もとむ。

 今も、生神女讚詞。

生しやう神女しんぢよよ、爾なんぢは實じつの葡ぶ萄だうの枝えだ、我われ等らの爲ために生命いのちの果みを結むすびし者ものなり、女宰ぢよさいや爾なんぢに祈いのる聖せい使徒しとと共ともに我わが靈たましひの憐あはれみを蒙かうむらんことを祈いのり給たまへ。

 十字架生神女讚詞。

至し淨じやうなる者ものは爾なんぢが十じふ字架じかに懸かけられしを見みし時とき、母はゝとして泣なきて呼よべり、吾わが神かみ、吾わが甘愛かんあいなる子こよ、如何いかんぞ爾なんぢは恥はづべき苦くるしみを忍しのび給たまふ。

讚詞トロパリは奉事例に据る。若し奉事例になくば、下の讚詞トロパリを誦せよ。第四調。

主しゆよ、爾なんぢの致ち命者めいしや(某)は其その苦くるしみに由よりて爾なんぢ我わが神かみより不ふ朽きうの榮えい冠くわんを受うけたり、蓋けだし爾なんぢに堅かためられて、苛虐者くるしめびとを斃たふし、惡あく鬼きの不ふ能のうなる强きやう暴ばうをも破やぶれり。彼かれの祈き禱たうに由よりて、我われ等らの靈たましひを救すくひ給たまへ。

 光榮、今も、生神女讚詞。或は十字架生神女讚詞。

 早課

「主は神なり」に讚詞トロパリ同上。

 第一の「カフィズマ」の後に坐誦讚詞セダレン、第一調。

至いたりて福ふくたる致ち命者めいしや(某)よ、爾なんぢは地ち上じやうの軍ぐん職しよくを厭いとひ、天てん上じやうの光くわう榮えいを慕したひて、苦く難なん及および殘ざん虐ぎやくの死しを忍しのべり。故ゆゑに我われ等ら今日こんにち爾なんぢの至し聖せいなる記き憶おくを祭まつりて、讚さん美びをハリストスに奉たてまつる。 二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

我われ等ら皆みな爾なんぢ神かみの母はゝ、產さんの後のちにも實じつに童貞女どうていぢよと現あらはれし者ものに祈いのり、愛あいを以もつて爾なんぢの仁じん慈じに趨はしり附つきて、爾なんぢの慈じ憐れんを求もとむ、蓋けだし我われ等ら罪つみなる者ものは爾なんぢ獨ひとり至いたりて潔いさぎよき者ものを轉達者てんたつしやとして有たもち、爾なんぢを誘惑いざなひの中うちに極救すくひとして獲えたり。

 第二の「カフィズマ」の後に坐誦讚詞セダレン、第四調。

至し尊そんなる(某)よ、爾なんぢは誠まことに馳はすべき程みちを盡つくして、苛虐者くるしめびとの悉ことごとくの力ちからに勝かち、全能者ぜんのうしやの手てより榮えい冠くわんを受うけて、諸天しよてん使しの共きよう與よ者しやと爲なり給たまへり。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

生しやう神しん童貞女どうていぢよ、獨ひとり潔いさぎよく、獨ひとり祝しゆく福ふくせられし者ものよ、我われ等らは爾なんぢより身みを取とりし者ものを父ちゝの言ことばハリストス吾わが神かみなりと知しれり、故ゆゑに絕たえず爾なんぢを歌うたひて崇あがめ讚ほむ。

「主の名を讚め揚げよ」の後に附唱。

聖せいなる致ち命者めいしや(某)よ、我われ等ら爾なんぢを讚揚さんやうして、爾なんぢがハリストスの爲ために忍しのびし尊そん貴きなる苦くるしみを尊たふとむ。

 拔萃聖詠

「神は我等の避所なり、能力なり。」

 多燭詞ポリエレイの後に坐誦讚詞セダレン、第四調。

ハリストスの勝かたれぬ軍ぐん士し、勇いさましく諸敵しよてきに勝かちし者もの、大おほいなる奇き跡せきを以もつて輝かゞやきし受難者じゆなんしや(某)を我われ等ら皆みな常つねに熱切ねつせつに讚ほめ揚あげん、蓋けだし彼かれは信しんを以もつて趨はしり附つく者ものの爲ために醫治いやしを流ながして、甚はなはだしき苦く難なんを退しりぞけ、憂うれひの中うちに在ある人人ひとびとを援たすけ給たまふ。 二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

生しやう神しん童貞女どうていぢよよ、爾なんぢは我われ等ら「ハリスティアニン」の爲ために破やぶられぬ墻かきなり、蓋けだし我われ等らは爾なんぢに趨はしり附つきて害がいなくして止とゞまり、復また罪つみを犯おかせば、爾なんぢを祈き禱たう者しやとして有たもつ。故ゆゑに感かん謝しやして爾なんぢに呼よぶ、恩おん寵ちようを蒙かうむれる者ものよ、慶よろこべ、主しゆは爾なんぢと偕ともにす。

 品第詞ステペンナ、第四調の第一倡和詞アンティフォン

提綱ポロキメン

義ぎ人じんは繁しげること椶しゆ櫚ろの如ごとく、髙たかくなることリワンの柏香木はくかうぼくの如ごとし。 句 彼かれ等らは主しゆの宮みやに植うゑられて、我わが神かみの庭にはに榮さかゆ。

「凡そ呼吸ある者」

致命者の福音經、巻末に載す。

 第五十聖詠の後に讚頌スティヒラ、第六調。

今日こんにち全ぜん地ちは受難者じゆなんしやの光明くわうみやうに照てらされ、神かみの敎けう會くわいは花はなに飾かざられて、爾なんぢに致ち命者めいしや(某)よ、呼よぶ、ハリストスの役者えきしや及および熱切ねつせつなる轉達者てんたつしやよ、爾なんぢの諸僕しよぼくの爲ために息やめずして祈いのり給たまへ。

 規程カノン、第五調。

第一歌頌

イルモス 强つよき手てにて戰たゝかひを亡ほろぼすハリストスは馬うまと騎者のりてとを紅くれなゐの海うみに落おとし、凱歌かちうたを歌うたふイズライリを救すくひ給たまへり。

神福しんぷくなる者ものよ、勝かたれぬ受難者じゆなんしやとして勇いさましく神かみの寶はう座ざの前まへに立たちて、爾なんぢの祈き禱たうを以もつて熱心ねつしんに爾なんぢの聖せいなる受難じゆなんを祭まつる者ものを守まもり給たまへ。

至し榮えい至し福ふくなる聖せい致ち命者めいしやよ、爾なんぢは己おのれの靈たましひの内うちに存そんする活いける水みづを有たもちて、救世主きうせいしゆの恩おん寵ちように堅かためられて、凶きよう惡あくの濁にごりたる流ながれを涸からし給たまへり。

神福しんぷくなる者ものよ、爾なんぢは神かみの力ちからに堅かためられて、敵てきの驕おごりを破やぶるを得えて、光くわう明めいなる勝しよう利り者しや及および天てん上じやうの城邑まちの住ぢゆう者しやと爲なり給たまへり。

 生神女讚詞

至し聖せい至し淨じやうなる女宰ぢよさいよ、我われ不ふ當たうなる者ものの上うへに爾なんぢの慈じ憐れんを顯あらはして、熱切ねつせつに爾なんぢの子こに祈いのり給たまへ、我わが爾なんぢの祈き禱たうに因よりて永遠えいゑんの火ひを免まぬかれん爲ためなり。

第三歌頌

イルモス 己おのれの詔みことのりにて虛むなしき處ところに地ちを固かため、保たもち難がたく重おもき者ものを懸かけしハリストス、獨ひとり仁じん慈じにして人ひとを愛あいする主しゆよ、爾なんぢが誡いましめの動うごかざる石いしに爾なんぢの敎けう會くわいを堅かたく立たて給たまへ。

光くわう榮えいなる睿えい智ち者しやよ、爾なんぢは不ふ潔けつの諸慾しよよくを退しりぞけて、神聖しんせいなる潔けつ淨じやうを以もつて神かみに近ちかづき、彼かれより光くわう照せうを受うけて、光ひかりの行爲わざを行おこなふ者ものとして光ひかりの子こと爲なり給たまへり。

神福しんぷくなる捧神者ほうしんしや致ち命者めいしや(某)よ、爾なんぢは地ち上じやうの軍ぐん職しよくと大おほいなる光くわう榮えいとを空むなしき者ものと爲なして、ハリストスの軍ぐん士しとなり、致ち命者めいしやの會くわいに加くははりて樂たのしみ給たまふ。

奇き妙めうにして尊榮そんえいなる者ものよ、爾なんぢは己おのれの足あしを平へい和わの途みちに向むかはしめて、神かみの國くにに、樂園らくゑんの廣ひろきに、永遠えいゑんの安息あんそくに入いり給たまへり。

 生神女讚詞

潔いさぎよき女宰ぢよさいよ、爾なんぢは萬物ばんぶつの主宰しゆさい及および造成主ざうせいしゆを生うみて、ヘルワィムとセラフィムより最いと尊たふとき者ものと顯あらはれ給たまへり、故ゆゑに我われ等ら萬族ばんぞくは職しよくとして爾なんぢを讚揚さんやうす。

 坐誦讚詞セダレン、第五調。

睿えい智ち者しやよ、爾なんぢは諸德しよとくの光明くわうみやうに輝かゞやき、受難じゆなんの光ひかりに飾かざられて、日ひよりも盛さかんに光くわう照せうして、信しんを以もつて爾なんぢの光くわう明めいなる記き憶おくを行おこなふ者ものを實じつに照てらし給たまふ。至し榮えいなる受難者じゆなんしや(某)よ、爾なんぢの不ふ朽體きうたいに伏拜ふくはいする者ものを救すくひ給たまへ。

 光榮、今も、生神女讚詞。

潔いさぎよき永貞えいてい童女どうぢよよ、爾なんぢの胎孕はらみの奇き跡せきは悟さとり難がたく、產さんの狀さまは言いひ難がたしと知しられて、我わが智慧ちゑを驚おどろかし、思おもひを訝いぶからしむ。生しやう神女しんぢよよ、爾なんぢの光くわう榮えいは衆しゆうに顯あらはれたり、我われ等らの靈たましひの救すくひの爲ためなり。

 十字架生神女讚詞。

神かみの恩おん寵ちようを蒙かうむれる者ものよ、爾なんぢの子この十じふ字架じかにて偶像ぐうざうの迷まよひは悉ことごとく虛むなしくなり、惡あく鬼きの力ちからは踐ふまれたり、故ゆゑに我われ等ら信者しんじやは職しよくとして常つねに爾なんぢを歌うたひて崇あがめ讚ほめ、實じつに生しやう神女しんぢよと承うけ認とめて爾なんぢを讚榮さんえいす。

第四歌頌

イルモス ハリストスよ、アウワクムは先せん知ちの目めにて爾なんぢが神妙しんめうの謙遜へりくだりを悟さとり、戰をのゝきて爾なんぢに呼よべり、爾なんぢの民たみを救すくひ、爾なんぢの膏あぶらつけられし者ものを救すくはん爲ために來きたり給たまへり。

至し福ふく至し榮えいなる睿えい智ち者しやよ、爾なんぢは主しゆに於おける愛あいと望のぞみとを以もつて飾かざられ、致ち命者めいしやとして輝かゞやきて、諸天しよてん使しの同どう住ぢゆう者しやと爲なり給たまへり。

神福しんぷくなる睿えい智ち者しやよ、爾なんぢは窘逐きんちくせられ、一切いつさいを奪うばわれて、萬有ばんいうの主宰しゆさいたる神かみの爲ために動うごかされず撓たわまされざる者ものと止とゞまり給たまへり。

光くわう榮えいなる者ものよ、爾なんぢは善よき戰たゝかひを戰たゝかひて、致ち命者めいしやの華くわ美びに飾かざられ、見みえざる華くわ美びに移うつりて、爾なんぢの勤勞きんらうの尊たふとき果みを收おさめ給たまへり。

 生神女讚詞

純じゆん潔けつなる女宰ぢよさいよ、上うへに父ちゝと分わかれざる子こ、獨ひとり仁じん慈じにして人ひとを愛あいする主しゆは、大おほいなる慈じ憐れんに因よりて、下しもに我われ等らの爲ために爾なんぢより身みを取とり給たまへり。

第五歌頌

イルモス 光ひかりを衣ころもの如ごとく衣きる者ものよ、我われ爾なんぢに朝あさの祈いのりを奉たてまつりて爾なんぢに呼よぶ、ハリストスよ、我わが昧くらまされし靈たましひを照てらし給たまへ、爾なんぢは獨ひとり仁じん慈じの主しゆなればなり。

致ち命者めいしやよ、爾なんぢは全能者ぜんのうしやの法はふに堅かためられて、不ふ法はふの者ものの勸すゝめを退しりぞけ、法はふの爲ために苦くるしみを受うけて、不ふ朽きうの榮えい冠くわんを獲え給たまへり。

睿えい智ち者しやよ、爾なんぢは己おのれの血ちの流ながれにて迷まよひの熾炭やけずみを滅けしたり、今いまは神かみの恩おん寵ちように因よりて醫治いやしの水みづを流ながして、諸しよ病びやうの焔ほのほを滅けし給たまふ。

睿えい智ちなる致ち命者めいしやよ、爾なんぢは弱よわき肉體にくたいに在ありて凶きよう惡あくなる蛇へびを滅ほろぼし、恩おん寵ちように因よりて其その多おほくの惡謀あくぼうを破やぶるを得えたり。

 生神女讚詞

至いたりて無む玷てんなる童貞女どうていぢよ、身みにて無む慾よくの泉いづみたるハリストス神かみを生うみし者ものよ、爾なんぢに祈いのる、我わが身みの諸慾しよよく、靈たましひを滅ほろぼす者ものを殺ころし給たまへ。

第六歌頌

イルモス 主宰しゆさいハリストスよ、靈たましひを壞やぶる颶ぐ風ふうに荒あらさるる慾よくの海うみを鎮しづめて、我われを淪亾ほろびより援たすけ給たまへ、爾なんぢは仁じん慈じの主しゆなればなり。

ハリストスの致ち命者めいしや(某)よ、爾なんぢは不ふ法はふ者しやの裁判さいばんの前まへに立たちて、ハリストスの爲ために裁判さいばんせられ、勇いさましく迷まよひを責せめて、之これを絕たやし給たまへり。

ハリストスの睿えい智ちなる致ち命者めいしやよ、爾なんぢは苦くるしみの中うちに神聖しんせいなる華くわ美びに飾かざられたり、故ゆゑにハリストスは爾なんぢを光くわう照せうして、不ふ朽きうの者ものと爲なし給たまへり。

至し福ふくなる者ものよ、爾なんぢは己おのれの血ちにて地ちを聖せいにし、聖せいなる靈たましひにて天てんに輝かゞやきて、致ち命者めいしやの會くわいを樂たのしみに滿みて給たまへり。

 生神女讚詞

至いたりて無む玷てんなる童貞女どうていぢよよ、預よ言者げんしやは聖神せいしん゜に敎をしへられて、爾なんぢを門もんと預よ見けんせり、身みを取とり給たまふ神かみは之これを過とほりて、復また閉とざされたる者ものとして遺のこし給たまへり。

小讚詞コンダクは奉事例に据る。若し奉事例になくば、下の小讚詞コンダクを誦せよ。第二調。

受難者じゆなんしや(某)よ、爾なんぢは光くわう明めいなる星ほしと顯あらはれて、世せ界かいに日ひたるハリストスを知しらせ、爾なんぢの光くわう線せんを以もつて一切いつさいの迷まよひを消けし、我われ等らに光ひかりを施ほどこして、絕たえず我われ等ら衆しゆうの爲ために祈いのり給たまふ。

 同讚詞イコス

神かみよ、我われに歌うたを與あたへ給たまへ、我わが調てう子し善よく歌うたひて、爾なんぢの勇敢ゆうかんなる受難者じゆなんしや、睿えい智ちなる致ち命者めいしや(某)の功勞こうらうを尊たふとみて讚ほめ揚あげん爲ためなり、彼かれは苦くるしみの中うちに勝しよう利り者しやと顯あらはれ、敬虔けいけんに於おいて大おほいなる者ものと爲なり、致ち命者めいしやの會くわいに輝かゞやけり、其中そのうちに在ありて彼かれは大數たいすうの天てん使しと偕ともに常つねにハリストスを歌か頌しようし、上うへより神かみの光くわう照せうを受うけて、絕たえず我われ等ら衆しゆうの爲ために祈いのり給たまふ。

第七歌頌

イルモス 尊たふとまるる先せん祖ぞの主しゆは燄ほのほを滅けし、少者せうしやを涼すゞしくせり、彼かれ等らは心こゝろを合あはせて、神かみよ、爾なんぢは崇あがめ讚ほめらると歌うたへばなり。

睿えい智ちなる受難者じゆなんしやよ、敬虔けいけんの民たみは多おほくの苦くるしみを受うけたる爾なんぢの體たいを移うつして、感謝かんしやの心こゝろを抱いだきて歌うたへり、我わが先せん祖ぞの神かみは崇あがめ讚ほめらる。

福ふくたる者ものよ、爾なんぢは神かみの恩おん寵ちように因よりてエㇽリンの祭まつりを壞やぶり、甘あまんじてハリストスの爲ために苦く難なんを受うけ、苦くるしみの時ときに肉體にくたいの縲絏なはめを解とかれて、安息あんそくに移うつり給たまへり。

讚さん美びたる受難者じゆなんしやよ、爾なんぢは血ちを流ながす苦くるしみを車くるまとして之これに乘のり、喜よろこびて天てん上じやうの安息あんそくの處ところに上のぼり給たまへり。

 生神女讚詞

純じゆん潔けつ無む玷てんなる童貞女どうていぢよよ、爾なんぢは凡およそ爾なんぢを性せいに超こえて爾なんぢの腹はらより身みを取とり給たまひし神かみを生うみし母はゝと承うけ認とむる者ものの爲ために光くわう榮えい及および堅固かためなり。

第八歌頌

イルモス 少者せうしやは爐ゐろりに在ありて爾なんぢ萬物ばんぶつを造つくりし主しゆの前まへに全ぜん世せ界かいの詠隊えいたいと爲なりて歌うたへり、悉ことごとくの造物ざうぶつは主しゆを歌うたひて、萬世ばんせいに崇あがめ讚ほめよ。

睿えい智ち者しやよ、爾なんぢは窘逐きんちくの中うちに死しし、上うへなるイエルサリムを嗣つぐ者ものと爲なりて、絕たえず歌うたふ、悉ことごとくの造物ざうぶつは主しゆを歌うたひて、萬世ばんせいに彼かれを崇あがめ讚ほめよ。

福ふくたる者ものよ、爾なんぢは多おほくの哀かなしみに遇あひし後のち、今いま哀かなしみなき處ところに居をりて、彼處かしこに呼よぶ、悉ことごとくの造物ざうぶつは主しゆを歌うたひて、萬世ばんせいに彼かれを崇あがめ讚ほめよ。

致ち命者めいしやよ、爾なんぢは神かみの全能ぜんのうの力ちからに因よりてエㇽリンの迷まよひと凶きよう惡あくなる理り論ろんとを破やぶりて、萬有ばんいうの主宰しゆさいより不ふ朽きうの榮えい冠くわんを受うくるに堪たふる者ものと爲なり給たまへり。

 生神女讚詞

潔いさぎよき童貞女どうていぢよよ、大仁だいじん慈じなる言ことばは爾なんぢより身みを取とりて、人人ひとびとに合あはせられたり、至し聖せいなる者ものよ、彼かれに祈いのりて、吾わが肉身にくしんの慾よくを殺ころして、我わが靈たましひを救すくはんことを求もとめ給たまへ。

第九歌頌

イルモス イサイヤ祝いはへよ、童貞女どうていぢよは孕はらみて、子こエムマヌイル、神かみ及および人ひとなる者ものを生うめり、其その名なは東ひがし、我われ等ら彼かれを崇あがめて、童貞女どうていぢよを讚ほめ揚あぐ。

信者しんじやよ、來きたり集あつまりて、今日こんにちハリストスの至し福ふくなる聖せい致ち命者めいしや(某)の聖せいにせられし慶けい賀がを行おこなはん、彼かれは苦くるしみの中うちに神かみの力ちからに因よりて衆おほくの敵てきに勝かちたればなり。

光くわう榮えいなる者ものよ、爾なんぢは受難じゆなんの神聖しんせいなる華くわ美びに飾かざられて、爾なんぢの血ちに由よりて火ひの車くるまに乘のるが如ごとく樂たのしみて天てんに升のぼり、彼處かしこに在ありて我わが救世きうせい主しゆの言いひ難がたき華くわ美びを仰あふぎ給たまふ。

至いたりて讚さん美びたる受難者じゆなんしやよ、爾なんぢはハリストスの光くわう明めいなる軍ぐん士し及および勇敢ゆうかんなる致ち命者めいしやと爲なりたり、故ゆゑに今いま上うへなる國くにに居をりて、神妙しんめうに勝しよう利りの榮えい冠くわんを冠かうむり給たまへり。

 生神女讚詞

幽暗くらやみに居をる者ものの爲ために光くわう照せうたるハリストスを生うみし至し聖せいなる童貞女どうていぢよ、凡およそ爾なんぢを歌うたふ者ものの敎導けうだう師しよ、我わが昧くらみたる靈たましひを照てらして、我われに生命いのちに送おくる途みちを行ゆかしめ給たまへ。

 光耀歌

至し榮えいなる受難者じゆなんしや(某)よ、爾なんぢは輝かゞやける日ひの如ごとく奇き跡せきの光くわう線せんを以もつて衆しゆう人じんを導みちびき給たまふ、故ゆゑに我われ等らは爾なんぢの記き憶おくを行おこなひて求もとむ、墓はかより復ふく活くわつせし主しゆに我われ等ら衆しゆうを諸難しよなんより救すくはんことを祈いのり給たまへ。

 生神女讚詞

潔いさぎよき童貞女どうていぢよよ、爾なんぢの權能けんのうの帲幪おほひを以もつて我われ等ら爾なんぢの諸僕しよぼくを常つねに敵てきの惡謀あくぼうに悩なやまされぬ者ものとして護まもり給たまへ、我われ等ら獨ひとり爾なんぢを患くわん難なんの中うちに避所かくれがとして獲えたればなり。

「凡そ呼吸ある者」の讚頌スティヒラ、第四調。

致ち命者めいしや(某)よ、人人ひとびとは歌か頌しようと詩賦しふとを以もつて爾なんぢの尊そん貴きなる記き憶おくを崇あがめ讚ほむ、蓋けだし此これは美うるはしき者もの、光ひかりを施ほどこし、光くわう榮えいと恩おん寵ちようとに飾かざられたる者ものとして輝かゞやけり、故ゆゑに今いま天軍てんぐんは祝いはひ、致ち命者めいしやは使徒しとと偕ともに苦くるしみの功く德どくを讚ほめ揚あげて、爾なんぢを榮えいせし救世主きうせいしゆハリストス我わが神かみを歌うたふ。彼かれに我われ等らの靈たましひを救すくひて照てらさんことを祈いのり給たまへ。二次

(某)よ、爾なんぢはハリストスの全ぜん備びの武具ぶぐを衣きて、爾なんぢを尋たづねざる者ものに現あらはれたり、爾なんぢハリストスの爲ために心こゝろを燃もやして、靈たましひを害がいする虛むなしき諸神しよしんの迷謬まよひを辱はづかしめて、其時そのとき不ふ法はふの者ものに呼よべり、我われはハリストス我わが王わうの軍ぐん士しなり、猛獸まうじうも、刃は輪ぐるまも、其その他たの苦くるしみも、我われを吾わがハリストスの愛あいより離はなすこと能あたはず。彼かれに我われ等らの靈たましひを救すくひて照てらさんことを祈いのり給たまへ。

戴たい冠くわん者しや(某)よ、爾なんぢは多た種しゆの刑けい具ぐ、種種しゆじゆの苦く難なん、懼おそるべき栲問がうもんの器うつはを顧かへりみずして、致ち命者めいしやとして敬虔けいけんの馳はすべき程みちを盡つくせり、故ゆゑに我われ等らは歌うたの華はなを以もつて爾なんぢの至いたりて光くわう明めいなる記き憶おくに冠かうむらせ、信しんを以もつて爾なんぢの尊たふとき不ふ朽體きうたいに接吻せつぷんす。主宰しゆさいハリストス我わが神かみの寶はう座ざの前まへに立たてる者ものとして、絕たえず我われ等らの靈たましひを救すくひて照てらさんことを祈いのり給たまへ。

 光榮、第一調。

致ち命者めいしやの譽ほまれなる(某)よ、爾なんぢは肉體にくたいの誘惑いざなひに對たいして光くわう明めいなる勝しよう利りを得えたるに因よりて、爾なんぢの熱心ねつしんは普あまねく讚榮さんえいせらる。福ふくたる者ものよ、勝しよう利り者しやとして、今いま信しんを以もつて爾なんぢの記き憶おくを尊たふとむ者ものを罪つみの堕だ落らくより起おこし給たまへ。

 今も、生神女讚詞。

生しやう神しん童貞女どうていぢよよ、慶よろこべ、爾なんぢは天てんの王わう、我われ等らの靈たましひの救主きうしゆ及および光くわう照せう者しやを生うみたればなり。

 十字架生神女讚詞

牝め羊ひつじたる無む玷てんの女宰ぢよさいは己おのれの羔こひつじが十じふ字架じかに在ありて姿容すがたもなく威ゐ嚴げんもなきを見みて、哭なきて言いへり、嗚呼あゝ甘愛かんあいなる者ものよ、爾なんぢの威ゐ嚴げんは何處いづこにか隱かくれたる、美うるはしき貌かたちは何處いづこにかある、吾わが至し愛あいなる子こよ、爾なんぢの姿容すがたの輝かゞやける恩おん寵ちようは何處いづこにかある。

若し挿句くづけに光榮あらば、晩課の挿句くづけの光榮を誦せよ。今も、生神女讚詞、或は十字架生神女讚詞。

 

第十五編 二人或は多人の致命者の總奉事

 晩課

 「主や爾に籲ぶ」に讚頌スティヒラ、第四調

讚さん美びたる者ものよ、爾なんぢ等らは聖神せいしんに照てらされて、世せ君くんと戰たゝかはん爲ために己おのれを備そなへ、神かみの助たすけに因よりて進すゝみて、勇いさましく其その惡計あくけいに勝かちたり。故ゆゑに我われ等ら今日こんにち爾なんぢ等らの至いたりて光くわう明めいなる記き憶おくを行おこなひて、職しよくとして讚さん美びを以もつて爾なんぢ等らの苦くるしみを尊たふとむ。

聖せいなる者ものよ、爾なんぢ等らは傷きずと諸もろもろの苦くるしみとに己おのれを付わたして、靈たましひ動うごきなく止とゞまり、燈ともしびの如ごとく屬神ぞくしん°の熱ねつに燃もえて、恩おん寵ちようを以もつて信者しんじやの心こゝろを照てらし給たまへり。故ゆゑに凡およその族ぞく、凡およその齢よはひは爾なんぢ等らの聖せいなる記き憶おくを祭まつりて、歌うたを以もつて主しゆを讚榮さんえいす。

救世主きうせいしゆの勇敢ゆうかんなる致ち命者めいしやよ、爾なんぢ等らは己おのれの奇き跡せきの光ひかりにて衆しゆう造物ざうぶつを照てらし、信しんを以もつて爾なんぢ等らに趨はしり附つきて爾なんぢ等らの保護ほごを求もとむる者ものより種種しゆじゆの苦く難なんと憂愁いうしうとの暗やみを逐おひ給たまふ。故ゆゑに受難者じゆなんしやよ、我われ等らは信しんを以もつて爾なんぢ等らの聖せいにして光くわう明めいなる慶けい賀がを行おこなふ。

 光榮、 今も、 生神女讚詞

女宰ぢよさいよ、我われ惡あく鬼きの攻擊こうげきに因よりて滅亾ほろびの穴あなに墜おとされし者ものを起おこして、諸德しよとくの石いしの上うへに堅かため、敵てきの惡謀あくぼうを破やぶりて、我われに爾なんぢの子こ我われ等らの神かみの命めいを行おこなふを得えしめ給たまへ、我わが審判しんぱんの日ひに於おいて赦罪しやざいを得えん爲ためなり。

 十字架生神女讚詞

至し淨じやうなる者ものは人ひとを愛あいする主しゆハリストスの十じふ字架じかに釘ていせられ、戈ほこにて脅わきの刺ささるるを見みて、哭なきて呼よべり、吾わが子こよ、此これ何なにぞ、恩おんを知しらざる民たみは爾なんぢが彼かれ等らに爲なしし善ぜんに易かへて何なにをか爾なんぢに報むくいたる、至し愛あいなる者ものよ、胡爲なんすれぞ我われを子こなき者ものとして遺のこす、慈じ憐れんなる主しゆよ、我われ爾なんぢが甘あまんじて受うくる釘殺ていさつを奇きとす。

若し之あらば自調。光榮、第三調。

ハリストス神かみよ、爾なんぢの致ち命者めいしやの互たがひの兄きやう弟だいの愛あいは如何いかに善ぜん、如何いかに美びなる、蓋けだし肉體にくたいの生產うまれに因よりて兄きやう弟だいたらざりし者ものに惟一ゆゐいちの信しんは兄きやう弟だいの愛あいを含ふくめて、血ちを流ながすに至いたるまで之これを守まもることを敎をしへたり。ハリストス神かみよ、彼かれ等らの祈き禱たうに因よりて我われ等らの靈たましひを救すくひ給たまへ。

 今も、 生神女讚詞

生しやう神女しんぢよ、爾なんぢに祈いのる衆しゆう人じんの轉達者てんたつしやよ、我われ等ら爾なんぢに因よりて勇いさみを得え、爾なんぢを以もつて誇ほこりと爲なす、我わが悉ことごとくの倚賴たのみは爾なんぢに在あり、爾なんぢより生うまれし者ものに爾なんぢの不ふ當たうなる諸僕しよぼくの爲ために祈いのり給たまへ。

 十字架生神女讚詞

純じゆん潔けつなる童貞女どうていぢよよ、爾なんぢより生うまれし者ものが木きの上うへに懸かけられしを見みて、爾なんぢ呼よびて云いへり、吾わが至し愛あいなる子こよ、爾なんぢ人類じんるゐを飾かざり給たまひし者ものの光くわう明めいなる華麗くわれいは何處いづこにか隱かくれたる。

若し多燭詞ポリエレイを以て祭を行はば、今も、復活の生神女讚詞「至尊き者よ、我等如何で爾が神人を生みしに驚かざらん。」

 聖入。本日の提綱ポロキメン。致命者の喩言パリミヤ三編、巻末に載す。

 挿句くづけに讚頌スティヒラ、第四調

光くわう榮えいにして讚さん美びたる受難者じゆなんしやよ、爾なんぢ等らは最いと明あきらかなる星ほしの如ごとく神聖しんせいなる光ひかりを以もつて地ちの四し極きよくを照てらし、惡あく鬼きの昧くらみと、害がいを爲なす諸慾しよよくと、患くわん難なんとを退しりぞく。故ゆゑに我われ等ら今日こんにち集あつまりて、爾なんぢ等らの光くわう明めいにして光ひかりを施ほどこす聖せいなる慶けい賀がを讚ほめ揚あぐ。

句 義ぎ人じんは呼よぶに、主しゆは之これを聽きき、彼かれ等らを悉ことごとくの憂うれひより免まぬかれしむ。

神妙しんめうにして睿えい智ちなる受難者じゆなんしやは聖せいにせられし歌うたを以もつて尊たふとまるべし、蓋けだし彼かれ等らは勇いさましく諸敵しよてきの前まへに造つくられざる三者さんしやを傳つたへ、血ちの流ながれにて多た神しんの迷まよひを滅けして、凋しぼまざる光くわう榮えいを獲えたり。

句 義ぎ人じんには憂うれひ多おほし、然しかれども主しゆは之これを悉ことごとく免まぬかれしめん。

至し福ふくにして大名たいめいなる致ち命者めいしやは不ふ法はふなる王わうの靈たましひなき諸神しよしんに伏拜ふくはいして尊敬そんけいを歸きすべき不ふ法はふの命めいを睿えい智ちを以もつて辱はづかしめて、法はふの爲ために苦くるしみを忍耐にんたいし、勝しよう利りの榮えい冠くわんを冠かうむりて、世せ界かいの爲ために祈いのり給たまふ。

 光榮、第六調。

致ち命者めいしやを愛あいする人人ひとびとよ、來きたりて、神かみより榮えい冠くわんを受うけたる致ち命者めいしやの隊たい、ハリストスの爲ために屠ほふられし無む玷てんの犠牲いけにへたる聖せいにせられし選えらばれたる軍ぐんの至いたりて尊たふとき記き憶おくを行おこなひて、彼かれ等らに呼よばん、無む神しんの諸敵しよてきの殘忍ざんにんを破やぶりて、爾なんぢ等らの祈き禱たうを以もつて敬虔けいけんの民たみを凡およその患くわん難なんより救すくひ給たまへ。

 今も、 生神女讚詞

生しやう神しん童貞女どうていぢよよ、我われ等らは爾なんぢより身みを取とりし者ものの神かみなるを悟さとれり、彼かれに我われ等らの靈たましひの救すくひの爲ために祈いのり給たまへ。

 十字架生神女讚詞

無む玷てんなる神かみの聘女よめは彼かれより生うまれし者ものの定罪ていざいせられて十じふ字架じかに釘ていせらるるを見みて呼よべり、吾わが子こよ、光くわう榮えいは爾なんぢの恒忍ごうにん及および爾なんぢの慈じ憐れんに歸きす。

讚詞トロパリは奉事例に据る。若し奉事例になくば、下の讚詞トロパリを誦せよ。第一調。

人ひとを愛あいする主しゆよ、祈いのる、爾なんぢの爲ために苦くるしみを受うけし諸聖人しよせいじんの受難じゆなんに由よりて、我われ等らの悉ことごとくの病やまひを醫いやし給たまへ。

 光榮、今も、生神女讚詞。或は十字架生神女讚詞。

 早課

「主は神なり」に讚詞トロパリ同上。

 第一の「カフィズマ」の後に坐誦讚詞セダレン、第四調。

神聖しんせいなる致ち命者めいしや、ハリストスの軍ぐん士しよ、爾なんぢ等らは最いと大おほいなる星ほしとして、常つねに尊たふとき敎けう會くわいの穹蒼おほぞらを照てらして、信者しんじやを輝かゞやかし給たまふ。二次。

 光榮、今も、生神女讚詞。

至し淨じやうなる童貞女どうていぢよよ、我われ等ら爾なんぢの帲幪おほひの下したに趨はしり附つく者ものの祈き禱たうを納いれて、人ひとを愛あいする主しゆに爾なんぢの諸僕しよぼくを救すくはんことを絕たえず祈いのり給たまへ。

 第二の「カフィズマ」の後に坐誦讚詞セダレン、第四調。

奇異きいなる受難者じゆなんしやよ、爾なんぢ等らは勇敢ゆうかんなる心こゝろを以もつて苦くるしみを忍しのび、火ひと水みづとを過とほりて、救すくひの廣ひろきに至いたりて、天てんの國くにを嗣つぎたり、睿えい智ちなる大だい致ち命者めいしやよ、其その中うちに在ありて我われ等らの爲ために神聖しんせいなる祈き禱たうを捧さゝげ給たまへ。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

女宰ぢよさい生しやう神女しんぢよよ、我われ等ら感謝かんしやの心こゝろを抱いだきて爾なんぢを歌うたひ、熱切ねつせつに爾なんぢの慈じ憐れんを求もとめて、呼よびて云いふ、至し聖せいなる童貞女どうていぢよよ、急いそぎて爾なんぢの諸僕しよぼくを見みゆると見みえざる敵てき及および凡およその苦く難なんより救すくひ給たまへ、爾なんぢは我われ等らの保護ほご者しやなればなり。

「主の名を讚め揚げよ」の後に附唱。

聖せいなる致ち命者めいしやよ、我われ等ら爾なんぢを讚揚さんやうして、爾なんぢ等らがハリストスの爲ために忍しのびし尊そん貴きなる苦くるしみを尊たふとぶ。

 拔萃聖詠

「神は我等の避所なり、能力なり。」

 多燭詞ポリエレイの後に坐誦讚詞セダレン、第八調。

福ふくたる聖せい受難者じゆなんしやよ、爾なんぢ等らは敵てきに縛しばられ、曳ひかれて獄ひとやに閉とざされ、永ながく其その中うちに在ありて、信しんに守まもられて害がいを受うけざりき、劍つるぎに由よりて肉體にくたいより解とかれて、神聖しんせいなる愛あいを以もつてハリストスに繫つながれたり、故ゆゑに光くわう體たいの如ごとく世せ界かいに輝かゞやきて、聖神せいしん゜の恩おん寵ちようを以もつて衆しゆうを照てらし給たまふ。愛あいを以もつて爾なんぢ等らの聖せいなる記き憶おくを祭まつる者ものに諸罪しよざいの赦ゆるしを賜たまはんことをハリストス神かみに祈いのり給たまへ。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

我われ等ら萬族ばんぞくは爾なんぢ童貞女どうていぢよ、女をんなの中うちに獨ひとり種たねなく身みにて神かみを生うみし者ものを讚揚さんやうす、蓋けだし神性しんせいの火ひは爾なんぢの内うちに入いり、爾なんぢは造成者ざうせいしや及および主しゆを幼児をさなごとして乳ちにて養やしなひ給たまへり、故ゆゑに天軍てんぐん及および我われ等ら人類じんるゐは宜よろしきに合かなひて爾なんぢの至し聖せいなる產さんを讚榮さんえいして、同心どうしんに爾なんぢに呼よぶ、ハリストス神かみに祈いのりて、信しんを以もつて爾なんぢの至し聖せいなる產さんに伏拜ふくはいする者ものに諸罪しよざいの赦ゆるしを賜たまはんことを求もとめ給たまへ。

 品第詞ステペンナ、第四調の第一倡和詞アンティフォン。

 提綱ポロキメン

義ぎ人じんは呼よぶに、主しゆは之これを聽きく。

句 義ぎ人じんには憂うれひ多おほし、然しかれども主しゆは之これを悉ことごとく免まぬかれしめん。

「凡そ呼吸ある者」

致命者の福音經。

 第五十聖詠の後に讚頌スティヒラ、第二調。

嗚呼あゝ、祭まつりを愛あいする者ものよ、來きたりて、受難者じゆなんしやの記き憶おくに於おいて主しゆの前まへに喜よろこばん、來きたりて、熱切ねつせつに歌うたひて、ハリストスの受難者じゆなんしや、偶像ぐうざうの迷まよひを亾ほろぼして、裁判さいばん所じよの中なかに勇いさましくハリストスを傳つたへし者ものを讚ほめ揚あげん。嗚呼あゝ至し福ふくなる大だい受難者じゆなんしやよ、我われ等らの靈たましひの爲ために絕たえず祈いのり給たまへ。

若し四十人の致命者ならば、下の提綱ポロキメンを誦せよ。

我われ等らは火ひと水みづとの中うちに入いりしに、爾なんぢ我われ等らを引ひき出いだして安息あんそくに入いれ給たまへり。

句 銀ぎんを鍊ねるが如ごとく、爾なんぢ我われ等らを鍊ねり給たまへり。

 讚頌スティヒラ、第二調。

ダワィドは聖詠せいえいの中うちに預よ言者げんしやとして呼よべり、我われ等らは火ひと水みづとの中うちに入いりしに、爾なんぢ我われ等らを引ひき出いだして安息あんそくに入いれ給たまへりと、ハリストスの致ち命者めいしやよ、爾なんぢ等らは實體じつたいに言ことばを行おこなひて、火ひと水みづとを過とほりて、天てんの國くにに入いり給たまへり。故ゆゑに四し十じふ人にんの受難者じゆなんしやよ、我われ等らの大おほいなる憐あはれみを賜たまはんことを祈いのり給たまへ。

 規程カノン、第五調。

第一歌頌

イルモス 我われ等らは、民たみに足あしを濡ぬらさずして海うみを渡わたらしめ、ファラオンを其その全軍ぜんぐんと偕ともに溺おぼれしめし救世主きうせいしゆ神かみ、獨ひとり彼かれに歌うたはん、彼かれ光くわう榮えいを顯あらはしたればなり。

信者しんじやよ、我われ等ら敬つゝしみてハリストスの軍ぐん士し及および受難者じゆなんしやを迷まよひを滅ほろぼしし光くわう明めいなる勝しよう利り者しやとして歌うたひて、凱歌かちうたを神かみに奉たてまつらん、彼かれ光くわう榮えいを顯あらはしたればなり。

受難者じゆなんしやよ、爾なんぢ等らは地ち上じやうに勇いさましく勤勞きんらうして、苦くるしみを忍しのび、天てん上じやうに榮えい冠くわんを受うけて、同心どうしんに凱歌かちうたを主しゆに奉たてまつる、彼かれ光くわう榮えいを顯あらはしたればなり。

爾なんぢ等らは信しんを以もつて靈たましひを一いつに合あはせて、迷まよひを退しりぞけ、榮えい冠くわんを冠かうむる勝しよう利り者しやと現あらはれて、同心どうしんに凱歌かちうたを主しゆに奉たてまつる、彼かれ光くわう榮えいを顯あらはしたればなり。

 生神女讚詞

至し淨じやうなる神かみの母はゝよ、父ちゝの懷ふところを離はなれずして爾なんぢより身みを取とりし神かみに、其その造つくりし物ものを凡およその患くわん難なんより救すくはんことを絕たえず祈いのり給たまへ。

第三歌頌

イルモス ハリストスよ、爾なんぢの十じふ字架じかの力ちからにて我わが思慮おもひを堅かため給たまへ、我わが爾なんぢの救すくひを施ほどこす升しよう天てんを歌うたひ讚ほめん爲ためなり。

軍ぐん士しよ、爾なんぢ等らはハリストスの智慧ちゑに飾かざられて、爾なんぢの血ちの流ながれの中うちに不ふ虔けんなる敵てきを溺おぼらし給たまへり。

讚さん美びたる致ち命者めいしやよ、爾なんぢ等らは己おのれの肉體にくたいを殘酷ざんこくなる甚はなはだしき苦くるしみに付わたして、信しんを以もつて神聖しんせいなる嗣し業げふを受うけ給たまへり。

受難者じゆなんしやよ、爾なんぢ等らは苦くるしむる者ものの命めいに因よりて石いしを投なぐるを以もつて碎くだかれて、堅かたく敬虔けいけんの敎をしへを守まもり給たまへり。

 生神女讚詞

純じゆん潔けつ無む玷てんなる者ものよ、爾なんぢの胎内たいないより出いでし主しゆに諸しよ致ち命者めいしやと偕ともに常つねに祈いのりて、爾なんぢを歌うたふ者ものを惡あく魔まの誘惑いざなひより救すくはんことを求もとめ給たまへ。

 坐誦讚詞セダレン、第四調。

ハリストスの勇敢ゆうかんなる軍ぐん士しは善よき戰たゝかひを戰たゝかひて、血ちの流ながれの中うちに凶きよう惡あくなる敵てきを全まつたく溺おぼらせり。彼かれ等らは石いしにて碎くだかれ、劍つるぎにて斬きられ、火ひにて焚やかれ、水みづの中うちに投なげられて、嚴おごそかに戴たい冠くわん者しやと爲なれり、故ゆゑに尊たふとまれて、熱心ねつしんに讚榮さんえいせらる。

 光榮、今も、生神女讚詞。

女宰ぢよさい生しやう神しん童貞女どうていぢよよ、我われ等ら爾なんぢの諸僕しよぼくは感謝かんしやの心こゝろを抱いだきて、常つねに默もださずして爾なんぢの慈じ憐れんを歌うたひ、呼よびて云いふ、至し聖せいなる童貞女どうていぢよよ、急いそぎて我われ等らを見みゆると見みえざる敵てき及および凡およその患くわん難なんと困こん苦くより脫のがれしめ給たまへ、爾なんぢは我われ等らの保護ほご者しやなればなり。

 十字架生神女讚詞

童貞女どうていぢよ及および牝め羊ひつじは彼かれより種たねなく生うまれし羔こひつじが十じふ字架じかに在ありて、戈ほこにて刺ささるるを見みて、哀かなしみの矢やに刺さされて、傷いたましく呼よべり、此この新あらたなる奧密あうみつは何なにぞ、如何いかんぞ爾なんぢは生命いのちの惟一ゆゐいちの主しゆとして死しする、然しからば陷おちいりし原げん祖そを起おこして、復ふく活くわつし給たまへ。

第四歌頌

イルモス 我われ十じふ字架じかの力ちからの風聲ふうせい、天堂てんだうが是これにて啓ひらかれしを聞ききて籲よべり、主しゆよ、光くわう榮えいは爾なんぢの力ちからに歸きす。

受難者じゆなんしやの會くわいは神かみを愛あいする心こゝろを守まもり、救世主きうせいしゆの恩おん寵ちように堅かためられて、神かみに逆さかふ敵てきに勝かちたり。

ハリストスの受難者じゆなんしやの神かみの召めしたる隊たいは神かみに逆さかふ不ふ虔けんなる敵てきの大數たいすうに勝かちて歌うたへり、主しゆよ、光くわう榮えいは爾なんぢの力ちからに歸きす。

受難者じゆなんしやは獄ひとやに在ありて邇ちかづき難がたき光ひかりを觀み、神かみの力ちからに堅かためられて、多た神しんの偶像ぐうざうの迷まよひの幽暗くらやみを散さんじたり。

 生神女讚詞

童貞女どうていぢよよ、至し上じやう者しやの能ちからは爾なんぢを蔭おほひて、爾なんぢを樂園らくゑんと爲なせり、生命いのちの樹きたる中ちゆう保はう者しや及および主しゆは其中そのなかに在います。

第五歌頌

イルモス 主しゆよ、我われ等ら夙つとに興おきて爾なんぢに籲よぶ、我われ等らを救すくひ給たまへ、爾なんぢは我われ等らの神かみなればなり、爾なんぢの外ほか他たの神かみを知しらず。

致ち命者めいしやは聖神せいしん゜の言ことばに養やしなはれて、言ことばなき偶像ぐうざうを虛むなしくせり。

受難者じゆなんしやよ、爾なんぢ等らは光ひかりを施ほどこす星ほし、又また香かう氣きを放はなつ信しんの華はななり。

讚さん美びたる聖せい致ち命者めいしやよ、爾なんぢ等らは至し上じやう者しやの田たの穗ほにして、苦くるしみの鐮かまにて刈からるる者ものなり。

 生神女讚詞

生しやう神女しんぢよよ、爾なんぢが生うみし主しゆに絕たえず祈いのりて、熱切ねつせつに爾なんぢを歌うたふ我われ等らの靈たましひの救すくはんことを求もとめ給たまへ。

第六歌頌

イルモス 主しゆよ、淵ふちは我われを圍かこみ、鯨くじらは我われの爲ために柩ひつぎとなれり、惟たゞ我われ爾なんぢ人ひとを愛あいする者ものに籲よびしに、爾なんぢの右みぎの手ては我われを拯すくひ給たまへり。

致ち命者めいしやは樂たのしみて呼よべり、仁愛じんあいなる主宰しゆさいよ、爾なんぢの手てに我われ等らの靈たましひを受うけて、之これを安息あんそくせしめ給たまへ、我われ等ら獨ひとり爾なんぢ大仁だいじん慈じなる主しゆを愛あいすればなり。

人ひとを愛あいする主しゆよ、爾なんぢの致ち命者めいしやの會くわいは馳はすべき程みちを盡つくして、諸天しよてん使しの同どう住ぢゆう者しやと爲なりて、今いま我われ等らの靈たましひの救すくはれんことを祈いのる。

致ち命者めいしやの光くわう榮えい、致ち命者めいしやの華麗くわれい、致ち命者めいしやの神かみに選えらばれたる會くわいよ、爾なんぢ等らに趨はしり附つく我われ等ら衆しゆうの救すくはれんことを熱切ねつせつに祈いのり給たまへ。

 生神女讚詞

無む玷てんなる童貞女どうていぢよよ、爾なんぢの種たねなき胎孕はらごもりの奇き跡せきは、何なんの言ことばか述のぶるを得うる、蓋けだし爾なんぢは慈じ憐れんに由よりて我われ等らに來きたりし神かみを孕はらみ給たまへり。

小讚詞コンダクは奉事例に据る。若し奉事例になくば、下の小讚詞コンダクを誦せよ。第二調。

神聖しんせいなる致ち命者めいしやよ、爾なんぢ等らは輝かゞやける光くわう體たいと現あらはれて、奇き跡せきの光ひかりを以もつて衆しゆう造物ざうぶつを照てらし、諸しよ病びやうを解とき、深ふかき暗やみを常つねに拂はらひて、ハリストス神かみに絕たえず我われ等ら衆しゆうの爲ために祈いのり給たまふ。

 同讚詞イコス

神福しんぷくなる致ち命者めいしや、美うるはしき會くわい、光くわう明めいにして神聖しんせいなる光くわう體たいよ、爾なんぢ等らは常つねに大おほいなる光ひかりの前まへに立たちて、彼處かしこより發はつする神性しんせいの暮くれざる光くわう照せうに照てらされ、且かつ神成しんせいせられて、信しんを以もつて爾なんぢ等らの聖せいなる記き憶おくを行おこなふ者ものを照てらし、諸慾しよよくの幽暗くらやみと、患くわん難なんと、凡およその惡あくより脫のがれしめて、絕たえず我われ等ら衆しゆうの爲ために祈いのり給たまへ。

第七歌頌

イルモス 火ひの爐ゐろりの中うちに歌うたへる少者せうしやを救すくひ給たまひし我わが先せん祖ぞの神かみは崇あがめ讚ほめらる。

ハリストスよ、爾なんぢの受難者じゆなんしやは爐ゐろりに在ありて呼よべり、我わが先せん祖ぞの神かみは崇あがめ讚ほめらる。

受難者じゆなんしやは三者さんしやの光ひかりに照てらされ、樂たのしみて己おのれの靈たましひを付わたして歌うたへり、我わが先せん祖ぞの神かみは崇あがめ讚ほめらる。

榮えい冠くわんを冠かうむれる受難者じゆなんしやよ、樂たのしみを以もつて神かみの前まへに立たちて、我われ等らの爲ために彼かれに祈いのり給たまへ。

 生神女讚詞

生しやう神女しんぢよよ、我われ等らは爾なんぢを我わが救すくひとして祈いのる、爾なんぢより身みを取とりし主しゆに我われ等らの爲ために祈いのり給たまへ。

第八歌頌

イルモス 世世よよの前さきに父ちゝより生うまれし子こ及および神かみ、末すゑの時ときに童貞女どうていぢよ母はゝより身みを取とりし者ものを、司し祭さい等らは歌うたへ、人人ひとびとは萬世ばんせいに崇あがめ讚ほめよ。

我われ等ら信者しんじやの祈き願ぐわんは致ち命者めいしやに適かなふべし、然しからば我われ等らは彼かれ等らの嗣し業げふに與あづかる者ものと爲なりて、ハリストスを歌うたひて、世世よよに彼かれを崇あがめ讚ほめん。

恒忍ごうにんなる受難者じゆなんしやの會くわいは心こゝろの喜よろこびを以もつてハリストスより美うるはしき榮えい冠くわんを受うけて、樂たのしく歌うたひて、世世よよに彼かれを崇あがめ讚ほむ。

讚さん美びたる者ものよ、爾なんぢ等らは己おのれの血ちの流ながれに染そみて、天てんに於おいて世世よよにハリストスと偕ともに王わうと爲なりて、敬虔けいけんに歌うたひて、世世よよに彼かれを崇あがめ讚ほむ。

 生神女讚詞

潔いさぎよき生しやう神女しんぢよよ、爾なんぢはヘルワィムより上うへなる者ものと現あらはれたり、彼かれ等らの上うへに坐ざする主しゆを爾なんぢの腹はらに宿やどしたればなり、我われ等ら地ち上じやうの者ものは無む形けいの者ものと偕ともに彼かれを讚榮さんえいして、世世よよに崇あがめ讚ほむ。

第九歌頌

イルモス 爾なんぢ悟さとり難がたく解とき難がたく神かみの母はゝと爲なり、時ときの中うちに於おいて時ときに緣よらざる主しゆを言いひ難がたく生うみし者ものを、我われ等ら信者しんじやは心こゝろを一いつにして崇あがめ讚ほむ。

至し榮えいなる致ち命者めいしやよ、爾なんぢ等らはハリストスの爲ために苦くるしみを忍しのび給たまへり、今いま彼かれの前まへに立たちて、衆しゆう人じんの救すくひの爲ために祈いのり給たまへ。

勝かたれぬ者ものよ、爾なんぢ等らは堅けん固ごなる力ちからを以もつて迷まよひの固かためを破やぶりて、今いま天てんの居處すまひに諸天しよてん使しと偕ともに居をるを得えたり。

至し尊そんなる者ものよ、爾なんぢ等らは致ち命者めいしやの法はふに合かなふ風習ならはしを以もつて傲慢がうまんなる苛虐者くるしめびとに勝かちて、義ぎに合かなふ榮えい冠くわんを受うけ給たまへり。

 生神女讚詞

生しやう神女しんぢよハリストス神かみの母はゝよ、慶よろこべ、爾なんぢが生うみし主しゆに諸しよ致ち命者めいしやと偕ともに祈いのりて、信しんを以もつて爾なんぢを歌うたふ者ものに諸罪しよざいの赦ゆるしを賜たまはんことを求もとめ給たまへ。

 光耀歌

受難者じゆなんしやよ、爾なんぢ等らは光くわう明めいなる樂園らくゑんの居處すまひに上あげられて、多た種しゆの苦くるしみにて織おられたる輝かゞやける衣ころもを衣きて、造物主ざうぶつしゆの寶はう座ざの前まへに立たちて、衆しゆう人じんの爲ために熱切ねつせつに祈いのり給たまふ。

 生神女讚詞

潔いさぎよき童貞女どうていぢよよ、爾なんぢの權能けんのうの帲幪おほひを以もつて我われ等ら爾なんぢの諸僕しよぼくを常つねに敵てきの惡謀あくぼうに悩なやまされぬ者ものとして護まもり給たまへ、我われ等ら獨ひとり爾なんぢを患くわん難なんの中うちに避所かくれがとして獲えたればなり。

 「凡そ呼吸ある者」に讚頌スティヒラ、第八調。

ハリストスの讚さん美びたる致ち命者めいしやよ、爾なんぢ等らは窘逐者きんちくしやの强きやう暴ばうと苦くるしき死しとを無なきが如ごとくなして、勇敢ゆうかんと智慧ちゑとを以もつて己おのれを戰たゝかひの爲ために備そなへ、勝しよう利りの光くわう榮えいを蒙かうむりて、衆しゆう義ぎ人じんに加くはへられたり、彼かれ等らと偕ともに我われ等ら常つねに爾なんぢ等らを讚さん美び讚揚さんやうす。二次

ハリストスの至し福ふくなる致ち命者めいしやよ、爾なんぢ等らは甘あまんじて己おのれを屠宰ほふりに付わたして、爾なんぢ等らの血ちを以もつて地ちを聖せいにし、逝世せいせいを以もつて空くう氣きを照てらして、今いま天てんに、暮くれざる光ひかりの中うちに住すまひて、常つねに我われ等らの爲ために神かみに祈いのり給たまふ。

ハリストスの勝かたれぬ致ち命者めいしやよ、爾なんぢ等らは苦くるしみの炎ほのほを恩おん寵ちようの神聖しんせいなる露つゆに由よりて難なやみなく歴へて、静しづかなる水みづの邉ほとりに居をるを得えて、勝しよう利りの榮えい冠くわんを受うけ給たまへり。故ゆゑに我われ等ら今日こんにち欣よろこばしく爾なんぢ等らの聖せいなる記き憶おくを祭まつりて、ハリストスを讚榮さんえいす。

 光榮、第八調。

爾なんぢ等らはハリストスの軍ぐん士しと爲なりて、地ち上じやうの美うるはしき諸しよ事じを棄すて、十じふ字架じかを肩かたに任になひ、多た種しゆの苦くるしみを以もつて彼かれに從したがひて、諸しよ王わうと多おほくの窘逐者きんちくしやとの前まへに彼かれを諱いまざりき。天てん使等しらは勝しよう利りの冠かんむりにて爾なんぢ等らの首かうべを飾かざり、爾なんぢ等らは勇いさましき靈たましひを以もつて樂たのしみて大おほいなる宮みやに入いり給たまへり。故ゆゑに衆しゆう人じんの救主きうしゆの前まへに勇いさみを有たもちて、我われ等らの靈たましひの爲ために祈いのり給たまへ。

 今も、生神女讚詞。

我われ等らは天てん使し首しゆガウリイルの聲こゑを以もつて言いはん、神かみの母はゝ、世せ界かいの爲ために生命いのちを賜たまふハリストスを生うみし者ものよ、慶よろこべ。

 十字架生神女讚詞。

主しゆよ、日ひは爾なんぢ義ぎの日ひが木きに懸かけられしを見みて、光くわう線せんを隱かくし、月つきも光ひかりを幽暗くらやみに變へんじ、純じゆん潔けつなる爾なんぢの母はゝは心こゝろ裂さかれたり。

若し挿句くづけに光榮あらば、之を誦せよ。今も、晩課の生神女讚詞、或は十字架生神女讚詞。

 

第十六編 一人の神品致命者の總奉事

 晩課

「主よ爾に籲ぶ」に讚頌スティヒラ、第一調。

至し福ふくなる神しん智ち者しや(某)よ、爾なんぢは己おのれの血ちの紅くれなゐにて爾なんぢの聖せいにせられし神聖しんせいなる祭服さいふくを飾かざれり、蓋けだし敬虔けいけんを以もつて力ちからより力ちからに、光くわう榮えいより光くわう榮えいに移うつり給たまへり。今いま我われ等らの靈たましひに平安へいあんと大おほいなる憐あはれみとを賜たまはんことを祈いのり給たまへ。

至し尊そんなる神言者しんげんしやよ、爾なんぢ前さきには全まつたく法はふに合かなう司し祭さいにして、無む血けつの祭まつりを神かみに獻けんじ、後のちには至いたりて眞まことなる致ち命者めいしやにして、血ちを流ながし、嘉よく納いれらるる祭まつりとして、己おのれの身みをハリストスに獻けんじ給たまへり、彼かれに爾なんぢを歌うたふ者ものの爲ために祈いのり給たまへ。

神しん智ちなる父ちゝよ、爾なんぢは己おのれの敎をしへと戒いましめとを以もつて敎をしへ又また戒いましめて、且かつ顯あらはに己おのれを模も範はんと爲なして、致ち命者めいしやの軍ぐんをハリストスの許もとに攜たづさへ給たまへり、彼かれ等らと偕ともに祈いのりて、我われ等らの靈たましひに平安へいあんと大おほいなる憐あはれみとを賜たまはんことを求もとめ給たまへ。

 光榮、今も、生神女讚詞。

生しやう神女しんぢよよ、我われ諸罪しよざいの海うみに荒あらされて、爾なんぢの至し淨じやうなる祈き禱たうの穩おだやかなる港みなとに趨はしり附つきて、爾なんぢに呼よぶ、至いたりて無む玷てんなる者ものよ、爾なんぢの權能けんのうの手てを爾なんぢの僕ぼくに伸のべて、我われを救すくひ給たまへ。

 十字架生神女讚詞

潔いさぎよき母はゝよ、爾なんぢは己おのれの子こ及および神かみの十じふ字架じかの側かたはらに立たち、其その恒忍ごうにんを見みて、哭なきて云いへり、嗚呼あゝ哀かなしい哉かな甘愛かんあいなる子こ、神かみの言ことばよ、胡爲なんすれぞ此この非義ひぎなる苦くるしみを受うくる、此これ人類じんるゐを救すくはん爲ためなり。

