- 土曜日(スボタ)
- 「スボタ」の小晩課
- 「スボタ」の大晩課
- 「スボタ」の晩堂課
- 日曜日(主日)
- 主日の夜半課
- 主日の早課
- 主日の聖体礼儀に
- 主日の晩課
- 主日の晩堂課
- 月曜日
- 月曜日の早課
- 月曜日の聖体礼儀に
- 月曜日の晩課
- 月曜日の晩堂課
- 火曜日
- 火曜日の早課
- 火曜日の聖体礼儀に
- 火曜日の晩課
- 火曜日の晩堂課
- 水曜日
- 水曜日の早課
- 水曜日の聖体礼儀に
- 水曜日の晩課
- 水曜日の晩堂課
- 木曜日
- 木曜日の早課
- 木曜日の聖体礼儀に
- 木曜日の晩課
- 木曜日の晩堂課
- 金曜日
- 金曜日の早課
- 金曜日の聖体礼儀に
- 金曜日の晩課
- 金曜日の晩堂課
- 土曜日(スボタ)
- 「スボタ」の早課
- 「スボタ」の聖体礼儀に
土曜日(スボタ)
「スボタ」の小晩課
「主よ、爾に籲ぶ」に主日の讚頌第三章。其一は二次。第三調。
句 我が靈主を待つこと、番人の旦を待ち、番人の旦を待つより甚し。
ハリストス救世主よ、爾の十字架にて死の權は滅され、惡魔の誘惑は空しくせられたり。信を以て救はるる人の族は恒に歌を爾に奉る。
主よ、爾の復活にて萬有は照され、樂園は再開かれたり。悉くの造物は爾を讚め揚げて、恒に歌を爾に奉る。
我は父及び子の能力を崇め、聖神の權を歌ひ、分れず造られざる神性、一體の三者、世世に王たる者を讚め揚ぐ。
光榮、今も、生神女讚詞、定理歌。第三調。
最大なる奇跡や、生みし者は童貞女、生れし者は世より先なる神なり、預言せられし產、性に超えて成りたる者なり。嗚呼畏るべき奧密や、思はるれども言ひ難し、見らるれども悟られず。福なる哉爾至淨なる少女、地上のアダムの女にして、至上の神の母と現れたる者なり。彼に我等の靈の救はれんことを祈り給へ。
次ぎて「穩なる光」。提綱、「主は王たり」、三次。句、主は能力を衣、又之を帶にせり。次に「主よ、我等を守り、罪なくして此の晩」。司祭聯禱を誦せず。我等直に左の讚頌を歌ふ。
挿句に主日の讚頌、第三調。
己の苦にて日を晦くし、己の復活の光にて萬物を照ししハリストス、人を慈む主よ、我等の晩の歌を納れ給へ。
次に生神女の讚頌三章。第三調。
句 我爾の名を萬世に誌さしめん。
潔き者よ、我等爾を神゜靈の約匱、神の錄しし石板として我が立法者及び造成主を納るる者と識る。彼に我等の靈の救はれんことを祈り給へ。
句 女よ、之を聽き、之を觀、爾の耳を傾けよ。
婚姻に與らざる潔き者よ、爾の腹に入りて身を取りし性の見られぬ神言は爾を地に於て天と現したり。故に爾は衆人に不死の露を降し給ふ。
句 民中の富める者は爾の顏を拜まん。
童貞女よ、我等は爾の祈禱に由りて救を得、此に緣りて常に患難及び誘惑の暴風を免る。故に求む、絕えず我が爲に我等の靈の救はれんことを祈り給へ。
光榮、今も、生神女讚詞、第三調。
至淨なるマリヤよ、我等は爾に依りて人の性の復興及び重生を知る、蓋萬物の造成主は爾の腹に我が合成を受けて、我等を地獄及び死より起して、我等に永遠の生命を賜へり。故に我等爾に呼ぶ、地下の者を天上に合せし永貞童女よ、慶べ、地の四極の恃賴と轉達と保護よ、慶べ、爾の子の復活にて萬有を照し、世界に大なる憐を賜ふ者よ、慶べ。
次ぎて「主宰よ、今爾の言に循ひて」。聖三祝文。「天に在す」の後に主日の讚詞。光榮、今も、其生神女讚詞、及び發放詞。
「スボタ」の大晩課
「主よ、爾に籲ぶ」に十句を立てて、主日の讚頌を歌ふ。第三調。
句 我が靈を獄より引き出して、我に爾の名を讚榮せしめ給へ。
ハリストス救世主よ、爾の十字架にて死の權は滅され、惡魔の誘惑は空しくせられたり。信を以て救はるる人の族は恒に歌を爾に奉る。
句 爾恩を我に賜はん時、義人は我を環らん。
主よ、爾の復活にて萬有は照され、樂園は再開かれたり。悉くの造物は爾を讚め揚げて、恒に歌を爾に奉る。
句 主よ、我深き處より爾に呼ぶ。主よ、我が聲を聽き給へ。
我は父及び子の能力を崇め、聖神の權を歌ひ、分れず造られざる神性、一體の三者、世世に王たる者を讚め揚ぐ。
又 アナトリイの讚頌、同調。
句 願はくは爾の耳は我が禱の聲を聽き納れん。
ハリストスよ、我等爾の尊き十字架に伏拜し、爾の復活を歌頌讚榮す、蓋爾の傷に因りて我等皆癒されたり。
句 主よ、若し爾不法を糾さば、主よ、孰か能く立たん。然れども爾に赦あり、人の爾の前に敬まん爲なり。
我等は童貞女より身を取りし救世主を歌ふ、蓋我等の爲に十字架に釘せられ、三日目に復活して、我等に大なる憐を賜へり。
句 我主を望み、我が靈主を望み、我彼の言を恃む。
ハリストスは降りて、地獄に在る者に福音して曰へり、勇めよ、今勝てり、我は復活なり、我死の門を破りて、爾等を引き上げん。
句 我が靈主を待つこと、番人の旦を待ち、番人の旦を待つより甚し。
ハリストス神よ、我等爾の至淨なる家に立つに堪へざる者は晩の歌を奉りて、深き心より籲ぶ、爾の三日目の復活にて世界を照しし人を愛する主よ、爾の民を爾の諸敵の手より脫れしめ給へ。
他の讚頌、至聖生神女に捧ぐ、月課經の讚頌の無き所に之を歌ふ。アモレイのパワェルの作、第七調。
句 願はくはイズライリは主を恃まん、蓋憐は主にあり、大なる贖も彼にあり、彼はイズライリを其悉くの不法より贖はん。
童貞女よ、我何事に遇ひても爾の神聖なる恩寵を呼ぶ者に慈憐を垂れて、速に聽き給へ、蓋我が靈の望を一切爾に負はせたり。我萬事に於て爾の神聖なる慮を恃む、爾我に將來の光榮及び神聖なる生命をも獲しめ給へ。
句 萬民よ、主を讚め揚げよ、萬族よ、彼を崇め讚めよ。
生神女よ、我が諸慾の炭は我の中に燃えたり。祈る、女宰よ、怒と憤、沉湎と邪淫、貪婪と頑固、怠惰と煩悶、驕慢と良心に戾ることより吾が靈を脫れしめて、我を救ひ給へ。
句 蓋彼が我等に施す憐は大なり、主の眞實は永く存す。
我等皆潔き良心を以て生神女の前に俯伏して、心の内より絕えず呼ばん、聖なる女宰よ、我等衆を愠怒と忿恨、災禍と誘惑より救ひ給へ。蓋我等は爾を垣墻及び保固として獲て、爾の帲幪の下に趨り附きて、爾に依りて救はる。
光榮、今も、生神女讚詞
最尊き者よ、我等如何で爾が神人を生みしに驚かざらん。至りて玷なき者よ、爾は夫の誘を受けずして、世の無き先より母なく父より生れ、聊も變易、或は混淆、或は分離を受けず、二の性の質を全うして守れる子を父なく身にて生めり。故に母、童貞女、女宰よ、正しく爾を生神女と承け認むる者の靈の救はれんことを彼に祈り給へ。
次ぎて香爐捧持の聖入。「穩なる光」。提綱及び聯禱。
挿句に主日の讚頌、第三調。
己の苦にて日を晦くし、己の復活の光にて萬物を照ししハリストス、人を慈む主よ、我等の晩の歌を納れ給へ。
他の讚頌
句 主は王たり、彼は威嚴を衣たり。
主よ、爾が生命を施す復活は全世界を照して、爾の朽ちたる造物を興せり。故に我等アダムの詛を脫して呼ぶ、全能の主よ、光榮は爾に歸す。
句 故に世界は堅固にして動かざらん。
爾は變易せざる神にして、身にて苦を受けて變易せり。造物は爾が十字架に懸れるを見るに堪へずして、恐懼に由りて變じ、歎息して爾の恒忍を讚め揚げたり。爾は地獄に降り、三日目に復活して、世界に生命と大なる憐とを賜へり。
句 主よ、聖德は爾の家に屬して永遠に至らん。
ハリストスよ、爾は我が族を死より救はん爲に死を忍び、三日目に死より復活して、爾を神と識認せし者を己と偕に復活せしめて、世界を照し給へり。主よ、光榮は爾に歸す。
光榮、今も、生神女讚詞
爾は種なく聖神に由りて、父の旨を以て、神の子、世の無き先に母なく父より生れし者を妊み、我等の爲に父なく爾より在りし者を身にて生み、嬰たる者を乳にて養へり。彼に我等の靈を諸難より脫れしめんことを息めずして禱り給へ。
次ぎて「主宰よ、今爾の言に循ひて」。聖三祝文。「天に在す」の後に、
主日の讚詞、第三調。
天に在る者樂しめよ、地に在る者悅べよ、主は其臂の力を顯して、死を以て死を滅し、復活の首となり、我等を地獄の腹より救ひ、世界に大なる憐を賜ひたればなり。
光榮、今も、生神女讚詞
生神童貞女よ、我等は爾我が族の救の爲に轉達する者を讚め歌ふ、爾の子吾が神は人を愛するに因りて、爾より取りし身にて十字架の苦を受け、我等を滅亾より救ひたればなり。
「スボタ」の晩堂課
至聖なる生神女の規程。第三調。
第一歌頌
イルモス 昔神妙の瞬にて水を一區に匯め、又イズライリ人の爲に海を分ちし者は、是れ崇め讚めらるる吾が神なり。我等獨彼に歌はん、彼光榮を顯したればなり。
至淨なる神の聘女よ、我等信者は、淸き歌を以て、爾父の惠及び聖神の降臨に由りて、神の母と爲りし者を讚榮し、天使首と偕に歌頌を以て、我が救の爲に、爾を祝讚す。
昔エワは造成の時にアダムの肋骨より造られ、ハリストスは生神女の腹より顯れ給へり。是れ吾が神にして、變易なく人と爲り、永遠の主にして、時に順ひし者なり。
光榮 潔き童貞女よ、エワの腹を苦の中に子を生むことに定罪せし主は爾の腹に入り給へり。是れ我が神にして、身を以て言ひ難く現れて、原母の債を解き給ひし者なり。
今も 神の母よ、我等罪の重負に因りて失望の深處に陷りて、熱切に爾に呼ぶ、女宰よ、我等罪惡の中に溺るる者を援け給へ、我等は神の次に獨爾を賴とすればなり。
第三歌頌
イルモス 言にて造られ、聖神にて備へらるる萬物を無より出しし至上なる全能者よ、爾の愛に我を固め給へ。
至淨なる生神女よ、アアロンの杖、潤なくして華さきたる者は爾を預象せり、蓋爾は種なく、變易せずして身を取りし神を生み給へり。
至淨なる者よ、預言者は神゜を以て爾を神聖なる火の燃ゆる燈として預見せり、蓋爾は世に在る者の爲に光照と永生とを顯し給へり。
光榮 我等天使首ガウリイルに就きて、共に歌を以て童貞女に呼ばん、慶べよ、爾に依りて原祖の定罪の詛が解かれたればなり。
今も 至聖なる生神女よ、我等罪なる者は爾を救の墻と有ちて救はる。女宰よ、我等の祈を棄つる勿れ、辱かしむる勿れ。
第四歌頌
イルモス 主よ、爾は强き愛を我等に顯せり、我等の爲に爾の獨生子を死に付したればなり。故に我等感謝して爾に呼ぶ、主よ、光榮は爾の力に歸す。
至淨なる者よ、昔アウワクムは神に感ぜられて、神゜を以て爾を神゜靈の山、諸德の蔭と見て、言が身を取りて南たる爾より來りしを傳へたり。
女宰よ、タニイルは神゜を以て爾を其童貞の潔淨を像る大なる斫られざる山と見たり、是より石たるハリストス言は斫られて、偶像の迷を滅し給へり。
光榮 潔き者よ、ダワィドは爾を奇異なる高き山と預言せり、蓋父の獨生子は爾に入りて、身を取ることを悅び給へり。故に我等神゜を以て爾に慶べよと呼ぶ。
今も 罪なる者及び謙卑の者の至仁にして熱切なる轉達者、神の母、至淨なる女宰よ、爾の諸僕を諸の災禍、憂愁及び諸罪より救ひ給へ。
第五歌頌
イルモス イサイヤは預象に於て崇き寶座に坐して光榮の諸天使に繞らるる神を見し時に籲べり、噫 我 禍なる哉、我肉體を取る神、暮れざる光と平安とを司る者を預見せり。
イエッセイの根は凋まざる花を發きたり、是れ童貞女マリヤは種なくして、聖神に由りて父の旨を以て、無原なる神、異邦の諸國を其權内に有つ主、諸民の冀望なる者を生み給ひしなり。
平安の王は來りて、ダワィドの寶座に坐せり。嗚呼奇跡や、生神女よ、爾より身を取りし神は王と爲りて、不和を解き、モアフの諸候を慄かせ、爾を女王として顯し給へり。
光榮 童貞女よ、イサイヤは爾の無玷なる華美、ハリストスが是に藉りて種なく身を衣たる者を顯して呼ぶ、光榮の主は輕き雲に乘りて來り、迷の幽暗を拂ひて、我等を照さん。
今も 童貞女よ、爾は聖神に因りて父と一體なる言を孕みて、之を二性に於て全き神及び全き人として生み給へり。我等信を以て其肉體の顯現を尊む。
第六歌頌
イルモス 今を限の罪の淵は我を圍み、我が靈は亾びんとす。祈る、主宰敎導者よ、爾の高き手を伸べて、我をペトルの如く救ひ給へ。
讚美たる者よ、睿智者は歌頌を以て爾を榻として豫象す、其上に爾より身を取りて、變易なく生れ給ひし實在の神は休ひて、爾を榮せり。
讚美たる童貞女よ、爾は選ばれたる衣の如くなれり、蓋言は爾より神聖なる紫袞衣として身を取り、神に合ふが如く妝はれて王と爲れり。
光榮 神の聘女よ、爾は神聖なる合成の容處、黃金よりも美しき者と爲れり、蓋爾に藉りて神は人と爲り、又神は人として人人に語り給へり。
今も 讚美たる童貞女よ、不敬虔にして爾を尊まざる者は爾の至榮なる肖像を見て媢嫉に囓まれ、異端の毒惡に殺さる。
主憐めよ。三次。光榮、今も、
坐誦讚詞、第三調。
生神女よ、我熱切なる信より、不當の口、穢れたる心を以て爾に呼ぶ、我諸罪に溺れたる者を救へ、失望に因りて殺されたる者を宥め給へ、我が救はれて爾に呼ばん爲なり、慶べ、童貞女、ハリスティアニン等の扶助者よ。
第七歌頌
イルモス 昔三人の少者はペルシヤ人の尊める金の像に伏拜せずして、爐の中に歌へり、先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
童貞女よ、荊棘と火焰とは相合せられ、兩ながら損はるるなく現れて、明に爾を預象す、蓋爾は神を生みて、童貞女に止まる。
童貞女母よ、ゲデオンの爲に顯れたる羊の毛及び露の奇跡は爾の產を前兆せり、蓋爾は獨神聖なる言を露の如く己の腹に宿し給へり。
光榮 我が罪の火は我に「ゲエンナ」の焰の堪へ難きを示す。潔き者よ、爾の慈憐に由りて之を滅して、痛悔を以て我を光に導き給へ。
今も 至淨なる生神女よ、我等皆爾の肖像を尊みて、原像たる爾を常に神の前に我等の轉達者及び慈憐なる帲幪として有つ。
第八歌頌
イルモス ワワィロンの爐が少者を焚かざりし如く、神性の火は童貞女を殘はざりき。故に我等信者は少者と共に呼ばん、主の造物は主を崇め讚めよ。
父は爾を荊棘の間にある最美しき花の如く、華美の光明にて輝ける者として獲て、爾婚姻に與らざる聘女を聖神に由りて己の子の居處と爲すを悅び給へり。
我靈を全くして爾天上の軍より至りて聖なる無玷の童貞女を讚榮す。蓋爾は彼等の造成主、混ぜざる合成を以て爾より身を取りし者を腹に宿し給へり。
光榮 童貞女よ、爾は童貞を殘なく守りて、父の旨に因りて婚姻に與らざる聘女と爲り、光榮の神゜の臨みて蔭ふ處と爲りて、實に神の子の母と顯れたり。
今も 性の無形にして見えざる神は聖なる童貞女より言ひ難く其性に超えて人と生れて、一位に於て二性の者と見らる、聖書に示すが如し。
第九歌頌
イルモス 神に適ふ新なる奇跡や、主は顯に童貞女の閉せる戸を通り、入るときは無形の神にして、出づるときは人體を衣たる者となり、戸は元の儘閉せり。我等彼を神の母として、言ひ難く崇め讚む。
聖なる根より聖なる實は生ず、蓋胎の荒れたる者は先祖の神の法に聖にせられて、凋まざる生命たる生神童貞女を生じたり、アンナは年老いて子を受けて悅ぶ。我等は此の子を神の母として讚榮す。
潔き者よ、爾の產は神に適ふ新なる事なり、蓋爾の腹の中に父の指にて人の形は銘され、聖なる神゜に因りて聖なる子は身を取り給へり。我等彼を混淆なく神及び人として崇め讚む。
光榮 凡の義判は我を責め、惡しき行は聲を揚げて我を懲らし、我が靈は一切の詰問せられんことを知りて、「ゲエンナ」の焰に慄く。女宰よ、終の先に爾の祈禱を以て我を之より脫れしめ給へ。
今も 潔き者よ、爾は產の後に不朽の者と現れたり、蓋性に超えて身にて萬有の造成主、父の性に離れずして人と爲りし者を生み、聖神に由りて童貞女に止まり給へり、故に我等爾を讚榮して歌を奉る。
次ぎて「常に福にして」。聖三祝文。主日の小讚詞、及び發放詞。
日曜日(主日)
主日の夜半課
聖三者の規程、其冠詞は、三者、惟一の神元よ、爾を讚揚す。ミトロファンの作。第三調。
第一歌頌
イルモス 昔神妙の瞬にて水を一區に匯め、又イズライリ人の爲に海を分ちし者は、是れ崇め讚めらるる吾が神なり。我等獨彼に歌はん、彼光榮を顯したればなり。
悟り難き惟一なる三位の神元よ、我に爾の三光の輝煌にて照さるるを得しめ給へ、我が爾天使の口に賴りて三聖の歌を以て絕えず歌はるる主を歌頌せん爲なり。
悉くの無形の品位は敬みて惟一なる三光の神元を造成の原因として歌ふ、我等人人の大數も同心に歌ひて、塵に屬する口を以て熱切に彼を讚榮す。
光榮 萬有の一元なる神よ、神學師等は宜しきに合ひて意義深く爾を智慧と、言、及び神゜と名づけて、生れざる父より永遠に子の生るること、偕に又神聖なる神゜の出づることを示す。
今も 性の仁愛なる神の言よ、爾は人の性を受けて、惟一の神性の三位なる一元の光を輝かして、衆に爾を生みし至淨なる童貞女を至りて光榮なる者と顯し給へり。
第三歌頌
イルモス 言にて造られ、聖神にて備へらるる萬物を無より出しし至上なる全能者よ、爾の愛に我を固め給へ。
昔イリヤは三たび水を薪の上に沃ぐことを命じて、形を以て惟一の神の三位を顯せり。
地に生るる者の朽壞の性は爾惟一なる三光の變易せざる造成主を歌ひて、爾に呼ぶ、主宰よ、我を種種の惡しき變易より援けて救ひ給へ。
光榮 萬有の神よ、我等信者は諸預言者、光榮なる使徒及び敎の宣傳者の言と侔しきことを述べて、爾同能なる三者を讚榮す。
今も 至淨なる者よ、ハリストスは人を愛する主として、爾に藉りて最高き寶座より下りて、人を高くし、衆に三日の光を輝かし給へり。
第三歌頌の後に坐誦讚詞、第三調。
主憐めよ、三次。
永在なる惟一の主、無原なる父の子ハリストス、及び神聖なる神゜よ、爾の諸僕を憐み給へ、蓋我等皆罪を犯したれども、爾より離れざりき。故に祈る、三位の主よ、權を有つ者として、爾の造物を諸の誘惑より救ひ給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 純潔なる者よ、永在の神及び主は仁慈なるに因りて、爾より身を取り、本性を易へずして、我等に肖たる者となり給へり。故に我等彼を神人と尊みて、爾を婚姻に與らざる生神女と傳へて、爾の種なき產の至大なる奇跡を讚榮す。
第四歌頌
イルモス 主よ、爾は强き愛を我等に顯せり、我等の爲に爾の獨生子を死に付したればなり。故に我等感謝して爾に呼ぶ、主よ、光榮は爾の力に歸す。
根よりするが如く、父より二の芽は生じたり、子及び義なる神゜、父と一性一體にして、同無原同尊なる者なり。故に我等惟一の神性の三光を尊む。二次。
光榮 無數の靈智なる者は絕えず爾測り難き神を歌ふ。彼等と偕に我等讚榮して言ふ、永在の三者よ、人を愛する主なるに因りて、爾の諸僕を救ひ給へ。
今も 慈憐多き神の言よ、爾は本性を易へずして我等の爲に人體を取り、惟一の神の三位の奧義を敎へて、我等の中に爾を愛する愛を燃し給へり。故に我等爾を讚榮す。
第五歌頌
イルモス イサイヤは預象に於て崇き寶座に坐して光榮の諸天使に繞らるる神を見し時に籲べり、噫 我 禍なる哉、我肉體を取る神、暮れざる光と平安とを司る者を預見せり。
イサイヤは預象に於て惟一の神、セラフィムの至淨なる聲を以て三位に讚榮せらるる主を見て、直に三光の性、三日の惟一者を傳へん爲に遣されたり。二次。
光榮 曩に悉くの見ゆると見えざるとの性を無より造りし三日の惟一者よ、信を以て爾獨一の神を歌頌する者を諸の誘惑より救ひて、爾の光榮を見るを得しめ給へ。
今も 光明潔淨なる神の聘女童貞女よ、我等愛を以て爾を歌頌讚美す。蓋三者の一位、光榮の主ハリストスは二性二旨にして爾より生れ給へり。
第六歌頌
イルモス 今を限の罪の淵は我を圍み、我が靈は兦びんとす。祈る、主宰敎導者よ、爾の高き手を伸べて、我をペトルの如く救ひ給へ。
移住者たるアウラアムは惟一の主、三位に於て人の形を以て現れしを待ふことを得たり。二次。
光榮 鳴呼三日の主よ、爾の諸僕の心を近づき難き光に向はしめて、我が靈に爾の光榮の光照を與へ給へ、我等が爾の言ひ難き華美に輝かされん爲なり。
今も 至淨なる者よ、我が爲に爾の腹より生れし光の門を啓き給へ、我が神性の三光の輝煌を仰ぎて、爾至りて光明なる女宰を讚榮せん爲なり。
第六歌頌の後に坐誦讚詞、第三調。
主憐めよ、三次
我等は一性一體の神の三日の權柄を歌ひて、三聖の聲を以て呼ばん、聖なる哉無原の父、聖なる哉同無原の子、及び聖神、惟一の分れざる我が神、萬有の造成者、人を愛する主や。
光榮、今も、生神女讚詞 純潔なる少女よ、如何にして容れ難き者は爾の腹に宿り、神の變易せざる性の混淆或は分離に與らずして身を取り、人として現れたる、此れ至大なる奇跡なり。故に我等信を以て常に爾を生神女と傳へて崇め讚む。
第七歌頌
イルモス 昔敬虔なる三人の少者をハルデイの焰に凉しくせし如く、我等をも神性の明るき火にて輝かし給へ、吾が先祖の神よ、爾は崇め讚めらると呼べばなり。
主宰よ、爾の光を施す光線を以て、我を爾の三光の神性の殿、全く明にして、諸罪諸慾の暗に與らざる者と爲し給へ。吾が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
我等は父、子、聖神の三位、又其各位の本質に於て惟一の神性を傳へて呼ぶ、吾が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
光榮 昔三位の神はアウラアムにマムブリイの橡の傍に現れて、懇に遠人を待ふ德の報としてイサアクを賜へり。我等今も彼を吾が先祖の神として崇め讚む。
今も 神の恩寵を蒙れる純潔なる生神女よ、造物主は神に宜しきが如く爾の至淨なる童貞の腹に由りて人と成り、地に現れて、我等を神成し給へり。
第八歌頌
イルモス 敬虔の範たる少者は堪へ難き火に入れられしに、焰に惱まされずして、神聖なる歌を歌へり、主の悉くの造物は主を崇めて、萬世に讚め揚げよ。
根よりするが如く、無原の父より同無原にして子は生じ、聖神は出でて、永在なる三位の神性の惟一の光榮と能力とを顯せり。我等衆信者は之を世世に崇め歌ふ。二次。
光榮 父、其像なる言、及び聖神よ、爾は己の輝煌にて天の品位に默さずして三聖の歌を以て爾の三光同能なる權柄を歌はんことを慫む。故に我等爾を萬世に崇め歌ふ。
今も 女宰生神女よ、預言者は神に感ぜられて、遙に爾の產を見て、種なく性に超えて生れし者を讚榮せり。我等も同心に彼を主と歌ひて、萬世に崇め讚む。
第九歌頌
イルモス 神に適ふ新なる奇蹟や、主は顯に童貞女の閉せる戸を通り、入るときは無形の神にして、出づるときは人體を衣たる者となり、戸は元の儘閉せり。我等彼を神の母として、言ひ難く崇め讚む。
神に肖たる無形の品位は三光の光榮を見ん爲に上に飛び擧らんと欲すれども、甚近づき難き光を畏みて、絕えず歌を奉る。彼等と同心に我等は爾惟一なる三者を崇め讚む。二次。
光榮 主宰、萬有の神よ、我等地上の者は知識と言とある靈を爾より受けて、飽かせられぬ愛を以て全き心より爾實に一性なる三位を歌ふ。故に慈憐なる主よ、仁愛を以て我等を宥め給へ。
今も 萬有の造成主よ、我等を惟一なる三光の神元の光明なる殿と爲し、潔く爾に奉事して、靈智の眼を以て爾の言ひ難き光榮を見るを得しめ給へ、惟一なる生神女の祈禱に由りてなり。我等宜しきに合ひて彼を至榮なる者として崇め讚む。
次にグリゴリイ シナイトの聖三讚歌、「爾神言を讚榮するは」、及び其他夜半課の式。本書の末に載す。
主日の早課
六段の聖詠の後に、
「主は神なり」に主日の讚詞、第三調、「天に在る者樂しめよ」。光榮、今も、生神女讚詞、「生神童貞女よ、我等は爾我が族の救の爲に」。次に常例の聖詠の誦讀。
第一の誦文の後に主日の坐誦讚詞、第三調。
ハリストスは寢りし者の初實として死より興き、造物に先だちて生れし者、萬物を造りし主は、我が族の朽ちたる性を己の内に改め給へり。死よ、爾は已に君たらず、萬有の主宰は爾の權を破りたればなり。
句 主我が神よ、起きて、爾の手を擧げよ、苦しめらるる者を永く忘るる勿れ。
主よ、爾は身にて死を嘗めて、爾の復活にて死の苦を斷ち、人を之に勝たん爲に固めて、初の詛を敗らしめ給へり。我が生命を衞る主よ、光榮は爾に歸す。
光榮、今も、生神女讚詞
生神女よ、ガウリイルは爾が童貞の美しきと爾が潔淨の光れるとを奇として呼べり、如何なる爾に適ふ讚美を爾に獻げん、如何に爾を名づけん、我訝りて驚く。故に命ぜられし如く爾に呼ぶ、恩寵を蒙れる者、慶べよ。
第二の誦文の後に主日の坐誦讚詞、第三調。
主よ、地獄は爾の變易なき神性と自由なる苦とに驚きて、哭きて言へり、我不朽の肉體の合成に慄く、見えざる者が竊に我と戰ふを見る。故に我が執へたる者も呼ぶ、ハリストスよ、光榮は爾の復活に歸す。
句 主よ、我心を盡して爾を讚め揚げ、爾が悉くの奇跡を傳へん。
我等信者は十字架に釘せらるることの測り難き、復活の言ひ難き神聖なる奧義を傳ふ、蓋今死と地獄とは虜にせられ、人類は不朽を衣たり。故に我等感謝して爾に籲ぶ、ハリストスよ、光榮は爾の復活に歸す。
光榮、今も、生神女讚詞
生神女よ、爾は父及び聖神と一體なる測り難く像り難き主を奧密に爾の腹に容れ給へり、我等は爾の產に由りて聖三者の惟一なる混淆せざる能力を世界に讚榮せんことを悟れり。故に感謝して爾に呼ぶ、恩寵を蒙れる者、慶べよ。
「ネポロチニ」の後に應答歌、第三調。
顯現にて驚かし、言語にて慰むる光明の天使は攜香女に言へり、何ぞ生ける者を墓に尋ぬる、墓を空しくせし者は興きたり。彼が朽壞を變へて親ら變らざる者なるを悟りて、神に謂へ、爾の所爲は何ぞ驚くべき、人の族を救ひ給ひしに因る。
品第詞、第三調。第一倡和詞。每句復唱す。
言よ、爾はシオンの虜をワワィロンより引き出せり、我をも諸慾より生命に引き寄せ給へ。
南風の時に神聖なる淚を以て播く者は、喜を以て永生の穗を刈る。
光榮 聖神には凡の善き賜は屬す、蓋彼は父及び子と偕に輝き、萬物は彼に賴りて生き且動く。
今も 同上。
第二倡和詞
若し主諸德の家を造らずば、我等徒に勞す、主靈を蔽はんに、誰も我等の城を破らざらん。
聖神の腹の果たる諸聖人は、父の子なると均しく、恒に爾ハリストスの子なり。
光榮 聖神に藉りて一切の聖事、一切の智慧は洞察せらる、蓋彼に緣りて萬物は生存す。我等父及び言に於けるが如く彼に務めん、其神なればなり。
今も、同上。
第三倡和詞
主を畏れて誡の道を行く者は福なり、生命の諸果を食はんとすればなり。
牧師長よ、爾の諸子が善業の枝を持ちて、爾の席を環れるを見て、樂しめよ。
光榮 聖神より凡の光榮の富は出で、彼より凡の造物に恩寵と生命とは賜はる。故に彼は父及び言と齋しく歌はるるなり。
今も、同上
提綱、第三調。
諸民に言ふべし、主は王たり、故に世界は堅固にして搖かざらん。
句 新なる歌を主に歌へ、全地よ、主に歌へ。
「凡そ呼吸ある者」。句、「神を其聖所に讚め揚げよ」。主日の早課の福音經。
「ハリストスの復活を見て」。第五十聖詠。其他常例の如し。
主日の規程、第三調。
第一歌頌
イルモス 昔神妙の瞬にて水を一區に匯め、又イズライリ人の爲に海を分ちし者は、是れ崇め讚めらるる吾が神なり。我等獨彼に歌はん、彼光榮を顯したればなり。
附唱 主よ、光榮は爾の聖なる復活に歸す。
土を擬定して、罪を犯しし者の爲に汗の果として荊棘を出すことを命ぜし主、法に戾る手より身にて荊棘の冠を受けし者は、是れ吾が神なり。彼は詛を滅し給へり、光榮を顯したればなり。
苦に與る生ける身を受けしに因りて死を懼れし者は、死に勝ちて之を破る者と顯れたり、是れ吾が神なり。彼は殘虐者と戰ひて、衆人を己と偕に復活せしめ給へり、光榮を顯したればなり。
生神女讚詞 萬族は爾種なく生みし者を眞の生神女と讚榮す、蓋爾の聖にせられし腹に降りし者は是れ吾が神なり。彼は我等の爲に我等に肖たる者と爲りて、爾より神及び人として生れ給へり。
又十字架復活の規程、第三調。
第一歌頌
イルモス 人人よ、童貞女より我が救の爲に生れて、地の物を天の物と一に爲しし主に新なる歌を歌はん、彼光榮を顯したればなり。