若し之あらば、自調。光榮、第六調。

福ふくたる(某)よ、爾なんぢは終をはりに至いたるまで全まつたく法はふに合かなふ司し祭さいたりき、蓋けだし神聖しんせいなる言いひ難がたき機き密みつの聖せい務むを行おこなひて、ハリストス神かみの爲ために血ちを流ながし、己おのれを嘉よく納いれらるる祭まつりとして獻けんじ給たまへり。故ゆゑに彼かれの前まへに勇いさみを有たもちて、熱切ねつせつに祈いのりて、我われ等ら信しんと愛あいとを以もつて爾なんぢの至し尊そんなる記き憶おくを行おこなひ、之これを尊たふとむ者ものの諸もろもろの誘惑いざなひと、災禍わざはひと、憂愁うれひより救すくはれんことを求もとめ給たまへ。

 生神女讚詞

生しやう神しん童貞女どうていぢよよ、我われ等らは爾なんぢより身みを取とりし者ものの神かみなるを悟さとれり、彼かれに我われ等らの靈たましひの救すくひの爲ために祈いのり給たまへ。

 十字架生神女讚詞

ハリストスよ、爾なんぢを生うみし者ものは爾なんぢの釘ていせらるるを見みて呼よべり、吾わが子こよ、我わが見みる所ところの奧密あうみつは何なんぞ驚おどろくべき、生命いのちを賜たまふ主しゆよ、如何いかんぞ身みにて木きに懸かけられて死しする。

若し多燭詞ポリエレイを以て祭を行はば、復活の生神女讚詞を誦すべし。

至し聖せいなる童貞女どうていぢよよ、誰たれか爾なんぢを讚さん美びせざらん、誰たれか爾なんぢの至いたりて淨きよき產さんを歌うたはざらん、世よの無なき先さきに父ちゝより光ひかる獨生どくせいの子こは爾なんぢ淨きよき者ものより言いひ難がたく身みを取とりて出いで、本性ほんせいの神かみは我われ等らの爲ために本性ほんせいの人ひとと爲なれり、其その位くらゐ一ひとつにして相分あひわかれず、其その性せい二ふたつにして相あひ失うしなはず、淨きよくして至いたりて福さいはひなる者ものよ、我わが靈たましひの憐あはれみを蒙かうむらんことを彼かれに禱いのり給たまへ。

 聖入。本日の提綱ポロキメン。成聖者の喩言パリミヤ三篇、巻末に載す。

 挿句くづけの讚頌スティヒラ、第六調。

至し榮えい至し福ふくなる(某)よ、爾なんぢは己おのれの血ちを以もつて爾なんぢの聖せいにせられし衣ころもを赤あけにして、聖せいなる者ものと爲なりて至し聖所せいじよに入いり、苦くるしみに飾かざられ輝かゞやきて、常つねに神成しんせいせられしことを樂たのしみ、諸天しよてん使しの同どう住ぢゆう者しやと爲なり給たまへり。故ゆゑに我われ等ら爾なんぢを尊たふとみて、愛あいを以もつて爾なんぢの聖せいなる慶けい賀がを祭まつる。

句 義ぎ人じんは繁しげること椶しゆ櫚ろの如ごとく、髙たかくなることリワンの柏香木はくかうぼくの如ごとし。

克肖こくせうなる睿えい智ち者しや(某)よ、爾なんぢは鐵索てつさくにて縛しばられ、尊たふとき傷きずにて飾かざりの如ごとく覆おほはれて、躓つまづきなく天てん上じやうの城邑まちに至いたらしむる途みちを行ゆき、其内そのうちに眞まことの勝しよう利り者しや、勝かたれぬ致ち命者めいしや、及および至いたりて聖せいにせられし聖せい務む者しやとして入いりて、諸天しよてん使しと共ともに熱切ねつせつに神聖しんせいなる歌か頌しようを歌うたふ、聖せい、聖せい、聖せいなる哉かな 一性いつせいの三者さんしやや。

句 彼かれ等らは主しゆの宮みやに植うゑられて、我わが神かみの庭にはに榮さかゆ。

福ふくたる神品しんぴん致ち命者めいしや(某)よ、敎けう會くわいは爾なんぢの聖せいにせられし功勞こうらうを上うへに升のぼす梯かけはしとして得えて、爾なんぢに依よりて動うごきなく殘忍ざんにんなる狼おほかみに悩なやまさるるなく護まもられて、爾なんぢの諸德しよとくを傳つたへ、爾なんぢがハリストスの爲ために法はふに遵したがひて忍しのびし苦くるしみを崇あがめ讚ほむ。

 光榮、第四調。

尊榮そんえいにして福ふくたる(某)よ、爾なんぢは神妙しんめうに血ちに蔽おほはれて、天てんの敎けう會くわいに入いり、聖三者せいさんしやの前まへに立たちて、彼處かしこより發はつする光くわう照せうを蒙かうむりて盛さかんに輝かゞやき給たまふ。故ゆゑに我われ等ら今日こんにち爾なんぢの光くわう明めいなる記き憶おくを行おこなひて、靈たましひの感覺かんかくを照てらす。

 今も、復活の生神女讚詞。

若し多燭詞ポリエレイを以て祭らずば、下の生神女讚詞を誦せよ。

人人ひとびとの無む數すう無む量りやうなる不ふ法はふを慈じ憐れんを以もつて滌あらふ點滴したゝりたるハリストスを生うみし至し淨じやうなる童貞女どうていぢよよ、至し聖神せいしん゜の雨あめにて我わが智慧ちゑを濕うるほし、我わが慾よくの流ながれを涸からし、爾なんぢの祈き禱たうを以もつて我われに生せい活くわつの喜よろこびの泉いづみに與あづかるを得えしめ給たまへ。

 十字架生神女讚詞

主しゆよ、牝め羊ひつじ及および爾なんぢの母はゝは爾なんぢが十じふ字架じかに釘ていせられしを見みる時とき、訝いぶかりて呼よべり、至し愛あいなる子こよ、此この顯見あらはれは何なにぞ、不ふ信しん不ふ法はふなる會くわい、爾なんぢの多おほくの奇き跡せきを樂たのしみし者ものは斯かく爾なんぢに報むくいたるか、主宰しゆさいよ、光くわう榮えいは爾なんぢの言いひ難がたき寬くわん容ように歸きす。

讚詞トロパリは奉事例に据る。若し奉事例になくば、下の讚詞トロパリを誦せよ。第四調。

神品しんぴん致ち命者めいしや(某)よ、爾なんぢは使徒しとの風習ならはしに遵したがひ、其その寶はう座ざを繼つぎて、神かみに感かんぜらるる者ものとして眞實しんじつの言ことばを傳つたへ、善行ぜんかうに輝かゞやくを以もつて人人ひとびとを天てんに導みちびけり、故ゆゑに苦くるしみに付わたされて、血ちを流ながし給たまへり。ハリストス神かみに我われ等らの靈たましひの救すくはれんことを祈いのり給たまへ。

 光榮、 今も、生神女讚詞、或は十字架生神女讚詞。

 早課

「主は神なり」に讚詞トロパリ同上。

 第一の「カフィズマ」の後に坐誦讚詞セダレン、第三調。

克肖こくせうなる神しん父ぷよ、爾なんぢは信しんの承認うけとめを以もつて拜偶像はいぐうざうの無む神しんを責せめ、敎をしへの海うみにて迷まよひの不ふ正せいを滅けし、神聖しんせいなる全燔ぜんぱんと爲なりて、奇き跡せきを以もつて四し極きよくを照てらし給たまふ、我われ等らに大おほいなる憐あはれみを賜たまはんことをハリストス神かみに祈いのり給たまへ。 二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

言ことばの神聖しんせいなる幕まくと爲なりし獨ひとり至し淨じやうなる童貞女どうていぢよ母はゝ、潔けつ淨じやうを以もつて諸天しよてん使しに超こえたる者ものよ、我われ衆しゆう人じんに超こえて塵ちりと爲なりて、肉體にくたいの諸罪しよざいに汚けがされし者ものを爾なんぢの祈き禱たうの神聖しんせいなる水みづを以もつて潔きよめて、我われに大おほいなる憐あはれみを與あたへ給たまへ。

 第二の「カフィズマ」の後に坐誦讚詞セダレン、第四調。

克肖こくせうなる神言者しんげんしや(某)、光くわう明めいなる致ち命者めいしやの譽ほまれよ、爾なんぢは日ひの光くわう線せんの如ごとく顯あらはれて、爾なんぢの敎をしへを以もつて明あきらかに全ぜん世せ界かいに輝かゞやき給たまふ。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

童貞女どうていぢよ母はゝよ、爾なんぢの至し淨じやうなる手てを伸のべて、爾なんぢを恃たのみて、爾なんぢの子こに、ハリストスよ、爾なんぢの慈じ憐れんを衆しゆうに施ほどこせと呼よぶ者ものを覆おほひ給たまへ。

「主の名を讚め揚げよ」の後に附唱。

神品しんぴん致ち命者めいしや(某)よ、我われ等ら爾なんぢを讚揚さんやうして、爾なんぢの聖せいなる記き憶おくを尊たふとむ、爾なんぢは我われ等らの爲ためにハリストス我わが神かみに祈いのり給たまへばなり。

 拔萃聖詠

「萬民之を聽け、全地に居る者皆之に耳を傾けよ。」

 多燭詞ポリエレイの後に坐誦讚詞セダレン、第八調。

福ふくたる(某)よ、爾なんぢは全能ぜんのうの力ちからに導みちびかれ、十じふ字架じかの帆ほに送おくられて、輙たやすく生命いのちの暴風あらしを度わたりて、實じつに神聖しんせいなる港みなとに至いたり、諸德しよとくの貿易ぼうえきを爲なし、多おほくの利りを獲えて、之これを萬有ばんいうの主宰しゆさいに攜たづさへて、彼かれより善よい哉かな善ぜんなる僕ぼくよと、其その次つぎの言ことばを聽きけり。故ゆゑにハリストス神かみに祈いのりて、愛あいを以もつて爾なんぢの聖せいなる記き憶おくを尊たふとむ者ものに諸罪しよざいの赦ゆるしを賜たまはんことを求もとめ給たまへ。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

至し淨じやうなる生しやう神女しんぢよよ、我われ見みゆると見みえざる敵てきに因よりて多た種しゆの誘惑いざなひに陷おちいり、我わが無む數すうの罪過ざいくわの暴風あらしに打うたれて、吾わが堅けん固ごなる保護ほご及および帲幪おほひたる爾なんぢの仁じん慈じの港みなとに趨はしり附つく。故ゆゑに至し淨じやうなる者ものよ、種たねなく爾なんぢより身みを取とりし主しゆに、絕たえず爾なんぢに祈いのる爾なんぢの衆しゆう僕ぼくの爲ために熱切ねつせつに祈いのりて、宜よろしきに合かなひて爾なんぢの光くわう榮えいを歌か頌しようする者ものに諸罪しよざいの赦ゆるしを賜たまはんことを常つねに求もとめ給たまへ。

 品第詞ステペンナ、第四調の第一倡和詞アンティフォン。

 提綱ポロキメン

聖人せいじんの死しは主しゆの目めの前まへに貴たつとし。

句 我われ何なにを以もつて主しゆの我われに施ほどこしし悉ことごとくの恩おんに報むくいん。

「凡そ呼吸ある者」

神品致命者の福音經、巻末に載す。

 第五十聖詠の後に讚頌スティヒラ、第四調。

我われ等らの爲ために苦くるしみを忍しのびて苦くるしみなきを流ながしし主しゆの聖せいにせられたる受難者じゆなんしや(某)よ、爾なんぢは靈たましひを諸慾しよよくより潔きよめて、聖神せいしん゜の聖せいにせられし器うつはと爲なれり、此これに由よりて聖せいなる傅ふ膏かうを受うけて、成聖者せいせいしやと爲なり、人人ひとびとの神しん智ちなる敎導けうだう師しと爲なり、勝かたれぬ致ち命者めいしやと爲なり給たまへり。

 規程カノン、第二調。

第一歌頌

イルモス 人人ひとびとよ、來きたりて、海うみを分わかちて、エギペトの奴ど隷れいより引ひき出いだしし民たみを過とほらせしハリストス神かみに歌うたを歌うたはん、彼かれ光くわう榮えいを顯あらはしたればなり。

ハリストスの光ひかりに照てらさるる至し榮えい至し福ふくなる神品しんぴん致ち命者めいしや(某)よ、爾なんぢの祈き禱たうを以もつて我われの昧くらまされたる靈たましひを照てらし給たまへ、我わが爾なんぢを歌か頌しようせん爲ためなり。

神しん父ぷよ、爾なんぢは救すくひの傳道でんだうの光くわう照せうを以もつて爾なんぢの潔いさぎよき心こゝろを清きよき鏡かゞみの如ごとく輝かゞやかして、衆しゆうの爲ために光くわう線せんを放はなち給たまへり。

爾なんぢは齋ものいみを以もつて諸慾しよよくの起おこりを止とゞめ、節制せつせいを以もつて望のぞみを治をさめ、種種しゆじゆの功勞こうらうを以もつて無む慾よくの髙たかきに登のぼり給たまへり。

 生神女讚詞

童貞女どうていぢよよ、我われ等らは爾なんぢより種たねなく身みを取とりし者ものを萬物ばんぶつ及および萬世ばんせいの先さきより在います神かみなりと知しれり、故ゆゑに爾なんぢを眞まことの生しやう神女しんぢよとして崇あがめ歌うたふ。

第三歌頌

イルモス 木きを以もつて罪つみを殺ころしし主しゆよ、我われ等らを爾なんぢの中うちに堅かためて、爾なんぢを畏おそるる畏おそれを我われ等ら、爾なんぢを歌うたふ者ものの心こゝろに植うゑ給たまへ。

爾なんぢは先さきに節制せつせいを以もつて己おのれを潔きよめて、苦くるしみに因よりて、致ち命者めいしやの良りやう心しんに合かなひて、己おのれを完くわん全ぜんなる犠牲いけにへとしてハリストスに捧さゝげ給たまへり。

爾なんぢは聖せいにせられし生命いのち、聖せいなる言ことば、神聖しんせいなる行おこなひを以もつて升のぼりて、心こゝろの路みちを神かみを見みることに向むけたるに、爾なんぢ之これを獲え給たまへり。

克肖者こくせうしやよ、爾なんぢは救世主きうせいしゆの誡いましめと神しん智ちとを以もつて爾なんぢの智慧ちゑを治をさめて、ハリストスの敎をしへの勝かたれぬ軍ぐん士しと爲なるに勝たふる者ものと現あらはれたり。

 生神女讚詞

童貞女どうていぢよよ、爾なんぢは實在じつざいの不死ふしを生うみて、我われ等らの智慧ちゑより死しの狀じやうを掃はらひ、爾なんぢの產さんを以もつて我われ等らの爲ために不ふ朽きうの衣ころもを織おり給たまへり。

 坐誦讚詞セダレン、第三調。

神品しんぴん致ち命者めいしやよ、爾なんぢは聖神せいしん゜に照てらされて、牧ぼく師しの勇敢ゆうかんと睿えい智ちとを以もつて苛虐者くるしめびとの殘酷ざんこくを辱はづかしめ、迷まよひの海うみを濟わたりて、神聖しんせいなる港みなとに到いたり給たまへり。克肖こくせうなる神しん父ぷよ、我われ等らに大おほいなる憐あはれみを賜たまはんことをハリストス神かみに祈いのり給たまへ。

 光榮、今も、生神女讚詞。

人ひとは救すくひを得うる處ところに義ぎに合かなひて趨はしり附つく、生しやう神女しんぢよよ、爾なんぢの如ごとき避所かくれが、我われ等らの靈たましひを蔽おほふ者ものは亦また何處いづこにかあらん。

 十字架生神女讚詞

生しやう神女しんぢよよ、我われ等らは爾なんぢの子この十じふ字架じかを能のう力りよくの杖つゑとして得えて、此これを以もつて諸敵しよてきの驕おごりを破やぶり、愛あいを以もつて絕たえず爾なんぢを讚ほめ揚あぐ。

第四歌頌

イルモス 人ひとを愛あいする主しゆよ、我われ爾なんぢの光くわう榮えいなる攝せつ理りを聞ききて、爾なんぢの悟さとり難がたき能力ちからを讚榮さんえいせり。

睿えい智ちなる神品しんぴん致ち命者めいしやよ、爾なんぢは神聖しんせいなる全燔ぜんぱん及および潔いさぎよき祭まつりとして救世主きうせいしゆに捧さゝげられたり。

克肖者こくせうしやよ、爾なんぢはハリストスの牧群ぼくぐんを神かみを識しる智ち識しきの光ひかりに導みちびきて、無む神しんの黑暗くらやみを逐おひ給たまへり。

神しん父ぷよ、爾なんぢは神品しんぴん致ち命者めいしやとして、爾なんぢの汗あせの流ながれを以もつて無む神しんの深處ふかみを涸からし給たまへり。

 生神女讚詞

惟一ゆゐいちの實在じつざいなる光ひかりを生うみし至し淨じやうなる者ものよ、爾なんぢの光ひかりを以もつて我わが昧くらまされたる靈たましひを照てらし給たまへ。

第五歌頌

イルモス 光ひかりを賜たまひ、世世よよを造つくりし主しゆよ、爾なんぢの誡いましめの光ひかりの中うちに我われ等らを導みちびき給たまへ、我われ等ら爾なんぢの外ほかに他たの神かみを識しらざればなり。

福ふくたる者ものよ、眞まことの睿えい智ちなるハリストスは爾なんぢ熱心ねつしんに彼かれを愛あいせし者ものに富とみと輝かゞやける光くわう榮えい、壽じゆ命みやうの長ながきと不ふ朽きうの生命いのちを賜たまへり。

爾なんぢは敎をしへの杖つゑを以もつて諸しよ異い端たんの迷まよひを逐おひ、愛あいの結合けつがふを以もつて爾なんぢの牧群ぼくぐんを合一がふいつにし、望ばうと信しんとを以もつて之これを害がいなく護まもり給たまふ。

爾なんぢは節制せつせいを以もつて逸樂いつらくを退しりぞけて、絕たえざる祈き禱たうと、敬虔けいけんと、神かみに升のぼらしむる謙遜へりくだりとを糧かてと爲なして、爾なんぢの靈たましひを飽あかせ給たまへり。

 生神女讚詞

潔いさぎよき者ものよ、我われ等ら皆みな爾なんぢを轉達者てんたつしやと堅けん固ごなる恃賴たのみ、能力ちからと帲幪おほひ、垣牆かき及および天てんの國くにに渡わたす橋はしとして獲えたり。

第六歌頌

イルモス 我われ罪つみの淵ふちに溺おぼれて、爾なんぢが憐あはれみの量はかり難がたき淵ふちに呼よぶ、神かみよ、我われを淪喪ほろびより引ひき上あげ給たまへ。

爾なんぢは祭まつりを捧さゝぐる者もの及および祭まつりと爲なりて、信しんの爲ために己おのれを祭まつりとして神かみに獻けんじて、彼かれの前まへに汚けがれなく爾なんぢの聖せい務むを守まもり給たまへり。

神言者しんげんしやよ、爾なんぢは全ぜん世せ界かいの爲ために死しして、獨ひとり神かみの爲ために生いき、ハリストスに移うつりて、不ふ朽きうの生命いのちを獲え給たまへり。

克肖者こくせうしやよ、爾なんぢは今いま地ち上じやうより終をはりなき光くわう榮えいに移うつりて、我わが不ふ當たうなる靈たましひの諸慾しよよくを爾なんぢの祈き禱たうの潔きよむる力ちからにて醫いやし給たまへ。

 生神女讚詞

全ぜん世せ界かいの罪つみを任になふハリストスを生うみし純じゆん潔けつ無む玷てんなる童貞女どうていぢよよ、爾なんぢの諸僕しよぼくの爲ために絕たえず諸罪しよざいの赦ゆるしを求もとめ給たまへ。

小讚詞コンダクは奉事例に据る。若し奉事例になくば、下の小讚詞コンダクを誦せよ。第四調。

神しん智ち者しやよ、爾なんぢは成聖者せいせいしやとして敬虔けいけんに度ど世せいして、苦くるしみの途みちを過とほり、爾なんぢの牧群ぼくぐんを防ふせぎ衛まもりて、偶像ぐうざうの祭まつりを絕たやし給たまへり。故ゆゑに我われ等ら爾なんぢを尊たふとみて、熱切ねつせつに爾なんぢに呼よぶ、我わが神しん父ぷ(某)よ、爾なんぢの祈き禱たうを以もつて常つねに我われ等らを患くわん難なんより救すくひ給たまへ。

 同讚詞イコス

我われ等らは信しんと愛あいとを以もつて今日こんにち聖せいにせられし受難者じゆなんしやの記き憶おくに集あつまりて、歌うたを以もつて彼かれを讚ほめ揚あげん、彼かれより恩おん寵ちようを受うけて樂たのしまん爲ためなり、蓋けだし彼かれは致ち命者めいしやとし、忠ちゆう信しんなる成聖者せいせいしや及および保護ほご者しやとして、熱心ねつしんに彼かれに禱いのる者ものの靈たましひを諸慾しよよく諸難しよなんより救すくひ給たまふ。故ゆゑに我われ等ら彼かれに呼よぶ、我わが神しん父ぷ(某)よ、爾なんぢの祈き禱たうを以もつて常つねに我われ等らを患くわん難なんより救すくひ給たまへ。

第七歌頌

イルモス 黃金こがねの偶像ぐうざうがデイラの野のに奉ほう事じせられし時とき、爾なんぢの三人みたりの少者せうしやは神かみに逆さかふ命めいを顧かへりみずして、火ひの中なかに投なげられ、涼すゞしくせられて歌うたへり、我わが先せん祖ぞの神かみよ、爾なんぢは崇あがめ讚ほめらる。

神しん智ちなる神しん父ぷよ、爾なんぢは睿えい智ちと諸德しよとくとを滿みてられたる爵しやくと現あらはれて、傳道でんだうを以もつて爾なんぢの牧群ぼくぐんを呼よび集あつめ、髙かう尙しやうなる度ど世せいを以もつて之これを治をさめ、之これと偕ともに呼よぶ、我わが先せん祖ぞの神かみは崇あがめ讚ほめらる。

至し福ふくなる神しん父ぷよ、爾なんぢは尊たふとき度ど世せいを爲なして、彼處かしこの宮みやに至いたり、諸天しよてん使しと偕ともに居をりて、彼かれ等らと共ともに喜よろこぶ。故ゆゑに我われ等ら爾なんぢを尊たふとみて、勇いさみを以もつて呼よぶ、我わが先せん祖ぞの神かみは崇あがめ讚ほめらる。

爾なんぢは幸さいはひなり、爾なんぢは福ふくを獲えたり、蓋けだし今いま義ぎ人じんの軍ぐん、致ち命者めいしやの群むれ、睿えい智ちなる使徒しとの會くわいの在います處ところに居をりて、彼かれ等らと偕ともに呼よぶ、我わが先せん祖ぞの神かみは崇あがめ讚ほめらる。

 生神女讚詞

婚姻こんいんに與あづからざる至し淨じやうなる童貞女どうていぢよよ、爾なんぢは獨ひとり萬有ばんいうを其その智慧ちゑにて造つくりし神かみの母はゝと識しられたり。故ゆゑに我われ等ら敬虔けいけんに爾なんぢに呼よびて言いふ、身みにて神かみを生うみし者ものは崇あがめ讚ほめらる。

第八歌頌

イルモス 火ひの爐ゐろりの中うちにエウレイの少者せうしやに降くだりて、燄ほのほを露つゆに變へんぜし神かみを、造物ざうぶつは主しゆとして歌うたひて、萬世ばんせいに崇あがめ讚ほめよ。

至し福ふくなる者ものよ、爾なんぢは敬虔けいけんにハリストスの奧密あうみつなる聖せい務むを行おこなひて、自みづからも靈れい智ちなる羊ひつじとして血ちを流ながし、嘉よく納いれらるる祭まつりとして獻さゝげられたり。

睿えい智ち者しやよ、爾なんぢは聖せいにせられし職しよくの衣ころもを爾なんぢの德行とくかうにて飾かざりて、貞潔ていけつの則のり、節制せつせいの鍳かゞみ、祈き禱たうの敎けう師し、痛つう悔くわいの嚮きやう導だう師し、度ど世せいの模も範はんと現あらはれたり。

吿解こくかいは其その果みを見あらはすべし、果みを結むすばざる無花果樹いちじくは枯かるるに定さだめられたればなり、吾わが靈たましひよ、詛のろひを畏おそれよ、ハリストスを受うけて、之これに德行とくかうの果みを獻けんぜよ。

 生神女讚詞

威ゐ嚴げんなる轉達者てんたつしやよ、爾なんぢの諸僕しよぼくの聲こゑを退しりぞくる毋なかれ、聖せいなる童貞女どうていぢよよ、我われ等ら衆しゆうを凡およその患くわん難なんと困こん苦くより脫のがれしめ給たまへ、爾なんぢの母はゝたる祈き禱たうは神かみの慈じ憐れんを我われ等らに降くだせばなり。

第九歌頌

イルモス 食しよくに緣よりて甚はなはだしく朽きう壞くわいに陷おちいりしアダムを、言いひ難がたき智慧ちゑを以もつて改あらためん爲ために神かみより來きたりし神かみ言ことば、我われ等らの爲ために測はかり難がたく聖せいなる童貞女どうていぢよより身みを取とりし主しゆを、我われ等ら信者しんじやは同心どうしんに歌うたを以もつて崇あがめ讚ほむ。

神しん父ぷよ、爾なんぢは節制せつせいの火ひを以もつて敵てきの種種しゆじゆの箭やを焚やき、潔けつ淨じやうの熾炭やけずみを以もつて肉慾にくよくの泥ひぢを涸からして、彼處かしこにある眞まことの光くわう照せうにて盛さかんに照てらされたり。

奇異きいなる神しん父ぷよ、爾なんぢの光くわう明めいなる記き憶おくは輝かゞやきて、敬虔けいけんに之これを行おこなふ者ものの靈たましひを照てらして、彼かれ等らを神かみの光ひかりに與あづかる者ものと爲なす、神しん智ち者しやよ、我われ等ら歌うたを以もつて宜よろしきに合かなひて之これを崇あがめ讚ほむ。

神しん父ぷよ、我われ等ら信者しんじやは爾なんぢが戰たゝかひを終をへて、神かみの手てより榮えい冠くわんを受うけ、勝しよう利りの尊そん貴きを獲えて、神かみの光ひかりに滿みてらるる者ものなるを信しんじて、爾なんぢをハリストスの前まへに熱切ねつせつなる祈き禱たう者しやとして進すゝむ。

 生神女讚詞

童貞女どうていぢよ言ことばの母はゝよ、我われ等ら信者しんじやは爾なんぢ、我われ等らの爲ために神かみの實在じつざいの生命いのち及および義ぎの日ひを輝かゞやかしし者ものを、生しやう神女しんぢよ及および我われ等らの轉達者てんたつしやとして、歌うたを以もつて同心どうしんに崇あがめ讚ほむ。

 光耀歌

福ふくたる者ものよ、爾なんぢは縛しばり及および釋とく權けんを有たもつ神しん゜品ぴん致ち命者めいしやとして、爾なんぢの祈き禱たうを以もつて我わが惡あくの縲絏なはめを解とき、我われを神かみの愛あいに結むすびて、其その國くにに與あづかる者ものと爲なし給たまへ。

 生神女讚詞

潔いさぎよき童貞女どうていぢよよ、罪つみに因よりて昧くらみたる吾わが靈たましひを照てらして、爾なんぢの轉達てんたつを以もつて我われを永遠えいゑんの㷔ほのほ及および幽暗くらやみより脫のがれしめ給たまへ、我わが樂たのしみて爾なんぢの偉ゐ大だいなるを讚さん美びせん爲ためなり。

 「凡そ呼吸ある者」に讚頌スティヒラ、第四調。

神しん゜品ぴん致ち命者めいしや(某)よ、聖神せいしん゜の恩おん寵ちようは爾なんぢに輝かゞやきて、明あきらかに爾なんぢを照てらせり、之これに由よりて爾なんぢは諸慾しよよくの夜よを逃のがれて、無む慾よくの日ひに至いたり、自みづから潔いさぎよくして至いたりて潔いさぎよき光ひかりに合あはせられたり。其中そのうちに居をりて、神しん父ぷよ、信しんを以もつて爾なんぢの記き憶おくを歌うたふ者ものを忘わするる勿なかれ。 二次

神しん゜品ぴん致ち命者めいしや(某)よ、爾なんぢは慕したふべき天てんの恩おん寵ちようを己おのれの内うちに有たもちて、地ち上じやうの諸しよ事じを顧かへりみざりき、故ゆゑに無む形けいの者ものの如ごとく、永在えいざいの福樂ふくらくを樂たのしまんと欲ほつして、受難者じゆなんしやの度ど生せいを擇えらび、淚なみだを以もつて諸慾しよよくの濁にごりたる泉いづみを涸からし、靈たましひを養やしなふ穗ほを濕うるほして、之これを生せい長ちやうせしめたり。

受難者じゆなんしや(某)よ、爾なんぢは體からだを傷きずに付わたし、火ひに委ゆだね、靈たましひを勝かたれぬ愛あいにて仁愛じんあいなる主しゆ、人類じんるゐの爲ために十じふ字架じかの苦くるしみを受うけし者ものに向むけて、之これとに結合けつがふするを以もつて堅かためられたり。故ゆゑに致ち命者めいしやの華くわ美び、成聖者せいせいしやの装さう飾しよく、天てん使等しらの對たい話わ者しや爲なり給たまへり。

 光榮、第四調。

神しん゜品ぴん致ち命者めいしや(某)よ、爾なんぢは實み繁しげき葡ぶ萄だうの樹きの如ごとく、美うるはしき橄欖樹かんらんじゆの如ごとく主しゆの庭にはに植うゑられたり、爾なんぢの受難じゆなんに因よりて主しゆは爾なんぢに降福かうふくし、爾なんぢは上うへなるシオンの安寧あんねいを視みて、衆しゆう聖人せいじんと偕ともに神聖しんせいなる喜よろこびを以もつて樂たのしみ給たまふ。讚さん美びたる者ものよ、爾なんぢの祈き禱たうを以もつて我われ等らを之これに與あづかる者ものと爲なし給たまへ。

 今も、 生神女讚詞

至し淨じやうなる童貞女どうていぢよ、萬有ばんいうの女王によわう、正敎者せいけうしやの譽ほまれよ、異い端者たんしやの驕おごりを破やぶりて、爾なんぢの尊たふとき聖像せいざうを尊たふとまず、之これに伏拜ふくはいせざる者ものの面おもてを辱はづかしめ給たまへ。

 十字架生神女讚詞

至し淨じやうなる者ものは人ひとを愛あいする主しゆハリストスの十じふ字架じかに釘ていせられ、戈ほこにて脅わきの刺ささるるを見みて、哭なきて呼よべり、吾わが子こよ、此これ何なにぞ、恩おんを知しらざる民たみは爾なんぢが彼かれ等らに爲なしし善ぜんに易かへて何なにをか爾なんぢに報むくいたる、至し愛あいなる者ものよ、胡爲なんすれぞ我われを子こなき者ものとして遺のこす、慈じ憐れんなる主しゆよ、我われ爾なんぢが甘あまんじて受うくる釘殺ていさつを奇きとす。

若し挿句くづけに光榮あらば、其晩課の、今も、生神女讚詞、或は十字架生神女讚詞を誦せよ。

 

第十七編 二人或は多人の神品致命者の總奉事

 晩課

「主よ爾に籲ぶ」に讚頌スティヒラ、第一調。

光くわう榮えいなる役者えきしやよ、爾なんぢ等らは成聖者せいせいしやの衣ころもを實じつに美うるはしく致ち命めいの血ちにて飾かざり、之これに美うるはしく飾かざられて、諸天しよてん使しと偕ともに造物主ざうぶつしゆの前まへに立たち給たまへり。我われ等らの靈たましひに平安へいあんと大おほいなる憐あはれみとを賜たまはんことを彼かれに祈いのり給たまへ。

爾なんぢ等らは實じつに神かみに感かんぜらるる器うつはとして我われ等らに現あらはれて、聖書せいしよの言いひ難がたき神かみの奧密あうみつを傳つたへ、偶像ぐうざうの無知むちを論ろん破ぱして、衆しゆうをハリストスに攜たづさへ給たまへり。我われ等らの靈たましひに平安へいあんと大おほいなる憐あはれみとを賜たまはんことを彼かれに祈いのり給たまへ。

睿えい智ちなる者ものよ、爾なんぢ等らは神しん智ちの言ことばを以もつて人人ひとびとを無智むちより引ひき出いだして、彼かれ等らを救すくはれし者ものとして、父ちゝより輝かゞやきし言ことば、生うまれ給たまひしハリストス我われ等らの神かみに攜たづさへ給たまへり。我われ等らの靈たましひに平安へいあんと大おほいなる憐あはれみとを賜たまはんことを彼かれに祈いのり給たまへ。

 光榮、今も、生神女讚詞。

讚さん美びたる潔いさぎよき童貞女どうていぢよよ、モイセイは前ぜん知ち者しやの目めにて燃もえれども焚やかれぬ棘いばらの中うちに爾なんぢに於おける祕ひ密みつを見みたり、蓋けだし神性しんせいの火ひは爾なんぢの腹はらを焚やかざりき。故ゆゑに我われ等ら爾なんぢに禱いのる、我わが神かみの母はゝとして、世せ界かいの爲ために平安へいあんと大おほいなる憐あはれみとを求もとめ給たまへ。

 十字架生神女讚詞

神かみの言ことばよ、牝め羊ひつじ及および無む玷てんなる爾なんぢの母はゝは爾なんぢの十じふ字架じかの側かたはらに立たちて、哭なきて呼よべり、哀かなしい哉かな吾わが子こよ、如何いかんぞ爾なんぢ十じふ字架じかの上うへに死しする、哀かなしい哉かな吾わが甘愛かんあいなる光ひかり、衆しゆう人じんに超こえて美うるはしき者ものよ、爾なんぢの華くわ美びの姿すがたは今いま何處いづこにか隱かくれたる。

若し之あらば、自調。光榮、第八調。

暫ざん時じの度ど生せいより遷うつりし光くわう榮えいなる神しん゜品ぴん致ち命者めいしやよ、爾なんぢ等らは七倍しちばい擊うたれ、鐵搭くまでにて裂さかれ、ハリストスの爲ために十じふ字架じかに釘ていせられしに、火ひも、種種しゆじゆの傷きずも、劍つるぎも爾なんぢ等らの堅けん固ごなる靈たましひを弱よわめざりき、爾なんぢ等らは惡あく鬼きの力ちからを踐ふみ給たまへり。神かみに召めされたる者ものよ、我われ等らの靈たましひを救すくはんことをハリストス神かみに祈いのり給たまへ。

 今も、生神女讚詞。

聖せいなる童貞どうてい生しやう神女しんぢよよ、我われ爾なんぢの庇廕おほひに趨はしり附つく、我われ爾なんぢに倚よりて救すくひを得えんことを知しる、爾なんぢは、潔いさぎよき者ものよ、我われを援たすくるを能よくすればなり。

 十字架生神女讚詞

主宰しゆさいイイススよ、童貞女どうていぢよ爾なんぢの母はゝは爾なんぢが甘あまんじて十じふ字架じかに釘ていせられ、苦くるしみを受うくるを見みて呼よべり、哀かなしい哉かな甘愛かんあいなる子こよ、爾なんぢは人類じんるゐの不ふ能のうを醫いやす醫師いし、爾なんぢの慈じ憐れんを以もつて衆しゆうを朽きう壞くわいより救すくふ者ものにして、如何いかんぞ非義ひぎに傷きずつけらるるを忍しのぶ。

若し多燭詞ポリエレイを以て祭を行はば、復活の生神女讚詞を誦すべし。

天てんの王わうは人ひとを愛あいするに因よりて地ちに現あらはれ、人ひとと偕ともに在いませり、蓋けだし淨きよき童貞女どうていぢよより身みを取とり、人ひとの性せいを有たもちて生うまれし者ものは、二ふたつの性せいにて一ひとつの位くらゐある獨どくいつ子しなり、故ゆゑに我われ等ら彼かれが實じつに全まつたき神かみ及および全まつたき人ひとなるを傳つたへて、ハリストス吾わが神かみを承うけ認みとむ、夫をつとを識しらざる母はゝよ、我わが靈たましひの憐あはれみを蒙かうむらんことを彼かれに祈いのり給たまへ。

 聖入。本日の提綱ポロキメン。致命者の喩言パリミヤ三篇、巻末に載す。

 挿句くづけの讚頌スティヒラ、第四調。

光くわう榮えいなる神しん゜品ぴん致ち命者めいしやよ、爾なんぢ等らは至いたりて光くわう明めいなる星ほしとして、無む形けいに敎けう會くわいの穹蒼おほぞらに輝かゞやきて、衆しゆう造物ざうぶつを照てらし、功勞こうらうの光ひかりと奇き跡せきの光くわう照せうとを以もつて幽暗くらやみを逐おひ給たまふ。故ゆゑに我われ等ら今日こんにち樂たのしみて、爾なんぢ等らの光ひかりを施ほどこす聖せいなる記き憶おくを行おこなふ。

句 爾なんぢの司し祭さい等らは義ぎを衣き、爾なんぢの諸聖者しよせいしやは悅よろこばん。

使徒しとと同尊どうそんなりし至いたりて睿えい智ちなる司し祭首さいしゆよ、爾なんぢ等らは燃もゆる心こゝろを抱いだきて、無む神しんなる苛虐者くるしめびとの殘酷ざんこくを畏おそれず、乃すなはち勇いさましく救世主きうせいしゆを傳つたへて、多た種しゆの苦くるしみを忍しのびたり。故ゆゑに今いま天てん上じやうの賞むくいを受うけ給たまへり。

句 神かみを畏おそれ、其その誡いましめを極きはめて愛あいする人ひとは福さいはひなり。

福ふくたる司し祭首さいしゆよ、爾なんぢ等らは尊たふとき奉ほう事じと無む玷てんなる祭まつりとを主宰しゆさいハリストスに獻けんじて、又また受難者じゆなんしやと爲なりて己おのれを完くわん全ぜんなる燔祭はんさいとして主しゆに捧さゝげ給たまへり。彼かれに祈いのりて、信しんを以もつて爾なんぢの尊たふとき記き憶おくを行おこなふ者ものを患くわん難なん及および朽きう壞くわいより救すくはんことを求もとめ給たまへ。

 光榮、第四調。

勝かたれぬ致ち命者めいしや、讚さん美びたる成聖者せいせいしや、神しん智ちなる諸神しよしん父ぷよ、爾なんぢ等らは全ぜん世せ界かいの燈ともしび、神かみの敎けう會くわいの動うごきなき柱はしら、敎をしへの範のり、敬虔けいけんの者ものの敎導けうだう師し、諸しよ異い端たんの絕滅者ぜつめつしや、我われ等らの靈たましひの光くわう明めいなる敎けう師し、諸天しよてん使しの對たい話わ者しや、聖三者せいさんしやの軍ぐん士しと爲なり給たまへり。

 今も、生神女讚詞。

讚さん美びたる潔いさぎよき生しやう神女しんぢよよ、我わが慾よくに耽ふけりたる情こゝろの汚けがれを洗あらひ、罪つみに緣よる其その悉ことごとくの傷きずと膿のうとを淨きよめ、我わが動うごき易やすき智慧ちゑを治をさめ給たまへ、我われ不ふ當たうなる卑いやしき爾なんぢの僕ぼくが爾なんぢの力ちからと大おほいなる保護ほごとを讚ほめ揚あげん爲ためなり。

 十字架生神女讚詞

至し淨じやうなる者ものは人ひとを愛あいする主しゆハリストスの十じふ字架じかに釘ていせられ、戈ほこにて脅わきの刺ささるるを見みて、哭なきて呼よべり、吾わが子こよ、此これ何なにぞ、恩おんを知しらざる民たみは爾なんぢが彼かれ等らに爲なしし善ぜんに易かへて何なにをか爾なんぢに報むくいたる、至し愛あいなる者ものよ、胡爲なんすれぞ我われを子こなき者ものとして遺のこす、慈じ憐れんなる主しゆよ、我われ爾なんぢが甘あまんじて受うくる釘殺ていさつを奇きとす。

讚詞トロパリは奉事例に据る。若し奉事例になくば、下の讚詞トロパリを誦せよ。第四調。

我わが先せん祖ぞの神かみ、常つねに爾なんぢの寬くわん容ように由よりて我われ等らに行おこなふ主しゆよ、爾なんぢの仁じん慈じを我われ等らより離はなさずして、彼かれ等らの祈き禱たうに因よりて、我わが生命いのちを平安へいあんに治をさめ給たまへ。

 光榮、 今も、生神女讚詞、或は十字架生神女讚詞。

 早課

「主は神なり」に讚詞トロパリ同上。

 第一の「カフィズマ」の後に坐誦讚詞セダレン、第八調。

克肖こくせうなる神しん智ち者しやよ、爾なんぢ等らは睿えい智ちの海うみを窮きはめ、屬神ぞくしん゜の深處ふかみを宣のべ、三者さんしやの惟一ゆゐいちの神性しんせいを傳つたへ、諸天しよてん使しの品ひん位ゐと其その光くわう照せうの奧密あうみつとを錄しるせり、故ゆゑに又また地ち上じやうの成聖者せいせいしやの職しよくを盡つくして、惟一ゆゐいちの成聖せいせいの泉いづみに升のぼせられたり。神品しんぴん致ち命者めいしやよ、ハリストス神かみに祈いのりて、愛あいを以もつて爾なんぢ等らの聖せいなる記き憶おくを尊たふとむ者ものに諸罪しよざいの赦ゆるしを賜たまはんことを求もとめ給たまへ。 二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

靈れい智ちなる日ひの雲くも、神聖しんせいなる光ひかりの黃金こがねの燈凳とうだい、無む玷てん無垢むく純じゆん潔けつなる女宰ぢよさいよ、祈いのる、諸慾しよよくの闇やみに昧くらまされたる吾わが靈たましひを無む慾よくの光くわう線せんにて照てらし、我わが汚けがれたる心こゝろを傷しやう感かんの流ながれ、痛つう悔くわいの淚なみだにて洗あらひ、我わが行おこなひの泥ひぢより我われを潔きよめ給たまへ、我わが愛あいを以もつて爾なんぢに呼よばん爲ためなり、生しやう神女しんぢよ永貞えいてい童女どうぢよよ、我われに諸罪しよざいの赦ゆるしを賜たまはんことをハリストス神かみに祈いのり給たまへ、我われ爾なんぢの僕ぼくが爾なんぢを恃賴たのみとすればなり。

 第二の「カフィズマ」の後に坐誦讚詞セダレン、第五調。

克肖こくせうなる神しん゜品ぴん致ち命者めいしやよ、爾なんぢ等らは使徒しとの言ことばを以もつて己おのれの智慧ちゑを照てらして、善よく信者しんじやの會くわいを牧ぼくし、我われ等らの爲ために生しやう神しん童貞女どうていぢよより身みを取とりて、光くわう榮えいを以もつて復ふく活くわつせし主しゆを窘逐者きんちくしやの前まへに承うけ認みとめて、潔いさぎよき祭まつりとして造成主ざうせいしゆ及および王わうに捧さゝげられたり。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

潔いさぎよき永貞えいてい童女どうぢよよ、爾なんぢに趨はしり附つく者ものの爲ために熱切ねつせつにして勝かたれぬ轉達者てんたつしや、堅けん固ごにして恥はぢを得えざる恃賴たのみ、垣牆かきと、帲幪おほひと、港みなとなる者ものよ、諸天しよてん使しと偕ともに爾なんぢの子こ及および神かみに祈いのりて、世せ界かいに平安へいあんと、救すくひと、大おほいなる憐あはれみとを賜たまはんことを求もとめ給たまへ。

「主の名を讚め揚げよ」の後に附唱。

ハリストスの神品しんぴん致ち命者めいしやよ、我われ等ら爾なんぢ等らを讚揚さんやうして、爾なんぢ等らの聖せいなる記き憶おくを尊たふとむ、爾なんぢ等らは我われ等らの爲ためにハリストス我わが神かみに祈いのり給たまへばなり。

 拔萃聖詠

「萬民之を聽け、全地に居る者皆之に耳を傾けよ。」

 多燭詞ポリエレイの後に坐誦讚詞セダレン、第一調。

神品しんぴん致ち命者めいしやよ、爾なんぢ等らは己おのれの勤勞きんらうを以もつて神しん智ちの果みを生せい長ちやうせしめて、敎をしへの耜すきを以もつて無む神しんを根ねより絕たやし、恩おん寵ちようの香料かうれうを塗ぬられて、善よく人人ひとびとを牧ぼくし、法はふに遵したがひて苦くるしみを受うけて、ハリストスより二に倍ばいの尊榮そんえいを獲え給たまへり。光くわう榮えいは爾なんぢ等らに力ちからを賜たまひし主しゆに歸きす、光くわう榮えいは爾なんぢ等らに榮えい冠くわんを冠かうむらせし主しゆに歸きす、光くわう榮えいは爾なんぢ等らを以もつて衆しゆうに醫治いやしを賜たまふ主しゆに歸きす。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

至し聖せいなる童貞女どうていぢよよ、仁じん慈じに因よりて身みを取とりし造成主ざうせいしゆを抱いだきたる爾なんぢの神聖しんせいなる手てを彼かれに伸のべて、我われ等らを諸もろもろの誘惑いざなひ、諸慾しよよく及および患くわん難なんより救すくはんことを祈いのり給たまへ、蓋けだし我われ等らは愛あいを以もつて爾なんぢを崇あがめ讚ほめて呼よぶ、光くわう榮えいは爾なんぢの内うちに入いり給たまひし主しゆに歸きす、光くわう榮えいは爾なんぢより出いで給たまひし主しゆに歸きす、光くわう榮えいは爾なんぢの產さんを以もつて我われ等らを救すくひ給たまひし主しゆに歸きす。

 品第詞ステペンナ、第四調の第一倡和詞アンティフォン。

 提綱ポロキメン

聖人せいじんの死しは主しゆの目めの前まへに貴たつとし。句 我われ何なにを以もつて主しゆの我われに施ほどこしし悉ことごとくの恩おんに報むくいん。

「凡そ呼吸ある者」

神品致命者の福音經、巻末に載す。

 第五十聖詠の後に讚頌スティヒラ、第四調。

互たがひに兄弟けいていたる致ち命者めいしやよ、爾なんぢ等らはハリストスの敎けう會くわいの柱はしらとして、無む神しんの垣かきを壞やぶり、死しの至いたらざる先さきに諸しよ異い端たんの暴風あらしを鎮しづめ給たまへり、今いま我われ等らの靈たましひの爲ために祈いのり給たまふ。

 規程カノン、第四調。

第一歌頌

イルモス 古いにしへのイズライリは足あしを濡ぬらさずして海うみの紅くれなゐの淵ふちを渡わたり、野のにてモイセイの十じふ字じ形かたの手てにてアマリクの力ちからに勝かてり。

神かみの光ひかりに輝かゞやかさるる光くわう榮えいなる者ものよ、敬虔けいけんに此この爾なんぢ等らの光くわう明めいなる欣よろこばしき祭まつりを讚榮さんえいする者ものを諸慾しよよくの黑暗くらやみより脫のがれしめ給たまへ。

ハリストス王わうよ、不ふ虔者けんしやは爾なんぢの受難者じゆなんしや及および役者えきしやに辱はづかしめられたり、矢やを彼かれ等らに射いて、己おのれの凶きよう惡あくなる棘いばらを空むなしくしたれども、彼かれ等らの力ちからを折くじくこと能あたはざりき。

爾なんぢ等らは屬神ぞくしん゜の活くわつ水すゐに盈みてられ、之これを甚はなはだしき無む神しんの旱ひでりに由よりて弱よわりたる者ものに飮のませて、彼かれ等らを救すくひを施ほどこす聖せいなる泉いづみに向むかはしめ給たまへり。

 生神女讚詞

至し淨じやうなる者ものよ、爾なんぢの神妙しんめうなる產さんに由よりて原げん祖その犯罪はんざいは解とかれて、大聲おほごゑにて爾なんぢを讚ほめ揚あぐる者ものは始はじめの如ごとく樂園らくゑんに入いるを得えたり。

第三歌頌

イルモス ハリストスよ、爾なんぢの敎けう會くわいは爾なんぢの爲ために樂たのしみて呼よぶ、主しゆよ、爾なんぢは我わが能力ちからと避所かくれがと堡障かためなり。

神しん゜品ぴん致ち命者めいしやよ、爾なんぢ等らは無む形けいに撫ぶ恤じゆつ者しやの火ひに燃もやされて、勇いさみを以もつて甚はなはだしき迷まよひの熱ねつを滅けし給たまへり。

光くわう榮えいなる者ものよ、爾なんぢ等らは神しん゜の光ひかりを以もつて深ふかき幽闇くらやみに在ある者ものを聖洗せいせんの光くわう照せうに攜たづさへ給たまへり。

聖せいなる者ものよ、爾なんぢ等らは苦くるしみの火ひに鍊ねられたる黃金こがね、致ち命者めいしやの受難じゆなんの印いんを押おされたる者ものと現あらはれたり。

 生神女讚詞

純じゆん潔けつ至し淨じやうなる童貞女どうていぢよよ、爾なんぢは人人ひとびとを敵てきの虐待しへたげより救すくふ有能いうのうの神かみを生うみ給たまへり。

 坐誦讚詞セダレン、第三調。

讚さん美びたる致ち命者めいしや、全ぜん世せ界かいの燈ともしびよ、爾なんぢ等らは傅ふ膏かうを以もつて聖せいにせられて、人人ひとびとの爲ために神しん智ちなる牧ぼく師しと爲なり、潔いさぎよき羊ひつじとして屠ほふられて、羔こひつじの如ごとく屠ほふられたる言ことば 牧ぼく師し長ちやうに捧さゝげられたり。故ゆゑに我われ等ら愛あいを以もつて爾なんぢ等らの神聖しんせいなる記き憶おくを祝いはふ。

 光榮、今も、生神女讚詞。

我われ等らの避所かくれが及および力ちから、世せ界かいの有能いうのうの助たすけたる生しやう神女しんぢよ、獨ひとり祝しゆく福ふくせられし者ものよ、爾なんぢの祈き禱たうを以もつて爾なんぢの諸僕しよぼくを凡およその危き難なんより覆おほひ給たまへ。

 十字架生神女讚詞

生しやう神女しんぢよよ、我われ等らは爾なんぢの子この十じふ字架じかを能のう力りよくの杖つゑとして得えて、此これを以もつて諸敵しよてきの驕おごりを破やぶり、愛あいを以もつて絕たえず爾なんぢを讚ほめ揚あぐ。

第四歌頌

イルモス 敎けう會くわいは爾なんぢ義ぎの日ひが十じふ字架じかに擧あげられしを見みて、竝ならび立たちて正たゞしく呼よべり、主しゆよ、光くわう榮えいは爾なんぢの力ちからに歸きす。

聖せいにせられし致ち命者めいしやの會くわいは歌うたはるべし、彼かれ等らは聖せい職しよくの恩おん寵ちようと苦く難なんとに飾かざられて、樂たのしみて歌か頌しようす、主しゆよ、光くわう榮えいは爾なんぢの力ちからに歸きす。

捧神ほうしんなる神しん父等ぷらよ、爾なんぢ等らは神かみの奧密あうみつを敎をしへられて、實じつに聖せいと義ぎとを以もつて民たみを牧ぼくし、苦くるしみを以もつて己おのれの聖せいなる生命いのちを終をへ給たまへり。

聖せい使徒しと及および預よ言者げんしやの恩おん賜しに飾かざられたる神しん゜品ぴん致ち命者めいしやの神聖しんせいなる會くわいは樂たのしみて呼よぶ、主しゆよ、光くわう榮えいは爾なんぢの力ちからに歸きす。

 生神女讚詞

生しやう神女しんぢよよ、我われ等らは神かみの言ことばに敎をしへられて、爾なんぢに於おける諸しよ預よ言げんの應かなへるを見みて、爾なんぢに呼よぶ、無む玷てんなる童貞女どうていぢよよ、慶よろこべ、我われ等らは爾なんぢの產さんに由よりて救すくひを得えたり。

第五歌頌

イルモス 我わが主しゆよ、爾なんぢは光ひかり、信しんじて爾なんぢを崇あがめ歌うたふ者ものを闇くらき無智むちより引ひき出いだす聖せいなる光ひかりにして、世せ界かいに來きたり給たまへり。

爾なんぢ等らは睿えい智ちなる傳道でんだうの神聖しんせいなる光くわう線せんを以もつて迷まよひの黑暗くらやみに坐ざする者ものに恩おん寵ちようの光ひかりを輝かゞやかし給たまへり。

爾なんぢ等らは今いま面おもてを合あはせてハリストスを覿みて、言いひ難がたき光ひかりを樂たのしむ、我われ等らの爲ために彼かれに祈いのり給たまへ。

爾なんぢ等らはハリストスの敎をしへを滿みてたる神かみの河かはにして、迷まよひの流ながれを塞ふさぎて、信者しんじやの智慧ちゑに飽あくまで飮のませ給たまへり。

 生神女讚詞

生しやう神女しんぢよよ、主しゆは萬族ばんぞくの中うちより獨ひとり爾なんぢを選えらび、爾なんぢより身みを取とりて、人類じんるゐを神成しんせいし給たまへり。

第六歌頌

イルモス 憐あはれみに由よりて爾なんぢの脅わきより流ながれし血ちにて惡あく魔まの祭まつりの血ちより淨きよめられし敎けう會くわいは爾なんぢに呼よぶ、主しゆよ、讚揚ほめあげの聲こゑを以もつて爾なんぢを祭まつらん。

主しゆよ、爾なんぢの聖者せいしやの會くわいは勇ゆう毅きと睿えい智ち、義ぎと祈き禱たうと貞潔ていけつとを以もつて生命いのちを送おくりて、今いま爾なんぢの爲ために喜よろこぶ。

神聖しんせいなる諸しよ預よ言者げんしやに效ならひし勇敢ゆうかんなる聖者せいしやよ、爾なんぢ等らは永遠えいゑんの生命いのちの望のぞみに堅かためられて、肉體にくたいの寸斷すんだんせらるるを樂たのしみて忍しのび給たまへり。

屬神ぞくしん゜の法はふに養やしなはれたる睿えい智ち者しやよ、爾なんぢ等らは不ふ法はふの者ものに救すくひを施ほどこす法はふを進すゝめて、彼かれ等らを聖敎せいけうの光ひかりに攜たづさへ給たまへり。

 生神女讚詞

至し淨じやうなる神かみの聘女よめ童貞女どうていぢよよ、樂園らくゑんに於おいて生命いのちより死しに墜おとされたるアダムは爾なんぢが生命いのちを施ほどこす產さんに由よりて不死ふしを獲えたり。

小讚詞コンダクは奉事例に据る。若し奉事例になくば、下の小讚詞コンダクを誦せよ。第三調。

神品しんぴん致ち命者めいしやよ、我われ等ら今日こんにち集あつまりて、歌うたを以もつて爾なんぢ等らを靈れい智ちなる日ひの暮くれざる光ひかりとして讚ほめ揚あげん、蓋けだし爾なんぢ等らは無智むちの幽暗くらやみに在ある者ものに輝かゞやきて、衆しゆうを起おこして敬虔けいけんの髙たかきに召めし給たまへり。故ゆゑに我われ等ら爾なんぢ等らに呼よぶ、衆しゆう修齋者しゆさいしやの基もとゐよ、慶よろこべ。

 同讚詞イコス

イイスス ハリストス、生命いのちを施ほどこす主しゆよ、神聖しんせいなる華麗くわれいを我われに耀かゞやかして、我われに爾なんぢの成聖者せいせいしやを歌か頌しようせしめ給たまへ、蓋けだし彼かれ等らは爾なんぢの爲ために死しに至いたるまで勤勞きんらうして、勇いさましく敵てきの力ちからを破やぶり、神かみに悖もとる不ふ虔けんを責せめ、十じふ字架じかの力ちからに堅かためられて、宜よろしきに合かなひて爾なんぢより光くわう榮えいを受うけたり。故ゆゑに我われ等らは彼かれ等らに呼よぶ、衆しゆう修齋者しゆさいしやの基もとゐよ、慶よろこべ。

第七歌頌

イルモス アウラアムの少者せうしやはペルシヤの爐ゐろりに在ありて、焔ほのほよりも强つよく敬虔けいけんの愛あいに爇やかれて呼よべり、主しゆよ、爾なんぢが光くわう榮えいの宮みやに於おいて爾なんぢは崇あがめ讚ほめらる。

神しん智ちなる者ものよ、爾なんぢ等らは聖せい職しよくの香料かうれうに聖せいにせられ、又また神聖しんせいなる致ち命めいの血ちに輝かゞやきて、兩ふたつながら宜よろしきに合かなひて讚榮さんえいせられて呼よぶ、主しゆよ、爾なんぢが光くわう榮えいの宮みやに於おいて爾なんぢは崇あがめ讚ほめらる。

讚さん美びたる者ものよ、爾なんぢ等らは地ち上じやうの思おもひを美うるはしく整とゝのへ、至し淨じやうなる光くわう榮えいの髙たかきに擧あげられて呼よぶ、主しゆよ、爾なんぢが光くわう榮えいの宮みやに於おいて爾なんぢは崇あがめ讚ほめらる。

光くわう榮えいなる神品しんぴん致ち命者めいしやよ、爾なんぢ等らは敵てきの惡謀あくぼうを知しりて、迫害者はくがいしやの悉ことごとくの誘惑いざなひを斥しりぞけて歌うたへり、主しゆよ、爾なんぢが光くわう榮えいの宮みやに於おいて爾なんぢは崇あがめ讚ほめらる。

 生神女讚詞

童貞女どうていぢよよ、地ちに暗やみを天てんに雲くもを衣きせ給たまひし主しゆは爾なんぢの血ちより死しに屬ぞくする肉體にくたいを衣きて、人人ひとびとに不死ふしの光くわう榮えいの衣ころもを衣きせ給たまふ。

第八歌頌

イルモス ダニイルは獅子しゝ穴あなに在ありて手てを伸のべて、獅子しゝの口くちを閉とざし、敬虔けいけんの篤あつき少者せうしやは德とくを帶おび、火ひの力ちからを消けして呼よべり、主しゆの悉ことごとくの造物ざうぶつは主しゆを崇あがめ讚ほめよ。

神品しんぴん致ち命者めいしやよ、爾なんぢ等らは種種しゆじゆの肉體にくたいの苦くるしみに付わたされて、凡およそ生命いのちなき諸神しよしんに役えきする者ものの爲ために不ふ朽きうの生命いのちを求もとめ得えたり。彼かれ等らは救すくはれて、常つねに爾なんぢ等らと偕ともに呼よぶ、主しゆの悉ことごとくの造物ざうぶつは主しゆを崇あがめ讚ほめよ。

神品しんぴん致ち命者めいしやよ、爾なんぢ等らは無む形けいなる葡ぶ萄だうの房ふさにして、今いま醫治いやしの酒さけを流ながし、凡およそ信しんを以もつて爾なんぢ等らを讚ほめ揚あぐる者ものの心こゝろを樂たのしませて呼よばしむ、主しゆの悉ことごとくの造物ざうぶつは主しゆを崇あがめ讚ほめよ。

神品しんぴん致ち命者めいしやの柩ひつぎは世せ界かいの爲ために奇き跡せきを流ながして、凶きよう惡あくなる魔ま鬼きの迷まよはす幻像まぼろしを逐おひ、實體じつたいの醫治いやしを與あたへて呼よばしむ、主しゆの悉ことごとくの造物ざうぶつは主しゆを崇あがめ讚ほめよ。

 生神女讚詞

至し淨じやうなる者ものよ、永在えいざいの主しゆは爾なんぢより生うまれて、人ひととして見みられ、二に性せいにして二ふたつの行かう爲ゐ 二ふたつの意旨いしを有たもち給たまへり。我われ等ら信しんを以もつて彼かれに歌うたふ、主しゆの悉ことごとくの造物ざうぶつは主しゆを崇あがめ讚ほめよ。

第九歌頌

イルモス 童貞女どうていぢよよ、手てにて斫きられざる隅石すみいしハリストスは、爾なんぢ斫きられざる山やまより斫きり分わけられて、離はなれたる性せいを合あはせ給たまへり、故ゆゑに我われ等ら樂たのしみて、爾なんぢ生しやう神女しんぢよを崇あがめ歌うたふ。

皆みな來きたりて、聖せいなる神品しんぴん致ち命者めいしやの聖せいにせられし記き憶おくを行おこなひて、屬神ぞくしんの歌うたを以もつて大聲おほごゑに彼かれ等らを尊たふとまん、彼かれ等らは吾わが大仁だいじん慈じなる神かみに我われ等らの爲ために禱いのり給たまへばなり。

爾なんぢ等らは言ことばに慰なぐさめられて、靈たましひの一切いつさいの汚けがれを潔きよめ、苦くるしみに因よりて皮かはの衣ころもを脫ぬぎて、救すくひの美うるはしき衣い服ふくを衣き給たまへり。

人人ひとびとは聖せいなる受難者じゆなんしやの記き憶おくに集あつまりて、勇いさましく苦くるしみを受うけて惡あくの魁かしらを斃たふしし勇敢ゆうかんなる神品しんぴん致ち命者めいしやを歌か頌しようして、恩おん寵ちようを受うく。

 生神女讚詞

萬物ばんぶつを其その手てに持たもち給たまふハリストスを己おのれの手てに抱いだきたる至し淨じやうなる者ものよ、其その爾なんぢの子こたるに因よりて彼かれに祈いのりて、我われを敵てきの惡計あくけいより脫のがれしめて、仁じん慈じの淵ふちに圍かこみて救すくはんことを求もとめ給たまへ。

 光耀歌

今いま最もつとも著いちじるしき日ひは我われ等らに至いたれり、此これ聖せい使徒しとの聖せいにせられし後任者こうにんしや、又また捧神ほうしんなる傳道でんだう師し、及および勝かたれぬ致ち命者めいしやの記き憶おくなり、我われ等ら皆みな信しんを以もつて祈いのりて之これを行おこなはん。

 生神女讚詞

讚さん美びたる少女せうぢよよ、爾なんぢは父ちゝの大おほいなる議事ぎじの使し者しやたるハリストス光くわう榮えいの王わうを生うみ給たまへり、神品しんぴん致ち命者めいしやは彼かれの十じふ字架じかを傳つたへて、諸民しよみんを照てらし、之これに爾なんぢ生しやう神女しんぢよを讚榮さんえいして、爾なんぢの產さんに伏拜ふくはいすることを敎をしへたり。

 「凡そ呼吸ある者」に讚頌スティヒラ、第四調。

聖せいなる傅ふ膏かう及および致ち命めいの血ちに由よりて神かみに近ちかづきし至し榮えいなる神品しんぴん致ち命者めいしやよ、爾なんぢ等らは萬ばん象しやうの花はな、神靈しんれいの華くわ美び、睿えい智ちの峯みね、義ぎの鑒かゞみ、信しんの範のり、完くわん全ぜんなる正せい直ちよく、諸しよ敎けう會くわいの飾かざりなり。二次

受難者じゆなんしやの光くわう榮えい、致ち命者めいしやの装さう飾しよく、神しん智ちなる神品しんぴん致ち命者めいしやよ、爾なんぢ等らは堅かたき信しんを有たもちて、勇いさましく己おのれを種種しゆじゆの苦くるしみに付わたして、桎梏かせと縲絏なはめ、裸ら體たいと獄ひとや、火ひと嚴寒げんかん、無む數すうの傷きず及および死しを忍しのび給たまへり。

光くわう榮えいなる致ち命者めいしやよ、爾なんぢ等らは多た種しゆの苦くるしみに因よりて死しの狀じやうを脫のがして、不ふ朽きうの衣ころもを衣き、今いま天てんに居をりて、常つねに神かみの寶はう座ざの前まへに立たち給たまふ。故ゆゑに我われ等ら信しんを以もつて爾なんぢ等らの至いたりて光くわう明めいなる記き憶おくを祭まつりて、爾なんぢ等らの不ふ朽體きうたいの柩ひつぎに伏拜ふくはいす。

 光榮、第八調。

克肖者こくせうしやよ、爾なんぢ等らは成聖者せいせいしやにして忠ちゆう信しんなる牧ぼく師しと現あらはれ、致ち命者めいしやにしてハリストスの爵しやくを飮のみたり、故ゆゑに兩ふたつながらハリストスの悅よろこびを得えたる者ものとして、今いま光ひかりの中うちに居をりて、天てん上じやうの役者えきしやと偕ともに我われ等ら衆しゆうの爲ために彼かれに祈いのり給たまへ。

 今も、生神女讚詞。

我われ等らは天てん使し首しゆガウリイルの聲こゑに效ならひて言いはん、慶よろこべよ、神かみの母はゝ、世せ界かいの爲ために生命いのちを賜たまふ主しゆハリストスを生うみし者ものや。

 十字架生神女讚詞

無む玷てんなる牝め牛うしは犢こうしが木きの上うへに甘あまんじて釘ていせらるるを見みて、悲かなしみ泣なきて呼よべり、哀かなしい哉かな最愛いとあいすべき子こよ、恩おんを知しらざるエウレイの會くわいは何なにをか爾なんぢに報むくいたる、至し愛あいなる者ものよ、何なんぞ我われを子こなき者ものとして遺のこす。

若し挿句くづけに光榮あらば、其晩課の讚頌スティヒラを誦せよ。

 今も、生神女讚詞、或は十字架生神女讚詞。

 

第十八編 一人の克肖致命者の總奉事

 晩課

「主よ爾に籲ぶ」に讚頌スティヒラ、第六調。

我われ等ら信者しんじやは睿えい智ちなる修齋者しゆさいしやの功勞こうらう及およびハリストスの軍ぐん士しの苦く難なんを職しよくとして讚ほめ揚あげて、主しゆに呼よばん、ハリストス神かみよ、彼かれの祈き禱たうに由よりて我われ等らを凡およその患くわん難なんより救すくひ給たまへ。

克肖こくせうなる神しん父ぷ(某)、勝かたれぬ軍ぐん士し、爾なんぢを讚ほめ揚あぐる者ものの爲ための祈き禱たう者しやよ、爾なんぢ劇はげしき苦くるしみの暴風あらしを經へたる勇敢ゆうかんなる者ものに神かみより大おほいなる平安へいあんは賜たまはりたる。

睿えい智ちにして捧神ほうしんなる致ち命者めいしやよ、爾なんぢは法はふに遵したがひて苦くるしみを忍しのびて、萬有ばんいうの造成主ざうせいしゆ神かみの爲ために宮みやと爲なり、敎けう會くわいの爲ために燈ともしび、克肖者こくせうしやの爲ために飾かざりと爲なり給たまへり。

 光榮、今も、生神女讚詞。

潔いさぎよき生しやう神しん童貞女どうていぢよよ、主しゆに祈いのり給たまへ、彼かれが爾なんぢの祈き禱たうに由よりて我われ等らの靈たましひに諸罪しよざいの赦ゆるしと、平安へいあんと、大おほいなる憐あはれみとを賜たまはん爲ためなり。

 十字架生神女讚詞

純じゆん潔けつなる生しやう神女しんぢよよ、爾なんぢは我われ等らの生命いのちが木きの上うへに懸かゝれるを見みる時とき、母はゝとして哭なきて呼よべり、吾わが子こ吾わが神かみよ、愛あいを以もつて爾なんぢを歌うたふ者ものを救すくひ給たまへ。

若し之あらば、自調。光榮、第五調。

克肖こくせうなる神しん父ぷよ、爾なんぢは己おのれの目めに寐いね、己おのれの瞼まぶたに眠ねむるを容ゆるさずして、靈たましひと體からだとを諸慾しよよくより潔きよめ、己おのれを備そなへて聖神せいしん゜の居處きよしよと爲なすに至いたれり、故ゆゑにハリストスは父ちゝと偕ともに來きたりて、爾なんぢの内うちに住居すまひを爲なし給たまへり。一性いつせいなる三者さんしやの恩おん寵ちようを受うけたる大おほいなる傳道でんだう師し克肖者こくせうしやよ、我われ等らの靈たましひの爲ために祈いのり給たまへ。

 今も、 生神女讚詞

生しやう神しん童貞女どうていぢよよ、我われ等ら信者しんじやは職しよくとして爾なんぢを讚揚さんやうし、爾なんぢを讚榮さんえいす、爾なんぢは我われ等らの靈たましひの爲ために堅けん固ごなる城邑まち、壞やぶられぬ垣かき、有能いうのうの轉達者てんたつしや及および避所かくれがなり。

 十字架生神女讚詞

童貞女どうていぢよ母はゝ、至し福ふくなる少女せうぢよは昔むかし己おのれの羔こひつじが十じふ字架じかに擧あげられしを見みて、哭なきて呼よべり、嗚呼あゝ吾わが子こよ、本性ほんせいの不死ふしなる神かみにして如何いかんぞ死しする。

若し多燭詞ポリエレイを以て祭を行はば、復活の生神女讚詞を誦すべし。

昔むかし紅くれなゐの海うみにて婚姻こんいんを知しらざる聘女よめの象かたち記しるされたり、彼處かしこにはモイセイ、水みづを分わかつ者もの、此處こゝにはガウリイル、奇き跡せきに務つとむる者ものなり、彼かの時ときイズライリは足あしを濡ぬらさずして深處ふかみを步あゆみ、今いま童貞女どうていぢよは種たねなくしてハリストスを生うめり、海うみはイズライリの涉わたりし後のち元もとのまま過とほられず、玷きずなき者ものはエムマヌイルを生うみし後のち元もとのまま玷きずなし、永遠えいゑんにして最いと永遠えいゑんなる者もの人ひととなりて現あらはれし神かみよ、我われ等らを憐あはれみ給たまへ。

 聖入。本日の提綱ポロキメン。致命者の喩言パリミヤ、巻末に載す。

 挿句くづけの讚頌スティヒラ、第一調。

讚さん美びたる(某)よ、爾なんぢの度ど生せいは諸德しよとくを積つむに在ありき、故ゆゑに信者しんじやは爾なんぢの敎をしへに從したがひて、歌うたを以もつて熱切ねつせつにハリストスを崇あがめ讚ほむ、斯この敎をしへの世せ界かいに堅かためられんことを聖神せいしん゜の前まへに立たちて祈いのり給たまへ。

句 聖人せいじんの死しは主しゆの目めの前まへに貴たつとし。

神かみに感かんぜらるる致ち命者めいしや(某)よ、爾なんぢの度ど生せいは地ち上じやうに天てん使しと侔ひとしき者ものと現あらはれ、爾なんぢの表信へうしんは天てん上じやうに馨香けいかうの祭まつり及および芳かうばしき香かう爐ろとして捧さゝげられたり。今いま我われ等らの靈たましひに平安へいあんと大おほいなる憐あはれみとを賜たまはんことを祈いのり給たまへ。

句 神かみを畏おそれ、其その誡いましめを極きはめて愛あいする人ひとは福さいはひなり。

至し榮えいなる(某)よ、爾なんぢは諸慾しよよくに勝かつ者ものと爲なりて、迫害者はくがいしやに勝かてり。福ふくたる者ものよ、爾なんぢは戴たい冠くわん者しやと偕ともに祝いはひて、凡およそ爾なんぢの記き憶おくを行おこなふ者ものを記き念ねんして、今いま我われ等らの靈たましひに平安へいあんと大おほいなる憐あはれみとを賜たまはんことをハリストスに祈いのり給たまへ。

 光榮、第四調。

克肖こくせう致ち命者めいしや(某)よ、爾なんぢは聖神せいしん゜の助たすけに因よりて、勝かたれぬ軍ぐん士しとして、信しんの武器ぶきを以もつて惡敵あくてきに勝かち、無む形けいの暗くらき軍ぐんを滅ほろぼし、法はふに遵したがひて爾なんぢの戰たゝかひを終をへて、衆しゆう受難者じゆなんしや及および克肖者こくせうしやの會くわいと偕ともに榮えい冠くわんを冠かうむり給たまへり。

 今も、生神女讚詞。

ハリストス神かみの母はゝ、萬有ばんいうの造成主ざうせいしゆを生うみし者ものよ、我われ等らを凡およその危き難なんより脫のがれしめ給たまへ、我われ等ら皆みな爾なんぢに呼よばん爲ためなり、我わが靈たましひの惟一ゆゐいちの轉達てんたつよ、慶よろこべ。

 十字架生神女讚詞

至し淨じやうなる者ものは人ひとを愛あいする主しゆハリストスの十じふ字架じかに釘ていせられ、戈ほこにて脅わきの刺ささるるを見みて、哭なきて呼よべり、吾わが子こよ、此これ何なにぞ、恩おんを知しらざる民たみは爾なんぢが彼かれ等らに爲なしし善ぜんに易かへて何なにをか爾なんぢに報むくいたる、至し愛あいなる者ものよ、胡爲なんすれぞ我われを子こなき者ものとして遺のこす、慈じ憐れんなる主しゆよ、我われ爾なんぢが甘あまんじて受うくる釘殺ていさつを奇きとす。

讚詞トロパリは奉事例に据る。若し奉事例になくば、下の讚詞トロパリを誦せよ。第八調。

克肖こくせうなる神しん父ぷ(某)よ、神かみの像ざうに由よる者ものは爾なんぢの内うちに確たしかに救すくはれたり、蓋けだし爾なんぢは十じふ字架じかを任になひてハリストスに從したがひ、過すぎ易やすき者ものたる肉體にくたいを輕かろんじ、不死ふしの者ものたる靈たましひのことに熱ねつ中ちゆうするを行おこなひを以もつて敎をしへたり。故ゆゑに爾なんぢの神しん゜は諸天しよてん使しと偕ともに喜よろこぶ。

 光榮、 今も、生神女讚詞、或は十字架生神女讚詞。

 早課

「主は神なり」に讚詞トロパリ同上。

 第一の「カフィズマ」の後に坐誦讚詞セダレン、第四調。

爾なんぢは地ち上じやうの過すぎ易やすき逸樂いつらくを顧かへりみず、世よの華麗くわれいと暫ざん時じの樂たのしみとを忌いみて、野のに居をることを愛あいせり、此これに由よりて致ち命者めいしや及および修齋者しゆさいしやの會くわいに加くはへらるるを得えたり、爾なんぢの諸僕しよぼくを救すくはんことを彼かれ等らと偕ともに祈いのり給たまへ。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

女宰ぢよさいよ、ヘルワィムの座ざに坐ざし、父ちゝの懷ふところに居をる主しゆは聖せいなる寶はう座ざに於おけるが如ごとく爾なんぢの懷ふところに坐ざし給たまふ、蓋けだし神かみは人體じんたいを取とりて、實じつに萬民ばんみんの上うへに王わうと爲なり給たまへり。我われ等ら今いま思おもひを全まつたうして彼かれを歌うたふ、爾なんぢの諸僕しよぼくの救すくはれんことを彼かれに祈いのり給たまへ。

 第二の「カフィズマ」の後に坐誦讚詞セダレン、第八調。

福ふくたる(某)よ、爾なんぢは齋ものいみを以もつて授洗じゆせんイオアンの風習ならはし及およびフェスワのイリヤの德とくに效ならひて、無む形けいの者ものの如ごとく度ど生せいし、諸天しよてん使しと偕ともに聖三者せいさんしやを讚榮さんえいして、勇いさましく惡あく鬼きの攻擊こうげきに勝かてり、故ゆゑに又また神妙しんめうに受難じゆなんの功こうを立たてて、盛さかんにハリストス神かみの光くわう榮えいを輝かゞやかし給たまへり。彼かれに祈いのりて、愛あいを以もつて爾なんぢの聖せいなる記き憶おくを祭まつる者ものに諸罪しよざいの赦ゆるしを賜たまはんことを求もとめ給たまへ。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

我われ等ら萬族ばんぞくは爾なんぢ童貞女どうていぢよ、女をんなの中うちに獨ひとり種たねなく身みにて神かみを生うみし者ものを讚揚さんやうす、蓋けだし神性しんせいの火ひは爾なんぢの内うちに入いり、爾なんぢは造成者ざうせいしや及および主しゆを幼児をさなごとして乳ちにて養やしなひ給たまへり、故ゆゑに天軍てんぐん及および我われ等ら人類じんるゐは宜よろしきに合かなひて爾なんぢの至し聖せいなる產さんを讚榮さんえいして、同心どうしんに爾なんぢに呼よぶ、ハリストス神かみに祈いのりて、熱切ねつせつに爾なんぢの光くわう榮えいを歌うたふ者ものに諸罪しよざいの赦ゆるしを賜たまはんことを求もとめ給たまへ。

「主の名を讚め揚げよ」の後に附唱。

克肖こくせう致ち命者めいしや(某)、修道しうだう士しの敎けう師し、天てん使等しらの對たい話わ者しやよ、我われ等ら爾なんぢを讚さん美びして、爾なんぢの聖せいなる記き憶おくを尊たふとむ。

 拔萃聖詠

「我切に主を恃みしに、彼我に傾きて。」

 多燭詞ポリエレイの後に坐誦讚詞セダレン、第四調。

福ふくたる(某)よ、爾なんぢは齋ものいみに於おいて鍊達れんたつし、受難じゆなんに於おいて輝かゞやきて、爾なんぢの功勞こうらうを以もつて信者しんじやを照てらし給たまへり、故ゆゑに我われ等ら皆みな同心どうしんに爾なんぢを崇あがめ讚ほむ。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

爾なんぢを賴たのむ者ものの恥はぢを得えざる倚賴たのみ、獨ひとり性せいに超こえて身みにてハリストス我われ等らの神かみを生うみし者ものよ、聖せいなる克肖こくせう致ち命者めいしやと偕ともに彼かれに祈いのりて、世せ界かいに諸罪しよざいの潔淨きよめ、我われ等ら衆しゆうに終をはりの先さきに度ど生せいの更新あらためを賜たまはんことを求もとめ給たまへ。

 品第詞ステペンナ、第四調の第一倡和詞アンティフォン。

 提綱ポロキメン

聖人せいじんの死しは主しゆの目めの前まへに貴たつとし。

句 我われ何なにを以もつて主しゆの我われに施ほどこしし悉ことごとくの恩おんに報むくいん。

「凡そ呼吸ある者」

克肖致命者の福音經、巻末に載す。

 第五十聖詠の後に讚頌スティヒラ、第八調。

克肖こくせうなる神しん父ぷ(某)よ、爾なんぢは神かみの像ざうに從したがひて有たもつ所ところを殘そこなひなく守まもり、ハリストスの敎をしへに從したがひて得えたる所ところを忍耐にんたいを以もつて敵てきに譲ゆづらず、迫害者はくがいしやの恐嚇おどしを畏おそれずして、屬神ぞくしん゜の劍つるぎを以もつて之これを殺ころせり。故ゆゑに克肖こくせうなる受難者じゆなんしやよ、神かみの前まへに勇敢いさみを得えて、爾なんぢを尊たふとむ者ものを凡およその患くわん難なんより救すくひ給たまへ。

 規程カノン、第六調。

第一歌頌

イルモス イズライリは陸くがの如ごとく淵ふちを蹈ふみ渡わたり、追おひ詰つめしファラオンの溺おぼるるを見みて呼よべり、凱歌かちうたを神かみに奉たてまつらん。

克肖こくせうなる受難者じゆなんしやよ、我わが靈たましひを世せ俗ぞくの誘惑いざなひと我われを攻せむる諸慾しよよくより護まもりて、我われに平安へいあんにして爾なんぢの記き憶おくを讚さん美びするを得えしめ給たまへ。

至し福ふくなる克肖者こくせうしや(某)よ、爾なんぢは受難者じゆなんしやとして受難じゆなんの榮えい冠くわんを受うけて、地ちより和わ平へいの世せ界かいに、光ひかり及および眞まことの生命いのちに移うつされたり。

至し尊そんなる克肖こくせう致ち命者めいしやよ、爾なんぢは血ちの流ながれにて苦くるしみの㷔ほのほを滅けし、信者しんじやの靈たましひを濕うるほして、永遠えいゑんの生命いのちの望のぞみを生しやうぜしめ給たまへり。

 生神女讚詞

神かみを容いるる幕まく、容いれ難がたき言ことばを爾なんぢの腹はらに容いれて、之これを生うみし潔いさぎよき者ものよ、我われを攻せむる諸惡しよあくの劇はげしき暴風あらしより我われを援たすけ給たまへ。

第三歌頌

イルモス 爾なんぢが信者しんじやの角つのを髙たかうし、我われ等らを爾なんぢが承認うけとめの石いしに堅かためし仁じん慈じの主しゆ、吾わが神かみよ、爾なんぢと均ひとしく聖せいなるはなし。

至し福ふくなる受難者じゆなんしや、克肖こくせうなる吾わが神しん父ぷよ、爾なんぢは神かみの力ちからに堅かためられて、勇いさましく己おのれを迫害者はくがいしやに付わたして、種種しゆじゆの苦く痛つうと苦く難なんとを忍しのび給たまへり。

勤勞きんらうする者ものの大おほいなる扶ふ助者じよしやハリストスは爾なんぢに能力ちからを與あたへて、迷まよひを破やぶり、妄みだりに誇ほこりて空むなしく騷さわぐ敵てきを辱はづかしむるを得えしめ給たまへり。

克肖こくせうなる大だい受難者じゆなんしや(某)よ、爾なんぢの美うるはしき足あしは苦くるしみの途みちに入いりて、惡敵あくてきの首かうべを碎くだきたり。

 生神女讚詞

我われ等らは昔むかしイアコフが見みたる地ちより天てんの髙たかきに至いたる神聖しんせいなる梯かけはし、及および主宰しゆさいの宮みやたる潔いさぎよきマリヤを歌うたはん。

 坐誦讚詞セダレン、第四調。

福ふくたる(某)よ、爾なんぢは三重みへにして三みつの洗禮せんれいを以もつて洗せんせられたり、此これ水みづと火ひと聖神せいしん゜とを以もつてせしなり、卽すなはち第一だいいちに淚なみだを以もつてし、第だい二にに節制せつせいと、多おほくの功勞こうらうと、天てん使しに侔ひとしき度ど生せいとを以もつてし、第三だいさんに潔いさぎよき羊ひつじとして屠ほふられて、ハリストス吾わが神かみに捧さゝげらるるを以もつてせり。彼かれに絕たえず我われ等らの靈たましひの救すくはれんことを祈いのり給たまへ。

 光榮、今も、生神女讚詞。

生しやう神女しんぢよよ、爾なんぢの聘定者へいていしや及および保護ほご者しやイオシフは爾なんぢの種たねなき降孕はらみに於おいて性せいに超こゆることを見みて驚おどろきしに、思おもひの中うちに羊ひつじの毛けに降くだりし雨あめ、火ひに焚やかれざる棘いばら、芽めを出いだしたるアアロンの杖つゑを納いれて、司し祭さい等らの前まへに證しようして呼よべり、童貞女どうていぢよは生うみて、產さんの後のちに復また童貞女どうていぢよに止とゞまる。

 十字架生神女讚詞

子こよ、爾なんぢが甘あまんじて十じふ字架じかに釘ていせらるる時とき、爾なんぢの苦くるしみの戈ほこにて衆おほくの心こゝろの念おもひは露あらはれ、吾わが靈たましひは刺ささる、誰たれか我われの涕泣ていきふと肉身にくしんの苦く痛つうとを見みん、誰たれか爾なんぢが眞まことの神かみたるを悟さとらん、言ことばよ、我われ爾なんぢの慈じ憐れんを歌うたふ、爾なんぢは此これに由よりて釘殺ていさつを忍しのび給たまふ。

第四歌頌

イルモス 尊たふとき敎けう會くわいは淨きよき心こゝろより主しゆの爲ために祝いはひ、神かみに適かなひて呼よび歌うたふ、ハリストスは吾わが力ちからと神かみと主しゆなり。

至し福ふくなる者ものよ、爾なんぢは神かみの言ことばに堅かためられ、己おのれを害がいなく守まもりて、法はふに遵したがひて齋ものいみし、法はふに遵したがひて苦くるしみを受うけ、法はふに遵したがひて榮えい冠くわんを冠かうむり給たまへり。

克肖者こくせうしやよ、爾なんぢは迷まよひに從したがふに忍しのびずして、睿えい智ち者しやとして喜よろこびて神しん智ちに就つき、無む形けいの光ひかりを受うけて燈ともしびと現あらはれたり。

(某)よ、爾なんぢは甘あまんじて屠ほふられて、聖せいにせられし祭まつりとして爾なんぢの爲ために屠ほふられたる主しゆに獻けんぜられて、天てんに錄しるされたる冢ちよう子しと偕ともに安息あんそくして樂たのしみ給たまふ。

 生神女讚詞

無む玷てんなる者ものよ、爾なんぢは產さんの後のちに產さんの前まへの如ごとく童貞女どうていぢよに止とゞまれり、蓋けだし神かみ言ことば、爾なんぢの轉達てんたつに由よりて我われ等らを朽きう壞くわいより救すくふ主しゆを生うみ給たまへり。

第五歌頌

イルモス 至し仁じんなる神かみの言ことばよ、切せつに祈いのる、爾なんぢに朝あさの祈き禱たうを奉たてまつる者ものの靈たましひを爾なんぢが神かみの光ひかりにて照てらして、爾なんぢ罪つみの暗やみより呼よび出いだす眞まことの神かみを知しらしめ給たまへ。

敵てきは勇敢ゆうかんなる致ち命者めいしやの多おほくの忍耐にんたいの武器ぶきに傷きずつけられ、其その足あしに踐ふまれて、辱はづかしめられて笑わらひと爲なれり。

至し尊そんなる致ち命者めいしやよ、爾なんぢは迫害者はくがいしやの惡謀あくぼうを退しりぞけ、良りやう善ぜん温柔をんじうにして、血ちを流ながして生命いのちを終をへて、不ふ朽きうの榮えい冠くわんに飾かざられたり。

克肖こくせうなる(某)よ、爾なんぢの勤勞きんらうを助たすけ、迫害者はくがいしやに對たいして爾なんぢを堅かため給たまひし我われ等らの惟一ゆゐいちの神かみは致ち命者めいしやの榮えい冠くわんを爾なんぢに冠かうむらせ、修齋者しゆさいしやの尊そん貴きを以もつて爾なんぢを榮えいし給たまへり。

 生神女讚詞

神かみの聘女よめなる童貞女どうていぢよよ、神かみを見みし預よ言者げんしやの會くわいは遠とほくより爾なんぢの神聖しんせいなる產さんの言いひ難がたき奧密あうみつを悟さとりて、聖せいにせられし徵しるしを以もつて爾なんぢを豫よ象しやうせり。

第六歌頌

イルモス 誘惑いざなひの猛風あらしにて浪なみの立たち揚あがる世よの海うみを觀みて、爾なんぢの穩おだやかなる港みなとに著つきて呼よぶ、憐あはれみ深ふかき主しゆよ、我わが生命いのちを淪亾ほろびより救すくひ給たまへ。

聖せいにせられし我わが神しん父ぷよ、爾なんぢは生命いのちを施ほどこす主しゆの手てに導みちびかれて、度ど生せいの水みづを無ぶ難なんに濟わたり、熱切ねつせつなる祈き禱たうを以もつて迫害者はくがいしやの命令めいれいを其中そのうちに溺おぼらし給たまへり。

克肖者こくせうしやよ、爾なんぢは小ちひさき者ものを大おほいなる者ものに易かへて、己おのれを苦くるしみに付わたして、エワを誘いざなひし蛇へびを神しん゜にて殺ころし給たまへり。

(某)よ、爾なんぢを誘いざなはんと欲ほつせし惡謀者あくぼうしやは爾なんぢの言ことばの力ちからを忍しのぶ能あたはずして、殘酷ざんこくに爾なんぢを縲絏なはめと、創傷きずと、苦くるしき死しとに付わたせり。

 生神女讚詞

童貞女どうていぢよ母はゝよ、視みよ、今いま主しゆは言いひ難がたき慈じ憐れんに因よりて爾なんぢの潔いさぎよき血ちより身みを取とり、罪つみの外ほか全まつたく人人ひとびとと侔ひとしくなりて、我われ等らの救すくひを行おこなひ給たまへり。

小讚詞コンダクは奉事例に据る。若し奉事例になくば、下の小讚詞コンダクを誦せよ。第二調。

我われ等らは至し榮えいなる(某)を熱切ねつせつにして熟じゆく練れんしたる修齋者しゆさいしや、敬虔けいけんなる野のの住ぢゆう者しや、甘あまんじて難なんを受うけし尊たふとき致ち命者めいしやとして、歌うたを以もつて宜よろしきに合かなひて讚ほめ揚あげん、彼かれは蛇へびを踐ふみたればなり。

 同讚詞イコス

至し福ふくなる(某)、克肖こくせうなる受難者じゆなんしやよ、爾なんぢは主しゆの苦くるしみに效ならひ、彼かれの爲ために死しして、偶像ぐうざうの虛むなしき迷まよひを滅ほろぼさんことを熱望ねつばうして、勇いさましく諸敵しよてきと戰たゝかひ、彼かれ等らの惡謀あくぼうと惡計あくけいとを破やぶりて、尊敬そんけいの榮えい冠くわんを受うけ給たまへり。故ゆゑに我われ等ら信しんを以もつて爾なんぢの帲幪おほひの下したに趨はしり附つきて、爾なんぢに呼よぶ、見みゆると見みえざるとの敵てきより我われを救すくひ給たまへ、爾なんぢは蛇へびを踐ふみたればなり。

第七歌頌

イルモス 神かみの使つかひは潔いさぎよき少者せうしやの爲ために爐ゐろりに露つゆを出いださしめ、ハルデヤ人じんを焼やく神かみの詔みことのりは苦くるしむる者ものに呼よばしめたり、吾わが先せん祖ぞの神かみよ、爾なんぢは崇あがめ讚ほめらる。

福ふくたる睿えい智ち者しやよ、爾なんぢは肉體にくたいを惜をしまずして、之これを苦くるしみに付わたし、火ひに焚やかれて、少者せうしやの歌うたを歌うたへり、吾わが先せん祖ぞの神かみは崇あがめ讚ほめらる。

克肖者こくせうしやよ、惡あく鬼きは爾なんぢが修齋者しゆさいしや及およびハリストスの致ち命者めいしやたるを知しりて、唯たゞ爾なんぢの名なを呼よぶを以もつて逐おはる、蓋けだし爾なんぢは熱切ねつせつに歌うたふ、吾わが先せん祖ぞの神かみは崇あがめ讚ほめらる。

至し福ふくなる(某)よ、全能者ぜんのうしやの旨むねに因よりて爾なんぢに終をはりは吿つげられたり、故ゆゑに爾なんぢは更さらに大おほいなる齋ものいみに己おのれを委ゆだね、光くわう榮えいより光くわう榮えいに移うつりて、萬有ばんいうの神かみたるハリストスの爲ために殺ころされたり。

 生神女讚詞

至し淨じやうなる童貞女どうていぢよ、我われ怠惰おこたりに耽ふけりたる者ものを起おこして、善行ぜんかうを行おこなはしめ、常つねに我われに抏敵かうてきして、惡あしき思おもひを以もつて我われを誘いざなふ敵てきに對たいして我われを堅かため給たまへ。

第八歌頌

イルモス ハリストスよ、爾なんぢは潔いさぎよき者ものの爲ために㷔ほのほより露つゆを注そゝぎ、義ぎ人じんの祭まつりの爲ために水みづより火ひを出いだせり、爾なんぢは一ひとつの望のぞみにて萬ばん事じを行おこなひ給たまへばなり、我われ等ら爾なんぢを世世よよに讚ほめ揚あぐ。

至し榮えいなる者ものよ、爾なんぢは修齋しゆさいの德とくを備そなへられ、受難じゆなんの傷きずに飾かざられて、勝しよう利りを賜たまふ主しゆの前まへに立たちて、彼かれより勝しよう利りの尊榮そんえいを受うけ給たまへり。

至し榮えいなる(某)よ、爾なんぢは全能者ぜんのうしやを愛あいする愛あいに燃もえて、敵てきの髙たかぶれる首かうべを仆たふし、爾なんぢの熱望ねつばうに由よりて神かみを受うけて、世世よよに己おのれの内うちに居をらしめ給たまふ。

神福しんぷくなる致ち命者めいしや、克肖こくせうなる(某)よ、我われに神かみの慈じ憐れんを得えしめて、爾なんぢを尊たふとみて爾なんぢの帲幪おほひの下したに趨はしり附つく者ものを諸もろもろの誘惑いざなひ及および災禍わざはひより脫のがれしめ給たまへ。

 生神女讚詞

神かみの過とほりし聖せいなる山やまよ、慶よろこべ、聖せいにせられし奧密あうみつの發露あらはれ、畏おそるべき風聲ふうせい、仰あふぎ難がたき顯見けんげんよ、慶よろこべ、陷おちいりし者ものの興起おこしたる童貞女どうていぢよよ、慶よろこべ。

第九歌頌

イルモス 天てん使しの品ひん位ゐすら見みるを得えざる神かみは、人ひと見みる能あたはず、唯たゞ爾なんぢ至し淨じやうの者ものに依よりて人體じんたいを取とりし言ことばは人人ひとびとに現あらはれ給たまへり、我われ等ら彼かれを崇あがめて、天軍てんぐんと偕ともに爾なんぢを讚ほめ揚あぐ。

神しん智ちなる我わが神しん父ぷ(某)よ、爾なんぢは至し極ごくの華麗くわれい及および甘かん味みに至いたり、神かみに近ちかづきて、無む形けいの者ものと偕ともに歌うたふ、聖せい、聖せい、聖せいなる哉かな全功ぜんこう全能ぜんのうの三者さんしやや。

克肖こくせうなる(某)よ、爾なんぢは捕とらふる網あみを逃のがれて、天てんに適かなふ華麗くわれいの中うちに寢ねむりて、致ち命者めいしやの軍ぐんに合あはせられたり、今いま無む形けいの者ものと偕ともに我われ等ら衆しゆうの爲ために祈いのり給たまへ、我われ等らが爾なんぢを讚さん美びせん爲ためなり。

爾なんぢはハリストスの能力ちから及および權けんを恃たのみて、惡あく鬼きの抏敵かうてきに勝かち、上うへなる港みなとに着つきて、美うるはしく飾かざられ、盛さかんに神かみの光ひかりに照てらさる。

 生神女讚詞

母はゝ童貞女どうていぢよよ、我われ等らは爾なんぢの產さんの測はかり難がたき奇き跡せきを悟さとるを得えずして、寗むしろ緘默もだしを以もつて之これを讚榮さんえいし、爾なんぢ女をんなの中うちに獨ひとり純じゆん善ぜん無む玷てんにして至し福ふくなる者ものを歌か頌しようせん。

 光耀歌

克肖こくせうなる(某)よ、爾なんぢは先まづ受難じゆなんに因よりて善よく試こゝろみられ、次つぎに齋ものいみを以もつて神聖しんせいなる程みちを盡つくして、天てんに升のぼりてハリストスの前まへに立たち給たまふ。神しん父ぷよ、熱心ねつしんに爾なんぢを歌うたふ者ものの爲ために祈いのり給たまへ。

 生神女讚詞

言いひ難がたき歡喜よろこびたる主しゆを生うみし至し淨じやうなる童貞女どうていぢよよ、我われ等ら衆しゆう眞まことの恩おん寵ちようたる爾なんぢを尊たふとむ者ものを天てんの歡喜よろこびに與あづからしめ給たまへ、我われ等ら靈たましひを全まつたうして爾なんぢに呼よぶ、祝しゆく讚さんせらるるマリヤよ、爾なんぢの諸僕しよぼくを忘わするる毋なかれ。

 「凡そ呼吸ある者」に讚頌スティヒラ、第六調。

光くわう榮えいなる克肖者こくせうしやよ、爾なんぢは致ち命者めいしやの血ちを以もつて聖せいにせられし衣ころもを赤あけにして、宜よろしきに合かなひて至し聖所せいじよに入いり給たまへり、彼處かしこは言いひ難がたき光ひかりの處ところ、神かみの光くわう榮えいの處ところ、慶けい賀がする者ものの聲こゑのある處ところなり。睿えい智ちなる(某)よ、爾なんぢに致ち命者めいしやの勝しよう利りと萎しぼまざる榮えい冠くわん、永遠えいゑんの光くわう榮えいと樂園らくゑんの居處すまひを賜たまひし主しゆに勇敢いさみを以もつて我われ等らの靈たましひの爲ために祈いのり給たまへ。二次

光くわう榮えいなる受難者じゆなんしや、睿えい智ちなる(某)よ、受難じゆなんの激浪あらなみも、暗くらき獄ひとやの裏うちに爾なんぢを隱かくす永ながき閉鎖とざしも爾なんぢの靈たましひを動うごかさざりき、卽すなはち爾なんぢは神かみに悅よろこばるる受難者じゆなんしやとして、虛妄きよまうの暗やみの内うちに苦くるしむ者ものの中なかに在ありて、彼かれ等らの爲ために光ひかりとして輝かゞやき、彼かれ等らを聖洗せいせんの浴盤よくばんに因よりて、救すくひの產さんを以もつて光ひかりの子こと爲なし給たまへり。

克肖こくせう致ち命者めいしや(某)よ、誰たれか宜よろしきに合かなひて爾なんぢの德とくを顯あらはさん、何いづれの口くちか能よく爾なんぢの受難じゆなんと忍耐にんたいとを言いひ出いださん、蓋けだし爾なんぢは斯この二ふたつを以もつてハリストスの悅よろこびを爲なし給たまへり。今いま多おほくの勇敢いさみを有たもつ彼かれの役者えきしやとして、我われ等らの靈たましひを救すくはんことを祈いのり給たまへ。

 光榮、第二調。

來きたりて、歌うたを以もつてハリストスの受難者じゆなんしやを讚ほめ揚あげん、彼かれは世せ界かいの爲ために美うるはしき百合花ゆり、神かみの樂園らくゑんに開ひらきたる花はな、正敎者せいけうしやの無垢むくなる羊ひつじ、潔けつ淨じやうの模も範はん、信しんの固かため、節制せつせいの光くわう榮えいと現あらはれたり、故ゆゑに彼かれは天國てんこくの不ふ朽きうの榮えい冠くわんを受うけたり。

 今も、生神女讚詞。

神かみの母はゝよ、我わが盡ことごとくの恃たのみを爾なんぢに負おはしむ、我われを爾なんぢの覆おほひの下したに守まもり給たまへ。

 十字架生神女讚詞

潔いさぎよき童貞女どうていぢよよ、爾なんぢは耕作かうさくせられずして胎内たいないに宿やどしし實みのれる葡ぶ萄だうの房ふさが木きの上うへに懸かゝかれるを見みし時とき、哀かなしみて哭なきて呼よべり、吾わが子こよ、慈じ憐れんなる恩おん主しゆとして、我われ爾なんぢを生うみし者ものに緣よりて、甘かん味みを滴したゝらして、其その神聖しんせいなる慰なぐさめを以もつて諸慾しよよくの醉ゑひを盡ことごとく醒さまし給たまへ。

若し挿句くづけに光榮あらば、晩課の、今も、生神女讚詞、或は十字架生神女讚詞を誦せよ。

 

第十九編 二人或は多人の克肖致命者の總奉事

晩課

「主よ爾に籲ぶ」に讚頌スティヒラ、第八調。

克肖者こくせうしやよ、爾なんぢ等らは大おほいに勵はげみて、勇いさましく迫害者はくがいしやの攻擊こうげきを忍しのび、愛あいに緣よりて劍つるぎの下もとに生命いのちを付わたして、致ち命めいの榮えい冠くわんを冠かうむり、宜よろしきに合かなひて諸天しよてん使しと偕ともに歡よろこぶ。爾なんぢ等らの忍耐にんたいは大おほいにして、恩おん賜しは更さらに大おほいなり。我われ等らの靈たましひの爲ために禱いのり給たまへ。

聖せいにして勇敢ゆうかんなる者ものよ、爾なんぢ等らは敬虔けいけんに生いのちを送おくりて、致ち命者めいしやの功勞こうらうを立たてたり、蓋けだし勇いさましく苦くるしみを厭いとはずして、齋ものいみを以もつて體からだを聖せいにし、愛あいを以もつて血ちを流ながせり、此この二ふたつに由よりて爾なんぢ等らの困こん苦くの榮えい冠くわんを冠かうむらん爲ためなり。我われ等らの靈たましひの救すくはれんことを禱いのり給たまへ。

ハリストスの克肖こくせうなる致ち命者めいしやよ、爾なんぢ等らは善よく戰たゝかひ、暫ざん時じの生命いのちを重おもんぜずして、甘あまんじて勇いさましく肉體にくたいの念おもひを踐ふみたり、斯かくハリストスの爲ために生命いのちを終をへて、宜よろしきに合かなひて諸天しよてん使しと共ともに住すまひ給たまふ。故ゆゑに我われ等らは爾なんぢ等らの記き憶おくを尊たふとみて祈いのる、我わが靈たましひが憐あはれみを蒙かうむらんことを主しゆに禱いのり給たまへ。

 光榮、今も、生神女讚詞。

不ふ當たうなる靈たましひよ、爾なんぢは聊いさゝかも痛つう悔くわいに傾かたぶかず、惡者あくしやを待まつ火ひを懼おそれずして、誰たれにか似にる者ものと爲なりたる、起おきて、獨ひとり速すみやかに助たすくる者ものを呼よびて禱いのれ、童貞女どうていぢよ母はゝよ、我われを詭き譎けつの者ものの網あみより脫のがれしめんことを爾なんぢの子こ我われ等らの神かみに禱いのり給たまへ。

 十字架生神女讚詞

牝め羊ひつじは羔こひつじが甘あまんじて十じふ字架じかの木きの上うへに舒のべられしを見みて、母はゝとして哀かなしみ、哭なきて呼よべり、吾わが子こよ、此この驚おどろくべき顯見あらはれは何なにぞ、恒忍ごうにんなる者ものよ、萬ばん衆しゆうに生命いのちを施ほどこし、地ち上じやうの者ものに復ふく活くわつを賜たまふ主しゆにして、如何いかんぞ殺ころさるる、吾わが神かみよ、我われ爾なんぢの大おほいなる寬くわん容ようを讚榮さんえいす。

若し之あらば、自調。光榮、第八調。

克肖こくせうなる諸神しよしん父ぷよ、爾なんぢ等らは天てん使しと等ひとしき生いのちを送おくりて、修齋しゆさいと節制せつせいとを以もつて體からだを制せいし、之これを神しん゜に服ふくせしめて、主しゆの戒いましめを行おこなふ者ものと爲なれり、斯かく始はじめの像ざうの華くわ美びを守まもりて、齋ものいみの勤勞きんらうを修をさめ、苦くるしみの勲功くんこうを立たてて、二に倍ばいの榮えい冠くわんにて飾かざられたり。我われ等らの救すくはれんことを熱切ねつせつに救世主きうせいしゆに禱いのり給たまへ。

 今も、生神女讚詞。

生しやう神しん童貞女どうていぢよよ、爾なんぢの庇廕おほひは屬神ぞくしん゜の醫治いやしなり、我われ等ら之これに趨はしり附つきて、靈たましひの諸しよ病びやうより救すくはるればなり。

 十字架生神女讚詞

主しゆよ、種たねなく爾なんぢを生うみし者ものは爾なんぢの十じふ字架じかの前まへに立たちて、母はゝとして哭なきて云いへり、哀かなしい哉かな吾わが子こ、神靈しんれいの日ひ、目めを照てらす光くわう線せんよ、如何いかんぞ吾わが目めより隱かくれたる、全能者ぜんのうしやよ、起おきて、凡およそ爾なんぢを眞まことの神かみ及および人ひとと承うけ認とむる者ものに爾なんぢの光ひかりを輝かゞやかし給たまへ。

若し多燭詞ポリエレイを以て祭を行はば、復活の生神女讚詞を誦すべし。

天てんの王わうは人ひとを愛あいするに因よりて地ちに現あらはれ、人ひとと偕ともに在いませり、蓋けだし淨きよき童貞女どうていぢよより身みを取とり、人ひとの性せいを有たもちて生うまれし者ものは、二ふたつの性せいにて一ひとつの位くらゐある獨どくいつ子しなり、故ゆゑに我われ等ら彼かれが實じつに全まつたき神かみ及および全まつたき人ひとなるを傳つたへて、ハリストス吾わが神かみを承うけ認みとむ、夫をつとを識しらざる母はゝよ、我わが靈たましひの憐あはれみを蒙かうむらんことを彼かれに祈いのり給たまへ。

 聖入。本日の提綱ポロキメン。克肖者の喩言パリミヤ三篇、巻末に載す。

 挿句くづけの讚頌スティヒラ、第八調。

主しゆよ、爾なんぢの克肖こくせうなる致ち命者めいしやは無む形けい者しやに似にる者ものと爲なりて、祈き禱たうと節制せつせいとを以もつて肉體にくたいの諸慾しよよくを逐おひ、奇き跡せきを以もつて輝かゞやき、衆しゆう人じんの心こゝろを照てらせり。彼かれ等らの祈き禱たうに由よりて爾なんぢの民たみに大おほいなる憐あはれみを與あたへ給たまへ。

句 聖人せいじんの死しは主しゆの目めの前まへに貴たつとし。

克肖こくせうなる致ち命者めいしやは誠實せいじつなる熱心ねつしんを顯あらはして、アリイ及およびネストリイの異い端たんを全まつたく滅ほろぼし、正敎せいけうの者ものの保護ほご者しやと爲なりて、衆しゆう人じんより光くわう榮えいを受うけたり。ハリストスよ、彼かれ等らの祈き禱たうに因よりて爾なんぢの民たみに大おほいなる憐あはれみを與あたへ給たまへ。

句 神かみを畏おそれ、其その誡いましめを極きはめて愛あいする人ひとは福さいはひなり。

克肖こくせうなる致ち命者めいしやよ、爾なんぢ等らは節制せつせいの動うごかざる星ほしと顯あらはれて、修道しうだう者しやの靈たましひを照てらし、惡あく鬼きの幽暗くらやみを逐おひ給たまへり。故ゆゑに逝世せいせいの後のちに讚さん美びせられて、凡およそ爾なんぢの聖せいなる記き憶おくを行おこなふ者ものの救すくはれんことを禱いのり給たまふ。

 光榮、第六調。

ハリストス我わが神かみの克肖こくせうなる致ち命者めいしやよ、爾なんぢ等ら福さいはひなり、爾なんぢ等らは克肖こくせうなり、義ぎを愛あいして恩おん寵ちようを承うけしに因よる、致ち命者めいしやなり、劍つるぎは爾なんぢ等らをハリストスの愛あいより離はなさざりしに因よる、故ゆゑに爾なんぢ等らは喜よろこぶ、天てんには爾なんぢ等らの報賞むくい多おほければなり。

 今も、生神女讚詞。

至し淨じやうなる生しやう神しん童貞女どうていぢよよ、爾なんぢに趨はしり附つく者ものは一ひとりも恥はぢを得えて爾なんぢより出いづるなし、卽すなはち恩おん寵ちようを求もとめて、益えきある求もとめに適かなふ賜たまものを受うく。

 十字架生神女讚詞

ハリストスよ、爾なんぢを生うみし者ものは爾なんぢの釘ていせらるるを見みて呼よべり、吾わが子こよ、我わが見みる所ところの奧密あうみつは何なんぞ驚おどろくべき、生命いのちを賜たまふ主しゆよ、如何いかんぞ身みにて懸かけられて、木きの上うへに死しする。

讚詞トロパリは奉事例に据る。若し奉事例になくば、下の讚詞トロパリを誦せよ。第四調。

我わが先せん祖ぞの神かみ、常つねに爾なんぢの寬くわん容ように由よりて我われ等らに行おこなふ主しゆよ、爾なんぢの仁じん慈じを我われ等らより離はなさずして、彼かれ等らの祈き禱たうに因よりて、我わが生命いのちを平安へいあんに治をさめ給たまへ。

 光榮、 今も、生神女讚詞、或は十字架生神女讚詞。

 早課

「主は神なり」に讚詞トロパリ同上。

 第一の「カフィズマ」の後に坐誦讚詞セダレン、第四調。

爾なんぢ等らは地ち上じやうの過すぎ易やすき逸樂いつらくを顧かへりみず、世よの華麗くわれいと暫ざん時じの樂たのしみとを忌いみて、野のに居をることを愛あいせり、此これに由よりて致ち命者めいしや及および修齋者しゆさいしやの會くわいに加くはへらるるを得えたり、爾なんぢ等らの諸僕しよぼくを救すくはんことを彼かれ等らと偕ともに祈いのり給たまへ。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

女宰ぢよさいよ、ヘルワィムの座ざに坐ざし、父ちゝの懷ふところに居をる主しゆは聖せいなる寶はう座ざに於おけるが如ごとく爾なんぢの懷ふところに坐ざし給たまふ、蓋けだし神かみは人體じんたいを取とりて、實じつに萬民ばんみんの上うへに王わうと爲なり給たまへり。我われ等ら今いま思おもひを全まつたうして彼かれを歌うたふ、爾なんぢの諸僕しよぼくの救すくはれんことを彼かれに祈いのり給たまへ。

 第二の「カフィズマ」の後に坐誦讚詞セダレン、第八調。

福ふくたる(某)よ、爾なんぢ等らは齋ものいみを以もつて授洗じゆせんイオアンの風習ならはし及およびフェスワのイリヤの德とくに效ならひて、無む形けいの者ものの如ごとく度ど生せいし、諸天しよてん使しと偕ともに聖三者せいさんしやを讚榮さんえいして、勇いさましく惡あく鬼きの攻擊こうげきに勝かてり、故ゆゑに又また神妙しんめうに受難じゆなんの功こうを立たてて、盛さかんにハリストス神かみの光くわう榮えいを輝かゞやかし給たまへり。彼かれに祈いのりて、愛あいを以もつて爾なんぢ等らの聖せいなる記き憶おくを祭まつる者ものに諸罪しよざいの赦ゆるしを賜たまはんことを求もとめ給たまへ。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

我われ等ら萬族ばんぞくは爾なんぢ童貞女どうていぢよ、女をんなの中うちに獨ひとり種たねなく身みにて神かみを生うみし者ものを讚揚さんやうす、蓋けだし神性しんせいの火ひは爾なんぢの内うちに入いり、爾なんぢは造成者ざうせいしや及および主しゆを幼児をさなごとして乳ちにて養やしなひ給たまへり、故ゆゑに天軍てんぐん及および我われ等ら人類じんるゐは宜よろしきに合かなひて爾なんぢの至し聖せいなる產さんを讚榮さんえいして、同心どうしんに爾なんぢに呼よぶ、ハリストス神かみに祈いのりて、熱切ねつせつに爾なんぢの光くわう榮えいを歌うたふ者ものに諸罪しよざいの赦ゆるしを賜たまはんことを求もとめ給たまへ。

「主の名を讚め揚げよ」の後に附唱。

克肖こくせうなる諸しよ致ち命者めいしや、修道しうだう士しの敎けう師し、天てん使等しらの對たい話わ者しやよ、我われ等ら爾なんぢ等らを讚さん美びして、爾なんぢ等らの聖せいなる記き憶おくを尊たふとむ。

 拔萃聖詠

「我切に主を恃みしに、彼我に傾きて。」

 多燭詞ポリエレイの後に坐誦讚詞セダレン、第八調。

光くわう明めいなる諸神しよしん父ぷよ、爾なんぢ等らは明あきらかに三者さんしやの光ひかりに輝かゞやかされて、逸樂いつらくの深ふかき暗やみを棄すて、神聖しんせいなる行おこなひを以もつて信者しんじやの心こゝろを照てらす燈ともしびと爲なり、齋ものいみと苦くるしみとを以もつて福ふくたる者ものと現あらはれたり。故ゆゑに我われ等らは今日こんにち爾なんぢ等らの光ひかりを施ほどこす尊そん貴きなる記き憶おくを尊たふとみて、同心どうしんに呼よぶ、神かみを傳つたへし至し榮えいなる者ものよ、愛あいを以もつて爾なんぢ等らの聖せいなる記き憶おくを尊たふとむ者ものに諸罪しよざいの赦ゆるしを賜たまはんことをハリストス神かみに禱いのり給たまへ。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

讚さん美びたる者ものよ、爾なんぢは造物主ざうぶつしゆの純じゆん潔けつなる聘女よめとし、贖しよく罪主ざいしゆの夫をつとに與あづからざる母はゝとし、撫ぶ恤じゆつ者しやを承うくる器うつはとして、我われ自みづから知しりて不ふ法はふの汚けがらはしき居處すまひ及および惡あく鬼きの玩ぐわん弄ろうと爲なりし者ものを速すみやかに其その惡計あくけいより脫のがれしめて、諸德しよとくの光くわう明めいなる居處すまひと爲なし給たまへ。光ひかりを施ほどこす不ふ朽きうなる童貞女どうていぢよよ、我わが慾よくの雲くもを散さんじて、爾なんぢの祈き禱たうを以もつて我われを上うへの晩くれざる光ひかりに與あづからしめ給たまへ。

 品第詞ステペンナ、第四調の第一倡和詞アンティフォン。

 提綱 ポロキメン

聖人せいじんの死しは主しゆの目めの前まへに貴たつとし。

句 我われ何なにを以もつて主しゆの我われに施ほどこしし悉ことごとくの恩おんに報むくいん。

「凡そ呼吸ある者」

克肖致命者の福音經、巻末に載す。

 第五十聖詠の後に讚頌スティヒラ、第四調。

克肖こくせうなる致ち命者めいしやよ、爾なんぢ等らは輝かゞやける光くわう線せんにて己おのれの靈たましひを照てらし、ハリストスを己おのれの心こゝろに有たもちて、諸德しよとくを以もつて地ち上じやうを装さう飾しよくし、晩くれざる日ひの如ごとく異い邦民はうみんを照てらして、致ち命者めいしやの華くわ美びを以もつて我われ等らを飾かざり給たまふ。

 規程カノン、第四調。

第一歌頌

イルモス 古いにしへのイズライリは足あしを濡ぬらさずして海うみの紅くれなゐの淵ふちを渡わたり、野のにてモイセイの十じふ字じ形かたの手てにてアマリクの力ちからに勝かてり。

至し福ふくなる者ものよ、爾なんぢ等らは齋ものいみに由よりて光くわう明めいなる者ものと爲なり、爾なんぢ等らの血ちを流ながすに由よりて神かみの光くわう榮えいを輝かゞやかす燈ともしびと現あらはれたり、故ゆゑにハリストスの修齋者しゆさいしや及および致ち命者めいしやと偕ともに喜よろこび給たまふ。

睿えい智ち者しやよ、爾なんぢ等らは先さきに己おのれの淚なみだの海うみに無む形けいのファラオンを溺おぼらし、後のちに血ちの流ながれの中うちに之これを沈しづめて、淪亾ほろびに付わたし給たまへり。

克肖こくせうなる諸神しよしん父ぷよ、爾なんぢ等らは修齋者しゆさいしやの生命いのちを送おくりて、ハリストスの爲ために屠ほふられたり、我われ等らは致ち命者めいしやを讚ほめ揚あげて、贖しよく罪主ざいしゆ我わが神かみに歌うたはん、彼かれ光くわう榮えいを顯あらはしたればなり。

 生神女讚詞

生しやう神しん童貞女どうていぢよよ、本性ほんせいにて萬有ばんいうの内うちに容いれられぬ主しゆは爾なんぢの内うちに入いり、慈じ憐れんに由よりて地ち上じやうの者ものと爲なり給たまへり、其その言いひ難がたき仁じん慈じに緣よりて地ち上じやうの者ものを救すくはん爲ためなり。

第三歌頌

イルモス ハリストスよ、我われ等らは智慧ちゑと能力ちからと富裕とみとを以もつて誇ほこるにあらず、乃すなはち爾なんぢ、父ちゝと一性いつせいなる智慧ちゑを以もつて誇ほこる、人ひとを愛あいする主しゆよ、爾なんぢの外ほかに聖せいなる者ものなければなり。

福ふくたる者ものよ、爾なんぢ等らは謙けん卑ぴの心こゝろを以もつて神かみの悅よろこびを得え、劍つるぎにて斬きられ仆たふされて、敵てきの髙慢たかぶりを仆たふし給たまへり。

睿えい智ちにして克肖こくせうなる致ち命者めいしやよ、爾なんぢ等らは未み來らいの永生えいせいを仰あふぎて、下しもに引ひく所ところの暫ざん時じなる朽くつべき諸しよ事じを棄すてたり、故ゆゑに讚さん美びせらる。

救世主きうせいしゆよ、捧神者ほうしんしやは爾なんぢの權能けんのうを誇ほこりと爲なして、勇いさましく惡敵あくてきの軍ぐんに勝かち、爾なんぢの爲ために命いのちを致いたして、二に倍ばいの功勞こうらうを顯あらはしし者ものとして榮えい冠くわんを冠かうむれり。

 生神女讚詞

至し聖せいなる神かみの言ことばを生うみし至し淨じやうなる者ものよ、我われ等ら爾なんぢ無む玷てんなる童貞女どうていぢよを讚さん美びする者ものの靈たましひと體からだとを聖せいにし給たまへ。

 坐誦讚詞セダレン、第四調。

克肖こくせうなる者ものよ、爾なんぢ等らは地ち上じやうに旅客りよかく及および寄き寓者ぐうしやと顯あらはれて、野のに幕まくを張はり、熱切ねつせつに勤勞きんらうして、諸德しよとくの衣ころもにて裸ら體たいを飾かざり、ハリストスの苦くるしみに效ならふ者ものと爲なりて、屠殺ほふりを忍しのび給たまへり。

 光榮、今も、生神女讚詞。

我われ等ら罪つみなる賤いやしき者ものは今いま熱心ねつしんにして生しやう神女しんぢよに趨はしり附つき、伏ふし拜をがみ、痛つう悔くわいして心こゝろの底そこより籲よばん、女宰ぢよさいよ、我われ等らを憐あはれみて助たすけよ、我われ等ら多おほくの罪つみの爲ために亾ほろぶるに因よりて速すみやかに至いたり給たまへ、爾なんぢの諸僕しよぼくを空むなしく返かへす勿なかれ、我われ等ら獨ひとり爾なんぢを賴たのみとすればなり。

 十字架生神女讚詞

童貞女どうていぢよ及および牝め羊ひつじは己おのれより種たねなく生うまれし羔こひつじが十じふ字架じかの上うへに戈ほこにて刺さされたるを見みて、哀かなしみの矢やに刺さされ、痛いたく哭なきて呼よべリ、此この新あらたなる奧密あうみつは何なにぞ、獨ひとり生命いのちの主しゆにして如何いかんぞ死しする、求もとむ、復ふく活くわつして、陷おちいりし原げん祖そを起おこし給たまへ。

第四歌頌

イルモス 敎けう會くわいは爾なんぢ義ぎの日ひが十じふ字架じかに擧あげられしを見みて、竝ならび立たちて正たゞしく呼よべり、主しゆよ、光くわう榮えいは爾なんぢの力ちからに歸きす。

至し福ふくなる者ものよ、爾なんぢ等らは肉體にくたいの慾よくに服ふく從じゆうせずして、敵てきを服ふく從じゆうせしめ、劍つるぎにて殺ころされて、共ともに喜よろこびて不死ふしの生命いのちに移うつされたり。

己おのれの旨むねに由よりて節制せつせいを以もつて死しの先さきに己おのれを殺ころしし克肖者こくせうしやよ、爾なんぢ等らは死しの後のちにも生いきんことを信しんじて、不ふ法者はふしやより强しひて劍つるぎを以もつて殘酷ざんこくに殺ころされたり。

諸神しよしん父ぷよ、爾なんぢ等らは不ふ法者はふしやより劍つるぎを以もつて殺ころされて、此この生命いのちより離はなれたれども、出いづる前まへに甚はなはだしき困こん苦くを忍しのびて、已すでに世よの爲ために死し者しやと爲なり給たまへり。

 生神女讚詞

永遠えいゑんの神かみは童貞女どうていぢよより人體じんたいを取とり、新あらたなる嬰児をさなごと現あらはれて、人類じんるゐを新あらたにし給たまふ、我われ等ら彼かれに呼よばん、主しゆよ、光くわう榮えいは爾なんぢの力ちからに歸きす。

第五歌頌

イルモス 我わが主しゆよ、爾なんぢは光ひかり、信しんじて爾なんぢを崇あがめ歌うたふ者ものを闇くらき無智むちより引ひき出いだす聖せいなる光ひかりにして、世せ界かいに來きたり給たまへり。