罪を愛する殘虐者に奴隷とせられし人類を、ハリストスは神聖なる血を以て贖ひ、之を新にして神成し給へり、光榮を顯したればなり。
生命の寶藏たるハリストスは死に屬する者として甘じて死を嘗め、性の不死なる者として死者を生かし給へり、光榮を顯したればなり。
又至聖なる生神女の規程、其冠詞は、生神女よ、我第三の歌を爾に奉る。第三調。
第一歌頌 イルモス同上
童貞女よ、天上の凡の性は地上の者と偕に、地獄の者も、宜しきに合ひて、爾より身を取りし主の前に膝を屈む、彼光榮を顯したればなり。
少女よ、大なる哉爾に藉る和睦や、神として豐に諸恩を施す主は爾より身を取りて、神聖なる神゜を我等に賜へり、光榮を顯したればなり。
共頌、「我が口を開きて」。
第三歌頌
イルモス 言にて造られ、聖神にて備へらるる萬物を無より出しし至上なる全能者よ、爾の愛に我を固め給へ。
ハリストスよ、爾の十字架を以て不虔者は辱しめられたり、蓋阱を掘り、之を竣へて、自ら其中に陷り、謙卑の者の角は爾の復活に藉りて擧げられたり。
人を愛する主よ、聖敎の傳道が諸民に廣布するは水の海に溢るるが如し、蓋爾は墓より復活して、聖三者の光を顯し給へり。
生神女讚詞 永遠に王たる主の活ける城邑よ、光榮の事は爾に於て傳へられたり、女宰よ、爾に藉りて神が地上の者と偕に居りたればなり。
又
イルモス 主宰ハリストス、我等の防固よ、爾は力を以て敵の弓を折り、盾を壞り給へり。主よ、爾は聖なり。
至淨なる十字架よ、爾は邪敎の汚穢の潔淨と現れたり、蓋至りて神聖なるイイススは爾の上に手を舒べ給へり。
生命を受けし墓よ、我等衆信者は爾に伏拜すべし、蓋ハリストス我が眞の神は爾の中に葬られて、復活し給へり。
又 イルモス同上
ハリストスよ、預言者の言ひし如く、イエッセイの根よりせし杖たる童貞女は爾花たる者を我等の爲に發き給へり。主よ、爾は聖なり。
地に生るる者を神に體合せしめん爲に爾は童貞女より我等の肉體を受けて、貧しくなり給へり。主よ、爾は聖なり。
第四歌頌
イルモス 主よ、爾は强き愛を我等に顯せり、我等の爲に爾の獨生子を死に付したればなり。故に我等感謝して爾に呼ぶ、主よ、光榮は爾の力に歸す。
ハリストスよ、爾は慈憐に因りて瘡痍と毁傷とを受け、頰を批つ陵辱を忍び、恒忍にして唾せらるるを堪へ、此等を以て我が爲に救を成し給へり。主よ、光榮は爾の力に歸す。
至榮なる生命よ、爾は貧しき者を苦より、乏しき者を嘆より救はん爲に、死に屬する身にて死を受け、壞りし者を壞り、衆人を己と偕に復活せしめ給へり、光榮を顯したればなり。
生神女讚詞 主ハリストスよ、爾の苦にて獲たる牧群を記念し、爾の至榮なる母の慈憐なる禱を受けて、迫害せらるる者を顧みて、爾の力を以て之を救ひ給へ。
又
イルモス 人を愛する主よ、爾の誕生の奧義は奇異にして言ひ難し。我爾の風聲を聞きて懼れ、且樂しみて爾に呼ぶ、光榮は爾の力に歸す。
人を愛する主よ、爾は己の像に循ひて人を造り、髑髏の處に十字架に釘せられて、其罪を犯すに因りて死せしを救ひ給へり。
主よ、爾墓より復活せしに、死は其呑みたる死者を還し、地獄の朽壞せしむる國は破られたり。
生神女讚詞 潔きマリヤ、黃金の香爐よ、聖三者の一なる神言は混淆なく爾の内に降り、身を取りて世界を薰らせ給へり。
又 イルモス同上
神聖なる智慧の測度を以て山を建てし主宰よ、爾は石として山たる童貞女より人の手に由らずして斫られたり。人を愛する主よ、光榮は爾の力に歸す。
主宰言よ、爾は我等の病める性を醫し給へり、之に童貞女の内に於て最良き效能ある藥料たる爾の至淨なる神性を合せしを以てなり。
童貞女より身を取り、人と爲りて我に體合せし主言よ、爾は我の分なり、我が望む所の嗣業なり。
第五歌頌
イルモス 爾萬物を造りし主、悟り難き平安に、朝の禱を奉る、爾の誡は光なるに因りて、我に之を敎へ給へ。
義を以て全地を審判する見ざる所なき主よ、爾はエウレイ人の媢嫉に因りて不義なる審判者に付されて、古のアダムを定罪より脫れしめ給へり。
死より復活せしハリストスよ、爾の十字架の勝たれぬ力を以て爾の平安を爾の諸敎會に與へて、我が靈を救ひ給へ。
生神女讚詞 永貞童女よ、爾は獨萬物の中に容れられざる神の言を容れて、天より至りて宏き聖なる幕と顯れたり。
又
イルモス 人を愛する主よ、爾は見えざる者にして地に現れ、悟り難き者にして甘じて人人と偕に居りたり。我等朝の禱を奉りて爾を讚め歌ふ。
嗚呼我がハリストスよ、爾は戈を以て脅を刺されて、人の肋骨より造られ、衆人の滅亡の緣由と爲りし者を詛より解き給へり。
性に於て父と同一なるハリストス、我が救世主よ、爾は至淨至尊なる爾の肉體の聖にせられし殿を死より復活せしめ給へり。
又 イルモス同上
童貞女よ、神の言たる爾の子、始めて造られしアダムの造成主は爾より己の爲に生ける身を造りたれども、造物に非ず。
童貞女よ、父と同一なる神の言たる爾の子主イイススは二性に於て完全なる一位、全き神及び人たるなり。
第六歌頌
イルモス 今を限の罪の淵は我を圍み、我が靈は亾びんとす。祈る、主宰敎導者よ、爾の高き手を伸べて、我をペトルの如く救ひ給へ。
主宰よ、爾の仁慈なる降臨に因りて、慈憐と洪恩との淵は我を圍めり。蓋爾は身を取り、僕の形を受けて、我を神成して、己と偕に光榮を獲しめ給へり。
殺す者は殺されし主の生かされたるを見て、死に服せり。ハリストスよ、是れ爾の復活の表式、爾の至淨なる苦の勝利の記號なり。
生神女讚詞 智慧に超えて獨造成主及び人人の轉達者と爲りし至淨なる者よ、爾の子が罪を犯しし爾の諸僕に慈憐を垂れて、援助を施さんことを祈り給へ。
又
イルモス イオナは地獄の住所に居る形像と爲りて呼べり、人を愛する主よ、我が生命を淪滅より引き上げ給へ。
爾は傷を受けて、地獄に傷つけられし者を十字架の苦に因りて己と偕に復活せしめ給へり。故に我爾に呼ぶ、人を愛する主よ、我が生命を淪滅より引き上げ給へ。
ハリストスよ、地獄の門は恐懼に因りて爾の爲に啓かれ、敵の器は劫さる。故に女等は爾を迎へて、悲に易へて喜を受けたり。
又 イルモス同上
形なき者は不朽なる童貞女より我等に肖たる身を受け、形及び物體と爲りて、神性を易へずして人と現れ給へり。
至淨なる者よ、我を諸罪の淵及び諸慾の烈風より脫れしめ給へ。蓋爾は信を以て爾に趨り附く者の爲に港なり、奇跡の淵なり。
小讚詞、第三調。
慈憐なる主よ、爾は今墓より復活して、我等を死の門より升せ給へり。今アダムは樂しみ、エワは歡び、諸預言者は列祖と偕に絕えず爾の權柄の神聖なる能力を讚め歌ふ。
同讚詞 天地は今樂しみて、同心にハリストス神を讚め歌ふべし、彼が囚へられし者を墓より復活せしめしに因る。萬物皆喜びて、萬有の造成主及び我等の贖罪主に宜しきに合ふ歌を奉る。蓋彼は今生命を施す主として、人人を地獄より升せて天に擧げ、敵の傲慢を墜し、己の權柄の神聖なる能力を以て地獄の門を破り給ふ。
第七歌頌
イルモス 昔敬虔なる三人の少者をハルデイの焰に凉しくせし如く、我等をも神性の明るき火にて輝かし給へ、吾が先祖の神よ、爾は崇め讚めらると呼べばなり。
造物主の十字架に釘せらるる時、殿の美しき幔は裂けて、聖書に隱れたる眞理を信者に顯せり。故に彼等呼ぶ、吾が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
ハリストスよ、爾の脅の刺されしに、爾は、定制に由りて、地に滴る生命を施す神聖なる血の點滴を以て、地より造られし者を改め造り給へり。故に彼等呼ぶ、吾が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
聖三者讚詞 我等信者は善なる神゜を父及び獨生の子と偕に讚榮し、三位の中に惟一の元、惟一の神性を尊みて呼ばん、吾が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
又
イルモス 驕れる苛虐者は少者の玩具と爲れり。蓋彼等は七倍燃されたる焰を塵の如く履みて歌へり、主我が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
日は十字架に懸れる者の凡庸の人に非ずして肉體を取りし神なるを見て晦みたり。我等彼に歌ふ、主我が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
地獄は神性の堅固なる主、不朽を賜ふ者を受けて、恐れて義者の靈を吐き出せり。蓋彼等呼べり、主我が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
生神女讚詞 至淨なる者よ、潔き心を以て爾を神の母と承け認むる者の爲に爾は祝福の最尊き寶藏と顯れたり、蓋爾より我が先祖の神は身を取り給へり。
又 イルモス同上
光榮の主、天上の軍を其權内に持つ者、父と偕に坐する者は童貞女の手に抱かる。主我が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
死は猛烈なれども、爾に附きたれば、爾之を滅せり、童貞女より神性に合せられたる身を取りたればなり。主我が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
我等皆爾神を生みし者を生神女と知れり、三者の一位、爾より身を取りし者を生みたればなり。至淨なる者よ、爾の腹の果は祝福せられたり。
第八歌頌
イルモス 敬虔の範たる少者は堪へ難き火に入れられしに、焰に惱まされずして、神聖なる歌を歌へり、主の悉くの造物は主を崇めて、萬世に讚め揚げよ。
爾の十字架の髑髏の處に樹てられしに、殿の裝飾は裂かれ、造物は恐懼に由りて傾きて歌へり、主の悉くの造物は主を崇め歌ひて、世世に彼を讚め揚げよ。
ハリストスよ、爾は墓より復活して、木に緣りて誘はれて陷りし者を神聖なる力を以て改め給へり。故に彼呼びて云ふ、主の悉くの造物は主を崇め歌ひて、世世に彼を讚め揚げよ。
生神女讚詞 至淨なる神の母よ、爾は神の殿、活ける居處、及び約匱と顯れたり、爾は造物主を人人と和げ給へり。我等悉くの造物は宜しきに合ひて爾を歌ひて、萬世に崇め讚む。
又
イルモス 敬神の少者は無形の火にて物質の火の焰を滅して歌へり、主の悉くの造物は主を崇め讚めよ。
神の言は苦を受けざりき、神の性は苦に與らざる者なればなり、神は人體にて苦を受け給へり。我等彼に歌ふ、主の悉くの造物は主を崇め歌ひて、世世に彼を讚め揚げよ。
救世主よ、爾は死に屬する者として寢ね、不死の者として復活して、歌ふ者を死より救ひ給ふ、主の悉くの造物は主を崇め歌ひて、世世に彼を讚め揚げよ。
聖三者讚詞 我等は敬虔を抱きて三位なる神性、言ひ難く合せらるる者に奉事して歌ふ、主の悉くの造物は主を崇め歌ひて、世世に彼を讚め揚げよ。
又 イルモス同上
爾は母として無形の品位に超えて神に近くなり給へり。恩寵を蒙れる童貞女よ、我等爾の產を祝讚して、萬世に崇め讚む。
爾の本性の華美は至りて美しくして、其輝煌は神性の肉體なり。恩寵を蒙れる童貞女よ、我等爾の產を祝讚して、萬世に崇め讚む。
次ぎて生神女の歌、「我が靈は主を崇め」、附唱と共に、「ヘルワィムより尊く」。
第九歌頌
イルモス 神に適ふ新なる奇蹟や、主は顯に童貞女の閉せる戸を通り、入るときは無形の神にして、出づるときは人體を衣たる者となり、戸は元の儘閉せり。我等彼を神の母として、言ひ難く崇め讚む。
神の言よ、爾造物主が木に擧げられ、神が諸僕の爲に身にて苦を受け、氣息なくして墓に臥し、死者を地獄より解き給ひしを見るは畏るべき哉。故にハリストスよ、我等爾を全能者として崇め讚む。
ハリストスよ、爾は死者として墓に置かれて、列祖を死の朽壞より救ひ、生命の花を發きて、死者を復活せしめ、人の性を光に導き、神聖なる不朽を之に衣せ給へり。故に我等爾を永在の光の泉として崇め讚む。
生神女讚詞 純潔なる者よ、爾は神の殿及び寶座と現れたり、至上者は之に入り、夫なく爾より生れて、爾の體の門を啓かざりき。故に潔き者よ、爾の息めざる祈禱を以て諸敵を速に我が皇帝に服せしめ給へ。
又
イルモス 潔き者よ、我等は爾の至淨なる產に欣ばしく感ぜられ、爾の慕はしき美德を奇として、天使の歌を以て宜しきに合ひて爾を神の母として崇め讚む。
ハリストス救世主よ、爾は尊からざる死より衆人に尊きを流し、十字架に釘せらるるに因りて死に屬する性を以て死を嘗めて、我に不朽を賜へり、人を愛する主なればなり。
ハリストスよ、爾は墓より復活して我を救ひ、我を升せて、爾の父に攜へ、彼と偕に其右に坐せしめ給へり、爾の仁慈の至大なるに因りてなり。
又 イルモス同上
童貞女よ、敬虔なる信者は爾を讚美して飽くことを知らず。神聖なる望より望に進みて、我等常に爾を神の母として崇め讚む。
ハリストスよ、爾は我等の爲に愧を得ざる轉達者として爾を生みし者を賜へり。彼の祈禱に因りて、爾は我等に宏恩を施す仁慈なる神゜、父より爾に緣りて出づる主を與へ給ふ。
共頌の後に小聯禱。次ぎて主我等の神は聖なり、及び光耀歌。
「凡そ呼吸ある者」に主日の讚頌。第三調。
句 彼等の爲に記されし審判を行はん爲なり、斯の榮は其悉くの聖人に在り。
萬民來りて、畏るべき奧密の力を悟れ、蓋ハリストス吾が救世主、太初より有る言は、我等の爲に十字架に釘せられ、甘じて葬られ、死より復活せり、萬有を救はん爲なり。我等彼に伏拜せん。
句 神を其聖所に讚め揚げよ、彼を其有力の穹蒼に讚め揚げよ。
主よ、爾の番兵は具に奇跡を告げたれども、虛しき集會は彼等の手に賄賂を充てて、爾の復活、世界が讚榮する者を隱さんと思へり。我等を憐み給へ。
句 其權能に依りて彼を讚め揚げよ、其至嚴なるに依りて彼を讚め揚げよ。
復活の證明を受けて、皆歡喜に充たされたり、蓋マリヤ「マグダリナ」墓に來りて、石に坐する衣の輝ける天使に遇へり、彼言へり、何ぞ生ける者を死者の中に尋ぬる、此に在らず、其言ひし如く復活し、爾等に先だちてガリレヤに往く。
句 角の聲を以て彼を讚め揚げよ、琴と瑟とを以て彼を讚め揚げよ。
人を愛する主宰よ、我等爾の光に於て光を觀ん、蓋爾は死より復活して、人類に救を賜へり、悉くの造物が爾獨罪なき者を讚榮せん爲なり。我等を憐み給へ。
又讚頌、アナトリイの作。同調。
句 鼓と舞とを以て彼を讚め揚げよ、絃と簫とを以て彼を讚め揚げよ。
主よ、攜香女は淚を垂れて、朝の歌を爾に獻げたり。蓋芳しき香料を攜へて、爾の墓に至り、爾の至淨なる體に傅らんと欲せり。然れども石に坐する天使は彼等に福音せり、何ぞ生ける者を死者の中に尋ぬる、彼は死を滅して、神として復活し、衆に大なる憐を賜へり。
句 和聲の鈸を以て彼を讚め揚げよ、大聲の鈸を以て彼を讚め揚げよ。凡そ呼吸ある者は主を讚め揚げよ。
生命を施す爾の墓に於て光れる天使は攜香女に謂へり、贖罪主は墓を空しくし、地獄を虜にして、三日目に復活せり、獨神及び全能者なればなり。
句 主我が神よ、起きて、爾の手を擧げよ、苦しめらるる者を永く忘るる毋れ。
七日の首の日、マリヤ「マグダリナ」來りて、爾を墓に尋ねしに、遇はずして、哭きて呼べり、我が救世主よ、哀しい哉、衆の王よ、爾は竊まれたり。生命を報ずる二の天使は墓の中より彼に呼べり、婦よ、何ぞ哭ける、彼曰ふ、我哭く、蓋人我が主を墓より取れり、我其何處に彼を置きしを知らず。此を言ひて、顧みて爾を見て、直に呼べり、我が主、我が神よ、光榮は爾に歸す。
句 主よ、我心を盡して爾を讚め揚げ、爾が悉くの奇跡を傳へん。
エウレイ人は生命を墓に閉せり、然れども盜賊は舌を以て樂を啓きて、呼びて曰へり、我の爲に我と共に十字架に釘せられ、我と偕に木に懸りたる者は、父と偕に寶座に坐する者として我に現れたり、蓋彼はハリストス我等の救主、大なる憐を有つ者なり。
光榮、福音の讚頌。
今も、生神女讚詞、「生神童貞女よ、爾は至りて讚美たる者なり」。
大詠頌。次ぎて讚詞
今救は世界に及べり。我等墓より復活せし吾が生命の首なる主に歌ふ、其死にて死を滅し、我等に勝利と大なる慈憐とを賜へばなり。
聯禱及び發放詞。
主日の聖体礼儀に
聖體禮儀には眞福詞、第三調。
ハリストスよ、爾は誡に背きし原祖アダムを樂園より逐ひ出せり。然れども爾、洪恩なる主よ、十字架に在りて爾を承け認めし盜賊、救世主よ、爾の國に於て我を憶ひ給へと呼ぶ者を其中に入れ給へり。
句 心の淸き者は福なり、彼等神を見んとすればなり。
生命を賜ふ主よ、爾は罪を犯しし我等を死の詛に定めたり。然れども爾、罪なき主宰よ、爾の體にて苦を受けて、死すべき人人、我等をも爾の國に於て憶ひ給へと呼ぶ者を活かし給へり。
句 和平を行ふ者は福なり、彼等神の子と名づけられんとすればなり。
主、救世主よ、爾は死より復活して、其復活を以て我等を諸の苦より復活せしめ、死の悉くの力を滅し給へり。故に我等信を以て爾に呼ぶ、我等をも爾の國に於て憶ひ給へ。
句 義の爲に窘逐せらるる者は福なり、天國は彼等の有なればなり。
爾は神なるに因りて、爾の三日の葬を以て地獄に在る殺されし者を活かして、己と共に起し、仁慈なるに因りて、我等衆人、恒に信を以て爾に、我等をも爾の國に於て憶ひ給へと呼ぶ者に不朽を流し給へり。
句 人我の爲に爾等を詬り、窘逐し、爾等の事を僞りて諸の惡しき言を言はん時は、爾等福なり。
ハリストス救世主よ、爾は死より復活して、先づ攜香女に現れて、慶べよと呼び、且彼等を以て爾の友に爾の復活を報らせ給ふ。故に我等信を以て爾に呼ぶ、我等をも爾の國に於て憶ひ給へ。
句 喜び樂しめよ、天には爾等の賞多ければなり。
モイセイは山の上に手を伸べて、十字架を預象して、アマリクに勝てり。我等皆信を以て之を惡鬼に對する堅固なる武器として受けて呼ぶ、我等をも爾の國に於て憶ひ給へ。
光榮 我等信者は父と子と聖神、惟一の神、惟一の主を崇め歌ふ。聖三者は獨一の日より三光の輝くが如く、我等衆を照し給ふ。故に我等呼ぶ、我等をも爾の國に於て憶ひ給へ。
今も、生神女讚詞 神の門よ、慶べ、身を取りし造物主は此に藉りて出でて、其封印を損はざりき。神聖の雨たるハリストスを抱く輕き雲よ、慶べ、階梯及び天の寶座よ、慶べ、樹蔭繁き斫られざる尊き神の山よ、慶べ。
提綱、第三調。
我が神に歌ひ歌へよ、我が王に歌ひ歌へよ。
句 萬民よ、手を拍ち、歡の聲を以て神に呼べ。
「アリルイヤ」、主よ、我爾を恃む、願はくは我世世に羞を得ざらん。
句 我が爲に堅固なる避所となりて、我に常に隱るるを得しめ給へ。
主日の晩課
「主よ、爾に籲ぶ」に傷感の讚頌、第三調。
句 主よ、若し爾不法を糾さば、主よ、孰か能く立たん。然れども爾に赦あり、人の爾の前に敬まん爲なり。
天の父よ、我大に罪を犯し、爾本性の仁慈慈憐なる主宰を悲しましめて、今爾に歸る者を蕩子の如く受けて、爾が傭人の一と爲し給へ。
句 我主を望み、我が靈主を望み、我彼の言を恃む。
我不當の者は懶惰を極めて度生し、旣に生命の終に近づきて、我を待つ審判及び神より遠ざけらるることを思はず。救世主よ、我を反正せしめて、此等より脫れしめ給へ。
句 我が靈主を待つこと、番人の旦を待ち、番人の旦を待つより甚し。
至善の主よ、我が卑微なる靈を「ゲエンナ」及び切齒より、其他凡の永遠の苦より脫れしめ給へ、我が信を以て爾本性の慈憐仁愛なる神を歌はん爲なり。
次に月課經の聖人の讚頌。光榮、聖人の、今も、生神女讚詞。若し月課經なくば、聖なる無形軍の讚頌、同調。
句 願はくはイズライリは主を恃まん、蓋憐は主にあり、大なる贖も彼にあり、彼はイズライリを其悉くの不法より贖はん。
主よ、爾は衆に爾が仁慈の富を顯して、無形の品位を造り、今默さざる聲を以て智慧に超ゆる爾の光榮を讚榮する者を無より有と爲し給へり。
句 萬民よ、主を讚め揚げよ、萬族よ、彼を崇め讚めよ。
主宰ハリストスよ、爾の天使の能力は大なり。彼等は無形にして世界を巡りて、爾より受けし能力を以て諸敎會を護り、且爾に全地の爲に祈る。
句 蓋彼が我等に施す憐は大なり、主の眞實は永く存す。
爾に奉事する天軍は爾の獨一なる三日の華美を見て、世界に居る者の爲に第二の光と現れ、齋しく輝きて、我等に神聖なる光明を賜ふ。
光榮、今も、生神女讚詞 萬物を宰制する至淨なる者よ、我靈の諸慾に厲しく制せらるる者を爾の熱心なる轉達及び母の祈禱を以て釋きて、爾の子及び神に服役せしめ給へ。
次ぎて「穩なる光」。本日の提綱。「主よ、我等を守り」。
挿句に傷感の讚頌、第三調。
ハリストスよ、我等は暮の歌を香爐及び屬神゜の詩賦と共に爾に奉る、我等の靈を憐みて救ひ給へ。
句 天に居る者よ、我目を擧げて爾を望む。視よ、僕の目主人の手を望み、婢の目主婦の手を望むが如く、我等の目は主我が神を望みて、其我等を憐むを俟つ。
主我が神よ、我を救ひ給へ、爾は衆人の爲に救なればなり。諸慾の烈風は我を擾し、我が不法の重負は我を溺らす。我に援助の手を授けて、我を痛悔の光に升せ給へ、爾獨慈憐にして人を愛する主なればなり。
句 主よ、我等を憐み、我等を憐み給へ、蓋我等は侮に饜き足れり。我等の靈は驕る者の辱と誇る者の侮とに饜き足れり。
主よ、爾の十字架の能力は大なり、蓋一の處に建てられて、全世界に行動し、漁者の中より使徒、異邦人の中より致命者を現して、我等の靈の爲に祈らしむ。
光榮、今も、生神女讚詞 生神女、爾に祈る衆人の轉達者よ、我等爾に因りて勇を得、爾を以て誇と爲す、我が悉くの倚賴は爾に在り、爾より生れし者に爾の不當なる諸僕の爲に祈り給へ。
次ぎて「主宰よ、今爾の言に循ひて」。聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞及び發放詞。
主日の晩堂課
至聖なる生神女に奉る祈禱の規程、第三調。
第一歌頌
イルモス 昔神妙の瞬にて水を一區に匯め、又イズライリ人の爲に海を分ちし者は、是れ崇め讚めらるる吾が神なり。我等獨彼に歌はん、彼光榮を顯したればなり。
獨大名にして至聖なる童貞女マリヤ、ヘルワィムより尊榮なる者、ダワィドの女、イアコフの榮、我が神の母よ、爾の光榮は極めて大なり。我等皆信を以て爾を讚榮す。
潔き者よ、爾は言を以て天を幔の如く張りたる主を人の如く爾の手に抱きたり。彼に我が靈を無知なる諸慾及び諸の憂患より脫れしめんことを常に祈り給へ。
光榮 世世の先より預定せられし童貞女、至りて潔き紫袞衣なる者よ、光榮の王は末の時に於て爾を衣て、原祖アダムの皮の衣を掩ひ給へり。祈る、今我をも掩ひ給へ。
今も 童貞女よ、爾は堪へ難き火たるハリストスを生みて、人類を朽壞せしめし古の罪を涸せり。祈る、爾の祈禱を以て我が靈の諸慾の流を涸し給へ。
第三歌頌
イルモス 言にて造られ、聖神にて備へらるる萬物を無より出しし至上なる全能者よ、爾の愛に我を固め給へ。
潔き者よ、仁慈なる定制に因りて、萬有の主宰は爾の子と名づけられたり。故に女宰よ、爾の祈禱を以て我を諸慾の奴役より救ひ給へ。
救の港及び無慾の泉を生みし至淨なる者よ、我爾の僕を速に肉慾の烈風より脫れしめ給へ。
光榮 至淨なる者よ、爾は入らざる光の至りて光明なる燈と爲りて、世界を照せり。祈る、爾の光線にて我が靈の雲を拂ひ給へ。
今も 生命を賜ふハリストスを言ひ難く生みし女宰よ、我多くの惡慾に因りて靈の死者と爲りし者を活かし給へ。
第四歌頌
イルモス 主よ、爾は强き愛を我等に顯せり。我等の爲に爾の獨生子を死に付したればなり。故に我等感謝して爾に呼ぶ、主よ、光榮は爾の力に歸す。
肉體の意念の戰は我を攻めて、我が靈を執ふ。凡の智慧に超ゆる和平を生みし女宰よ、爾の和平を我に與へ給へ。
至淨なる者よ、爾は神゜靈の香料を腹より世界の爲に流せり。故に我が靈を諸慾の汚より潔めて、爾の祈禱を以て無慾の香料を我に與へ給へ。
光榮 我爾を生命の「マンナ」たる神人ハリストスを容れし黃金の壺と知りて祈る。飢渴に苦しめる吾が靈を養ひて、恩寵の流を飮ましめ給へ。
今も エワは先に不節制に因りて死を世に入れ、爾は潔き童貞を以て眞の生命を入れたり。故に爾の祈禱を以て我を罪の死より救ひ給へ。
第五歌頌
イルモス 人を愛する主よ、爾は見えざる者にして地に現れ、悟り難き者にして甘じて人人と偕に居りたり。我等朝の禱を奉りて爾を讚め歌ふ。
童貞女よ、我等の爲に救と爲りし爾の子は衆を朽壞より救ひ給へり。故に我を肉體の意念及び諸慾の攻擊より救ひ給へ。
人を潔めし熾炭の鉗たる生神女よ、爾の祈禱の火を以て我が諸慾の思の荊棘を焚き盡し給へ。
光榮 爾は仁愛に因りて我等の爲に屠られし神聖なる犢を生みし神の牝牛なり。彼の神聖なる血を以て我が心を潔め給へ。
今も 我が先に得たる諸德の美しき衣は我が懶惰に因りて剥がれたり。童貞女よ、爾は今爾の祈禱に因りて更に美しきを我に衣せ給へ。
第六歌頌
イルモス 今を限の罪の淵は我を圍み、我が靈は亾びんとす。祈る、主宰敎導者よ、爾の高き手を伸べて、我をペトルの如く救ひ給へ。
凶惡者の甚しき攻擊は我が靈の殿を動かせり。地を水の上に建てたるハリストスを生みし者よ、爾の祈禱を以て之を堅め給へ。
爾は最貴き眞珠を生みて、地上の者の債を解きたり。故に至淨なる者よ、速に我が罪と慾と憂との縲絏を解き給へ。
光榮 爾の胎より生れし至善なる神は爾を信者の爲に避所及び神聖なる庇覆として與へたり。故に至淨なる者よ、我をも爾の手にて覆ひて護り給へ。
今も 不當なる我屢度生の浪に危く溺らされ、常に惡敵の攻擊に荒らさるる者は今爾に呼ぶ、生神女よ、我を援け給へ。
次ぎて主憐めよ、三次。光榮、今も、
坐誦讚詞、第三調。
言の神聖なる幕と爲りし獨一至淨なる童貞女母、潔淨を以て諸天使に超えたる者よ、我衆人に超えて肉體の罪に汚されたる者を爾の祈禱の神聖なる水を以て潔めて、我に大なる憐を與へ給へ。
第七歌頌
イルモス 昔敬虔なる三人の少者をハルデイの焰に凉しくせし如く、我等をも神性の明るき火にて輝かし給へ、吾が先祖の神よ、爾は崇め讚めらると呼べばなり。
詭譎なる惡鬼の會及び多くの肉慾は我を圍めり。戰に堅固なるハリストスを生みし者よ、我を甚しき憂患及び厲しき攻擊より救ひ給へ。
潔き者よ、ヘルワィムの性の近づき難く、天使の品位の畏るべき惟一の主は爾の内に入りて、我等を新にし給へり。女宰よ、彼に藉りて我を見えざる敵の爲に畏るべき者と顯し給へ。
光榮 童貞女よ、爾は生命の樹を生ぜし神゜靈の樂園と爲れり、アダムは之に與りて死の果より救はれたり。故に我をも今樂しましめて、諸慾の糧より脫れしめ給へ。
今も 人人の爲に救主を生み、我が先祖の神の聖にせられたる殿と爲りし者よ、我を肉慾の汚及び惡鬼の誘より脫れしめ給へ。
第八歌頌
イルモス 敬虔の範たる少者は堪へ難き火に入れられしに、焰に惱まされずして、神聖なる歌を歌へり、主の悉くの造物は主を崇めて、萬世に讚め揚げよ。
世界に晝と夜との大なる光體を造りし光の雲なる神の母よ、爾の光線を以て我が諸慾諸罪の黑暗を悉く拂ひて、我を光の子と爲し給へ。
生神女よ、天より爾の腹に降りし雨を以て我が靈及び我が心を濕して潔め、諸の慾と愁との炎を滅し給へ、我が熱心にして爾を萬世に讚榮せん爲なり。
光榮 潔き者よ、爾は天地の萬性を無より造りし神の睿智を言ひ難く生み給へり。其言を以て我に智慧と智識とを與へ給へ、我が常に爾の神聖なる產を歌はん爲なり。
今も 世界の女宰よ、爾の祈禱に由りて我が靈體の濕され、我が諸罪の疾及び惡慾より速に脫れんことを求めて爾に祈る、爾は衆人の醫治なればなり。
第九歌頌
イルモス モイセイはシナイ山に於て棘の中に、爾を焚かれずして神性の火を胎内に孕みし者として觀、ダニイルは爾を截られざる山として觀、イサイヤは芽を萌しし杖、ダワィドの根より出でし者なりと呼べり。
潔き者よ、爾は神聖なる織機なり、之に藉りて聖神はハリストスの爲に衣たる肉體を織り給へり。祈る、爾の祈禱に由りて我に潔淨の衣を衣せ給へ。