爾なんぢ等らは美うるはしき樂園らくゑんと現あらはれて、生命いのちの樹きたる主しゆを爾なんぢ等らの中うちに有たもてり、彼かれは爾なんぢ等らの血ちを潔いさぎよき祭まつりとして受うけ給たまへり。

捧神者ほうしんしやよ、爾なんぢ等らは血ちの滴したゝりを淚なみだに交まじへて、其その流ながれの中うちに凶きよう惡あくなる蛇へびを沈しづめ給たまへり。

福ふくたる者ものよ、爾なんぢ等らは神かみの華麗くわれいを見みるを得えて、勤勞きんらう及および困こん苦くに易かへて永遠えいゑんの樂たのしみを受うけ給たまへり。

 生神女讚詞

潔いさぎよき神かみの聘女よめよ、爾なんぢは言ことばと智慧ちゑとに超こえて神かみを生うみ、生うみて後のちにも生うむ前まへの如ごとく童貞女どうていぢよに止とゞまり給たまへり。

第六歌頌

イルモス 憐あはれみに由よりて爾なんぢの脅わきより流ながれし血ちにて惡あく魔まの祭まつりの血ちより淨きよめられし敎けう會くわいは爾なんぢに呼よぶ、主しゆよ、讚揚ほめあげの聲こゑを以もつて爾なんぢを祭まつらん。

爾なんぢ等らは齋ものいみを以もつて世せ情じやうより解とかれ、受難じゆなんの死しを以もつて肉體にくたいより解とかれて、主宰しゆさいの過すぎ去さらぬ華麗くわれいに召めされたり。

爾なんぢ等らは髙かう尙しやうなる度ど生せいを以もつて山やまの如ごとく現あらはれて、諸山しよざんと凡およその造物ざうぶつとを滅ほろぼさんと欲ほつする者ものをハリストスの力ちからに由よりて己おのれの足そく下かに仆たふし給たまへり。

勇敢ゆうかんなる聖神せいしん父等ぷらよ、爾なんぢ等らは節制せつせいと勤勞きんらうとを以もつて肉體にくたいを制せいし、血ちを流ながしてハリストスに捧さゝぐる祭まつりと爲なして、法はふに合かなひて榮えい冠くわんを受うけたり。

 生神女讚詞

童貞女どうていぢよよ、爾なんぢに禱いのる、爾なんぢの眠ねむらざる祈き禱たうを以もつて我わが諸慾しよよくの息やまざる暴風あらしを眠ねむらせ、我われに罪つみの重おもき眠ねむりを以もつて寢いぬるを許ゆるす勿なかれ。

小讚詞コンダクは奉事例に据る。若し奉事例になくば、下の小讚詞コンダクを誦せよ。第二調。

神しん智ちなる克肖こくせう致ち命者めいしやよ、爾なんぢ等らは足あしを濡ぬらさずして多おほくの浪なみを度わたり、爾なんぢ等らの淚なみだの流ながれの中うちに無む形けいの諸敵しよてきを深ふかく沈しづめて、奇き跡せきの恩おん賜しを受うけたり。我われ等ら衆しゆうの爲ために絕たえず禱いのり給たまへ。

 同讚詞イコス

克肖こくせうなる致ち命者めいしやよ、爾なんぢ等らは生いのちを施ほどこす死しの狀じやうを以もつてハリストス神かみの苦くるしみに效ならひて、先さきには善ぜんなる齋ものいみに於おいて、後のちには受難じゆなんに於おいて地ち上じやうに肉體にくたいを殺ころせり、故ゆゑにハリストスは致ち命者めいしや及および克肖者こくせうしやと同族どうぞくなる爾なんぢ等らに二に倍ばいの榮えい冠くわんを冠かうむらせ、爾なんぢ等らの爲ために天てんの居處すまひ、爾なんぢ等らが今いま喜よろこびて樂たのしむ永遠えいゑんの處ところを備そなへたり。求もとむ、我われ等ら衆しゆうの爲ために絕たえず禱いのり給たまへ。

第七歌頌

イルモス アウラアムの少者せうしやはペルシヤの爐ゐろりに在ありて、焔ほのほよりも强つよく敬虔けいけんの愛あいに爇やかれて呼よべり、主しゆよ、爾なんぢが光くわう榮えいの宮みやに於おいて爾なんぢは崇あがめ讚ほめらる。

爾なんぢ等らは諸德しよとくの光くわう線せんを以もつて光ひかり、聖せいにせられし受難じゆなんを以もつて輝かゞやきて、暮くれざる光ひかりに移うつり、晝ひるの子こと爲なり給たまへり。

聖せいなる者ものよ、爾なんぢ等らは甘あまんじて世せ俗ぞくの逸樂いつらくを離はなれ、肉體にくたいを以もつて神妙しんめうに人人ひとびとに現あらはれし主しゆに屬ぞくする者ものと爲なりて、未み來らいの不ふ朽きうなる福樂ふくらくを獲え給たまへり。

捧神ほうしんなる諸神しよしん父ぷに受難者じゆなんしやの程みちを終をへしめて、彼かれ等らを爾なんぢの天てんの國くにに與あづかる者ものと現あらはしし神かみよ、爾なんぢは崇あがめ讚ほめらる。

 生神女讚詞

昔むかし「マンナ」を納いるる壺つぼは爾なんぢ己おのれの腹はらに生いのちを施ほどこす「マンナ」を納いれし者ものを實じつに明あきらかに預よ象しやうせり、至いたりて無む玷てんなる女宰ぢよさいよ、爾なんぢは女をんなの中うちに祝しゆく福ふくせられたり。

第八歌頌

イルモス ダニイルは獅子しゝ穴あなに在ありて手てを伸のべて、獅子しゝの口くちを閉とざし、敬虔けいけんの篤あつき少者せうしやは德とくを帶おび、火ひの力ちからを消けして呼よべり、主しゆの悉ことごとくの造物ざうぶつは主しゆを崇あがめ讚ほめよ。

修齋しゆさいの德とくに飾かざられたる克肖こくせうなる致ち命者めいしやの大おほいなる會くわいは今日こんにち衆しゆうを以もつて彼かれ等らを讚ほめ揚あぐる會くわいと爲なし、且かつ彼かれ等らと偕ともにハリストスを歌うたはしむ、主しゆの悉ことごとくの造物ざうぶつは主しゆを崇あがめ讚ほめよ。

爾なんぢ等らは羔こひつじの如ごとく立たちて、苛虐者くるしめびとの劍つるぎにて斬きられ、屠ほふられし言ことばに完くわん全ぜんなる祭まつりとして獻さゝげられ、冢ちよう子しの居處すまひに現あらはれて歌うたふ、主しゆの悉ことごとくの造物ざうぶつは主しゆを崇あがめ讚ほめよ。

克肖者こくせうしやよ、爾なんぢ等らは體からだと靈たましひとを主しゆに奉たてまつりて、節制せつせいと修齋しゆさいとの功勞こうらうを立たて、血ちの流ながれを以もつて迫害者はくがいしやの惡あくの海うみを涸からして歌うたふ、主しゆの悉ことごとくの造物ざうぶつは主しゆを崇あがめ讚ほめよ。

 生神女讚詞

神かみの恩おん寵ちようを蒙かうむれる潔いさぎよき者ものよ、爾なんぢに緣よりて始はじめの樂園らくゑんは復また開ひらかれ、始はじめに定罪ていざいせられたる人ひとは其中そのうちに入いれられ、實じつに神成しんせいせられて呼よぶ、主しゆの悉ことごとくの造物ざうぶつは主しゆを崇あがめ讚ほめよ。

第九歌頌

イルモス 童貞女どうていぢよよ、手てにて斫きられざる隅石すみいしハリストスは、爾なんぢ斫きられざる山やまより斫きり分わけられて、離はなれたる性せいを合あはせ給たまへり、故ゆゑに我われ等ら樂たのしみて、爾なんぢ生しやう神女しんぢよを崇あがめ歌うたふ。

皆みな來きたりて、聖せいにせられし克肖こくせうなる諸神しよしん父ぷ、敬虔けいけんを以もつて野のに及および洞ほらに居をり、勇敢ゆうかんを以もつて苦くるしみを受うけし者ものを大聲たいせいに讚ほめ揚あげん。

修齋者しゆさいしや受難者じゆなんしやよ、爾なんぢ等らの勤勞きんらうは讚さん美びたる哉かな、爾なんぢ等らの戰たゝかひ、此これを以もつて詭き譎者けつしやを斃たふしし者ものは奇き妙めうなる哉かな、爾なんぢ等らの苦くるしみ、法はふに遵したがひて之これを受うけて、此これに因よりて榮えい冠くわんを冠かうむりし者ものは奇異きいなる哉かな。

爾なんぢ等らの聖せいなる記き憶おくは爾なんぢ等らがハリストスの爲ために盡つくしし勤勞きんらうの光くわう線せんにて輝かゞやき、全能ぜんのうなる聖神せいしん゜の恩おん寵ちように因よりて衆しゆう人じんの心こゝろを照てらす。

 生神女讚詞

至し淨じやうなる女宰ぢよさいよ、ヘルワィム等らは言いひ難がたく彼かれ等らの上うへに坐ざし給たまふ言ことば、萬物ばんぶつより上うへなる主しゆが幼児をさなごとして爾なんぢの母はゝたる手てに抱いだかるるを見みて驚おどろく。

 光耀歌

諸神しよしん父ぷの譽ほまれ、致ち命者めいしやの光くわう榮えいたる奇異きいなる克肖こくせう致ち命者めいしやの大數たいすうの神しん父等ぷらよ、爾なんぢ等らは節制せつせいの勤勞きんらうを以もつて惡あくの魁かしらたる蛇へびを全まつたく殺ころし、終をはりに至いたりて致ち命めいの榮えい冠くわんを受うけ給たまへり。

 生神女讚詞

童貞女どうていぢよよ、爾なんぢの產さんの智慧ちゑに超こゆる至し榮えいなる奇き跡せきは凡およその天てん使しと人人ひとびとの智慧ちゑとを驚おどろかす、爾なんぢは童貞女どうていぢよにして生うみ、生うみて後のち前さきの如ごとく童貞女どうていぢよに止とゞまり給たまへり、嗚呼あゝ神妙しんめうなる奧密あうみつ、嗚呼あゝ奇異きいにして至し榮えいなる產さんや。

 「凡そ呼吸ある者」に讚頌スティヒラ、第四調。

我われ等らは欣よろこばしく睿えい智ちなる致ち命者めいしや、克肖こくせうなる諸神しよしん父ぷを歌うたはん、蓋けだし彼かれ等らはハリストスの命めいに從したがひて、凡およその汚けがらはしき奉ほう事じを廢はいし、聖せいを以もつて敬虔けいけんを以もつて神かみに役えき事じし、勇敢ゆうかんにして迫害者はくがいしやの面前めんぜんに惟一ゆゐいちの神かみ及および主しゆを承うけ認とめて、上うへより榮えい冠くわんを受うけたり。

讚さん美びたる者ものよ、爾なんぢ等らは下しもに引ひく度ど生せいの逸樂いつらくと榮華えいぐわとを暫ざん時じの者ものとして遺すて、ハリストスの華麗くわれいに熱ねつして彼かれに著つき、芳かうばしき花はなの如ごとく榮さかえ、不ふ朽きうの國くにの榮えい冠くわんにて美うるはしく飾かざられたり。

偶像ぐうざうの汚けがらはしき迷まよひを勇いさましく棄すてて、迫害者はくがいしやの無智むちを辱はづかしめし者ものよ、爾なんぢ等らは世よを厭いとひて、世よより上うへなる者ものと現あらはれ、冢ちよう子しの敎けう會くわいに合あはせられて、神かみの前まへに立たちて、諸天しよてん使しと偕ともに絕たえざる歌うたを歌うたふ。

 光榮、第六調。

福ふくたる克肖こくせう致ち命者めいしやよ、爾なんぢ等らは潔けつ淨じやうの衣ころもにて飾かざられ、神聖しんせいなる祈き禱たうにて照てらされ、童貞女どうていぢよより生うまれしハリストスの己おのれの内うちに居をるを有たもちて、此この世よの愛あいに心こゝろを奪うばはれず、肉慾にくよくの逸樂いつらくに己おのれを委ゆだねざりき、乃すなはち勇いさましく火ひの中うちに入いりて、神聖しんせいなる火ひを以もつて暫ざん時じの苦くるしむる火ひを滅けし給たまへり。求もとむ、我われ等らも地ぢ獄ごくの永遠えいゑんの火ひを免まぬかれん爲ために祈いのり給たまへ。

 今も、生神女讚詞。

生しやう神しん童貞女どうていぢよよ、我われ等らは爾なんぢより身みを取とりし者ものの神かみなるを悟さとれり、彼かれに我われ等らの靈たましひの救すくひの爲ために祈いのり給たまへ。

 十字架生神女讚詞

救世主きうせいしゆよ、潔いさぎよき童貞女どうていぢよ爾なんぢの母はゝが至いたりて不ふ法はふなる人人ひとびとの非義ひぎに爾なんぢを木きに釘ていするを見みる時とき、シメオンが預よ言げんせし如ごとく、其その靈たましひは劍つるぎにて刺さされたり。

若し挿句くづけに光榮あらば、晩課の、今も、生神女讚詞、或は十字架生神女讚詞を誦せよ。

 

第二十編 一人の致命女の總奉事

 晩課

「主よ爾に籲ぶ」に讚頌スティヒラ、第四調。

光くわう榮えいなる致ち命女めいぢよ、讚さん美びたる(某)よ、爾なんぢは童貞どうていの華麗くわれい及および致ち命めいの血ちを以もつて爾なんぢの靈たましひを飾かざりて、己おのれを造成主ざうせいしゆに委ゆだね、彼かれに實じつに無む玷てんの者ものとして永遠えいゑんに護まもられ、此これに由よりて天てん使し首しゆ及および天てん使しの軍ぐん、幷ならびに使徒しと、預よ言者げんしや、致ち命者めいしやの會くわいと偕ともに歡よろこびて祝いはふ。

童貞女どうていぢよよ、爾なんぢは刃は輪ぐるまに繫つながれ、猛獸まうじうに裂さかれ、火ひと水みづとに投とうぜられて、聖神せいしん゜に藉よりて爾なんぢの心こゝろを堅けん固ごにし、勇いさましく幽暗くらやみの魁かしらを血ちの流ながれの中うちに沈しづめて、靈れい智ちなる婚筵こんえんの宮みやに升のぼり、受難じゆなんを結納ゆひなうとして爾なんぢの新娶者はなむこに捧さゝげたり。

讚さん美びたる(某)よ、爾なんぢは新娶者はなむこハリストスの血ちに聖せいにせられて、爾なんぢの血ちを以もつて肉體にくたいの衣ころもを飾かざりたり、斯この二ふたつに照てらされて、彼かれの光くわう明めいなる婚筵こんえんの宮みやに入いるを得えたり。彼かれに禱いのりて、信しんを以もつて爾なんぢの最いと尊たふとき記き憶おくを行おこなふ者ものが亾滅ほろびと諸もろもろの禍わざはひより救すくはれんことを求もとめ給たまへ。

 光榮、今も、生神女讚詞。

至し淨じやうなる少女せうぢよよ、我われ爾なんぢを主しゆに眠ねむらざる祈き禱たうを捧さゝぐる者ものとして禱いのる、我わが不ふ當たうなる靈たましひの諸害しよがいを眠ねむらせ、激浪あらなみを鎮しづめ、我わが憂うれふる心こゝろを慰なぐさめ、我われの智慧ちゑに恩おん寵ちようを降くだし給たまへ、我わが宜よろしきに合かなひて爾なんぢを讚榮さんえいせん爲ためなり。

 十字架生神女讚詞

爾なんぢを生うみし牝め羊ひつじは爾なんぢ羔こひつじ及および牧者ぼくしやが木きの上うへに在あるを見みし時とき、哭なきて母はゝとして爾なんぢに謂いへり、至し愛あいなる子こ、恒忍ごうにんなる主しゆよ、如何いかんぞ爾なんぢは十じふ字架じかに懸かけられたる、言ことばよ、如何いかんぞ爾なんぢの手てと足あしとは不ふ法はふの者ものより釘ていせられたる、主宰しゆさいよ、如何いかんぞ爾なんぢの血ちを流ながしたる。

若し之あらば、自調。光榮、第六調。

勝かたれぬ受難女じゆなんぢよ及および致ち命女めいぢよたる童貞女どうていぢよ(某)は諸德しよとくを妝よそほはれ、潔けつ淨じやうの油あぶらと受難じゆなんの血ちとに飾かざられ、欣よろこばしく燈ともしびを執とりて、救世主きうせいしゆの右みぎに立たちて彼かれに呼よべり、ハリストス神かみよ、我われ爾なんぢの香料かうれうの香かを聞ききて趨はしれり、爾なんぢを愛あいする愛あいに刺さされたればなり、天てんの新娶者はなむこよ、我われを退しりぞくる勿なかれと。全能ぜんのうの救世主きうせいしゆよ、彼かれの祈き禱たうに由よりて爾なんぢの仁じん慈じを我われ等らに被かうむらせ給たまへ。

 今も、 生神女讚詞

至し淨じやうなる生しやう神しん童貞女どうていぢよよ、爾なんぢに趨はしり附つく者ものは一ひとりも恥はぢを得えて爾なんぢより出いづるなし、卽すなはち恩おん寵ちようを求もとめて、益えきある求もとめに適かなふ賜たまものを受うく。

 十字架生神女讚詞

至し淨じやうなる者ものは爾なんぢが十じふ字架じかに懸かゝれるを見みて、母はゝとして哭なきて呼よべり、吾わが子こ及および吾わが神かみ、吾わが甘愛かんあいなる產さんよ、如何いかんぞ爾なんぢは恥はづべき苦くるしみを忍しのぶ。

若し多燭詞ポリエレイを以て祭を行はば、復活の生神女讚詞第六調を誦すべし。

至し聖せいなる童貞女どうていぢよよ、誰たれか爾なんぢを讚さん美びせざらん、誰たれか爾なんぢの至いたりて淨きよき產さんを歌うたはざらん、世よの無なき先さきに父ちゝより光ひかる獨生どくせいの子こは爾なんぢ淨きよき者ものより言いひ難がたく身みを取とりて出いで、本性ほんせいの神かみは我われ等らの爲ために本性ほんせいの人ひとと爲なれり、其その位くらゐ一ひとつにして相分あひわかれず、其その性せい二ふたつにして相あひ失うしなはず、淨きよくして至いたりて福さいはひなる者ものよ、我わが靈たましひの憐あはれみを蒙かうむらんことを彼かれに禱いのり給たまへ。

 聖入。本日の提綱ポロキメン。致命者の喩言パリミヤ三篇、巻末に載す。

 挿句くづけの讚頌スティヒラ、第四調。

神しん智ちにして光くわう榮えいなる致ち命女めいぢよよ、爾なんぢは雄雄をゝしき心こゝろを以もつて迫害者はくがいしやの驕おごり、强きやう暴ばう者しやの殘酷ざんこくに抗敵かうてきせり、世世よよに過すぎ去さらぬ將しやう來らいの福ふくの樂たのしみを預よ見けんしたればなり、爾なんぢは地ちより天てんの宮みやに移うつり、凱旋がいせんの會くわいに加くははりて、之これを獲え給たまへり。

句 神かみよ、爾なんぢは爾なんぢの聖所せいじよに於おいて嚴おごそかなり。

福ふくたる者ものよ、爾なんぢは己おのれの新娶者はなむこたるハリストスの言いひ難がたき華麗くわれいと其國そのくにの榮華えいぐわとを觀みるに勝たふる者ものと爲なり、爾なんぢの勇いさましき苦くるしみの傷きずに飾かざられて、宜よろしきに合かなひて福ふくの泉いづみに近ちかづきたり、此これに由よりて豐ゆたかに神聖しんせいなる樂たのしみと不死ふしの光くわう榮えいとを獲え給たまへり。

句 イズライリの源みなもとより出いづる者ものよ、敎けう會くわいに於おいて主しゆ神かみを崇あがめ讚ほめよ。

至し榮えいなる者ものよ、畏おそるべき恐嚇おどしも、婦女をんなの弱よわきも、飢うゑも、傷きずも、爾なんぢが致ち命者めいしやの勇敢ゆうかんに效ならふを妨さまたげざりき、爾なんぢは熱切ねつせつなる心こゝろを以もつて種種しゆじゆの苦くるしみを忍しのび給たまへり、此これに由よりて天てんの宮みやに入いり、恩おん寵ちようの冠かんむりに飾かざられて、爾なんぢの造成主ざうせいしゆの前まへに立たち給たまふ。

 光榮、第五調。

多おほくの苦くるしみを忍しのびたる尊たふとき致ち命女めいぢよ(某)よ、光くわう榮えいの王わうハリストスは爾なんぢの童貞どうていの華くわ美びを慕したひて、爾なんぢを無む玷てんなる新婦はなよめとして己おのれに聘定へいていせり、蓋けだし己おのれの旨むねを以もつて爾なんぢの德とくに力ちからを與あたへ、爾なんぢを諸敵しよてきと苦く難なんとに勝かたれぬ者ものと爲なし、傷いたましき創痍きずと殘酷ざんこくなる苦くるしみとを忍しのびたる爾なんぢに二に倍ばいの榮えい冠くわんを冠かうむらせて、爾なんぢを妝よそほはれたる女王によわうとして己おのれの右みぎに立たて給たまへり。彼かれに禱いのりて、爾なんぢを歌うたふ者ものに救すくひと、生命いのちと、大おほいなる憐あはれみとを賜たまはんことを求もとめ給たまへ。

 今も、生神女讚詞。

生しやう神しん童貞女どうていぢよよ、我われ等ら信者しんじやは爾なんぢを讚さん美びし、職しよくとして爾なんぢ動うごかされぬ城邑まち、壞やぶられぬ垣墻かき、我われ等らの靈たましひの堅けん固ごなる轉達者てんたつしや及および避所かくれがを讚榮さんえいす。

 十字架生神女讚詞

昔むかし至し福ふくなる童貞女どうていぢよは己おのれの羔こひつじの十じふ字架じかに擧あげられしを見みて、哭なきて呼よべり、嗚呼あゝ吾わが子こよ、如何いかんぞ爾なんぢは本性ほんせいの不死ふしなる神かみにして死しする。

讚詞トロパリは奉事例に据る。若し奉事例になくば、下の讚詞トロパリを誦せよ。第四調。

イイススよ、爾なんぢの牝め羊ひつじ(某)は大おほいなる聲こゑを以もつて呼よぶ、吾わが新娶者はなむこよ、我われ爾なんぢを愛あいし、爾なんぢを尋たづねて苦くるしみ、爾なんぢと偕ともに十じふ字架じかに釘ていせられ、死しに於おける洗せんを以もつて爾なんぢと偕ともに葬はうむられ、爾なんぢの爲ために難なんを受うく、爾なんぢに緣よりて王わうたらん爲ためなり、爾なんぢの爲ために死しす、爾なんぢと偕ともに生いきん爲ためなり、求もとむ、愛あいを以もつて爾なんぢの爲ために屠ほふられし我われを無む玷てんなる祭まつりとして享うけ給たまへと。彼かれの祈き禱たうに因よりて、仁じん慈じなる主しゆとして我われ等らの靈たましひを救すくひ給たまへ。

 光榮、 今も、生神女讚詞、或は十字架生神女讚詞。

 早課

「主は神なり」に讚詞トロパリ同上。

 第一の「カフィズマ」の後に坐誦讚詞セダレン、第五調。

神しん智ちなる尊たふとき致ち命女めいぢよ(某)よ、爾なんぢは敬虔けいけんを以もつて全能者ぜんのうしやに服ふく從じゆうして、不ふ虔けんなる迫害者はくがいしやに服ふく從じゆうせず、獄ひとやに閉とざさるることと劇はげしき苦くるしみとを勇いさましく忍耐にんたいして、神かみに移うつり給たまへり。爾なんぢの記き憶おくを行おこなふ我われ等らの爲ために禱いのり給たまへ。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

爾なんぢに趨はしり附つく者ものの熱切ねつせつにして勝かたれぬ轉達者てんたつしや、堅けん固ごにして恥はぢを得えざる恃賴たのみ、垣墻かきと帲幪おほひと湊みなとなる潔いさぎよき永貞えいてい童女どうぢよよ、諸天しよてん使しと偕ともに爾なんぢの子こ及および神かみに祈いのりて、世せ界かいに平安へいあんと救すくひと大おほいなる憐あはれみとを賜たまはんことを求もとめ給たまへ。

 第二の「カフィズマ」の後に坐誦讚詞セダレン、第一調。

尊そん貴きなる(某)よ、爾なんぢは聖神せいしん゜の露つゆを以もつて苦くるしみの火ひを滅けして、神聖しんせいなる無む形けいの光ひかりに移うつり、爾なんぢの福ふくたる逝世せいせいの後のちに醫治いやしの流ながれを注そゝぎて、屬神ぞくしん゜の力ちからを以もつて諸慾しよよくの燃もゆるを遏とゞめ給たまふ。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

生しやう神女しんぢよよ、爾なんぢの諸僕しよぼくの禱いのりを納いれて、我われ等らを凡およその患くわん難なんより救すくひ給たまへ、爾なんぢはハリストス救世主きうせいしゆ、我わが靈たましひの贖しよく罪主ざいしゆを生うみたればなり。

「主の名を讚め揚げよ」の後に附唱。

ハリストスの致ち命女めいぢよ(某)よ、我われ等ら爾なんぢを讚揚さんやうして、爾なんぢがハリストスの爲ために忍しのびし尊そん貴きなる苦くるしみを尊たふとむ。

 拔萃聖詠

「神は我等の避所なり、能力なり。」

 多燭詞ポリエレイの後に坐誦讚詞セダレン、第四調。

自じ由いうにハリストスに來きたり、諸德しよとくを以もつて心こゝろを飾かざりたる(某)を我われ等ら信者しんじやの大數たいすうは宜よろしきに合かなひて歌うたはん、蓋けだし彼かれは迫害者はくがいしやの强きやう暴ばうを辱はづかしめて、不ふ法はふの者ものの中うちに日ひの如ごとく輝かゞやき、逝世せいせいの後のちに地ち上じやうの者ものの爲ために神聖しんせいなる國くに及および力ちからと現あらはれたり。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

天てん使しの福音ふくいんに因よりて爾なんぢの胎内たいないに言ことばを受うけて、身みを取とり給たまひし神かみエムマヌイルを生うみたる生しやう神女しんぢよよ、我われ等らの靈たましひの爲ために禱いのり給たまへ。

 品第詞ステペンナ、第四調の第一倡和詞アンティフォン。

 提綱ポロキメン

神かみよ、爾なんぢは爾なんぢの聖所せいしよに於おいて嚴おごそかなり。

句 イズライリの源みなもとより出いづる者ものよ、敎けう會くわいに於おいて主しゆ神かみを崇あがめ讚ほめよ。

「凡そ呼吸ある者」

致命女の福音經、巻末に載す。

 第五十聖詠の後に讚頌スティヒラ、第六調。卽「主よ爾に籲ぶ」の光榮。

至し淨じやうなる少女せうぢよよ、我われ爾なんぢを主しゆに眠ねむらざる祈き禱たうを捧さゝぐる者ものとして禱いのる、我わが不ふ當たうなる靈たましひの諸害しよがいを眠ねむらせ、激浪あらなみを鎮しづめ、我わが憂うれふる心こゝろを慰なぐさめ、我われの智慧ちゑに恩おん寵ちようを降くだし給たまへ、我わが宜よろしきに合かなひて爾なんぢを讚榮さんえいせん爲ためなり。

 規程カノン、第八調。

第一歌頌

イルモス 我われ等ら其民そのたみをして紅くれなゐの海うみを過とほらせし主しゆに歌うたはん、彼かれ獨ひとり嚴おごそかに光くわう榮えいを顯あらはしたればなり。

讚さん美びたる少女せうぢよは奇き跡せきを以もつて天てん上じやうの軍ぐんと地ち上じやうの會くわいとに彼かれを歌か頌しようすることを勸すゝむ。

讚さん美びたる者ものよ、萬有ばんいうの主宰しゆさいは爾なんぢの最いと美うるはしき心こゝろの華麗くわれいを慕したひて、爾なんぢに天てん上じやうの宮みやに入いるを得えしめ給たまへり。

致ち命女めいぢよよ、爾なんぢは畏おそるるなく己おのれを多た種しゆの創痍きずと、痛傷いたみと、苦くるしみとに付わたせり、爾なんぢを助たすけて堅かたむる救世主きうせいしゆの恩おん寵ちようを有たもちたればなり。

 生神女讚詞

至し淨じやうなる生しやう神女しんぢよよ、我われ等らは爾なんぢ身みを取とりし永在えいざいの神かみの言ことばを性せいに超こえて生うみ給たまひし者ものを歌うたふ。

第三歌頌

イルモス 主しゆよ、爾なんぢは爾なんぢに趨はしり附つく者ものの固かため、爾なんぢは昧くらまされし者ものの光ひかりなり、我わが神しん゜は爾なんぢを歌うたふ。

讚さん美びたる者ものよ、爾なんぢは勇敢ゆうかんなる靈たましひを有たもち、裁判所さいばんじよに現あらはれて、敵てきを勇敢ゆうかんなき者ものとして之これに勝かち給たまへり。

爾なんぢの華くわ美びの内うちに玷きずなく、爾なんぢの靈たましひの内うちに汚けがれなきに由よりて、ハリストスは爾なんぢを新婦はなよめとして、不ふ朽きうなる宮みやに入いれ給たまへり。

ハリストスの讚さん美びたる致ち命女めいぢよ(某)よ、爾なんぢの祈き禱たうを以もつて吾わが靈たましひの傷きずを醫いやし、我わが生命いのちの暴風あらしを鎮しづめ給たまへ。

 生神女讚詞

聘女よめならぬ聘女よめよ、我われ等ら衆しゆう「ハリスティアニン」は爾なんぢを我わが避所かくれが及および垣墻かきとして獲えて、黙もだすなく爾なんぢを讚さん頌しようす。

 坐誦讚詞セダレン、第八調。

ハリストスの讚さん美びたる致ち命女めいぢよよ、爾なんぢの血ちの流ながれは不ふ虔者けんしやを溺おぼらす洪水こうずゐと爲なり、爾なんぢは恩おん寵ちようの雨あめを以もつて常つねに靈れい智ちの田たを濕うるほして、其内そのうちに信しんの穗ほを生せい長ちやうせしめ、死しの後のちにも爾なんぢは神妙しんめうに生命いのちを養やしなふ雨雲あまぐもと顯あらはれ給たまへり。讚さん美びたる受難女じゆなんぢよ(某)よ、愛あいを以もつて爾なんぢの聖せいなる記き憶おくを尊たふとむ者ものに諸罪しよざいの赦ゆるしを賜たまはんことをハリストス神かみに禱いのり給たまへ。

 光榮、今も、生神女讚詞。

我われ等ら萬族ばんぞくは爾なんぢ童貞女どうていぢよ、女をんなの中うちに獨ひとり種たねなく身みにて神かみを生うみし者ものを讚揚さんやうす、蓋けだし神性しんせいの火ひは爾なんぢの内うちに入いり、爾なんぢは造成者ざうせいしや及および主しゆを幼児をさなごとして乳ちにて養やしなひ給たまへり、故ゆゑに天軍てんぐん及および我われ等ら人類じんるゐは宜よろしきに合かなひて爾なんぢの至し聖せいなる產さんを讚榮さんえいして、同心どうしんに爾なんぢに呼よぶ、ハリストス神かみに祈いのりて、熱切ねつせつに爾なんぢの光くわう榮えいを歌うたふ者ものに諸罪しよざいの赦ゆるしを賜たまはんことを求もとめ給たまへ。

 十字架生神女讚詞

牝め羊ひつじは羔こひつじ、牧者ぼくしや、及および贖しよく罪主ざいしゆの十じふ字架じかに在あるを見みて、哀かなしみて呼よび、痛いたく哭なきて言いへり、爾なんぢに緣よりて贖しよく罪ざいを受うくる世せ界かいは喜よろこび、吾わが心こゝろは爾なんぢの大おほいなる仁じん慈じに由よりて忍しのぶ所ところの十じふ字架じかの苦くるしみを見みて燬やかる。恒忍ごうにんなる主しゆ、仁じん慈じの淵ふち、及および汲くみ盡つくされぬ泉いづみよ、慈じ憐れんを垂たれて、信しんを以もつて爾なんぢの神聖しんせいなる苦くるしみを歌うたふ者ものに諸罪しよざいの赦ゆるしを與あたへ給たまへ。

第四歌頌

イルモス 主しゆよ、我われ爾なんぢが攝せつ理りの祕ひ密みつを聆きき、爾なんぢの作爲しわざを悟さとり、爾なんぢの神性しんせいを讚榮さんえいせり。

致ち命女めいぢよよ、爾なんぢは己おのれを神かみの睿えい智ちの無む玷てんなる鏡かゞみと爲なして、受難女じゆなんぢよの間あひだに金色こんじきの燈ともしびとして耀かゞやき給たまへり。

勝かたれぬ致ち命女めいぢよ(某)よ、爾なんぢは闇黑あんこくなる惡あく鬼きに祭まつりを捧さゝげざりき、敬虔けいけんの爲ために生いのちを施ほどこす死しを受うけんことを肯がへんじたればなり。

無む玷てんなる者ものよ、爾なんぢは他たの致ち命者めいしやと同おなじく痛傷いたみに與あづからざるが如ごとき身みを有たもちて、神かみを愛あいするの熱あつきに由よりて創痍きずを感かんぜざる者ものと止とゞまれり。

 生神女讚詞

神かみよ、爾なんぢ獨ひとり罪つみなき者ものとして、爾なんぢを生うみし者ものの祈き禱たうに因よりて、我われ等らの諸罪しよざいを潔きよめ、爾なんぢの世せ界かいを平安へいあんならしめ給たまへ。

第五歌頌

イルモス 主しゆよ、我われ等ら夙つとに興おきて爾なんぢに籲よぶ、我われ等らを救すくひ給たまへ、爾なんぢは我われ等らの神かみなればなり、爾なんぢの外ほか他たの神かみを知しらず。

爾なんぢは光ひかりと世よとの相あひ敵てきするを見みて、世よの君きみたる惡あく鬼きを愛あいする欲ほつせざりき。

致ち命女めいぢよ(某)よ、至いたりて凶きよう惡あくなる者ものは惡計あくけいを以もつて爾なんぢの神聖しんせいなる力ちからを弱よわめんと謀はかりて、哂わらひと爲なれり。

讚さん美びたる者ものよ、爾なんぢの祈き禱たうを以もつて我われに光くわう照せうと平安へいあんとを與あたへて、我わが甚はなはだしく亂みだれたる心こゝろを治をさめ給たまへ。

 生神女讚詞

生しやう神女しんぢよよ、我われ等らは爾なんぢを產さんの後のちに童貞女どうていぢよと歌うたふ、爾なんぢは身みにて世せ界かいの爲ために神かみを生うみたればなり。

第六歌頌

イルモス 光ひかりを衣ころもの如ごとく衣きる慈じ憐れんの深ふかきハリストス我わが神かみよ、我われに光くわう明めいの衣ころもを予あたへ給たまへ。

光くわう榮えいなる者ものよ、爾なんぢは女をんなの身みの中うちに靈たましひの雄雄をゝしき思おもひを有たもちて、猛獸まうじうと諸もろもろの苦くるしみとを意いとせざりき。

勝かたれぬ致ち命女めいぢよよ、爾なんぢは害がいせられずして、迫害者はくがいしやの髙慢たかぶりに勝かちて、勝しよう利りの榮えい冠くわんを受うけ給たまへり。

至し榮えいなる者ものよ、新娶者はなむこたる主しゆは爾なんぢを德行とくかうの者もの、華麗くわれいの者もの、尊そん貴きの者もの、童貞どうていの光ひかりに輝かゞやく者ものとして、己おのれの許もとに攜たづさへ給たまへり。

 生神女讚詞

獨ひとり福音ふくいんの言ことばに緣よりて言ことばを身みにて生うみし者ものよ、祈いのる、我われ等らの靈たましひを敵てきの網あみより脫のがれしめ給たまへ。

小讚詞コンダクは奉事例に据る。若し奉事例になくば、下の小讚詞コンダクを誦せよ。第二調。

髙名かうめいなる童貞女どうていぢよ致ち命女めいぢよ(某)よ、我われ等ら衆しゆう信者しんじやは爾なんぢの至し尊そんなる堂だうを靈たましひを醫いやす處ところとして獲えて、大聲おほごゑを以もつて爾なんぢに呼よぶ、ハリストス神かみに絕たえず我われ等ら衆しゆうの爲ために禱いのり給たまへ。

 同讚詞イコス

我われ等ら集あつまりて、致ち命めいを以もつてハリストスの新婦はなよめと爲なりし(某)を宜よろしきに合かなひて尊たふとまん、彼かれの祈き禱たうに因よりて、靈たましひを害がいする諸しよ事じ、及および疫えき病びやう、地ぢ震しん、水難すゐなん、火難くわなん等とうの禍わざはひを免まぬかれ、平安へいあんに生いのちを送おくりて、古こ世せいより神かみの悅よろこびを得えたる諸聖人しよせいじんと偕ともに光ひかりの中うちを行ゆき、且かつ彼かれ等らと偕ともに歌うたひて、救世主きうせいしゆよ、爾なんぢは凡およそ信しんを以もつて彼かれを讚ほめ揚あぐる人人ひとびとの上うへに爾なんぢの仁じん慈じを奇き妙めうに顯あらはせりと唱となふるを得えん爲ためなり。故ゆゑに我われ等ら彼かれに呼よぶ、絕たえず我われ等ら衆しゆうの爲ために禱いのり給たまへ。

第七歌頌

イルモス 昔むかしワワィロンに於おいてイウデヤより來きたりし少者せうしやは、聖三せいさんの信しんを以もつて、爐ゐろりの㷔ほのほを蹈ふみて歌うたへり、先せん祖ぞの神かみよ、爾なんぢは崇あがめ讚ほめらる。

神聖しんせいなる致ち命者めいしやの智慧ちゑに超こゆる勇ゆう氣きは現あらはれたり、蓋けだし萬有ばんいうの造成主ざうせいしゆは、苦くるしみの中うちに、我わが先せん祖ぞの神かみよ、爾なんぢは崇あがめ讚ほめらると呼よぶ者ものに造物ざうぶつを服ふくせしむ。

髙名かうめいなる少女せうぢよは聖神せいしん゜に因よりて迫害者はくがいしやの空言くうげんの口くちを塞ふさぎ、至いたりて不ふ法はふなる者ものの驕おごりを仆たふして、敬虔けいけんに歌うたへり、我わが先せん祖ぞの神かみよ、爾なんぢは崇あがめ讚ほめらる。

昔むかし克肖こくせうなる三人みたりの少者せうしやは爐ゐろりを燃もやしし諸僕しよぼくを焚やきたり、今いま神しん智ちなる者ものは三者さんしやを歌うたひ諸僕しよぼくを捕とらへて、先せん祖ぞの神かみを歌うたはしめたり、神かみよ、爾なんぢは崇あがめ讚ほめらる。

 生神女讚詞

救世主きうせいしゆよ、爾なんぢは我われ等らの救すくひを行おこなはんと欲ほつして童貞女どうていぢよの胎内たいないに入いり、之これを世せ界かいの轉達者てんたつしやと爲なし給たまへり、我わが先せん祖ぞの神かみよ、爾なんぢは崇あがめ讚ほめらる。

第八歌頌

イルモス 天てん使しの軍ぐんの歌うたふ所ところの天てんの王わうを崇あがめて、萬世ばんせいに讚ほめ揚あげよ。

女をんなの中うちに至し福ふくなる者ものは至し上じやう者しやより報賞むくいの恩おん寵ちようを蒙かうむりて、ハリストスを萬世ばんせいに歌うたひて崇あがめ讚ほむ。

爾なんぢは新郎はなむこに於おける思おもひにて堅かためられ、熱切ねつせつに肉體にくたいを死しに付わたして、萬世ばんせいに生いき給たまふ。

新郎はなむこは奧密あうみつに至し淨じやうなる新婦はなよめに爐ゐろりの中うちに來きたりて、父ちゝの惠めぐみに因よりて聖神せいしん゜の露つゆを以もつて彼かれを救すくひて、世世よよにハリストスを歌うたはしむ。

 生神女讚詞

童貞女どうていぢよよ、爾なんぢに助たすけを求もとめて、爾なんぢを世世よよに歌うたひて讚ほめ揚あぐる者ものを棄すつる勿なかれ。

第九歌頌

イルモス 爾なんぢ至し上じやうの神かみの婚姻こんいんに與あづからざる母はゝ、爾なんぢ智慧ちゑに超こえて言ことばに因よりて眞まことの神かみを生うみし者もの、至し淨じやうなる軍ぐんより髙たかき者ものを、我われ等ら默もださざる讚さん美びを以もつて崇あがめ讚ほむ。

讚さん美びたる致ち命女めいぢよよ、活いける血ちの流ながるるは上うへより爾なんぢに賜たまはりたる不ふ朽きうの生命いのちの徵しるしなり、蓋けだし爾なんぢは汲くむ者ものの爲ために醫治いやしの盡つきざる泉いづみと現あらはれたり。

神しん智ちなる者ものよ、死しが性せいの法はふに由よりて爾なんぢに觸ふれたるに、爾なんぢは生いのちを施ほどこす死しの狀じやうを衣き、爾なんぢの最いと尊たふとき身みを脫ぬぎて、不ふ朽きうに活いき給たまふ。

髙名かうめいなる(某)よ、我われ等ら皆みな爾なんぢを衆しゆうを照てらす日ひの光くわう線せんとし、ハリストスの至いたりて美うるはしき新婦はなよめとし、潔けつ淨じやうを愛あいする班鳩やまばととし、實みの繁しげき橄欖樹かんらんじゆとし、香かうばしき杉すぎとし、選えらばれたる鴿はととして讚ほめ揚あぐ。

 生神女讚詞

婚姻こんいんに與あづからざる聘女よめ、香料かうれうの器うつは、天てんの雨あめを降ふらす神聖しんせいなる輝かゞやける雲くもを胎内たいないに承うけし至いたりて潔いさぎよき童貞女どうていぢよ、眞まことの神かみの母はゝよ、我われ等ら爾なんぢを崇あがめ讚ほむ。

 光耀歌

(某)よ、爾なんぢは諸德しよとくを以もつて新婦はなよめの如ごとく飾かざられ、受難じゆなんを以もつて新郎はなむこに聘定へいていせられ、選えらばれたる者ものとして、童貞どうていの燈ともしびを執とり、光くわう明めいなる宮みやの中うちに入いりて、今いま輝かゞやきて、世世よよに存在そんざいする主しゆと偕ともに王わうたり。

 生神女讚詞

嗚呼あゝ至し淨じやうなる童貞女どうていぢよよ、我われ等ら衆しゆう罪つみなる者ものは爾なんぢを轉達てんたつとして有たもつ、爾なんぢの母はゝたる祈き禱たうを以もつて、爾なんぢの子こを我われ等らの爲ために寬くわん容ようなる者ものと爲なし給たまへ。

「凡そ呼吸ある者」に自調の讚頌スティヒラ、第三調。

我われ等ら信者しんじやは敬虔けいけんに行おこなはるる受難者じゆなんしやの慶けい賀がを見みて、議ぎ定ていに於おいて奇異きいなる我われ等らの神かみに感謝かんしやの歌うたを奉たてまつらん、蓋けだし彼かれは女をんなの性せいに敵てきの力ちからの見みえざる攻擊こうげきに勝かつを賜たまひ、致ち命女めいぢよの柔にう弱じやくの中うちに己おのれの神聖しんせいなる力ちからを顯あらはして、彼かれの祈き禱たうに由よりて我われ等らの靈たましひを救すくひ給たまふ。二次

ハリストスの讚さん美びたる致ち命女めいぢよ(某)は其その受難じゆなんの血ちを以もつて眞實しんじつを盈みつる爵しやくを備そなへて、常つねに之これを敎けう會くわいに進すゝめ、睿えい智ちの聲こゑを以もつて敎けう會くわいの諸しよ子しを呼よび集あつめて言いふ、復ふく活くわつを證しようする飮料のみもの、惡敵あくてきを逐おひ、諸慾しよよくを潔きよめ、敬虔けいけんの靈たましひを養やしなふ者ものを斟くみて、救世主きうせいしゆに呼よべ、屬神ぞくしん゜の甘かん味みの流ながれを我われ等らに飮のましめし主しゆよ、我われ等らの靈たましひを救すくひ給たまへ。

生いのちを施ほどこすハリストスの血ち、贖しよく罪ざいの日ひに於おいて神かみの諸僕しよぼくに印いんせらるる者ものを形かたどり、且かつ救世主きうせいしゆの永在えいざいの光くわう榮えいを示しめす所ところの致ち命者めいしやの泉いづみより我われ等らに流ながれたる聖せいなる血ちを我われ等ら尊たふとみて、樂たのしき心こゝろを以もつて呼よばん、爾なんぢの聖者せいしやの中うちに榮えいせらるる主しゆよ、爾なんぢの至し榮えいなる受難女じゆなんぢよの祈き禱たうに因よりて我われ等らの靈たましひを救すくひ給たまへ。

 光榮、第六調。

至し尊そんなる(某)よ、爾なんぢは受難じゆなんの程みちを行ゆきて、迫害者はくがいしやの勸すゝめを避さけ、智ちなる童貞女どうていぢよとして燈ともしびを執とりて、爾なんぢの主しゆの庭にはに入いり、勇敢ゆうかんなる致ち命女めいぢよとして肉體にくたいの苦くるしみを醫いやす恩おん寵ちようを受うけ給たまへり。求もとむ、爾なんぢを歌か頌しようする我われ等らをも神かみに奉たてまつる爾なんぢの祈き禱たうを以もつて靈たましひの諸しよ病びやうより救すくひ給たまへ。

 今も、生神女讚詞。

生しやう神しん童貞女どうていぢよよ、我われ等らは爾なんぢより身みを取とりし者ものの神かみなるを悟さとれり、彼かれに我われ等らの靈たましひの救すくひの爲ために祈いのり給たまへ。

 十字架生神女讚詞

至し淨じやうなる者ものは爾なんぢが十じふ字架じかに懸かゝれるを見みて、母はゝとして哭なきて呼よべり、吾わが子こ及および吾わが神かみ、吾わが甘愛かんあいなる產さんよ、如何いかんぞ、爾なんぢ恥はづべき苦くるしみを忍しのぶ。

若し挿句くづけに光榮あらば、晩課の、今も、生神女讚詞、或は十字架生神女讚詞を誦せよ。

 

第二十一編 二人或は多人の致命女の總奉事

 晩課

「主よ爾に籲ぶ」に讚頌スティヒラ、第四調。

聖せいなる童女どうぢよ等らは天性てんせいの法はふに緣よりて結合けつがふせられ、造成主ざうせいしゆを愛あいする愛あいに緣よりて强つよく堅けん固ごにせられて、信しんを以もつて肉體にくたいの結むすびを解とかれ、不ふ能のうなる敵てきを雄雄をゝしく己おのれの足そく下かに踐ふみて、勝しよう利りの尊榮そんえいにて光くわう明めいに飾かざられ、無む形けいなる婚筵こんえんの宮みやに入いりて喜よろこび給たまふ。

至し尊そんなる者もの等らは信しんの眼めを以もつて新郎はなむこの最いと美うるはしきを仰あふぎて、火ひと、多た種しゆの苦くるしみと、死しとを忍しのび、種種しゆじゆの傷きずに飾かざられて、彼かれに合あはせられたり。故ゆゑに仁愛じんあいなるイイスス、我われ等らの靈たましひの救主きうしゆは多おほくの恩おん賜しを彼かれ等らに冠かうむらせ給たまへり。

美び善ぜんなる童女どうぢよ等らよ、爾なんぢ等らは不ふ朽きうの童貞どうてい、尊たふとき童貞どうていをハリストスに獻さゝげて、十じふ字架じかの力ちからと雄雄をゝしき心こゝろとを以もつて無む神しんの驕おごりと迷まよひとを破やぶり給たまへり。故ゆゑにハリストスの諸しよ敎けう會くわいは爾なんぢ等らの光くわう明めいにして至し榮えいなる記き憶おくを祭まつる。

 光榮、今も、生神女讚詞。

至し淨じやうなる少女せうぢよよ、我われ爾なんぢを主しゆに眠ねむらざる祈き禱たうを捧さゝぐる者ものとして禱いのる、我わが不ふ當たうなる靈たましひの諸害しよがいを眠ねむらせ、激浪あらなみを鎮しづめ、我わが憂うれふる心こゝろを慰なぐさめ、我われの智慧ちゑに恩おん寵ちようを降くだし給たまへ、我わが宜よろしきに合かなひて爾なんぢを讚榮さんえいせん爲ためなり。

 十字架生神女讚詞

爾なんぢを生うみし牝め羊ひつじは爾なんぢ羔こひつじ及および牧者ぼくしやが木きの上うへに在あるを見みし時とき、哭なきて母はゝとして爾なんぢに謂いへり、至し愛あいなる子こ、恒忍ごうにんなる主しゆよ、如何いかんぞ爾なんぢは十じふ字架じかに懸かけられたる、言ことばよ、如何いかんぞ爾なんぢの手てと足あしとは不ふ法はふの者ものより釘ていせられたる、主宰しゆさいよ、如何いかんぞ爾なんぢの血ちを流ながしたる。

若し之あらば、自調。光榮、第八調。

凡およその舌したは動うごきて至し榮えいなる致ち命女めいぢよを讚さん美びすべし、凡およその族ぞくと年齢よはひ、衆しゆう少者せうしやと處女しよぢよはハリストスの大だい致ち命女めいぢよに讚歌ほめうたを捧さゝぐべし、蓋けだし彼かれ等らは法はふに遵したがひて戰たゝかひ、女をんなの柔にう弱じやくを退しりぞけて、迫害者はくがいしやなる敵てきを斃たふし、受難じゆなんの勞らう苦くの爲ために天てんの神妙しんめうなる榮えい冠くわんに飾かざられて、其その新郎はなむこ及および神かみに祈いのりて、我われ等らに大おほいなる憐あはれみを賜たまはんことを求もとめ給たまふ。

 今も、 生神女讚詞

女宰ぢよさいよ、爾なんぢの諸僕しよぼくの祈禱いのりを納いれて、我われ等らを諸もろもろの災禍わざはひと憂愁うれひより救すくひ給たまへ。

 十字架生神女讚詞

言ことばよ、至し淨じやうなる者ものは爾なんぢが身みにて十じふ字架じかに懸かゝれるを見みて、心こゝろ裂さかれて泣なきて呼よべり、至し愛あいなる主しゆイイスス吾わが子こよ、何處いづこにか隱かくるる、ハリストスよ、我われ爾なんぢを生うみし者ものを獨ひとりとして遺のこす毋なかれ。

若し多燭詞ポリエレイを以て祭を行はば、復活の生神女讚詞を誦すべし。

天てんの王わうは人ひとを愛あいするに因よりて地ちに現あらはれ、人ひとと偕ともに在いませり、蓋けだし淨きよき童貞女どうていぢよより身みを取とり、人ひとの性せいを有たもちて生うまれし者ものは、二ふたつの性せいにて一ひとつの位くらゐある獨どくいつ子しなり、故ゆゑに我われ等ら彼かれが實じつに全まつたき神かみ及および全まつたき人ひとなるを傳つたへて、ハリストス吾わが神かみを承うけ認みとむ、夫をつとを識しらざる母はゝよ、我わが靈たましひの憐あはれみを蒙かうむらんことを彼かれに祈いのり給たまへ。

 聖入。本日の提綱ポロキメン。致命者の喩言パリミヤ三篇、巻末に載す。

 挿句くづけの讚頌スティヒラ、第四調。

天てん使しの品ひん位ゐは爾なんぢ等らの心こゝろの勵はげみと、神聖しんせいなる愛あいと、受難じゆなんとに大おほいに驚おどろきたり、如何いかにして爾なんぢ等らは勇いさましく戰たゝかひ、見みえざる敵てきを斃たふして、生いのちを施ほどこす手てより宜よろしきに合かなひて嚴おごそかに勝しよう利りの榮えい冠くわんを受うけたる。

句 神かみよ、爾なんぢは爾なんぢの聖所せいしよに於おいて嚴おごそかなり。

恩おん寵ちように聖せいにせられし受難女じゆなんぢよよ、爾なんぢ等らは燃もえる心こゝろを以もつて空むなしき㷔ほのほを滅けして、ハリストスの爲ために死しし、靈たましひの燈ともしびを滅けさるるなく守まもりて、天てんの宮みやにハリストスの許もとに入いり給たまへり。故ゆゑに我われ等ら皆みな敬虔けいけんに爾なんぢ等らの記き憶おくを歌か頌しようす。

句 イズライリの源みなもとより出いづる者ものよ、敎けう會くわいに於おいて主しゆ神かみを崇あがめ讚ほめよ。

讚さん美びたる受難女じゆなんぢよよ、爾なんぢ等らは多おほくの苦くるしみを忍しのびて後のちに、病やまひなき處ところに移うつりて、隱かくれざる光ひかりに入いり、光くわう明めいなる歡喜よろこびと永遠えいゑんの神聖しんせいなる樂たのしみとを得えたり。故ゆゑに我われ等らは爾なんぢ等らを讚さん美びして、今日こんにち爾なんぢ等らの聖せいなる慶けい賀がを行おこなふ。

 光榮、第四調。

讚さん美びたる者ものよ、爾なんぢ等らは下しもに引ひく度ど生せいの逸樂いつらくと榮華えいぐわとを暫ざん時じの者ものとして遺すて、ハリストスの華麗くわれいに熱ねつして、苦くるしみを以もつて彼かれに著つき、芳かうばしき花はなの如ごとく榮さかえ、不ふ朽きうの國くにの榮えい冠くわんにて美うるはしく飾かざられたり。

 今も、生神女讚詞。

滅けされぬ燈ともしび、義ぎなる王わうの寶はう座ざたる至し淨じやうなる女宰ぢよさいよ、我われ等らの靈たましひの救すくはれんことを禱いのり給たまへ。

 十字架生神女讚詞

至し淨じやうなる者ものは人ひとを愛あいする主しゆハリストスの十じふ字架じかに釘ていせられ、戈ほこにて脅わきの刺ささるるを見みて、哭なきて呼よべり、吾わが子こよ、此これ何なにぞ、恩おんを知しらざる民たみは爾なんぢが彼かれ等らに爲なしし善ぜんに易かへて何なにをか爾なんぢに報むくいたる、至し愛あいなる者ものよ、胡爲なんすれぞ我われを子こなき者ものとして遺のこす、慈じ憐れんなる主しゆよ、我われ爾なんぢが甘あまんじて受うくる釘殺ていさつを奇きとす。

讚詞トロパリは奉事例に据る。若し奉事例になくば、下の讚詞トロパリを誦せよ。第一調。

靈れい智ちなる牝め羊ひつじ、奇異きいなる者ものよ、爾なんぢ等らは馳はすべき程みちを盡つくし、信しんを守まもりて、受難じゆなんに因よりて羔こひつじ及および牧者ぼくしやたるハリストスに攜たづさへられたり、故ゆゑに我われ等ら今日こんにち欣よろこばしき靈たましひを以もつて爾なんぢ等らの聖せいなる記き憶おくを行おこなひて、ハリストスを崇あがめ讚ほむ。

 光榮、 今も、生神女讚詞、或は十字架生神女讚詞。

 早課

「主は神なり」に讚詞トロパリ同上。

 第一の「カフィズマ」の後に坐誦讚詞セダレン、第一調。

常つねに記き憶おくせらるる福ふくたる受難女じゆなんぢよよ、爾なんぢ等らは神聖しんせいなる愛あいの火ひに燃もえて、聊いさゝかも物質ぶつしつの火ひの觸ふるるに由よりて悩なやまされず、迷まよひを焚やき盡つくして、殘酷ざんこくに曳ひかれて終をはりを受うけ、光くわう榮えいを得え給たまへり。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

婚姻こんいんに與あづからざる祝しゆく福ふくせられしマリヤ、失望しつばうせし人人ひとびとの避所かくれが、神かみの居處すまひよ、我われ等ら常つねに惡あくなる無ぶ道だうに迷まよひて、至し仁じんなる主しゆを怒いからしむる者ものを痛つう悔くわいの道みちに向むかはしめ給たまへ。

 第二の「カフィズマ」の後に坐誦讚詞セダレン、第四調。

生いのちを施ほどこす主しゆの新婦はなよめたる童貞女どうていぢよ、信しんの爲ために戰たゝかひし者ものよ、天てん上じやうの軍ぐんの無む形けいの品ひん位ゐは爾なんぢ等らの大おほいなる忍耐にんたいに驚おどろきたり、蓋けだし爾なんぢ等らは他た人にんの身みに於おけるが如ごとく苦くるしみを受うけ、脛はぎと節ふしとを壞やぶられ、苦くるしき死しを忍しのびて、婦女をんなの柔にう弱じやくを以もつて反はん離り者しやたる蛇へびを破やぶり給たまへり。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

生しやう神女しんぢよよ、爾なんぢの聘定者へいていしや及および保護ほご者しやたるイオシフは性せいに超こえる爾なんぢの種たねなき胎孕はらみに驚おどろきて、念おもひを羊ひつじの毛けに降くだりし雨あめ、火ひに焚やかれざる棘いばら、芽めを出いだしたるアアロンの杖つゑに注そゝぎて、司し祭さい等らに向むかひて證しようして呼よべり、童貞女どうていぢよは生うむ、生うみて後のち復また童貞女どうていぢよに止とゞまる。

「主の名を讚め揚げよ」の後に附唱。

ハリストスの致ち命女めいぢよよ、我われ等らは爾なんぢ等らを讚揚さんやうして、爾なんぢ等らがハリストスの爲ために忍しのびし尊そん貴きなる苦くるしみを尊たふとむ。

 拔萃聖詠

「神は我等避所なり、能力なり。」

 多燭詞ポリエレイの後に坐誦讚詞セダレン、第八調。

致ち命女めいぢよ童女どうぢよ等らよ、爾なんぢ等らは神かみに適かなふが如ごとく主しゆの新婦はなよめと爲なりて、禮物れいもつとして彼かれに血ちと屠殺ほふりとを捧さゝげ、宜よろしきに合かなひて神聖しんせいなる婚筵こんえんの宮みやに入いるを得えて、常つねに言いひ難がたき光くわう照せうに滿みてらる。故ゆゑに我われ等ら敬虔けいけんに爾なんぢ等らの聖せいなる尊たふとき記き憶おくを行おこなひ、救世主きうせいしゆを讚榮さんえいして熱信ねつしんに呼よぶ、愛あいを以もつて爾なんぢ等らの聖せいなる記き憶おくを尊たふとむ者ものに諸罪しよざいの赦ゆるしを賜たまはんことをハリストス神かみに禱いのり給たまへ。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

ハリストスよ、爾なんぢの無む形けいなる軍ぐん、爾なんぢの前ぜん驅く、使徒しと、預よ言者げんしや、致ち命者めいしやと衆しゆう聖人せいじん、及および夫をつとに與あづからざる至し善ぜんなる爾なんぢの母はゝ生しやう神女しんぢよの祈き禱たうに由よりて慈じ憐れんを垂たれて、我われ等らに爾なんぢの光ひかりの中うちを行ゆかしめ、爾なんぢの大おほいなる仁じん慈じに由よりて爾なんぢの國くにに入いるを得えしめ給たまへ。

 品第詞ステペンナ、第四調の第一倡和詞アンティフォン。

 提綱ポロキメン

神かみよ、爾なんぢは爾なんぢの聖所せいしよに於おいて嚴おごそかなり。

句 イズライリの源みなもとより出いづる者ものよ、敎けう會くわいに於おいて主しゆ神かみを崇あがめ讚ほめよ。

「凡そ呼吸ある者」

致命女の福音經、巻末に載す。

 第五十聖詠の後に讚頌スティヒラ、第四調。「讚美たる者よ、爾等は下に引く度生」挿句くづけの光榮に載す。

讚さん美びたる者ものよ、爾なんぢ等らは下しもに引ひく度ど生せいの逸樂いつらくと榮華えいぐわとを暫ざん時じの者ものとして遺すて、ハリストスの華麗くわれいに熱ねつして、苦くるしみを以もつて彼かれに著つき、芳かうばしき花はなの如ごとく榮さかえ、不ふ朽きうの國くにの榮えい冠くわんにて美うるはしく飾かざられたり。