神゜靈の葡萄、我等に不朽の酒を飮ましむる神聖なる房を生ぜし者よ、爾の祈禱を以て我が靈の爲に傷感と潔淨の酒とを流し給へ。
光榮 潔くして聖なる婚筵の宮、其中に神が神性を以て人性に配合せし者よ、爾に祈る、爾の祈禱を以て我を爾の子に合せて、神聖なる生命に與らしめ給へ。
今も 童貞女よ、爾は不朽の泉たるハリストスを生みて、人性の朽壞の草場を變化せり。祈る、爾の祈禱を以て、我を焦し我を擾す諸慾の猛烈なるを殺し給へ。
次ぎて「常に福にして」、及び躬拜。聖三祝文。「天に在す」の後に諸讚詞。其他常例の如し、幷に發放詞。
月曜日
月曜日の早課
第一の誦文の後に傷感の坐誦讚詞、第三調。
吾が靈よ、地上に在る時に痛悔せよ、蓋塵は墓に在りて歌はず、罪過より救はず。ハリストス神に呼べ、心を知る主よ、我爾の前に罪を犯せり、神よ、我を定罪せざる先に我を宥め、我を憐み給へ。
句 主よ、爾の憤を以て我を責むる毋れ、爾の怒を以て我を罰する毋れ。
吾が靈よ、罪過の中に在りて何の時に至るか、痛悔を延ばして何の時に至るか。將來の審判を念に抱きてハリストス神に籲べ、心を知る主よ、我罪を犯せり、罪なき主よ、我を憐み給へ。
光榮、今も、生神女讚詞
生神女よ、ガウリイルは爾が童貞の美しきと爾が潔淨の光れるとを奇として呼べり、如何なる爾に適ふ讚美を爾に獻げん、如何に爾を名づけん、我訝りて驚く。故に命ぜられし如く爾に呼ぶ、恩寵を蒙れる者、慶べよ。
第二の誦文の後に坐誦讚詞、第三調。
畏るべき審判には我罪する者なきに攻められ、證する者なきに定罪せらる、蓋良心の書は啓かれ、隱れたる所爲は顯る。神よ、此の公衆の觀る所に我が行ひし事を糾さざる前に我を潔め、我を救ひ給へ。
句 主よ、爾の憤を以て我を責むる毋れ、爾の怒を以て我を罰する毋れ。
主よ、爾は我が諸罪の深處を知る。ペトルに於けるが如く、我に援助の手を授けて、我を救ひ給へ。
句 神よ、爾は爾の聖所に於て嚴なり。
致命者讚詞
至りて讚美たる受難者よ、爾等の忍耐の勇敢は惡敵の詭計に勝てり、故に爾等は永遠の福を獲たり。眞理の證者よ、ハリストスを愛する人人の群を救はんことを主に祈り給へ。
光榮、今も、生神女讚詞
マリヤ・童貞女・母、聖なる山、エデムの樂園たる者よ、慶べ、爾よりハリストス神、種なき言、世界の爲に生命を生ぜし主は生れ給へり。
第三の誦文の後に坐誦讚詞、第三調。
嗚呼至りて義なる審判者よ、我等が爾の偏頗なき審判座、神聖なる審判の前に立ち、天軍も慄きて爾の前に立たん時、我如何にして其時爾の前に現れん、我が所爲は定罪及び火に當る。祈る、爾の天使等の祈禱に由りて、其時我を宥め、我を救ひ給へ。
主宰よ、爾は全能者として言を以て天地の萬物を造れり。天使の品位は慄きて爾の前に立ち、爾に息めざる讚美を奉りて、爾の光を以て地の四極を照す。彼等と偕に我等も爾に呼ぶ、爾の慈憐に由りて我等を救ひ給へ。
光榮、今も、生神女讚詞
童貞女よ、爾は耕作せられざる葡萄の樹として、至りて美しき房、衆の靈體を樂しましむる救の酒を我等に流す者を生ぜり。故に我等常に爾を諸福の緣由として讚美して、天使と偕に爾に呼ぶ、恩寵を蒙れる者、慶べよ。
傷感の規程、我が主イイススハリストス及び其聖なる致命者に奉る。イオシフ師の作。第三調。
第一歌頌
イルモス 主よ、爾は海を分ちて、ファラオンの兵車を深處に掩ひ、歌を以て爾を讚め揚ぐるイズライリ民を救ひ給へり。
罪なき主よ、我が無智にして行ひし諸罪の黑暗より我を脫れしめて、昔淫婦に於てせし如く、我に傷感の淚を與へ給へ。
甘じて洞窟に生れし仁愛の主よ、我不當の行に因りて盜賊の巢窟と爲りし者を諸德に因りて爾の殿と爲し給へ。
致命者讚詞 神に感ぜらるる致命者よ、爾等は聖神の指導に依りて苦の烈風を過りて、神聖なる港に到れり。
致命者讚詞 讚美たる致命者よ、爾等は聖神の恩寵に照されて、喜びて邪敎の最深き黑暗より脫れたり。
生神女讚詞 罪を犯しし者の扶助、陷りし者の更新たる至聖至潔なる童貞女よ、我多罪の者に傷感の痛悔を與へ給へ。
又聖なる無形天軍の規程。其冠詞は、無形軍に第三の歌を奉る。フェオファンの作。第三調。
第一歌頌
イルモス 人人よ、童貞女より我が救の爲に生れて、地の物を天の物と一に爲しし主に新なる歌を歌はん、彼光榮を顯したればなり。
無原の光にして萬物を照すハリストス神よ、爾の軍の轉達に因りて我が思念を照し給へ。
救世主よ、天使の品位は天使に宜しきが如く爾の至りて豐なる恩寵に與るを悅びて、奧密に爾の美しき光明に輝かさる。
生命を施し、諸恩を賜ふ善なる神゜、父より出づる主は神聖なる恩寵を以て天軍を堅めて、善の動かざる者と爲し給へり。
生神女讚詞 無形の品位の首長、光榮なるガウリイルよ、今も歡喜の聲を以て恩寵を蒙れる者に呼べ、純潔なる者よ、慶べ。
第三歌頌
イルモス 獨慈憐の深き主よ、我を固めよ、ペトルに於けるが如く、我に手を伸べて、我を救ひ給へ。
人を愛する主よ、溺るるペトルを救ひし如く、斯く我をも我が罪惡の深處より引き上げ給へ。
詭譎の者は諸慾を以て我を殺せり。生を施す主よ、爾は痛悔を以て我を活かし給へ。
致命者讚詞 致命者は非義に有形の火を以て焚かれて、無形にして無形の光を慕ふ望を以て燃えたり。
致命者讚詞 致命者は裂かれて、詭譎の者の惡謀及び殘虐を空しくなして、榮冠を獲たり。
生神女讚詞 女宰マリヤよ、我靈を滅す多くの慾に縛られたる者を爾の祈禱を以て解き給へ。
又
イルモス 主宰ハリストス、我等の防固よ、爾は力を以て敵の弓を折り、盾を壞り給へり。主よ、爾は聖なり。
至善なる主よ、爾は奧密に爾の無形の光明にて輝ける天使の品位を爾の仁慈を流す河と顯し給へり。
主宰ハリストスよ、爾は己の仁慈と能力との富を顯さん爲に靈智なる軍を造りて、爾の光榮に與る者と爲し給へり。
ハリストスよ、爾に奉事する輝ける天使の軍は慄きて爾の前に立ちて、常に爾の無量なる能力を崇め歌ふ。
生神女讚詞 神の母よ、全き人の主宰は本性を易へずして爾より全き人を受けて、爾を恩寵の泉と顯し給へり。
第四歌頌
イルモス 主よ、豈爾は河に向ひて怒るか、河に向ひて爾の憤を洩らすか、或は海に向ひて爾の怒を發するか。
主よ、我が諸慾の縲絏を解き、痛悔を以て我を縛りて、爾の福に與る者と爲し給へ。
日たるハリストスよ、我に痛悔の光明なる模式を輝かして、我が惡の深き夜を除き給へ。
致命者讚詞 睿智なる受難者よ、爾等は熾炭の如く邪敎を焚きて、黑暗に居る人人を照す者と顯れたり。
致命者讚詞 致命者よ、爾等はハリストスの死の狀に效ひて、己を種種の苦に委ねたり、故に神聖なる生命を嗣ぎ給へり。
生神女讚詞 罪を犯す者の轉達者なる潔き者よ、我に實の痛悔を與へて、我が諸慾の煩擾を鎭め給へ。
又
イルモス 人を愛する主よ、爾の誕生の奧義は奇異にして言ひ難し。我爾の風聲を聽きて懼れ、且樂しみて爾に呼ぶ、光榮は爾の力に歸す。
三日の光明を受けて輝ける雲たる天軍は三位の神の意旨を以て造られて、聖神の力を以て宰らる。
救世主よ、天使等は世界に爾を信ずるを望む者に守護者として遣されて、爾の敬虔なる諸僕を護りて、彼等の救を助く。
天使等は爾に近づくに由りて奧密に爾の神元の光に照されて呼ぶ、人を愛する主よ、光榮は爾の力に歸す。
生神女讚詞 純潔なる者よ、我僕として祈りて今爾の帲幪の下に來る。神の母、無慾の緣由なる主を生みし者よ、我を諸慾の煩擾より脫れしめ給へ。
第五歌頌
イルモス ハリストス神よ、爾の暮れざる光にて我が謙卑の靈を照して、爾を畏るる畏に導き給へ、爾の誡は光なればなり。
人を愛する主よ、爾の審判に於て我を善行に裸體なる者として立たしむる勿れ、痛悔を以て神聖なる業の衣を我に衣せ給へ。
我諸慾の武器に傷つけられて、失望の坎に陷りたり。主宰よ、我を棄つる勿れ、滅亾の坎より出して我を醫し給へ。
致命者讚詞 受難者よ、爾等は鐵搭にて厲しく搔かれ、瘡痍にて苦しめられ、劍にて殺されしに、偶像の前に膝を屈めざりき。
致命者讚詞 聖なる致命者よ、世界は常に爾等の種種の苦を崇めて仰ぎ見る、此等に由りて爾等は天上に天使等と偕に居るを得たればなり。
生神女讚詞 獨言に緣りて地上に身を以て神の言を生みて童貞女に止まりし者よ、我を無知の行より脫れしめ給へ、我が尊き言を以て爾を讚め歌はん爲なり。
又
イルモス 人を愛する主よ、爾は見えざる者にして地に現れ、悟り難き者にして甘じて人人と偕に居りたり。我等朝の禱を奉りて爾を讚め歌ふ。
信者よ、我等父と、子と、聖神との三光の光に照されて、天使の軍と共に惟一なる神を崇め歌はん。
天使の品位は神性の入らざる光に照され、自らも輝ける燈と爲りて、豐に神の恩寵を地上の者に傳ふ。
聖神の恩寵に輝けるセラフィム等は默さざる聲を以て三聖の歌を神に奉りて、我等に無原なる一性一體の三者を尊まんことを敎ふ。
生神女讚詞 至りて潔き生神女よ、天使首ガウリイルは天より降りて、生を施す主を種なく生まんことを爾に福音せり。
第六歌頌
イルモス 人を愛する主よ、凶惡なる諸敵に攻められて、將に亾びんとする我等を棄つる勿れ。救世主よ、預言者を猛獸より拯ひし如く、我等を拯ひ給へ。
ハリストスよ、我は古のファリセイの如く思を以て高ぶり、罪を以て甚しく墮落せり、詭譎の者は之を見て樂しむ。十字架を以て彼を卑くせし主よ、今卑くなりたる我を憐み給へ。
主宰よ、我不當の者は衆人に超えて我が度生に於て罪を好みて、爾の恒忍を竭したれども、心尚頑陋なり。祈る、爾の仁慈を以て我を反正せしめ給へ。
致命者讚詞 法に戾る者は殘忍なる旨に因りて、神智の致命者を定罪して、火を以て之を焚き、劍を以て之を刺して、其實に黃金よりも輝ける者たるを顯し、且ハリストスと共に嗣業と爲せり。
致命者讚詞 受難者よ、爾等は讎怨に滿ちたる審判、至大なる辛勞、性に超ゆる苦を歷て、幽暗の君に勝ちて、神より榮冠を受けたり。
生神女讚詞 我等は神の約匱、實に聖なる筵、我等の潔淨、神の活ける殿、純金の燈臺たる造成主の眞の母を崇め歌ふ。
又
イルモス イオナは地獄の住所に居る形像と爲りて呼べり、人を愛する主よ、我が生命を淪滅より引き上げ給へ。
神元の有能なる第一の輝煌たる差役首は差役と首領と權柄、及び能力と共に默さざる聲を以て呼びて、熱切に主を歌ふ。二次。
秩序ある品位を以て無形の世界を端正に飾り給ひし主よ、爾の尊き敎會をして此の美しき秩序に效ふを得しめ給へ。
生神女讚詞 生神童貞女よ、爾の内に入りたる言は爾を醫治の常に流るる泉と爲し給へり。祈る、吾が靈の創痍を痊し給へ。
第七歌頌
イルモス 三人の少者は爐に於て聖三者を像りて、火の恐嚇を履み、歌ひて呼べり、我が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
鳴呼靈よ、我が時は終る、逝世は門の側に在り、故に痛悔の結果を顯して、門の未閉されざる先にハリストスに呼べ、主よ、我を救ひ給へ。
我等眞の智識の犂を以て心を耕して、痛悔の麥を播かん、我が靈の耕作者たるハリストスに因りて義の穗を穫らん爲なり。
致命者讚詞 敬虔の光體、不敬虔と戰ふ者、貧者を富ます者たる主の致命者よ、貧窮になりたる我が至りて不當なる靈を諸德に富まし給へ。
致命者讚詞 深き心より歎息せし稅吏を救ひしハリストスよ、我が微小なる歎息をも受けて、己の百體を以て爾を榮せし受難者に因りて我を救ひ給へ。
生神女讚詞 赦罪の水を流す泉よ、我が罪過の流を涸らして、我に淚の雨雲を與へ給へ、我が常に爾を生神女として歌はん爲なり。
又
イルモス 驕れる苛虐者は少者の玩具と爲れり。蓋彼等は七倍燃されたる焰を塵の如く履みて歌へり、主我が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
天使の品位よ、爾等は明なる智慧と勇ましき眼とを以て原始の光を觀て、之に與るに因りて第二の光と爲りて呼ぶ、先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。二次。
天使の品位よ、爾等は易らざる冀望と飽かざる愛とに導かれ、造物主の華美に與りて第二の光體と爲りて呼ぶ、先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
生神女讚詞 生神女よ、爾は父より母なく永遠に生るる無原の言を神聖なる產を以て身を取りし者として生み給へり。女宰よ、爾の腹の果は祝福せられたり。
第八歌頌
イルモス 神たる力を以て焰の中にエウレイの少者に降りて、現れし主を、司祭等よ、崇めて萬世に讚め揚げよ。
ハムは哂ふに因りて父の發せし言を以て奴隷と爲れり。吾が靈よ、爾は諸慾の奴隷と爲りて、非禮に哂ひ、天の父に愧ぢずして何をか爲さん。
カインは無智の嫉妬に因りて弟を殺す者と爲れり。吾が靈よ、爾は彼に似たる者と顯れて、他人を殺ししにあらず、乃度生の逸樂と迷惑とを以て己を殺せり。
致命者讚詞 我等集まりて、信を以て、主の選びたる眞珠、貴き器、神の恩寵の光にて輝ける燈たるハリストスの受難者を宜しきに合ひて尊まん。
致命者讚詞 睿智なる受難者の血を香爐に勝りて受け給ひし言よ、彼等の祈禱に因りて痛悔を以て爾に趨り附く者を救ひ給へ、爾獨慈憐の主なればなり。
生神女讚詞 我放蕩なる度生の甚しきを以て今地獄に近づけり。仁慈なる神を言ひ難く生みし者として多くの慈憐を有つ少女よ、我を憐みて救ひ給へ。
又
イルモス 敬神の少者は無形の火にて物質の火の焰を滅して歌へり、主の悉くの造物は主を崇め讚めよ。
爾萬有の造成主として、意思を以て諸天使を造りしに、彼等は畏れて爾の前に立ちて呼べり、主の悉くの造物は主を崇め讚め、彼を歌ひて世世に讚め揚げよ。
天の靈智者は神聖なる火に與るに因りて、焰の如くなりて呼ぶ、主の悉くの造物は主を崇め讚め、彼を歌ひて世世に讚め揚げよ。
爾は見ゆる萬物に先だちて、見えずして靈智なる諸天使を造りしに、彼等は絕えず爾に呼ぶ、主の悉くの造物は主を崇め讚め、彼を歌ひて世世に讚め揚げよ。
生神女讚詞 神の母童貞女よ、爾は言に超えて身を取りし父の言を生み給へり。悉くの造物は彼を主として歌ひて、萬世に崇め讚む。
次ぎて生神女の歌詠を歌ふ、「我が靈は主を崇め」。
第九歌頌
イルモス モイセイはシナイ山に於て棘の中に、爾を焚かれずして神性の火を胎内に孕みし者として觀、ダニイルは爾を截られざる山として觀、イサイヤは芽を萌しし杖、ダワィドの根より出でし者なりと呼べり。
イアコフは昔節制に因りて長たるを得、イサフは腹を制せずして長子の業を失へり。不節制は如何にか惡しき、節制は如何にか大なる。嗚呼靈よ、不當なる事を避け、善に進むを愛せよ。
無玷なるイオフは多く忍びたる者として榮冠を獲たり、蓋誘惑の河は溢れたれども、彼の心の柱を動かさざりき。鳴呼靈よ、常に熱心に彼に效ひて、凶惡者の惡謀に動かされぬ者と爲れ。
致命者讚詞 ハリストスの受難者よ、爾等は聖神の火に因りて銳き劍と爲りて、敵の軍隊を斫り、大なる勝利に榮せられて、萬有の王の全能の手より榮冠を受けたり。
致命者讚詞 致命者の無玷なる大數よ、我が甚しき罪惡の大數を潔めんことを、爾等の言ひ難き勤勞を受けて、無形の軍に爾等を合せたる主宰神に祈り給へ。
生神女讚詞 主宰の美しき宮よ、我を光の家と爲し給へ、過られぬ門よ、我が爲に痛悔の途を啓き給へ、聖なる地よ、我を溫柔の者の地に導き給へ、女宰よ、我を諸慾の一切の權より解き給へ。
又
イルモス 潔き者よ我等は爾の至淨なる產に欣ばしく感ぜられ、爾の慕はしき美德を奇として、天使の歌を以て宜しきに合ひて爾を神の母として崇め讚む。
嗚呼至りて神聖なる神の諸天使、今大なる第一の光の前に立てる品位よ、爾等は我等衆、能する所に適ひて爾等を崇め讚むる者の爲に最勇毅なる祈禱者と爲り給へり。二次。
同能なる三者を讚榮するを得たる、其輝煌にて第一に照さるる者よ、我等敬虔を抱きて爾等を崇め讚むる者をして第二の光に照さるるを得しめ給へ。
生神女讚詞 生神女よ、我等皆爾を我が救の基なりと識る。蓋爾の至淨なる產は、其神聖なる血を以て、爾を歌ひて忠信に讚榮する者を救ひ給へり。
次ぎて「常に福にして」。小聯禱、光耀歌、及び常例の聖詠。
挿句に傷感の讚頌、第三調。
主よ我が散らされたる思を聚め、我が荒れたる心を潔め給へ。ペトルに於けるが如く我に痛悔を、稅吏に於けるが如く歎息を、淫婦に於けるが如く淚を與へ給へ、我が大なる聲を以て爾に呼ばん爲なり、神よ、我を救ひ給へ、爾獨仁慈にして人を愛する主なればなり。
句 主よ、夙に爾の憐を以て我等に飽かしめよ、然せば我等生涯歡び樂しまん。
爾我等を撲ちし日、我等が禍に遭ひし年に代へて、我等を樂しましめ給へ。願はくは爾の工作は爾の諸僕に著れ、爾の光榮は其諸子に著れん。
我屢歌頌を獻じて、罪を犯すと顯れたり、蓋舌にて歌頌を唱へ、靈にて不當の事を思ふ。ハリストス神よ、痛悔を以て兩ながら之を改めて、我を救ひ給へ。
句 願はくは主吾が神の惠は我等に在らん、願はくは我が手の工作を我等に助け給へ、我が手の工作を助け給へ。
致命者讚詞 衆民來りて、聖なる受難者の記憶を尊まん、蓋彼等は天使等及び人人の爲に觀玩と爲りて、ハリストスより勝利の榮冠を受けて、我等の靈の爲に祈り給ふ。
光榮、今も、生神女讚詞 至聖至潔なる女宰、天の品位の榮譽、諸使徒の歌詠、諸預言者の成就なる者よ、我等の祈禱を納れ給へ。
次ぎて「至上者よ、主を讚榮し」。聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞及び聯禱。次に第一時課、及び發放詞。
月曜日の聖体礼儀に
月曜日の眞福詞、第三調。
ハリストスよ、爾は誡に背きし原祖アダムを樂園より逐ひ出せり。然れども爾、洪恩なる主よ、十字架に在りて爾を承け認めし盜賊、救世主よ、爾の國に於て我を憶ひ給へと呼ぶ者を其中に入れ給へり。
句 義の爲に窘逐せらるる者は福なり、天國は彼等の有なればなり。
ハリストスよ、爾の慈憐の多きに因りて我が罪惡の多きを顧みずして、我を救ひ給へ。救世主よ、審判の日に於て我を定罪及び永遠の苦より脫れしめ給へ、我が爾の仁慈を讚榮せん爲なり。
句 人我の爲に爾等を詬り、窘逐し、爾等の事を僞りて諸の惡しき言を言はん時は、爾等福なり。
ヘルワィムとセラフィム、寶座と天使首、能力と首領、主制と權柄、及び衆天使よ、造成主が地を審判せんとする時、其時我が罪過を顧みざらんことを祈り給へ、彼は人を愛する主なればなり。
句 喜び樂しめよ、天には爾等の賞多ければなり。
聖にせられし血を以て緋袞衣を染めたるハリストスの受難者は宜しきに合ひて天軍の王と偕に實に王たるを得て、我等常に熱心に彼等を尊む者の爲に罪過の赦を求む。
光榮 信者よ、我等は三位なる惟一の神性、父と言と聖なる撫恤者神゜とを敬虔に歌ひて、天使の聲を以て默さずして呼ばん、聖、聖、聖なる哉爾神、我等の靈を救ふ主や。
今も、生神女讚詞 光よりする光を生みし潔き童貞女、輝れる雲よ、我度生の諸慾及び逸樂に昧まされたる者を光に導きて、我を改めて、度生に於て善を爲しし者の今受けたる光榮を獲んことを祈り給へ。
月曜日の晩課
「主よ、爾に籲ぶ」に讚頌、第三調。
句 主よ、若し爾不法を糾さば、主よ、孰か能く立たん。然れども爾に赦あり、人の爾の前に敬まん爲なり。
ハリストスよ、變幻極なき蛇は我が内に善行に於ける倦怠を見て、直に罪の甘味を示して、神聖なる誡に戾る苦き行を勸む、斯く我を欺きて、惡を善の如く取らしむ。
句 我主を望み、我が靈主を望み、我彼の言を恃む。
我終に至るまで直き途を棄てて、諸の不法と罪過との途を務めて行き、今死の門に近づきて、迫りて呼ぶ、我が生命の途、吾が至善なるイイススよ、我を眞の痛悔の廣きに向はしめて救ひ、我に更新を賜ひて、死の前に神聖なる赦罪を獲しめ給へ。
句 我が靈主を待つこと、番人の旦を待ち、番人の旦を待つより甚し。
我諸の罪、多くの過、不當なる行に殺されて、實に倚賴なき者として死して臥す、唯一の我が望は生く、是れ爾の慈憐に於ける望なり。死者に呼吸と生命とを賜ひ、我等を殺しし諸慾を殺すハリストスよ、速に我を永遠の死より脫れしめ給へ。
次ぎて月課經の讚頌、光榮、若し之れあらば聖人の、今も、生神女の。若し月課經なくば、又聖大前驅イオアンの讚頌。
句 願はくはイズライリは主を恃まん、蓋憐は主にあり、大なる贖も彼にあり、彼はイズライリを其悉くの不法より贖はん。
爾の誕生を以て母の子なきこと、父の聲なきことを解きたる前驅よ、慈憐なる父の子、產苦なくして智慧の生みし言たる萬有の主宰及び神に奉る爾の祈禱を以て、我が心の善を生まざること、靈の果なきことを解きて、我を堅めて、彼が嘉することを言ひ且行ふを得しめ給へ。
句 萬民よ、主を讚め揚げよ、萬族よ、彼を崇め讚めよ。
ハリストスの爲に道を備へ、徑を直くし、其面前に遣されし者よ、爾の祈禱と顯なる佑助とを以て我が心に彼に往く道を啓き給へ。其尊き足の行く處を整ふるに勝へし者よ、我に溫柔なる者の足の行く所の天の地を步むを得しめ給へ、我が愛を以て爾轉達者を尊まん爲なり。
句 蓋彼が我等に施す憐は大なり、主の眞實は永く存す。
地に在りて熱心に天使の度生に效ひし授洗イオアン、預言者の終末、新約の初致命者、地下に在る者の爲に彼處に神の言の降ることの第一の傳敎師、ハリストスに稱せられし者、羔及び贖罪主の友よ、爾の祈禱を以て爾の僕を敵の諸の誘惑及び種種の攻擊より脫れしめ給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 入らざる光の雲たる神の恩寵を蒙れる少女、祝福せられしマリヤよ、我無知にして罪過の幽暗に圍まるる者の爲に痛悔の光を輝かし給へ。至淨なる童貞女よ、爾の祈禱を以て爾の帲幪の下に趨り附く者を「ゲエンナ」の火及び外の幽暗より救ひて、暮れざる日に與る者と爲し給へ。
次ぎて「穩なる光」。本日の提綱。
挿句に讚頌、第三調。
ハリストスよ、我等は暮の歌を香爐及び屬神゜の詩賦と共に爾に奉る、救世主よ、我等の靈を憐み給へ。
句 天に居る者よ、我目を擧げて爾を望む。視よ、僕の目主人の手を望み、婢の目主婦の手を望むが如く、我等の目は主我が神を望みて、其我等を憐むを俟つ。
主我が神よ、我を救ひ給へ、爾は衆人の爲に救なればなり。諸慾の烈風は我を擾し、不法の重負は我を溺らす。我に援助の手を授けて、我を痛悔の光に升せ給へ、爾獨慈憐にして人を愛する主なればなり。
句 主よ、我等を憐み、我等を憐み給へ、蓋我等は侮に饜き足れり、我等の靈は驕る者の辱と誇る者の侮とに饜き足れり。
ハリストスよ、爾の致命者の力は大なり、蓋彼等は墓に臥して惡鬼を逐ふ、聖三者に於ける信を以て正敎の爲に戰ひて、敵の權を虛しくしたればなり。
光榮、今も、生神女讚詞 女の中に聖なる生神女、聘女ならぬ母よ、爾が生みし王及び神に、其仁愛の主なるに因りて、我等を救はんことを祈り給へ。
次ぎて「主宰よ、今爾の言に循ひて」。聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞、及び發放詞。
月曜日の晩堂課
至聖なる生神女の規程、第三調。
第一歌頌
イルモス 昔神妙の瞬にて水を一區に匯め、又イズライリ人の爲に海を分ちし者は、是れ崇め讚めらるる吾が神なり。我等獨彼に歌はん、彼光榮を顯したればなり。
我怠慢に生命を費して、我が生の終に近づけり。至淨なる者よ、祈る、爾親ら末の時にだに我に傷感を與へ給へ、我が痛く我の無量の罪過を悔いて哭かん爲なり。
童貞女よ、我無知にして我が肉體の慾を以て神の像に依る華美を汚して、神の忿恚及び烈しき火の罰を懼れたり。祈る、爾に趨り附く我を憐み給へ。
光榮 至聖なる生神女よ、我不當の者は膝を屈めて爾の援助を求む。爾傷める靈に聽きて、爾の祈禱の光線を以て我が憂の塞れる雲を拂ひ給へ。
今も 女宰よ、慾に耽る吾が靈の畦に淚にて豐に濕さるるを賜ひて、我に百倍の實を結ぶを得しめて、我が心を凡の樂に盈て給へ、我が爾を讚榮せん爲なり。
第三歌頌
イルモス 言にて造られ、聖神にて備へらるる萬物を無より出しし至上なる全能者よ、爾の愛に我を固め給へ。
仁慈なる生神女よ、我に淚の雨雲を與へ、此を以て吾が慾の爐を滅して、我が靈の諸の汚を滌ひ給へ。
至淨なる者よ、我靈の良產を不法の中に汚して、言が我に神の像に依る嗣業を問はん時、我其詰問に戰く。
光榮 罪過の烈風は今我を圍みて、失望の深處に下せり。潔き者よ、我に手を授けて我を痛悔に導き給へ。
今も 純潔なる者よ、審判の時に爾の僕を「ゲエンナ」及び其他の凡の罰より脫れしめて、爾の子及び神の國に與る者と爲し給へ。
第四歌頌
イルモス 主よ、爾は强き愛を我等に顯せり、我等の爲に爾の獨生子を死に付したればなり。故に我等感謝して爾に呼ぶ、主よ、光榮は爾の力に歸す。
潔き者よ、吾が不當の行の水は我が不幸なる靈にまで至れり。故に我塵に屬する思念に圍まれて、痛ましく呼ぶ、女宰よ、我爾の僕を棄つる毋れ。
純潔なる者よ、無形の猛獸は今無慙に我を圍みて、憐なく我が卑微なる靈を執へんと謀る。至淨なる者よ、彼等が靈を害する頷を壞り給へ。
光榮 女宰よ、祈る、爾の僕に慈憐を垂れ給へ。純潔なる者よ、爾の民を將來の罰より脫れしめ給へ、我等が感謝して爾に呼ばん爲なり、萬有の女王よ、光榮は爾に歸す。
今も 至淨なる者よ、新娶者が夜半に來りて地を審判せん時、其時我に光明なる燈を以て彼を迎ふる爲に出でて、其降臨に伏拜するを得しめ給へ。
第五歌頌
イルモス 人を愛する主よ、爾は見えざる者にして地に現れ、悟り難き者にして甘じて人人と偕に居りたり。我等朝の禱を奉りて爾を讚め歌ふ。
實に犬の群は我を環り、惡鬼の黨は我を圍めり。至淨なる者よ、今彼等の謀を破り給へ。
凶惡の者は今我の爲に阱を掘りて、我を此の中に落さんことを謀る。女宰よ、願はくは爾の右の手に因りて、彼は自ら設けし穴に陷らん。
光榮 讚美たる者よ、爾の子の來らん時、願はくは我は其憤を以て責められざらん、其怒を以て罰せられざらん、乃爾の祈禱を以て我を救ひ給へ。
今も 潔き者よ、我が不當なる靈の弱く且卑しきを見、又無形の敵の攻擊を見て、彼等の害より我を脫れしめ給へ。
第六歌頌
イルモス 今を限の罪の淵は我を圍み、我が靈は亾びんとす。祈る、主宰敎導者よ、爾の高き手を伸べて、我をペトルの如く救ひ給へ。
純潔にして讚美たる生神女よ、萬有の造成主の指麾に因りて吾が靈が體に別れん時、我を惡む者の手より我を脫れしめ給へ。
神の母よ、傷感の流を以て我が惡事の濁りたる河を涸らして、審判の日に於て我を安息の水に導き給へ。
光榮 至淨なる者よ、爾は吾が靈の柔弱、吾が智慧の無力、肉體の不能を識る。故に爾の僕を救ひ給へ、我爾を勝たれぬ保護者として得たればなり。
今も 無玷なる少女よ、我に靈の淚の流を與へ給へ、我此を以て我が罪過の泥濘、諸慾の紛擾、肉體の汚穢を滌はん。
次ぎて主憐めよ、三次。光榮、今も、
坐誦讚詞
慈憐なる主を腹に宿しし女宰よ、爾の帲幪の下に趨り附きて、熱心に爾の神聖なる佑助を求むる者を宥めて憐み給へ。潔き者よ、彼が造物の主宰の前に立たん時、永遠の火及び凡の定罪より彼を救ひ給へ。
第七歌頌
イルモス 昔三人の少者はペルシヤ人の尊める金の像に伏拜せずして、爐の中に歌へり、先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
潔き者よ、罪過の水は我に流れて我が靈にまで至り、今を限の淵は我を圍めり、祈る、其激浪より我を援け給へ。
潔き者よ、爾の慈憐の多きに因りて、我に爾の產の脅より出でたる血を灑ぎ、淚の流にて我を滌ひ、凡の汚より我を潔め給へ。
光榮 純潔なる者よ、我が靈に痛悔、心に謙遜を予へ給へ、我が常に無情に我を執へんと欲する者の凡の詭計より脫れん爲なり。
今も 女宰よ、慈憐なる神の母として信を以て爾の子に、先祖の神よ、爾は崇め讚めらると呼ぶ爾の諸僕に慈憐を垂れ給へ。
第八歌頌
イルモス 敬虔の範たる少者は堪へ難き火に入れられしに、焰に惱まされずして、神聖なる歌を歌へり、主の悉くの造物は主を崇めて、萬世に讚め揚げよ。
潔き者よ、爾の子の權柄を以て射る者の矢を折り給へ。願はくは其暴虐は今其頂に落ちん、我が歌はん爲なり、主の悉くの造物は主を歌ひて、世世に彼を讚め揚げよ。
少女よ、爾の光を以て吾が昧みたる心を照し、光の武器を以て我が爲に光の門を啓き給へ。蓋我呼ぶ、主の悉くの造物は主を崇め、彼を歌ひて世世に讚め揚げよ。
光榮 我寢ねて死し、失望の墓に臥す。童貞女よ、爾親ら我を起して、我に勇ましく歌ふを得しめ給へ、主の悉くの造物は主を崇め、彼を歌ひて世世に讚め揚げよ。
今も 潔き者よ、傷感を抱きて爾を尊む者を惡魔の網より脫れしめんことを絕えず祈り給へ。蓋彼等は爾の子に呼ぶ、主の悉くの造物は主を崇め、彼を歌ひて世世に讚め揚げよ。
第九歌頌
イルモス 我等信者は影及び文なる律法に於て預象を見ん、凡そ始めて生るる男子は神に獻げられたり。故に我等は無原の父より始めて生れし言、夫なき母より始めて生れし子を崇め讚む。
諸慾の浪と不淨なる思念の攻擊とは我が靈を擾し、惡人の烈風は常に我を惑はす。童貞女よ、爾は仁愛なる者として、我を圍める危難より速に脫れしめ給へ。
卑微なる靈よ、爾の惡しき行を棄て、神の怒を干すを息めて、熱心に彼の誡を受けよ、生神女を爾の道を直くする者として有てばなり。
光榮 純潔なる者よ、萬有の主を生みし者として、我を諸慾と甚しき罪より釋きて、爾の多くの慈憐に由りて我を豐に善行に富ましめ給へ、我が喜びて愛を以て爾を崇め讚めん爲なり。
今も 靈よ、終は近づき、審判は門の側に在り、耻づべき行を棄てて、善なる度生を始めよ、生神女を凡の惡より爾を救ふ扶助者として有てばなり。
次ぎて「常に福にして」、及び躬拜。聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞。其他常例の如し、及び發放詞。
火曜日
火曜日の早課
第一の誦文の後に傷感の坐誦讚詞、第三調。
吾が靈よ、地上に寄寓する時に痛悔せよ、蓋塵は墓に在りて歌はず、罪過より救はず。ハリストス神に呼べ、心を知る主よ、我爾の前に罪を犯せり、神よ、我を定罪せざる先に我を宥め、我を憐み給へ。
句 主よ、爾の憤を以て我を責むる毋れ、爾の怒を以て我を罰する毋れ。
吾が靈よ、罪過の中に在りて何の時に至るか、痛悔を延ばして何の時に至るか。將來の審判を念に抱きてハリストス神に籲べ、心を知る主よ、我罪を犯せり、罪なき主よ、我を憐み給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 我等の避所及び能力たる生神女、世界の堅固なる扶助者、獨祝福せられし者よ、爾の祈禱を以て爾の諸僕を凡の危難より庇ひ給へ。
第二の誦文の後に坐誦讚詞、第三調。
畏るべき審判には我罪する者なきに攻められ、證する者なきに定罪せらる、蓋良心の書は啓かれ、隱れたる所爲は顯る。神よ、此の公衆の觀る所に我が行ひし事を糾さざる先に我を潔め、我を救ひ給へ。
句 主よ、爾の憤を以て我を責むる毋れ、爾の怒を以て我を罰する毋れ。
主よ、爾は我が諸罪の深處を知る。ペトルに於けるが如く、我に援助の手を授けて、我を救ひ給へ。
句 神よ、爾は爾の聖所に於て嚴なり。
最光明なる燈、病む者の醫師、讚美たる聖受難者よ、爾等は信を以て輝く。蓋殘虐者の苛虐を懼れずして、眞の十字架を勝たれぬ勝利と有ちて、偶像の邪敎を滅し給へり。
光榮、今も、生神女讚詞 至善なる女宰よ、信を以て爾の帲幪の下に趨り附く者を納れ給へ、我を諱む毋れ、痛悔して祈る者を棄つる毋れ。我が不當の口より祈禱を受けて、爾の轉達を以て我を諸の網より脫れしめ給へ、我が勇敢を以て爾に呼ばん爲なり、恩寵を蒙れる者、慶べよ。
第三の誦文の後に坐誦讚詞、第三調。
神福なる預言者及び前驅よ、我等は爾の帲幪の下に趨り附きて、信を以て靈の深處より呼ぶ、葘害危難の紛擾と諸慾の浪とを鎭め、諸敵の惡謀を空しくなして、我等の爲に大なる憐を求め給へ。
不當なる靈よ、爾の逝世の前に痛悔を以て爾の煩悶を拂ひ去り、泣きて寬容なるイイスス、人を愛する主に向ひて呼べ、主宰よ、我爾の前に罪を犯せり、求む、獨罪なき主よ、爾が慈憐なるを以て聖前驅の祈禱に因りて我を救ひ給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 神の恩寵を蒙れる女宰よ、爾に於て行はれし神の畏るべき奧密は測り難く、悟り難し、蓋爾は圍まれぬ者を孕み、其爾の至淨なる血より身を取りたるを生み給へり。潔き者よ、前驅と偕に彼に吾が靈の救はれんことを常に祈り給へ。
傷感の規程、我が主イイススハリストス及び其聖なる致命者に奉る。其冠詞は、神の言よ、我が歎息に耳を傾けよ。イオシフの作。第三調。
第一歌頌
イルモス 奇妙至榮に奇迹を行ふ神よ、爾は淵を地と爲し、兵車を沈め、爾を我が王及び神として歌ふ人人を救ひ給へり。
信者よ、我等終の至らざる先に靈を全うして己の爲に泣かん。新娶者は近づく、我等光明なる燈の如く行を燃さん、神聖なる婚筵の宮に共に入るを得ん爲なり。
昔マナッシヤは靈を全うして痛悔して救を得たり、蓋繫がれて桎梏の中より惟一の主宰に呼べり。靈よ、彼に效へ、然らば輙く救を得ん。
致命者讚詞 神聖なる致命者は目の抉らるること、手と足との截たるること、舌の切らるること、腿と臂との壞らるることを忍びて、イイススハリストスに感謝せり。
致命者讚詞 聖なる致命者よ、爾等の不朽體の柩は我等衆信者の爲に醫院と顯れたり。我等職として常に爾等を尊む者は此より靈と體との醫治を斟む。
生神女讚詞 不死の「マンナ」ハリストスを容るる靈智の壺たる讚め歌はるる童貞女よ、我を靈を殘ふ諸慾の侵害より救ひ給へ、我が信を以て敬虔に爾を讚榮せん爲なり。
又 前驅イオアンの規程。
第一歌頌
イルモス 昔神妙の瞬にて水を一區に匯め、又イズライリ人の爲に海を分ちし者は、是れ崇め讚めらるる吾が神なり。我等獨彼に歌はん、彼光榮を顯したればなり。
無結果の胎の神聖なる果たる主の前驅よ、我が諸德の果を結ばん爲に神に祈りて、我が罪の無結果を解き、我が智慧より幽暗を掃ひ給へ。
大なる前驅よ、爾は信を以て地上に、全地を照しし光榮の日に先だつ星として現れたり。彼に祈りて、惡しき思に昧まされたる我が靈を照さんことを求め給へ。
地獄に在る者に近づく生命を神聖なる神゜に因りて預め知らせし光榮なる預言者前驅よ、我が殺されたる靈を爾の祈禱を以て活かして、之を墓よりするが如く諸罪より起し給へ。
生神女讚詞 童貞女よ、祈る、天使首と天使、及び諸聖人と偕に爾より我等に現れし主に祈りて、我等爾を眞の生神女と承け認むる者の諸難より救はれんことを求め給へ。
第三歌頌
イルモス 果を結ばざる子なき靈よ、榮えたる果を獲て、樂しみて呼べ、神よ、我爾に緣りて堅められたり、主よ、爾の外に聖なるはなく、義なるはなし。
我は無知に神の法に背きて、定罪せらるべき者にして、何を爲さんを知らず。至りて義なる審判者よ、爾の慈憐を以て我を宥めて救ひ給へ。
東の東たる仁愛の主、慈憐深き者よ、祈る、我の爲に義の光を輝かして、我を諸慾の昏昧と苦の幽暗より脫れしめ給へ。
致命者讚詞 神゜靈の地の居住者、樂園の果の繁き樹たる聖致命者、神聖なる水を有つ泉よ、爾等は聖なる飮料を注ぐ器と顯れたり。
致命者讚詞 衆くの肉體の中に一の風儀を有つ受難者致命者よ、爾等は敵たる世君の萬萬に勝ちて、分れざる三者を傳へたり。
生神女讚詞 至淨なる童貞女母、衆人の女宰よ、我等衆痛悔してハリストスに趨り附き、諸罪の赦を得んことを求むる者の爲に彼を慈憐なる者と爲し給へ。
又
イルモス 言にて造られ、聖神にて備へらるる萬物を無より出しし至上なる全能者よ、爾の愛に我を固め給へ。
言の聲たりし授洗者よ、聲を以て爾を尊む者を今彼に向はしめ、爾の轉達を以て我等に諸罪の赦を與へ給へ。
救世主よ、我爾の前に罪を犯して不法を行ひ、痛く過ちて靈を汚せり。故に爾に祈る、爾の授洗者に因りて我を宥め給へ。
野に養はれたる者にして新なる人の嚮導者たる前驅よ、爾に祈る、逸樂に因りて野に迷ひし我を痛悔の道に向はしめ給へ。
生神女讚詞 至淨なる者よ、諸使徒、聖にせられし預言者、致命者、天上の軍と偕に爾の子に爾を歌ふ我等を宥めんことを祈り給へ。
第四歌頌
イルモス 潔き者よ、アウワクムは樹蔭繁き山として爾の至淨なる體を預見して籲べり、神は南より、聖なる者は樹蔭繁き山より來らん。
昔不服不順の人人の爲に巖より水を流して、其渴を止めしハリストス神よ、我が涸れたる靈より我を滌ふ傷感の滴を注ぎ給へ。
病む者の醫師たる救世主よ、仁慈なるに因りて、爾が慈憐の指麾を以て我が心の諸慾に痛悔の神聖なる良藥を傅けて、之を醫し給へ、我が信を以て爾を讚榮せん爲なり。
致命者讚詞 受難者よ、爾等は意を決し、肉體に於ける親を釋きて、爾等を苦しめんと欲する者に己を付せり、故に造物主の親しき友と爲り給へり。
致命者讚詞 ハリストスの受難者よ、爾等は多種の苦虐に因りて最苦しき多數の傷を受けたり、故に屬神゜の賜の恩寵を獲て、我が諸慾の多年の病を退く。
生神女讚詞 最高名なる少女よ、慶べ、神言は爾より生れて、我等を無知にして不當なる行より釋き給ふ。光れる雲、我等の憂悶の雲を拂ふ者よ、慶べ。
又
イルモス 主よ、爾は强き愛を我等に顯せり、我等の爲に爾の獨生子を死に付したればなり。故に我等感謝して爾に呼ぶ、主よ、光榮は爾の力に歸す。
主の前驅よ、我爾身にて現れし言の聲たる者に祈る、言を以て爾を尊み、職として信を以て讚美する我を無知なる行より脫れしめ給へ。
嗚呼靈よ、歎息して神爾の造成主に籲べ、ハリストスよ、我罪を犯せり、我を潔め給へ、神聖なる前驅の祈禱に因りて、我を畏るべき苦難と災禍と憂愁より脫れしめ給へ。
授洗者よ、我激しき慾の多くの浪に溺らされ、颶風に甚しく圍まれて、常に沈めらるる者を引き出して、痛悔の湊に向はしめ給へ。
生神女讚詞 純潔なる神の母、ヘルワィムより最高き輅なる者よ、無形なる役者及び衆聖人と偕に爾が生みしハリストスに我望を失ひし者を救はんことを祈り給へ。
第五歌頌
イルモス 神の獨生の子及び言よ、我等朝の禱を奉りて爾を讚め歌ふ、爾の平安を我等に與へ、我等爾を歌ひて中心に拜む者を憐み給へ。
イイススよ、痛悔の「イッソプ」を以て我に沃ぎて、諸慾の汚より潔め給へ、爾が義なる審判を以て萬衆を審判せん時に我が潔き者として爾の前に現れん爲なり。
救世主よ、我が極めて不當なる靈の傷は朽ちたり。病む者の醫師、諸善を與ふる主よ、爾の多くの慈憐に因りて我を醫して救ひ給へ。
致命者讚詞 受難者の土の器は地に在りて碎かれたり、然れども靈の堅固はハリストスの力に因りて更に固くなりて輝けり。
致命者讚詞 諸聖人の流さるる血は全地を聖にし、信者の靈を濕し、虛しき敎の濁りたる流を涸せり。
生神女讚詞 少女よ、爾の產は原祖の詛を無結果の者と爲し、我等爾を祝讚して、信を以て讚榮する者の爲に祝福の河を流せり。
又
イルモス 人を愛する主よ、爾は見えざる者にして地に現れ、悟り難き者にして甘じて人人と偕に居りたり。我等朝の禱を奉りて爾を讚め歌ふ。
福たる者よ、爾は肉體を以て地上に天使の如く居りたり。故に我爾に禱る、我が靈を肉體の念より釋き給へ。
主の前驅よ、我罪の深處に陷り、逸樂にて靈を汚して、苦難の中に在りて爾に趨り附く者を救ひ給へ。
預言者よ、爾は諸預言者より最高き者と現れたり、傳へし者を自ら見るを得たればなり。彼に我等の靈を照さんことを常に祈り給へ。
生神女讚詞 言が爾の中に入りしに因りて天より最廣き者と現れたる神の恩寵を蒙れる者よ、我を狹むる諸罪より解き給へ。
第六歌頌
イルモス 諸慾の深處は我を沈め、逆風の狂暴は起りて我を攻む。救世主よ、急ぎて我を救ひ、預言者を猛獸より救ひし如く、我を淪滅より脫れしめ給へ。
我罪の幽闇に昧まされて行動なくして臥す、昔我が爲に戈にて傷つけられしハリストス神よ、爾の慈憐を以て我を宥め給へ。
我歎けども惡の中に止まり、哭けども審判に戰かず、我感動なきを病む。神の言よ、爾の仁慈なる定を以て我を宥めて救ひ給へ。
致命者讚詞 至りて光榮なる受難者よ、爾等は羔の如く聊も呼はらず、言をも聲をも出さずして、屠殺と創傷との爲に曳かれて、ハリストスを歌頌せり。
致命者讚詞 受難者よ、爾等は糧として猛獸に畀へられ、海の深處に投げられて、靈にて悅べり。故にハリストスは不朽の榮冠を以て爾等を飾り給へり。
生神女讚詞 救はるる者の戸、我等の爲に身を取りし主の獨過り給ひし門よ、信を以て爾を歌ふ我等の爲に義の門を啓き給へ。
又
イルモス 今を限の罪の淵は我を圍み、我が靈は亾びんとす。祈る、主宰敎導者よ、爾の高き手を伸べて、我をペトルの如く救ひ給へ。
睿智者よ、爾の手の下に傾きし甘味の泉を爾水を以て洗せり。多く罪を犯しし我に傷感の水を降さんことを彼に祈り給へ。
前驅よ、爾は水を以て最高き天を覆へるイイスス、仁愛の主、慈憐の淵たる者を河の中に洗へり。我に赦罪を流さんことを彼に祈り給へ。
前驅よ、爾は天國は邇づけり、悔改せよと呼べり。愛を以て爾を崇めて、爾の尊き覆庇の下に趨り附く者に之に入らんことを得しめ給へ。
生神女讚詞 造成主に爾の身を借しし至淨なる者よ、天上の軍と衆預言者と使徒及び致命者と偕に我を宥めて救はんことを彼に祈り給へ。
第七歌頌
イルモス 爐の焰に露を注ぎ、少者を焚かるるなく救ひし主、吾が先祖の神よ、爾は世世に崇め讚めらる。
我不朽の衣を脫ぎ、耻辱の行を衣たり。故に爾に呼ぶ、宏恩なる神よ、諸德の衣にて我を飾り給へ。
イイススよ、我淫行の目と不節制の觸とに汚されて、爾の前に汚らはしき者と爲れり。我を蕩子の如く納れ給へ。
致命者讚詞 ハリストスの軍士、神聖なる燈よ、爾等は上なる生命を愛して、多くの苦を忍べり、故に忠信に讚美せらる。
致命者讚詞 聖なる致命者よ、爾等は苦の火に潔められ、日よりも明に輝きて、無神の凡の幽闇を散じたり。
生神女讚詞 萬有を圍む主を生みし潔き生神女・永貞童女よ、我を圍む無知の幽闇及び罪より脫れしめ給へ。
又
イルモス 三人の少者は爐に於て聖三者を像りて、火の恐嚇を履み、歌ひて呼べり、我が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
ハリストスの授洗者、前驅、日の燈臺よ、怠慢に昧まされて盲と爲りし我が靈を照して、我を痛悔の途に向はしめ給へ。
我審判の時を思ひて痛く畏る、多くの不當なる行を爲したればなり。主の授洗者よ、轉達して我が前に在る火より我を脫れしめ給へ。
我が生命の保護者なる前驅よ、我を見ゆる及び見えざる敵より守り、蔽ひて、天國に與る者と爲し給へ。
生神女讚詞 生神童貞女よ、諸預言者、使徒、致命者と偕に爾の子に祈りて、常に爾を尊む我等を將來の苦難より救はんことを求め給へ。
第八歌頌
イルモス 至高きに天使等より默さずして讚榮せらるる神を、諸天の天と地、山と岡と深處、及び悉くの人類は、歌を以て造成主及び贖罪主として崇め讚めて、萬世に讚め揚げよ。
萬有の王よ、我良心を失ひたる者は爾を畏るる畏を我が心に抱かずして、肉體の逸樂に生を費して、爾の審判に戰く。祈る、今痛悔する我を忌む毋れ。
地上に罪なく童貞女より生れし慈憐多き主よ、痛悔を以て我を地上の罪より洗ひて、溫柔の者の住む聖なる地に移るを得しめ給へ。
致命者讚詞 ハリストス萬有の神の至りて光榮なる受難者よ、爾自身の血に染みたる爾等の足は、敵に障へられずして、嚴に天上に往くを得たり。
致命者讚詞 光榮なる受難者よ、爾等は意を決して苦難及び大なる格鬪の爲に衣を脫ぎ、敵を裸體にして、之に耻辱を衣せたり、故に天上に榮冠を冠りて樂しむ。
生神女讚詞 純潔なる者よ、華美に榮えたる主は爾イアコフの華美を愛して、爾の腹に入りて、人の性を諸の華美にて飾り給へり、此れ智慧に超ゆる諸恩賜なり。
又
イルモス 敬虔の範たる少者は堪へ難き火に入れられしに、焰に惱まされずして、神聖なる歌を歌へり、主の悉くの造物は主を崇めて、萬世に讚め揚げよ。
神聖なる前驅イオアンよ、爾は人人の罪を任ふ神の羔を傳へたり。我が諸罪の任を解きて、我に救はるる者の分を得しめんことを彼に祈り給へ。
神の無原なる言よ、爾に祈る、光榮にして神聖なる爾の授洗者に因りて、我全身惡事の幽暗に圍まるる者を焰の燃ゆる爐及び外の幽暗より脫れしめ給へ。
虛しくして無結果なる靈に悔改の善果を傳へし主の神聖なる預言者よ、荊棘を生ずる我が靈を凡の逸樂より潔め給へ、我が善行の穗を生ぜん爲なり。
生神女讚詞 神の母として、聖なる天使、諸預言者、使徒、致命者と偕に祈りて、常に爾生神女を讚美する者を諸の葘害、憂患及び將來の悉くの苦より脫れしめんことを求め給へ。
第九歌頌
イルモス 祝讚せらるる哉主、イズライリの神、我等の爲に救の角を其僕ダワィドの家に興しし者や、其矜恤に因りて東旭は上より我等に臨み、我等の足を平安の道に向はしめたり。
視よ、嘉く納るべき時及び潔の日なり。嗚呼靈よ、是より望を起して、轉じて悔改の果を結べ、然らずば畏るべき死の斧は爾を無結果の者と見て、古の無花果の如く斫りて彼處の火に投ぜん。
我は古の富める者の如く逸樂の中に樂しみ、隣に對して多くの無慈悲を抱きて、滅えざる火を畏れず。主宰よ、求む、我が靈の頑固なるを柔らげ給へ、我昧まされし者が終にだにも慈悲を以て照されん爲なり。
致命者讚詞 致命者よ、爾等はハリストスの神聖なる血に印證せられて、信を以て堅固に苦を忍びて、不信の諸敵を仆し、衆くの人人を汚らはしき迷より出し、靈妙に神を識る知識の光にて之を照し給へり。
致命者讚詞 ハリストスの神聖なる致命者よ、爾等は敵の軍を斬る利き劍と顯れ、又聖三者の光明を容るる器、信者の爲に敬虔の光を輝かす燈、神靈なるシオンの眞の軍士と顯れたり。
生神女讚詞 預言者は爾を光れる雲と預見せり、是より大なる日ハリストス神は我等に現れて、先に昧まされし者を照し給へり。仁慈なる者よ、我が諸慾の雲を拂ひて、神聖なる光を以て我を照さんことを彼に祈り給へ。
又
イルモス 我等信者は影及び文なる律法に於て預象を見ん、凡そ始めて生るる男子は神に獻げられたり。故に我等は無原の父より始めて生れし言、夫なき母より始めて生れし子を崇め讚む。
睿智なる預言者よ、爾は律法の影に注目し、明に神の恩寵の曉を見て、地の極を照して、無知の幽暗を拂へり。故に我等爾を尊む。
ハリストスの致命者、神聖なる授洗者、悔改の燈、敬虔の朝として、舊と新との中保者よ、惡に緣りて舊びたる我が卑しき靈を新にして、神聖なる智識を以て照し給へ。
睿智者よ、畏るべき時、戰くべき時、定罪の時に於て我定罪せらるる者を彼處に待つ所の嚴罰より脫れしめ給へ、我が靈の救者が爾新娶者の友の祈禱を聽き給へばなり。
生神女讚詞 至淨なる母童貞女よ、神の母として、神の言が身にて爾より生れし潔き母として、無形の者、使徒及び預言者、成聖者及び致命者と偕に常に彼に世界に平安を賜はんことを祈り給へ。
次ぎて「常に福にして」、及び聯禱、光耀歌、及び常例の聖詠。
挿句に傷感の讚頌、第三調。
主よ、我が散らされたる思を聚め、我が荒れたる心を潔め給へ。ペトルに於けるが如く我に痛悔を、稅吏に於けるが如く歎息を、淫婦に於けるが如く淚を與へ給へ、我が大なる聲を以て爾に呼ばん爲なり、神よ、我を救ひ給へ、爾獨慈憐にして人を愛する主なればなり。
句 主よ、夙に爾の憐を以て我等に飽かしめよ、然せば我等生涯歡び樂しまん。
爾我等を撲ちし日、我等が禍に遭ひし年に代へて、我等を樂しましめ給へ。願はくは爾の工作は爾の諸僕に著れ、爾の光榮は其諸子に著れん。
我屢歌頌を獻じて罪を犯すと顯れたり、蓋舌にて歌頌を唱へ、靈にて不當の事を思ふ。ハリストス神よ、痛悔を以て兩ながら之を改めて、我を憐み給へ。
句 願はくは主吾が神の惠は我等に在らん、願はくは我が手の工作を我等に助け給へ、我が手の工作を助け給へ。
ハリストスの軍士は諸王と苛虐者とを畏るる畏を棄てて、勇敢を以て勇ましくハリストス、萬有の主神、我等の王を承け認めたり、今は我等の靈の爲に祈り給ふ。
光榮、今も、生神女讚詞 爾は種なく聖神に由りて孕み給へり。故に我等爾を讚榮して歌ふ、至聖なる童貞女よ、慶べ。
次ぎて「至上者よ、主を讚榮し」。聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞及び聯禱。次に第一時課、竝に發放詞。
火曜日の聖体礼儀に
火曜日の眞福詞、第三調。
ハリストスよ、爾は誡に背きし原祖アダムを樂園より逐ひ出せり。然れども爾、洪恩なる主よ、十字架に在りて爾を承け認めし盜賊、救世主よ、爾の國に於て我を憶ひ給へと呼ぶ者を其中に入れ給へり。
句 義の爲に窘逐せらるる者は福なり、天國は彼等の有なればなり。
ハリストスよ、我度生の逸樂に汚れたる靈を以て直に爾の洪恩に就きて、熱心に爾獨隱微なる事を知る者に呼ぶ、主よ、爾の慈憐に由りて我を潔め給へ。
句 人我の爲に爾等を詬り、窘逐し、爾等の事を譌りて諸の惡しき言を言はん時は、爾等福なり。
舊と新との中保者と爲りし至りて讚美たる神聖なる授洗者よ、罪に由りて舊びたる我を新にして、爾の祈禱を以て、我に能くハリストスの國に入らしむる痛悔の途を躓なく行くを得しめ給へ。
句 喜び樂しめよ、天にし爾等の賞多ければなり。
勇敢なる聖受難者よ、爾等は善き戰を戰ひて、無數の病を忍びたり、之に因りて常に衆人の病を援け、惡鬼の惱を退く。故に我等信を以て爾等を讚榮す。
光榮 我等が讚榮する三位の惟一者は實に光なり、生命なり、全能者なり。蓋父と子と聖神とは萬有を持つ惟一者にして、三位に於て惟一の主宰、主、神と知らるる者なり。
今も 童貞女母よ、常に罪を犯して、仁慈なる神を怒らしむる我を宥め、仁慈なる者として、今我に痛悔の心を固め給へ、我が將來の苦を免れて、熱心に爾少女の祈禱を歌頌せん爲なり。
火曜日の晩課
十字架の讚頌、第三調。
言よ、爾が十字架に釘せらるるに因りて造物は變じ、日は畏懼に因りて光線を隱し、殿の幔は裂け、凡の信者は救はれたり。故に我等爾の無量の富を讚榮す。
慈憐に因りて我が肉體を受けし神主宰は木に釘せられ、身擧げられて、我等仆されし者を擧げ給へり、其仁慈なる旨の定めしが如し。
主よ、爾の脅より流されし神聖なる血と水との滴にて世界は新造せられたり、蓋爾は洪恩なるに因りて水を以て衆人の罪を洗ひ、血を以て赦免を書し給ふ。
又 生神女の讚頌。
我怠慢の牀に臥し、懶惰の中に我が生命の時を費して、我が逝世の期を畏る。少女よ、爾の祈禱を以て我を痛悔に興して、救ひ給へ。
潔き者よ、我が心の病を醫し、我が智慧の迷を止め、我に淨き心を以て爾を歌頌し、恩寵を獲、審判の日に於て慈憐を蒙らんことを得しめ給へ。
我が卑しき靈よ、惡の負ひ難き任を卸し、淚を流して就きて呼べ、潔き童貞女よ、我に爾の子及び神の輕き軛を負ふを獲しめ給へ。
光榮、今も、十字架生神女讚詞 至淨なる者よ、爾が己の子の十字架に在るを見る時、劍は爾の心を刺して、爾呼べり、產の後に我を童貞女と護りし吾が子吾が神よ、我を子なき者と爲す勿れ。
次ぎて「穩なる光」。提綱。
挿句に十字架の讚頌、第三調。
ハリストスよ、我爾の尊き十字架、世界の守護者、我等罪なる人の救、大なる潔淨、王の勝利、全世界の美譽なる者に伏拜す。
句 天に居る者よ、我目を擧げて爾を望む。視よ、僕の目主人の手を望み、婢の目主婦の手を望むが如く、我等の目は主我が神を望みて、其我等を憐むを俟つ。
不順の木は世界に死を生じ、十字架の木は生命と不朽とを生じたり。故に我等爾釘せられし主に伏拜す、願はくは爾が顏の光は我等に輝かん。
句 主よ、我等を憐み、我等を憐み給へ、蓋我等は侮に饜き足れり、我等の靈は驕る者の辱と誇る者の侮とに饜き足れり。
諸預言者、ハリストスの使徒及び致命者は一體の三者を歌はんことを敎へ、迷へる異邦民を照し、人の諸子を諸天使の侶と爲せり。
光榮、今も、十字架生神女讚詞 我がハリストスよ、爾を生みし無玷なる牝羊、爾の母は爾が十字架に擧げられしを見て、歔欷して呼べり、產の後にも我を潔き者と守りし主よ、我を子なき者と爲す勿れ。
次ぎて「主宰よ、今爾の言に循ひ」。聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞。聯禱及び發放詞。
火曜日の晩堂課
至聖なる生神女の規程、第三調。
第一歌頌
イルモス 昔神妙の瞬にて水を一區に匯め、又イズライリ人の爲に海を分ちし者は、是れ崇め讚めらるる吾が神なり。我等獨彼に歌はん、彼光榮を顯したればなり。
純潔なる女宰よ、我は爾神の母を慈憐及び仁愛の泉と知りて、就きて爾の仁慈に祈る、我に傷感を與へ給へ、我が諸罪の爲に歎きて哭かん爲なり。
我に靈の淚の滴を與へて、我が行の悉くの汚と惡しき念とを洗ひ、我が靈の不潔を淨め、我を聖神の殿と爲し給へ。
光榮 純潔なる者よ、我諸罪の浪に荒らされ、常に激しく敵の行動に溺らされ、今滅亡の深處に沈められて爾に呼ぶ、我を救ひ給へ。
今も 衆の女宰・生神女よ、爾の慈憐の多きに因りて我が不當なる靈を憐み、今爾の帲幪の下に趨り附く者を永遠の火及び惡鬼の攻擊より脫れしめ給へ。
第三歌頌
イルモス 言にて造られ、聖神にて備へらるる萬物を無より出しし至上なる全能者よ、爾の愛に我を固め給へ。
至りて讚美たる者よ、惡しき思にて昧まされし我が智慧を神聖なる光にて照し給へ、爾は父より輝きし永在の光を生みたればなり。
義人の敵は我が靈を躓かせて地に仆せり。潔き女宰よ、爾の右の手を以て我を起し給へ。
光榮 我不當なる者は稅吏の聲を以て爾に呼ぶ、女宰よ、我を潔め、爾の祈禱を以て爾の僕に諸罪の赦を與へ給へ。
今も 女宰よ、我が靈の傷を醫し、思念の至りて濁りたる浪を鎭め、我に平和の治安を與へ給へ。
第四歌頌
イルモス 主よ、爾は强き愛を我等に顯せり、我等の爲に爾の獨生子を死に付したればなり。故に我等感謝して爾に呼ぶ、主よ、光榮は爾の力に歸す。
我逸樂と色慾とを以て肉體を汚し、汚らはしき思に因りて吾が靈の潔淨を失ひ、智慧を昧ましたり。女宰よ、爾の僕を棄つる勿れ。
潔き者よ、我が爲に遁處と避所と防禦、救の角及び保護者と爲りて、常に我を凡の憂患より脫れしめ、我が諸敵を辱かしめ給へ。
光榮 多くの攻擊に圍まれ、常に惡鬼の詭計にて溺らさるる我不當の者は今爾に趨り附く。爾の熱心なる祈禱を以て我爾の僕を救ひ給へ。
今も 諸慾の明ならざる夜は我不當の者を圍む。仁慈にして純潔なる者よ、爾の光を以て吾が靈の雲を拂ひて、神の誡の光に向はしめ給へ。
第五歌頌
イルモス イサイヤは預象に於て崇き寶座に坐して光榮の諸天使に繞らるる神を見し時に籲べり、噫 我 禍なる哉、我肉體を取る神、暮れざる光と平安とを司る者を預見せり。
我が生命の時は煙の如く消えたり、我死の門に近づきて、惡鬼の攻擊を畏る、常に彼等の行爲を行ひたればなり。純潔なる者よ、我を憐みて救ひ給へ。
童貞女よ、我が惡の淵を涸らし、我に淚の河を與へて、我が諸慾の焰を盡く滅し、審判の日に於て我に火及び他の苦より脫れんことを得しめ給へ。
光榮 至淨なる者よ、罪にて病める我が靈を爾の慈憐を以て醫して、我に遜りて常に爾の子の誡を行ふを得しめ給へ、我が彼の仁慈を蒙らん爲なり。
今も 吾が子よ、爾の神聖なる敎會は爾の脅より流れし聖なる血を以て潔められたり、我は十字架に爾の悉くの苦を見て苦しむと、言の母は哭きて言へり。
第六歌頌
イルモス 今を限の罪の淵は我を圍み、我が靈は亾びんとす。祈る、主宰敎導者よ、爾の高き手を伸べて、我をペトルの如く救ひ給へ。