 規程カノン、第四調。

第一歌頌

イルモス 我わが口くちを開ひらきて、聖神せいしん゜に滿みてられ、言ことばを女王によわう母はゝに奉たてまつり、樂たのしみ祝いはひ、喜よろこびて其その奇き迹せきを歌うたはん。

致ち命女めいぢよよ、爾なんぢ等ら先さきには齋ものいみを以もつて、後のちには血ちを流ながす受難じゆなんを以もつて强つよく惡敵あくてきと戰たゝかひ給たまへり、故ゆゑに我われ等ら信しんを以もつて爾なんぢ等らの記き憶おくを尊たふとむ。

克肖こくせうなる致ち命女めいぢよよ、爾なんぢ等らは我われ等らの爲ために十じふ字架じかと死しとを忍しのびし主しゆを愛あいする愛あいに刺さされて、身みの柔にう弱じやくを忘わすれて、彼かれの後のちに從したがひ給たまへり。

至し尊そんなる致ち命女めいぢよよ、爾なんぢ等らは受難じゆなんの武器ぶきを以もつてエㇽリンの祭壇さいだんと惡あく鬼きの軍ぐんとを斃たふして、活いける全燔ぜんぱんとして天てん上じやうの敎けう會くわいに獻さゝげられたり。

 生神女讚詞

純じゆん潔けつなる者ものよ、童貞女どうていぢよ等らは爾なんぢの胎内たいないより輝かゞやき出いでたる主しゆの恩おん寵ちように堅かためられて、殘酷ざんこくなる苦くるしみに己おのれを付わたして後のち、喜よろこびて爾なんぢに從したがひて主しゆの前まへに攜たづさへられたり。

第三歌頌

イルモス 强つよき者ものの弓ゆみは弱よわみ、弱よわれる者ものは力ちからを帶おびたり、故ゆゑに我わが心こゝろは主しゆの中うちに堅かためられたり。

爾なんぢ等らは神かみより强つよき力ちからに堅かためられて、戰たゝかふ敵てきの力ちからを踐ふみたり、故ゆゑに勝かたれぬ勝しよう利り者しやとして光くわう榮えいを獲え給たまへり。

ハリストスの神聖しんせいなる力ちからに因よりて猛獸まうじうの口くちは無む能のうと爲なり、神しん智ちなる者ものは害がいなく救すくはれて、光くわう榮えいを神かみに歸かへせり。

救世主きうせいしゆの受難者じゆなんしやよ、爾なんぢ等らは睿えい智ちと恩おん寵ちようとを以もつて靈たましひを照てらし、神かみの力ちからに堅かためられて、迫害者はくがいしやの激はげしき怒いかりを畏おそれざりき。

 生神女讚詞

我われ等らは眞しん正せいに悟さとりて、爾なんぢ純じゆん潔けつなる者ものを眞まことの神かみの母はゝと傳つたふ、蓋けだし爾なんぢに緣よりて造成主ざうせいしゆは我われ等らと合あはせられたり。

 坐誦讚詞セダレン、第一調。

讚さん美びたる致ち命女めいぢよよ、我われ等らは爾なんぢ等らを奇き跡せきの泉いづみとして獲えて、饒ゆたかに壮健さうけんを汲くみて、爾なんぢ等らの苦くるしみと、神聖しんせいなる熱心ねつしんと、勇いさましく受うけたる創痍きずと、功勞こうらうとを歌うたひ、爾なんぢの奇異きいなる記き憶おくを行おこなひて、我われ等らの神かみを讚榮さんえいす。

 光榮、今も、生神女讚詞。

生しやう神女しんぢよよ、爾なんぢの諸僕しよぼくの祈き禱たうを納いれて、我われ等らを諸もろもろの患くわん難なんより救すくひ給たまへ、爾なんぢはハリストス救世主きうせいしゆ、我われ等らの靈たましひの贖しよく罪主ざいしゆを生うみたればなり。

 十字架生神女讚詞

至し淨じやうなる者ものよ、我われ等ら衆しゆう爾なんぢの轉達てんたつを有たもちて、爾なんぢの祈き禱たうに因よりて諸難しよなんより救すくはれ、爾なんぢの子この十じふ字架じかを以もつて諸方しよはうに護まもられて、職しよくとして敬虔けいけんに爾なんぢを崇あがめ讚ほむ。

第四歌頌

イルモス 光くわう榮えいの中うちに神性しんせいの寶はう座ざに坐ざするイイスス神かみは、輕かろき雲くもに乘のるが如ごとく、朽くちざる手てに抱いだかれ來きたりて、ハリストスよ、光くわう榮えいは爾なんぢの力ちからに歸きすと呼よぶ者ものを救すくひ給たまへり。

奇異きいなる者ものよ、爾なんぢ等らは多た種しゆの苦くるしみ、肉體にくたいの創痍きず、百ひやく體たいの壞やぶらるること、火ひに焼やかるることを忍しのびしに因よりて、天てんの居處すまひを嗣つぎて、生命せいめいの樹きの果みを樂たのしみ給たまふ。

天てんの軍ぐんは福ふくたる致ち命女めいぢよの功勞こうらうを奇きとせり、如何いかにして女をんなの性せいを以もつて童貞女どうていぢよより輝かゞやきし主しゆの力ちからに堅かためられて、敵てきに勝かちたる。

ハリストスの堅忍けんにんなる新婦はなよめよ、爾なんぢ等らは世よの虛むなしきを悉ことごとく棄すてて、靈たましひを全まつたうして獨ひとり神かみに己おのれを捧さゝげたり、故ゆゑに齋ものいみの勤勞きんらうと受難じゆなんとを忍しのび給たまへり。

 生神女讚詞

至いたりて無む玷てんなる者ものよ、昔むかし預よ言者げんしやの言いひし事ことに應かなひて、雨あめが羊ひつじの毛けに降くだりし如ごとく、主しゆは爾なんぢの胎内たいないに降くだりしに、爾なんぢは彼かれを二に性せいの者ものとして生うみ給たまへり、我われ等ら彼かれに呼よぶ、ハリストスよ、光くわう榮えいは爾なんぢの力ちからに歸きす。

第五歌頌

イルモス ハリストスよ、不ふ虔けんの者ものは爾なんぢの光くわう榮えいを見みざらん、惟たゞ我われ等らは夜よより寤さめて、爾なんぢ神かみの獨生どくせい子し、父ちゝの光くわう榮えいの煇煌かゞやき、人ひとを愛あいする主しゆを崇あがめ歌うたふ。

爾なんぢ等らは無む玷てんなる牝め羊ひつじの如ごとく、欣よろこばしき祭まつりの如ごとく、完くわん全ぜんなる禮物れいもつ、嘉よく納いれらるる全燔ぜんぱんとしてハリストス眞まことの牧者ぼくしやに捧さゝげられたり。

致ち命女めいぢよよ、爾なんぢ等らは十じふ字架じかと、死しと、自じ由いうなる苦くるしみとを忍しのびて、死しの力ちからを滅ほろぼしし主しゆに效ならふ者ものと爲なりて、體からだにて殺ころされ、靈たましひにて活いける者ものと爲なり給たまへり。

神しん智ちなる者ものよ、爾なんぢ等らは多おほくの身體からだの中うちに惟一ゆゐいちの智慧ちゑを有たもちて、鐵搭くまでにて裂さかれ、火ひに焚やかれて、萬ばん衆しゆうの惟一ゆゐいちの主しゆイイススを承うけ認とめたり。

 生神女讚詞

獨ひとり至いたりて無む玷てんなる童貞女どうていぢよ、神かみ主宰しゆさい、恩おん寵ちようを以もつて先さきに離はなれたる者ものを合あはせし主しゆを生うみし者ものよ、諸慾しよよくの穴あなに陷おちいりたる我われを起おこして、我われを治をさめ給たまへ。

第六歌頌

イルモス 憐あはれみに由よりて爾なんぢの脅わきより流ながれし血ちにて惡あく魔まの祭まつりの血ちより淨きよめられし敎けう會くわいは爾なんぢに呼よぶ、主しゆよ、讚揚ほめあげの聲こゑを以もつて爾なんぢを祭まつらん。

原げん母ぼは先さきに誘惑いざなひを以もつて彼かれを樂園らくゑんより逐おひ出いだしし蛇へびの壞やぶられて、女をんなの足あしに踐ふまるるを見みて、熱切ねつせつに悅よろこぶ。

爾なんぢ等らは法はふに遵したがふ苦くるしみに齋ものいみを加くはへ、不ふ朽きうに靈たましひの新郎はなむこに合あはせられて、今いま樂たのしき靈たましひを以もつて天てんの宮みやに居をり給たまふ。

髙たかく揚あげらるる苦くるしみの浪なみは致ち命者めいしやの舟ふねを沈しづむる能あたはざりき、蓋けだし此これ等らは强つよき手てに導みちびかれて、神聖しんせいなる港みなとに到いたれり。

 生神女讚詞

神かみの母はゝよ、我われ等らは爾なんぢの言ことばの應かなへるを見みて、更さらに多おほく爾なんぢ及および爾なんぢを大おほいなる者ものとせし主しゆを崇あがめ讚ほむ、蓋けだし實じつに今いま萬族ばんぞくは爾なんぢを讚揚さんやうす。

小讚詞コンダクは奉事例に据る。若し奉事例になくば、下の小讚詞コンダクを誦せよ。第二調。

我われ等らハリストスの受難女じゆなんぢよの記き憶おくを祭まつりて、信しんを以もつて助たすけを求もとめ、衆しゆうを凡およその憂うれひより救すくはんことを禱いのりて呼よぶ、己おのれの旨むねに合かなひて彼かれ等らを榮えいせし我われ等らの神かみは我われ等らと偕ともにす。

 同讚詞イコス

ハリストスの致ち命女めいぢよよ、我われ等らは爾なんぢ等らを奇き跡せきの泉いづみとして獲えて、饒ゆたかに壮健さうけんを汲くみて、爾なんぢ等らの苦くるしみと、神聖しんせいなる熱心ねつしんと、勇いさましく受うけたる創痍きずと、功勞こうらうとを尊たふとみ、爾なんぢ等らの奇異きいなる記き憶おくを行おこなひて呼よぶ、己おのれの旨むねに合かなひて彼かれ等らを榮えいせし我われ等らの神かみは我われ等らと偕ともにす。

第七歌頌

イルモス 火ひの中うちに爾なんぢがアウラアムの少者せうしやを救すくひ、義ぎの審判しんぱんを被かうむれるハルディヤ人じんを滅ほろぼしし讚さん美びたる主しゆ、我わが先せん祖ぞの神かみよ、爾なんぢは崇あがめ讚ほめらる。

ハリストスの牝め羊ひつじよ、爾なんぢ等らは心こゝろの眼めを救すくひを賜たまふ神かみ及および王わうに注そゝぎて、惡敵あくてきの軍ぐんに遇あひ、雄雄をゝしく之これに勝かちて呼よべり、我わが先せん祖ぞの神かみは崇あがめ讚ほめらる。

致ち命女めいぢよよ、爾なんぢ等らは全まつたき望のぞみを獨ひとり主宰しゆさいに屬ぞくし、世せ界かいの榮華えいぐわを夢ゆめの如ごとく見みて呼よべり、我わが先せん祖ぞの神かみは崇あがめ讚ほめらる。

我われ等らは倦うむべからず、視みよ、婚筵こんえんの宮みやは啓ひらかれたり、彌いよいよ勇いさみて立たたん、蓋けだしハリストスは手てを伸のべて榮えい冠くわんを賜たまふ、我われ等らの身みを惜をしむべからずと、勇敢ゆうかんなる致ち命女めいぢよは裁判所さいばんじよに在ありて呼よべり。

 生神女讚詞

恩おん寵ちようを蒙かうむれる潔いさぎよき者ものよ、爾なんぢの祝しゆく福ふくせられたる腹はらの果みは祝しゆく讚さんせらる、天てんの軍ぐんと人人ひとびとの會くわいとは彼かれを祝しゆく讚さんす、我われ等らを始はじめの詛のろひより解ときたればなり。

第八歌頌

イルモス 生しやう神女しんぢよの產さんは敬虔けいけんの少者せうしやを爐ゐろりの中うちに守まもれり、其時そのときに預あらかじめ徵しるされ、今いま已すでに應かなひし此この產さんは全ぜん世せ界かいに勸すゝめて爾なんぢに歌うたはしむ、造物ざうぶつは主しゆを歌うたひて、世世よよに彼かれを讚ほめ揚あげよ。

爾なんぢ等らは受難じゆなんの血ちを流ながすを以もつて、罪つみに由よりて朽くちたる人ひとを實じつに脫ぬぎて、光くわう明めいなる衣ころもを衣きて歌うたへり、造物ざうぶつは主しゆを歌うたひて、世世よよに彼かれを讚ほめ揚あげよ。

讚さん美びたる致ち命女めいぢよよ、爾なんぢ等らは無む神しんの夜よを過とほりて、無む形けいの日ひの至いたりて光くわう明めいに輝かゞやく光ひかりの中うちに在ありて、靈たましひを一いつにして歌うたふ、造物ざうぶつは主しゆを歌うたひて、世世よよに彼かれを讚ほめ揚あげよ。

致ち命女めいぢよよ、爾なんぢ等らは牝め羊ひつじの如ごとく、無垢むくなる牝め牛うしの如ごとく、神かみの牝め鴿ばとの如ごとく、自じ由いうなる祭まつりの如ごとく、無む玷てんの禮物れいもつとして造成主ざうせいしゆに獻さゝげられて、同心どうしんに歌うたふ、造物ざうぶつは主しゆを歌うたひて、世世よよに彼かれを讚ほめ揚あげよ。

 生神女讚詞

至し淨じやうなる神かみの聘女よめ、獨ひとり婚姻こんいんに與あづからざる者ものよ、受難者じゆなんしやたる女等をんなたちは芳かうばしき香料かうれうたる爾なんぢの獨生どくせいの子こ、爾なんぢの胎内たいないより輝かゞやき出いでし主しゆを慕したひて、爾なんぢの後あとに趨はしりて、實じつに爾なんぢと偕ともに王わうとなりて、ハリストスを世世よよに歌うたひ讚ほむ。

第九歌頌

イルモス エワは不ふ順じゆんを病やみて、詛のろひを入いれたり、爾なんぢは、童貞どうてい生しやう神女しんぢよよ、己おのれの產さんにて世せ界かいの爲ために祝しゆく福ふくの華はなを發ひらけり、故ゆゑに我われ等ら皆みな爾なんぢを崇あがめ讚ほむ。

至し榮えいなる致ち命女めいぢよは泉いづみよりするが如ごとく、求もとむる者ものに醫治いやしの滴したゝりを注そゝぎ、病やまひの苦くるしみを鎮しづめ、惡あく鬼きの軍ぐんを逐おひ、神かみを愛あいする者ものの心こゝろを沾うるほして、善行ぜんかうの果みを繁しげく結むすばしむ。

神かみの聘女よめよ、爾なんぢ等らは擧あげられて、敵てきに對たいして力ちからを受うけ、諸天しよてん使しに似にたる者ものと爲なりて、樂園らくゑんに礙さはりなく生命せいめいの樹きの果みを樂たのしみ、萬善ばんぜんの泉いづみの傍かたはらに在ありて、世せ界かいの爲ために祈いのり給たまふ。

受難女じゆなんぢよよ、爾なんぢ等らの記き憶おくは恩おん寵ちようの神聖しんせいなる光ひかりに輝かゞやきて、爾なんぢ等らを讚ほめ揚あぐる者ものの思おもひを照てらす。

 生神女讚詞

睿えい智ちの居處すまひ、活いける寶はう座ざ及および門もんたる至いたりて潔いさぎよき童貞女どうていぢよよ、爾なんぢの大おほいなるは智慧ちゑに超こゆ、故ゆゑに女等をんなたちは爾なんぢを女王によわうとして愛あいし、童女どうぢよ等らは爾なんぢの後あとに從したがひて主しゆの前まへに攜たづさへられたり。

 光耀歌

捧神者ほうしんしやよ、爾なんぢ等らは新郎はなむこの華麗くわれいを見みんことを望のぞみて、悉ことごとくの妨害ばうがいに勝かちて彼かれに至いたり、死しに屬ぞくする身みに在ありて不死ふしを證しようし給たまへり、故ゆゑに宜よろしきに合かなひて讚さん美びせらる。

 生神女讚詞

ハリストスよ、爾なんぢ光くわう榮えいを以もつて世せ界かいを審判しんぱんせん時とき、我われを宥なだめ給たまへ、爾なんぢを生うみし者ものと、爾なんぢの尊たふとき致ち命女めいぢよとの祈き禱たうに由よりて、我わが諸慾しよよくの幽暗くらやみを散さんじ給たまへ、爾なんぢは至し善ぜんにして大仁だいじん慈じなる主しゆなればなり。

 「凡そ呼吸ある者」に讚頌スティヒラ、第四調。

血ちの流ながれにて己おのれを飾かざりたる童貞女どうていぢよ、讚さん美びたる致ち命女めいぢよよ、爾なんぢ等らは華麗くわれいの最いと美うるはしきハリストス我われ等らの神かみに不ふ朽きうに合あはせられたり、彼かれは爾なんぢ等らの無む玷てんなる童貞どうていを不ふ朽きうなる婚筵こんえんの宮みや、天てんの居處すまひ、手てにて造つくられざる殿でんに護まもり給たまふ。二次

讚さん美びたる致ち命女めいぢよ、三者さんしやの爲ために戰たゝかひし者ものよ、爾なんぢ等らは柔にう弱じやくなる身みと健全けんぜんなる智慧ちゑとを有たもちて、神しん゜の力ちからを以もつて惡あくの魁かしらたる昔むかしの蛇へびに勝かちて、その力ちからの弱よわきを顯あらはしたり、故ゆゑに勝しよう利りの榮えい冠くわんを受うけ給たまへり。

讚さん美びたる受難者じゆなんしやよ、爾なんぢ等らは百ひやく體たい寸斷すんだんせられ、火ひに焚やかれ、鐵搭くまでにて割さかれ、木きに懸かけられ、劍つるぎにて斬きられて、ハリストスを諱いまざりき。故ゆゑに大おほいなる致ち命女めいぢよとし、三者さんしやの爲ために戰たゝかひし者ものとして勝しよう利りの榮えい冠くわんを受うけ給たまへり。

 光榮、第二調。

無む玷てんの度ど生せいを爲なしし神しん智ちなる致ち命女めいぢよよ、爾なんぢ等らは神かみの光くわう照せうを懷いだき、神かみの力ちからを衣きせられて、裁判所さいばんじよに立たちて、迫害者はくがいしやの命めいを拒こばみ、辯者べんしやの空言くうげんを辱はづかしめ、無む神しんの敵てきを殪たふして勝しよう利りを得え給たまへり。

 今も、生神女讚詞。

神かみの母はゝよ、我わが盡ことごとくの恃たのみを爾なんぢに負おはしむ、我われを爾なんぢの覆おほひの下したに守まもり給たまへ。

 十字架生神女讚詞

無む玷てんなる牝め羊ひつじは己おのれの羔こひつじが人ひとの如ごとく甘あまんじて屠宰ほふりに牽ひかるるを見みて、哭なきて云いへり、ハリストスよ、爾なんぢは我われ爾なんぢを生うみし者ものを今いま子こなき者ものと爲なさんとす、萬ばん衆しゆうの贖しよく罪主ざいしゆよ、何なんぞ之これを爲なしたる、然しかれども人ひとを愛あいする主しゆよ、我われ智慧ちゑと言ことばとに超こゆる爾なんぢの至し大だいなる仁じん慈じを歌か頌しようして讚榮さんえいす。

若し挿句くづけに光榮あらば、晩課の、今も、生神女讚詞、或は十字架生神女讚詞を誦せよ。

 

第二十二編 一人の克肖女の總奉事

 晩課

「主よ爾に籲ぶ」に讚頌スティヒラ、第八調。

齋ものいみの勤勞きんらうを忍しのびたる尊たふとき母はゝ(某)よ、爾なんぢは靈體れいたいの諸しよ病びやうを醫いやし、神しん゜を以もつて汚鬼をきを逐おひ、凡およそ憂うれふる者ものの爲ために轉達てんたつする恩おん寵ちようを受うけ給たまへり。故ゆゑに爾なんぢの祈き禱たうを以もつて衆しゆうの爲ために醫治いやしと大おほいなる憐あはれみとを求もとめ給たまへ。

奇異きいにして克肖こくせうなる母はゝ(某)よ、爾なんぢの不ふ朽體きうたいの柩ひつぎは信しんを以もつて來きたりて、爾なんぢの助たすけを求もとむる瞽者めしひに見みることを、凡およその病びやう者しやに愈いゆることを流ながす。故ゆゑに爾なんぢの祈き禱たうを以もつて我われ等らの爲ために大おほいなる憐あはれみを求もとめ給たまへ。

神福しんぷくなる尊たふとき(某)よ、爾なんぢは近者きんしやの於おける矜恤きようじゆつを行おこなひ、醇じゆん正せいの敎をしへを守まもり、神かみを愛あいする愛あいを抱いだきたり、故ゆゑに聖神せいしん゜の恩おん寵ちようは爾なんぢの内うちに息いこへり。求もとむ、爾なんぢの祈き禱たうに由よりて、信しんを以もつて爾なんぢを讚さん美びする者ものを護まもり給たまへ。

 光榮、今も、生神女讚詞。

至し淨じやうなる者ものよ、我われ等ら哀かなしみの中うちに在ある者ものは爾なんぢ我われ等らの轉達者てんたつしやに祈いのる、爾なんぢの諸僕しよぼくに全まつたく亾ほろぶるを許ゆるす勿なかれ、嗚呼あゝ至し聖せい至し潔けつなる生しやう神女しんぢよよ、急いそぎて我われ等らを今いまの怒いかり及および憂うれひより救すくひ給たまへ、爾なんぢは我われ等らの爲ために垣墻かき及および勝かたれぬ助たすけなればなり。

 十字架生神女讚詞

主宰しゆさいイイススよ、童貞女どうていぢよ及および爾なんぢの母はゝは爾なんぢが十じふ字架じかに釘ていせられ、甘あまんじて苦くるしみを受うくるを見みて呼よべり、哀かなしい哉かな吾わが甘愛かんあいなる子こ、人性じんせいの不ふ能のうを醫いやす醫師いし、爾なんぢの慈じ憐れんを以もつて衆しゆうを滅亾ほろびより救すくひ給たまふ主しゆよ、如何いかんぞ爾なんぢは非義ひぎの傷きずを忍しのぶ。

若し之あらば、自調。光榮、第二調。

克肖女こくせうぢよよ、爾なんぢは節制せつせいの劍つるぎを以もつて靈たましひの誘いざなひ及および體からだの慾よくを斷たち、齋ものいみの勤勞きんらうを以もつて意い念ねんの諸罪しよざいを消けし、爾なんぢの淚なみだの流ながれを以もつて野のに盈みてて、我われ等らの爲ために痛つう悔くわいの果みを生しやうじ給たまへり、故ゆゑに我われ等らは爾なんぢの記き憶おくを祭まつる。

 今も、 生神女讚詞

生しやう神しん童貞女どうていぢよよ、爾なんぢの諸僕しよぼくを災禍わざはひより救すくひ給たまへ、我われ等ら皆みな爾なんぢを破やぶられぬ墻かき及および轉達てんたつとして、神かみの次つぎに爾なんぢに趨はしり附つけばなり。

 十字架生神女讚詞

無む玷てんなる牝め羊ひつじは己おのれの羔こひつじが人ひとの如ごとく甘あまんじて屠宰ほふりに牽ひかるるを見みて、哭なきて云いへり、ハリストスよ、爾なんぢは我われ爾なんぢを生うみし者ものを今いま子こなき者ものと爲なさんとす、萬ばん衆しゆうの贖しよく罪主ざいしゆよ、何なんぞ之これを爲なしたる、然しかれども人ひとを愛あいする主しゆよ、我われ智慧ちゑと言ことばとに超こゆる爾なんぢの至し大だいなる仁じん慈じを歌か頌しようして讚榮さんえいす。

若し多燭詞ポリエレイを以て祭を行はば、復活の生神女讚詞を誦すべし。

恩おん寵ちよう來きたりて、法はふ律りつの影かげは去されり、蓋けだし燃もゆる棘いばらの焚やけざりし如ごとく、童貞女どうていぢよは生うみし後のちも永ながく童貞女どうていぢよなり、焔ほのほの柱はしらの代かはりに義ぎの日ひは出いでて光ひかる、モイセイの代かはりに我わが靈たましひの救きう者しやハリストスは現あらはれたり。

 聖入。本日の提綱ポロキメン。克肖者の喩言パリミヤ三篇、巻末に載す。

 挿句くづけの讚頌スティヒラ、第一調。

(某)よ、爾なんぢは實じつに諸神しよしん父ぷの光くわう榮えいを慕したひて、不ふ朽きうの光くわう榮えいを愛あいせり、故ゆゑに逸樂いつらくに離はなれて、爾なんぢの肉體にくたいを凡およその勤勞きんらうに委ゆだね給たまへり、今いまは勤勞きんらうの賞むくいを受うけて、ハリストスと偕ともに王わうたり。

句 神かみよ、爾なんぢは爾なんぢの聖所せいしよに於おいて嚴おごそかなり。

(某)よ、爾なんぢは新郎はなむこハリストスの嚴おごそかなる華麗くわれいを慕したひて、多た種しゆの善行ぜんかうに由よりて彼かれに聘定へいていせられんと欲ほつして、節制せつせいの勤勞きんらうを以もつて己おのれを飾かざり給たまへり、故ゆゑに今いま彼かれと偕ともに其その婚筵こんえんの宮みやに王わうたり。

句 聖人せいじんの死しは主しゆの目めの前まへに貴たつとし。

至し尊そんなる者ものよ、爾なんぢは神聖しんせいなる港みなとに進すゝみて、己おのれの靈たましひの舟ふねを逸樂いつらくに由よりて沈しづめらるるなく、奧密あうみつの貨物たからに滿みてて、穩おだやかに世よの騷擾さわぎの浪なみを濟わたり給たまへり。

 光榮、第六調。

奇異きいなる者ものよ、今日こんにち爾なんぢの聖せいにせられし慶けい賀がは日ひよりも盛さかんに輝かゞやきて、幽闇くらやみの中うちに在ある靈たましひを照てらし、惡あく鬼きの暗やみを逐おふ。

 今も、生神女讚詞。

生しやう神女しんぢよよ、爾なんぢは實じつの葡ぶ萄だうの枝えだ、我われ等らの爲ために生命いのちの果みを結むすびし者ものなり、女宰ぢよさいよ、爾なんぢに祈いのる、聖せい使徒しとと共ともに我わが靈たましひの憐あはれみを蒙かうむらんことを祈いのり給たまへ。

 十字架生神女讚詞

ハリストスよ、爾なんぢを生うみし者ものは爾なんぢの釘ていせらるるを見みて呼よべり、吾わが子こよ、我わが見みる所ところの奧密あうみつは何なんぞ驚おどろくべき、生命いのちを賜たまふ主しゆよ、如何いかんぞ身みにて木きに懸かけられて死しする。

讚詞トロパリは奉事例に据る。若し奉事例になくば、下の讚詞トロパリを誦せよ。第八調。

克肖こくせうなる母はゝ(某)よ、神かみの像ざうに由よる者ものは爾なんぢの内うちに確たしかに救すくはれたり、蓋けだし爾なんぢは十じふ字架じかを任になひてハリストスに從したがひ、過すぎ易やすき者ものたる肉體にくたいを輕かろんじ、不死ふしの者ものたる靈たましひのことに熱ねつ中ちゆうするを行おこなひを以もつて敎をしへたり。故ゆゑに爾なんぢの神しん゜は諸天しよてん使しと偕ともに喜よろこぶ。

 光榮、今も、生神女讚詞、或は十字架生神女讚詞。

 早課

「主は神なり」に讚詞トロパリ同上。

 第一の「カフィズマ」の後に坐誦讚詞セダレン、第五調。

克肖こくせうなる(某)よ、爾なんぢは節制せつせいの功勞こうらうを修をさめて、雄雄をゝしく惡謀者あくぼうしやを斃たふし、忍耐にんたいを以もつて敬虔けいけんに生いのちを度わたりて、神かみに移うつり、今いま凡およそ慎つゝしみて爾なんぢの聖せいなる慶けい賀がを行おこなふ者ものの爲ために祈いのり給たまふ。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

純じゆん潔けつなる母はゝ童貞女どうていぢよよ、我われに痛つう悔くわいの光くわう線せんを輝かゞやかして、我わが無む量りやうの惡あくの暗やみを散さんじ、我わが心こゝろの邪よこしまなる思おもひを拂はらひ給たまへ。

 第二の「カフィズマ」の後に坐誦讚詞セダレン、第四調。

克肖こくせうなる(某)よ、爾なんぢは肉體にくたいを其その情じやう(じょう)と偕ともに十じふ字架じかに釘ていして、爾なんぢの全まつたき愛あいを爾なんぢの不ふ朽きうなる新郎はなむこハリストスに捧さゝげたり、故ゆゑに榮えい冠くわんを受うけ、天てん使しの品ひん位ゐに加くはへられて、爾なんぢを尊たふとむ者ものの爲ために熱切ねつせつに彼かれに禱いのり給たまふ。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

罪つみの暴風あらしと不ふ當たうなる思おもひの惶擾さわぎとは我われを煩わづらはす、純じゆん潔けつなる童貞女どうていぢよよ、仁じん慈じなる者ものとして慈じ憐れんを垂たれて、我われに援助たすけの手てを伸のべ給たまへ、我わが救すくはれて爾なんぢを崇あがめ讚ほめん爲ためなり。

「主の名を讚め揚げよ」の後に附唱。

克肖こくせうなる母はゝ(某)よ、我われ等ら爾なんぢを讚さん美びして、爾なんぢの聖せいなる記き憶おくを尊たふとむ、爾なんぢは我われ等らの爲ためにハリストス我わが神かみに祈いのり給たまへばなり。

 拔萃聖詠

「我切に主を恃みしに、彼我に傾きて。」

 多燭詞ポリエレイの後に坐誦讚詞セダレン、第八調。

神かみより預よ選せんせられたる母はゝよ、爾なんぢは生命いのちの湊みなとに導みちびかれて、穩おだやかに度ど生せいの暴風あらしを度わたり、諸天しよてん使しと偕ともに贖しよく罪主ざいしゆを歌か頌しようして、絕たえず我われ等らの爲ために禱いのる、ハリストスが我われ等らに恩おん寵ちようと慈じ憐れんとを賜たまひて、爾なんぢが勤勞きんらうを以もつて集あつめし牧群ぼくぐんを護まもらん爲ためなり。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

天てん使しに由よりて世せ界かいの歡喜よろこびを受うけし者ものよ、慶よろこべ、爾なんぢの造成者ざうせいしや及および主しゆを生うみし者ものよ、慶よろこべ、神かみの母はゝと爲なるに堪たへし者ものよ、慶よろこべ。

 品第詞ステペンナ、第四調の第一倡和詞アンティフォン。

 提綱ポロキメン

神かみよ、爾なんぢは爾なんぢの聖所せいしよに於おいて嚴おごそかなり。

句 イズライリの源みなもとより出いづる者ものよ、敎けう會くわいに於おいて主しゆ神かみを崇あがめ讚ほめよ。

「凡そ呼吸ある者」

克肖女の福音經、巻末に載す。

 第五十聖詠の後に讚頌スティヒラ、第二調。「主よ爾に籲ぶ」の光榮に載す。

克肖女こくせうぢよよ、爾なんぢは節制せつせいの劍つるぎを以もつて靈たましひの誘いざなひ及および體からだの慾よくを斷たち、齋ものいみの勤勞きんらうを以もつて意い念ねんの諸罪しよざいを消けし、爾なんぢの淚なみだの流ながれを以もつて野のに盈みてて、我われ等らの爲ために痛つう悔くわいの果みを生しやうじ給たまへり、故ゆゑに我われ等らは爾なんぢの記き憶おくを祭まつる。

 規程カノン、第八調。

第一歌頌

イルモス 昔むかし奇き跡せきを行おこなふモイセイの杖つゑは、十じふ字じ形かたに擊うちて、海うみを分わかち、車くるまに乘のりて追おい來くるファラオンを沈しづめ、徒步かちにて逃のがるるイズライリ、神かみを讚ほめ歌うたふ者ものを救すくひ給たまへり。

神福しんぷくなる(某)よ、爾なんぢは齋ものいみを以もつて敬虔けいけんに度ど生せいして、諸慾しよよくを斷たち、貞潔ていけつの德とくに輝かゞやきて、潔いさぎよき言ことばに聘定へいていせられて、生命いのちに導みちびく其その跡あとに從したがひ給たまへり。

光くわう榮えいなる克肖女こくせうぢよ(某)よ、爾なんぢは神聖しんせいなる諸神しよしん父ぷの敎をしへに從したがひ、熱切ねつせつに彼かれ等らの風習ふうしふに效ならひて、肉體にくたいなき者ものの如ごとく、節制せつせいと、潔けつ淨じやうと、貞潔ていけつと、眞まことの謙遜けんそんとを以もつて生いのちを送おくり給たまへり。

 生神女讚詞

我われ等らは神聖しんせいなる壺つぼ及および生命いのちの糧かてを載のする筵えん、耕作かうさくせられざる田た、聖せいなる山やまたる生しやう神しん童貞女どうていぢよを歌うたを以もつて讚榮さんえいせん。

第三歌頌

イルモス 主しゆ、天てんの穹蒼おほぞらの至し上じやうなる造成者ざうせいしや、敎けう會くわいの建立者こんりふしや、冀望きばうの極かぎり、信者しんじやの固かため、獨ひとり人ひとを愛あいする者ものよ、我われを爾なんぢの愛あいに堅かため給たまへ。

(某)よ、爾なんぢは全能者ぜんのうしやの選えらばれたる新婦はなよめと爲なりて、天てんの輝かゞやける宮みやに入いり、醫治いやしの河かはを注そゝぎて、我われ等らの諸慾しよよくの流ながれを涸からし給たまふ。

爾なんぢは大仁だいじん慈じに由よりて人體じんたいを取とりしハリストスを愛あいする愛あいに熱ねつして、生いのちを施ほどこす彼かれの言ことばに從したがひて、世せ上じやうの一切いつさいの榮華えいぐわを忌いみ給たまへり。

福ふくたる(某)よ、爾なんぢは德とくの金色こんじきの翼つばさを獲えて、淨きよき鴿はとの如ごとく天てんの髙たかきに飛とび上あがり給たまへり。

 生神女讚詞

神かみの恩おん寵ちようを蒙かうむれる至し淨じやうなる童貞女どうていぢよよ、人類じんるゐは爾なんぢの胎内たいないより言いひ難がたく人體じんたいを取とりし主しゆの恩おん寵ちように因よりて救すくはれたり、故ゆゑに我われ等ら爾なんぢを尊たふとみて、敬虔けいけんに讚揚さんやうす。

 坐誦讚詞セダレン、第四調。

克肖女こくせうぢよよ、爾なんぢは齋ものいみの聖せいなる功勞こうらうの美うるはしきに飾かざられたる者ものと現あらはれて、ハリストスの無む玷てんなる新婦はなよめとして彼かれと偕ともに不ふ朽きうの宮みやに入いりて、彼かれの華麗くわれいを樂たのしみ給たまふ。求もとむ、愛あいを以もつて爾なんぢを歌うたふ我われ等らが凡およその患くわん難なんより救すくはれんことを祈いのり給たまへ。

 光榮、今も、生神女讚詞。

純じゆん潔けつ無む玷てんにして婚姻こんいんに與あづからざる童貞女どうていぢよ、獨ひとり 時ときに由よらざる子こ及および神かみの言ことばを時ときの内うちに生うみし者ものよ、彼かれに神聖しんせい尊そん貴きなる使徒しと、致ち命者めいしや、預よ言者げんしや、克肖者こくせうしやと偕ともに祈いのりて、我われ等らに潔けつ淨じやうと大おほいなる憐あはれみとを賜たまはんことを求もとめ給たまへ。

 十字架生神女讚詞

至いたりて無む玷てんなる童貞女どうていぢよ、ハリストス神かみの母はゝよ、爾なんぢが己おのれの子こ及および神かみの甘あまんじて十じふ字架じかに釘ていせらるるを見みし時とき、劍つるぎは爾なんぢの至し聖せいなる靈たましひを貫つらぬきたり、祝しゆく福ふくせられし者ものよ、我われ等らに諸罪しよざいの赦ゆるしを賜たまはんことを絕たえず彼かれに禱いのり給たまへ。

第四歌頌

イルモス 主しゆよ、我われ爾なんぢが攝せつ理りの祕ひ密みつを聆きき、爾なんぢの作爲しわざを悟さとり、爾なんぢの神性しんせいを讚榮さんえいせり。

克肖女こくせうぢよ(某)よ、爾なんぢの光くわう明めいなる慶けい賀がは聖神せいしん゜の光ひかりにて輝かゞやきて、信しんを以もつて爾なんぢを歌うたふ我われ等らの靈たましひを照てらす。

主宰しゆさいを知しらざる者ものは爾なんぢの神聖しんせいなる奇き跡せきに由よりて之これを知しり、之これを信しんずる者ものと爲なりて、迷まよひの暗やみを棄すてたり。

(某)よ、爾なんぢは潔いさぎよく肢し體たいを殺ころすことと節制せつせいの勤勞きんらうとを禮物れいもつとしてハリストスに捧さゝげて、其その賞むくいとして天てんの國くにと永遠えいゑんの樂たのしみとを受うけ給たまへり。

 生神女讚詞

我われ等らの卑ひくくなりたる性せいを髙たかく上あげし主しゆを生うみたる至し淨じやうなる者ものよ、髙たかぶりて度ど生せいする我われを卑ひくくして救すくひ給たまへ。

第五歌頌

イルモス 主しゆよ、我われ等ら夙つとに興おきて爾なんぢに籲よぶ、我われ等らを救すくひ給たまへ、爾なんぢは我われ等らの神かみなればなり、爾なんぢの外ほか他たの神かみを知しらず。

母はゝ(某)よ、爾なんぢは潔いさぎよく造物主ざうぶつしゆに向むかひて擧あげたる爾なんぢの手てを以もつて敵てきの驕おごりを斃たふし給たまへり。

母はゝよ、至し上じやう者しやは爾なんぢの右みぎの手てを取とりて、爾なんぢを己おのれの天てん上じやうの樂たのしみに導みちびき給たまへり。

最いと尊たふとき(某)よ、爾なんぢは齋ものいみを以もつて狭せまき路みちを過とほりて、樂園らくゑんの廣ひろきに至いたり給たまへり。

 生神女讚詞

至し淨じやうなる神かみの母はゝよ、爾なんぢを生しやう神女しんぢよと承うけ認とめざる者ものは爾なんぢより生うまれし光ひかりを見みるを得えざらん。

第六歌頌

イルモス 光ひかりを衣ころもの如ごとく衣きる慈じ憐れんの深ふかきハリストス我わが神かみよ、我われに光くわう明めいの衣ころもを予あたへ給たまへ。

最いと尊たふとき(某)よ、爾なんぢは肉體にくたいの動うごきを殺ころし、大おほいに諸慾しよよくを制せいして、今いま無む慾よくの光くわう明めいなる處ところに居をり給たまふ。

光くわう榮えいなる者ものよ、爾なんぢは救世主きうせいしゆの像すがたに伏拜ふくはいする風習ならはしを得えて、爾なんぢの行おこなひと言ことばとを以もつて彼かれの救すくひの敎をしへを守まもり給たまへり。

至し榮えいなる母はゝ(某)よ、ハリストスは爾なんぢを信しんを以もつて爾なんぢに求もとむる者ものの爲ために生命いのちの雨あめを降ふらす雲くもと爲なし給たまへり。

 生神女讚詞

至し淨じやうなる者ものよ、爾なんぢの子こは我われ等らの爲ために肉體にくたいと成なりたれども、神性しんせいの華麗くわれいを以もつて衆しゆう人じんより最いと美うるはし。

小讚詞コンダクは奉事例に据る。若し奉事例になくば、下の小讚詞コンダクを誦せよ。第二調。

克肖こくせうなる者ものよ、爾なんぢは主しゆを愛あいするに因よりて世せ俗ぞくの安樂あんらくを厭いとひ、齋ものいみを以もつて爾なんぢの神しん゜を照てらして、勇いさましく猛獸まうじうに勝かてり、求もとむ、爾なんぢの祈き禱たうを以もつて諸敵しよてきの驕おごりを破やぶり給たまへ。

 同讚詞イコス

我わが神かみよ、我われに言ことばの流ながれを與あたへ、我わが智慧ちゑを讚さん美びの泉いづみと爲なし、我わが舌したに福ふくを降くだし給たまへ、我わが爾なんぢの恩おん寵ちようの榮えい冠くわんにて飾かざられたる爾なんぢの牝め羊ひつじを歌うたはん爲ためなり、蓋けだし若もし爾なんぢ親みづから宜よろしきに合かなふ言ことばを我われに與あたへずば、如何いかんぞ我われ貧まづしき者ものは言ことばと行おこなひとに富とめる者ものに禮物れいもつを捧さゝぐるを得えん、故ゆゑに我われに其その功勞こうらうを讚揚さんやうせん爲ために力ちからを與あたへ給たまへ、蓋けだし彼かれは勇いさましく猛獸まうじうに勝かてり、求もとむ、彼かれの祈き禱たうに由よりて諸敵しよてきの驕おごりを破やぶり給たまへ。

第七歌頌

イルモス エウレイの少者せうしやは爐ゐろりに在ありて勇いさましく燄ほのほを踐ふみ、火ひを露つゆに變へんじて籲よべり、主しゆ神かみよ、爾なんぢは世世よよに崇あがめ讚ほめらる。

克肖女こくせうぢよ(某)よ、爾なんぢは朽くつべき榮華えいぐわを顧かへりみずして、目めを注そゝぎて、彼處かしこにある報賞むくい及および光ひかり、神かみの過すぎざる光くわう榮えいと、華くわ美びと、神聖しんせいなる居處すまひとを見み給たまへり。

爾なんぢは朽くつべき世よを天てん上じやうの老おいざる生命いのちに、暫ざん時じの樂たのしみを永在えいざいの樂園らくゑんに、肉體にくたいの聘定者へいていしやを天てんの新郎はなむこに易かへ給たまへり。

(某)よ、爾なんぢは神かみを愛あいする心こゝろを得えて、肉體にくたいと共ともに諸天しよてん使しに似にたる者ものと爲なりて、熱切ねつせつに警醒けいせいして歌うたへり、主しゆ神かみよ、爾なんぢは世世よよに崇あがめ讚ほめらる。

 生神女讚詞

童貞女どうていぢよよ、爾なんぢは我わが多おほくの惡あくが我われに及およぼしし憂うれひを見みる、求もとむ、我われを火燄くわえんより脫のがれしめ給たまへ、蓋けだし我われ呼よぶ、主しゆ神かみよ、爾なんぢは世世よよに崇あがめ讚ほめらる。

第八歌頌

イルモス 神かみを傳つたふる少者せうしやは爐ゐろりの中うちに焔ほのほを蹈ふみて歌うたへり、主しゆの造物ざうぶつは主しゆを崇あがめ讚ほめよ。

母はゝよ、爾なんぢは潔けつ淨じやうの光ひかりに飾かざられ、潔いさぎよき生命いのちに輝かゞやきて、爾なんぢの新郎はなむこハリストス我われ等らの神かみの前まへに立たち給たまふ。

克肖女こくせうぢよよ、不ふ朽きうにして柩ひつぎに藏をさめられたる爾なんぢの聖せい軀くは人人ひとびとの種種しゆじゆの病やまひを醫いやし、惡あく鬼きの害がいを逐おふ。

克肖こくせうなる母はゝ(某)よ、爾なんぢは聖せいにせられし祭まつり、光くわう明めいなる禮物れいもつとして、馨かうばしき香かう爐ろの如ごとく、萬有ばんいうの主宰しゆさいハリストス我われ等らの神かみに捧さゝげられたり。

 生神女讚詞

童貞女どうていぢよよ、爾なんぢは言ことばに超こえて不ふ朽きうなる言ことば、我われ等らを凡およその朽きう壞くわいより救すくふ主しゆを生うみ給たまへり、故ゆゑに我われ等ら信しんを以もつて爾なんぢを崇あがめ讚ほむ。

第九歌頌

イルモス 凡およその者ものは神かみの言いひ難がたき寬くわん容ようの事こと、如何いかに至し上じやう者しやが甘あまんじて肉體にくたいを取とるまでに降くだりて、童貞女どうていぢよの腹はらより人ひとと爲なりしかを聞ききて、恐おそれざるなし、故ゆゑに我われ等ら信者しんじやは至し淨じやうなる生しやう神女しんぢよを崇あがめ讚ほむ。

爾なんぢは新郎はなむこの無む形けいなる華麗くわれいを慕したひ、潔いさぎよく彼かれを愛あいして、熱切ねつせつに呼よべり、爾なんぢは何處いづこにか息いこふ、何處いづこにか群ぐんを牧ぼくする、願ねがはくは我われ爾なんぢの許もとに息いこひ、爾なんぢの光ひかりの中うちに樂たのしみて、爾なんぢの仁じん慈じを崇あがめ讚ほめん。

福ふくたる(某)よ、爾なんぢは己おのれの靈たましひの中うちに睿えい智ちと、謙遜けんそんと、神聖しんせいなる温柔をんじう、神かみに於おける疑うたがひなき信しんと、望ばうと、愛あいとを有たもちて、徹てつ夜やの祈き禱たうを以もつて彼かれに近ちかづきたり、故ゆゑに彼處かしこにある光くわう照せうに照てらされて輝かゞやき給たまふ。

最いと尊たふとき克肖女こくせうぢよ(某)よ、今日こんにち人人ひとびと集あつまりて、爾なんぢの此この聖せいなる慶けい賀がを大おほいなりとせし主しゆを讚さん美びを以もつて崇あがめ讚ほむ、新郎はなむこハリストスの前まへに立たちて、此この慶けい賀がに於おいて爾なんぢを記き憶おくする我われ等らを記き憶おくし給たまへ。

 生神女讚詞

童貞女どうていぢよより生うまれて、產さんの後のちに爾なんぢを生うみし者ものを不ふ朽きうに護まもりし神かみよ、坐ざして我わが行おこなひを審判しんぱんせん時とき、我われを宥なだめ給たまへ、仁じん慈じにして人ひとを愛あいする神かみとして、我わが不ふ法はふと諸罪しよざいとを顧かへりみること勿なかれ。

 光耀歌

人人ひとびとに恥はぢを蒙かうむらする誘惑者いうわくしやを免まぬかれて、其その謀はかりごとの無智むちなるを顯あらはしし克肖女こくせうぢよ(某)、貞潔者ていけつしやの華麗くわれい、修道女しうだうぢよの装さう飾しよくなる者ものよ、爾なんぢは靈たましひと體からだとには童女どうぢよにして、智慧ちゑと信しんに於おいては男だん子しなり。

 生神女讚詞

潔いさぎよき者ものよ、我われに靈れい智ちなる樂たのしみの日ひを輝かゞやかし給たまへ、蓋けだし爾なんぢは幽暗くらやみに在ある者ものの光ひかり及および生命いのちなり、萬ばん衆しゆうの女宰ぢよさいとして凡およそ欲ほつする所ところを行おこなふを能よくするに因よりて、衆しゆう人じんを凶きよう惡者あくしやの誘惑いざなひより、憂うれふる者ものを諸もろもろの禍わざはひより救すくひ給たまへ。

 「凡そ呼吸ある者」に讚頌スティヒラ、第四調。

(某)よ、爾なんぢは齋ものいみの勤勞きんらうを以もつて肉體にくたいの動揺うごきを靈たましひに服ふくせしめ、ハリストスに從したがひて、修齋女しゆさいぢよの中うちに入いり、淚なみだの神聖しんせいなる雨あめを以もつて逸樂いつらくの望のぞみを滅けし、造成主ざうせいしゆを愛あいする愛あいを盛さかんに燃もやし給たまへり。二次

嗚呼あゝ睿えい智ちなる(某)よ、爾なんぢは靈たましひの潔けつ淨じやうに由よりて聖神せいしん゜の殿でんと爲なりて、衆おほくの人人ひとびとを靈たましひを益えきする齋ものいみの功勞こうらうに導みちびき、彼かれ等らを救すくはれたる者ものと爲なして、之これを結納ゆひなうとして主宰しゆさいに攜たづさへ給たまへり、彼かれ等らと偕ともに我われ等ら信しんを以もつて爾なんぢを尊たふとむ。

嗚呼あゝ(某)よ、少女せうぢよは爾なんぢの敎をしへに從したがひて、新郎はなむこ及および主しゆを愛あいし、神しん゜を以もつて肉體にくたいの柔にう弱じやくを堅かため、敬虔けいけんに諸慾しよよくを制せいして、爾なんぢと偕ともに天てん上じやうの神聖しんせいなる宮みやに入いれられて、常つねに樂たのしむ。

 光榮、第八調。

嗚呼あゝ至し榮えいなる奇き跡せきや、蓋けだし爾なんぢは全まつたく己おのれを神かみに委ゆだねて、齋ものいみの勤勞きんらうを以もつて肉慾にくよくに勝かち、節制せつせいを以もつて惡あく鬼きを踐ふみ、熱切ねつせつなる淚なみだを以もつて神聖しんせいなる愛あいを養やしなひて、全能者ぜんのうしやの新婦はなよめと爲なり給たまへり。

 今も、生神女讚詞。

我われ等らは天てん使し首しゆガウリイルの聲こゑに效ならひて言いはん、慶よろこべよ、神かみの母はゝ、世せ界かいの爲ために生命いのちを賜たまふ主しゆハリストスを生うみし者ものや。

 十字架生神女讚詞

至し淨じやうなる者ものは爾なんぢが身みにて木きの上うへに懸かゝれるを見みし時とき、心こゝろ裂さかれ、泣なきて呼よべり、言ことば、至し愛あいなるイイスス、我わが子こ及および主しゆよ、如何いかんぞ爾なんぢ隱かくれたる、ハリストスよ、我われ爾なんぢを生うみし者ものを獨ひとり遺のこす勿なかれ。

若し挿句くづけに光榮あらば、晩課の、今も、生神女讚詞、或は十字架生神女讚詞を誦せよ。

 

第二十三編 二人或は多人の克肖女の總奉事

 晩課

「主よ爾に籲ぶ」に讚頌スティヒラ、第一調。

爾なんぢ等らは上うへより輝かゞやく光くわう線せんの如ごとく、無む形けいの光ひかりを以もつて世せ界かいを照てらし、幽暗くらやみを散さんじ、惡あく鬼きの凶きよう惡あくなる軍ぐんを逐おふ、故ゆゑに我われ等らは爾なんぢ等らの光くわう明めいにして神聖しんせいなる慶けい賀がを祭まつる。

最いと尊たふとき者ものよ、爾なんぢ等らは樂園らくゑんの華麗くわれいを見みて、豐ゆたかに之これに養やしなはれて、世せ界かいの爲ために神聖しんせいなる智慧ちゑの不ふ朽きうの花はなを生しやうじたり、我われ等ら今日こんにち屬神ぞくしん゜の愛あいを以もつて之これに與あづかりて、凡およその靈たましひの善果ぜんくわを結むすぶ。

最いと尊たふとき者ものよ、爾なんぢ等らは修道女しうだうぢよの度ど生せいを以もつて衆しゆう人じんの爲ために日ひの如ごとく輝かゞやきて、修齋者しゆさいしやの大數たいすうを飾かざり給たまへり、故ゆゑに彼かれ等らと偕ともに榮えいせられ、神聖しんせいなる光くわう榮えいを樂たのしみて我われ等らの救すくはれんことを祈いのり給たまふ。

 光榮、今も、生神女讚詞。

神かみの母はゝよ、我われ諸罪しよざいの海うみに荒あらさるる者ものは爾なんぢの至し淨じやうなる祈き禱たうの穩おだやかなる港みなとに着つきて呼よぶ、純じゆん潔けつなる者ものよ、爾なんぢの權能けんのうの右みぎの手てを伸のべて、爾なんぢの僕ぼくを救すくひ給たまへ。

 十字架生神女讚詞

視みよ、昔むかし我われに預よ言げんせられし如ごとく、吾わが子こハリストスよ、戈ほこは吾わが心こゝろを貫つらぬきたり、是これ我わが爾なんぢ地ち上じやうの諸しよ子しより最いと美うるはしき者ものが甘あまんじて盜賊たうぞくと偕ともに犯罪者はんざいしやの如ごとく十じふ字架じかに懸かけられたるを見みし時ときなり。

若し之あらば、自調。光榮、第八調。

爾なんぢ等らは淚なみだの流ながれを以もつて肉慾にくよくの燃もゆるを滅けし、神聖しんせいなる熱心ねつしんを起おこして、ハリストス王わうを愛あいして、潔いさぎよく彼かれに合あはせられたり。故ゆゑに今いま天てん上じやうの宮みやに入いりて、仁愛じんあいなる主しゆに爾なんぢ等らを尊たふとむ者ものの爲ために禱いのり給たまへ。

 今も、 生神女讚詞

女宰ぢよさいよ、爾なんぢの諸僕しよぼくの祈禱いのりを納いれて、我われ等らを諸もろもろの災禍わざはひと憂愁うれひより救すくひ給たまへ。

若し多燭詞ポリエレイを以て祭を行はば、復活の生神女讚詞を誦すべし。

 聖入。本日の提綱ポロキメン。克肖者の喩言パリミヤ三篇、巻末に載す。

 挿句くづけの讚頌スティヒラ、第四調。

克肖女こくせうぢよよ、爾なんぢ等らは生命いのちに導みちびく細ほそき路みちを行ゆき、穩おだやかなる風かぜに由よりて世よを度わたり、勇いさましく惡あく鬼きの攻擊こうげきを退しりぞけて、修齋女しゆさいぢよの譽ほまれと爲なれり、故ゆゑに天てんの國くにを嗣つぐ者ものと爲なりて、絕たえず言いひ難がたき華麗くわれいを樂たのしみ給たまふ。

句 神かみよ、爾なんぢは爾なんぢの聖所せいしよに於おいて嚴おごそかなり。

爾なんぢ等らの至いたりて光くわう明めいなる生命いのちは諸天しよてん使しを驚おどろかし、惡あく鬼きの軍ぐんを恐おそれしめ、信者しんじやの會くわいを美うるはしく飾かざりて、常つねに之これにハリストスの天てん上じやうの居處すまひに往ゆく路みちを示しめす。求もとむ、信しんを以もつて爾なんぢ等らの最いと尊たふとき記き憶おくを行おこなふ者ものの朽きう壞くわい及および患くわん難なんより救すくはれんことをハリストスに祈いのり給たまへ。

句 聖人せいじんの死しは主しゆの目めの前まへに貴たつとし。

克肖女こくせうぢよよ、爾なんぢ等らは野のに居をりて、心こゝろと思おもひとを獨ひとり神かみに捧さゝげ、日日ひびに歌か頌しようと讚さん美びとをハリストスに奉たてまつりて、大おほいなるモイセイの如ごとく山さん上じやうに登のぼり、見みえざる敵てきに勝かちて、聖神せいしん゜の潔いさぎよき器うつはと爲なり給たまへり。

 光榮、第四調。

克肖女こくせうぢよよ、少女せうぢよ等らは新郎はなむこたる主しゆを愛あいして、彼かれの敎をしへに從したがひ、神しん゜を以もつて肉體にくたいの柔にう弱じやくを堅かためて、敬虔けいけんに諸慾しよよくを制せいし、爾なんぢ等らと偕ともに天てん上じやうの宮みやに入いれられて、常つねに樂たのしむ。

 今も、生神女讚詞。

滅けされぬ燈ともしび、義ぎの王わうの寶はう座ざたる至し淨じやうなる女宰ぢよさいよ、我われ等らの靈たましひの救すくはれんことを禱いのり給たまへ。

 十字架生神女讚詞

母はゝよ、我われ爾なんぢの子こ及および神かみ、地ちを寄よする所ところなく水みづの上うへに懸かけて、萬物ばんぶつを造つくりし者ものが木きの上うへの懸かゝれるを見みて、泣なく毋なかれ、蓋けだし我われ起おきて光くわう榮えいを獲え、異い能のうを以もつて地ぢ獄ごくの國くにを破やぶり、其その力ちからを滅ほろぼし、慈じ憐れんの者ものとして、俘擄とりこを其その惡業あくげふより救すくひ、人ひとを愛あいする者ものとして之これを吾わが父ちゝの許もとに攜たづさへん。

克肖女の讚詞トロパリ、第二調。

光くわう榮えいなる者ものよ、爾なんぢ等らは地ち上じやうの婚姻こんいんを忌いみて、熱切ねつせつなる愛あいを以もつてハリストスの新婦はなよめと爲なり、諸德しよとくの功勞こうらうに生せい長ちやうして、不ふ朽きうの髙たかきに登のぼり、靈たましひの美うるはしく善行ぜんかうの富とめる者ものにして、修道女しうだうぢよの柱はしら及および範のりと爲なり給たまへり。求もとむ、愛あいを以もつて爾なんぢ等らの記き憶おくを祭まつる我われ等らの爲ために絕たえず禱いのり給たまへ。

 光榮、 今も、生神女讚詞、或は十字架生神女讚詞。

 早課

「主は神なり」に讚詞トロパリ同上。

 第一の「カフィズマ」の後に坐誦讚詞セダレン、第三調。

聖せいにして福ふくたる克肖女こくせうぢよよ、爾なんぢ等らは世よの榮華えいぐわを棄すてて、朽くつべき富とみを過すぎ去さらぬ常住じやうぢゆうなる者ものに易かへたり、故ゆゑに我われ等らは諸聖人しよせいじんと偕ともに爾なんぢ等らの聖せいにせられし記き憶おくを讚榮さんえい慶けい賀がして、爾なんぢ等らの祈き禱たうに由よりて大おほいなる憐あはれみを得えんことを求もとむ。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

神かみの恩おん寵ちようを蒙かうむれる女宰ぢよさいよ、爾なんぢに於おいて行おこなはれたる畏おそるべき神かみの奧密あうみつは量はかり難がたく悟さとり難がたし、蓋けだし爾なんぢは限かぎられぬ者ものを孕はらみ、之これを爾なんぢの至し淨じやうなる血ちより身みを衣きたる者ものとして生うみ給たまへり。潔いさぎよき者ものよ、彼かれに其その爾なんぢの子こたるに因よりて、我われ等らの靈たましひの救すくはれんことを常つねに禱いのり給たまへ。

 第二の「カフィズマ」の後に坐誦讚詞セダレン、第五調。

福ふくたる克肖女こくせうぢよよ、爾なんぢ等らは節制せつせいを以もつて己おのれの生命いのちを飾かざり、肢し體たいを殺ころして敵てきの誘惑いざなひに勝かち、野のの住ぢゆう者しやにして、世せ界かいの爲ために靈れい智ちなる燈ともしびと顯あらはれたり。求もとむ、主しゆに我われ等らの靈たましひを憐あはれまんことを禱いのり給たまへ。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

我われ等ら信者しんじやは爾なんぢを港みなとと垣墻かきと、避所かくれが、倚賴たのみと、帲幪おほひ、及および熱切ねつせつなる轉達者てんたつしやとして得えて、爾なんぢに趨はしり附つき、慎つゝしみて呼よび、熱心ねつしんに禱いのる、生しやう神女しんぢよよ、爾なんぢを賴たのむ者ものを憐あはれみて、諸罪しよざいより救すくひ給たまへ。

「主の名を讚め揚げよ」の後に附唱。

克肖こくせうなる母等はゝたちよ、我われ等らは爾なんぢ等らを讚さん美びして、爾なんぢ等らの聖せいなる記き憶おくを尊たふとむ、爾なんぢ等らは我われ等らの爲ためにハリストス我わが神かみに祈いのり給たまへばなり。

 拔萃聖詠

「我切に主を恃みしに、彼我に傾きて。」

 多燭詞ポリエレイの後に坐誦讚詞セダレン、第八調。

福ふくたる者ものよ、爾なんぢ等らは警醒けいせいして隱ひそかなる祈き禱たうを爲なし、聖書せいしよを樂たのしみ、主しゆの十じふ字架じかを任になひて、節制せつせいを以もつて彼かれに從したがひ、蛇へびの悉ことごとくの誘惑いざなひに勝かちて、ハリストスに呼よべり、天てんの新郎はなむこよ、爾なんぢ我われ等らの爲ために固かためと爲なり給たまへ。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

我われ等らの爲ために童貞女どうていぢよより生うまれ、十じふ字架じかに釘くぎうたるるを忍しのび、神かみなるに依よりて死しにて死しを滅ほろぼし、復ふく活くわつを顯あらはしし仁じん慈じなる主しゆよ、爾なんぢの手てにて造つくりし者ものを棄すつる勿なかれ、慈じ憐れんの主しゆよ、爾なんぢが人ひとを愛あいする愛あいを顯あらはして、我われ等らの爲ために祈き禱たうする所ところの爾なんぢを生うみし生しやう神女しんぢよを受うけ給たまへ、我わが救主きうしゆよ、望のぞみを失うしなへる人人ひとびとを救すくひ給たまへ。

 品第詞ステペンナ、第四調の第一倡和詞アンティフォン。

 提綱ポロキメン

神かみよ、爾なんぢは爾なんぢの聖所せいしよに於おいて嚴おごそかなり。

句 イズライリの源みなもとより出いづる者ものよ、敎けう會くわいに於おいて主しゆ神かみを崇あがめ讚ほめよ。

「凡そ呼吸ある者」

克肖女の福音經、巻末に載す。

 第五十聖詠の後に讚頌スティヒラ、第八調。

爾なんぢ等らは淚なみだの流ながれを以もつて肉慾にくよくの燃もゆるを滅けし、神聖しんせいなる熱心ねつしんを起おこして、ハリストス王わうを愛あいして、潔いさぎよく彼かれに合あはせられたり。故ゆゑに今いま天てん上じやうの宮みやに入いり、仁愛じんあいなる主しゆに爾なんぢ等らを尊たふとむ者ものの爲ために禱いのり給たまへ。

「主よ爾に籲ぶ」の光榮に載す。

 規程カノン、第八調。

第一歌頌

イルモス 昔むかし奇き蹟せきを行おこなふモイセイの杖つゑは、十じふ字じ形かたに擊うちて、海うみを分わかち、車くるまに乘のりて追おい來くるファラオンを沈しづめ、徒步かちにて逃のがるるイズライリ、神かみを讚ほめ歌うたふ者ものを救すくひ給たまへり。

克肖女こくせうぢよよ、爾なんぢ等らは柔にう弱じやくなる身みを以もつて强つよき敵てきを斃たふし、神かみに合あはせられて、我われ等ら衆しゆうに救すくひの力ちからを賜たまはんことを禱いのり給たまふ。

爾なんぢ等らは新郎はなむこの華麗くわれいを愛あいして、彼かれに就つきて、生命いのちに導みちびく彼かれの後あとに從したがへり、故ゆゑに敵てきたる蛇へびを斃たふし給たまへり。

克肖女こくせうぢよよ、爾なんぢ等らは齋ものいみの勤勞きんらうを以もつて肉體にくたいの華くわ美びを凋しぼませ、爾なんぢ等らの靈たましひを飾かざりて、新郎はなむこハリストスと偕ともに光くわう明めいなる宮みやに入いり給たまへり。

 生神女讚詞

童貞女どうていぢよよ、爾なんぢの腹はらは仁じん慈じに由よりて現あらはれんと欲ほつせし主しゆの爲ために光くわう明めいなる宮みやと爲なれり、彼かれは爾なんぢより身みを取とりて出いでて、衆しゆうを神しん智ちの光ひかりにて照てらし給たまへり。

第三歌頌

イルモス 主しゆ、天てんの穹蒼おほぞらの至し上じやうなる造成者ざうせいしや、敎けう會くわいの建立者こんりふしや、冀望きばうの極かぎり、信者しんじやの固かため、獨ひとり人ひとを愛あいする者ものよ、我われを爾なんぢの愛あいに堅かため給たまへ。

尊そん貴き神福しんぷくなる者ものよ、爾なんぢ等らは肉體にくたいの美うるはしきを顧かへりみず、過すぎ易やすき榮華えいぐわを夢ゆめの如ごとく見みて、謙遜へりくだりと齋ものいみとを以もつて神かみを尋たづね給たまへり。

克肖女こくせうぢよの聖せい軀くは耀かゞやきて、信しんを以もつて之これに趨はしり附つく者ものに醫治いやしを與あたふ、蓋けだし彼かれ等らは主しゆの自じ由いうなる苦くるしみに效ならひて、救すくひの泉いづみより恩おん寵ちようを汲くみたり。

爾なんぢ等らは世よと肉にくの念おもひとを棄すてて、節制せつせいと勤勞きんらうとを以もつて至し淨じやうなる新郎はなむこハリストスを獲えたり、彼かれは爾なんぢ等らに天てんの宮みや及および神聖しんせいなる樂たのしみを賜たまふ。

 生神女讚詞

至し淨じやうなる童貞女どうていぢよよ、昔むかし聖せいなる預よ言者げんしやの聖せいにせられし角らつぱは預あらかじめ爾なんぢを知しらせて、光ひかりを放はなつ門もん、活いける巻軸まきもの、之これに言ことばが言ことばに超こえて手てに由よらずして錄しるされたる者ものと爲なせり。

 坐誦讚詞セダレン、第四調。

光くわう明めい尊そん貴きなる克肖女こくせうぢよよ、爾なんぢ等らはハリストスの十じふ字架じかを肩かたに任になひ、修齋しゆさいの行おこなひを以もつて忠ちゆう信しんに彼かれに從したがひて、凡およその修齋女しゆさいぢよの爲ために範のりと現あらはれたり。神聖しんせいなる勤勞きんらうを以もつて天てん上じやうの國くにを嗣つぎたる者ものよ、我われ等らの靈たましひの救すくはれんことを絕たえず禱いのり給たまへ。

 光榮、今も、生神女讚詞。

生しやう神しん童貞女どうていぢよ、獨ひとり祝しゆく福ふくせられし者ものよ、我われ等らは爾なんぢより身みを取とりし者ものを父ちゝの言ことばハリストス我われ等らの神かみなりと知しれり、故ゆゑに絕たえず爾なんぢを歌うたひて崇あがめ讚ほむ。

 十字架生神女讚詞

ハリストスよ、爾なんぢ無む原げんなる父ちゝより生うまれし主しゆを末すゑの時ときに身みにて生うみし者ものは爾なんぢが十じふ字架じかに懸かゝれるを見みて呼よべり、哀かなしい哉かな至し愛あいなるイイスス吾わが子こよ、如何いかんぞ爾なんぢ諸天しよてん使しより神かみとして讚榮さんえいせらるる者ものは今いま不ふ法はふなる人人ひとびとより甘あまんじて十じふ字架じかに釘ていせらるる、恒忍ごうにんなる主しゆよ、我われ爾なんぢを歌うたふ。

第四歌頌

イルモス 主しゆよ、我われ爾なんぢが攝せつ理りの祕ひ密みつを聆きき、爾なんぢの作爲しわざを悟さとり、爾なんぢの神性しんせいを讚榮さんえいせり。

克肖こくせうなる女等をんなたちは節制せつせいを以もつて肉體にくたいの華くわ美びを凋しぼませて、己おのれの至し愛あいなる新郎はなむこの至し淨じやうなる華麗くわれいを仰あふぎ給たまふ。

聖せいにせられし女等をんなたちよ、爾なんぢ等らは靈たましひの眶まぶたより眠ねむりを拂はらいて、節制せつせいを以もつて肉體にくたいの動揺うごきを眠ねむらせ給たまへり。

克肖女こくせうぢよよ、聖神せいしん゜の光ひかりに輝かゞやける爾なんぢ等らの光くわう明めいなる慶けい賀がは信しんを以もつて爾なんぢ等らを尊たふとむ我われ等らの靈たましひを照てらす。

 生神女讚詞

主しゆよ、克肖女こくせうぢよは爾なんぢ至し淨じやうなる童貞女どうていぢよより身みを取とりし者ものを慕したひ、爾なんぢを愛あいする神聖しんせいなる愛あいに刺さされて、爾なんぢの香料かうれうの香氣かをり逐おひて趨はしれり。

第五歌頌

イルモス 隱かくれざる光ひかりよ、何なんぞ我われを爾なんぢの顏かんばせより退しりぞけし、外ほかの闇やみは憐あはれなる我われを掩おほへり、祈いのる、我われを返かへして、我わが途みちを爾なんぢの誡いましめの光ひかりに向むかはしめ給たまへ。

最いと尊たふとき者ものよ、爾なんぢ等らは聖神せいしん゜の力ちからに藉よりて諸しよ病びやうを解とき、爾なんぢ等らの奇き跡せきの至し榮えいなる光くわう線せんを以もつて病やまひの幽暗くらやみを逐おひ、信者しんじやを天てんの國くにの大おほいなる光ひかりに導みちびく。

尊榮そんえい神福しんぷくなる者ものよ、爾なんぢ等らは世よの爲ために殺ころされて、不死ふしの生命いのちを嗣つぎ、齋ものいみの油あぶらを以もつて爾なんぢ等らの燈ともしびを滅けされぬ者ものと守まもりて、神聖しんせいなる宮みやに入いるを得えたり。

福ふくたる者ものよ、爾なんぢ等らは暫ざん時じにして朽くつべき生命いのちを意いとせずして、屬神ぞくしんの愛あいに縛しばられて、唯たゞ天てんの新郎はなむこに至いたるを重おもんぜり、故ゆゑに今いま義ぎ人じん等らの居住すまひのある處ところに居をり給たまふ。

 生神女讚詞

至し淨じやうなる者ものよ、神かみの言ことば 神かみは爾なんぢを童貞女どうていぢよと護まもりて、甘あまんじて爾なんぢの婚姻こんいんに與あづからざる胎内たいないに入いりて、人ひとと見みられたり、少女せうぢよ等らは彼かれを慕したひて、齋ものいみと光くわう明めいなる度ど生せいとを以もつて彼かれに從したがへり。

第六歌頌

イルモス 我われ禱いのりを主しゆの前まへに灌そゝぎ、我わが憂うれひを彼かれに吿つげん、我わが靈たましひは惡あくに滿みち、我わが生命いのちは地ぢ獄ごくに近ちかづきたればなり、我われイオナの如ごとく祈いのる、神かみよ、我われを淪亾ほろびより引ひき上あげ給たまへ。

聖せいにせられし女等をんなたちよ、爾なんぢ等らは節制せつせいと謙遜けんそんの心こゝろ、警醒けいせいと矜恤きようじゆつ、智慧ちゑと信しん、幷ならびに全まつたき愛あいを獲えて、神かみの殿でん及および奇き跡せきの盡つきざる泉いづみと爲なり給たまへり。

尊そん貴きにして奇異きいなる者ものよ、爾なんぢ等らは我われ等らの爲ために地ちに降くだりて地ち上じやうに首かうべを枕まくらする處ところなかりし主しゆを愛あいするに因よりて、度ど生せいの逸樂いつらくを疎うとんじ、齋ものいみの勤勞きんらうを忍しのべり、故ゆゑに彼かれは爾なんぢ等らを天てんに其その光くわう明めいなる宮みやに受うけ給たまへり。

最いと尊たふとき者ものよ、爾なんぢ等らは多おほくの警醒けいせいを以もつて靈たましひを害がいする諸慾しよよくを眠ねむらせ、宜よろしきに合かなひて義ぎなる眠ねむりに眠ねむりりて、世せ界かいの爲ために禱いのり給たまふ。

 生神女讚詞

童貞女どうていぢよよ、我われ爾なんぢを神かみの前まへの轉達者てんたつしやと我わが生命いのちの堅けん固ごなる守しゆ護ご者しや、及および禍わざはひの患うれひを解とき、惡あく鬼きの攻擊こうげきを逐おふ者ものと知しりて、常つねに祈いのる、我わが諸慾しよよくの害がいより我われを救すくひ給たまへ。

小讚詞コンダクは奉事例に据る。若し奉事例になくば、下の小讚詞コンダクを誦せよ。第二調。

爾なんぢ等らは齋ものいみを以もつて己おのれの肉體にくたいを疲つからせ、眠ねむらざる祈き禱たうを以もつて造成主ざうせいしゆに己おのれの罪つみの爲ために、其その全まつたき赦ゆるしを獲えんことを祈いのりしに因よりて、神聖しんせいなる赦免しやめんと天國てんこくとを受うけて、ハリストス神かみに我われ等ら衆しゆうの爲ために禱いのり給たまふ。

 同讚詞イコス

淵ふちを閉とざし及および之これを啓ひらき、水みづを雲くもの中うちに騰のぼせて、雨あめを地ちの面おもてに與あたふる神かみよ、爾なんぢ我わが果みを結むすばざる靈たましひに口くちを啓ひらかん爲ために調てう和わしたる言げん語ごを、吃どもる舌したに明あきらかなる言ことばを賜たまへ、我わが宜よろしきに合かなひて爾なんぢの克肖女こくせうぢよ、爾なんぢが親みづから榮えいせし者ものを歌うたふを得えん爲ためなり。蓋けだし彼かれ等らは爾なんぢの爲ために此この世よの美うるはしき諸しよ事じを顧かへりみず、己おのれの身みを疲つからせ、爾なんぢの力ちからを以もつて惡あく魔まに勝かち、爾なんぢより忍耐にんたいの榮えい冠くわんを受うけて、今いま衆しゆう聖人せいじんと偕ともに天てんに爾なんぢの前まへに立たちて、絕たえず我われ等ら衆しゆうの爲ために禱いのる。

第七歌頌

イルモス 昔むかしワワィロンに於おいてイウデヤより來きたりし少者せうしやは、聖三せいさんの信しんを以もつて、爐ゐろりの焔ほのほを蹈ふみて歌うたへり、先せん祖ぞの神かみよ、爾なんぢは崇あがめ讚ほめらる。

克肖女こくせうぢよは愛あいに緣よりて朽くつべき榮華えいぐわを不ふ朽きうの光くわう榮えいに易かへて、常つねに之これを樂たのしみ、歡よろこび祝いはひて歌うたふ、我わが先せん祖ぞの神かみは崇あがめ讚ほめらる。

爾なんぢ等らは最いと明あきらかなる星ほしと現あらはれて、爾なんぢ等らの功勞こうらうの光ひかりを以もつて信者しんじやの靈たましひを照てらして歌うたはしむ、我わが先せん祖ぞの神かみは崇あがめ讚ほめらる。

爾なんぢ等らは醫治いやしの川かはと現あらはれて、諸慾しよよくの海うみを溺おぼらし、我わが先せん祖ぞの神かみは崇あがめ讚ほめらると歌うたふ者ものを救すくひ給たまふ。

 生神女讚詞

神かみの母はゝよ、我わが不ふ當たうなる靈たましひを罪つみの縲絏なはめより解ときて、神かみの完くわん全ぜんなる愛あいに繫つなぎ給たまへ、我わが信しんを以もつて爾なんぢを讚榮さんえいして、世世よよに歌うたはん爲ためなり。

第八歌頌

イルモス 爾なんぢの誡いましめに熱ねつ中ちゆうせし少者せうしやは、爾なんぢの恩おん寵ちように因よりて、窘迫者くるしめびと及および火㷔ほのほに勝かつ者ものと爲なりて籲よべり、主しゆの悉ことごとくの造物ざうぶつは主しゆを崇あがめ讚ほめよ。

童女どうぢよ等らよ、爾なんぢ等らは無智むちなる諸慾しよよくを智慧ちゑに服ふくせしめ、靈たましひを全まつたうして新郎はなむこたる言ことばに合あはせられて歌うたへり、悉ことごとくの造物ざうぶつは主しゆを崇あがめて、世世よよに彼かれを讚ほめ揚あげよ。

聖せいにせられし童女どうぢよ等らよ、爾なんぢ等らは世よの爲ために釘ていせられ、神聖しんせいなる愛あいに刺さされて、逸樂いつらくの食しよくを以もつてエワを害がいせし者ものを節制せつせいの矢やを以もつて殺ころして、ハリストスを世世よよに讚ほめ歌うたふ。

尊そん貴きなる克肖女こくせうぢよよ、爾なんぢ等らは意い念ねんを以もつて無知むちなる慾よく情じやうを服ふくせしめて、無む玷てんの者ものとして新郎はなむこたる言ことばの新婦はなよめと爲なりて歌うたふ、悉ことごとくの造物ざうぶつは主しゆを崇あがめて、世世よよに彼かれを讚ほめ揚あげよ。

 生神女讚詞

爾なんぢの淨きよき血ちより身みを取とりしイイススを生うみたる至し淨じやうなる童貞女どうていぢよ母はゝよ、爾なんぢは衆しゆう童女どうぢよを集あつめて、彼かれ等らと偕ともに歌うたふ、悉ことごとくの造物ざうぶつは主しゆを崇あがめて、世世よよに彼かれを讚ほめ揚あげよ。

第九歌頌

イルモス 潔いさぎよき童貞女どうていぢよよ、我われ等ら爾なんぢに依よりて救すくはれし者ものは爾なんぢを實じつに生しやう神女しんぢよと承うけ認とめて、無む形けいの軍ぐんと偕ともに爾なんぢを崇あがめ讚ほむ。

美び麗れいにして妙音めうおんなる班鳩やまばと、美うるはしくして清淨しやうじやうを好このむ燕つばめよ、爾なんぢ等らは主宰しゆさいの許もとに天てんの華麗くわれいなる處ところに攜たづさへられたり。

爾なんぢ等らは天てん上じやうの品ひん位ゐに合あはせられ、選えらばれたる者ものの會くわいの中うちに入いりて、愛あいを以もつて我われ等らの爲ために仁じん慈じなる神かみに禱いのり給たまふ。

克肖女こくせうぢよの記き憶おくは日ひの如ごとく世せ界かいに輝かゞやきて、信者しんじやの思おもひを照てらし、常つねにハリストスを讚揚さんやうせしむ。

 生神女讚詞

光ひかりの器うつはたる童貞女どうていぢよよ、諸慾しよよくに昧くらまされたる吾わが靈たましひを照てらして、爾なんぢの祈き禱たうを以もつて我われを外そとの幽暗くらやみより脫のがれしめ給たまへ。

 光耀歌

至いたりて尊たふとき克肖女こくせうぢよよ、愛あいを以もつて禱いのりて爾なんぢ等らの記き憶おくを行おこなふ者ものを神かみ贖しよく罪主ざいしゆに奉たてまつる爾なんぢ等らの祈き禱たうを以もつて凡およその患くわん難なんより救すくひ、我われ聊いさゝか爾なんぢ等らを歌か頌しようせし者ものにも靈たましひの汚けがれを洗あらひ給たまへ。

 生神女讚詞

童貞女どうていぢよよ、我われ等らの爲ために爾なんぢの子こ仁愛じんあいなる神かみに禱いのるを息やむる勿なかれ、蓋けだし我われ等ら信しんを以もつて爾なんぢを讚榮さんえいする者ものは恃賴たのみを爾なんぢに負おはしめ、爾なんぢの轉達てんたつを以もつて諸難しよなんと諸慾しよよく、諸罪しよざいと諸しよ病びやうより救すくはる。

 「凡そ呼吸ある者」に讚頌スティヒラ、第四調。

克肖女こくせうぢよよ、爾なんぢ等ら不ふ朽きうに己おのれの童貞どうていを守まもり、清淨しやうじやう無垢むくに生いのちを送おくり、恩おん寵ちようを蒙かうむりて、ハリストスの戒いましめを行おこなひ、地ち及および之これに屬ぞくする事ことを舎すてて、彼かれに從したがへり。故ゆゑに仁愛じんあいなるイイスス我われ等らの靈たましひの救主きうしゆは爾なんぢ等らに天てん及および天てんに屬ぞくする事ことを賜たまへり。二次

克肖女こくせうぢよよ、爾なんぢ等らは睿えい智ちを愛あいし、靈たましひの不死ふしを尊たふとみ、神かみに奉ほう事じせんと欲ほつして、其その悅よろこびを獲えん爲ために常つねに警醒けいせいして、己おのれを凡およその罪つみの汚けがれより護まもれり。故ゆゑに無垢むく無む玷てんの者ものとして天てんの新郎はなむこの前まへに立たち給たまへり。

讚さん美びたる者ものよ、ハリストスは爾なんぢ等らを己おのれの克肖者こくせうしやとし、矜恤きようじゆつなる者ものとし、神かみに愛あいせらるる者ものとして榮えいせしに因よりて、爾なんぢ等らの光くわう明めいなる面おもては死しせし後のちにも輝かゞやく、蓋けだし爾なんぢ等らは地ち上じやうに諸天しよてん使しと侔ひとしき生いのちを送おくりて、光くわう明めいなる度ど生せいを以もつて神かみの悅よろこびを獲え給たまへり。

 光榮、第一調。

克肖こくせうなる女等をんなたちよ、爾なんぢ等らは肉體にくたいに屬ぞくする事ことを一切いつさい慮おもんぱからずして、節制せつせいと勤勞きんらうとに由よりて天てんの居處すまひに登のぼれり、其その内うちに爾なんぢ等らが愛あいする所ところの言いひ難がたき華麗くわれいを樂たのしみ給たまふ。

 今も、生神女讚詞。

聖せいなる生しやう神しん童貞女どうていぢよよ、慶よろこべ、全ぜん地ちの潔いさぎよき轉達者てんたつしや、滅けされぬ燈ともしび、容いれられぬ者ものの容いれ處どころ、壞こぼたれぬ殿でんよ、慶よろこべ、全ぜん世せ界かいの罪つみを任になひし神かみの羔こひつじを生うみたる者ものよ、慶よろこべ。

 十字架生神女讚詞

無む玷てんなる牝め羊ひつじ童貞女どうていぢよは爾なんぢが十じふ字架じかに擧あげられたるを見みし時とき、哭なきて呼よべり、吾わが甘愛かんあいなる子こよ、此この新あらたにして神妙しんめうなる顯見あらはれは何なんぞや、如何いかんぞ爾なんぢ萬物ばんぶつを手てに有たもつ者ものにして、身みにて木きの上うへに釘ていせらるる。

若し挿句くづけに光榮あらば、晩課の、今も、生神女讚詞、或は十字架生神女讚詞を誦せよ。

 

第二十四編 一人の克肖致命女の總奉事

 晩課

「主よ爾に籲ぶ」に讚頌スティヒラ、第八調。

讚さん美びたる致ち命女めいぢよ(某)よ、爾なんぢは節制せつせいを以もつて肉慾にくよくに勝かち、受難じゆなんを以もつて敵てきたる蛇へびを殺ころせり。爾なんぢの苦くるしみにて諸天しよてん使しを驚おどろかし、爾なんぢの功勞こうらうにて人人ひとびとを樂たのしませし修道女しうだうぢよの飾かざり、貞潔ていけつの器うつはなる者ものよ、我われ等らの靈たましひを救すくひて照てらさんことを禱いのり給たまへ。

光くわう榮えいなる者ものよ、我われ等ら何なにを以もつて爾なんぢを稱となへんか、爾なんぢは童貞どうていの美うるはしきを以もつて輝かゞやけるハリストスの新婦はなよめ、上うへなるイエルサリムの選えらばれたる女むすめ、諸天しよてん使しの同どう住ぢゆう者しや及および對たい話わ者しや、無む形けいの宮みやに樂たのしめる者ものなり。大だい受難女じゆなんぢよ(某)、修道女しうだうぢよの飾かざりよ、我われ等らの靈たましひを救すくひて照てらさんことを禱いのり給たまへ。

爾なんぢは不ふ法はふなる窘迫者くるしめびとより齒はの折くじかるること、手て足あし及および乳ち房ぶさの斷たたるること、寸斷すんだんせらるることを忍しのび、新郎はなむこの華麗くわれいを仰あふぎて、性せいに超こゆる苦くるしみを忍耐にんたいし給たまへり。大だい受難女じゆなんぢよ(某)、ハリストスの不ふ朽きうなる新婦はなよめよ、我われ等らの靈たましひを救すくひて照てらさんことを禱いのり給たまへ。

 光榮、今も、生神女讚詞。

至し淨じやうなる者ものよ、何者なにものか爾なんぢの慈じ憐れんより奇異きいなるあらん、爾なんぢは病やむ者ものを醫いやし、諸慾しよよくより援たすけ、戰たゝかふ者ものの無む慙ざんなる攻擊こうげきを退しりぞけ、爾なんぢを歌うたふ者ものを爾なんぢの祈き禱たうを以もつて諸難しよなんより救すくひ、其その憂うれひを解とき給たまふ。童貞女どうていぢよよ、我われ等らの靈たましひを救すくはんことを禱いのりて、爾なんぢの諸僕しよぼくに天てん上じやうの歡喜よろこびを獲えしめ給たまへ。

 十字架生神女讚詞

牝め羊ひつじは羔こひつじが甘あまんじて十じふ字架じかの木きに伸のべられたるを見みし時とき、母はゝとして哀かなしみ、哭なきて呼よべり、吾わが子こよ、此この驚おどろくべき顯見あらはれは何なにぞ、萬ばん衆しゆうに生命いのちを與あたふる主しゆにして、人人ひとびとに復ふく活くわつを賜たまふ恒忍ごうにんなる者ものよ、如何いかんぞ殺ころさるる、吾わが神かみよ、我われ爾なんぢの大おほいなる寬くわん容ようを讚榮さんえいす。

若し之あらば、自調。光榮、第二調。

我われ等らは歡喜よろこびの聲こゑを以もつて聖詠せいえいを唱となへて、克肖こくせう致ち命女めいぢよ(某)を歌うたはん、蓋けだし彼かれは偶像ぐうざうの迷まよひに勝かち、戰たゝかふ敵てきを勇いさましく己おのれの足そく下かに仆たふせり、故ゆゑに終をはりて後のち飛とびて天てんに登のぼり、首かうべに榮えい冠くわんを冠かうむりて呼よぶ、我わが新郎はなむこよ、我われ爾なんぢを慕したひ、爾なんぢを愛あいし、爾なんぢの爲ために我わが身みを苦くるしみに付わたせり、樂たのしむ者ものの居をる所ところの尊たふとき居處すまひに入いらん爲ためなり。

 今も、 生神女讚詞

祝しゆく讚さんせらるる生しやう神女しんぢよよ、我われ等らは倚賴たのみを爾なんぢに負おはせたり、願ねがはくは我わが求もとむる所ところを得えん、憂うれふる者ものの扶ふ助者じよしやよ、我われ等らを諸難しよなんより救すくひ、諸敵しよてきの謀はかりごとを破やぶり給たまへ、爾なんぢは我われ等らの救すくひなればなり。

 十字架生神女讚詞

無む玷てんなる牝め羊ひつじは己おのれの羔こひつじが人ひとの如ごとく甘あまんじて屠宰ほふりに牽ひかるるを見みて、哭なきて云いへり、ハリストスよ、爾なんぢは我われ爾なんぢを生うみし者ものを今いま子こなき者ものと爲なさんとす、萬ばん衆しゆうの贖しよく罪主ざいしゆよ、何なんぞ之これを爲なしたる、然しかれども人ひとを愛あいする主しゆよ、我われ智慧ちゑと言ことばとに超こゆる爾なんぢの至し大だいなる仁じん慈じを歌か頌しようして讚榮さんえいす。

若し多燭詞ポリエレイを以て祭を行はば、復活の生神女讚詞を誦すべし。

恩おん寵ちよう來きたりて、法はふ律りつの影かげは去されり、蓋けだし燃もゆる棘いばらの焚やけざりし如ごとく、童貞女どうていぢよは生うみし後のちも永ながく童貞女どうていぢよなり、焔ほのほの柱はしらの代かはりに義ぎの日ひは出いでて光ひかる、モイセイの代かはりに我わが靈たましひの救きう者しやハリストスは現あらはれたり。

 聖入。本日の提綱ポロキメン。致命者の喩言パリミヤ三篇、巻末に載す。

 挿句くづけの讚頌スティヒラ、第四調。

讚さん美びたる克肖女こくせうぢよ(某)よ、爾なんぢは節制せつせいの勤勞きんらうを受難じゆなんの血ちに雜まじへて、二に倍ばいの苦くるしみを忍しのび給たまへり、故ゆゑに美うるはしく妝よそほはれて、純じゆん潔けつなる童貞女どうていぢよ及および勝かたれぬ致ち命女めいぢよとして、恩おんを賜たまふ主しゆの許もとに上のぼりし時とき、彼かれは二に倍ばいの榮えい冠くわんを爾なんぢに賜たまへり。

句 神かみよ、爾なんぢは爾なんぢの聖所せいしよに於おいて嚴おごそかなり。

純じゆん潔けつなる新婦はなよめ(某)よ、爾なんぢの肉體にくたいの華くわ美びと神聖しんせいなる靈たましひの華麗くわれいとは合あはせられしに、爾なんぢは義ぎ人じん等らの居處すまひに於おいて潔白けつぱくに光ひかり、血ちの流ながれに染そめられて、花はなの如ごとく耀かゞやけり、故ゆゑに天てん上じやうの美うるはしき新郎はなむこも爾なんぢを童貞女どうていぢよ及および致ち命女めいぢよとして、永遠えいゑんの宮みやに受うけ給たまへり。

句 イズライリの源みなもとより出いづる者ものよ、敎けう會くわいに於おいて主しゆ神かみを崇あがめ讚ほめよ。

讚さん美びたる(某)よ、天てん使しは爾なんぢの傍かたはらに在ありて爾なんぢを護まもれり、蓋けだし爾なんぢは幼をさなき時ときより主しゆを畏おそれ、尊たふとき禮物れいもつとして造成主ざうせいしゆに捧さゝげらるる者ものと現あらはれたり、故ゆゑに爾なんぢは堅けん固ごに迫害者はくがいしやの無知むちを踐ふみて、爾なんぢの新郎はなむこハリストスの許もとに升のぼり給たまへり。

 光榮、第六調。

勝かたれぬ受難女じゆなんぢよ及および致ち命女めいぢよたる童貞女どうていぢよ(某)は諸德しよとくを妝よそほはれ、潔けつ淨じやうの油あぶらと受難じゆなんの血ちとに飾かざられ、欣よろこばしく燈ともしびを執とりて、救世主きうせいしゆの右みぎに立たちて彼かれに呼よべり、ハリストス神かみよ、我われ爾なんぢの香料かうれうの香かを聞ききて趨はしれり、爾なんぢを愛あいする愛あいに刺さされたればなり、天てんの新娶者はなむこよ、我われを退しりぞくる勿なかれと。全能ぜんのうの救世主きうせいしゆよ、彼かれの祈き禱たうに由よりて爾なんぢの仁じん慈じを我われ等らに被かうむらせ給たまへ。

 今も、生神女讚詞。

女宰ぢよさいよ、我われ心こゝろの眼めを爾なんぢに擧あぐ、我わが微び小せうなる歎息たんそくを斥しりぞくる勿なかれ、爾なんぢの子こが世せ界かいを審判しんぱんせん時とき、我わが爲ために帲幪おほひ及および扶助たすけと爲なり給たまへ。

 十字架生神女讚詞

ハリストスよ、爾なんぢを生うみし者ものは爾なんぢの釘ていせらるるを見みて呼よべり、吾わが子こよ、我わが見みる所ところの奧密あうみつは何なんぞ驚おどろくべき、生命いのちを賜たまふ主しゆよ、如何いかんぞ身みにて木きに懸かけられて死しする。

 讚詞トロパリ、第四調。

イイススよ、爾なんぢの牝め羊ひつじ(某)は大おほいなる聲こゑを以もつて呼よぶ、吾わが新娶者はなむこよ、我われ爾なんぢを愛あいし、爾なんぢを尋たづねて苦くるしみ、爾なんぢと偕ともに十じふ字架じかに釘ていせられ、死しに於おける洗せんを以もつて爾なんぢと偕ともに葬はうむられ、爾なんぢの爲ために難なんを受うく、爾なんぢに緣よりて王わうたらん爲ためなり、爾なんぢの爲ために死しす、爾なんぢと偕ともに生いきん爲ためなり、求もとむ、愛あいを以もつて爾なんぢの爲ために屠ほふられし我われを無む玷てんなる祭まつりとして享うけ給たまへと。彼かれの祈き禱たうに因よりて、仁じん慈じなる主しゆとして我われ等らの靈たましひを救すくひ給たまへ。

 光榮、今も、生神女讚詞、或は十字架生神女讚詞。

 早課

「主は神なり」に讚詞トロパリ同上。

 第一の「カフィズマ」の後に坐誦讚詞セダレン、第八調。

大だい受難女じゆなんぢよ(某)よ、爾なんぢは節制せつせいの露つゆを以もつて少者せうしやの如ごとく慾よくの焔ほのほを滅けし、爾なんぢの血ちの火ひを以もつて一切いつさいの迷まよひを焚やきて、新郎はなむこたる言ことばに禮物れいもつとして尊そん貴きなる貞潔ていけつと勇敢ゆうかんなる受難じゆなんとを捧さゝげたり、故ゆゑに彼かれは爾なんぢ勇いさましく戰たゝかひて蛇へびを踐ふみたる者ものを光くわう榮えいの宮みやに入いれ給たまへり。ハリストス神かみに祈いのりて、愛あいを以もつて爾なんぢの聖せいなる記き憶おくを尊たふとむ者ものに諸罪しよざいの赦ゆるしを賜たまはんことを求もとめ給たまへ。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

我われ等ら萬族ばんぞくは爾なんぢ童貞女どうていぢよ、女をんなの中うちに獨ひとり種たねなく身みにて神かみを生うみし者ものを讚揚さんやうす、蓋けだし神性しんせいの火ひは爾なんぢの内うちに入いり、爾なんぢは造成者ざうせいしや及および主しゆを幼児をさなごとして乳ちにて養やしなひ給たまへり、故ゆゑに天軍てんぐん及および我われ等ら人類じんるゐは宜よろしきに合かなひて爾なんぢの至し聖せいなる產さんを讚榮さんえいして、同心どうしんに爾なんぢに呼よぶ、ハリストス神かみに祈いのりて、熱切ねつせつに爾なんぢの光くわう榮えいを歌うたふ者ものに諸罪しよざいの赦ゆるしを賜たまはんことを求もとめ給たまへ。

 第二の「カフィズマ」の後に坐誦讚詞セダレン、第一調。

奇異きいなる致ち命女めいぢよ(某)よ、爾なんぢは愛あいに由よりて先さきには齋ものいみを以もつて、後のちには受難じゆなんの血ちを以もつて香料かうれうを盛もれる玉ぎよくの盒うつはの如ごとくハリストス爾なんぢの新郎はなむこに捧さゝげて、彼かれより報賞むくいとして神聖しんせいなる不ふ朽きうの榮えい冠くわんと神しん゜の力ちからを以もつて醫治いやしを行おこなふ恩おん寵ちようとを受うけ給たまへり。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

聘女よめならぬ聘女よめ、潔いさぎよき生しやう神しん童貞女どうていぢよ、獨ひとり信者しんじやの轉達者てんたつしや及および帲幪おほひたる少女せうぢよよ、爾なんぢの神聖しんせいなる祈き禱たうを以もつて、我われ等ら爾なんぢに恃賴たのみを負おはしむる者ものを災禍わざはひと、憂愁うれひと、甚はなはだしき誘惑いざなひより脫のがれしめて、我われ等らの靈たましひを救すくひ給たまへ。

「主の名を讚め揚げよ」の後に附唱。

聖せいなる受難女じゆなんぢよ(某)よ、我われ等ら爾なんぢを讚揚さんやうして、爾なんぢの聖せいなる記き憶おくを尊たふとむ、爾なんぢは我われ等らの爲ためにハリストス我わが神かみに祈いのり給たまへばなり。

 拔萃聖詠

「神は我等避所なり、能力なり。」

 多燭詞ポリエレイの後に坐誦讚詞セダレン、第八調。

睿えい智ちなる克肖こくせう致ち命女めいぢよ(某)よ、爾なんぢはハリストスを愛あいする愛あいを以もつて靈たましひを縛しばりて、朽くつべき暫ざん時じの諸しよ事じを心こゝろに留とゞめざりき、言ことばの光くわう榮えいなる門もん徒ととして、先さきには齋ものいみを以もつて諸慾しよよくを殺ころし、後のちには受難じゆなんを以もつて詭き譎けつの者ものを辱はづかしめたり、故ゆゑに造物主ざうぶつしゆの前まへに二に倍ばいの勇いさみを得え給たまへり、熱切ねつせつに其その旨むねに順したがひたればなり。ハリストス神かみに祈いのりて、愛あいを以もつて爾なんぢの聖せいなる記き憶おくを尊たふとむ者ものに諸罪しよざいの赦ゆるしを賜たまはんことを求もとめ給たまへ。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

讚さん美びたる者ものよ、爾なんぢは造物主ざうぶつしゆの純じゆん潔けつなる聘女よめとし、贖しよく罪主ざいしゆの夫をつとに與あづからざる母はゝとし、撫ぶ恤じゆつ者しやを承うくる器うつはとして、我われ自みづから知しりて不ふ法はふの汚けがらはしき居處すまひ及および惡あく鬼きの玩ぐわん弄ろうと爲なりし者ものを速すみやかに其その惡計あくけいより脫のがれしめて、諸德しよとくの光くわう明めいなる居處すまひと爲なし給たまへ。光ひかりを施ほどこす不ふ朽きうなる童貞女どうていぢよよ、我わが慾よくの雲くもを散さんじて、爾なんぢの祈き禱たうを以もつて我われを上うへの晩くれざる光ひかりに與あづからしめ給たまへ。

 品第詞ステペンナ、第四調の第一倡和詞アンティフォン。

 提綱ポロキメン

神かみよ、爾なんぢは爾なんぢの聖所せいしよに於おいて嚴おごそかなり。

句 イズライリの源みなもとより出いづる者ものよ、敎けう會くわいに於おいて主しゆ神かみを崇あがめ讚ほめよ。

「凡そ呼吸ある者」

致命女の福音經、巻末に載す。

 第五十聖詠の後に讚頌スティヒラ、第六調。

勝かたれぬ受難女じゆなんぢよ及および致ち命女めいぢよたる童貞女どうていぢよ(某)は諸德しよとくを妝よそほはれ、潔けつ淨じやうの油あぶらと受難じゆなんの血ちとに飾かざられ、欣よろこばしく燈ともしびを執とりて、救世主きうせいしゆの右みぎに立たちて彼かれに呼よべり、ハリストス神かみよ、我われ爾なんぢの香料かうれうの香かを聞ききて趨はしれり、爾なんぢを愛あいする愛あいに刺さされたればなり、天てんの新娶者はなむこよ、我われを退しりぞくる勿なかれと。全能ぜんのうの救世主きうせいしゆよ、彼かれの祈き禱たうに由よりて爾なんぢの仁じん慈じを我われ等らに被かうむらせ給たまへ。

晩課の挿句に載す。

 規程カノン、第八調。

第一歌頌

イルモス 我われ等ら其民そのたみをして紅くれなゐの海うみを過とほらせし主しゆに歌うたはん、彼かれ獨ひとり嚴おごそかに光くわう榮えいを顯あらはしたればなり。

神しん智ちなる者ものよ、我われ此この光くわう明めいなる爾なんぢの記き憶おくを尊たふとむ者ものに光くわう照せうを與あたへて、吾わが靈たましひの幽暗くらやみを散さんじ給たまへ。

(某)よ、爾なんぢは襁褓むつきより己おのれを全まつたく爾なんぢの造成主ざうせいしゆに奉たてまつりて、節制せつせいの火ひを以もつて肉慾にくよくを焚やき給たまへり。

致ち命女めいぢよよ、爾なんぢは身みを惜をしまずして、苦くるしみの髙たかきに登のぼりて、童貞女どうていぢよとして無む形けいなる婚筵こんえんの宮みやに入いるを得え給たまへり。

 生神女讚詞

少女せうぢよよ、我われ等らは爾なんぢを天てんに至いたる梯かけはしとして尊たふとむ、神かみは此この上うへに立たちて、人人ひとびとを天てんの者ものと爲なし給たまへり。

第三歌頌

イルモス 主しゆよ、爾なんぢは爾なんぢに趨はしり附つく者ものの固かため、爾なんぢは昧くらまされし者ものの光ひかりなり、我わが神しん゜は爾なんぢを歌うたふ。

光くわう榮えいなる(某)よ、爾なんぢは迫害者はくがいしやの裁判所さいばんじよの前まへに立たちて、萬有ばんいうの造成者ざうせいしや及および主宰しゆさいたるハリストス、神かみ言ことばを傳つたえ給たまへり。

光くわう榮えいなる(某)よ、見みゆる像すがたの中うちに映えいじたる心こゝろの華くわ美びは見みる者ものの爲ために爾なんぢを至いたりて美うるはしき者ものと顯あらはしたり。

女ぢよよ、爾なんぢが自じ由いうにハリストスの貧まづしきを愛あいせしに因よりて、彼かれは爾なんぢに醫治いやしの竭つくされぬ富とみを與あたへ給たまへり。

 生神女讚詞

光ひかりの母はゝよ、爾なんぢの祈き禱たうの火ひを以もつて我わが諸罪しよざいの物質ぶつしつを焚やきて、我われに神聖しんせいなる赦免しやめんの露つゆを注そゝぎ給たまへ。

 坐誦讚詞セダレン、第一調。

靈れい智ちの牝め羊ひつじたる奇異きいなる(某)よ、爾なんぢは修齋しゆさいと受難じゆなんとを以もつて己おのれを羔こひつじ及および牧者ぼくしやに捧さゝげ、信しんを守まもりて、馳はすべき程みちを盡つくし給たまへり、故ゆゑに我われ等ら今日こんにち喜よろこびを以もつて爾なんぢの聖せいにせられし記き憶おくを行おこなひて、ハリストスを讚榮さんえいす。

 光榮、今も、生神女讚詞。

生しやう神女しんぢよよ、爾なんぢの諸僕しよぼくの祈き禱たうを納いれて、我われ等らを諸もろもろの患くわん難なんより救すくひ給たまへ、爾なんぢはハリストス救世主きうせいしゆ、我われ等らの靈たましひの贖しよく罪主ざいしゆを生うみたればなり。

 十字架生神女讚詞

至し淨じやうなる者ものよ、我われ等ら衆しゆう爾なんぢの轉達てんたつを有たもちて、爾なんぢの祈き禱たうに因よりて諸難しよなんより救すくはれ、爾なんぢの子この十じふ字架じかを以もつて諸方しよはうに護まもられて、職しよくとして敬虔けいけんに爾なんぢを崇あがめ讚ほむ。

第四歌頌

イルモス 主しゆよ、我われ爾なんぢが攝せつ理りの祕ひ密みつを聆きき、爾なんぢの作爲しわざを悟さとり、爾なんぢの神性しんせいを讚榮さんえいせり。

致ち命女めいぢよよ、至いたりて不ふ法はふなる者ものは爾なんぢ少わかき時ときよりハリストスの最いと易やすき軛くびきを負おひし者ものに重おもき任にを荷になはしめんことを定さだめたり。

(某)よ、爾なんぢの血ちの滴したゝりは多た神しんの熾炭やけずみを滅けし、爾なんぢの奇き跡せきの光くわう線せんは人人ひとびとの苦く痛つうを焚やく。

致ち命女めいぢよよ、火ひは地ちより益ますます髙たかく騰のぼり、爾なんぢの胷むねに至いたりて、主宰しゆさいに於おける爾なんぢの熱心ねつしんを彌いよいよ髙たかくせり。

 生神女讚詞

童貞女どうていぢよよ、爾なんぢは產さんの前まへに於おけるが如ごとく、產さんの後のちにも不ふ朽きうに止とゞまれり、蓋けだし世世よよの先さきよりありし主しゆを嬰児をさなごとして生うみ給たまへり。

第五歌頌

イルモス 主しゆよ、我われ等ら夙つとに興おきて爾なんぢに籲よぶ、我われ等らを救すくひ給たまへ、爾なんぢは我われ等らの神かみなればなり、爾なんぢの外ほか他たの神かみを知しらず。

致ち命女めいぢよ(某)よ、爾なんぢは物質ぶつしつの火ひに弱よわめられぬ者ものと現あらはれたり、神聖しんせいなる愛あいの心こゝろの火ひが爾なんぢを堅かためたればなり。

致ち命女めいぢよ(某)よ、爾なんぢは打傷うちきずにて面おもてを飾かざられて、諸敵しよてきの醜惡しうあくなる無知むちを斥しりぞけ給たまへり。

神しん智ちなる(某)よ、爾なんぢは木きの上うへに舒のべられて、愛あいを以もつて爾なんぢの新郎はなむこの神聖しんせいなる苦くるしみを形かたどり給たまへり。

 生神女讚詞

讚さん美びたる女宰ぢよさい、至し淨じやうなる生しやう神女しんぢよよ、我われ等ら爾なんぢを歌うたふ、爾なんぢは身みにて至いたりて讚さん美びたる神かみを生うみたればなり。

第六歌頌

イルモス 光ひかりを衣ころもの如ごとく衣きる慈じ憐れんの深ふかきハリストス我わが神かみよ、我われに光くわう明めいの衣ころもを予あたへ給たまへ。

受難女じゆなんぢよ(某)よ、爾なんぢの肉體にくたいは傷きずに壞やぶられて、爾なんぢの良りやう心しんのハリストス我われ等らの神かみの前まへに義ぎなるを顯あらはしたり。

讚さん美びたる致ち命女めいぢよ(某)よ、爾なんぢは髙たかく懸かけられ、傷きずを忍しのびて、爾なんぢの靈たましひの髙潔かうけつを傷きずなく守まもり給たまへり。

光くわう榮えいなる克肖女こくせうぢよよ、爾なんぢは乳ち房ぶさを斷たたるるを忍しのびて、信者しんじやを神聖しんせいなる熱信ねつしんの乳ちにて養やしなひ給たまふ。

 生神女讚詞

人ひとを愛あいする神かみを生うみし神かみに愛あいせらるる女宰ぢよさいよ、我われ等らが「ゲエンナ」の火ひより救すくはれんことを彼かれに禱いのり給たまへ。

小讚詞コンダクは奉事例に据る。若し奉事例になくば、下の小讚詞コンダクを誦せよ。第二調。

(某)よ、今日こんにち慶けい賀がせらるる爾なんぢの神聖しんせいなる記き憶おくは日ひの如ごとく世せ界かいに現あらはれて、爾なんぢの度ど生せいを輝かゞやかす、蓋けだし爾なんぢは節制せつせいを以もつて肉體にくたいの動揺うごきを治をさめ、受難じゆなんの血ちを以もつてハリストスの新婦はなよめと爲なり給たまへり。求もとむ、爾なんぢを讚ほめ揚あぐる者ものを諸もろもろの患くわん難なんより救すくひ給たまへ、我われ等らが爾なんぢに呼よばん爲ためなり、克肖こくせうなる母はゝよ、慶よろこべ。

 同讚詞イコス

至し福ふく至し榮えいなる克肖こくせう致ち命女めいぢよよ、神かみの前まへに立たちて、神かみに悅よろこばるる爾なんぢの祈き禱たうを以もつて我わが口くちを開ひらき給たまへ、我わが爾なんぢの神聖しんせいなる度ど生せいを歌うたひ、宜よろしきに合かなひて爾なんぢの受難じゆなんを宣のべん爲ためなり、蓋けだし爾なんぢは潔けつ淨じやうを愛あいし、常つねに警醒けいせいして、節制せつせいを修をさめ、且かつ動うごかされぬ信しんを守まもり、熱切ねつせつなる愛あいを以もつて勝かたれぬ致ち命者めいしやと爲なり給たまへり。求もとむ、爾なんぢを讚ほめ揚あぐる者ものを諸もろもろの患くわん難なんより救すくひ給たまへ、我われ等らが爾なんぢに呼よばん爲ためなり、克肖こくせうなる母はゝよ、慶よろこべ。

第七歌頌

イルモス エウレイの少者せうしやは爐ゐろりに在ありて勇いさましく燄ほのほを踐ふみ、火ひを露つゆに變へんじて籲よべり、主しゆ神かみよ、爾なんぢは世世よよに崇あがめ讚ほめらる。

受難女じゆなんぢよ(某)よ、爾なんぢは慶けい賀がする者ものの聲こゑのある處ところに童女どうぢよ等らと偕ともに祝いはひて、神かみ造物主ざうぶつしゆに歌うたを奉たてまつる、主しゆ神かみよ、爾なんぢは世世よよに崇あがめ讚ほめらる。

(某)よ、爾なんぢは百ひやく體たいの壞やぶられ、爪つめの拔ぬかるるを忍しのび、祭まつりとして神かみに捧さゝげられて歌うたへり、主しゆ神かみよ、爾なんぢは崇あがめ讚ほめらる。

神しん智ちなる(某)よ、爾なんぢは葡ぶ萄樹だうじゆの如ごとき者ものと現あらはれ、手てと足あしとを枝えだの如ごとく斬きられて、我われ等らの爲ために心こゝろを慰なぐさめ、諸慾しよよくの醉ゑひを醒さます靈れい智ちの酒さけを流ながし給たまへり。

 生神女讚詞

潔いさぎよき者ものよ、無む玷てんなる主しゆは罪つみの外ほかに全まつたき人ひとを衣きて、爾なんぢの胎内たいないより身みを有たもつ者ものとして出いで給たまへり、信しんを以もつて爾なんぢを尊たふとむ者ものを救すくはんことを彼かれに禱いのり給たまへ。

第八歌頌

イルモス ハルデヤの窘迫者くるしめびとは怒いかりに堪たへずして、敬虔けいけんの者ものの爲ために爐ゐろりを七倍しちばい熱あつくしたれども、上うへの力ちからにて其その救すくはれしを見みて、造物主ざうぶつしゆと救世主きうせいしゆに呼よべり、少者せうしやよ、崇あがめ讚ほめよ、司し祭さいよ、讚ほめ歌うたへ、民たみよ、萬世ばんせいに尊たふとみ崇あがめよ。

至いたりて讚さん美びたる受難女じゆなんぢよよ、爾なんぢは雄雄をゝしく勇いさみて、迷まよひに對たいして勝しよう利りを得えたり、蓋けだし手てと足あしとの斷たたれ、乳ち房ぶさの斬きられ、齒はの折くじかるるを忍しのびて、喜よろこびて歌うたへり、民たみよ、ハリストスを世世よよに尊たふとみ崇あがめよ。

致ち命女めいぢよよ、爾なんぢは光くわう潔けつなる童貞どうていと受難じゆなんの華麗くわれいとを以もつて日ひの如ごとく輝かゞやき、世せ界かいを照てらして歌うたへり、少者せうしやよ、崇あがめ讚ほめよ、司し祭さいよ、讚ほめ歌うたへ、民たみよ、ハリストスを世世よよに尊たふとみ崇あがめよ。

神かみの聘女よめたる致ち命女めいぢよ(某)よ、諸慾しよよくに汚けがされ、蛇へびの誘惑いざなひに昧くらまされたる吾わが靈たましひを爾なんぢの祈き禱たうと爾なんぢの光くわう明めいなる帲幪おほひとを以もつて潔きよめ、之これを照てらして呼よばしめ給たまへ、司し祭さいよ、讚ほめ歌うたへ、民たみよ、ハリストスを世世よよに尊たふとみ崇あがめよ。

 生神女讚詞

生しやう神しん童貞女どうていぢよよ、致ち命女めいぢよは爾なんぢ純じゆん潔けつ無む玷てんなる者ものを慕したひて、體からだと靈たましひとを玷きずなく守まもり、諸慾しよよくの萠芽きざしを絕たやし、多おほくの苦くるしみの誘惑いざなひを忍しのびて、今いま爾なんぢと偕ともに天てんの宮みやに祝いはひて、世世よよに樂たのしむ。

第九歌頌

イルモス 天てんは懼おそれ、地ちの極はては驚おどろけり、神かみは身みにて人人ひとびとに現あらはれ、爾なんぢの腹はらは天てんより廣ひろき者ものと爲なりたればなり、故ゆゑに天てん使しと人人ひとびとの群むれは爾なんぢ生しやう神女しんぢよを崇あがめ讚ほむ。

潔いさぎよき(某)、修道女しうだうぢよの光くわう榮えい、致ち命者めいしやの飾かざりなる者ものよ、爾なんぢは木きに懸かけられて、神かみの言ことばの福ふくたる苦くるしみを形かたどり、爾なんぢの手てと足あしとの斷たたれ、齒はの折くじかれ、舌したと乳ち房ぶさとの斬きらるるを忍しのび給たまへり。

(某)よ、爾なんぢは新婦はなよめとして受難じゆなんの華くわ美びに飾かざられて、新郎はなむこに聘定へいていせられ、選えらばれたる者ものとして、童貞どうていの燈ともしびを執とりて、光くわう明めいなる宮みやに入いり、今いま輝かゞやきて、世世よよに生いくる者ものと偕ともに王わうたり。

尊そん貴きなる(某)よ、爾なんぢの苦くるしみは甘かん味みを滴したゝらして、罪つみの苦にがきを滅けし、柩ひつぎは醫治いやしの流ながれを注そゝぎて、諸慾しよよくと甚はなはだしき諸しよ病びやうとを溺おぼらして、救世主きうせいしゆの光くわう榮えいを現あらはす、彼かれは宜よろしきに合かなひて爾なんぢを榮えいし給たまふ。

 生神女讚詞

主しゆよ、爾なんぢ女をんなより身みを取とりし者ものを熱切ねつせつに愛あいする爾なんぢの致ち命女めいぢよは童貞どうていの光くわう潔けつに飾かざられ、受難じゆなんの血ちに染そめられて、爾なんぢの母はゝの後あとに從したがひて、爾なんぢ萬物ばんぶつの王わうたる神かみの前まへに嚴おごそかに攜たづさへられたり。

 光耀歌

神かみに肖にたる(某)、童貞どうていの器うつは、人性じんせいの美うるはしき花はな、王わうの女ぢよ、其その光くわう榮えいを己おのれの内うちに有たもつ者ものよ、爾なんぢは信しんを以もつて爾なんぢの尊たふとき柩ひつぎに趨はしり附つく者ものの爲ために河かはの如ごとく醫治いやしを流ながし給たまふ。

 生神女讚詞

實在じつざいの睿えい智ち、永在えいざいの言ことば、及および靈體れいたいの醫師いしを生うみし童貞女どうていぢよよ、吾わが靈たましひの傷きずを治ぢし、吾わが心こゝろの甚はなはだしき病やまひを醫いやし給たまへ。

 「凡そ呼吸ある者」に讚頌スティヒラ、第八調。

讚さん美びたる(某)、勝かたれぬ致ち命女めいぢよ、童貞どうていの神聖しんせいなる鏡かゞみ、人性じんせいの最いと美うるはしき花はなよ、爾なんぢは世よの榮華えいぐわを棄すてて、大おほいなる諸德しよとくを以もつて靈たましひの髙潔かうけつを輝かゞやかし、度ど生せいの時ときに神かみの像ざうの恩おん賜しを聊いさゝかも玷きずつくるなく守まもり給たまへり。二次

至いたりて睿えい智ちなる(某)よ、爾なんぢは言ことばと行おこなひとに於おいて恩おん寵ちようと諸德しよとくとを以もつて靈たましひを飾かざりて、受難者じゆなんしやの群むれ及および童貞女どうていぢよの會くわいを童貞女どうていぢよより輝かゞやき出いでて衆しゆうの爲ために天國てんこくに入いる門もんを啓ひらきたる主しゆに攜たづさへ給たまへり。彼かれ等らと偕ともに今いまも爾なんぢの群ぐんを救すくはんことを主しゆに禱いのり給たまへ。

ハリストスの新婦はなよめよ、義ぎなる主しゆは爾なんぢを潔いさぎよき童貞女どうていぢよ及および光くわう榮えいなる致ち命女めいぢよとして、二に倍ばいの榮えい冠くわんを以もつて最いと美うるはしく飾かざりて、光くわう明めいなる宮みやを爾なんぢに賜たまへり、爾なんぢは彼處かしこに入いりて、今いま樂たのしみ給たまふ。

 光榮、第四調。自調。

睿えい智ちなる克肖こくせう致ち命女めいぢよ、修道女しうだうぢよの飾かざり、受難女じゆなんぢよの譽ほまれなる者ものよ、爾なんぢの體からだは鐵搭くまでにて掻かかれて、爾なんぢの靈たましひの輝かゞやける華くわ美びは彌いよいよ美うるはしく現あらはれたり、今いま爾なんぢは奇き跡せきの常つねに流ながるる泉いづみなり、惡あく鬼きを逐おふ者もの、爾なんぢの記き憶おくを尊たふとむ者ものの爲ために祈き禱たうする者ものなり。

 今も、生神女讚詞。

至し淨じやうなる生しやう神しん童貞女どうていぢよよ、我われ等らは爾なんぢを垣墻かきと穩おだやかなる港みなと及および固かためとして得えたり、故ゆゑに我われ度ど生せいの中うちに荒あらさるる者ものは禱いのる、我われを導みちびきて救すくひ給たまへ。

 十字架生神女讚詞

母はゝよ、我われ爾なんぢの子こ及および神かみ、地ちを寄よする所ところなく水みづの上うへに懸かけて、萬物ばんぶつを造つくりし者ものが木きの上うへに懸かゝれるを見みて、泣なく毋なかれ、蓋けだし我われ起おきて光くわう榮えいを獲え、異い能のうを以もつて地ぢ獄ごくの國くにを破やぶり、其その力ちからを滅ほろぼし、慈じ憐れんの者ものとして、俘擄とりこを其その惡業あくげふより救すくひ、人ひとを愛あいする者ものとして、之これを吾わが父ちゝの許もとに攜たづさへん。

若し挿句くづけに光榮あらば、晩課の、今も、生神女讚詞、或は十字架生神女讚詞を誦せよ。

 

第二十五編 神品表信者及び克肖表信者の總奉事

 晩課

「主よ爾に籲ぶ」に讚頌スティヒラ、第四調。

神かみに感かんぜられし聖せいなる(某)よ、我われ等ら爾なんぢを承うけ認とめて、眞實しんじつの堅立けんりつ、信しんの固かため、定てい理りの證しよう明めい、敬虔けいけんの器うつは、潔けつ淨じやうの居處すまひ、聖神せいしん゜の香氣かをり、敎をしへの至し大だいなる寶藏はうざう、及およびハリストスの敎けう會くわいの基もとゐと爲なす。

讚さん美びたる捧神者ほうしんしや、睿えい智ちなる(某)よ、我われ等ら爾なんぢを讚ほめ揚あげて、使徒等しとらの後任者こうにんしや、受難者じゆなんしやの友とも、修齋者しゆさいしやの同勞者どうらうしや、諸しよ敎けう師しの印いん證しようと模も範はん、ハリストスの奧密者あうみつしや、及および神しん智ちの川かは、不ふ法者はふしやと褻瀆者せつどくしやとの異い説せつを溺おぼらす者ものと爲なす。

尊そん貴き光くわう榮えいなる(某)よ、爾なんぢは智慧ちゑの「タラント」を增まして、爾なんぢの主しゆの歡樂よろこびに入いるを得え、神聖しんせいなる光くわう照せうの恩おん寵ちように飾かざられ、屬神ぞくしん゜の光ひかりに輝かゞやきて、今いま生いのちを施ほどこす主しゆの前まへに立たちて、彼處かしこより發はつする光明くわうみやうの中うちに常つねに樂たのしみ給たまふ。

 光榮、今も、生神女讚詞。

讚さん美びたる潔いさぎよき生しやう神女しんぢよよ、我わが慾よくに耽ふけりたる心こゝろの汚けがれを洗あらひ、罪つみに由よる其その傷きずと膿うみとを淨きよめ、吾わが動うごける智慧ちゑを堅かため給たまへ、我われ不ふ當たうにして無む益えきなる爾なんぢの僕ぼくが爾なんぢの力ちからと大おほいなる保護ほごとを崇あがめ讚ほめん爲ためなり。