神の聘女よ、爾の潔き血より身を取りし神の子は爾を罪人等の爲に大なる避所と爲せり、故に爾の諸僕に慈憐を垂れ給へ。
仁慈なる者よ、爾の光を以て不當なる思に昧まされたる我が心の目を照し、我を光の子と爲して、明き處に入らしめ給へ。
光榮 至淨なる者よ、慾の念の浪は常に我を擾し、惡鬼の暴風は溺らす。祈る、我を無慾の石に固め給へ。
今も 我靈の死を以て寢ねて、失望の柩に臥す。祈る、我に手を授けて、我を起して痛悔の度生に導き給へ。
次ぎて主憐めよ、三次。光榮、今も、
坐誦讚詞、第三調。
生神女よ、我等爾の子の十字架を能力の杖として獲て、此を以て諸敵の驕を墜し、愛を以て絕えず爾を崇め讚む。
第七歌頌
イルモス 昔三人の少者はペルシヤ人の尊める金の像に伏拜せずして、爐の中に歌へり、先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
潔き者よ、罪に由りて弱りたる我が靈に能力を佩ばしめて、我を救ひ給へ。蓋我信を以て爾の子に呼ぶ、吾が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
我死の時と不死なる永遠の苦とを畏れて、爾に趨り附く。少女、神の母よ、執ふる者の網より我を救ひ給へ。
光榮 容れられぬ神を腹に容れし生神女よ、多くの罪に狹めらるる我が智慧を此より釋き給へ。
今も 生神女よ、人の族は爾に祈る、女宰よ、爾の諸僕、信を以て爾の子に、吾が先祖の神よ、爾は崇め讚めらると呼ぶ者を憐み給へ。
第八歌頌
イルモス 敬虔の範たる少者は堪へ難き火に入れられしに、焰に惱まされずして、神聖なる歌を歌へり、主の悉くの造物は主を崇めて、萬世に讚め揚げよ。
我實に蕩子に效ひ、諸罪の中に我が一生を盡して、今呼ぶ、少女よ、我爾の前に罪を獲たり、我を爾の子及び造成主の傭人の一の如く爲し給へ、我が萬世に爾を讚榮せん爲なり。
我が靈は惡に盈ち、我は凡そ墓に入る者と等しくなれり。生神童貞女よ、爾我を慾の穴と我が諸惡の泥より引き出し給へ。
光榮 生神女よ、爾の聖なる胎より生れしハリストスに多くの罪の赦を我に賜はんことを祈り給へ、我が歌はん爲なり、主の悉くの造物は主を歌ひて、世世に彼を讚め揚げよ。
今も 至淨なる者よ、吾が靈が神の命に因りて此の生命を去らん時、執ふる者の網より我を脫れしめ給へ。蓋我呼ぶ、主の悉くの造物は主を歌ひて、世世に彼を讚め揚げよ。
第九歌頌
イルモス 我等信者は影及び文なる律法に於て預象を見ん、凡そ始めて生るる男子は神に獻げられたり。故に我等は無原の父より始めて生れし言、夫なき母より始めて生れし子を崇め讚む。
純潔なる者よ、人の族は今爾の勝たれぬ祈禱の富を獲て、晝に夜に呼ぶ、爾の造成主及び子に爾を歌ふ者を宥めんことを常に息めずして祈り給へ。
不當なる慾の矢は我が靈に傷つけ、惡鬼の誘惑は惡しき念を以て常に我が智慧を擾す。故に少女よ、我が醫し難き傷を醫し給へ。
光榮 潔き神の聘女よ、我と戰ふ敵の傷より我を護り給へ、蓋我不當の者は彼等の攻擊と多くの惡謀と狂暴とに勝へず。祈る、速に我を救ひ給へ。
今も 爾は我が卑しき體の不能、我が靈の傷、我が心の歎息、我が智慧の迷と惑とを知る。故に爾の慈憐を以て我に平愈を與へ給へ。
次ぎて「常に福にして」、及び叩拜。聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞。其他常例の如し、及び發放詞。
水曜日
水曜日の早課
第一の「カフィズマ」の後に十字架の坐誦讚詞、第三調。
十字架は地に建てられて天に摩れり、是れ木が此くの如き高度に至りしに非ず、萬有を充つる爾が此の上に在りて斯く成れり。主よ、光榮は爾に歸す。
句 主我が神を崇め讚め、其足凳に伏し拜めよ、是れ聖なり。
神の羔よ、爾は松・杉・黃楊樹に擧げられたり、信を以て爾の自由なる釘殺に伏拜する者を救はん爲なり。ハリストス神よ、光榮は爾に歸す。
光榮、今も、十字架生神女讚詞
生神女よ、我等爾の子の十字架を能力の杖として獲て、此を以て諸敵の驕を墜し、愛を以て絕えず爾を崇め讚む。
第二の誦文の後に十字架の坐誦讚詞、第三調。
人類の爲に頰を批たれて怒らざりし主よ、我等の生命を朽壞より釋きて、我等を救ひ給へ。
句 神我が古世よりの王は救を地の中に作せり。
天使の軍は爾の量り難き權能と自由なる釘殺とを見て驚けり、如何にして見えざる者は人類を朽壞より救はんと欲して、身に傷を受けたる。故に我等爾生を施す主に呼ぶ、ハリストスよ、光榮は爾の仁愛に歸す。
句 神よ、爾は爾の聖所に於て嚴なり。
致命者讚詞 ハリストスの恒忍なる致命者はハリストスの全備の武具を衣、信の盾を執りて、受難者に適ふが如く敵の軍を斃せり。蓋生命の望を抱きて、勇ましく暴虐者の悉くの恐嚇と傷とを忍びたり、故に榮冠を受け給へり。
光榮、今も、十字架生神女讚詞 ハリストスよ、婚姻に與らざる潔き爾の母は爾が死して十字架に懸れるを見て、母として哭きて言へり、吾が子よ、不法にして恩を知らざるエウレイの會、屢爾の大なる賜を樂しみし者は何をか爾に報いたる。我爾の神聖なる寬容を歌ふ。
第三の誦文の後に十字架の坐誦讚詞、第三調。
ハリストス救世主よ、爾は十字架と死とを受けて、我等に不死の生命を流し、世界を朽壞より釋き給へり。故に生命を賜ふ仁愛の主よ、我等は衆人に救を施す爾の苦と、平安を與ふる勝たれぬ武器たる爾の尊き十字架とを讚榮す。
萬物より最高き主宰よ、爾は十字架の辱を忍びたり、我先に甚しく辱かしめられし者を尊くせん爲なり。恒忍なる主よ、爾は戈にて脅を刺されたり、我爾の造物を朽壞より救はん爲なり。人を愛する主よ、我爾の大なる慈憐と仁慈とを歌ふ。
光榮、今も、十字架生神女讚詞 主宰よ、婚姻に與らざる無玷なる童貞女爾の母は爾が木に擧げられしを見て呼べり、嗚呼哀しい哉、吾が甘愛なる子よ、如何にして至りて不法なる會は爾萬衆の造成者及び主宰を木に懸けんことを定めたる。我爾の至大なる仁慈を歌ふ。
尊貴にして生命を施す十字架の規程、其冠詞は、言よ、爾は苦にて人人の苦を止めたり。イオシフの作。第三調。
第一歌頌
イルモス 昔神妙の瞬にて水を一區に匯め、又イズライリ人の爲に海を分ちし者は、是れ崇め讚めらるる吾が神なり。我等獨彼に歌はん、彼光榮を顯したればなり。
言よ、爾は尊き爾の身の苦を以て昔惡敵に傷つけられし人類の多病の苦を醫し、凡そ敬虔に爾の量られぬ定制に伏拜する者を救ひ給ふ。
樂園に於て誡に背かしむる誘惑を以て人を縛りし者は今解かれぬ械にて縛られたり、人を愛する主が身を取りて、我等の罪惡を解かん爲に、甘じて縛られしに因る。
致命者讚詞 大名なる受難者は造物が惡鬼の誘惑に因りて溺るる苦難を見て、傲慢なる敵の力を悉く血の流の中に沈めて、信者の爲に穩なる港と顯れたり。
致命者讚詞 致命者の會は天上の品位と嚴に竝び立ち、常に造られざる神性の光に輝かされて、地に在りて信を以て神の奇跡を讚榮する者を輝かす。
生神女讚詞 至淨なる者よ、爾は地上に神言、仁慈に因りて己の苦と尊き十字架とを以て我等を天に上せ給ひし主を生みて、天上の品位より最高き者と顯れたり。
又至聖なる生神女の規程、其冠詞は、生神女に第三の歌を奉る。
第一歌頌
イルモス同上
至淨なる者よ、預言者アウワクムは神゜を以て爾を樹蔭繁き山と預見せり。祈る、慾に刺されて、死の蔭に在る我を爾の蔭に蔽ひて、我に迫る諸慾より脫れしめ給へ。二次。
爾の子の神聖なる脅より出でし神聖なる流の注ぐを以て吾が心の疵を滌ひ給へ、我が宜しきに合ひて爾永福無玷なる者を崇めて讚榮せん爲なり。
潔き者よ、爾は生みし者と同じく行爲する言、人の性を神成せし主を生み給へり。彼に祈りて、我惑ひて敵の惡謀に因りて弱りたる者に神聖なる慰を得しめんことを求め給へ。
第三歌頌
イルモス 言にて造られ、聖神にて備へらるる萬物を無より出しし至上なる全能者よ、爾の愛に我を固め給へ。
爾神の性を以て苦に與らず、仁慈に由りて身を以て苦に與る者と爲り、我等に不死を賜ひし主をエウレイの會は木を以て殺せり。
地を水の上に懸けし言よ、爾は甘じて木の上に懸けられて、惡の穴に陷りし我を天に登せ給へり。
致命者讚詞 創痍に飾られたる至りて讚美たるハリストスの致命者よ、爾等は主の前に立ちて、其極めて富める手より應報を受け給ふ。
致命者讚詞 致命者は欣ばしき靈を以て己を瘡痍の爲に付して、蛇を甚しく哀しませ、天使の品位を歡喜に充てたり。
生神女讚詞 婚姻に與らざる者はハリストスの十字架に擧げられしを見て、哭きて曰へり、幽暗に在る者を照し給ふ光榮の日よ、爾は我が目より隱れたり。
又 イルモス同上
慈憐にして至聖なる童貞女よ、仁愛の言ひ盡されぬ、宏恩の富める主に我等惱まさるる者を宥めんことを祈り給へ。
萬有の造成主の住居たる潔き童貞女よ、我靈を害する盜賊の巢窟と爲りし者の中に撫恤者の住まんことを祈り給へ。
神聖なる手を以て萬有を持つ主を己の手に抱きし生神女よ、我を眷みて、諸慾に傾ける不當の意思より脫れしめ給へ
第四歌頌
イルモス 主よ、爾は强き愛を我等に顯せり、我等の爲に爾の獨生子を死に付したればなり。故に我等感謝して爾に呼ぶ、主よ、光榮は爾の力に歸す。
凡の尊貴に超ゆる主宰ハリストス、人を愛する主よ、爾は葦にて首を擊たれて、實に辱を忍びたり、我犯罪に由りて辱かしめられし者を尊くせん爲なり。
恒忍なる主よ、爾は眞の王として、甘じて棘の冠を冠らせられたり、棘を生ずる人の罪を根より絕さん爲なり。救世主よ、我爾の苦を歌ひ讚む。
致命者讚詞 致命者よ、爾等は痍瘡の苦に因りて仆されずして、敵の誘惑を仆し、爾等の足にて甚しく高ぶる暴虐者の驕を踐みたり。
致命者讚詞 至りて讚美たる致命者よ、爾等は朽つべき身を以て神聖なる不朽を獲、苦を以て苦に與らざる者の尊き苦に勇ましく效ひて、無形の品位に加へられたり。
生神女讚詞 至淨なる少女よ、昔預言者は爾を卷軸と見たり、其中に父の指にて身を取れる言、戈を以て原祖の書券を破りし者は錄されたり。
又 イルモス同上
甘じて創傷と屠殺とを忍び給ひしハリストス、獨慈憐の多き主よ、惡鬼の殘酷なる攻擊に傷つけられし吾が靈を爾を生みし者の祈禱に由りて醫し給へ。
造成主ハリストスよ、我は爾の手の工業及び造物にして、蛇の惡謀に由りて、度生の逸樂に壞られたり。故に爾を生みし者の神聖なる祈禱に由りて我を新に造り給へ。
獨一の永貞童女よ、爾は言に超えて父の言、人人を凡の無知より解きたる主を生み給へり。切に彼に我無知なる慾の擒と爲りし者を解かんことを祈り給へ。
至聖なる幕、光の居處、絕えず香料を滴らす器たる至淨なる神の聘女よ、爾は常に手より我等に醫治を流し給ふ。
第五歌頌
イルモス 人を愛する主よ、爾は見えざる者にして地に現れ、悟り難き者にして甘じて人人と偕に居りたり。我等朝の禱を奉りて爾を讚め歌ふ。
仁慈全能なる主よ、爾は羔の如く木の上に擧げられ、我等の爲に祭として父に獻ぜられて、偶像の祭を止め給へり。
生命を賜ふ主よ、爾は戈にて脅を刺されて、爾を三者の一にして二の行爲を有つ主と傳ふる者の爲に救の二の泉を流し給へり。
致命者讚詞 イイススよ、堅固なる受難者は信を以て爾を堅き基及び動かざる石として獲て、尊き石の如く己を其上に建てたり。
致命者讚詞 受難者致命者よ、爾等は信に依りて神の力に堅められ、誘惑者の烈しき力を悉く破りて、嚴に榮冠を冠れり。
生神女讚詞 至聖なる女宰、吾が靈の轉達者よ、爾は不朽にハリストスを生むを以て先に犯罪に由りて朽壞せし我等の性を新に造り給へり。
又
イルモス イサイヤは預象に於て崇き寶座に坐して光榮の諸天使に繞らるる神を見し時に籲べり、噫 我 禍なる哉、我肉體を取る神、暮れざる光と平安とを司る者を預見せり。
童貞女、光れる雲よ、我が肉體の病、靈の疾を醫して、怠惰の雲を拂ひ給へ。我爾に祈りて、愛を以て爾を讚榮する者に壯健を與へ、諸難より脫るるを得しめ給へ。
童貞女よ、我凡の罪に盈ちたる者は爾より生れし主に今爾を轉達者及び祈禱者として進む。我の爲に保護者と爲り、我が生命の改造者と爲り、我を神聖なる智識の途に嚮導する者と爲り給へ。
童貞女よ、我が智慧を聖にし、靈を光に導き、我を神聖なる光榮に與る者と爲し給へ、蓋視よ、我惡に盈ち、凡の逸樂の奴隷と爲り、我が良心を汚せり。
第六歌頌
イルモス 今を限の罪の淵は我を圍み、我が靈は亾びんとす。祈る、主宰敎導者よ、爾の高き手を伸べて、我をペトルの如く救ひ給へ。
詭譎なる蛇は食を以て我を誘ひて、エデムより引き出し、ハリストスは甘じて木の上に擧げられて、復我が爲に是に入るを得しめ給へり。
恩者主よ、爾の脅傷つけられしに、我等に傷つけし者は傷つけられて、醫されぬ者と爲り、我等信者は爾が甘じて受けし傷に因りて醫されたり。
致命者讚詞 ハリストスの睿智なる軍士は火に投げられ、燔かるる羔の如く神・萬有の王に祭として獻ぜられて、言ひ難き樂を繼ぎたり。
致命者讚詞 受難者よ、爾等は盡くされぬ寶より斟みて、醫治の河を流し、諸慾の害を涸らし、信者の會に飮ましむ。
生神女讚詞 純潔なる母・童貞女・女宰よ、爾の血より身を取りし言の殺されしを見て、爾は母として呼びて、生命の源たる主を讚榮せり。
又
イルモス 人を愛する主よ、凶惡なる諸敵に攻められて、將に亾びんとする我等を棄つる勿れ。救世主よ、預言者を猛獸より拯ひし如く、我等を拯ひ給へ。
我は高ぶる思念を以てファリセイに超え、常に驕りて無量の罪の淵に進めり。獨 潔き者よ、極めて卑しくなりたる我を宥め給へ。二次。
至りて奇異なる降孕と產とを有ちし童貞女よ、今我不當なる者の上に爾の慈憐を奇異なる者と顯し給へ、蓋我不法に於て妊まれ、生れて逸樂の奴隷と爲れり。
我畏るべき審判を記念する時呼び、泣きて淚を流す、惡しき行を有てばなり。婚姻に與からざる童貞女、神の母よ、畏るべき時に於て我が爲に轉達者と爲り給へ。
第七歌頌
イルモス 昔三人の少者はペルシヤ人の尊める金の像に伏拜せずして、爐の中に歌へり、先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
仁愛の主、萬衆の神よ、爾は己の疾苦にて我等の疾苦を止めて、今敬虔に爾の尊き疾苦に伏拜する者を疾苦なき生命に移し給ふ。
ハリストスよ、造物は爾が十字架に釘せらるるを見し時、變じて戰けり、地は震ひ、磐は裂け、日は其光を隱せり。
致命者讚詞 致命者はハリストスの法に循ひて、不法なる誘惑を退け、法の爲に審判所の中に苦を受けて、嚴に榮冠を冠れり。
致命者讚詞 主の受難者、榮冠を冠りし者よ、爾等は火よりも熱き決心を得て、火に燒かれずして呼べり、神よ、爾は崇め讚めらる。
生神女讚詞 至淨なる者よ、爾の生みしハリストスが十字架に擧げられしを見て、爾立ちて呼べり、產の後にも我を潔き者と守りし主よ、我を子なき者と爲す毋れ。
又
イルモス 三人の少者は爐に於て聖三者を像りて、火の恐嚇を履み、歌ひて呼べり、我が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
女宰よ、行に由りては我に救なし、罪に罪を、惡に惡を加ふればなり。故に潔き者よ、爾の祈禱を以て我を宥めて救ひ給へ。二次。
審判は門の側に在り、審判座は設けられたり、卑微なる靈よ、己を備へて呼べ、言よ、我を審判する時、爾を生みし者の祈禱に由りて我を定罪する勿れ。
我罪の果を摘みて殺されたり。結果なき靈を攜へて爾に呼ぶ、爾の腹の果を以て朽壞を破りし者よ、之を果を結ぶ者と爲し給へ。
第八歌頌
イルモス ワワィロンの爐が少者を焚かざりし如く、神性の火は童貞女を殘はざりき。故に我等信者は少者と偕に呼ばん、主の造物は主を崇め讚めよ。
慈憐多きハリストスよ、爾釘せられしに、樂園は復開かれ、自ら旋る焰の劍は爾の聖なる脅を刺しし戈に耻ぢて退きたり。
ハリストスよ、爾と鬪ふ者は戈に傷つけられて斃れ、斃れしアダムは生に囘りて、爾甘じて屠られし主に呼ぶ、慈憐多き我が神よ、我爾を祝頌して讚榮す。
致命者讚詞 受難者よ、世界は爾等の戰と諸德と無數の奇蹟とを以て照され、萬の病より助けられて、信を以て呼ぶ、主の造物は主を崇め讚めよ。
致命者讚詞 永光なる聖致命者よ、曩に海陸を滅さんと誇りし者は爾等の足下に倒されて、嘲り觀らる。ハリストスは生を施す右の手にて凋まざる榮冠を以て爾等を飾る。
生神女讚詞 至淨なる者よ、爾は定期に於て期及び時より上なる者を生みたり。彼は己の縛を以て初に造られしアダムを定期の縛より釋き、又己の甘き愛の縛にて之を縛り給へり。
又
イルモス 敬虔の範たる少者は堪へ難き火に入れられしに、焰に惱まされずして、神聖なる歌を歌へり、主の悉くの造物は主を崇めて、萬世に讚め揚げよ。
全く善なる者にして萬有の王に近くなりし生神女よ、我惡を行ひて怠慢の中に一生を送りし者を善行に充て給へ、我が萬世に爾を讚榮せん爲なり。
神の言よ、昔至榮に預言者を鯨の腹より救ひし如く、斯く救世主よ、滅亾の深處に陷りし我が靈を救ひ給へ、婚姻に與らずして爾を生みし童貞女が爾に祈ればなり。
生神女よ、凶惡者は我神の造物が美しき衣を衣たるを見て、之を褫ぎたり。童貞女よ、爾祈禱を以て我を痛悔の神聖なる衣にて飾り給へ。
次に生神女の歌、「我が靈は主を崇め」。
第九歌頌
イルモス 棘と火とを以てシナイ山に立法者モイセイの爲に預象せられ、神の火を焚かるるなく腹に宿しし者、最光明なる滅されぬ燈たる實の生神女を尊みて、歌を以て崇め讚む。
仁慈なるハリストス、生を賜ふ主よ、爾は失ひし「ドラフマ」を尋ねん爲に、十字架に於て爾の身を燃し、之を獲て、爾の天上の軍を喜に與る者と爲し給へり。彼等と偕に我等は爾を恩主として尊みて、歌を以て崇め讚む。
ハリストスよ、爾は十字架に手を擧げて、先に多くの慾に因りて弱りたる我が手を爾の力にて堅め、實に弱りたる我が膝を神聖なる路を行かん爲に堅固にし給へり。故に我等爾を崇め讚む。
致命者讚詞 ハリストスよ、爾の堅固にして奇異なる受難者は無量の苦の焰に燃えて、凉しくする露として爾を獲たり。故に喜びて尊き路を行き、歌を以て絕えず爾を歌頌せり。
致命者讚詞 ハリストスよ、多數の聖受難者の品位は多く爾を悲しましむる人人の會の爲に爾に祈る。洪恩の主よ、爾の慈憐の多きに因りて我等の不法の多きを潔め給へ、爾人を愛する主なればなり。
生神女讚詞 童貞女よ、爾は父の輝煌たる、地上の者の形を受けし主を生み給へり。日は其十字架に擧げられしを見るに勝へずして晦み、拜偶像宗の幽闇は滅えたり。故に我等は彼及び爾を崇め讚む。
又
イルモス 我等信者は影及び文なる律法に於て預象を見ん、凡そ始めて生るる男子は神に獻げられたり。故に我等は無原の父より始めて生れし言、夫なき母より始めて生れし子を崇め讚む。
不朽にして無玷なる童貞女よ、我智慧の朽壞せられ、靈と良心との朽壞せられ、惡にて汚され、一の善もなき者を棄つる勿くして、敬虔の行にて飾り給へ。
慈憐の多き恩主よ、我は惡に盈ち、爾仁愛なる主より我を踈くする思念に充ちたり。故に歎きて呼ぶ、痛悔する我を受けて、爾を生みし者の祈禱に由りて我を遠ざくる勿れ。
純潔なる少女よ、願はくは我爾の帲幪の下に趨り附きて、爾を祐助の爲に呼ぶ者は、爾の祈禱に由りて、凡の怒、死を致す諸慾、畏るべき「ゲエンナ」の火、不義なる人人及び凶惡なる諸敵より救はれん。
潔き女宰よ、神の母として我母の腹より爾を賴みし爾の僕が、凡の葘害及び惡しき風習より救はれんことを爾より生れし主神及び王に祈り給へ。
次ぎて「常に福にして」、聯禱及び其他。
挿句に讚頌、第三調。
我猜忌に因りて樂園より逐ひ出されて、甚しき倒を以て倒れたり。然れども爾は、主宰よ、我を棄てずして、我が爲に我の性を受け、十字架に釘せられ、我を救ひて、我を光榮の中に入れ給ふ。我が贖罪主よ、光榮は爾に歸す。
句 主よ、夙に爾の憐を以て我等に飽かしめよ、然せば我等生涯歡び樂しまん。爾我等を撲ちし日、我等が禍に遭ひし年に代へて、我等を樂しましめ給へ。願はくは爾の工作は爾の諸僕に著れ、爾の光榮は其諸子に著れん。
モイセイは山に於て十字形に手を上に舒べて、アマリクに勝てり。爾は、救世主よ、尊き十字架の上に手を舒べ、我を抱きて、敵の奴隷より救ひ、我に生命の記章を與へて、我が諸敵の弓より脫れしめ給ふ。故に言よ、我爾の尊き十字架に伏拜す。
句 願はくは主吾が神の惠は我等に在らん、願はくは我が手の工作を我等に助け給へ、我が手の工作を助け給へ。
致命者讚詞 聖なる致命者よ、爾等は善き戰を戰ひしに由りて、死の後にも世界の中に光體の如く輝く。故に勇敢を有ちてハリストスに我等の靈を憐まんことを祈り給へ。
光榮、今も、十字架生神女讚詞 至仁なる我がハリストスよ、純潔なる者は爾が木に懸れるを覩て、母として哭きて呼べり、我が至愛の子よ、如何ぞ不法なる會は爾を木に懸くるを定めたる。
水曜日の聖体礼儀に
水曜日の眞福詞、第三調。
ハリストスよ、爾は誡に背きし原祖アダムを樂園より逐ひ出せり。然れども爾、洪恩なる主よ、十字架に在りて爾を承け認めし盜賊、救世主よ、爾の國に於て我を憶ひ給へと呼ぶ者を其中に入れ給へり。
句 義の爲に窘逐せらるる者は福なり、天國は彼等の有なればなり。
我がイイススよ、爾は我が爲に十字架に釘せられ、脅を刺されて、我が爲に二の救の泉を流し給へり。故に我爾の苦に因りて救はれて、爾の仁慈を歌頌讚榮す。ハリストスよ、爾の國に於て我呼ぶ者を憶ひ給へ。
句 人我の爲に爾等を詬り、窘逐し、爾等の事を譌りて諸の惡しき言を言はん時は、爾等福なり。
イイススハリストスよ、爾は罪犯者と偕に算へられて、我等衆の罪犯を任ひ、萬衆の王として棘を冠りて、原祖の罪の棘を根より絕し給へり。故に我等信を以て今爾の苦を讚榮す。
句 喜び樂しめよ、天には爾等の賞多ければなり。
勇敢なる受難者、至りて光榮なる聖致命者よ、爾等はハリストスの苦に效ひて、神聖なる力を以て敵の誘を破り、天の光榮を受けて、我等衆の爲に祈り給ふ。
光榮 三位の惟一者、全能なる分れざる三者、惟一の性及び力よ、爾を歌ふ者を凡の敵の害より覆ひて、彼等に生の中に善を行ひし者の受けたる爾の國を得しめ給へ。
今も 神の母童貞女よ、爾は潔き爾の血より身を受けし者の十字架にあるを見て、哭きて呼べり、子よ、惡しき會は衆信者の生命及び復活たる爾を殺して、何をか是れ爾に報いたる。
水曜日の晩課
「主よ爾に籲ぶ」に聖使徒の讚頌、第三調。
句 主よ、若し爾不法を糾さば、主よ、孰か能く立たん、然れども爾に赦あり、人の爾の前に敬まん爲なり。
洪恩にして獨慈憐なる仁愛の主よ、尊貴神聖なる爾の使徒の祈禱に因りて、爾の諸僕に爾の平安を與へ、爾を歌ひて、信を以て伏拜する者を患難より救ひ給へ。
句 我主を望み、我が靈主を望み、我彼の言を恃む。
我が恩者、神聖なる使徒等よ、爾等が十二の位に坐して、萬民の審判者と偕に凡の造物を審判せん時、我を定罪せられざる者と爲して、幽暗と凡の苦より脫れしめ給へ。
句 我が靈主を待つこと、番人の旦を待ち、番人の旦を待つより甚し。
睿智なる我が恩者、神聖なる使徒等よ、爾等に祈る、神の實見者として、我を凶惡者の矢より脫れしめ、彼の惡謀を滅して、屬神゜の露を以て我を濕し給へ。
次ぎて若し之あらば、月課經の聖人の讚頌。若しなくば、又聖大奇跡者ニコライの讚頌。同調。
句 願はくはイズライリは主を恃まん、蓋憐は主にあり、大なる贖も彼にあり、彼はイズライリを其悉くの不法より贖はん。
我不當の者は蛇に囓まれ、傷つけられて、氣息なき死者として仆されて伏す。至福なる成聖者よ、爾の力ある祈禱を以て速に我を興し給へ、我が爾の速に聽く恩寵を讚榮せん爲なり。
句 萬民よ、主を讚め揚げよ、萬族よ、彼を崇め讚めよ。
詭譎の者は我が靈が惡しき思に昧まされて眠れるを見て、我を捕へんことを務めて息めず、神よ、ニコライの祈禱に由りて我を宥めて救ひ給へ。
句 蓋彼が我等に施す憐は大なり、主の眞實は永く存す。
至福なるニコライよ、爾は我等衆の爲に大なる救と顯れたり、爾の諸僕を凡の危難、患難、誘惑、諸病、攻擊及び見えざる諸敵より救ひ給へばなり。
光榮、今も、生神女讚詞
潔き者よ、爾が奇跡の力は大なり、蓋爾は患難より助け、死より救ひ、待たざる禍より脫れしめ、憂を解き、人人の罪過を除き給ふ。
次ぎて「穩なる光」。本日の提綱。
挿句に使徒の讚頌、第三調。
聖なる使徒等よ、爾等の聲は全地に傳はれり、爾等は偶像の迷を破りて、神を知る智識を傳へたり、福たる者よ、是れ爾等の善なる功勞なり。故に我等は爾等の記憶を歌ひて崇め讚む。
句 天に居る者よ、我目を擧げて爾を望む。視よ、僕の目主人の手を望み、婢の目主婦の手を望むが如く、我等の目は主我が神を望みて、其我等を憐むを俟つ。
光榮なる使徒等よ、爾等は生を施す葡萄の枝と爲りて、敬虔の實として自ら己を神に獻じたり。故に彼の前に勇敢を有ちて、我等の靈に平安と大なる憐とを賜はんことを祈り給へ。
句 主よ、我等を憐み、我等を憐み給へ、蓋我等は侮に饜き足れり、我等の靈は驕る者の辱と誇る者の侮とに饜き足れり。
主よ、爾の致命者は信にて固められ、望にて强くせられ、爾の十字架を愛する愛にて靈を合せられて、諸敵の强暴に勝てり。故に榮冠を享けて、無形の者と共に我等の靈の爲に祈り給ふ。
光榮、今も、生神女讚詞
童貞女よ、我多く罪を犯す者を爾の大なる禱を以て苦の火より脫れしめ給へ。潔き者よ、爾の祈禱を以て我を直くし、爾の母たる禱にて我を救の途に向はしめ給へ。
水曜日の晩堂課
至聖なる生神女に奉る祈禱の規程。第三調。
第一歌頌
イルモス 昔神妙の瞬にて水を一區に匯め、又イズライリ人の爲に海を分ちし者は、是れ崇め讚めらるる吾が神なり。我等獨彼に歌はん、彼光榮を顯したればなり。
生神女よ、我に痛悔の歎と靈の淚とを與へ給へ、我が多くの罪過及び良心の不正の爲に泣きて、爾の慈憐を蒙らん爲なり。
童貞女よ、我意念にて躓き、滅兦の淵に陷りて、今爾の援助を求む。我が弱りたる靈を神の誡の堅き石の上に動なく建て給へ。
光榮 我は果を結ばざる無花果樹にして、我が神造物主が我を斫りて火に投ぜんことを定むるを畏る。女宰よ、速に我に善行の果を結ぶ痛悔を與へ給へ、我が爾を讚榮せん爲なり。
今も 王の淸き宮たるべき吾が心は我不當なる諸慾にて之を汚せり。神の恩寵を蒙れる至淨なる者よ、祈る、之を潔めて、貞潔と潔き度生と善行とを以て飾り給へ。
第三歌頌
イルモス 言にて造られ、聖神にて備へらるる萬物を無より出しし至上なる全能者よ、爾の愛に我を固め給へ。
我と戰ひ我を攻むる者多し、我を環る者より遁るる路なし。潔き者よ、我の祈を棄つる勿れ。
我多くの惡、多くの吾が罪に壓せられて、天の高きに目を擧ぐる能はず。至淨なる者よ、爾我に赦を與へ給へ。
光榮 凶惡なる蛇は每日我が卑しき靈を裂かんことを謀る。生神女よ、彼が靈を滅す齒を折き給へ。
今も 生神女よ、我爾の僕を凡の禍及び罪の暴風より脫れしめ、爾の祈禱を以て我を救の港に向はせ給へ。
第四歌頌
イルモス 主よ、爾は强き愛を我等に顯せり、我等の爲に爾の獨生子を死に付したればなり。故に我等感謝して爾に呼ぶ、主よ、光榮は爾の力に歸す。
我が罪の淵と亂れたる意念の烈しき暴浪とを思ひて慄く。至淨なる者よ、爾我を導きて穩なる港に向はしめ給へ。
無感覺は我が靈に至りて、我生の中に行ひし惡を忘れたり。至淨なる者よ、爾我に行ひしことを痛悔するを得しめ給へ。
光榮 神の母よ、我に淚の流を與へて、諸慾の火を滅し、我が智慧を壓する世俗の暴浪を鎭め、聖神の火を以て罪の棘を焚き給へ、爾は我の帲幪、我の美譽なればなり。
今も 我惡しき思の暴浪に全く溺らされ、常に失望の深處に引かれて、爾に呼ぶ、女宰よ、我爾の僕を救ひ給へ。
第五歌頌
イルモス イサイヤは預象に於て崇き寶座に坐して光榮の諸天使に繞らるる神を見し時に籲べり、噫 我 禍なる哉、我肉體を取る神、暮れざる光と平安とを司る者を預見せり。
女宰よ、爾は吾が靈の病、體の不能、吾が智慧の柔弱と變り易きとを知る。故に爾の慈憐と恩寵とを我に獲しめ給へ、我が爾の帲幪の下に救はれて、爾を讚榮せん爲なり。
純潔なる女宰よ、爾の仁愛の宏恩を我が爲に閉す勿れ。傷感を抱きて爾に來る者に爾の慈憐及び諸罪の潔淨と赦免とを與へ給へ、我が感謝して爾の偉大なるを歌はん爲なり。
光榮 童貞女よ、徒に我を惡み、我を攻むる者は今我が首の髮よりも多くなりて、我を執へて己の獲と爲さんと謀る。潔き者よ、彼等を辱かしめて返らしめ給へ。
今も 平安の王を生みしに因りて世界に平安、衆人に救を賜ひし潔き童貞女よ、我が靈と體との諸慾の戰を救世主ハリストスを畏るる畏と彼を愛する愛とを以て平安ならしめ給へ。
第六歌頌
イルモス 今を限の淵は我を圍み、我が靈は亾びんとす。祈る、主宰敎導者よ、爾の高き手を伸べて、我をペトルの如く救ひ給へ。
地上に在りし者の中思と言と行とに於て惡を以て我に超ゆる者なし。故に女宰よ、我爾の仁愛を求む、我に慈憐を垂れ給へ。
罪惡行はれて常に悲哀を生む、故に我等今苦しき禍に圍まる。獨ハリスティアニン等の救なる者よ、我等を助け給へ。
光榮 生神童貞女よ、爾は生みし後にも潔き者と顯れたり。故に爾が生みし者に、我等爾の諸僕が凡の敵の害より救はれんことを常に祈り給へ。
今も 神の言よ、爾の至淨なる母、衆預言者と致命者、及び聖にせられし門徒の祈禱に由りて、我等に平安と諸罪の潔淨とを與へ給へ。
次ぎて主憐めよ、三次、光榮、今も、
坐誦讚詞、第三調。
至淨なる者よ、我多くの怠惰の中に我が生を送れり、今は我が時の終に近づきて、我が諸敵が我の靈を執へて滅亾の深處に墜さんことを畏る。純潔なる童貞女よ、爾の僕を憐みて、我を其迫害より救ひ給へ。
第七歌頌
イルモス 昔敬虔なる三人の少者をハルデヤの焰に凉しくせし如く、我等をも神性の明るき火にて輝かし給へ、吾が先祖の神よ、爾は崇め讚めらると呼べばなり。
女宰よ、我體と靈とに汚され、不潔の行に盈ちたる者は爾潔淨無玷なる神の母の慈憐を賴みて祈る、至淨なる者よ、我を憐み給へ。
我が罪の多く、我が惡の甚しきを思へば、我が心痛く惑ひて、我を失望の深處に引く。至淨なる女宰よ、爾我烈しく溺らされて亾ぶる者を救ひ給へ。
光榮 至仁なる主よ、爾が仁慈の宏恩の多きを以て我が罪の多きを蔽ひて、我等の爲に寬容の者と爲り給へ。蓋我等默さずして呼ぶ、主吾が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
今も 祝讚せらるる者よ、諸慾の塵、憂愁の深、世俗の禍より無慾と潔き樂とに我等を移し給へ。蓋我等呼ぶ、爾は獨神の恩寵を蒙れる者なり。
第八歌頌
イルモス 敬神の少者は無形の火にて物質の火の焰を滅して歌へり、主の悉くの造物は主を崇め讚めよ。
逸樂の苦味は肉體の感覺を經て、吾が靈を甚しく汚して、死に至らしむ。世界の女宰よ、我が爲に救と爲り給へ。
女宰よ、我靈と心と肉體とを爾に託せり、我に爾の外に佗に慈憐を受くべき賴なければなり。故に爾の豐なる慈憐と恩寵とを我に與へ給へ。
光榮 蛇は潛に近づきて、肉體の逸樂の毒を以て甚しく吾が不當なる靈を害せり。潔き者よ、爾の祈禱の良藥を以て之を活かし給へ。
今も 神救世主、平安の君を生みし童貞女よ、速に世界に平安を遣さんことを彼に祈り給へ、我等が平安の中に彼を讚榮せん爲なり。
第九歌頌
イルモス 我等は爾焚かれぬ棘及び聖なる童貞女、光の母及び生神女、我等衆の倚賴なる者を崇め讚む。
潔き者よ、吾が靈の諸慾の思念の汚を潔めて、我に無慾の美しき衣を衣せ給へ。
童貞女よ、我に痛悔の神聖なる門を啓き、我が諸慾と逸樂との門を閉して、爾の力を以て之を禁め給へ。
光榮 純潔なる童貞女よ、我が歎の聲、我が泣聲を聽きて、我が不當なる靈に潔淨と拯救とを與へ給へ。
今も 童貞女よ、預言者ダニイルは日の老いたる者が寶座に坐するを見し時、其時又實に嚴に爾の產を見たり。
次ぎて「常に福にして」、及び躬拜。聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞。其他常例の如し、幷に發放詞。
木曜日
木曜日の早課
第一の誦文の後に坐誦讚詞、第三調。
皆來りて、使徒等を敎導師として崇め讚めん、彼等は偶像の迷を虛しくし、人人を生命の光に導き、聖三者を信ぜんことを敎へたればなり。故に我等信者は今彼等の尊き記憶を行ひて、ハリストス我が神を讚榮す。
句 其聲は全地に傳はり、其言は地の極に至る。
主よ、爾は使徒等の記憶を輝せり、蓋全能者として彼等を爾の苦に效はん爲に堅め給へり。彼等は勇ましく敵の力に勝てり、故に諸病を醫す恩寵を受けたり。人を愛する主よ、彼等の祈禱に因りて爾の民に平安を與へ給へ。
光榮、今も、生神女讚詞
生神女よ、爾は無原なる父と一體なる悟られず形られぬ主を奧密に爾の腹に容れ給へり。我等は聖三者の惟一にして混淆せざる神性を曉りて、爾の產を世界に讚榮す。故に感謝して爾に呼ぶ、恩寵を蒙れる者よ、慶べ。
第二の誦文の後に坐誦讚詞、第三調。
使徒等は神の言の流を全地に飮ませしに、信の穗は生じて、世界の四極に充ち、稗は皆斫られたり。故に彼等は衆をハリストス神に導きて、造られざる聖三者の名に因りて洗を授けたり。
句 諸天は神の光榮を傳へ、穹蒼は其手の作爲を誥ぐ。
再上の坐誦讚詞を誦すべし。
句 神よ、爾は爾の聖所に於て嚴なり。
聖なる受難者よ、慈憐なる神に我等の靈に諸罪の赦を賜はんことを祈り給へ。
光榮、今も、生神女讚詞
至淨なる者よ、爾が實に生神女たるを預言者は傳へ、使徒は敎へ、致命者は承け認め、我等は信じたり。故に爾の產を崇め讚む。
第三の誦文の後に坐誦讚詞、第三調。
ハリストスよ、爾は慈憐なるに由りて、爾の使徒等を地の四極に遣ししに、彼等は銳く尖りたる箭の如く、凡の不虔と妄信とを殪し、救の敎を植ゑたり。宏恩なる主よ、彼等の祈禱に因りて我が靈に平安を與へ給へ。
聖ニコライよ、我等爾眞實の傳道師、世界の最光明なる燈を讚め歌ひて、信を以て祈りて呼ぶ、無罪の者を死より脫しし如く、斯く我等をも諸の災禍、憂愁、及び凡の害より救ひ給へ。
光榮、今も、生神女讚詞
純潔なる女宰よ、多くの罪にて殺されたる我が靈を活かし給へ、爾の子の前に母の勇敢を有てばなり。蓋爾獨智慧及び明悟に超えて父及び聖神と同無原なる言、常に世界に生命と不朽と大なる憐とを賜ふ主を生み給へり。
光榮にして讚美たる聖使徒の規程。フェオファンの作。第三調。
第一歌頌
イルモス 昔神妙の瞬にて水を一區に匯め、又イズライリ人の爲に海を分ちし者は、是れ崇め讚めらるる吾が神なり。我等獨彼に歌はん、彼光榮を顯したればなり。
來りて、我等は敎會の柱、信の基、敬虔の礎、衆信者を堅むる聖使徒等を崇め讚めん、彼等の祈禱に由りて救を得ん爲なり。二次。
義なる審判者よ、我放蕩の者は畏れて審判に先だちて自ら己を定罪す、無數の惡しき行を有てばなり。故に爾に祈る、望を失ひし我を爾の使徒の神聖なる祈禱に由りて救ひ給へ。
敬虔の動かざる柱よ、我敵の誘惑に因りて躓きて地に伏し、難に遭ひて惑へる者を起し給へ、我が犯したる罪の赦を得ん爲なり。
生神女讚詞 潔き者よ、聖預言者、使徒、致命者と偕に爾より身を取りし主に切に祈り給へ、願はくば彼は我が悉くの肉慾を殺して、我等に永遠の生命を賜はん。
又聖大奇跡者ニコライの規程。イオシフの作。第三調。
第一歌頌
イルモス 紅の海に至妙なる奇蹟を行ひし主に歌はん、蓋彼は海を以て敵を掩ひ、イズライリを救ひ給へり。我等獨彼に歌はん、彼光榮を顯したればなり。
至りて光明なる滅えざる燈、地上に建てられし柱、神聖なる港に送る嚮導師たるニコライを我等衆常に世俗の浪に溺らさるる者は尊みて、愛を以て讚美せん。
至福なるニコライよ、爾は神の力に堅められて、智慧に適ふ敬虔の熱心を得たり、故に非義に死に定められし者を救へり。祈る、我等を凡の非義なる侵害より救ひ給へ。
神父よ、爾絕えず主に禱を獻げ給へ、彼が獨仁慈なるに因りて、我等を諸の罪、災禍、憂愁及び永遠の火の苦より脫れしめん爲なり。
生神女讚詞 神聖なる慈憐の言ひ難き淵に由りて我等の悉くの不法を除く立法者を容れ給ひし神聖の約匱たる至りて潔きマリヤを我等同心に讚め歌はん。
第三歌頌
イルモス 言にて造られ、聖神にて備へらるる萬物を無より出しし至上なる全能者よ、爾の愛に我を固め給へ。
世界の四極を神聖なる敎に充てたるハリストスの實見者よ、吾が靈を義德の行及び善なる思に充て給へ。二次。
ハリストスの門徒よ、我を凶惡者の多くの誘惑、及び凡の憂愁、凡の災難、凡の侵害より脫れしめ給へ。
嗚呼我が不當にして卑微なる靈、屢罪を犯して神を怒らする者よ、惡を行ふを息めずして、如何ぞ之を赦すを求めん。
生神女讚詞 イアコフの見たる神聖なる梯、此に緣りて神が降りて我等を升す者よ、使徒等と偕に我等を宥めんことを切に祈り給へ。
又
イルモス 果を結ばざる子なき靈よ、榮えたる果を獲て、樂しみて呼べ、神よ、我爾に因りて堅められたり、主よ、爾の外に聖なるはなく、義なるはなし。
睿智なる神父ニコライよ、爾は磨ぎたる屬神゜の劍と顯れて、異端者の惡しき稗を斫り、信者の爲に諸德の救の道を平にし給ふ。
聖なる者よ、我等は爾醫治の流を注ぐ泉に祈る、爾の祈禱を以て我等衆の諸慾の汚を洗ひて、我等を災禍及び憂患より脫れしめ給へ。
爾の力ある祈禱にて敵を倒す神父ニコライよ、今も諸慾の攻擊に由りて弱りたる我等の意念を爾の聖なる祈禱を以て堅め給へ。
生神女讚詞 純潔なる神の母よ、智慧に超ゆる爾の產を智慧は悟る能はず。故に爾に祈る、我が智慧に恩寵を與へて、常に爾を讚榮せしめ給へ。
第四歌頌
イルモス 主よ、爾は强き愛を我等に顯せり、我等の爲に爾の獨生子を死に付したればなり。故に我等感謝して爾に呼ぶ、主よ、光榮は爾の力に歸す。
言よ、爾は使徒等を電の如く、暮れざる日の光線の如く世界の四極に遣して、衆を照し、無神の幽暗を拂ひ給へり。二次。
言よ、甚しき罪の海は我を溺らし、不當なる思の暴浪は我が卑微なる靈を擾す。舵手なる主よ、爾の門徒の祈禱に由りて我を救ひ給へ。
主宰よ、我爾の畏るべき降臨を思ひて慄く、審判に先だちて吾が衷に我を定罪する良心及び我が無感覺を責むる苦痛を有てばなり。
生神女讚詞 童貞女・神の少女より生れし神の言・救世主よ、彼及び爾の睿智なる使徒の聖なる轉達に由りて、我等の靈を凡の侵害と凡の患難より救ひ給へ。
又
イルモス 潔き者よ、アウワクムは樹蔭繁き山として爾の至淨なる體を預見して籲べり、神は南より、聖なる者は樹蔭繁き山より來らん。
神父ニコライよ、凡の信者は常に爾を神の前に轉達者として進む。故に爾に祈る、我等を烈しき誘惑及び罪の墮落より脫れしめ給へ。
睿智にして至福なる神父よ、爾は心の中に活ける水として主の恩寵を有ちて、常に患難の火及び諸罪の旱に惱まされて滅びんとする者を濕し給ふ。
昔非義に死に曳かるる者を救ひし至福なる者よ、今我等をも害を爲す人人の攻擊及び凡の惡鬼の誘惑より救ひ給へ。
生神女讚詞 至淨なる者よ、爾は最多き慈憐に因りて人體を取りし言を言ひ難く生み給へり。彼に我等衆を肉慾の汚及び凡の度生の患難より救はんことを祈り給へ。
第五歌頌
イルモス 人を愛する主よ、爾は見えざる者にして地に現れ、悟り難き者にして甘じて人人と偕に居りたり。我等朝の禱を奉りて爾を讚め歌ふ。
ハリストスよ、爾は地上に身を取りて、門徒等を爾の光榮を傳ふる天と爲し給へり。主よ、彼等に由りて我等の靈を憐み給へ。二次。
言よ、爾の諸僕を爾の使徒等の納れらるべき祈禱に由りて、諸慾及び凡の患難と烈しき攻擊より脫れしめ給へ。
嗚呼我が慾に耽りたる靈よ、結果なき者にして、如何ぞ爾は畏るべき審判の前に立たん、速に痛悔して、諸德の果を結べ。
生神女讚詞 潔き者よ、爾の淨き血より身を取りて、言ひ難く地に現れし主に、其爾の子たるに因りて、我等に潔淨を賜はんことを常に祈り給へ。
又
イルモス ハリストス神よ、爾の暮れざる光にて我が謙卑の靈を照して、爾を畏るる畏に導き給へ、爾の誡は光なればなり。
至りて潔き光の前に立ちて、常に彼處より出づる光線に照さるる神父よ、衆の爲に潔淨と平安とを求め給へ。
至仁の主よ、無智なる意念を以て衆人に超えて爾を怒らする我をニコライの熱切なる祈禱に因りて宥め給へ。
神父ニコライよ、我怠惰の中に吾が生を費して、爾に祈る、我が汚たれる思を痛悔に起し給へ。
生神女讚詞 天使等の歡喜たる、獨恩寵を蒙れる者よ、我が憂ひて煩悶に沈める心を歡喜に充て給へ。
第六歌頌
イルモス 今を限の罪の淵は我を圍み、我が靈は亾びんとす。祈る、主宰敎導者よ、爾の高き手を伸べて、我をペトルの如く救ひ給へ。
使徒の會よ、屬神゜の睿智の河を流し、世俗の意念の流を涸らして、敬虔の者の會に飮ましめ給へ。二次。
我が卑微なる靈よ、歎息し、流涕し、主に籲びて曰へ、我爾に罪を獲たり、仁慈なる主よ、爾の睿智なる使徒の祈禱に因りて我を潔め給へ。
諸慾の河は溢れて、吾が靈の家を溺らせり。屬神゜の河たる使徒等よ、殘はれたる我を新にして活かし給へ。
生神女讚詞 ハリストスよ、使徒の會は爾を生みし者と偕に祈る、仁慈の主、寬容なる神として爾の諸僕に潔淨と平安とを降し給へ。
又
イルモス 諸慾の深處は我を沈め、逆風の狂暴は起りて我を攻む。救世主よ、急ぎて我を救ひ、預言者を猛獸より救ひし如く、我を淪滅より脫れしめ給へ。
睿智者よ、爾は節制を以て肢體を制して、老いざる生命を得たり。祈る、我等をも爾の祈禱に因りて、之に與る者と爲して、罪惡を脫れしめ給へ。
睿智なる成聖者よ、爾の聖にせられし祈禱の帆を以て我等を多種の誘惑の海及び罪の深處より脫れしめて、生命の港に送り給へ。
成聖者よ、爾はミラ リキヤの寶座の飾と爲りて、司祭諸長の裝飾と顯れたり。祈る、爾の祈禱を以て我等を世の誘に惱まされざる者として護り給へ。
生神女讚詞 潔き母よ、爾の胎に入りし言は惟一の神として、慈憐の多きを以て、昔犯罪に由りて人人の中に入りし朽壞を外に逐ひ給へり。
第七歌頌
イルモス 昔三人の少者はペルシヤ人の尊める金の像に伏拜せずして、爐の中に歌へり、先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
光明なる使徒等よ、世界の光なるハリストスは爾等を迷の幽暗を拂ひ、信者の智慧を照す光と顯し給へり。二次。
神の聲たる使徒等よ、我等に向ひて設くる所の敵の網を破りて、爾等に趨り附く我等の爲に痛悔の途を平にし給へ。
神の言を傳へし主の使徒等、神聖なる鹽たる者よ、肉慾に因りて朽ちたる吾が靈を潔めて活かし給へ。
生神女讚詞 イアコフの榮たる者よ、祈る、爾の潔き血より生れし主に今使徒等と偕に祈りて、諸德の華美を以て我を飾り給へ。
又
イルモス 三人の少者は爐に於て聖三者を像りて、火の恐嚇を履み、歌ひて呼べり、我が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
神父ニコライよ、爾は眞實の牧師長として、昔主の民を害する狂暴なるアリイを爾の言の縲絏にて縛り給へり。
神父ニコライよ、爾は潔く爾の至聖なる度生を終へて、今諸聖人と偕に居りて、敬虔に爾を讚美する者に成聖と光照とを遣し給ふ。
神父ニコライよ、我等は爾を備はりたる保護者、熱心なる轉達者として常に呼ぶ、我等を諸慾及び我等に及ぶ所の俟たざる誘惑より脫れしめ給へ。
生神女讚詞 光を生みし潔き者よ、簡慢に由りて靈を昧ましし我を照して、吾が心の燈を燃し給へ、我が熱心に爾を讚榮せん爲なり。
第八歌頌
イルモス 敬虔の範たる少者は堪へ難き火に入れられしに、焰に惱まされずして、神聖なる歌を歌へり、主の悉くの造物は主を崇めて、萬世に讚め揚げよ。
我凶惡者の誘惑に因りて諸慾の武器にて傷つけられ、無智にて心を殘へり。靈體の醫師たる光榮なる使徒等よ、我全身病める者を醫し給へ。二次。
聖なる傳道師の言は全地に傳はりて、正しく惟一の神、聖三者の一の性、一の能力、一の權柄を萬世に尊まんことを敎へたり。
主宰よ、我多くの罪を行ひ、常に罪惡に在りて爾の神聖なる恒忍を盡しし者を憐みて、痛悔に召し給へ、爾は、言よ、我の不能と怠惰と無智とを知ればなり。
生神女讚詞 神聖なる熾炭を言ひ難く執りし神聖なる鉗たる至りて潔き生神女よ、爾及び讚美たる聖使徒等の祈禱の露を以て我が諸慾の燃ゆる炭を滅し給へ。
又
イルモス 至高きに天使等より默さずして讚榮せらるる神を、諸天の天と地、山と岡と深處、及び悉くの人類は、歌を以て造成主及び贖罪主として崇め讚めて、萬世に讚め揚げよ。
克肖者よ、爾は溫柔なる者と爲りて、溫柔なる者の地を嗣ぎたり。故我信を以て爾に祈る、常に我と戰ふ凶惡者の暴浪を爾の祈禱を以て鎭め給へ。
聖ニコライよ、爾は非義に死に定められたる軍將を救ひし如く、斯く救世主に祈りて、我等を惡しき人人の侵害及び凡の惡鬼の詭計より救ひ給へ。
聖ニコライよ、爾は人人に正直なる救の道を示せり、生を度る我等を爾の祈禱に因りて之に向はしめ給へ、我等が共に生命の門に入らん爲なり。
生神女讚詞 至淨なる者よ、爾より生れし主は我が力我が歌なり。童貞女よ、慾に由りて弱りたる我を堅めて、彼の救の戒を行はしめんことを切に彼に祈り給へ。
次ぎて生神女の歌を歌ふ、「我が靈は主を崇め」、拜と共に。
第九歌頌
イルモス 我等信者は影及び文なる律法に於て預象を見ん、凡そ始めて生るる男子は神に獻げられたり。故に我等は無原の父より始めて生れし言、夫なき母より始めて生れし子を崇め讚む。
爾の門徒等の言にて地の四極を固めし無原なる父の言よ、無智の慾に躓きて、惡鬼の誘惑を以て溺らさるる我を彼等の祈禱に由りて宥め給へ。二次。
諸慾の奴隷と爲りし我が靈よ、我等の爲に苦を受けし主に禱を獻げよ、彼が其肉體の苦に效ひし聖なる門徒の祈禱に由りて、爾を永遠の苦より救はん爲なり。
ハリストスの門徒等よ、主と偕に坐して審判に服する者を審判せん時、不當の行にて汚されたる吾が靈を定罪せられざる者として護り給へ、爾等は我が善なる保護者及び世界の轉達者なればなり。
生神女讚詞 諸聖の聖なる神を智慧及び言に超えて生みし潔き童貞女、至淨なる童貞女、ハリストスの宮、至聖なる童貞女よ、聖なる使徒等と偕に衆人の爲に祈り給へ。
又
イルモス モイセイはシナイ山に於て棘の中に、爾を焚かれずして神性の火を胎内に孕みし者として觀、ダニイルは爾を截られざる山として觀、イサイヤは芽を萌しし杖、ダワィドの根より出でし者なりと呼べり。
神父ニコライよ、地上の世界は爾を神聖なる垣墻と保固、及び善き避所として獲たり、蓋我等は常に爾の轉達に因りて凡の誘惑及び侵害より救はる。故に我等信を以て爾を歌ひて崇め讚む。
至福なる者よ、我多くの攻擊に狹められて、爾の熱心なる祈禱の廣きに趨り附きて、爾に呼ぶ、吾が靈の病を醫し、失望の浪を鎭め、我が智慧の紛擾を治め給へ。
造成主は來りて、全地を審判せん、我不當にして備なき者は我が惡事の多きを思ひて慄く。恒忍なる主よ、爾の克肖者ニコライの神聖なる祈禱に由りて我を宥めて救ひ給へ。
生神女讚詞 光を生みし童貞女よ、爾は我が救の光照と顯れて、吾が靈の暗黑なる雲を拂ひ給へり、我が爾の祈禱に由りて聖なる事を行ひて晝の子と爲らん爲、歌頌の中に敬みて爾を讚美せん爲なり。
次ぎて「常に福にして」、聯禱及び光耀歌。
挿句に讚頌、第三調。
聖なる使徒等よ、爾等の聲は全地に傳はれり、爾等は偶像の迷を破りて、神を知る知識を傳へたり、福たる者よ、是れ爾等の善なる功勞なり。故に我等は爾等の記憶を歌ひて崇め讚む。
句 主よ、夙に爾の憐を以て我等に飽かしめよ、然せば我等生涯歡び樂しまん。爾我等を撲ちし日、我等が禍に遭ひし年に代へて、我等を樂しましめ給へ。願はくは爾の工作は爾の諸僕に著れ、爾の光榮は其諸子に著れん。
ハリストスの誡を玷なく守りし聖なる使徒等よ、爾等は費なく受け、費なく與へて、我等の靈と體との苦を醫し給ふ。故に勇敢を有ちて彼に我等の靈の憐を蒙らんことを祈り給へ。
句 願はくは主吾が神の惠は我等に在らん、願はくは我が手の工作を我等に助け給へ、我が手の工作を助け給へ。
聖なる致命者よ、爾等は善き戰を戰ひしに由りて、死の後にも世界の中に光體の如く輝く。故に勇敢を有ちてハリストスに我等の靈を憐まんことを祈り給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 爾は種なく聖神に由りて孕み給へり。故に我等爾を讚榮して歌ふ、至聖なる童貞女よ、慶べ。
次ぎて「至上者よ、主を讚榮し」、第一時課、及び發放詞。
木曜日の聖体礼儀に
木曜日の眞福詞、第三調。
ハリストスよ、爾は誡に背きし原祖アダムを樂園より逐ひ出せり。然れども爾、洪恩なる主よ、十字架に在りて爾を承け認めし盜賊、救世主よ、爾の國に於て我を憶ひ給へと呼ぶ者を其中に入れ給へり。
句 義の爲に窘逐せらるる者は福なり、天國は彼等の有なればなり。
使徒等よ、爾等は十字架の杖を以て人人を無知の深處より引き出し、エㇽリンの迷を地より拂ひて、實に信者を救ふ者と爲れり。故に讚美せらる。
句 人我の爲に爾等を詬り、窘逐し、爾等の事を譌りて諸の惡しき言を言はん時は、爾等福なり。
光榮なる使徒等よ、爾等は義の日の靈妙なる光線及び光明と爲りて、邪敎の黑暗を拂ひ、衆人を神を知る智識の光に導き給へり。故に我等は爾等を尊む。
句 喜び樂しめよ、天には爾等の賞多ければなり。
睿智なる聖受難者よ、爾等は苦の火を忍びて、上より恩寵の露を承け、ハリストスの悅を爲す者として恒に人人の苦を醫し給ふ。故に我等信を以て爾等を尊む。
光榮 三者の聖にせられし傳道師ペトルとパワェル、マルコとルカ、マトフェイ、シモン、イアコフ、アンドレイ、イオアン、フォマ、ワルフォロメイ、及び睿智なるフィリップよ、我等が凡の患難より救はれんことを常に熱心に彼に祈り給へ。
今も 使徒の飾、聖受難者の歡喜たる神の恩寵を蒙れる女宰よ、我等衆の爲に救世主及び神に祈り給へ、我等が諸罪の赦を受けて、神聖なる生命に與る者と爲らん爲なり。
木曜日の晩課
「主よ、爾に籲ぶ」に十字架の讚頌、第三調。
句 主よ、若し爾不法を糾さば、主よ、孰か能く立たん、然れども爾に赦あり、人の爾の前に敬まん爲なり。
主よ、爾は神の性を以ては苦に與らざる者にして、爾の人の性を以て苦を受け、十字架に釘せられ、戈にて脅を刺されて、是より我が爲に言ひ難き機密の二の河を流し給へり。
句 我主を望み、我が靈主を望み、我彼の言を恃む。
萬有の王よ、爾は棘を以て編みたる冕を戱に冠らせられて、罪の棘を根より絕せり。救世主よ、爾は葦を手に執りて、我等衆爾を信ずる者を上の書に錄し給へり。
句 我が靈主を待つこと、番人の旦を待ち、番人の旦を待つより甚し。
寬容なるハリストスよ、エウレイ人の不義なる嫉妬は爾を十字架に釘して後、爾が死せし後にも敢て息まざりき、殘忍の者は爾を惑はす者なりと讒して、ピラトに爾の墓を守るを求めたり。嗚呼醫されぬ怒や。
又 至聖なる生神女の讚頌、同調。
句 願はくはイズライリは主を恃まん、蓋憐は主にあり、大なる贖も彼にあり、彼はイズライリを其悉くの不法より贖はん。
爾の腹より出でて輝きし入らざる日の十字架に在りて入りたるを見し時、爾は靈に痛く悲しみて呼べり、甘じて入りたる日よ、復輝きて、我及び世界を照し給へ。
句 萬民よ、主を讚め揚げよ、萬族よ、彼を崇め讚めよ。
生ける者と死せし者とを審判せん爲に來らんとする主を生みし女宰よ、病みて死したる吾が靈を痛悔に由りて爾の子の脅より流れたる神聖なる血を以て活かして、我を其生活の誡を行ふ者と顯し給へ。
句 蓋彼が我等に施す憐は大なり、主の眞實は永く存す。
牝羊及び母は云へり、子よ、我產苦なくして爾を生みし時、憂及び悲の闇を脫れたり、然れども今は、吾が主宰よ、爾が十字架に擧げられしを見て、苦しき矢は吾が心を貫き、我無量の哀に沈む。
光榮、今も、十字架生神女讚詞 至淨なる者は呼べり、言よ、爾の釘せらるるに由りて世界は憐を蒙り、造物は照され、異邦人は救を得たり、唯我は今爾主宰の自由なる苦を見て心裂かる。
挿句に讚頌、第三調。
ハリストスよ、我等は爾の尊き十字架、世界の守護、我等罪人の拯救、大なる潔淨、諸王の勝利、全世界の美譽なる者に伏拜す。
句 天に居る者よ、我目を擧げて爾を望む。視よ、僕の目主人の手を望み、婢の目主婦の手を望むが如く、我等の目は主我が神を望みて、其我等を憐むを俟つ。
モイセイは山に於て十字形に手を上に舒べて、アマリクに勝てり。爾は、救世主よ、尊き十字架の上に手を舒べ、我を抱きて、敵の奴隷より救ひ、我に生命の記章を與へて、我が諸敵の弓より脫れしめ給ふ。故に言よ、我爾の尊き十字架に伏拜す。
句 主よ、我等を憐み、我等を憐み給へ、蓋我等は侮に饜き足れり、我等の靈は驕る者の辱と誇る者の侮とに饜き足れり。
主よ、爾の十字架の能力は大なり、蓋一の處に建てられて、全世界に行動し、漁者の中より使徒、異邦人の中より致命者を現して、我等の靈の爲に祈らしむ。
光榮、今も、十字架生神女讚詞 我が至仁なるハリストスよ、純潔なる者は爾が木に擧げられしを見て、母として泣きて呼べり、吾が至愛の子よ、如何ぞ不法なる會は爾を十字架に擧げたる。
木曜日の晩堂課
至聖なる生神女の規程。第三調。
第一歌頌
イルモス 昔神妙の瞬にて水を一區に匯め、又イズライリ人の爲に海を分ちし者は、是れ崇め讚めらるる吾が神なり。我等獨彼に歌はん、彼光榮を顯したればなり。
至淨なる者よ、我爾、預言者アウワクムが神゜を以て預見せし樹蔭繁き山に祈る、慾の火に苦しめる我を爾の蔭に蔽ひて、死の蔭の甚しき患難より脫れしめ給へ。
潔き者よ、爾の子の神聖なる脅より出でし神聖なる血の注ぐを以て吾が心の疵を滌ひ給へ、我が宜しきに合ひて爾永福無玷なる者を崇めて讚榮せん爲なり。
光榮 潔き者よ、爾は父と同じく行爲する言、人の性を神成せし主を生み給へり。彼に祈りて、我惑ひて敵の惡謀に因りて弱りたる者に神聖なる慰を得しめんことを求め給へ。
今も 童貞女よ、爾の神聖なる祈禱を以て我に諸罪の潔淨を與へ給へ、女宰よ、爾の祈禱は有能なればなり。爾を歌ふ者をも諸罪、諸慾、憂愁、患難より脫れしめ給へ。
第三歌頌
イルモス 言にて造られ、聖神にて備へらるる萬物を無より出しし至上なる全能者よ、爾の愛に我を固め給へ。
慈憐にして至淨なる童貞女よ、仁愛の言ひ盡されぬ、宏恩の富める主に我等苦しめらるる者を宥めんことを祈り給へ。
萬有の造成主の殿たる潔き童貞女よ、我靈を害する盜賊の巢窟と爲りし者の中に撫恤者の入らんことを祈り給へ。
光榮 神として萬有を持つ主を己の手に抱きし生神女よ、我を眷みて、諸慾に傾ける不當の意思より脫れしめ給へ。
今も 至淨なる生神女よ、祈る、我に爾の至大なる慈憐を啓きて、我が爲に患難の中に於て熱心なる扶助及び拯救と爲り給へ。
第四歌頌
イルモス 主よ、爾は强き愛を我等に顯せり、我等の爲に爾の獨生子を死に付したればなり。故に我等感謝して爾に呼ぶ、主よ、光榮は爾の力に歸す。
神として甘じて創傷と屠殺とを忍び給ひしハリストス、獨慈憐の多き主よ、惡鬼の殘酷なる攻擊にて傷つけられし吾が靈を爾を生みし者の祈禱に由りて醫し給へ。
造成主ハリストスよ、我は爾の手の工業及び造物なり、蛇の惡謀は度生の逸樂を以て我を壞れり。故に言よ、爾を生みし者の祈禱に由りて我を新にし給へ。
光榮 獨一の永貞童女よ、爾は言に超えて父の言、人人を凡の無知より解く主を生み給へり。切に彼に我無知なる逸樂の擒と爲りし者を解かんことを祈り給へ。
今も 至聖なる幕、光の居處、絕えず衆に香料を注ぐ器たる純潔なる神の聘女よ、爾は常に手より我等に醫治を流し給ふ。
第五歌頌