 十字架生神女讚詞

至し淨じやうなる者ものは人ひとを愛あいする主しゆハリストスの十じふ字架じかに釘ていせられ、戈ほこにて脅わきの刺ささるるを見みて、哭なきて呼よべり、吾わが子こよ、此これ何なにぞ、恩おんを知しらざる民たみは爾なんぢが彼かれ等らに爲なしし善ぜんに易かへて何なにをか爾なんぢに報むくいたる、至し愛あいなる者ものよ、胡爲なんすれぞ我われを子こなき者ものとして遺のこす、慈じ憐れんなる主しゆよ、我われ爾なんぢが甘あまんじて受うくる釘殺ていさつを奇きとす。

若し之あらば、自調。光榮、第六調。

克肖こくせうなる神しん父ぷ(某)よ、爾なんぢの口くちより恩おん寵ちようは流ながれしに、爾なんぢはハリストスの敎けう會くわいの牧者ぼくしやと爲なりて、靈れい智ちなる羊ひつじに惟一ゆゐいちの神性しんせいの中うちに一體いつたいなる三者さんしやを信しんぜんことを敎をしへ給たまへり。

 今も、 生神女讚詞

至し淨じやうなる生しやう神しん童貞女どうていぢよよ、爾なんぢに趨はしり附つく者ものは一人ひとりも恥はぢを得えて爾なんぢより出いづるなし、卽すなはち恩おん寵ちようを求もとめて、益えきある求もとめに適かなふ賜たまものを受うく。

 十字架生神女讚詞

至し淨じやうなる者ものは爾なんぢが十じふ字架じかに懸かゝかれるを見みて、母はゝとして哭なきて呼よべり、吾わが子こ及および吾わが神かみ、吾わが甘愛かんあいなる產さんよ、如何いかんぞ爾なんぢ恥はづべき苦くるしみを忍しのぶ。

若し多燭詞ポリエレイを以て祭を行はば、復活の生神女讚詞を誦すべし。

至し聖せいなる童貞女どうていぢよよ、誰たれか爾なんぢを讚さん美びせざらん、誰たれか爾なんぢの至いたりて淨きよき產さんを歌うたはざらん、世よの無なき先さきに父ちゝより光ひかる獨生どくせいの子こは爾なんぢ淨きよき者ものより言いひ難がたく身みを取とりて出いで、本性ほんせいの神かみは我われ等らの爲ために本性ほんせいの人ひとと爲なれり、其その位くらゐ一ひとつにして相分あひわかれず、其その性せい二ふたつにして相あひ失うしなはず、淨きよくして至いたりて福さいはひなる者ものよ、我わが靈たましひの憐あはれみを蒙かうむらんことを彼かれに禱いのり給たまへ。

 聖入。本日の提綱ポロキメン。克肖者の喩言パリミヤ、三篇、巻末に載す。

 挿句くづけの讚頌スティヒラ、第八調。

至いたりて睿えい智ちなる(某)、至し榮えいなる神しん父ぷよ、爾なんぢは神かみを歌うたひて、其その歌うたを以もつてハリストスの敎けう會くわいを輝かゞやかし、聖神せいしん゜の氣いきにて簫ふえを吹ふき、ダワィドの如ごとく、神聖しんせいなる歌うたにて衆しゆうを照てらし給たまへり。

句 聖人せいじんの死しは主しゆの目めの前まへに貴たつとし。

至し榮えい至し福ふくにして克肖こくせうなる神しん父ぷ(某)よ、爾なんぢは世よの煩わづらはしき紛擾さわぎを避さけて、ハリストスの穩静をんせいに趨はしり附つき、神聖しんせいなる度ど生せいに輝かゞやきて、神かみの行爲わざを學まなび、神しん智ちに富とめる者ものと爲なりて、之これを信者しんじやに傳つたへ給たまへり。

句 神かみを畏おそれ、其その誡いましめを極きはめて愛あいする人ひとは福さいはひなり。

地ち上じやうの者ものよ、來きたりて、今日こんにち歌うたを以もつて敬虔けいけんに克肖こくせうなる(某)の聖せいにせられし尊たふとき慶けい賀がを歌うたはん、蓋けだし彼かれは實じつに神かみの光くわう照せうの光ひかりを受うくるに勝たふる者ものと爲なれり。嗚呼あゝ主宰しゆさいよ、爾なんぢの慈じ憐れんは言いひ難がたき哉かな、我われ等ら此これに由よりて爾なんぢ至し仁じんなる主しゆを讚榮さんえいするを悟さとれり。

 光榮、第八調。

我われ等らの神しん父ぷ(某)よ、修道しうだう士しの大數たいすうは爾なんぢを敎導けうだう師しと尊たふとむ、爾なんぢの途みちに由よりて實まことに直なほく行ゆくことを知しりたればなり。福ふくたる哉かな爾なんぢ、ハリストスに服ふく從じゆうして、敵てきの力ちからに勝かち、天てん使等しらと對たい話わする者もの、克肖者こくせうしや及および義ぎ者しやの友ともと爲なりし者ものや、彼かれ等らと偕ともに主しゆに我われ等らの靈たましひの憐あはれみを蒙かうむらんことを祈いのり給たまへ。

 今も、復活の生神女讚詞。

聘女よめならぬ童貞女どうていぢよ、言いひ難がたく身みにて神かみを孕はらみし者もの、至し上じやうなる神かみの母はゝよ、爾なんぢの諸僕しよぼくの祈き禱たうを受うけ給たまへ、衆しゆうに諸罪しよざいの潔淨きよめを予あたふる純じゆん潔けつなる者ものよ、今いま我われ等らの冀き願がんを納いれて、我われ等ら皆みな救すくはれんことを祈いのり給たまへ。

若し多燭詞ポリエレイを以て祭らずば、下の生神女讚詞を誦せよ。

聖せいなる童貞どうてい生しやう神女しんぢよよ、我われ爾なんぢの庇廕おほひに趨はしり附つく、我われ爾なんぢに倚よりて救すくひを得えんことを知しる、爾なんぢは、潔いさぎよき者ものよ、我われを援たすくるを能よくすればなり。

 十字架生神女讚詞

無む玷てんなる牝め牛うしは犢こうしが木きの上うへに甘あまんじて釘ていせらるるを見みて、悲かなしみ泣なきて呼よべり、哀かなしい哉かな最愛いとあいすべき子こよ、恩おんを知しらざるエウレイの會くわいは何なにをか爾なんぢに報むくいたる、至し愛あいなる者ものよ、何なんぞ我われを子こなき者ものとして遺のこす。

讚詞トロパリは奉事例に据る。若し奉事例になくば、下の讚詞トロパリを誦せよ。第八調。

醇じゆん正せいの敎をしへの敎けう師し、敬虔けいけんと潔けつ淨じやうとの敎導けうだう師し、全ぜん地ちの燈ともしび、司し祭首さいしゆ等らの聖せいにせられし装さう飾しよく、屬神ぞくしんの簫ふえたる睿えい智ちなる(某)よ、爾なんぢは己おのれの敎をしへを以もつて衆しゆう人じんを照てらし給たまへり、ハリストス神かみに我われ等らの靈たましひの救すくはれんことを禱いのり給たまへ。

 光榮、今も、生神女讚詞、或は十字架生神女讚詞。

 早課

「主は神なり」に讚詞トロパリ同上。

 第一の「カフィズマ」の後に坐誦讚詞セダレン、第四調。

爾なんぢは地ち上じやうの過すぎ易やすき逸樂いつらくを顧かへりみず、世よの華麗くわれいと暫ざん時じの樂たのしみとを忌いみて、野のに居をることを愛あいせり、此これに由よりて致ち命者めいしや及および修齋者しゆさいしやの會くわいに加くはへらるるを得えたり、爾なんぢの諸僕しよぼくを救すくはんことを彼かれ等らと偕ともに祈いのり給たまへ。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

純じゆん潔けつ無む玷てんにして婚姻こんいんに與あづからざる童貞女どうていぢよ、獨ひとり時ときに由よらざる子こ及および神かみの言ことばを時ときの内うちに生うみし者ものよ、彼かれに神聖しんせい尊そん貴きなる使徒しと、致ち命者めいしや、預よ言者げんしや、克肖者こくせうしやと偕ともに祈いのりて、我われ等らに潔けつ淨じやうと大おほいなる憐あはれみとを賜たまはんことを求もとめ給たまへ。

 第二の「カフィズマ」の後に坐誦讚詞セダレン、第四調。

至し福ふくなる(某)よ、爾なんぢはハリストスに從したがひて、世よを捨すて、節制せつせいを以もつて肉體にくたいを治をさめたり、故ゆゑに成聖せいせいの傅ふ膏かうを得え給たまへり、今いまは無む形けいの會くわいに移うつりて、我われ等ら衆しゆう爾なんぢを讚ほめ揚あぐる者ものの爲ために禱いのり給たまふ。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

獨ひとり萬ばん衆しゆうの造成主ざうせいしゆを生うみ、獨ひとり爾なんぢの產さんを以もつて人類じんるゐを装さう飾しよくせし至し淨じやうなる者ものよ、我われを詭き譎けつなるワェリアルの網あみより救すくひ、我われをハリストスの戒いましめの石いしに立たてて、爾なんぢが人ひととして生うみし主しゆに我わが爲ために熱切ねつせつに禱いのり給たまへ。

 「主の名を讚め揚げよ」の後に、神品表信者に付唱。

成聖者せいせいしや神しん父ぷ(某)よ、我われ等ら爾なんぢを讚揚さんやうして、爾なんぢの聖せいなる記き憶おくを尊たふとむ、爾なんぢは我われ等らの爲ためにハリストス我わが神かみに祈いのり給たまへばなり。

 拔萃聖詠

「萬民之を聽け。」

克肖表信者に付唱。

克肖こくせうなる神しん父ぷ(某)、修道しうだう士しの敎けう師し、天てん使等しらの對たい話わ者しやよ、我われ等ら爾なんぢを讚さん美びして、爾なんぢの聖せいなる記き憶おくを尊たふとむ。

 拔萃聖詠

「我切に主を恃みしに。」

 多燭詞ポリエレイの後に坐誦讚詞セダレン、第三調。

至し福ふくなる(某)よ、爾なんぢは聖神せいしん゜に照てらされて、勇いさましく醇じゆん正せいの敎をしへを傳つたへ、不ふ法はふなる迫害者はくがいしやを辱はづかしめて、非義ひぎに流刑りうけいに處しよせられたり。克肖こくせうなる神しん父ぷよ、愛あいを以もつて爾なんぢの聖せいなる記き憶おくを尊たふとむ者ものに諸罪しよざいの赦ゆるしを賜たまはんことをハリストス神かみに禱いのり給たまへ。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

人ひとは救すくひを得うる處ところに義ぎに合かなひて趨はしり附つく、生しやう神女しんぢよよ、爾なんぢの如ごとき避所かくれが、我われ等らの靈たましひを蔽おほふ者ものは亦また何處いづこにかあらん。

 品第詞ステペンナ、第四調の第一倡和詞アンティフォン。

 提綱ポロキメン

聖人せいじんの死しは主しゆの目めの前まへに貴たつとし。

句 我われ何なにを以もつて主しゆの我われに施ほどこしし悉ことごとくの恩おんに報むくいん。

「凡そ呼吸ある者」

福音經は巻末に載す。

 第五十聖詠の後に讚頌スティヒラ、第六調。

克肖こくせうなる神しん父ぷよ、爾なんぢの諸德しよとくの風聲きこゑは全ぜん地ちに傳つたはる、爾なんぢは惡あく鬼きの群むれを破やぶり、潔けつ淨じやうを以もつて天てん使しの生命いのちに效ならひて、其その品ひん位ゐに至いたれり、故ゆゑに天てんに於おいて爾なんぢの勤勞きんらうの賞むくいを獲えたり。ハリストス神かみの前まへに勇敢いさみを有たもちて、我われ等らの靈たましひの爲ために平安へいあんを求もとめ給たまへ。

 規程カノン、第六調。

イルモス イズライリは陸くがの如ごとく淵ふちを蹈ふみ渡わたり、追おひ詰つめしファラオンの溺おぼるるを見みて呼よべり、凱歌かちうたを神かみに奉たてまつらん。

救世主きうせいしゆよ、聖せいにせられし(某)は思おもひを全まつたうして爾なんぢを愛あいし、勇いさましく己おのれを苦く難なんに付わたし、憂うれひと苦くるしみと勞らうとを忍しのびて、終をはりなき樂たのしみを得うるに至いたれり。

爾なんぢは血ちを灌そゝぐを以もつて不ふ信しんの醎海しほうみを涸からし、ハリストスの川かはと爲なりて、常つねに敎けう會くわいに飮のませ給たまふ。

光くわう榮えいなる(某)よ、爾なんぢは地ち上じやうに大おほいなる功勞こうらうを神かみに捧さゝげて、天國てんこくの榮えい冠くわんと永久えいきうの生命いのちとを受うくるに勝たふる者ものと爲なり給たまへり。

 生神女讚詞

諸德しよとくの華くわ美びに飾かざられたる潔いさぎよき神かみの母はゝよ、爾なんぢは實在じつざいの德とくたる眞まことの神かみ、神聖しんせいなる諸德しよとくを以もつて我われ等らを照てらしし主しゆを孕はらみ給たまへり。

第三歌頌

イルモス 爾なんぢが信者しんじやの角つのを髙たかうし、我われ等らを爾なんぢが承認うけとめの石いしに堅かためし仁じん慈じの主しゆ、吾わが神かみよ、爾なんぢと均ひとしく聖せいなるはなし。

福ふくたる克肖こくせうなる神しん父ぷ(某)よ、爾なんぢは眶まぶたに眠ねむり、目めに寢いぬるを許ゆるさずして、聖三者せいさんしやの堂だうと現あらはれ、光くわう明めいなる敎をしへにて世せ界かいを富とます睿えい智ちの寶藏はうざうと爲なるに至いたり給たまへり。

神しん智ちなる(某)よ、爾なんぢは神かみの命めいを守まもる者ものとして、牢獄ひとやに鎖とざされて、信者しんじやの爲ために廣ひろき智ち識しきに入いる敎をしへの道みちの閉鎖とざしを啓ひらき給たまへり。

至いたりて聖せいにせられし受難者じゆなんしや(某)よ、爾なんぢは神聖しんせいなる隊たいの軍ぐん士しとして、神かみの力ちからに堅かためられて、堅けん固ごなる表信へうしんを以もつて不ふ法者はふしやの固かたからざる强きやう暴ばうを仆たふし給たまへり。

 生神女讚詞

萬世ばんせいの先さきより在います父ちゝの睿えい智ち及および言ことばは末すゑの時ときに言いひ難がたく爾なんぢ婚姻こんいんに與あづからざる母はゝより身みを取とりて、爾なんぢを生しやう神女しんぢよと爲なし給たまへり。

 坐誦讚詞セダレン、第四調。

天てんの奧密者あうみつしや(某)、神しん智ちなる我われ等らの神しん父ぷよ、光くわう榮えいなる日ひは爾なんぢを其その敎けう會くわいの穹蒼おほぞらに暁あけの明星みやうじやうと立たてて、爾なんぢの言ことばを以もつて信者しんじやを照てらし給たまふ。

 光榮、今も、生神女讚詞。

純じゆん潔けつ無む玷てんにして婚姻こんいんに與あづからざる童貞女どうていぢよ、獨ひとり時ときに由よらざる子こ及および神かみの言ことばを時ときの内うちに生うみし者ものよ、彼かれに神聖しんせい尊そん貴きなる使徒しと、致ち命者めいしや、預よ言者げんしや、克肖者こくせうしやと偕ともに祈いのりて、我われ等らに潔けつ淨じやうと大おほいなる憐あはれみとを賜たまはんことを求もとめ給たまへ。

 十字架生神女讚詞

神かみの言ことばよ、爾なんぢの至し淨じやうなる母はゝは爾なんぢが十じふ字架じかに擧あげられたるを見みし時とき、母はゝとして哭なきて言いへり、吾わが子こよ、此この新あらたなる驚おどろくべき奇き跡せきは何なんぞや、如何いかんぞ爾なんぢ萬ばん衆しゆうの生命いのちは、慈じ憐れんなる者ものとして、死し者しやを活いかさんと欲ほつして死しに近ちかづく。

第四歌頌

イルモス 尊たふとき敎けう會くわいは淨きよき心こゝろより主しゆの爲ために祝いはひ、神かみに適かなひて呼よび歌うたふ、ハリストスは吾わが力ちからと神かみと主しゆなり。

讚さん美びたる(某)よ、爾なんぢは己おのれの言ことばを戈ほこの如ごとくにして無む神しんを刺さし殺ころし、己おのれの苦くるしみを劍つるぎの如ごとくにして惡あく鬼きの隊たいに勝かてり、彼かれ等らの惡計あくけいより爾なんぢを尊たふとむ者ものを救すくひ給たまへ。

神品しんぴん致ち命者めいしや(某)は呼よべり、我われは惡あく鬼きを祭まつらず、死しをも苦くるしみの刑けい具ぐをも畏おそれずして、三者さんしやに於おいて識しらるる惟一ゆゐいちの神かみを承うけ認みとむ。

神しん父ぷよ、主しゆは爾なんぢの謙遜へりくだりの至し榮えいなる崇髙たかさを觀みて、爾なんぢに髙妙かうめうなる言ことばを賜たまふ、此これに由よりて諸しよ異い端たんの甚はなはだしき驕おごりは卑ひくくせらる。

 生神女讚詞

我われ等らは童貞女どうていぢよを神かみに入いる門もんとし、神聖しんせいなる樂園らくゑんとし、成聖せいせいの靈れい智ちなる處ところとし、イアコフの榮さかえとして讚揚さんやうす。

第五歌頌

イルモス 至し仁じんなる神かみの言ことばよ、切せつに祈いのる、爾なんぢに朝あさの祈き禱たうを奉たてまつる者ものの靈たましひを爾なんぢが神かみの光ひかりにて照てらして、爾なんぢ罪つみの暗やみより呼よび出いだす眞まことの神かみを知しらしめ給たまへ。

至いたりて睿えい智ちにして福ふくたる神しん父ぷ(某)よ、爾なんぢは淚なみだの流ながれを以もつて逸樂いつらくの淵ふちを涸からし、爾なんぢの敎をしへの注そゝぐを以もつて諸しよ異い端たんの流ながれを塞ふさぎ給たまへり。

神しん父ぷ(某)よ、爾なんぢは實じつに三者さんしやを容いるる殿でんと爲なりて、恩おん寵ちように飾かざられ、尊たふとき諸德しよとくと模も範はんたる謙遜けんそんとを以もつて輝かゞやき給たまふ。

光くわう榮えいなる(某)よ、爾なんぢは忍耐にんたいを以もつて凶きよう惡者あくしやの悉ことごとくの謀はかりごとを破やぶれり、求もとむ、其害そのがいより我われを救すくひ、我われに力ちからを與あたへて、神かみに至いたらしむる路みちを行ゆかしめ給たまへ。

 生神女讚詞

純じゆん潔けつなる者ものよ、我われ等らは爾なんぢより我われ等らの爲ために苦くるしみと死しとに屬ぞくする身みを受うけ、見みゆる性せいに見みえざる神性しんせいを混淆こんかうせずして一いち位ゐに合あはせ給たまひし主しゆを歌うたふ。

第六歌頌

イルモス 誘惑いざなひの猛風あらしにて浪なみの立たち揚あがる世よの海うみを觀みて、爾なんぢの穩おだやかなる港みなとに著つきて呼よぶ、憐あはれみ深ふかき主しゆよ、我わが生命いのちを淪亾ほろびより救すくひ給たまへ。

主しゆの受難者じゆなんしや、讚さん美びたる(某)よ、爾なんぢは燈ともしびと爲なりて、爾なんぢの苦くるしみの光ひかりを以もつて四し極きよくを照てらし、ハリストスの名なを迫害者はくがいしやの前まへに承うけ認みとめ給たまへり。

神しん父ぷ(某)よ、爾なんぢの舌したは實じつに迅書者じんしよしやの筆ふでの如ごとくなりて、心こゝろの肉にく碑ひの上うへに屬神ぞくしん゜の法はふを書しるす所ところの至し尊そんなる智慧ちゑを承うけ認みとめたり。

神かみの言ことばを宣のべたる神しん父ぷよ、爾なんぢの敎をしへに從したがふ者ものは穩静をんせいに世よを度わたりて、靈たましひを害がいする激浪あらなみを免まぬかれ、信しんを以もつて諸しよ異い端たんより反正はんせいする者ものは救すくひを得う。

 生神女讚詞

純じゆん潔けつ無む玷てんにして至し福ふくなる者ものよ、爾なんぢの童貞どうていを護まもる聖神せいしん゜は爾なんぢに臨のぞみて、爾なんぢを至し上じやう者しやの子この尊たふとき居處すまひと爲なし給たまへり。

小讚詞コンダクは奉事例に据る。若し奉事例になくば、下の小讚詞コンダクを誦せよ。第二調。

神しん智ちなる(某)、聖せいにせられし神しん父ぷよ、爾なんぢは節制せつせいを樂たのしみて、肉體にくたいの望のぞみを眠ねむらせ、信しんに由よりて生せい長ちやうして、樂園らくゑんの生命せいめいの樹きの如ごとく榮さかえたり。

 同讚詞イコス

聖せいにせられし神しん父ぷ(某)、至し榮えいなる克肖こくせう致ち命者めいしやよ、神かみの前まへに立たちて、神かみに悅よろこばるる爾なんぢの祈き禱たうを以もつて我わが口くちを開ひらき給たまへ、我わが爾なんぢの神聖しんせいなる度ど生せいを歌うたひ、宜よろしきに合かなひて爾なんぢの諸德しよとくを宣のべん爲ためなり、蓋けだし爾なんぢは潔けつ淨じやうを愛あいし、常つねに警醒けいせいして、節制せつせいを修をさめ、且かつ動うごかされぬ信しんを守まもり、熱切ねつせつなる愛あいを以もつて堅けん固ごなる致ち命者めいしやと爲なり給たまへり。

第七歌頌

イルモス 神かみの使つかひは潔いさぎよき少者せうしやの爲ために爐ゐろりに露つゆを出いださしめ、ハルデヤ人じんを焼やく神かみの詔みことのりは苦くるしむる者ものに呼よばしめたり、吾わが先せん祖ぞの神かみよ、爾なんぢは崇あがめ讚ほめらる。

神しん智ち者しやよ、爾なんぢの度ど生せいが齋ものいみの由よりて光くわう明めいなる者ものと爲なりし如ごとく、斯かく爾なんぢの苦くるしみを受うくる忍耐にんたいは堅けん固ごなりき、蓋けだし爾なんぢは嚴おごそかにハリストスを讚榮さんえいして呼よべり、我わが先せん祖ぞの神かみは崇あがめ讚ほめらる。

神かみに悅よろこばるる神しん父ぷ(某)よ、爾なんぢは貞潔ていけつの清淨しやうじやうと勇敢ゆうかんとを帶おびて、恩おん寵ちように由よりて受難じゆなんの光くわう明めいなる榮えい冠くわんを受うけて呼よべり、我わが先せん祖ぞの神かみは崇あがめ讚ほめらる。

救世主きうせいしゆよ、爾なんぢの至し淨じやうなる聖像せいざうに伏拜ふくはいせざる不ふ虔けんの者ものは爾なんぢの役者えきしやを侵害しんがいして、之これに多おほくの傷きずを被かうむらせたり、蓋けだし彼かれは常つねに爾なんぢに呼よびて言いへり、我わが先せん祖ぞの神かみは崇あがめ讚ほめらる。

 生神女讚詞

至し淨じやうなる者ものよ、父ちゝの懷ふところに限かぎられぬ者ものとして坐ざする主しゆは今いま爾なんぢより出いでて、爾なんぢの像すがたに肖にたる者ものと爲なり、爾なんぢの懷ふところに限かぎらるる者ものとして坐ざし給たまふ、蓋けだしアダムを救すくはん爲ためにアダムと爲なり給たまへり。

第八歌頌

イルモス ハリストスよ、爾なんぢは潔いさぎよき者ものの爲ために㷔ほのほより露つゆを注そゝぎ、義ぎ人じんの祭まつりの爲ために水みづより火ひを出いだせり、爾なんぢは一ひとつの望のぞみにて萬ばん事じを行おこなひ給たまへばなり、我われ等ら爾なんぢを世世よよに讚ほめ揚あぐ。

福ふくたる(某)よ、爾なんぢは輝かゞやく日ひの如ごとく現あらはれて、四し極きよくに敎訓けうくんを遣つかはし、痛つう悔くわいの光ひかりを以もつて凡およその罪つみの深ふかき幽暗くらやみを散さんじ給たまふ。

神かみの悅よろこびを獲えたる(某)よ、爾なんぢは神聖しんせいなる敎をしへの流ながれを注そゝぎて、エデムより出いでたる河かはの如ごとく地ちの面おもてを潤うるほして、不ふ虔けんの稗ひえを沈しづめ給たまふ。

至し福ふくなる者ものよ、爾なんぢは言ことばの美うるはしきを以もつて装さう飾しよくせられたり、蓋けだし聖神せいしん゜の筆ふでと爲なりて、敬虔けいけんなる信者しんじやに神聖しんせいなる智ち識しきを書しるして、ハリストスを世世よよに讚ほめ揚あぐ。

 生神女讚詞

純じゆん潔けつなる者ものよ、我われ今いま爾なんぢの帲幪おほひに趨はしり附つきて、我わが生命いのちの爲ために保護まもりと爲ならんことを求もとむ、蓋けだし爾なんぢは智慧ちゑに超こえて神かみ言ことばを生うみ給たまへり、我われ等ら彼かれを世世よよに讚ほめ揚あぐ。

第九歌頌

イルモス 天てん使しの品ひん位ゐすら見みるを得えざる神かみは、人ひと見みる能あたはず、唯たゞ爾なんぢ至し淨じやうの者ものに依よりて人體じんたいを取とりし言ことばは人人ひとびとに現あらはれ給たまへり、我われ等ら彼かれを崇あがめて、天軍てんぐんと偕ともに爾なんぢを讚ほめ揚あぐ。

爾なんぢは月つきの如ごとく、大おほいなる日ひの如ごとく、電いなづまの如ごとくハリストスの敎けう會くわいに輝かゞやきて、信者しんじやの智慧ちゑを照てらし、隱かくれざる光ひかりに入いりて、三聖さんせいの聲こゑを以もつて造つくられざる三者さんしやを歌うたひ給たまふ。

讚さん美びたる(某)よ、地ちは爾なんぢの聖せい軀くを安あん置ちせる聖せいにせられし柩ひつぎを寶たからの如ごとく藏をさめたるに、義ぎ人じん等らの靈たましひは樂たのしみ、天てん使等しらは爾なんぢの神しん゜を受うけたり。福ふくたる者ものよ、彼かれ等らと偕ともに我われ等ら衆しゆう爾なんぢを歌うたふ者ものを記き憶おくし給たまへ。

奇異きいなる(某)よ、爾なんぢは至し聖神せいしん゜の殿でん、活くわつ水すゐを盈みつる川かは、敎けう會くわいの動うごかざる基もとゐ、正敎せいけうの固かため、常つねに涌わく流ながれ、神聖しんせいなる痛つう悔くわいの泉いづみなり。

 生神女讚詞

神かみの恩おん寵ちようを蒙かうむれる童貞女どうていぢよよ、天てんの滴したゝりの如ごとく雨あめは爾なんぢの胎内たいないに降くだりて、迷まよひの流ながれを涸からし、爾なんぢに由よりて衆しゆう人じんの爲ために不ふ朽きうと贖しよく罪ざいとを注そゝぎたり。

 光耀歌

克肖こくせうなる神しん父ぷ(某)よ、爾なんぢは第一だいいちに苦くるしみにて善よく試こゝろみられ、第だい二にに齋ものいみを以もつて馳はすべき神聖しんせいなる程みちを盡つくし、天てんに升のぼりてハリストスの前まへに立たち給たまふ。爾なんぢを歌うたふ我われ等らの爲ために熱切ねつせつに祈いのり給たまへ。

 生神女讚詞

言いひ難がたき歡喜よろこびたる主しゆを生うみし至し淨じやうなる者ものよ、我われ等ら衆しゆう爾なんぢを尊たふとみて、靈たましひより感謝かんしやを爾なんぢに奉たてまつる者ものを天てん上じやうの歡喜よろこびに與あづからしめ給たまへ、祝しゆく福ふくせられしマリヤよ、爾なんぢの諸僕しよぼくを忘わするる勿なかれ。

 「凡そ呼吸ある者」に讚頌スティヒラ、第四調。

神しん父ぷ(某)よ、聖神せいしん゜の恩おん寵ちようは爾なんぢに輝かゞやきて、明あきらかに爾なんぢを照てらせり、此これに由よりて爾なんぢは諸慾しよよくの夜よを過すぎ、無む慾よくの日ひに至いたりて、最いと潔いさぎよき光ひかりに潔いさぎよく合あはせられたり、神言者しんげんしやよ、其中そのうちに居をりて、我われ等ら信しんを以もつて爾なんぢの聖せいにせられし記き憶おくを歌うたふ者ものを忘わするる勿なかれ。二次

神かみに愛あいせらるる克肖者こくせうしや(某)よ、爾なんぢは望のぞみたる天てんの恩おん寵ちようを蒙かうむりて、地ち上じやうの事ことを顧かへりみざりき、故ゆゑに肉體にくたいなき者ものの如ごとく苦くるしき度ど生せいを擇えらび、永在えいざいの甘かん味みの流ながれを樂たのしまんと欲ほつして、淚なみだを以もつて諸慾しよよくの濁にごりたる泉いづみを涸からして、靈たましひを養やしなふ穗ほを潤うるほし給たまへり。

克肖こくせうなる(某)よ、爾なんぢは神かみの恩おん寵ちようより宜よろしきに合かなひて醫治いやしの恩おん賜しを受うけ給たまへり、故ゆゑに朽きう壞くわいに屬ぞくする世よより移うつりて、求もとむる者ものの爲ために惡あく鬼きの誘惑いざなひを防ふせぎ、苦くるしき病やまひを醫いやし、爾なんぢの恩おん寵ちようの流ながれを水みづの如ごとく注そゝぎ給たまふ、我われ等ら之これを飮のみて、爾なんぢの記き憶おくを讚ほめ歌うたふ。

 光榮、第五調。

克肖こくせうなる神しん父ぷよ、爾なんぢは己おのれの目めに寐いね、己おのれの眶まぶたに眠ねむるを許ゆるさずして、爾なんぢの靈たましひと體からだとを諸慾しよよくより解ときて、己おのれを聖神せいしんの爲ために居處きよしよに備そなふるに至いたれり、故ゆゑにハリストスは父ちゝと共ともに來きたりて、爾なんぢの内うちに住居すまひを爲なし給たまへり。一性いつせいなる三者さんしやの悅よろこぶ者ものと爲なりし大おほいなる傳道でんだう師し、我われ等らの神しん父ぷ(某)よ、我われ等らの靈たましひの爲ために禱いのり給たまへ。

 今も、生神女讚詞。

生しやう神しん童貞女どうていぢよよ、我われ等ら信者しんじやは爾なんぢを讚さん美びし、職しよくとして爾なんぢ動うごかされぬ城邑まち、壞やぶられぬ垣墻かき、我われ等らの靈たましひの堅けん固ごなる轉達者てんたつしや及および避所かくれがを讚榮さんえいす。

 十字架生神女讚詞

昔むかし至し福ふくなる童貞女どうていぢよは己おのれの羔こひつじ及および子この十じふ字架じかに擧あげられしを見みて、哭なきて呼よべり、嗚呼あゝ吾わが子こよ、如何いかんぞ爾なんぢは本性ほんせいの不死ふしなる神かみにして死しする。

若し挿句くづけに光榮あらば、晩課の、今も、生神女讚詞、或は十字架生神女讚詞を誦せよ。

 

第二十六編 廉施者奇跡者の總奉事

 晩課

「主よ爾に籲ぶ」に讚頌スティヒラ、第四調。

捧神ほうしんなる廉れん施し者しや(某)、我われ等らの靈たましひの爲ための祈き禱者たうしやよ、爾なんぢ等らは屬神ぞくしん゜の水みづに川かはの如ごとく滿みてられて、神しん徵ちようと治ぢ療れうの至し榮えいなる恩おん賜しとを以もつて造物ざうぶつに飮のませて、靈たましひを害がいする諸慾しよよくを涸からし、諸しよ病びやうを醫いやし、惡あく鬼きを遠とほざけ給たまふ。

聖せいなる者ものよ、爾なんぢ等らは靈たましひの力ちからを以もつて無知むちの諸慾しよよくを制せいして、ハリストスより醫治いやしの恩おん賜しに富とまされて、人人ひとびとと家か畜ちくとに恩おんを施ほどこし給たまふ。故ゆゑに我われ等らは爾なんぢ等らの聖せいにせられし光くわう明めいなる慶けい賀がを行おこなひて、我われ等らの靈たましひの爲ために潔けつ淨じやうを求もとむ。

至し福ふくなる(某)、至し榮えいなる(某)、主しゆの役者えきしや我われ等らの靈たましひの爲ための祈き禱者たうしやよ、爾なんぢ等らの聖せいなる殿でんは光くわう明めいにして救すくひを施ほどこす天てんの如ごとくなり、爾なんぢ等らの神聖しんせいなる醫治いやしの奇き跡せきは星ほしの如ごとく光ひかり、此これ等らに由よりて神かみの恩おん寵ちようは日ひの如ごとく輝かゞやく。

若し之あらば、自調。光榮、第八調。

孰たれか睿えい智ちにして至し榮えいなる廉れん施し者しやの奇き跡せきに驚おどろかざらん、孰たれか之これを讚榮さんえいせざらん、孰たれか熱心ねつしんに歌うたはざらん、蓋けだし彼かれ等らは其その聖せいなる逝世せいせいの後のちにも、信しんを以もつて趨はしり附つく衆しゆうに饒ゆたかに醫治いやしを賜たまふ、彼かれ等らの尊たふとき聖せい軀くも醫治いやしの恩おん寵ちようを流ながす。嗚呼あゝ聖せいなる二に人にんや、嗚呼あゝ尊たふとき首かうべや、嗚呼あゝ神かみより爾なんぢ等らに賜たまはりし恩おん寵ちようの睿えい智ちと光くわう榮えいや。故ゆゑに我われ等らは歌うたを以もつて我わが靈體れいたいの醫治いやしの爲ために彼かれ等らを現あらはしし恩おん主しゆ神かみを讚榮さんえいす。

 今も、 生神女讚詞

全ぜん地ちの譽ほまれよ、慶よろこべ、主しゆの殿でんよ、慶よろこべ、樹こ蔭かげの繁しげき山やまよ、慶よろこべ、衆しゆう人じんの避所かくれがよ、慶よろこべ、純じゆん金きんの燈凳とうだいよ、慶よろこべ、正敎者せいけうしやの光くわう榮えいなる尊たふとき者ものよ、慶よろこべ、樂園らくゑんよ、慶よろこべ、神聖しんせいなる筵えんよ、慶よろこべ、幕まくよ、慶よろこべ、黃金こがねの壺つぼよ、慶よろこべ、衆しゆう人じんの倚賴たのみよ、慶よろこべ、ハリストス神かみの母はゝマリヤよ、慶よろこべ。

 十字架生神女讚詞

潔いさぎよく爾なんぢ主しゆを生うみし者ものは爾なんぢが十じふ字架じかに懸かけられたるを見みて、側かたはらに立たち、哭なきて言いへり、子こよ、何なんぞ身みにて此この苦くるしみを受うけて、我われを子こなき者ものと爲なさんと欲ほつする、速すみやかに光くわう榮えいを受うけよ、我わが爾なんぢの苦くるしみに因よりて讚揚さんやうせられん爲ためなり。

若し多燭詞ポリエレイを以て祭を行はば、復活の生神女讚詞を誦すべし。

天てんの王わうは人ひとを愛あいするに因よりて地ちに現あらはれ、人ひとと偕ともに在いませり、蓋けだし淨きよき童貞女どうていぢよより身みを取とり、人ひとの性せいを有たもちて生うまれし者ものは、二ふたつの性せいにて一ひとつの位くらゐある獨どくいつ子しなり、故ゆゑに我われ等ら彼かれが實じつに全まつたき神かみ及および全まつたき人ひとなるを傳つたへて、ハリストス吾わが神かみを承うけ認みとむ、夫をつとを識しらざる母はゝよ、我わが靈たましひの憐あはれみを蒙かうむらんことを彼かれに祈いのり給たまへ。

 聖入。本日の提綱ポロキメン。致命者の喩言パリミヤ三篇、巻末に載す。

 挿句くづけの讚頌スティヒラ、第一調。

聖せいなる廉れん施し者しや、至いたりて光くわう明めいなる燈ともしび、没ぼつせざる星ほしたる者ものよ、爾なんぢ等らは恩おん寵ちようと髙かう尙しやうなる度ど生せいの諸德しよとくとを以もつて天てんに似にたる者ものと爲なりて、奇き跡せきの光ひかりにて全ぜん地ちを照てらし給たまへり。

句 地ち上じやうの聖人せいじんと爾なんぢの奇異きいなる者ものとは、我われ專もつぱら之これを慕したふ。

雨あめを生しやうずる最いと麗うるはしき雲くもたる主しゆの致ち命者めいしやよ、爾なんぢ等らは饒ゆたかに流ながるる恩おん寵ちようの奇き跡せきを以もつて無む形けいに全ぜん地ちを潤うるほして、感謝かんしやの歌うたを神かみに捧さゝぐることを勸すゝめ給たまふ。

句 兄弟けいてい睦むつましく居をるは善ぜんなる哉かな、美びなる哉かな。

主しゆの致ち命者めいしやよ、爾なんぢ等らは靈たましひと體からだとの苦くるしみを醫いやさん爲ために神かみより實まことに醫い術じゆつを受うけて、性せいに超こえて、人じん爲ゐの治ち療れうにあらずして、神かみの吹噓いきにて衆しゆうを醫いやし給たまふ。

 光榮、第四調。

聖せいなる廉れん施し者しや(某)よ、爾なんぢ等らは醫治いやしの泉いづみを有たもちて、凡およそ求もとむる者ものに醫治いやしを賜たまふ、常つねに流ながるる泉いづみたる救世主きうせいしゆハリストスより至し大だいなる恩おん賜しを獲えたればなり、蓋けだし主しゆは諸しよ使徒しとの同勞者どうらうしやたる爾なんぢ等らに謂いへり、視みよ、我われ爾なんぢ等らに汚鬼をきを制せいして、之これを逐おひ出いだし、又また諸もろもろの病やまひ諸もろもろの疾わづらひを醫いやさん爲ために權けんを與あたへたりと、故ゆゑに爾なんぢ等らは彼かれの命めいを行おこなひて善よく度ど生せいして、費つひえなく受うけ、費つひえなく與あたえて、我われ等らの靈體れいたいの苦く痛つうを醫いやし給たまふ。

 今も、復活の生神女讚詞。

至いたりて玷きずなき者ものよ、爾なんぢの諸僕しよぼくの祈き禱たうを顧かへりみて、堪たえ難がたき攻擊こうげきを我われ等らより退しりぞけ、諸もろもろの愁苦うれひを我われ等らより遠とほざけ給たまへ、我われ等らは爾なんぢを一ひとつの堅けん固ごなる恃たのむべき錨いかりとして有たもち、爾なんぢの轉達てんたつを得えたればなり。女宰ぢよさいよ、願ねがはくは我われ等ら爾なんぢを呼よぶ者ものは恥はぢを蒙かうむらざらん、速すみやかに我わが切せつなる祈いのりを應かなへ給たまへ、蓋けだし我われ等ら中ちゆう心しんより爾なんぢに籲よぶ、女宰ぢよさい、衆しゆう人じんの佑助たすけと、歡喜よろこびと、庇護おほひと、我われ等らの靈たましひの拯救すくひなる者ものよ、慶よろこべ。

若し多燭詞ポリエレイを以て祭らずば、下の生神女讚詞を誦せよ。

至し淨じやうなる生しやう神女しんぢよ、萬ばん衆しゆうの女王によわう、正敎者せいけうしやの譽ほまれよ、異い端者たんしやの驕おごりを破やぶりて、彼かれ等ら爾なんぢの尊たふとき聖像せいざうに伏拜ふくはいせず、之これを尊たふとまざる者ものの面おもてを辱はづかしめ給たまへ。

 十字架生神女讚詞

至し淨じやうなる者ものは人ひとを愛あいする主しゆハリストスの十じふ字架じかに釘ていせられ、戈ほこにて脅わきの刺ささるるを見みて、哭なきて呼よべり、吾わが子こよ、此これ何なにぞ、恩おんを知しらざる民たみは爾なんぢが彼かれ等らに爲なしし善ぜんに易かへて何なにをか爾なんぢに報むくいたる、至し愛あいなる者ものよ、胡爲なんすれぞ我われを子こなき者ものとして遺のこす、慈じ憐れんなる主しゆよ、我われ爾なんぢが甘あまんじて受うくる釘殺ていさつを奇きとす。

讚詞トロパリは奉事例に据る。若し奉事例になくば、下の讚詞トロパリを誦せよ。第八調。

聖せいなる廉れん施し者しや及および奇き跡せき者しやよ、我われ等らの不ふ能のうを顧かへりみ給たまへ、價あたひなく受うけて、價あたひなく我われ等らに施ほどこし給たまへ。

 光榮、今も、生神女讚詞、或は十字架生神女讚詞。

 早課

「主は神なり」に讚詞トロパリ同上。

 第一の「カフィズマ」の後に坐誦讚詞セダレン、第二調。

光くわう榮えいなる(某)よ、爾なんぢ等らは謙遜けんそんを以もつて地ち上じやうに生いのちを送おくりて、大おほいなる恩おん寵ちようを獲えたる者ものと爲なり、遍あまねく巡めぐりて、病びやう者しやの疾わづらひと苦くるしみとを醫いやして、天てん使等しらの對たい話わ者しやと爲なり給たまへり。忠ちゆう信しんにして善ぜん美びなる兄弟けいていよ、爾なんぢ等らの祈き禱たうを以もつて我われ等らの苦く痛つうをも醫いやし給たまへ。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

慈じ憐れんの泉いづみなる生しやう神女しんぢよよ、我われ等らに憐あはれみを垂たれ、罪つみなる人ひとを顧かへりみて、恒つねの如ごとく爾なんぢの力ちからを顯あらはし給たまへ、蓋けだし我われ等らは爾なんぢを恃たのみ、天軍首てんぐんしゆガウリイルに傚ならひて爾なんぢに呼よぶ、慶よろこべよ。

 第二の「カフィズマ」の後に坐誦讚詞セダレン、第一調。

ハリストスの受難者じゆなんしや(某)よ、信しんを以もつて爾なんぢ等らに來きたる我われ等らの爲ために禱いのり給たまへ、蓋けだし爾なんぢ等らは己おのれの祈き禱たうを以もつて醫治いやしの恩おん寵ちようを施ほどこして、多おほくの病やまひを逐おひ給たまふ、我われ等らの生命いのちの守しゆ護ご者しやなればなり。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

至し淨じやうなる生しやう神女しんぢよ、天てんに祝しゆく讚さんせられ、地ちに讚榮さんえいせらるる聘女よめならぬ聘女よめよ、慶よろこべ。

「主の名を讚め揚げよ」の後に附唱。

光くわう榮えいなる奇き跡せき者しや(某)よ、我われ等らは爾なんぢ等らを讚揚さんやうして、爾なんぢ等らがハリストスの爲ために忍しのびし尊そん貴きなる苦くるしみを尊たふとむ。

 拔萃聖詠

「神は我等避所なり、能力なり。」

 多燭詞ポリエレイの後に坐誦讚詞セダレン、第五調。

今日こんにち受難者じゆなんしや(某)の慶けい賀がは耀かゞやけり、蓋けだし彼かれ等らは天てんより光ひかりを放はなち給たまふ、天てん使しの會くわいは祝いはひ、人ひとの族やからも共ともに祭まつる、故ゆゑに彼かれ等らは我われ等らの靈たましひの爲ために禱いのり給たまふ。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

奇異きいなる童貞女どうていぢよの奧密あうみつは全ぜん世せ界かいの爲ために救すくひと現あらはれたり、彼かれより生うまれ給たまひし歡喜よろこびなる主しゆよ、光くわう榮えいは爾なんぢに歸きす。

 品第詞ステペンナ、第四調の第一倡和詞アンティフォン。

 提綱ポロキメン

地ち上じやうの聖人せいじんと爾なんぢの奇異きいなる者ものとは、我われ專もつぱら之これを慕したふ。

句 我われ恒つねに主しゆを我わが前まへに見みたり、蓋けだし彼かれは我わが右みぎにあり、我わが動うごかざらん爲ためなり。

「凡そ呼吸ある者」

福音經は巻末に載す。

 第五十聖詠の後に讚頌スティヒラ、第一調。

致ち命者めいしや(某)の光くわう明めい華くわ美びにして至いたりて欣よろこばしき聖せいなる記き憶おくは全ぜん地ちを照てらし、罪つみの暗やみを逐おひ、醫治いやしの恩おん寵ちようを流ながす。

 規程カノン、第八調。

第一歌頌

イルモス 苦くるしむるファラオンを海うみに溺おぼらし、イズライリを乾かわける地ちにて導みちびきしハリストスに歌うたはん、彼かれ世世よよに光くわう榮えいを顯あらはしたればなり。

我われ等らは恩おん寵ちようを以もつて衆しゆうの病やまひを醫いやす廉れん施し者しや醫師いしたる(某)を全ぜん世せ界かいに現あらはし給たまひし贖しよく罪主ざいしゆ及および救世主きうせいしゆハリストスを歌うたはん、彼かれ世世よよに光くわう榮えいを顯あらはしたればなり。

聖せいなる者ものは屬神ぞくしん゜の恩おん寵ちようより奇き跡せきの川かはを流ながして、諸しよ病びやうを醫いやし給たまふ、我われ等ら信者しんじやは彼かれ等らに此この權けんを賜たまひし主しゆを崇あがめ讚ほめん、彼かれ世世よよに光くわう榮えいを顯あらはしたればなり。

廉れん施し者しや醫師いしよ、神かみに祈き禱たうを奉たてまつりて、我われ等らを諸もろもろの誘惑いざなひ、多おほくの憂うれひ、及および彼かの時ときの畏おそるべき苦くるしみより脫のがれしめんことを禱いのり給たまへ。

 生神女讚詞

憂うれふる者ものの保護ほご者しや、望のぞみを失うしなふ者ものの救すくひ及および恃たのみなる讚さん美びたる生しやう神女しんぢよよ、常つねに我われ等らを諸難しよなんより脫のがれしめんことをハリストスに禱いのり給たまへ。

第三歌頌

イルモス 我わが心こゝろは主しゆに緣よりて堅かためられ、我わが角つのは我わが神かみに緣よりて髙たかくなり、我わが口くちは我わが敵てきに向むかひて開ひらけ、我われは爾なんぢの救すくひの爲ために樂たのしめり。

爾なんぢの聖者せいしや(某)を地ち上じやうの者ものに全ぜん世せ界かいを照てらす奧密あうみつなる光くわう線せんとして現あらはしし主しゆよ、我われ等らの上うへにも爾なんぢの仁じん慈じを現あらはし給たまへ。

爾なんぢ等らは神かみより費つひえなく恩おん賜しを受うけたる者ものとして、主しゆ我わが神かみの言ことばに從したがひて、又また費つひえなく醫治いやしを施ほどこし、惡あく鬼きを逐おひ給たまふ。

聖せいなる奇き跡せき者しや、醫師いし、諸天しよてん使しと竝ならび立たつ者ものよ、世せ界かいは常つねに爾なんぢ等らの多おほくの恩おん賜しと多おほくの奇き跡せきとを歌うたふ。

 生神女讚詞

至し淨じやうなる者ものよ、我われ等らは爾なんぢ地ち上じやうにダワィドより出いでて、爾なんぢより身みを取とりし神かみを生うみし者ものを幕まくと寶はう座ざ、及および神かみの門もんとして崇あがめ讚ほむ。

 坐誦讚詞セダレン、第四調。

受難者じゆなんしや(某)、(某)、全ぜん地ちの燈ともしびなる者ものよ、爾なんぢ等らは下しもに引ひく逸樂いつらくを踐ふみて、欣よろこばしく致ち命めいの神聖しんせいなる髙度たかきに升のぼり給たまへり。故ゆゑに我われ等ら祈いのる、萬有ばんいうの上うへに在ある神かみに祈き禱たうを奉たてまつりて、我われ等らを諸罪しよざいと諸しよ病びやうとの暗やみより脫のがれしめ給たまへ。

 光榮、今も、生神女讚詞。

生しやう神しん童貞女どうていぢよよ、爾なんぢは我われ等ら「ハリスティアニン」の爲ために破やぶられぬ牆かきなり、蓋けだし我われ等らは爾なんぢに趨はしり附つきて害がいなくして止とゞまり、復また罪つみを犯おかせば、爾なんぢを祈き禱者たうしやとして有たもつ。故ゆゑに感謝かんしやして爾なんぢに呼よぶ、恩おん寵ちようを蒙かうむれる者ものよ、慶よろこべ、主しゆは爾なんぢと偕ともにす。

 十字架生神女讚詞

無む玷てんなる童貞女どうていぢよ、ハリストス神かみの母はゝよ、爾なんぢが己おのれの子こ及および神かみの甘あまんじて釘ていせらるるを見みし時とき、劍つるぎは爾なんぢの至し聖せいなる靈たましひを貫つらぬけり。至いたりて讚さん美びたる者ものよ、我われ等らに諸罪しよざいの赦ゆるしを賜たまはんことを絕たえず彼かれに祈いのり給たまへ。

第四歌頌

イルモス 言ことばよ、預よ言者げんしやは奧密あうみつに爾なんぢが童貞女どうていぢよより身みを取とることを預よ見けんして、歌うたを以もつて呼よべり、主しゆよ、光くわう榮えいは爾なんぢの能力ちからに歸きす。

救世主きうせいしゆ我われ等らの神かみは奇異きいなる哉かな、蓋けだし彼かれの聖者せいしやの白骨はくこつは柩ひつぎに臥ふして、世せ界かいの中うちに驚おどろくべく畏おそるべき奇き跡せきを行おこなふ、主しゆよ、光くわう榮えいは爾なんぢの力ちからに歸きす。

聖せいなる者ものよ、爾なんぢ等らは地ち上じやうの諸しよ事じを朽くつべき者ものとして棄すてて、シオンを嗣つぐ者もの及およびハリストスの國くにに適かなふ人民じんみんと爲なり給たまへり。

病びやう者しやの醫師いし、廉れん施し者しや(某)よ、爾なんぢ等らは宜よろしきに合かなひて地ち上じやうに崇あがめ讚ほめらる、蓋けだし逝世せいせいの後のちにも衆しゆうを諸しよ病びやうより解とき給たまふ。

 生神女讚詞

神かみの光くわう榮えいの幕まくよ、慶よろこべ、火ひの狀さまの寶はう座ざよ、慶よろこべ、樹こ蔭かげの繁しげき山やま、石いしたるハリストスが是これより斫きられたる者ものよ、慶よろこべ。

第五歌頌

イルモス 主しゆよ、我われ等ら夙つとに興おきて爾なんぢに籲よぶ、我われ等らを救すくひ給たまへ、爾なんぢは我われ等らの神かみなればなり、爾なんぢの外ほか他たの神かみを知しらず。

廉れん施し者しや(某)よ、爾なんぢ等らは神かみより權けんを受うけて、凡およそ患わづらふ者ものの病やまひを醫いやし給たまふ。

聖せいなる役者えきしやよ、爾なんぢ等らは主しゆの大おほいなる恩おん賜しを受うくるに勝たふる者ものと爲なりて、價あたひなく衆しゆうを醫いやし給たまふ。

我われ等らの救世主きうせいしゆよ、爾なんぢの聖せいなる役者えきしや(某)の祈き禱たうに由よりて、爾なんぢの慈じ憐れんを全ぜん世せ界かいに垂たれ給たまへ、爾なんぢは仁じん慈じなる主しゆなればなり。

 生神女讚詞

生しやう神女しんぢよよ、我われ等ら爾なんぢを產さんの後のちに童貞女どうていぢよとして崇あがめ讚ほむ、爾なんぢは世せ界かいの爲ために身みにて神かみの言ことばを生うみたればなり。

第六歌頌

イルモス ハリストス神かみよ、祈いのる、預よ言者げんしやを最いと下しもなる深處ふかみより脫のがしし如ごとく、我われをも吾わが諸罪しよざいより脫のがして、我わが生命いのちを理をさめ給たまへ、爾なんぢ人ひとを愛あいする主しゆなればなり。

廉れん施し者しやよ、爾なんぢ等らは世よの海うみの淵ふちを暴風あらしに悩なやまさるるなく渡わたりし者ものとして、敬虔けいけんに救すくひの港みなとに、上うへなる國くにに着つき給たまへり。

常つねに流ながるる泉いづみたる聖せいなる廉れん施し者しやよ、爾なんぢ等らは奇き跡せきの恩おん寵ちようを流ながして、諸しよ病びやうを逐おひ給たまふ、我われ等らの靈たましひの爲ために禱いのり給たまへ。

欣よろこばしく天てんに在います致ち命者めいしやよ、速すみやかに爾なんぢ等らの尊たふとき殿でんに來きたりて、我われ等らの體からだの病やまひと心こゝろの慾よくとを醫いやし給たまへ。

 生神女讚詞

我われ等らはヘルワィム及および凡およその造物ざうぶつより上うへなる童貞女どうていぢよ、獨ひとり造成者ざうせいしや及および主しゆを生うみて、我われ等らの爲ために樂園らくゑんの門もんを啓ひらきし者ものを崇あがめ讚ほめん。

小讚詞コンダクは奉事例に据る。若し奉事例になくば、下の小讚詞コンダクを誦せよ。第二調。

至し榮えいなる醫師いし奇き跡せき者しやよ、爾なんぢ等らは醫治いやしの恩おん寵ちようを受うけて、求もとむる者ものに健康けんかうを賜たまふ、祈いのる、爾なんぢ等らの降臨かうりんを以もつて惡敵あくてきの强きやう暴ばうを斃たふし、奇き跡せきを以もつて世せ界かいを醫いやし給たまへ。

 同讚詞イコス

睿えい智ちなる醫師いしの言ことばは凡およその智ち識しきと智慧ちゑとに超こえて、衆しゆうに睿えい智ちを與あたふ、蓋けだし至し上じやう者しやの恩おん寵ちようを受うけて、見みえずして衆しゆうに健康けんかうを賜たまふ。此これに由よりて我われにも彼かれ等らをハリストスの悅よろこびを獲えたる捧神ほうしんなる役者えきしや、多おほくの醫治いやしを與あたふる者ものとして歌うたはん爲ために恩おん寵ちようは賜たまはりたり、蓋けだし彼かれ等らは衆しゆうを諸しよ病びやうより解ときて、奇き跡せきを以もつて世せ界かいを醫いやし給たまふ。

第七歌頌

イルモス 太初はじめに地ちを基もとづけ、天てんを言ことばにて固かためし主しゆ、我わが先せん祖ぞの神かみよ、爾なんぢは世世よよに崇あがめ讚ほめらる。

地ち上じやうに睿えい智ちなる廉れん施し者しやの記き憶おくを尊榮そんえい髙大かうだいなる者ものと爲なしし主しゆ、我わが先せん祖ぞの神かみよ、爾なんぢは崇あがめ讚ほめらる。

尊たふとき二に人にんを衆しゆうの爲ために聖せいなる奇き跡せき者しやと顯あらはしし主しゆ、我わが先せん祖ぞの神かみよ、爾なんぢは崇あがめ讚ほめらる。

慈じ憐れんなる主しゆよ、我われ等らは廉れん施し者しやの尊たふとき記き憶おくを行おこなひて、喜よろこびを以もつて爾なんぢに呼よぶ、主しゆ、我わが先せん祖ぞの神かみよ、爾なんぢは崇あがめ讚ほめらる。

 生神女讚詞

童貞女どうていぢよの腹はらに入いりて、此これに緣よりてアダムを新あらたにせし主しゆ、我わが先せん祖ぞの神かみよ、爾なんぢは崇あがめ讚ほめらる。

第八歌頌

イルモス 聖せいなる山やまに光くわう榮えいを顯あらはし、棘いばらの中うちに火ひを以もつてモイセイに永貞えいてい童女どうぢよの奧密あうみつを示しめしし主しゆを歌うたひて、萬世ばんせいに讚ほめ揚あげよ。

價あたひなく諸しよ病びやうを醫いやさん爲ために其その廉れん施し者しやに上うへより醫治いやしの恩おん賜しを賜たまひし主しゆを歌うたひて、世世よよに彼かれを讚ほめ揚あげよ。

聖せいなる者ものに病びやう者しやの疾やまひを醫いやし、靈たましひの慾よくを治ぢする恩おん寵ちようを賜たまひし主しゆを歌うたひて、世世よよに彼かれを讚ほめ揚あげよ。

廉れん施し者しやの德行とくかうの度ど生せい、人人ひとびとに超こゆる度ど生せいを何人なんぴとか讚ほめざらん、蓋けだし彼かれ等らは常つねに地ち上じやうに大おほいなる奇き跡せきを行おこなへり。主しゆを歌うたひて、世世よよに彼かれを讚ほめ揚あげよ。

 生神女讚詞

童貞女どうていぢよの腹はらに入いりて、此これに緣よりて神妙しんめうに言いひ難がたく古ふるきアダムを新あらたにせし主しゆを歌うたひて、世世よよに彼かれを讚ほめ揚あげよ。

第九歌頌

イルモス 山やまに於おいて立法者りつぱふしやに火ひ及および棘いばらの中うちに預よ象しやうせられたる、我われ等ら信者しんじやの救すくひを爲なす永貞えいてい童女どうぢよの產さんを、默もださざる歌うたを以もつて崇あがめ讚ほむ。

聖せいなる廉れん施し者しや(某)よ、爾なんぢ等らの柩ひつぎは全ぜん地ちの良りやう藥やくとして啓ひらかれたり、信者しんじやは宜よろしきに合かなひて之これに趨はしり附つきて、皆みな醫治いやしを受うく。

病やめる人人ひとびとよ、來きたりて、諸しよ病びやうより醫いやされよ、家か畜ちくも來きたたれ、蓋けだし聖者せいしやの柩ひつぎより奇き跡せきの泉いづみは流ながる。

天てん上じやうの住處すまひに居をる讚さん美びたる聖者せいしやよ、爾なんぢ等らは見みえずして我われ等ら、爾なんぢ等らの殿でんに在ありて歌うたを全能者ぜんのうしやに奉たてまつり、熱心ねつしんに爾なんぢ等らを讚揚さんやうする者ものの間あひだに來きたりて、慈じ憐れんを施ほどこす。

 生神女讚詞

生しやう神女しんぢよよ、爾なんぢは我われ等らの垣墻かき及および武器ぶきなり、爾なんぢに趨はしり附つく者ものの保護ほご者しやなり、我われ等ら皆みな今いま爾なんぢに禱いのる、願ねがはくは我わが諸敵しよてきより救すくはれん。

 光耀歌

奇き跡せきを施ほどこす燈ともしびたる(某)及および(某)よ、主しゆより醫治いやしの恩おん寵ちようを受うけて、我われ等らの靈體れいたいの諸しよ病びやうを醫いやし給たまへ。

 生神女讚詞

生しやう神女しんぢよよ、爾なんぢは神かみより世せ界かいに賜たまはりたる諸福しよふくの緣由ゆゑんと爲なれり、求もとむ、今いまも一般いつぱんの救すくひの爲ために寬くわん容ようなる神かみに禱いのり給たまへ。

 「凡そ呼吸ある者」に讚頌スティヒラ、第二調。

病やむ者ものの醫師いし、良りやう藥やくの寶藏はうざう、信者しんじやの救助者きうじよしやたる至し榮えいなる廉れん施し者しやよ、仁じん慈じなる神かみに禱いのりて、患くわん難なんに在ありて呼よぶ者ものを助たすけ、病びやう者しやを醫いやし、我われ等らを敵てきの網あみより脫のがれしめ給たまへ。二次