イルモス イサイヤは預象に於て崇き寶座に坐して光榮の諸天使に繞らるる神を見し時に籲べり、噫 我 禍なる哉、我肉體を取る神、暮れざる光と平安とを司る者を預見せり。
童貞女、光れる雲よ、我が肉體の病及び靈の憂を醫して、煩悶の雲を拂ひ給へ。我歌ひて、愛を以て爾を讚榮する者に壯健を與へ、諸難より脫るるを得しめ給へ。
童貞女よ、我凡の罪に盈ちたる者は爾より生れし主に今爾を轉達者及び祈禱者として進む。我が生命の改造者と爲り、我を神聖なる智識の途に嚮導する者と爲り給へ。
光榮 童貞女よ、我が智慧を聖にし、靈を照し、我を神聖なる光榮に與る者と爲し給へ。蓋視よ、我惡に盈ち、凡の逸樂の奴隷と爲り、我が良心を汚せり。
今も 靈に豐なる飮料を與ふる美しき房を生ぜし神聖なる葡萄たる生神女よ、爾我に其甘味を飮ませ、逸樂の醉を醒まして、我を救ひ給へ。
第六歌頌
イルモス 人を愛する主よ、凶惡なる諸敵に攻められて、將に亾びんとする我等を棄つる勿れ。救世主よ、預言者を猛獸より拯ひし如く、我等を拯ひ給へ。
我は思念にて高ぶれるファリセイに超え、常に驕りて無量の罪の淵に進めり。獨 潔き者よ、極めて卑しくなりたる我を宥めて救ひ給へ。
至りて奇異なる降孕と產とを有ちし童貞女よ、今我不當なる者の上に爾の慈憐を奇異なる者と顯し給へ、蓋我不法に於て妊まれ、生れて逸樂の奴隷と爲れり。
光榮 我畏るべき審判を記念する時歎き、泣きて淚を流す、惡しき行を有てばなり。婚姻に與らざる童貞女、神の母よ、畏るべき時に於て我が爲に轉達者と爲り給へ。
今も 潔き童貞女よ、凡の智慧は爾に於て行はれし靈妙にして至榮なる奇跡を悟り且言ふこと能はず、如何にして爾は生みて童貞女に止まる、生れし者は性に於て神なればなり。
次ぎて主憐めよ、三次。光榮、今も、
坐誦讚詞、第三調。
ハリストスよ、婚姻に與らざる潔き爾の母は爾が死して木に懸れるを見て、母として哭きて言へり、吾が子よ、不法にして恩を知らざるエウレイの會、屢爾の大なる賜を樂しみし者は何をか爾に報いたる。我爾の神聖なる寬容を歌ふ。
第七歌頌
イルモス 三人の少者は爐に於て聖三者を像りて、火の恐嚇を履み、歌ひて呼べり、我が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
女宰よ、行に由りては我に救なし、罪に罪を、惡に惡を加ふればなり。故に潔き者よ、爾の祈禱を以て我を宥めて救ひ給へ。
審判は門の側に在り、審判座は設けられたり、卑微なる靈よ、己を備へて呼べ、言よ、我を審判する時、爾を生みし者の祈禱に因りて我を定罪する勿れ。
光榮 至淨なる者よ、我罪の果を摘みて殺されたり、結果なき靈を攜へて爾に呼ぶ、爾の腹の果を以て朽壞を破りし者よ、我を果を結ぶ者と爲し給へ。
今も 嗚呼靈妙なる祕密、嗚呼畏るべき奧義や、如何にして神は人の如く地に現れたる、彼の知るが如く、望むが如く、嘉するが如し、彼は其欲する如く行ひ給ふ。
第八歌頌
イルモス 敬虔の範たる少者は堪へ難き火に入れられしに、焰に惱まされずして、神聖なる歌を歌へり、主の悉くの造物は主を崇めて、萬世に讚め揚げよ。
全く善なる者にして萬有の王に近くなりし生神女よ、我惡を行ひて怠慢の中に一生を送りし者を善行に充て給へ、我が萬世に爾を讚榮せん爲なり。
神の言よ、昔至榮に預言者を鯨の腹より救ひし如く、斯く救世主よ、滅亾の深處に陷りし我が靈を救ひ給へ、婚姻に與らずして爾を生みし童貞女が爾に祈ればなり。
光榮 生神女よ、凶惡者は我が美しき衣を衣たるを見て、之を褫ぎたり。神の母、童貞女よ、爾親ら祈禱を以て我を痛悔の神聖なる衣にて飾り給へ。
今も 潔き者よ、凡の造物が戰く所の主、慈憐に由りて我等の爲に幼兒と爲りし者を爾は手に抱き給へり。彼に祈りて、凡そ信を以て、生神女よ、我等萬世に爾を崇め讚むと、呼ぶ者を救はんことを求め給へ。
第九歌頌
イルモス 我等信者は影及び文なる律法に於て預象を見ん、凡そ始めて生るる男子は神に捧げられたり。故に我等は無原の父より始めて生れし言、夫なき母より始めて生れし子を崇め讚む。
不朽にして無玷なる童貞女よ、我智慧と靈との朽壞せられ、惡を以て良心を汚し、一の善もなき者を棄つる勿くして、敬虔の行にて飾り給へ。
慈憐の多き恩主よ、我は惡に盈ち、爾仁愛なる主より我を踈くする思念に充ちたり。故に歎きて呼ぶ、痛悔する我を受けて、爾を生みし者の祈禱に由りて我を遠ざくる勿れ。
光榮 純潔なる少女よ、願はくは我爾の帲幪の下に趨り附きて、爾を祐助の爲に呼ぶ者は、爾の祈禱に由りて、凡の怒、死を致す諸慾、畏るべき「ゲエンナ」の火、不義なる人人及び凶惡なる諸敵より救はれん。
今も 童貞女よ、至りて美しき主は爾を靈にて美しく、思にて美しく、肉體にて美しき者と視て、親ら知るが如く爾の童貞の胎より身を取りて、我等の醜きを飾り給へり。彼に我等の救はれんことを祈り給へ。
次ぎて「常に福にして」、及び躬拜。聖三祝文。「天に在す」の後に司祭高聲。讚詞。其他常例の如し、及び發放詞。
金曜日
金曜日の早課
第一の誦文の後に十字架の坐誦讚詞、第三調。
十字架は地に建てられて天に摩れり、是れ木が此くの如き高度に至りしに非ず、萬有を充つる爾が此の上に在りて斯く成れり。主よ、光榮は爾に歸す。
句 主我が神を崇め讚め、其足凳に伏し拜めよ、是れ聖なり。
救世主よ、爾は十字架及び死の苦を受けんことを定めて、造物の間に之を忍び給へり。爾が己の身を十字架に釘するを許しし時、其時日は光線を隱し、其時盜賊は之を視て、十字架に在りて爾を歌ひて敬みて呼べり、主よ、我を憶ひ給へと、乃信じて樂園を受けたり。
光榮、今も、十字架生神女讚詞 言の無玷なる牝羊、不朽なる童貞女母は產苦なくして彼より生れし者の十字架に懸れるを覩て、母として泣きて呼べり、嗚呼吾が子よ、爾は人を耻辱の苦より救はんと欲して、如何ぞ甘じて苦を受くる。
第二の誦文の後に坐誦讚詞、第三調。
神の羔よ、爾は松・杉・黃楊樹に擧げられたり、信を以て爾の自由なる釘殺に伏拜する者を救はん爲なり。ハリストス神よ、光榮は爾に歸す。
句 神我が古世よりの王は救を地の中に作せり。
天使の軍は爾の量り難き權能と自由なる釘殺とを見て驚けり、如何にして見えざる者は人類を朽壞より救はんと欲して、身に傷を受けたる。故に我等爾恩主に呼ぶ、ハリストスよ、光榮は爾の仁愛に歸す。
句 神よ、爾は爾の聖所に於て嚴なり。
至りて讚美たる致命者よ、爾等の勇敢なる忍耐は惡の魁たる敵の惡謀に勝てり、故に爾等は永遠の福樂を獲たり。眞實の證者よ、主ハリストスに彼を愛する人人の群を救はんことを祈り給へ。
光榮、今も、十字架生神女讚詞 洪恩なるハリストスよ、爾は十字架の上に甘じて耻づべき死を忍び給へり、爾を生みし者は之を見て心刺されたり。世の罪を任ひし獨至善にして人を愛する主よ、爾の至大なる慈憐に由りて、彼の祈禱を以て世界を宥めて救ひ給へ。
第三の誦文の後に坐誦讚詞、第三調。
罪なき主よ、爾は言ひ難き慈憐に因りて、詛の器たる十字架を忍びて、初めて造られし人を初の詛より解き給へり。故に我等爾の尊き苦に伏拜して、爾の聖なる定制を讚榮す、爾獨至大なる慈憐に由りて之を成就して、爾の造物を救ひ給へり。
人類の爲に頰を批たれて怒らざりし主よ、我等の生命を朽壞より釋きて、我等を救ひ給へ、爾は人を愛する主なればなり。
光榮、今も、十字架生神女讚詞 生神女よ、我等爾の子の十字架を能力の杖として獲て、此を以て諸敵の驕を墜し、愛を以て絕えず爾を崇め讚む。
尊貴にして生命を施す十字架の規程、其冠詞は、十字架は信者の譽及び榮なり。イオシフの作。第三調。
第一歌頌
イルモス 昔日は深處より出でたる乾ける地の上に升れり、蓋水は徒步にて海を渡る民の爲に左右に壁の如く堅く立てり。彼等神に悅ばるる歌を捧げて曰へり、主に謳はん、彼嚴に光榮を顯したればなり。
洪恩なる主よ、爾は杖を以て海の浪を凝らせ、民を過らしめて、爾の十字架を前兆せり。爾は此を以て迷の水を擊ちて、凡そ信を以て爾の力を歌ふ者を神を知る智識の地に移して救ひ給へり。
命を以て淵を造り、水を以て其宮を蔽ひ、地を水の上に懸けし主よ、爾は木に懸れども、指麾を以て一切の造物を振はせ、衆人の心を爾を畏るる畏に堅め給ふ。
致命者讚詞 ハリストスの致命者よ、爾等は彼の苦に與るを以て神の子と爲り、上なるシオンの住者及び嗣業と爲りて、其中に榮冠を冠りて欣ばしく呼ぶ、主に謳はん、彼嚴に光榮を顯したればなり。
致命者讚詞 致命者よ、爾等は手足を斷たれ、身を鐵搭にて抓かれ、火の中に投ぜられて、聊もハリストス萬有の神を諱まずして、熱心に呼べり、主に謳はん、彼嚴に光榮を顯したればなり。
生神女讚詞 至りて善なる童貞女・女宰よ、爾は生みたる子の甘じて木に懸けられしを見て、泣き苦しみて呼べり、萬有の神、仁愛なる主宰、光榮の主よ、如何ぞ此くの如き苦を忍ぶ。
又至聖なる生神女の規程、第三調。
第一歌頌
イルモス 昔神妙の瞬にて水を一區に匯め、又イズライリ人の爲に海を分ちし者は、是れ崇め讚めらるる吾が神なり。我等獨彼に歌はん、彼光榮を顯したればなり。
至淨なる童貞女よ、爾の神聖なる祈禱を以て我に罪過の潔淨を與へ給へ、爾の祈禱は力ありて、爾を尊む者を諸罪、諸慾、憂愁、患難より救ひ給へばなり。
童貞女よ、爾の祈禱の水を以て我が無量の諸罪諸慾の暑熱に因りて弱りたる我の卑微なる靈を霑し給へ、我が神聖なる凉氣を得て、歌を以て爾を熱心なる轉達者として崇め讚めん爲なり。
潔き女宰よ、我全身罪に沈み、痛く失望せし者に爾の慈憐の手を舒べて、我を痛悔の高きに上げ、我に淚の流を與へ給へ。
至淨なる者よ、爾は我等の爲に熱心に爾の子に祈る勇敢を有つに因りて、爾の祈禱を以て我が罪惡の書券を破り給へ、我等ハリスティアニンは獨爾を轉達者として有てばなり。
第三歌頌
イルモス 主、爾を賴む者の堅固よ、爾の尊き血にて獲たる敎會を堅め給へ。
人體を取りし言よ、爾は極めて耻づべき釘殺を忍びて、爾を尊む者に眞の尊貴を獲しめ給へり。
主宰よ、爾が詛と爲りて、十字架を以て祝福を流ししに、地に生るる者は詛より解かれたり。
致命者讚詞 至りて讚美たる者よ、爾等は地上に寄寓者と爲りて、眞の天の住民及びハリストスと共に嗣と顯れたり。
致命者讚詞 致命者よ、爾等は十字架を最强き武器として獲て、殘害者なる敵の一切の力に勝てり。
生神女讚詞 潔き者よ、爾は生みて後にも童貞女に止まれり、人體を取りし神、十字架に釘せらるるを甘ぜし主を生みたればなり。
又
イルモス 言にて造られ、聖神にて備へらるる萬物を無より出しし至上なる全能者よ、爾の愛に我を固め給へ。
至淨なる生神女よ、祈る、速に我が爲に爾の慈憐の門を啓きて、誘惑の中に我が爲に熱心なる扶助者及び拯救と爲り給へ。
至淨なる者よ、我爾の僕を凡の烈しき罪の暴風より脫れしめて、爾の祈禱を以て我を救の港に向はしめ給へ。
潔き母童貞女よ、我を我が濁りたる諸慾、今我が卑しき靈を攻めて之を侵す者より救ひ給へ。
仁慈なる生神女よ、我に淚の雨雲を予へて、此を以て我が諸慾の爐を滅して、吾が靈の諸の汚を滌ひ給へ。
第四歌頌
イルモス ハリストスよ、爾の仁慈は天を覆へり、蓋爾は聖所の匱たる爾の無玷なる母より出でて、手に抱かるる嬰兒として爾の光榮の殿に現れ給へり。萬有は爾の讚美に充てられたり。
ハリストスよ、爾は獨新なるアダムと爲りて、手を十字架に釘せられ、甘じて葦にて擊たれ、醋と膽とを飮ませられて、陷りしアダムを起し、爾の上なる國に升せ給へり。
神の言、慈憐なる主よ、預言者は爾を屠に牽かるる羊、争はず號ばざる羔として預見せり。蓋爾は甘じて十字架に釘せらるるを忍び給へり、自由に罪を犯しし者を援けて救はん爲なり。
致命者讚詞 ハリストスの致命者は信の鋤を以て靈を新にし、窘逐を忍ぶを以て種を播き、苦の豐なる穗、信者の會を養ふ者を聚め給へり。故に彼等は常に讚榮せらる。
致命者讚詞 忍び難き苦に狹められし致命者は、神聖なる希望に進められて、天上の國の廣きに至り給へり、我が口を開きて、常に彼等の戰を歌はしめん爲なり。
生神女讚詞 母童貞女よ、爾は鉗の如く神聖なる熾炭、爾の種なき神聖なる胎を燒かずして、更に之を霑す者を受け給へり。爾は其身にて甘じて木に懸けられしを見て、歌を以て彼を讚榮せり。
又
イルモス 主よ、爾は强き愛を我等に顯せり、我等の爲に爾の獨生子を死に付したればなり。故に我等感謝して爾に呼ぶ、主よ、光榮は爾の力に歸す。
女宰よ、我一切の望を爾に負はせて、靈を全くし俯伏して祈る、生命を生みし者よ、我に死を致す病を免れしめて、我を救の生命に升せ給へ。
潔き女宰、世界の爲に有力なる扶助者よ、我を己より遠ざくる勿れ、我を爾の面より辱かしめて退くる勿れ、我を惡鬼の悅と爲す勿れ。
女宰よ、我一も善行なき不當の者は逸樂の銳き矢に傷つけられて、全身病を得たり。故に爾に呼ぶ、至淨なる者よ、我を救ひ給へ。
潔き者よ、不當なる行の水は我が卑微なる靈にまで至れり。我罪なる思に攻められて、憂ひて爾に呼ぶ、女宰よ、爾の僕を棄つる勿れ。
第五歌頌
イルモス イサイヤは預象に於て崇き寶座に坐して光榮の諸天使に繞らるる神を見し時に籲べり、噫 我 禍なる哉、我肉體を取る神、暮れざる光と平安とを司る者を預見せり。
主宰よ、爾は木の上に寢ねて、罪過の勞に痛く疲れたる我を息はせ給へり。イイススよ、爾は耻辱の苦を受けて、我の耻辱を下し給へり。言よ、我爾の權柄及び神聖なる苦を歌ふ。
人を慈む主よ、爾は十字架に於て爾の身を燈の如く燃して、失はれし「ドラフマ」を尋ね、之を獲て、爾の友たる天軍を共に喜ばん爲に召し給へり。ハリストスよ、我等は爾の國の權柄を歌ふ。
致命者讚詞 惑はす者は惑はされぬハリストスの受難者の足下に倒され、死して行動なき者と見られ、彼等は實に天使等に加へられて、言ひ難き歡喜に滿たされたり。
致命者讚詞 烈しき沍寒に凍えさせられ、甚しき傷に蔽はれ、種種の苦に付されし致命者は天の國の神聖なる溫暖に移りて、常に信者の爲に溫き轉達者と顯る。
生神女讚詞 至淨なる童貞女は昔肋骨よりエワを造りし主が木に釘せられて、戈を以て脅を刺さるるを見て、母として呼べり、吾が子、不死の生命よ、爾如何ぞ死する。
又 イルモス同上
靈に神聖なる飮料を與ふる美しき房を生ぜし神聖なる葡萄たる童貞女よ、我が靈を諸慾の有害なる飮料、逸樂の醉、及び永遠の火より救ひ給へ。
至淨なる神の聘女よ、我諸慾の泥に陷りし者を諸罪の深き濘より出し、爾の祈禱の流を以て我を諸慾の汚より洗ひて、救の光明なる衣を衣せ給へ。
平安の王を生みしに因りて世界に平安、衆人に救を賜ひし潔き童貞女よ、我が靈と體との諸慾の今の戰を救世主ハリストスを畏るる畏と彼を愛する愛とを以て平安ならしめ給へ。
至淨なる者よ、我が諸罪を病める靈を爾の慈憐にて醫して、我を謙遜を以て常に爾の子の戒を行ふに導き給へ、我が彼の恩寵を蒙らん爲なり。
第六歌頌
イルモス 翁は神より諸民に來りし救を親しく見て、爾に籲べり、ハリストスよ、爾は我の神なり。
ハリストスよ、爾は羔の如く甘じて屠られて、甘じて木の實を食ふに因りて死せし者を復生命に升せ給へり。
生命を賜ふ主よ、爾十字架に擧げられしに、惡鬼の迷は墜ち、信者の大數は擧がりて爾を崇め讚む。
致命者讚詞 血に染みたる緋袞衣を衣たる致命者は、美しき榮冠に飾られて、今萬有の王の前に立つ。
致命者讚詞 聖致命者の不朽體は凡そ來り就く者に醫治を流して、苦の多きを溺らす。
生神女讚詞 少女よ、人の智慧は性に超ゆる爾の產の奧密を悟る能はず、爾智慧に超えて神を生みたればなり。
又
イルモス 今を限の罪の淵は我を圍み、我が靈は亾びんとす。祈る、主宰敎導者よ、爾の高き手を伸べて、我をペトルの如く救ひ給へ。
至淨なる者よ、爾慈憐なるに因りて、我信を以て爾の保護を求むる爾の僕に諸罪の赦を與へて、我を將來の審判より脫れしめ給へ。
贖罪主の母、女宰よ、我が逝世の時、無知に因りて我が行ひし事を空氣中の鬼に詰らるる時に、我を防ぎて護り給へ。
生神女よ、我全く不當にして常に汚の中に在る者は、今我が足の痕に死を見て、爾に呼ぶ、我を援け給へ。
慾の思の浪は常に我を擾し、凶惡の鬼の暴風は我を沈む。至淨なる者よ、我を無慾の石に固め給へ。
第七歌頌
イルモス 爾、火に在りて神を傳へし少者に露を注ぎ、又不朽の童貞女に入りし神言を、我等讚美して、敬みて歌ふ、わが先祖の神は崇め讚めらる。
三者の一なる爾は黃楊・杉・松に擧げられて、多くの逸樂の深處に陷りし者を擧げ給へり。我が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
主よ、爾は無垢なる羊の如く祭に獻ぜられて、尊き血を以て造物を惡むべき惡鬼に獻ぐる血より潔め、汚らはしき祭を滅し給へり。神の言よ、光榮は爾の權能に歸す。
致命者讚詞 受難者は動かざる柱の如く苛虐者の前に立ちて、迷を動かし、信者の心を堅めて歌へり、主我が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
致命者讚詞 ハリストスの受難者、榮冠を冠れる者は火よりも熱き決心を得て、火に燒かれずして歌へり、主我が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
生神女讚詞 潔き者よ、爾は獨比なき降孕と言ひ難き產とを有ちて、人體を取りし主宰、身にて十字架に釘せられし者を生み給へり。我等彼を歌ひて呼ぶ、主我が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
又
イルモス 昔敬虔なる三人の少者をハルデヤの焰に凉しくせし如く、我等をも神性の明るき火にて輝かし給へ、吾が先祖の神よ、爾は崇め讚めらると呼べばなり。
女宰よ、我體と靈とに汚され、不潔の行に盈ちたる者は爾潔淨無玷なる神の母の慈憐を賴みて祈る、至淨なる者よ、我を憐み給へ。
我が罪の多く、我が惡の甚しきを思へば、我が心痛く惑ひて、我を失望の深處に引く。至淨なる女宰よ、我烈しく溺らされて亾ぶる者を救ひ給へ。
仁慈なる者よ、惡しき行に由りて卑しくなりたる吾が靈を憐みて、我を痛悔の途に向はしめ、爾の子の旨を行ふに導きて、苦より脫れしめ給へ。
至仁なる者よ、爾が仁慈の宏恩の多きを以て我が罪の多きを蔽ひて、我等の爲に寬容の者と爲り給へ。蓋我等默さずして呼ぶ、至淨なる者よ、爾の腹の果は祝福せられたり。
第八歌頌
イルモス 敬虔の範たる少者は堪へ難き火に入れられしに、焰に惱まされずして、神聖なる歌を歌へり、主の悉くの造物は主を崇めて、萬世に讚め揚げよ。
言よ、不順にして無知なる民が爾を死に定めしに、爾は柔順に甘じて釘せられて、甘じて殺されし者を活かし給へり。故に彼等は爾を歌ひて世世に崇め讚む。
主宰よ、爾は十字架に手を伸べて、初めて造られし者の不節制に木の實に伸べたる手を醫し給へり。日は畏を以て爾を覩て光線を隱し、造物は皆震へり。
致命者讚詞 受難者よ、爾等は聖にせられし戰の熱を以て不虔無神の流を涸らし、醫治の泉を流して、諸慾の汚を洗ひ、豐に信者の心に飮ませ給ふ。
致命者讚詞 ハリストスの爲に苦を忍び、且神聖なる誡を行ひしに因りて、無形の者の同住者と爲りし受難者よ、爾等を世世に尊む者が今上なる都城に錄されんことを神に祈り給へ。
生神女讚詞 我等衆信者は爾產の後にも童貞女に止まりし生神女を金の壺と燈、食案と杖、神聖なる山と雲、王の宮及び火の狀の寶座と稱ふ。
又
イルモス 神たる力を以て焰の中にエウレイの少者に降りて、現れし主を、司祭等よ、崇めて萬世に讚め揚げよ。
逸樂の苦味は肉體の感覺を經て、吾が靈を甚しく汚して、死に至らしむ。世界の女宰よ、我が爲に救と爲り給へ。
女宰よ、我心と靈と肉體とを爾に託せり、我に爾の外に佗に慈憐を受くべき賴なければなり。故に爾の豐なる恩寵を我に與へ給へ。
蛇は潛に近づきて、肉體の逸樂の毒を以て甚しく吾が不當なる靈を害せり。潔き者よ、爾の祈禱の良藥を以て之を活かし給へ。
聖なる女宰よ、罪惡の甚しき夜は我を掩ふ、我靈を照す慈惠の油にて燃ゆる燈を持たざればなり。故に我上なる宮より逐ひ出されたり。
次に生神女の歌を歌ふ、「我が靈は主を崇め」。
第九歌頌
イルモス 我等信者は影及び文なる律法に於て預象を見ん、凡そ始めて生るる男子は神に獻げられたり。故に我等は無原の父より始めて生れし言、夫なき母より始めて生れし子を崇め讚む。
全地を無の上に基けし慈憐の多きイイススハリストスよ、爾は十字架に釘せられて、我惡しき習に由りて罪の泥に溺れし者を、仁慈なる主として憐みて引き出し、爾の耻づべき死を以て我を尊くし給へり。
ハリストスよ、爾性にて見えざる神は肉體にて十字架に擧げらるる者と見られたり、見ゆる世界を見えざる敵より救ひ、下に在る者を天の者、爾の大なる能力の權柄を讚榮する者と爲さん爲なり。
致命者讚詞 至りて光榮なる救世主の受難者よ、爾等は聖天使等と同じき選ばれたる聖にせられし軍、其中に生命の樹たるハリストスを有つ樂園、神に飾られたる敎會の尊き品位と現れたり。
致命者讚詞 欣ばしく主宰の寶座の前に立てる聖致命者よ、地上に爾等を記憶する我等を記憶して、彼處より豐に光線を遣して我等を照し給へ、我等が債の赦を受けん爲なり。
生神女讚詞 吾が子よ、光體は爾の釘殺を見て隱れたり、如何ぞ生命の首たる爾を死に付ししエウレイの不信の會は隱れざりしと、生神女は呼べり。我等絕えず彼を崇め讚む。
又
イルモス 我等は爾焚かれぬ棘及び聖なる童貞女、光の母及び生神女、我等衆の倚賴なる者を崇め讚む。
潔き者よ、吾が靈の諸慾の思念の汚を潔めて、我に無慾の美しき衣を衣せ給へ。
童貞女よ、我に痛悔の神聖なる門を啓き、我が諸慾と逸樂との門を閉して、爾の力を以て之を禁め給へ。
純潔なる童貞女よ、我が歎の聲、我が泣聲を聽きて、我が不當なる靈に潔淨と拯救とを與へ給へ。
我は我が惡しき行を思ひて、全く望を失ひて惑ふ。女宰よ、功なき我を宥めて救ひ給へ。
次ぎて「常に福にして」、小聯禱、光耀歌。
挿句に十字架の讚頌、第三調。
不順の木は世界に死を生じ、十字架の木は生命と不朽とを生じたり。故に我等爾釘せられし主に祈る、願はくは爾が顏の光は我等に輝かん。
句 主よ、夙に爾の憐を以て我等に飽かしめよ、然せば我等生涯歡び樂しまん。
爾我等を撲ちし日、我等が禍に遭ひし年に代へて、我等を樂しましめ給へ。願はくは爾の工作は爾の諸僕に著れ、爾の光榮は其諸子に著れん。
我猜忌に因りて樂園より逐ひ出されて、甚しき倒を以て倒れたり。然れども爾は、主宰よ、我を棄てずして、我が爲に我の性を受け、十字架に釘せられ、我を救ひて、我を光榮の中に入れ給ふ。我が贖罪主よ、光榮は爾に歸す。
句 願はくは主吾が神の惠は我等に在らん、願はくは我が手の工作を我等に助け給へ、我が手の工作を助け給へ。
衆民來りて、聖なる受難者の記憶を尊まん、蓋彼等は天使等及び人人の爲に觀玩と爲りて、ハリストスより勝利の榮冠を受けて、我等の靈の爲に祈り給ふ。
光榮、今も、十字架生神女讚詞 純潔なる者よ、爾より生れし主の木に懸けられしを見て、爾は哀しみて呼べり、吾が甘愛なる子、人類に恩を施しし者よ、爾の光明なる華美は何處にか隱れたる。
次ぎて「至上者よ、主を讚榮し」、聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞、聯禱、第一時課、及び發放詞。
金曜日の聖体礼儀に
金曜日の眞福詞、第三調。
ハリストスよ、爾は誡に背きし原祖アダムを樂園より逐ひ出せり。然れども爾、洪恩なる主よ、十字架に在りて爾を承け認めし盜賊、救世主よ、爾の國に於て我を憶ひ給へと呼ぶ者を其中に入れ給へり。
句 義の爲に窘逐せらるる者は福なり、天國は彼等の有なればなり。
主宰救世主よ、爾暮れざる日が十字架に在るを見て、日は光を晦まし、磐は裂け、地は震ひ、殿の幔は二に裂けたり、爾萬衆の悟り難き主が非義に苦しめらるるを見たればなり。
句 人我の爲に爾等を詬り、窘逐し、爾等の事を譌りて諸の惡しき言を言はん時は、爾等福なり。
生ける者の生命たるイイススよ、爾は衆人の爲に死に曳かれたり、爾の神聖なる苦を以て、神として、昔食の爲に殺されし者を救ひて、樂園の住者と爲さん爲なり。故に我等今信を以て爾の苦を讚榮す。
句 喜び樂しめよ、天には爾等の賞多ければなり。
致命者よ、爾等は、甘じて我等の爲に苦を受け、人人より耻辱を除きし主の苦に效ひて、多くの苦難を以て敵を斃して、上なる光榮を受けたり。故に宜しきに合ひて讚榮せらる。
光榮 我等衆信者は父、子、及び撫恤者、義なる神゜に伏拜し、神の宜しきに合ひて、正敎の智慧を以て惟一の元始と光榮とを敬虔に歌ひて呼ばん、爾の國に於て我等を憶ひ給へ。
今も 純潔なる者は身を以て甘じて苦を忍び給ふ其子の十字架に在るを覩て、痛く哀しみて哭きて呼べり、嗚呼吾が子、罪に由りて死せし者を活かさんと欲する主よ、如何ぞ殺されたる。
金曜日の晩課
「主よ、爾に籲ぶ」に聖致命者と成聖者と克肖者との讚頌、第三調。
句 主よ、若し爾不法を糾さば、主よ、孰か能く立たん、然れども爾に赦あり、人の爾の前に敬まん爲なり。
勇敢なる致命者は堅固に苦難を受けて、創傷と縲絏と種種の苦とを忍びしに因りて、實に宜しきに合ひて病なき福たる嗣業に送られたり。
句 我主を望み、我が靈主を望み、我彼の言を恃む。
主の成聖者よ、爾等は敬虔神聖なる言を傳へ、悉くの異端の激論を破りて、衆信者の爲に首導者と顯れたり。故に尊敬を受く。
句 我が靈主を待つこと、番人の旦を待ち、番人の旦を待つより甚し。
捧神なる諸神父よ、爾等は形體に在りて無形體の品位に似たる者と爲りて、至榮に彼等の度生を著し給へり。故に彼等の住居に居るなり。
又 致命者の讚頌、同調。
句 願はくはイズライリは主を恃まん、蓋憐は主にあり、大なる贖も彼にあり、彼はイズライリを其悉くの不法より贖はん。
主よ、爾の十字架の能力は大なり、蓋一の處に建てられて、全世界に行動し、漁者の中より使徒、異邦人の中より致命者を現して、我等の靈の爲に祈らしむ。
句 萬民よ、主を讚め揚げよ、萬族よ、彼を崇め讚めよ。
ハリストスよ、爾の致命者の能力は大なり、蓋彼等は墓に臥して惡鬼を逐ひ、聖三者の信を以て敬虔の爲に戰ひて、敵の權を空しくし給へり。
句 蓋彼が我等に施す憐は大なり、主の眞實は永く存す。
諸預言者、ハリストスの使徒、及び致命者は我等に一體の三者を歌ふを敎へ、迷ひし異邦民を照し、人の諸子を天使等の侶と爲し給へり。
光榮、今も、生神女讚詞 最尊き者よ、我等如何で爾が神人を生みしに驚かざらん。至りて玷なき者よ、爾は夫の誘を受けずして、世の無き先より母なく父より生れ、聊も變易、或は混淆、或は分離を受けず、二の性の質を全うして守れる子を父なく身にて生めり。故に母、童貞女、女宰よ、正しく爾を生神女と承け認むる者の靈の救はれんことを彼に祈り給へ。
次ぎて「穩なる光」。本日の提綱。
挿句に致命者の讚頌、第三調。
主よ、爾の致命者は信にて固められ、望にて强くせられ、爾の十字架を愛する愛にて靈を合せられて、諸敵の强暴に勝てり。故に榮冠を享けて、無形の者と共に我等の靈の爲に祈り給ふ。
死者の讚頌 凡そ死の後に存せざる人の事物は皆虛し、富貴は留まらず、榮華は伴はず、死來りて皆此を滅さん。故に我等はハリストス死せざる王に籲ばん、我等より移されし者を爾に、凡そ樂しむ者の住居ある所に安ぜしめ給へ。
死者の讚頌 人人よ、我等何爲れぞ徒に忙しき、我が走る路は短し、生命は烟なり、蒸氣なり、灰と塵なり、僅に現れて速に亡ぶ。故に我等はハリストス死せざる王に籲ばん、我等より移されし者を爾に、凡そ樂しむ者の住居ある處に安ぜしめ給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 女の中に聖なる生神女、聘女ならぬ母よ、爾が生みし王及び神に、其仁愛の主なるに因りて、我等を救はんことを祈り給へ。