醫治いやしの泉いづみは年毎としごとに唯たゞ一人ひとりを醫いやししに、廉れん施し者しやの殿でんは病やむ者ものの大數たいすうを醫いやす、聖者せいしやの富とみは减げんずるなく、竭つくるなければなり。ハリストスよ、彼かれ等らの祈き禱たうに由よりて我われ等らを憐あはれみ給たまへ。

聖者せいしやの會くわいは世世よよに喜よろこぶ、蓋けだし彼かれ等らは天てんの國くにを嗣つぎたり、地ちは彼かれ等らの聖せい軀くを受うけて香氣かうきを放はなつ、彼かれ等らはハリストスの役者えきしやと爲なりて、永遠えいゑんの生命いのちに移うつり給たまへり。

 光榮、第六調。

ハリストスより受うけたる聖者せいしやの恩おん寵ちようは限かぎりなし、故ゆゑに彼かれ等らの聖せい軀くは神かみの力ちからに由よりて絕たえず奇き跡せきを行おこなひ、彼かれ等らの名なも信しんを以もつて之これを籲よぶ者ものの治ぢし難がたき病やまひを醫いやす。主しゆよ、彼かれ等らに由よりて我われ等らをも靈體れいたいも苦く悩なうより解とき給たまへ、爾なんぢは人ひとを愛あいする主しゆなればなり。

 今も、生神女讚詞。

憂うれふる者ものの慰藉なぐさめ、病やむ者ものの醫治いやし、攻せめらるる者ものの平安へいあん、荒あらさるる者ものの穩静をんせい、獨ひとり信者しんじやの轉達者てんたつしやなる讚さん美びたる生しやう神女しんぢよよ、城邑まちと民たみとを救すくひ給たまへ。

 十字架生神女讚詞

至し淨じやうなる者ものは爾なんぢが十じふ字架じかに懸かけられしを見みし時とき、母はゝとして泣なきて呼よべり、吾わが神かみ、吾わが甘愛かんあいなる子こよ、如何いかんぞ爾なんぢは恥はづべき苦くるしみを忍しのび給たまふ。

若し挿句くづけに光榮あらば、晩課の、今も、生神女讚詞、或は十字架生神女讚詞を誦せよ。

 

第二十七編 ハリストスの爲の佯狂者王城のアンドレイ、ロストウのイシドル、モスクワのマクシム及びワシリイ、其他の總奉事

 晩課

「主よ爾に籲ぶ」に讚頌スティヒラ、第八調。

福ふくたる(某)、奇異きいなる神しん智ち者しやよ、爾なんぢの潔いさぎよき靈たましひは醇じゆん正せいなる智ち識しきに光ひかり、尊榮そんえいなる德とくに輝かゞやきて、信者しんじやの會くわいを照てらし、惡あく鬼きの暗やみを逐おふ。故ゆゑに我われ等ら衆しゆう敬虔けいけんに爾なんぢを暮くれざる恩おん寵ちように與あづかる者ものとして讚揚さんやうす。

奇異きいなる(某)よ、爾なんぢは慈じ憐れんなる靈たましひと、潔いさぎよき思おもひと、勇いさましき心こゝろ、動うごかざる信しんと實じつに貳ふた心ごゝろなき愛あいとを有たもちて、地ちより天てんに移うつりて、義ぎ人じん等らの會くわいと偕ともに居をり給たまふ。故ゆゑに我われ等ら衆しゆう聖せいにせられし歌うたを以もつて爾なんぢを尊たふとみ、敬虔けいけんに讚榮さんえいす。

(某)よ、爾なんぢは神かみの敎をしへに堅かためられ、靈たましひより肉慾にくよくを逐おひて、聖三者せいさんしやの爲ために至いたりて淨きよき居處すまひと爲なれり、故ゆゑに神聖しんせいなる生命いのちに移うつりしに、神かみは今いまも爾なんぢの福ふくたる體たいを朽くつるなく護まもりて、神聖しんせいなる議ぎ定ていを以もつて、自みづから知しるが如ごとく、顯あらはに爾なんぢを榮えいし給たまふ。

 光榮、第一調。

克肖こくせうなる(某)よ、我われ等ら如何いかんぞ爾なんぢの度ど生せいを奇きとせざらん、或あるひは如何いかんぞ爾なんぢの天てん使しと侔ひとしき生命いのち、貞潔ていけつなる思念おもひ、温柔をんじうと、謙遜けんそんと、竭つきざる慈じ惠けいとを讚ほめざらん、福ふくたる者ものよ、爾なんぢは萬ばん德とくに飾かざられたり、故ゆゑに言いひ難がたき歡喜よろこびと天てんの國くにとは爾なんぢの爲ために備そなへられたり。

 今も、生神女讚詞。

罪つみなる者ものの祈き禱たうを納いれ、憂うれふる者ものの歎息たんそくを斥しりぞけざる至し聖せいなる童貞女どうていぢよよ、爾なんぢの至し淨じやうなる胎たいより生うまれし爾なんぢの子こに我われ等らの救すくはれんことを禱いのり給たまへ。

 十字架生神女讚詞

潔いさぎよき母はゝよ、爾なんぢは昔むかし爾なんぢの子こ及および主宰しゆさいが十じふ字架じかに手てを舒のべて、戈ほこにて脅わきの刺ささるるを見みし時とき、哭なきて呼よべり、嗚呼あゝ仁愛じんあいなる主しゆ人人ひとびとの苦くるしみを除のぞく者ものよ、如何いかんぞ苦くるしみを忍しのぶ。

若し多燭詞ポリエレイを以て祭を行はば、復活の生神女讚詞を誦すべし。

人ひとより生うまれて主宰しゆさいを生うみし全ぜん世せ界かいの光くわう榮えいと天てんの門もんなる童貞女どうていぢよマリヤ、諸天しよてん使しの歌うた、諸しよ信者しんじやの飾かざりなる者ものを讚ほめ歌うたふべし。彼かれは天てんと均ひとしく、神かみの宮みやと均ひとしき者ものとして顯あらはれたり、彼かれは仇あだの隔へだてを破やぶりて和わ睦ぼくを締むすび、國くにを開ひらけり。我われ等らは彼かれを信しんの固かためと爲なし、彼かれより生うまれし主しゆを扞ふせぎ衛まもる者ものと爲なす。勇いさめよ、神かみの民たみよ、勇いさめよ、主しゆは敵てきに勝かたん、全能者ぜんのうしやなればなり。

 聖入。本日の提綱ポロキメン。克肖者の喩言パリミヤ三篇、巻末に載す。

 挿句くづけの讚頌スティヒラ、第二調。

睿えい智ちなる(某)よ、爾なんぢは至し聖せいなる神しん゜の殿でん及および居處すまひと爲なり給たまへり、故ゆゑに我われ等ら爾なんぢの聖せいなる記き憶おくを尊たふとむ者ものをも彼かれの殿でんと爲なし給たまへ。

句 義ぎ人じんは主しゆの爲ために樂たのしみて、彼かれを恃たのまん。

爾なんぢの度ど生せいは奇き跡せきを發はつして、日ひの如ごとく信者しんじやの心こゝろを照てらせり、故ゆゑに我われ等ら爾なんぢの至し尊そんなる記き憶おくを尊たふとむ者ものをも暮くれざる光ひかりにて輝かゞやかし給たまへ。

句 義ぎ人じんは繁しげること椶しゆ櫚ろの如ごとく、髙たかくなることリワンの柏香木はくかうぼくの如ごとし。

(某)よ、爾なんぢの親したしき諸僕しよぼく、爾なんぢが己おのれの屬神ぞくしん゜の度ど生せいを以もつて照てらしし者ものの爲ために絕たえず禱いのり給たまへ、我われ等ら衆しゆうが樂たのしみて爾なんぢの尊そん貴きなる祭まつりを尊たふとまん爲ためなり。

 光榮、第四調。

至し福ふくにして奇異きいなる(某)よ、爾なんぢは地ち上じやうの天てん使し及および天てん上じやうの人ひと、傷しやう感かんの泉いづみ、慈じ惠けいの川かは、奇き跡せきの淵ふち、醫治いやしの流ながれと現あらはれ、神かみの實みの繁しげき橄欖樹かんらんじゆ、爾なんぢの勤勞きんらうの油あぶらを以もつて熱心ねつしんに爾なんぢを讚ほめ揚あぐる人人ひとびとを照てらす者ものと現あらはれたり。仁愛じんあいなる主しゆに愛あいを以もつて爾なんぢの至し尊そんなる記き憶おくを尊たふとむ者ものを諸難しよなんより救すくはんことを禱いのり給たまへ。

 今も、生神女讚詞。

ハリストス神かみの母はゝ、萬有ばんいうの造成主ざうせいしゆを生うみし者ものよ、我われ等らを我わが危き難なんより救すくひ給たまへ、我われ等ら衆しゆうが爾なんぢに呼よばん爲ためなり、我わが靈たましひの惟一ゆゐいちの轉達てんたつよ、慶よろこべ。

 十字架生神女讚詞

至し淨じやうなる女宰ぢよさいはハリストスの十じふ字架じかに釘ていせられて、詭き譎けつの者ものを殺ころすを見みて、己おのれより出いでし子こを慈じ憐れんなる主宰しゆさいとして歌うたひ、彼かれの恒忍ごうにんを奇きとして、哭なきて呼よべり、吾わが至し愛あいなる子こよ、爾なんぢの婢しもめを忘わするる毋なかれ、仁愛じんあいなる主しゆよ、速すみやかに我われを慰なぐさめ給たまへ。

若し祭を行はば定理歌ドグマティクを誦せよ。

至いたりて玷きずなき者ものよ、爾なんぢの諸僕しよぼくの祈き禱たうを顧かへりみて、堪たへ難がたき攻擊こうげきを我われ等らより退しりぞけ、諸もろもろの愁苦うれひを我われ等らより遠とほざけ給たまへ、我われ等らは爾なんぢを一ひとつの堅けん固ごなる恃たのむべき錨いかりとして有たもち、爾なんぢの轉達てんたつを得えたればなり。女宰ぢよさいよ、願ねがはくは我われ等ら爾なんぢを呼よぶ者ものは恥はぢを蒙かうむらざらん、速すみやかに我わが切せつなる祈いのりを應かなへ給たまへ、蓋けだし我われ等ら中ちゆう心しんより爾なんぢに籲よぶ、女宰ぢよさい、衆しゆう人じんの佑助たすけと、歡喜よろこびと、庇護おほひと、我われ等らの靈たましひの拯救すくひなる者ものよ、慶よろこべ。

 讚詞トロパリ、第一調。

ハリストス神かみよ、爾なんぢの僕ぼく(某)は爾なんぢの使徒しとパワェルの聲こゑの、我われ等らはハリストスの爲ために愚ぐなりと言いふを聞ききて、地ち上じやうに爾なんぢの爲ために愚ぐと爲なれり、故ゆゑに我われ等らは彼かれの記き憶おくを尊たふとみて、爾なんぢに禱いのる、主しゆよ、我われ等らの靈たましひを救すくひ給たまへ。

 光榮、今も、生神女讚詞、或は十字架生神女讚詞。

 早課

「主は神なり」に讚詞トロパリ同上。

 第一の「カフィズマ」の後に坐誦讚詞セダレン、第五調。

我われ等らは堅牢けんろうなる金剛石アダマント、敵てきの攻擊こうげきに動うごかされぬ柱はしらたる捧神ほうしんなる(某)を歌うたを以もつて尊たふとまん、蓋けだし彼かれは實じつに忍耐にんたいを以もつて戰たゝかふ敵てきを辱はづかしめて、之これを力ちからなき者ものと爲なせり、今いまは我われ等らの靈たましひの救すくひの爲ために禱いのり給たまふ。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

潔いさぎよき永貞えいてい童女どうぢよよ、爾なんぢの懷孕はらみの奇き跡せきは驚おどろくべく、產さんの狀さまは言いひ難がたくして、我わが智慧ちゑは訝いぶかり、思念おもひは奇きとす。生しやう神女しんぢよよ、爾なんぢの光くわう榮えいは萬ばん衆しゆうに現あらはれたり、我われ等らの靈たましひの救すくひの爲ためなり。

 第二の「カフィズマ」の後に坐誦讚詞セダレン、第四調。

至し福ふくなる(某)よ、爾なんぢは齋ものいみと、節制せつせいと、地ち上じやうに臥ふすとを以もつて肉體にくたいの慾よくを枯からし、靈たましひを照てらして、天てんに於おいてハリストスより大おほいなる報賞むくいを受うけ給たまへり、故ゆゑに神かみの悅よろこびを獲えたる者ものとして、逝世せいせいの後のちにも爾なんぢの聖せい軀くの柩ひつぎに趨はしり附つく者ものの爲ために奇き跡せきの尊たふとき器うつはと現あらはれたり。ハリストス神かみに愛あいを以もつて爾なんぢの聖せいなる記き憶おくを尊たふとむ者ものに諸罪しよざいの赦ゆるしを賜たまはんことを禱いのり給たまへ。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

至いたりて讚さん美びたる潔いさぎよき童貞女どうていぢよよ、爾なんぢは神聖しんせいなる產さんを以もつて地ちに生うまるる者ものの死しに屬ぞくする性せい、慾よくに由よりて朽くちたる者ものを新あらたにして、衆しゆうを死しより不ふ朽きうの生命いのちに起おこし給たまへり。故ゆゑに我われ等ら皆みな職しよくとして爾なんぢを讚揚さんやうす、爾なんぢの預よ言げんせしが如ごとし。

「主の名を讚め揚げよ」の後に附唱。

聖せいにして義ぎなる(某)よ、我われ等ら爾なんぢを讚さん美びして、爾なんぢの聖せいなる記き憶おくを尊たふとむ、爾なんぢは我われ等らの爲ためにハリストス我わが神かみに祈いのり給たまへばなり。

 拔萃聖詠

「神を畏れ、其誡を極めて愛する人は福なり。」

 多燭詞ポリエレイの後に坐誦讚詞セダレン、第四調。

至し福ふくなる(某)よ、爾なんぢは忍耐にんたいに於おいて奇異きいなる者ものと現あらはれて、一切いつさいを以もつてハリストスの悅よろこびを獲えたり、睿えい智ちなる意い念ねんを以もつて爾なんぢの靈たましひを堅かため、肉體にくたいの思おもひを神しん゜に服ふくせしめ、神かみの爲ために勞らうすることを善ぜんなりとして之これを擇えらびて、勇いさましく言いへり、寒威さむさは辛からしと雖いへども、樂園らくゑんは甘あまし、勞らうは苦くるしと雖いへども、報むくいは樂たのしと。求もとむ、至し福ふくなる者ものよ、ハリストス神かみに我われ等らの靈たましひを救すくはんことを禱いのり給たまへ。二次

 光榮、今も、生神女讚詞。

生しやう神女しんぢよよ、我われ等ら爾なんぢを崇あがめ讚ほめて呼よぶ、爾なんぢは獨ひとり祝しゆく福ふくせられし者ものなり、蓋けだし爾なんぢよりハリストス我われ等らの神かみは言いひ難がたく生うまれ給たまへり。

 品第詞ステペンナ、第四調の第一倡和詞アンティフォン。

 提綱ポロキメン

義ぎ人じんは主しゆの爲ために樂たのしみて、彼かれを恃たのまん。

句 神かみよ、我わが禱いのりの時とき我わが聲こゑを聽きき給たまへ。

「凡そ呼吸ある者」

福音經は巻末に載す。

 第五十聖詠の後に讚頌スティヒラ、第八調。

神かみの人ひと、奇異きいなる(某)よ、爾なんぢは諸德しよとくの梯かけはしに上あがり、此これに緣よりて上うへなるイエルサリムに登のぼりて、彼處かしこに慕したへるハリストスを見みたり、爾なんぢは彼かれの爲ために己おのれの肉體にくたいを疲つからせ、死しに屬ぞくする身みを不死ふしの生命いのちに易かへ給たまへり。我われ等らの爲ためにも絕たえず禱いのりて、我わが靈たましひに平安へいあんと大おほいなる憐あはれみとを賜たまはんことを求もとめ給たまへ。

 規程カノン、第四調。

第一歌頌

イルモス 古いにしへのイズライリは足あしを濡ぬらさずして海うみの紅くれなゐの淵ふちを渡わたり、野のにてモイセイの十じふ字じ形かたの手てにてアマリクの力ちからに勝かてり。

克肖こくせうにして福ふくたる神しん父ぷ(某)よ、爾なんぢは神かみに與あづかるを以もつて光ひかりと爲なり、至し極ごくの愛あいに由よりて彼かれに合あはせられて己おのれの善ぜんなる望のぞみの應かなふを得えたり。

光くわう榮えいなる神しん父ぷ(某)よ、爾なんぢは神かみを愛あいする愛あいに燃もえて、世よを捨すて、ハリストスを同伴者どうはんしやとして獲えて、喜よろこびて彼かれと偕ともに救すくひの道みちを行ゆき給たまへり。

睿えい智ち者しやよ、爾なんぢは敢あへへて竭つくべき富とみを望のぞまずして、暫ざん時じの榮華えいぐわと、過すぎ易やすき樂たのしみと、世よの產業さんげふとを斷だんじて退しりぞけ給たまへり。

 生神女讚詞

純じゆん潔けつなる生しやう神女しんぢよよ、神かみの子こは爾なんぢを華麗くわれい尊そん貴きにして選えらばれたる者ものと知しりて、爾なんぢの子こと爲なりて、爾なんぢを尊たふとむ者ものを恩おん寵ちようの子こと爲なし給たまへり。

第三歌頌

イルモス ハリストスよ、爾なんぢの敎けう會くわいは爾なんぢの爲ために樂たのしみて呼よぶ、主しゆよ、爾なんぢは我わが能力ちからと避所かくれがと堡障かためなり。

爾なんぢは勇敢ゆうかんに己おのれを神聖しんせいなる行おこなひに備そなへて、聖神せいしん゜の助たすけを以もつて敵てきの隊たいに勝かち給たまへり。

克肖こくせうなる神しん父ぷ(某)よ、爾なんぢは勤勞きんらうと、祈き禱たうと、節制せつせいとを以もつて世せ俗ぞくの慾よくを殺ころし給たまへり。

主宰しゆさいイイススよ、爾なんぢの福ふくたる(某)は、生命いのちを施ほどこす爾なんぢの死しを慕したひて、敵てきを殺ころし給たまへり。

 生神女讚詞

純じゆん潔けつ無む玷てんなる童貞女どうていぢよよ、爾なんぢは人人ひとびとを不ふ順じゆんに由よる甚はなはだしき堕だ落らくより救すくひ給たまふ主しゆを生うみ給たまへり。

 坐誦讚詞セダレン、第五調。

克肖こくせうにして至し福ふくなる神しん父ぷ(某)よ、爾なんぢは聖神せいしん゜の恩おん寵ちように導みちびかれて、神かみの光ひかりに照てらさるる途みちを行ゆき、暗黑あんこくなる敵てきの攻擊こうげきを退しりぞけて、光ひかり及および晝ひるの子こと爲なり給たまへり。

 光榮、今も、生神女讚詞。

至し淨じやうなる神かみの母はゝ、「ハリスティアニン」等らの垣墻かきよ、熱切ねつせつに爾なんぢを籲よぶ爾なんぢの民たみを傲慢がうまんなる無む形けいの敵てきより防ふせぎて、諸難しよなんを免まぬかれしめ給たまへ、我われ等らが爾なんぢに呼よばん爲ためなり、祝しゆく讚さんせらるる者ものよ、慶よろこべ。

 十字架生神女讚詞

神かみの恩おん寵ちようを蒙かうむれる者ものよ、爾なんぢの子この十じふ字架じかにて偶像ぐうざうの迷まよひは悉ことごとく虛むなしくなり、惡あく鬼きの力ちからは踐ふまれたり、故ゆゑに我われ等ら信者しんじやは職しよくとして常つねに爾なんぢを歌うたひて崇あがめ讚ほめ、實じつに生しやう神女しんぢよと承うけ認とめて爾なんぢを讚榮さんえいす。

第四歌頌

イルモス 敎けう會くわいは爾なんぢ義ぎの日ひが十じふ字架じかに擧あげられしを見みて、竝ならび立たちて正たゞしく呼よべり、主しゆよ、光くわう榮えいは爾なんぢの力ちからに歸きす。

克肖こくせうなる(某)よ、爾なんぢは義ぎの路みちを履ふみて、神かみの城邑まちに入いり、救すくひの光ひかりに輝かゞやかされたり。

克肖こくせうなる(某)よ、爾なんぢは節制せつせいと祈き禱たうとに由よりて全まつたく諸慾しよよくを脫のがして、無む慾よくの潔いさぎよきを衣き給たまへり。

神しん父ぷ(某)よ、聖神せいしん゜の恩おん寵ちようは爾なんぢの心こゝろを潔きよめられたる碑ひ版はんとして獲えて、其その上うへに全まつたき無む慾よくと、堅かたき信しんと、熱切ねつせつの愛あいとを書しるせり。

 生神女讚詞

マリヤ神かみの聘女よめよ、最髙いとたかきヘルワィムの寶はう座ざに坐ざする讚榮さんえいせらるる我われ等らの神かみは爾なんぢを寶はう座ざとして、爾なんぢの手ての上うへに息いこひ給たまへり。

第五歌頌

イルモス 我わが主しゆよ、爾なんぢは光ひかり、信しんじて爾なんぢを崇あがめ歌うたふ者ものを闇くらき無智むちより引ひき出いだす聖せいなる光ひかりにして、世せ界かいに來きたり給たまへり。

奇異きいなる(某)よ、爾なんぢは神かみの光ひかりを受うけて、日ひの如ごとく現あらはれて、惡あく鬼きの幽暗くらやみを逐おひ給たまへり。

ハリストスよ、克肖こくせうなる(某)は爾なんぢを愛あいする愛あいの燄ほのほを以もつて肉慾にくよくを草芥あくたの如ごとく焚やき給たまへり。

神しん智ちなる神しん父ぷ(某)よ、爾なんぢは神かみの力ちからにて靈たましひを堅かためて、世よに居をり、諸慾しよよくを野のに放はなち給たまへり。

 生神女讚詞

朽きう壞くわいは防ふせぎ止とゞめられたり、蓋けだし童貞女どうていぢよは不ふ朽きうに神かみ言ことばを生うみて、性せいと言ことばとに超こえて童貞女どうていぢよに止とゞまり給たまふ。

第六歌頌

イルモス 憐あはれみに由よりて爾なんぢの脅わきより流ながれし血ちにて惡あく魔まの祭まつりの血ちより淨きよめられし敎けう會くわいは爾なんぢに呼よぶ、主しゆよ、讚揚ほめあげの聲こゑを以もつて爾なんぢを祭まつらん。

(某)よ、爾なんぢは不ふ斷だんの祈き禱たうを以もつて全心ぜんしんを神かみに託たくして、肉體にくたいの愛あいを惜をしまざりき。

福ふくたる者ものよ、爾なんぢは世よの中なかに居をりて、汚けがれをも玷きずをも受うけざりき、猶なほ己おのれの尊たふとき祈き禱たうを以もつて爾なんぢに趨はしり附つく者ものを靈たましひの汚けがれより潔きよめ給たまふ。

(某)よ、爾なんぢは己おのれの思おもひを肉體にくたいの思おもひより上うへなる者ものと爲なして、裸ら體たいにして女をんなの中なかに在ありて瑕瑾きずを受うけざりき、無む慾よくの衣ころもを衣きせられたればなり。

 生神女讚詞

至し聖せいなる生しやう神女しんぢよよ、我われ等ら口くちと思おもひと心こゝろとを以もつて爾なんぢを傳つたふ、蓋けだし我われ等らは先さきに原げん祖その犯罪はんざいに因よりて神かみより離はなれたる者ものにして、爾なんぢに緣よりて彼かれと和わ睦ぼくするを得えたり。

小讚詞コンダクは奉事例に据る。若し奉事例になくば、下の小讚詞コンダクを誦せよ。第八調。

福ふくたる(某)よ、爾なんぢは上うへなる華くわ美びを望のぞみて、下しもなる肉體にくたいの逸樂いつらくを棄すて、空むなしき世よに心こゝろを奪うばはれず、天てん使等しらと侔ひとしき生命いのちを送おくりて終をはり給たまへり。彼かれ等らと偕ともにハリストス神かみに絕たえず我われ等ら衆しゆうの爲ために禱いのり給たまへ。

 同讚詞イコス

我われ罪人ざいにんにして靈體れいたい共ともに汚けがれたる者ものは如何いかんぞ爾なんぢが肉體にくたいに於おける天てん使しと侔ひとしき度ど生せいと至し榮えいなる奇き跡せきとを書しるすを得えん、衆おほくの智ち者しやも爾なんぢの大おほいなる忍耐にんたいと、謙遜けんそんと、ハリストスに於おける熱愛ねつあいとを讚さん美びするに勝たへず。然しかれども爾なんぢの純良じゆんりやうを賴たのみて、嗚呼あゝ福ふくたる者ものよ、我われ斯かく爾なんぢに呼よぶ、至いたりて光くわう明めいなる星ほし、諸德しよとくの東ひがしより輝かゞやき出いでて、奇き跡せきにて全ぜん地ちを照てらしし者ものよ、慶よろこべ、兩りやう親しんの愛あいに束縛そくばくせられずして、全心ぜんしんを以もつて獨ひとりハリストス萬有ばんいうの上うへに在ある主しゆを愛あいして、返かへらざる望のぞみを以もつて彼かれに從したがひし者ものよ、慶よろこべ、使徒しとの言いふ所ところの無智むち及および愚おろかなるが如ごとき度ど生せいを擇えらびし者ものよ、慶よろこべ、朽くつべく過すぎ易やすき諸しよ事じを來世らいせいの福ふくの望のぞみに易かへたる者ものよ、慶よろこべ、忍耐にんたいを以もつて昔むかしのイオフに似にたりし者ものよ、慶よろこべ、ハリストスの勝かたれぬ受難者じゆなんしや、常つねに爾なんぢの謙遜けんそんを以もつて惡あく魔まに勝かちたる者ものよ、慶よろこべ、夫かの昔むかしの貧まづしきラザリの如ごとく今いまアウラアムの懷ふところに息いこふ者ものよ、慶よろこべ、世よを逝さりて後のちに災禍わざはひと誘惑いざなひに遇あふ者ものの爲ために備そなへられたる轉達者てんたつしや及および保護ほご者しやよ、慶よろこべ、諸方しよはうに於おいて爾なんぢを呼よぶ者ものに速すみやかに助たすくる者ものよ、慶よろこべ、神しん智ちなる(某)よ、慶よろこべ。

第七歌頌

イルモス アウラアムの少者せうしやはペルシヤの爐ゐろりに在ありて、焔ほのほよりも强つよく敬虔けいけんの愛あいに爇やかれて呼よべり、主しゆよ、爾なんぢが光くわう榮えいの宮みやに於おいて爾なんぢは崇あがめ讚ほめらる。

神しん父ぷ(某)よ、爾なんぢはハリストスの如ごとき神聖しんせいなる愛あいを有たもちて、他た人にんを救すくひて、歡よろこびて呼よべり、主しゆよ、爾なんぢが光くわう榮えいの宮みやに於おいて爾なんぢは崇あがめ讚ほめらる。

福ふくたる神しん父ぷ(某)よ、爾なんぢは豐ゆたかに天てんより恩おん寵ちようを受うけて、此これを以もつて、心こゝろより服ふくして爾なんぢの敎をしへを聽きき、下しもに引ひく罪つみを棄すつる者ものを天てんの爲ために養やしなひ給たまへり。

睿えい智ちなる神しん父ぷ(某)よ、爾なんぢは聖神せいしん父等ぷらの傳でんに從したがひて、信者しんじやに異い端者たんしやの滅ほろびを致いたす不ふ虔けんの敎をしへを斥しりぞくるを命めいじて呼よばしめたり、主しゆよ、爾なんぢが光くわう榮えいの宮みやに於おいて爾なんぢは崇あがめ讚ほめらる。

 生神女讚詞

至し上じやう者しやの聖せいにせられたる神妙しんめうの居處すまひよ、慶よろこべ、蓋けだし生しやう神女しんぢよよ、爾なんぢに緣よりて欣喜よろこびは斯かく呼よぶ者ものに賜たまはりたり、至いたりて無む玷てんなる女宰ぢよさいよ、爾なんぢは女をんなの中うちに祝しゆく福ふくせられたり。

第八歌頌

イルモス ダニイルは獅子しゝ穴あなに在ありて手てを伸のべて、獅子しゝの口くちを閉とざし、敬虔けいけんの篤あつき少者せうしやは德とくを帶おび、火ひの力ちからを消けして呼よべり、主しゆの悉ことごとくの造物ざうぶつは主しゆを崇あがめ讚ほめよ。

爾なんぢは至いたりて光くわう明めいなる星ほしと爲なりて、諸慾しよよくの幽暗くらやみに在ある者ものを生命いのちに導みちびき、不ふ潔けつの婦をんなを反省はんせいせしめて潔けつ淨じやうの者ものと爲なし、且かつ甚はなはだしき諸しよ病びやうを逐おひて呼よべり、主しゆの悉ことごとくの造物ざうぶつは主しゆを崇あがめ讚ほめよ。

克肖こくせうなる(某)よ、爾なんぢは睿えい智ちを以もつて爾なんぢに賜たまはりし奇異きいなる恩おん賜しを現あらはして、衆おほくの者ものを導みちびきて主しゆに就つかしめ、且かつ世よの人ひとより辱はづかしめを受うけて、至し淨じやうなる靈たましひを以もつて呼よべり、主しゆの悉ことごとくの造物ざうぶつは主しゆを崇あがめ讚ほめよ。

福ふくたる神しん父ぷよ、己おのれに屬ぞくする者ものを宜よろしきに合かなひて榮えいする主しゆは爾なんぢが寢ねむりて墓はかに送おくらるる時ときに、天てん使しの顯現あらはれを以もつて爾なんぢの光くわう榮えいを示しめして、人人ひとびとに呼よばしめたり、主しゆの悉ことごとくの造物ざうぶつは主しゆを崇あがめ讚ほめよ。

 生神女讚詞

潔いさぎよき童貞女どうていぢよよ、爾なんぢより光ひかり出いでたる主しゆは我われ等らの贖しよく罪主ざいしゆなり、女宰ぢよさいよ、彼かれに祈いのりて、爾なんぢを歌うたふ我われ等らを照てらして、誘惑いざなひより救すくはんことを求もとめ給たまへ、蓋けだし我われ等ら呼よぶ、主しゆの悉ことごとくの造物ざうぶつは主しゆを崇あがめ讚ほめよ。

第九歌頌

イルモス 童貞女どうていぢよよ、手てにて斫きられざる隅石すみいしハリストスは、爾なんぢ斫きられざる山やまより斫きり分わけられて、離はなれたる性せいを合あはせ給たまへり、故ゆゑに我われ等ら樂たのしみて、爾なんぢ生しやう神女しんぢよを崇あがめ歌うたふ。

(某)よ、爾なんぢは心こゝろを全まつたうして己おのれを熱切ねつせつに三者さんしやに捧さゝげて、彼かれより光くわう照せうを受うけ、光くわう明めいなる者ものと爲なりて、諸天しよてん使しと偕ともに喜よろこび給たまふ。

神福しんぷくなる(某)よ、爾なんぢは節制せつせいに由よりて潔きよめられ、祈き禱たうに由よりて照てらされ、神聖しんせいなる愛あいを以もつて神かみに體合たいがふせられて、永遠えいゑんの福ふくに與あづかる者ものと爲なり給たまへり。

至し福ふくなる(某)よ、爾なんぢは勤きん行ぎやうと勞らう苦くとを以もつて終をはりなき福樂ふくらくを獲えたり、之これを樂たのしみて、常つねに我われ等らをも憶おもひ給たまへ。

 生神女讚詞

衆しゆう人じんの贖しよく罪主ざいしゆ及および恩主おんしゆを生うみし者ものよ、我われを救すくひ給たまへ、光ひかりの雲くもたる聖せいなる女宰ぢよさいよ、我わが靈たましひの黑雲くろくもを散さんじ、我われと戰たゝかふ諸慾しよよくに勝かたん爲ために我われを强つよき者ものと爲なし給たまへ。

 光耀歌

神しん智ちなる(某)よ、爾なんぢは世よの諸しよ事じを避さけて、無む玷てんの度ど生せいを以もつてハリストス萬有ばんいうの上うへなる我われ等らの神かみの悅よろこびを得えたり、彼かれに今いま我われ等ら信しんを以もつて爾なんぢの至し尊そんなる記き憶おくを祭まつる爾なんぢの諸僕しよぼくの爲ために禱いのり給たまへ。

 生神女讚詞

實在じつざいの睿えい智ち、永在えいざいの言ことば、及および衆しゆう人じんの醫師いしを生うみし童貞女どうていぢよよ、吾わが靈たましひの多おほくの甚はなはだしき傷きずを醫いやし、吾わが心こゝろの慾よくの思おもひを消けし給たまへ。

 「凡そ呼吸ある者」に讚頌スティヒラ、第四調。

至し仁じんなる主しゆよ、爾なんぢは義ぎにして奇異きいなる(某)、言ことば及および行おこなひの諸德しよとくに輝かゞやき、潔けつ淨じやうと柔にう和わとに飾かざられたる者ものを忍耐にんたい及および勇敢ゆうかんの模も範はんとして與あたへ給たまへり。故ゆゑに全能ぜんのうなるイイスス、吾わが靈たましひの救主きうしゆよ、我われ等らは爾なんぢの言いひ難がたき攝せつ理りを讚榮さんえいす。二次

福ふくたる(某)よ、爾なんぢは義ぎにして純良じゆんりやうなる者もの、眞實しんじつにして無む玷てん及および正せい直ちよくなる者もの、凡およその惡あく事じを避さくる者ものと現あらはれ、諸德しよとくを以もつて輝かゞやき、敬虔けいけんを以もつて光ひかり給たまへり。故ゆゑに神しん智ち者しやよ、我われ等ら爾なんぢを讚さん美びして、今日こんにち喜よろこびて爾なんぢの聖せいなる尊たふとき寢ねむりを祭まつる。

(某)よ、爾なんぢは貞潔ていけつ及および篤信とくしんを最いと尊たふとき紫し袞こん衣いの如ごとく衣き、正せい義ぎ及および温柔をんじうを神聖しんせいなる榮えい冠くわんの如ごとく冠かうむりて、ハリストスの爲ために苦くるしみを受うくる者ものと偕ともに王わうたらんことを望のぞめり。今いまは爾なんぢ萬軍ばんぐんの王わうたる至し仁じんなるイイスス、我われ等らの靈たましひの救主きうしゆの前まへに立たち給たまふ。

 光榮、第八調。

神しん智ちなる(某)よ、爾なんぢの諸德しよとくの光くわう潔けつは信者しんじやの心こゝろを照てらせり、蓋けだし孰たれか爾なんぢの無む量りやうなる謙遜けんそんと忍耐にんたい、衆しゆうに於おける柔にう和わと純良じゆんりやう、憂うれふる者ものに於おける矜恤きようじゆつを聞ききて奇きとせざらん、爾なんぢは患くわん難なんに遇あふ者ものに速すみやかなる助たすけ、航海かうかいする者ものには穩おだやかなる港みなと、旅行りよかうする者ものには善よき嚮導みちびき、衆しゆう人じんの希求もとめには疾とく應おうずる者ものなり。今いまは、奇異きいなる者ものよ、全能者ぜんのうしや神かみの手ては凋しぼまざる榮えい冠くわんを以もつて爾なんぢを飾かざり給たまへり、彼かれに我われ等らの靈たましひの救すくはれんことを禱いのり給たまへ。

 今も、生神女讚詞。

女宰ぢよさいよ、爾なんぢの諸僕しよぼくの祈禱いのりを納いれて、我われ等らを諸もろもろの災禍わざはひと憂愁うれひより救すくひ給たまへ。

或は十字架生神女讚詞。

 聖體禮儀リトゥルギヤには克肖者の奉事。

 

諸聖人共用の喩言パリミヤ

斯の書の奉事の次第に載せざる者。

○成聖者の喩言

(十月十八日成聖者ペトル、アレキシイ、イオナ、及びフィリップにも之を讀む)。

 第一、箴言の讀、(三、八章)。

義ぎ人じんの記き憶おくには譽ほまれ伴ともなひ、其その首かうべには主しゆの降福かうふくあり。智慧ちゑを求もとめたる人ひと、聰明さとりを得えたる人ひとは福さいはひなり、蓋けだし智慧ちゑを市かふは金銀きんぎんの寶たからを市かふに愈まさる、此これ寶石はうせきよりも貴たふとし、何なんの惡あくも之これに敵てきする能あたはず、此これ凡およそ之これに近ちかづく者ものに著明あらはなり。都すべての貴たふとき物ものは之これに比たくらぶるに足たらず。其その右みぎの手てには長壽ながきいのちあり、其その左ひだりの手てには富とみと榮さかえとあり、義ぎは其その口くちより出いで、律法りつぱふと慈じ憐れんとは其その舌したに在あり。嗚呼あゝ諸しよ子しよ、我われに聽きけ、我われ貴たふとき事ことを言いはん。我われの道みちを守まもる人ひとは福さいはひなり、蓋けだし我われを得うる者ものは生命いのちを得え、主しゆより恩めぐみを獲うるなり。是これに因よりて我われ爾なんぢ等らに呼よび、我わが聲こゑ人ひとの諸しよ子しに向むかふ、我われ智慧ちゑは明謀めいぼうを建たて、我われ知ち識しきと明哲めいてつとを招まねき致いたせり。明謀めいぼうと堅固かためと我われに在あり、良りやう智ち我われに在あり、能のう力りよく我われに在あり。我われを愛あいする者ものは、我われ之これを愛あいす、我われを求もとむる者ものは恩おん寵ちようを得えん。惡あくに染そまざる者ものよ、詭き譎けつに注ちゆう意いせよ、蒙昧もうまいの者ものよ、心こゝろを啓ひらけ。又また我われに聽きけ、蓋けだし我われ貴たふとき事ことを言いひ、正たゞしき事ことを唇くちびるより出いださん、蓋けだし我わが舌したは眞實しんじつを述のぶ、詐僞いつはりの唇くちびるは我われの前まへに憎にくむべし。我わが口くちの言ことばは皆みな義ぎにして、其内そのうちに一いつも詭計いつはりと邪曲よこしまとあるなし。是これ皆みな智ち者しやの爲ために明あきらかにして、智ち識しきを得えたる者ものの爲ために正たゞしきなり。我われ爾なんぢ等らに眞實しんじつを敎をしへん、爾なんぢ等らの望のぞみは主しゆに在ありて、爾なんぢ等ら神しん゜に滿みてられん爲ためなり。

 第二、ソロモンの智慧書の讀、(十、六、九章)。

義ぎ者しやの口くちは智慧ちゑを流ながし、智ち者しやの唇くちびるは悅よろこぶべきことを知しる。謙へりくだる者ものの口くちは智慧ちゑを學まなぶ、義ぎは彼かれ等らを死しより免まぬかれしむ。義ぎ人じんは死しして後のち其その望のぞみ絕たえず、蓋けだし義ぎは生命いのちに導みちびく、彼かれは其その口くちの果みに由よりて善ぜんを食くらはん。光ひかりは常つねに義ぎ者しやに輝かゞやき、彼かれ等らは主しゆより恩おん寵ちようと光くわう榮えいとを獲えん。智慧ちゑある者ものの舌したは善よき知ち識しきを施ほどこす、善人ぜんにんの心こゝろには智慧ちゑ止とゞまる。主しゆは淨きよき心こゝろを愛あいす、道みちに玷きずなき者ものは皆みな其その悅よろこぶ所ところなり。主しゆの智慧ちゑは哲さとき者ものの面おもてを明あきらかにす、蓋けだし之これを慕したふ者ものを其その未いまだ之これを悟さとらざる先さきに迎むかふ、且かつ之これを愛あいする者ものには輙たやすく知しらる。早朝さうてうより之これを尋たづぬる者ものは疲つかれず、之これが爲ために儆醒けいせいする者ものは速すみやかに累わづらひを免まぬかる。蓋けだし智慧ちゑは自みづから巡めぐりて之これに適かなふ者ものを尋たづね、諸しよ途とに於おいて親したしく彼かれ等らに現あらはる。惡あくは常つねに智慧ちゑに勝かたず。此これ等らに因よりて我われ其その美びを慕したふ者ものと爲なり、之これを愛あいし、少わかき時ときより之これを尋たづね、之これを新婦はなよめとして己おのれに納いれんことを務つとめたり。萬有ばんいうの主宰しゆさいも之これを愛あいす、蓋けだし此これは神かみの知ち識しきの祕ひ藏ざうなり、其その諸もろもろの行爲わざの發明はつめい者しやなり。智慧ちゑの結果けつくわは諸德しよとくなり、此これは貞潔ていけつと謀ぼう略りやく、義ぎと勇ゆう毅きを敎をしふ、人ひとの爲ためには其その生命いのちに於おいて此これ等らより多おほく利り益えきある者ものなし。人ひと若もし多おほくの鍊達れんたつを望のぞまば、智慧ちゑは古いにしへの事ことを知しり、未み來らいの事ことを察さつし、言語ことばの祕ひ義ぎと隱語なぞの解明かいめいとを悟さとり、休きう徵ちようと奇き蹟せきとを預よ知しし、年としと時ときとの終末なりはてを預よ見けんす、且かつ衆しゆう人じんの爲ために善よき協きよう議ぎ者しやなり、蓋けだし不死ふしは其中そのうちに在あり、其その言ことばの共きよう與よに於おいて令譽ほまれあり。故ゆゑに我われ神かみに就つき、彼かれに祈いのりて、心こゝろを盡つくして言いへり、列れつ祖その神かみ、慈じ憐れんの主しゆ、己おのれの言ことばを以もつて萬物ばんぶつを造つくり、己おのれの智慧ちゑを以もつて人ひとを立たてて、爾なんぢの造物ざうぶつを主つからさどらしめ、聖せいと義ぎとを以もつて世せ界かいを治をさめしむる者ものよ、我われに爾なんぢの寶はう座ざに並ならび坐ざする智慧ちゑを與あたへ、我われを爾なんぢの諸僕しよぼくより離はなす毋なかれ、蓋けだし我われは爾なんぢの僕ぼく、爾なんぢの婢ひの子こなり。之これを天てんより、爾なんぢの聖せいなる居所すまひより、爾なんぢの光くわう榮えいの寶はう座ざより遣つかはし給たまへ、其その我われと共ともに在ありて、我われに爾なんぢの悅よろこぶ所ところを敎をしへん爲ため、我わが知ち識しきを導みちびき、我われを其その光くわう榮えいの中うちに護まもらん爲ためなり。蓋けだし死しすべき者ものの謀はかる所ところは皆みな確たしかならず、其その意思おもひには謬あやまりあり。

 第三、ソロモンの智慧書の讀、(四、六、七、二章)。

義ぎ人じんの榮えいせらるる時ときは民たみ樂たのしむ、蓋けだし彼かれの記き憶おくは死しせず、此これ神かみの前まへにも人ひとの前まへにも認みとめらる、彼かれの靈たましひは主しゆの悅よろこぶ所ところなり。嗚呼あゝ人人ひとびとよ、智慧ちゑを愛あいせよ、然しからば生いきん、之これを慕したへ、然しからば敎をしへられん。智慧ちゑの始はじめは愛あいなり、又また法はふを守まもることなり。智慧ちゑを敬うやまへ、世世よよに王わうたらん爲ためなり。我われ神かみの祕ひ密みつを爾なんぢ等らに示しめし、之これを爾なんぢ等らに隱かくさざらん、蓋けだし神かみは智慧ちゑに導みちびく者もの、又また智ち者しやを正たゞす者ものなり、凡およその知し識しきも美うるはしき行おこなひも皆みな彼かれの手てに在あり。一切いつさいの工藝者こうげいしやたる智慧ちゑは我われを敎をしへたり、蓋けだし其中そのうちには睿えい智ちの神しん゜、聖せいなる神しん゜あり。智慧ちゑは永在えいざいの光ひかりの輝かゞやき、神かみの仁じん慈じの像すがたなり、此これは神かみの友ともと諸しよ預よ言者げんしやとを備そなふ、此これは日ひよりも美うるはしく、列星れつせいよりも鮮あざやかなり、光ひかりに較たくらぶれば更さらに勝まさる。智慧ちゑは之これに務つとむる者ものを諸難しよなんより救すくひ、彼かれ等らを義ぎなる路みちに導みちびき、彼かれ等らに聖せいなる知ち識しきを與あたへ、彼かれ等らを諸敵しよてきより守まもり、戰たゝかひに於おいて彼かれ等らに勝かちを與あたへたり、衆しゆう人じんが敬虔けいけんより强つよき者ものなきを知しらん爲ためなり。惡あくは常つねに智慧ちゑに勝かたず、罪つみを定さだむる審判しんぱんは惡者あくしやを過すぎず。不ふ正せいに議ぎする者ものは其中そのうちに言いへり、我われ等ら義ぎ人じんを虐しへたげ、其その聖せいなることを惜をしまざらん、老翁おきなの齡よはひ高たかき白髪はくはつに愧はづべからず。力ちからは我われ等らの法はふと爲なるべし、我われ等ら義ぎ人じんを執とらへん、蓋けだし彼かれは我われ等らの意こゝろに適かなはず、我われ等らの行おこなひに敵てきし、我われ等らが法はふに背そむくを咎とがめ、我われ等らの敎育けういくの誤あやまりを責せむ、彼かれは己おのれを言いひて神かみを知しる者ものなりとし、己おのれを主しゆの子こと名なづく。彼かれは我われ等らの前まへに在ありて我われ等らの思慮おもひを責せむる者ものなり、我われ等らには彼かれを見みることも難かたし、蓋けだし彼かれの生命いのちは他た人にんの生命いのちに似にず、彼かれの途みちは異ことなり、彼かれは我われ等らを惡にくむべき者ものと爲なし、我われ等らの途みちを不ふ潔けつなりとして之これに遠とほざかり、義ぎなる者ものの終をはりを福さいはひなりとす。故ゆゑに我われ等らは彼かれの言ことばの眞まことなるかを見みん、其その成果なりゆきの若何いかなるかを試こゝろみん。我われ等らは罵詈のゝしりと苦辱くるしめとを以もつて彼かれを詰なじらん、彼かれの温柔をんじうを知しり、彼かれの惡あくなきを見みん爲ためなり、恥はづべき死しに彼かれを定さだめん、蓋けだし彼かれの言ことばに因よりて彼かれの爲ために慮おもんぱかりあらんと。彼かれ等らは斯かく議ぎして迷まよへり、惡心あくしん彼かれ等らを昧くらましたればなり、彼かれ等らは神かみの祕ひ密みつを知しることも測はかることもなかりき。蓋けだし爾なんぢ惟一ゆゐいちの神かみは生命いのちの權けんを有たもち、憂うれひの時ときに救すくひ、凡およその惡あくより脫のがれしむる者ものなり、爾なんぢは洪恩こうおん慈じ憐れんにして、爾なんぢの聖者せいしやに恩おん寵ちようを賜たまひ、爾なんぢの臂ひぢを以もつて誇ほこる者ものに敵てきする者ものなり。

 

○諸成聖者の喩言

(五月二十二日及び十二月十九日奇蹟者ニコライにも之を讀む)。

 第一、箴言の讀、義人の記憶には譽伴ひ、(成聖者の第一に載す。上、第千二百十三頁を看よ。)

 第二、箴言の讀、(十、十一章)。

義ぎ者しやの口くちは智慧ちゑを流ながし、惡者あくしやの舌したは斷たたれん。義ぎ者しやの唇くちびるは悅よろこぶべきことを知しり、惡者あくしやの口くちは戾もとれることを語かたる。詐僞いつはりの權衡はかりは主しゆの惡にくむ所ところ、正たゞしき重量めかたは其その悅よろこぶ所ところなり。驕傲たかぶり來きたれば恥辱はぢも亦また來きたる、謙へりくだる者ものと偕ともに智慧ちゑあり。正直者なおきものの端莊たゞしきは彼かれ等らを導みちびき、悖逆者もとれるものの邪曲よこしまは彼かれ等らを滅ほろぼさん。貨財たからは震怒いかりの日ひに益えきなし、惟たゞ義ぎは死しより救すくはん。義ぎ者しやは死しして痛惜いたみを遺のこし、惡者あくしやの滅ほろびは俄にはかにして喜悅よろこびを致いたす。無玷者きずなきものの義ぎは其その途みちを坦たひらかにし、惡者あくしやは其その惡あくに因よりて跌たふれん。正直者なおきものの義ぎは彼かれ等らを救すくひ、不ふ法はふの者ものは其その不ふ法はふに因よりて執とらへられん。義ぎ人じんは死しして後のち其その望のぞみ絕たえず、不ふ法はふの者ものの望のぞみは亡ほろぶ。義ぎ者しやは艱難かんなんより救すくはれ、惡者あくしやは代かはりて之これに陷おちいる。二ふた心ごゝろの者ものは口くちを以もつて其その鄰となりを亡ほろぼし、惟たゞ義ぎ者しやは知ち識しきに因よりて救すくはる。義ぎ者しや幸福かうふくを獲うる時ときは邑まち樂たのしみ、惡者あくしや亡ほろぶる時ときは歡よろこびあり。義ぎ者しやの祝しゆく福ふくに因よりて邑まちは高たかくせられ、惡者あくしやの口くちに因よりて圮くづさる。智慧ちゑなき者ものは其その鄰となりを侮あなどり、智慧ちゑある人ひとは緘默もだしを守まもる。

 第三、ソロモンの智慧書の讀、(四章)、
 (一月一日及び十一月八日にも之を讀む。)
 (克肖者の第三の喩言も亦同し。)

義ぎ人じんは早はやく死しすとも安息あんそくに居をらん、蓋けだし貴たふとき齡よはひは長ちやう壽じゆに在あるに非あらず、年としの數かずを以もつて量はかるに非あらず。智慧ちゑは人ひとの爲ために白髪はくはつなり、無む玷てんなる生命いのちは老年らうねんの齡よはひなり。彼かれは神かみの悅よろこびを獲えたる者ものとして愛あいせられ、罪人ざいにんの間あひだに居をりし者ものとして移うつされ、惡あくが其その心こゝろを變へんぜず、詭き譎けつが其その靈たましひを誘いざなはざらん爲ために擧あげられたり。蓋けだし不ふ虔けんの習ならひは善ぜんを昧くらまし、慾よくの動うごきは淳良じゆんりやうなる知ち識しきを亂みだす。彼かれは短みぢかき時ときに完くわん全ぜんに至いたりて、長ながき年としを滿みてたり、其その靈たましひ主しゆに悅よろこばれしに因よりて、彼かれは急いそぎて不ふ敬虔けいけんの中うちより徙うつれり。然しかれども人人ひとびと之これを視みて悟さとらず、主しゆの恩おん寵ちようと慈じ憐れんとは其その聖者せいしやに在あり、其その慮おもんぱかりは選えらばれたる者ものに在あることを思おもはざりき。

 

○克肖者の喩言

(七月二十三日克肖なるアントニイにも之を讀む。)

 第一、ソロモンの智慧書の讀、(三章)。
 (此は亦預言者の第一。)

義ぎ人じん等らの靈たましひは神かみの手てに在あり、苦くるしみは彼かれ等らに觸ふれざらん。無知むち者しやの目めには彼かれ等ら死しせし者ものと見みえ、彼かれ等らの逝世せいせいは滅亡ほろびと思おもはれ、我われ等らより離はなるることは無むに歸きすと思おもはれたれども、彼かれ等らは平安へいあんに在あるなり。蓋けだし彼かれ等らは人ひとの目めには罰ばつせらるれども、彼かれ等らの望のぞみは不死ふしを盈みつ。彼かれ等ら僅わづかに罰ばつせられて、多おほくの恩おんを蒙かうむらん、蓋けだし神かみは彼かれ等らを試こゝろみて、己おのれに適かなふ者ものと見みたり。金きんが坩堝るつぼに試こゝろみらるる如ごとく、神かみは彼かれ等らを試こゝろみて、彼かれ等らを完くわん全ぜんなる祭祀まつりとして受うけたり。應報むくいの日ひに於おいて彼かれ等らは莖くきに走はしる火ひ花ばなの若ごとく輝かゞやかん。彼かれ等らは諸しよ族ぞくを審判しんぱんし、諸民しよみんを主つかさどらん、彼かれ等らの上うへには主しゆは世世よよに王わうたらん。主しゆを恃たのむ者ものは眞實しんじつを知しり、愛あいに專もつぱらなる者ものは彼かれに居をらん、蓋けだし主しゆの恩おん寵ちようと慈じ憐れんとは其その聖者せいしやに在あり、其その慮おもんぱかりは選えらばれたる者ものに在あるなり。

 第二のソロモンの智慧書の讀、(五、六章)。
 (此は亦預言者の第二。)

義ぎ人じん等らは世世よよに生いく、彼かれ等らの報むくいは主しゆに在あり、彼かれ等らに於おける慮おもんぱかりは至し上じやう者しやに在あり。故ゆゑに彼かれ等らは主しゆの手てより光くわう榮えいの國くにと華くわ美びの冠かんむりとを受うけん、蓋けだし彼かれは右みぎの手てを以もつて彼かれ等らを掩おほひ、臂ひぢを以もつて彼かれ等らを護まもらん。彼かれは武器ぶきたる其その熱ねつ中ちゆうを取とりて、諸敵しよてきに報むくいん爲ために造物ざうぶつを備そなへん、甲よろひたる義ぎを衣き、胄かぶとたる偏へん視しせざる審判しんぱんを蒙かうむり、勝かたれぬ盾たてたる聖德せいとくを執とり、劒つるぎの如ごとく烈はげしき怒いかりを礪とがん、世せ界かいも彼かれと偕ともに無知むち者しやに敵てきして戰たゝかはん。閃電いなづまの疾とき矢やは、勁つよく引ひきたる弓ゆみよりするが如ごとく、雲くもより放はなたれて、的まとに飛とび、弩いしゆみよりするが如ごとく、霰あられは烈はげしく降ふらん。海うみの水みづは彼かれ等らを怒いかり、川かは川がはは酷むごく彼かれ等らを溺おぼらさん。能のう力りよくの氣いきは彼かれ等らに向むかひて起おこり、旋つむじ風かぜの如ごとく彼かれ等らを散ちらさん。斯かく不ふ法はふは全ぜん地ちを荒あらし、惡あく行ぎやうは强つよき者ものの座ざを覆くつがへさん。故ゆゑに諸しよ王わうよ、聽ききて悟さとれ、地ちの諸しよ極きよくの審判者しんぱんしやよ、學まなべ、大たい衆しゆうを主つかさどり、諸民しよみんの前まへに誇ほこる者ものよ、耳みゝを傾かたぶけよ、權けんは主しゆより、能のう力りよくは至し上じやう者しやより爾なんぢ等らに予あたへられたり。

 第三、ソロモンの智慧書の讀、義人は早く死すとも安息に居らん、(諸成聖者の第三に載す、第千二百十八頁を看よ)。

 

○聖神父等の喩言

(聖世祖の主日にも之を讀む。)
 第一、創世記の讀、(十四章)。

アウラムは其その親しん戚せきロトの擄とりこにせられしを聞ききて、其その家か僕ぼく三さん百びやく十じふ八はち人にんを率ひきゐ、敵てきを追おひてダンにまで至いたり、爰こゝに諸僕しよぼくと偕ともに夜よに乘じようじて彼かれ等らを攻せめ、彼かれ等らを破やぶりて、ダマスクの左ひだりなるホワルまで彼かれ等らを追おへり。斯かくして凡およそのソドム人じんの馬うまを取とり回かへし、己おのれの親しん戚せきロト、其その悉ことごとくの所有しよいう、及および婦女をんなと人民たみとを取とり回かへせり。アウラムがホドロゴモル及および彼かれと偕ともに在ありし王わう等らを擊うち破やぶりて歸かへれる時とき、ソドムの王わうはサワィンの谷たに、卽すなはち今いまの王わうの野のに出いでて、彼かれを迎むかへたり。時ときにサリムの王わうメルヒセデクは餅ぱんと酒さけとを攜たづさへ出いでたり、彼かれは至し上じやうなる神かみの司し祭さいたりき、彼かれアウラムを祝しゆくして曰いへり、アウラムは天てん地ちを造つくりし至し上じやうなる神かみに祝しゆく福ふくせらるる哉かな、爾なんぢの敵てきを爾なんぢの手てに付わたしし至し上じやうなる神かみは祝しゆく讚さんせらるる哉かな。

 第二、申命記の讀、(一章)。

彼かの日ひモイセイはイズライリの諸しよ子しに謂いへり、視みよ、我われ爾なんぢ等らの前まへに在ある斯この地ちを爾なんぢ等らに與あたへたり、入いりて之これを嗣つげ、此これ主しゆが爾なんぢ等らの先せん祖ぞアウラアム、イサアク、イアコフに誓ちかひて、之これを彼かれ等らと其後そののちの子し孫そんとに與あたへんと云いひし地ちなり。彼かの時とき我われ爾なんぢ等らに謂いひて曰いへり、我われ一人ひとりにて爾なんぢ等らを任にんずる能あたはず、主しゆ爾なんぢ等らの神かみは爾なんぢ等らを增ぞう加かせり、視みよ、爾なんぢ等ら今日こんにち衆おほきこと天てんの星ほしの如ごとし。願ねがはくは主しゆ爾なんぢ等らの先せん祖ぞの神かみは爾なんぢ等らを增まして、今いまより千倍せんばいならしめ、又また爾なんぢ等らを祝しゆく福ふくせん、其その爾なんぢ等らに言いひしが如ごとし。我われ爾なんぢ等らの中うちより智慧ちゑ及および思し慮りよあり且かつ練れん達たつなる人人ひとびとを取とりて、爾なんぢ等らを治をさめん爲ために千人せんにんの長をさ、百ひやく人にんの長をさ、五ご十じふ人にんの長をさ、十じふ人にんの長をさと爲なし、又また爾なんぢ等らの士師さばきびとの書しよ記きと爲なせり。彼かの時とき我われ爾なんぢ等らの士師さばきびとに命めいじて云いへり、爾なんぢ等ら其その兄きやう弟だいの中うちの訟うつたへを聽きき、此この人ひとと彼かの人ひととの間あひだを正たゞしく審さばけ、外ぐわい來らいの人ひとに於おいても然しかせよ、人ひとを視みて審判さばきすべからず、少ちひさき者ものにも大おほいなる者ものにも聽きくべし、人ひとの面おもてを懼おそるべからず、審判さばきは神かみの事ことなればなり。

 第三、申命記の讀、(十章)。

彼かの日ひモイセイはイズライリの諸しよ子しに謂いへり、視みよ、天てんと諸天しよてんの天てん、及および地ちと凡およそ其中そのうちに在ある者ものは、皆みな主しゆ爾なんぢの神かみに屬ぞくす、然しかれども主しゆは唯たゞ爾なんぢ等らの先せん祖ぞを納いれて、之これを愛あいし、及および其後そののちの裔すゑたる爾なんぢ等らを萬民ばんみんの中うちより簡えらべり、今日こんにちの如ごとし。故ゆゑに爾なんぢ等ら心こゝろに割禮かつれいを行おこなへ、復また强項かたくななる毋なかれ。蓋けだし主しゆ爾なんぢ等らの神かみは此これ諸神しよしんの神しん、諸主しよしゆの主しゆ、大おほいにして權能ちからある、畏おそるべき神かみにして、人ひとを偏かたより視みず、賄まひなひを受うけず、外ぐわい來らいの者ものと孤みなしごと寡やもめとの爲ために審判さばきを行おこなひ、外ぐわい來らいの者ものを愛あいして、之これに食しよく物もつと衣い服ふくとを與あたふ。爾なんぢ等らも外ぐわい來らいの者ものを愛あいせよ、自みづからもエギペトの地ちに於おいて外ぐわい來らい者しやたりし故ゆゑなり。主しゆ爾なんぢの神かみを畏おそれ、彼かれのみに事つかへ、彼かれに著つき、彼かれの名なを以もつて誓ちかへ、彼かれは爾なんぢの譽ほまれ、彼かれは爾なんぢの神かみ、爾なんぢが目めの覩みし所ところの此この大おほいにして光くわう榮えいなる事ことを爾なんぢの爲ために行おこなひし者ものなり。

總月課經 終

 

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