次ぎて「主宰よ、今爾の言に循ひて」。聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞、及び發放詞。
金曜日の晩堂課
至聖なる生神女の規程、第三調。
第一歌頌
イルモス 昔神妙の瞬にて水を一區に匯め、又イズライリ人の爲に海を分ちし者は、是れ崇め讚めらるる吾が神なり。我等獨彼に歌はん、彼光榮を顯したればなり。
潔き神の母よ、爾は全く智慧に超えて救の首、生を施す主を生みて、原母エワの定罪の縲絏を解き給へり。故に萬物は爾を崇め讚む。
至聖なる童貞女よ、靈と體とに烈しき病に苦しめる我を煩悶の深處より引き出して、凡の患難より脫れしめ給へ、爾は、至淨なる者よ、慈憐の泉なればなり。
光榮 我樂の衣を褫がれ、憂と病とに陷りて、全身甚しく傷つけられたり。女宰よ、急ぎて我を圍める誘惑より脫れしめ給へ、爾は我が爲に避所及び希望なればなり。
今も 神の聘女よ、我爾を堅固なる轉達者として獲て、爾の帲幪に趨り附きて祈る、神の母よ、我多くの慾と病と憂とに苦しめる爾の僕を棄てずして、爾の祈禱を以て醫し給へ。
第三歌頌
イルモス 言にて造られ、聖神にて備へらるる萬物を無より出しし至上なる全能者よ、爾の愛に我を固め給へ。
我不當の者は己の後に死を見て、傷ましき煩悶と憂愁とに在り。至淨なる者よ、祈る、爾の祈禱を以て我を救ひ給へ。
惡しくして放蕩なる行に汚されたる我が一生は我を訟へて、我を失望の中に沈む。潔き者よ、我を救ひ給へ。
光榮 女宰よ、獨仁慈に由りて遍く流さるる爾の洪恩の淵は、新なる膏の如く凡そ常に爾を歌ふ者を潤す。
今も 神の聘女よ、我が性を爾より受けたる爾の子及び主は爾の祈禱に由りて爾を歌ふ者を己に合せ給ふ。
第四歌頌
イルモス 主よ、爾は强き愛を我等に顯せり、我等の爲に爾の獨生子を死に付したればなり。故に我等感謝して爾に呼ぶ、主よ、光榮は爾の力に歸す。
女宰よ、我一切の望を爾に負はせて、靈を全くし俯伏して祈る、生命を生みし者よ、我に死を致す病を免れしめて、我を救の生命に升せ給へ。
潔き者よ、我甚しき靈の傷を病みて失望せし爾の僕を爾の祈禱を以て醫し給へ、爾は醫師たる慈憐に富める我が神を生みたればなり。
光榮 凡の智慧に超ゆる歡喜を生みし童貞女よ、我甚しき苦難に陷りし者を援けて、爾の神聖なる眷顧を以て樂の衣を我に予へ給へ。
今も 潔き生神女よ、爾は第二の天と現れて、言ひ難く地上に義の日を輝かし給へり、此に由りて神智の永在の光は我等を照せり。
第五歌頌
イルモス 爾萬物を造りし主、悟り難き平安に、朝の禱を奉る、爾の誡は光なるに因りて、我に之を敎へ給へ。
我無量の罪に因りて死及び地獄に近づけり。神の母よ、熱切に爾に祈る、我を無數の惡事より救ひ給へ。
潔き童貞女よ、我不當の者は肉體の手の弱りたるに因りて、我が靈の手を爾に伸ぶ、多くの病より我を援けて、醫治を與へ給へ。
光榮 我壯健の衣を褫がれて、諸病の傷ましき衣を衣たり。女宰よ、爾に祈る、我に壯健を衣せ給へ。
今も 生神女よ、我等皆爾を致命者及び使徒等の聖にせられし裝飾、信者の保護として宜しきに合ひて讚榮す。
第六歌頌
イルモス 主我が神よ、我を淪滅より引き上げ給へと、イオナは呼べり。我も祈りて爾に呼ぶ、救世主よ、我が多くの惡の深處より我を援けて、爾の光に導き給へ。
我が無量の罪過に由りて、害を爲す敵は多くの病を我に負はしめて、我を殺さんと欲す。生神女よ、爾親ら我を之より脫れしめて、凡の患難より引き出し給へ。
我罪過と諸病と無量の憂愁との深處に墜されて、今甚しく其中に苦しむ。神の母よ、救の手を伸べて我を引き上げ給へ。
光榮 生神女よ、我爾を憂愁の中に在る者の堅固なる基及び有力なる援助として知る。故に爾の帲幪の下に趨り附きて爾に祈る、我を烈しき災禍及び重き病より脫れしめ給へ。
今も 童貞女・神の母よ、我等爾を神聖なる穗を生ぜし畝として歌ふ、信者の心は此の穗に由りて信を以て養はれて、靈の饑饉は息みたり。
次ぎて主憐めよ、三次。光榮、今も、
坐誦讚詞、第三調。
爾母を產の後にも產の前の如く純潔なる童貞女と守りし惟一の主は、神の性を離れずして、爾の腹の内に身を取れり、神は人と爲りて斯く止まり給へり。彼に切に我等に大なる憐を賜はんことを祈り給へ。
第七歌頌
イルモス 昔敬虔なる三人の少者をハルデヤの焰に凉しくせし如く、我等をも神性の明るき火にて輝かし給へ、吾が先祖の神よ、爾は崇め讚めらると呼べばなり。
童貞女・神の聘女よ、我失望の深處に陷りし者に慈憐を垂れ給へ。至淨なる者よ、祈る、爾我の爲に穩靜なる避所と爲り給へ、爾は患難に在る者の爲に常に救の港なればなり。
生神女、信者の倚賴よ、爾は智慧に超えて言ひ難く神の智慧及び能力たるハリストスを生み給へり。故に慈憐に力あり、恩惠に豐なる者として、我に救の醫治を施し給へ。
光榮 神聖なる產を以て不朽の甘味にて四極を富ましし至榮なる神の母よ、我を朽壞の病及び苦き諸慾より解きて、救を與へ給へ。
今も 潔き者よ、爾を己の爲に奧密の門、地に居る者の爲に奇異なる保護者と定めし主は、爾に因りて衆人の爲に永遠の生命に入る門を予へ給へり、宏恩にして萬衆の神なればなり。
第八歌頌
イルモス ワワィロンの爐が少者を焚かざりし如く、神性の火は童貞女を殘はざりき。故に我等信者は少者と偕に呼ばん、主の造物は主を崇め讚めよ。
潔き者よ、我罪過の數へ難く多きを獲て、今諸病に沈みて苦しむ。故に祈る、我に援助の手を伸べて、諸病の深處より引き上げ給へ。
潔き永貞童女、至りて讚美たる生神女よ、爾は神の爲に地上の寶座、人人の爲に天の門と現れたり。故に神の母よ、我に救の門を啓きて、我を諸慾の幽暗より脫れしめ給へ。
光榮 純潔なる者よ、爾は葡萄にして、造られざる房、信を以て彼を歌ふ者の靈を樂しましむる酒を流す者を生じ給へり。
今も 產の後に不朽に止まりし純潔なる者よ、祈る、我等爾の諸僕を朽壞より脫れしめ給へ。蓋我等は信を以て思を一にして歌ふ、悉くの造物は主を崇めて、世世に彼を讚め揚げよ。
第九歌頌
イルモス モイセイはシナイ山に於て棘の中に、爾を焚かれずして神性の火を胎内に孕みし者として觀、ダニイルは爾を截られざる山として觀、イサイヤは芽を萌しし杖、ダワィドの根より出でし者なりと呼べり。
嗚呼仁慈なる童貞女よ、嗚呼世界の歡喜と避所よ、嗚呼信者の保護と憂よりの拯救よ、我が死の時に爾現れて、我を滅さんと欲する惡鬼より脫れしめ給へ。
造成主神を胎内に孕みし潔き童貞女母よ、爾の内に在る能力にて惡鬼の傲慢を仆して、爾の神聖なる權を歌ひ、信を以て爾の像に伏拜する者の角を擧げ給へ。
光榮 潔き童貞女よ、爾より身を取りて我等の性を新に造りし主は、歌を以て絕えず爾光明有力なる保護者及び眞の生神女を讚め揚ぐる者を母たる爾の祈禱に由りて改め給ふ。
今も 爾は天使の歡喜、爾は義者の裝飾、爾は信者の倚賴、爾は我等の守護、爾は信と愛とを以て爾を讚め揚ぐる者を老いざる生命に渡らしむる橋なり。
次ぎて「常に福にして」。聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞。及び其他常例の如し、幷に發放詞。
土曜日(スボタ)
「スボタ」の早課
第一の誦文の後に致命者の坐誦讚詞、第三調。
至りて讚美たる致命者よ、爾等の勇敢なる忍耐は惡の魁たる敵の惡謀に勝てり、故に爾等は永遠の福樂を獲たり。眞實の證者よ、主ハリストスに彼を愛する人人の群を救はんことを祈り給へ。
句 神よ、爾は爾の聖所に於て嚴なり。
至りて讚美たる受難者、病める者の聖なる醫師よ、爾等は信を以て光明なる燈の如く輝く。爾等は窘逐者より受くる苦を畏れずして、偶像の邪敎を斃し給へり、眞の十字架を勝たれぬ武器として有ちたればなり。
光榮、今も、生神女讚詞 生神童貞女よ、我等は爾我が族の救の中保者と爲りし者を讚め歌ふ、蓋爾の子我等の神は爾より受けし身にて十字架に苦を受けて、我等を朽壞より救ひ給へり、人を慈む主なればなり。
第二の誦文の後に坐誦讚詞、第三調。
ハリストスの恒忍なる致命者はハリストスの全備の武具を衣、信の盾を執りて、受難者に適ふが如く敵の軍を斃せり。蓋生命の望を抱きて、勇ましく暴虐者の悉くの恐嚇と傷とを忍びたり、故に榮冠を受け給へり。
句 神よ、爾は爾の聖所に於て嚴なり。
聖なる受難者よ、慈憐なる神に我等の靈に諸罪の赦を賜はんことを祈り給へ。
句 主よ、爾が選び近づけし者は福なり。
主よ、我等が爾の言に因りて爾の偏頗なき審判の前に立たん時、我が救世主よ、爾を信ぜし者を辱かしむる毋れ、我等皆罪を犯したれども爾より離れざりしに因る。故に爾に祈る、ハリストスよ、受けし者を爾の義者の居處の中に安ぜしめ給へ、爾は獨罪なき者なればなり。
光榮、今も、生神女讚詞 至淨なる者よ、爾が實に生神女たるを預言者は傳へ、使徒は敎へ、致命者は承け認め、我等は信じたり。故に爾の產を崇め讚む。
聖致命者、成聖者、克肖者、及び死者の規程、イオシフ師の作。第三調。
第一歌頌
イルモス 奇妙至榮に奇跡を行ふ神よ、爾は淵を地と爲し、兵車を沈め、爾を我が王及び神として歌ふ人人を救ひ給へり。
睿智なる受難者よ、爾等皆勇ましく多種の苦を忍びしに因りて光榮を得たり、故に常に讚榮せらる。
神聖なる役者、人體を取りし言の睿智なる聖機密の執行者よ、爾等は神聖なる力を以て能く主の群を牧して、天上の生命を有つ者と現れたり。
世の爲に釘せられし克肖者よ、爾等は肉體の一切の逸樂を棄て、聖神の器と爲りて、神聖なる力を以て誘惑の鬼を滅し給へり。
光榮 洪恩なる主よ、爾の命に因りて地より敬虔なる信を以て移りし者に終なき生命と暮れざる光とを得しめて、彼等を安ぜしめ給へ、爾は仁慈なる主なればなり。
生神女讚詞 至淨なる者よ、我等敬虔の心を以て爾を身にて神を生みし者として、尊き女等、齋を以て輝き、苦を以て敵を斃しし者と偕に常に崇め讚む。
又死者の規程、月課經の規程なき時に序を逐ひて之を歌ふ。フェフォンの作。
第一歌頌
イルモス 昔イズライリは杖にて截り分ちたる海を、野を行くが如く過りて、明に十字架の道を預象せり。故に我等は奇異なる吾が神を讚美して歌はん、彼光榮を顯したればなり。
附唱 神よ、爾は爾の聖所に於て嚴なり。
爾の葬を以て死を死し、地獄の苛虐を斃し、我等に先だちて天に升りしハリストスよ、爾は己と偕に受難者の群を升せ給へり。今は爾に移されし靈を安ぜしめ給へ。
附唱 主よ、寢りし爾の諸僕の靈を安ぜしめ給へ。
神聖なる致命者を堅固にして、彼等を以て迷を滅しし救世主よ、彼等の祈禱に由りて、爾を信じて世を終へし者に神として不死と福たる嗣業とを獲しめ給へ。
光榮 主宰よ、爾は屠られて、爾の血を諸僕の爲に流し、洪恩の主として彼等の爲に債を償へり。之に因りて、慈憐なる主よ、我等爾に祈る、爾に移されし爾の諸僕を安ぜしめ給へ。
今も 己の死を以て我等の死を滅し、老いざる生命と世世に存する福樂とを流しし神を生み給ひし潔き生神女を我等歌ひ讚めん。
第三歌頌
イルモス 果を結ばざる子なき靈よ、榮えたる果を獲て、樂しみて呼べ、神よ、我爾に緣りて堅められたり、主よ、爾の外に聖なるはなく、義なるはなし。
神の力に堅めらるる光榮なる致命者よ、爾等は惡に强き敵の害を爲す力を盡く滅して、勝利の神聖なる榮冠を受け給へり。
克肖者を敵に勝つ者と顯しし主宰、成聖者を至聖なる傅膏にて聖にせしハリストスよ、彼等の祈禱に因りて爾を歌ふ者を成聖し光照し給へ。
我等は衆預言者と偕に、齋を以て輝き、信を以て苦を忍びて、惡謀の蛇を踐みし神聖なる婦の會を歌ひ讚めん。
光榮 洪恩なるハリストスよ、祈る、神聖なる旨を以て我等より移しし者を諸聖人と偕に納れて、爾の諸聖人の祈禱に因りて、其存命の時に行ひし諸罪を赦し給へ。
生神女讚詞 至淨なる者よ、爾の聖なる產に由りて救はれし我等はガウリイルの聲を以て忠信に爾に呼ぶ、慶べよ、且祈る、爾の祈禱を以て、我等衆の爲に諸罪の赦を求め給へ。
又
イルモス 言にて造られ、聖神にて備へらるる萬物を無より出しし至上なる全能者よ、爾の愛に我を固め給へ。
我を土より造り、又土に還しし不當なる我を更に美しく新にせし主よ、致命者の祈禱に因りて寢りし者の靈を安ぜしめ給へ。
洪恩なる主よ、受難者・致命者の縲絏、鞭撻、創傷、及び種種の苦に因りて、爾の諸僕の靈を諸聖人の居處に納れ給へ。
光榮 人を愛する主宰よ、信と爾に於ける倚賴とを以て寢りし爾の諸僕を「ゲエンナ」の火及び地獄の暗き居處より脫れしめ給へ。
今も 至淨なる生神女よ、爾は、死の力を滅して、我等に不朽を賜ひし造成主の母として、衆造物に超えて聖にせられし者なり。
第四歌頌
イルモス 潔き者よ、アウワクムは樹蔭繁き山として爾の至淨なる胎を預見して籲べり、神は南より、聖なる者は樹蔭繁き山より來らん。
睿智なる受難者よ、爾等は羔の如く甘じて屠られて、十字架の木の上に人類の爲に屠らるるを甘じ給ひし羔たる神の子の前に皆羊の子の如く攜へられたり。
我等は克肖者と偕に光榮なる司祭諸長、信者の爲に燈と爲りし者、諸異端と諸慾の深き幽暗とを破りて、信を以て暮れざる光に移りし者を尊まん。
神の聲を宣べし預言者は美しき言を以て信者の靈を照し、捧神なる女等は功勞の光明と奇跡の光線とを以て彼等の心を輝かす。
光榮 仁慈なる神の言よ、生を終へし者を天上の光榮に與る者と爲して、彼等に地に在りて知ると知らずして行ひし諸罪の赦を與へ給へ。
生神女讚詞 我等は致命者の光榮、成聖者と克肖者との神聖なる飾、信者の固、預言者の宣傳なる至りて讚美たる主の母を歌ひ讚めん。
又
イルモス 主よ、爾は强き愛を我等に顯せり、我等の爲に爾の獨生子を死に付したればなり。故に我等感謝して爾に呼ぶ、主よ、光榮は爾の力に歸す。
慈憐を以て我等の爲に墓に入りて、神として墓を虛しくし、致命者を勝利者と顯しし主宰よ、爾の寢りし諸僕を安息の處に入れ給へ。
受難者の勇敢なる功勞、其爾の爲に忍びし創傷と百體の切斷とを悅びて受けたる主宰よ、移しし者を苦より脫れしめ給へ。
光榮 己の指麾にて生命の尺度を定むる主よ、爾に移しし者の罪の隔を毁ちて、彼等に爾の終なき生命と不朽の光榮とを獲しめ給へ。
今も 純潔なる者よ、爾獨降孕と產とを童貞に合せて、實に母及び童貞女と現れ給へり、死の力を破りし神を生みたればなり。
第五歌頌
イルモス ハリストス神よ、爾の暮れざる光にて我が謙卑の靈を照して、爾を畏るる畏に導き給へ、爾の誡は光なればなり。
主の受難者よ、爾等の痛傷と創痍とは敵に醫されぬ創痍を負はせたり、今爾等は衆信者の創痍を醫し給ふ。
我等は克肖者の多數を歌頌し、ハリストスの成聖者を讚美し、其預言者を讚榮せん。彼等は今常に我等の爲に祈り給ふ。
我等の爲に人體を取りし神を愛する光榮なる女等は義の爲に苦を受け、齋を修めし者は今天に居り給ふ。
光榮 主ハリストスよ、地より移しし爾の忠信なる諸僕を安樂の處、生ける者の地、爾の光の輝く處に入れ給へ。
生神女讚詞 至淨なる女宰よ、神は爾より身を取りて、今爾を諸天使より上なる者、悉くの造物に超ゆる者と顯し給へり。故に我等爾を讚め歌ふ。
又
イルモス 爾萬物を造りし主、悟り難き平安に、朝の禱を奉る、爾の誡は光なるに因りて、我に之を敎へ給へ。
仁慈なる主よ、我等より移りし者を、致命者に因りて、尊き受難者の祈禱に因りて、冢子の敎會に義人等と偕に入れ給へ。
多くの罪の贖の爲に爾の至聖なる血を流ししハリストス救世主よ、今爾の致命者の祈禱に由りて、敬虔に寢りし者を安ぜしめ給へ。
光榮 言よ、世を逝りし者の靈を智慧に超ゆる爾の永遠の安樂の處に向はしめて、諸聖人と偕に神聖なる光を被らしめ給へ。
今も 我等は爾圍まれぬ言、死者に生を賜ふ主を言に超えて胎内に孕みし童貞女を宜しきに合ひて崇め讚む。
第六歌頌
イルモス 諸慾の深處は我を沈め、逆風の狂暴は起りて我を攻む。救世主よ、急ぎて我を救ひ、預言者を猛獸より救ひし如く、我を淪滅より脫れしめ給へ。
尊き敎會の燈、羔及び牧者ハリストスの聖にせられし羔たる至榮なる致命者は聖なる歌を以て讚美せらるべし。
謙遜を以て神を高くせし克肖者の會は高くせられ、善行を以て聖三者を榮せし成聖者の大數は榮せられたり。
雄拔しく勇みたる聖にせられし女等の會は神聖なる奇跡を顯すことと苦を勇敢に忍ぶこととを以て不法なる敵に傷つけたり。
光榮 ハリストスよ、信を以て地より移りし者を聖者の會に合せ、信なるアウラアムの懷に入れて、常に爾の至大なる慈憐を讚榮せしめ給へ。
生神女讚詞 至淨なる生神女よ、爾は致命者、預言者、克肖者、及び悉くの古世よりの義人等の譽なり。故に我等歡の聲を以て爾を彼等と偕に崇め讚む。
又
イルモス 主我が神よ、我を淪滅より引き上げ給へと、イオナは呼べり。我も祈りて爾に呼ぶ、救世主よ、我が多くの惡の深處より我を援けて、爾の光に導き給へ。
ハリストスよ、受難者の祈禱に由りて、信を以て寢りし者の哀を喜に易へ、樂を以て美しく彼等に帶し、彼等を導きて爾の光に向はしめ給へ。
ハリストス神よ、移されし者を爾の慈憐の多きに因りて列祖の懷、爾の顏の光の輝く處に安息せしめて、彼等の悉くの罪過を顧みる勿れ。
光榮 ハリストスよ、此の世を逝りて度生の難難を脫れし者の上に爾の仁愛の奇妙なる憐を顯して、彼等を歡喜と平安とに飽かしめ給へ。
今も 潔き神の母よ、我等は爾の至榮なる產に由りて朽壞と死とを免れたり、蓋爾は我等の爲に不朽の泉を生みて、爾の光を以て全世界を照し給へり。
第七歌頌
イルモス 三人の少者は爐に於て聖三者を像りて、火の恐嚇を履み、歌ひて呼べり、我が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
主の至榮なる受難者は火の中に立ちて、天より神聖なる露を受け、苦を以て殺されて、惡謀の敵を死者と爲せり。
神聖なる成聖者は舟の如くハリストスの敎會を導きて、之を溺らされぬ者として護り、眞に險惡なる迷の浪を脫れしめたり。
眞の修齋者は聖にせられし勤勞を以て肉慾を殺して、無慾の老いざる生命を嗣ぎて歌ふ、主我が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
光榮 言よ、爾が移しし爾の信なる諸僕を審判の時に定罪せられし者と爲さずして、爾の諸聖人の光の中に安息せしめて、爾の仁慈を歌はしめ給へ。
生神女讚詞 純潔なる者よ、爾は實に致命者、克肖者、預言者、聖なる女、及び悉くの神聖なる生を度りし司祭諸長の光榮なり。我等は彼等と偕に爾を崇め讚む。
又
イルモス 昔敬虔なる三人の少者をハルデイの焰に凉しくせし如く、我等をも神性の明るき火にて輝かし給へ、吾が先祖の神よ、爾は崇め讚めらると呼べばなり。
萬衆の生命の原因及び造成の力たる神の言よ、致命者に約せられし安樂を移されたる爾の諸僕の靈に獲しめ給へ。吾が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
ハリストスよ、朽つべき身を顧みざりし光榮なる致命者は今毅然として爾に祈る、移されたる爾の諸僕の靈を安ぜしめ給へ。吾が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
光榮 十字架の葦を以て衆信者の爲に諸罪の赦を書しし主よ、今爾に移しし靈を此の赦に與るを得しめて、彼等に樂しみて爾に歌はせ給へ、吾が先祖の神よ、爾は崇め讚めらる。
今も 己の旨に由りて萬事を行ふ父の言は神として諸慾の中に葬られたる人の性を新にし給へり。至淨なる者よ、爾の腹の果は崇め讚めらる。
第八歌頌
イルモス 至高きに天使等より默さずして讚榮せらるる神を、諸天の天と地、山と岡と深處、及び悉くの人類は、歌を以て造成主及び贖罪主として崇め讚めて、萬世に讚め揚げよ。
主の受難者よ、爾等は傷を受け、烈しく種種の苦に付されて、眞の生命を諱まざりき、凶惡なる迷謬の偶像を拜せざりき。
聖にせられし受難者、天の神゜靈の同住者よ、爾等は燈臺に置かれたる燈の如く尊貴なる諸德に輝きて、衆人の靈を照し、凡の幽暗を拂ひ給へり。
大名なる預言者及び克肖者の會、聖にして尊榮なる婦の大數は宜しきに合ひて歌頌せらるべし。彼等は救世主神に我等の爲に祈り給ふ。
光榮 生死者を司り給ふ救世主よ、爾が地より移しし信者を聖人等と偕に爾の顏の光の中に入れて、爾の慈憐の多きに因りて彼等に諸罪の赦を與へ給へ。
生神女讚詞 至りて讚美たる童貞女、預言者の宣傳、成聖者、受難者、及び克肖者の裝飾、聖なる女の歡喜たる者は職として世世に歌はるべし。
又
イルモス 少者はワワィロンに於て活ける神に奉事せんことに熱中して、樂器を顧みず、焰の中に立ちて、神に適ふ歌を謳ひて云へり、主の悉くの造物は主を崇め讚めよ。
不死の寶藏、生命の首たるハリストスよ、爾は死者の爲に不朽を知らせて、之を爾の致命者に賜ひ、彼等に信を以て敬虔に爾に歌はしむ、主の悉くの造物は主を崇め讚めよ。
屬神の睿智と苦の忍耐とを以て輝きし堅固なる受難者は移されし靈の爲にハリストスに赦を求めて呼ぶ、主の悉くの造物は主を崇め讚めよ。
光榮 仁慈なる救世主よ、爾の脅を刺しし戈を以て爾に移されし者の書券を破りて之を滅し、諸罪の隔を毁ちて彼等を受けて、爾を歌はしめ給へ、主の悉くの造物は主を崇め讚めよ。
今も 潔き童貞女よ、我等は爾を靈智なる雲、靈の渴に苦しめる者の爲に赦免の活水を流し、衆死者に不死を與ふる者と知りて、信を以て常に呼ぶ、主の悉くの造物は主を崇め讚めよ。
次ぎて生神女の歌、「我が靈は主を崇め」。
第九歌頌
イルモス モイセイはシナイ山に於て棘の中に、爾を焚かれずして神性の火を胎内に孕みし者として觀、ダニイルは爾を截られざる山として觀、イサイヤは芽を萌しし杖、ダワィドの根より出でし者なりと呼べり。
ハリストスの受難者よ、爾等は我等の爲に屠られし者の前に羊の子の如く攜へられて、天使の神聖なる品位を歡喜に滿てたり。故に爾等の祈禱を以て衆人を堅めて、衆を敵の有害なる誘惑より脫れしめ給へ。
ハリストスの聖にせられし司祭諸長、神聖なる光榮に與る者よ、爾等は生命の言を有ちて、燈の如く信者の靈を照せり。火の如く聖神を受けたる克肖者よ、爾等は諸慾を焚き、偶像の迷を滅せり。
我等は聖預言者と偕に律法の前及び律法の中に潔き度生を以て輝きし克肖者の大數と聖なる女の會とを讚め揚げて呼ばん、主よ、彼等の祈禱に由りて我等衆を救ひ給へ。
光榮 ハリストスよ、爾の葬及び復活は衆人の爲に生命と爲れり。故に我等勇みて爾に呼ぶ、受けし所の信なる爾の諸僕を凡の選ばれたる者と偕に安ぜしめて、仁慈なる神として彼等の悉くの罪過を赦し給へ。
生神女讚詞 生神女よ、イアコフは梯に於て實に爾の預象を見し時に呼べり、此の處は畏るべき哉と。爾は致命者の光榮、克肖者の譽、諸天使及び衆預言者の飾、信者の救なり。
又
イルモス 棘と火とを以てシナイ山に立法者モイセイの爲に預象せられ、神の火を焚かるるなく腹に宿しし者、最光明なる滅されぬ燈たる實の生神女を尊みて、歌を以て崇め讚む。
慈憐の主よ、爾は獨仁慈仁愛なる神として、今爾に移されし者を、致命者の祈禱に由りて、溫柔なる者の地に入れて、彼等に諸罪の赦を與へ給へ、我等が歌を以て絕えず爾を崇め讚めん爲なり。
ハリストスよ、爾が受けし者を諸聖人の居處に、アウラアムの懷に、爾の義人等と偕に、爾の顏の言ひ難き神聖なる光の輝く處、實に世世に存する歡喜の在る處に入れ給へ。
光榮 生命を賜ふ主よ、爾の旨を以て移しし爾の諸僕に爾の福たる生命、永遠の福樂、眞の樂を獲しめて、彼等を茂き草場に、靜なる水に安息せしめ給へ。
今も 純潔なる者よ、爾は聖なる約匱及び神立法者の證詞の幕として、胎内に爾の造成主、己の死を以て古の詛及び死の法を廢せし者を受け給へり。
次ぎて「常に福にして」、聯禱、光耀歌、及び常例の聖詠。
「凡そ呼吸ある者」に致命者の讚頌、第三調。
衆民來りて、聖なる致命者の記憶を尊まん、蓋彼等は天使等及び人人の爲に觀玩と爲りて、ハリストスより勝利の榮冠を受けて、我等の靈の爲に祈り給ふ。
ハリストスの軍士は諸王と苛虐者とを畏るる畏を棄てて、勇敢を以て勇ましくハリストス、萬有の主神、我等の王を承け認めたり、今は我等の靈の爲に祈り給ふ。
聖天使の軍は致命者の苦に驚きたり、死すべき肉體を有ち、苦難を顧みずして、救世主ハリストスの苦に效ふ者と爲りたればなり、今は我等の靈の爲に祈り給ふ。
聖なる致命者よ、爾等は善き戰を戰ひしに由りて、死の後にも世界の中に光體の如く輝く。故に勇敢を有ちてハリストスに我等の靈を憐まんことを祈り給へ。
死者の讚頌
人人よ、我等何爲れぞ徒に忙しき、我が走る路は短し、生命は烟なり、蒸氣なり、灰と塵なり、僅に現れて速に亾ぶ。故に我等はハリストス死せざる王に籲ばん、我等より移されし者を爾に、凡そ樂しむ者の住居ある處に安ぜしめ給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 爾は種なく聖神に因りて孕み給へり、故に我等爾を讚榮して歌ふ、至聖なる童貞女よ、慶べ。
挿句に死者の讚頌、フェオファンの作。第三調。
獨大仁慈なる主よ、我等爾の尊き十字架を讚榮す、此に因りて信と愛とを以て爾を歌ふ者に生命及び樂園の樂は賜はりたり。故に我等爾に呼ぶ、ハリストス神よ、我等より移されし者を爾に、凡そ樂しむ者の住居ある處に安ぜしめ給へ。
句 主よ、爾が選び近づけし者は福なり。
獨慈憐仁愛にして、仁慈の量り難き淵を有ち、親ら造りし人の性を知り給ふハリストス神よ、我等爾に祈る、我等より移されし者を爾に、凡そ樂しむ者の住居ある處に安ぜしめ給へ。
句 彼等の靈は福に居らん。
爾は人として墓に寢ね、神として勝たれぬ力を以て墓の中に寢ぬる者を復活せしめて、默さざる歌を爾に獻げしむ。故に我等爾に祈る、ハリストス神よ、我等より移されし者を爾に、凡そ樂しむ者の住居ある處に安ぜしめ給へ。
光榮、今も、生神女讚詞 生神女よ、我等皆爾を麁き人の性に合せられたる神性の光を載する靈智なる燈臺として知る。爾の子及び神に我等より移されし者を凡そ樂しむ者の歡喜のある處に安ぜしめんことを祈り給へ。
次ぎて「至上者よ、主を讚榮し」、聖三祝文。「天に在す」の後に讚詞、聯禱、發放詞。次に第一時課、幷に發放詞。
「スボタ」の聖体礼儀に
「スボタ」の眞福詞、第三調。
ハリストスよ、爾は誡に背きし原祖アダムを樂園より逐ひ出せり。然れども爾、洪恩なる主よ、十字架に在りて爾を承け認めし盜賊、救世主よ、爾の國に於て我を憶ひ給へと呼ぶ者を其中に入れ給へり。
句 義の爲に窘逐せらるる者は福なり、天國は彼等の有なればなり。
ハリストスの受難者よ、爾等は火の苦に付されて、爾等を凉しくして、肉體の烈しき痛を忍ばん爲に堅むる天の露を獲たり。故に爾等は常に我が靈の凡の疾を輕くし給ふ。
句 人我の爲に爾等を詬り、窘逐し、爾等の事を譌りて諸の惡しき言を言はん時は、爾等福なり。
聖にせられし成聖者、光榮なる預言者、克肖者の大數、信に由りて苦を受けて敵の誘惑を破りし神聖なる女の會は天の光榮を受けたり。救世主よ、彼等の祈禱に因りて爾の諸僕を宥め給へ。
句 喜び樂しめよ、天には爾等の賞多ければなり。
イイスス神よ、信に於て我等より移しし者を爾の光の輝く處に、爾の選びたる者の殿に、永在の樂の處に入れて、彼等の罪過を問ふこと勿れ、我等が熱心に爾主宰救世主を讚榮せん爲なり。
光榮 我等信者は父と子と神聖なる神゜、造られざる三者、三位にして惟一の神性に於て常に無形の軍より忠信に讚榮せらるる神に伏拜す。
今も 神の恩寵を蒙れる至淨なる女宰よ、爾より光照及び潔淨たる衆人の贖罪主は現れたり。彼に熱心に祈りて、將來の畏るべき審判の時に、我等常に忠信に爾を歌ふ者を凡の定罪より脫れしめんことを求め給へ。
第三調 終
コメントする